説明

アゾール置換スルホニルベンゼン誘導体

【課題】 優れたPDE7阻害作用に基づく、炎症性疾患又は自己免疫疾患等の新規な治療又は予防薬を提供すること。
【解決手段】 ピロール、イミダゾール又はピラゾール等のアゾール環が当該窒素原子を介してベンゼン環に結合することを特徴とするスルホニルベンゼン誘導体が、強力なPDE7阻害作用とこれに基づく優れたTリンパ球の機能抑制作用を有することを確認し、炎症性疾患又は自己免疫疾患等の良好な治療又は予防薬となりうることを知見して本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、特に炎症性疾患又は自己免疫疾患等、PDE7Aの関与する疾患の治療又は予防薬として有用なアゾール置換スルホニルベンゼン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
環状アデノシンモノフォスフェート (cAMP) は細胞と様々なホルモン、神経伝達物質あるいは炎症惹起物質への応答を介在する、いわゆる「第二メッセンジャー」と言われる情報伝達物質である。例えば、ヒトにおいては、心理的機能、平滑筋弛緩、心臓の収縮性強度、ヒスタミン及びその他の免疫反応性分子の放出、リンパ球増殖及び血小板凝固といった多くの重要な生理学的反応がcAMPの細胞内濃度によって制御されることが知られている (Robison GA et al., Cyclic AMP, Academic Press, New York and London (1971))。cAMPの細胞内濃度は、アデニリルシクラーゼ (AC) によるこれらの産生と、5’-AMPへの変換による消滅のバランスによって制御されている。後者に関わる酵素群として、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ (PDE) が知られている (Francis SH et al., Prog Nucleic Acid Res Mol Biol 65: 1-52 (2001))。
PDE酵素群のうち、近年同定されたPDE7はcAMPを特異的に変換する酵素であり、PDE7A及び7Bの2種類のアイソタイプを有する (Gardner C et al., Biochem Biophys Res Commun 272: 186-192 (2000)、Hetman JM et al., Proc Natl Acad Sci USA 97: 472-476 (2000)、Sasaki T et al., Biochem Biophys Res Commun 271: 575-583 (2000))。特にPDE7Aは胸腺、脾臓及びリンパ節などの免疫組織、あるいは末梢リンパ球に特異的な発現が認められる (Bloom TJ and Beavo JA, Proc Natl Acad Sci USA 93: 14188-14192 (1996)、Han P et al., J Biol Chem 272: 16152-16457 (1997)、Wang P et al., Biochem Biophys Res Commun 276: 1271-1277 (2000)、Smith SJ et al., Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 284: L279-L289 (2003))。また、ヒトTリンパ球にPDE7Aアンチセンスを処置することでPDE7Aを選択的に阻害することにより、Tリンパ球からのサイトカイン産生あるいは細胞増殖といったTリンパ球機能が抑制されることが報告され (Li et al., Science 283: 848-851 (1999))、PDE7AがTリンパ球の機能発現に重要な役割を果たしていることが証明されている。このように、PDE7AはTリンパ球が病態に関与する多くの疾患に関与していることから、新しい免疫抑制薬及び抗炎症薬として注目されており、PDE7A阻害剤の探索が行われている。
【0003】
下記式で表される化合物がPDE7阻害作用を有し、自己免疫疾患等の治療に有用であることが記載されている(特許文献1)。
【化3】

(式中、R1はアリール又はヘテロアリールを、A、B、D及びEは、同一又は互いに異なって、窒素原子又はC(R2)基[ここで、R2は水素又はハロゲン原子等を示す]を、Xは酸素又は硫黄原子、或いはN(R3)基[ここで、R3は水素原子又はアルキル基を示す]を、Q、R、S及びTは、同一又は互いに異なって、窒素原子又はC(R4)基[ここで、R4は-L1(Alk1)rL2(R5)sで示される原子又は基を示す]を示す。詳細は当該公報参照。)
【0004】
また、下記一般式で表される化合物が、T細胞の関与する炎症性疾患等の治療に有用であることが記載されている(特許文献2)。
【化4】

(式中、R1は水素であり且つR2はフッ素、塩素、臭素等であるか、又は、R1は水素、フッ素、塩素、臭素等であり且つR2は水素であり、R’及びR”は共に水素又は結合を、R3は水素原子等を、R4は1-4C-アルキル、ナフタレニル、3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-イル等、又は置換されていてもよいフェニル又はチオフェン基等を示す。詳細は当該公報参照。)
【0005】
【特許文献1】国際公開第01/74786号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/40450号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、優れたPDE7阻害作用に基づく、炎症性疾患又は自己免疫疾患等の新規な治療又は予防薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、PDE7阻害作用を有する化合物につき鋭意検討した結果、下記一般式で示される、ピロール、イミダゾール又はピラゾール等のアゾール環が当該窒素原子を介してベンゼン環に結合することを特徴とするスルホニルベンゼン誘導体が、強力なPDE7、特にPDE7A阻害作用、及び優れたTリンパ球の機能抑制作用を有することを確認し、炎症性疾患又は自己免疫疾患等の良好な治療又は予防薬となりうることを知見して本発明を完成した。本発明のアゾール置換スルホニルベンゼン誘導体は、当該ベンゼン環にアゾール環が当該窒素原子を介して結合する点で従来化合物とは構造が異なる。
即ち、本発明は下記一般式(I)で示される新規なスルホニルベンゼン誘導体に関する。
【0008】
【化5】

(式中の記号は以下の意味を有する。
R1:H、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロ環、
X:N又はC(R6)、
Y:N又はC(R7)、
Z:N又はC(R8)、
R6、R7及びR8:同一又は互いに異なって、H、-CO-低級アルキル、ハロゲン、-OH、-O-低級アルキル、置換されていてもよい低級アルキル、或いは、隣接する2つの基が一体となって、低級アルキレン、-NR9-で中断された低級アルキレン又は1,3-ブタジエニレン基を形成し、各々、それらが結合する炭素原子とともに、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル又はフェニル基を形成してもよい、ここで、当該シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル及びフェニル基は、1乃至3個の置換基を有していてもよい、
R9:H、低級アルキル、-CO-低級アルキル、-CO2-低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル又は置換されていてもよいヘテロ環、ここに、低級アルキルは、-OH、-O-低級アルキル、-CO2H、-CO2-低級アルキル、NH2、NH(低級アルキル)及びN(低級アルキル)2、及びフェニルからなる群より選択される1個の基で置換されていてもよい、
R2:同一又は互いに異なって、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、-OH又は-O-低級アルキル、
m:0、1又は2、
R3:-OH、-O-置換されていてもよいフェニル、又は下記式(i)〜(iii)からなる群より選択される基、
【化6】

R4:H又は低級アルキル、
R5:H、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル又は置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロ環、及び、
Het:置換されていてもよい含窒素ヘテロ環。以下同様。)
【発明の効果】
【0009】
本発明化合物は、強力なPDE7阻害作用を有することから、炎症性疾患又は自己免疫疾患等、PDE7の関与する疾患、特に、喘息、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、糸球体腎炎、敗血症ショック、自己免疫性糖尿病、臓器移植毒性、悪液質、アレルギー性鼻炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患、クローン病、結膜炎、関節リウマチの治療又は予防薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳述する。
本明細書中の一般式の定義において「低級」なる用語は、特に断らない限り、炭素数が1〜6(以後、C1-6と略す)の直鎖又は分枝状の炭素鎖を意味する。従って「低級アルキル」としてはC1-6のアルキルであり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル基である。「低級アルケニル」としてはC2-6のアルケニルであり、好ましくはビニル、アリル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル及び3-ブテニル基である。「低級アルキニル」としてはC2-6のアルキニルであり、好ましくは、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル及び1-メチル-2-プロピニル基である。
「低級アルキレン」はC1-6アルキレンであり、好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等の直鎖状のアルキレン、及びメチルメチレン、及び1,2-ジメチルエチレン等の分枝状のアルキレンである。
「-NR9-で中断された低級アルキレン」は、前記低級アルキレンの任意の炭素原子の一つが-NR9-で置換された基であり、好ましくは、-NR9-(CH2)3-、-CH2-NR9-(CH2)2-、-CH2-NR9-CH2-、-(CH2)2-NR9-(CH2)2-であり、より好ましくは-CH2-NR9-(CH2)2-である。
【0011】
「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIを示す。「ハロゲノ低級アルキル」とは、1個以上のハロゲンで置換されたC1-6アルキルを意味し、好ましくは1個以上のFで置換されたC1-6アルキルであり、より好ましくは、トリフルオロメチル基である。
「シクロアルキル」とは、C3-10の飽和炭化水素環基であり、架橋を有していてもよい。好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル基である。「シクロアルケニル」とは、前記「シクロアルキル」の任意の位置に二重結合を1個有する基であり、好ましくはシクロペンテニル、シキロヘキセニル、シクロヘプテニルである。
「アリール」とは、C6-14の単環〜三環式芳香族炭化水素環基であり、好ましくはフェニル及びナフチル基である。また、二若しくは三環式アリールの一つの環が水素化されたものも包含され、好ましくは、テトラヒドロナフチル、インダニル基である。
【0012】
「ヘテロ環」とは、O、S及びNから選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する単環3〜8員、好ましくは5〜7員の環構造(以下、単環式ヘテロ環)を構成成分として含む環基の総称である。「ヘテロ環」には、上記の単環式ヘテロ環以外に、単環式ヘテロ環同士、又はこれらの単環式ヘテロ環がフェニル若しくはシクロアルキルと縮環した二〜三環式ヘテロ環も包含する。「ヘテロ環」は、構成成分の環基がいずれも不飽和環である「ヘテロアリール」、構成成分の環に飽和環を有する「ヘテロシクロアルキル」、構成成分の環に一部不飽和の環を有する「ヘテロシクロアルケニル」をも包含する。
ヘテロアリールとして好ましくは、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キナゾリル、キノキサリニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリジル及びクロマニル基である。環原子であるS又はNが酸化されオキシドやジオキシドを形成してもよい。
ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルケニルとして好ましくは、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、オキサゼパニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1,3-ジオキソラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、インドリニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル及びジヒドロベンズイミダゾリジニル基である。ヘテロシクロアルキル、及びヘテロシクロアルケニルにおいては、任意の炭素原子がオキソ基で置換されていてもよい。また、上記ヘテロ環は、スピロ環及び架橋されたヘテロ環を包含する。当該スピロ環及び架橋されたヘテロ環として好ましくは、キヌクリジニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル基である。
【0013】
「含窒素ヘテロ環」としては、1個のN原子を含み、更にN、S及びOからなるヘテロ原子を1乃至2個含んでいてもよい5〜6員単環式の不飽和若しくは一部不飽和の含窒素へテロ環であり、当該環基がさらにベンゼン環と縮合して二環式含窒素へテロ環を形成してもよい。単環式の含窒素ヘテロ環として好ましくは、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン、ジアゼパン、モルホリン、チオモルホリニル、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロピリミジン環である。また、二環式含窒素へテロ環として、好ましくは、インドリニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリルである。特に、前記一般式(I)中の基R3に関する好ましい含窒素ヘテロ環としては、基(ii)についてはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン、ジアゼパン及びモルホリン環であり、基(iii)についてはジヒドロピリミジン環である。
【0014】
「置換されていてもよい」とは、「無置換」或いは「同一又は異なる置換基を1〜5個有していること」を示す。
R1における「置換されていてもよいアリール」及び「置換されていてもよいヘテロ環」における置換基として好ましくは、低級アルキル基、下記G群に示される置換基、及び下記G群に示される置換基で置換された低級アルキル基であり、より好ましくは低級アルキル、ハロゲン、-OH、-O低級アルキル、-CN、-CO-低級アルキル及び-CHOである。
G群:ハロゲン、-NH2、-NO2、-N(R10)R11、-OH、-OR12、-CN、-CHO、-CO2H、-CO2R12、-CO-低級アルキル、-CO-NH2、-CO-N(R10)R11、-S(O)n-低級アルキル、-NH-CO2R12、-NH-CO-低級アルキル、-NH-S(O)n-低級アルキル、フェニル、単環式へテロシクロアルキル、-O-フェニル、-CO-フェニル、-O-単環式へテロシクロアルキル及び-CO-単環式へテロシクロアルキル。
(ここで、R10及びR11は、同一若しくは互いに異なって、-OH、-O-低級アルキル、-CO2H、-CO2-低級アルキル、NH2、NH(低級アルキル)及びN(低級アルキル)2からなる群より選択される1個の基で置換されていてもよい低級アルキルを、R12は、ハロゲン、-OH、-O-低級アルキル、-CO2H、-CO2-低級アルキル、NH2、NH(低級アルキル)、N(低級アルキル)2及びフェニルからなる群より選択される1個の基で置換されていてもよい低級アルキルを表す。また、フェニル及び単環式へテロシクロアルキルは、低級アルキル、ハロゲン、-OH及び-O-低級アルキルからなる群より選択される1個の基で置換されていてもよい。)
R1における「置換されていてもよい低級アルキル」及び「置換されていてもよいシクロアルキル」の置換基として好ましくは、前記G群に示される置換基であり、より好ましくは、ハロゲン、OH及び-O-低級アルキルである。
【0015】
R6、R7及びR8における「置換されていてもよい低級アルキル」の置換基として好ましくは、-OH、-O-低級アルキル、-CO2H、-CO2-低級アルキル、NH2、NH(低級アルキル)、N(低級アルキル)2、低級アルキルで置換されていてもよい単環式へテロシクロアルキル、-CO-低級アルキルで置換されていてもよい単環式へテロシクロアルキルである。
R6、R7及びR8における「置換されていてもよいアリール」の置換基として好ましくは、低級アルキル、-OH、-O-低級アルキル、-CO2H、-CO2-低級アルキル、NH2、NH(低級アルキル)及びN(低級アルキル)2である。
R6、R7及びR8の隣接する2つの基が一体となって、低級アルキレン、-NR9-で中断された低級アルキレン又は1,3-ブタジエニレン基を形成し、それらが結合する炭素原子とともに、(1)シクロアルケニル、(2)ヘテロシクロアルケニル又は(3)フェニル基を形成する場合の、当該環基に置換されていてもよい置換基として好ましくは、以下に示す基である。
(1)シクロアルケニル:オキソ、=N-O-低級アルキル、-N(低級アルキル)-(低級アルキルで置換されていてもよい単環式へテロシクロアルキル)、及び前記G群に示される基、並びに-O-低級アルキレン-O-(ここに2つの酸素原子はシクロアルケニル環の同一炭素原子上に結合する)。より好ましくは、オキソ、低級アルキル、-N(R10)R11、低級アルキルで置換されていてもよい単環式へテロシクロアルキル及び-N(低級アルキル)-(低級アルキルで置換されていてもよい単環式へテロシクロアルキル)である。ここに単環式へテロシクロアルキルとして好ましくは、ピペラジニル、ピペリジニル、ホモピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、オキサゼパニル、アゼパニル、チオモルホリニル及びテトラヒドロピラニルである。
(2)ヘテロシクロアルケニル:(1)シクロアルケニルの置換基と同様の基、より好ましくは、オキソ及び低級アルキル。
(3)フェニル:前記G群に示される基及び前記G群に示される基で置換された低級アルキル、より好ましくは、-O-低級アルキル。
また、R9として好ましくは、-CO-(N(低級アルキル)2で置換された低級アルキル)及び低級アルキルで置換されていてもよい単環式へテロシクロアルキルである。ここに、単環式へテロシクロアルキルとして好ましい基は、前記(1)に記載の単環式ヘテロシクロアルキルの好ましい基と同様である。
ヘテロシクロアルケニルにおける炭素原子上の置換基
【0016】
R3における「置換されていてもよいフェニル」の置換基として好ましくは、低級アルキルである。
R5における「置換されていてもよい低級アルキル」、「置換されていてもよいシクロアルキル」、「置換されていてもよいアリール」及び「置換されていてもよいヘテロ環」における置換基として好ましくは、R1における置換基と同様であるが、より好ましくは、低級アルキル、-O-低級アルキル、フェニル及びハロゲノ低級アルキルである。
R9における「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいシクロアルキル」又は「置換されていてもよいヘテロ環」における置換基として好ましくは、低級アルキル、-OH、-O-低級アルキル、-CO2H、-CO2-低級アルキル、NH2、NH(低級アルキル)及びN(低級アルキル)2である。
【0017】
一般式(I)に示される本発明化合物における好ましい態様を以下に示す。
[1] R1が置換されていてもよいフェニル基である化合物。
[2] R3が前記式(i)で表される化合物、より好ましくは、当該基(i)中のR4がHであり、R5が置換されていてもよいヘテロアリールである化合物、さらに好ましくは当該ヘテロアリールがピリミジニルである化合物。
[3] YがC(R7)かつZがC(R8)であり、XがCHである化合物。より好ましくは、R7及びR8が一体となってテトラメチレン基を形成し、それらが結合する炭素原子と共にシクロヘキセニル基を形成する化合物。
[4] X、Y又はZのいずれか1つのみがNである化合物。
本発明化合物における特に好ましい態様としては前記[1]乃至[3]のいずれにも該当する化合物である。
【0018】
一般式(I)で表される本発明化合物(以下、本発明化合物(I)と略す)には、置換基の種類によっては互変異性体及び光学異性体などが存在する場合があるが、本発明はこれら異性体の混合物や単離されたものを包含する。
さらに、本発明には、本発明化合物(I)に関する「製薬学的に許容されるプロドラッグ」も含まれる。「製薬学的に許容されるプロドラッグ」とは、加溶媒分解により又は生理学的条件下でCO2H、NH2、OH等の基へ変換されることにより、本発明化合物(I)を生成せしめる化合物である。プロドラッグを形成する基としては、Prog. Med., 5, 2157-2161 (1985)や「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
また、本発明化合物(I)は、置換基の種類によってはN−オキシドを形成する場合もあり、本発明はこれらのN−オキシド体をも包含する。
【0019】
本発明化合物(I)の塩としては、製薬学的に許容される塩であり、具体的には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられる。また、置換基の種類によっては、塩基との塩を形成する場合もあり、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、或いはメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
さらに、本発明化合物(I)及びその塩には、各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質が包含される。
【0020】
(製造法)
本発明化合物は、その基本骨格或いは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基で保護、又は当該官能基に容易に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等であり、それらの保護基としては例えばグリーン(T. W. Greene)及びウッツ(P. G. M. Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行った後、必要に応じて保護基を除去、或いは所望の基に転化することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、本発明化合物のプロドラッグは上記保護基と同様、原料乃至中間体の段階で特定の基を導入、或いは得られた本発明化合物を用い反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化等、当業者により公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下本発明化合物の代表的な製造法を説明する。
【0021】
製法A ピロール環構築
【化7】

本製法は、化合物(II)と化合物(III)とを反応させ、本発明化合物(Ia)を製造する方法である。
本製法は、化合物(II)と化合物(III)とを等量若しくは一方を過剰量用い、酸触媒存在下、反応に不活性な溶媒中又は無溶媒下、室温から加熱還流下、好ましくは50℃から150℃で、通常0.5時間〜5日間反応させることによって行なわれる。ここに、溶媒としては特に限定はされないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)等が挙げられる。酸触媒としては、通常酸触媒反応に用いられるものであれば特に限定されないが、好ましくは、p-トルエンスルホン酸及び酢酸である。
【0022】
製法B インドール環構築
【化8】

(式中、R13は-N(低級アルキル)-(低級アルキルで置換されていてもよい単環式へテロシクロアルキル)又は前記G群に示される基を示す。以下同様。)
本製法は、製法Aに従って得られる化合物(Ia)中、特にR7及びR8が一緒になってシクロヘキセン環を形成した化合物(Ib)を酸化反応に付し、インドール誘導体(Ic)を得る方法である。
本製法は、酸化剤の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱還流下、好ましくは0℃から150℃で、通常1時間〜5日間反応させることによって行なわれる。溶媒としては製法Aに用いたもののほか、アセトニトリルも好適に使用できる。酸化剤としては、パラジウム炭素、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)又は空気中の酸素等が好適に用いられる。
【0023】
製法C イミダゾール環構築(1)
【化9】

本製法は、化合物(IV)を分子内環化反応に付し、本発明化合物(Id)を得る方法である。
本製法は、反応に不活性な溶媒中、化合物(IV)を製法Aと同様、酸触媒で処理することによって行われる。本反応においても製法Aと同様の反応条件が適用できる。
また、本発明化合物(Id)中、R7がHである化合物は、化合物(IV)の代わりに化合物(V)を用いて、上記と同様の反応を行うことによっても製造することができる。
【化10】

【0024】
製法D イミダゾール環構築(2)
【化11】

本製法は、アルデヒド化合物(VI)及びアミン化合物(VII)を反応させ、本発明化合物(If)を得る方法である。
本製法は、まず、化合物(VI)及び化合物(VII)を等量若しくは一方を過剰量用い、脱水縮合によりイミン体を生成させ、次いで、これを単離した後、または単離することなく、塩基の存在下、等量乃至過剰量のp-トルエンスルホニルメチルイソシアニドと反応させることにより行われる。脱水縮合反応は、当業者に自明の脱水によるイミン合成の常法により実施することができる。p-トルエンスルホニルメチルイソシアニドとの反応は、反応に不活性な溶媒中、室温から加熱還流下、好ましくは50℃から120℃で、通常0.1時間〜5日間行われる。塩基としては、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン若しくはN-メチルモルホリン等の有機塩基、又は炭酸カリウム若しく炭酸ナトリウム等の無機塩基が好適に用いられる。また、溶媒としては、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、DMF、DMA、NMPが好ましい。
【0025】
製法E ピラゾール環構築
【化12】

本製法は、ジカルボニル化合物(VIII)とヒドラジン化合物(IX)とを反応させ、本発明化合物(Ig)を得る方法である。
本製法は、化合物(VIII)と化合物(IX)とを等量若しくは一方を過剰量用い、
反応に不活性な溶媒中、室温から加熱還流下、好ましくは50℃から150℃で、反応させることにより行われる。ここで、溶媒としては製法Aと同様のものを使用できる。塩酸や酢酸等の酸やトリエチルアミン、水酸化ナトリウムや酢酸ナトリウム等の塩基の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
【0026】
製法F その他の製法
種々の官能基を有する本発明化合物は、当業者に自明の方法又は公知の製造法、或いはその変法を適用することによっても製造することができる。例えば本発明化合物(I)を原料として、以下の反応を適用することにより、本発明化合物(I)の一部を製造することができる。
F−1:アルキル化(1)
本発明化合物(I)中、水酸基を有する化合物を、塩基存在下(例えば、炭酸カリウムや水素化ナトリウム)、種々のアルキル化剤(例えば、アルキルハライドやアルキルスルホン酸エステル等)と反応させることにより、アルコキシ基を有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、20巻、1992年、187)等に記載の方法が適用できる。
F−2:アルキル化(2)
本発明化合物(I)中、アミノ基を有する化合物を、種々のアルキル化剤(例えば、アルキルハライド、アルキルスルホン酸エステルやアルキル炭酸エステル等)とトリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン若しくはN-メチルモルホリン等の有機塩基、又は炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機塩基の存在下に反応させることで、アルキルアミノ基を有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、20巻、1992年、284)等に記載の方法が適用できる。
【0027】
F−3:アルキル化(3)
本発明化合物(I)中、アミノ基を有する化合物を、種々のカルボニル化合物と等量若しくは過剰量のシアン化水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤で反応させることにより、アルキルアミノ基を有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、20巻、1992年、300)等に記載の方法が適用できる。
F−4:アルキル化(4)
本発明化合物(I)中、X、Y、又はZのいずれかがCHである化合物を、種々の2級アミンとマンニッヒ反応の条件で反応させることで、環上にアミノメチル基を有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、20巻、1992年、296)等に記載の方法が適用できる。
F−5:アルキル化(5)
本発明化合物(I)中、カルボニル基を有する化合物を、アルキルマグネシウム試薬又はアルキルリチウム試薬で処理し、アルキルカルビノール誘導体を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、25巻、1991年、13、61)等に記載の方法が適用できる。
【0028】
F−6:アミド化
本発明化合物(I)中、アミノ基を有する化合物を種々のカルボン酸化合物、若しくはその反応性誘導体とを反応させることにより、アミド基を有する化合物を製造することができる。同様に、本発明化合物(I)中、カルボキシル基を有する化合物を種々のアミン化合物と縮合させることにより、アミド基を有する化合物を製造することができる。又、カルボン酸の代わりに、種々のスルホン酸誘導体(スルホン酸ハライドやスルホン酸無水物等の反応性誘導体が好ましい)を使用することで、種々のスルホンアミド誘導体を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、22巻、1992年、137)等に記載の方法が適用できる。
F−7:酸化
本発明化合物(I)中、スルフィドを有する化合物を酸化することでスルホン、スルホキシドを有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、23巻、1991年、276)等に記載の方法が適用できる。
F−8:還元(1)
本発明化合物(I)中、カルボニルを有する化合物を、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等の還元剤によりアルコールを有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、26巻、1992年、209)等に記載の方法が適用できる。又、3フッ化ホウ素等の存在下、上記還元を行うことによりアルキル化合物を製造することもできる。反応は、例えばJ. Org. Chem., 2196 (1968) 等に記載の方法が適用できる。
F−9:還元(2)
本発明化合物(I)中、カルボキシル基を有する化合物を、パラジウム触媒を用いた還元反応によりアルデヒドを有する化合物を製造することができる。反応は、例えばChem. Commun., 836-837 (2002) などに記載の方法が適用できる。
F−10:還元(3)
本発明化合物(I)中、ニトロ基を有する化合物を、接触水素添加や鉄や亜鉛を用いた還元反応により、アミノ基を有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、20巻、1992年、279)等に記載の方法が適用できる。
【0029】
F−11:アミノ化(1)
本発明化合物(I)中、カルボニル基を有する化合物を、種々のアミン化合物と等量若しくは過剰量のシアン化水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤で反応させることによって、アルキルアミノ基を有する化合物を製造することができる。
F−12:アミノ化(2)
本発明化合物(I)中、ハロゲン原子を有する化合物を一級又は二級アミン化合物と反応させることで、アミノ基を有する化合物を製造することができる。又、化合物(I)中、水酸基を有する化合物の場合には、この水酸基を種々の脱離基(例えば、ハロゲン原子やトリフルオロメタンスルホニルオキシ等)へと変換した後、同様の反応を行うことにより置換アミノ化合物を製造することができる。尚、脱離基を芳香環内に有する化合物を反応させる場合には、パラジウムなどの遷移金属或いはそのホスフィン錯体の存在下に行う。反応は、例えばJ. Org. Chem., 1144-1157 (2000)等に記載の方法が適用できる。
F−13:オキシム化
本発明化合物(I)中、カルボニル基を有する化合物をヒドロキシルアミン化合物と反応させることにより、オキシムを有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、20巻、1992年、353)等に記載の方法が適用できる。
【0030】
製法G 原料化合物の製法
前記製法にて使用した原料化合物は、例えば下記合成経路に従って製造できる。
【化13】

(上記式中、Lはクロロ又はブロモ等のハロゲン、あるいはアルキルスルホニル基等の脱離基を示す。)
上記式中、アルキル化は日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、21巻、1991年、298)等に記載の方法を、また、クロロ化並びにアミジン化は日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、1992年、334)記載の方法を参照して実施できる。
【0031】
本発明化合物の薬理活性は以下の試験により確認した。
1.PDE7A阻害活性
(1) PDE7Aの取得
本実験において使用したPDE7AはBloomらの方法に従って発現・精製を行った (Bloom TJ and Beavo JA, Porc Natl Acad Sci USA 93: 14188-14192 (1996))。同様に、PDE7BはGardnerらの方法に従って発現・精製を行った (Gardner C et al., Biochem Biophys Res Commun 272: 186-192 (2000))。
(2) PDE7A阻害活性の評価
PDE7A及び7B阻害活性は以下の方法で測定した。すなわち、Tris-HCl (40 mM、pH 8.0)、MgCl2 (5 mM) 及び2-mercaptoethanol (4 mM) を含む緩衝液にcAMP (1 μM) 及び3H-cAMP (22 nM) を加えたものを基質緩衝液とした。これに最終濃度の100倍濃度に調製した被検化合物溶液1/100量及び最終濃度10 μg/mlの酵素溶液 (20倍濃度に調製したものを1/20量)を添加し、30°Cで15分間反応させた。酵素反応は1.67 mMのIBMXを含むPhosphodiesterase Scintillation Proximity Assay (SPA) ビーズ(アマシャム社、スウェーデン) を加えて停止させた。酵素活性はSPAビーズに結合した反応分解物である5’-AMP量をTopCountマイクロプレートリーダー (ヒューレットパッカード社、米国) にて測定した。化合物の代わりに溶解液のみを加えた対象群の放射活性を阻害率0%とし、酵素の代わりに緩衝液を加えた非反応群の放射活性を阻害率100%とした際の化合物群の阻害率を求めた。また、得られた結果より最尤法による直線回帰から50%抑制する化合物濃度をIC50値として算出した。
後記実施例1−3、8、26、29、34−39、41、42、56、72−74、113、125、128、130、132、134−136、138、140及び154の化合物は、20 nM以下のIC50値を示した。本試験により、本発明化合物が良好なPDF7阻害活性を有することが確認された。
【0032】
2.IL-2産生抑制作用
IL-2産生抑制作用は、抗CD3抗体刺激によりマウス脾細胞より産生されるIL-2量に対し、被検化合物処置群の抑制率にて評価した。すなわち、頚椎脱臼死させたBalb/c系雄性マウスから脾臓を摘出し、5%ウシ胎児血清 (fetal bovine serum; FBS) を含むRPMI1640培地中にて細断することにより培地中に脾細胞を遊離させた後、口径100 μmのナイロンメッシュに培地を透過させて混雑物を除去した。メッシュに透過させた培地は遠心 (250 g、室温、10分間) して沈査を回収し、0.87% NH4Cl溶液にて懸濁後、室温にて5分間放置して混在する赤血球を溶血させた。分離した脾細胞はリン酸緩衝液 (phosphate buffered saline; PBS、pH=7.4) で3回洗浄した後、4x106 cells/mlとなるように5%FBS含有RPMI1640培地に懸濁し、実験に供した。
抗マウスCD3抗体 (クローン145-2C11、セダーレーン社、カナダ) は5 μg/mlを平底96穴プレートに各穴50 μl分注し、1昼夜以上4°Cにてインキュベートすることで抗体をプレートにコーティングさせた。プレートはPBSにて3回洗浄した後、上記にて調製したマウス脾細胞を各穴100 μl分注し、2倍濃度に調製した被検化合物溶液を100 μl加え、37°C,5%CO2条件下で40時間培養した。培養後、上清中に産出されたIL-2量をELISA kit (BDバイオサイエンス社、米国) にて測定した。化合物の代わりに溶解液のみを加えた対象群のIL-2量を抑制率0%とし、抗CD3抗体刺激を加えない非反応群のIL-2量を抑制率100%とした際の化合物群の阻害率を求めた。また、得られた結果より最尤法による直線回帰から50%抑制する化合物濃度をIC50値として算出した。
後記実施例36、39、41、72、73、113、130、132、134、135及び154の化合物は、1μM以下のIC50値を示した。本試験により、本発明化合物がIL-2産生抑制作用を有すること、すなわち、Tリンパ球の機能を抑制することが確認された。
【0033】
3.遅延型過敏性反応 (DTH) 抑制作用
遅延型過敏性反応 (DTH) はヒツジ赤血球 (sheep red blood cell;SRBC、日本生物材料センター、日本)をマウスに2回感作することにより誘発した。すなわち、SRBCをPBSにて3回洗浄した後、2x107 cells/200 μlとなるようにPBSに懸濁し、Balb/c系雄性マウス (8〜10週令) の後背部皮下に接種した。初回感作6日後に、1x108 cells/25 μl となるようにPBSに懸濁したSRBCを左足蹠部皮下に接種することにより足蹠部腫脹を惹起した。被験化合物は0.5%メチルセルロース (MC) 溶液に懸濁し、SRBC最終感作の90分前及び3時間後に経口投与した。最終感作18時間後、マウスをエーテルにて過麻酔死させ、足蹠部を脛骨−足根骨接合部より切断した。DTH反応は、対照として溶媒のみを接種した右足蹠部と感作した左足蹠部の重量差により腫脹の程度を評価した。化合物の代わりにMC溶液のみを投与した対象群の腫脹を抑制率0%とし、SRBC感作を行わない非感作群の腫脹を抑制率100%とした際の化合物群の抑制率を求めた。
後記実施例132及び134の化合物は、30mg/kgの経口投与で50%以上の阻害率を示した。本試験により、本発明化合物が優れたTリンパ球の機能抑制活性を有することが確認された。
【0034】
本発明化合物(I)又はその塩を有効成分として含有する医薬組成物は通常製剤化に用いられる担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて調製される。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、或いは静注、筋注等の注射剤、坐剤、経皮剤、経鼻剤或いは吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。投与量は症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常、経口投与の場合、成人1日当たり0.001 mg/kg乃至100 mg/kg程度であり、これを1回で、或いは2〜4回に分けて投与する。また、症状によって静脈投与される場合は、通常、成人1回当たり0.0001 mg/kg乃至10 mg/kgの範囲で1日に1回乃至複数回投与される。また、吸入の場合は、通常、成人1回当たり0.0001 mg/kg乃至1 mg/kgの範囲で1日に1回乃至複数回投与される。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
【0035】
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な溶剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤のような補助剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤を含む。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
【0036】
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体、半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば、ラクトースや澱粉のような賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、若しくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。或いは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
【0037】
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
また、本発明化合物(I)又はその塩を有効成分として含有する医薬組成物は、治療上有効な他の有効成分、例えば、β2アゴニスト、ステロイド剤、ロイコトリエン拮抗剤、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、疾患修飾性抗リウマチ剤(DMARDs)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、サイトカイン産生阻害剤、サイトカイン拮抗剤等と適宜組み合わせて併用しても良い。これらと併用する場合は、同時に投与するための配合剤として、あるいは独立して投与するための別個の製剤の組み合わせ物として提供される。
【実施例】
【0038】
以下、実施例に基づき本発明化合物(I)の製法を更に詳細に説明する。本発明下記実施例に記載の化合物の発明のみに限定されるものではない。また原料化合物の製法を参考例に示す。
また、参考例、実施例及び後記表中以下の略号を用いる。
置換基の前の数字は置換位置を示し、数字が複数個あるものは複数の置換を示す。例えば、3,4-(MeO)2-は3,4-ジメトキシ基を示す。但し、3,4-O(CH2)2O-は3位及び4位で架橋したエチレンジオキシ基を示す。
Me:メチル、Et:エチル、Ac:アセチル、Boc:tert-ブトキシカルボニル、REx:参考例番号、Ex:実施例番号、No:化合物番号、Sal:塩(無記載:フリー体;HCl:塩酸塩;Ox:シュウ酸塩;Fu:フマル酸塩;TsOH:p-トルエンスルホン酸塩;数字は酸成分のモル比を示し、例えば、2HClは二塩酸塩を意味する。)、Dat:物理化学的性状(F:FAB-MS (M+H)+、FN:FAB-MS (M-H)-、ESI:ESI-MS (M+H)+、ESIN:ESI-MS (M-H)-)、NMR:核磁気共鳴スペクトル(DMSO-d6, TMS内部標準)のδ値。
【0039】
参考例1
ジメドンのクロロホルム溶液に炭酸セシウムを加え、2-ブロモ-1-(3-メトキシフェニル)エタノンを加えた。室温にて5時間撹拌後、固体を濾取し、クロロホルムにて洗浄した。これに水を加え、6 M 塩酸にて酸性とした後、生じた固体を濾取、乾燥することにより、5,5-ジメチル-2-[2-(3-メトキシフェニル)-2-オキソエチル]シクロヘキサン-1,3-ジオンを得た。F: 289。
参考例2〜21
実施例1と同様の方法にて後記表に示す参考例2〜21の化合物を製造した。
参考例22
シクロヘキサノンのベンゼン溶液にピロリジン及びp-トルエンスルホン酸・1水和物を加え、生じる水を除きながら終夜加熱還流した。反応液を減圧下濃縮後、トルエンに溶解し、加熱しながら2-ブロモ-1-(4-シアノフェニル)エタノンのトルエン溶液を滴下し、更に加熱還流することにより、2-[2-(4-シアノフェニル)-2-オキソエチル]シクロヘキサノンを得た。F: 242。
参考例23〜28
実施例2と同様の方法にて後記表に示す参考例23〜28の化合物を製造した。
【0040】
参考例29
2-フルオロニトロベンゼンのジメチルスルホキシド溶液に4-アミノ-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミドと炭酸カリウムを加え、90℃で4時間および110℃で2時間撹拌した。溶媒を留去し、水を加えた後に1 M 塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣にエタノールを加えて不溶物を濾去し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[(2-ニトロフェニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド(F: 400)を得た。本化合物の水−エタノール溶液に塩化アンモニウムと還元鉄を加え、30分間加熱還流した。不溶物を濾去し、濾液を濃縮後、得られた残渣をエタノールから再結晶することにより、4-[(2-アミノフェニル)アミノ]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミドを得た。F: 370。
【0041】
実施例1
5,5-ジメチル-2-[2-(4-メトキシフェニル)-2-オキソエチル]シクロヘキサン-1,3-ジオン (0.58 g)、4-アミノ-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (0.56 g) 及びp-トルエンスルホン酸・一水和物 (0.08 g)にトルエン (10 ml) 及び DMF (2 ml)を加え、3日間加熱還流後、反応液を室温へと放冷し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 100:0→50:1) にて精製し、得られた固体をエタノールより再結晶することにより、4-{6,6-ジメチル-2-(4-メトキシフェニル)-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル}-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (90 mg) を白色固体として得た。
実施例2〜61
実施例1と同様の方法にて後記表に示す実施例2〜61の化合物を製造した。
実施例62
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2'-(4-メトキシフェニル)-6',7'-ジヒドロスピロ[1,3-ジオキソラン-2,5'-インドール]-1'(4'H)-イル]ベンゼンスルホンアミドを酢酸 (130 ml) に溶解し、水 (30 ml) を加えた。反応液を15分間加熱還流し、室温まで放冷した。溶媒を減圧下留去し、残渣をエタノールとジエチルエーテルの混合溶媒より再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-5-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (21.4 g) を白色固体として得た。
実施例63
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-5-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (0.25 g) のエタノール溶液に水素化ホウ素ナトリウム (0.05 g) を加え、室温にて5時間撹拌した。反応液に水を加え、1 M 塩酸にて酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、溶媒を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 100 : 1) にて精製し、得られた固体をジエチルエーテルにて洗浄することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[5-ヒドロキシ-2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (102 mg) を得た。
【0042】
実施例64
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (500 mg) のテトラヒドロフラン (5 ml) 溶液に氷浴中、水素化ホウ素ナトリウム (80 mg) を加え、ボロントリフルオリドエチルエーテルコンプレックス (0.37 ml) を滴下し、室温で 1時間撹拌した。反応溶液に氷浴下、冷5% 塩酸 2.1 ml を滴下し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、エタノールで再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (117 mg) を無色結晶として得た。
【0043】
実施例65
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (0.40 g) のキシレン (20 ml) 溶液に10%パラジウム炭素 (0.50g) を加え、2日間還流下撹拌した。不溶物を濾去後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム) にて精製し、得られた固体をエタノールより再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (205 mg) を無色結晶として得た。
実施例66〜67
実施例1と同様の方法にて後記表に示す実施例66〜67の化合物を製造した。
【0044】
実施例68
4-[(2-アミノフェニル)アミノ]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (425 mg) のピリジン (2 ml) 溶液に4-アニソイルクロリド (235 mg) を加え、120℃で終夜撹拌した。溶媒を留去し、0.5 M 塩酸を加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、N-{2-[4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)アミノ]フェニル}-4-メトキシベンズアミドとN-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミドの混合物 (699 mg) を得た。この混合物 (691 mg) の酢酸 (7 ml) 溶液を110℃で3日間撹拌した。溶媒を留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣 (586 mg) のエタノール (6 ml) 溶液に4 M 塩化水素−酢酸エチル溶液 (0.31 ml) を加えて室温で撹拌した。溶媒を留去し、エタノール−ジエチルエーテルから再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド 塩酸塩 (149 mg) を淡黄色結晶として得た。
実施例69
tert-ブチル 1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-2-(4-メトキシフェニル)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-5-カルボキシレート (6.03 g) の酢酸エチル溶液に、4 M 塩化水素−酢酸エチル溶液 (50 ml) を加え、室温にて10分間撹拌した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をエタノールにて結晶化し、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド 塩酸塩 (3.90 g) を淡灰色固体として得た。
実施例70
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド 塩酸塩 (0.50 g) のDMF (10 ml) 溶液にベンズアルデヒド (0.20 g)、酢酸 (0.10 g) 及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム (0.42 g) を加え、室温にて一晩撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 100:0→50:1) にて精製した後、得られた酢酸塩を中和後、エタノールに溶解し、4 M 塩化水素−酢酸エチル溶液を加え減圧下濃縮し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、4-[5-ベンジル-2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド 塩酸塩 (450 mg) を無色結晶として得た。
【0045】
実施例71
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド 塩酸塩 (0.10 g) のDMF (2 ml) 溶液に4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン (24 mg) 及び無水コハク酸 (30 mg) を加え、室温にて4時間撹拌した後、更に4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン (5 mg) 及び無水コハク酸 (10 mg) を加え、室温にて一晩撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水洗後、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた固体を酢酸エチルとジエチルエーテルの混合溶媒より再結晶することにより、4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-2-(4-メトキシフェニル)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-5-イル]-4-オキソブタン酸 (82 mg) を無色結晶として得た。
実施例72〜73
後記実施例87と同様の方法にて後記表に示す実施例72の化合物を、後記実施例124と同様の方法にて後記表に示す実施例73の化合物を、各々製造した。
実施例74
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (1.51 g) のエタノール (110 ml) 溶液にヒドロキシルアミン 塩酸塩 (990 mg) を加え、85℃で終夜撹拌した。さらにヒドロキシルアミン 塩酸塩 (1 g) を加え、85℃で5時間撹拌した。溶媒を留去し、氷浴中 4 M 塩酸を加えて中和し、析出した結晶を濾取した後、水、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)により精製し、エタノールから再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[(4Z)-4-(ヒドロキシイミノ)-2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド(74-(2))(55 mg) を無色結晶として得た。また、濾液を留去し、エタノールにて再結晶することによりN-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[(4E)-4-(ヒドロキシイミノ)-2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド(74-(1)) (65 mg) を無色結晶として得た。
実施例75〜76
実施例1と同様の方法にて後記表に示す実施例75〜76の化合物を製造した。
【0046】
実施例77
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (300 mg) の DMF (3 ml) 溶液に氷浴中、55%水素化ナトリウム (27 mg) を加え、5℃で 10 分撹拌した。ヨードメタン (39 μl) を加え、5℃で 30分間撹拌した後、さらに室温にて2時間撹拌した。溶媒を留去し、水を加え、クロロホルム−テトラヒドロフランで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、4-[2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(1,4,6-トリメチルピリミジン-2(1H)-イリデン)ベンゼンスルホンアミド(77-(1)) 250 mg とN-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-メチルベンゼンスルホンアミド(77-(2)) 10 mg を得た。
化合物77-(1)をエタノール (7 ml) にて再結晶することにより、4-[2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(1,4,6-トリメチルピリミジン-2(1H)-イリデン)ベンゼンスルホンアミド (217 mg) を無色結晶として得た。化合物77-(2)をエタノールにて結晶化することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-メチルベンゼンスルホンアミド (3 mg) を淡黄色結晶として得た。
実施例78〜81
実施例77と同様の方法にて後記表に示す実施例78〜81の化合物を製造した。
実施例82
4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル]安息香酸エチル (10.4 g) のエタノール (90 ml) とTHF (90 ml) の混合溶液に 1 M 水酸化ナトリウム水溶液 (27 ml) を加え、室温で3時間撹拌した。1 M 水酸化ナトリウム水溶液 (85 ml) を数回に分けて加え、室温で5時間撹拌した。氷浴中 1 M 塩酸にて中和し、析出した結晶を濾取した後、水、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥して、4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル]安息香酸 (7.93 g) を粗結晶として得た。この化合物 (0.48 g) を熱エタノール (60 ml) で洗浄することにより、4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル]安息香酸 (459 mg) を淡黄色結晶として得た。
実施例83〜86
実施例82と同様の方法にて後記表に示す実施例83〜86の化合物を製造した。
【0047】
実施例87
4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル]安息香酸 (300 mg) のDMF (3 ml) 溶液に 1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩 (116 mg) と 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール (82 mg) と炭酸アンモニウム (47 mg) を加え、室温で3日間撹拌した。溶媒を留去し、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、エタノール−アセトニトリルにて再結晶することにより、4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル]ベンズアミド (159 mg) を無色結晶として得た。
実施例88〜95
実施例87と同様の方法にて後記表に示す実施例88〜95の化合物を製造した。
実施例96
4-{6,6-ジメチル-2-[4-(メチルスルファニル)フェニル]-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル}-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (892 mg) の塩化メチレン (8 ml) 溶液を室温にて撹拌し、オキソン (1.00 g) 及び塩基性アルミナ (500 mg) を加えた。室温にて1.5時間撹拌後、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 93:7) にて精製し、酢酸エチルから再結晶することにより、4-{6,6-ジメチル-2-[4-(メチルスルフィニル)フェニル]-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル}-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (619 mg) を白色固体として得た。
実施例97
4-{6,6-ジメチル-2-[4-(メチルスルファニル)フェニル]-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル}-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (425 mg) のクロロホルム (2 ml) 溶液を室温にて撹拌し、オキソン (1.43 g) 及び塩基性アルミナ (770 mg) を加えた。18時間加熱還流後、オキソン (500 mg) 及び塩基性アルミナ (600 mg) を追加した。更に7時間撹拌後、反応液を濾過し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をエタノールより2度の再結晶を行うことにより、4-{6,6-ジメチル-2-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル}-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (159 mg) を白色固体として得た。
【0048】
実施例98
4-[6,6-ジメチル-2-(4-ニトロフェニル)-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (1.28 g) にエタノール (30 ml) 及び DMF (15 ml) を加え、10%パラジウム炭素 (0.20 g) を加え、室温にて撹拌した。反応液に4 M 塩化水素−酢酸エチル溶液を加え、得られたアミンを溶解させた後に触媒を濾去した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルム−2-プロパノールの混合溶媒にて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 50:1) にて精製し、4-[2-(4-アミノフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (1.28 g) を得た。本化合物 (0.28 g) をエタノールより再結晶することにより、4-[2-(4-アミノフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (116 mg) を黄色粉状物質として得た。
実施例99
実施例98と同様の方法にて後記表に示す実施例99の化合物を製造した。
実施例100
4-[2-(4-ベンジルオキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (549 mg) とペンタメチルベンゼン (814 mg) の混合物にトリフルオロ酢酸 (10 ml) を加えた。室温にて終夜撹拌し、溶媒を減圧下留去した後に、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 95:5) にて精製した。得られた固体を2-プロパノールより再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-ヒドロキシフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (151 mg) を白色固体として得た。
実施例101〜102
実施例100と同様の方法にて後記表に示す実施例101〜102の化合物を製造した。
【0049】
実施例103
4-[2-(4-ブロモフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (330 mg)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル (74 mg)、ナトリウムtert-ブトキシド (135 mg) 及びトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(II) (13 mg) のジメトキシエタン (1.6 ml) 溶液に、モルホリン (75 μl) 及び DMF (0.5 ml) を加えた。80℃にて4.5時間撹拌後、クロロホルムで希釈し、塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン = 4:1) にて精製し、得られた固体をエタノール−酢酸エチルより再結晶することにより、4-[6,6-ジメチル-2-(4-モルホリン-4-イルフェニル)-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (59 mg) を得た。
実施例104〜105
実施例69と同様の方法にて後記表に示す実施例104の化合物を、実施例70と同様の方法にて後記表に示す実施例105の化合物を、各々製造した。
実施例106
4-(6,6-ジメチル-4-オキソ-2-ピペリジン-4-イル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル)-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (118 mg) のピリジン (2 ml) 溶液にクロロギ酸エチル (25 μl) を加え、室温にて1.5時間撹拌した後、更にクロロギ酸エチル (25 μl) を加え、室温にて一晩撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 50:1) にて精製し、酢酸エチル−ジエチルエーテルより結晶化することにより、4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル]ピペリジン-1-カルボン酸エチル (49 mg) を得た。
実施例107〜110
実施例106と同様の方法にて後記表に示す実施例107〜108の化合物を、実施例71と同様の方法にて後記表に示す実施例109〜110の化合物を、各々製造した。
【0050】
実施例111
4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル]安息香酸 (500 mg)、リン酸カリウム (195 mg)、次亜リン酸ナトリウム水和物 (147 mg) の脱水テトラヒドロフラン (10 ml) 溶液に 酢酸パラジウム (6 mg) とトリシクロヘキシルホスフィン (18 mg) の脱水テトラヒドロフラン (2 ml) 溶液を加え、ピバル酸無水物 (0.47 ml) と水 (0.1 ml) を加えて60℃で終夜攪拌した。沈殿物を濾去し、テトラヒドロフラン、メタノールで洗浄した。濾液を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、ジエチルエーテル−ヘキサンで結晶化することによりN-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-ホルミルフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (36 mg) を淡黄色結晶として得た。
実施例112
実施例63と同様の方法にて後記表に示す実施例112の化合物を製造した。
実施例113
4-[1-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-2-イル]-N-メトキシ-N-メチルベンズアミド (416 mg) のテトラヒドロフラン (4 ml) 溶液に氷冷下、1 M 臭化メチルマグネシウム−テトラヒドロフラン溶液 (1.42 ml) を滴下し、5℃で2時間、室温で1.5時間撹拌した。さらに氷冷下、1 M 臭化メチルマグネシウム−テトラヒドロフラン溶液 (0.8 ml) を滴下し、5℃から室温に昇温しながら4時間攪拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液と水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、エタノールから再結晶することにより、4-[2-(4-アセチルフェニル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (83 mg) を淡黄色結晶として得た。
実施例114〜122
実施例113と同様の方法にて後記表に示す実施例114の化合物を、実施例62と同様の方法にて後記表に示す実施例115〜122の化合物を、各々製造した。
【0051】
実施例123
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-5-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (511 mg) を1,2-ジクロロエタンに懸濁させ、酢酸 (120 μl) を加えて溶解させた。続いて1,1-ジメチルアミノエチレンジアミン、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム (432 mg) を加えた。室温にて13時間撹拌後、水および飽和重曹水を加えて反応を停止した。反応液をクロロホルムで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して得られた固体をアセトニトリルとエタノールの混合溶媒より再結晶し、続いてフマル酸を加えてエタノールより再結晶をすることにより、4-[5-{[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}-2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド フマル酸塩 (156 mg) を白色固体として得た。
実施例124
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-5-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (553 mg) 及び4-ヒドロキシピペリジン (222 mg) のメタノール (3 ml) 懸濁液に、シアン化水素化ホウ素ナトリウム (70 mg) 及び酢酸 (300 μl) を加えた。室温にて7時間撹拌後、1N 水酸化ナトリウム水溶液を滴下して反応液を中和し、クロロホルムとイソプロパノールの混合溶媒 (3:1) で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール:28% アンモニア水 = 100:15:1) にて精製し、フマル酸を加え、メタノールと酢酸エチルの混合溶媒より再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[5-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-2-(4-メトキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インドール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド フマル酸塩 (128 mg) を白色固体として得た。
実施例125〜148
実施例124と同様の方法にて後記表に示す実施例125〜148の化合物を、実施例1と同様の方法にて後記表に示す実施例149〜150の化合物を、各々製造した。
【0052】
実施例151
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピロール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (495 mg) のアセトニトリル (4 ml) 溶液に40%ホルムアルデヒド水溶液 (83 mg)、1-メチルピペラジン (110 mg)、酢酸 (1 ml) の混合溶液を滴下し、室温で終夜撹拌した。水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチル-テトラヒドロフランで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製し、エタノールで結晶化してN-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-{2-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-1H-ピロール-1-イル}ベンゼンスルホンアミド (151-(1)) (158 mg) 及びN-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-{5-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-1H-ピロール-1-イル}ベンゼンスルホンアミド (151-(2)) (117 mg) を得た。化合物151-(1) (158 mg) のメタノール (15 ml) とTHF (30 ml) の混合溶液にフマル酸 (65 mg) を加え室温で15分間撹拌した。溶媒を留去し、エタノール (3 ml) で再結晶して、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-{2-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-1H-ピロール-1-イル}ベンゼンスルホンアミド 2フマル酸塩 (140 mg) を無色結晶として得た。化合物151-(2) (117 mg) のメタノール (10 ml) と THF (18 ml) の混合溶液にフマル酸 (48 mg) を加えて室温で20分間撹拌した。溶媒を留去し、エタノール (13 ml) で結晶化して、熱メタノールで洗浄することによりN-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-{5-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-1H-ピロール-1-イル}ベンゼンスルホンアミド フマル酸塩 (77 mg) を淡黄色結晶として得た。
実施例152〜153
実施例1と同様の方法にて後記表に示す実施例152の化合物を、実施例87と同様の方法にて後記表に示す実施例153の化合物を、各々製造した。
【0053】
実施例154
4-アニスアルデヒド (1.36 g) 及び4-アミノ-N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド (2.78 g) のトルエン (25 ml) 及び DMF (10 ml) 溶液を一晩加熱還流し、反応液を減圧下濃縮した。残渣をメタノール (30 ml) 及び ジメトキシエタン (30 ml) に溶解し、p-トルエンスルホニルメチル イソシアニド (2.92 g) 及び炭酸カリウム (2.76 g) を加え、還流下一晩撹拌した。放冷後反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール:28% アンモニア水 = 100:10:1) にて精製し、エタノールに溶解し、4 M 塩化水素−酢酸エチル溶液を加え、エタノール−ジエチルエーテルより再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[5-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド 塩酸塩 (265 mg) を無色結晶として得た。
実施例155
N-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル) アミノ]スルホニル}フェニル)-4-メトキシベンズアミド (1.00 g) のトルエン (120 ml) 懸濁液に五塩化リン (600 mg) を加え、1.5時間加熱還流した後、トルエン (50 ml) 及び五塩化リン (180 mg) を加え、更に5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧下留去した。残渣にTHF (50 ml) を加え、0℃にて2,2-ジエトキシエチルアミン (1.05 g) のTHF (15 ml) 溶液を加え、室温にて5日間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール= 97:3) にて精製し、N-(2,2-ジエトキシエチル)-N'-(4-{[(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ]スルホニル}フェニル)-4-メトキシベンゼンカルボキシミダミド (593 mg) を得た。これにトルエン (35 ml) 及び DMF (5 ml) 及びp-トルエンスルホン酸 一水和物 (427 mg) を加え、2時間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール:28% アンモニア水 = 100:15:1) にて精製し、エタノールから再結晶することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[2-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド p-トルエンスルホン酸塩 (190 mg) を淡褐色粉状物質として得た。
実施例156
ヒドラジン (0.42 g)、ジケトン (0.28 g) にエタノール (5 ml)−水 (2.5 ml) 及び酢酸ナトリウム (70 mg) を加え、還流下撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 100:0→50:1) にて精製し、ジエチルエーテルにて結晶化することにより、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)-4-[5-(4-メトキシフェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (207 mg) を無色結晶として得た。
【0054】
参考例2〜28の化合物及び実施例1〜156の化合物の構造及び物理化学的データを表1〜20に示す。また、表21に本発明の別の化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や実施例に記載の方法及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより、容易に合成することができる。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
【表7】

【0062】
【表8】

【0063】
【表9】

【0064】
【表10】

【0065】
【表11】

【0066】
【表12】

【0067】
【表13】

【0068】
【表14】

【0069】
【表15】

【0070】
【表16】

【0071】
【表17】

【0072】
【表18】

【0073】
【表19】

【0074】
【表20】

【0075】
【表21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示されるアゾール置換スルホニルベンゼン誘導体又はその塩。
【化1】

(式中の記号は以下の意味を有する。
R1:H、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロ環基、
X:N又はC(R6)、
Y:N又はC(R7)、
Z:N又はC(R8)、
R6、R7及びR8:同一又は互いに異なって、H、-CO-低級アルキル、ハロゲン、-OH、-O-低級アルキル、置換されていてもよい低級アルキル、或いは、隣接する2つの基が一体となって、低級アルキレン、-NR9-で中断された低級アルキレン又は1,3-ブタジエニレン基を形成し、各々、それらが結合する炭素原子とともに、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル又はフェニル基を形成してもよい、ここで、当該シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル及びフェニル基は、1乃至3個の置換基を有していてもよい、
R9:H、低級アルキル、-CO-低級アルキル、-CO2-低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル又は置換されていてもよいヘテロ環、ここに、低級アルキルは、-OH、-O-低級アルキル、-CO2H、-CO2-低級アルキル、NH2、NH(低級アルキル)及びN(低級アルキル)2、及びフェニルからなる群より選択される1個の基で置換されていてもよい、
R2:同一又は互いに異なって、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、-OH又は-O-低級アルキル、
m:0、1又は2、
R3:-OH、-O-置換されていてもよいフェニル、又は下記式(i)〜(iii)からなる群より選択される基、
【化2】

R4:H又は低級アルキル、
R5:H、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル又は置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロ環、及び、
Het:置換されていてもよい含窒素ヘテロ環。)

【公開番号】特開2006−290791(P2006−290791A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113369(P2005−113369)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】