説明

運転支援装置及び運転支援方法

【課題】 進行方向の変更を安全に行うための運転支援システム及び運転支援方法を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置1に備えられたCPU2は、設定された案内経路上の左折地点を検出する。また、左折地点の手前に予め設定されたチェック地点を通過したと判断した際に、画像センサ12、レーダセンサ14等に基づき、左折地点手前での幅寄せが可能であるか否かを判断する。そして、幅寄せ可能であると判断した場合に、幅寄せを行うための案内を行い、幅寄せ不可能であると判断した場合に、幅寄せを禁止する案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
左側通行の道路を走行している自動車が交差点で左折する際には、直進車や右折車が自車両の右側を通りやすくすることと、自車両の左側における二輪車の通行を防ぐこととを目的として、自車両を道路の左端に寄せる、いわゆる幅寄せを行うことが望ましいとされている。このとき、自車両の左側方、前方、及び後方に、歩行者や二輪車がいる場合には、歩行者や二輪車を回避しつつ左折しなければならない。このような運転を支援するシステムとして、自車両の周囲の物体をカメラによって検出して、自車両の周囲で物体が検出された場合に、モニタに警告文を表示したり、スピーカから警報を発したりするシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−306499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記したシステムでは、自車両の周囲で物体が検出された際に警告を行うのみであるため、例えば、後方からの二輪車が自車両に接近した時点で運転者が二輪車の存在を知っても、幅寄せのタイミングには遅過ぎる可能性がある。また、二輪車が近付いた際に警告を発すると、運転者は後方を走行する二輪車を避けようとするため、幅寄せを行わない可能性がある。しかし、幅寄せを行わないと、二輪車の巻き込み事故、直進車及び右折車の進行の妨害を招来する虞があり、好ましくない。
【0004】
また、二輪車の接近を警告しても、運転者は、サイドミラーや目視によって、自車両と二輪車との距離等の確認、幅寄せの可否及び幅寄せのタイミングの判断、ハンドルを切る等の複数の動作又は判断を短時間で行う必要がある。このため、運転者によっては、幅寄せを行うことができる状況であるにも関わらず、幅寄せを行わないことがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、進行方向の変更を円滑に行うための運転支援システム及び運転支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、自車位置を特定する自車位置特定手段と、地図データを読出す読出手段と、目的地までの案内経路を前記地図データに基づいて探索し前記案内経路を設定する案内経路設定手段と、自車位置の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、左折案内を行う制御手段とを備え、前記制御手段が、設定された前記案内経路上の左折地点を検出し、前記自車両が前記左折地点の手前に予め設定された判断地点に到達したと判断した際に、前記周辺状況検出手段に基づき、前記左折地点手前で車道の側端に寄る幅寄せが可能であるか否かを判断し、幅寄せ可能であると判断した場合に、幅寄せを行うための案内を行い、幅寄せ不可能であると判断した場合に、幅寄せを禁止する案内を行うことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の運転支援装置において、前記周辺状況検出手段は、前記自車両の後方の移動体の有無と、前記移動体の種別と、前記移動体から前記自車両までの距離又は相対速度とを少なくとも検出し、前記制御手段は、前記周辺状況検出手段に基づいて、前記判断地点に到達した際に前記自車両の後方に二輪車があるか否かを判断し、二輪車が後方にある場合には、前記周辺状況検出手段が検出した前記距離又は
前記相対速度に基づいて、前記自車両が前記二輪車の前方において幅寄せ可能であるか否かを判断することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の運転支援装置において、前記制御手段が、前記自車両が前記二輪車の前方において幅寄せ不可能であると判断した場合には、前記自車両の幅寄せを禁止するとともに、後方から前記自車両に接近する前記二輪車の通過を待つ案内、又は、別の経路の設定を行うことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の運転支援装置において、前記制御手段は、前記自車両が前記判断地点に到達した際に、前方又は左側方に、二輪車又は歩行者があるか否かを判断し、前方又は左側方に二輪車又は歩行者がある場合には、前記自車両の幅寄せを禁止する案内を行うことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の運転支援装置において、前記制御手段は、前記自車両が前記判断地点に到達した際に、前記自車両の左側方に二輪車又は歩行者が通行可能な間隔があるか否かを判断することを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の運転支援装置において、前記制御手段から出力制御信号を受信した際に、前記自車両に設けられたビーム照射装置を駆動して、前記自車両の周辺の路面に、幅寄せの意思を示すビームを照射する照射制御手段をさらに備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の運転支援装置において、前記照射制御手段は、前記ビーム照射装置を駆動して、前記自車両の前方の路面に、幅寄せ位置を示す指標を描画することを要旨とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の運転支援装置において、前記制御手段から出力制御信号を受信した際に、ディスプレイに幅寄せ実行又は幅寄せ禁止の案内を表示する表示制御手段をさらに備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の運転支援装置において、前記制御手段から出力制御信号を受信した際に、前記幅寄せ実行又は幅寄せ禁止の案内音又は音声をスピーカから出力する案内音出力制御手段をさらに備えたことを要旨とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、自車位置を特定する自車位置特定手段と、地図データを読出す読出手段と、目的地までの案内経路を前記地図データに基づいて探索し前記案内経路を設定する案内経路設定手段と、自車位置の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、右折案内を行う制御手段とを備え、前記制御手段が、設定された前記案内経路上の右折地点を検出し、前記自車両が前記右折地点の手前に予め設定された判断地点に到達したと判断した際に、前記周辺状況検出手段に基づき、前記右折地点手前で車道の側端に寄る幅寄せが可能であるか否かを判断し、幅寄せ可能であると判断した場合に、幅寄せを行うための案内を行い、幅寄せ不可能であると判断した場合に、幅寄せを禁止する案内を行うことを要旨とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、自車位置を特定する自車位置特定手段と、地図データを読出す読出手段と、目的地までの案内経路を前記地図データに基づいて探索し前記案内経路を設定する案内経路設定手段と、自車位置の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、左折案内を行う制御手段とを使用して、前記制御手段が、設定された前記案内経路上の左折地点を検出し、前記自車両が前記左折地点の手前に予め設定された判断地点に到達したと
判断した際に、前記周辺状況検出手段に基づき、前記左折地点手前で車道の側端に寄る幅寄せが可能であるか否かを判断し、幅寄せ可能であると判断した場合に、幅寄せを行うための案内を行い、幅寄せ不可能であると判断した場合に、幅寄せを禁止する案内を行うことを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、運転支援装置は、案内経路上の左折地点の手前で、周辺状況に基づき、幅寄せを行うための案内又は幅寄せを禁止する案内を行う。即ち、自車両の周辺状況に応じて幅寄せを行うことができるので、事故低減を図ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、周辺状況検出手段は、自車両の後方の移動体の有無、移動体の種別、距離又は相対速度を検出する。また、制御手段は、周辺状況検出手段に基づいて、自車両の後方に二輪車があるか否かを判断し、二輪車が後方にある場合には、自車両が二輪車の前方において幅寄せ可能であるか否かを判断する。このため、幅寄せができない状況では幅寄せを抑制し、幅寄せが可能な状況では幅寄せを運転者に促すことができるので、左折の際の事故低減を図ることができる。また、幅寄せの可否の判断を運転支援装置が支援するので、運転者の負荷を軽減できる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、制御手段は、自車両が二輪車の前方において幅寄せ不可能であると判断した場合には、幅寄せを禁止し、二輪車の通過を待つ案内、又は別の経路の設定を行う。このため、幅寄せを禁止した後も案内を行うので、事故低減及び運転者の負荷軽減を図ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、前方及び左側方に二輪車又は歩行者がある場合にも、幅寄せを禁止するので、事故低減を図ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、自車両の左側方に、二輪車が走行可能な間隔があるか否かを判断する。このため、自車両が既に幅寄せを行っていたり、幅員の小さい道路を走行している場合には、幅寄せの案内を行わないようにすることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、運転支援装置は、自車両に設けられたビーム照射装置を制御する照射制御手段を備える。また、照射制御手段は、ビーム照射装置を駆動して、自車両の左前方の路面に、幅寄せの意思を示すビームを照射する。このため、周囲の二輪車の運転者、歩行者等に、予め幅寄せの意思を知らせることができるので、事故低減を図ることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、運転支援装置の照射制御手段は、ビーム照射装置を駆動して、自車両の左前方の路面に、幅寄せ位置を示す指標を描画する。このため、運転者は、その指標に従って簡単に幅寄せを行うことができる。また、周囲の二輪車の運転者、歩行者等に、予め幅寄せの意思及び幅寄せ位置を知らせることができるので、事故低減を図ることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、運転支援装置は、ディスプレイを制御する表示制御手段を備え、表示制御手段は幅寄せ実行又は幅寄せ禁止の案内をディスプレイに表示する。このため、運転者に、幅寄せに関する情報を例えば地図等を使用して伝達することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、運転支援装置は、幅寄せ実行又は幅寄せ禁止の案内音声をスピーカから出力する案内音出力制御手段をさらに備える。このため、運転者に視点移動をさせることなく、幅寄せに関する案内を行うことができる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、運転支援装置は、案内経路上の右折地点の手前で、周辺状況に基づき、幅寄せを行うための案内又は幅寄せを禁止する案内を行う。即ち、自車両の周辺状況に応じて幅寄せを行うことができるので、事故低減を図ることができる。
【0026】
請求項11に記載の発明によれば、制御手段は、案内経路上の左折地点の手前で、周辺状況に基づき、幅寄せを行うための案内又は幅寄せを禁止する案内を行う。即ち、自車両の周辺状況に応じて幅寄せを行うことができるので、事故低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。図1は、本実施形態の運転支援装置としてのナビゲーション装置1の構成を説明するブロック図である。尚、本実施形態のナビゲーション装置1は、左側通行の道路を走行する自動車に搭載するための装置として説明する。
【0028】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、CPU2、RAM3、ROM4を備えている。ROM4には、自車位置を特定するための位置演算プログラム、目的地までの最適な経路を探索するための経路探索プログラム及び経路案内プログラム、自車両の周辺状況を判断するための周辺状況判断プログラム、左折案内プログラム等が格納され、CPU2は各種プログラムに従って処理を実行する。尚、CPU2は、特許請求の範囲に記載の自車位置特定手段、読出手段、案内経路設定手段、周辺状況検出手段及び制御手段を構成する。
【0029】
CPU2は、インターフェース(I/F)5を介して、自車位置特定手段を構成するGPS受信部6から検出データを受信する。GPS受信部6は、GPS衛星からの電波を受信する。そして、CPU2は、この検出データ及び位置演算プログラムに基づいて、自車位置の緯度・経度・高度等の測位データを算出する。
【0030】
また、CPU2は、インターフェース5を介して、自車両に設けられた車速センサ7及び方位センサ8から検出データを受信する。CPU2は、これらの検出データに基づいて、基準位置からの相対距離、走行方位等の自律航法データを算出する。また、CPU2は、GPS受信部6からの取得データに基づく測位データと、車速センサ7及び方位センサ8により算出した自律航法データ等に基づき、自車位置を特定する。
【0031】
さらに、CPU2は、通信インターフェース(I/F)9を介して、自車両に設けられた路車間通信部10から、位置情報、交通情報等が含まれるデータを受信する。この路車間通信部10は、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)受信装置であって、道路上に配設された発信装置及び図示しないビーコンから、位置情報・渋滞情報等が含まれた検出データを受信する。
【0032】
また、CPU2は、通信インターフェース9を介して、自車両に設けられた車々間通信部11と接続されている。この車々間通信部11は、ナビゲーション装置1を備えた自車両に搭載され、普通自動車、自動二輪車等の他車両に備えられた同規格の通信装置との間で、マイクロ波やミリ波等の無線通信を行う。この車々間通信部11は、自車両の進行方向や位置、渋滞情報等のデータを送信し、他車両から進行方向、位置等を受信する。
【0033】
さらに、CPU2は、自車両に設けられた画像センサ12、超音波センサ13、レーダセンサ14とセンサインターフェース(I/F)15を介して接続されている。画像センサ12は、図4に示すように、自車両100の前端、左端、及び後端にそれぞれ設けられている。各画像センサ12は、高感度CCD撮像素子を内蔵したカメラを備え、そのカメラによって、自車両100の前方、左側方又は後方の撮像データをそれぞれ生成する。そ
して、画像センサ12は、その撮像データに基づき、基準のデータと撮像データとの差分を検出したりして、公知の画像処理方式で移動体を検出する。さらに、移動体の輪郭や大きさを検出する等、公知の方式で、歩行者、二輪車(自転車又は自動二輪車)又は普通車等の移動体の種別を判断する。
【0034】
また、画像センサ12は、各撮像データの差分等を検出して、各車両と自車両100の相対速度、相対距離、相対加速度等を検出するようになっている。そして、画像センサ12は、CPU2の命令に従って、他車両の存在、他車両の相対速度、他車両の種別を識別する識別データ、相対距離、相対速度、相対加速度等の各種データをCPU2に送信する。
【0035】
超音波センサ13は、図4に示すように、フロントバンパ及びリヤバンパの各コーナ、自車両100の左端等に設けられている。超音波センサ13は、例えばピエゾ圧電素子等を具備し、自車両100の周囲の障害物を検出するようになっている。
【0036】
レーダセンサ14は、ミリ波レーダ等からなり、図4に示すように、自車両100の前端及び後端と、左端とにそれぞれ取り付けられている。各レーダセンサ14は、自車両100の前方、左側方、又は後方の物体の存在、物体までの相対距離、相対速度及び相対加速度を検出するようになっている。そして、超音波センサ13及びレーダセンサ14は、CPU2の命令に従って、自車両の周辺の物体の有無、その相対速度、相対距離及び相対加速度等の各種データをCPU2に送信するようになっている。
【0037】
CPU2は、各センサ12〜14からの各検出データに基づいて、障害物又は移動体の有無の判断を行う。また、障害物又は移動体が検出された場合には、障害物又は移動体の種別の判断、相対距離の算出を行う。さらに、移動体が検出された場合には、移動体の相対速度、相対加速度の算出を行う。例えば、超音波センサ13及びレーダセンサ14が左側方に物体を検出した時、画像センサ12により、その物体が、移動体であるか、又はガードレール等の障害物であるかを判断する。移動体である場合には、検出データに基づいて、二輪車、歩行者等の種別を判断する。また、画像センサ12によって検出された相対速度や相対距離等が、超音波センサ13及びレーダセンサ14が検出した相対速度や相対距離等と異なる場合には、予め定められた条件に基づいて、画像センサ12の検出した相対速度や相対距離、相対加速度を補正及び決定する。
【0038】
さらに、図1に示すように、ナビゲーション装置1は、光ディスクDに格納されたデータを読込むためのディスクドライブ16を備えている。光ディスクDには、地図データとしての経路データ及び描画データが格納されている。経路データは、各道路に対応するノードデータ・リンクデータと、各道路の幅員、路側帯の位置等の道路データとを含んでいる。CPU2は、目的地までの経路案内処理を行う際に、この経路データ及び前記経路探索プログラムに従って、複数の経路を探索する。そして、それらの経路の中から最適な経路を決定し、対応するノード番号、リンク番号等を取得して、RAM3に一時格納する。
【0039】
光ディスクDに格納された描画データは、広範囲から狭範囲の地図を表示するためのデータである。この描画データは、各範囲の地図に表示される道路、市街地、河川等を描画するための画像データと、各画像データに関連付けられた位置データを含んでいる。
【0040】
さらに、ナビゲーション装置1は、表示制御手段としての画像プロセッサ17及び画像メモリ18を備えている。画像プロセッサ17は、前記描画プログラムに従って、自車位置周辺の地図を描画するための前記描画データと、画像メモリ18に格納された自車位置マーク、画面のテンプレート等を、ディスプレイ20に重ね合わせて表示する。ディスプレイ20は、例えば、タッチパネル式のディスプレイであり、各種モード等がタッチスイ
ッチを操作することによって選択可能になっている。
【0041】
また、CPU2は、スイッチ21やタッチパネル等から構成される操作部が入力操作されると、各種処理を実行する。例えば、スイッチ21及び前記タッチパネルの操作により、目的地が入力されて、「経路案内モード」が選択されると、CPU2は、光ディスクDに格納された経路データに基づいて経路を探索する探索処理と、設定された経路を、自車位置周辺の地図とともにディスプレイ20に表示する経路案内処理とを行う。
【0042】
また、ナビゲーション装置1は、案内音出力制御手段としての音声プロセッサ19を備えている。音声プロセッサ19は、CPU2からの命令に従って、ROM4等に格納された各種音声データを合成し、ナビゲーション装置1に具備された、スピーカ23から、「次の交差点を左折です」等の案内音声を出力する。
【0043】
さらに、CPU2は、照射制御手段としてのビーム照射駆動部22に出力制御信号等を送信するようになっている。ビーム照射駆動部22は、これらの信号を受信すると、自車両100に設けられたビーム照射装置としてのレーザ照射装置30を駆動する。各レーザ照射装置30は、図4に示すように、自車両100の各ヘッドランプ近傍に設けられている。これらのレーザ照射装置30は、図示しない半導体レーザと、ミラー及びミラーの角度を調整する駆動部等から構成されている。駆動部は、半導体レーザから出射したレーザ光を、ビーム照射駆動部22から命令された位置に向けて照射させるようになっている。
【0044】
即ち、CPU2が、ビーム照射駆動部22に出力制御信号及び照射位置を送信すると、ビーム照射駆動部22は、受信した照射位置に基づいて、レーザ照射装置30の駆動部を駆動させ、レーザ光の出射位置を調整する。これにより、自車両100の前方の路面に、自車両100の移動予定の位置を示す基準線S(図5参照)が描画されるようになっている。
【0045】
次に、ナビゲーション装置1の運転支援処理について図2に従って説明する。ディスプレイ20又はスイッチ21が操作されて目的地が入力されると、CPU2は、自車位置から目的地までの経路を、光ディスクDに格納された経路データに基づいて探索し、探索した経路を案内経路として設定する(ステップS1−1)。そして、設定した案内経路に対応するノードのノード番号、各ノードを接続するリンクのリンク番号等を取得する。また、CPU2は、自車位置周辺の地図を描画するための描画データを、ディスクドライブ16に挿入された光ディスクDから読出し、案内経路を示す指標と重ね合わせてディスプレイ20に表示して、経路案内を開始する。
【0046】
案内経路に従って自車両100が走行を開始すると、CPU2は、設定した案内経路上であって、自車両100から所定距離(例えば、200m)内に左折地点があるか否かを判断する(ステップS1−2)。具体的には、案内経路を示すノード番号と、そのノードに接続するリンク番号及びリンクの方向等に基づいて左折地点を検出する。例えば、図3に示すように、道路101から交差点102を左折して、道路103を走行する案内経路の場合、CPU2は、経路として、道路101に対応するリンクL1の番号と、交差点102に対応するノードN1の番号と、道路103に対応し、ノードN1の図中左側に接続するリンクL2の番号等を取得する。このため、CPU2は、ノードN1に接続した各リンクL2が延びる方位等から、交差点102に対応するノードN1を左折地点として検出する。
【0047】
所定距離内に左折地点がない場合には(ステップS1−2においてNO)、経路案内が終了したか否かを判断し(ステップS1−3)、案内が終了していない場合にはステップS1―1に戻り、経路案内を行う。経路案内が終了している場合(ステップS1−3にお
いてNO)には、そのまま処理を終了する。
【0048】
左折地点が検出された場合には、CPU2は、自車両100が左折地点に接近したか否かを判断する(ステップS1−4)。このとき、CPU2は、ステップS1−1で検出した左折地点(例えば、ノードN1)よりも、所定距離(例えば100m)だけ手前に設定された、判断地点としてのチェック地点P1(図3参照)を通過したか否かを判断する。このチェック地点P1は、いわゆる幅寄せの可否をチェックする地点である。尚、幅寄せは、自車両100の右側を通行しようとする直進車又は右折車の通行を妨げないことと、二輪車を自車両100の左側に入れず、巻き込み事故を防止することとを目的として、左折前に車道の側端に寄る走行を指す。そして、CPU2は、自車両100が左折地点に接近したと判断するまで、この判断処理を繰り返す。
【0049】
自車両100が左折地点に接近したと判断すると(ステップS1−4においてYES)、CPU2は、各センサ12〜14等に基づいて、自車両100の左側方に二輪車が走行可能な間隔SP(図4参照)があるか否かを判断する(ステップS1−5)。本実施形態では、CPU2は、自車両100の左端に設けられたレーダセンサ14、超音波センサ13から、縁石、ガードレール等の障害物との相対距離を示すデータを取得し、そのデータに基づいて、車道の左端からの自車両100の相対距離を算出する。
【0050】
また、CPU2は、経路データを構成する前記道路データに含まれる道路の幅員データと、自車位置とに基づいて、自車両100(自車位置)と車道の左端との相対距離を算出する。また、画像センサ12は、路側帯を区画する白線や、縁石、ガードレール等を検出して、車道の左端からの自車両100の相対距離を撮像データを解析することにより算出する。
【0051】
さらに、CPU2は、各センサ12〜14によって算出された各相対距離のデータを使用して、補正等を行い、最終的に相対距離を決定する。そして、その相対距離が、二輪車が走行可能な最短間隔(例えば1m)よりも大きいか否かを判断することにより、二輪車が走行可能な間隔SPがあるか否かを判断する。
【0052】
CPU2が、左側方に間隔SPが無いと判断すると(ステップS1−5においてNO)、既に幅寄せを行っているか又は幅員が小さいため幅寄せを行う必要がないと判断して、幅寄せの案内を行わず、左折地点の案内のみを行う(ステップS1−6)。即ち、CPU2は、画像プロセッサ17に出力制御信号を送信し、交差点の拡大図と、進行方向を示す指標とをディスプレイ20に表示させる。また、音声案内が設定されている場合には、CPU2は、音声プロセッサ19に出力制御信号を送信し、「次の交差点を左折です」等の進行方向を指示する案内音声を出力させる。そして、CPU2は、交差点の拡大図中の自車位置等を更新しながら、自車両100の左折が完了したか否かの判断を繰り返す(ステップS1−7)。左折が完了すると(ステップS1−7においてYES)、次の左折地点があるか否かを判断し(ステップS1−2)、以下上記した処理を繰り返す。
【0053】
一方、CPU2が、自車両100の左側方に二輪車が通行可能な間隔SPがあると判断すると(ステップS1−5においてYES)、自車両100の前方及び左側方に、二輪車又は歩行者がいないか判断する(ステップS1−8)。このとき、本実施形態では、CPU2は、自車両100の前端及び左端に配設した各画像センサ12(図4参照)を駆動して、前方及び左側方の歩行者又は二輪車を検出し、検出データを取得する。また、CPU2は、超音波センサ13及びレーダセンサ14から検出データを取得し、車々間通信部11の受信状況を判断して、画像センサ12から取得した検出データと併せて、自車両100の前方及び左側方に二輪車がいるか否かを判断する。
【0054】
前方又は左側方に、二輪車又は歩行者を検出すると(ステップS1−8においてNO)、CPU2は、前方及び側方の注意案内及び左折案内を行う(ステップS1−9)。具体的には、CPU2は、音声プロセッサ19に対し、出力制御信号と、二輪車又は歩行者を検出した方向等を送信して、スピーカ23から「前方に二輪車がいます」、「左側方に二輪車がいます」等の案内音声を出力させる。また、CPU2は、画像プロセッサ17に出力制御信号を送信して、前方又は側方に二輪車等がいることを示す表示をディスプレイ20に出力させる。
【0055】
そして、CPU2は、ステップS1−6と同様に、ディスプレイ20に交差点の拡大図等を表示する左折案内を行う。そして、自車両100の左折が完了したか否かの判断を繰り返し(ステップS1−7)、左折が完了すると(ステップS1−7においてYES)、次の左折地点があるか否かの判断を行い(ステップS1−2)、以下上記した処理を繰り返す。
【0056】
前方及び左側方に二輪車又は歩行者がいないと判断すると(ステップS1−8においてYES)、CPU2は、ステップS1−8と同様に、各センサ12〜14や車々間通信部11に基づいて、自車両100の後方に二輪車又は歩行者がいるか否かを判断する(ステップS1−10)。このとき、CPU2は、後端に設けられた画像センサ12、超音波センサ13、レーダセンサ14を駆動して、検出データを取得するとともに、車々間通信部11による他車両からのデータ受信を待つ。
【0057】
図5に示すように、自車両100の後方に二輪車104又は歩行者がいる状況であると判断すると(ステップS1−10においてYES)、CPU2は、幅寄せを行う時間があるか否かを判断する(ステップS1−11)。本実施形態では、CPU2は、後端に設けられた各センサ12〜14から検出データを取得する。そして、各検出データに基づいて、後方の二輪車又は歩行者の相対速度、相対距離、相対加速度を特定する。
【0058】
そして、CPU2は、特定した二輪車等の相対速度、相対距離及び相対加速度に基づいて、自車両100が幅寄せを開始してから、幅寄せが完了すると予測される時間内に、自車両100と二輪車との間に充分な距離が確保されているか否かを判断する。そして、自車両100と二輪車との間に充分な距離が保たれると判断した場合、幅寄せ時間があると判断する。
【0059】
幅寄せ時間があると判断した場合には(ステップS1−11においてYES)、幅寄せの案内を行う(ステップS1−12)。具体的には、CPU2は、経路データや、ステップS1−5で算出した車道の左端からの距離に基づいて、左に寄る際の幅寄せ位置を算出する。そして、ビーム照射駆動部22に出力制御信号と、自車位置から幅寄せ位置までの距離及び角度を示すデータとを送信する。ビーム照射駆動部22は、これらの信号を受信すると、幅寄せ位置までの距離及び角度に基づいて、レーザ照射装置30の駆動部を駆動制御する。これにより、自車両100の前端に設けられたレーザ照射装置30からレーザ光が出射されて、図5に示すように、自車両100の左前方の路面に、指標としての基準線Sが描画される。運転者は、この基準線Sを目印にして、自車両100の左端を基準線Sに合わせるように運転する。
【0060】
また、CPU2は、音声プロセッサ19に出力制御信号と、案内音声を指定する音声指定信号とを送信する。音声プロセッサ19は、これらの信号を受信すると、ROM4等から音声指定信号に対応した音声データを抽出して、各音声データを合成する。そして、スピーカ23を介して、音声合成データを出力する。これにより、スピーカ23から、「後方に二輪車がいます」、「左側に寄って下さい」等の案内音声が出力される。
【0061】
さらに、CPU2は、画像プロセッサ17に出力制御信号と、画像を指定する画像指定信号とを送信する。画像プロセッサ17は、画像メモリ18から、画像指定信号に対応した画像データを抽出し、描画データと併せてディスプレイ20に出力する。その結果、図6に示すように、「後方に二輪車がいます」、「左側に寄って下さい」等を表示した幅寄せ案内表示50と、地図51とがディスプレイ20に表示される。地図51には、幅寄せを行う際の幅寄せ位置52、自車位置マーク53、経路を示す指標54、二輪車の現在位置55とが表示されている。
【0062】
幅寄せの案内を完了すると、CPU2は、自車位置と経路データ等に基づいて、左折が完了したか否かの判断を繰り返す(ステップS1−13)。左折が完了したと判断した場合には(ステップS1−13においてYES)、次の左折地点があるか否かを判断して(ステップS1−2)、上記した処理を繰り返す。
【0063】
一方、ステップS1−10において、自車両100の後方に、二輪車等がいないと判断すると、CPU2は、二輪車がいない場合の幅寄せの案内を行う(ステップS1−14)。このとき、CPU2は、ステップS1−12とほぼ同様に、レーザ照射装置30による基準線Sの描画を行う。また、CPU2は、音声プロセッサ19に対して出力制御信号等を送信し、スピーカ23から「左側に寄って下さい」等の案内音声を出力する。さらに、CPU2は、画像プロセッサ17に対して出力制御信号等を送信し、ディスプレイ20に「左に寄って下さい」等の案内を表示する。つまり、ステップS1−14では、ステップS1−11の処理と比べて、出力する案内音声やディスプレイ20に表示する内容が異なるのみである。CPU2は、幅寄せの案内を完了すると、自車両100の左折が完了したか否かの判断を繰り返し(ステップS1−7)、左折が完了すると(ステップS1−7においてYES)、次の左折地点があるか否かの判断を行い(ステップS1−2)、以下上記した処理を繰り返す。
【0064】
また、ステップS1−11において、幅寄せを行う時間が無いと判断すると、CPU2は、後方から接近する二輪車等の通過を待つ時間があるか否かを判断する(ステップS1−15)。本実施形態では、CPU2は、自車両100の車速、自車両100から左折地点(ノードN1)までの距離等に基づいて、左折地点手前で減速又は停止可能かを判断する。左折地点手前で減速又は停止可能であると判断した場合、通過を待つ時間があると判断し(ステップS1−15においてYES)、二輪車の通過を待つための通過待機処理を行う(ステップS1−16)。
【0065】
この通過待機処理において、CPU2は、図7に示すように、幅寄せ禁止案内を行う(ステップS2−1)。まず、CPU2は、音声プロセッサ19及び画像プロセッサ17に出力制御信号と、音声指定信号又は画像指定信号とをそれぞれ送信する。
【0066】
音声プロセッサ19は、出力制御信号と音声指定信号とを受信すると、前記音声データを抽出及び合成して、図8に示すように、スピーカ23から、「すぐ後ろに二輪車がいます」、「左に寄らないで下さい」等の案内音声を出力する。
【0067】
画像プロセッサ17は、出力制御信号と画像指定信号とを受信すると、画像メモリ18から画像データを抽出して、図9に示すように、ディスプレイ20に、幅寄禁止表示56と、地図57とを表示する。
【0068】
そして、CPU2は、各センサ12〜14から取得した検出データに基づいて、二輪車が自車位置を通過したか否かの判断を繰り返す(ステップS2−2)。CPU2は、二輪車が通過したと判断すると(ステップS2−2においてYES)、左折案内を行う(ステップS2−3)。CPU2は、音声プロセッサ19及び画像プロセッサ17に出力制御信
号と、音声指定信号又は画像指定信号とをそれぞれ送信する。
【0069】
音声プロセッサ19は、出力制御信号と音声指定信号とを受信すると、前記音声データを抽出及び合成して、スピーカ23から、「二輪車が通過しました」、「加速して下さい」等の案内音声を出力する。画像プロセッサ17は、出力制御信号と画像指定信号を受信すると、画像メモリ18から画像データを抽出して、左折地点の拡大図等を表示する。
【0070】
通過待機案内が終了すると、CPU2は、左折が完了したか否かの判断を繰り返す(ステップS1−13)。左折が完了したと判断すると(ステップS1−13においてYES)、次の左折地点があるか否かの判断を行い(ステップS1−2)、上記した処理を繰り返す。
【0071】
また、二輪車の通過を待つ時間がないと判断すると(ステップS1−15においてNO)、CPU2は、別の経路を設定する(ステップS1−17)。即ち、自車両100と二輪車とが接近し、かつ自車両100と左折地点(ノードN1)とが接近しているような場合には、CPU2は、別の経路を経路データに基づいて探索する。そして、探索した経路を示す位置データ(ノードデータ、リンクデータ)を、出力制御信号と併せて画像プロセッサ17に送信する。画像プロセッサ17は、受信した位置データに基づいて、画像メモリ18から対応する各画像データを抽出し、図10に示すようにディスプレイ20に表示する。その結果、地図58と、自車位置マーク59と、二輪車の現在位置60とがディスプレイ20に表示される。また、地図58に重ね合わせられて、別の経路を示す指標61が表示されている。
【0072】
さらに、CPU2は、音声指定信号と出力制御信号とを音声プロセッサ19に送信する。音声プロセッサ19は、これらの信号を受信すると、「経路を変更しました」、「次の交差点を直進して下さい」等の案内音声をスピーカ23から出力する。運転者は、ディスプレイ20の画面と、案内音声に従って、別の経路を走行する。
【0073】
そして、CPU2は、別の経路の案内を完了すると、CPU2は、左折が完了したか否かの判断を繰り返す(ステップS1−13)。左折が完了したと判断すると(ステップS1−13においてYES)、次の左折地点があるか否かの判断を行い(ステップS1−2)、上記した処理を繰り返す。
【0074】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ナビゲーション装置1のCPU2は、設定した案内経路上の左折地点を検出する。また、CPU2は、自車両100が左折地点の手前に設定されたチェック地点P1を到達したと判断すると、画像センサ12、超音波センサ13又はレーダセンサ14から取得した検出データに基づいて、後方の二輪車104の有無、その二輪車104との距離等の周辺状況を判断するようにした。そして、検出された周辺状況に基づいて、自車両100の左折地点手前の幅寄せが可能であるか否かを判断するようにした。さらに、幅寄せ可能であると判断した場合に、幅寄せのための案内を行い、幅寄せ不可能であると判断した場合に、幅寄せを禁止する案内を行うようにした。即ち、自車両周辺の二輪車104や歩行者を検出するだけでなく、自車両100の周辺状況に応じて幅寄せ又は幅寄せ禁止を案内するので、適切なタイミングで幅寄せを促し、幅寄せ不可能な状況での幅寄せを抑制することができる。このため、左折の際の事故低減を図ることができる。また、幅寄せの可否の判断をナビゲーション装置1が支援するので、運転者の負荷を軽減できる。
【0075】
(2)上記実施形態では、CPU2は、各センサ12〜14から、自車両100の後方の二輪車104と自車両100との距離、相対速度、及び相対加速度が含まれる検出デー
タを受信するようにした。また、CPU2は、二輪車104が後方にあると判断した場合に、相対距離、相対速度、相対加速度に基づいて、自車両100と二輪車104との間に充分な距離が確保されるかどうかを判断し、自車両100が二輪車104の前方において幅寄せ可能であるか否かを判断するようにした。
【0076】
(3)上記実施形態では、CPU2が自車両100が二輪車104の前方において幅寄せ不可能であると判断した場合には、幅寄せを禁止するとともに、二輪車104の通過を待つ通過待機案内、又は別の経路の設定を行うようにした。このため、幅寄せを禁止した後も周辺状況に応じた案内を行うので、事故低減及び運転者の負荷軽減を図ることができる。
【0077】
(4)上記実施形態では、自車両100の前方及び左側方に二輪車104又は歩行者がある場合にも、幅寄せを禁止するための案内を行うようにした。このため、事故低減を図ることができる。
【0078】
(5)上記実施形態では、幅寄せに関する案内を行う前に、自車両100の左側方に、二輪車104が走行可能な間隔SPがあるか否かを判断するようにした。このため、自車両100が既に幅寄せを行っていたり、幅員の小さい道路を走行している場合には、幅寄せの案内を行わないようにすることができる。
【0079】
(6)上記実施形態では、CPU2は、幅寄せの案内を行う際に、自車両100に設けられたビーム照射駆動部22に対して出力制御信号を送信するようにした。そして、ビーム照射駆動部22は、自車両100の前端に設けられた各レーザ照射装置30を駆動して、自車両100の左前方の路面に、幅寄せ位置を示す基準線Sを描画させるようにした。このため、運転者は、その基準線Sに沿って簡単に幅寄せを行うことができる。また、周囲の二輪車104の運転者、歩行者等に、予め幅寄せの意思及び幅寄せ位置を知らせることができるので、事故低減を図ることができる。
【0080】
(7)上記実施形態では、CPU2は、幅寄せの案内、及び幅寄せ禁止の案内を行う際に、画像プロセッサ17に対して出力制御信号等を送信して、ディスプレイ20に幅寄せ実行、幅寄せ禁止の案内を表示するようにした。このため、運転者に、幅寄せに関する情報を、地図等を使用して伝達することができる。
【0081】
(8)上記実施形態では、CPU2は、幅寄せの案内及び幅寄せ禁止の案内を行う際に、音声プロセッサ19に出力制御信号を送信して、幅寄せ実行又は幅寄せ禁止の案内音声を出力するようにした。このため、運転者に視点移動をさせることなく、幅寄せに関する案内を行うことができる。
【0082】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、光ディスクDから経路データ、描画データを読出すようにしたが、ナビゲーション装置1が、経路データ及び描画データを格納したハードディスクを内蔵していてもよい。
【0083】
・ステップS1−8において、自車両100の前方及び左側方に二輪車等を検出した場合には、単なる左折案内を行って、注意案内を省略してもよい。
・路側に設けられた発信装置(図示せず)が、周囲の自動車等の情報を自車両100に対して提供できる場合には、路車間通信部10が受信する電波によって、周囲の二輪車104等を検出してもよい。
【0084】
・自車両100は、画像センサ12、超音波センサ13及びレーダセンサ14のうち、
いずれか一つ又は2つを備えるようにしてもよい。また、各センサ12〜14の取り付け位置は、図4に示す各位置に限られず、自車両100の前方、左側方及び後方をそれぞれ検出できる他の場所でもよい。
【0085】
・自車両100に設けられた路車間通信部10は、路側に設けられた発信装置(図示せず)により、その道路の幅員等のデータ等の各種データを取得するようにしても良い。そして、CPU2は、この道路データに基づいて、道路の左端を検出し、自車両100の左側方の間隔SPを算出するようにしてもよい。
【0086】
・上記実施形態では、ナビゲーション装置1は、レーザ照射装置30により路面に幅寄せ位置を示す基準線Sを描画させるようにしたが、自車両100の周囲の路面に、幅寄せの意思を示す文字又は矢印等を描画するようにしてもよい。また、レーザ照射装置30は、自車両100の前端ではなく、側方又後方に設けてよい。
【0087】
・上記実施形態では、ナビゲーション装置1は、右側通行の道路を走行する車両に搭載されるようにしてもよい。この場合、ナビゲーション装置1は、右折の際の幅寄せの案内を行う。また、左側通行用の処理及び右側通行用の処理をユーザ等によって選択可能にしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態では、幅寄せに関する案内を行う運転支援装置を、ナビゲーション装置1に具体化したが、他の構成の装置に具体化してもよい。例えば、ディスプレイ20やスピーカ23等を省略し、運転支援のみを行う運転支援装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施形態のナビゲーション装置のブロック図。
【図2】同ナビゲーション装置の処理手順の説明図。
【図3】左折地点及び経路データを説明する説明図。
【図4】同ナビゲーション装置を搭載した車両の平面図。
【図5】幅寄せの案内の際の説明図。
【図6】同ナビゲーション装置のディスプレイに表示された画面の説明図。
【図7】幅寄せ禁止の際の処理手順の説明図。
【図8】幅寄せ禁止の際の説明図。
【図9】同ディスプレイに表示された画面の説明図。
【図10】同ディスプレイに表示された画面の説明図。
【符号の説明】
【0090】
1…運転支援装置としてのナビゲーション装置、2…自車位置特定手段、読出手段、案内経路設定手段、周辺状況検出手段及び制御手段としてのCPU、17…表示制御手段としての画像プロセッサ、19…案内音出力制御手段としての音声プロセッサ、20…ディスプレイ、22…照射制御手段としてのビーム照射駆動部、23…スピーカ、30…ビーム照射装置としてのレーザ照射装置、54,61…指標、100…自車両、104…二輪車、P1…判断地点としてのチェック地点、S…指標としての基準線,SP…間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を特定する自車位置特定手段と、
地図データを読出す読出手段と、
目的地までの案内経路を前記地図データに基づいて探索し前記案内経路を設定する案内経路設定手段と、
自車位置の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、
左折案内を行う制御手段と
を備え、
前記制御手段が、
設定された前記案内経路上の左折地点を検出し、
前記自車両が前記左折地点の手前に予め設定された判断地点に到達したと判断した際に、前記周辺状況検出手段に基づき、前記左折地点の手前で車道の側端に寄る幅寄せが可能であるか否かを判断し、
幅寄せ可能であると判断した場合に、幅寄せを行うための案内を行い、
幅寄せ不可能であると判断した場合に、幅寄せを禁止する案内を行うことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記周辺状況検出手段は、前記自車両の後方の移動体の有無と、前記移動体の種別と、前記移動体から前記自車両までの距離又は相対速度とを少なくとも検出し、
前記制御手段は、
前記周辺状況検出手段に基づいて、前記判断地点に到達した際に前記自車両の後方に二輪車があるか否かを判断し、
二輪車が後方にある場合には、前記周辺状況検出手段が検出した前記距離又は前記相対速度に基づいて、前記自車両が前記二輪車の前方において幅寄せ可能であるか否かを判断することを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記制御手段が、前記自車両が前記二輪車の前方において幅寄せ不可能であると判断した場合には、前記自車両の幅寄せを禁止するとともに、
後方から前記自車両に接近する前記二輪車の通過を待つ案内、又は、別の経路の設定を行うことを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記自車両が前記判断地点に到達した際に、前方又は左側方に、二輪車又は歩行者があるか否かを判断し、
前方又は左側方に二輪車又は歩行者がある場合には、前記自車両の幅寄せを禁止する案内を行うことを特徴とする運転支援装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記制御手段は、前記自車両が前記判断地点に到達した際に、前記自車両の左側方に二輪車又は歩行者が通行可能な間隔があるか否かを判断することを特徴とする運転支援装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記制御手段から出力制御信号を受信した際に、前記自車両に設けられたビーム照射装置を駆動して、前記自車両の周辺の路面に、幅寄せの意思を示すビームを照射する照射制御手段をさらに備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の運転支援装置において、
前記照射制御手段は、前記ビーム照射装置を駆動して、前記自車両の前方の路面に、幅寄せ位置を示す指標を描画することを特徴とする運転支援装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記制御手段から出力制御信号を受信した際に、ディスプレイに幅寄せ実行又は幅寄せ禁止の案内を表示する表示制御手段をさらに備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記制御手段から出力制御信号を受信した際に、前記幅寄せ実行又は幅寄せ禁止の案内音又は音声をスピーカから出力する案内音出力制御手段をさらに備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項10】
自車位置を特定する自車位置特定手段と、
地図データを読出す読出手段と、
目的地までの案内経路を前記地図データに基づいて探索し前記案内経路を設定する案内経路設定手段と、
自車位置の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、
右折案内を行う制御手段と
を備え、
前記制御手段が、
設定された前記案内経路上の右折地点を検出し、
前記自車両が前記右折地点の手前に予め設定された判断地点に到達したと判断した際に、前記周辺状況検出手段に基づき、前記右折地点の手前で車道の側端に寄る幅寄せが可能であるか否かを判断し、
幅寄せ可能であると判断した場合に、幅寄せを行うための案内を行い、
幅寄せ不可能であると判断した場合に、幅寄せを禁止する案内を行うことを特徴とする運転支援装置。
【請求項11】
自車位置を特定する自車位置特定手段と、
地図データを読出す読出手段と、
目的地までの案内経路を前記地図データに基づいて探索し前記案内経路を設定する案内経路設定手段と、
自車位置の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、
左折案内を行う制御手段と
を使用して、
前記制御手段が、
設定された前記案内経路上の左折地点を検出し、
前記自車両が前記左折地点の手前に予め設定された判断地点に到達したと判断した際に、前記周辺状況検出手段に基づき、前記左折地点の手前で車道の側端に寄る幅寄せが可能であるか否かを判断し、
幅寄せ可能であると判断した場合に、幅寄せを行うための案内を行い、
幅寄せ不可能であると判断した場合に、幅寄せを禁止する案内を行うことを特徴とすることを特徴とする運転支援方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−251894(P2006−251894A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63980(P2005−63980)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】