説明

チェーン情報通知装置

【課題】簡易な構成で、車両のタイヤにチェーンが装着されたことを自動的に車外へと通知することが可能なチェーン情報通知装置を提供すること。
【解決手段】ECU9は、算出したタイヤの直径が前回メモリ15に記憶した直径データの示す値よりも所定値以上増加しており、GPS信号に含まれる年月日が冬季期間中であって、かつ、車両がチェーン脱着場所または当該場所に接続している道路を走行中の場合、タイヤにチェーンが装着されたと判断し、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。本チェーン情報通知装置は、車両のタイヤにチェーンが装着されたか否かを、当該タイヤの直径が所定値以上増加したか否かによって判別するため、簡易な構成で、車両のタイヤにチェーンが装着されたことを車外の情報センター8へ自動的に通知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤにチェーンが装着されたことを判別し、判別結果を車外へ通知するチェーン情報通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のタイヤにチェーンを装着するようドライバに促す装置が公知である。例えば特許文献1の装置は、環境センサによって外気の温度や湿度、日照の有無等を検出するとともに、通信装置によって路面の着雪情報を取得する。そして、車両のタイヤにチェーンの装着を行う必要があると判断された場合は、地図データベースからチェーンの装着場所を検索し、当該場所でチェーンの装着を行うようドライバに促す。
【特許文献1】特開平10−19583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、車々間通信や情報センターとの通信によって、様々な情報を共有するシステムが普及しつつある。このようなシステムの一例として、ドライバが車両のタイヤにチェーンを装着したことを他の車両や情報センターに通知し、チェーンの装着情報を共有するシステムが考えられる。チェーンの装着情報を他の車両や情報センターに通知する方法としては、チェーンに小型の通信機を取り付け、当該通信機からチェーンの装着情報を他の車両や情報センターへ送信して通知する方法が考えられるが、チェーンに取り付けられた状態でタイヤと共に回転しつつ、外気の温度や湿度にも影響されずに良好な通信を行う小型の通信機を開発する必要があり、設計面およびコスト面から好ましくない。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、車両のタイヤにチェーンが装着されたことを自動的に車外へと通知することが可能なチェーン情報通知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のチェーン情報通知装置では、車両のタイヤの直径に関するデータを周期的に取得するデータ取得手段と、データ取得手段が取得したデータからタイヤの直径を算出するとともに、過去に算出されたタイヤの直径から、当該タイヤの直径が所定値以上増加したことが認められる場合には、タイヤにチェーンが装着されたと判別する判別手段とを備え、判別手段がタイヤにチェーンが装着されたと判別した場合、当該判別結果を外部機器である通信機器から車外へと通知することを特徴とする。
【0006】
このように、本発明のチェーン情報通知装置では、判別手段は、データ取得手段が周期的に取得した車両のタイヤの直径に関するデータから、タイヤの直径を算出する。そして、過去に算出されたタイヤの直径から、当該タイヤの直径が所定値以上増加したことが認められる場合には、タイヤにチェーンが装着されたと判別し、外部機器である通信機器から、タイヤにチェーンが装着されたことを車外へと通知する。本チェーン情報通知装置は、車両のタイヤにチェーンが装着されたか否かを、当該タイヤの直径が所定値以上増加したか否かによって判別するため、チェーンに取り付けられた状態でタイヤと共に回転しつつ、外気の温度や湿度にも影響されずに良好な通信を行う小型の通信機の開発は不要となり、簡易な構成で、車両のタイヤにチェーンが装着されたことを自動的に車外へと通知することができる。
【0007】
請求項2に記載のように、車両が走行中の地域の季節情報を取得する季節情報取得手段を設け、判別手段は、季節情報取得手段が取得した季節情報から、当該地域が降雪または積雪のある季節であると認められる場合に、タイヤにチェーンが装着されたと判別することが望ましい。車両が走行中の地域の季節が降雪または積雪のある季節である場合、ドライバがタイヤにチェーンを装着した可能性が高いためである。
【0008】
請求項3に記載のように、車両の現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する記憶手段とを設け、判別手段は、検出手段が検出した車両の現在位置および記憶手段に記憶された地図データから、車両がチェーン脱着場所または当該場所に接続している道路を走行していると認められる場合に、タイヤにチェーンが装着されたと判別することが望ましい。車両がチェーン脱着場所または当該場所に接続している道路を走行していると認められる場合、ドライバがタイヤにチェーンを装着した可能性がより高いためである。
【0009】
請求項4に記載のように、車両が走行中の地域における天候情報を取得する天候情報取得手段を設け、判別手段は、天候情報取得手段が取得した天候情報から、当該地域が降雪または積雪のある天候であると認められる場合に、タイヤにチェーンが装着されたと判別することが望ましい。車両が走行中の地域の天候が降雪または積雪のある天候である場合、ドライバがタイヤにチェーンを装着した可能性がさらに高いためである。
【0010】
請求項5に記載のように、車両の出発地または目的地を設定し、ナビゲーション動作を行う誘導手段を設け、判別手段は、誘導手段によって設定された出発地または目的地がスキー場であると認められる場合に、タイヤにチェーンが装着されたと判別することが望ましい。スキー場の周辺は降雪や積雪が多い。車両の出発地または目的地がスキー場である場合は、ドライバがタイヤにチェーンを装着した可能性が非常に高いためである。
【0011】
請求項6に記載のように、判別手段は、タイヤにチェーンが装着されたと判別した後も、タイヤの直径の算出動作を継続するとともに、算出されたタイヤの直径の各々から、当該タイヤの直径が所定値以上減少した場合には、タイヤに装着されたチェーンが外されたと判別し、通信機器は、判別手段がタイヤに装着されたチェーンが外されたと判別した場合も、当該判別結果を車外へと通知することが望ましい。これにより、ドライバがタイヤにチェーンを装着したことに加え、ドライバがタイヤに装着されたチェーンを外したことまでも、車外へ通知することができる。
【0012】
請求項7に記載のように、通信機器は、判別手段の判別結果を車外の情報センターへ送信するとともに、タイヤへのチェーンの脱着を推奨する推奨情報を情報センターから受信するものであり、通信機器が情報センターから推奨情報を取得した場合、推奨情報の内容を車両のドライバに通知する通知手段を設けることが望ましい。これにより、ドライバは情報センターの推奨情報から、タイヤにチェーンを脱着すべきことを確実に把握できる。
【0013】
請求項8に記載のように、通知手段が通知動作を行う際、車両の現在位置周辺に位置するチェーン脱着場所へ車両を案内する案内手段を設けることが望ましい。これにより、ドライバはチェーン脱着場所を探す手間が省け、使い勝手が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるチェーン情報通知装置の全体構成を示すブロック図である。本チェーン情報通知装置は、カーナビゲーション装置に組み込まれて動作する。
【0015】
図1に示すように、位置検出器1は、地磁気センサ11、ジャイロスコープ12、距離センサ13、GPS受信機14から構成され、車両の現在位置および進行方向の検出を行う。
【0016】
地磁気センサ11は、例えばパーマロイ等の環状の強磁性体に、これを励磁するための励磁巻線と、方向検出用の直交する2つの検出巻線とが巻かれた構成を持つ。そして、励磁巻線に交流電圧を印加することによって2つの検出巻線に発生する電圧を計測し、これに基づいて車両の進行方向を絶対方位として検出する。
【0017】
ジャイロスコープ12は、例えば水晶振動子を備え、当該振動子を振動させた際に発生する、コリオリ力に基づく振動から、車両のヨー角速度(ヨーレート)を検出する。
【0018】
距離センサ13は、例えば車両に搭載された図示しない車輪や車軸の回転信号に基づいて、車両の移動距離を検出する。
【0019】
GPS受信機14は、人工衛星である図示しないGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、車両が現在走行している地点の緯度や経度、高度を検出する。
【0020】
位置検出器1は、前述した4つの機器の検出結果を相互に補間することによって精度の高い位置検出を行う。もちろん、要求される検出精度によっては、前述の4つの機器を全て備える必要はない。なお、車両の現在位置および進行方向の検出に関しては、ステアリングセンサ等、他のセンサによる検出信号に基づいて行うこととしてもよい。
【0021】
地図データ入力器2は、例えば記憶媒体としてハードディスクを有し、道路情報、建造物情報、各地域の住所情報や郵便番号情報などを含む地図データと、地図画像を表示する地図画像データとを記憶する。地図データおよび地図画像データに関しては、CD−ROMやDVD−ROM等に記憶することとしても良い。
【0022】
ディスプレイ3は、車載用の小型ディスプレイであり、地図画像の表示を含む各種ナビゲーション表示を行う。前述の各種ナビゲーション表示に関しては、車載用のヘッドアップディスプレイ等を用いることとしても良い。
【0023】
操作スイッチ4は、複数のメカニカルなスイッチから構成され、カーナビゲーション装置に対して、各種ナビゲーション動作の開始や終了を指示する。前述の各種ナビゲーション指示に関しては、操作キーを表示する表示パネルと、当該表示パネルに表示された操作キーを押したことを検出するタッチパネルを備えたタッチスイッチによって構成しても良い。また、音声認識を利用して行うこととしても良い。
【0024】
リモコン5は、例えば各種機能スイッチを備えた多機能リモコンであり、リモコンセンサ6を介して、上述した操作スイッチ4とほぼ同様の操作を行うことができる。
【0025】
通信機7は、例えば小型の無線通信機であり、車外の情報センター8と通信を行う。前述の通信に関しては、光通信機等を利用することとしても良い。
【0026】
ECU9は、ナビゲーション用ECUであり、操作スイッチ4またはリモコン5からの指示に従って、地図画像表示を含む各種ナビゲーション動作を実行する。具体的には、ECU9は、位置検出器1が検出した車両の現在位置および進行方向に基づいて、地図データ入力器2から車両の現在位置周辺の地図画像データを読み出し、車両の現在位置を示すマークを重畳した地図画像をディスプレイ3に表示させるとともに、スピーカ10から各種音声案内を行わせる。
【0027】
さらに、ECU9は、図示しない車速センサから出力される車速パルスと位置検出器1が検出した車両の現在位置とから、所定個数の車速パルスが出力される間に車両が移動した距離を算出し、当該移動距離からタイヤの直径を算出する。前述したタイヤの直径は所定時間毎に算出され、直径データとしてメモリ15に毎回記憶される。
【0028】
また、ECU9は、算出したタイヤの直径と、前回メモリ15に記憶した直径データの示す値とを比較し、算出したタイヤの直径が、前回メモリ15に記憶した直径データの示す値よりも所定値以上増加したか否かを調べる。所定値以上増加した場合、ECU9は、GPS受信機14が受信したGPS信号に含まれる年月日から冬季期間中(降雪または積雪のある季節)であるか、および、位置検出器1が検出した車両の現在位置および地図データ入力器2に記憶された地図データから、車両がチェーン脱着場所または当該場所の道沿いを走行中であるかを、さらに調べる。冬季期間中であり、かつ、車両がチェーン脱着場所または当該場所の道沿いを走行中である場合、ECU9は、タイヤにチェーンが装着されたと判断し、タイヤにチェーンが装着されたことを示すチェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信(通知)させる。
【0029】
なお、ECU8は、タイヤにチェーンが装着された後もタイヤの直径の算出動作を継続し、算出したタイヤの直径が、前回メモリ15に記憶した直径データの示す値よりも所定値以上減少した場合には、タイヤに装着されていたチェーンが取り外されたと判断する。そして、チェーンが取り外されたことを示すチェーン取外情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。
【0030】
図2は、本実施形態のチェーン情報通知装置において、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、タイヤにチェーンが装着されていない場合に、所定時間毎に実行される。
【0031】
ステップ201では、ECU9は、車速センサから出力される車速パルスと位置検出器1が検出した車両の現在位置とから、所定個数の車速パルスが出力される間に車両が移動した距離を算出し、当該移動距離からタイヤの直径を算出する。ステップ202では、メモリ15に記憶されている直径データを読み出す。
【0032】
ステップ203では、ステップ201で算出したタイヤの直径が、ステップ202で読み出した直径データの示す値よりも所定値以上増加しているか否かを判定する。所定値以上増加している場合は、ステップ204へ進む。そうでない場合は、処理を終了する。
【0033】
ステップ204では、GPS受信機14が受信したGPS信号に含まれる年月日から冬季期間中であるか否かを判定する。降雪または積雪のある季節である場合、ドライバがタイヤにチェーンを装着した可能性が高いためである。冬季期間中である場合は、ステップ205へ進む。そうでない場合は、処理を終了する。
【0034】
ステップ205では、位置検出器1が検出した車両の現在位置から、車両がチェーン脱着場所または当該場所に接続している道路を走行中であるか否かを判定する。車両がチェーン脱着場所または当該場所に接続している道路を走行中である場合、ドライバがタイヤにチェーンを装着した可能性がより高いためである。車両がチェーン脱着場所または当該場所に接続している道路を走行中である場合は、ステップ206へ進み、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。そうでない場合は、処理を終了する。
【0035】
図3は、本実施形態のチェーン情報通知装置において、チェーン取外情報を通信機7から情報センター8へと送信させる処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、タイヤにチェーンが装着されている場合において、所定時間毎に実行される。
【0036】
ステップ301では、ECU9は、車速センサから出力される車速パルスと位置検出器1が検出した車両の現在位置とから、所定個数の車速パルスが出力される間に車両が移動した距離を算出し、当該移動距離からタイヤの直径を算出する。ステップ302では、メモリ15に記憶されている直径データを読み出す。
【0037】
ステップ303では、ステップ301で算出したタイヤの直径が、ステップ302で読み出した直径データの示す値よりも所定値以上減少しているか否かを判定する。所定値以上減少している場合は、ステップ304へ進み、チェーン取外情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。そうでない場合は、処理を終了する。これにより、ドライバがタイヤに装着されたチェーンを取り外したことまでも、車外へ通知することができる。
【0038】
このように、本実施形態のチェーン情報通知装置では、ECU9は、車両のタイヤの直径を所定時間毎に算出し、直径データとしてメモリ15に毎回記憶する。算出したタイヤの直径が、前回メモリ15に記憶した直径データの示す値よりも所定値以上増加しており、GPS信号に含まれる年月日が冬季期間中であって、かつ、車両がチェーン脱着場所または当該場所に接続している道路を走行中の場合、ECU9は、タイヤにチェーンが装着されたと判断し、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。本チェーン情報通知装置は、車両のタイヤにチェーンが装着されたか否かを、当該タイヤの直径が所定値以上増加したか否かによって判別するため、チェーンに取り付けられた状態でタイヤと共に回転しつつ、外気の温度や湿度にも影響されずに良好な通信を行う小型の通信機の開発は不要となり、簡易な構成で、車両のタイヤにチェーンが装着されたことを車外の情報センター8へ自動的に通知することができる。
【0039】
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例のチェーン情報通知装置では、前述の実施形態の機能に加え、車両が走行中の地域における天候が降雪または積雪のある天候であり、かつ、車両の出発地または目的地としてスキー場が設定されている場合に、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。上述した点が、本実施形態のポイントである。
【0040】
操作スイッチ4およびリモコン5は、前述した実施形態の機能に加え、車両の出発地および目的地の設定を行うことができる。
【0041】
通信機7は、前述した実施形態の機能に加え、情報センター8が送信する、車両が走行中の地域における天候情報を受信する。
【0042】
ECU9は、前述した実施形態の機能に加え、通信機7が受信した天候情報から、車両が走行中の地域における天候が降雪または積雪のある天候であり、かつ、操作スイッチ4またはリモコン5から、設定された出発地または目的地がスキー場でもある場合に、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。
【0043】
その他の構成・動作に関しては、前述した実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
図4は、本変形例のチェーン情報通知装置において、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した図2のフローチャートの処理に加え、車両が走行中の地域における天候が降雪または積雪がある天候であるか否かを判定するステップと、設定された出発地または目的地がスキー場であるか否かを判定するステップとを設ける。言い換えれば、ステップ406およびステップ407以外の全ての処理は、図2のフローチャートの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
ステップ406では、ECU9は、通信機7が受信した天候情報から、車両が走行中の地域における天候が降雪または積雪がある天候であるか否かを判定する。車両が走行中の地域の天候が降雪または積雪のある天候である場合、ドライバがタイヤにチェーンを装着した可能性がさらに高いためである。降雪または積雪がある天候である場合は、ステップ407へ進む。そうでない場合は、処理を終了する。
【0046】
ステップ407では、設定された出発地または目的地がスキー場であるか否かを判定する。スキー場の周辺は降雪や積雪が多く、車両の出発地または目的地がスキー場である場合、ドライバがタイヤにチェーンを装着した可能性が非常に高いためである。設定された出発地または目的地がスキー場である場合は、ステップ408へ進み、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。そうでない場合は、処理を終了する。
【0047】
このように、本変形例のチェーン情報通知装置では、前述の実施形態の機能に加え、車両が走行中の地域における天候が降雪または積雪のある天候であり、かつ、車両の出発地または目的地としてスキー場が設定されている場合に、チェーン装着情報を通信機7から情報センター8へと送信させる。これにより、車両のタイヤにチェーンが装着されたことをより確実に判別することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態のチェーン情報通知装置では、前述した第1の実施形態の機能に加え、タイヤのチェーン脱着を推奨する推奨情報を情報センター8から取得し、当該情報の内容をドライバに通知する機能を有する。また、前述の通知動作を行う際には、車両の現在位置周辺に位置するチェーン脱着場所へ車両を案内することも行う。上述した点が、本実施形態のポイントである。
【0049】
通信機7は、情報センター8から送信される、タイヤのチェーン脱着を推奨する推奨情報を受信する。
【0050】
ECU9は、通信機7が推奨情報を受信すると、当該推奨情報の内容をディスプレイ3に表示するとともに、スピーカ10から音声出力を行う。その際には、地図データ入力器2に記憶された地図データから、車両の現在位置周辺に位置するチェーン脱着場所を検索し、当該場所へ車両を案内する案内動作を行う(以下、上述の動作を案内動作とする)。
【0051】
その他の構成・動作に関しては、前述した第1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
図5は、本実施形態のチェーン情報通知装置が、案内動作を行う処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、情報センター8から送信される推奨情報を通信機7が受信すると実行される。
【0053】
ステップ501では、ECU9は、通信機7が情報センター8から受信した推奨情報を取得する。ステップ502では、ステップ501で取得した推奨情報の内容をディスプレイ3に表示するとともに、スピーカ10から音声出力を行う。
【0054】
ステップ503では、地図データ入力器2に記憶された地図データから、車両の現在位置周辺に位置するチェーン脱着場所を検索する。ステップ504では、ステップ503で検索されたチェーン脱着場所へ車両を案内する案内動作を開始する。
【0055】
このように、本実施形態のチェーン情報通知装置では、タイヤのチェーン脱着を推奨する推奨情報を情報センター8から取得し、当該情報の内容をドライバに通知する。また、前述の通知動作を行う際には、車両の現在位置周辺に位置するチェーン脱着場所へ車両を案内することも行う。これにより、ドライバはタイヤにチェーンを脱着すべきことを確実に把握できるとともに、チェーン脱着場所を探す手間が省け、使い勝手が良い。
【0056】
前述した実施形態および変形例では、本装置は通信機7を用いてチェーン装着情報やチェーン取外情報を情報センター8へと送信したり、情報センター8から天候情報や推奨情報を受信したりした。しかしながら、これに限定されるものではなく、車々間通信によって他の車両との間で、上述した各種情報を送受信することとしても良い。また、情報センター8と他の車両の両方と通信を行い、各種情報の送受信を行うこととしても良い。また、情報センター8は車両の駆動方式や車種、スタッドレスタイヤの有無、目的地や出発地に応じて、各種情報を選択的に送信することとしても良い。
【0057】
前述した実施形態および変形例では、本装置はタイヤの直径を所定時間毎に測定し、前回メモリ15に記憶した直径データと比較した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば車両を起動した際のタイヤの直径を直径データとしても良い。これにより、直径データをメモリに読み書きする時間を短縮することができる。また、過去数回におけるタイヤの直径の平均を直径データとしても良い。これにより、測定誤差等によるタイヤの直径の一時的な変動を抑えることができる。
【0058】
前述した実施形態および変形例では、本装置はカーナビゲーション装置に組み込まれて動作したが、これに限定されるものではなく、車両のタイヤの直径を算出する機能や表示機能、音声出力機能を備えた機器であれば好適に利用できる。しかしながら、最も好適なのは、カーナビゲーション装置に組み込まれて動作した場合であることを言及しておく。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるチェーン情報通知装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態のチェーン情報通知装置において、チェーン装着情報を通信機から情報センターへと送信させる処理に関するフローチャートである。
【図3】第1の実施形態のチェーン情報通知装置において、チェーン取外情報を通信機から情報センターへと送信させる処理に関するフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の変形例のチェーン情報通知装置において、チェーン装着情報を通信機から情報センターへと送信させる処理に関するフローチャートである。
【図5】第2の実施形態のチェーン情報通知装置が案内動作を行う処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1…位置検出器
11…地磁気センサ
12…ジャイロスコープ
13…距離センサ
14…GPS受信機
2…地図データ入力器
3…ディスプレイ
4…操作スイッチ
5…リモコン
6…リモコンセンサ
7…通信機
8…情報センター
9…ECU
10…スピーカ
15…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤの直径に関するデータを周期的に取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した前記データから前記タイヤの直径を算出するとともに、過去に算出された前記タイヤの直径から、当該タイヤの直径が所定値以上増加したことが認められる場合には、前記タイヤにチェーンが装着されたと判別する判別手段とを備え、
前記判別手段が前記タイヤにチェーンが装着されたと判別した場合、当該判別結果を外部機器である通信機器から車外へと通知することを特徴とするチェーン情報通知装置。
【請求項2】
前記車両が走行中の地域の季節情報を取得する季節情報取得手段を設け、
前記判別手段は、前記季節情報取得手段が取得した季節情報から、当該地域が降雪または積雪のある季節であると認められる場合に、前記タイヤにチェーンが装着されたと判別することを特徴とする請求項1記載のチェーン情報通知装置。
【請求項3】
前記車両の現在位置を検出する検出手段と、
地図データを記憶する記憶手段とを設け、
前記判別手段は、前記検出手段が検出した前記車両の現在位置および前記記憶手段に記憶された地図データから、前記車両がチェーン脱着場所または当該場所に接続している道路を走行していると認められる場合に、前記タイヤにチェーンが装着されたと判別することを特徴とする請求項1または請求項2記載のチェーン情報通知装置。
【請求項4】
前記車両が走行中の地域における天候情報を取得する天候情報取得手段を設け、
前記判別手段は、前記天候情報取得手段が取得した天候情報から、当該地域が降雪または積雪のある天候であると認められる場合に、前記タイヤにチェーンが装着されたと判別することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のチェーン情報送信装置。
【請求項5】
前記車両の出発地または目的地を設定し、ナビゲーション動作を行う誘導手段を設け、
前記判別手段は、前記誘導手段によって設定された出発地または目的地がスキー場であると認められる場合に、前記タイヤにチェーンが装着されたと判別することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のチェーン情報通知装置。
【請求項6】
前記判別手段は、前記タイヤにチェーンが装着されたと判別した後も、前記タイヤの直径の算出動作を継続するとともに、算出された前記タイヤの直径の各々から、当該タイヤの直径が所定値以上減少した場合には、前記タイヤに装着されたチェーンが外されたと判別し、
前記通信機器は、前記判別手段が前記タイヤに装着されたチェーンが外されたと判別した場合も、当該判別結果を車外へと通知することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のチェーン情報通知装置。
【請求項7】
前記通信機器は、前記判別手段の判別結果を車外の情報センターへ送信するとともに、前記タイヤへのチェーンの脱着を推奨する推奨情報を前記情報センターから受信するものであり、
前記通信機器が前記情報センターから前記推奨情報を取得した場合、前記推奨情報の内容を前記車両のドライバに通知する通知手段を設けることを特徴とする請求項1から請求項6記載のチェーン情報通知装置。
【請求項8】
前記通知手段が前記通知動作を行う際、前記車両の現在位置周辺に位置するチェーン脱着場所へ前記車両を案内する案内手段を設けることを特徴とする請求項7記載のチェーン情報通知装置。
【請求項9】
前記チェーン情報通知装置は、車両用のナビゲーション機器に組み込まれて動作することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のチェーン情報通知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−102424(P2007−102424A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290310(P2005−290310)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】