説明

カーナビゲーション装置、カーナビゲーション装置の制御方法およびプログラム

【課題】事故発生や犯罪発生などの異常事態を、身近な人物に通知すること。
【解決手段】地図情報と、電子メールの送信先アドレスおよびメッセージデータファイルを記憶しておくための記憶部17と、車両の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段110と、位置情報に基づいて、現在位置を地図情報に基づく地図上に示した地図データを表示する表示部12と、イベントの発生を検知するイベント発生検知手段130と、イベントの発生を検知した時、イベントの発生を検知した旨のメッセージデータファイルと、地図データとを含み、送信先アドレスを宛先とした電子メールファイルを生成する電子メール生成手段150と、生成した電子メールファイルを送信するメール送信手段210と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両に搭載されて用いられるカーナビゲーション装置、カーナビゲーション装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、事故発生時における事故原因究明を目的として、事故発生前後における車両外部の撮像データを記録する車両搭載機器(ドライブレコーダ)が知られている。例えば、特許文献1に記載の車両搭載機器は、撮像データをメモリに保存しておき、事故などの異常状態が発生したときには、メモリに保存されている撮像データを外部データベースに送信することで、事故発生時におけるデータ消失を防止するようになっている。この場合の「外部データベース」は、車両搭載機器のサービスを提供する民間企業や事故管理を目的とした行政機関等が運営・管理するネットワークサーバが想定されている。
【特許文献1】特開2005−205930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、実際に事故に遭遇した場合、真っ先にそのことを連絡したいのは、車両搭載機器のサービス会社や行政機関ではなく、家族や友人など身近な人物である。しかしながら、現状の車両搭載機器には、身近な人物に事故発生を通知するための機能が無かった。
【0004】
一方、車両搭載機器として代表的なものに、カーナビゲーション装置がある。近年では、自家用車にカーナビゲーション装置が標準装備されていることが多く、極めて一般化しつつある。そこで、このカーナビゲーション装置にセキュリティ機能を搭載することが望まれている。
【0005】
本発明は、事故発生や犯罪発生などの異常事態を、身近な人物に通知することができるカーナビゲーション装置、カーナビゲーション装置の制御方法およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカーナビゲーション装置は、所定エリアの地図情報を記憶する地図情報記憶部と、電子メールの送信先アドレスと、当該電子メールの送信内容となるメッセージデータファイルとを記憶しておくためのメール情報記憶部と、車両の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、位置情報に基づいて、現在位置を地図上に示した地図データを表示する表示手段と、イベントの発生を検知するイベント発生検知手段と、イベント発生検知手段がイベントの発生を検知した時、イベントの発生を検知した旨のメッセージデータファイルと、車両の現在位置を示した地図データとを含み、送信先アドレスを宛先とした電子メールファイルを生成する電子メール生成手段と、生成した電子メールファイルを送信するメール送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のカーナビゲーション装置の制御方法は、電子メール送信機能を搭載したカーナビゲーション装置の制御方法であって、カーナビゲーション装置が、車両の現在位置を地図上に示した地図データを表示するステップと、イベントの発生を検知するステップと、イベントの発生を検知した時、イベントの発生を検知した旨のメッセージデータファイルと、地図データとを含む電子メールファイルを、所定のアドレスに送信するステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、イベントの発生を検知した時、イベントの発生を検知した旨のメッセージデータファイルを含む電子メールファイルを、送信先アドレス(所定のアドレス)に送信するため、身近な人物の携帯電話やパーソナルコンピュータのメールアドレスを設定しておくことで、事故発生や犯罪発生などの異常事態を通知することができる。また、この電子メールファイルには、車両の現在位置を示す地図データを含めて(添付して)送信するため、事故や犯罪の発生場所を、送信相手に明確に伝えることができる。さらに、この地図データは、位置情報に基づいて車両の現在位置を地図上に示して表示するためのデータ(カーナビゲーション装置で車両誘導を行うために表示するデータ)を利用するため、電子メールファイルに含めるための地図データの生成機構を別途必要とせず、本発明を実現するための制御負荷の増大およびそれに伴う装置コストの上昇を抑えることができる。
なお、電子メールファイルには、送信元となるカーナビゲーション装置、当該カーナビゲーション装置が搭載された車両、およびカーナビゲーション装置の所有者等を識別するための識別情報が付加されて送信されることが好ましい。この構成によれば、電子メール受信者が、送信元となるカーナビゲーション装置、事故車両、被害者等を判断できる。
【0009】
上記に記載のカーナビゲーション装置において、各種操作を行うための操作部をさらに備え、表示手段は、イベント発生検知手段がイベントの発生を検知した時、電子メール送信の要否を問い合わせるためのメッセージを表示し、電子メール生成手段は、イベントの発生後、操作部によりメッセージに対する所定の操作が行われた場合に、電子メールファイルを生成することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、イベントが発生した場合でも、ユーザ(カーナビゲーション装置が搭載された車両の搭乗者)が電子メールを送信したくない場合や、送信する必要が無いと判断する場合が考えられるが、そのような場合に、イベントの発生後、所定の操作を行わないことで、電子メールの送信を禁止することができる。また、イベントの発生を検知した時に、電子メール送信の要否を問い合わせるためのメッセージを表示することで、カーナビゲーション装置が電子メールファイルの生成・送信処理を実行可能な状態であることをユーザに示すことができる。これにより、ユーザは所定の操作を行うことで電子メールが送信されることを確認でき、安心することができる。
なお、所定の操作は、ボタンやスイッチの1回押下など、簡易な操作であることが好ましい。また、大きな事故で、ユーザが操作不能状態になることも考えられるため、所定時間、電子メールの送信を禁止する操作(前記所定の操作とは異なる操作)が行なわれなかった場合も、電子メールを生成・送信することが好ましい。
【0011】
上記に記載のカーナビゲーション装置において、電子メール生成手段は、地図データとして、イベント発生時に表示手段により表示されていた地図データを用いることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、電子メールファイルに含める地図データとして、イベント発生時に表示されていた表示データをそのまま利用できるため、地図データの生成処理が容易である。
【0013】
上記に記載のカーナビゲーション装置において、電子メール生成手段は、地図データとして、予め設定された所定縮尺の地図データを、電子メールファイルに含めることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、電子メールファイルに含める地図データとして、電子メール受信者が最も分かり易いと考えられる所定縮尺の地図データを採用できる。つまり、縮尺が大きすぎても小さすぎても、電子メール受信者側で、事故や犯罪の発生場所を認識しづらいが、所定縮尺の地図データであれば、そのような問題を解決することができる。なお、所定縮尺は、カーナビゲーション装置の環境設定等において書き換え可能に構成されることが好ましい。
【0015】
上記に記載のカーナビゲーション装置において、電子メール生成手段は、地図データとして、イベント発生時における現在位置から予め設定された所定地点までの距離に応じた縮尺の地図データを用いることが好ましい。
【0016】
また、上記に記載のカーナビゲーション装置において、地図データは、イベント発生時における現在位置から予め設定されている所定地点までの経路を示すことが好ましい。
【0017】
これらの構成によれば、例えば予め設定された所定地点がユーザの「自宅」である場合、現在位置(イベント発生場所)と自宅との両方を表示し得る縮尺の地図データを、電子メールファイルに含めるようにすれば(結果的に、イベントの発生場所が遠方の場合、地図データの縮尺が小さくなり、イベントの発生場所が近くの場合、地図データの縮尺が大きくなる)、電子メール受信者が、自宅からイベントの発生場所までのアクセスを一目で把握することができ、利便性が良い。
なお、上記のとおり、縮尺が大きすぎても小さすぎても、電子メール受信者側で、事故や犯罪の発生場所を認識しづらいため、縮尺の幅(上限と下限)を定めておき、下限の縮尺でも、1の地図データ内にイベント発生場所から自宅までの経路が含まれないような場合は、複数の地図データに分割して送信することが好ましい。
また、イベント発生場所から自宅までの距離に応じてだけでなく、イベント発生場所から自宅までの経路も考慮して、地図データの縮尺を決定しても良い。すなわち、イベント発生場所から自宅までの距離が近い場合でも、その経路が距離に応じた縮尺の地図データ内に収まらない場合、地図データの縮尺を小さくするようにしても良い。この構成によれば、電子メール受信者が、極力少ない地図データで、イベント発生場所から自宅までの経路を確認することができる。また、所定地点は自宅以外の、予め設定された場所(勤務先や知人宅)でも良い。
【0018】
上記に記載のカーナビゲーション装置において、イベント発生検知手段の検知結果に基づいて、発生したイベントの種別を判別するイベント種別判別手段をさらに備え、メール情報記憶部は、複数の送信先アドレスおよび複数のメッセージデータファイルを、イベントの種別と対応付けたメッセージ対応テーブルを記憶し、電子メール生成手段は、イベント発生検知手段がイベントの発生を検知した時、イベント種別判別手段により判別したイベントの種別に応じて、メッセージ対応テーブルから、送信先アドレスおよびメッセージデータファイルを読み出し、電子メールファイルを生成することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、イベントの種別に応じて、適切な送信先アドレスに、適切なメッセージデータファイルを送信することができる。例えば、車両が大きな衝撃を受けた場合、イベントの種別が“事故”であると判別し、会社を送信先アドレスとして、事故発生に関するメッセージデータファイルを送信する。一方、悲鳴を検知した場合、イベントの種別が“犯罪”であると判別し、家族やセキュリティ会社を送信先アドレスとして、事故発生に関するメッセージデータファイルを送信する、などの利用方法が考えられる。なお、メッセージ対応テーブルは、カーナビゲーション装置の環境設定等において書き換え可能に構成されることが好ましい。
【0020】
上記に記載のカーナビゲーション装置において、イベント発生検知手段は、複数のイベントセンサの検知結果を取得し、イベント種別判別手段は、イベントを検知したイベントセンサに応じて、イベントの種別を判別することが好ましい。
【0021】
これらの構成によれば、イベントを検知したイベントセンサに応じて、正確にイベントの種別を判別することができる。例えば、加速度センサによりイベントを検知した場合は、イベント種別が“事故”であると判別し、マイクロフォンによりイベントを検知した場合(悲鳴を検知した場合など)は、イベント種別が“犯罪”であると判別する、などの利用方法が考えられる。
【0022】
上記に記載のカーナビゲーション装置において、電子メール生成手段は、イベント種別判別手段の判別結果、イベント発生時の時刻情報、速度情報、エアバック作動情報、方向指示器のオン/オフ情報、ブレーキ圧情報、ハンドル舵角情報、のうち1以上を含む車両情報を、電子メールファイルに含めることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、事故や犯罪状況の把握や発生時刻の特定に必要と考えられる車両情報についても、電子メールの送信相手に伝えることができる。
【0024】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載のカーナビゲーション装置の制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0025】
このプログラムを実行することにより、事故発生や犯罪発生などの異常事態を、身近な人物に通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るカーナビゲーション装置、カーナビゲーション装置の制御方法およびプログラムについて説明する。図1は、本発明のカーナビゲーション装置10を適用した電子メール送信システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、電子メール送信システムSYは、車両(自動車,図示省略)に搭載されるカーナビゲーション装置10と、カーナビゲーション装置10から電子メールを受信する携帯電話50と、により構成されている。なお、携帯電話50は、カーナビゲーション装置10を所有する所有者の家族や知人など身近な人物が所持するものである。
【0027】
カーナビゲーション装置10は、通信処理部11、表示部12、音声出力部13、GPS(Global Positioning System)受信機14、RTC(Real Time Clock)15、加速度センサ16、記憶部17、操作部18、マイクロフォン19、中央制御部20および電源ユニット25を備えている。
【0028】
通信処理部11は、無線信号を送受信するためのアンテナ21を有し、中継局42および公衆回線(インターネット)44を介して、電子メールの送受信を行う。表示部12は、タッチパネルから成り、電子メールの送受信動作などカーナビゲーション装置10の動作状況を表示する。音声出力部13は、スピーカから成り、経路の誘導案内や各種情報の報知などの音声を出力する。
【0029】
GPS受信機14は、複数の衛星の軌道と、衛星に搭載された原子時計からの時刻のデータを含む電波信号を受け取るためのものである。当該電波信号の時間差に基づき、中央制御部20は、それぞれの衛星との相対的な距離差を算出し、その算出結果に基づいて現在位置を特定する。
【0030】
RTC(Real Time Clock)15は、計時専用チップであり、中央制御部20はこれを用いることによって、目的地到着時間の算出の他、時計機能を実現する。加速度センサ16は、車両の移動方向や加速度(速度)を検出する。また、マイクロフォン19は、車両内・外部に取り付けられ、音声信号を取得する。中央制御部20は、この加速度センサ16による衝撃レベルの検出、および/またはマイクロフォン19による衝撃音の検出によって、事故発生や犯罪発生(イベントの発生)を検知する。
【0031】
記憶部17は、ハードディスクから成り、車両誘導装置として機能するための誘導プログラムを記憶する誘導プログラム記憶部61と、イベント発生時に電子メールを送信するためのメール情報を記憶するメール情報記憶部62と、イベント発生時点における車両情報を記憶する車両情報記憶部63と、自宅近辺を含む所定エリアの地図情報を記憶する地図情報記憶部64と、を有している。
【0032】
誘導プログラム記憶部61は、経路の誘導案内や各種情報の報知などを行うための誘導プログラムを記憶している。当該誘導プログラムは、DVD−ROM等に記憶された地図情報の読み取り、または通信処理部11を介した所定のネットワークサーバ(図示省略)からの変更プログラムのダウンロード等によって、適宜地図情報記憶部64の修正・更新を行う。また、メール情報記憶部62は、携帯電話50等に対して電子メールを送信するための、電子メールの送信先アドレスおよびメッセージデータファイルを記憶している。詳細については後述するが、メール情報は、イベント種別毎に、送信先アドレスおよびメッセージデータファイルが対応付けられたメッセージ対応テーブルTとして記憶されている(図4参照)。また、車両情報記憶部63は、イベントが発生した時、そのイベント種別の他、イベント発生時にGPS受信機14、RTC15および加速度センサ16から得られた各種情報を、車両情報として記憶する。なお、当該車両情報は、電子メール(電子メールファイル)に含めて(添付して)、携帯電話50等に送信される。また、地図情報記憶部64は、予め設定された自宅近辺を含む所定エリアの地図情報を記憶しており、地図情報は後述する地図データの生成のときに読み出される。
【0033】
操作部18は、タッチパネル、リモコン、音声入力器から成り、電源スイッチのON/OFF操作や電子メールの送受信動作、並びに不図示の電話回線を介した通話が可能となっている。なお、これら電子メールの送受信や通話を実現するための構成については、既存の携帯電話に搭載された技術を適用可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0034】
電源ユニット25は、車両のバッテリーと接続され、当該バッテリーからの電力供給を受けて充電される充電池(図示省略)を有している。これにより、事故発生時や停車時など車両からの電力供給が受けられない状況でも、電子メールの生成・送信処理を実行できるようになっている。
【0035】
中央制御部20は、CPU26、ROM27およびRAM28を有し、カーナビゲーション装置10全体を制御する。ROM27は、CPU26が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。また、RAM28は、CPU26が各種処理を実行する際の作業領域として利用される。CPU26は、上記の各構成要素を制御する他、イベント発生に伴って所定のイベント処理を実行する。このとき、CPU26は、加速度センサ16やマイクロフォン19の検出結果に基づいてイベント種別(“事故”、“犯罪”など)を判別し、当該イベント種別に応じて電子メールの送信相手(送信先アドレス)や送信内容(メッセージデータファイル)を決定する。また、イベント発生時における車両の現在位置(以下、「イベント発生場所」と称する)から予め設定された所定地点(以下、所定地点は、カーナビゲーション装置10所有者の「自宅」であるものとする)までの距離や経路に応じて、電子メールに添付する地図データ(車両の現在位置を地図情報に基づく地図上に示したもの)の縮尺や枚数を決定すると共に、当該地図データと、車両情報記憶部63に記憶しておいた車両情報とを電子メールファイルに含めて、携帯電話50等に送信する。
【0036】
その他、CPU26は、カーナビゲーション装置10としての通常の処理(現在位置から目的地までの経路探索、探索した経路の表示、経路の渋滞予測、位置情報、方位情報および自律航行センサ(図示省略)の検出結果に基づく現在位置の特定など)を行う。
【0037】
一方、携帯電話50も、カーナビゲーション装置10と同様に、電子メール送信機能を有していることが前提であり、中継局42および公衆回線44を介して、カーナビゲーション装置10と電子メールの送受信が可能となっている。なお、カーナビゲーション装置10のメール情報記憶部62には、電子メールを送信する送信相手として、少なくとも当該携帯電話50の電子メールアドレスが登録されているものとする。また、カーナビゲーション装置10のメール情報記憶部62には、所有者の知人を複数登録可能となっている。つまり、電子メール送信システムSYは、図示したように1台の携帯電話50ではなく、複数の携帯電話50を構成要素としても良い。また、携帯電話50に代えて、電子メール送信機能を有する種々の情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)を構成要素としても良い。
【0038】
次に、図2を参照し、カーナビゲーション装置10の機能構成(図示一点鎖線部)について説明する。カーナビゲーション装置10は、機能構成として、統括制御手段100、位置情報取得手段110、時刻情報取得手段120、イベント発生検知手段130、イベント種別判別手段140、電子メール生成手段150、表示手段160、読み出し手段170およびメール送信手段210を備えている。
【0039】
統括制御手段100は、上記の各手段と接続され、これらを統括的に制御する。位置情報取得手段110は、GPS受信機14によって得られる位置情報を取得する。時刻情報取得手段120は、RTC15によって得られる時刻情報を取得する。イベント発生検知手段130は、複数のイベントセンサ300(本実施形態では、加速度センサ16およびマイクロフォン19)の検知結果として、加速度センサ16が検出した衝撃レベルや、マイクロフォン19が得た衝撃音を取得し、事故や犯罪等のイベントの発生を検知する。統括制御手段100は、このイベント発生の検知をトリガとして、イベント処理(図5参照)を実行する。
【0040】
イベント種別判別手段140は、イベント発生検知手段130の検知結果(イベントの発生を検知したイベントセンサ300)に基づいて、発生したイベントの種別を判別する。具体的には、加速度センサ16によりイベントを検知した場合(加速度センサ16による検知を含む場合)、イベント種別を“事故”と判別し、マイクロフォン19によりイベントを検知した場合(加速度センサ16による検知を含まず、マイクロフォン19のみでイベントを検知した場合)は、悲鳴等の大声や車両盗難作業に伴う騒音を検知したものとして、イベント種別を“犯罪”と判別する。
【0041】
電子メール生成手段150は、イベント発生検知手段130がイベントの発生を検知した後、操作部18による所定の操作(電子メールの送信指示操作)が行われた場合、または操作部18による所定の操作(電子メールの非送信指示操作)が所定時間行なわれなかった場合に、イベントの発生を検知した旨のメッセージデータファイルと、地図データとを含む電子メールファイルを生成する。この場合の、メッセージデータファイルおよび電子メールの送信先アドレスは、イベント種別判別手段140による判別結果に応じて、メッセージ対応テーブルT(図4参照)を参照することにより決定する。
【0042】
また、電子メール生成手段150は、電子メールに添付するための地図データを生成する地図データ生成手段151を有している。地図データ生成手段151は、地図情報記憶部64から読み出した地図情報を利用して、イベント発生場所から自宅までの経路を示す1以上の地図データを生成するものである。また、この場合の地図データは、イベント発生場所から自宅までの距離に応じた縮尺となる。すなわち、イベント発生場所から自宅までの距離が長い場合は、広域の地図を示すために小さい縮尺を採用し、イベント発生場所から自宅までの距離が短い場合は、詳細な地図を示すために大きい縮尺を採用する。詳細については後述するが、本実施形態では、1/625000縮尺(5〔km〕スケール,レベル3)〜1/12500縮尺(100〔m〕スケール,レベル6)までの4段階の縮尺のうち(図7の点線部参照)、少なくともイベント発生場所と自宅とを1の地図データで表し得る縮尺を採用する。したがって、地図データ生成手段151は、仮にイベント発生場所から自宅までの距離が、最も縮尺が小さいレベル3の地図データ内に収容可能な距離(25〔km〕,図8(a)参照)を超える場合、複数枚の地図データを生成することとなる。
【0043】
表示手段160は、誘導経路に沿った車両誘導のため、位置情報取得手段110により取得した位置情報に基づいて、車両の現在位置を地図上に示した地図データを表示部12に表示する。また、イベント発生検知手段130がイベントの発生を検知した時は、電子メール送信の要否を、車両搭乗者に問い合わせるためのメッセージを表示部12に表示する。この問い合わせに対して、車両搭乗者が所定の操作を行うことにより、上記の電子メール生成手段150により、電子メールファイルが生成される。
【0044】
読み出し手段170は、イベント発生検知手段130によりイベント発生を検知した時、イベント発生時点の車両情報を車両情報記憶部63から読み出す。また、電子メールを生成・送信するために、地図情報記憶部64から地図情報を読み出すと共に、メール情報記憶部62からメッセージ対応テーブルT(図4参照)を読み出す。
【0045】
メール送信手段210は、電子メール生成手段150により生成された電子メールファイルを、通信処理部11を介して送信先アドレス(携帯電話50等)に送信する。このとき、電子メールファイルには、地図データ生成手段151により生成された地図データと、車両情報記憶部63に記憶されている車両情報とが含まれている。なお、電子メールファイルには、カーナビゲーション装置10の所有者名やカーナビゲーション装置10の装置IDを付加して送信することが好ましい。これにより、電子メールを受信した相手が、誰の車両に事故または犯罪が発生したかを把握することができる。
【0046】
次に、図3を参照し、電子メール送信の要否を、車両搭乗者に問い合わせるためのメッセージ表示例について説明する。なお、本実施形態において、表示部12および操作部18は、タッチパネルで構成されているものとする。表示手段160は、イベントが発生すると、それまで表示していた表示画面上にダイアログボックス70を表示する。当該ダイアログボックス70には、イベントが発生した旨およびそのイベント種別、電子メール送信の要否を問い合わせるためのメッセージ、並びに問い合わせに対する回答の選択肢(選択ボタン)71,72が表示される。同図の例は、イベント種別が“事故”の場合を示したものであり、「イベントが発生した旨およびそのイベント種別」が、「大きな衝撃が加わりました。」という文章で表現されている。また、回答の選択肢としては、「送信する」71および「送信しない」72の2つのボタンを表示し、「送信する」71が押下された場合は、メール送信手段210により電子メールが送信される。一方、所定時間(例えば、1分程度)の間に、「送信しない」72が押下された場合は、電子メール生成・送信処理を中止する。
【0047】
次に、図4を参照し、メール情報記憶部62に記憶されるメッセージ対応テーブルTについて説明する。上記の通り、メッセージ対応テーブルTは、イベント種別毎に、送信先アドレスとメッセージデータファイルとが対応付けられたものである。例えば、同図の例は、イベント種別が“事故”と判別された場合、送信先アドレス(0001@****.ne.jp)に対して、事故の可能性を伝えるメッセージデータファイルが送信され、イベント種別が“犯罪”と判別された場合、送信先アドレス(0001@****.ne.jpおよび0002@****.ne.jp)に対して、犯罪の可能性を伝えるメッセージデータファイルが送信されることを示している。なお、送信先アドレスおよびメッセージデータファイルの内容は、カーナビゲーション装置10の所有者が、操作部18の操作によって書き換えられるようになっている。
【0048】
次に、図5および図6を参照し、カーナビゲーション装置10のイベント処理について説明する。図5は、イベント処理のメインルーチンを示すフローチャートであり、図6は、そのサブルーチン(電子メール生成・送信処理)を示すフローチャートである。図5に示すように、カーナビゲーション装置10は、イベント発生を検知すると(S01:Yes)、図3に示したダイアログボックス70(電子メールの送信の要否を問い合わせるメッセージ)を表示部12に表示する(S02)。当該表示に対して、選択肢「送信する」71が選択されると(S03:Yes)、電子メール生成・送信処理を実行する(S04)。
【0049】
一方、ダイアログボックス70の表示に対して、選択肢「送信しない」72が選択されると(S05:Yes)、電子メール生成・送信処理を実行することなく、イベント処理を終了する。さらに、イベント発生後、選択肢71,72が選択されることなく所定時間が経過した場合は(S06:Yes)、電子メール生成・送信処理を実行する(S04)。これは、大きな事故で、車両搭乗者が操作不能状態になってしまうことを想定したものであり、そのような状況でも、電子メール生成・送信処理を実行することができるようになっている。
【0050】
続いて、図6を参照し、電子メール生成・送信処理(図5のS04に相当)について説明する。カーナビゲーション装置10は、電子メール生成・送信処理において、まず電子メール生成処理を実行する(図示点線部)。電子メール生成処理では、イベント発生場所から自宅までの距離算出および経路探索を行う(S41)。また、これら距離算出結果および経路探索結果に応じて、地図データを生成する(S42)。本実施形態では、S41におけるイベント発生場所から自宅までの距離算出結果に応じて、地図データの縮尺を決定し、イベント発生場所から自宅までの経路探索結果に応じて、地図データの枚数を決定する。
【0051】
続いて、カーナビゲーション装置10は、イベント種別に応じて、送信先アドレスおよびメッセージデータファイルを決定する(S43)。ここでは、イベント種別を“事故”と判別した場合(加速度センサ16による検知を含む場合)、イベント種別“事故”に応じた送信先アドレスおよびメッセージデータファイルをメッセージ対応テーブルT(図4参照)から読み出す。また、イベントの種別を“犯罪”と判別した場合(マイクロフォン19のみによって検知した場合)、イベント種別“犯罪”に応じた送信先アドレスおよびメッセージデータファイルをメッセージ対応テーブルTから読み出す。カーナビゲーション装置10は、上記のS41〜S43の電子メール生成処理を終えると、電子メールを送信し(S44)、電子メール生成・送信処理を終了する。
【0052】
次に、図7ないし図10を参照し、地図データの生成処理(図6のS42に相当)について詳細に説明する。図7は、地図データの縮尺の種類を示す図であり、図8は、イベント発生場所から自宅までの距離と地図データの縮尺との関係を示す図であり、図9および図10は、地図データを複数枚生成する場合の生成例を示す図である。
【0053】
図7に示すように、本実施形態のカーナビゲーション装置10は、誘導案内を行うために表示部12に表示される地図データの縮尺が、1/6250000縮尺(50〔km〕スケール,レベル1)〜1/1250縮尺(10〔m〕スケール,レベル8)までの8段階となっている。このうち、電子メールに添付する地図データとして生成されるのは、1/625000縮尺(5〔km〕スケール,レベル3)〜1/12500縮尺(100〔m〕スケール,レベル6)までの4段階のうち、いずれかである。このように、電子メールに添付する地図データの縮尺の幅を限定することで、縮尺が大きすぎたり小さすぎたりすることにより、電子メールの受信者側で、事故や犯罪の発生場所を認識しづらくなるといった問題を解消できる。
【0054】
続いて、図8を参照し、地図データの縮尺を決定する処理について説明する。上記の通り、地図データの縮尺は、1/625000縮尺(レベル3)〜1/12500縮尺(レベル6)までの4段階であり、これらのうち、いずれを採用するかは、イベント発生場所から自宅までの距離に基づく。すなわち、図8(a)に示すように、イベント発生場所から自宅までの距離が、500〔m〕未満の場合、1/12500縮尺(レベル6)を採用し、500〔m〕以上2.5〔km〕未満の場合、1/62500縮尺(レベル5)を採用し、2.5〔km〕以上5〔km〕未満の場合、1/125000縮尺(レベル4)を採用し、5〔km〕以上の場合、1/625000縮尺(レベル3)を採用する。このように、イベント発生場所が自宅から遠方に位置する場合、地図データの縮尺を小さくし、イベント発生場所が自宅から近くの場合、地図データの縮尺を大きくすることで、送信相手は、自宅からイベント発生場所までのアクセスを一目で(1枚の地図データによって)把握することができ、利便性が良い。
【0055】
また、各縮尺の地図データは、1枚の地図データ(表示部12の横方向長さ)に収容可能な距離が、それぞれ1/12500縮尺(レベル6)の場合、略500〔m〕、1/62500縮尺(レベル5)の場合、略2.5〔km〕、1/125000縮尺(レベル4)の場合、略5〔km〕、1/625000縮尺(レベル3)の場合、略25〔km〕となっている。これらは、図8(b)の地図データの例に示すように、例えば、1/625000縮尺(5〔km〕スケール,レベル3)の場合、地図データの横方向長さが略25〔km〕となり、イベント発生場所(PA)と自宅(PB)との距離が25〔km〕未満であれば、その範囲内にイベント発生場所(PA)と自宅(PB)との両方が表示可能であることを意味している。これにより、極力少ない枚数の地図データで、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの経路を示すことができ、ひいては電子メールの受信者側でイベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの経路80を把握し易くなると共に、データ受信量の増加に伴う受信者側の負担を軽減できる。なお、極力少ない枚数の地図データで、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの経路80を示すためには、地図データの方位を適宜変化させる必要があり、地図データの向きが一律とならないため、地図データ上に、方位記号75を含めることが好ましい。
【0056】
但し、上記のように、イベント発生場所(PA)と自宅(PB)との両方が、1つの地図データ上に表示可能な縮尺を選択するようにしても、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの経路80が複雑な場合や、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの距離が25〔km〕を超える場合は、複数枚の地図データで、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの経路80が示されることとなる。図9は、前者の一例を示したものである。
【0057】
図9に示すように、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの距離Lが3〔km〕の場合、上記の通り、地図データの縮尺としては、レベル4(1/125000縮尺,1〔km〕スケール)を採用することとなる(図8(a)参照)が、当該縮尺の地図データを採用すると、同図に示す経路80の場合、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの全ての経路を1枚の地図データ上に表示することができない。このため、同図に示す例では、3枚の地図データD11,D12,D13が生成されることとなる。なお、電子メールの受信者側で経路80を把握し易くするため、各地図データD11,D12,D13の縮尺は同一であり、且つ各地図データD11,D12,D13の一部が重複するように生成されることが好ましい。
【0058】
一方、図10は、後者(イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの距離が25〔km〕を超える場合)の一例を示したものである。同図に示す例の場合、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの距離Lが50〔km〕であるため、地図データの縮尺としては、最も広域のレベル3(1/625000縮尺,5〔km〕スケール)を採用することとなる(図8(a)参照)。また、同図に示す経路80の場合、イベント発生場所(PA)から自宅(PB)までの全ての経路を示すために、3枚の地図データD21,D22,D23が生成される。本例においても、各地図データD21,D22,D23の縮尺は同一であり、且つ各地図データD21,D22,D23の一部が重複するように生成されることが好ましい。
【0059】
次に、図11を参照し、上記の電子メール生成・送信処理(図6参照)によってカーナビゲーション装置10が送信する電子メールの一例について説明する。ここでは、電子メールの送信相手として登録された携帯電話50の表示画面Dに、電子メールの内容が表示された様子を示している。また、ここでは、イベント種別が“事故”の場合の表示例を示している。
【0060】
同図に示すように、電子メール生成・送信処理では、カーナビゲーション装置10の所有者によって登録されたユーザ名を送信元とし、「緊急通知」を件名とした電子メールを送信する。また、電子メールの内容としては、事故発生の可能性があるためカーナビゲーション装置10から自動送信された電子メールであること、事故発生場所を示す地図データ(例えば、図8(b)参照)を添付ファイル90としていること、並びに車両情報が記載される。なお、同図の例では、車両情報として、イベント種別、イベント発生日時、イベント発生時の車両速度、エアバックの作動状況を示しているが、この他、イベント発生場所の住所、方向指示器のオン/オフ情報、ブレーキ圧情報、ハンドル舵角情報等を含めても良い。また、車両情報を添付ファイルとしても良い。
【0061】
以上説明したとおり、本実施形態の電子メール送信システムSYによれば、イベント発生時において、カーナビゲーション装置10が、メッセージ対応テーブルTに登録された送信先アドレスを宛先とした電子メールを送信するため、予め送信先アドレスとして登録しておいた知人に対し、事故発生や犯罪発生などの異常事態を迅速に通知することができる。また、電子メールファイルには、イベント発生場所を示す地図データを含めて(添付して)送信するため、分かり易く送信相手に伝えることができる。これにより、事故や犯罪の発生によりパニック状態に陥ってしまっても、最低限必要な情報を身近な人物に確実に伝えることができ、その身近な人物の協力によって、警察等が事故や犯罪の対応を円滑に行うことができるといった利点もある。
【0062】
また、イベント発生場所を示す地図データは、カーナビゲーション装置10で車両誘導を行うために表示するデータを利用するため、電子メールファイルに含めるための地図データの生成機構を別途必要とせず、本発明を実現するための制御負荷の増大およびそれに伴うカーナビゲーション装置10の装置コストの上昇を抑えることができる。
【0063】
また、イベント発生時には、電子メール送信の要否を問い合わせるためのメッセージを表示部12(タッチパネル)に表示し、当該メッセージに対して「送信する」71(図3参照)が選択された場合に、電子メールの生成・送信処理を実行するため、イベントが発生した場合でも、車両搭乗者が電子メールを送信したくない場合や、送信する必要が無いと判断した場合に電子メールの送信を中止することができる。また、イベント発生から所定時間の間に、電子メールの送信を禁止する操作(選択肢「送信しない」72の選択)が行なわれなかった場合は、電子メールの生成・送信処理を実行するため、大きな事故でユーザが操作不能状態になっても、確実に電子メールを送信することができる。
【0064】
また、電子メールに添付する地図データとして、イベント発生場所と自宅の両方を1の地図データ上で表すことが可能な縮尺の地図データを採用するため、イベント発生場所が遠方の場合、縮尺が小さくなり、イベント発生場所が近くの場合、縮尺が大きくなる。これにより、電子メール受信者は、自宅からイベントの発生場所までのアクセスを一目で(1の地図データで)把握することができ、利便性が良い。また、電子メールに添付する地図データは、イベント発生場所から自宅までの経路を示すものであるため、電子メール受信者がイベント発生場所までの経路を容易に把握することができる。
【0065】
なお、上記の実施形態では、イベント発生場所から自宅までの距離に応じて、地図データの縮尺を決定するものとしたが、イベント発生場所から自宅までの経路も考慮して、地図データの縮尺を決定しても良い。すなわち、イベント発生場所から自宅までの距離が近い場合でも、その経路が距離に応じた縮尺の地図データ内に収まらない場合(すなわち、図9に示したような例の場合)、縮尺を小さくするようにしても良い。この構成によれば、電子メール受信者が、極力少ない地図データで、イベント発生場所から自宅までの経路を確認することができる。また、所定地点は自宅以外の、予め設定された場所(勤務先や知人宅)でも良い。
【0066】
また、電子メールに添付する地図データとして、イベント発生時に表示部12に表示されていた地図データを用いても良い。この構成によれば、電子メールに含める地図データとして、イベント発生時に表示されていた表示データをそのまま利用できるため、地図データの生成処理が容易である。
【0067】
さらに、電子メールに添付する地図データとして、予め設定された所定縮尺の地図データを用いても良い。この構成によれば、電子メールに添付する地図データとして、電子メールの送信相手が最も分かり易いと考えられる所定縮尺の地図データ(レベル3〜レベル6のいずれかが好ましい,図7参照)を採用できる。つまり、上記のとおり縮尺が大きすぎても小さすぎても、電子メール受信者側で、事故や犯罪の発生場所を確認しづらいが、所定縮尺の地図データであれば、そのような問題を解決することができる。なお、所定縮尺は、カーナビゲーション装置10の環境設定等において、ユーザが変更可能であることが好ましい。
【0068】
また、上記の実施形態では、加速度センサ16およびマイクロフォン19から得られる情報に基づいて、イベント発生を検知するものとしたが、車両のボンネットフードの衝撃検出や、エアバッグの作動検出、ユーザのスイッチ操作等によって、事故発生を検知するようにしても良い。また、イベント種別としては、事故発生や犯罪発生のみならず、暴風による車体の揺れなどの自然災害を検知したり、犯罪種別(例えば、車両盗難、車両内部に搭載されたオーディオ機器等の盗難、運転席における暴行、助手席における暴行、後部座席における暴行など)を特定するようにしても良い。また、犯罪種別に応じても、電子メールのメッセージデータファイルや送信先を変更するようにしても良い。
【0069】
また、マイクロフォン19から得られる音声信号を解析し、その解析結果に基づいて、イベント種別や犯罪種別を特定するようにしても良い。例えば、運転手が「どろぼう」と叫んだ場合は、マイクロフォン19から得られる音声信号を解析して、犯罪種別が“車両内部における盗難”であると特定したり、マイクロフォン19から得られる金属音を解析して、犯罪種別が“車両盗難”であると特定することができる。また、車両前方と車両後方にマイクロフォン19を取り付け、車両前方のマイクロフォン19が衝撃音を検知した場合は、イベント種別が車両前方の事故であると特定しても良い。また、マイクロフォン19に代えて、衝撃を検出可能な各種センサを用いても良い。
【0070】
また、電子メールの送信を行うための通信処理部11として、携帯電話(携帯電話50とは異なる)等の移動情報端末を利用するようにしてもよい。この場合、移動情報端末を、ドライブモード時においてのみ通信処理部11として機能できるように構成すれば、運転時における通話や電子メールの操作を禁止することができ、ユーザの安全面において好ましい。
【0071】
また、上記の実施形態に示した、カーナビゲーション装置10の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピュータを、カーナビゲーション装置10の各手段として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係るカーナビゲーション装置を適用した電子メール送信システムのシステム構成図である。
【図2】カーナビゲーション装置のブロック図である。
【図3】イベント発生時における表示部の表示例を示す図である。
【図4】メッセージ対応テーブルの一例を示す図である。
【図5】カーナビゲーション装置の動作<イベント処理>を示すフローチャートである。
【図6】カーナビゲーション装置の動作<電子メール生成・送信処理>を示すフローチャートである。
【図7】地図データの縮尺の種類を示す図である。
【図8】イベント発生場所から自宅までの距離と地図データの縮尺との関係を示す図である。
【図9】地図データを複数枚生成する場合の生成例を示す図である。
【図10】地図データを複数枚生成する場合の生成例を示す図である。
【図11】カーナビゲーション装置により送信される電子メールの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
10…カーナビゲーション装置 11…通信処理部 12…表示部 14…GPS受信機 15…RTC 16…加速度センサ 17…記憶部 18…操作部 19…中央制御部 130…イベント発生検知手段 140…イベント種別判別手段 150…電子メール生成手段 151…地図データ生成手段 210…メール送信手段 300…イベントセンサ T…メッセージ対応テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアの地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
電子メールの送信先アドレスと、当該電子メールの送信内容となるメッセージデータファイルとを記憶しておくためのメール情報記憶部と、
車両の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報に基づいて、前記現在位置を前記地図情報に基づく地図上に示した地図データを表示する表示手段と、
イベントの発生を検知するイベント発生検知手段と、
前記イベント発生検知手段が前記イベントの発生を検知した時、前記イベントの発生を検知した旨の前記メッセージデータファイルと、前記車両の現在位置を示した地図データとを含む電子メールファイルを生成する電子メール生成手段と、
生成した前記電子メールファイルを前記送信メールアドレスに送信するメール送信手段と、を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
各種操作を行うための操作部をさらに備え、
前記表示手段は、前記イベント発生検知手段が前記イベントの発生を検知した時、前記電子メール送信の要否を問い合わせるためのメッセージを表示し、
前記電子メール生成手段は、前記イベントの発生後、前記操作部により前記メッセージに対する所定の操作が行われた場合に、前記電子メールファイルを生成することを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記電子メール生成手段は、前記地図データとして、前記イベント発生時に前記表示手段により表示されていた地図データを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記電子メール生成手段は、前記地図データとして、予め設定された所定縮尺の地図データを、前記電子メールファイルに含めることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記電子メール生成手段は、前記地図データとして、前記イベント発生時における現在位置から予め設定された所定地点までの距離の少なくとも一方に応じた縮尺の地図データを用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記地図データは、前記イベント発生時における現在位置から予め設定されている所定地点までの経路を示すことを特徴とする請求項4または5に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
前記イベント発生検知手段の検知結果に基づいて、発生した前記イベントの種別を判別するイベント種別判別手段をさらに備え、
前記メール情報記憶部は、複数の前記送信先アドレスおよび複数の前記メッセージデータファイルを、前記イベントの種別と対応付けたメッセージ対応テーブルを記憶し、
前記電子メール生成手段は、前記イベント発生検知手段が前記イベントの発生を検知した時、前記イベント種別判別手段により判別した前記イベントの種別に応じて、前記メッセージ対応テーブルから、前記送信先アドレスおよび前記メッセージデータファイルを読み出し、前記電子メールファイルを生成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項8】
前記イベント発生検知手段は、複数のイベントセンサの検知結果を取得し、
前記イベント種別判別手段は、前記イベントを検知した前記イベントセンサに応じて、前記イベントの種別を判別することを特徴とする請求項7に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項9】
前記電子メール生成手段は、前記イベント種別判別手段の判別結果、前記イベント発生時の時刻情報、速度情報、エアバック作動情報、方向指示器のオン/オフ情報、ブレーキ圧情報、ハンドル舵角情報、のうち1以上を含む車両情報を、前記電子メールファイルに含めることを特徴とする請求項7または8に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項10】
電子メール送信機能を搭載したカーナビゲーション装置の制御方法であって、
前記カーナビゲーション装置が、
車両の現在位置を地図上に示した地図データを表示するステップと、
イベントの発生を検知するステップと、
前記イベントの発生を検知した時、前記イベントの発生を検知した旨のメッセージデータファイルと、前記地図データとを含む電子メールファイルを、所定のアドレスに送信するステップと、を実行することを特徴とするカーナビゲーション装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、請求項10に記載のカーナビゲーション装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−129047(P2009−129047A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301307(P2007−301307)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】