説明

エネルギー線照射装置及びワーク搬送機構

【課題】エネルギー線照射システムにおいて、異なる寸法のワークに効率的にエネルギー線を照射できるコンパクトで低コストの搬送機構を実現する。
【解決手段】異なる寸法のワークW1、W2がそれぞれ搭載される第1、第2ワークホルダ31a、32aと、各々のワークホルダを各々のワーク授受領域とエネルギー線照射領域AR1との間で進退移動させる進退機構33と、互いに異なる位置に設けられた第1及び第2ワーク収容部21a、22aと、第1のワーク授受領域にある第1ワークホルダ31aと第1ワーク収容部21aとの間でワークW1を搬送する第1搬送アームと、第2のワーク授受領域にある第2ワークホルダ32aと第2ワーク収容部22aとの間でワークを搬送する第2搬送アームとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン注入装置や電子線照射装置などのようにエネルギー線を照射するエネルギー線照射システム及びこれに用いられるワーク搬送機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のイオン注入装置では、イオンビームの照射領域にウェハを搬送するプラテンとロードロック室との間でウェハを受け渡すための中間搬送機構が設けられている。例えば特許文献1の中間搬送機構は、左右の搬送アームが同時に動いて1枚のプラテン上に一挙に2列にウェハを配置できるようにしており、スループットの向上を図っている。
ところで、これら搬送アームで取り扱うウェハの寸法は1種類のみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4766156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ウェハ寸法は限られたものではなく、例えば、直径が4インチ、6インチ、12インチ、18インチのウェハが存在しているところ、こういった異なる寸法のウェハを取り扱おうとすると、単純には上述した構成を2つ設けなければならなくなり、著しい大型化を招く。
そして、このような問題点は、イオン注入装置のみならず、ワークにエネルギー線を照射するエネルギー線照射システム全般に共通することである。
【0005】
本発明はかかる問題を鑑みてなされたものであって、この種のエネルギー線照射システムにおいて、異なる寸法のワークに効率的にエネルギー線を照射できるようにしながらも、コンパクト化及び低コスト化を可能とすべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係るエネルギー線照射システムは、エネルギー線を所定の照射領域に向かって射出するエネルギー線射出機構と、前記エネルギー線が照射される対象物であるワークが搭載される第1及び第2ワークホルダと、前記各ワークホルダを、ワークを授受するためのワーク授受領域と前記照射領域との間で少なくとも進退移動させる進退機構と、互いに異なる位置に設けられ、かつ互いに異なる寸法のワークが収容される第1及び第2ワーク収容部と、前記ワーク授受領域と前記第1ワーク収容部との間で往復旋回可能に設けられて、前記ワーク授受領域にある前記第1ワークホルダと前記第1ワーク収容部との間でワークを搬送する第1搬送アームと、前記ワーク授受領域と前記第2ワーク収容部との間で往復旋回可能に設けられて前記ワーク授受領域にある前記第2ワークホルダと前記第2ワーク収容部との間でワークを搬送する第2搬送アームとを具備していることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、従来の2本の搬送アームを有したイオン注入装置等とほぼ同一の大きさを保つことができるうえに、異なる寸法のワークに効率的にエネルギー線を照射できるようになる。
【0008】
具体的な実施態様としては、前記第1ワーク収容部及び第2ワーク収容部が、前記ワーク授受領域を中心として互いに反対側に設けられているものを挙げることができる。
【0009】
1つの搬送アームで複数又は複数列のワークをワークホルダに保持させるには、前記ワークホルダが、前記ワーク授受領域において前記搬送アームからワークを受け取った後、前記進退移動方向に所定距離移動して、当該搬送アームから別のワークを受け取ることで、前記進退移動方向に複数のワークが搭載されるように構成してあるものが好ましい。
本発明の効果が顕著となる態様としては、前記エネルギー線がイオンビームであり、ワークにイオンを注入するものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0010】
このように構成した本発明によれば、異なる寸法のワークに効率的にエネルギー線を照射できるうえに、通常で予想される大きさよりもコンパクト化が可能となり、ひいては低コスト化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態におけるイオン注入装置を示す模式的全体平面図。
【図2】同実施形態のウェハ移送機構を示す部分斜視図。
【図3】同実施形態のウェハの搬送例を示すシーケンス図。
【図4】同実施形態のプラテンの動きを示す動作説明図。
【図5】本発明の他の実施形態におけるプラテンのウェハ保持態様を示す模式的平面図。
【図6】本発明のさらに他の実施形態におけるレール部材を示す模式的平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るエネルギー線照射システムにつき図面を参照して説明する。
【0013】
このエネルギー線照射システムたるイオン注入装置100は、図1、図2に示すように、互いに異なる寸法のワークたるウェハW1、W2にエネルギー線たるイオンビームIBを照射してイオンを注入するものであり、真空チャンバー内に設けたイオン注入室10においてイオンビームIBを射出するイオンビーム射出機構(図示しない)と、イオンビームIBが照射可能な位置にウェハW1、W2を搬送するウェハ搬送機構20とを具備するものである。
【0014】
イオンビーム射出機構は、例えばリボン状のイオンビームIBをイオン注入室10内に設定した照射領域AR1に向かって射出するものであるが、これに限られず、例えば正方形状のビームを射出するようなものでも構わない。
【0015】
ウェハ搬送機構20は、イオン注入室10の上側に隣接して設けた真空予備室11、12とイオン注入室10との間でウェハW1、W2を出し入れするウェハ出入機構21、22と、イオンを注入すべくウェハW1、W2を把持してビームの照射領域AR1に送り込むウェハ移送機構31、32と、前記ウェハ出入機構21、22及びウェハ移送機構31、32の間に介在してウェハW1、W2の受け渡しを行う中間機構41、42を具備したものである。
【0016】
ウェハ出入機構21、22は、ワーク収容部たるウェハ載置台21a、22aと、ウェハ載置台21a、22aを上下動させる図示しない上下アクチュエータとを具備したものである。このウェハ載置台21a、22aは、それぞれ異なる寸法のウェハW1、W2が戴置されるものであって、上位置にあるときは真空予備室11、12とイオン注入室10とを気密に遮る隔壁(ここでは底壁)としても機能する一方、下位置にあるときはイオン注入室10内に位置して後述する中間機構41、42との間でウェハW1、W2を受け渡し可能な状態となる。この実施形態では、図1に示すように、後述するウェハW1、W2の直線進退移動方向に沿って、2つの真空予備室11、12が離間して設けられており、それぞれにウェハ出入機構21、22が設けられている。
【0017】
ウェハ移送機構31、32は、例えば、ワークホルダたるウェハ支持部材31a、32a(以下、プラテン31a、32aとも言う。)と、このプラテン31a、32aを支持する基台31b、32bと、この基台31b、32bを直線状に進退移動させる直線進退機構33とを具備したものである。
【0018】
プラテン31a、32aは、例えば扁平円形状の吸着板(図示しない)を具備するもので、静電チャックによりその一方の表面で複数列(ここでは2列)のウェハW1、W2を吸着支持することができる。なお、吸着板のサイズがウェハのサイズよりも大きいとウェハを確実に吸着できるが、吸着板がチャージアップする恐れが生じる一方、吸着板のサイズがウェハサイズよりも小さいと吸着板のチャージアップを防止できるが、ウェハの吸着が不十分になる恐れがある。したがって吸着板を適切なサイズにしておくことが必要である。
【0019】
基台31b、32bは、ブロック体状をなすもので、前記プラテン31a、32aの面板部が前記進退移動方向と平行となる状態で、該プラテン31a、32aの基端部を、前記進退移動方向と平行な回転軸によって枢支する。さらにこの基台31b、32b内部には、モータ等の図示しない起倒アクチュエータが設けられていて、該プラテン31a、32aの面板部が水平状態である受け渡し姿勢と、鉛直状態となるビーム照射姿勢との間で起倒回転させるように構成してある。
【0020】
直線進退機構33は、水平直線状に敷設されて基台31b、32bがスライド可能に嵌合するレール部材33aと、基台31b、32bをレール部材33aに沿って進退駆動する図示しないスライドアクチュエータとを具備したものである。前記スライドアクチュエータは、例えばレール部材33a内に設けられたベルト及び該ベルトを周回させるモータであり、このベルトに牽引されて、基台31b、32bがレール部材33a上を進退移動するように構成してある。
【0021】
この実施形態では、2つのプラテン31a、32a及びこれらをそれぞれ支持する基台31b、32bを設けており、これら2つのプラテン31a、32a及び基台31b、32bが、共通のレール部材33a上を独立してスライド移動可能に構成してある。なお、直線進退機構33はかかる構造のみならず、例えばネジ送り機構を利用したものでも構わない。また、以下では、前記直線進退移動方向をx方向とも言う。
【0022】
中間機構41、42は、基端部を枢支されて水平旋回可能に構成された搬送アーム41a、42aと、この搬送アーム41a、42aを正逆旋回させるモータ等の図示しない旋回アクチュエータとを具備するものである。
【0023】
搬送アーム41a、42aは、長尺板状をなすアーム本体と、該アーム本体の下側面板部に設けられた図示しない把持爪とを具備したものであり、前記把持爪によってウェハW1、W2の下面周縁部における対向箇所を引っかけることにより、ウェハW1、W2をアーム本体の下側において支持する。この例では搬送アーム41a、42aはその延伸方向に沿って1列に複数のウェハW1、W2を支持することができるように構成してあるが、支持するウェハW1、W2は1つでも構わない。
【0024】
さらに詳述すれば、前記搬送アーム41a、42aは、図1に示すように、前記各真空予備室11、12のちょうど中間に引いた、前記x方向とは垂直な水平仮想中心線Cを中心として、対称に一対設けてある。なお、以下では、この仮想中心線方向をy方向とも言い、区別が必要なときは搬送アームの一方を第1搬送アーム41a、他方を第2搬送アーム42aと言うこともある。さらにこの実施形態では、前記一対の搬送アーム41a、42aを1組として、この1組の搬送アーム41a、42aを、枢支軸を共通にして上下に2つ設けている。なお、以下では上下方向をz方向とも言う。
【0025】
しかしてこの実施形態では、各ウェハ載置台21a、22aに、互いに異なる寸法のウェハW1、W2が、x方向に沿ってそれぞれ1列に載置されるように構成してある。
このように構成した本実施形態における動作を、図3を参照して以下に説明する。
【0026】
まず、真空予備室11、12内にある各ウェハ載置台21a、22aに、それぞれウェハW1、W2が載置される。ここでは一方のウェハ載置台21a(以下、区別の必要があるときは第1ウェハ載置台21aとも言う。)に4枚のウェハW1(以下、区別の必要があるときは第1ウェハW1とも言う。)が直列に載置され、他方のウェハ載置台22a(以下、区別の必要があるときは第2ウェハ載置台22aとも言う。)に寸法の小さい6枚のウェハW2(以下、区別の必要があるときは第2ウェハW2とも言う。)が載置される。
次に、真空予備室11、12が真空にされた後、ウェハ載置台21a、22aが降下してイオン注入室10内に移動する。
【0027】
その後、上側の第1搬送アーム41aが、第1ウェハ載置台21a上に旋回して位置づけられ、各第1ウェハW1を把持した後、図3(a)に示すように、レール部材33a方向に向かってx軸と直交する角度まで再度旋回する。この位置にはワーク授受領域S1が設定されており、このワーク授受領域S1には、予め、第1のプラテン31aが前記受け渡し姿勢(水平姿勢)で待機している。なお、ワーク授受領域とはプラテンが搬送アームとの間でウェハの授受を行うために必要な占有領域(z方向からみたときの領域)のことである。
【0028】
そして、この第1プラテン31a上に、第1ウェハW1を把持した前記第1搬送アーム41aが旋回して位置づけられると、下方から例えば図示しない昇降ピンが上昇してきて第1ウェハW1をわずかに上昇させ、把持爪から第1ウェハW1を浮かせるように支持する。その後、第1搬送アーム41aは、ワーク授受領域S1から退避するように、再度、第1ウェハ載置台21aに向かって旋回する。
昇降ピンに支持された第1ウェハW1は、前記昇降ピンが下降することによって第1プラテン31a上に載置され、静電チャックによって吸着支持される。
【0029】
一方、第1ウェハW1を取り去られた第1ウェハ載置台21aは、再度真空予備室11に入って新たに別の第1ウェハW1を載置された後、図3(a)に示すように、イオン注入室10に戻って待機している。
【0030】
この別の第1ウェハW1を第1プラテン31a上から戻ってきた前記第1搬送アーム41aが把持し、図3(b)に示すように、再度、前記ワーク授受領域S1に向かって旋回する。
この間に第1プラテン31aは、直線進退機構33によってx方向におおよそ第1ウェハW1の保持列間距離分だけ移動し、待機する。
【0031】
そこに第1搬送アーム41aが旋回して到達し、前述と同様、前記昇降ピンによって、第1ウェハW1が第1プラテン31a上に載置され、静電チャックによって吸着支持される。この状態を図3(c)に示す。
このようにして、第1プラテン31a上に2列に第1ウェハW1が搭載される。
その後、第1プラテン31aは起立して、図3(d)に示すように、イオンビームIBが第1ウェハW1に垂直にあたる前記ビーム照射姿勢となる。
次に、以上と同様の手順を経て、第2プラテン32a上に第2ウェハ載置台22aから第2搬送アーム42aによって搬送された第2ウェハW2が搭載される。
【0032】
なお、第2プラテン32aが第2ウェハW2を受け取る第2ワーク授受領域S2は、第1ワーク授受領域S1と同じか重なっていてもよいし、隣接又は近接するようにしてもよい。前者であれば、第1プラテン31aでの第1ウェハW1の授受と、第2プラテン32aでの第2ウェハW2の授受とを同時に行うことはできないが、後者であれば、同時授受動作が可能になる。
【0033】
前記ウェハW1、W2が搭載された第1プラテン31aと第2プラテン32aとは、ワーク授受領域S1、S2から同一のレール部材33a上をx方向にスライドしてイオンビームIBの照射領域AR1に移動するが、ここでは、図4(a)に示すように、まず第1プラテン31aがイオンビームIBの照射領域AR1に進入し、往復動することによって1乃至複数回、照射領域AR1を横切り、第1ウェハW1に所定ドーズ量のイオンが注入される。この間、第2プラテン32aは、イオンビームIBの照射領域AR1から視て、ワーク授受領域S1、S2側の退避領域AR2に退避している。
【0034】
第1プラテン31aに支持された第1ウェハW1へのイオン照射が終了すると、図4(b)に示すように、この第1プラテン31aは、イオンビームIBの照射領域AR1から視て、ワーク授受領域S1、S2とは反対側の退避領域AR3に退避する。その後、第2プラテン32aがイオンビームIBの照射領域AR1に進入し、第1プラテン31a同様に進退移動することによって、第2ウェハW2に所定ドーズ量のイオンが注入される。
【0035】
このようにしてイオン注入が終了したウェハW1、W2を搭載した各プラテン31a、32aは、再度、ワーク授受領域S1、S2に戻り、ここから搬送アーム41a、42aを介して真空予備室11、12を通り、外部に取り出される。
【0036】
具体的に説明すると、まず第1プラテン31aが、前記第1ワーク授受領域S1に戻って水平姿勢(受け渡し姿勢)となる。そして、昇降ピンが上昇して第1プラテン31aからイオン注入済みの第1ウェハW1を浮かし、そこに下側の空の第1搬送アーム41aが旋回してきて、1列めの第1ウェハW1を把持するとともに、第1ウェハ載置台21aに向かって旋回する。
【0037】
その一方で、上側の第1搬送アーム41aが、イオン未注入の第1ウェハW1を、第1ウェハ載置台21aから把持して運んでくる。そして下側の第1搬送アーム41aと入れ替わりで、第1プラテン31aにおける空いた領域にイオン未注入の第1ウェハW1を搭載する。
【0038】
イオン注入済みの第1ウェハW1は、下側の第1搬送アーム41aによって第1ウェハ載置台21aに載置されて、真空予備室11、12に搬送され、イオン未注入の第1ウェハW1と交換される。
このイオン未注入の第1ウェハW1は、第1ウェハ載置台21aに載ってイオン注入室10に運ばれた後、上側の第1搬送アーム41aによって把持される。
【0039】
その間に、第1プラテン31aは、直線進退機構33によってx方向に第1ウェハW1の保持列間距離分だけ移動する。そして、残った2列めのイオン注入済み第1ウェハW1が、下側の第1アームによって把持され、第1ウェハ載置台21aに向かって搬送される。そして、この下側の第1搬送アーム41aと入れ替わりで、上側の第1搬送アーム41aが、第1プラテン31aにおける空いた領域に、イオン未注入の第1ウェハW1を搭載する。
このようにして、第1プラテン31aで保持されていたイオン注入済みの2列の第1ウェハW1が、イオン未注入の第1ウェハW1と交換される。
【0040】
同様にして、第2プラテン32aでも、上下の第2搬送アーム42a及び第2ウェハ載置台22aが作動して、イオン注入済みの2列の第2ウェハW2が、イオン未注入の第2ウェハW2と交換される。
その後は、この動作が繰り返されて次々異なるサイズの第1ウェハW1及び第2ウェハW2にイオンが注入される。
【0041】
しかして、このような構成であれば、従来の2本の搬送アーム41a、42aを有したイオン注入装置等とほぼ同一の大きさを保ちながらも、異なる寸法のワークに効率的にエネルギー線を照射できるようになる。
【0042】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
搬送アームの本数は左右1本ずつでもよい。ただし、前記実施形態のように左右2本ずつにするとスループット(装置の処理能力)が向上する。
ウェハの搬送シーケンスも前記実施形態に限られず、種々考えられる。
また、プラテン上に配置されるウェハは2列に限られず、1列でも3列以上でもよい。ただし、複数列配置して一挙にイオン注入処理を実施した方がスループットは向上する。
【0043】
ウェハのツイスト角調整用のツイスト機構を設けてもよいし、ウェハのツイスト調整をロードロック室に入る前あるいは後に行ってもよい。
プラテンの数は2枚以上あれば良く、同じ寸法のウェハを搬送するプラテンを複数設けておいても良い。例えば、4インチウェハ搬送用のプラテンを1つ、6インチウェハ搬送用のプラテンを2つといった構成である。
【0044】
イオンビーム射出機構側の構成には特に限定はない。例えば、イオン源からのビームを質量分析する質量分析マグネットが設けられているようなものであっても良い。
ウェハの形状も円形状のみならず矩形状でもよい。
【0045】
プラテン上でのウェハWの配置は、図5に示すように千鳥状でもよい。このことにより、スキャンストロークB2を前記実施形態のストロークB1に比べて小さくすることができ、装置寸法の小型化を図れる。ただし、ビームの長手方向(プラテンの搬送方向と直交する方向)の寸法L2を前記実施形態での寸法L1よりも長くする必要がある。また、昇降ピンを異なる位置に配置したり、プラテンをウェハの列方向にずらしたりする機構が必要となる。
プラテンの搬送方向はビーム照射方向と直交している必要はない。
【0046】
搬送用のレール部材を、図6に示すように、第1プラテン31aと第2プラテン32aとで別々に独立させてもよい。このことによって退避領域が不要になるため、プラテン搬送方向(x方向)の装置寸法を小さくすることができる。
【0047】
なお、第1プラテン31aへ第1ウェハW1を搭載する際、第1プラテン31aを水平状態にすると第2プラテン32aの搬送用レール部材33a2と干渉するので、例えば、一方の搬送用レール部材33a1の位置を他方の搬送用レール部材33a2に比べて紙面奥側(z方向)にずらして配置しておく。この場合、各プラテン31a、32aでのワーク授受領域がz方向にずれることになるので、その分を見越して昇降ピンの駆動範囲を広げておく必要がある。
プラテンの起立角度(寝かし)を調整することでウェハのチルト角の調整してもよい。
【0048】
また、イオン注入装置以外への用途にも適用して本発明と同様の効果を奏し得る。例えば、電子線照射装置、スパッタリング装置、プラズマドーピング装置などである。ワークはウェハ以外の基板等でもよい。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
100・・・エネルギー線照射システム(イオン注入装置)
W1、W2・・・ワーク(ウェハ)
31a・・・第1プラテン(第1ワークホルダ)
32a・・・第2プラテン(第2ワークホルダ)
S1・・・第1ワーク授受領域
S2・・・第2ワーク授受領域
AR1・・・照射領域
33・・・進退機構
21a・・・第1ウェハ載置台(第1ワーク収容部)
22a・・・第2ウェハ載置台(第2ワーク収容部)
41a・・・第1搬送アーム
42a・・・第2搬送アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー線を所定の照射領域に向かって射出するエネルギー線射出機構と、
前記エネルギー線が照射される対象物であるワークが搭載される第1及び第2ワークホルダと、
前記各ワークホルダを、ワークを授受するためのワーク授受領域と前記照射領域との間で少なくとも進退移動させる進退機構と、
互いに異なる位置に設けられ、かつ互いに異なる寸法のワークが収容される第1及び第2ワーク収容部と、
前記ワーク授受領域と前記第1ワーク収容部との間で往復移動可能に設けられて、前記ワーク授受領域にある前記第1ワークホルダと前記第1ワーク収容部との間でワークを搬送する第1搬送アームと、
前記ワーク授受領域と前記第2ワーク収容部との間で往復移動可能に設けられて、前記ワーク授受領域にある前記第2ワークホルダと前記第2ワーク収容部との間でワークを搬送する第2搬送アームとを具備していることを特徴とするエネルギー線照射システム。
【請求項2】
前記第1ワーク収容部及び第2ワーク収容部が、前記ワーク授受領域を中心として互いに反対側に設けられている請求項1記載のエネルギー線照射システム。
【請求項3】
前記ワークホルダが、前記ワーク授受領域において前記搬送アームからワークを受け取った後、前記進退移動方向に所定距離移動して、当該搬送アームから別のワークを受け取ることで、前記進退移動方向に複数のワークが搭載されるように構成してある請求項1又は2記載のエネルギー線照射システム。
【請求項4】
前記エネルギー線がイオンビームであり、ワークにイオンを注入するものである請求項1乃至3いずれか記載のエネルギー線照射システム。
【請求項5】
エネルギー線が照射される対象物であるワークが載置される第1及び第2ワークホルダと、
前記各ワークホルダを、エネルギー線が照射される所定の照射領域とワークを授受するためのワーク授受領域との間で少なくとも進退移動させる進退機構と、
互いに異なる位置に設けられ、かつ互いに異なる寸法のワークが収容される第1及び第2ワーク収容部と、
前記ワーク授受領域と前記第1ワーク収容部との間で往復移動可能に設けられて、前記ワーク授受領域にある前記第1ワークホルダと前記第1ワーク収容部との間でワークを搬送する第1搬送アームと、
前記ワーク授受領域と前記第2ワーク収容部との間で往復移動可能に設けられて、前記ワーク授受領域にある前記第2ワークホルダと前記第2ワーク収容部との間でワークを搬送する第2搬送アームとを具備していることを特徴とするワーク搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101898(P2013−101898A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−276058(P2011−276058)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【出願人】(302054866)日新イオン機器株式会社 (161)
【Fターム(参考)】