説明

トレンチの埋め込み方法および成膜装置

【課題】 トレンチの微細化がさらに進展しても、トレンチの内部に、膨張可能な膜及び酸化障壁となる膜を形成することが可能なトレンチの埋め込み方法を提供すること。
【解決手段】 トレンチ内部に酸化障壁膜の形成工程(ステップ3)、酸化障壁膜上に膨張可能な膜の形成工程(ステップ4)、焼成することで収縮する埋め込み材でトレンチを埋め込む工程(ステップ5)、埋め込み材の焼成工程(ステップ6)と、を含み、ステップ3の工程が、アミノシラン系ガスを供給して、トレンチの内部に第1のシード層を形成する工程(ステップ31)、第1のシード層上に窒化シリコン膜を形成する工程(ステップ32)と、を含み、ステップ4の工程が、アミノシラン系ガスを供給して、窒化シリコン膜上に第2のシード層を形成する工程(ステップ41)と、第2のシード層上にシリコン膜を形成する工程(ステップ42)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレンチの埋め込み方法および成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置は、その内部に微細なトレンチ構造を持つ。微細なトレンチ構造の典型的な例は、STI(Shallow Trench Isolation)である。STIは半導体素子の活性領域どうしを分離する素子分離領域であり、シリコン基板に微細なトレンチを形成し、この微細なトレンチの内部に絶縁物を埋め込むことで形成される。
【0003】
埋め込まれる絶縁物としては、例えば、特許文献1に記載されているようにSOD(Spin−On Dielectric)が知られており、特に、PHPS(PerHydroPolySilazane:SiHNH)を主成分とする無機ポリマーが注目されている。PHPSは、例えば、水蒸気雰囲気中で焼成されると、シリコン酸化物(SiO)に変わる。反応式は、次の通りである。
SiHNH + 2HO → SiO + NH + 2H
しかし、PHPSはシリコン酸化物に変化するときに収縮する。このため、微細なトレンチの内部に空隙が発生してしまう。
【0004】
そこで、特許文献1はPHPSの収縮量を見越し、微細なトレンチの内部に膨張可能な膜を予め形成してから、PHPSを埋め込む。膨張可能な膜はシリコン(Si)膜である。特許文献1は、シリコン膜をシリコン酸化膜に変化させ、膨張させることで、PHPSの収縮分を相殺し、微細なトレンチの内部に空隙が発生することを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,112,513号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、シリコン膜をシリコン酸化膜に変化させる工程、即ち、酸化工程が入る。このため、シリコン膜を形成する前に、酸素を通し難い酸化障壁となる膜を微細なトレンチの内部に形成する。酸化がシリコン基板に達し、シリコン基板に酸化が進むことがないようにするためである。特許文献1では、酸化障壁となる膜はシリコン窒化膜(Si)である。
【0007】
しかし、トレンチの微細化がさらに進展すると、膨張可能な膜に加えて、酸化障壁となる膜をトレンチの内部に形成することが難しくなったり、あるいは形成不可能になったりすることが予測される。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、トレンチの微細化がさらに進展しても、トレンチの内部に、膨張可能な膜及び酸化障壁となる膜を形成することが可能なトレンチの埋め込み方法、及びこのトレンチの埋め込み方法を実施することが可能な成膜装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の態様に係るトレンチの埋め込み方法は、(1)半導体基板に形成されたトレンチ内部に酸化障壁膜を形成する工程と、(2)前記酸化障壁膜上に膨張可能な膜を形成する工程と、(3)焼成することで収縮する埋め込み材を用いて、前記酸化障壁膜、前記膨張可能な膜、及び前記埋め込み材で前記トレンチを埋め込む工程と、(4)前記埋め込み材を焼成する工程と、を含み、前記(1)の工程が、前記トレンチが形成された半導体基板にアミノシラン系ガスを供給して、前記トレンチの内部に第1のシード層を形成する工程と、前記第1のシード層上に窒化シリコン膜を形成する工程と、を含み、前記(2)の工程が、前記窒化シリコン膜が形成された半導体基板にアミノシラン系ガスを供給して、前記窒化シリコン膜上に第2のシード層を形成する工程と、前記第2のシード層上にシリコン膜を形成する工程と、を含む。
【0010】
この発明の第2の態様に係るトレンチの埋め込み方法は、(6)トレンチが形成された半導体基板を酸化し、前記トレンチの内部に酸化膜を形成する工程と、(7)前記酸化膜を窒化処理する工程と、(8)前記窒化処理された前記酸化膜上に膨張可能な膜を形成する工程と、(9)焼成することで収縮する埋め込み材を用いて、前記窒化処理された酸化膜、前記膨張可能な膜、及び前記埋め込み材で前記トレンチを埋め込む工程と、(10)前記埋め込み材を焼成する工程と、を含み、前記(8)の工程が、前記窒化シリコン膜が形成された半導体基板にアミノシラン系ガスを供給して、前記窒化シリコン膜上に第2のシード層を形成する工程と、前記第2のシード層上にシリコン膜を形成する工程と、を含む。
【0011】
この発明の第3の態様に係る成膜装置は、トレンチが形成された半導体基板を収容する処理室と、前記処理室内に、アミノシラン系ガス、シラン系ガス、及び窒化剤を含むガスを供給するガス供給機構と、前記処理室内を加熱する加熱装置と、前記処理室内を排気する排気装置と、前記ガス供給機構、前記加熱装置、前記排気装置を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラが、前記処理室内において、上記第1の態様又は上記第2の態様に係るトレンチの埋め込み方法が、前記半導体基板に対して実行されるように、前記ガス供給機構、前記加熱装置、前記排気装置を制御する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、トレンチの微細化がさらに進展しても、トレンチの内部に、膨張可能な膜及び酸化障壁となる膜を形成することが可能なトレンチの埋め込み方法、及びこのトレンチの埋め込み方法を実施することが可能な成膜装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るトレンチの埋め込み方法のシーケンスの一例を示す流れ図
【図2】図2A〜図2Iは図1に示すシーケンス中の半導体基板の状態を概略的に示す断面図
【図3】堆積時間とシリコン膜の膜厚との関係を示す図
【図4】図3中の破線枠A内を拡大した拡大図
【図5】ALDサイクルと窒化シリコン膜の膜厚との関係を示す図
【図6】一実施形態に係るトレンチの埋め込み方法を実施することが可能な成膜装置の一例を概略的に示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0015】
(埋め込み方法)
図1は、この発明の一実施形態に係るトレンチの埋め込み方法のシーケンスの一例を示す流れ図、図2A〜図2Iは、図1に示すシーケンス中の半導体基板の状態を概略的に示す断面図である。
【0016】
まず、図1中のステップ1に示すように、半導体基板にトレンチを形成する。
【0017】
半導体基板にトレンチを形成する一例は、以下の通りである。
【0018】
図2Aに示すように、半導体基板、本例ではシリコン基板1の表面を熱酸化し、パッド酸化膜2を形成する。次いで、パッド酸化膜2上に窒化シリコンを堆積し、シリコン窒化膜3を形成する。次いで、シリコン窒化膜3上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト膜4を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて、フォトレジスト膜4にトレンチ形成パターンに対応した窓5を形成する。
【0019】
次に、図2Bに示すように、フォトレジスト膜4をマスクに用いて、シリコン窒化膜3、パッド酸化膜2、及びシリコン基板1を異方性エッチング、例えば、反応性イオンエッチングし、シリコン基板1にトレンチ6を形成する。
【0020】
次に、図1中のステップ2に示すように、半導体基板の表面に酸化膜を形成する。
【0021】
この工程は、図2Cに示すように、少なくともトレンチ6の側壁に露出したシリコン基板1の表面に、シリコン基板1よりも酸化が進行し難い膜を形成する工程である。本例では、酸化膜7を、少なくともトレンチ6の側壁に形成した。トレンチ6の側壁においては、酸化膜7はシリコン酸化物である。シリコン酸化物は、シリコンよりも酸化が進行し難い膜である。
【0022】
また、本例では、酸化膜7を、ラジカル酸化法を用いて形成した。ラジカル酸化法によれば、図2Cに示すように、トレンチ6の側壁に露出したシリコン基板1の表面だけでなく、パッド酸化膜2やシリコン窒化膜3なども酸化することができる。即ち、シリコン基板1のトレンチ形成面側の表面全体を酸化でき、酸化膜7がシリコン基板1のトレンチ形成面側の全体に形成される。シリコン基板1のトレンチ形成面側の全体に酸化膜7が形成されていると、次に形成されるシード層は、酸化膜7上に形成することができる。シード層が窒化膜上及び酸化膜上の双方に同時に形成されると、シード層の次に形成されるシリコン膜の成長速度が、窒化膜上と酸化膜上とで相違が生じる可能性がある。この点、本例のように、シード層を酸化膜7上に形成されるようにしておけば、シリコン膜の成長速度の相違を小さくでき、ステップカバレッジの改善に役立つ。また、ラジカル酸化法の代わりに、プラズマ酸化法を用いても、ラジカル酸化法と同様の効果を得ることができる。
【0023】
次に、図1中のステップ3に示すように、酸化膜7上に酸化障壁膜を形成する。
【0024】
本例では、酸化障壁膜を2段階で形成した。まず、図1中のステップ31及び図2Dに示すように、酸化膜7上にシード層8を形成する。具体的には、酸化膜7が形成されたシリコン基板1を加熱し、加熱したシリコン基板1の表面にアミノシラン系ガスを流すことでシリコン基板1の表面上、本例では酸化膜7の表面上にシード層8を形成する。
【0025】
アミノシラン系ガスの例としては、
BAS(ブチルアミノシラン)
BTBAS(ビスターシャリブチルアミノシラン)
DMAS(ジメチルアミノシラン)
BDMAS(ビスジメチルアミノシラン)
TDMAS(トリジメチルアミノシラン)、
DEAS(ジエチルアミノシラン)、
BDEAS(ビスジエチルアミノシラン)、
DPAS(ジプロピルアミノシラン)、
DIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)
等を挙げることができる。本例では、DIPASを用いた。
【0026】
ステップ31における処理条件の一例は、
DIPAS流量: 150sccm
処 理 時 間: 0.5min
処 理 温 度: 450℃
処 理 圧 力: 532Pa(4Torr)
である。ステップ31の工程を、本明細書では以下プリフローと呼ぶ。
【0027】
上記ステップ31は、シリコン窒化物を酸化膜7に吸着させやすくする工程である。ステップ31において、シード層8を形成すると記載しているが、実際にはほとんど成膜されることはない。シード層8の厚さは、好ましくは単原子層レベルの厚さ程度であることが良い。具体的なシード層8の厚さを言及すれば、0.1nm以上0.3nm以下であることが良い。
【0028】
次に、図1中のステップ32及び図2Eに示すように、シード層8上に窒化シリコン膜9を形成する。具体的には、シード層8が形成されたシリコン基板1を加熱し、加熱したシリコン基板1の表面に、シリコンを含むガス、及び窒化剤を含むガスを供給し、シード層8上に窒化シリコン膜9を形成する。本例では、シリコンを含むガスとしてシラン系ガス、例えば、ジクロロシラン(DCS:SiHCl)、窒化剤を含むガスとしてアンモニアを含むガスを用いた。また、本例では、窒化シリコン膜9の成膜に、シリコンを含むガスと、シリコンを窒化させる窒化剤を含むガスとを交互に供給しながら成膜する、いわゆるALD(Atomic Layer Deposition)法、又はMLD(Molecular Layer Deposition)法と呼ばれる手法を採用した。
【0029】
ステップ32における処理条件の一例は、
ジクロロシラン流量:1000sccm
アンモニア流量: 5000sccm
処 理 温 度: 630℃
処 理 圧 力: 51Pa(0.386Torr)
である。
【0030】
上記ジクロロシラン流量、アンモニア流量、処理温度、及び処理圧力の条件で、およそALDサイクル数を30サイクルとすると、2nm程度の薄い窒化シリコン膜9が形成される。
【0031】
次に、図1中のステップ4に示すように、酸化障壁膜上に膨張可能な膜を形成する。
【0032】
本例では、膨張可能な膜を2段階で形成した。
【0033】
まず、図1中のステップ41及び図2Fに示すように、窒化シリコン膜9上にシード層10を形成する。具体的には、窒化シリコン膜9が形成されたシリコン基板1を加熱し、加熱したシリコン基板1の表面にアミノシラン系ガスを流すことでシリコン基板1の表面上、本例では窒化シリコン膜9の表面上にシード層10を形成する。
【0034】
アミノシラン系ガスの例としては、シード層8と同様で良い。本例では、DIPASを用いた。
【0035】
ステップ41における処理条件の一例は、
DIPAS流量: 500sccm
処 理 時 間: 0.5min
処 理 温 度: 400℃
処 理 圧 力: 53Pa(0.4Torr)
である。
【0036】
シード層10の厚さも、シード層8と同様、好ましくは単原子層レベルの厚さ程度であることが良い。具体的には、0.1nm以上0.3nm以下であることが良い。
【0037】
次に、図1中のステップ42及び図2Gに示すように、シード層10上にシリコン膜11を形成する。具体的には、シード層10が形成されたシリコン基板1を加熱し、加熱したシリコン基板1の表面にアミノ基を含まないシラン系ガス、例えば、モノシランガスを流すことでシリコン基板1の表面上、本例ではシード層10の表面上にシリコン膜11を形成する。
【0038】
ステップ42における処理条件の一例は、
モノシラン流量: 800sccm
処 理 時 間: 4min
処 理 温 度: 535℃
処 理 圧 力: 60Pa(0.45Torr)
である。
【0039】
上記モノシラン流量、処理時間、処理温度、及び処理圧力の条件では、およそ3〜5minの処理時間(堆積時間)で、3〜9nm程度の薄いアモルファスのシリコン膜11が形成される。シリコン膜11の厚さは、後に形成される埋め込み材料の縮小分を相殺するために、重要な役割を果たす。もちろん、相殺量はシード層10の微小な厚さとシリコン膜11の厚さとの合計値で決まるが、シード層10はモノシランの吸着を促進させるための層であり、ほとんど厚さがない。このため、相殺量のほとんどはシリコン膜11の膨張後の厚さが占めることになる。即ち、相殺量は、シリコン膜11の厚さでほぼ決まる。
【0040】
また、本例では、シリコン膜11の原料としてモノシランを用いた。
【0041】
なお、モノシランを供給する前に、例えば、ジシラン(Si)など、モノシランよりも高次の高次シランを供給し、高次シランによるシリコン層をシード層10の表面上に予め形成しておくと、シリコン膜11のステップカバレッジを、モノシランを直接シード層10上に供給する場合によりも、さらに改善することができる。ただし、高次シランによるシリコン層が厚すぎるとシリコン膜11のステップカバレッジをかえって悪化させるため、薄く形成する。ステップカバレッジを悪化させないような高次シランによるシリコン層の膜厚の例は、例えば、0を超え0.5nm以下である。また、このような薄い高次シランによるシリコン層を形成する際の処理条件の例としては、
ジシラン流量 : 200sccm
処 理 時 間: 3min
処 理 温 度: 400℃
処 理 圧 力: 133Pa(1Torr)
である。
【0042】
シリコン膜11のステップカバレッジを改善できると、シリコン膜11のトレンチ6の側壁における膜厚は、シリコン基板1の上面における膜厚とほぼ等しくすることができる。このため、トレンチ6の側壁上のシリコン膜11を酸化しきった時点で、シリコン基板1の上面におけるシリコン膜11を酸化しきることができ、シリコン膜11が残ることがない。
【0043】
ただし、一実施形態では、モノシラン以外の原料を選択することが可能である。これは、トレンチ6の内部に酸化障壁膜、本例では窒化シリコン膜9が存在するためである。このため、トレンチ6の側壁上のシリコン膜11の膜厚と、シリコン基板1の上面におけるシリコン膜11の膜厚とに差異があったとしても、膜厚が厚い方を酸化しきる条件で酸化した場合でも、シリコン基板1に酸化が及ぶことを抑制できる。
【0044】
したがって、シリコン膜11の原料としては以下のような原料を使用することが可能である。
【0045】
例えば、アミノ基を含まないシラン系ガスとして、
SiH
SiH
SiH
Si
Si
Si2m+2(ただし、mは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物、及び
Si2n(ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物の少なくとも一つを含むガスを挙げることができる。
【0046】
また、シリコン膜11を、例えばモノシラン(SiH)のような低次のアミノ基を含まないシラン系ガスを用いて1ステップ又は2ステップで形成する場合には、低次のアミノ基を含まないシラン系ガスを供給する前に、上述したように、例えば、ジシラン(Si)のようなより高次のアミノ基を含まないシラン系ガスを供給しておくと良い。
【0047】
このように高次のアミノ基を含まないシラン系ガスを供給した後、この高次のアミノ基を含まないシラン系ガスよりも低次のアミノ基を含まないシラン系ガスを供給する手法によれば、上述した通り、シリコン膜11のステップカバレッジの更なる改善とともに、シリコン膜11のインキュベーション時間をさらに低減できる、という利点も得ることができる。
【0048】
次に、図1中のステップ5及び図2Hに示すように、トレンチ6を、焼成することで収縮する埋め込み材料12を用いて埋め込む。一例として、シリコン膜11が形成されたシリコン基板1の表面に、焼成することでシリコン酸化物に変化する液状の埋め込み材料12を回転塗布してトレンチ6を埋め込む。
【0049】
焼成することでシリコン酸化物に変化する材料の例としては、PHPS(PerHydroPolySilazane:SiHNH)を主成分とする無機ポリマーを挙げることができる。
【0050】
最後に、図1中のステップ6及び図2Iに示すように、埋め込み材料12を、水及び/又はヒドロキシ基を含む雰囲気中で焼成し、シリコン酸化物13に変化させるとともに、シリコン膜11、及びシード層10をシリコン酸化物14に変化させる。具体的には、埋め込み材料12が塗布されたシリコン基板1を、水及び/又はヒドロキシ基を含む雰囲気中で焼成して埋め込み材料12をシリコン酸化物13へ変化させるとともに、シリコン膜11、及びシード層10をシリコン酸化物14に変化させる。
【0051】
ステップ6における処理条件の一例は、
O 流量: 10l/min
処 理 時 間: 45min
処 理 温 度: 750℃
処 理 圧 力: 53200Pa(400Torr)
である。
【0052】
ステップ6の際、酸化障壁膜、本例では窒化シリコン膜9がシリコン基板1に対する酸化障壁として機能する。このため、ステップ6を行ったとしても、シリコン基板1に対して酸化が進むことはない。例えば、トレンチ6が半導体集積回路装置の内部の素子分離領域、例えばシャロートレンチアイソレーションに用いられている場合、シリコン基板1に酸化が進まないため、トランジスタ等の能動素子が形成される素子活性領域の酸化による縮小を抑制することができる。
【0053】
埋め込み材料12は、焼成されてシリコン酸化物13に変化するときに収縮する。反対に、シリコン膜11及びシード層10は、シリコン酸化物14に変化するときに膨張する。このように埋め込み材料12の収縮分を、シリコン膜11及びシード層10の膨張で相殺することで、トレンチ6の内部に空隙が発生することを抑制する。
【0054】
(インキュベーション時間)
モノシランはインキュベーション時間が長い、という事情については、シリコン基板1の表面、本例では窒化シリコン膜9の表面にアミノシラン系ガスをプリフローしてシード層10を形成した後、シリコン膜11を形成することで解消した。
【0055】
図3に、堆積時間とシリコン膜11の膜厚との関係を示す。図3に示す結果は下地を窒化シリコン膜(SiN)とした場合である。本例では窒化シリコン膜9に相当する。
【0056】
本例で用いたプリフローにおける処理条件は、
DIPAS流量: 500sccm
処 理 時 間: 5min
処 理 温 度: 400℃
処 理 圧 力: 53.2Pa(0.4Torr)
である。
【0057】
同じく本例で用いたシリコン膜11を成膜するための処理条件は、
モノシラン流量: 500sccm
堆 積 時 間: 30min/45min/60min
処 理 温 度: 500℃
処 理 圧 力: 53.2Pa(0.4Torr)
である。
【0058】
シリコン膜11の膜厚は、堆積時間を30minとしたとき、45minとしたとき、及び60minとしたときの3点で測定した。
【0059】
図3及び図4中の線Iはプリフロー有りの場合、線IIはプリフロー無しの場合の結果を示している。線I、IIは、測定された3つの膜厚を最小二乗法で直線近似した直線であり、式は次の通りである。
【0060】
線I : y = 18.011x − 27.739 …(1)
線II : y = 18.091x − 41.277 …(2)
図3に示すように、プリフロー有りの場合、プリフロー無しに比較してシリコン膜11の膜厚が増す傾向が明らかとなった。
【0061】
上記(1)、(2)式をy=0、即ちシリコン膜11の膜厚を“0”としたとき、線I、IIと堆積時間との交点を求めたものを図4に示す。なお、図4は図3中の破線枠A内を拡大した拡大図に相当する。
【0062】
図4に示すように、下地がプリフロー有りの窒化シリコン膜のとき、シリコン膜11の堆積が、処理開始から約1.5min(x≒1.540)から始まるのに対して、プリフロー無しの窒化シリコン膜のときには、シリコン膜11の堆積が、処理開始から約2.3min(x≒2.282)から始まる。
【0063】
このように、窒化シリコン膜9に対してアミノシラン系ガスのプリフローを行うことで、インキュベーション時間を、約2.3minから約1.5minに短縮することができた。このため、薄膜のシリコン膜11を得ることができる。
【0064】
また、窒化シリコン膜9のインキュベーション時間についても、シリコン基板1の表面、本例では窒化シリコン膜9の表面にアミノシラン系ガスをプリフローしてシード層10を形成した後、シリコン膜11を形成することで解消した。
【0065】
図5に、ALDサイクルと窒化シリコン膜9の膜厚との関係を示す。図5に示す結果は下地を酸化シリコン膜(SiO)とした場合である。本例では酸化膜7に相当する。
【0066】
本例で用いたプリフローにおける処理条件は、
本例で用いたプリフローにおける処理条件は、
DIPAS流量: 150sccm
処 理 時 間: 0.5min
処 理 温 度: 450℃
処 理 圧 力: 532Pa(4Torr)
である。
【0067】
同じく本例で用いた窒化シリコン膜9を成膜するための処理条件は、
ジクロロシラン流量:1000sccm
アンモニア流量: 5000sccm
処 理 温 度: 630℃
処 理 圧 力: 51Pa(0.386Torr)
である。
【0068】
窒化シリコン膜9の膜厚は、ALDサイクルが30回の時、50回の時、70回の時にそれぞれ測定した。
【0069】
図5中の線Iはプリフロー有りの場合、線IIはプリフロー無しの場合の結果を示している。線I、IIは、測定された3つの膜厚を最小二乗法で直線近似した直線であり、式は次の通りである。
【0070】
線I : y = 0.9265x − 14.181 …(3)
線II : y = 0.9159x − 21.846 …(4)
上記(3)、(4)式をy=0、即ち、窒化シリコン膜の膜厚を“0”としたときのALDサイクルは次のようになる。
【0071】
線I: 19サイクル
線II: 24サイクル(比較例)
つまり、窒化シリコン膜9を形成する前に、下地にプリフローを行うことで、窒化シリコン膜9が成長しだすサイクルを、下地にプリフローを行わない場合には24サイクルであったところを、19サイクルまで速めることができた。
【0072】
したがって、プリフローを行うことで、酸化膜7上に直接、窒化シリコン膜9を形成する場合に比較して、窒化シリコン膜9のインキュベーション時間を短縮できる。このため、薄膜の窒化シリコン膜9を得ることができる。
【0073】
このような一実施形態に係るトレンチの埋め込み方法によれば、トレンチ6内に形成される酸化障壁膜(本例では窒化シリコン膜9)、及び膨張可能な膜(本例ではシリコン膜11及びシード層10)それぞれのインキュベーション時間を短くできる。このため、酸化障壁膜、及び膨張可能な膜それぞれの薄膜化が可能となり、トレンチの微細化がさらに進展しても、トレンチ6の内部に、膨張可能な膜及び酸化障壁となる膜を形成することが可能なトレンチの埋め込み方法を得ることができる。
【0074】
(成膜装置)
次に、上記一実施形態に係るトレンチの埋め込み方法を実施することが可能な成膜装置の一例を説明する。
【0075】
図6は、一実施形態に係るトレンチの埋め込み方法を実施することが可能な成膜装置の一例を概略的に示す断面図である。
【0076】
図6に示すように、成膜装置100は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理室101を有している。処理室101の全体は、例えば、石英により形成されている。処理室101内の天井には、石英製の天井板102が設けられている。処理室101の下端開口部には、例えば、ステンレススチールにより円筒体状に成形されたマニホールド103がOリング等のシール部材104を介して連結されている。
【0077】
マニホールド103は処理室101の下端を支持している。マニホールド103の下方からは、被処理体として複数枚、例えば、50〜100枚の半導体ウエハ、本例では、シリコン基板1を多段に載置可能な石英製のウエハボート105が処理室101内に挿入可能となっている。ウエハボート105は複数本の支柱106を有し、支柱106に形成された溝により複数枚のシリコン基板1が支持されるようになっている。
【0078】
ウエハボート105は、石英製の保温筒107を介してテーブル108上に載置されている。テーブル108は、マニホールド103の下端開口部を開閉する、例えば、ステンレススチール製の蓋部109を貫通する回転軸110上に支持される。回転軸110の貫通部には、例えば、磁性流体シール111が設けられ、回転軸110を気密にシールしつつ回転可能に支持している。蓋部109の周辺部とマニホールド103の下端部との間には、例えば、Oリングよりなるシール部材112が介設されている。これにより処理室101内のシール性が保持されている。回転軸110は、例えば、ボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム113の先端に取り付けられている。これにより、ウエハボート105および蓋部109等は、一体的に昇降されて処理室101内に対して挿脱される。
【0079】
成膜装置100は、処理室101内に、処理に使用するガスを供給する処理ガス供給機構114と、処理室101内に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構115と、を有している。
【0080】
処理ガス供給機構114は、アミノシラン系ガス供給源117、シラン系ガス供給源118、窒化剤を含むガス供給源119を含んでいる。窒化剤を含むガスの一例はアンモニアを含むガスである。
【0081】
不活性ガス供給機構115は、不活性ガス供給源120を含んでいる。不活性ガスは、パージガス等に利用される。不活性ガスの一例は窒素(N)ガスである。
【0082】
アミノシラン系ガス供給源117は、流量制御器121a及び開閉弁122aを介して、分散ノズル123に接続されている。分散ノズル123は石英管よりなり、マニホールド103の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて垂直に延びる。分散ノズル123の垂直部分には、複数のガス吐出孔124が所定の間隔を隔てて形成されている。アミノシラン系シリコンガスは、各ガス吐出孔124から水平方向に処理室101内に向けて略均一に吐出される。
【0083】
また、シラン系ガス供給源118も、流量制御器121b及び開閉弁122bを介して、例えば、分散ノズル123に接続される。
【0084】
窒化剤を含むガス供給機構119は、流量制御器121c及び開閉弁122cを介して、分散ノズル125に接続されている。分散ノズル125は石英管よりなり、マニホールド103の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて垂直に延びる。分散ノズル125の垂直部分には、複数のガス吐出孔126が所定の間隔を隔てて形成されている。アンモニアを含むガスは、各ガス吐出孔126から水平方向に処理室101内に向けて略均一に吐出される。
【0085】
不活性ガス供給源120は、流量制御器121d及び開閉弁122dを介して、ノズル128に接続されている。ノズル128は、マニホールド103の側壁を貫通し、その先端から不活性ガスを、水平方向に処理室101内に向けて吐出させる。
【0086】
処理室101内の、分散ノズル123及び125と反対側の部分には、処理室101内を排気するための排気口129が設けられている。排気口129は処理室101の側壁を上下方向へ削りとることによって細長く形成されている。処理室101の排気口129に対応する部分には、排気口129を覆うように断面がコの字状に成形された排気口カバー部材130が溶接により取り付けられている。排気口カバー部材130は、処理室101の側壁に沿って上方に延びており、処理室101の上方にガス出口131を規定している。ガス出口131には、真空ポンプ等を含む排気機構132が接続される。排気機構132は、処理室101内を排気することで処理に使用した処理ガスの排気、及び処理室101内の圧力を処理に応じた処理圧力とする。
【0087】
処理室101の外周には筒体状の加熱装置133が設けられている。加熱装置133は、処理室101内に供給されたガスを活性化するとともに、処理室101内を加熱し、処理室101内に収容された被処理体、本例ではシリコン基板1を加熱する。
【0088】
成膜装置100の各部の制御は、例えばマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるコントローラ150により行われる。コントローラ150には、オペレータが成膜装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、成膜装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース151が接続されている。
【0089】
コントローラ150には記憶部152が接続されている。記憶部152は、成膜装置100で実行される各種処理をコントローラ150の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて成膜装置100の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわちレシピが格納される。レシピは、例えば、記憶部152の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。レシピは、必要に応じて、ユーザーインターフェース151からの指示等にて記憶部152から読み出され、読み出されたレシピに従った処理をコントローラ150が実行することで、成膜装置100は、コントローラ150の制御のもと、所望の処理が実施される。
【0090】
本例では、コントローラ150の制御のもと、上記一実施形態に係るトレンチの埋め込み方法のステップ31、ステップ32、ステップ41、ステップ42に従った処理が順次実行される。
【0091】
ステップ31におけるシード層8、及びステップ41におけるシード層10の成膜は、アミノシラン系ガス供給源117からアミノシラン系ガス(例えば、DIPAS)を、処理室101に供給する。また、ステップ32における窒化シリコン膜9の成膜は、シラン系ガス供給源118からシラン系ガス(例えば、ジクロロシラン)、及び窒化剤を含むガス供給源119から窒化剤を含むガス(例えば、アンモニアを含むガス)を、処理室101に供給する。また、ステップ42におけるシリコン膜11の成膜は、シラン系ガス供給源118からシラン系ガス(例えば、モノシラン)を供給することで実行される。
【0092】
コントローラ150は、ガス供給機構114、排気装置132、及び加熱装置133を、ステップ31、ステップ32、ステップ41、ステップ42に従った処理がなされるように制御する。
【0093】
また、窒化シリコン膜9の成膜にはシリコンを含むガス(例えば、シラン系ガス)と窒化剤を含むガスとを交互に供給しながら成膜する、いわゆるALD(Atomic Layer Deposition)法、又はMLD(Molecular Layer Deposition)法を採用しても良いし、シリコンを含むガスと窒化剤を含むガスとを同時に供給しながら成膜する、いわゆるCVD(Chemical Vapor Deposition)法を採用しても良い。
【0094】
上記一実施形態に係るトレンチの埋め込み方法は、図6に示すような成膜装置100によって実施することができる。
【0095】
以上、この発明を一実施形態に従って説明したが、この発明は、上記一実施形態に限定されることは無く、種々変形可能である。また、この発明の実施形態は、上記一実施形態が唯一の実施形態でもない。
【0096】
例えば、上記一実施形態では、酸化障壁膜として、窒化シリコン膜9を形成したが、酸化膜7を窒化するようにしても良い。この場合の酸化膜7に対する窒化処理は、プラズマ窒化処理、FNC窒化(NO、NO、NH)による酸化膜7のSiON膜化などを挙げることができる。
【0097】
また、上記一実施形態では、窒化シリコン膜9の形成に、熱ALD法又は熱MLD法を用いたが、プラズマALD法又はプラズマMLD法を用いることも可能である。
【0098】
プラズマALD法又はプラズマMLD法を用いた場合の処理条件の一例は、
ジクロロシラン流量:1000sccm
アンモニア流量: 5000sccm
処 理 温 度: 630℃
処 理 圧 力: 51Pa(0.386Torr)
RFパワー : 100W
である。上記条件は、図1に示したステップ32における処理条件に適用される。
【0099】
また、上記一実施形態では酸化障壁膜が形成される、又は酸化膜が窒化処理されるので、シリコン膜11の原料の選択に自由度が得られる。例えば、シリコン膜11の原料としてアミノ基を含まないシラン系ガスを先に述べた。中でも、Si2m+2(ただし、mは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物、及びSi2n(ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物については、
Si2m+2(ただし、mは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物が、
トリシラン(Si
テトラシラン(Si10
ペンタシラン(Si12
ヘキサシラン(Si14
ヘプタシラン(Si16
の少なくとも一つから選ばれ、
Si2n(ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物が、
シクロトリシラン(Si
シクロテトラシラン(Si
シクロペンタシラン(Si10
シクロヘキサシラン(Si12
シクロヘプタシラン(Si14
の少なくともいずれか一つから選ぶことも可能となる。
【0100】
さらに、上記一実施形態では、焼成することで収縮する埋め込み材料12として、回転塗布ガラス、例えば、PHPSを例示した。しかし、焼成することで収縮する埋め込み材料12は、回転塗布ガラスに限られることはなく、焼成することで収縮するCVD系の埋め込み材料も適用することが可能である。このようなCVD系の材料としては、HDP(High−Density Plasma)を用いて成膜されたSiO膜、SiH系ガスと過酸化水素(H)とを用いて成膜されたSiO膜を挙げることができる。
【0101】
その他、この発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0102】
1…シリコン基板、6…トレンチ、8…シード層、9…窒化シリコン膜、10…シード層、11…シリコン膜、12…埋め込み材料、13、14…シリコン酸化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1) 半導体基板に形成されたトレンチ内部に酸化障壁膜を形成する工程と、
(2) 前記酸化障壁膜上に膨張可能な膜を形成する工程と、
(3) 焼成することで収縮する埋め込み材を用いて、前記酸化障壁膜、前記膨張可能な膜、及び前記埋め込み材で前記トレンチを埋め込む工程と、
(4) 前記埋め込み材を焼成する工程と、を含み、
前記(1)の工程が、
前記トレンチが形成された半導体基板にアミノシラン系ガスを供給して、前記トレンチの内部に第1のシード層を形成する工程と、
前記第1のシード層上に窒化シリコン膜を形成する工程と、を含み、
前記(2)の工程が、
前記窒化シリコン膜が形成された半導体基板にアミノシラン系ガスを供給して、前記窒化シリコン膜上に第2のシード層を形成する工程と、
前記第2のシード層上にシリコン膜を形成する工程と、を含むことを特徴とするトレンチの埋め込み方法。
【請求項2】
前記(1)の工程の前に、
(5) 前記トレンチが形成された半導体基板を酸化し、前記トレンチの内部に酸化膜を形成する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項3】
前記(5)工程に、ラジカル酸化法、又はプラズマ酸化法を用いることを特徴とする請求項2に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項4】
(6) トレンチが形成された半導体基板を酸化し、前記トレンチの内部に酸化膜を形成する工程と、
(7) 前記酸化膜を窒化処理する工程と、
(8) 前記窒化処理された前記酸化膜上に膨張可能な膜を形成する工程と、
(9) 焼成することで収縮する埋め込み材を用いて、前記窒化処理された酸化膜、前記膨張可能な膜、及び前記埋め込み材で前記トレンチを埋め込む工程と、
(10) 前記埋め込み材を焼成する工程と、を含み、
前記(8)の工程が、
前記窒化処理された酸化膜が形成された半導体基板にアミノシラン系ガスを供給して、前記窒化処理された酸化膜上にシード層を形成する工程と、
前記シード層上にシリコン膜を形成する工程と、を含むことを特徴とするトレンチの埋め込み方法。
【請求項5】
前記アミノシラン系ガスが、
BAS(ブチルアミノシラン)
BTBAS(ビスターシャリブチルアミノシラン)
DMAS(ジメチルアミノシラン)
BDMAS(ビスジメチルアミノシラン)
TDMAS(トリジメチルアミノシラン)
DEAS(ジエチルアミノシラン)
BDEAS(ビスジエチルアミノシラン)
DPAS(ジプロピルアミノシラン)、及び
DIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)
の少なくとも一つを含むガスから選ばれることを特徴とする請求項1から請求項4いずれか一項に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項6】
前記シリコン膜の形成に、アミノ基を含まないシラン系ガスが用いられることを特徴とする請求項1から請求項5いずれか一項に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項7】
前記シリコン膜が、高次のアミノ基を含まないシラン系ガスを供給した後、前記高次のアミノ基を含まないシラン系ガスよりも低次のアミノ基を含まないシラン系ガスを供給することで形成されることを特徴とする請求項6に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項8】
前記高次のアミノ基を含まないシラン系ガスにより形成されるシリコン層の膜厚が、0を超え0.5nm以下であることを特徴とする請求項7に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項9】
前記アミノ基を含まないシラン系ガスが、
SiH
SiH
SiH
Si
Si
Si2m+2(ただし、mは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物、及び
Si2n(ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物
の少なくとも一つを含むガスから選ばれることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項10】
前記Si2m+2(ただし、mは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物が、
トリシラン(Si
テトラシラン(Si10
ペンタシラン(Si12
ヘキサシラン(Si14
ヘプタシラン(Si16
の少なくとも一つから選ばれ、
前記Si2n(ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物が、
シクロトリシラン(Si
シクロテトラシラン(Si
シクロペンタシラン(Si10
シクロヘキサシラン(Si12
シクロヘプタシラン(Si14
の少なくともいずれか一つから選ばれることを特徴とする請求項9に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項11】
前記トレンチの埋め込み方法が、半導体装置の製造プロセスに用いられることを特徴とする請求項1から請求項10いずれか一項に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項12】
前記トレンチが、前記半導体装置の内部の素子分離領域に使用されることを特徴とする請求項11に記載のトレンチの埋め込み方法。
【請求項13】
トレンチが形成された半導体基板を収容する処理室と、
前記処理室内に、アミノシラン系ガス、シラン系ガス、及び窒化剤を含むガスを供給するガス供給機構と、
前記処理室内を加熱する加熱装置と、
前記処理室内を排気する排気装置と、
前記ガス供給機構、前記加熱装置、前記排気装置を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記処理室内において、請求項1から請求項12いずれか一項に記載されたトレンチの埋め込み方法が、前記半導体基板に対して実行されるように、前記ガス供給機構、前記加熱装置、前記排気装置を制御することを特徴とする成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138501(P2012−138501A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290647(P2010−290647)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】