説明

エッチング方法および記憶媒体

【課題】フッ素添加カーボン膜をダメージを生じさせずにかつ良好な加工形状でエッチングすることができるエッチング方法を提供すること。
【解決手段】基板上に形成されたフッ素添加カーボン膜をプラズマによりエッチングするエッチング方法は、酸素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第1段階と、フッ素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第2段階とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板等の基板上に形成されたフッ素添加カーボン膜をプラズマによりエッチングするエッチング方法およびその方法を実行するためのプログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高集積化を図るための手法の一つとして配線を多層化する技術があり、多層配線構造をとるためには、隣接する配線層間を導電層で接続し、導電層以外の領域は層間絶縁膜により絶縁する必要がある。このような層間絶縁膜として従来からSiO膜が多用されていたが、近時、半導体デバイスの微細化および高速化の観点から配線間の容量を低下させるために、層間絶縁膜の低誘電率化が指向されている。
【0003】
このような低誘電率の層間絶縁膜として、炭素(C)およびフッ素(F)の化合物であるフッ素添加カーボン膜(フロロカーボン膜;CFx膜)が注目されている。フッ素添加カーボン膜は、SiO膜の比誘電率が4付近であるのに対して、原料ガスの種類を選定することにより比誘電率を2.5以下にすることができ、低誘電率層間絶縁膜として極めて有効である。最近では、原料ガスの選定や高密度で低電子温度のプラズマを発生させるCVD装置の開発により良質な膜が得られつつあり、実用化可能な段階に達している。
【0004】
一方、フッ素添加カーボン膜をエッチングする方法としては、水素ガスおよび窒素ガスをプラズマ化し、そのプラズマによりエッチングする方法が知られている(非特許文献1)。しかし、この方法を採用すると、エッチングされたフッ素添加カーボン膜の側壁部に水素が入り込み、この水素が膜中のフッ素と結合してフッ化水素を生成し、膜にダメージを与えてしまう。また、エッチングされた凹部内には、次工程でバリアメタル膜が形成されるかメタルが埋め込まれるが、フッ化水素が生成されると、バリアメタル膜あるいはメタルを腐食してダメージを与え、その結果これら膜との密着性が悪くなる。
【0005】
このような問題点解決する技術として、フッ素添加カーボン膜をCFガスのようなC(x、yは自然数)ガスを含む処理ガスのプラズマによりエッチングする技術が提案されている(特許文献1)。これにより、フッ素添加カーボン膜へのダメージの少ないエッチングを行うことができる。
【0006】
しかしながら、フッ素添加カーボン膜をCFガス等のC含有ガスでエッチングすると、エッチングマスクとして用いられるSiNやSiCN等のハードマスク層に対するエッチング選択比が低く、加工形状が十分ではないという問題点がある。
【非特許文献1】Materials Research Society ConferenceProceedings、Volume V−14、Advanced Metallization Conference in 1998
【特許文献1】特開2005−123406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、フッ素添加カーボン膜をダメージを生じさせずにかつ良好な加工形状でエッチングすることができるエッチング方法を提供することを目的とする。
また、そのような方法を実行するプログラムが記憶された記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、基板上に形成されたフッ素添加カーボン膜をプラズマによりエッチングするエッチング方法であって、酸素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第1段階と、フッ素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第2段階とを有することを特徴とするエッチング方法を提供する。
【0009】
本発明の第2の観点では、半導体基板上にフッ素添加カーボン膜、ハードマスク層およびレジスト膜がこの順に積層された構造体をエッチングするエッチング方法であって、前記レジスト膜をマスクとして前記ハードマスク層をプラズマによりエッチングする工程と、前記レジスト膜をプラズマにより除去する工程と、前記ハードマスク層をマスクとして前記フッ素添加カーボン膜をプラズマによりエッチングする工程とを有し、前記フッ素添加カーボン膜のエッチングは、酸素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第1段階と、フッ素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第2段階とを有することを特徴とするエッチング方法を提供する。
【0010】
上記第2の観点において、前記ハードマスク層はSi系材料からなり、前記ハードマスク層のエッチングに際し、CxFy(x、yは自然数)ガスを含む処理ガスのプラズマを用いることができる。また、前記ハードマスク層を途中までエッチングした後、前記レジスト膜を除去し、引き続きハードマスクをエッチングして前記フッ素添加カーボン膜を露出させるようにすることができる。
【0011】
本発明の第3の観点では、半導体基板上に銅配線層およびフッ素添加カーボン膜が順次形成された構造体のフッ素添加カーボン膜をエッチングするエッチング方法であって、エッチングマスクを介して前記フッ素添加カーボン膜に第1のエッチングを施す工程と、前記第1のエッチングを行った後、フッ素添加カーボン膜上にシリコン系塗布膜を形成してエッチング部分を埋める工程と、前記シリコン系塗布膜の上にエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを介して前記フッ素添加カーボン膜に第2のエッチングを施す工程と、前記シリコン系塗布膜を除去する工程とを有し、これにより、前記フッ素添加カーボン膜にトレンチおよび前記銅配線層に対応する位置に達するホールを形成し、前記第1および第2のエッチングは、酸素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第1段階と、フッ素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第2段階とを有することを特徴とするエッチング方法を提供する。
【0012】
上記第3の観点において、前記シリコン系塗布膜を形成するに先立って、前記第1のエッチングを行った後のフッ素添加カーボン膜の表面に、前記シリコン系塗布膜との間の濡れ性を改善してこれらの間の密着性を良好にするための濡れ性改善表面改質剤を塗布する工程を実施してもよい。この場合に、前記濡れ性改善表面改質剤としてアセトンを用いることができる。
【0013】
また、上記第3の観点において、トレンチおよびホールが形成された後、フッ素添加カーボン膜の内壁表面に、その表面を改質してフッ素の脱離量を抑制するためのフッ素脱離抑制表面改質剤を塗布する工程を実施してもよい。この場合に、前記フッ素脱離抑制表面改質剤としてエタノールまたはメタノールを用いることができる。
【0014】
さらに、上記第3の観点において、トレンチおよびホールが形成され、前記銅配線層が露出した後、前記銅配線層の表面にアンモニア水を塗布して前記銅配線層の表面の自然酸化膜を除去する工程を実施してもよい。この場合に、前記アンモニア水のアンモニア濃度は0.25〜5質量%であることが好ましく、前記アンモニア水の温度は0〜30℃であることが好ましい。
【0015】
さらにまた、上記第3の観点において、前記第1のエッチングによりトレンチを形成し、前記第2のエッチングによりホールを形成するようにすることができる。
【0016】
上記第1から第3の観点において、前記フッ素添加カーボン膜のエッチングの第1段階に用いられる酸素を含む処理ガスとして、Oガスを含む処理ガスを用いることができる。前記Oガスを含む処理ガスは、Oガス単独、またはOガスおよび希ガスからなるものを用いることができる。前記フッ素添加カーボン膜のエッチングの第1段階は、13.3Pa(100mTorr)以下の圧力で行われることが好ましい。
【0017】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングの第2段階に用いられるフッ素を含む処理ガスとしては、C(x、yは自然数)ガスを含むものとすることができる。この場合に、フッ素を含む処理ガスとしては、C(x、yは自然数)ガス単独、またはC(x、yは自然数)ガスおよび希ガスからなるものとすることができる。また、前記C(x、yは自然数)ガスは、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、CガスおよびCガスの少なくとも1種からなるものとすることができる。
【0018】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングは、前記第1段階と前記第2段階との間で大気開放せず(基板を大気に曝さず)に行うことが好ましい。この場合に、前記第1段階と前記第2段階とは同一の処理容器内で行ってもよいし、前記第1段階と前記第2段階とは異なる処理容器内で行い、これら処理容器間で基板を大気開放せずに搬送するようにしてもよい。
【0019】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングは、容量結合型のプラズマにより行ってもよいし、複数のスロットを有する平面アンテナから放射されたマイクロ波により形成されたプラズマにより行ってもよい。
【0020】
本発明の第4の観点では、コンピュータ上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記制御プログラムは、実行時に、上記第1から第3の観点のエッチング方法が行われるように、コンピュータに前記プラズマ処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、フッ素添加カーボン膜を、酸素を含む処理ガス、典型的にはOガスを含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第1段階と、フッ素を含む処理ガス、典型的にはC(x、yは自然数)ガスを含む処理ガスのプラズマによりエッチングする第2段階とによりエッチングするので、第1段階では、酸素を含む処理ガスによりマスクに対する選択性の高いエッチングを行って形状を良好にすることができ、この第1段階のエッチングによりエッチング面に残存する酸素を第2段階のエッチングの際に除去することができるので、エッチング後の表面性状を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係るエッチング方法を実施することができるプラズマ処理装置の一例を示す断面図である。このプラズマ処理装置は、上下に対向して設けられた一対の平行平板電極により容量結合形プラズマを形成するタイプのものである。
【0023】
図1に概略構成を示すように、このプラズマ処理装置10は、略円筒状に形成された処理チャンバ11を具備し、その底部には、絶縁板13を介して、サセプタ支持台14が配置され、その上に、サセプタ15が配置されている。サセプタ15は下部電極を兼ねたものであり、その上面に静電チャック20を介してウエハWが載置されるようになっている。符号16はハイパスフィルタ(HPF)である。
【0024】
サセプタ支持台14の内部には、所定温度の冷却媒体が循環する冷媒室17が設けられ、これによりサセプタ15が所望の温度に調整される。冷媒室17には導入管18および排出管19が接続されている。そして、冷媒を循環させることによってサセプタ15上の半導体ウエハWの処理温度を制御することができるようになっている。
【0025】
静電チャック20は絶縁材21の間に電極22が配置された構造となっており、電極22に直流電源23から直流電圧が印加されることによって、ウエハWが静電チャック20上に静電吸着される。ウエハWの裏面にはガス通路24を介してHeガスからなる伝熱ガスが供給され、その伝熱ガスを介してウエハWが所定温度に温度調節される。サセプタ15の上端周縁部には、静電チャック20上に載置されたウエハWの周囲を囲むように、エッチングの均一性を向上させるための、環状のフォーカスリング25が配置されている。
【0026】
サセプタ15の上方には、サセプタ15と対向して、絶縁材32を介して処理チャンバ11の内部に支持された状態で上部電極31が設けられている。上部電極31は、多数の吐出口33を有する電極板34と、この電極板34を支持する電極支持体35とから構成されており、シャワー状をなしている。
【0027】
電極支持体35の中央には、ガス導入口36が設けられ、そこにガス供給管37が接続されている。ガス供給管37は、プラズマ処理のための処理ガスを供給する処理ガス供給部40に接続されている。処理ガス供給部40には、処理ガスとしてOガス、Cガス、例えばCFガス、Nガス、希ガス、例えばArガスを供給する処理ガス供給源が設けられており、これらの処理ガスが所定の流量流量で処理チャンバ11内に供給可能となっている。
【0028】
処理チャンバ11の底部には、排気管41が接続され、この排気管41には排気装置45が接続されている。排気装置45はターボ分子ポンプ等の真空ポンプおよび圧力制御バルブ等を備えており、処理チャンバ11内を所定の減圧雰囲気に設定可能となっている。処理チャンバ11の側壁部分には、ゲートバルブ42が設けられている。
【0029】
上部電極31には、第1の整合器51を介してプラズマ生成用の高周波電力を供給する第1の高周波電源50が接続されている。この第1の高周波電源50の周波数としては27〜100MHz程度の範囲が用いられる。また、上部電極31にはローパスフィルタ(LPF)52が接続されている。下部電極としてのサセプタ15には、第2の整合器61を介してプラズマ中のイオンを引き込むための第2の高周波電源60が接続されている。第2の高周波電源60の周波数としては、例えば300kHz〜13.56MHzの範囲が用いられる。
【0030】
このプラズマ処理装置10は、各構成部を制御するマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ70を有しており、各構成部がこのプロセスコントローラ70に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ70には、オペレータがプラズマ処理装置10を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース71が接続されている。
【0031】
また、プロセスコントローラ70には、プラズマ処理装置10で実行される各種処理をプロセスコントローラ70の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じてプラズマ処理装置10の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわちレシピが格納された記憶部72が接続されている。レシピは記憶部72の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0032】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース71からの指示等にて任意のレシピを記憶部72から呼び出してプロセスコントローラ70に実行させることで、プロセスコントローラ70の制御下で、プラズマ処理装置10での所望の処理が行われる。
【0033】
次に、このようなプラズマ処理装置において、実施される本実施形態のプラズマエッチング方法について図2のフローチャートおよび図3の工程断面図を参照して説明する。
【0034】
まず、図3の(a)に示すような、シリコン基板300上に例えばSiCNからなるエッチングストッパ層301を例えば10nmの厚さで形成し、その上にフッ素添加カーボン膜(CF膜)302を例えば270nmの厚さで形成し、その上にSi含有材料、例えばSiCNからなるハードマスク層303を例えば30nmの厚さで形成し、その上に例えばKrFレジストからなるレジスト膜304を例えば400nmの厚さで形成し、このレジスト膜304をフォトリソグラフィ工程によりパターン形成した半導体ウエハWを準備する(ステップ1)。
【0035】
次いで、このような構造の半導体ウエハを図1のプラズマ処理装置10に搬入し、サセプタ15上に載置する(ステップ2)。そして、図3の(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程の現像処理により残存した現像残渣305をデスカム処理する(ステップ3)。この処理は、処理ガスとして例えばArガスおよびOガスを用い、これらを例えばそれぞれ135mL/min(sccm)および65mL/min(sccm)流して、処理チャンバ11内の圧力を1.33Pa(10mTorr)程度にし、印加する高周波電力を例えば、上部電極:500W、下部電極:200Wとして行う。
【0036】
このようなデスカム処理の後、図3の(c)に示すように、レジスト膜304をエッチングマスクとしてハードマスク層303を途中までエッチングする(ステップ4)。この処理は、処理ガスとして例えばNガスおよびCFガスを用い、これらを例えばそれぞれ20〜200 mL/min(sccm)、例えば30mL/minおよび60〜200mL/min、例えば90mL/min(sccm)流して、処理チャンバ11内を1.33〜13.3Pa(10〜100mTorr)、例えば6Pa(45mTorr)とし、印加する高周波電力を上部電極:0.8〜1.8W/cm、例えば1.6W/cm、下部電極:0.18〜0.45W/cm、例えば0.22W/cmとして行う。
【0037】
そして、図3の(d)に示すように、ハードマスク層303の厚さが元の膜厚の1/5〜1/3程度になったときに、ハードマスク層303のエッチングを一旦停止し、処理ガスをOガスに切り替えてレジスト膜104をアッシングにより除去する(ステップ5)。このアッシング処理は、Oガスの流量を100〜500mL/min(sccm)、例えば300mL/min(sccm)流して、処理チャンバ11内を 0.67〜6.7Pa(5〜50mTorr)、例えば1.3Pa(10mTorr)とし、印加する高周波電力を上部電極:0.3〜1.8 W/cm、例えば0.37W/cm、下部電極:0.04〜0.4W/cm、例えば0.14W/cmとして行う。
【0038】
このようにしてアッシングによりレジスト膜304を除去後、図3の(e)に示すように、ステップ4と同様の条件でハードマスク層303のエッチングを再開してハードマスク層303を貫通させ、CF膜302を露出させる(ステップ6)。
【0039】
次に、図3の(f)に示すように、ハードマスク層303をエッチングマスクとしてCF膜302の第1段階のエッチングを行う(ステップ7)。この処理は、処理ガスとして酸素を含むガス、典型的にはOガスを含むガスにより行う。Oガス単独であってもよいが、安定したプラズマを形成する観点からはArガス等を添加することが好ましい。この場合に、Oガスの流量を40〜150mL/min(sccm)、例えば65mL/min(sccm)、Arガスを80〜300mL/min(sccm)、例えば135mL/min(sccm)とし、処理チャンバ11内を13.3Pa(100mTorr)以下の低圧条件、好ましくは6.7Pa(50mTorr)以下、例えば1.3Pa(10mTorr)とし、印加する高周波電力を上部電極:0.4〜1.7W/cm、例えば0.62W/cm、下部電極:0.2〜0.55W/cm例えば0.4W/cmとし、ラジカルの少ない条件で行う。このように、第1段階のエッチングを酸素を含むガス、典型的にはOを含むガスにより行うことにより、Si含有材料からなるハードマスク層303に対する選択比を高め、エッチング形状を良好とすることができる。上記特開2005−123406号公報に開示されたCガスによるエッチングでは、この種の技術で通常用いられるSiCN、SiN等のSi含有ハードマスク層に対して十分な選択比がとれず、形状性が十分ではなかったが、このように酸素を含むガスによるエッチングにより十分な形状性を得ることができる。
【0040】
しかし、この第1段階のエッチングは酸素を含むガスで行うため、そのままでは、エッチング面に酸素が残存し、次にメタル層を形成する場合に酸化する懸念がある。そこで、酸素を含むガスで第1段階のエッチングを行った後、図3の(g)に示すように、フッ素を含むガス、典型的には、C(x、yは自然数)で表されるガスを含むガスにより第2段階のエッチングを行う(ステップ8)。この場合に、Cガス単独であってもよいが、これにさらに希ガス、例えばArガスを加えてもよい。この第2段階のエッチングは、第1段階のエッチングが終了した後に酸素が残存した表面部分を除去する程度に極薄い厚さでエッチングを行えばよい。Cで表されるガスとしては、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、CガスおよびCガスを例示することができる。この際のエッチング条件としては、フッ素を含むガスであるC(x、yは自然数)ガスとして、例えばCFガスを、100〜400mL/min(sccm)、例えば100mL/min(sccm)の流量で供給し、処理チャンバ11内を0.67〜5.3Pa(5〜40mTorr)、例えば1.3Pa(10mTorr)とし、印加する高周波電力を上部電極:0.4〜0.9W/cm、例えば0.62W/cmとし、下部電極へのバイアスは、0〜20W/cm、好ましくはダメージを防止する観点では印加せずに行う。処理ガスとしては、さらにArガス等の希ガスを希釈ガスとして含んでもよい。
【0041】
以上のような工程により、CFx膜302のエッチングが終了する。このように、CFx膜302のエッチングを酸素を含むガスを用いた第1段階と、フッ素を含むガスを用いた第2段階の2段階で行うことにより、第1段階でマスクに対する選択性が高く形状性が良好な低ダメージのエッチングを行い、第2段階で、酸素含有ガスによってエッチング面に残存する酸素の多い極薄い部分をフッ素を含むガスにより除去するので、表面性状を良好にすることができる。このため、良好な形状性と表面性状を兼備したCFx膜のエッチングを実現することができる。
【0042】
なお、これらの処理において、サセプタ15の温度は、10〜30℃にすることが好ましく、電極間ギャップは30〜60mm程度であることが好ましい。
【0043】
以上の例においては、一連の工程を同一処理チャンバで行ったが、一または複数の工程を他の処理チャンバで行うようにしてもよい。これにより、ガスの切り替えやパージの回数を減らしてスループットを高めることができる。この場合に、処理チャンバ間の半導体ウエハWの搬送は、真空を破らずに行うことが好ましい。特に、CFx膜302の第1段階のエッチングと第2段階のエッチングは、その必要性が高い。
【0044】
このように、複数の処理チャンバ間で真空を破らずに半導体ウエハWを搬送して処理を行うシステムとして、図4に示すようなクラスターツール型の処理システムが好適である。この処理システム100は、4つの処理ユニット101、102、103、104を備えており、これらの各ユニット101〜104は六角形をなす搬送室105の4つの辺にそれぞれ対応して設けられている。また、搬送室105の他の2つの辺にはそれぞれロードロック室106、107が設けられている。これらロードロック室106、107の搬送室105と反対側には搬入出室108が設けられており、搬入出室108のロードロック室106、107と反対側には半導体基板(半導体ウエハ)Wを収容可能な3つのキャリアCを取り付けるポート109、110、111が設けられている。
【0045】
処理ユニット101〜104、ならびにロードロック室106,107は、同図に示すように、搬送室105の各辺にゲートバルブGを介して接続され、これらは対応するゲートバルブGを開放することにより搬送室105と連通され、対応するゲートバルブGを閉じることにより搬送室105から遮断される。また、ロードロック室106,107の搬入出室108に接続される部分にもゲートバルブGが設けられており、ロードロック室106,107は、対応するゲートバルブGを開放することにより搬入出室108に連通され、対応するゲートバルブGを閉じることにより搬入出室108から遮断される。
【0046】
搬送室105内には、処理ユニット101〜104、ロードロック室106,107に対して、半導体基板Wの搬入出を行うウエハ搬送装置112が設けられている。このウエハ搬送装置112は、ウエハ搬送室105の略中央に配設されており、回転および伸縮可能な回転・伸縮部113の先端にウエハWを保持する2つのブレード114a,114bを有しており、これら2つのブレード114a,114bは互いに反対方向を向くように回転・伸縮部113に取り付けられている。なお、この搬送室5内は所定の真空度に保持されるようになっている。
【0047】
搬入出室108のキャリアC取り付け用の3つのポート109,110、111にはそれぞれ図示しないシャッタが設けられており、これらポート109,110,111にウエハWを収容した、または空のキャリアCが直接取り付けられ、取り付けられた際にシャッタが外れて外気の侵入を防止しつつ搬入出室108と連通するようになっている。また、搬入出室108の側面にはアライメントチャンバ115が設けられており、そこで半導体基板Wのアライメントが行われる。
【0048】
搬入出室108内には、キャリアCに対するウエハWの搬入出およびロードロック室106,107に対する半導体基板Wの搬入出を行う搬送装置116が設けられている。この搬送装置116は、多関節アーム構造を有しており、キャリアCの配列方向に沿ってレール118上を走行可能となっていて、その先端のハンド117上にウエハWを載せてその搬送を行う。
【0049】
この処理システム100は、各構成部、すなわち各処理ユニットや搬送系、ガス供給系等を制御するマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ130を有しており、各構成部がこのプロセスコントローラ130に接続されて制御される構成となっている。プロセスコントローラ130にはユーザーインターフェース131および記憶部132が接続されている。これらプロセスコントローラ130、ユーザーインターフェース131および記憶部132は、上記プロセスコントローラ70、ユーザーインターフェース71および記憶部72と同様に構成される。
【0050】
このような処理システム100においては、処理ユニット101〜104のいずれかで一部の工程を行い、残りの工程を他の1または2以上の処理ユニットで行う。例えば、上記ステップ3のデスカム工程、ステップ4、6のハードマスク膜エッチング工程、ステップ5のアッシング工程を一の処理ユニットで行い、CF膜の第1段階のエッチング工程を他の処理ユニットで行い、第2段階のエッチング工程をさらに他の処理ユニットで行うようにすることができる。この場合に、半導体ウエハWの搬送を真空に保持された搬送室105内の搬送装置112で行うので、一部の処理を異なる処理チャンバで行う場合でも真空を破ることなく半導体ウエハWの搬送を行うことができ、エッチング部分等の不所望の酸化等を防止することができる。
【0051】
次に、フッ素添加カーボン膜を低誘電率層間絶縁膜(Low−k膜)として用い、本発明のエッチング方法をダマシンプロセスに適用した例について説明する。図5はこのような製造プロセスを示すフローチャート、図6は図5のフローを示す工程断面図である。
【0052】
まず、Si基板400上に絶縁膜401が形成され、その中の上部にバリアメタル層402を介してCu配線層403が形成され、絶縁膜401およびCu配線層403の上にストッパ層(例えばSiN膜やSiC膜)404が形成され、さらに、Low−k膜としてのフッ素添加カーボン膜405が形成され、その上にアモルファスカーボン膜406、SiCO膜407、およびフォトレジスト膜408が形成され、フォトレジスト膜408にフォトリソグラフィによりトレンチ形成用のパターンが形成された構造を有するウエハWを準備する(ステップ201、図6(a))。
【0053】
次いで、フォトレジスト膜408をマスクとしてSiCO膜407およびアモルファスカーボン膜406をエッチングし(ステップ202、図6(b))、引き続きSiCO膜407およびアモルファスカーボン膜406をマスクとしてフッ素添加カーボン膜405をエッチングしてトレンチ409を形成する(ステップ203、図6(c))。このときのエッチングは、上述したような酸素含有ガスによる第1段階のエッチングおよびフッ素含有ガスによる第2段階のエッチングの2段階エッチングにより行う。
【0054】
次に、トレンチ409を埋めるように、犠牲膜としてシリコン系塗布膜410をスピン塗布により形成し、平坦化する(ステップ204、図6(d))。このシリコン系塗布膜は、例えば有機系のシリコン含有膜でありSOG(Spin On Glass)として形成される。このようなシリコン系塗布膜410はスピン塗布により形成された後、ベーク処理により焼固められる。
【0055】
ところで、このようなシリコン系塗布膜410を形成するに先立って、下地に密着性を向上させるための塗布剤としてPGMEやPGMEAを塗布することが一般的に行われているが、フッ素添加カーボン膜405は疎水性であるため、このようなPGMEやPGMEAを塗布してもフッ素添加カーボン膜405とシリコン系塗布膜410との間は濡れ性が悪いため、密着性が悪く、図7に示すように、剥離やボイドが発生してしまう。このような剥離やボイドが発生すると、正確な形状でエッチングすることができないという不都合がある。
【0056】
このようなことを防止するためには、図8(a)に示すように、フッ素添加カーボン膜405の表面に、その表面を改質してシリコン系塗布膜410に対する濡れ性を改善して密着性を良好にするための濡れ性改善表面改質剤411を塗布することが好ましい。これにより、図8(b)に示すように、フッ素添加カーボン膜405の表面が改質表面405aとなり、図8(c)に示すように、シリコン系塗布膜410が形成された際に、剥離等のない良好な密着性を有するものとなる。
【0057】
このような濡れ性改善表面改質剤411としては、例えばアセトンを好適に用いることができる。アセトンは、フッ素添加カーボン膜405の表面を適度に荒らしてシリコン系塗布膜410との密着性を良好にすることができる。このような濡れ性改善表面改質剤411としては、アセトンの他に、2−ブタノン等の低級ケトン類 を用いることができる。濡れ性改善表面改質剤411の塗布方法としては、ウエハを回転させながら、ノズルを介してウエハ表面にアセトン等の濡れ性改善表面改質剤411を供給するスピン塗布法が好適であるが、濡れ性改善表面改質剤411を貯留した容器内にウエハを浸漬するようにしてもよい。
【0058】
実際に、このような濡れ性改善表面改質剤411としてのアセトンの効果を確認したところ、アセトンを塗布しない場合には、図9(a)のSEM写真に示すように、フッ素添加カーボン膜とシリコン系塗布膜との間に剥離が生じたのに対し、アセトンを塗布した場合には、図9(b)のSEM写真に示すように、剥離が生じなかった。
【0059】
このようなステップ204のシリコン系塗布膜410の塗布の後、その上にフォトレジスト膜412を形成し、フォトリソグラフィによりビア形成用のパターンを形成する(ステップ205、図6(e))。次いで、フォトレジスト膜412をマスクとしてフッ素添加カーボン膜405をエッチングしてビア413を形成する(ステップ206、図6(f))。このときのエッチングは、上述したような酸素含有ガスによる第1段階のエッチングおよびフッ素含有ガスによる第2段階のエッチングの2段階エッチングにより行う。
【0060】
このビア413のエッチングの後、DHF(例えば1%フッ酸)やBHF等を用いたウエット処理によりシリコン系塗布膜410を除去し、さらにCxFy系ガスを用いたドライエッチングによりストッパ層404のエッチングを行い、Cu配線層403を露出させる(ステップ207、図6(g))。
【0061】
ここで、以上の工程を経たフッ素添加カーボン膜405は、ドライエッチング等によるダメージによってフッ素の脱離量が増加する。フッ素の脱離量が増加すると、その後の熱工程で上層との密着性が低下して剥離したり、その後に形成されるバリアメタル(Ta、TaN、Ti等)が腐食・剥離するおそれがある。
【0062】
このようなことを防止するためには、図10(a)に示すように、フッ素添加カーボン膜405の表面に、その表面を改質してフッ素の脱離量を抑制するためのフッ素脱離抑制表面改質剤415を塗布することが好ましい。これにより、図10(b)に示すように、フッ素添加カーボン膜405の表面が改質表面405bとなり、その後に形成されるバリアメタルの腐食や上層の剥離を有効に防止することができる。
【0063】
このフッ素脱離抑制表面改質剤415は、ドライエッチング等によりダメージを受けたフッ素添加カーボン膜405の表面の遊離フッ素除去および表面の終端を行い、フッ素の脱離を抑制するものであり、揮発性の高い有機溶剤を用いることができ、エタノールやメタノールが好適である。フッ素脱離抑制表面改質剤415の塗布方法としては、ウエハを回転させながら、ノズルを介してウエハ表面にエタノール等のフッ素脱離抑制表面改質剤415を供給するスピン塗布法が好適であるが、フッ素脱離抑制表面改質剤415を貯留した容器内にウエハを浸漬するようにしてもよい。
【0064】
実際に、このようなフッ素脱離抑制表面改質剤415としてのエタノールの効果を把握するために、TDS(Thermal Desorption Spectrometry)によりフッ素の脱ガス量を確認した結果、図11に示すように、エタノールを塗布することにより、フッ素脱離量が減少することが確認された。
【0065】
一方、図6(g)に示す、Cu配線層403の表面が露出した状態で酸素含有雰囲気に曝される場合には、その表面に自然酸化膜が形成される。また、その表面には不純物が取り込まれている場合もある。この状態でビアに金属を埋め込むと、ビアの電気抵抗が高くなり、配線の抵抗が高くなってしまう。
【0066】
従来、自然酸化膜の除去は、DHF(例えば1%フッ酸)やBHF等で行われているが、フッ素添加カーボン膜405にダメージを与え、フッ素の脱離が多くなる傾向にある。また、低ダメージの薬剤も検討されているが、高価であり、成分によっては廃液処理が複雑でコストがかかる。
【0067】
このような不都合を生じさせずに自然酸化膜や不純物を除去するためにはアンモニア水処理が有効であることが見出された。そこで、図6(g)の段階で、図12に示すように、Cu配線層403の表面に自然酸化膜416が形成されている場合に、図13に示すように、Cu配線層403の表面にアンモニア水417を塗布する。アンモニア水はフッ素添加カーボン膜405へのダメージを及ぼすことなく、Cu配線層403の自然酸化膜や不純物を除去することができる。また、アンモニア水は価格も安く、廃液処理も容易である。
【0068】
アンモニア水とCu酸化物との反応は、以下の通りである。
まず、アンモニア水は平衡状態において、以下の(1)式の反応が生じている。
NH+ HO = NH+OH ……(1)
そして、Cu酸化物は、以下の(2)の反応により中間生成物である第1水酸化銅(Cu(OH))となる。
Cu + 2OH = Cu(OH)……(2)
(Cu(OH))は過剰のNHと以下の(3)式のような反応により錯イオンを生じる。
Cu(OH)+4NH → [Cu(NH2++2OH
= [Cu(NH](OH)……(3)
このような錯イオンは水に溶解であり、CuOが溶解している状態となる。
【0069】
アンモニア水のアンモニア濃度は0.25〜5質量%であることが好ましい。この範囲で上記反応が有効に生じてCuの自然酸化膜を除去しやすくなる。また、処理時間は1〜5分程度が好ましい。温度は0〜30℃が好ましい。アンモニア水417の塗布方法としては、ウエハを回転させながら、ノズルを介してウエハ表面にアンモニア水417を供給するスピン塗布法が好適であるが、アンモニア水417を貯留した容器内にウエハを浸漬するようにしてもよい。
【0070】
実際に、このようなアンモニア水処理の効果を確認した。図14は、アンモニア水処理の有無によるTDSの変化を示す図である。この図に示すように、アンモニア水処理によりフッ素の脱離量が低下しており、アンモニア水処理がフッ素添加カーボン膜405にダメージを与えないことが確認された。次に、表面にCu酸化処理した銅板に1%アンモニア水を塗布して4分間放置後、表面の状態を確認した結果、図15(a)の写真に示す状態から図15(b)の写真に示す状態となり、Cu酸化膜が除去されていることが確認された。
【0071】
必要に応じて、以上のような処理を行った後、トレンチ409およびビア413の内壁にバリアメタル膜420を形成し、さらに電解メッキによりトレンチ409およびビア413に配線金属として銅421を埋め込む(ステップ208、図6(h))。その後、ウエハWを熱処理することによってビア413、トレンチ409に埋め込まれた銅421のアニール処理を行い、さらにCMP法による平坦化処理が行われる(ステップ209)。これにより所望の半導体装置が製造される。
【0072】
以上の説明では、ダマシンプロセスに際し、最初にトレンチを形成してからビアを形成した例について示したが(トレンチファースト、ビアラスト)、最初にビアを形成してからトレンチを形成する手法(ビアファースト、トレンチラスト)を用いてもよい。
【0073】
次に、本発明の方法を実施可能な他のプラズマ処理装置について説明する。
図16は、本発明の方法が適用可能な他のプラズマ処理装置を示す断面図である。このプラズマ処理装置200は、複数のスロットを有する平面アンテナであるRLSA(Radial Line Slot Antenna;ラジアルラインスロットアンテナ)にて処理室内にマイクロ波を導入してプラズマを発生させるRLSAマイクロ波プラズマ処理装置として構成されている。
【0074】
プラズマ処理装置200は、気密に構成された略円筒状の接地された処理チャンバ(処理容器)201を有しており、その中で被処理体である半導体ウエハWがエッチングされる。処理チャンバ201の上部には、処理空間にマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入部230が設けられている。
【0075】
処理チャンバ201内には被処理体である半導体ウエハWを水平に支持するためのサセプタ205が、処理チャンバ201の底部中央に絶縁部材204a介して立設された筒状の支持部材204により支持された状態で設けられている。
【0076】
サセプタ205の上面には、静電チャック206が設けられている。この静電チャック206は、導電膜からなる電極207を絶縁体206aの内部に設けた構造を有するものであり、電極207に直流電源208から直流電圧が印加されることによって、ウエハWが静電チャック206上に静電吸着される。
【0077】
静電チャック206(半導体ウエハW)の周囲には、エッチングの均一性を向上させるための、環状のフォーカスリング209が配置されている。
【0078】
サセプタ205の内部には、所定温度の冷却媒体が循環する冷媒室212が設けられ、これによりサセプタ205が所望の温度に調整される。冷媒室212には導入管214aおよび排出管214bが接続されている。そして、冷媒を循環させることによってサセプタ205上の半導体ウエハWの処理温度を制御することができるようになっている。さらに、ウエハWの裏面にはガス通路218を介して伝熱ガス、例えばHeガスが供給され、その伝熱ガスを介してウエハが所定温度に温度調節されるようになっている。
【0079】
また、サセプタ205には、整合器219を介して高周波バイアス電源220が電気的に接続されている。この高周波バイアス電源220からサセプタ205に高周波電力が供給されることにより、ウエハW側にイオンが引き込まれる。高周波バイアス電源220は、例えば300kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数の範囲の高周波電力を出力する。
【0080】
処理チャンバ201の底部には排気管225が接続されており、この排気管225には真空ポンプを含む排気装置226が接続されている。排気装置226はターボ分子ポンプ等の真空ポンプおよび圧力制御バルブ等を備えており、処理チャンバ201内を所定の減圧雰囲気に設定可能となっている。処理チャンバ201の側壁部分には、ゲートバルブ242が設けられている。
【0081】
処理チャンバ201の上部は開口部となっており、この開口部を塞ぐようにマイクロ波導入部230が気密に配置可能となっている。マイクロ波導入部230は、サセプタ205の側から順に、透過板228、平面アンテナ部材231、遅波材233を有している。これらは、シールド部材234、押えリング236およびアッパープレート229によって覆われている。
【0082】
透過板228は、誘電体からなり、マイクロ波を透過し処理チャンバ201内の処理空間に導入するマイクロ波導入窓として機能する。透過板228は、マイクロ波導入部230の外周下方に環状に配備されたアッパープレート229により気密状態で支持されている。
【0083】
平面アンテナ部材231は、円板状をなしており、透過板228の上方位置において、シールド部材234の内周面に係止されている。この平面アンテナ部材231は導体からなり、マイクロ波などの電磁波を放射するための多数のスロット孔232が所定のパターンで貫通して形成され、RLSAを構成している。
【0084】
スロット孔232は、例えば図17に示すように長溝状をなし、典型的には隣接するスロット孔232同士が「T」字状に配置され、これら複数のスロット孔232が同心円状に配置されている。スロット孔232の長さや配列間隔は、遅波材233中のマイクロ波の波長(λg)に応じて決定され、例えばスロット孔232の間隔は、1/2λgまたはλgとなるように配置される。なお、スロット孔232は、円形状、円弧状等の他の形状であってもよく、その配置形態も限定されない。
【0085】
遅波材233は、真空よりも大きい誘電率を有しており、平面アンテナ部材231の上面に設けられている。この遅波材233は誘電体からなり、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短くしてプラズマを調整する機能を有している。
【0086】
シールド部材234には、冷却水流路234aが形成されており、そこに冷却水を通流させることにより、シールド部材234、遅波材233、平面アンテナ231、透過板228を冷却するようになっている。なお、シールド部材234は接地されている。
【0087】
シールド部材234の中央には、開口部234bが形成されており、この開口部234bには導波管237が接続されている。この導波管237の端部には、マッチング回路238を介してマイクロ波発生装置239が接続されている。これにより、マイクロ波発生装置239で発生した、例えば周波数2.45GHzのマイクロ波が導波管237を介して上記平面アンテナ部材231へ伝搬されるようになっている。マイクロ波の周波数としては、8.35GHz、1.98GHz等を用いることもできる。
【0088】
導波管237は、上記シールド部材234の開口部234bから上方へ延出する断面円形状の同軸導波管237aと、この同軸導波管237aの上端部にモード変換器240を介して接続された水平方向に延びる矩形導波管237bとを有している。矩形導波管237bと同軸導波管237aとの間のモード変換器240は、矩形導波管237b内をTEモードで伝播するマイクロ波をTEMモードに変換する機能を有している。同軸導波管237aの中心には内導体241が延在しており、内導体241は、その下端部において平面アンテナ部材231の中心に接続固定されている。これにより、マイクロ波は、同軸導波管237aの内導体241を介して平面アンテナ部材231へ放射状に効率よく均一に伝播される。
【0089】
処理チャンバ201内のサセプタ205とマイクロ波導入部230との間には、処理ガスを導入するためのシャワープレート251が水平に設けられている。このシャワープレート251は、図18にも示すように格子状に形成されたガス流路252と、このガス流路252に形成された多数のガス吐出孔253とを有しており、格子状のガス流路252の間は空間部254となっている。このシャワープレート251のガス流路252には処理チャンバ201の外側に延びるガス供給管255が接続されている。ガス供給管255は、プラズマ処理のための処理ガスを供給する処理ガス供給部260に接続されている。処理ガス供給部260には、処理ガスとしてOガス、Cガス、例えばCFガス、Nガス、希ガス、例えばArガスを供給する処理ガス供給源が設けられており、これらの処理ガスが所定の流量流量で処理チャンバ201内に供給可能となっている。
【0090】
一方、処理チャンバ201のシャワープレート251の上方位置には、リング状のプラズマガス導入部材265がチャンバ壁に沿って設けられており、このプラズマガス導入部材265には内周に多数のガス吐出孔が設けられている。このプラズマガス導入部材265には、プラズマガスとしてのArガスを供給する配管267が接続されている。そして、配管267およびガス導入部材265を介して処理チャンバ201内に導入されたArガスは、マイクロ波導入部230を介して処理チャンバ201内に導入されたマイクロ波によりプラズマ化され、このArプラズマがシャワープレート251の空間部254を通過しシャワープレート251のガス吐出孔253から吐出された処理ガスをプラズマ化する。
【0091】
このプラズマ処理装置200は、各構成部を制御するマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ270を有しており、各構成部がこのプロセスコントローラ270に接続されて制御される構成となっている。プロセスコントローラ270にはユーザーインターフェース271および記憶部272が接続されている。これらプロセスコントローラ270、ユーザーインターフェース271および記憶部272は、第1の実施の形態におけるプロセスコントローラ70、ユーザーインターフェース71および記憶部72と同様に構成される。
【0092】
このように構成されるプラズマ処理装置は、ウエハWを処理チャンバ201内に搬入し、サセプタ205上に載置した後、そして、配管267およびガス導入部材265を介して処理チャンバ201内にArガスを導入しつつ、マイクロ波発生装置239からのマイクロ波を、マッチング回路238を経て導波管237に導き、矩形導波管237b、モード変換器240、および同軸導波管237aを順次通過させて内導体241を介して平面アンテナ部材231に供給し、平面アンテナ部材231のスロットから透過板228を介して処理チャンバ201内に放射させる。マイクロ波は、矩形導波管237b内ではTEモードで伝搬し、このTEモードのマイクロ波はモード変換器240でTEMモードに変換されて、同軸導波管237a内を平面アンテナ部材231に向けて伝搬されていき、平面アンテナ部材231から透過板228を経てマイクロ波が処理チャンバ201に放射され、このマイクロ波によりプラズマ生成ガスであるArガスがプラズマ化する。
【0093】
次いで、処理ガス供給部260から所定の処理ガスを所定流量で供給することにより、シャワープレート251の空間部254を通過してきたArプラズマにより励起されてプラズマ化し、これらプラズマにより所定のプラズマ処理が実施される。
【0094】
この際に形成されるプラズマは、マイクロ波が平面アンテナ部材231の多数のスロット孔232から放射されることにより、略1×1011〜5×1012/cmの高密度で、かつウエハW近傍では、略1.5eV以下の低電子温度プラズマとなる。これにより、よりダメージの少ないエッチングを行うことができる。
【0095】
このようなプラズマ処理装置200によるプラズマ処理は、上記ステップ3〜8のいずれにも対応することができ、上記プラズマ処理装置10の際の条件に準じて処理を行うことができるが、特に、ステップ8のC(x、yは自然数)で表されるガスを含むガス等を用いたCFx膜302の第2段階のエッチングに好適である。この第2段階のエッチングは、第1段階のエッチング後のCFx膜302の表層の極薄い部分を除去するのみであるから、膜へのダメージが小さいことが望まれるが、RLSAマイクロ波プラズマは上述のように高プラズマ密度で低電子温度のプラズマによりダメージの少ないプラズマ処理を達成することができ、このようなエッチングに好適である。
【0096】
次に、本発明のエッチング方法を実際に適用した実験について説明する。
まず、200mmのシリコンウエハを用い、シリコン基板上にエッチングストッパ層としてのSiCN膜を10nmの厚さで形成し、その上にCFx膜を例えば270nmの厚さで形成し、その上にハードマスク層としてのSiCN膜を例えば30nmの厚さで形成し、その上に例えばKrFレジストからなるレジスト膜を400nmの厚さで形成し、このレジスト膜をフォトリソグラフィ工程によりパターン幅200nm程度にパターン形成した図3の(a)に示す構造のウエハについて、図1に示した装置により、まず、現像残渣を除去するデスカム工程を行った。この工程では、ArガスおよびOガスをそれぞれ135mL/min(sccm)および65mL/min(sccm)の流量で流して、処理チャンバ内の圧力を1.33Pa(10mTorr)とし、印加高周波電力を上部電極:500W、下部電極:200Wとし、電極間ギャップを55mmにして10sec間行った。次いで、レジスト膜をエッチングマスクとしてハードマスク層としてのSiCN膜を途中までエッチングした。このエッチングは、NガスおよびCFガスを30mL/minおよび90mL/min(sccm)流して、処理チャンバ内を6Pa(45mTorr)とし、印加高周波電力を上部電極:500W、下部電極:100Wとし、電極間ギャップを60mmにして18sec行い、ハードマスク層を元の膜厚の1/4程度までエッチングした。その後、アッシングによりレジスト膜を除去した。アッシングは、Oガスを300mL/min(sccm)の流量で供給し、処理チャンバ内を1.3Pa(10mTorr)とし、印加する高周波電力を上部電極:300W、下部電極:250Wとし、電極間ギャップを55mmにして18sec行った。その後ハードマスク層の残部を上述の条件と同様の条件で10secエッチングし、CFx膜を露出させた。
【0097】
次に、ハードマスク層をエッチングマスクとしてCFx膜の第1段階のエッチングを行った。ここでは、Oガスを65mL/min(sccm)、Arガスを135mL/min(sccm)の流量で供給し、処理チャンバ内を1.3Pa(10mTorr)の低圧条件とし、印加する高周波電力を上部電極:500W、下部電極:150Wとし、電極間ギャップを55mmにして12sec行った。引き続き、第2段階のエッチングを行った。ここでは、処理チャンバ内に処理ガスとしてCFガスを100mL/min(sccm)の流量で供給し、処理チャンバ内を1.3Pa(10mTorr)とし、印加する高周波電力を上部電極:500Wとし、下部電極へのバイアスを印加せずに電極間ギャップを60mmにして7sec行った。
【0098】
上記条件で第1段階のエッチングを行った際と、第2段階のエッチングを行った際のウエハサンプルの断面の走査顕微鏡(SEM)写真は、それぞれ図19および図20に示すようなものとなった。図19はラインをエッチングしたもの、図20はホールをエッチングしたものである。図19に示すように、CFx膜をO+Arガスでエッチングすることにより、ほぼ垂直な形状性の良好なエッチングがなされたことが確認された。しかし、表面に酸素が残存して表面性状が悪いことも確認された。これに対して、O+Arガスでエッチングした後、CFガスでエッチングする(2段階エッチング)ことにより、図20に示すように、形状性および表面性状がともに良好なエッチングが行えることが確認された。
【0099】
なお、比較のため、CFx膜をCFガスのみでエッチングした結果、図21に示すように、エッチング形状が台形状となり、形状性が悪いことが確認された。
【0100】
また、2段階エッチングしたサンプルと、ウエハ上にCFx膜を成膜したサンプルとを400℃まで加熱して、ガス成分(FガスとHFガス)放出をTDSにより確認した結果、図22と図23に示すような結果となった。なお、これら図において、ウエハ上にCFx膜を成膜したサンプルのデータは、“No Treat”として記載されている。これら図より、2段階エッチングを施したサンプルは、CFx膜単体のTDSデータより脱ガスが減少しており、本発明における2段階エッチングの有効性を確認することができた。
【0101】
次に、CFx膜を(1)CF+Ar、(2)H+N、(3)O+Arでそれぞれエッチングした。ここでは、図16のマイクロ波プラズマ処理装置を用いてエッチングを行った。(1)では、流量:CF/Ar=200/200mL/min(sccm)、マイクロ波パワー:2kW、バイアス:250W、圧力:0.93Pa(7mTorr)、サセプタ温度:30℃を標準条件とし、(2)では、流量:H/N=200/200mL/min(sccm)、マイクロ波パワー:2kW、バイアス:250W、圧力:2.66Pa(20mTorr)、サセプタ温度:30℃を標準条件とし、(3)では流量:O/Ar=500/500mL/min(sccm)、マイクロ波パワー:2kW、サセプタ温度:30℃とし、圧力を106Pa(800mTorr)および5.3Pa(40mTorr)でエッチングを行った。まず、これらエッチング後のサンプルおよびエッチング前のサンプルについてXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)による表面分析を行った。図24はエッチング前のCFx膜のXPSプロファイルであり、図25は(1)のCF+Arでエッチングした場合のXPSプロファイルであり、図26は(2)のH+Nでエッチングした場合のXPSプロファイルであり、図27は(3)のO+Arでエッチングした場合のXPSプロファイルである。XPSプロファイルは、基本的に炭素(C1s)、酸素(O1s)、フッ素(F1s)について示し、(2)のH+Nの場合については、これらの他、窒素(N1s)について示している。これらプロファイルから、組成分析を行った結果を表1に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
(1)のCF+Arでエッチングを行った場合には、図24と図25とを比較して明らかなように、XPSプロファイルに大きな変化は見られず、表1に示すようにF量が若干増加している程度で、組成はエッチング前とあまり変化がなく膜は健全に維持されていることが確認された。一方、(2)のH+Nでエッチングを行った場合には、図24と図26とを比較して明らかなように、XPSプロファイルが大きく変化しており、表1に示すようにFが極端に減少し、かつNが入っており、膜にダメージが入っていることが確認された。また、(3)のO+Arでエッチングを行った場合には、図24と図27とを比較して明らかなように、XPSプロファイルには大きな変化は見られず、表1に示すようにCおよびFの比率には大きな変動はなく膜は健全に維持されているが、表面の酸素量が多くなっていることが確認された。
【0104】
次に、上記(1)〜(3)のエッチングを行ったサンプルについて、温度を400℃まで上昇させる過程におけるFの放出をTDSにより確認した。その結果を図28〜30に示す。図28は(1)のCF+Arでエッチングを行った場合であり、図29は(2)のH+Nでエッチングを行った場合であり、図30は(3)のO+Arでエッチングを行った場合である。これらに示すように、(1)のCF+Arでエッチングを行った場合には、Fの放出はエッチングを行っていないサンプル(図中において“No Treatment”の線で示されている。)と大きな変化はなく、(2)のH+Nでエッチングを行った場合にはエッチングを行っていないサンプルと比較してFの放出が大きく、(3)のO+Arでエッチングでは、圧力が5.3Pa(40mTorr)の場合には、Fの放出はエッチングを行っていないサンプルと大きな変化はないものの、圧力を106Pa(800mTorr)の場合にはFの放出が見られた。
【0105】
以上の種々のガスによるエッチングの結果から、CFx膜に対してO含有ガスによる第1段階のエッチングを行った後、CF含有ガスで第2段階のエッチングを行った場合に、CFx膜に大きなダメージは生じないものと考えられる。また、Fの放出を考慮すると、第1段階のO含有ガスを用いたエッチングでは、ラジカルよりもイオンによるエッチングが支配的となる、低圧領域(具体的には、13.3Pa(100mTorr)以下)で行うことが重要であることが確認された。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の思想の範囲内で種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、平行平板型のプラズマ処理装置により形成した容量結合型プラズマ、複数のスロットを有する平面アンテナから放射されたマイクロ波により形成されたプラズマでエッチングを行う例について示したが、これに限るものではない。また、CFx膜の第1段階のエッチングと第2段階のエッチングとを異なるプラズマ源で行ってもよく、例えば、第1段階を平行平板型の容量結合プラズマで行い、第2段階を複数のスロットを有する平面アンテナから放射されたマイクロ波により形成されたプラズマで行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明によれば、フッ素添加カーボン膜(CFx膜)にダメージを与えることなく形状性良好にエッチングすることができるので、このCFx膜を低誘電率層間絶縁膜(Low−k)膜として用い、Cu配線層等を有する多層配線構造の半導体装置をダマシン法で製造する際に、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明に係るエッチング方法を実施することができるプラズマ処理装置の一例を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るエッチング方法の工程を示すフローチャート。
【図3】本発明の一実施形態に係るエッチング方法の工程を示す工程断面図。
【図4】本発明に係るエッチング方法を実施可能なクラスターツール型の処理システムを示す平面図。
【図5】フッ素添加カーボン膜をLow−k膜として用い、本発明のエッチング方法をダマシンプロセスに適用した例について示すフローチャート。
【図6】図5のフローを説明するための工程断面図。
【図7】トレンチを形成した後に犠牲膜として塗布するシリコン系塗布膜とフッ素添加カーボン膜との間の状態を示す図。
【図8】フッ素添加カーボン膜の表面に濡れ性改善表面改質剤を塗布した状態と、その後シリコン系塗布膜を形成した状態を示す図。
【図9】濡れ性改善表面改質剤としてのアセトンを塗布しない場合と塗布した場合における、フッ素添加カーボン膜とシリコン系塗布膜との間の状態を示す図。
【図10】フッ素添加カーボン膜の表面にフッ素脱離抑制表面改質剤を塗布した状態と、その表面が改質された状態を示す図。
【図11】トレンチおよびビアを形成した後に、フッ素添加カーボン膜にフッ素脱離抑制表面改質剤としてのエタノールの効果を示すフッ素のTDSプロファイルを示す図。
【図12】トレンチおよびビアを形成した後に、Cu配線層の表面に自然酸化膜が形成されている状態を示す図。
【図13】図12の自然酸化膜が形成されているときにCu配線層の表面にアンモニア水を塗布した状態を示す図。
【図14】アンモニア処理の有無によるフッ素のTDSを示す図。
【図15】Cu酸化処理した銅板の表面状態と、その銅板にアンモニア処理を施した際の表面状態とを示す図。
【図16】本発明に係るエッチング方法を実施することができるプラズマ処理装置の他の例を示す断面図。
【図17】図16のプラズマ処理装置に用いられる平面アンテナ部材の構造を示す図。
【図18】図16のプラズマ処理装置に用いられるシャワープレートの構造を示す平面図。
【図19】本発明のエッチング方法の第1段階のエッチングが終了した後のウエハサンプルの断面を示す走査顕微鏡写真。
【図20】本発明のエッチング方法の第2段階のエッチングが終了した後のウエハサンプルの断面を示す走査顕微鏡写真。
【図21】CFx膜をCFガスでエッチングした場合のウエハサンプルの断面を示す走査顕微鏡写真。
【図22】2段階エッチングしたサンプルと、ウエハ上にCFx膜を成膜したサンプルとを400℃まで加熱した際のFガスの放出を示すTDSプロファイル。
【図23】2段階エッチングしたサンプルと、ウエハ上にCFx膜を成膜したサンプルとを400℃まで加熱した際のHFガスの放出を示すTDSプロファイル。
【図24】エッチング前のCFx膜のXPSプロファイルを示す図。
【図25】CFガスおよびArガスでエッチングした後のCF膜のXPSプロファイルを示す図。
【図26】HガスおよびNガスでエッチングした後のCFプロファイルを示す図。
【図27】OガスおよびArガスでエッチングした後のCF膜のXPSプロファイルを示す図。
【図28】CFx膜をCFガスおよびArガスでエッチングした後に温度を400℃まで上昇させる過程でのFの放出を示すTDSプロファイルを示す図。
【図29】CFx膜をHガスおよびNガスでエッチングした後に温度を400℃まで上昇させる過程でのFの放出を示すTDSプロファイルを示す図。
【図30】CFx膜をOガスおよびArガスでエッチングした後に温度を400℃まで上昇させる過程でのFの放出を示すTDSプロファイルを示す図。
【符号の説明】
【0109】
10 プラズマ処理装置
11 処理チャンバ
15 サセプタ(下部電極)
31 上部電極
40 処理ガス供給部
45 排気装置
50 第1の高周波電源
60 第2の高周波電源
70,130,270 プロセスコントローラ
72,132,272 記憶部(記憶媒体)
100 処理システム
101〜104 処理ユニット
105 搬送室
106 ロードロック室
112 ウエハ搬送装置
200 プラズマ処理装置
201 処理チャンバ
205 サセプタ
226 排気装置
230 マイクロ波導入部
231 平面アンテナ部材
239 マイクロ波発生装置
260 処理ガス供給部
W 半導体ウエハ






















【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたフッ素添加カーボン膜をプラズマによりエッチングするエッチング方法であって、
酸素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第1段階と、フッ素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第2段階とを有することを特徴とするエッチング方法。
【請求項2】
半導体基板上にフッ素添加カーボン膜、ハードマスク層およびレジスト膜がこの順に積層された構造体をエッチングするエッチング方法であって、
前記レジスト膜をマスクとして前記ハードマスク層をプラズマによりエッチングする工程と、
前記レジスト膜をプラズマにより除去する工程と、
前記ハードマスク層をマスクとして前記フッ素添加カーボン膜をプラズマによりエッチングする工程と
を有し、
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングは、
酸素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第1段階と、フッ素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第2段階とを有することを特徴とするエッチング方法。
【請求項3】
前記ハードマスク層はSi系材料からなり、前記ハードマスク層のエッチングに際し、CxFy(x、yは自然数)ガスを含む処理ガスのプラズマを用いることを特徴とする請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記ハードマスク層を途中までエッチングした後、前記レジスト膜を除去し、引き続きハードマスクエッチングして前記フッ素添加カーボン膜を露出させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項5】
半導体基板上に銅配線層およびフッ素添加カーボン膜が順次形成された構造体のフッ素添加カーボン膜をエッチングするエッチング方法であって、
エッチングマスクを介して前記フッ素添加カーボン膜に第1のエッチングを施す工程と、
前記第1のエッチングを行った後、フッ素添加カーボン膜上にシリコン系塗布膜を形成してエッチング部分を埋める工程と、
前記シリコン系塗布膜の上にエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを介して前記フッ素添加カーボン膜に第2のエッチングを施す工程と、
前記シリコン系塗布膜を除去する工程と
を有し、
これにより、前記フッ素添加カーボン膜にトレンチおよび前記銅配線層に対応する位置に達するホールを形成し、
前記第1および第2のエッチングは、酸素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第1段階と、フッ素を含む処理ガスのプラズマによりエッチングを行う第2段階とを有することを特徴とするエッチング方法。
【請求項6】
前記シリコン系塗布膜を形成するに先立って、前記第1のエッチングを行った後のフッ素添加カーボン膜の表面に、前記シリコン系塗布膜との間の濡れ性を改善してこれらの間の密着性を良好にするための濡れ性改善表面改質剤を塗布する工程を実施することを特徴とする請求項5に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記濡れ性改善表面改質剤としてアセトンを用いることを特徴とする請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項8】
トレンチおよびホールが形成された後、フッ素添加カーボン膜の内壁表面に、その表面を改質してフッ素の脱離量を抑制するためのフッ素脱離抑制表面改質剤を塗布する工程を実施することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記フッ素脱離抑制表面改質剤は、エタノールまたはメタノールであることを特徴とする請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項10】
トレンチおよびホールが形成され、前記銅配線層が露出した後、前記銅配線層の表面にアンモニア水を塗布して前記銅配線層の表面の自然酸化膜を除去する工程を実施することを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記アンモニア水のアンモニア濃度は0.25〜5質量%であることを特徴とする請求項10に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記アンモニア水の温度は0〜30℃であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記第1のエッチングによりトレンチを形成し、前記第2のエッチングによりホールを形成することを特徴とする請求項5から請求項12のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングの第1段階に用いられる酸素を含む処理ガスは、Oガスを含む処理ガスであることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記Oガスを含む処理ガスは、Oガス単独、またはOガスおよび希ガスからなることを特徴とする請求項14に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングの第1段階は、13.3Pa(100mTorr)以下の圧力で行われることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項17】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングの第2段階に用いられるフッ素を含む処理ガスは、C(x、yは自然数)ガスを含むことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項18】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングの第2段階に用いられるフッ素を含む処理ガスは、CxFy(x、yは自然数)ガス単独、またはCxFy(x、yは自然数)ガスおよび希ガスからなることを特徴とする請求項17に記載のエッチング方法。
【請求項19】
前記C(x、yは自然数)ガスは、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、CガスおよびCガスの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項17または請求項18に記載のエッチング方法。
【請求項20】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングは、前記第1段階と前記第2段階との間で大気開放せずに行うことを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項21】
前記第1段階と前記第2段階とは同一の処理容器内で行うことを特徴とする請求項20に記載のエッチング方法。
【請求項22】
前記第1段階と前記第2段階とは異なる処理容器内で行い、これら処理容器間で基板を大気開放せずに搬送することを特徴とする請求項20に記載のエッチング方法。
【請求項23】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングは、容量結合型のプラズマにより行われることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項24】
前記フッ素添加カーボン膜のエッチングは、複数のスロットを有する平面アンテナから放射されたマイクロ波により形成されたプラズマにより行われることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項25】
コンピュータ上で動作し、処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記制御プログラムは、実行時に、請求項1から請求項24のいずれかのエッチング方法が行われるように、コンピュータに前記処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図9】
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【図15】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−218959(P2008−218959A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123820(P2007−123820)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成14年度、経済産業省、エネルギー使用合理化次世代半導体デバイスプロセス等基盤技術開発委託研究(マイクロ波励起高密度プラズマを用いた省エネ型半導体製造装置の技術開発)、産業再生法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】