説明

クロック生成回路及びこれを備える半導体装置並びにデータ処理システム

【課題】クロック生成回路において、カウンタ回路のスタックやロック動作の遅延を防止する。
【解決手段】位相判定信号PD0を生成する位相判定回路120と、位相判定信号PD0をサンプリングしこれに基づいて位相判定信号PD2を生成するサンプリング回路130と、位相判定信号PD2に基づいて内部クロック信号LCLKを生成するクロック生成部110とを備える。サンプリング回路130は、サンプリング周期内に位相判定信号PD0の論理レベルが変化した場合に位相判定信号PD2を固定する連続判定回路132と、位相判定信号PD1がハイレベルを示すまで位相判定信号PD2をハイレベルに固定する初期動作回路133と、位相判定信号PD1がハイレベルを示した後、連続判定回路132の動作を無効化する無効化回路134とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロック生成回路及びこれを備える半導体装置に関し、特に、DLL回路のように位相調整された内部クロック信号を生成するクロック生成回路及びこれを備える半導体装置に関する。また、本発明は、このような半導体装置を備えるデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータなどのメインメモリとして、クロックに同期した動作を行うシンクロナスメモリが広く使用されている。中でも、DDR(Double Data Rate)型のシンクロナスメモリでは、入出力データを外部クロック信号に対して正確に同期させる必要があることから、外部クロック信号に同期した内部クロック信号を生成するためのDLL回路が必須である(特許文献1参照)。
【0003】
DLL回路は、外部クロック信号と内部クロック信号の位相に基づいてカウント値が更新されるカウンタ回路と、カウンタ回路のカウント値に基づいて外部クロック信号を遅延させることにより内部クロック信号を生成するディレイラインとを備えている。カウンタ回路の初期値は、最小値又は最大値に設定されることがあり、この方式の場合、DLL回路の初期化直後においては、位相判定結果にかかわらずカウンタ回路が強制的にカウントアップ又はカウントダウンされる。
【0004】
図8は、上記の方式によるDLL回路の動作を説明するための図である。
【0005】
図8は、外部クロック信号CKの波形と、DLL回路の出力信号である内部クロック信号LCLK(不図示)との関係を示す波形図である。図8に示すように、DLL回路の初期化時において内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが符号Aの位置にある場合、内部クロック信号の位相を外部クロック信号CKよりも進める(DLL回路内のカウンタ回路をカウントダウンして、可変遅延回路であるディレイラインのディレイ値を小さくする)ことによって外部クロック信号CKの立ち上がりエッジ#0に同期させれば、最も短時間でDLL回路をロックさせることができる。しかしながら、カウンタ回路の初期値が、既に最小値に設定されている場合(即ち、可変遅延回路であるディレイラインが最少ディレイ値に設定されている場合)には、これ以上のカウントダウン(ディレイ値の更なる縮小)ができないことから、時間軸的な視点において、外部クロック信号CKの次の立ち上がりエッジ#1に同期するように、内部クロック信号の位相を遅らせる(カウンタ回路をカウントアップする)必要がある。すなわち、DLL回路の初期化後のDLL回路の可変遅延回路の遅延制御により、外部クロック信号CKと内部クロック信号LCLKとの位相がマッチングすることを示す「ロック」に至るまでの位相調整制御においては、位相比較とその結果に従ってディレイラインの遅延調整を繰り返し実行する初期の位相制御期間に、内部クロック信号の立ち上がりエッジが領域B(正確には、外部クロック信号CKのHigh期間)に位置している場合は、位相比較の結果がカウントダウンを示しているにもかかわらず、強制的にカウントアップを行う必要がある。尚、位相比較は、外部クロック信号CKの立ち上がりエッジに対して行う例である。また、これ以降の説明において、位相比較結果が「カウントダウンを示す」を単に「カウントダウン」と呼び、「カウントアップを示す」を単に「カウントアップ」と呼ぶことがある。外部クロック信号と内部クロック信号との位相がマッチングすることを示すロックを、「DLLロック」と呼ぶことがある。尚、マッチングとは、時間軸的な視点において、複数回の位相比較結果が、所定の結果パターンに合致することを示す場合があり、単に一回の位相比較結果が一致したことを示すことでない場合があることに注意が必要である。
【0006】
このような強制的なカウントアップ動作は、当然ながら、DLL回路がロックする際に解除する必要がある。このため、DLL回路がロックする際に現れる特徴、言い換えればロックに至る直前、例えば、内部クロック信号が、外部クロック信号の立ち上がりエッジ#1に近づき、位相比較の結果がカウントダウンとカウントアップを交互に繰り返すといった特徴が検出された場合には、強制的なカウントアップ動作を終了し、位相比較の結果に基づいて通常通りカウントダウン又はカウントアップが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−217947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したDLLロック時に現れる特徴は、DLLロック時のみならず、電源変動などのノイズを受けた場合にも現れることがある。一例として、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジがまだ図8に示す領域Bに位置しており、位相比較結果(カウントダウン)によらず強制的なカウントアップを実施している期間中であるにもかかわらず、様々なノイズの影響で位相比較の結果がカウントダウンから一時的にカウントアップに変化した場合、ノイズが消えると位相比較の結果は再びカウントダウンに戻ることから、かかる比較結果の遷移をDLLロック(内部クロック信号のエッジが、外部クロック信号CKのエッジ#1に到達した)と誤認してしまうおそれがある。他の例として、内部クロック信号の立ち上がりエッジが図8に示す領域Bから領域Cに移動した直後(すなわち、位相比較の結果がカウントダウンからカウントアップに変化した直後)に、ノイズの影響で内部クロック信号の立ち上がりエッジが領域Cから領域Bに戻ってしまった場合、位相比較の結果は再びカウントダウンに戻ることから、かかる比較結果の遷移をDLLロックと誤認してしまうおそれがある。これらの誤認が生じると、強制的なカウントアップ動作が解除されることから、実際にカウントダウンが進められ、立ち上がりエッジ#0を目指して位相が進められてしまう。
【0009】
ところが、本例では符号Aの位置がカウンタ回路の最小値に対応しており、これ以上カウントダウンすることはできない。つまり、符号Aの位置でカウンタ回路がスタックしてしまい、それ以上の位相調整が不可能となってしまう。つまり、前述の様にディレイラインを最小のディレイ値に設定しても外部クロック信号の立ち上がりエッジ#0に到達しないことから、この位相調整制御がスタックすることを示す。
【0010】
このような問題は、DLL回路に限らず、位相比較の結果に基づいて内部クロック信号の位相を調整するクロック生成回路において共通に生じる問題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるクロック生成回路は、第1のクロック信号と第2のクロック信号の位相に基づいて第1の位相判定信号を生成する位相判定回路と、サンプリング周期ごとに前記第1の位相判定信号をサンプリングし、これに基づいて第2の位相判定信号を生成するサンプリング回路と、前記第2の位相判定信号に基づいて、第3のクロック信号を生成するクロック生成部と、を備え、前記サンプリング回路は、前記サンプリング周期ごとに前記第1の位相判定信号をサンプリングするサンプリング部と、所定の期間内に前記第1の位相判定信号の論理レベルが変化したことに応答して、前記第2の位相判定信号の論理レベルの変化を禁止する連続判定回路と、初期化後、前記サンプリング部にサンプリングされた前記第1の位相判定信号が所定の論理レベルを示すまで、前記第2の位相判定信号の論理レベルを前記所定の論理レベルに固定する初期動作回路と、前記サンプリング部にサンプリングされた前記第1の位相判定信号が前記所定の論理レベルを示した後、前記連続判定回路の動作を無効化する無効化回路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による半導体装置は、ハイとロウの期間で一サイクルをそれぞれ構成する第1のクロック信号と第2のクロック信号の位相に基づいて第1の位相判定信号を生成する位相判定回路と、少なくとも前記第1の位相判定信号に基づいて第2の位相判定信号を生成するサンプリング回路と、前記第2の位相判定信号に基づいて、前記第1のクロック信号に所定の遅延量を与えることによって前記第1のクロック信号を遅延させた第3のクロック信号を生成し、且つ、前記第3のクロック信号に対応した前記第2のクロック信号を生成するクロック生成部と、を備え、前記サンプリング回路は、前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のハイ期間中にあるとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号によらず前記遅延量を増す信号とし、且つ、前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のハイ期間からロウ期間に到達し、且つ、ロウ期間中にあるとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号に基づいて前記遅延量を増す信号とし、且つ、前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のロウ期間からハイ期間に到達したとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号に基づいて前記遅延量を減ずる信号とする、ことを特徴とするクロック生成回路を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定の期間内に第1の位相判定信号の論理レベルが変化した場合、第2の位相判定信号の論理レベルの変化を禁止する連続判定回路を備えていることから、図8に示した領域Bから領域Cへ移動する際における位相判定信号の遷移や、ノイズによる第1の位相判定信号の一時的な遷移が無視される。これにより、カウンタ回路がスタックするという従来の問題を解決することが可能となる。
【0014】
しかも、サンプリングされた第1の位相判定信号が所定の論理レベルを示した場合には、連続判定回路のその後の動作を無効化する無効化回路を備えていることから、連続判定回路の動作に起因するDLLロックの遅れも生じない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の全体構成を示すブロック図である。
【図2】DLL回路100の構成を示すブロック図である。
【図3】サンプリング回路130の構成をより詳細に示す回路図である。
【図4】DLL回路100の動作を説明するための動作波形図である。
【図5】DLL回路100の動作を説明するための別の動作波形図である。
【図6】無効化回路134を設けなかった場合の問題を説明するための動作波形図である。
【図7】半導体装置10を用いたデータ処理システム500の構成を示すブロック図である。
【図8】外部クロック信号CKと内部クロック信号のアクティブエッジとの位置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の課題を解決する技術思想(コンセプト)の代表的な一例は、以下に示される。但し、本願の請求内容はこの技術思想に限られず、本願の請求項に記載の内容であることは言うまでもない。すなわち、本発明は、外部クロック信号CK(第1のクロック信号)の立ち上がりエッジに向けて、内部クロック信号LCLKの位相を制御するカウント値を更新する位相調整制御において、内部クロック信号LCLKが、第1のクロック信号の立ち上がりエッジ(#1)前に必ず訪れる(出現する)第1のクロック信号の立ち下がりエッジを超える(時間軸的には「過ぎる」)までは連続判定回路による動作を有効とする。且つし、内部クロック信号が、第1のクロック信号の立ち下がりエッジを時間軸的に超えた後は連続判定回路による動作を無効とし、位相判定結果を可変遅延回路の遅延量に反映することを技術思想とするものである。つまり、連続判定回路が除去すべきノイズは、第1のクロック信号の立ち下がりエッジを超えるまで又は超える際に生じるノイズであることから、第1のクロック信号の立ち下がりエッジを超えた後は連続判定回路の動作は不要であり、むしろ、連続判定回路をそのまま動作させるとDLLロックの判定時間に遅れが生じることから、第1のクロック信号の立ち下がりエッジを超えた後は連続判定回路の動作を無効化する。
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の全体構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態による半導体装置10はDDR型のSDRAMであり、外部端子として、クロック端子11a,11b、コマンド端子12a〜12e、アドレス端子13及びデータ入出力端子14を備えている。その他、電源端子やデータストローブ端子なども備えられているが、これらについては図示を省略してある。
【0020】
クロック端子11a,11bは、それぞれ外部クロック信号CK,/CKが供給される端子であり、供給された外部クロック信号CK,/CKは、クロック入力回路21に供給される。本明細書において信号名の先頭に「/」が付されている信号は、対応する信号の反転信号又はローアクティブな信号であることを意味する。したがって、外部クロック信号CK,/CKは互いに相補の信号である。クロック入力回路21は、外部クロック信号CK,/CKに基づいて単相の内部クロック信号ICLKを生成し、これをDLL回路100に供給する。
【0021】
DLL回路100は、内部クロック信号ICLKを受けて、外部クロック信号CK,/CKに対して位相制御された内部クロックLCLKを生成し、これを少なくともデータ入出力回路70に供給する。図1に示すように、DLL回路100には、クロック生成部110、位相判定回路120、サンプリング回路130、分周回路140及びレプリカ回路150が含まれている。DLL回路100の詳細について後述する。
【0022】
コマンド端子12a〜12eは、それぞれロウアドレスストローブ信号/RAS、カラムアドレスストローブ信号/CAS、ライトイネーブル信号/WE、チップセレクト信号/CS、及びオンダイターミネーション信号ODTが供給される端子である。これらのコマンド信号CMDは、コマンド入力回路31に供給される。コマンド入力回路31に供給されたこれらコマンド信号CMDは、コマンドデコーダ32に供給される。コマンドデコーダ32は、コマンド信号の保持、デコード及びカウントなどを行うことによって、各種内部コマンドICMDを生成する回路である。生成された内部コマンドICMDは、ロウ系制御回路51、カラム系制御回路52、モードレジスタ53、データ入出力回路70及びDLL回路100などに供給される。図1に示すように、内部コマンドICMDのうちリセット信号RSTについては、少なくともDLL回路100に供給される。
【0023】
アドレス端子13は、アドレス信号ADDが供給される端子であり、供給されたアドレス信号ADDは、アドレス入力回路41に供給される。アドレス入力回路41の出力は、アドレスラッチ回路42に供給される。アドレスラッチ回路42にラッチされたアドレス信号ADDのうち、ロウアドレスについてはロウ系制御回路51に供給され、カラムアドレスについてはカラム系制御回路52に供給される。また、モードレジスタセットにエントリしている場合には、アドレス信号ADDはモードレジスタ53に供給され、これによってモードレジスタ53の内容が更新される。
【0024】
ロウ系制御回路51の出力は、ロウデコーダ61に供給される。ロウデコーダ61は、メモリセルアレイ60に含まれるいずれかのワード線WLを選択する回路である。メモリセルアレイ60内においては、複数のワード線WLと複数のビット線BLが交差しており、その交点にはメモリセルMCが配置されている(図1では、1本のワード線WL、1本のビット線BL及び1個のメモリセルMCのみを示している)。ビット線BLは、センス回路63内の対応するセンスアンプSAに接続されている。
【0025】
また、カラム系制御回路52の出力は、カラムデコーダ62に供給される。カラムデコーダ62は、センス回路63に含まれるいずれかのセンスアンプSAを選択する回路である。カラムデコーダ62によって選択されたセンスアンプSAは、メインI/O線MIOを介してデータアンプ64に接続される。データアンプ64は、リード動作時においてはセンスアンプSAによって増幅されたリードデータをさらに増幅し、リードライトバスRWBSを介してこれをデータ入出力回路70に供給する。一方、ライト動作時においては、リードライトバスRWBSを介してデータ入出力回路70から供給されるライトデータを増幅し、これをセンスアンプSAに供給する。
【0026】
データ入出力端子14は、リードデータDQの出力及びライトデータDQの入力を行うための端子であり、データ入出力回路70に接続されている。データ入出力回路70には出力バッファ71が含まれており、リード動作時においては内部クロックLCLKに同期して出力バッファ71からリードデータDQが出力される。尚、図1にはデータ入出力端子14を1つだけ示しているが、データ入出力端子14の数が1つである必要はなく、複数個設けても構わない。
【0027】
以上が本実施形態による半導体装置10の全体構成である。次に、DLL回路100について詳細に説明する。
【0028】
図2は、DLL回路100の構成を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、DLL回路100は、クロック生成部110、位相判定回路120、サンプリング回路130、分周回路140及びレプリカ回路150を含んでいる。
【0030】
クロック生成部110は、内部クロック信号ICLKに基づいて出力用の内部クロック信号LCLKを生成する回路ブロックであり、ディレイライン111及びカウンタ回路112を含んでいる。ディレイライン111は、内部クロック信号ICLKを遅延させることによって出力用の内部クロック信号LCLKを生成する回路であり、その遅延量はカウンタ回路112のカウント値によって定められる。特に限定されるものではないが、ディレイライン111には、相対的に粗い調整ピッチで内部クロック信号ICLKを遅延させるコース(Coarse)ディレイラインと、相対的に細かい調整ピッチで内部クロック信号ICLKを遅延させるファイン(Fine)ディレイラインを含んでいることが好ましい。
【0031】
また、カウンタ回路112には、図1に示したコマンドデコーダ32からリセット信号RSTが供給される。リセット信号RSTが入力されると、カウンタ回路112のカウント値は初期値にリセットされる。本実施形態においては、カウンタ回路112の初期値は最小値に設定されている。最小値とは、ディレイライン111の遅延量が、もうこれ以上小さくできないという意味の最小となるカウント値である。
【0032】
図2に示すように、内部クロック信号LCLKは、レプリカ回路150に供給される。レプリカ回路150は、図1に示した出力バッファ71と実質的に同一の回路構成を有しており、内部クロック信号LCLKに同期してフィードバッククロック信号fbCLKを出力する。これにより、フィードバッククロック信号fbCLKの位相は、出力信号(リードデータ)DQの位相と正確に一致することになる。但し、レプリカ回路150を構成するトランジスタのサイズとしては、出力バッファ71を構成するトランジスタのサイズと同一である必要はなく、インピーダンスが実質的に同じである限り、シュリンクしたトランジスタを用いても構わない。尚、レプリカ回路150には、クロック入力回路21と実質的に同一の回路構成をも含む。
【0033】
フィードバッククロック信号fbCLK及び内部クロック信号ICLKは、位相判定回路120に供給される。位相判定回路120は、内部クロック信号ICLKとフィードバッククロック信号fbCLKとの位相差を検出する回路である。上述の通り、フィードバッククロック信号fbCLKの位相はリードデータDQの位相と一致するよう、ディレイライン111によって調整されるが、電圧や温度などディレイライン111の遅延量に影響を与えるパラメータの変動や、外部クロック信号CK,/CK自体の周波数変動などによって、両者の位相は刻々と変化する。位相判定回路120はこのような変化を検出し、内部クロック信号ICLK(外部クロック信号CK)に対してフィードバッククロック信号fbCLKの位相が進んでいるか或いは遅れているかを判定する。判定は内部クロック信号ICLKの毎周期ごとに行われ、その結果は位相判定信号PD0としてサンプリング回路130に供給される。
【0034】
サンプリング回路130は、サンプリング周期ごとに位相判定信号PD0をサンプリングし、これに基づいて位相判定信号PD2を生成する回路であり、サンプリング部131と、連続判定回路132と、初期動作回路133と、無効化回路134とを含んでいる。
【0035】
サンプリング部131は、サンプリング周期を規定するサンプリングクロック信号LCYC01,02に同期して、位相判定信号PD0をサンプリングする回路である。ここで、サンプリングクロック信号LCYC01,02は、分周回路140によって生成される信号である。分周回路140は、内部クロック信号ICLKを分周することによって、より周波数の低いサンプリングクロック信号LCYC01,02及びセット信号SETを生成する回路であり、特に限定されるものではないが、分周数は16又は32に設定することができる。したがって、例えば、分周回路140が内部クロック信号ICLKを16分周する場合には、内部クロック信号ICLKの16サイクルごとにサンプリングクロック信号LCYC01,02及びセット信号SETが活性化することになる。この場合、サンプリング周期は16クロックサイクルとなる。サンプリング周期は、外部クロック信号CK(/CK)の16クロックサイクルであることは言うまでもない。
【0036】
連続判定回路132は、サンプリング周期内において位相判定信号PD0の論理レベルが変化したか否かを判定する回路である。言い換えれば、内部クロック信号ICLKの立ち上がりエッジが、図8における外部クロック信号CKの領域Bから領域Cへ移行したか否かを判定する回路である。位相判定回路120の判定の結果、サンプリング周期内において位相判定信号PD0の論理レベルが変化しなかった(即ち、内部クロック信号ICLKの立ち上がりエッジが、領域Bに存在する)場合には、連続判定回路132の出力である更新イネーブル信号CN2が活性化(High)される。これに対し、サンプリング周期内において位相判定信号PD0の論理レベルが変化した(即ち、内部クロック信号ICLKの立ち上がりエッジが、領域Cに移動した)場合には、更新イネーブル信号CN2は(Low)非活性化される。連続判定回路132の出力である更新イネーブル信号CN2は、無効化回路134を介してサンプリング部131に供給される。後述するように、サンプリング部131にはラッチ回路が含まれており、連続判定回路132の出力である更新イネーブル信号CN2が活性化(High)されている場合にそのラッチ回路のラッチ動作が行われ、位相判定信号PD2の変化が許可される。これに対し、更新イネーブル信号CN2が非活性化(Low)されている場合には、ラッチ回路によるラッチ動作が行われず、その結果、位相判定信号PD2の変化が禁止される。
【0037】
初期動作回路133は、図1に示したコマンドデコーダ32からリセット信号RSTが入力された後、サンプリング部131にサンプリングされた位相判定信号PD1がハイレベルとなるまでの期間(即ち、内部クロック信号ICLKの立ち上がりエッジが、領域Bに存在するまでの期間)、初期状態信号CN3を活性化(Low)させることによって、位相判定信号PD2を強制的にハイレベルに固定する回路である。これは、本実施形態ではカウンタ回路112の初期値が最小値(遅延量最小)に設定されているからであり、DLL回路の初期化直後においては位相判定信号PD0の論理レベルにかかわらずカウントアップを行う必要があるからである。
【0038】
初期状態信号CN3は、無効化回路134にも供給されている。無効化回路134は、初期状態信号CN3が非活性化すると、つまり、サンプリング部131にサンプリングされた位相判定信号PD1がハイレベルを示す(即ち、内部クロック信号ICLKの立ち上がりエッジが、領域Bから領域Cに遷移する)と、連続判定回路132の出力である更新イネーブル信号CN2を無効化する。したがって、初期状態信号CN3が非活性化された後は、連続判定回路132及び初期動作回路133はサンプリング部131の動作に何ら影響を与えなくなる。これにより、今後、位相判定信号PD0の結果は、位相判定信号PD2へ純粋に反映することとなる。
【0039】
次に、サンプリング回路130の回路構成についてより詳細に説明する。
【0040】
図3は、サンプリング回路130の構成をより詳細に示す回路図である。
【0041】
図3に示すように、サンプリング部131は、従属接続されたラッチ回路201,202を備えている。ラッチ回路201は、サンプリングクロック信号LCYC01に同期して位相判定信号PD0をラッチする回路であり、その出力は位相判定信号PD01として次段のラッチ回路202に供給される。ラッチ回路202は、サンプリングクロック信号LCYC02Cに同期して位相判定信号PD01をラッチする回路であり、その出力は位相判定信号PD1として用いられる。また、インバータ203によって反転された位相判定信号PD1及び初期動作回路133より供給される初期状態信号CN3は、NANDゲート204に供給され、その出力が位相判定信号PD2として用いられる。かかる構成により、初期状態信号CN3がローレベルである期間は、位相判定信号PD2はハイレベルに固定されることになる。
【0042】
ラッチ回路202に供給されるサンプリングクロック信号LCYC02Cは、ANDゲート205によって生成される。ANDゲート205には、サンプリングクロック信号LCYC02及び更新イネーブル信号CN4が供給されている。したがって、ラッチ回路202は、更新イネーブル信号CN4がハイレベルである場合において、サンプリングクロック信号LCYC02に同期したラッチ動作を行う。逆に、更新イネーブル信号CN4がローレベルであれば、ANDゲート205によってサンプリングクロック信号LCYC02がマスクされ、これによりラッチ回路202のラッチ動作が停止する。つまり、ラッチ回路202の出力信号である位相判定信号PD1のレベルが固定される。
【0043】
一方、連続判定回路132は、2つのSRラッチ回路210,220と、これらSRラッチ回路210,220の出力である判定信号CN0,CN1を受けるNANDゲート230を備えている。
【0044】
SRラッチ回路210は、NANDゲート211,212が循環接続された構成を有しており、NANDゲート211側がセット入力端(S)、NANDゲート212側がリセット入力端(R)である。セット入力端(S)には位相判定信号PD0が供給され、リセット入力端(R)にはインバータ240によって反転されたセット信号SETが供給される。
【0045】
同様に、SRラッチ回路220は、NANDゲート221,222が循環接続された構成を有しており、NANDゲート221側がセット入力端(S)、NANDゲート222側がリセット入力端(R)である。セット入力端(S)にはインバータ241によって反転された位相判定信号PD0が供給され、リセット入力端(R)にはインバータ241によって反転されたセット信号SETが供給される。
【0046】
かかる構成により、セット信号SETが活性化すると、そのときの位相判定信号PD0の論理レベルによって判定信号CN0,CN1の一方がハイレベル、他方がローレベルとなることから、セット信号SETの活性化直後においては、更新イネーブル信号CN2は必ずハイレベルとなる。その後、位相判定信号PD0の論理レベルが変化しなければ更新イネーブル信号CN2はハイレベルを維持するが、次にセット信号SETが活性化する前に位相判定信号PD0の論理レベルが変化すると、更新イネーブル信号CN2はローレベルとなる。つまり、連続判定回路132は、セット信号SETの活性化周期において位相判定信号PD0の論理レベルが変化したか否かを判定することができる。
【0047】
更新イネーブル信号CN2は、無効化回路134を構成するORゲート250の一方の入力端に供給される。ORゲート250の他方の入力端には初期状態信号CN3が供給されている。このため、初期状態信号CN3がローレベルであれば、更新イネーブル信号CN2はそのまま更新イネーブル信号CN4として出力され、サンプリング部131に供給される。これに対し、初期状態信号CN3がハイレベルであれば、更新イネーブル信号CN2にかかわらず、更新イネーブル信号CN4はハイレベルに固定される。つまり、連続判定回路132の動作が無効化される。
【0048】
初期状態信号CN3は、初期動作回路133によって生成される。初期動作回路133は、NANDゲート261,262が循環接続されたSRラッチ回路260によって構成されており、そのセット入力端(S)にはインバータ203によって反転された位相判定信号PD1が供給され、リセット入力端(R)にはインバータ263によって反転されたリセット信号RSTが供給される。上述の通り、リセット信号RSTはコマンドデコーダ32から供給される信号であり、リセット信号RSTが活性化するとDLL回路100がリセットされ、カウンタ回路112のカウント値も最小値に初期化される。
【0049】
かかる構成により、リセット信号RSTが活性化した後、サンプリングされた位相判定信号PD1がハイレベルを示すまでの期間は、初期動作回路133の出力である初期状態信号CN3はローレベルとなる。上述の通り、初期状態信号CN3がローレベルである場合には、位相判定信号PD2がハイレベルに固定されるとともに、連続判定回路132の動作が有効とされる。そして、位相判定信号PD1がハイレベルを示した後は、初期状態信号CN3はハイレベルに固定される。初期状態信号CN3がハイレベルになると、位相判定信号PD2が位相判定信号PD1と一致するとともに、連続判定回路132の動作が無効化される。
【0050】
以上が本実施形態による半導体装置10の回路構成である。次に、本実施形態による半導体装置10の動作について、DLL回路100に注目して説明する。
【0051】
図4は、DLL回路100の動作を説明するための動作波形図であり、リセット(外部からDLLリセットコマンド等が入力され、コマンドデコーダ32によりリセット信号RSTが出力されることを示す)されてからDLLロックするまでの期間における動作を示している。
【0052】
図4では、リセット時において内部クロック信号LCLK(図4では不図示)の立ち上がりエッジが図8に示した符号Aの位置にある場合が示されている。このため、リセット信号RSTが活性化すると位相判定信号PD0はまずローレベルとなり、これがラッチ回路201,202に順次ラッチされる。これにより位相判定信号PD1についてもローレベルとなるが、上述の通り、位相判定信号PD1がハイレベルを示すまでの期間は、初期状態信号CN3がローレベルであることから、位相判定信号PD2はハイレベルに固定される。これにより、カウンタ回路112は位相判定回路120が出力する位相判定信号PD0の結果によらず強制的にカウントアップを行うことになる。つまり、ディレイライン111の遅延量が強制的に増大され、内部クロック信号LCLKの位相が外部クロック信号CKに対して更に遅れる方向に制御される。
【0053】
その後、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが図8に示した領域Bから領域Cに移動すると、つまり、外部クロック信号CKの立ち下がりエッジを通過すると、位相判定信号PD0はハイレベルに変化する。つまり、外部クロック信号CKの立ち下がりエッジを通過する際には、サンプリング周期中において位相判定信号PD0の論理レベルが変化することから、連続判定回路132からの出力である更新イネーブル信号CN2がハイレベルからローレベルとなる。その結果、当該サンプリング周期におけるサンプリングクロック信号LCYC02がマスクされ、本来であればハイレベルに変化すべき位相判定信号PD1がローレベルのままとなる。
【0054】
そして、次のサンプリング周期において位相判定信号PD1がハイレベルに変化し、初期動作回路133がセットされる。これにより、初期状態信号CN3がローレベルからハイレベルに変化し、カウンタ回路112の強制的なカウントアップは終了する。これにより、今後、位相判定信号PD0の結果は、位相判定信号PD2へ純粋に反映することとなる。カウンタ回路112の強制的なカウントアップが終了した後は、通常通り、カウンタ回路112は、サンプリング部131にサンプリングされた位相判定信号PD1に基づく位相判定信号PD2によりカウントアップ又はカウントダウンされる。カウンタ回路112は、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが、図8に示した領域Cに移動していることから、カウンタ回路112のカウントアップが継続される。
【0055】
このように、本実施形態では、DLL回路がリセットされた後、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが図8に示した領域Bから領域Cに移動するまでの期間、すなわち、外部クロック信号CKの立ち下がりエッジを通過するまでの期間は、初期動作回路133によってカウンタ回路112が強制的にカウントアップされる。また、領域Bから領域Cに移動する際に生じる位相判定信号PD0の変化が連続判定回路132によって無視されることから、ノイズが重畳した場合であっても、DLL回路100がロックしたと誤認することがなくなる。
【0056】
図5は、DLL回路100の動作を説明するための別の動作波形図であり、DLLロックする際の動作を示している。つまり、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが図8に示した領域Cから符号Eの位置に到達する際の動作を示している。
【0057】
図5に示すように、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが領域Cに存在する場合には、上述の通り、位相判定信号PD2がハイレベルであることから、カウンタ回路112はカウントアップされる。その後、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが図8に示した領域Cから領域Dに移動すると、つまり、外部クロック信号CKの立ち上がりエッジを通過すると、位相判定信号PD0はローレベルに変化する。これにより、当該サンプリング周期においてカウンタ回路112のカウントダウンが行われ、ディレイライン111の遅延量が減少する。つまり、内部クロック信号LCLKの位相が外部クロック信号CKに対して進む方向に制御される。
【0058】
これによって、今度は内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが図8に示した領域Dから領域Cに戻ることから、位相判定信号PD0は再びハイレベルとなり、当該サンプリング周期においてカウンタ回路112のカウントアップが行われる。すなわち、このようなカウントアップ及びカウントダウンを繰り返す状態はDLL回路100がロックした状態を示す。このようなロック状態を維持することによって、電圧変動や温度変化によらず、内部クロック信号LCLKを外部クロック信号CKに正しく追従させることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、位相判定信号PD1がハイレベルに変化した後、つまり、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが領域Cに達した後は、連続判定回路132の動作が無効化されることから、DLL回路100を速やかにロックさせることが可能となる。つまり、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが外部クロック信号CKの立ち上がりエッジ(位置E)を通過する際には、サンプリング周期中において位相判定信号PD0の論理レベルが変化することから、もし連続判定回路132の動作が有効であると、図6に示すように、DLL回路100のロックが最低でも1サンプリング周期遅れてしまう。つまり、サンプリング周期は、内部クロック信号ICLKの16クロックサイクル(外部クロック信号CKの16クロックサイクル)毎であるので、その時間分だけロックへの到達時間が遅れる。しかしながら、本実施形態では、位相判定信号PD1がハイレベルを示した後は、無効化回路134によって連続判定回路132の動作が無効化されることから、DLL回路100のロックが遅れるという問題が生じず、速やかにロックさせることが可能となる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、リセット直後においては連続判定回路132の動作を有効としていることから、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが図8に示した領域Bから領域Cに移動する際に生じる位相判定信号PD0の変化が無視される。これにより、カウンタ回路112がスタックするという問題が生じない。
【0061】
しかも、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが図8に示した領域Bから領域Cに移動した後は、連続判定回路132のその後の動作を無効化していることから、連続判定回路132の動作に起因するDLLロックの遅れが生じることもない。
【0062】
図7は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10を用いたデータ処理システム500の構成を示すブロック図である。
【0063】
図7に示すデータ処理システム500は、データプロセッサ520と、本実施形態による半導体装置(DRAM)10が、システムバス510を介して相互に接続された構成を有している。データプロセッサ520としては、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)などを含まれるが、これらに限定されない。図7においては簡単のため、システムバス510を介してデータプロセッサ520とDRAM10とが接続されているが、システムバス510を介さずにローカルなバスによってこれらが接続されていても構わない。
【0064】
図7に示すデータ処理システム500は、少なくとも図1に示される半導体装置10のクロック端子11a,11b(第1の外部端子)とデータ入出力端子14(第2の外部端子)が、システムバス510を介してデータプロセッサ520と接続されている。
【0065】
また、図7には、簡単のためシステムバス510が1組しか描かれていないが、必要に応じ、コネクタなどを介しシリアルないしパラレルに設けられていても構わない。また、図7に示すメモリシステムデータ処理システムでは、ストレージデバイス540、I/Oデバイス550、ROM560がシステムバス510に接続されているが、これらは必ずしも必須の構成要素ではない。
【0066】
ストレージデバイス540としては、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、フラッシュメモリなどが挙げられる。また、I/Oデバイス550としては、液晶ディスプレイなどのディスプレイデバイスや、キーボード、マウスなどの入力デバイスなどが挙げられる。また、I/Oデバイス550は、入力デバイス及び出力デバイスのいずれか一方のみであっても構わない。さらに、図7に示す各構成要素は、簡単のため1つずつ描かれているが、これに限定されるものではなく、1又は2以上の構成要素が複数個設けられていても構わない。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0068】
例えば、上記実施形態ではDLL回路を搭載したSDRAMを例に説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではなく、メモリ以外の半導体装置に本発明を適用しても構わない。具体的には、DLL回路を搭載したCPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Control Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ASSP(Application Specific Standard Circuit)等の半導体製品全般に、本願発明が適用できる。
【0069】
また、本発明によるクロック生成回路がDLL回路に限定されるものではなく、位相調整された内部クロック信号を生成する回路であれば、他の種類のクロック生成回路であっても本発明を適用することができる。
【0070】
さらに、上記実施形態では、セット信号SETとサンプリングクロック信号LCYC01,02の周期が同じであるが、これらの周期が一致していることは必須でない。
【0071】
また、上記実施形態では、カウンタ回路112の初期値を最小値としているが、カウンタ回路112の初期値が最大値であっても構わない。つまり、カウントダウンから始めても構わない。詳細には、図8において、DLL回路の初期化時において内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジが領域Cの位置にある場合、内部クロック信号の位相を外部クロック信号CKよりも進める(DLL回路内のカウンタ回路をカウントダウンして、可変遅延回路であるディレイラインのディレイ値を小さくする)ことによって外部クロック信号CKの立ち上がりエッジ#0に同期させても構わない。さらには、カウンタ回路112の初期値が最小値又は最大値であることも必須ではなく、中間値と比べて最小値又は最大値に偏っている場合にも本発明の適用が可能である。これは、初期値が中間値と比べて最小値又は最大値に偏っている場合には、位相判定信号PD2が一方の論理レベルである場合において初期値からカウント可能なカウント総数よりも、位相判定信号PD2が他方の論理レベルである場合において初期値からカウント可能なカウント総数の方が少なくなるため、カウンタ回路112のスタックが生じうるからである。
【0072】
また本願を適用したデバイスは、SOC(システムオンチップ)、MCP(マルチチップパッケージ)やPOP(パッケージオンパッケージ)等の半導体装置にも適用できる。また、トランジスタは、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor; FET)であってもバイポーラ型トランジスタであっても良い。MOS(Metal Oxide Semiconductor)以外にもMIS(Metal-Insulator Semiconductor)、TFT(Thin Film Transistor)等の様々なFETに適用できる。FET以外のトランジスタであっても良い。バイポーラ型トランジスタを一部含んでいても良い。
【0073】
また、Pチャンネル型のトランジスタまたはPMOSトランジスタは、第1導電型のトランジスタ、Nチャンネル型のトランジスタまたはNMOSトランジスタは、第2導電型のトランジスタの代表例である。更に、使用する半導体基板は、P型の半導体基板に限らず、N型の半導体基板であっても良いし、SOI(Silicon on Insulator)構造の半導体基板であっても、それ以外の半導体基板であっても良い。
【0074】
更に、連続判定回路や初期動作回路などの回路形式は、実施形態において開示した回路形式に限定されない。
【0075】
また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
10 半導体装置
11a,11b クロック端子
12a〜12e コマンド端子
13 アドレス端子
14 データ入出力端子
21 クロック入力回路
31 コマンド入力回路
32 コマンドデコーダ
41 アドレス入力回路
42 アドレスラッチ回路
51 ロウ系制御回路
52 カラム系制御回路
53 モードレジスタ
60 メモリセルアレイ
61 ロウデコーダ
62 カラムデコーダ
63 センス回路
64 データアンプ
70 データ入出力回路
71 出力バッファ
100 DLL回路
110 クロック生成部
111 ディレイライン
112 カウンタ回路
120 位相判定回路
130 サンプリング回路
131 サンプリング部
132 連続判定回路
133 初期動作回路
134 無効化回路
140 分周回路
150 レプリカ回路
201,202 ラッチ回路
210,220,260 SRラッチ回路
500 データ処理システム
510 システムバス
520 データプロセッサ
540 ストレージデバイス
550 I/Oデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイとロウの期間で一サイクルをそれぞれ構成する第1のクロック信号と第2のクロック信号の位相に基づいて第1の位相判定信号を生成する位相判定回路と、
少なくとも前記第1の位相判定信号に基づいて第2の位相判定信号を生成するサンプリング回路と、
前記第2の位相判定信号に基づいて、前記第1のクロック信号に所定の遅延量を与えることによって前記第1のクロック信号を遅延させた第3のクロック信号を生成し、且つ、前記第3のクロック信号に対応した前記第2のクロック信号を生成するクロック生成部と、を備え、
前記サンプリング回路は、
前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のハイ期間中にあるとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号によらず前記遅延量を増す信号とし、且つ、
前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のハイ期間からロウ期間に到達し、且つ、ロウ期間中にあるとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号に基づいて前記遅延量を増す信号とし、且つ、
前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のロウ期間からハイ期間に到達したとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号に基づいて前記遅延量を減ずる信号とする、ことを特徴とするクロック生成回路を備える半導体装置。
【請求項2】
ハイとロウの期間で一サイクルをそれぞれ構成する第1のクロック信号と第2のクロック信号の位相に基づいて第1の位相判定信号を生成する位相判定回路と、
少なくとも前記第1の位相判定信号に基づいて第2の位相判定信号を生成するサンプリング回路と、
前記第2の位相判定信号に基づいて、前記第1のクロック信号に所定の遅延量を与えることによって前記第1のクロック信号を遅延させた第3のクロック信号を生成し、且つ、前記第3のクロック信号に対応した前記第2のクロック信号を生成するクロック生成部と、を備え、
前記サンプリング回路は、
前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のロウ期間中にあるとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号によらず前記遅延量を減ずる信号とし、且つ、
前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のロウ期間からハイ期間に到達し、且つ、ハイ期間中にあるとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号に基づいて前記遅延量を減ずる信号とし、且つ、
前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジが、前記第1のクロック信号のハイ期間からロウ期間に到達したとき、前記第2の位相判定信号を前記第1の位相判定信号に基づいて前記遅延量を増す信号とする、ことを特徴とするクロック生成回路を備える半導体装置。
【請求項3】
前記サンプリング回路は、サンプリング周期ごとに前記第1の位相判定信号をサンプリングし、これに基づいて前記第2の位相判定信号を生成し、
更に、前記サンプリング回路は、
前記サンプリング周期ごとに前記第1の位相判定信号をサンプリングするサンプリング部と、
所定の期間内に前記第1の位相判定信号の論理レベルが変化したことに応答して、前記第2の位相判定信号の論理レベルの変化を禁止する連続判定回路と、
前記クロック生成回路の初期化後、前記サンプリング部にサンプリングされた前記第1の位相判定信号が所定の論理レベルを示すまで、前記第2の位相判定信号の論理レベルを前記所定の論理レベルに固定する初期動作回路と、
前記サンプリング部にサンプリングされた前記第1の位相判定信号が前記所定の論理レベルを示した後、前記連続判定回路の動作を無効化する無効化回路と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記所定の期間は、前記サンプリング周期と等しいことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記サンプリング部は、サンプリングクロック信号に同期して前記第1の位相判定信号をラッチするラッチ回路を含んでおり、
前記連続判定回路は、前記所定の期間内に前記第1の位相判定信号の論理レベルが変化したことに応答して、前記サンプリングクロック信号を一時的に停止させることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記クロック生成部は、
前記第1のクロック信号を遅延させることによって前記第3のクロック信号を生成するディレイラインと、
前記ディレイラインの遅延量を設定するカウンタと、を含み、
前記カウンタのカウント値は、前記第2の位相判定信号に基づいて更新されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記カウンタのカウント値は、前記サンプリング周期ごとに更新されることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記カウンタの初期値は、中間値と比べて最小値又は最大値に偏っており、これにより、前記第2の位相判定信号が前記所定の論理レベルである場合において前記初期値からカウント可能なカウント総数よりも、前記第2の位相判定信号の論理レベルが前記所定の論理レベルとは逆の論理レベルである場合において前記初期値からカウント可能なカウント総数の方が少ないことを特徴とする6又は7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記カウンタの初期値は、前記最小値又は前記最大値に設定されることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3のクロック信号に基づいて前記第2のクロック信号を生成するレプリカ回路をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
更に、前記第3のクロック信号に同期して出力信号を外部に出力する出力バッファを備え、
前記第1のクロック信号は、前記半導体装置の第1の外部端子に接続され、
前記出力信号は、前記半導体装置の第2の外部端子に接続される、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
内部クロック信号を生成するクロック生成回路と、前記内部クロック信号に同期して出力信号を外部に出力する出力バッファを備え、
前記クロック生成回路は、
外部クロック信号とフィードバッククロック信号の位相に基づいて第1の位相判定信号を生成する位相判定回路と、
サンプリング周期ごとに前記第1の位相判定信号をサンプリングし、これに基づいて第2の位相判定信号を生成するサンプリング回路と、
前記第2の位相判定信号に基づいて、前記内部クロック信号を生成するクロック生成部と、
前記内部クロック信号に基づいて前記第フィードバック信号を生成するレプリカ回路と、を備え、
前記サンプリング回路は、
前記サンプリング周期ごとに前記第1の位相判定信号をサンプリングするサンプリング部と、
所定の期間内に前記第1の位相判定信号の論理レベルが変化したことに応答して、前記第2の位相判定信号の論理レベルの変化を禁止する連続判定回路と、
初期化後、前記サンプリング部にサンプリングされた前記第1の位相判定信号が所定の論理レベルを示すまで、前記第2の位相判定信号の論理レベルを前記所定の論理レベルに固定する初期動作回路と、
前記サンプリング部にサンプリングされた前記第1の位相判定信号が前記所定の論理レベルを示した後、前記連続判定回路の動作を無効化する無効化回路と、を備え、
前記レプリカ回路は、前記出力バッファと実質的に同一の回路構成を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の半導体装置と、前記半導体装置の第1と第2の外部端子に接続されたコントローラとを備えることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項14】
第1のクロック信号と第2のクロック信号の位相に基づいて第1の位相判定信号を生成する位相判定回路と、
サンプリング周期ごとに前記第1の位相判定信号をサンプリングし、これに基づいて第2の位相判定信号を生成するサンプリング回路と、
前記第2の位相判定信号に基づいて、第3のクロック信号を生成するクロック生成部と、を備え、
前記サンプリング回路は、
前記サンプリング周期ごとに前記第1の位相判定信号をサンプリングするサンプリング部と、
所定の期間内に前記第1の位相判定信号の論理レベルが変化したことに応答して、前記第2の位相判定信号の論理レベルの変化を禁止する連続判定回路と、
初期化後、前記サンプリング部にサンプリングされた前記第1の位相判定信号が所定の論理レベルを示すまで、前記第2の位相判定信号の論理レベルを前記所定の論理レベルに固定する初期動作回路と、
前記サンプリング部にサンプリングされた前記第1の位相判定信号が前記所定の論理レベルを示した後、前記連続判定回路の動作を無効化する無効化回路と、を備えることを特徴とするクロック生成回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−60364(P2011−60364A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207401(P2009−207401)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】