説明

ウェハ供給装置およびチップボンディング装置

【課題】省スペース性、チップ搭載性に優れたウェハ供給装置、および当該ウェハ供給装置を備えたチップボンディング装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ウェハ供給装置5は、ウェハ搬送パレット50を備えている。ウェハ搬送パレット50には、ウェハシート61が搭載されている。ウェハシート61には、分割された複数のチップ620からなるウェハ62が貼り付けられている。ウェハ搬送パレット50における、ウェハシート61の搭載位置以外の部分には、廃棄されるチップ620を置く廃棄部品置場500が区画されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップをチップボンディング装置に供給するウェハ供給装置、およびチップボンディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハ供給装置は、例えばダイボンディング装置やフリップチップボンディング装置などの、チップボンディング装置に組み込まれている。ウェハ供給装置は、チップボンディング装置にチップを供給している。
【0003】
例えば、特許文献1に示すように、ウェハ供給装置は、ウェハ搬送パレットを備えている。ウェハ搬送パレットには、ウェハグリップリングが載置されている。ウェハグリップリングには、水平方向に伸張された状態で、ウェハシートが配置されている。ウェハシートには、ウェハが貼り付けられている。ウェハは、多数のチップからなる。多数のチップは、円形状のウェハが格子状に裁断されることにより、形成されている。多数のチップには、各々、集積回路が形成されている。集積回路形成後のチップには、集積回路の性能をチェックするために、ウェハテストが実行される。ウェハテストの結果は、チップ毎に、つまりウェハにおける座標毎に、マッピングデータとして記録される。すなわち、マッピングデータには、チップの座標と対応付けられた状態で、チップのグレードが記録されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−129949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、チップは、吸着ノズルに吸着された状態で、回路基板まで搬送される。搬送途中に、チップはカメラにより撮像される。撮像データの画像処理の結果によっては、チップを回路基板に装着することができない場合がある。このような場合は、一旦、吸着ノズルで吸着したチップを、回路基板に装着せずに、廃棄する必要がある。この点、特許文献1のウェハ供給装置は、NGコンベアを備えている。このため、廃棄対象であるチップを、NGコンベアにより、機外に排出することができる。しかしながら、NGコンベアを配置すると、その分、ウェハ供給装置、延いてはチップボンディング装置が大型化してしまう。
【0006】
ここで、複数のウェハ搬送パレットのうち一つを、廃棄対象のチップ専用の廃棄パレットとして、割り当てることも考えられる。ところが、この場合、ウェハ供給装置のチップ搭載数が少なくなる。
【0007】
本発明のウェハ供給装置およびチップボンディング装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、省スペース性、チップ搭載性に優れたウェハ供給装置、および当該ウェハ供給装置を備えたチップボンディング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明のウェハ供給装置は、分割された複数のチップからなるウェハが貼り付けられたウェハシートが搭載され、該ウェハシートの搭載位置以外の部分に廃棄される該チップを置く廃棄部品置場が区画されたウェハ搬送パレットを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のウェハ供給装置によると、ウェハ搬送パレットに廃棄部品置場が確保されている。このため、別途、NGコンベアなどのチップ排出装置を配置する必要がない。したがって、ウェハ供給装置、延いてはチップボンディング装置が大型化しにくい。このように、本発明のウェハ供給装置は省スペース性に優れている。
【0010】
また、本発明のウェハ供給装置によると、ウェハ搬送パレットを廃棄パレットとして用いる必要がない。このため、ウェハ供給装置のチップ搭載数が少なくなりにくい。このように、本発明のウェハ供給装置はチップ搭載性に優れている。
【0011】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記ウェハ搬送パレットは、さらに、前記廃棄部品置場に敷設され、廃棄される前記チップが載置される軟質粘着シートを備える構成とする方がよい。
【0012】
ここで、「軟質粘着シート」とは、例えば、ゴム状、ゲル状など柔軟で、ウェハ搬送パレットが移動してもチップがずれない程度の粘着性を有するシートをいう。チップの肉厚は非常に薄い。このため、チップには、「割れ」や「欠け」などの不具合が発生しやすい。この点、本構成によると、チップは軟質粘着シートに載置されている。このため、チップに不具合が発生しにくい。
【0013】
(1−2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記ウェハ搬送パレットは長方形状であって、前記ウェハは円形状である構成とする方がよい。一例として、ウェハ搬送パレットが電子部品実装機の部品搬送パレットと兼用である場合、ウェハ搬送パレットは長方形状である場合が多い。一方、ウェハは、円柱状のインゴットから作製される場合が多い。このため、ウェハは、円形状である場合が多い。このような場合、ウェハ搬送パレットにデッドスペースが発生しやすい。このため、ウェハ搬送パレットに廃棄部品置場を確保しやすい。
【0014】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記廃棄部品置場は、廃棄される前記チップの種類に応じて、複数のエリアに区分けされる構成とする方がよい。従来、廃棄対象のチップは、再利用されていなかった。しかしながら、廃棄対象のチップであっても、チップの状態によっては、再利用できる場合がある。ここで、チップのグレードは、前述したように、マッピングデータに記録されている。このため、ウェハシートに貼り付けられた状態であれば、チップの座標から、チップのグレードを判別することができる。ところが、一旦機外に排出されたチップの場合、ウェハシート上の座標は不明である。このため、作業者は、当該チップのグレードを判別できない。したがって、チップの再利用が困難である。
【0015】
この点、本構成によると、例えばグレードなど、チップの種類に応じて、廃棄部品置場が複数のエリアに区分けされている。このため、ウェハシート上の座標が不明であっても、廃棄後のチップの種類を判別しやすい。したがって、チップを再利用しやすい。
【0016】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、さらに、複数の前記ウェハ搬送パレットが収容されるパレット収容マガジンと、該パレット収容マガジンを移動させ所望の該ウェハ搬送パレットを所定の搬出位置まで移動させるマガジン駆動装置と、該搬出位置から該ウェハ搬送パレットを搬出するパレット搬送コンベアと、を備える構成とする方がよい。
【0017】
本構成によると、パレット収容マガジンに多数のウェハ搬送パレットを収容することができる。つまり、多数のチップを収容することができる。このように、本構成のウェハ供給装置はチップ搭載性に優れている。
【0018】
(4)また、上記課題を解決するため、本発明のチップボンディング装置は、上記(3)のウェハ供給装置と、前記パレット搬送コンベア上の前記ウェハ搬送パレットから前記チップを吸着し移動する吸着ノズルと、該吸着ノズルに吸着された該チップを撮像するカメラと、該カメラに撮像された該チップの画像から該チップの状態を判別し、該チップが不良品の場合、該吸着ノズルに該チップを前記廃棄部品置場まで搬送させる制御装置と、を備えることを特徴とする。本発明のチップボンディング装置によると、チップが不良品である場合、自動的に当該チップを廃棄部品置場に置くことができる。このため、チップの廃棄作業が容易である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、省スペース性、チップ搭載性に優れたウェハ供給装置、および当該ウェハ供給装置を備えたチップボンディング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のチップボンディング装置の一実施形態であるチップボンディング装置の斜視図である。
【図2】同チップボンディング装置の上面図である。
【図3】同チップボンディング装置の右側面図である。
【図4】図3の枠IV内の拡大図である。
【図5】ウェハ搬送パレットの斜視図である。
【図6】同チップボンディング装置の、チップ吸着時の右側面拡大図である。
【図7】同チップボンディング装置の、チップ撮像時の右側面拡大図である。
【図8】同チップボンディング装置の、チップ廃棄時の右側面拡大図である。
【図9】チップを寸法毎に分別する場合のウェハ搬送パレットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のチップボンディング装置の実施の形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明のウェハ供給装置の実施の形態に関する説明を、兼ねるものである。
【0022】
<チップボンディング装置の構成>
まず、本実施形態のチップボンディング装置の構成について説明する。図1に、チップボンディング装置の斜視図を示す。図2に、同チップボンディング装置の上面図を示す。図3に、同チップボンディング装置の右側面図を示す。図1、図3においては、モジュール3のハウジングを透過して示す。図2においては、モジュール3のハウジングを削除して示す。また、Y方向スライダ310、Y方向ガイドレール312、X方向ガイドレール313を一点鎖線で示す。図1〜図3に示すように、チップボンディング装置1は、ベース2と、モジュール3と、デバイステーブル4と、ウェハ供給装置5と、制御装置(図略)と、を備えている。
【0023】
[ベース2、モジュール3]
ベース2は、工場の床面Fに配置されている。モジュール3は、ベース2の上面に配置されている。モジュール3は、基板搬送装置30と、XYロボット31と、装着ヘッド32と、カメラ34と、を備えている。
【0024】
(基板搬送装置30)
基板搬送装置30は、固定壁300と、前方可動壁301fと、後方可動壁301rと、第一バックアップテーブル302fと、第二バックアップテーブル302rと、左右一対のガイドレール303L、303Rと、第一搬送コンベア304fと、第二搬送コンベア304rと、基部305とを、備えている。
【0025】
基部305は、長方形板状を呈している。基部305は、ベース2の上面に配置されている。左右一対のガイドレール303L、303Rは、各々、前後方向に延在している。左右一対のガイドレール303L、303Rは、基部305の上面の左縁および右縁に、離間して配置されている。
【0026】
固定壁300は、基部305の上面前縁に立設されている。固定壁300は、下方に開口するC字板状を呈している。固定壁300のC字両端は、左右一対のガイドレール303L、303Rの前端に連なっている。
【0027】
前方可動壁301f、後方可動壁301rは、各々、固定壁300の後方に配置されている。前方可動壁301f、後方可動壁301rは、各々、下方に開口するC字板状を呈している。前方可動壁301fのC字両端、後方可動壁301rのC字両端は、各々、左右一対のガイドレール303L、303Rに、前後方向に摺動可能に取り付けられている。固定壁300と前方可動壁301fとの間には、第一レーンL1が区画されている。前方可動壁301fと後方可動壁301rとの間には、第二レーンL2が区画されている。
【0028】
このように、前方可動壁301f、後方可動壁301rは、前後方向(固定壁300に対して、近接−離間する方向)に移動可能である。このため、第一レーンL1の搬送幅、第二レーンL2の搬送幅は、各々、拡縮可能である。
【0029】
第一搬送コンベア304f、第二搬送コンベア304rは、各々、前後一対のコンベアベルトを備えている。合計四つのコンベアベルトは、各々、左右方向に延在している。第一搬送コンベア304fの前方のコンベアベルトは固定壁300の後面に、後方のコンベアベルトは前方可動壁301fの前面に、第二搬送コンベア304rの前方のコンベアベルトは前方可動壁301fの後面に、後方のコンベアベルトは後方可動壁301rの前面に、各々配置されている。第一搬送コンベア304fには第一回路基板B1が、第二搬送コンベア304rには第二回路基板B2が、各々架設されている。第一回路基板B1は第一レーンL1を、第二回路基板B2は第二レーンL2を、各々左から右に向かって搬送される。
【0030】
第一バックアップテーブル302f、第二バックアップテーブル302rは、各々長方形板状を呈している。第一バックアップテーブル302fは第一回路基板B1の下方に、第二バックアップテーブル302rは第二回路基板B2の下方に、各々配置されている。第一バックアップテーブル302f、第二バックアップテーブル302rは、各々昇降可能である。第一バックアップテーブル302f、第二バックアップテーブル302rの上面には、各々多数のバックアップピンが配置されている。第一回路基板B1は第一バックアップテーブル302fの多数のバックアップピンにより、第二回路基板B2は第二バックアップテーブル302rの多数のバックアップピンにより、各々下方から支持される。
【0031】
(XYロボット31)
X方向は左右方向に対応している。Y方向は前後方向に対応している。XYロボット31は、Y方向スライダ310と、X方向スライダ311と、左右一対のY方向ガイドレール312と、上下一対のX方向ガイドレール313と、を備えている。
【0032】
左右一対のY方向ガイドレール312は、モジュール3のハウジング内部空間の上面に配置されている。左右一対のY方向ガイドレール312は、各々、前後方向に延在している。Y方向スライダ310は、左右方向に長いブロック状を呈している。Y方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に、前後方向に摺動可能に取り付けられている。
【0033】
上下一対のX方向ガイドレール313は、Y方向スライダ310の前面に配置されている。X方向スライダ311は、長方形板状を呈している。X方向スライダ311は、上下一対のX方向ガイドレール313に、左右方向に摺動可能に取り付けられている。
【0034】
(装着ヘッド32、カメラ34)
装着ヘッド32は、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、装着ヘッド32は、XYロボット31により、前後左右方向に移動可能である。また、装着ヘッド32は、X方向スライダ311に対して、下方に摺動可能である。装着ヘッド32の下面からは、円筒状のホルダ(図略)が突設されている。ホルダは、軸回りに回転可能である。ホルダには、吸着ノズル320が取り付けられている。吸着ノズル320には、配管(図略)を介して、負圧、または正圧が供給される。カメラ34は、固定壁300の前方に配置されている。カメラ34は、吸着ノズル320が吸着した電子部品を撮像するために用いられる。
【0035】
[デバイステーブル4、ウェハ供給装置5]
デバイステーブル4は、モジュール3の前面に装着されている。ウェハ供給装置5は、デバイステーブル4の上面に取り付けられている。図4に、図3の枠IV内の拡大図を示す。図1〜図4に示すように、ウェハ供給装置5は、多数のウェハ搬送パレット50と、パレット収容マガジン51と、マガジン駆動装置52と、パレット搬送コンベア53と、ハウジング54と、左右一対のアーム55L、55Rと、を備えている。
【0036】
(ハウジング54、パレット収容マガジン51)
ハウジング54は、上下方向に長い、直方体箱状を呈している。ハウジング54は、台車9の上面に搭載されている。ハウジング54の後壁(ウェハ搬送パレット50を搬出する方向の壁)には、パレット搬出口540が開設されている。パレット搬出口540は、左右方向に長い、スリット状を呈している。ハウジング54の左壁右面と右壁左面とには、各々、ガイドレール541が配置されている。左右一対のガイドレール541は、各々、上下方向(パレット収容マガジン51の移動方向)に延在している。
【0037】
パレット収容マガジン51は、角筒状を呈している。すなわち、パレット収容マガジン51には、前壁と後壁とが配置されていない。パレット収容マガジン51は、ハウジング54の内部に収容されている。パレット収容マガジン51の左壁右面と右壁左面とには、各々、多数のガイドリブ510が配置されている。ガイドリブ510は、前後方向(ウェハ搬送パレット50の移動方向)に延在している。多数のガイドリブ510は、上下方向(ウェハ搬送パレット50の積層方向)に並んで配置されている。左壁のガイドリブ510と右壁のガイドリブ510とは、同じ高度で対向して配置されている。左右一対のガイドリブ510間には、ウェハ搬送パレット50が架設されている。すなわち、パレット収容マガジン51には、多数のガイドリブ510の上下方向間隔だけ離間して、多数のウェハ搬送パレット50が、上下方向に積層された状態で収容されている。ウェハ搬送パレット50は、左右一対のガイドリブ510を、前後方向に摺動可能である。ウェハ搬送パレット50の構成については、後で詳しく説明する。パレット収容マガジン51の左壁左面と右壁右面とには、各々、被ガイド凹部(図略)が形成されている。左右一対の被ガイド凹部は、各々、上下方向に延在している。被ガイド凹部は、ガイドレール541に摺接している。
【0038】
(マガジン駆動装置52)
マガジン駆動装置52は、モータ520と、ボールねじ機構部521と、を備えている。モータ520は、ハウジング54の底壁上面に配置されている。ボールねじ機構部521は、シャフト521aとナット(図略)とを備えている。シャフト521aは、モータ520の駆動軸に連結されている。シャフト521aは、上下方向に延在している。シャフト521aは、自身の軸回りに回転可能である。ナットは、パレット収容マガジン51の左壁左面に、回転可能に取り付けられている。ナットは、シャフト521aの外周面に環装されている。ナットとシャフト521aとは、多数のボールを介して、噛合している。このため、ナットは、シャフト521aに対して、上下方向に移動可能である。したがって、モータ520の駆動力によりシャフト521aが自身の軸回りに回転すると、被ガイド凹部がガイドレール541に摺接しながら、ナットつまりパレット収容マガジン51が上下方向に移動する。なお、パレット搬出口540の高度に対応する位置が、本発明の「搬出位置」に相当する。
【0039】
(アーム55L、55R、パレット搬送コンベア53)
左右一対のアーム55L、55Rは、ハウジング54の後壁後面から、後方に向かって突設されている。左右一対のアーム55L、55Rは、パレット搬出口540の左右両側に配置されている。
【0040】
パレット搬送コンベア53は、左部530と右部とを備えている。左部530の構成と右部の構成とは、同様である。左部530の部品配置と右部の部品配置とは、左右対称である。よって、以下、左部530についてのみ説明し、当該説明をもって右部の説明を兼ねるものとする。左部530は、コンベアベルト531と、四つの従動ローラ532と、駆動ローラ533と、モータ534と、を備えている。コンベアベルト531は、環状を呈している。コンベアベルト531は、四つの従動ローラ532および駆動ローラ533に、巻き架けられている。コンベアベルト531の上側部分は、前後方向に延在している。モータ534の駆動軸は、駆動ローラ533に連結されている。搬出対象のウェハ搬送パレット50は、左右一対のコンベアベルト531間に架設される。モータ534の駆動力により、ウェハ搬送パレット50は、前後方向に移動可能である。
【0041】
(ウェハ搬送パレット50、制御装置)
図5に、ウェハ搬送パレットの斜視図を示す。図5に示すように、ウェハ搬送パレット50は、長方形板状を呈している。ウェハ搬送パレット50の上面には、ウェハグリップリング60が載置されている。ウェハグリップリング60には、水平方向に伸張された状態で、ウェハシート61が配置されている。ウェハシート61には、ウェハ62が貼り付けられている。ウェハ62は、多数の個片状のチップ620からなる。多数のチップ620は、円形状のウェハ62が格子状に裁断されることにより、形成されている。多数のチップ620には、各々、集積回路(図略)が形成されている。
【0042】
ウェハ搬送パレット50の上面のうち、ウェハグリップリング60が載置されている部分の前方には、長方形状の廃棄部品置場500が区画されている。廃棄部品置場500には、ジェル状シート501が敷設されている。廃棄部品置場500は、左側から右側に向かって、第一エリア500aと、第二エリア500bと、第三エリア500cと、を備えている。三つのエリアは、チップ620のグレードに対応している。
【0043】
制御装置は、演算部と記憶部とを備えている。集積回路形成後のチップ620には、集積回路の性能をチェックするために、ウェハテストが実行される。ウェハテストの結果は、チップ620毎に、つまりウェハ62における水平方向の座標毎に、マッピングデータとして記憶部に格納される。すなわち、記憶部のマッピングデータには、チップ620の座標と対応付けられた状態で、チップ620のグレードが記録されている。また、記憶部には、チップ620のグレードと各エリアとが対応付けられた状態で、格納されている。具体的には、粗悪品は第一エリア500aに、中間品は第二エリア500bに、良品は第三エリア500cに、対応付けられている。
【0044】
<チップボンディング装置の動き>
次に、本実施形態のチップボンディング装置1の動きについて説明する。図6に、チップボンディング装置の、チップ吸着時の右側面拡大図を示す。図7に、同チップボンディング装置の、チップ撮像時の右側面拡大図を示す。図8に、同チップボンディング装置の、チップ廃棄時の右側面拡大図を示す。なお、図6〜図8は、図3の枠IV(つまり図4)に対応している。
【0045】
図1、図2に示すように、吸着ノズル320つまり装着ヘッド32は、X方向スライダ311に対して、下方に移動可能である。X方向スライダ311は、上下一対のX方向ガイドレール313に対して、左右方向に移動可能である。上下一対のX方向ガイドレール313が取り付けられているY方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に対して、前後方向に移動可能である。このため、装着ヘッド32は、前後左右上下方向に移動可能である。
【0046】
回路基板生産時においては、まず、ウェハ供給装置5から所望のチップ620が搭載された、ウェハ搬送パレット50を搬出する。具体的には、図4に示すように、まず、マガジン駆動装置52により、パレット収容マガジン51を上下方向に移動させる。そして、所望のウェハ搬送パレット50を、パレット搬出口540の高度に対応する位置、つまり搬出位置に持ってくる。次に、図示しないロボットにより、ウェハ搬送パレット50を、パレット搬出口540を介して、パレット収容マガジン51から取り出す。続いて、取り出したウェハ搬送パレット50を、左右一対のコンベアベルト531に乗せる。それから、図6に示すように、コンベアベルト531を駆動し、ウェハ搬送パレット50をモジュール3のハウジング内まで移動させる。そして、装着ヘッド32を駆動し、吸着ノズル320でチップ620を吸着する。続いて、図7に示すように、吸着ノズル320で吸着したチップ620を、カメラ34の真上(カメラ34の撮像可能エリア)に持ってくる。それから、カメラ34により、チップ620を撮像する。そして、画像処理装置(図略)により、撮像データを画像処理する。
【0047】
画像処理の結果、チップ620に問題がなければ、図2、図3に示すように、吸着ノズル320により、チップ620を第一回路基板B1、または第二回路基板B2に装着する。これに対して、画像処理の結果、チップ620に問題がある場合は、図8に示すように、吸着ノズル320により、チップ620を廃棄部品置場500に廃棄する。この際、チップ620のグレードにより、第一エリア500a、第二エリア500b、第三エリア500cのいずれかが選択される。
【0048】
<作用効果>
次に、本実施形態のチップボンディング装置1の作用効果について説明する。本実施形態のチップボンディング装置1のウェハ供給装置5によると、ウェハ搬送パレット50に廃棄部品置場500が確保されている。このため、別途、NGコンベアなどのチップ排出装置を配置する必要がない。したがって、ウェハ供給装置5、延いてはチップボンディング装置1が大型化しにくい。このように、ウェハ供給装置5は省スペース性に優れている。
【0049】
また、本実施形態のウェハ供給装置5によると、ウェハ搬送パレット50を廃棄パレットとして用いる必要がない。このため、ウェハ供給装置5のチップ搭載数が少なくなりにくい。このように、ウェハ供給装置5はチップ搭載性に優れている。
【0050】
また、本実施形態のウェハ供給装置5によると、ウェハ搬送パレット50の廃棄部品置場500に、ジェル状シート501が敷設されている。このため、チップ620に「割れ」や「欠け」などの不具合が発生しにくい。
【0051】
また、本実施形態のウェハ供給装置5によると、ウェハ搬送パレット50は長方形状である。また、ウェハ62は円形状である。このため、ウェハ搬送パレット50にデッドスペースが発生しやすい。したがって、ウェハ搬送パレット50に廃棄部品置場500を確保しやすい。
【0052】
また、本実施形態のウェハ供給装置5によると、廃棄部品置場500が、チップ620のグレードに応じて、第一エリア500a、第二エリア500b、第三エリア500cの三つに区分けされている。すなわち、廃棄対象のチップ620は、グレードに応じて、第一エリア500a、第二エリア500b、第三エリア500cのいずれかに、分別して置かれている。このため、作業者は、ウェハシート61上の座標が不明であっても、廃棄後のチップ620のグレードを判別しやすい。したがって、チップ620を再利用しやすい。
【0053】
また、本実施形態のウェハ供給装置5によると、パレット収容マガジン51に多数のウェハ搬送パレット50を収容することができる。つまり、多数のチップ620を収容することができる。この点においても、本実施形態のウェハ供給装置5はチップ搭載性に優れている。
【0054】
また、本実施形態のチップボンディング装置1によると、チップ620が不良品である場合、自動的にチップ620を廃棄部品置場500に置くことができる。このため、チップ620の廃棄作業が容易である。
【0055】
<その他>
以上、本発明のウェハ供給装置およびチップボンディング装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0056】
上記実施形態においては、廃棄部品置場500において、同一の集積回路を有するチップ620を、グレード毎に分別した。グレードの種類は特に限定しない。例えば、発光ダイオードの場合、輝度クラスをグレードとしてもよい。また、グレード毎ではなく、チップ620の寸法毎に分別してもよい。図9に、チップを寸法毎に分別する場合のウェハ搬送パレットの斜視図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。図9に示すように、廃棄部品置場500の第一エリア500aには、当該ウェハ搬送パレット50に搭載されたチップ620の不良品が配置されている。しかしながら、第二エリア500bにはチップ630の不良品が、第三エリア500cにはチップ640の不良品が、それぞれ配置されている。チップ630、640は、別のウェハ搬送パレット50に搭載されている。このように、チップ620、630、640を、寸法毎に分別してもよい。
【0057】
また、全てのウェハ搬送パレット50に、共通の廃棄部品置場500を設置してもよい。すなわち、回路基板の生産時においては、ダウンタイムを短くするため、前のチップ620を画像処理している間に、次のチップ620を用意している。つまり、前のチップ620が搭載されたウェハ搬送パレット50をパレット収容マガジン51に戻し、次のチップ620が搭載されたウェハ搬送パレット50をパレット収容マガジン51から搬出している。このため、画像処理の結果、チップ620が不良品であると判別されても、当該チップ620が搭載されていたウェハ搬送パレット50が、既にパレット収容マガジン51に収容されている場合がある。この場合、収容済みのウェハ搬送パレット50を再度パレット収容マガジン51から搬出すると、ダウンタイムが却って長くなってしまう。この点、全てのウェハ搬送パレット50に共通の廃棄部品置場500を設置すると、全てのウェハ搬送パレット50において廃棄部品置場500のレイアウトが共通であるため、収容済みのウェハ搬送パレット50を再度パレット収容マガジン51から搬出する必要がない。このため、ダウンタイムが長くなりにくい。
【0058】
また、ウェハ搬送パレット50における、廃棄部品置場500の位置は特に限定しない。例えば、ウェハ搬送パレット50のコーナー部に廃棄部品置場500を配置してもよい。すなわち、ウェハ搬送パレット50が長方形状であり、ウェハグリップリング60が円形状であるため、コーナー部(四隅)には不可避的にデッドスペースができる。当該デッドスペースを利用して、廃棄部品置場500を配置してもよい。
【0059】
記憶部に格納されるマッピングデータの内容は特に限定しない。例えば、ウェハ62毎の識別子であるウェハ識別子、ウェハ62の大きさを示すウェハサイズ、チップ620、630、640の大きさを示すチップサイズ(X、Y)、隣接するチップ620、630、640間の間隔を示すチップ間隔(X、Y)、ウェハ62上の基準座標(X、Y)、チップ620、630、640毎のウェハ62上の座標(X、Y)、チップ620、630、640毎のチップ情報(チップ良否(グレード含む)、チップ620、630、640の有無、リファレンスチップ識別など)が含まれていてもよい。
【0060】
チップボンディング装置1の種類は特に限定しない。ダイボンディング装置、フリップチップボンディング装置であってもよい。ウェハ供給装置5は、電子部品実装機の部品供給装置と兼用でもよい。また、ウェハ搬送パレット50は、当該部品供給装置の部品搬送パレットと兼用でもよい。こうすると、チップボンディング専用機を配置する場合と比較して、ウェハ供給装置5、ウェハ搬送パレット50の汎用性が高い。
【符号の説明】
【0061】
1:チップボンディング装置、2:ベース、3:モジュール、4:デバイステーブル、5:ウェハ供給装置、9:台車。
30:基板搬送装置、31:ロボット、32:装着ヘッド、34:カメラ、50:ウェハ搬送パレット、51:パレット収容マガジン、52:マガジン駆動装置、53:パレット搬送コンベア、54:ハウジング、55L:アーム、55R:アーム、60:ウェハグリップリング、61:ウェハシート、62:ウェハ。
300:固定壁、301f:前方可動壁、301r:後方可動壁、302f:第一バックアップテーブル、302r:第二バックアップテーブル、303L:ガイドレール、303R:ガイドレール、304f:第一搬送コンベア、304r:第二搬送コンベア、305:基部、310:Y方向スライダ、311:X方向スライダ、312:Y方向ガイドレール、313:X方向ガイドレール、320:吸着ノズル、500:廃棄部品置場、500a:第一エリア、500b:第二エリア、500c:第三エリア、501:ジェル状シート、510:ガイドリブ、520:モータ、521:ボールねじ機構部、521a:シャフト、530:左部、531:コンベアベルト、532:従動ローラ、533:駆動ローラ、534:モータ、540:パレット搬出口、541:ガイドレール、620:チップ、630:チップ、640:チップ。
B1:第一回路基板、B2:第二回路基板、F:床面、L1:第一レーン、L2:第二レーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割された複数のチップからなるウェハが貼り付けられたウェハシートが搭載され、該ウェハシートの搭載位置以外の部分に廃棄される該チップを置く廃棄部品置場が区画されたウェハ搬送パレットを備えるウェハ供給装置。
【請求項2】
前記廃棄部品置場は、廃棄される前記チップの種類に応じて、複数のエリアに区分けされる請求項1に記載のウェハ供給装置。
【請求項3】
さらに、複数の前記ウェハ搬送パレットが収容されるパレット収容マガジンと、該パレット収容マガジンを移動させ所望の該ウェハ搬送パレットを所定の搬出位置まで移動させるマガジン駆動装置と、該搬出位置から該ウェハ搬送パレットを搬出するパレット搬送コンベアと、を備える請求項1または請求項2に記載のウェハ供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載のウェハ供給装置と、
前記パレット搬送コンベア上の前記ウェハ搬送パレットから前記チップを吸着し移動する吸着ノズルと、
該吸着ノズルに吸着された該チップを撮像するカメラと、
該カメラに撮像された該チップの画像から該チップの状態を判別し、該チップが不良品の場合、該吸着ノズルに該チップを前記廃棄部品置場まで搬送させる制御装置と、
を備えるチップボンディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−43930(P2012−43930A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183014(P2010−183014)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】