説明

スクリュー式加工装置およびそれを用いた製品

物質を、連続して炭酸ガスと共に圧縮して臨界状態の流体として加工することにより、多糖類や蛋白質などを主成分とするフィルム形成能ある熱可塑性組成物の提供、又は実用性あるポリエステル発泡体の製造等を効率よく実施可能とする。そのために有用な装置は、物質を、連続して炭酸ガスと共に圧縮して臨界状態の流体として、加工するためのスクリュー式加工装置であって、原料供給部Xの押出スクリューに続いて、同スクリューのシャフトを細くし、スクリュー羽根間の空隙容積を増した減圧部Eを設け、この減圧部Eに炭酸ガスを導入し、更に、この減圧部Eの後に再びシャフトを太くし、羽根の間隔を狭くしたスクリューからなる圧縮部Fを位置させ、その後、シャフトの太さをバレル内周と実質的に同一とし、当該シャフトの表面又は周囲にオリフィス17を設けたオリフィス部Lを設けたものである。オリフィス通過物質の最大流速は10から1500cm/秒となるように設計するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を炭酸ガスと共に圧縮して臨界状態の流体として、すなわち炭酸ガス超臨界または亜臨界下で、分解、抽出または化学合成等の加工をするための方法・装置およびそれを用いた製品、例えばデンプン、セルロース、ポリエステルなどを原料とする組成物、およびその組成物からなる例えば発泡体、フィルムなどの成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界炭酸ガスを溶媒として利用した物質抽出、物質分解、化学合成は既に数多く提案され、特に天然物から低温で各種成分を抽出する分野では既に実用化がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、液状食品や液状薬品を超臨界流体または亜臨界流体を使用して酵素失活、殺菌、脱臭、抽出処理等をする連続処理方法において、炭酸ガスを作動媒体とする圧縮機の吸入工程または圧縮工程に液状原料を注入して炭酸ガスとともに圧縮させ、二酸化炭素と液状原料とを直接接触させ臨界状態の高圧気液混合流体を形成させる圧縮工程と、臨界状態にある高圧の気液混合流体より高圧炭酸ガスと液状物質を溶かしこんだ高圧炭酸ガスとに分離する液−ガス分離工程と、分離された液状物質を溶かしこんだ高圧炭酸ガスを急速に減圧して臨界解除による低温炭酸ガスの排出と酵素失活処理や低温殺菌処理やフレーバ抽出処理を行なう減圧工程を使用することが提案されている。
【0004】
この提案では、原料液体をポンプにより圧縮機に供給し、さらに分離機で超臨界条件を達成するため、多数の装置が必要であり、設備投資が過大となり、経済的に好ましくない。また、作用条件が低温に限定され、適用範囲が狭くなる欠点もある。
【0005】
また、特許文献2では、回収ポリエステル製品をフレーク状に破砕し、洗浄し、前工程用スクリュー式混練押出機において、水分を脱揮乾燥し、改質剤および触媒を添加して改質反応させ、さらに後工程用スクリュー式押出機により超臨界流体を添加しつつ発泡押出しするという回収ポリエステル製品の再資源化方法および装置が提案されている。
【0006】
この提案ではスクリュー押出機が使用されているが、前工程で改質反応がなされ、後工程で超臨界炭酸ガスが注入されることにより発泡製品が製造されるとするもので、超臨界炭酸ガス中における反応の記載はない。
【0007】
特許文献3には、芳香族多価アルコールから多価アルコール芳香族カルボン酸を選択的に生成する能力を有する、生物の組織、細胞、微生物又はそれらの処理物を、炭酸イオン及び/又は炭酸ガス存在下で芳香族多価アルコールと接触させる多価アルコール芳香族カルボン酸の製造方法が提案されている。
【0008】
この提案では反応条件が超臨界炭酸ガスの領域も包含し、反応が超臨界炭酸ガス下でもよいとのみ記載されているが、具体的な製造方法の記載は全くなく、実施例としては常圧下の反応のみが記載されている。
澱粉に熱可塑性を付与する方法は澱粉を変性することで得られ、種々提案が既になされている。また、熱可塑性の澱粉と熱可塑性の樹脂をポリブレンドした組成物、またその成形物の提案もなされている。
【0009】
また、特許文献4には澱粉のグルコース主鎖中にエステル基などを導入することにより、澱粉主鎖に柔軟性を付与し、澱粉に熱可塑性を付与する提案がなされている。しかし、この文献の反応装置には特殊な原料供給部およびオリフィス部の記載はない。
【0010】
特許文献5には澱粉のグルコース主鎖中にエステル基などを導入し、澱粉主鎖に柔軟性を付与し、熱可塑性を付与した澱粉と熱可塑性樹脂、特に生分解性樹脂とポリブレンドした組成物が記載されている。しかし、この文献の反応装置には特殊な原料供給部およびオリフィス部の記載はない。
【0011】
一般に熱可塑性組成物を成形する際には高温で加熱成形することが多い。しかし、澱粉は加熱されると焦げた臭いがする。特に廉価なとうもろこし澱粉は香ばしい強い臭いがする。とうもろこしの食品であれば良いが、一般的な成形物にこの臭いは不都合なことが多い。この澱粉の焦げた臭いを除去する方法は未だ提案されていない。
【0012】
コンニャクの飛粉はコンニャクからグルコマンナンの精粉を製造する際に不純物として選別除去される粉を言う。選別の際に比重差を利用し、風力で飛ばして選別するため飛粉と呼ばれている。
【0013】
非特許文献1に飛粉の成分分析結果が記載されている。飛粉の成分は水分4.0%、蛋白質17.0%、脂質5.5%、灰分8.5%、糖質60〜65%であり、糖質は水溶性成分が20〜23%、非水溶性成分が40〜42%である。水溶性成分の大半は水溶性グルコマンナンであり、非水溶性成分の大半は澱粉である。
【0014】
飛粉は、このように大量に澱粉を含み、しかもグルコマンナンに含まれるマンノースはグルコースと異なりメチロール基と同一サイドにヒドロキシル基が立体的に配置された遊離の形では自然界に見いだせない特異な構造をとるものである。しかし、飛粉は、産業廃棄物とされるだけで、積極的に、それを利用しようとする具体的な試みはなかった。
【0015】
特許文献5に加水分解縮重合澱粉と生分解性樹脂をブレンドした生分解ブレンドポリマーからなるフィルムが記載されている。ここで得られるフィルムは、適度の引っ張り強度を有するが、引き裂き強度が小さく、ゴミ袋などに使用すると破れやすく実用的に問題であった。なお、特許文献5には、引き裂き強度に寄与すると考えられる架橋反応の記載はあるが、実際に引き裂き強度を高めるための手段については何も記載されていない。
【0016】
おからは豆腐の副産物として年間74.46万トンも発生し、その極一部は食用および飼料として用いられている。しかし、これらの消費量は発生量に比べ著しく少なく、栄養価が高く腐敗しやすい性質とも相俟って、保管貯蔵が困難であり廃棄物としてその大部分が焼却処理されている。おからの平均水分は約81%と多く、成分の乾物含量は蛋白質4.8%、脂質3.6%、炭水化物9.7%、灰分0.8%と栄養が豊富である。水分および蛋白質が多く含まれているのは豆乳の絞り効率が良くなく、おからの中に豆乳が残っているためである。
【0017】
おからには大豆特有の臭いがあり、おからを産業資源として使用する際に、この臭いの残存が用途制限を引き起こし、その実用化が阻まれていた。例えば特許文献6に「おから、コーヒー滓、すそこ又は籾殻から選択された一種以上の植物性食物残滓を乾燥して水分含量を15%以下、好ましくは5〜10%とし、更に、微粉砕して大きさを30ミクロン以下とする植物性食物残滓粉末とコンスターチとからなる混合ペレットを製造し、次いでこの混合ペレットと流動性の良い生分解性プラスチックとを、10〜50:90〜50の配合比、比重を0.8〜1.2に調整して撹拌混合し、射出成形して希望の成形品を安価に製造する製造方法」が提案されている。しかし、おからに多量に含まれる水分の予備乾燥が必要であり、経済的ではなく、おからの臭いに関する配慮もなされていなかった。
【0018】
特許文献7には、「植物質食品加工残さと、ポリオレフィンと、マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンの混合物の乾式機械的粉砕処理生成物からなる植物質食品加工残さ複合成形材料」が提案されている。
【0019】
また、特許文献8には、「混合中に食品残さが分解して品質が劣化するのを防止するため、食品残さとポリオレフィンとを乾燥状態の下で機械的エネルギーを印加しながら溶融混練する。」方法による成形品が提案されている。しかし、いずれの提案も予備乾燥したおからを乾燥しながら機械的に破砕する方法であり、特許文献6の場合と同様に、多量に含まれる水分の予備乾燥が必要であり、経済的ではなく、おからの臭いに関する配慮もなされていなかった。
【0020】
また澱粉に熱可塑性を付与し、熱可塑性樹脂と混合成形する方法が特許文献5に提案されているが、おからを併用する記載はなく、臭いに関する配慮もなされていなかった。
【0021】
ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略記する)はペットボトルなどの容器を主体とする成形品として、日本国内で既に年間約40万トンが消費され、容器リサイクル法に基づき回収が進められている。自治体などにより回収されたペットボトルは粉砕、洗浄されフレークとして流通しており、このフレークは射出成形機により、成形されたり、押し出し機によりシート成形され卵パックなどに成形され、再使用されている。また、フレークの一部はメタノールによるメタノリシスでジメチルテレフタレートとして回収され、再度重合されて再使用されている。
【0022】
最も簡便な再使用法は射出成形品と押し出し成形品による発泡体であるが、PETの特徴が高純度であり、融点がシャープなため、射出成形品の際に取り扱いにくく、脆い欠点があり、発泡体では発泡倍率が低いと言う欠点がある。回収ポリエステルを使用する方法ではないが、成形時の取り扱い上の欠点を解消する方法として共重合することにより実質的に低融点化し、ブロードな融点をPETに付与する方法が特許文献9に提案されている。
【0023】
射出成形性や押し出し加工性および成形品の脆性を向上するために回収ポリエステル100重量部あたり、ラクトン重合体0.5〜20重量部、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体0.5〜30重量部、及び必要に応じてポリオレフィン樹脂0.5〜30重量部を配合する提案が特許文献10に記載されている。しかし、ポリオレフィンは元より、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体などの縮重合体でない付加重合体を使用すると再度回収する場合の再使用に特殊な分別が必要となり、資源の回収作業上好ましくない。
【0024】
また、溶融粘度が小さいと発泡ガス抜けが早いため、PETの溶融粘度を上げる手段として無水ピロメリット酸などの酸二無水物と周期律表の第1族、第2族又は第3族の金属の化合物を添加して分岐したPETの発泡体の製造法が特許文献11に記載されている。しかし、この提案ではPETの融点など融解挙動が大きく変わらず、温度により溶融粘度が大きく変化する欠点があった。
【0025】
炭酸ガスなどのガス発泡の場合には押し出し機から大気圧中に押し出した時点で発泡が開始するため、ビーズなどの形状に加工した後、再加熱し、ビーズを融着すると同時に発泡成形する一般的な発泡スチロール成形体製法を採用することが困難であった。また発泡体としてフロン化合物を使用するとオゾン層破壊で環境問題があり、アセトンなどの低揮発炭化水素化合物は可燃性であり、難燃性を要求される家電製品の梱包材料に適していない。
【0026】
ポリエステルエラストマーはポリウレタンの耐候性が良くない欠点を補う素材として公知であり、ハードセグメントとソフトセグメントから構成されている。例えば特開平11−107042号公報記載のようにポリブチレンジオール存在下、ビスヒドロキシポリブチレンテレフタレートを重合することにより製造されるポリブチレンテレフタレート・ポリブチレンジオールブロックコポリマーがあり、これらのポリエステルエラストマーは主にスパンデックス繊維としてアパレル用途に市販されている。
【0027】
しかし、この原料は繊維を製造するには適当な溶融特性を示すが、発泡体用途の製造には溶融粘度の大きい領域が狭過ぎ実用化には至っていない。また、この製法は溶融紡糸であるため、例えば特許文献12に記載されている低温発泡剤を使用したウレタンフォームの製造方法である湿式で製造することはできない。
【0028】
ゼラチンは狂牛病(BSE)の原因となる危険部位の背骨などの骨髄を原料とするものが約75%を占め、厚生労働省より2004年経口用カプセル原料として使用禁止された。特許文献13に「ゼラチンを使用しない経口投与カプセル、その組成と製造法」が記載され、医薬、化粧品、入浴剤、ダイエット補助食品用のゼラチンフリー経口カプセルが提案されている。この提案はa)8−50重量%の水分散または水溶性可塑剤、b)0.5−12重量%のkappa.−carrageenan、c)0−60重量%のデキストリンと1−95重量%の水から調製されたカプセルである。kappa.−carrageenanは組成中少なくとも50重量%であり、熱可塑性ゲルを形成または形成に寄与する全てのガム成分で、海草から取れる多糖類を使用している。
【0029】
またこの提案は、経口医薬または化粧品用のカプセルは患者や目的に沿った内容物を一杯に内包することもあり、このカプセルは水性で、フィルムはa)8−50重量%の水分散または水溶性可塑剤とb)carrageenanからなる。carrageenanは少なくとも50−75重量%の.kappa.−carrageenanまたは50−75重量%の熱可塑性ゲルを形成または形成に寄与するガムである。このような組成物を加熱し、フィルムにキャストまたは押し出した後、ゲルを冷却し、(通常はフィルムの)ゲルに内容物を封入シールするカプセルの製造方法である。しかし、この提案では特殊な多糖類kappa.−carrageenanを必要とし、経済的に不利である。また、カプセルの製造方法も湿式凝固法に限定され、生産効率上不利である。
【0030】
特許文献14に「ソフトカプセル製造装置及びその製造方法」が記載され、これはゼラチンを使用したカプセルの製造方法は回転するダイロールを使用する製造方法である。2枚のゼラチンシートから薬液などの充填材料が封入されたソフトカプセルを製造する装置であり、近接して対峙する一対のダイロール310,310間上面側左右の湾曲外周面部分に囲まれる湾曲凹み部に充填材料供給用のノズルセグメント320の下端中央部の左右の湾曲面からなる倒山形尖出部を対峙させ、一対の回転するダイロール間にはその上方側から2枚のゼラチンシート100を供給すると共に、ノズルセグメントの倒山形尖出部のノズル孔322から充填材料を供給してソフトカプセルを製造するソフトカプセル製造装置である。ノズルセグメントの倒山形尖出部にダイロールのカプセルポケット311の複数列分に対応する複数列のノズル孔を設け、1回のプランジャー式ポンプの駆動によって、ノズルセグメントの複数列のノズル孔から、ダイロールの複数列分のカプセルポケットに一度に充填材料を供給する装置と製造法が記載されている。
【0031】
またゼラチンを使用する従来カプセルの製造法として、ゼラチン水溶液にカプセル型をディップし、付着させたゼラチン水溶液を乾燥し、フィルム化するハードカプセルの製造法がある。さらに、二重または三重ノズル滴下法を用い、ゼラチン水溶液を凝固浴中に押し出し、凝固フィルム化するシームレスカプセルの製造法がある。
しかし、これらの製造法はゼラチンが熱可塑性を持たないために提案された方法であり、カプセルの生産性、経済性に不利である。また、特殊な多糖類を用いないカプセル製造に適したゼラチンフリー熱可塑性材料の提案はなされていなかった。
【特許文献1】特開2002−204942号公報
【特許文献2】特開2000−264998号公報
【特許文献3】特開2001−46093号公報
【特許文献4】WO 03/014164 A
【特許文献5】WO 03/014217 A
【特許文献6】特開2001−81201号公報
【特許文献7】特開2002−186948号公報
【特許文献8】特開2002−371187号公報
【特許文献9】特開2000−351117号公報
【特許文献10】PCT/JP01/06823号公報
【特許文献11】特開平8−151470号公報
【特許文献12】WO01/079323号公報
【特許文献13】USP6,214,376号公報
【特許文献14】特開平11−221267号公報
【非特許文献1】高知工科大学大学院2002年修士論文、石川香織著「『コンニャク飛粉』有効利用法の検討;生物学的手法を用いた資源化」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明の課題は、超臨界または亜臨界下炭酸ガスを利用して、物質の分解、混合または抽出等の加工を操作性よく実施できる方法及び装置を提供すること、及びそれを用いて効率よく得られる、特異な製品、例えば、澱粉、セルロースなどの多糖類や蛋白質を主成分とするフィルム形成能ある熱可塑性組成物及び成形体、また、ポリエステル発泡体、オブラート、医薬品用、化粧品用増粘剤、食品用増粘剤、ゲル化物などの可食性材料等を廉価に提供することである。
【0033】
更に、本発明は、熱可塑性、柔軟性およびカプセルとして実用的に充分な機械的物性を有し、適当な水溶性をまたは水崩壊性を持つ製品を、異臭のない状態で、廉価なセルロース、デンプンなどの多糖類を主原料とした非熱可塑性材料を用いて提供することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明では、種々の物質を、連続して、炭酸ガスと共に圧縮して、臨界状態の流体して加工することにより、前記課題を解決するものであり、加工する際の最大流速を10〜1500m/秒とすることにより、多糖類や蛋白質を主成分とする組成物をフィルム形成能(成形能)ある熱可塑性組成物とする、澱粉、セルロース、蛋白質等を悪臭のない熱可塑性組成物に加工する、芳香族ポリエステルを、エステル交換反応させ、再利用可能な発泡体に加工することなどが可能となる。
【0035】
例えば、多糖類及び蛋白質の少なくとも一種を主成分とする組成物を、前記臨界状態で加工し、その後、加熱・加圧することにより、異臭のない熱可塑性組成物に加工することができる。この場合、前記臨界状態で加工される組成物は、熱可塑性樹脂及び/又は可塑剤を含むのが好ましい。
【0036】
かかる組成物を、上記臨界状態の流体として加工し、加熱・加圧して加水分解した後、脱水縮重合させてもよく、多糖類を使用する場合、上記組成物が多糖類に対して0.01〜0.5重量%の酸類及びフェノール類からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を添加したものとするのがよい。
【0037】
また、芳香族ポリエステルを、低融点化する共重合成分及び分岐剤と共に上記臨界状態で流体として加工し、分岐コポリマーを含有する発泡体とすることもできる。
【0038】
このような方法は、本発明のスクリュー式加熱加工装置を利用して、非常に効率よく、実施可能となる。
即ち、本発明の装置は、物質を、連続して炭酸ガスと共に圧縮して臨界状態の流体として、加工するためのオリフィス付きスクリュー式加工装置であって、原料供給部の押出スクリューに続いて、同スクリューのシャフトを細くし、スクリュー羽根(又はねじ山)間の空隙容積を増した減圧部を設け、この減圧部に炭酸ガスを導入し、更に、この減圧部の後に再びシャフトを太くし、羽根の間隔を狭くしたスクリューからなる圧縮部を位置させ、その後、シャフトの太さをバレル内周と実質的に同一とし、当該シャフトの表面又は周囲にオリフィスを設けたことを特徴とする。
【0039】
かかる本発明の装置では、原料物質が連続的に一連のスクリュー上で加工できるものであり、前記圧縮部及び前記オリフィスを通過することにより、超臨界または亜臨界炭酸ガス、メタノールなどの作用を効率よく受けることができる。
なお、この装置は、オリフィス通過物質の最大流速を10から1500cm/秒であるように設計されるのがよい。
【0040】
また、原料供給部のスクリューを、メインスクリューとサブスクリューの回転比が1:2で、隣り合うパドルの配置が60度差以上、180度差以下である2軸スクリューとすることにより、従来、スクリュー供給し難いような低粘度原料も効率よく圧縮供給可能となる。この場合、順テーパーのメインスクリューに低粘度原料をも圧縮供給できる逆テーパーで逆回転するサブスクリューを設けた2軸スクリューとするのがよい。
さらに、低粘度によるベントからのベントアップ防止および圧縮・フィード強化のためオリフィスの後に逆テーパーで逆回転するサブスクリューを設けた部分的2軸スクリュー構造とするのがよい。
【0041】
本発明の方法や装置を利用して、次のような製品の提供が可能となる。
デンプン、セルロース、蛋白などの天然物を加工して得られる熱可塑性組成物、芳香族ポリエステルなどの芳香族縮重合物を加工して得られる熱可塑性組成物及びそれを原料とする発泡体、フィルム、カプセルなどの成形品、増粘剤、ゲル化物などである。
【0042】
本発明では、熱可塑性を付与した澱粉組成物でありながら、加熱しても焦げた臭いのしない組成物、すなわち、20mlのバイアル瓶にサンプル10gを入れ、180℃、1分間加熱後のヘッドスペースに含まれる含窒素環状香気成分の合計発生量が10ppm未満である熱可塑性澱粉組成物が提供できる。含窒素環状香気成分は、一般に5−アセチル−2,3−ジヒドロ−1,4−チアジン、2−アセチル−テトラヒドロピリジン、2−プロピオニル−1−ピロリン、2−アセチル−1−ピロリンおよびアセチルピラジンなどである。
【0043】
かかる澱粉組成物は、澱粉重量に対して0.01〜0.5重量%の酸類及びフェノール類からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を添加し、澱粉を加水分解し、脱水縮重合させることによって得られる。この澱粉組成物は、熱可塑性樹脂とブレンドされていてもよい。また、この澱粉組成物を主原料として、カプセルなどの実用性ある成形物を得ることもできる。
【0044】
更に、本発明では、フィルム形成能ある多糖類および生分解性樹脂を主体とし、マンノース成分を0.01から3重量%含有する生分解性シートをも提供できる。
【0045】
このシートは、好ましくは飛粉に含まれるグルコマンナン構成成分であるマンノース成分を生分解性シートに含有させることで、より実用性ある強度のシートの製造を可能とするものであり、マンノース成分の含有量は、0.01から3重量%であればよいが、0.05から3重量%であるのが好ましい。なお、このシートは可塑剤を含んでもよく、可塑剤としては、グリコール、グリセリン、ソルビトールおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の可能物を使用するのが好ましい。なお、飛粉の使用では、飛粉に含まれる澱粉類が、多糖類の一部として機能する。
【0046】
また、本発明では、熱可塑性樹脂と、蛋白、セルロースを多量に含むおからを主原料とした組成物からなる成形品で、20mlのバイアル瓶にサンプル5gを入れ、180℃、1分間加熱後のヘッドスペースに含まれるヘキサナールおよびヘキサノールの合計発生量が5ppm以下であるものを得ることもでき、その結果、異臭のない、実用性あるおから組成物成形品の提供を可能とした。
【0047】
本発明では、(A)ポリエチレンテレフタレート(PET)と、(B)炭素数1〜4の脂肪族ジアルコールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はヒドロキシジカルボン酸、又はそれらの重合体、を分岐剤の存在下で反応させて得た分岐ポリエステルコポリマー成形品であって、融点ピーク温度が120℃から190℃であるという実用性あるポリエステル成形品も容易に得ることができる。
【0048】
この成形品は、射出成形品、押出成形品および押し出し発泡体のいずれで成形されてもよく、(B)成分は、PETを適度に低融点化して、作業性よく、廉価に品質のよい成形品を得るために使用されるものであり、(B)成分はそれぞれモノマーの形で使用されても、ポリブチレンアジペートやポリブチレンアジペートテレフタレートなどというようにポリマーの形で使用されてもよく、いずれにしても分岐剤の存在下で、PETの少なくとも一部と共重合され、分岐ポリエステルコポリマーとして成形品とされるのがよい。
【0049】
なお、(A)成分と(B)成分の割合は特に限定されないが、(A)成分100重量部に対して(B)成分が5〜50重量部、特に10〜40重量部程度であるのが好ましい。
【0050】
また、この成形品が発泡体である場合、発泡倍率が4から50倍であるガス発泡体であるのがよい。
【0051】
更に、本発明では、かかるポリエステル発泡成形品を、(A)芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等)と、(B)炭素数1〜4の脂肪族ジアルコールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はヒドロキシジカルボン酸、又はそれらの重合体を分岐剤の存在下で反応させて得た、融点ピーク温度が150℃〜195℃である分岐ポリエステルコポリマーからなるもので、光触媒酸化チタンと熱分解性発泡剤の存在下で発泡したものとすることにより、紫外線または可視光線被爆後、加熱されることにより、随時発泡成型させうるものとすることも可能とした。
【0052】
このような発泡成形品も、射出成形、押出成形および押し出し成形のいずれでも成形可能であり、また、ビーズ状での提供も可能である。(B)成分の使用は、PET等の芳香族ポリエステルを適度に低融点化して、作業性よく、廉価に品質のよい成形品を得るためのものであり、(B)成分はそれぞれモノマーの形で使用されても、ポリブチレンアジペートやポリブチレンアジペートテレフタレートなどというようにポリマーの形で使用されてもよく、いずれにしても分岐剤の存在下で、PET等の少なくとも一部と共重合され、分岐ポリエステルコポリマーとして成形品とされるのがよい。
【0053】
なお、本発明では、前述の如き、澱粉やセルロース、蛋白質などからなる熱可塑性組成物を、カプセル、オブラート、医薬品用、化粧品用増粘剤、食品用増粘剤、可食性材料として提供することも可能とした。
【発明の効果】
【0054】
本発明の方法は、物質の分解、混合または抽出などを、広範に容易に実施でき、例えば、多糖類や蛋白質などの天然物を加工する際にも、容易に、天然物特有の異臭を除去し、機械的特性に優れたシートや成形品に製造することを可能とする。
【0055】
本発明のスクリュー式加工装置は、超臨界または亜臨界炭酸ガス下、物質の分解、混合または抽出などの加工工程を、一連のスクリューを利用して、連続して全て実施可能とするものであり、工程が多岐に渡らないため、設備が廉価で経済的に優れている。
また、原料供給装置を特殊構造2軸スクリューとすることにより、液状の原料も供給混合することができ、デンプン水系のようにダイラタンシーを起こす原料も周速の異なるパドルで供給することができ汎用性に優れている。
【0056】
本発明では、上記方法や装置を用いることにより、非熱可塑性原料であるデンプン、セルロース、蛋白などの天然物を熱可塑性組成物に容易に加工することができる。また、ポリエステルなどの芳香族縮重合物を加工し、発泡体、フィルム、カプセルなどの成形品を製造することもできる。
【0057】
また、本発明では、熱可塑性組成物は原料に含まれる天然物特有の異臭を除去し、機械的特性を向上することができる。BSEの危険性のないカプセル、ゲル化物例えばゼリーなどの原料、製品として廉価に提供できる。
【0058】
同様にしてポリエステルなどの芳香族縮重合物を加工した発泡体、フィルムなどにゴムのような弾性を付与することもでき、PETボトル再生原料も使用することができ、エコロジー的に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
[図1]本発明の一例における原料供給部および低圧炭酸ガス供給部を示す概略図
[図2]図1の例の圧縮部を示す概略図
[図3]図1の例の超臨界または亜臨界化学作用部およびオリフィス部の概略図
[図4]図1の例の取り出し部の概略図
[図5]図1の例のメインスクリューおよびサブスクリューのパドル配置を示すグラフ
【符号の説明】
【0060】
1 メインスクリュー
2 サブスクリュー
3 メイン歯車
4 サブ歯車
5 ホッパー
6 受け構造物
7 受け構造部
8 バレル
9 炭酸ガスノズル
10 冷却管
11 棒ヒーター
12 バンドヒーター
13 バンドヒーター
14 ローラー
15 ローラー受け
17 オリフィス
18 ベント孔
19 真空ポンプ吸引孔
20 ベント孔蓋
21 ダイス
22 ダイス孔
23 メインスクリュー・パドル
24 サブスクリュー・パドル
25 ベント部・メイン歯車
26 ベント部・サブ歯車
27 ベント部・メインスクリューパドル
28 ベント部・サブスクリューパドル
29 受け構造物
30 受け構造物
X 原料供給部
Y 炭酸ガス供給部
A パドル部
B パドル部
C 圧縮部
D 圧縮部
E 減圧部
F 圧縮部
G 混合・せん断部
H 混合圧縮部
J 滞留部
K ローラー部
L オリフィス部
M 減圧部
N 圧縮部
P スクリュー先端部
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
本発明の装置を図面に従って説明する。本発明の装置は、原料供給部Xの押出スクリュー(圧縮部C)に続いて、同スクリューのシャフトを細くし、スクリュー羽根間の空隙容積を増した炭酸ガス供給部Yのスクリュー(減圧部E)が存在し、その後に再びシャフトを太くし、羽根の間隔を狭くしたスクリュー(圧縮部F)を位置させ、その後、シャフトの太さをバレル内周と実質的に同一とし、当該シャフトの表面や周囲にオリフィス17の存在するオリフィス部Lを設けたことに特徴を有するものであり、ホッパー5から原料供給部Xに投入された物質は、圧縮部Cのスクリューで圧縮されながら炭酸ガス供給部Yに連続的に供給され、急激に容積が変化し減圧される減圧部Eのスクリューで、ノズル9から導入される炭酸ガスの作用を受けながら、続く圧縮部Fのスクリューに送られる。
【0062】
炭酸ガスと共に物質は、炭酸ガス供給部Yすなわち減圧部Eから、圧縮部Fに送られ、超臨界または亜臨界炭酸ガスの圧力条件下又はそれに近い条件下に置かれるが、更に、オリフィス部Lで、確実に、超臨界または亜臨界炭酸ガスの圧力条件下に物質を置くことができ、物質の分解、混合または抽出等の加工を確実なものとすることが可能となる。
【0063】
オリフィス17の形状は、特に限定されるものではなく、シャフト表面に設けた螺旋状または直線状の溝、バレルとシャフトの間の微小間隙、一般的な絞りオリフィスなどのいずれでもよいが、オリフィス17を超臨界または亜臨界炭酸ガス下の物質が通過する最大流速(オリフィス最小断面積と押し出し量により規定される)が10から1500cm/秒であるように設計されるのがよい。
【0064】
かかる本発明の装置では、原料供給部Xを1軸スクリューとしても2軸スクリューとしてもよいが、図1に示すような2軸スクリューとすることにより、粘度の小さい物質も非常に効率よく原料供給することが可能となる。
【0065】
この2軸スクリューは、メインスクリュー1とサブスクリュー2の回転比が1:2であり、隣り合うパドル23、24の配置を60度差以上、180度差以下であるように設計したものである。
【0066】
すなわち、メインスクリュー1とサブスクリュー2の回転数は、メイン歯車3とサブ歯車4の歯数を2:1にすることにより、サブスクリュー2がメインスクリュー1の2倍の速度で逆方向に回転し、メインスクリュー1の溝の原料物質を周速の異なる逆回転のサブスクリュー2のパドル24により効率良く掻き落し、斑なく供給できることとなるのである。なお、サブスクリュー2の圧縮部Dのテーパーは先に行くほど細くなる逆テーパーにする構成により、粘度の著しく小さい液状の原料もメインスクリュー1により供給可能となる。
【0067】
メインスクリュー1とサブスクリュー2の回転速度比が2である場合、パドル23と24の配置を、60度差以上、180度差以下に限定すると、メインスクリュー1のパドル部Aとサブスクリュー2のパドル部Bの回転によりパドル同士が衝突するのを避けることができる。中でも120度差または144度差がスクリュー加工上実用的で好ましい。これ以外の周期で配置するとスクリュー加工が複雑となる。
【0068】
図5はパドル配置の角度差が120度の例であり、サブスクリュー2が一回転し、メインスクリュー1が半回転したときの、パドル23と24の相対位置関係が24aから24bに移動したことを示す。このように120度という角度差でパドル同士の衝突が避けられるのである。
【0069】
サブスクリュー2の逆テーパー部の圧縮比は0.9から0.5が好ましい。また、原料物質をスクリューの溝に充満し、供給するためメインスクリュー1における圧縮比は1から3であるのが好ましい。サブスクリュー2の圧縮部Dでは、ピッチが倍の溝により1軸スクリューに原料物質が充満される。この充満された原料物質によりメインスクリュー1に炭酸ガスが逆流することを防止できる。なお、減圧部Eのバレル8には冷却管10を装着し、炭酸ガス供給部Yにおける温度が過大しないようにしてもよい。
【0070】
炭酸ガス供給部Yは一般的なベント部と同様に、溝の深さを大きくし、圧縮比を0.7から0.3と減圧し、圧力を50KPaから100KPaに保ち、炭酸ガスの供給を行いやすくすることが好ましい。炭酸ガスは配合量により異なるが、ボンベ、圧力調節弁、流量計を経て炭酸ガスノズル9より、供給される。炭酸ガスノズル9は、炭酸ガスを定量供給するため、ニードル・バルブにより調整できるもので、内部に原料の逆流を防止する目的で好ましくは逆止弁が設けられている。
【0071】
炭酸ガス供給部Y(減圧部E)に次いで、混合圧縮部Fが設けられるが、この圧縮部Fには、更にスクリューの溝の深さを周期的に変化させる混合せん断部Gを設け、原料物質にせん断力を加えることもできる。また、この構造により、シール効果がもたらされ、超臨界または亜臨界炭酸ガスの圧力条件をより確実に得ることができる。圧縮部Fの圧縮比は2から4が好ましい。更に、多条混合圧縮部Hを設け、混合効果をより向上するために原料の一部を逆流させ、ダブリングするようにしてもよい。スクリューの溝を2条から4条溝にし、部分的な切り欠き部から原料を隣の溝に部分的に移すことにより、せん弾力を余り加えずにダブリング混合させると同時にシールすることができる。ダブリング効果は切り欠き頻度と溝条数により、指数的に増加させることができる。
【0072】
圧縮部Fの次に滞留部Jを設けることもできる。滞留部Jを設けることにより、超臨界または亜臨界炭酸ガス条件での化学作用の作用時間を拡大することができる。滞留部Jの大きさは必要な滞留時間により適宜決定されるべきであり、場合によっては多条混合圧縮部Hで代用させることもできる。
【0073】
滞留部Jの次に適当なクリアランスのブッシングと交換可能な8本ローラー部Kを設け、原料中の超臨界または亜臨界炭酸ガス化学作用、およびせん断力により破砕できなかった粒を破砕し、オリフィス17の詰まりを防止できるようにしてもよい。
【0074】
オリフィス部Lの次はすぐに取り出し口であっても良い。メインスクリュー1の取り出し部分を逆テーパーにすることにより圧力を徐々に減圧し、常圧になってから取り出すこともできる。また、この部分のバレルに冷却管を組み込み、取り出しやすい温度に冷却するようにしてもよい。
【0075】
また、オリフィス部Lの次に減圧部Mを設け、ベント孔18から加工した物質を常圧または真空ポンプ吸引孔19により減圧下に取り出し、蒸発せん熱により急激に冷却し、取り出すこともできる。場合によってはこの段階で脱水反応または脱水縮合を行うこともできる。
【0076】
図3は減圧部Mの部分にメイン歯車25とサブ歯車26のギアで駆動される逆テーパー、逆回転のサブスクリューを部分的に設置した例を示す。減圧部をこのような2軸構造にすることにより、滞留部Jで化学作用を受け低粘度化した場合でもギアの歯の間隙を通過し、せん断を受けた反応物が減圧部Mでのベントアップを防止でき、圧縮およびフィードを効率よく実施することができる。また、ギア部にねじ溝を重ね設置することにより、ギア駆動を与えながら、ギア溝間隙のみによる通過量より通過量を多くすることもできる。
水分の多い原料やMI値の高い原料に効果がある。フライト形状はパドル形状が最も好ましいが、2軸押出機に一般的に採用されているフルフラット形状でも効果的である。サブスクリューパドル28は先端に行くほど、谷径が極端に細くなるように製作され、反応物の流れが迅速となるようになっているのがよい。
【0077】
取り出し口はダイス21を一般的に用いる。ダイス21のダイス孔22形状は次の工程により、適宜選択される。たとえば次の工程がフィルムまたはシート製作であればダイス孔22の形状はスリット形状とし、連続してフィルムやシートの製造を可能とすることができる。また、次の工程が不連続であれば、加工物質を索状に取り出し、カッターにより裁断しペレットを製造したり、シート状に押し出し、角ペレットを製造したり、ホットカッターにより丸ペレットを製造したりすることもできる。場合によっては液状で取り出すこともできる。
【0078】
上述の圧縮部C、D、減圧部E、圧縮部F、混合・せん断部G、混合圧縮部H、滞留部J、ローラー部K、オリフィス部L、減圧部Mについて、簡単に説明すると次の通りである。
圧縮部C、Dはサブスクリューが先端に行くほど細くなり、原料を送りやすい構造となっているため、圧縮部C、Dの圧力が高まり40〜60kg/cmになるように設計されている。減圧部Eで供給される炭酸ガス又は圧縮部Fで発生する水蒸気は圧縮部Cで密封されてホッパー孔に戻らない。
減圧部Eの圧力は、圧力の高い圧縮部Cからスクリュー谷径の小さいところに一気に原料が流れ込むことにより、−0.5〜1.0気圧に減圧される。減圧部Eの溝断面積が大きく溶融原料が充満することなく、圧縮部Fに送られ、溶融原料に炭酸ガスが混入した原料は、圧縮部F以降で充満することとなる。炭酸ガスノズル9における炭酸ガス元圧力は5kg/cmもあれば充分である。
含有水分の多い原料を通す場合、減圧部Eで水蒸気を発生させないため冷却管10により冷却される。この場合、棒ヒーター11およびバンドヒーター12は使用しないか、または100℃より充分下に設定される。
含有水分の少ない原料(例:ポリ乳酸樹脂とエコフレックスのコンパウンドの場合は水分含有量=0.05%)を通す場合、棒ヒーター11およびバンドヒーター12を適温に設定し、圧縮部C、Dを溶融樹脂で充満させ、炭酸ガスをノズル9から供給する。この場合、水冷は不要である。
混合・せん断部G及び混合圧縮部Hにおいて、混練・剪断が繰り返され、圧力が増した溶融原料は圧縮部の一部及び滞留部Jにおいて、例えば炭酸ガス超臨界又は亜臨界状態になる。
ローラー部Kにおいても、微細化されない固形の核は、メインスクリューとロールで磨り潰される構造となっている。磨り潰す必要がない場合は、ロールを外し、アタッチメント(ブッシング)と交換することができる。
炭酸ガスが超臨界又は亜臨界状態になると、溶融原料は流動性がよくなる。例えば、スクリュー径が120φ、スクリュー回転数が120rpmに於いて、オリフィス17の溝寸法が2R半円溝2本の場合の吐出量は時間当たり240kgになることが確認されている。
減圧部Mで、ベント孔から一気に脱水蒸気を行うことにより、脱水反応を起こすこともできる。
なお、ベント部・メイン歯車25、サブ歯車26を原料が通過する際の剪断作用が効果的である。
【0079】
超臨界または亜臨界炭酸ガス化学作用は例えば加水分解、アルコリシス、酵素分解などの化学分解、表面処理を行っていない微細粒子の混合、液体とポリマーの混合、相溶化剤を用いない不溶性ポリマー混合などの混合、溶剤抽出、水蒸気抽出などの化学作用が挙げられる。触媒、副原料などは原料供給部から適宜定量的に供給されても良く、低圧炭酸ガス供給部から定量的に供給されても良い。
【0080】
加水分解は、例えば多糖類(デンプン、ケナフ、バカス、セルロース等)、蛋白質、脂肪などを原料として、少糖類、オリゴ糖、単糖類、アミノ酸、アルコールなどに分解する。触媒として糖類には酸、蛋白質にはアルカリまたはアミラーゼ、ペプチターゼ、リパーゼなどの酵素を使用する。炭酸ガスの超臨界条件は31℃、7MPaであるが触媒として酵素を使用する際には酵素が失活しない温度範囲例えば35から40℃、7MPa以上の条件で作用させることが好ましい。酸またはアルカリを触媒として使用する際には温度を高くするほうが反応効率は上がり、生産性を向上することができ好ましい。
【0081】
アルコリシスは、例えば通称ペットボトルを回収し、粉砕したフレークを本発明の化学作用装置にフレークとメタノールを供給し、ポリエチレンテレフタレートをメタノールによりアルコリシスし、テレフタール酸メチルエステルとして回収することができる。精留し不純物を除去した後、テレフタール酸メチルを再度重合することにより、ポリエチレンテレフタレートを製造することができる。また、メタノールの代わりにエチレンジオールを使用し、ビスヒドロキシエチレンテレフタレートとして回収し、同様にしてポリエチレンテレフタレートを製造することができる。アルコリシスの温度を高くするほうが反応効率は上がり、生産性を向上することができ好ましい。
【0082】
微細粒子のポリマーへの混合は、通常表面処理を行ってから2軸押し出し機を使用して混合されることが多いが、微細粒子の混合は困難である。しかし、本発明の装置では、一般的な混練機と異なり、ポリマーの粘度が大きい状態で、例えば混合圧縮部Gでせん弾力を作用させ、微細粒子の2次凝集を粉砕し、次に超臨界または亜臨界状態の低粘度で微細粒子を混合するため、微細粒子の混合前処理を必要としない。
【0083】
液体とポリマーを混合する際に、一般的には混練2軸押し出し機を使用することが多いが、ポリマーを溶融した状態で適当なベント孔から液体を添加する方法が取られる。しかし、2軸押し出し機は構造上、滞留時間が非常に長く、品種切り替え時の洗浄に切り替え時間が長時間を必要とし、経済的に不利であったが、本発明の装置は原料供給部受け構造物6、7の取り外しが容易で洗浄が簡単にでき、またメインスクリュー1が1軸であるため、滞留時間が短く、品種切り替えに有利である。なお、この例では、受け構造物6、7には棒ヒーター11が取付けられている。また、バレル表面には、適宜バンドヒーター12、13を取付けても良い。
【0084】
抽出は、例えばオレンジ皮をそのまま原料として本発明の化学作用装置に供給し、オレンジ皮からリモネンを抽出することができる。抽出温度をリモネンの沸点近傍まで高くするほうが抽出効率は上がり、生産性を向上することができ好ましい。抽出した粗リモネンは精留し、純度を向上し、使用される。
【0085】
本発明で使用される多糖類には、セルロース、ヘミセルロース、澱粉、デキストリン、グルコマンナンなどが含まれる。澱粉は3次元巨大ポリマーである。その構成成分はアミロースとアミロペクチンである。アミロースは線状ポリマーを形成することができるが、アミロペクチンにより3次元構造を形成することができる。熱可塑性に関しては線状ポリマー形成が好ましい。
【0086】
セルロース、ヘミセルロースなどのセルロース類は線状ポリマーであり、酢酸セルロースや硝酸セルロースのように熱可塑性のものは、シート成形に適しているが、これらの加工品は高価である。本発明では廉価な非熱可塑性の原料、例えば一般的な溶解パルプや粉末パルプを使用することができる。澱粉アミロースも多糖類の1種として使用でき、少量であればアミロペクチンが含まれていても良い。また、酸化澱粉や加工澱粉が使用されてもよい。安定した品質を得るためには原料を一定に定め、変動が小さいほうが好ましい。澱粉は飛粉にも約40重量%含まれているため、マンノースを飛粉で供給すると0.04から12重量%配合することになる。トータル多糖類量は5から40重量%が好ましい。多糖類量が少ないと製造コストが高価になり、経済的に好ましくなく、多糖類量が多過ぎると引っ張り強度が小さくなり、好ましくない。
【0087】
本発明の澱粉組成物は180℃、1分間加熱後のヘッドスペースに含まれる含窒素環状香気成分の合計発生量が10ppm未満である澱粉組成物である。また、本発明は、熱可塑性樹脂とブレンドされている澱粉組成物、及びこの澱粉組成物を主原料として製造される成形物をも含む。澱粉組成物における、180℃、1分間加熱後のヘッドスペースに含まれる含窒素環状香気成分の合計発生量は10ppm未満でよいが、特に1ppm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.1ppm以下である。
【0088】
ポップコーン臭は5−アセチル−2,3−ジヒドロ−1,4−チアジン、2−アセチル−テトラヒドロピリジン、2−プロピオニル−1−ピロリン、2−アセチル−1−ピロリンおよびアセチルピラジンなどの含窒素環状香気成分からなることをミュンヘン工科大学の1995年年報にGrosch.Wが報告している。香気成分は極微量で臭うが、組成物の場合は香気成分の蒸気圧が重要であり、香気成分の種類、組成物の溶解度により蒸気圧は変化する。
【0089】
本発明者はこれらの含窒素環状香気成分がピリジンと同様にアルカリ性を示すことに着目し、酸でこれらの香気成分を中和し、塩を生成させることにより、香気成分の蒸気圧を低下させ、澱粉の焦げた臭いを除去低減することに成功した。
【0090】
中和に使用する化合物には、酸類、例えば塩酸、硫酸、亜硫酸、燐酸、亜燐酸、硝酸、亜硝酸などの無機酸、酢酸、酪酸、乳酸、コハク酸、蓚酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ケイ皮酸などのカルボン酸;及びフェノール類、例えばフェノール、p−ニトロフェノール、クレゾール、p−ニトロクレゾール、ナフトール、2,6ジメトキシ−フェノール、2,6ジヒドロキシ−4メトキシアセトフェノン、p−オキシ安息香酸イソブチル、p−オキシ安息香酸イソプロピル、p−オキシ安息香酸エチル、p−オキシ安息香酸ブチル、p−オキシ安息香酸プロピル、サリチル酸などのフェノール性水酸基を有する化合物が含まれる。これらは単独で使用されても、混合して使用されてもよい。
【0091】
澱粉に熱可塑性を付与する補助手段として可塑剤が使用されてもよい。可塑剤としてはグリコール、グリセリン、ソルビトールなどのアルコール類が多く使用される。しかし、アルコールが前記カルボン酸系有機酸と先に反応し、エステルを形成し、香気成分と反応せず、香気成分が残ってしまうことが多い。一方、酸性を示すヒドロキシル基を持つ芳香族はアルコールと反応しないため、アルコール系の可塑剤と併用することができる。従って、有機酸を香気成分中和剤として使用する際には可塑剤が香気成分と反応しないことを予め調べておく必要がある。フェノール類は食品添加剤として既に指定されているものがあり、これらを選択することがより好ましい。
【0092】
澱粉等の多糖類から発生する香気成分の量は非常に微量である。従って、中和に必要な酸の量も少なくてよい。例えば澱粉は酸により加水分解を受けるため、大量に使用すると澱粉の分子量が著しく低下するため、過剰に使用することは避けなければならない。酸の使用量は澱粉重量に対し、0.5重量%以下、0.01重量%以上であるのが好ましい。0.01重量%未満では加熱時、香気成分の発生が異臭として感知されるのを避けることができない。特に好ましいのは、0.1から0.05重量%である。中和する酸は配合量が少ないため、食品用途であっても食品添加物の指定添加物であれば衛生上問題はない。
【0093】
澱粉に熱可塑性を付与する方法としては、例えば特許文献4の公知の方法を使用することができる。澱粉を供給する際に香気成分にする以上の適当量の中和する酸を配合することにより、本発明の澱粉組成物を製造することができる。例えば特許文献4には「デンプンとエステル基を形成する化合物とを、水および炭酸ガスの存在下、炭酸ガスが超臨界状態または亜臨界状態となる条件下(たとえば、温度100〜350℃、好ましくは135〜200℃、反応最高圧力7.48〜29.4MPa、好ましくは15.7〜23.5MPaの条件下)で、反応させることにより、デンプンの主鎖中の一部にエステル基を導入することができる。」と記載されている。
【0094】
また「炭酸ガスの使用量は、水を基準として、たとえば、好ましくは0.1〜3重量%とすることができる。炭酸ガスは、デンプンの分解反応の際、触媒的に作用するので、微量でも効果を発揮する。」と記載されているが、中和する酸を利用する本発明の場合は少なめの方が澱粉分子量の低下が少なく、実用性あるものとなる。
【0095】
反応最高圧力は、経済的に特許文献1より温和な条件例えば2〜29.4MPa、好ましくは3〜6MPaとすることができる。「低圧すぎると、反応率が低下する。高圧すぎると、得られる加水分解縮重合デンプンが着色し、分子量が著しく低下、脆化する場合がある。反応時間は、たとえば1〜10分間、好ましくは3〜5分間とすることができる。長時間すぎると、得られる加水分解縮重合デンプンが着色し、分子量が著しく低下、脆化する場合がある。短時間すぎると反応率が低下し、充分な性能を有する加水分解縮重合デンプンが得られない場合がある。」と特許文献4には記載されているが6MPa以下の圧力で、澱粉に熱可塑性を付与するに十分であることを新たに見出した。
【0096】
水の使用量は、「たとえばデンプン100重量部(水分を除く)に対してデンプン中に含まれる水分(通常12〜13重量%)と併せて30〜80重量部、好ましくは50〜70重量部とする。水の使用量が少ないとデンプンの反応率が低下する。水の使用量が多すぎると脱水縮重合反応率が低下し、分子量の回復が少なくなり、得られる加水分解縮重合デンプンの分子量が低下する傾向がある。また、加水分解縮重合デンプンを回収するための脱水に必要なエネルギーが大きくなり経済的に好ましくない。」と記載され、同様の結果が得られた。中和に使用する酸はこの水に溶解し、供給する。
【0097】
本発明の澱粉組成物は生分解性樹脂と混合使用することができる。生分解性樹脂には例えば澱粉脂肪酸エステル、澱粉ポリエステル、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリ(ε−カプロラクトン−ブチレンサクシネート)、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸/ジオール・ジカルボン酸共重合体、ポリエステルカーボネート、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・コ・アジペート、ポリブチレンアジペート・コ・テレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート等がある。
【0098】
中でもポリブチレンアジペート・コ・テレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート等の芳香族系生分解性樹脂は、伸度が大きく、耐熱性に優れ好ましい。近い将来、経済的にはポリ乳酸が最も廉価になる。また、成形物に硬い風合いが必要な場合にはポリ乳酸を配合すると良い。成形物には生分解性樹脂が40〜90重量%含まれる。生分解性樹脂の量が少ないと引っ張り強度が小さくなり、90重量%を越えると澱粉を利用する効果が低下する。好ましくは45〜70重量%である。
【0099】
本発明の澱粉組成物からなる成形物は可食性原料のみを適当に使用することにより、例えばフィルムに成形し、オブラートなどや、カプセル等の可食性包装材料として使用することができ、また可食性増粘剤として食品に添加配合することもでき、ゼラチンフリーのゼリーを製造することができる。さらに生分解後の成分が可食性成分に限定されることにより、農業用肥料、種子などのカプセルとして使用することもできる。
【0100】
本発明の澱粉と熱可塑性樹脂との混合物からなる成形物は熱可塑性樹脂で一般的に使用される成形方法、例えば押し出し成形、射出成形、インフレーションフィルム成形、Tダイフィルム成形、ブロー成形、回転成形などの製法により各種成形物を製造することができ、本発明は成形方法をこれらのみに限定するものではない。
【0101】
なお、本発明において、コーン臭の測定は20mlのバイアル瓶にサンプル10gを入れ、180℃、1分間加熱後のヘッドスペースに含まれる5−アセチル−2,3−ジヒドロ−1,4−チアジン、2−アセチル−テトラヒドロピリジン、2−プロピオニル−1−ピロリン、2−アセチル−1−ピロリンおよびアセチルピラジンなどの含窒素環状香気成分の合計発生量をGCMS(ガスクロマト質量分析計)にて定法に従い測定した。
【0102】
ゴミ袋などには、ポリエチレンを使用することが多いが、ポリエチレンにはHDPE(高密度ポリエチレン)とLDPE(低密度ポリエチレン)がある。両者は触媒が異なり、物性が異なる。HDPEはリニアーなポリマーからなり、LDPEは分岐したポリマーからなる。HDPEは硬く、LDPEは柔らかい。適度に分岐のあるLDPEから製造されたフィルムは伸度が大きく、引き裂き強度が大きく孔が開きにくいという欠点があるが、本発明では、このような欠点のない新規なフィルムの提供をも可能とする。
【0103】
本発明者は、ヘミセルロースまたは澱粉を分解した線状の多糖類(例えばデキストリン)の中に水溶性低分子量グルコマンナンを配合することにより、ポリエチレンと同様、フィルムの引き裂き強度が向上することを見出し、本発明を完成した。この現象はグルコマンナンと他のセルロース主鎖でマンノースを側鎖に含む多糖類(例えばキザンタンやアセタン)が熱可逆的微細結晶(6回対称2重螺旋構造)を作り、熱可逆的ゲル化することと類似し、多糖類を含む組成物内に類似の熱可逆的網状構造が生起し、シートの引き裂き強度が向上したものと考えられる。なお、コンニャクの飛粉には、水溶性低分子量グルコマンナンが多く含有されている。
【0104】
飛粉の成分は水分4.0%、蛋白質17.0%、脂質5.5%、灰分8.5%、糖質60〜65%であり、糖質は水溶性成分が20〜23%、非水溶性成分が40〜42%である。水溶性成分の大半は水溶性グルコマンナンであり、マンノースが約40重量%含まれている。非水溶性成分の大半は澱粉である。なお、グルコマンナンはコンニャク精粉に飛粉より多く含まれており、これを使用することも考えられるが、高価である。
【0105】
飛粉の中に含まれている蛋白質、脂質、灰分は本発明のシートの製造に際して、量が少なく本質的な物性を損なうことはない。実用性ある引き裂き強度を得るためには、グルコマンナンの量は構成成分であるマンノースとして0.01重量%以上となるように使用することが必要であり、0.05重量%以上、特に0.1重量%以上であるのが好ましい。なお、飛粉のマンノース含有量は、約8重量%であるため、マンノース成分が3重量%を越えるようにすると、飛粉の使用量が35重量%を越え、製品の引っ張り強度が低下する。
【0106】
フィルム又はシートの製造に当たって、可塑剤、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ブタンジオールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトールまたはこれらの混合物を添加してもよい。可塑剤が多くなればフィルムまたはシートは柔らかくなり、少ないと硬くなる。可塑剤の量は0から30重量%、好ましくは5から20重量%である。
【0107】
この場合、可塑剤の量は多糖類とグルコマンナン量の和の半分より少ない方が好ましい。過剰になると高湿潤環境下、可塑剤が成形品からブリードアウトすることがある。
【0108】
飛粉、多糖類、可塑剤、生分解性樹脂は適当量の炭酸水に分散または溶解し、上記公知の方法で180から230℃、3から7Mpaの条件下、30秒から2分間攪拌した後、減圧乾燥し、粉体またはペレット状に成形する。
【0109】
上記粉体またはペレットと生分解性樹脂、着色剤、タッキング防止剤など公知の各種添加剤を混合供給し、インフレーションフィルム製造機またはTダイ押し出しフィルムまたはシート製造機により、本発明のシート(又はフィルム)を製造する。
【0110】
シート(又はフィルム)の引っ張り強度測定はASTM D3368、引き裂き強度の測定はJIS K7128に準じて行った。直径2mm、長さ10mmのオリフィスから、180℃、荷重2.16kg、10分間に流下した樹脂重量(g)を測定してペレットのMI値を求めた。
【0111】
また、大豆臭の青臭さの原因成分は大豆に微量に含有されるヘキサナールおよびヘキサノールであり、これらはおからの中にも含まれ、大豆食品以外の用途では、大豆臭として敬遠されるものであるが、本発明では、製造過程でヘキサナールおよびヘキサノールを変性もしくは化合させることにより、おからの大豆臭を残さないで、おからを用いた成形品の提供をも可能とした。
【0112】
すなわち、おからと熱可塑性樹脂を混合し、炭酸ガスの存在下、炭酸ガスの超臨界または亜臨界条件で剪断力を加えながら、無機酸を触媒として、ヘキサナールに加水反応によりジオールを生起させる。おからの中には蛋白質と澱粉などの糖質が含まれており、ヘキサノール、ヘキサジオールは蛋白質または糖質と化合し、固定化されるので、蒸発圧が減少または実質的になくなり、本発明のおから組成物成形品に大豆臭がなくなるのである。
【0113】
炭酸ガスの超臨界温度と圧力は約31℃、7MPaであるが、この方法では、100〜300℃、2〜20MPa、好ましくは150〜250℃、3〜12MPaの炭酸ガス超臨界または亜臨界条件で無機酸を触媒として、ヘキサナールに加水反応をさせる。
【0114】
剪断力の付与は1軸押し出し機によるスクリュー回転によりチャンバーとの間で発生する剪断力を利用する。この剪断力により、蛋白質や澱粉などの高分子は機械的に破断され、ラジカルを発生し、非常に反応性が高くなる。大豆臭のヘキサノール、ヘキサジオールはこれらのラジカルに捕捉され、固定化され、本発明のおから組成物から大豆臭が除去される。
【0115】
おからに含まれている水分は最終的には脱水されるが、剪断力による発熱を利用するとともに、高圧下から急激に減圧する際、脱水を行うため熱の利用率が効率的であり、経済的に優れている。本発明のおから組成物成形品の水分率は10重量%未満であり、黴が生えることもなく、保管上も問題がない。好ましくは水分率7重量%未満である。
【0116】
無機酸には例えば塩酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、亜燐酸、燐酸などがあるが、本発明はこれらのみに限定するものではない。おからに対する無機酸の配合量は0.5重量%以下で良い。0.5〜0.001重量%、特に0.05〜0.01重量%であるのが好ましい。食品添加物の指定添加物である無機酸、例えば塩酸を使用すると食品用成形品として好ましい。
【0117】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないがポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合物などのポリオレフィン樹脂、ABSなどのポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を使用するのが好ましい。
【0118】
なお、熱可塑性樹脂は、成形品の20〜90重量%となるように使用されるのがよい。熱可塑性樹脂の量が少ないと、製品をフィルム化した際の引っ張り強度が小さくなり、実用性ある製品を得難く、逆に多くなり過ぎるとおからを利用する効果が低下する。熱可塑性樹脂の好ましい使用量は30〜70重量%である。
【0119】
おから組成物に熱可塑性を付与する補助手段として可塑剤が使用されてもよく、可塑剤としてはグリコール、グリセリン、ソルビトールなどのアルコール類の使用が好ましい。かかる可塑剤の使用量は、おからおよび配合する澱粉の固形分重量に対して30から100重量%であるのが好ましい。
【0120】
また、本発明の上記成形品には、増量剤として、炭酸カルシウム、ゼオライト、タルク、ケイソウ土、酸性白土、活性白土、カオリンなどの無機物および粉末パルプ、澱粉などの有機物の混入が可能である。多孔性のゼオライトなどは異臭の減少にも効果がある。既存食品添加物である増量剤は用途に問題のない範囲で本発明のおから組成物成形品に配合して使用することができる。配合量が量的に少ない場合はドライブレンドできるが、多くなると使用する熱可塑性樹脂でマスターバッチを製造し、配合すると均一性に優れた成形品を製造することができる。一般的に増量剤の配合量は固形分総量に対し50重量%以下、特に30重量%以下であるのがよい。用途により、適当に配合されるものであり、これらの数値に限定されるものではない。
【0121】
その他の添加剤として、タッキファイヤ、タッキング防止剤、顔料、抗菌剤、静電防止剤、離形剤などの添加剤を製品に問題のない範囲で使用することができる。
【0122】
本発明の上記成形品は、熱可塑性樹脂で一般的に使用される成形方法、例えば押し出し成形、射出成形、インフレーションフィルム成形、Tダイフィルム成形、ブロー成形、回転成形などの製法により各種成形品を製造することができ、本発明は成形方法をこれらのみに限定するものではない。
【0123】
大豆臭の測定は20mlのバイアル瓶にサンプル5gを入れ、180℃、1分間加熱後のヘッドスペースに含まれるヘキサナールおよびヘキサノール臭い成分の合計発生量(以下、臭い成分の合計発生量と述べる)はGCMS(ガスクロマトグラフ質量分析計)にて定法に従い測定した。臭い成分の合計発生量が5ppmを越えると、複数のパネルによる官能試験により、成形品に大豆臭がするという者が多かった。官能試験には個人差が大きいため、臭い成分の合計発生量は、1ppm以下であるのが好ましく、特に0.1ppm以下とするのがよい。
【0124】
本発明の熱可塑性澱粉や熱可塑性セルロース組成物の水分率は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコールなどのポリオール、ステアリン酸、ミリスチン酸などの脂肪酸およびそのエステル類、アルカリ、またはアルカリ土類金属塩類、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、蔗糖などの糖類、水飴、デキストリンなど多糖類の水溶性可塑剤量を制御することにより、製品である化粧品用増粘剤、食品用増粘剤、オブラート、可食性材料、ならびに、カプセルの親水性、水溶性または水崩壊性を制御することができる。水分率またはおよび水溶性可塑剤量を多くすることにより親水性、水溶性または水崩壊性を増加することができる。薬理部位および用途によりカプセルなどの製品に求められる親水性、水溶性または水崩壊性は異なるため、上記添加剤を適宜選択すると良い。
【0125】
例えば水溶性可塑剤量としてグリセロールが20重量%の場合、水分率が1重量%未満で熱可塑性澱粉組成物の製品表面撥水性を示すようにすることもできる。また、表面近傍に弱い架橋構造を発現させることで表面撥水性を示すようになる。この表面層が破壊されると製品は親水性、水溶性または水崩壊性を示す。
【0126】
例えば本発明の熱可塑性澱粉や熱可塑性セルロース組成物は一般的な方法の熱溶融シート成形した後、回転ダイロール法によりソフトカプセルを製造することができる。また、一般的な射出成形機でハードカプセルを製造することができる。一方、遠心ミルにより容易に200から500ミクロン平均粒子径の粉末に機械粉砕することができる。この粉末は水に溶解またはゲル状態で分散することができる。粉末化することにより、カプセルの製造法はゼラチンと同様にゼラチンで使用される回転ダイロール法、多重滴下法、ディップ法を使用することができ、装置も使用することができる。その他に、熱可塑性樹脂で使用される真空モールド成形法、射出成形法、ブロー法、押し出し法等の製造方法を使用することができる。
【0127】
また、この粉末を食品または薬品有効成分と混和し、打錠機によりタブレットに成形することができる。一般に増量剤としてデンプンのみを使用するとタブレットが壊れやすいので、打錠圧力を極端に大きくするか、または適当な結合剤の併用を必要とする。一方、本発明の熱可塑性セルロース組成物粉末を使用し、打錠時に適当に加温、加熱することにより、透明で壊れにくいタブレットを製造することができる。
【0128】
タブレット製品として例えばミント等を含有する口腔清涼剤タブレット、医療用錠剤、ゴキブリ用殺虫剤等が挙げられるがこれらのみに本発明は限定されるものではない。また、でんぷんと併用することもできる。併用する場合はタブレットが壊れ易くなる。好ましくはデンプンに対して20重量%以上混和される。より好ましくは50重量%以上である。
【0129】
一般的にゼリー状食品はゼラチン、糖類、香料、着色料を主原料として製造される。食味の大半を担うのがゼラチンである。しかし、ゼラチンは上述のごとくBSEの恐れがあり、食品に使用することは好ましくない。本発明の熱可塑性セルロース組成物は安全な可食製原料のみを使用することにより、ゼラチンの安全な代替品、食品用増粘剤として使用することができる。また、ゼラチンが高価であるのに反し、廉価なパルプセルロースをも原料賭して使用できるため経済的に有利である。ゼラチン代替として使用する際には一般に使用される粉末ゼラチン同様、粉砕して使用すると扱い易い。
【0130】
また、食品増粘剤としてゼラチン代替に、例えばハム、カマボコ、麺類、スープ類、菓子類等に使用することができるが、これらのみに本発明は限定されるものではない。これらの製品には害を与えない範囲で着色料、香料、甘味料などの調味料、カラギーナンのような増粘剤、保存剤などの一般的に使用される公知の添加剤を使用しても良い。
【0131】
本発明のポリエステルなどを原料とする組成物、およびその組成物からなる、例えば発泡体、フィルムなどの成形品に使用する主原料PETの適当なIV値(極限粘度)は成形方法により異なる。回収PETフレークの一般的なIV値は0.6から0.8である。射出成形では流動性が良い方が好ましく、IV値は小さい方が良い。一方、発泡体では粘度が大きい方ほどガス抜けが小さく、IV値は大きい方が好ましい。
【0132】
PETの融点は250から260℃でシャープな融解曲線を示し、溶融粘度が温度により大きく変化する。このような溶融粘度に敏感なポリマーは複雑な金型内でのポリマーの流動性にとり不適である。また、PET発泡体においては低温押し出しができず、発泡時の粘度維持を期待しがたい欠点がある。
【0133】
本発明者は主原料PETにコポリマーもしくはその原料モノマーと分岐剤を配合し、本発明の上記単軸押し出し機内において、炭酸ガス超臨界または亜臨界条件下、これらの原料を部分的分解、混合、交換を行い、再度粘度調整を行い直接成形する成形方法を見出し、本発明の完成に至った。
【0134】
(B)成分は、PETを低融点化するための成分であり、コモノマーとしては例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどの脂肪族ジアルコールとアジピン酸、セパシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸などがある。またテレフタル酸の代わりにイソフタル酸を用いることもある。これらは、ポリマーの形態で供給されても良いことは前述した通りである。
【0135】
低融点化するためのコモノマーの配合量はPETからの低下温度差、コモノマーの種類と量、組み合わせおよび重合度などにより異なり、また反応条件、温度、攪拌効率、押し出し機によるシェアの大きさ、滞留時間、圧力、炭酸ガス濃度、水分率などにより異なるため、一概には言えないが、適宜選定することができる。本発明に使用するコポリマーの見かけ融点ピークが120℃未満では得られる成形品の耐熱性が不足し、一般的な成形品用途に使用できない。また、見かけ融点ピークが190℃を越えると低融点化が不足し、本発明で期待される流動性、粘度の温度依存性が大きくなり過ぎる。
【0136】
分岐剤としては例えばトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価酸や無水ピロメリット酸のような酸2無水物がある。またペンタエリスリトール、グリセロール、ソルビトールのような多価アルコールがある。成形品が食品用包装材の場合にはグリセロールまたはソルビトールなどの食品添加物としてリストアップされているものが好ましい。分岐剤の添加量は配合組成により適宜選択すべきであるが、総重量に対して0.1重量%から5重量%が好ましい。
【0137】
炭酸ガスの超臨界条件は31.8℃、7.2MPaであるが100℃以上、2MPa以上の亜臨界条件も使用することができる。炭酸ガスの超臨界または亜臨界条件下、上記の原料および分岐剤を混合、交換反応させることにより、本発明に使用するに適した分岐、粘度および溶融温度を具備するコポリマーが得られる。
【0138】
交換反応条件はPETの融点250℃以上、2MPa以上であるが、押し出し条件は成形に適した条件を選択する。即ち、射出成形の場合は比較的高温で、押し出し成形の場合は比較的低温で押し出す。発泡体の場合には見かけ融点近傍で押し出す。
【0139】
発泡成形では発泡核剤を添加することが好ましく、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、珪藻土、タルク、ベントナイト、酸性白土などの無機物がある。これらの無機物は微細粉末で、2次凝集しても1ミクロン以下のものを使用する。1ミクロンを越えると10ミクロン未満の微細発泡セル膜強度が低下するため独立気泡が得られない。極微細発泡では発泡セル膜厚が1ミクロン程度になるので好ましくは0.3ミクロン以下である。発泡核剤配合量は発泡セルの大きさに逆相関し、樹脂重量に対し0.01〜2重量%である。
【0140】
発泡押し出し機とそのスクリュー形状はスクリュー部が原料樹脂供給部、圧縮部、炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経てダイスに至る構成が好ましい。
【0141】
発泡押し出し機の温度は原料樹脂供給部が樹脂溶融温度、圧縮部が樹脂溶融温度より10〜20℃高く、減圧部は樹脂溶融温度、圧縮混練部からアダプターは樹脂溶融温度より20〜50℃高く、ダイス出口温度は樹脂溶融温度より−30℃〜10℃に設定することが好ましい。
また、発泡セル密度を大きくし、発泡倍率を向上するためにダイス前の圧力は15MPa以上が良く、好ましくは20MPa以上である。
【0142】
炭酸ガスの供給量は樹脂量の1〜5重量%、発泡倍率により異なるが、発泡倍率10倍で1.5〜2重量%、発泡倍率20倍で2〜3重量%が目安となる。
【0143】
射出成形機は直接押し出しでなく、予めペレットに成形し使用することが好ましい。ペレット製造機とそのスクリュー形状はスクリュー部が原料樹脂供給部、圧縮部、炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、減圧部、圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経てダイスに至る構成が好ましい。射出成形の場合は炭酸ガスが若干ペレットに残る方が物性を損なわず流動性が向上し、好ましい。
【0144】
本発明は射出成形品、発泡体に一般的に使用される耐熱または耐光安定剤、着色剤、抗菌剤などの添加剤を使用することを妨げるものではない。また、多層構造とし、回収PET原料使用部を内層に限定することにより、食品が直接触れることのないように安全性に配慮することができる。
【0145】
本発明で融点の測定は走査型示差熱量分析計(DSC)により窒素置換中、20℃/分で測定した。IV値の測定はメタクレゾール溶液で測定した。
【0146】
また本発明者は、芳香族ポリエステルに、該ポリエステルを低融点化するための成分を共重合させ、同時に、または前後して分岐剤、光触媒酸化チタンと熱分解性発泡剤を配合し、本発明の上記単軸押し出し機内において、熱分解性発泡剤の分解温度以下の炭酸ガス超臨界または亜臨界条件下、これらの原料を部分的分解、混合、交換を行い、再度粘度調整を行い直接成形する成形方法を見出し、本発明の完成に至った。
【0147】
光触媒酸化チタンはアナターゼ型結晶構造をし、紫外線により励起される。大阪市立大学の小松晃雄はルチル型結晶構造の酸化チタンにナノスケールの白金を担持させることにより407nm可視光線で励起される光触媒を既に開発している。発泡核剤としてもこれらの光触媒酸化チタンを使用することができる。光触媒酸化チタン配合量は樹脂重量に対し0.01〜2重量%である。
光触媒酸化チタンにアパタイトなどを部分的に付着させた修飾型光触媒酸化チタンであっても良い。
【0148】
光触媒酸化チタンは水を介在し、有機物を分解し、酸素と炭酸ガスを発生する。発生する酸素の酸化力は大きい。この反応でラジカル発生または電子の受け渡しが行われる。熱分解性発泡剤の多くは5−フェニルテトラゾールのようなアゾ化合物である。アゾ化合物は光触媒酸化チタンから供給されるラジカルや電子の受け渡しによりその分解が促進され、通常の分解温度より低温で熱分解し、窒素などのガスを発生する。
【0149】
樹脂には水分が含まれており、PET等の平衡水分は数百ppmであり、光触媒が作用するに十分な量である。
【0150】
本発明では熱分解性発泡剤の分解温度以下で樹脂に混合し、ビーズ状に押し出し、ビーズに光を照射し、ビーズ内にラジカルや電子の受け渡しの中間状態を保持させ、必要な時に再加熱し、4〜50倍というような高発泡倍率で成形することができる。例えば5−フェニルテトラゾールの分解温度は230〜280℃であるが、200℃未満でビーズ成形した後、光照射し、200℃未満の低温で高発泡倍率成形することができる。芳香族ポリエステル樹脂は温度による粘度変化が大きく、粘度が低下すると発泡するためのガスが逸散しやすくなり、低発泡倍率のものしか得られない。
【0151】
熱分解性発泡剤は上記アゾ化合物、例えばp,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタンテトラミン、5−フェニルテトラゾール、ビステトラゾールジアンモニウム、ビステトラゾールピペラジン、ビステトラゾールジグアニジン、アゾビステトラゾールグアニジン、アゾビステトラゾールアミノグアニジン、アゾジカルボンアミドなど分解温度が異なるものがある。
【0152】
また、ポリオキシメチレンを熱分解性発泡剤として使用することもできる。ポリオキシメチレンは熱分解するとホルムアルデヒドガスが発生するが光触媒により酸化され、水と炭酸ガスに分解され安全性にも問題がなくなる。
【0153】
発泡押し出し機とそのスクリュー形状はスクリュー部が原料樹脂供給部、圧縮部、炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経てダイスに至る構成が好ましい。
【0154】
発泡押し出し機の温度は原料樹脂供給部が樹脂溶融温度、圧縮部が樹脂溶融温度より10〜20℃高く、減圧部は樹脂溶融温度、圧縮混練部からアダプターは樹脂溶融温度より20〜50℃高く、ダイス出口温度は樹脂溶融温度より−30℃〜10℃に設定することが好ましい。
また、発泡セル密度を大きくし、発泡倍率を向上するためにダイス前の圧力は15MPa以上が良く、好ましくは20MPa以上である。ビーズ製造の場合は低圧にし、発泡を抑制し、水中カッターで急冷する。
【0155】
ガス発泡を併用する場合、炭酸ガスの供給量は樹脂量の0.1〜5重量%、ガス発泡倍率により異なるが、発泡倍率10倍で1.5〜2重量%、発泡倍率20倍で2〜3重量%が目安となる。炭酸ガス超臨界は樹脂量の0.1重量%の炭酸ガスでその効果を得ることができる。
【0156】
射出成形機は直接押し出しでなく、予めペレットに成形し使用することが好ましい。発泡マスターバッチをドライブレンドして使用することもできるペレット製造機とそのスクリュー形状はスクリュー部が原料樹脂供給部、圧縮部、炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、減圧部、圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経てダイスに至る構成が好ましい。射出成形の場合は炭酸ガスが若干ペレットに残る方が物性を損なわず、またヒケの発生を防止でき、流動性が向上し、好ましい。
【0157】
本発明は射出成形品、発泡体に一般的に使用される耐熱または耐光安定剤、着色剤、抗菌剤などの添加剤を成形に悪影響のない範囲で使用することを妨げるものではない。また、多層構造とし、回収PET原料使用部を内層に限定することにより、食品が直接触れることのないように安全性に配慮することができる。多層構造にする場合、表面層の溶融粘度を上げることにより、発泡時ガス逸散を防止することができ、高倍率発泡成形品を容易に得ることができる。エステル縮合物の粘度はポリオレフィン類と異なり、温度に大きく左右されるため、表面層と内面層の融点差が20℃以上であると発泡時ガス逸散防止効果が大きく好ましい。
【0158】
溶融状態で発泡させ、ガス抜けを防止するためには高粘度領域を拡張し、ポリエステルエラストマーの分子量を大きくする必要がある。しかし、重合時分子量が大きくても再溶融すると容易に分子量は低下する。高粘度領域を拡張するために例えばピロメリット酸などにより高分子鎖に分岐を作る方法があるが、重合時に分岐反応を行うと反応時間が長くせん断力が小さいため、分岐コントロールが困難で、分岐が過剰に進行し、架橋にいたるため、極端な場合は3次元構造となり、流動性が低下し、取り出せなくなる。本発明では炭酸ガス臨界条件下、せん断力を与えながら、エステル交換反応およびせん断力により切断時発生するラジカルによるラジカル反応により分岐を作るため、異常に3次元構造化する以前に、せん断力により適当に切断され、適当な流動性が保持される。
【0159】
本発明の発泡体はエラストマー材料でも製造することができ、ハードセグメントは芳香族ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどおよびこれらのブロック混合物などであり、ソフトセグメントはポリアルキルエーテル(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール)、ポリアルキルエステル(例えばポリエチルアジペート、ポリブチルアジペートなどのポリアルキレンエステル)、ポリアルキルカーボネート(例えばポリブチレンカーボネートジオール、ポリプロピレンカーボネートジオールなどのポリアルキレンカーボネートグリコール)などのポリウレタンで使用するソフトセグメントを使用することができる。ハードセグメントとソフトセグメントの比率によりエラストマーの弾性挙動が変わり、調節することができる。その比率は1:1程度が多く使用されるが、2:1から1:2の間で使用されることが多い。またソフトセグメントの分子量は2000程度が多く用いられるが、その種類によりエラストマーの弾性挙動も異なる。発泡体はほとんどの場合、独立気泡を保持するようにして最終製品になる場合が多いが、通気性が必要とされる場合など特殊なケースには連続気泡で使用されることもある。
【実施例】
【0160】
次に本発明の実施例を示すが、装置例では、図1から4に示す一連のスクリューからなる本発明の装置(メインスクリュー1およびサブスクリュー2の径は50mm、パドル角度差120度)を使用した。
[実施例1]−オリフィス通過速度、装置例(変性)
水分量約10重量%以下に予備乾燥し、約3mm長さにカットしたケナフチップを主原料とし、ホッパー5から50kg/時間で供給し、炭酸ガスノズル9から5KPaの炭酸ガスを原料比0.05重量%で注入した。滞留部Jの温度200℃、圧力12.9MPaの超臨界炭酸ガス条件下、滞留部Jの滞留時間6秒で分解し、低分子量化し、1mm径1個のオリフィス17を通過させた。オリフィス通過速度は1274cm/秒であった。
【0161】
オリフィス17を出た後、ベント孔18から水封真空ポンプで減圧、脱水を急激に行い、低分子化したケナフを、縮重合により分子量を増加させた。圧縮部Nで1MPaまで加圧した後、直径1mmの円形ダイス孔から押し出し、ホットカッターにより熱可塑性丸ペレットを製造した。この熱可塑性ペレットはケナフ不織布の接着剤として使用できた。
【0162】
[比較例1]
オリフィス17として0.8mm径のものを使用すると、オリフィス通過速度が1990cm/秒に上がるまでに、低圧炭酸ガス供給部Yから炭酸ガスの供給が困難となった。止むなく、メインスクリュー1の回転数を低下し、運転する必要が生じ、生産性が著しく低下した。
【0163】
[実施例2]−オリフィス通過速度、装置例(混合)
実施例1で使用した本発明の装置のローラー受け15をクリアランス0.5mmのブッシングに取替え、ダイス孔22を直径20mm1個のダイス21に、減圧部Mを部分2軸構造に変更し、水中カッターを使用した。原料にスチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマーの直径30mmのペレット、副原料に常温液状ワックスを重量比70:30で使用し、原料供給部Xから50kg/時間で供給した。原料の食い込み状態は良好でワックスの逆流はなかった。また、減圧部Mでのフィード状態は良好で、ベント孔18からベンドアップすることもなかった。低粘度製品にも拘わらず供給量を維持することができた。
【0164】
滞留部Jの温度150℃、圧力2.3MPaの亜臨界炭酸ガス条件下、滞留部Jの滞留時間6秒で混合した。オリフィス通過速度は17.7cm/秒であった。得られた混合ペレットの切片を切り出し、位相差光学顕微鏡で観察した結果、ワックスの分布は1ミクロン以下に微細に分散していることを確認できた。
【0165】
引き続き原料と副原料の配合比率を60:40に変更し、1分ごとにサンプリングし、液体クロマトグラフで比率を定量し、配合比率が切り替わるまでの時間を測定した。12分後には混合ペレットの配合比率が所定の比率に切り替わることが確認できた。
【0166】
[実施例3]−オリフィス通過速度、装置例(抽出)
実施例1で使用した本発明の装置のダイス21を外して使用した。原料オレンジの皮をそのまま使用し、リモネンの抽出を行った。滞留部Jの温度130℃、圧力3.9MPaの亜臨界炭酸ガス条件下、滞留部Jの滞留時間6秒で抽出し、1mm径12個のオリフィス17を通過させた。オリフィス通過速度は101cm/秒であった。ベント孔18で吸引は行わずオリフィス17から減圧部Mに移行する際の断熱膨張で冷却し、抽出混合物を取り出した。
【0167】
抽出混合物を絞り機に掛け、絞り液を精留しリモネンを精製した。精製したリモネンの収率は原料オレンジ皮に含まれるリモネンの89重量%と高い値を示した。
【0168】
[比較例2]
ブッシングを1mmクリアランスのものに取り替えると、オリフィス通過速度は9cm/秒になり、圧力が1MPa未満になり、リモネンの収率は64重量%に低下した。
【0169】
[実施例4]−澱粉を原料とする熱可塑性フィルムの製造
市販コーンスターチ100重量部、イオン交換水50重量部および食品添加物の指定添加物であるグリセリン50重量部、食品添加物の指定添加物であるフェノール0.1重量部、炭酸ガス1重量部を混合し、50mmダブルベント付き1軸押出し機に供給した。ベント口から開放、水封ポンプで脱水した。加熱最高温度190℃、圧2.9MPaで澱粉を加水分解し、引き続き、オリフィス通過速度は828cm/秒で急激に開放し脱水縮重合させた。全滞留時間を3分、原料の供給速度を50kg/時間とした。本発明の澱粉組成物を100メッシュのフィルターで濾過後、直径1mmのノズルから押出し、ホットカッターでペレットに成形した。ペレット製造時ポップコーン臭いはしなかった。得られたペレットは、MI値(180℃)が12と良好な熱可塑性を示した。このペレットの含窒素環状香気成分の合計発生量は0.1ppm未満であった。
【0170】
このペレットとBASF社製芳香族系生分解性樹脂「エコフレックス」を重量比40:60で混合し、タッキング防止剤にエルカアミド0.3重量%ドライブレンドし、ノズル径10cmのインフレーションフィルム製造機を用い、押し出し温度170℃で本発明の厚さ50μmのフィルムを製膜した。得られたフィルムの引っ張り強度24MPa、伸度340%であり、ゴミ袋として使用するに実用上十分な機械物性を示した。また、十分なヒートシール強力があった。フィルム製膜時、ならびにフィルムにポップコーン臭はなかった。
【0171】
[比較例3]
実施例4の配合からフェノールのみを除き、ペレットを製造した。ペレット製造時、ポップコーン臭が強かった。このペレットの含窒素環状香気成分の合計発生量は15ppmであった。また、製造したフィルムにもポップコーン臭が強く残った。
【0172】
[実施例5]−澱粉を原料とする熱可塑性フィルムの製造
フェノールの配合量を2重量部、1重量部、0.02重量部、0.01重量部に変更した以外は実施例4と同様の方法で、4種の澱粉組成物を製造した。
フェノール2重量部の場合、澱粉の分子量の低下が大きく、製造時にポップコーン臭はしなかったがペレットに造粒することができなかった。
フェノール1重量部の場合、製造時にポップコーン臭がせず、本発明のペレットに造粒することができた。なお、ペレットの含窒素環状香気成分の合計発生量は0.1ppm未満であった。
フェノール0.02重量部の場合、製造時にポップコーン臭がせず、本発明のペレットに造粒することができた。ペレットの含窒素環状香気成分の合計発生量は0.15ppmであった。
【0173】
[比較例4]
フェノール0.01重量部の場合、ペレットの含窒素環状香気成分の合計発生量は13ppmで、芳香族系生分解性樹脂「エコフレックス」と50:50の重量比で製造したフィルムにもポップコーン臭が残った。
【0174】
[実施例6]−澱粉を原料とする熱可塑性フィルムの製造
フェノールの代わりに食品添加物の指定添加物である当量の10%塩酸を使用した以外は、実施例4と同様の方法を実施し、ペレットを得た。本実施例においても、製造時にポップコーン臭はせず、ペレット含窒素環状香気成分の合計発生量は0.1ppm未満であった。また、このペレットのみで製膜した厚さ40μmのフィルムにもポップコーン臭はなかった。
【0175】
[実施例7]−パルプと飛粉を原料とする熱可塑性フィルムの製造
市販針葉樹溶解パルプ(αセルロース含有率92.3重量%)30重量部、マンノース含有量8.4重量%の飛粉10重量部、グリセリン15重量部、BASF(株)製芳香族系生分解性樹脂「エコフレックス(商標)」ペレット45重量部(180℃、MI値5)、タッキング防止剤エルカアミド0.5重量部、イオン交換水20重量部をヘンシェルミキサーで混合し、スクリュー付き連続反応機を使用し、最高温度180℃、最高圧力3.5MPaで90秒間溶融混合し、オリフィス通過速度828cm/秒で減圧脱水後、ダイス温度150℃、ダイス前圧力0.9MPaで直径1mmのノズルから吐出し、索を水冷、カッターでカットし、30個/gの大きさのペレットに成形した。このペレットの180℃MI値は6であった。
上記ペレットを原料とし、直径10cmのダイスのインフレーションフィルム製造機を使用し、押し出し機の温度160℃、ブロー比4で厚さ40μmの本発明のインフレーションフィルムを製造し、幅方向引っ張り強度、伸度、機械方向引き裂き強度を測定した。
【0176】
[比較例5]
飛粉の代わりにコーンスターチを使用した以外は、実施例7と同様の成分を使用してインフレーションフィルムを製造した。
【0177】
実施例7と比較例1で得たフィルムの機械特性を下記に示す。
. 引っ張り強度 引っ張り伸度 引き裂き強度
. MPa % kg/mm
実施例7 45 320 18
比較例5 38 280 5
【0178】
[実施例8〜10、比較例6]−パルプと飛粉を原料とする熱可塑性フィルムの製造
実施例7と同様にして、溶解パルプ、飛粉とコーンスターチの量を増減し、製造したペレットを原料とし、厚さ40μmの本発明のインフレーションフィルムを製造し、機械方向引き裂き強度を測定した。
【0179】
. 溶解パルプ飛粉 コーンスターチ マンノース 引き裂き強度
. 重量部 重量部 重量部 重量% kg/mm
実施例8 30 1 9 0.08 8
実施例9 20 20 0 1.64 14
実施例10 10 30 0 2.52 11
比較例6 0 40 0 3.36 6
【0180】
[実施例11]−パルプと飛粉を原料とする熱可塑性フィルムの製造
実施例7で製造したペレット80重量部とMI値12のポリ乳酸20重量部を混合し、厚さ40μmの本発明のインフレーションフィルムを製造し、幅方向引っ張り強度、伸度、機械方向引き裂き強度を測定した。
. 引っ張り強度 引っ張り伸度 引き裂き強度
. MPa % kg/mm
実施例11 58 180 12
実施例11のフィルムは、実施例8のフィルムに比較して、ポリ乳酸を配合することにより伸度は低下したが、風合いが硬くなり、強度が向上した。
【0181】
[実施例12]−おからを原料とする熱可塑性フィルムの製造
水分率80重量%のおから100重量部、食品添加物の指定添加物であるグリセリン5重量部、食品添加物の指定添加物である10%塩酸0.1重量部、炭酸ガス0.1重量部、BASF社製芳香族系生分解性樹脂「エコフレックス(商標)」20重量部を混合し、50mmダブルベント付き1軸押出し機に供給した。加熱最高温度190℃、最高圧2.9MPaでおからのヘキサナールおよびヘキサノールを反応固定化し、引き続き、オリフィス通過速度828cm/秒で第1ベント口から急激に開放し、第2ベント口から水封ポンプで脱水した。全滞留時間を3分、原料の供給速度を50kg/時間とした。このおから組成物を100メッシュのフィルターで濾過後、直径1mmのノズルから押出し、ホットカッターでペレットに成形した。ペレット製造時大豆臭はしなかった。得られたペレットは、直径2mm長さ10mmのオリフィスから10分間、荷重2.16kgで放流したMI値(180℃)が7と良好な熱可塑性を示した。
【0182】
このペレットにタッキング防止剤エルカアミド0.3重量%をドライブレンドし、ノズル径10cmのインフレーションフィルム製造機を用い、押し出し温度170℃で、厚さ50μmのフィルムを製膜した。得られたフィルムは、引っ張り強度19MPa、伸度310%であり、実用上十分な機械物性を示した。フィルム製膜時、ならびに得られたフィルムに大豆臭はなかった。このフィルムの、臭い成分の合計発生量は0.1ppm未満であった。
【0183】
[比較例7]
塩酸を使用しなかった以外は、実施例12と同様の方法で、フィルムを製造した。この方法では、フィルム製造時、大豆臭が強く、得られたフィルムの、臭い成分の合計発生量は19ppmであり、大豆臭が残った。
【0184】
[実施例13]−おからを原料とする熱可塑性フィルムの製造
塩酸の使用量を変化させて実施例12と同様の方法を実施した。
(1)10%塩酸の配合量:2重量部
この場合、おから組成物の分子量の低下が大きく、製造時に大豆臭はしなかったがペレットに造粒することができなかった。
(2)10%塩酸の配合量:0.2重量部
この場合、製造時に大豆臭がせず、本発明のフィルムを製造することができた。フィルムの臭い成分の合計発生量は0.1ppm未満であった。
(3)10%塩酸の配合量:0.02重量部
この場合、製造時に大豆臭がせず、本発明のフィルムを製造することができた。フィルムの臭い成分の合計発生量は0.04ppmであった。
【0185】
[比較例8]
10%塩酸の配合量を0.005重量部とした場合には、フィルムの臭い成分の合計発生量は8ppmで、製造したフィルムにも大豆臭が残った。
【0186】
[実施例14]−おからを原料とする熱可塑性ペレットおよびプレートの製造
「エコフレックス(商標)」を60重量部、グリセリンを20重量部に増量し、さらに増量剤としてジャガイモ澱粉20重量部を加え、塩酸と炭酸ガスを倍量に変更した以外は、実施例12と同様の方法で、ペレットを製造した。このペレットを使用し、真空ポンプによるベント付き試験用射出成形機を使用し、ダイス温度190℃で厚さ3mmの試験用段付きプレートを製造した。このプレートには引けも、フラッシュの発生もなかった。また、ペレット製造時およびプレート製造時、いずれにおいても大豆臭はなかった。なお、プレートを3mm角程度に切断した砕片の臭い成分の合計発生量は0.1ppm未満であった。
【0187】
[実施例15]−おからを原料とする熱可塑性フィルムの製造
「エコフレックス(商標)」の代わりにMI値が1のポリプロピレンを使用した以外は実施例14と同様の方法で、おから組成物および厚さ80μmのインフレーションフィルムを製造した。本実施例でも、フィルム製造時に大豆臭がせず、実用性あるフィルムを製造することができた。フィルムの臭い成分の合計発生量は0.1ppm未満であった。
【0188】
次に、ポリエステル発泡体の製造に関する実施例を示すが、これらの実施例における融点の測定は走査型示差熱量分析計(DSC)により窒素置換中、20℃/分で測定した。また、IV値の測定はメタクレゾール溶液で測定した。
[実施例16]−ポリエステル発泡体の製造
主原料に回収ペットボトルから製造したPETフレーク、IV値0.73を100重量部、分岐剤にピロメリット酸2無水物粉末1重量部、発泡核剤に粒径0.3から0.4ミクロンの酸化チタン粉末1重量部、低融点化のためポリブチレンアジペートペレット、IV値0.12を30重量部とを回転式ブレンダーによりドライブレンドした。次に80℃で24時間真空乾燥、水分量を100ppm以下にコントロールし、窒素パージしながら、アルミ袋に保管し、製造時、窒素パージされた原料供給部から定量的に供給した。
【0189】
発泡押し出し機とそのスクリュー形状はスクリュー部が直径50mm、原料樹脂供給部、第1圧縮部、炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、第2圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経てスリット幅0.4mm、長さ1mのダイスから押し出すTダイ方式を使用した。第1圧縮部260℃、炭酸ガス供給部240℃、圧縮混練部250℃、逆流防止部200℃、第2圧縮部180℃、定量部、アダプター150℃、ダイス前圧力18MPa、ダイス部130℃、オリフィス通過速度828cm/秒に設定した。炭酸ガスを樹脂総量に対し3重量%加圧供給した。炭酸ガス超臨界下、エステル交換反応後、押し出された発泡シートをチルドローラーにより冷却後、80℃に再加温し、発泡倍率を増加しつつ、ローラーにより厚さコントロールを行い、厚さ10mm、発泡倍率25倍の発泡シートに成形し、本発明のポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマーを含有する発泡体を巻き取った。
【0190】
製造した本発明の発泡体から切片を切り取り、光学顕微鏡写真撮影を行い、単位体積あたりの気泡数を測定した。また、水柱1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから本発明の発泡体は独立気泡が形成されていることを確認した。発泡体のDSC測定結果、融点ピークは146℃であった。本発明の発泡体を厚生省告示第370号に準じ、器具及び容器包装規格溶出試験を行い過マンガン酸カリウム消費量を測定した結果、規定値以下で食品容器として安全性が確認された。
【0191】
[実施例17]
分岐剤をソルビトールに変更した以外は、実施例16と同様の方法で、本発明の発泡体を製造した。製造した本発明の発泡体から切片を切り取り、光学顕微鏡写真撮影を行い、単位体積あたりの気泡数を測定した。発泡体のDSC測定結果、融点ピークは153℃であった。本発明の発泡体を厚生省告示第370号に準じ、器具及び容器包装規格溶出試験を行い過マンガン酸カリウム消費量を測定した結果、規定値以下で食品容器として安全性が確認された。
【0192】
[比較例9]
分岐剤を添加しないで、実施例17の方法を実施した結果、低融点化は達成されたが、見かけ粘度が不足し、炭酸ガスのガス抜けが著しく十分な発泡倍率の発泡体が得られなかった。
【0193】
[実施例18]
実施例16と同様にして主原料に回収ペットボトルから製造したPETフレーク、IV値0.73を100重量部、分岐剤にピロメリット酸2無水物粉末0.5重量部、結晶化核剤に粒径0.1から0.2ミクロンのタルク粉末0.5重量部、低融点化のためポリブチレンアジペートペレット、IV値0.12を20重量部とを回転式ブレンダーによりドライブレンドした。次に80℃で24時間真空乾燥、水分量を100ppm以下にコントロールし、窒素パージしながら、アルミ袋に保管し、製造時、窒素パージされた原料供給部から定量的に供給した。
【0194】
混練押し出し機とそのスクリュー形状はスクリュー部が直径50mm、原料樹脂供給部、第1圧縮部、炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、減圧ベント部、第2圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経て直径0.5mmのノズルダイスから押し出し、ドライカッターでカットするペレット方式を使用した。第1圧縮部260℃、炭酸ガス供給部240℃、圧縮混練部250℃、逆流防止部200℃、減圧ベント部150℃、第2圧縮部170℃、定量部、アダプター150℃、ダイス部150℃、オリフィス通過速度828cm/秒に設定した。炭酸ガスを樹脂総量に対し1重量%加圧供給し、炭酸ガス超臨界下、エステル交換反応したポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマー含有ペレットを製造し、このペレットを、一般的な50トン射出圧成形機を使用して、射出温度200℃、金型温度40℃でアイゾット衝撃強度測定用ノッチ付き試験片に製造した。
【0195】
[比較例10]
回収ペットボトルから製造したPETフレークのみを使用して、実施例18と同様の方法でアイゾット衝撃強度測定用ノッチ付き試験片を製造した。
【0196】
実施例18で得た試験片にはヒケなど成形上の欠点はなく、試験片のDSC測定結果、融点ピークは171℃であった。また、アイゾット衝撃強度は、回収ペットボトルから製造したPETフレークのみを使用した比較例10のものと比較し、120%向上した。更に、実施例18では、射出温度が比較例10の270℃より低下したため、射出サイクルを30%向上することができ、生産性が向上した。
次に、実施例18の射出成形試験片およびそのスプルーおよびランナーを粉砕し、同様にして射出成形した試験片のDSC測定結果は、融点ピークが168℃で、初回成形品と大きく変化しなかった。アイゾット衝撃強度は、比較例10の回収ペットボトルから製造したPETフレークのみを射出成形した場合に比して、107%向上し、初回成形品より若干低下したが比較例10より優れていた。
【0197】
[実施例19]
ポリエチレンアジペートを、1,4−ジブタノールアジピン酸エステル10重量部、ポリブチレンテレフタレート10重量部、IV値0.81に変更した以外は、実施例17と同様の方法で、厚さ10mm、発泡倍率25倍の発泡シートを成形し、本発明のポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマーを含有する発泡体を製造した。
発泡体シートの水中1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから、本発明の発泡体は独立気泡が形成されていることを確認した。発泡体のDSC測定結果,融点ピークは135℃であった。
【0198】
[実施例20]
ポリブチレンアジペートを、1,2−ジエタノールアジピン酸エステル10重量部、IV値0.81に変更した以外は、実施例17と同様の方法で、厚さ10mm、発泡倍率25倍の発泡シートを成形し、本発明のポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマーを含有する発泡体を製造した。
発泡体シートの水中1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから、本発明の発泡体は独立気泡が形成されていることを確認した。発泡体のDSC測定結果,融点ピークは126℃であった。
【0199】
[実施例21]
ポリブチレンテレフタレートペレット(IV値0.68)100重量部、分岐剤としてピロメリット酸2無水物粉末1重量部、光触媒兼用発泡核剤として粒径0.3から0.4ミクロンのアナターゼ型酸化チタン粉末1重量部、弾性化のためポリブチレンジオール100重量部を各々定量供給装置により窒素パージされた原料供給部から定量的に供給した。
【0200】
発泡押し出し機とそのスクリュー形状はスクリュー部が直径50mm、本発明の2軸構成原料供給部、第1圧縮部、臨界反応用1次炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、発泡用2次炭酸ガス供給減圧部、第2圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経てスリット幅0.4mm、長さ1mのダイスから押し出すTダイ方式を使用した。定常運転時の機械温度設定は第1圧縮部250℃、炭酸ガス供給部200℃、圧縮混練部250℃、逆流防止部200℃、第2圧縮部220℃、定量部、アダプター190℃、ダイス前圧力18MPa、ダイス部170℃、オリフィス通過速度828cm/秒に設定した。ポリマーの実温は押し出し機を通過する際に溶融するに必要な熱量をせん断力から補給される。1次炭酸ガスを樹脂総量に対し1重量%加圧供給した。炭酸ガス超臨界下、エステル交換反応後、2次炭酸ガスを樹脂総量に対し5重量%加圧供給した。押し出された発泡シート両面をチルドローラーで冷却し、次に水シャワーでさらに冷却を行い、厚さ100mm、発泡倍率50倍の本発明のフォーム成形品を引き取りつつ、定長カットし、本発明の弾性ポリエステルフォームを製造した。
【0201】
製造した本発明の最終製品フォームから切片を切り取り、光学顕微鏡写真撮影を行い、単位体積あたりの気泡数を測定した。また、水柱1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから本発明のフォームは独立気泡が形成されていることを確認した。
【0202】
[実施例22]
主原料に回収ペットボトルから製造したPETフレーク(IV値0.73)100重量部、分岐剤としてピロメリット酸2無水物粉末1重量部、光触媒兼用発泡核剤として粒径0.3から0.4ミクロンのアナターゼ型酸化チタン粉末1重量部、低融点化のためポリブチレンアジペートペレット(IV値0.12)15重量部と熱分解性発泡剤ジニトロソペンタンテトラミン1重量部を回転式ブレンダーによりドライブレンドした。次に80℃で24時間真空乾燥、水分量を100ppm以下にコントロールし、窒素パージしながら、アルミ袋に保管し、製造時、窒素パージされた原料供給部から定量的に供給した。
【0203】
発泡押し出し機とそのスクリュー形状はスクリュー部が直径50mm、原料樹脂供給部、第1圧縮部、炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、第2圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経てスリット幅0.4mm、長さ1mのダイスから押し出すTダイ方式を使用した。定常運転時の機械温度設定は第1圧縮部200℃、炭酸ガス供給部200℃、圧縮混練部200℃、逆流防止部200℃、第2圧縮部180℃、定量部、アダプター150℃、ダイス前圧力18MPa、ダイス部130℃、オリフィス通過速度828cm/秒に設定した。ポリマーの実温は通過する必要な熱量をせん断力から補給される。炭酸ガスを樹脂総量に対し0.5重量%加圧供給した。炭酸ガス超臨界下、エステル交換反応後、押し出された発泡シートをチルドローラーにより冷却後、シートの両面から紫外線ランプにより照射を行い、厚さ1mm、発泡倍率2.5倍の本発明のシート成形品を巻き取った。170℃に再加温し、発泡倍率を増加しつつ、ローラーにより厚さコントロールを行い、厚さ10mm、発泡倍率25倍の発泡シートに成形し、本発明のポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマーを含有する最終製品発泡体を巻き取った。
【0204】
製造した本発明の最終製品発泡体から切片を切り取り、光学顕微鏡写真撮影を行い、単位体積あたりの気泡数を測定した。また、水柱1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから本発明の発泡体は独立気泡が形成されていることを確認した。発泡体のDSC測定結果、融点ピークは188℃であった。本発明の発泡体を厚生省告示第370号に準じ、器具及び容器包装規格溶出試験を行い過マンガン酸カリウム消費量を測定した結果、規定値以下で食品容器として安全性が確認された。
【0205】
[実施例23]
実施例22と同様にして分岐剤をソルビトールにのみ変更し、本発明の発泡体を製造した。製造した本発明の発泡体から切片を切り取り、光学顕微鏡写真撮影を行い、単位体積あたりの気泡数を測定した。発泡体のDSC測定結果、融点ピークは182℃であった。本発明の発泡体を厚生省告示第370号に準じ、器具及び容器包装規格溶出試験を行い過マンガン酸カリウム消費量を測定した結果、規定値以下で食品容器として安全性が確認された。
【0206】
[比較例11]
分岐剤を使用しないで、実施例23の方法を実施した。この結果、低融点化は達成されたが、見かけ粘度が不足し、炭酸ガスのガス抜けが著しく十分な発泡倍率の発泡体が得られなかった。
【0207】
[実施例24]
実施例22と同様にして主原料に回収ペットボトルから製造したPETフレーク(IV値0.73)を100重量部、分岐剤としてピロメリット酸2無水物粉末0.5重量部、光触媒兼用発泡核剤として粒径0.1から0.2ミクロンの白金担持ルチル型酸化チタン粉末0.5重量部、低融点化のためポリブチレンアジペートペレット(IV値0.12)を10重量部とp−フェニルテトラゾール1重量部を回転式ブレンダーによりドライブレンドした。次に80℃で24時間真空乾燥、水分量を100ppm以下にコントロールし、窒素パージしながら、アルミ袋に保管し、製造時、窒素パージされた原料供給部から定量的に供給した。
【0208】
混練押し出し機とそのスクリュー形状はスクリュー部が直径50mm、原料樹脂供給部、第1圧縮部、炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、減圧ベント部、第2圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経て直径0.5mmのノズルダイスから押し出し、水中カッターでカットするペレット方式を使用した。第1圧縮部200℃、炭酸ガス供給部200℃、圧縮混練部200℃、逆流防止部200℃、減圧ベント部190℃、第2圧縮部190℃、定量部、アダプター170℃、ダイス部150℃、オリフィス通過速度828cm/秒に設定した。炭酸ガスを樹脂総量に対し0.3重量%加圧供給し、炭酸ガス超臨界下、エステル交換反応したポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマー含有本発明ペレット(発泡用ビーズ)を製造した。
【0209】
熱風乾燥機中170℃で発泡用ビーズを約50倍に予備膨張させた後、肉厚2mmのカップ形状に130℃の水蒸気で加熱圧縮成形し、本発明発泡カップを製造した。カップから切り出した試験片の発泡倍率は46倍であった。試験片のDSC測定結果、融点ピークは190℃であった。
【0210】
[実施例25]
ポリブチレンアジペートを1,4−ジブタノールアジピン酸エステル5重量部とポリブチレンテレフタレート(IV値0.81)10重量部に変更した以外は実施例23と同様にして、発泡シートを製造し、紫外線照射後、再加熱して、本発明の厚さ10mm、発泡倍率25倍の発泡シートに成形し、本発明のポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマーを含有する発泡体を製造した。
【0211】
発泡体シートの水柱1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから本発明の発泡体は独立気泡が形成されていることを確認した。発泡体のDSC測定結果、融点ピークは185℃であった。
【0212】
[実施例26]
実施例22と同様の方法で、ポリブチレンアジペートを1,2−ジエタノール アジピン酸エステル7重量部及びポリブチレンテレフタレート(IV値0.81)15重量部に変更し、熱分解性発泡剤をp,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドとし、第1圧縮部200℃、炭酸ガス供給部200℃、圧縮混練部200℃、逆流防止部200℃、減圧ベント部140℃、第2圧縮部140℃、定量部、アダプター130℃、ダイス部120℃、オリフィス通過速度828cm/秒に設定した以外は実施例2と同様にして、紫外線照射後、再加熱し本発明の厚さ10mm、発泡倍率25倍の発泡シートに成形し、本発明のポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマーを含有する発泡体を製造した。
【0213】
発泡体シートの水柱1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから本発明の発泡体は独立気泡が形成されていることを確認した。発泡体のDSC測定結果、融点ピークは154℃であった。
【0214】
[実施例27]
実施例26と同様にして、中層を形成し、タンデム型の押し出し機により表層上下に厚さ10μのポリブチレンテレフタレート(IV値0.81)で挟んだ多層構造にし、中層押し出し温度を発泡剤の分解温度以下の低温でシート成形した。次に、紫外線照射後、発泡剤の分解温度以上に再加熱し本発明の厚さ20mm、発泡倍率50倍の発泡シートに成形し、本発明のポリエチレン・ブチレン・アジペート・テレフタレート分岐コポリマーを含有する発泡体を製造した。製品は、表層の融点ピークが220℃で、内層の融点ピークが154℃である、発泡成形品となった。
【0215】
[実施例28]
実施例23の方法で、PETの代わりにポリブチレンテレフタレート(IV値0.81)100重量部を使用し、ポリブチレンアジペートの代わりに1,2−ジブタノール・コハク酸エステル10重量部を使用し、熱分解性発泡剤をp,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドとし、第1圧縮部200℃、炭酸ガス供給部200℃、圧縮混練部200℃、逆流防止部200℃、減圧ベント部140℃、第2圧縮部140℃、定量部、アダプター130℃、ダイス部120℃、オリフィス通過速度828cm/秒に設定した以外は実施例23と同様にして、紫外線照射後、再加熱し本発明の厚さ10mm、発泡倍率25倍の発泡シートに成形し、本発明のポリブチレン・サクシネート・テレフタレート分岐コポリマーを含有する発泡体を製造した。
【0216】
発泡体シートの水柱1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから本発明の発泡体は独立気泡が形成されていることを確認した。発泡体のDSC測定結果、融点ピークは151℃であった。
【0217】
[実施例29]−カプセル−
漂白パルプ70重量部、ジャガイモ澱粉30重量部、パルプおよび澱粉中に含まれる水分と併せてイオン交換水70重量部、ソルビトール20重量部、トレハロース10重量部、クエン酸を澱粉に対し0.1%を混合し供給口から供給し、炭酸ガスを水に対し0.05%を減圧部から供給し、押出し機のスクリューは、供給、圧縮、減圧、混練り、圧縮、ベントからの脱水、混練り、圧縮の過程を経るように設計し、通常の2軸押出し機に劣らない混練り効果を得られるようにした45mmダブルベント付きステンレス製1軸押出し機に供給し、180℃、12MPaで反応させた。オリフィス通過速度は828cm/秒に設定し、ベント口から開放、水封ポンプで脱水し、ノズル前圧11MPaで押し出しホットカットし、本発明の澱粉臭のない熱可塑性セルロース組成物丸ペレットを製造した。
【0218】
Tダイ押し出し機を使用し、120℃で押し出し厚さ0.5mmのシートを押し出し、回転ダイロール機でロイヤルゼリーを注入し、本発明の健康食品カプセルを製造した。カプセル皮膜は実用に十分な強度を保持し、20℃、相対湿度60%環境に24時間放置しても相互に膠着することはなかった。また、36℃、pH5の塩酸水バイアル瓶中に2時間浸漬後、軽く振るとカプセルは容易に崩壊した。
【0219】
次に上記丸ペレットを遠心ミルで粉砕し、500ミクロン以上の粒子をサイクロンで除去し、水分散膨潤後、湿式で乾燥後厚さ0.5mmのシートを製造し、回転ダイロール機でロイヤルゼリーを注入し、本発明の健康食品カプセルを製造した。カプセル皮膜は実用に十分な強度を保持し、20℃、相対湿度60%環境に24時間放置しても相互に膠着することはなかった。また、36℃、pH5の塩酸水バイアル瓶中に2時間浸漬後、軽く振るとカプセルは容易に崩壊した。
【0220】
次に上記丸ペレットを40トンステンレス製射出成形機により150℃で外径2.8mm、内径2.4mm、長さ4mm段なしオス型、外径3.3mm、内径2.9mm、長さ4mmのメス型カプセルを作成した。この中に葛根湯散沫を入れ、160℃に加熱した45度の傾斜のステンレス製鋼板上を転がし落下させ、収縮接着した。本発明の感冒用カプセルを製造した。カプセル皮膜は実用に十分な強度を保持し、20℃、相対湿度60%環境に24時間放置しても相互に膠着することはなかった。また、36℃、pH5の塩酸水バイアル瓶中に2時間浸漬後、軽く振るとカプセルは容易に崩壊した。
【0221】
[実施例30]−弾性フォーム−
発泡押し出し機とそのスクリュー形状はスクリュー部が直径50mm、本発明の2軸構成原料供給部、第1圧縮部、臨界反応用1次炭酸ガス供給減圧部、圧縮混練部、逆流防止部、発泡用2次炭酸ガス供給減圧部、第2圧縮部、定量部により構成され、アダプターを経てスリット幅0.4mm、長さ1mのダイスから押し出すTダイ方式を使用した。定常運転時の機械温度設定は第1圧縮部250℃、炭酸ガス供給部200℃、圧縮混練部250℃、逆流防止部200℃、第2圧縮部220℃、定量部、アダプター190℃、ダイス前圧力18MPa、ダイス部170℃、オリフィス通過速度828cm/秒に設定した。ポリマーの実温は押し出し機を通過する際に溶融するに必要な熱量をせん断力から補給される。1次炭酸ガスを樹脂総量に対し1重量%加圧供給した。炭酸ガス超臨界下、エステル交換反応後、2次炭酸ガスを樹脂総量に対し5重量%加圧供給した。押し出された発泡シート両面をチルドローラーで冷却し、次に水シャワーでさらに冷却を行い、厚さ100mm、発泡倍率50倍の本発明のフォーム成形品を引き取りつつ、定長カットし、本発明の弾性ポリエステルフォームを製造した。
【0222】
製造した本発明の最終製品フォームから切片を切り取り、光学顕微鏡写真撮影を行い、単位体積あたりの気泡数を測定した。また、水柱1mの耐水試験を行い、水漏れがないことから本発明のフォームは独立気泡が形成されていることを確認した。
【0223】
[実施例31]−オブラート−
実施例4のグリセリン配合量を30重量部に、加熱最高温度を150℃に、圧を2.2MPaに変更した以外は実施例4と同様にして、ステンレス製本発明装置を使用し、100メッシュのフィルターで濾過後、直径1mmのノズルから押出し、本発明の澱粉組成物をホットカッターでペレットに成形した。ペレット製造時ポップコーン臭はしなかった。得られたペレットは、MI値(180℃)が7と良好な熱可塑性を示した。このペレットの含窒素環状香気成分の合計発生量は0.1ppm未満であった。
【0224】
上記ペレットを原料とし、通常のインフレーション法により製膜し、厚さ10μmのフィルムを得た。このフィルムを幅10cmにスリットした後、ロールカッターで機械方向に10cm長さでカットし、本発明のオブラートを製造した。このオブラートは実用的に十分な引っ張り強力と柔軟性があり、水により容易に接着することができた。また、このオブラートで蔗糖1grを包み、36℃、pH5の塩酸水バイアル瓶中に30分浸漬後、軽く振るとオブラートは容易に崩壊し、包まれた蔗糖は溶解した。
【0225】
[実施例32]−ゲル化物−
漂白パルプの配合量を50重量部、ジャガイモ澱粉の配合量を50重量部に変更した以外は実施例29と同様にして、本発明の澱粉臭のない熱可塑性セルロース組成物丸ペレットを製造した。
【0226】
上記丸ペレット5grを水100mlに入れてふやかして置き、水360ml、インスタントコーヒー大匙2杯、蔗糖50grの水溶液とを耐熱ガラス容器に入れ、良く混合し、電子レンジで約4分間加熱し、溶解した液を型に入れ、あら熱が取れたら冷蔵庫で冷却固化し、本発明ゲル化物であるコーヒーゼリーを製造した。粉ゼラチンを使用したコーヒーゼリーと比較したが若干柔らかめな食感であった以外はほとんど差異が分からなかった。粉ゼラチンはBSEの恐れがあるが、本発明原料は全て植物性でその恐れもなく、エコロジー的にも優れていた。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を、連続して炭酸ガスと共に圧縮して超臨界又は亜臨界状態の流体として、抽出、混合及び/又は変性加工するものであって、加工する際の最大流速が10〜1500m/秒であることを特徴とする物質の加工方法。
【請求項2】
多糖類及び蛋白質の少なくとも一種を主成分とする組成物を、前記臨界状態で加工し、その後、加熱・加圧することにより、熱可塑性組成物に加工する請求項1の方法。
【請求項3】
上記組成物が熱可塑性樹脂及び/又は可塑剤を含む請求項2の方法。
【請求項4】
上記多糖類が澱粉又はセルロースであり、上記蛋白質がおからである請求項2又は3の方法。
【請求項5】
上記組成物を上記臨界状態の流体として加工し、加熱・加圧して加水分解した後、脱水縮重合させる請求項2〜4いずれか1項の方法。
【請求項6】
上記組成物が多糖類に対して0.01〜0.5重量%の酸類及びフェノール類からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を添加したものである請求項5の方法。
【請求項7】
芳香族ポリエステルを、低融点化する共重合成分及び分岐剤と共に上記臨界状態で流体として加工し、分岐コポリマーを含有する発泡体とする請求項1の方法。
【請求項8】
物質を、連続して炭酸ガスと共に圧縮して超臨界又は亜臨界状態の流体として、抽出、混合及び/又は変性加工するオリフィス付きスクリュー装置であって、加工する際に最大流速がオリフィス部で得られることを特徴とする装置。
【請求項9】
物質を、連続して炭酸ガスと共に圧縮して臨界状態の流体として、加工するためのスクリュー式加工装置であって、原料供給部の押出スクリューに続いて、同スクリューのシャフトを細くし、スクリュー羽根間の空隙容積を増した減圧部を設け、この減圧部に炭酸ガスを導入し、更に、この減圧部の後に再びシャフトを太くし、羽根の間隔を狭くしたスクリューからなる圧縮部を位置させ、その後、シャフトの太さをバレル内周と実質的に同一とし、当該シャフトの表面又は周囲にオリフィスを設けたオリフィス部を設けたことを特徴とする請求項8の装置。
【請求項10】
前記オリフィス通過物質の最大流速が10から1500cm/秒であることを特徴とする請求項9の装置。
【請求項11】
前記原料供給が、メインスクリューとサブスクリューの回転比が1:2で、隣り合うパドルの配置が60度差以上、180度差以下である2軸スクリューからなることを特徴とする請求項9又は10の装置。
【請求項12】
前記オリフィス部の後に逆テーパーのサブスクリューを設け、部分的に2軸構造としたことを特徴とする請求項9又は10の装置。
【請求項13】
多糖類からなり、セルロースまたはヘミセルロースを主要成分の一つとする請求項1の方法で得られる熱可塑性組成物。
【請求項14】
マンノース成分を0.01から3重量%含有することを特徴とする請求項13の熱可塑性組成物。
【請求項15】
生分解性樹脂を含有する請求項13又は14の熱可塑性組成物。
【請求項16】
生分解性樹脂の少なくとも一部が芳香族系生分解性樹脂である請求項13〜15いずれか1項の熱可塑性組成物。
【請求項17】
グリコール、グリセリン、ソルビトールおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の可塑剤を含む請求項13〜16いずれか1項の熱可塑性組成物。
【請求項18】
生分解性樹脂が40から90重量%の割合で使用されている請求項15〜17いずれか1項の熱可塑性組成物。
【請求項19】
請求項13〜18の熱可塑性組成物からなる成形品。
【請求項20】
澱粉からなる熱可塑性組成物であって、20mlのバイアル瓶にサンプル10gを入れ、180℃、1分間加熱後のヘッドスペースに含まれる含窒素環状香気成分の合計発生量が10ppm未満である熱可塑性澱粉組成物。
【請求項21】
上記含窒素環状香気成分が5−アセチル−2,3−ジヒドロ−1,4−チアジン、2−アセチル−テトラヒドロピリジン、2−プロピオニル−1−ピロリン、2−アセチル−1−ピロリンおよびアセチルピラジンからなる群から選ばれ少なくとも一種である請求項20の澱粉組成物。
【請求項22】
澱粉重量に対して0.01〜0.5重量%の酸類及びフェノール類からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を添加し、澱粉を加水分解し、脱水縮重合させたものからなる請求項21又は22の澱粉組成物。
【請求項23】
熱可塑性樹脂とブレンドされている請求項20〜22いずれか1項の澱粉組成物。
【請求項24】
請求項20〜23の澱粉組成物を主原料として製造される成形品。
【請求項25】
熱可塑性樹脂とおからを主原料とした組成物からなるものであって、20mlのバイアル瓶にサンプル5gを入れ、180℃、1分間加熱後のヘッドスペースに含まれるヘキサナールおよびヘキサノールの合計発生量が5ppm以下であることを特徴とするおから組成物成形品。
【請求項26】
熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項25のおから組成物成形品。
【請求項27】
熱可塑性樹脂が生分解性樹脂である請求項25又は26のおから組成物成型品。
【請求項28】
(A)ポリエチレンテレフタレートと、(B)炭素数1〜4の脂肪族ジアルコールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はヒドロキシジカルボン酸、又はそれらの重合体を分岐剤の存在下で反応させて得た、分岐ポリエステルコポリマー成形品であって、融点ピーク温度が120℃から190℃であるポリエステル成型品。
【請求項29】
(A)成分100重量部に対して(B)成分が5〜50重量部混合使用されている請求項28のポリエステル成形品。
【請求項30】
前記成形品が発泡倍率4〜50倍であるガス発泡体である請求項28又は29のポリエステル成形品。
【請求項31】
(A)芳香族ポリエステルと、(B)炭素数1〜4の脂肪族ジアルコールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はヒドロキシジカルボン酸、又はそれらの重合体を分岐剤の存在下で反応させて得た、融点ピーク温度が150℃〜195℃である分岐ポリエステルコポリマーからなるものであり、光触媒酸化チタンと熱分解性発泡剤の存在下で発泡したポリエステル発泡成形品。
【請求項32】
(A)の芳香族ポリエステルがポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートである請求項31の発泡成形品。
【請求項33】
前記成形品が、射出成形品、ビーズ又は押し出し成形品である請求項31又は32の発泡成形品。
【請求項34】
ハードセグメントとソフトセグメントからなる請求項1の方法で得られる分岐した、ポリエステルエラストマーおよびその発泡成型品。
【請求項35】
請求項13〜18及び20〜23のいずれかの組成物からなるカプセル、オブラート、増粘剤およびゲル化物。
【請求項36】
医薬品または食品用である請求項35の可食性カプセル、オブラート、増粘剤およびゲル化物。

【国際公開番号】WO2005/030845
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514252(P2005−514252)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014248
【国際出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(303054157)
【Fターム(参考)】