説明

ディーゼルエンジン排気ガス濾過装置再生のための炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)のポスト噴射方法

本発明は、ディーゼルエンジンによって生成された排気ガスを濾過するのに使用される装置の再生のためのポスト噴射方法に関する。 この発明の方法は基本的に、粒子によるフィルタの目詰まりを検出したらすぐに、排気ガスの温度を増加させるために完全に霧化された炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)を酸化触媒(4)の上流に噴射することからなっている。 濾過装置の上流に配置された温度および圧力の各センサ(2)、センサ(3)を用いて、コンピュータ(8)が電磁式インジェクタ(9)からの再生液の噴射を制御し、上記再生液は、空気によって細かく霧化するために毛細管(12)を通り、触媒(5)の上流の、前記インジェクタから十分な距離を置いて配置された箇所において排気管(1)内に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にパティキュレートフィルタの分野に関し、更に詳細に述べるとこのフィルタを再生するためにディーゼルエンジン排気ガス濾過装置の上流に炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)をポスト噴射する方法に関する。
【0002】
それに加えて、本発明は、更に、空気と炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)の均一混合液を濾過装置上流の酸化触媒上に噴射し、燃焼の場合のように排気ガスの温度を増加させることが目的であるこの噴射装置の管理に関する。 エンジンによって生成され、この濾過装置上に保持された炭素質粒子の堆積を防ぐためにこの粒子を酸化、燃焼するには高い温度レベルが必要であり、この最終段階が、本発明による方法の目的である再生を構成している。
【背景技術】
【0003】
より少ない燃料消費量の新しいエンジンの開発に加えて、未燃の汚染ガスおよび固形パティキュレートの排出を低減するように設計された新しい排気システムの開発のために特別な取り組みがなされてきた。 それゆえ、自動車メーカーは、一般にステンレス鋼製ハウジング、断熱材、および白金またはロジウム等の貴金属を含浸させたハニカム担体からなる触媒コンバータまたは触媒を開発してきた。 これらの触媒は、とりわけ多環式炭化水素および一酸化炭素(CO)の排出を約90%の割合で低減することを可能にした。 しかしながら、それらは固形パティキュレートの排出に対してなんの作用も及ぼさない。 それゆえ、特に、多量の固形パティキュレートを生成するディーゼルエンジンについて、これらの触媒は大気の質の著しい改善をなんらもたらさない。
【0004】
車両による汚染物質であるパティキュレートの排出を抑えるために別の技術が開発された。 このようなものの1つがパティキュレートフィルタである。 このフィルタは、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートの全質量を90%超低減するのに役に立つ。
【0005】
しかしながら、このパティキュレートフィルタは捕捉されたパティキュレートを燃やすために再生が必要である。 パティキュレートは一般に、パティキュレートフィルタの一部を形成するフィルタカートリッジによって捕捉される。 再生で経験する高温に耐えるために、このカートリッジは、最大濾過表面積を与えるために一般にはハニカム構造のコージライト、石英または炭化ケイ素の多孔質体から構成することができる。
【0006】
これらパティキュレートフィルタの作動上の大きな問題は、フィルタカートリッジによって保持されたパティキュレートの酸化および燃焼の状態の制御にある。 実際、市街の運転条件においては、排気ガスによって到達する温度は、パティキュレートを燃焼させてフィルタの目詰まりを十分に抑制してフィルタを再生するには不十分である。 化学的なアシスト無しでは、ディーゼルエンジン内のディーゼル燃料の燃焼によって生成された炭素質パティキュレートは、500℃よりもかなり高い温度でしか酸化を開始しない。 これらの温度は市街運転条件では実際に決して到達しないものである。
【0007】
したがって、化学的方法に訴えてこれらのパティキュレートを除去することが必要に思われる。 パティキュレートの燃焼を得るために様々な手法が用いられている。
【0008】
最初の手法は、フィルタ上流に触媒を配置して、排気ガス中に存在する一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化することにあり、後者は炭素質粒子が250℃から燃焼する際に触媒の働きをする性質を有している。 しかしながら、この方法は、NOのNOへの十分な転化効率を維持するために硫黄含有量が50ppmより低いディーゼル燃料の使用を必要とする。
【0009】
「連続再生トラップ」(C.R.T.)と呼ばれるこの手法は、パティキュレートフィルタとNO酸化触媒の各作用を結合している。 フィルタの満足すべき運転を保証するために、このシステムは、制御されない発熱を伴う再生の危険を除きながら定期的な再生を行ってフィルタ前後の圧力低下を抑える必要がある。
【0010】
これと逆の場合には、フィルタに目詰まりしている炭素質粒子の過大な濃度に伴って激しい反応が起きる。 これらの反応は大量の粒子の過度に急速な燃焼からなり、一般に、局部的に達した非常な高温のため熱衝撃が発生してフィルタの破壊を引き起こす。
【0011】
別の手法では、ディーゼル燃料に添加された、セリウム、鉄、ストロンチウム、カルシウム等の有機金属添加剤を使用している。 これらの手法は、370℃近くの温度で炭素質物質を燃焼させる際に触媒作用を及ぼすことによってNOに関して得られた効果と同様の効果を得るのに役立つ。
【0012】
これらの手法の第1の欠点は、使用する添加剤の法外に高い費用にある。
【0013】
他の大きな欠点は、添加剤の導入のために補助的な装置を設ける必要があることである。
【0014】
これらの手法の別の欠点は、更に大きなフィルタの目詰まり傾向を示すことであり、したがって、運転中に達した温度が十分に高くない場合は、添加剤が炭素質物質中に存在するのでその結果起きる反応がフィルタ媒体の更に急速な汚染の一因になる。
【0015】
他の手法は、バーナー、電気抵抗器等の補助的加熱手段に基づく装置で実行することにあった。 これらの補助的加熱手段は、圧力低下の増加が反映されてカートリッジが初期の目詰まりを示した場合にのみ使用される。 このような再生装置はエンジンが稼動している際、すなわち、流量の多い排気ガスの存在下で実行される。 したがって、このような装置は、排気ガスとフィルタカートリッジの質量とを同時に適正温度まで昇温させるためにかなりの加熱出力を必要とする。
【0016】
最近のいわゆるコモンレールディーゼルエンジンに対して、排気ガスの温度を増加させ、これによってフィルタ上に保持された炭素質粒子を相当量酸化、燃焼させるためにディーゼル燃料ポスト噴射法が用いられた。 電磁式インジェクタを使用するこの直接噴射法は、排気弁が開いたそのときに燃焼室内への新規のディーゼル燃料の噴射を始め、これによって排気ガスとの均一な混合気を得、エンジン出口とパティキュレートフィルタとの間に置かれた酸化触媒上でのこのディーゼル燃料の完全酸化を得る役割を効果的に果たす。
【0017】
ディーゼルエンジン排気システムで燃焼触媒の下流に配置された濾過手段の再生のための、ディーゼル燃料および/またはアルコールタイプの再生液のポスト噴射方法も知られている。 これらの方法は特に特許文献1〜特許文献5に記述されている。
【0018】
これらの公知の方法は、一方において、濾過手段の最適、安全かつ経済的な再生を行うことができず、他方において、特にディーゼル燃料に関し、および特にポスト噴射手段に属するインジェクタのノズルのレベルにおける再生液の熱劣化およびコークス化(coking)の技術的問題に対してなんら満足すべき解決策をもたらさないという共通の特徴を有している。 これによってこのポスト噴射のインジェクタは排気マニホールドの熱によって急激に損傷を受け、その結果信頼性や有効性を欠くこととなっている。
【特許文献1】米国特許第5,207,990号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第158143号明細書
【特許文献3】米国特許第6,023,930号明細書
【特許文献4】特開平7−119444号公報
【特許文献5】米国特許第5,522,218号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
このような技術的背景の中で、本発明の目的は、濾過装置の再生を可能にし、各種の既存技術の欠点を是正し、必要なときにはいつでも排気ガスの温度を増加させて正しい酸化温度を得ることによってディーゼルエンジンによって排出される炭素質の粒子や煤を処理することにあり、すべてのディーゼルエンジンに適用可能な炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)のポスト噴射方法を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)のポスト噴射方法を提供し、これによってこの濾過装置内にパティキュレートが堆積するあらゆるリスクを回避し、その結果、再生が制御されないというあらゆるリスクも回避することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、特にディーゼル燃料に関する、および特にポスト噴射手段に属するインジェクタのノズルのレベルにおける再生液の熱劣化およびコークス化の技術的問題の影響を受けない炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)のポスト噴射方法を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、燃料消費を著しく増加させず、一般にユーザの金銭的出費の増加を招かない炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)のポスト噴射方法を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、特に濾過装置の目詰まりによる圧力損失によって、排気ガスがエンジンに関して及ぼす背圧の影響のためにエンジンの性能を低下させることがない炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)のポスト噴射方法を提供することにある。
【0024】
本発明の最終の目的は、本発明による炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)のポスト噴射方法を実行に移すことを可能にする濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
これらの目的は、とりわけ、第1に、パティキュレートが、酸化触媒に送られた後、濾過装置の濾過手段上に保持されたタイプの、特に、ディーゼルエンジンによって生成された排気ガスを濾過する上記装置の再生のために、再生液をポスト噴射する方法に関する本発明によって達成される。
【0026】
この本発明による方法は、
上記再生液が少なくとも1つの炭化水素および/または少なくとも1つの還元剤を含むステップと、
かつ、このポスト噴射が、
一方が前記再生液であり、
他方が少なくとも1つのガス状流体、好ましくは圧縮空気であるポスト噴射手段を使用して触媒の上流に噴射するステップを基本的に備え、
この再生液とこのガス状流体は、上記パティキュレートの酸化速度を加速し、これによって濾過装置の再生に寄与するように排気ガス中に再生液を噴霧し、排気ガスの温度を増加させるのに適したエアロゾル(aerosol)を一緒に形成するステップを備えていることを特徴とする。
【0027】
本発明による方法は、非常に良好な排気ガスパティキュレートフィルタ再生の指標である質の良いエアロゾルを得る役割を果たす。
【0028】
このディーゼル燃料のポスト噴射法においては、ディーゼルエンジン排気ガスの出口かつ酸化触媒の上流に配置された装置が使用され、酸化触媒の下流にはディーゼルエンジンから排出された炭素質粒子を濾過するための手段が配置されている。 この方法では、濾過手段上に保持されたパティキュレートは排気ガス中に存在する残存酸素および窒素酸化物の作用によって燃焼される。
【0029】
本発明の好ましい仕組みによれば、再生液のポスト噴射の流れおよびガス状流体、好ましくは圧縮空気のポスト噴射の流れは、実質的に同心の各開口部から噴出する。
【0030】
本発明の更に好ましい仕組みによれば、上記ガス状流体、好ましくは圧縮空気の一部は、ポスト噴射の開口部まで上記再生液と同じノズルを通る。
【0031】
ポスト噴射エアロゾルの品質を更に向上させるために、上記ガス状流体の一部は、ポスト噴射の前に上記再生液と混合されることが本発明によって提供される。
【0032】
目詰まりの危険を抑制する本発明の有利な仕組みの1つは、ノズルを通る再生液のポスト噴射を中断した後、および上記ノズルを洗浄するのに必要なときにポスト噴射ノズル内のガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れを保持することにある。
【0033】
コークス化および熱劣化の問題を最小限にするために、ポスト噴射手段の少なくとも一部の温度が、エンジンを稼動しながら120℃以下、好ましくは100℃以下に維持されるように装置が作られている。
【0034】
この目的のために、ポスト噴射手段の少なくとも一部が、排気ガスが流れる管から有利なことにある距離を置いて保持されている。
【0035】
上記再生液は、
石油精製製品(好ましくはガゾリンおよびディーゼル燃料)を含む炭化水素の群、
アルコール(好ましくはメタノール)の群、
還元剤(好ましくは尿素およびアンモニア溶液)の群、
およびこれらの混合物から選択されるのが好ましい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、この方法は本質的には、
酸化触媒上流の温度θmを測定するステップと、
θmを燃焼触媒の存在下で再生液の燃焼が終了する温度に対応する温度θrと比較するステップと、
θmがθrと同等かそれより高ければ、再生液のポスト噴射を開始するステップとを含む。
【0037】
この好ましい実施形態の興味ある変形形態によれば、
パティキュレートによる濾過手段5の目詰まりによる障害の度合いを反映する濾過装置上流の圧力Pmをセンサ3で測定するステップと、
上記圧力Pmを障害の最大許容度に対応する参照圧力Prと比較するステップと、
Pmが圧力Prと同等かそれより高くかつθmがθrと同等かそれより高ければ、ディーゼル燃料のポスト噴射を開始するステップとを備えている方法が提供される。
【0038】
本発明によれば、温度θmのデータおよび場合によって圧力Pmのデータを考慮に入れ、少なくとも1つのコンピュータを使用して再生液の噴射を制御して濾過装置の最適な再生に望まれる温度増加を得るステップを備えていることが特に有利である。
【0039】
発明の別の目的によれば、本発明は更に、上記で規定したようにこのポスト噴射方法を特に実行に移すための装置に関する。 この装置は少なくとも1つの排気管、少なくとも1つの触媒、および濾過手段を備えている。 この装置は更に、
再生液供給手段と、
加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段と、
排気ガス排気管と通じているポスト噴射手段であって、
少なくとも1つのインジェクタ、好ましくは電磁式インジェクタと、
上記インジェクタが配置された少なくとも1つのインジェクタホルダと、
触媒の上流において、インジェクタから始まり少なくとも1つの開口部を経由して少なくとも1つの排気管で終わる少なくとも1つの毛細管またはノズルと、
上記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段に連結され、少なくとも1つの開口部を経由して排気管で終わる少なくとも1つのラインとを含むポスト噴射手段と、
場合によっては、触媒上流の、排気管上に配置された少なくとも1つのθm測定用温度センサと、
場合によっては、排気管内の、触媒上流の上記排気管上に配置された少なくとも1つのPm測定用圧力センサと、
上記再生液供給手段、加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段、ポスト噴射手段および温度または圧力センサがあればこれらセンサをその支配下に置いている少なくとも1つのポスト噴射制御用コンピュータとを備えることを特徴としている。
【0040】
本発明による装置の顕著な特徴によれば、
上記毛細管(またはノズル)およびラインは、それらの各開口部と同様に同心かつ同軸であり、排気管内で終端しており、
また、上記毛細管(またはノズル)は上記ライン内に収納されている。
【0041】
有利なことに、ポスト噴射手段の少なくとも一部、好ましくは少なくともインジェクタが、熱による損傷を受けるのを避けるために好ましくは排気管から十分な距離を置いて配置されるように、すなわちエンジンを稼動しながら温度を120℃以下、好ましくは100℃以下に維持するように設計されている。
【0042】
炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)のポスト噴射は、加圧されたガス状流体(例えば、圧縮空気)にアシストされている。 毛細管(またはノズル)とラインを組み合わせた構造のおかげで、インジェクタとその支持体が、
高温にさらされるのを避けるために地理的に排気管から(例えば、200mmだけ)離れた箇所で、
かつ酸化触媒の上流に配置される。
排気ガス濾過手段は、酸化(すなわち燃焼)触媒の下流に配置される。 この触媒および濾過手段は、実際には、エンジンによって生成された排気ガスの流れの経路内に配置されたチャンバ内に収納される。
【0043】
本発明による装置の好ましい実施形態によれば、加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段は、毛細管またはノズルのヘッド部にあるインジェクタの出口においてガス状流体の取り入れができるように設計されてあり、そのため加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気が、ポスト噴射された再生液と共に毛細管またはノズル内に流入することができる。
【0044】
この好ましい実施形態の有利な変形形態によれば、加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段は、毛細管またはノズルのヘッド部にあるインジェクタの出口において加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の取り入れを制御するソレノイド弁を備えていて、上記ガス状流体、好ましくは圧縮空気が再生液と共に毛細管またはノズル内に流入することを可能にし、第2に、ポスト噴射が終了した後、毛細管またはノズル内の加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れをしばらく維持することにより毛細管またはノズルを洗浄する。
【0045】
この好ましい実施形態の別の変形形態によれば、エマルジョンを生成し、更にはかつ好ましくは、ポスト噴射の終了後しばらくは毛細管またはノズル内の加圧されたガス状流体の流れを維持することによって洗浄機能を実行するために、上記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段およびポスト噴射手段(好ましくはインジェクタホルダ)は、再生液を混合した加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れを連続的に取り入れるために、毛細管またはノズルの入口に少なくとも1つの較正されたオリフィスが設けられるように設計されている。
【0046】
有利なことに、上記再生液供給手段は、エンジンの少なくとも1つの機械的噴射ポンプの原料供給ラインに連結されている。
【0047】
上記再生液は、
石油精製製品(好ましくはガゾリンおよびディーゼル燃料)を含む炭化水素の群、
アルコール(好ましくはメタノール)の群、
還元剤(好ましくは尿素およびアンモニア溶液)の群、
およびこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0048】
本発明による装置が温度センサおよび圧力センサを備えていることは注目すべきである。 更に上記温度センサおよび圧力センサに接続されたコンピュータ(または電子制御ボックス)は、それぞれ測定された値θmおよび場合によってはPmを、参照値θrおよび場合によってはPrと比較し、測定値θmおよび場合によってはPmが、参照値θrおよび場合によってはPrと同等かそれより高ければ、再生液供給手段、加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の供給手段およびポスト噴射手段経由で排気管中へ再生液をポスト噴射し始める。
【0049】
有利なことに、温度センサおよび、もしあるとすれば圧力センサはおおむね排気管と同じレベルに配置されている。
【0050】
実際には、また例えば、このポスト噴射は、ガソリンエンジンで使用されているものと同じタイプのものであり、排気管からある距離を置いてインジェクタポート上に配置された従来の電磁式インジェクタによって実施される。 このインジェクタから噴出する炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/または尿素および/またはアンモニア溶液)は、例えば、金属管からなるライン内に収納された毛細管経由で高温の排気管に搬送される。 この管には、毛細管の周りを同心状に到達するように圧縮空気が供給されて、排気管内に流入し、炭化水素再生液、アルコール再生液および/または還元剤タイプ再生液(例えば、ディーゼル燃料および/またはエタノールおよび/または尿素および/またはアンモニア溶液)の適当な噴霧を生じる。 この再生液の噴射および圧縮空気の供給は、排気ガス吐出管内への再生液のポスト噴射を可能にするソレノイド弁の開放/閉止を制御する電子制御ボックスで制御される。
【0051】
有利なことに、インジェクタホルダにおいて、空気取り入れ口と連結され、インジェクタ先端と対向する較正されたオリフィスが、毛細管の入口で再生用空気/液体エマルジョンを発生し、出口において完全に霧化した形でこの再生液を吐出管内へ噴射することを可能にするように配置されている。
【0052】
本発明は、本明細書に添付した図を参照し、以下に続く、本発明による濾過装置に組み込まれたポスト噴射装置の実施形態の説明を、限定解釈しないように読めばよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明による再生方法を実行に移すことを可能にするシステムを、好ましい実施形態によって図1に概略的に示す。 このシステムでは、濾過装置の一部を形成するあるいは形成しないパティキュレートフィルタの様々な機械部品が、濾過システムの再生の制御を可能にするために協働している。
【0054】
それゆえ、排気管1内のディーゼルエンジンから出てくる排気ガスは、センサ2によって温度が、センサ3によって圧力が制御され、その後酸化触媒4に、次いでフィルタカートリッジ5にそれぞれ送られ、これらの全体が金属製ハウジング6内に収納され、セラミック体7で断熱されている。
【0055】
必要な場合はいつでも、コンピータ8が、インジェクタホルダユニット10上に取り付けられ、ディーゼルエンジンのバイパスからライン11経由で供給される電磁式インジェクタ9からのディーゼル燃料噴射を作動させ、このディーゼル燃料は毛細管12経由で排気管に送られる。
【0056】
この毛細管12は、同心状に到達し、ソレノイド弁15によって中に通され、図示してない圧力調節器によって供給される空気によって適当な噴霧を得るために酸化触媒4の上流の排気管14内の管13の中心で終端している。
【0057】
第2のソレノイド弁16は、ディーゼル燃料が毛細管内で停滞し、コークス化して非常に高温の排気管近くで詰まって障害物になるのを防止するために、この毛細管を浄化する(purge)役割を果たす。
【0058】
ポスト噴射装置、特に第1の実施形態によるインジェクタホルダの詳細図が図2に示されている。
【0059】
コンピュータ8は、センサ2,3によって集められた温度と圧力のデータを使用し、計画設定(strategy set)に従って、エンジン系統によって11の箇所でディーゼル燃料を供給される電磁式インジェクタ9からのディーゼル燃料噴射を作動させる。 この電磁式インジェクタの出口において、ディーゼル噴射量は毛細管12によって排気管1に送られ、そこでライン13経由で同心状に到達する空気によって14において噴霧される。
【0060】
噴霧用空気量(spray air rate)は、図示しない圧力調整器により空気を供給されるソレノイド弁15によって制御され、最初から適正な噴霧を得るためにその開放はインジェクタ9の開放と同時であるが、このインジェクタが閉止するとすぐにソレノイド弁16から供給される空気によって毛細管の洗浄が可能になるようにその閉止は2、3秒だけ遅らせており、また効果的な洗浄を可能にするために逆止弁17がインジェクタホルダ10のライン内のあらゆるディーゼル燃料蓄積を防止している。
【0061】
この実施形態の変形形態が図3に示されている。 この変形形態によれば、ディーゼル燃料の噴霧の質を向上し、このアセンブリの構成を簡略化するために、前に説明した実施形態のように、インジェクタ9と同時に開くが、その閉止を2、3秒だけ遅らせて、較正された空気ノズル18により制御された空気流によって毛細管洗浄動作が自動的に行われるようにした単一のソレノイド弁によって、インジェクタホルダ10に空気が供給される。 更に、ソレノイド弁15の開放と同時に、この空気の流れは、チャンバ19内でインジェクタ9から噴出するディーゼル燃料と共にエマルジョンを形成する役割を果たし、その後、毛細管12を通って出口に送られ14において排気管内に入る。 このエマルジョンは管13の中心で終了し、そこで、この管によって搬送された空気の流れとぶつかり、毛細管内で既に形成されていたエマルジョンのおかげで細かく噴霧され、はるかに良好な霧化品質を得る。 このインジェクタの閉止に際して、空気の流れを2、3秒間余分に保持することが毛細管12を完全に洗浄する役割を果たす。
【0062】
この実施形態については、例えば内径4mm、外径6mmのリルサン管経由でソレノイド弁15によって供給され、インジェクタホルダ入口の、例えば直径2mmの絞りを経由し、0.45mmの空気ノズルを経由して毛細管12入口のチャンバ19に供給する、例えば3バールの空気供給圧力に関して良好な結果が得られた。 例えば内径1mm、外径1.6mmのこのステンレス鋼製毛細管は長さが50cmであり、例えば内径4mm、外径6mmのステンレス鋼管内に収納されており、得られたディーゼル燃料ミストの品質は、望ましくない炭化水素排出を観測することもなく、例えば触媒入口において最高270℃の温度までの噴射を実施するのに役立った。
【0063】
図4はパティキュレート濾過システムに伴うポスト噴射装置を示しており、この組合せは、空気圧縮機21によって空気を供給されるディーゼルエンジン20に据え付けられ、排気ガス除去のためにタービン22を通し、管23経由で、温度センサ2および圧力センサ3が配置され、その後、ディーゼル燃料がライン13から噴出する空気と一緒に14で噴霧される1において、システムに排気ガスを排出する。 インジェクタ9はバイパスに取り付けたライン11によって、エンジン噴射ポンプ24のディーゼル燃料の供給を受ける。
【0064】
ポスト噴射装置によるパティキュレートフィルタ再生方法において、温度がパティキュレートの燃焼を開始するのに不十分であれば、ディーゼル燃料噴射によって再生が起きる。
【0065】
この目的のために、このシステムの入口に配置された、例えば、熱電対タイプまたはサーミスタタイプのセンサ2を使用して、触媒入口付近の温度が測定される。 測定された温度θmの値は、コンピュータ8によって受け取られる。 このコンピュータは、この値θmを、過剰空気による触媒上のディーゼル燃料の燃焼が終了する温度に対応する参照値θrと比較する。 当業者は完璧にθrを決定することができる。 実際には、ディーゼルエンジンの場合θrは300℃以上である。
【0066】
測定された温度θmが参照値θrと同等かそれより高ければ、制御ボックスがインジェクタ9およびソレノイド弁15の開放を開始する。 この開放によってディーゼル燃料が毛細管内へ取り込まれ、圧縮空気が管13内へ取り込まれる。 14での管13の出口においてディーゼル燃料が圧縮空気と混合され、このように形成された混合気が霧化された形で排気ガス吐出管1内に噴霧される。
【0067】
排気管1内に噴射された燃料は、チャンバ6に入り、触媒4において完全燃焼される。 この燃焼が、濾過手段を目詰まりさせているパティキュレートの燃焼が起きる温度θcまで温度を著しく上昇させる。 排気ガス中に存在する過剰の残留酸素との組合せで生成するNOの分子が、この酸化反応の触媒として作用する。 それゆえ、この反応は通常の燃焼温度よりも低い温度で起こる。 この酸化の間に固形のパティキュレートはガスに変換されて除去される。
【0068】
その後濾過手段は堆積物が無くなり、その全濾過能力を回復する。
【0069】
特定の実施形態によれば、θmの測定値は電子制御ボックスによって使用され、濾過手段のレベルでのパティキュレートの温度を評価することができる。 実際、ディーゼル燃料ポスト噴射をせずにパティキュレートの燃焼が起こり得る温度にθmが近い場合は、コンピュータがこのポスト噴射を開始しないことを決定することができ、これによって大幅な燃料経済性を達成する。
【0070】
別の運転モードは、温度センサ2および圧力センサ3を使用して、触媒製造手段の段階で温度と圧力を同時に測定することにある。 測定された圧力値Pmはパティキュレートによる濾過手段の目詰まりによる障害の度合いを反映する。 実際、濾過手段が目詰まりした場合、排気ガスの通過にはより大きな困難が伴い、背圧に影響を及ぼす。 それゆえ圧力Pmの測定は濾過手段の目詰まりを制御する最良の手段になる。 このセンサ3は絶対圧力測定用の従来のセンサである。 変形形態によれば、圧力センサ3は、フィルタ上流に配置される1つのセンサと上記フィルタの下流に配置される別のセンサとを含むゲージ圧力測定用のセンサでよい。
【0071】
電子制御ボックスは、測定された値Pmを、濾過手段の目詰まりによる障害の最大許容度に対応する参照値Prと比較する。 目詰まりを示すPrの判定は当業者により簡単にかつ自由裁量によって行われる。 実際には、また例えば、この圧力Prは新しいフィルタについて測定された圧力に100ミリバール加えたものに対応する。
【0072】
PmがPrと同等かそれより高ければ、電子制御ボックスはθmをθrと比較する。 θmがθrと同等かそれより高ければ、この制御ボックスは、濾過手段の再生をもたらすディーゼル燃料のポスト噴射を開始する。 この運転モードは、濾過手段がある程度の目詰まりに達した場合にポスト噴射を開始するだけであるという利点を持っており、これによって余分な燃料消費を相当抑える役割を果たす。 この圧力データを用いて、依然として設定点(setpoints)に基づいているコンピュータは、より高い温度に到達するために背圧レベルに応じて噴射時間を増加させることができる。
【実施例】
【0073】
本発明を限定するものではない実施例として、排気量10リットル、馬力180kwの産業用車両エンジン、ルノー製のVI620−45スーパーチャージャエンジンに対して濾過装置を用いる。 このエンジンは市街バスで使用されている。
【0074】
この濾過装置は、
− 低温で一酸化炭素(CO)および炭化水素を全酸化すること、ならびにNOの一部をNOへ転化することが可能で、白金含有量が立方フィート当たり90グラムである白金ベースの金属酸化触媒と、
− 複数を平行に搭載した、イビデン社製炭化ケイ素ハニカムタイプのパティキュレートフィルタと、
− 使用された毛細管12がステンレス鋼製で内径が1mm、外径が1.6mmであり、空気取り入れ管13もステンレス鋼製で内径が4mm、外径が6mm、全長50cmである、図3に示す第2の実施形態によるディーゼル燃料噴射システムと、
− タイマーによって、ポスト噴射時間を20秒に限定し(これは20cmの噴射量に対応する)、次いで7分間隔で更にポスト噴射を得るために、制御ボックスを特にプログラミングしたディーゼル燃料ポスト噴射を制御する電子制御ボックス8と、
− 1〜1.5バールの燃料供給圧力を有するためにエンジン噴射ポンプの燃料供給ラインにT字管で連結されたライン11から燃料を供給される電磁式インジェクタ9とで構成されている。
【0075】
この電子制御ボックスは、背圧が150ミリバールに達し、且つガス温度が300℃を超えたらすぐにポスト噴射を開始するように調整されていた。
【0076】
これらの構成において、このバスは背圧のドリフトをなんら観測することなく走行距離が45000kmを超え、このポスト噴射システムが、過酷な使用条件にもかかわらずフィルタの再生が継続的に行われるのに十分な温度を恒久的に維持することによりその務めを十分に果たしたことを実証した。
【0077】
自動車技術組合(UTAC)のローラー式テストベンチで市街走行条件に相当する汚染サイクルで15000km走行した後、試験を行い、以下の顕著な結果を得た。
【0078】
【表1】

【0079】
これらの結果は、再生の面および全汚染物質に関する汚染防止の面の両方でこの装置の有効性を実証している。
【0080】
したがって、濾過装置に関連した、酸化触媒を使用する本発明によるポスト噴射方法は、市街走行車両の排気ガス処理に特に適したものである。 実際、これらの車両が生成するガスは一般に、従来の濾過装置の再生を可能にするのに必要な温度より低い温度で生成され、これらの装置の目詰まりおよびその結果としての突発的な燃焼反応による濾過装置の急激な劣化を引き起こす。 しかしながら、本発明の技術に関して得られた結果により、この種の車両に対して濾過装置の使用可能な最低の走行距離を100000kmとすることを考慮させるものであった。
【0081】
したがって、本発明による噴射装置は、新規な技術的要素は含んでいないものの、本発明者らには、各種の既存技術の作用を助け補強するために、かつ望ましくない炭化水素排出物質をなんら発生しない信頼性のあるディーゼルポスト噴射を可能にし、かつエンジンスピードの点から高温の排気ガスを生成できない車両の場合でも、排気ガス温度の著しい増加を可能にしてフィルタ上に保持された炭素質パティキュレートの酸化を可能にし、フィルタ再生の面で優れた結果を得る非常に有効かつ頑健な装置を得るために、各種の既存技術を組み合わせ、適合させることに成功したという優れた点がある。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】再生方法を実行に移すための酸化触媒を備えた濾過装置とこのアセンブリの上流のポスト噴射装置を含むシステムの一般的な概略図である。
【図2】第1の実施形態によるポスト噴射装置の詳細図である。
【図3】第2の実施形態によるポスト噴射装置の変形形態の詳細図である。
【図4】エンジン/パティキュレートフィルタの組合せに組み込まれた一般的なポスト噴射装置の図である。
【符号の説明】
【0083】
1 排気管
5 酸化触媒
2 温度センサ
3 圧力センサ
4 酸化触媒
8 コンピュータ
9 インジェクタ
10 インジェクタホルダ
11 再生液供給手段
12 毛細管(またはノズル)
13 ライン(または管)
14 開口部
15、16、17 加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パティキュレートが、酸化触媒に送られた後、濾過装置の濾過手段上に保持されるタイプであり、特に、ディーゼルエンジンによって生成された排気ガスを濾過する前記装置の再生のために、再生液をポスト噴射する方法であって、
前記再生液が少なくとも1つの炭化水素および/または少なくとも1つの還元剤を含むステップと、
かつ、このポスト噴射がポスト噴射手段を使用して触媒の上流に、
一方で前記再生液を、
他方で少なくとも1つのガス状流体、好ましくは圧縮空気を噴射するステップを基本的に備え、
前記パティキュレートの酸化速度を加速し、これによって濾過装置の再生に寄与するように、この再生液とこのガス状流体が、排気ガス中に再生液を噴霧し、排気ガスの温度を増加させるのに適したエアロゾルを一緒に形成するステップを備えていることを特徴とするポスト噴射方法。
【請求項2】
再生液のポスト噴射の流れおよびガス状流体、好ましくは圧縮空気のポスト噴射の流れが、実質的に同心の各開口部から噴出するステップを備えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス状流体、好ましくは圧縮空気の一部が、ポスト噴射の開口部まで前記再生液と同じノズルを通るステップを備えていることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記ガス状流体の一部が、ポスト噴射の前に前記再生液と混合されるステップを備えていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ノズルを通る再生液のポスト噴射を中断した後、および上記ノズルを洗浄するのに必要なときに、ポスト噴射ノズル内のガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れを保持するステップを備えていることを特徴とする請求項3および4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ポスト噴射手段の少なくとも一部の温度が、エンジンを稼動しながら120℃以下、好ましくは100℃以下に維持されるステップを備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ポスト噴射手段の少なくとも一部が、排気ガスが流れる管からある距離を置いて保持されるステップを備えていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記再生液が、
石油精製製品(好ましくはガゾリンおよびディーゼル燃料)を含む炭化水素の群、
アルコール(好ましくはメタノール)の群、
還元剤(好ましくは尿素およびアンモニア溶液)の群、
およびこれらの混合物から選択されるステップを備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
酸化触媒上流の温度θmを測定するステップと、
θmを燃焼触媒の存在下で再生液の燃焼が終了する温度に対応する温度θrと比較するステップと、
θmがθrと同等かそれより高ければ、再生液のポスト噴射を開始するステップとを備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
パティキュレートによる濾過手段(5)の目詰まりによる障害の度合いを反映する濾過装置上流の圧力Pmをセンサ(3)で測定するステップと、
前記圧力Pmを障害の最大許容度に対応する参照圧力Prと比較するステップと、
Pmが圧力Prと同等かそれより高くかつθmがθrと同等かそれより高ければ、ディーゼル燃料のポスト噴射を開始するステップとを備えていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
温度θmのデータおよび場合によって圧力Pmのデータを考慮に入れて、少なくとも1つのコンピュータによってディーゼル燃料の噴射を制御して濾過装置の最適な再生に望まれる温度増加を得るステップを備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のポスト噴射方法を特に実行に移すための、少なくとも1つの排気管(1)、少なくとも1つの触媒(4)、および濾過手段を備えた装置であって、更に、
再生液供給手段(11)と、
加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段(15、16、17)と、
ポスト噴射手段であって、
少なくとも1つのインジェクタ(9)、好ましくは電磁式インジェクタと、
前記インジェクタが配置された少なくとも1つのインジェクタホルダ(10)と、
触媒(4)の上流において、インジェクタ(9)から始まり少なくとも1つの開口部(14)を経由して少なくとも1つの排気管(1)で終わる少なくとも1つの毛細管またはノズル(12)と、
上記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段に連結され、少なくとも1つの開口部(14)を経由して排気管(1)で終わる少なくとも1つのライン(13)とを含むポスト噴射手段と、
場合によっては、触媒(4)上流の、排気管(1)上に配置された少なくとも1つのθm測定用温度センサ(2)と、
場合によっては、排気管内の、触媒(4)上流の前記排気管上に配置された少なくとも1つのPm測定用圧力センサと、
前記再生液供給手段(11)、加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段(15、16、17)、ポスト噴射手段および温度センサ(2)または圧力センサ(3)があればこれらセンサをその支配下に置いている少なくとも1つのポスト噴射制御用コンピュータ(8)とを備えることを特徴としている装置。
【請求項13】
前記毛細管またはノズル(12)および前記ライン(13)は、それらの各開口部(14)と同様に同心かつ同軸であり、排気管(1)内で終端しており、
前記毛細管またはノズル(12)は前記ライン(13)内に収納されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくともポスト噴射手段の一部、好ましくは少なくともインジェクタ(9)が、熱による損傷を受けるのを避けるために好ましくは排気管(1)から十分な距離を置いて配置されるように、すなわちエンジンを稼動しながら温度を120℃以下、好ましくは100℃以下に維持するように設計されていることを特徴とする請求項12および13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段は、毛細管またはノズル(12)のヘッド部のインジェクタ(9)の出口においてガス状流体の取り入れができるように設計されてあり、そのため加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気がポスト噴射された再生液と共に毛細管またはノズル(12)内に流入することができることを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段は、毛細管またはノズル(12)のヘッド部にあるインジェクタ(9)の出口において加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の取り入れを制御するソレノイド弁(16)を備えていて、前記ガス状流体、好ましくは圧縮空気が再生液と共に毛細管またはノズル(12)内に流入することを可能にし、第2に、ポスト噴射が終了した後、毛細管またはノズル(12)内の加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れをある時間維持することにより毛細管またはノズル(12)を洗浄することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
エマルジョンを生成し、更にはかつ好ましくは、ポスト噴射の終了後しばらくは毛細管またはノズル(12)内の加圧されたガス状流体の流れを維持することによって洗浄機能を実行するために、前記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段およびポスト噴射手段、好ましくはインジェクタホルダ(10)が、再生液を混合した加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れを連続的に取り入れるために、毛細管またはノズル(12)の入口に少なくとも1つの較正されたオリフィス(18)が設けられるように設計されていることを特徴とする請求項12から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記再生液供給手段(11)は、エンジンの少なくとも1つの機械的噴射ポンプ(24)の原料供給ラインに連結されていることを特徴とする請求項12から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記再生液は、
石油精製製品(好ましくはガゾリンおよびディーゼル燃料)を含む炭化水素の群、
アルコール(好ましくはメタノール)の群、
還元剤(好ましくは尿素およびアンモニア溶液)の群、
およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項12から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
温度センサ(2)および圧力センサ(3)を備えていることおよび前記温度センサ(2)および圧力センサ(3)に接続されたコンピュータは、それぞれ測定された値θmおよび場合によってはPmを、参照値θrおよび場合によってはPrと比較し、前記測定値θmおよび場合によってはPmが、前記参照値θrおよび場合によってはPrと同等かそれより高ければ、再生液供給手段(11)、加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の供給手段(15、16、17)およびポスト噴射手段経由で排気管(1)中へ再生液をポスト噴射し始めることを特徴とする請求項12から19のいずれか一項に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パティキュレートが、酸化触媒に送られた後、濾過装置の濾過手段上に保持されるタイプであり、特に、ディーゼルエンジンによって生成された排気ガスを濾過する前記装置の再生のために、再生液をポスト噴射する方法であって、
前記再生液が少なくとも1つの炭化水素および/または少なくとも1つの還元剤を含むステップと、
かつ、このポスト噴射がポスト噴射手段を使用して触媒の上流に、
一方で前記再生液を、
他方で少なくとも1つのガス状流体、好ましくは圧縮空気を噴射するステップを基本的に備え、
前記パティキュレートの酸化速度を加速し、これによって濾過装置の再生に寄与するように、この前記再生液と前記ガス状流体が、排気ガス中に再生液を噴霧し、排気ガスの温度を増加させるのに適したエアロゾルを一緒に形成するステップを備えていると共に、
インジェクタから噴出する前記再生液は、ガス状流体、好ましくは圧縮空気が供給されるライン内に収納された毛細管によって搬送され、前記毛細管またはノズルおよび前記ラインは、それらの各開口部と同様に同心かつ同軸であり、排気管内で終端しているステップを備えていることを特徴とするポスト噴射方法。
【請求項2】
前記ガス状流体、好ましくは圧縮空気の一部が、ポスト噴射開口部まで前記再生液と同じノズルを通るステップを備えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス状流体の一部が、ポスト噴射の前に前記再生液と混合されるステップを備えていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ノズルを通る再生液のポスト噴射を中断した後、および上記ノズルを洗浄するのに必要なときに、ポスト噴射ノズル内のガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れを保持するステップを備えていることを特徴とする請求項2および3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ポスト噴射手段の少なくとも一部の温度が、エンジンを稼動しながら120℃以下、好ましくは100℃以下に維持されるステップを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ポスト噴射手段の少なくとも一部が、排気ガスが流れる管からある距離を置いて保持されるステップを備えていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記再生液が、
石油精製製品(好ましくはガゾリンおよびディーゼル燃料)を含む炭化水素の群、
アルコール(好ましくはメタノール)の群、
還元剤(好ましくは尿素およびアンモニア溶液)の群、
およびこれらの混合物から選択されるステップを備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
酸化触媒上流の温度θmを測定するステップと、
θmを燃焼触媒の存在下で再生液の燃焼が終了する温度に対応する温度θrと比較するステップと、
θmがθrと同等かそれより高ければ、再生液のポスト噴射を開始するステップとを備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
パティキュレートによる濾過手段(5)の目詰まりによる障害の度合いを反映する濾過装置上流の圧力Pmをセンサ(3)で測定するステップと、
前記圧力Pmを障害の最大許容度に対応する参照圧力Prと比較するステップと、
Pmが圧力Prと同等かそれより高くかつθmがθrと同等かそれより高ければ、ディーゼル燃料のポスト噴射を開始するステップとを備えていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項10】
温度θmのデータおよび場合によって圧力Pmのデータを考慮に入れて、少なくとも1つのコンピュータによってディーゼル燃料の噴射を制御して濾過装置の最適な再生に望まれる温度増加を得るステップを備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のポスト噴射方法を特に実行に移すための、少なくとも1つの排気管(1)、少なくとも1つの触媒(4)、および濾過手段を備えた装置であって、更に、
再生液供給手段(11)と、
加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段(15、16、17)と、
ポスト噴射手段であって、
少なくとも1つのインジェクタ(9)、好ましくは電磁式インジェクタと、
前記インジェクタが配置された少なくとも1つのインジェクタホルダ(10)と、
触媒(4)の上流において、インジェクタ(9)から始まり少なくとも1つの開口部(14)を経由して少なくとも1つの排気管(1)で終わる少なくとも1つの毛細管またはノズル(12)と、
上記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段に連結され、少なくとも1つの開口部(14)を経由して排気管(1)で終わる少なくとも1つのライン(13)と、
各開口部(14)と同様に同心かつ同軸であり、排気管(1)内で終端している前記毛細管またはノズル(12)およびライン(13)と、
前記ライン(13)内に収納されている前記毛細管またはノズル(12)とを含むポスト噴射手段と、
場合によっては、触媒(4)上流の、排気管(1)上に配置された少なくとも1つのθm測定用温度センサ(2)と、
場合によっては、排気管内の、触媒(4)上流の前記排気管上に配置された少なくとも1つのPm測定用圧力センサと、
前記再生液供給手段(11)、加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段(15、16、17)、ポスト噴射手段および温度センサ(2)または圧力センサ(3)があればこれらセンサをその支配下に置いている少なくとも1つのポスト噴射制御用コンピュータ(8)とを備えることを特徴としている装置。
【請求項12】
前記毛細管またはノズル(12)および前記ライン(13)は、それらの各開口部(14)と同様に同心かつ同軸であり、排気管(1)内で終端しており、
前記毛細管またはノズル(12)は前記ライン(13)内に収納されており、
少なくともポスト噴射手段の一部、好ましくは少なくともインジェクタ(9)が、熱による損傷を受けるのを避けるために好ましくは排気管(1)から十分な距離を置いて配置されるように、すなわちエンジンを稼動しながら温度を120℃以下、好ましくは100℃以下に維持するように設計されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段は、毛細管またはノズル(12)のヘッド部のインジェクタ(9)の出口においてガス状流体の取り入れができるように設計されてあり、そのため加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気がポスト噴射された再生液と共に毛細管またはノズル(12)内に流入することができることを特徴とする請求項11および12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段は、毛細管またはノズル(12)のヘッド部にあるインジェクタ(9)の出口において加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の取り入れを制御するソレノイド弁(16)を備えていて、前記ガス状流体、好ましくは圧縮空気が再生液と共に毛細管またはノズル(12)内に流入することを可能にし、第2に、ポスト噴射が終了した後、毛細管またはノズル(12)内の加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れをある時間維持することにより毛細管またはノズル(12)を洗浄することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
エマルジョンを生成し、更にはかつ好ましくは、ポスト噴射の終了後しばらくは毛細管またはノズル(12)内の加圧されたガス状流体の流れを維持することによって洗浄機能を実行するために、前記加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気を供給する手段およびポスト噴射手段、好ましくはインジェクタホルダ(10)が、再生液を混合した加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の流れを連続的に取り入れるために、毛細管またはノズル(12)の入口に少なくとも1つの較正されたオリフィス(18)が設けられるように設計されていることを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記再生液供給手段(11)は、エンジンの少なくとも1つの機械的噴射ポンプ(24)の原料供給ラインに連結されていることを特徴とする請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記再生液は、
石油精製製品(好ましくはガゾリンおよびディーゼル燃料)を含む炭化水素の群、
アルコール(好ましくはメタノール)の群、
還元剤(好ましくは尿素およびアンモニア溶液)の群、
およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項11から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
温度センサ(2)および圧力センサ(3)を備えていることおよび前記温度センサ(2)および圧力センサ(3)に接続されたコンピュータは、それぞれ測定された値θmおよび場合によってはPmを、参照値θrおよび場合によってはPrと比較し、前記測定値θmおよび場合によってはPmが、前記参照値θrおよび場合によってはPrと同等かそれより高ければ、再生液供給手段(11)、加圧されたガス状流体、好ましくは圧縮空気の供給手段(15、16、17)およびポスト噴射手段経由で排気管(1)中へ再生液をポスト噴射し始めることを特徴とする請求項11から17のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−514205(P2006−514205A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569045(P2004−569045)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/FR2003/050206
【国際公開番号】WO2004/079168
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(505287368)
【Fターム(参考)】