タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造方法
本発明は、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材(30)を作る方法に関し、方法は:予備成形品(26、70)が、溶加金属を受容することが可能な領域(28、72)を一端に有するように、前記予備成形品(26、70)を所定位置に位置決めする機器(60)によって、前記予備成形品(26、70)を位置決めするステップ(44)と、金属ビーズの形態で、前記領域(28)内で溶加金属を用いて表面硬化することによって、前記金属補強材(30)用の基部(39)を構築するステップ(46)と、を順序通りに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材または金属タービンエンジンブレード用の金属補強材を製造する方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、タービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の分野は、タービンエンジンの分野、およびより具体的には、前縁が金属構造補強材を含む、複合または金属材料の、タービンエンジンファンブレードの分野である。
【0004】
しかしながら、本発明は、タービンエンジンブレードの後縁を補強するように意図される金属補強材を作ることにも適用可能である。
【0005】
前縁は、空気の流れに直面して気流を下面気流および上面気流に分割する、空気力学的プロファイルの前部に対応することに、留意されたい。後縁は、下面流および上面流が合流する、空気力学的プロファイルの後部に対応する。
【0006】
欧州特許第1908919号明細書に記載されているように、複合材料で作られた、タービンエンジンのファンブレードに、ブレードの高さ全体にわたって、その前縁も超えて延在する、金属構造補強材を装着することが、知られている。このような補強材は、たとえば鳥、ひょう、あるいは石など、ファンに対する異物の衝撃の際に、複合材ブレードが保護されることを可能にする。
【0007】
具体的には、金属構造補強材は、層間剥離および繊維破損の危険性、あるいは繊維/マトリクス剥離によるその他の損傷を防止することにより、複合材ブレードの前縁を保護する。
【0008】
従来、タービンエンジンブレードは、第一方向に沿って、前縁と後縁との間に、および第一方向に対して実質的に直交する第二方向に沿って、ブレードの下部と上部との間に延在する、空気力学的表面を含む。金属構造補強材は、ブレードの空気力学的表面の前縁の形状を辿り、ブレードの下面および上面のプロファイルを辿るブレードの空気力学的表面の前縁を越えて第一方向に沿って、およびブレードの下部と上部との間で第二方向に沿って、延在する。
【0009】
周知の方法において、金属構造補強材は、完全に材料のブロックからのフライス加工によって作られた金属片である。
【0010】
このような金属構造補強材の実施形態の別の例は、とりわけ仏国特許第2319008号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1908919号明細書
【特許文献2】仏国特許第2319008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ブレードの前縁用の金属補強材は、作るのに複雑な小片であり、多くの再仕上げ作業、および著しい製造コストを伴う複雑な機器を必要とする。
【0013】
この点に関して、本発明は、このような小片を製造するコストを著しく減少させ、製造プロセスを簡素化することが可能な、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材を製造する方法を提案することにより、上述の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的のため、本発明は、順序通りに以下を含む、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材を製造する方法を提案する:
予備成形品が溶加金属を受容することが可能な領域を一端に有するように、前記予備成形品を所定位置に位置決めする機器によって、予備成形品を位置決めするステップと、
金属ビーズの形態で、前記領域内で溶加金属を用いて表面硬化することによって、前記金属補強材用の基部を構築するステップ。
【0015】
本発明により、金属構造補強材は、予備成形品、およびMIG(金属不活性ガス)溶接によって材料を再構築するための方法から、単純かつ迅速に作られ、保持および適合機器に配置された予備成形品の末端から補強材の基部を構築する。好ましくは、使用されるMIG法は、仏国特許出願第0802986号明細書に記載されている、CMT(コールドメタルトランスファ)として知られる改善である。この特定の方法は、シートの変形を最小化することにより、大量の材料が被着されることを可能にする。
【0016】
したがってこの製造方法は、大量のストック材料を必要とし、結果的に原料を供給するために著しいコストを必要とする、平坦な部品から全体のフライス加工による補強材の複雑な製造を排除する。
【0017】
本発明による方法はまた、このような小片を製造するためのコストを実質的に削減することもできる。
【0018】
有利なことに、予備成形品は、溶接材料を受容することが可能な接合をその末端に有するように機器内に位置決めされた、第一金属シートによっておよび第二金属シートによって形成される。
【0019】
本発明によるタービンエンジンブレード用の金属補強材を製造する方法はまた、個別にまたは技術的に可能な全ての組み合わせによって考えられる、以下の特徴の1つ以上を有してもよい:
溶加金属を用いて表面硬化することによる前記構築ステップは、パルス電流発生器を含み、パルス被着ワイヤフローを有するMIG溶接装置によって、実行され、
前記予備成形品は、前記溶加金属を受容することが可能な領域をその末端に有するように、前記機器によって非平行位置に位置決めされた、第一金属シートおよび第二金属シートを含み、前記補強材の前記基部を構築する前記ステップは前記金属シートを所定位置に一体化させ、
前記予備成形品は、前記予備成形品が側面、および前記溶加金属を受容することが可能な領域を一端に含むように、熱間予備成形金属シートによって形成され、
前記構築ステップの後には、前記基部の最終プロファイルに近づくように前記溶接領域の前記表面硬化材料を機械加工するステップが続き、
方法は、応力を緩和するための熱処理ステップを含み、
方法は、高温適合ステップを含み、
方法は、前記金属補強材の前記基部および前縁または後縁の最終プロファイルを磨き上げるような前記表面硬化材料の再仕上げ、および/または前記金属補強材の側面を形成するような金属シートの再仕上げからなる、前記金属補強材を仕上げるステップを含み、
方法は、レーザー切断によって前記第一金属シートおよび前記第二金属シートを切断するステップを含み、
方法は、前記側面の内面の粗さを増加させることからなる操作を含み、
方法は、前記機器内の前記位置決めステップの前に前記金属シートを形成するステップを含み、
前記位置決めステップの間、前記金属シートは、前記機器内で形成されて、接合されたまま維持され、
前記位置決めステップの間、前記金属シートは形成され、前記金属シートの間に位置決めされたダガーによって離間され、前記ダガーの外側プロファイルは前記金属シートの下面および上面プロファイルに適合し、
方法は、前記機器を通じて前記機器内の所定位置にある前記金属シートから熱を排出するステップを含む。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の添付図面を参照して、提示目的であっていかようにも限定しない目的の、以下の記載からより明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による製造方法を用いて得られる前縁の金属構造補強材を含むブレードの側面図である。
【図2】切断面AAに沿った図1の部分断面図である。
【図3】本発明によるタービンエンジンブレードの前縁用の金属構造補強材を製造する主要ステップを表すブロック図である。
【図4】図3に示される方法の第三ステップの第一の実施形態の間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図5】図3に示される方法の第三ステップの第二の実施形態の間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図6】図3に示される方法の第四ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図7】図3に示される方法の第五ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図8】図3に示される本発明の方法によって得られた最終状態にあるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図9】図3に示される方法によって前縁用の金属補強材を製造するために使用される専用保持機器の分解図である。
【図10】図3に示される方法による予備成形品の第二の実施形態の間の初期状態にあるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図11】図3に示される方法による予備成形品の第二の実施形態の間の最終状態にあるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図12】金属補強材を製造する第二の方法のタービンエンジンブレードの前縁用の金属構造補強材を製造する主要ステップを表すブロック図である。
【図13】図12に示される第二の方法の第一ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図14】図12に示される第二の方法の第二ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図15a】図12に示される第二の方法の第三ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の側面図である。
【図15b】切断面C−Cに沿った、図15aに示されるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の断面図である。
【図16】図12に示される第二の方法の第四ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の正面図である。
【図17】図12に示される第二の方法の第五ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の正面図である。
【図18】図12に示される第二の方法の第六ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図19】図12に示される第二の方法の第七ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の正面図である。
【図20】図12に示される第二の方法によって得られた最終状態にあるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の側面図である。
【図21】図12に示される第二の方法によって前縁用の金属補強材を作るために使用される専用保持機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
全ての図において、別途記載のない限り、共通の要素は同じ参照番号を有する。
【0023】
図1は、本発明による製造方法を用いて得られる前縁用金属構造補強材を含むブレードの側面図である。
【0024】
図示されるブレード10は、たとえば、タービンエンジン(図示せず)の可動ファンブレードである。
【0025】
ブレード10は、前縁16と後縁18との間で第一軸方向14に沿って、および下部22と上部24との間で第一方向14に対して実質的に直交する第二半径方向20に沿って延在する、空気力学的表面12を含む。
【0026】
空気力学的表面12はブレード10の上面13および下面11を形成するが、ブレード10の上面13のみが図1に示されている。下面11および上面13は、ブレード10の前縁16を後縁18に接続する、ブレード10の側面を形成する。
【0027】
この実施形態において、ブレード10は、通常は織り複合材料を襞寄せすることによって得られる複合材ブレードである。一例として、使用される複合材料は織り炭素繊維および樹脂マトリクスの集合体からなってもよく、アセンブリは、RTM(樹脂注入成形)タイプの真空樹脂注入プロセスによる成形によって形成される。
【0028】
ブレード10は、その前縁16に接着され、ブレード10の空気力学的表面12の前縁16を越えて第一方向14に沿って、かつブレードの下部22と上部24との間で第二方向20に沿って延在する、金属構造補強材30を含む。
【0029】
図2に示されるように、構造補強材30は、補強材の前縁として知られる、前縁31を形成するために延在する、ブレード10の空気力学的表面12の前縁16の形状を辿る。
【0030】
従来、構造補強材30は、前縁31を形成する基部39を有する実質的なV字型であって、ブレードの空気力学的表面12の下面11および上面13をそれぞれ辿る2つの側面35および37によって伸長される区画を含む、一体鋳造片である。側面35、37は、ブレードの後縁の方向に細くまたは薄くなったプロファイルを有する。
【0031】
基部39は、ブレード10の前縁16の丸みを帯びた形状を辿ることが可能な、丸みを帯びた内側プロファイルを含む。
【0032】
構造補強材30は金属製であり、好ましくはチタンベースである。実際、この材料は、衝撃によるエネルギーを吸収する高い能力を有する。補強材は、たとえばシアノアクリレート系接着剤またはエポキシなど、当業者にとって周知の接着剤によって、ブレード10に接着される。
【0033】
タービンエンジン用の複合材ブレード補強材に使用されるこのタイプの金属構造補強材30は、特に欧州特許第1908919号明細書に、より具体的に記載されている。
【0034】
本発明による方法は、図2に示されるような構造補強材が作られることを可能にし、図2はその最終状態にある補強材30を示している。
【0035】
図3は、図1および図2に示されるようなブレード10の前縁用の金属構造補強材30を製造する方法100の主要ステップを示すブロック図である。製造方法100の第一ステップ40は、平板シートを切断するステップである。第一ステップ40は、第一平板シートを切断する第一サブステップ43、および第二平板シートを切断する第二サブステップ45を含む。
【0036】
平板シートは、シートを薄く、すなわち数ミリメートル程度に切断することが可能な、当業者にとって周知の切断方法によって切断される。一例として、切断方法はレーザー切断方法であってもよい。
【0037】
2つの切断シートは、金属補強材30の2つの側面35、37が作られることを可能にする。
【0038】
製造方法100の第二ステップ42は、切断側面35、37を形成するステップである。適合は、各側面35、37の上面を圧縮によって押圧することにより、実行される。この第一成形は恒久的ではなく、特定の輪郭が各側面に、具体的には下面および上面の形状が付与されることを、可能にする。側面の輪郭は、次の位置決めステップの間の側面35、37の位置決めを改善する。一例として、この圧縮は、ローラバニシングまたはピーニング法によって実行されてもよい。このステップはまた、次の位置決めステップの間に専用保持機器内で、ブレード10に対する補強材30の把持を容易にし、側面35、37の接着を増強するためにも、側面35、37の内面の粗さを増加させる操作も含んでよい。
【0039】
製造方法100の第三ステップ44は、2つの切断側面35、37を位置決め、または整列するステップである。2つの側面35、37は、2つの側面35、37が接触している共通領域を有するように、または2つの側面35、37が機器によって所定距離だけ分離されるように、専用保持機器60の中で位置決めされ、2つの側面35、37は金属補強材30の予備成形品26を形成する。
【0040】
図4および図5は、それぞれ製造方法のこの第三ステップ44の2つの実施形態を表す。
【0041】
より具体的には、図4は、2つの側面35、37が接合されて共通接触の領域36を有する、第一の実施形態を示す。
【0042】
好ましくは、この実施形態において、側面35、37は、接触領域36に近いその末端に、側面35、37の接触を簡素化することが可能な第二成形ステップ42の間に得られる曲率を有する。
【0043】
より具体的には、図5は、側面35、37の2つの末端が所定距離だけ分離される第二の実施形態を示しており、2つの側面35、37を分離する距離は、機器によって、および具体的には2つの側面35、37の間に位置する内部ダガー32の厚みおよびプロファイル29によって、決定される。好ましくは、側面35、37の2つの末端を分離する距離は、10ミリメートル未満である。
【0044】
好ましくは、この実施形態において、側面35、37は、その末端に、ダガー32のプロファイル29を辿ることが可能な第二成形ステップ42の間に得られる曲率を有する。
【0045】
2つの実施形態において、機器は、次の組立ステップの間、2つの側面35、37が所定位置に保持されることを可能にする。
【0046】
機器の形状は、金属補強材30の所望の輪郭ならびに下面および上面プロファイルを形成するように、作られる。
【0047】
図9は、図3に示される方法によって前縁用の金属補強材を作るために使用される専用保持機器60の分解図を示す。
【0048】
専用形状機器60は:
スタンド61と、
ネジ留め手段(図示せず)によってスタンド61に接続された第一左側方垂直部材62と、
ネジ留め手段(図示せず)によってスタンド61に接続された第二右側方垂直部材63であって、スタンド61は、ネジ留め手段が固定されていないときに、スタンド61と平行な方向に沿って摺動することによって右側方垂直部材63の位置を修正するように、長尺穴64を含む、第二右側方垂直部材63と、
場合により内部ダガー32と、を含む。
【0049】
第三位置決めステップ44の間、2つの側面35、37は、2つの側面35、37が接触している共通領域を有するように、または2つの側面35、37が機器60によって所定距離だけ分離されるように、専用保持機器60の中で位置決めされる。右側方垂直部材63は、側面35、37および場合によりダガー32によって形成されたアセンブリを把持するように摺動することによって、位置決めされる。一旦所定位置につくと、右側方垂直部材63は、ネジ留め手段によって所定位置に固定される。
【0050】
製造方法100の第四ステップ46は、パルス電流およびパルス被着ワイヤフローを用いるMIG(金属不活性ガス)式アーク溶接プロセスにより、材料(または溶加金属)を用いる大量表面硬化によって、補強材30の基部39を構築するステップである。溶接は、2つの側面35、37の末端で、具体的には図4および図5で参照番号28が付された2つの側面35、37の接合領域で実行され、溶加金属を受容することが可能な予備成形品26を形成する。
【0051】
MIG溶接プロセスは、ほとんどの区画でビーズの形態で、高被着レートで小片の部品が構築されることを可能にする。表面硬化ビーズの長さおよび幅は、ワイヤフローに応じて操作者によって定義される。
【0052】
基部39構築ステップは、側面35、37が機器60内の所定位置に接続されることを、可能にする。
【0053】
材料表面硬化は、予備成形品26上で、より正確には参照番号28が付された領域の2つの側面35、37の接合部で、広い区画の、金属材料38(または溶加金属)のビーズを並べることによって、実行される。パス数、すなわち適用する材料ビーズ38の数は、所望の材料高、ならびに定義されたビーズの幅に応じて、決定される。
【0054】
製造方法100の第四ステップ46は、図6に具体的に示されている。実際には、図6は、2つの側面15、17の末端における表面硬化のステップの後に製造される、構造補強材30の断面図を示す。
【0055】
側面35および37が機器60内で接合される第一の実施形態によれば、基部39の内側プロファイル33は、第二ステップ42の間に先に形成された2つの側面35、37を整列させることによって、傾斜しながら接近している。
【0056】
側面35、37が機器60のダガー32によって離間している第二の実施形態によれば、基部39の内側プロファイル33は、ダガー32上にオーバモールドされている。表面硬化によって製造された金属は、2つの側面35、37の末端の間の接合を保証し、補強材30の基部39の内側プロファイル33を生成する。
【0057】
専用機器60は、側面35、37を封じ込めることによって、材料の表面硬化の間、側面35、37が所定位置に保持されることを可能にする。
【0058】
機器60は、組立ステップの間および/または材料表面硬化の間、側面35、37が溶融しないように、および変形しないように、MIGプロセスによってエネルギーの消散が行われることを可能にするのに十分な厚さである。この目的のため、機器60は好ましくは、銅、あるいは銅およびアルミニウムベースの合金で作られる。
【0059】
第二の実施形態において、好ましくは銅、あるいは銅またはアルミニウムベースの合金で作られた、機器60の中央ダガー32によって、熱の消散も実行される。
【0060】
ダガー32は、補強材30の各側面35、37の内部、および具体的には内側延在プロファイル33を予備成型することが可能な、外側プロファイル29を含む。
【0061】
製造方法100の第五ステップ50は、表面硬化領域を機械加工するステップである。このステップ50は、図7に示されている。
【0062】
このステップは、前縁31を含む基部39の最終プロファイルの形状に近づくように、表面硬化材料の硬質部分27が機械加工されることを可能にする。
【0063】
製造方法100の第六ステップ52は、アセンブリの熱的逃がしまたは緩和ステップ25であり、残留応力が緩和されることを可能にする。この熱処理ステップは好ましくは、選択された材料の鍛造温度で炉内に配置されるのと同じ専用保持機器60内で実行される。
【0064】
製造方法100の第七ステップ54は、好ましくは同じ専用保持機器60内で実行される、高温適合ステップである。この高温適合ステップは、補強材30にその最終的な所望の形状を付与する。
【0065】
本発明の好適な実施形態によれば、第六ステップ52および第七ステップ54は同時に実行される。
【0066】
機器60の形状、および具体的にはダガー32のプロファイル、ならびに右側方垂直部材63および左側方垂直部材62のプロファイルは、金属補強材30の所望の最終形状および輪郭に直接接続されることに、留意されたい。
【0067】
別の実施形態によれば、第六ステップ52および第七ステップ54は、温度の上昇を支援することが可能な、専用緩和および適合機器によって実行される。この場合、本発明による製造方法は、専用緩和および適合機器上で再び固定されるために、側面35、37および表面硬化領域27で形成されたアセンブリを専用保持機器60から外すことからなる中間ステップを含む。
【0068】
製造方法100の第八ステップ56は、機械加工によって補強材30を仕上げおよび再仕上げするステップである。この再仕上げステップ56は:
基部39、具体的には前縁31の空気力学的プロファイルを磨き上げるように、補強材30の基部39を再プロファイリングする第一サブステップ55と、
側面35、37を再仕上げする第二サブステップ57であって、特に側面35、37を輪郭フライス加工すること、ならびに下面および上面側面を薄くすることからなる、ステップと、
必要とされる表面状態が得られるようにする、第三仕上げサブステップ59と、を含む。
【0069】
図8は、本発明の方法によって得られた最終状態にある補強材30を示す。
【0070】
実施形態のこれら主要ステップの組み合わせにおいて、本発明による方法はまた、非破壊的な方法で補強材30を検査し、得られたアセンブリの幾何学的および冶金学的適合性を保証するステップも、含んでよい。一例として、非破壊検査は、X線プロセスによって実行されてもよい。
【0071】
本発明の第二の実施形態によれば、2つの側面を切断する第一ステップ40、2つの側面を形成する第二ステップ42、および切断側面を位置決めする第三ステップ44は、成形機器80内で予備成形品70を熱間成形するステップ41に置き換えられてもよい。
【0072】
この熱間成形ステップ41は、図10および図11に示されている。このステップにおいて、予備成形品70は、封止的に閉鎖された成形機器80内に配置された平板シート71から形成される。機器80は、予備成形品70の所望形状に対応する空洞83を含む下部部品82と、下部部品82を覆う上部部品81と、を含む。その初期状態において、機器80の2つの部品81、82の間で、平板シート71はその末端において固定保持される。熱間成形ステップは、たとえばアルミニウムまたはチタンなど、所定温度で破壊せずに変形することが可能な金属の特性を利用することからなる。一例として、たとえば940℃など、特定の温度条件下のチタンは、35%超の伸長率を有する。
【0073】
一例として、このステップに用いられる熱間成形方法は、超塑性成形(SPF)法であってもよい。
【0074】
超塑性成形は、複雑な小片が、薄いシートで、単一操作において製造されることを可能にする方法である。
【0075】
この方法を実行するために、シート71は、たとえば材料の融点の半分に相当する温度など、所定温度まで加熱される。この温度において、シート71は、閉鎖された機器80の内部に導入された、たとえばアルゴンなどの中性ガスの圧力によって変形させられる。図11の矢印で表される、このガス圧の発生は、シート71の成形が、各材料ファミリに特有の変形レート範囲に関連づけられた超可塑性領域内で実行されるように、制御される。周知の方法において、成形圧力の発生法則の予測は、成形およびこのような方法のサイクル時間を最適化するように、デジタルシミュレーションによって実行される。
【0076】
予備成形品70が成形されるとき、先の実施形態と同様に、これは溶加金属を受容することが可能な末端72によって相互接続された側面35、37を含む。次に予備成形品70は、材料表面硬化ステップの間に機器60内の予備成形品70の接着を強化し、ブレード10に対する補強材30を把持するのを容易にすることを考慮して、側面35、37の内面の粗さを増加させる操作を受けるように、機器80から取り出される。
【0077】
型から外して側面35、37の内面の粗さを増加させた後、補強材30の基部39を構築する第四ステップ46は、パルス電流およびパルス被着ワイヤフローを用いるMIG(金属不活性ガス)式アーク溶接プロセスにより、材料(または溶加金属)を用いる大量表面硬化を可能にする。
【0078】
材料の表面硬化は、予備成形品70の末端72において実行される。
【0079】
先に記載されたように、MIG溶接プロセスは、ほとんどの区画でビーズの形態で、高被着レートで小片の部品が構築されることを可能にする。表面硬化ビーズの長さおよび幅は、ワイヤフローに応じて操作者によって定義される。
【0080】
本発明による方法は、主にチタンベースの金属構造補強材について記載されたが、、本発明による方法は、ニッケルベースまたは鋼ベースの材料にも適用可能である。
【0081】
MIG式溶接プロセスの利用は、溶接プロセスを用いて、鋳造または鍛造によって得られる材料の構造的および機械的特性を獲得する。実際、MIGプロセスによって得られた溶接接合は、鍛錬材料と同じ機械的特性を含む。
【0082】
本発明は、MIG式溶接プロセスに関連して具体的に記載されてきたが、MIG溶接プロセスは、鍛錬材料に近い特性を獲得する、(レーザークラッディング式の)粉体表面処理プロセスなど、その他のタイプの材料表面硬化プロセスに置き換えられてもよい。
【0083】
本発明は、複合材タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造について具体的に記載されてきたが、本発明はまた、金属タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造にも適用可能である。
【0084】
本発明は、タービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の製造について具体的に記載されてきたが、しかし本発明はまた、タービンエンジンブレードの後縁の金属補強材の製造にも適用可能である。
【0085】
本発明のその他の利点は、具体的には以下の通りである:
製造コストの低減、
製造時間の短縮、
製造プロセスの簡素化、
材料費の削減。
【0086】
図12から図21は、順序通りに以下を含む、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材を製造する第二の方法を記載する:
各金属シートが区画の接触面と平行に位置する接触面を有するように、前記区画および前記金属シートを位置決めする専用機器によって、前記区画上に第一金属シートおよび第二金属シートを位置決めするステップと、
前記第一金属シートの前記接触面が前記区画の前記接触面に接続されるように、および前記第二金属シートの前記接触面が前記区画の前記接触面に接続されるように、溶加金属を用いずに前記金属シートを前記区画上に溶接するステップ。
【0087】
この第二の方法により、金属構造補強材は、2つの平坦な金属シート、標準市販部品、および溶加金属を使用しない溶接プロセスから、単純かつ迅速に製造される。
【0088】
したがってこの製造方法は、大量のストック材料を必要とし、結果的に原料を供給するために著しいコストを必要とする、一体鋳造の平坦な部品から全体のフライス加工による補強材の複雑な製造を、排除する。
【0089】
実際、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材を得るためのコストは、特に補強材を作るのに必要な材料の量の削減によって、標準市販供給品(バー、シート)によって、および実現するのが安価な工業的方法の利用によって、特に削減される。
【0090】
溶加金属を用いない溶接は、非常に短い溶接サイクル時間で、鍛錬または鍛造材料と同一の機械的特性を含む溶接領域を獲得する。
【0091】
有利な実施形態によれば、2つの金属シートは同時に区画上に溶接される。区画上への2つの金属シートの同時溶接は、具体的には、金属シート保持プロセスを容易にし、各シートについて材料の同じ除去を行い、材料の除去は溶接ビーズの形成を生じる。
【0092】
タービンエンジンブレード用の金属補強材を製造する第二の方法はまた、個別にまたは技術的に可能な全ての組み合わせによって考えられる、以下の特徴の1つ以上を有してもよい:
前記金属シートは前記区画上に同時に溶接され、
前記金属シートを前記区画上に溶接する前記ステップは、線形摩擦溶接プロセスによって実行され、
前記金属シートを前記区画上に溶接する前記ステップは、抵抗溶接プロセスまたはフラッシュ溶接プロセスによって実行され、
前記位置決めステップは、区画および/または前記金属シートを形成および/または曲げ加工するステップによって先行され、
前記溶接ステップの後には、前記金属補強材の内側プロファイルを形成するように、溶接ビーズを機械加工し、および/または前記区画を伸長することによる、シェービング加工ステップが続き、
方法は、前記金属シートのプロファイルに適合することが可能な中央ダガーを含む高温適合機器における高温適合ステップを含み、前記ダガーは、前記高温適合ステップの間に溶接接合の変形を防止するように、前記溶接接合を越えて延在し、前記溶接ステップの間に形成され、
方法は、応力を緩和するための熱処理ステップを含み、
方法は、前記金属補強材の仕上げステップを含み、仕上げステップは:
補強材の前縁、または後縁、および基部の空気力学的プロファイルを得るように、前記区画をフライス加工することによる機械的再仕上げのサブステップと、
補強材の側面を得るように前記金属シートを切断するサブステップと、
前記金属シートの表面を研磨するサブステップと、を含み、
方法は、フライス加工またはローリング法による前記区画の切断および/または機械加工法による、前記第一金属シートおよび前記第二金属シートを切断するステップを含む。
【0093】
第二の製造方法はまた、図2に示されるもののような構造補強材が作られることも可能にし、図2はその最終状態にある補強材30を示している。
【0094】
図12は、図1および図2に示されるような、ブレード10の前縁用の金属補強材30の第二の製造方法200の主要ステップを示すブロック図を表す。
【0095】
製造方法200の第一ステップ110は、図13に示されており、平板シート141、142を切断して区画144を機械加工するステップに対応する。
【0096】
平板シート141、142は、ブレード10の前縁16の長手形状に近似しているプロファイルに対応する固有プロファイル143に沿って、標準市販シートから切り出される。
【0097】
平板シート141、142は、シートを薄く、すなわち数ミリメートル程度に切断することが可能な、当業者にとって周知の切断方法によって切断される。一例として、切断方法は、レーザー切断方法またはウォータージェット切断または穿孔法であってもよい。
【0098】
2つの切断シート141、142は、図2に示される金属補強材30の2つの下面および上面側面35、37を形成するように意図されている。
【0099】
区画144は従来、材料の標準バーからたとえばローリングまたはフライス加工法によって製造される。区画144はまた、標準部品の押出およびフライス加工によって製造されてもよい。区画144は、図2に示される補強材30の基部39が成型されることを可能にする、予備成形品である。
【0100】
機械加工された区画144は、その上面145が、長手溝148ならびに溝148の両側から突起している第一部分146および第二部分147を含む、角柱形の直線的区画である。
【0101】
製造方法200の第二ステップ120は、区画144および場合により切断シート141、142を形成および/または曲げ加工するステップである。曲げ加工は、たとえばプレスによって、区画144および/またはシート141、142を押圧することによって実行される。
【0102】
曲げ加工した区画144および切断シート141、142は、図14に示されている。区画144の曲げ加工は、切断シート141、142の固有プロファイル143を辿るように、およびブレード10の前縁16の最終的な形状を実質的に獲得するように、決定されることに留意されたい。
【0103】
第二の製造方法の第一の実施形態によれば、区画144、および場合によりシート141、142の曲げ加工は、二次元に沿って実行される。しかしながら、区画144、ならびにシート141、142の曲げ加工を直接三次元で実行することも、可能である。
【0104】
製造方法200の第三ステップ130は、2つの切断シート141、142を区画144上に位置決め、または整列するステップである。具体的にはこのステップは、各切断シート141、142の接触面149を、区画144の各部分146、147の上面に位置決めすることを可能にする。
【0105】
この目的のため、2つのシート141、142および区画144は、特にその後の溶接ステップの間に、アセンブリを保持することが可能な専用機器160内に位置決めされる。この第三ステップ130は、図15aおよび図15bに示されている。より具体的には、図15aは、区画144上の2つの切断シート141、142の位置決めの側面図を示し、図15bはより具体的には、図15aに示される切断面C−Cに沿った断面を示す。
【0106】
2つの切断シート141、142は、区画144の突起部分146、147に対向してそれぞれ位置決めされる。
【0107】
図21は、切断シート141、142および区画144を所定位置に保持する保持機器160の一例の断面図を示す。
【0108】
専用保持機器160は:
上部インサート172を含む上部カセット171と、
下部インサート162を含む下部カセット161と、を含む。
【0109】
下部インサート162は、区画144を受容することが可能な凹部169を含む。区画144は、区画144の全長において、ネジ留め手段163によって下部インサート162内の所定位置に固定される。この目的のため、区画144は、下部インサート162内の固定のために十分な材料を有するようなサイズになっている。
【0110】
切断シート141、142は、機器160の上部インサート172内の所定位置に保持される。この目的のため、上部インサート172は、上部基部173および下部基部174の接合面170に対して突起している角柱形の中心要素175を含む上部基部173によって形成される。下部基部174は、上部基部173および下部基部174の固定の間に中心要素175の側壁に対して所定位置にシート141、142をピンで留める、2つの部品174aおよび174bによって形成される。アセンブリの固定は、ネジ留め手段176によって実行される。
【0111】
製造方法200の第四ステップ140は、溶加金属を添加することなくシート141、142を区画144上に溶接するステップである。第一の実施形態によれば、溶接プロセスは線形摩擦溶接プロセスである。線形摩擦溶接プロセスは、振動台(図示せず)上で組み立てられる専用保持機器160によって実行される。
【0112】
摩擦溶接は、溶接に必要な熱が、第二小片に対する第一小片の摩擦によって、またはオービタル摩擦溶接プロセスの場合には回転によって提供される機械溶接プロセスであって、組み立てられる2つの小片は、対向する軸圧力に曝される。
【0113】
摩擦は、一方の小片が固定されたままでいる間に、他方の小片の振動によって実行される。有利な実施形態によれば、区画144を固定する下部インサート162は、シート141、142を固定する上部インサート172が接合面170と平行な方向にしたがって振動している間、固定されたままである。
【0114】
上部カセット171および下部カセット161が徐々に一緒に移動することによって、2つのシート141、142が、その接触面149において、区画144の突起部分146、147と同時に接触するとき、摩擦力は抵抗トルクを発生させる。生成された機械的エネルギーは、接触面の熱に変換され、溶接温度(使用される材料の鍛造温度)まで急速に熱を上昇させる。
【0115】
加熱および溶接段階の間、所定量の材料は外向きに押し出され、こうして溶接ビーズ151を形成するとともに、小片の移動を短縮させる。このステップは、図16に示されている。より具体的には、図16は、区画144上の線形摩擦によって溶接された2つのシート141、142の図を示している。
【0116】
機器160は、シート141、142の摩擦面および区画144を平行に位置決めする間、2つのシート141、142が区画144上に同時に線形摩擦溶接されることを可能にする。すなわち、線形摩擦溶接ステップの間、2つの金属シート141、142の各接触面149は、区画144の部分146、147の接触面と平行である。
【0117】
2つのシート141、142の同時溶接は、特に、金属シート141、142保持プロセスを容易にし、シート141、142の各々について材料の同じ除去を行い、材料の除去は溶接ビーズ151の形成を生じる。
【0118】
図21に示される実施形態によれば、2つの金属シート141、142は、区画144上にV字溶接されている。図示されない第二の実施形態によれば、2つの金属シート141、142は、区画144上に平行に溶接されてもよい。
【0119】
線形摩擦溶接は、非常に短い溶接サイクル時間で、鍛錬または鍛造材料と同一の機械的特性を獲得する。
【0120】
第五ステップ150は、最終的な金属補強材30の内側プロファイル33を形成するように、溝148を機械加工および伸長させることによる、溶接ビーズ151シェービング加工ステップである。この第五ステップは、図17に示されている。内側プロファイル33は、その最終状態にある金属補強材30のプロファイルに対応し、補強材の応力の分布を最適化するように定義される。
【0121】
第六ステップ160は、補強材30に最終形状を付与する高温適合ステップである。この高温適合ステップは、使用される材料の鍛造温度までの炉の温度上昇に耐えられる専用機器180内で、実行される。
【0122】
図18に示されるような機器180は、区画144に溶接された金属シート141、142の両側に接する上部部品181および下部部品182によって形成され、補強材30を適合形成している。機器180はまた、2つのシート141、142の間に挿入されることが可能な中央ダガー183も含む。機器180の形状、およびより具体的には上部181および下部182部品の形状ならびにダガー183のプロファイルは、金属補強材30の側面35、37の最終的な下面および上面プロファイルに対応する。
【0123】
機器180の上部181および下部182部品は、その内面に、高温適合ステップの間に区画144を受容および所定位置に保持することが可能な、凹部を含む。
【0124】
ダガー183は、溶接ステップ140の間に形成された、シート141、142および区画144の間の溶接接合がダガー183によって支持されるようなサイズになっていることに、留意されたい。このように、応力および変形は、高温適合の間、これらの溶接領域内で限定されている。有利なことに、ダガー183は、区画144の内側プロファイルを最大限辿るように、2つのシート141、142の間に挿入される。この目的のため、ダガー183は、定義された内側プロファイル33に応じて適応し、内側プロファイル33を補完する形状を含む。
【0125】
適合ステップの間、専用機器180は、使用される材料の鍛造温度の炉に配置される。この熱処理はまた、アセンブリの残留応力を緩和する。
【0126】
第七ステップ170は、図19に示される仕上げおよび機械的再仕上げステップである。このステップは、図2および図20に示される、補強材30の前縁31ならびに基部39の空気力学的プロファイルを生成するように区画144をフライス加工することによる、第一機械的再仕上げサブステップを含む。第二サブステップは、溶接シート141、142の切断および輪郭フライス加工、ならびに最終的な補強材30の側面35、37を得るような成型を含む。この第六ステップ160は、特にブレード10の複合材料を包み込むように意図される薄い部品において、側面35、37の必要とされる表面状態および所望の厚みを得るように、シート141、142を研磨するサブステップも含む。
【0127】
図20は、金属補強材を作る第二の方法によって得られたその最終状態にある補強材30を、側面図で示す。
【0128】
実施形態のこれら主要ステップの組み合わせにおいて、第二の方法はまた、非破壊的な方法で補強材30を検査し、得られたアセンブリの幾何学的および冶金学的適合性を保証するステップも、含んでよい。一例として、非破壊検査は、X線プロセスによって実行されてもよい。
【0129】
第二の製造方法の第二の実施形態によれば、区画144上にシート141、142を溶接する第四ステップ140は、フラッシュ溶接、あるいは抵抗溶接プロセスによって実行される。フラッシュ溶接および抵抗溶接は、小片を溶接するために溶加金属を必要としない、2つのプロセスである。
【0130】
フラッシュ溶接および抵抗溶接は、小片を溶融および溶接するための低電圧および高強度電流の通過による、ジュール効果を利用する。
【0131】
フラッシュ溶接プロセスにおいて、2つの小片の間の接触面上に分布する凹凸を通る強電流の通過は、接触面の外側に向かう溶融金属の放出および蒸発を伴うアークを発生させる。フラッシュの終わりから、接触面上に残留する液体の薄層と継ぎ目において反発する、組み立てられる小片に対して、転移努力がなされる。
【0132】
抵抗溶接プロセスにおいて、組み立てられる小片は、電流供給を保証するジョーで締められる。組み立てられる面は、注意深く準備されなければならず、酸化物およびスケールがあってはならない。一旦電流が通されると、小片は熱せられ、ジュール効果によって接合する。金属が転移するように、溶接操作のためにかなり大きな作用が加えられる。塑性状態にある金属は、接合部の両側にビーズを形成する。
【0133】
フラッシュおよび抵抗溶接は、非常に短い溶接サイクル時間で、鍛錬または鍛造材料と同一の機械的特性を獲得する。
【0134】
第二の製造方法の有利な実施形態によれば、2つのシート141、142は、区画144上に同時に溶接される。
【0135】
第二の製造方法は、主にチタンベースの金属構造補強材について記載されたが、第二の製造方法は、ニッケルベースまたは鋼ベースの材料にも適用可能である。
【0136】
第二の製造方法は、複合材タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造について具体的に記載されてきたが、第二の製造方法はまた、金属タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造にも適用可能である。
【0137】
第二の製造方法は、タービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の製造について具体的に記載されてきたが、第二の製造方法はまた、タービンエンジンブレードの後縁用の金属補強材の製造にも適用可能である。
【0138】
第二の製造方法のその他の利点は、具体的には以下の通りである:
製造コストの低減、
製造時間の短縮、
製造プロセスの簡素化、
材料費の削減、
溶接領域の高冶金品質。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材または金属タービンエンジンブレード用の金属補強材を製造する方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、タービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の分野は、タービンエンジンの分野、およびより具体的には、前縁が金属構造補強材を含む、複合または金属材料の、タービンエンジンファンブレードの分野である。
【0004】
しかしながら、本発明は、タービンエンジンブレードの後縁を補強するように意図される金属補強材を作ることにも適用可能である。
【0005】
前縁は、空気の流れに直面して気流を下面気流および上面気流に分割する、空気力学的プロファイルの前部に対応することに、留意されたい。後縁は、下面流および上面流が合流する、空気力学的プロファイルの後部に対応する。
【0006】
欧州特許第1908919号明細書に記載されているように、複合材料で作られた、タービンエンジンのファンブレードに、ブレードの高さ全体にわたって、その前縁も超えて延在する、金属構造補強材を装着することが、知られている。このような補強材は、たとえば鳥、ひょう、あるいは石など、ファンに対する異物の衝撃の際に、複合材ブレードが保護されることを可能にする。
【0007】
具体的には、金属構造補強材は、層間剥離および繊維破損の危険性、あるいは繊維/マトリクス剥離によるその他の損傷を防止することにより、複合材ブレードの前縁を保護する。
【0008】
従来、タービンエンジンブレードは、第一方向に沿って、前縁と後縁との間に、および第一方向に対して実質的に直交する第二方向に沿って、ブレードの下部と上部との間に延在する、空気力学的表面を含む。金属構造補強材は、ブレードの空気力学的表面の前縁の形状を辿り、ブレードの下面および上面のプロファイルを辿るブレードの空気力学的表面の前縁を越えて第一方向に沿って、およびブレードの下部と上部との間で第二方向に沿って、延在する。
【0009】
周知の方法において、金属構造補強材は、完全に材料のブロックからのフライス加工によって作られた金属片である。
【0010】
このような金属構造補強材の実施形態の別の例は、とりわけ仏国特許第2319008号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1908919号明細書
【特許文献2】仏国特許第2319008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ブレードの前縁用の金属補強材は、作るのに複雑な小片であり、多くの再仕上げ作業、および著しい製造コストを伴う複雑な機器を必要とする。
【0013】
この点に関して、本発明は、このような小片を製造するコストを著しく減少させ、製造プロセスを簡素化することが可能な、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材を製造する方法を提案することにより、上述の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的のため、本発明は、順序通りに以下を含む、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材を製造する方法を提案する:
予備成形品が溶加金属を受容することが可能な領域を一端に有するように、前記予備成形品を所定位置に位置決めする機器によって、予備成形品を位置決めするステップと、
金属ビーズの形態で、前記領域内で溶加金属を用いて表面硬化することによって、前記金属補強材用の基部を構築するステップ。
【0015】
本発明により、金属構造補強材は、予備成形品、およびMIG(金属不活性ガス)溶接によって材料を再構築するための方法から、単純かつ迅速に作られ、保持および適合機器に配置された予備成形品の末端から補強材の基部を構築する。好ましくは、使用されるMIG法は、仏国特許出願第0802986号明細書に記載されている、CMT(コールドメタルトランスファ)として知られる改善である。この特定の方法は、シートの変形を最小化することにより、大量の材料が被着されることを可能にする。
【0016】
したがってこの製造方法は、大量のストック材料を必要とし、結果的に原料を供給するために著しいコストを必要とする、平坦な部品から全体のフライス加工による補強材の複雑な製造を排除する。
【0017】
本発明による方法はまた、このような小片を製造するためのコストを実質的に削減することもできる。
【0018】
有利なことに、予備成形品は、溶接材料を受容することが可能な接合をその末端に有するように機器内に位置決めされた、第一金属シートによっておよび第二金属シートによって形成される。
【0019】
本発明によるタービンエンジンブレード用の金属補強材を製造する方法はまた、個別にまたは技術的に可能な全ての組み合わせによって考えられる、以下の特徴の1つ以上を有してもよい:
溶加金属を用いて表面硬化することによる前記構築ステップは、パルス電流発生器を含み、パルス被着ワイヤフローを有するMIG溶接装置によって、実行され、
前記予備成形品は、前記溶加金属を受容することが可能な領域をその末端に有するように、前記機器によって非平行位置に位置決めされた、第一金属シートおよび第二金属シートを含み、前記補強材の前記基部を構築する前記ステップは前記金属シートを所定位置に一体化させ、
前記予備成形品は、前記予備成形品が側面、および前記溶加金属を受容することが可能な領域を一端に含むように、熱間予備成形金属シートによって形成され、
前記構築ステップの後には、前記基部の最終プロファイルに近づくように前記溶接領域の前記表面硬化材料を機械加工するステップが続き、
方法は、応力を緩和するための熱処理ステップを含み、
方法は、高温適合ステップを含み、
方法は、前記金属補強材の前記基部および前縁または後縁の最終プロファイルを磨き上げるような前記表面硬化材料の再仕上げ、および/または前記金属補強材の側面を形成するような金属シートの再仕上げからなる、前記金属補強材を仕上げるステップを含み、
方法は、レーザー切断によって前記第一金属シートおよび前記第二金属シートを切断するステップを含み、
方法は、前記側面の内面の粗さを増加させることからなる操作を含み、
方法は、前記機器内の前記位置決めステップの前に前記金属シートを形成するステップを含み、
前記位置決めステップの間、前記金属シートは、前記機器内で形成されて、接合されたまま維持され、
前記位置決めステップの間、前記金属シートは形成され、前記金属シートの間に位置決めされたダガーによって離間され、前記ダガーの外側プロファイルは前記金属シートの下面および上面プロファイルに適合し、
方法は、前記機器を通じて前記機器内の所定位置にある前記金属シートから熱を排出するステップを含む。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の添付図面を参照して、提示目的であっていかようにも限定しない目的の、以下の記載からより明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による製造方法を用いて得られる前縁の金属構造補強材を含むブレードの側面図である。
【図2】切断面AAに沿った図1の部分断面図である。
【図3】本発明によるタービンエンジンブレードの前縁用の金属構造補強材を製造する主要ステップを表すブロック図である。
【図4】図3に示される方法の第三ステップの第一の実施形態の間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図5】図3に示される方法の第三ステップの第二の実施形態の間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図6】図3に示される方法の第四ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図7】図3に示される方法の第五ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図8】図3に示される本発明の方法によって得られた最終状態にあるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の部分断面図である。
【図9】図3に示される方法によって前縁用の金属補強材を製造するために使用される専用保持機器の分解図である。
【図10】図3に示される方法による予備成形品の第二の実施形態の間の初期状態にあるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図11】図3に示される方法による予備成形品の第二の実施形態の間の最終状態にあるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図12】金属補強材を製造する第二の方法のタービンエンジンブレードの前縁用の金属構造補強材を製造する主要ステップを表すブロック図である。
【図13】図12に示される第二の方法の第一ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図14】図12に示される第二の方法の第二ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図15a】図12に示される第二の方法の第三ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の側面図である。
【図15b】切断面C−Cに沿った、図15aに示されるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の断面図である。
【図16】図12に示される第二の方法の第四ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の正面図である。
【図17】図12に示される第二の方法の第五ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の正面図である。
【図18】図12に示される第二の方法の第六ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の図である。
【図19】図12に示される第二の方法の第七ステップの間のタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の正面図である。
【図20】図12に示される第二の方法によって得られた最終状態にあるタービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の側面図である。
【図21】図12に示される第二の方法によって前縁用の金属補強材を作るために使用される専用保持機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
全ての図において、別途記載のない限り、共通の要素は同じ参照番号を有する。
【0023】
図1は、本発明による製造方法を用いて得られる前縁用金属構造補強材を含むブレードの側面図である。
【0024】
図示されるブレード10は、たとえば、タービンエンジン(図示せず)の可動ファンブレードである。
【0025】
ブレード10は、前縁16と後縁18との間で第一軸方向14に沿って、および下部22と上部24との間で第一方向14に対して実質的に直交する第二半径方向20に沿って延在する、空気力学的表面12を含む。
【0026】
空気力学的表面12はブレード10の上面13および下面11を形成するが、ブレード10の上面13のみが図1に示されている。下面11および上面13は、ブレード10の前縁16を後縁18に接続する、ブレード10の側面を形成する。
【0027】
この実施形態において、ブレード10は、通常は織り複合材料を襞寄せすることによって得られる複合材ブレードである。一例として、使用される複合材料は織り炭素繊維および樹脂マトリクスの集合体からなってもよく、アセンブリは、RTM(樹脂注入成形)タイプの真空樹脂注入プロセスによる成形によって形成される。
【0028】
ブレード10は、その前縁16に接着され、ブレード10の空気力学的表面12の前縁16を越えて第一方向14に沿って、かつブレードの下部22と上部24との間で第二方向20に沿って延在する、金属構造補強材30を含む。
【0029】
図2に示されるように、構造補強材30は、補強材の前縁として知られる、前縁31を形成するために延在する、ブレード10の空気力学的表面12の前縁16の形状を辿る。
【0030】
従来、構造補強材30は、前縁31を形成する基部39を有する実質的なV字型であって、ブレードの空気力学的表面12の下面11および上面13をそれぞれ辿る2つの側面35および37によって伸長される区画を含む、一体鋳造片である。側面35、37は、ブレードの後縁の方向に細くまたは薄くなったプロファイルを有する。
【0031】
基部39は、ブレード10の前縁16の丸みを帯びた形状を辿ることが可能な、丸みを帯びた内側プロファイルを含む。
【0032】
構造補強材30は金属製であり、好ましくはチタンベースである。実際、この材料は、衝撃によるエネルギーを吸収する高い能力を有する。補強材は、たとえばシアノアクリレート系接着剤またはエポキシなど、当業者にとって周知の接着剤によって、ブレード10に接着される。
【0033】
タービンエンジン用の複合材ブレード補強材に使用されるこのタイプの金属構造補強材30は、特に欧州特許第1908919号明細書に、より具体的に記載されている。
【0034】
本発明による方法は、図2に示されるような構造補強材が作られることを可能にし、図2はその最終状態にある補強材30を示している。
【0035】
図3は、図1および図2に示されるようなブレード10の前縁用の金属構造補強材30を製造する方法100の主要ステップを示すブロック図である。製造方法100の第一ステップ40は、平板シートを切断するステップである。第一ステップ40は、第一平板シートを切断する第一サブステップ43、および第二平板シートを切断する第二サブステップ45を含む。
【0036】
平板シートは、シートを薄く、すなわち数ミリメートル程度に切断することが可能な、当業者にとって周知の切断方法によって切断される。一例として、切断方法はレーザー切断方法であってもよい。
【0037】
2つの切断シートは、金属補強材30の2つの側面35、37が作られることを可能にする。
【0038】
製造方法100の第二ステップ42は、切断側面35、37を形成するステップである。適合は、各側面35、37の上面を圧縮によって押圧することにより、実行される。この第一成形は恒久的ではなく、特定の輪郭が各側面に、具体的には下面および上面の形状が付与されることを、可能にする。側面の輪郭は、次の位置決めステップの間の側面35、37の位置決めを改善する。一例として、この圧縮は、ローラバニシングまたはピーニング法によって実行されてもよい。このステップはまた、次の位置決めステップの間に専用保持機器内で、ブレード10に対する補強材30の把持を容易にし、側面35、37の接着を増強するためにも、側面35、37の内面の粗さを増加させる操作も含んでよい。
【0039】
製造方法100の第三ステップ44は、2つの切断側面35、37を位置決め、または整列するステップである。2つの側面35、37は、2つの側面35、37が接触している共通領域を有するように、または2つの側面35、37が機器によって所定距離だけ分離されるように、専用保持機器60の中で位置決めされ、2つの側面35、37は金属補強材30の予備成形品26を形成する。
【0040】
図4および図5は、それぞれ製造方法のこの第三ステップ44の2つの実施形態を表す。
【0041】
より具体的には、図4は、2つの側面35、37が接合されて共通接触の領域36を有する、第一の実施形態を示す。
【0042】
好ましくは、この実施形態において、側面35、37は、接触領域36に近いその末端に、側面35、37の接触を簡素化することが可能な第二成形ステップ42の間に得られる曲率を有する。
【0043】
より具体的には、図5は、側面35、37の2つの末端が所定距離だけ分離される第二の実施形態を示しており、2つの側面35、37を分離する距離は、機器によって、および具体的には2つの側面35、37の間に位置する内部ダガー32の厚みおよびプロファイル29によって、決定される。好ましくは、側面35、37の2つの末端を分離する距離は、10ミリメートル未満である。
【0044】
好ましくは、この実施形態において、側面35、37は、その末端に、ダガー32のプロファイル29を辿ることが可能な第二成形ステップ42の間に得られる曲率を有する。
【0045】
2つの実施形態において、機器は、次の組立ステップの間、2つの側面35、37が所定位置に保持されることを可能にする。
【0046】
機器の形状は、金属補強材30の所望の輪郭ならびに下面および上面プロファイルを形成するように、作られる。
【0047】
図9は、図3に示される方法によって前縁用の金属補強材を作るために使用される専用保持機器60の分解図を示す。
【0048】
専用形状機器60は:
スタンド61と、
ネジ留め手段(図示せず)によってスタンド61に接続された第一左側方垂直部材62と、
ネジ留め手段(図示せず)によってスタンド61に接続された第二右側方垂直部材63であって、スタンド61は、ネジ留め手段が固定されていないときに、スタンド61と平行な方向に沿って摺動することによって右側方垂直部材63の位置を修正するように、長尺穴64を含む、第二右側方垂直部材63と、
場合により内部ダガー32と、を含む。
【0049】
第三位置決めステップ44の間、2つの側面35、37は、2つの側面35、37が接触している共通領域を有するように、または2つの側面35、37が機器60によって所定距離だけ分離されるように、専用保持機器60の中で位置決めされる。右側方垂直部材63は、側面35、37および場合によりダガー32によって形成されたアセンブリを把持するように摺動することによって、位置決めされる。一旦所定位置につくと、右側方垂直部材63は、ネジ留め手段によって所定位置に固定される。
【0050】
製造方法100の第四ステップ46は、パルス電流およびパルス被着ワイヤフローを用いるMIG(金属不活性ガス)式アーク溶接プロセスにより、材料(または溶加金属)を用いる大量表面硬化によって、補強材30の基部39を構築するステップである。溶接は、2つの側面35、37の末端で、具体的には図4および図5で参照番号28が付された2つの側面35、37の接合領域で実行され、溶加金属を受容することが可能な予備成形品26を形成する。
【0051】
MIG溶接プロセスは、ほとんどの区画でビーズの形態で、高被着レートで小片の部品が構築されることを可能にする。表面硬化ビーズの長さおよび幅は、ワイヤフローに応じて操作者によって定義される。
【0052】
基部39構築ステップは、側面35、37が機器60内の所定位置に接続されることを、可能にする。
【0053】
材料表面硬化は、予備成形品26上で、より正確には参照番号28が付された領域の2つの側面35、37の接合部で、広い区画の、金属材料38(または溶加金属)のビーズを並べることによって、実行される。パス数、すなわち適用する材料ビーズ38の数は、所望の材料高、ならびに定義されたビーズの幅に応じて、決定される。
【0054】
製造方法100の第四ステップ46は、図6に具体的に示されている。実際には、図6は、2つの側面15、17の末端における表面硬化のステップの後に製造される、構造補強材30の断面図を示す。
【0055】
側面35および37が機器60内で接合される第一の実施形態によれば、基部39の内側プロファイル33は、第二ステップ42の間に先に形成された2つの側面35、37を整列させることによって、傾斜しながら接近している。
【0056】
側面35、37が機器60のダガー32によって離間している第二の実施形態によれば、基部39の内側プロファイル33は、ダガー32上にオーバモールドされている。表面硬化によって製造された金属は、2つの側面35、37の末端の間の接合を保証し、補強材30の基部39の内側プロファイル33を生成する。
【0057】
専用機器60は、側面35、37を封じ込めることによって、材料の表面硬化の間、側面35、37が所定位置に保持されることを可能にする。
【0058】
機器60は、組立ステップの間および/または材料表面硬化の間、側面35、37が溶融しないように、および変形しないように、MIGプロセスによってエネルギーの消散が行われることを可能にするのに十分な厚さである。この目的のため、機器60は好ましくは、銅、あるいは銅およびアルミニウムベースの合金で作られる。
【0059】
第二の実施形態において、好ましくは銅、あるいは銅またはアルミニウムベースの合金で作られた、機器60の中央ダガー32によって、熱の消散も実行される。
【0060】
ダガー32は、補強材30の各側面35、37の内部、および具体的には内側延在プロファイル33を予備成型することが可能な、外側プロファイル29を含む。
【0061】
製造方法100の第五ステップ50は、表面硬化領域を機械加工するステップである。このステップ50は、図7に示されている。
【0062】
このステップは、前縁31を含む基部39の最終プロファイルの形状に近づくように、表面硬化材料の硬質部分27が機械加工されることを可能にする。
【0063】
製造方法100の第六ステップ52は、アセンブリの熱的逃がしまたは緩和ステップ25であり、残留応力が緩和されることを可能にする。この熱処理ステップは好ましくは、選択された材料の鍛造温度で炉内に配置されるのと同じ専用保持機器60内で実行される。
【0064】
製造方法100の第七ステップ54は、好ましくは同じ専用保持機器60内で実行される、高温適合ステップである。この高温適合ステップは、補強材30にその最終的な所望の形状を付与する。
【0065】
本発明の好適な実施形態によれば、第六ステップ52および第七ステップ54は同時に実行される。
【0066】
機器60の形状、および具体的にはダガー32のプロファイル、ならびに右側方垂直部材63および左側方垂直部材62のプロファイルは、金属補強材30の所望の最終形状および輪郭に直接接続されることに、留意されたい。
【0067】
別の実施形態によれば、第六ステップ52および第七ステップ54は、温度の上昇を支援することが可能な、専用緩和および適合機器によって実行される。この場合、本発明による製造方法は、専用緩和および適合機器上で再び固定されるために、側面35、37および表面硬化領域27で形成されたアセンブリを専用保持機器60から外すことからなる中間ステップを含む。
【0068】
製造方法100の第八ステップ56は、機械加工によって補強材30を仕上げおよび再仕上げするステップである。この再仕上げステップ56は:
基部39、具体的には前縁31の空気力学的プロファイルを磨き上げるように、補強材30の基部39を再プロファイリングする第一サブステップ55と、
側面35、37を再仕上げする第二サブステップ57であって、特に側面35、37を輪郭フライス加工すること、ならびに下面および上面側面を薄くすることからなる、ステップと、
必要とされる表面状態が得られるようにする、第三仕上げサブステップ59と、を含む。
【0069】
図8は、本発明の方法によって得られた最終状態にある補強材30を示す。
【0070】
実施形態のこれら主要ステップの組み合わせにおいて、本発明による方法はまた、非破壊的な方法で補強材30を検査し、得られたアセンブリの幾何学的および冶金学的適合性を保証するステップも、含んでよい。一例として、非破壊検査は、X線プロセスによって実行されてもよい。
【0071】
本発明の第二の実施形態によれば、2つの側面を切断する第一ステップ40、2つの側面を形成する第二ステップ42、および切断側面を位置決めする第三ステップ44は、成形機器80内で予備成形品70を熱間成形するステップ41に置き換えられてもよい。
【0072】
この熱間成形ステップ41は、図10および図11に示されている。このステップにおいて、予備成形品70は、封止的に閉鎖された成形機器80内に配置された平板シート71から形成される。機器80は、予備成形品70の所望形状に対応する空洞83を含む下部部品82と、下部部品82を覆う上部部品81と、を含む。その初期状態において、機器80の2つの部品81、82の間で、平板シート71はその末端において固定保持される。熱間成形ステップは、たとえばアルミニウムまたはチタンなど、所定温度で破壊せずに変形することが可能な金属の特性を利用することからなる。一例として、たとえば940℃など、特定の温度条件下のチタンは、35%超の伸長率を有する。
【0073】
一例として、このステップに用いられる熱間成形方法は、超塑性成形(SPF)法であってもよい。
【0074】
超塑性成形は、複雑な小片が、薄いシートで、単一操作において製造されることを可能にする方法である。
【0075】
この方法を実行するために、シート71は、たとえば材料の融点の半分に相当する温度など、所定温度まで加熱される。この温度において、シート71は、閉鎖された機器80の内部に導入された、たとえばアルゴンなどの中性ガスの圧力によって変形させられる。図11の矢印で表される、このガス圧の発生は、シート71の成形が、各材料ファミリに特有の変形レート範囲に関連づけられた超可塑性領域内で実行されるように、制御される。周知の方法において、成形圧力の発生法則の予測は、成形およびこのような方法のサイクル時間を最適化するように、デジタルシミュレーションによって実行される。
【0076】
予備成形品70が成形されるとき、先の実施形態と同様に、これは溶加金属を受容することが可能な末端72によって相互接続された側面35、37を含む。次に予備成形品70は、材料表面硬化ステップの間に機器60内の予備成形品70の接着を強化し、ブレード10に対する補強材30を把持するのを容易にすることを考慮して、側面35、37の内面の粗さを増加させる操作を受けるように、機器80から取り出される。
【0077】
型から外して側面35、37の内面の粗さを増加させた後、補強材30の基部39を構築する第四ステップ46は、パルス電流およびパルス被着ワイヤフローを用いるMIG(金属不活性ガス)式アーク溶接プロセスにより、材料(または溶加金属)を用いる大量表面硬化を可能にする。
【0078】
材料の表面硬化は、予備成形品70の末端72において実行される。
【0079】
先に記載されたように、MIG溶接プロセスは、ほとんどの区画でビーズの形態で、高被着レートで小片の部品が構築されることを可能にする。表面硬化ビーズの長さおよび幅は、ワイヤフローに応じて操作者によって定義される。
【0080】
本発明による方法は、主にチタンベースの金属構造補強材について記載されたが、、本発明による方法は、ニッケルベースまたは鋼ベースの材料にも適用可能である。
【0081】
MIG式溶接プロセスの利用は、溶接プロセスを用いて、鋳造または鍛造によって得られる材料の構造的および機械的特性を獲得する。実際、MIGプロセスによって得られた溶接接合は、鍛錬材料と同じ機械的特性を含む。
【0082】
本発明は、MIG式溶接プロセスに関連して具体的に記載されてきたが、MIG溶接プロセスは、鍛錬材料に近い特性を獲得する、(レーザークラッディング式の)粉体表面処理プロセスなど、その他のタイプの材料表面硬化プロセスに置き換えられてもよい。
【0083】
本発明は、複合材タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造について具体的に記載されてきたが、本発明はまた、金属タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造にも適用可能である。
【0084】
本発明は、タービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の製造について具体的に記載されてきたが、しかし本発明はまた、タービンエンジンブレードの後縁の金属補強材の製造にも適用可能である。
【0085】
本発明のその他の利点は、具体的には以下の通りである:
製造コストの低減、
製造時間の短縮、
製造プロセスの簡素化、
材料費の削減。
【0086】
図12から図21は、順序通りに以下を含む、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材を製造する第二の方法を記載する:
各金属シートが区画の接触面と平行に位置する接触面を有するように、前記区画および前記金属シートを位置決めする専用機器によって、前記区画上に第一金属シートおよび第二金属シートを位置決めするステップと、
前記第一金属シートの前記接触面が前記区画の前記接触面に接続されるように、および前記第二金属シートの前記接触面が前記区画の前記接触面に接続されるように、溶加金属を用いずに前記金属シートを前記区画上に溶接するステップ。
【0087】
この第二の方法により、金属構造補強材は、2つの平坦な金属シート、標準市販部品、および溶加金属を使用しない溶接プロセスから、単純かつ迅速に製造される。
【0088】
したがってこの製造方法は、大量のストック材料を必要とし、結果的に原料を供給するために著しいコストを必要とする、一体鋳造の平坦な部品から全体のフライス加工による補強材の複雑な製造を、排除する。
【0089】
実際、タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材を得るためのコストは、特に補強材を作るのに必要な材料の量の削減によって、標準市販供給品(バー、シート)によって、および実現するのが安価な工業的方法の利用によって、特に削減される。
【0090】
溶加金属を用いない溶接は、非常に短い溶接サイクル時間で、鍛錬または鍛造材料と同一の機械的特性を含む溶接領域を獲得する。
【0091】
有利な実施形態によれば、2つの金属シートは同時に区画上に溶接される。区画上への2つの金属シートの同時溶接は、具体的には、金属シート保持プロセスを容易にし、各シートについて材料の同じ除去を行い、材料の除去は溶接ビーズの形成を生じる。
【0092】
タービンエンジンブレード用の金属補強材を製造する第二の方法はまた、個別にまたは技術的に可能な全ての組み合わせによって考えられる、以下の特徴の1つ以上を有してもよい:
前記金属シートは前記区画上に同時に溶接され、
前記金属シートを前記区画上に溶接する前記ステップは、線形摩擦溶接プロセスによって実行され、
前記金属シートを前記区画上に溶接する前記ステップは、抵抗溶接プロセスまたはフラッシュ溶接プロセスによって実行され、
前記位置決めステップは、区画および/または前記金属シートを形成および/または曲げ加工するステップによって先行され、
前記溶接ステップの後には、前記金属補強材の内側プロファイルを形成するように、溶接ビーズを機械加工し、および/または前記区画を伸長することによる、シェービング加工ステップが続き、
方法は、前記金属シートのプロファイルに適合することが可能な中央ダガーを含む高温適合機器における高温適合ステップを含み、前記ダガーは、前記高温適合ステップの間に溶接接合の変形を防止するように、前記溶接接合を越えて延在し、前記溶接ステップの間に形成され、
方法は、応力を緩和するための熱処理ステップを含み、
方法は、前記金属補強材の仕上げステップを含み、仕上げステップは:
補強材の前縁、または後縁、および基部の空気力学的プロファイルを得るように、前記区画をフライス加工することによる機械的再仕上げのサブステップと、
補強材の側面を得るように前記金属シートを切断するサブステップと、
前記金属シートの表面を研磨するサブステップと、を含み、
方法は、フライス加工またはローリング法による前記区画の切断および/または機械加工法による、前記第一金属シートおよび前記第二金属シートを切断するステップを含む。
【0093】
第二の製造方法はまた、図2に示されるもののような構造補強材が作られることも可能にし、図2はその最終状態にある補強材30を示している。
【0094】
図12は、図1および図2に示されるような、ブレード10の前縁用の金属補強材30の第二の製造方法200の主要ステップを示すブロック図を表す。
【0095】
製造方法200の第一ステップ110は、図13に示されており、平板シート141、142を切断して区画144を機械加工するステップに対応する。
【0096】
平板シート141、142は、ブレード10の前縁16の長手形状に近似しているプロファイルに対応する固有プロファイル143に沿って、標準市販シートから切り出される。
【0097】
平板シート141、142は、シートを薄く、すなわち数ミリメートル程度に切断することが可能な、当業者にとって周知の切断方法によって切断される。一例として、切断方法は、レーザー切断方法またはウォータージェット切断または穿孔法であってもよい。
【0098】
2つの切断シート141、142は、図2に示される金属補強材30の2つの下面および上面側面35、37を形成するように意図されている。
【0099】
区画144は従来、材料の標準バーからたとえばローリングまたはフライス加工法によって製造される。区画144はまた、標準部品の押出およびフライス加工によって製造されてもよい。区画144は、図2に示される補強材30の基部39が成型されることを可能にする、予備成形品である。
【0100】
機械加工された区画144は、その上面145が、長手溝148ならびに溝148の両側から突起している第一部分146および第二部分147を含む、角柱形の直線的区画である。
【0101】
製造方法200の第二ステップ120は、区画144および場合により切断シート141、142を形成および/または曲げ加工するステップである。曲げ加工は、たとえばプレスによって、区画144および/またはシート141、142を押圧することによって実行される。
【0102】
曲げ加工した区画144および切断シート141、142は、図14に示されている。区画144の曲げ加工は、切断シート141、142の固有プロファイル143を辿るように、およびブレード10の前縁16の最終的な形状を実質的に獲得するように、決定されることに留意されたい。
【0103】
第二の製造方法の第一の実施形態によれば、区画144、および場合によりシート141、142の曲げ加工は、二次元に沿って実行される。しかしながら、区画144、ならびにシート141、142の曲げ加工を直接三次元で実行することも、可能である。
【0104】
製造方法200の第三ステップ130は、2つの切断シート141、142を区画144上に位置決め、または整列するステップである。具体的にはこのステップは、各切断シート141、142の接触面149を、区画144の各部分146、147の上面に位置決めすることを可能にする。
【0105】
この目的のため、2つのシート141、142および区画144は、特にその後の溶接ステップの間に、アセンブリを保持することが可能な専用機器160内に位置決めされる。この第三ステップ130は、図15aおよび図15bに示されている。より具体的には、図15aは、区画144上の2つの切断シート141、142の位置決めの側面図を示し、図15bはより具体的には、図15aに示される切断面C−Cに沿った断面を示す。
【0106】
2つの切断シート141、142は、区画144の突起部分146、147に対向してそれぞれ位置決めされる。
【0107】
図21は、切断シート141、142および区画144を所定位置に保持する保持機器160の一例の断面図を示す。
【0108】
専用保持機器160は:
上部インサート172を含む上部カセット171と、
下部インサート162を含む下部カセット161と、を含む。
【0109】
下部インサート162は、区画144を受容することが可能な凹部169を含む。区画144は、区画144の全長において、ネジ留め手段163によって下部インサート162内の所定位置に固定される。この目的のため、区画144は、下部インサート162内の固定のために十分な材料を有するようなサイズになっている。
【0110】
切断シート141、142は、機器160の上部インサート172内の所定位置に保持される。この目的のため、上部インサート172は、上部基部173および下部基部174の接合面170に対して突起している角柱形の中心要素175を含む上部基部173によって形成される。下部基部174は、上部基部173および下部基部174の固定の間に中心要素175の側壁に対して所定位置にシート141、142をピンで留める、2つの部品174aおよび174bによって形成される。アセンブリの固定は、ネジ留め手段176によって実行される。
【0111】
製造方法200の第四ステップ140は、溶加金属を添加することなくシート141、142を区画144上に溶接するステップである。第一の実施形態によれば、溶接プロセスは線形摩擦溶接プロセスである。線形摩擦溶接プロセスは、振動台(図示せず)上で組み立てられる専用保持機器160によって実行される。
【0112】
摩擦溶接は、溶接に必要な熱が、第二小片に対する第一小片の摩擦によって、またはオービタル摩擦溶接プロセスの場合には回転によって提供される機械溶接プロセスであって、組み立てられる2つの小片は、対向する軸圧力に曝される。
【0113】
摩擦は、一方の小片が固定されたままでいる間に、他方の小片の振動によって実行される。有利な実施形態によれば、区画144を固定する下部インサート162は、シート141、142を固定する上部インサート172が接合面170と平行な方向にしたがって振動している間、固定されたままである。
【0114】
上部カセット171および下部カセット161が徐々に一緒に移動することによって、2つのシート141、142が、その接触面149において、区画144の突起部分146、147と同時に接触するとき、摩擦力は抵抗トルクを発生させる。生成された機械的エネルギーは、接触面の熱に変換され、溶接温度(使用される材料の鍛造温度)まで急速に熱を上昇させる。
【0115】
加熱および溶接段階の間、所定量の材料は外向きに押し出され、こうして溶接ビーズ151を形成するとともに、小片の移動を短縮させる。このステップは、図16に示されている。より具体的には、図16は、区画144上の線形摩擦によって溶接された2つのシート141、142の図を示している。
【0116】
機器160は、シート141、142の摩擦面および区画144を平行に位置決めする間、2つのシート141、142が区画144上に同時に線形摩擦溶接されることを可能にする。すなわち、線形摩擦溶接ステップの間、2つの金属シート141、142の各接触面149は、区画144の部分146、147の接触面と平行である。
【0117】
2つのシート141、142の同時溶接は、特に、金属シート141、142保持プロセスを容易にし、シート141、142の各々について材料の同じ除去を行い、材料の除去は溶接ビーズ151の形成を生じる。
【0118】
図21に示される実施形態によれば、2つの金属シート141、142は、区画144上にV字溶接されている。図示されない第二の実施形態によれば、2つの金属シート141、142は、区画144上に平行に溶接されてもよい。
【0119】
線形摩擦溶接は、非常に短い溶接サイクル時間で、鍛錬または鍛造材料と同一の機械的特性を獲得する。
【0120】
第五ステップ150は、最終的な金属補強材30の内側プロファイル33を形成するように、溝148を機械加工および伸長させることによる、溶接ビーズ151シェービング加工ステップである。この第五ステップは、図17に示されている。内側プロファイル33は、その最終状態にある金属補強材30のプロファイルに対応し、補強材の応力の分布を最適化するように定義される。
【0121】
第六ステップ160は、補強材30に最終形状を付与する高温適合ステップである。この高温適合ステップは、使用される材料の鍛造温度までの炉の温度上昇に耐えられる専用機器180内で、実行される。
【0122】
図18に示されるような機器180は、区画144に溶接された金属シート141、142の両側に接する上部部品181および下部部品182によって形成され、補強材30を適合形成している。機器180はまた、2つのシート141、142の間に挿入されることが可能な中央ダガー183も含む。機器180の形状、およびより具体的には上部181および下部182部品の形状ならびにダガー183のプロファイルは、金属補強材30の側面35、37の最終的な下面および上面プロファイルに対応する。
【0123】
機器180の上部181および下部182部品は、その内面に、高温適合ステップの間に区画144を受容および所定位置に保持することが可能な、凹部を含む。
【0124】
ダガー183は、溶接ステップ140の間に形成された、シート141、142および区画144の間の溶接接合がダガー183によって支持されるようなサイズになっていることに、留意されたい。このように、応力および変形は、高温適合の間、これらの溶接領域内で限定されている。有利なことに、ダガー183は、区画144の内側プロファイルを最大限辿るように、2つのシート141、142の間に挿入される。この目的のため、ダガー183は、定義された内側プロファイル33に応じて適応し、内側プロファイル33を補完する形状を含む。
【0125】
適合ステップの間、専用機器180は、使用される材料の鍛造温度の炉に配置される。この熱処理はまた、アセンブリの残留応力を緩和する。
【0126】
第七ステップ170は、図19に示される仕上げおよび機械的再仕上げステップである。このステップは、図2および図20に示される、補強材30の前縁31ならびに基部39の空気力学的プロファイルを生成するように区画144をフライス加工することによる、第一機械的再仕上げサブステップを含む。第二サブステップは、溶接シート141、142の切断および輪郭フライス加工、ならびに最終的な補強材30の側面35、37を得るような成型を含む。この第六ステップ160は、特にブレード10の複合材料を包み込むように意図される薄い部品において、側面35、37の必要とされる表面状態および所望の厚みを得るように、シート141、142を研磨するサブステップも含む。
【0127】
図20は、金属補強材を作る第二の方法によって得られたその最終状態にある補強材30を、側面図で示す。
【0128】
実施形態のこれら主要ステップの組み合わせにおいて、第二の方法はまた、非破壊的な方法で補強材30を検査し、得られたアセンブリの幾何学的および冶金学的適合性を保証するステップも、含んでよい。一例として、非破壊検査は、X線プロセスによって実行されてもよい。
【0129】
第二の製造方法の第二の実施形態によれば、区画144上にシート141、142を溶接する第四ステップ140は、フラッシュ溶接、あるいは抵抗溶接プロセスによって実行される。フラッシュ溶接および抵抗溶接は、小片を溶接するために溶加金属を必要としない、2つのプロセスである。
【0130】
フラッシュ溶接および抵抗溶接は、小片を溶融および溶接するための低電圧および高強度電流の通過による、ジュール効果を利用する。
【0131】
フラッシュ溶接プロセスにおいて、2つの小片の間の接触面上に分布する凹凸を通る強電流の通過は、接触面の外側に向かう溶融金属の放出および蒸発を伴うアークを発生させる。フラッシュの終わりから、接触面上に残留する液体の薄層と継ぎ目において反発する、組み立てられる小片に対して、転移努力がなされる。
【0132】
抵抗溶接プロセスにおいて、組み立てられる小片は、電流供給を保証するジョーで締められる。組み立てられる面は、注意深く準備されなければならず、酸化物およびスケールがあってはならない。一旦電流が通されると、小片は熱せられ、ジュール効果によって接合する。金属が転移するように、溶接操作のためにかなり大きな作用が加えられる。塑性状態にある金属は、接合部の両側にビーズを形成する。
【0133】
フラッシュおよび抵抗溶接は、非常に短い溶接サイクル時間で、鍛錬または鍛造材料と同一の機械的特性を獲得する。
【0134】
第二の製造方法の有利な実施形態によれば、2つのシート141、142は、区画144上に同時に溶接される。
【0135】
第二の製造方法は、主にチタンベースの金属構造補強材について記載されたが、第二の製造方法は、ニッケルベースまたは鋼ベースの材料にも適用可能である。
【0136】
第二の製造方法は、複合材タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造について具体的に記載されてきたが、第二の製造方法はまた、金属タービンエンジンブレード用の金属補強材の製造にも適用可能である。
【0137】
第二の製造方法は、タービンエンジンブレードの前縁用の金属補強材の製造について具体的に記載されてきたが、第二の製造方法はまた、タービンエンジンブレードの後縁用の金属補強材の製造にも適用可能である。
【0138】
第二の製造方法のその他の利点は、具体的には以下の通りである:
製造コストの低減、
製造時間の短縮、
製造プロセスの簡素化、
材料費の削減、
溶接領域の高冶金品質。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材(30)を製造する方法であって、
予備成形品(26、70)が、溶加金属を受容することが可能な領域(28、72)を一端に有するように、前記予備成形品(26、70)を所定位置に位置決めする機器(60)によって、前記予備成形品(26、70)を位置決めするステップ(44)と、
金属ビーズの形態で、前記領域(28、72)内で溶加金属を用いて表面硬化することによって、前記金属補強材(30)用の基部(39)を構築するステップ(46)と、を連続的に含む、方法。
【請求項2】
溶加金属表面硬化による前記構築ステップ(46)が、パルス電流発生器を含み、パルス被着ワイヤフローを有するMIG溶接装置によって、実行されることを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項3】
前記予備成形品(26)が、前記溶加金属を受容することが可能な領域(28)をその末端に有するように、前記機器(60)によって非平行位置に位置決めされた、第一金属シート(35)および第二金属シート(37)を含み、前記補強材(30)の前記基部(39)を構築する前記ステップは前記金属シート(35、37)を所定位置で接続することを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項4】
前記予備成形品(70)が、前記予備成形品(70)が側面(35、37)、および前記溶加金属を受容することが可能な領域(72)を一端に含むように、熱間予備成型金属シート(71)によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項5】
前記構築ステップ(46)には、前記基部(39)の最終プロファイルに近づくように前記溶接末端領域(28)における前記表面硬化材料(27)を機械加工するステップ(50)が続くことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項6】
応力を緩和するための熱処理ステップ(52)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項7】
高温適合ステップ(54)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項8】
前記金属補強材(30)の前記基部(39)および前縁(31)または後縁の最終プロファイルを磨き上げるような前記表面硬化材料(27)の再仕上げ、および/または前記金属補強材(30)の側面を形成するような金属シート(35、37)の再仕上げからなる、前記金属補強材(30)を仕上げるステップ(56)を含むことを特徴とする、請求項6に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項9】
レーザー切断によって前記第一金属シート(35)および前記第二金属シート(37)を切断するステップ(40)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項10】
前記側面(35、37)の内面の粗さを増加させることからなる操作を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項11】
前記機器(60)内の前記位置決めステップの前に前記金属シート(35、37)を形成するステップ(42)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項12】
前記位置決めステップ(44)の間、前記金属シート(35、37)は前記機器(60)内で形成されて、接合されたまま維持されることを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項13】
前記位置決めステップ(44)の間、前記金属シート(35、37)は形成され、前記金属シート(35、37)の間に位置決めされたダガー(32)によって離間され、前記ダガー(32)の外側プロファイルは前記金属シート(35、37)の下面および上面プロファイルに適合することを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項14】
前記機器(60)を通じて前記機器内の所定位置にある前記金属シート(35、37)から熱を排出するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項1】
タービンエンジンブレードの前縁または後縁用の金属補強材(30)を製造する方法であって、
予備成形品(26、70)が、溶加金属を受容することが可能な領域(28、72)を一端に有するように、前記予備成形品(26、70)を所定位置に位置決めする機器(60)によって、前記予備成形品(26、70)を位置決めするステップ(44)と、
金属ビーズの形態で、前記領域(28、72)内で溶加金属を用いて表面硬化することによって、前記金属補強材(30)用の基部(39)を構築するステップ(46)と、を連続的に含む、方法。
【請求項2】
溶加金属表面硬化による前記構築ステップ(46)が、パルス電流発生器を含み、パルス被着ワイヤフローを有するMIG溶接装置によって、実行されることを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項3】
前記予備成形品(26)が、前記溶加金属を受容することが可能な領域(28)をその末端に有するように、前記機器(60)によって非平行位置に位置決めされた、第一金属シート(35)および第二金属シート(37)を含み、前記補強材(30)の前記基部(39)を構築する前記ステップは前記金属シート(35、37)を所定位置で接続することを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項4】
前記予備成形品(70)が、前記予備成形品(70)が側面(35、37)、および前記溶加金属を受容することが可能な領域(72)を一端に含むように、熱間予備成型金属シート(71)によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項5】
前記構築ステップ(46)には、前記基部(39)の最終プロファイルに近づくように前記溶接末端領域(28)における前記表面硬化材料(27)を機械加工するステップ(50)が続くことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項6】
応力を緩和するための熱処理ステップ(52)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項7】
高温適合ステップ(54)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項8】
前記金属補強材(30)の前記基部(39)および前縁(31)または後縁の最終プロファイルを磨き上げるような前記表面硬化材料(27)の再仕上げ、および/または前記金属補強材(30)の側面を形成するような金属シート(35、37)の再仕上げからなる、前記金属補強材(30)を仕上げるステップ(56)を含むことを特徴とする、請求項6に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項9】
レーザー切断によって前記第一金属シート(35)および前記第二金属シート(37)を切断するステップ(40)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項10】
前記側面(35、37)の内面の粗さを増加させることからなる操作を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項11】
前記機器(60)内の前記位置決めステップの前に前記金属シート(35、37)を形成するステップ(42)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項12】
前記位置決めステップ(44)の間、前記金属シート(35、37)は前記機器(60)内で形成されて、接合されたまま維持されることを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項13】
前記位置決めステップ(44)の間、前記金属シート(35、37)は形成され、前記金属シート(35、37)の間に位置決めされたダガー(32)によって離間され、前記ダガー(32)の外側プロファイルは前記金属シート(35、37)の下面および上面プロファイルに適合することを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【請求項14】
前記機器(60)を通じて前記機器内の所定位置にある前記金属シート(35、37)から熱を排出するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のタービンエンジンブレード用の金属補強材(30)を製造する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2013−513055(P2013−513055A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541472(P2012−541472)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068578
【国際公開番号】WO2011/064406
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068578
【国際公開番号】WO2011/064406
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】
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