説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション方法

【課題】ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることが可能なナビゲーション装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ナビゲーション装置は、車両などの移動体のナビゲーション装置などに好適に適用されるものであり、経路探索手段と、音声案内出力手段と、入力手段と、制御手段より構成される。経路探索手段は、目的地までの経路を探索する。音声案内出力手段は、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する。入力手段は、所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するためのものである。制御手段は、タイミング設定情報を基に所定のタイミングを制御する。これにより、ナビゲーション装置は、ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに目的地までの経路を示すナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナビゲーション装置は、車両などの移動体の現在位置を中心として所定の範囲の地図情報を表示装置に表示する。ユーザは、表示された地図情報を見ることにより、自車の現在位置を知ることができる。また、ナビゲーション装置は、目的地までの経路を探索し、当該経路を表示装置に表示する。ユーザは、表示装置に表示された経路を見ることで、目的地までの道順を知ることができる。
【0003】
このようなナビゲーション装置には、ユーザを目的地までより正確に誘導するために、音声案内機能が搭載されている。音声案内機能は、自車が経路上の右折又は左折をすべき交差点に近づいた場合において、「次の交差点を右(左)に曲がります。」といった音声を出力することで、ユーザに対し当該交差点を右折又は左折をすることを促すものである。
【0004】
なお、以下の特許文献1には、ユーザの意志により、又は、ユーザの運転環境に応じて、交差点での音声案内の頻度を変更設定するナビゲーション装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−280990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のナビゲーション装置では、交差点での音声案内の頻度を変更することはできるものの、そのタイミングを変更することはできず、各ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることができなかった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には、上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることが可能なナビゲーション装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、移動体のナビゲーション装置であって、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力手段と、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力手段と、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御手段と、を備える。
【0009】
請求項4に記載の発明は、移動体のナビゲーション方法であって、目的地までの経路を探索する経路探索工程と、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力工程と、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力工程と、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御工程と、を備える。
【0010】
請求項5に記載の発明は、コンピュータを備える移動体のナビゲーション装置により実行されるナビゲーションプログラムであって、目的地までの経路を探索する経路探索手段、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力手段、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力手段、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の1つの観点では、移動体のナビゲーション装置は、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力手段と、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力手段と、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御手段と、を備える。
【0012】
上記のナビゲーション装置は、車両などの移動体のナビゲーション装置などに好適に適用されるものであり、経路探索手段と、音声案内出力手段と、入力手段と、制御手段より構成される。経路探索手段は、目的地までの経路を探索する。音声案内出力手段は、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する。ここでいう案内地点とは、代表的な例として、経路上の右折又は左折をすべき交差点(以下、単に「案内交差点」と称す)が挙げられ、さらに、高速道路や有料道路の出入口、インターチェンジ、その他、車両の進行方向を変更する必要がある地点をも含む。入力手段は、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するためのものである。制御手段は、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する。これにより、ナビゲーション装置は、ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることが可能となる。
【0013】
上記のナビゲーション装置の一態様は、前記入力手段は、複数の運転状態の夫々の場合について、前記タイミング設定情報を入力するためのものであり、前記制御手段は、前記複数の運転状態の夫々の場合について、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する。これにより、ナビゲーション装置は、複数の運転状態の夫々の場合について、ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることが可能となる。
【0014】
上記のナビゲーション装置の他の一態様は、前記入力手段は、更に、音声案内する頻度を設定する頻度設定手段、音声案内するときの音量を設定する音量設定情報、音声案内するときの音声を設定する音声設定情報、音声案内を知らせるチャイムの音を設定するチャイム設定情報のうち、少なくとも1つの設定情報を入力するためのものであり、前記制御手段は、更に、前記設定情報を基に前記音声案内手段を制御する。これにより、ナビゲーション装置は、よりユーザに適合した音声案内をすることができる。
【0015】
本発明の他の観点では、移動体のナビゲーション方法は、目的地までの経路を探索する経路探索工程と、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力工程と、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力工程と、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御工程と、を備える。この方法によっても、ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることが可能となる。
【0016】
本発明の更なる他の観点では、コンピュータを備える移動体のナビゲーション装置により実行されるナビゲーションプログラムは、目的地までの経路を探索する経路探索手段、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力手段、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力手段、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させる。このナビゲーションプログラムをナビゲーション装置内のコンピュータに実行させることにより、上記のナビゲーション装置を実現することができる。また、このナビゲーションプログラムは、記憶媒体に記憶した状態で取り扱うことができる。
【実施例】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した例を示す。
【0018】
(ナビゲーション装置)
図1に、ナビゲーション装置1の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0019】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0020】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0021】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0022】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0023】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0024】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0025】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。なお、地図データの詳細については後述する。
【0026】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。
【0027】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM )等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0028】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0029】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。このタッチパネルが本発明における入力手段として機能する。
【0030】
本発明のナビゲーション装置は、ナビゲーション装置1のCPU22が、予めROM23などに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。従って、CPU22は本発明における制御手段として機能する。
【0031】
また、CPU22は、ユーザにより目的地が設定された場合には経路設定を行う。経路設定を行う具体的な方法について簡単に述べる。経路設定を行う場合、ユーザは、入力装置60を操作することにより、目的地の設定を行い、経路探索指示をナビゲーション装置1に対して行う。CPU22は、データ記憶ユニット36より必要なリンク、ノード情報を取り込み、経路計算を行う。そして、CPU22は、バッファメモリ42に必要な地図情報と共に経路情報を記憶して、ディスプレイ44の表示画面に地図及び目的地までの経路を表示する。従って、CPU22は、本発明における経路探索手段としても機能する。
【0032】
音声出力ユニット50は、ユーザに対し、経路上の右折又は左折をすべき案内交差点を所定のタイミングで「300m先を右折して下さい」、「100m先のコンビニエンスストアを右折してください」といった音声案内を行う。従って、音声出力ユニット50は音声案内出力手段として機能する。
【0033】
なお、本実施例及び変形例において、案内交差点とは、案内地点の一例を示すものに過ぎず、案内交差点の代わりに、他の案内地点、例えば、高速道路や有料道路の出入口、インターチェンジ、その他、車両の進行方向を変更する必要がある地点においても同様に本発明を適用することができる。
【0034】
(音声案内機能)
次に、本発明のナビゲーション装置における音声案内機能について説明する。
【0035】
ナビゲーション装置1では、ユーザは、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルより、幾つかの想定される運転状態の夫々について音声案内機能の設定を行うことができる。
【0036】
図2は、想定される運転状態と設定可能な音声案内機能について示した図表である。
【0037】
図2(a)に示す図表は、想定される運転状態の種類を示している。本実施例のナビゲーション装置1では、「音楽再生中」、「高速道路走行中」、「一般道走行中」、「細街路走行中」、「連続した交差点のある道路を走行中」、「渋滞中の道路を走行中」の6つの運転状態が想定される。
【0038】
「音楽再生中」とは、ユーザが車内で音楽やラジオなどを流している状態を示している。「高速道路走行中」とは、自車が高速道路を走行している状態を示している。「一般道走行中」とは、自車が高速道路でない一般の道路を走行している状態を示している。「細街路走行中」とは、自車が裏道などの細い道路を走行している状態を示している。「連続した交差点のある道路を走行中」とは、自車が交差点の続く道路を走行している状態を示している。「渋滞中の道路を走行中」とは、自車が渋滞中の道路を走行している状態を示している。
【0039】
図2(b)に示す図表は、設定可能な音声案内機能の項目を示す。図2(b)では、一例として、運転状態を音楽再生中とした場合について設定可能な音声案内機能の項目を示しているが、これらの項目は運転状態を音楽再生中とした場合に限られず、図2(a)に示した全ての運転状態の夫々について設定可能な音声案内機能の項目である。ユーザにより設定可能な音声案内機能の項目として、ナビゲーション装置1では、「頻度」、「タイミング」、「音量」、「音声」、「チャイム」の5つの項目が設定される。
【0040】
「頻度」とは音声案内する回数を示し、図2(b)に示す図表では、「頻度」の値として、「1回」、「2回」、「3回」の3つの値が用意されている。「タイミング」とは案内交差点からの音声案内する距離を示し、「100m手前」、「200m手前」、「300m手前」の3つの値が用意されている。例えば、「300m手前」が設定された場合には、自車が案内交差点から300m手前に到達したときに、「300m先を右折してください」といった音声案内がされる。なお、「タイミング」の値は、この3つの値のうち、「頻度」の値の数分だけ選択可能である。「音量」とは音声案内するときの音量を示し、「Level1」〜「Level5」までの5つの値が用意されている。例えば、「Level1」に近づけば近づく程、音量は小さくなり、「Level5」に近づけば近づく程、音量は大きくなる。「音声」とは音声案内するときの音声の種類を示し、「Voice1」、「Voice2」、「Voice3」の3つの値が用意されている。「チャイム」とは音声案内を知らせるときのチャイムの音の種類を示し、「Sound1」、「Sound2」、「Sound3」の3つの値が用意されている。このように、ユーザは、各項目について、用意された幾つかの値の中から、所望の値を選択することができる。
【0041】
つまり、ナビゲーション装置1では、音声案内機能を設定することのできる運転状態として、「音楽再生中」、「高速道路走行中」、「一般道走行中」、「細街路走行中」、「連続した交差点のある道路を走行中」、「渋滞中の道路を走行中」の6つの運転状態が想定され、ユーザは、これらの6つの運転状態の夫々に対し、「頻度」、「タイミング」、「音量」、「音声」、「チャイム」といった音声案内機能の項目の値を設定することができる。
【0042】
図3、図4に、音声案内機能の設定を行うメニュー画面の表示例を示す。図3、図4では、ユーザは、運転状態「高速道路走行中」における「タイミング」の項目を設定する例を示す。高速道路走行中の場合、ユーザは、自車が高速走行しているために、右折又は左折をする必要のあるインターチェンジなどの場所で、右折又は左折をするタイミングを正確に把握したい場合がある。このような場合、ユーザは、音声案内のタイミングの間隔を短くする必要がある。
【0043】
図3(a)に示すように、まず、メニュー画面として、表示画面に運転状態(シチュエーション)がリストされたメイン画面70が表示される。ユーザは、タッチパネルより、メイン画面70において「高速道路走行中」を選択する。なお、ユーザは、同様にして、メイン画面70に表示されている運転状態の中から所望の運転状態を選択することができる。
【0044】
図3(a)に示すように、メイン画面70では、各運転状態について「ON」、「OFF」が設定される。「ON」が設定された所定の運転状態では、ユーザにより設定された音声案内機能の各項目の値で音声案内が行われる。一方、「OFF」が設定された所定の運転状態では、ユーザにより設定された音声案内機能の各項目の値で音声案内が行われない。ユーザは、各運転状態について、「ON」、「OFF」を選択して設定することができる。つまり、各運転状態における「ON」、「OFF」の設定は、ユーザにより設定された音声案内機能の各項目の値を有効にするか、無効にするかの設定であるといえる。メイン画面70に表示されている運転状態「ノーマル」とは、例えば、上記の6つの運転状態に何れにも該当しない運転状態、及び、上記の6つの運転状態のうち「OFF」に設定されている運転状態を示す。つまり、ユーザが音声案内機能を設定しない所定の運転状態における音声案内は、運転状態「ノーマル」の音声案内機能の各項目の値で行われる。また、上記の6つの運転状態は全て、初期状態では「OFF」になっている。つまり、初期状態では、全ての運転状態における音声案内は、運転状態「ノーマル」の音声案内機能の各項目の値で行われる。
【0045】
なお、ユーザが他の運転状態を選択したい場合において、表示画面に現在表れていない運転状態を選択したい場合には、タッチパネルより、矢印71を操作することで、表示画面に現在表れていない運転状態も表示することが可能となり、ユーザは、表示画面に現在表れていない運転状態を選択することができる。また、ナビゲーション装置1は、運転状態「ノーマル」の場合にも、図2(b)に示した音声案内機能の項目をユーザにより設定可能であるとすることもできる。
【0046】
ユーザが、メイン画面70において「高速道路走行中」を選択すると、図3(b)に示すように、「ON」又は「OFF」の選択を行うための選択画面が表示される。ここで、ユーザが「ON」を選択すると、運転状態「高速道路走行中」について「ON」が設定されることとなり、ユーザは、音声案内機能の各項目の値を設定することができる。
【0047】
図3(b)において、ユーザが「ON」を選択すると、図3(c)に示すように、表示画面に項目画面80が表示される。この項目画面80には、「高速道路走行中」の運転状態における音声案内機能の現在設定されている項目の値が示されている。即ち、運転状態「高速道路走行中」における現在設定されている項目の値として、「頻度」の値は「2回」に設定され、「タイミング」の値は「300m手前、100m手前」に設定され、「音量」の値は「Level3」に設定され、「音声」の値は「Voice1」に設定され、「チャイム」の値は「Sound1」に設定されている。
【0048】
ここで、ユーザが、タッチパネルより、項目「タイミング」を選択すると、図4(a)に示すように、表示画面にタイミング設定画面90が表示される。このタイミング設定画面90には、「タイミング」について、選択可能な値のリストがチェックボックスとして表示されている。ユーザは、「頻度」の値の数分だけ、「タイミング」の値を選択することができる。現在、「頻度」は「2回」に設定されているので、ユーザは、当該リストより2つの値を選択することができる。ここで、ユーザが、タッチパネルより、「300m手前」の値のチェックを外した後、「200m手前」の値を改めてチェックして、「OK」ボタンを押下すると、項目画面80に戻る。このとき、図4(b)に示すように、「タイミング」の値は、「300m手前、100m手前」から「200m手前、100m手前」に変更される。このようにすることで、ユーザは、高速道路走行中の運転状態では、音声案内のタイミングを短くすることができる。
【0049】
その他の例として、例えば、音楽再生中の場合、ユーザは、音楽を聴くのに夢中になってしまい、案内交差点で右折又は左折をし損ねる場合がある。そこで、ユーザは、例えば、メイン画面70において「音楽再生中」を選択し、「頻度」を「3回」、「タイミング」を「300m手前、200m手前、100m手前」の全ての値をチェックしておく。これにより、頻繁に音声案内が行われるので、ユーザが案内交差点で右折又は左折をし損ねることを防ぐことができる。
【0050】
一般道路走行中の場合であっても、ユーザは、例えば、自分に合ったタイミングで音声案内をして欲しい場合がある。このとき、ユーザは、メイン画面70において「一般道路走行中」を選択し、自分に合った「タイミング」の値をチェックしておく。これにより、ユーザは、自分に合ったタイミングで音声案内を受けることができる。
【0051】
連続した交差点のある道路を走行中の場合、交差点と交差点の間の距離が短いので、ユーザは、右折又は左折をする交差点を間違えないようにするため、右折又は左折をする交差点の直前でのみ音声案内をして欲しい場合がある。この場合、ユーザは、音声案内のタイミングを短くする必要がある。この場合、ユーザは、メイン画面70において「連続した交差点のある道路を走行中」を選択し、「頻度」の値を「1回」、「タイミング」を「100m手前」にチェックしておく。これにより、ユーザは、右折又は左折をすべき案内交差点の100m手前でのみ音声案内を受けることができ、右折又は左折をする交差点を間違えずに済む。
【0052】
渋滞中の道路を走行中の場合、自車が低速走行をしているため、ユーザは、音声案内の頻度を少なくし、音声案内のタイミングを短くして欲しい場合がある。この場合、ユーザは、メイン画面70において「渋滞中の道路を走行中」を選択し、「頻度」の値を「1回」、「タイミング」を「100m手前」にチェックしておく。これにより、ユーザは、右折又は左折をすべき案内交差点の100m手前でのみ音声案内を受けることができる。
【0053】
以上述べたようにすることで、ナビゲーション装置1は、想定される運転状態の夫々について、ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることができる。
【0054】
なお、ユーザは、タッチパネルより、項目画面80において「タイミング」以外の他の項目を選択できるのは言うまでもない。例えば、音楽再生中の場合、ユーザは、例えば、音声案内の音を小さくしたい場合がある。この場合、ユーザは、メイン画面70において、タッチパネルより「音楽再生中」を選択し、「音楽再生中」の項目画面において、タッチパネルより「音量」を選択する。このとき、表示画面には「音量」の設定画面が表示され、設定画面には「Level1」〜「Level5」までのチェックボックスが表示される。ユーザは、タッチパネルよりいずれか一つの値をチェックすることで、「音量」の値を変更することができる。ユーザは、例えば、現在「Level3」に設定されているのであれば、「Level1」にチェックし直して設定することで、運転状態「音楽再生中」の場合における音声案内の音量を小さくすることができる。
【0055】
(音声案内設定処理)
次に、本発明のナビゲーション装置が行う音声案内設定処理の方法についてフローチャートを用いて具体的に説明する。図5は音声案内設定処理を示すフローチャートである。
【0056】
CPU22は、図3(a)に示したメニュー画面70において、いずれかの運転状態(シチュエーション)が選択されたか否かを判定する(ステップS11)、CPU22は、いずれかの運転状態が選択されたと判定するまで、この動作を続ける(ステップS11:No)。
【0057】
CPU22は、いずれかの運転状態が選択されたと判定した場合には(ステップS11:Yes)、即ち、いずれかの運転状態が「ON」に設定されたと判定した場合には、図3(c)に示した項目画面80において、いずれかの項目が選択されたか否かを判定する(ステップS12)。CPU22は、いずれかの項目が選択されたと判定するまで、この動作を続ける(ステップS12:No)。
【0058】
CPU22は、いずれかの項目が選択されたと判定した場合には(ステップS12:Yes)、選択された項目が「タイミング」であるか否かを判定する(ステップS13)。CPU22は、選択された項目が「タイミング」でないと判定した場合には(ステップS13:No)、即ち、選択された項目が、「頻度」、「音量」、「音声」、「チャイム」のうちのいずれかであると判定した場合には、ユーザにより選択された当該項目の値を設定情報として登録する(ステップS14)。例えば、CPU22は、ユーザにより、選択された項目が「頻度」の場合には、ユーザにより選択された「頻度」の値を頻度設定情報として、選択された項目が「音量」の場合には、ユーザにより選択された「音量」の値を音量設定情報として、選択された項目が「音声」の場合には、ユーザにより選択された「音声」の値を音声設定情報として、選択された項目が「チャイム」の場合には、ユーザにより選択された「チャイム」の値をチャイム設定情報としてRAM24などのメモリに登録する。この後、CPU22は処理を終了する。
【0059】
一方、CPU22は、選択された項目が「タイミング」であると判定した場合には(ステップS13:Yes)、「頻度」の値をRAM24などのメモリより取得した後、当該「頻度」の値分だけ、ユーザにより「タイミング」の値が選択されたか否かを判定する(ステップS15)。CPU22は、「頻度」の値分だけ、ユーザにより「タイミング」の値が選択されたと判定されるまで、この動作を続ける(ステップS15:No)。
【0060】
CPU22は、「頻度」の値分だけ、ユーザにより「タイミング」の値が選択されたと判定した場合には(ステップS15:Yes)、選択された「タイミング」の値をタイミング設定情報としてRAM24などのメモリに登録する(ステップS16)。この後、CPU22は、処理を終了する。このようにすることで、ユーザに適合した音声案内機能の設定が可能となる。
【0061】
(ナビゲーション処理)
次に、本発明のナビゲーション装置が行うナビゲーション処理の方法について説明する。図6はナビゲーション処理を示すフローチャートである。なお、以下のナビゲーション処理では、図3(a)で述べた運転状態が全て「ON」に設定されているとする。
【0062】
まず、CPU22は、経路設定、即ち、ユーザにより目的地が設定され、当該目的地までの経路が設定されたか否かについて判定する(ステップS21)。CPU22は、経路設定がされたと判定するまで、この動作を続ける(ステップS21:No)。
【0063】
CPU22は、経路設定がされたと判定した場合には(ステップS21:Yes)、現在自車の走行している運転状態が、先に述べた「音楽再生中」、「高速道路走行中」、「一般道走行中」、「細街路走行中」、「連続した交差点のある道路を走行中」、「渋滞中の道路を走行中」のどの状態であるかを検知する(ステップS22)。例えば、CPU22は、ディスクドライブ31からの信号を基に「音楽再生中」の状態を検知することができ、また、現在の自車の地図情報上の位置を算出することにより、「高速道路走行中」、「一般道走行中」、「細街路走行中」、「連続した交差点のある道路を走行中」、「渋滞中の道路を走行中」のどの状態であるかについて検知することができる。CPU22は、現在自車の走行している運転状態が、これらのいずれの状態でもないと検知した場合には、「ノーマル」の状態であるとする。CPU22は、現在自車の走行している運転状態を検知した場合には、当該運転状態における頻度設定情報、音量設定情報、音声設定情報、チャイム設定情報、タイミング設定情報といった各項目の設定情報をRAM24などのメモリより取得する(ステップS23)。
【0064】
次に、CPU22は、タイミング設定情報を基に、案内交差点からの距離が、ステップS22において検知された運転状態における「タイミング」の距離の値となっているか否か、を判定する(ステップS24)。CPU22は、案内交差点からの距離が当該「タイミング」の距離の値となっていると判定するまで、この動作を続ける(ステップS24:No)。
【0065】
CPU22は、案内交差点からの距離が当該「タイミング」の距離の値となっていると判定した場合には(ステップS24:Yes)、ステップS22において検知された運転状態における各項目の設定情報を基に音声出力ユニット50を制御して、当該運転状態に適合した音声案内を実行した後(ステップS25)、処理を終了する。
【0066】
以上述べたように、本発明のナビゲーション装置は、移動体のナビゲーション装置であって、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力手段と、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力手段と、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御手段と、を備える。これにより、ユーザに適合したタイミングで音声案内をすることが可能なナビゲーション装置を提供することができる。
【0067】
[変形例]
次に、本発明のナビゲーション装置の変形例について述べる。上述の実施例では、ユーザにより、各運転状態における音声案内のタイミングが設定されるとしているが、これに限られるものではない。更に、ナビゲーション装置1は、ユーザが右折又は左折を間違えた案内交差点を学習し、次に走行するときにそれを考慮したタイミングで音声案内するとしてもよい。
【0068】
具体的には、例えば、ユーザが案内交差点の手前の交差点で右折又は左折をした場合やユーザが案内交差点を過ぎてしまった場合には、CPU22は、自車の現在位置と案内交差点の位置より、ユーザが右折又は左折を間違えたことを検知することができる。このとき、CPU22は、ユーザが右折又は左折を間違えた案内交差点の位置をRAM24などのメモリに登録しておき、次にユーザが当該案内交差点を右折又は左折をする場合には、例えば、ユーザの「タイミング」の設定値に拘らず、必ず100m手前で音声案内を行い、ユーザに対し注意を促すこととする。このようにすることで、ユーザは、以前に右折又は左折を間違えた案内交差点を再び右折又は左折をする必要がある場合に同じ間違いをしなくて済む。
【0069】
また、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、各運転状態における項目の数、各項目の値の数といったものは、上述したものに限られないのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】運転状態と設定可能な音声案内機能について示した図表である。
【図3】音声案内機能の設定を行うメニュー画面の表示例である。
【図4】音声案内機能の設定を行うメニュー画面の表示例である。
【図5】本実施例に係る音声案内設定処理のフローチャートである。
【図6】本実施例に係るナビゲーション処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1・・・ナビゲーション装置
22・・・CPU
23・・・ROM
24・・・RAM
36・・・データ記憶ユニット
44・・・ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のナビゲーション装置であって、
目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力手段と、
前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力手段と、
前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記入力手段は、複数の運転状態の夫々の場合について、前記タイミング設定情報を入力するためのものであり、
前記制御手段は、前記複数の運転状態の夫々の場合について、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記入力手段は、更に、音声案内する頻度を設定する頻度設定手段、音声案内するときの音量を設定する音量設定情報、音声案内するときの音声を設定する音声設定情報、音声案内を知らせるチャイムの音を設定するチャイム設定情報のうち、少なくとも1つの設定情報を入力するためのものであり、
前記制御手段は、更に、前記設定情報を基に前記音声案内手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
移動体のナビゲーション方法であって、
目的地までの経路を探索する経路探索工程と、
経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力工程と、
前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力工程と、
前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御工程と、を備えることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項5】
コンピュータを備える移動体のナビゲーション装置により実行されるナビゲーションプログラムであって、
目的地までの経路を探索する経路探索手段、経路上の右折又は左折をすべき案内地点を所定のタイミングで音声案内する音声案内出力手段、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定情報を入力するための入力手段、前記タイミング設定情報を基に前記所定のタイミングを制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーションプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−263751(P2007−263751A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89325(P2006−89325)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】