説明

ナビゲーション装置

【課題】案内に対する運転者の認識度が車両周辺の環境の変化に応じて低下した場合にも必要な情報を確実に運転者に伝えられるようにするナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】画像情報又は音声情報により目的地までの経路を案内するナビゲーション装置100は、車両周辺の環境を検知する周辺環境検知手段3と、周辺環境検知手段3が検知した車両周辺の環境に基づいて案内に対する運転者の認識度が低下したか否かを判定する情報認識度低下判定手段11、12と、情報認識度低下判定手段11、12により運転者の認識度が低下したと判定された場合に画像情報又は音声情報による案内方法を変更する案内方法変更手段13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報又は音声情報により目的地までの経路を案内するナビゲーション装置に関し、特に、車両周辺の環境の変化に応じてナビゲーション装置が提供する案内に対する運転者の認識度が低下した場合にも必要な情報を確実に運転者に伝えられるようにするナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、明るさセンサの出力に基づいて表示画面の輝度を調節する技術が知られており、その技術を応用しながら運転席周辺の明るさ及び車両の速度に基づいて表示画面の輝度を調節する車載用表示装置も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この車載用表示装置は、車両の速度を考慮することにより、明るさセンサを備えた従来の表示装置のように車両が高速で移動しながら日向と日陰を交互に通過する場合に明るさセンサが過敏に反応して画面を繰り返し明滅させてしまうのを防止しながらも、車両が交差点や駐車場で停止している場合には外部の明るさに応じて画面の輝度を迅速に変化させ表示画面に表示された情報を運転者が視認し易くなるようにする。
【特許文献1】特開2005−326159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車載用表示装置は、表示画面に表示された情報を比較的視認し易い状態にすることはできるが、表示画面に入射する太陽光が強い場合にはその視認性の向上にも限界があり、必要な情報を運転者に伝えることができない場合が生じ得る。
【0005】
上述の点に鑑み、本発明は、案内に対する運転者の認識度が車両周辺の環境の変化に応じて低下した場合にも必要な情報を確実に運転者に伝えられるようにするナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るナビゲーション装置は、画像情報又は音声情報により目的地までの経路を案内するナビゲーション装置であって、車両周辺の環境を検知する周辺環境検知手段と、前記周辺環境検知手段が検知した車両周辺の環境に基づいて案内に対する運転者の認識度が低下したか否かを判定する情報認識度低下判定手段と、前記情報認識度低下判定手段により運転者の認識度が低下したと判定された場合に画像情報又は音声情報による案内方法を変更する案内方法変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、車両周辺の環境の変化に対し画像情報や音声情報を用いた現在の案内方法が明瞭性(分かり易いか否か)、伝達性(運転者に伝わりやすいか否か)、即時性(タイムリーであるか否か)又は先見性(将来の予測が適切であるか否か)等の点において不適切となったことを認識し画像情報又は音声情報による案内方法が適切となるようその案内方法を自動的に変更するので、車両周辺の環境が変化した場合にも必要な情報を確実に運転者に伝えることができる。
【0008】
また、案内方法が不適切となった場合に限り画像情報又は音声情報による案内方法を変更するので、案内方法が適切であるにもかかわらず必要以上の情報を用いて詳細すぎる案内をしてしまい、運転者に煩わしさを感じさせてしまうのを防止することができる。
【0009】
また、第二の発明は、第一の発明に係るナビゲーション装置であって、前記周辺環境検知手段は、表示画面に入射する光の強度を検知し、前記情報認識度低下判定手段は、前記周辺環境検知手段が検知した光の強度に基づいて前記表示画面の視認性が低下したか否かを判定し、前記案内方法変更手段は、前記情報認識度低下判定手段により前記表示画面の視認性が低下したと判定された場合に、画像情報又は音声情報による案内方法を変更することを特徴とする。
【0010】
これにより、表示画面に太陽光や後続車のヘッドライト等が入射し表示画面に表示される情報が見え難くなった場合にも、画像が伝えていた情報を補うべく、より詳細な音声案内を出力させることで、必要な情報を確実に運転者に伝えることができる。
【0011】
また、第三の発明は、第一の発明に係るナビゲーション装置であって、前記周辺環境検知手段は、車両周辺の気象状態を検知し、前記情報認識度低下判定手段は、前記周辺環境検知手段が検知した車両周辺の気象状態に基づいて車両周辺の視界が低下したか否かを判定し、前記案内方法変更手段は、前記情報認識度低下判定手段により車両周辺の視界が低下したと判定された場合に、画像情報又は音声情報による案内方法を変更することを特徴とする。
【0012】
これにより、降雨、降雪又は濃霧等により車両周辺の視界が低下し表示画面に表示された画像情報と車両周辺の実際の景色(例えば、信号機、道路標識、建物等がある。)との対応関係が分かり難くなった場合であっても、その対応関係の説明を補うべく、より詳細な音声案内を出力させることで、必要な情報を確実に運転者に伝えることができる。
【発明の効果】
【0013】
上述の手段により、本発明は、案内に対する運転者の認識度が車両周辺の環境の変化に応じて低下した場合にも必要な情報を確実に運転者に伝えられるようにするナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図であり、ナビゲーション装置100は、画像情報又は音声情報により目的地までの経路を案内する装置であって、制御部1、入力部2、周辺環境検知部3、測位部4、記憶部5、通信部6、表示部7及び音声出力部8から構成される。
【0016】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、経路案内手段10、画面視認性低下判定手段11、視界低下判定手段12及び案内方法変更手段13のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。なお、各手段の詳細については後述する。
【0017】
入力部2は、ナビゲーション装置100に各種情報を入力するための装置であり、例えば、表示部7の表示画面を見ながら操作入力できるタッチパネル、ジョイスティック又はリモートコントローラ等であって、目的地、経由地若しくは経路検索条件(例えば、有料道路優先や一般道路優先がある。)の設定、又は、電子地図の拡大縮小等に利用される。
【0018】
周辺環境検知部3は、車両周辺の環境を検知するための装置であり、例えば、表示部7の表示画面に入射する太陽光、ルームライト又は後続車のヘッドライト等の明るさを検知する明るさセンサであって、検知した光の強度に関する情報を制御部1に出力する。なお、明るさセンサは、表示部7の表面パネルに新規に取り付けられる専用センサであってもよく、コンライト用の明るさセンサ等、既存のセンサであってもよい。
【0019】
また、周辺環境検知部3は、降雨を検知する雨滴センサ、又は、霧を検知するフォグライトスイッチ(操作者によりフォグライトのスイッチがオンとなるよう操作された場合に霧が発生したことを検知することを意味する。)等であってもよい。
【0020】
測位部4は、車両の位置を測定するための装置であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信し、受信した信号に基づいて車両位置(緯度、経度、高度)を測定する。測位部4による測定は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、車両位置は、舵角センサ、車速センサ、ジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機又はFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。
【0021】
記憶部5は、各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体であって、地図情報データベース等を格納する。
【0022】
通信部6は、外部との通信を制御するための装置であり、例えば、携帯電話周波数や特定小電力無線周波数を用いた無線通信により気象情報等を受信する。
【0023】
表示部7は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、液晶ディスプレイ等であって、後述の経路案内手段10が検索した推奨経路を電子地図データ上に重畳表示したり、目的地や経路検索条件を設定するための設定画面やソフトウェアボタン等を表示したりする。
【0024】
音声出力部8は、各種情報を音声出力するための装置であり、例えば、車載スピーカであって、後述の経路案内手段10が検索した推奨経路に関する音声案内を出力する。
【0025】
次に、制御部1が有する各種手段について説明する。
【0026】
経路案内手段10は、測位部4が測定した車両位置(緯度、経度、高度)と入力部2を介して入力された目的地の位置情報(緯度、経度、高度)と記憶部5に格納された地図情報データベースとに基づいて、所定位置(例えば、車両の現在位置である。)から目的地に至るまでの推奨経路を導き出し、導き出した推奨経路に沿って車両を案内するための手段であり、例えば、最短経路探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を用い最短経路を検索し、その検索した最短経路を他の経路から識別できるように表示部7の表示画面上に表示させ、かつ、その最短経路に沿った音声案内を音声出力部8から出力させながら、車両を目的地まで誘導する。
【0027】
なお、経路案内手段10は、入力部2を介して設定された経路検索条件に応じて、最短経路の他、最も早く目的地に到達できる最速経路や高速道路を利用しない経路等を検索するようにしてもよい。
【0028】
また、経路案内手段10は、経路案内の詳細度が異なる複数の案内モードを有し、例えば、右左折が予定される交差点の手前700メートル、300メートル及び100メートルの地点でそれぞれ音声案内メッセージ「○○メートル先の交差点を右折(左折)して下さい」を音声出力部8から音声出力させ、かつ、その交差点の手前300メートルで交差点詳細図を表示部7の表示画面の一部にポップアップ表示させるといった標準的な案内を行う「標準モード」、又は、右左折が予定される交差点の手前700メートルの地点から50メートル刻みで繰り返し音声案内メッセージ「○○メートルの交差点を右折(左折)して下さい」を音声出力部8から音声出力させるといった標準的な案内より詳しい案内を行う「詳細モード」等を有する。
【0029】
「詳細モード」は、例えば、後述の画面視認性低下判定手段11により表示部7における表示画面の視認性が直射日光等の影響で低下したと判定された場合に使用される案内モードである。
【0030】
なお、経路案内手段10は、表示部7の視認性が悪いことから「詳細モード」で交差点詳細図をポップアップ表示させることはないが、必ずしも交差点詳細図やその他の画像の表示を禁止するものではなく、表示画面の輝度やコントラスト等を調整しながらそれら画像を操作者がより視認し易くなるように表示させるようにしてもよい。
【0031】
また、経路案内手段10は、「標準モード」における音声案内メッセージと「詳細モード」における音声案内メッセージとを別々に用意し、表示画面が視認し難い状況に適した音声案内メッセージを「詳細モード」で使用するようにしてもよい。
【0032】
さらに、経路案内手段10は、案内モード毎に「操作シーケンス」を変更するようにしてもよい。「操作シーケンス」とは、入力部2に対する操作入力とその操作入力に対するレスポンスとの関係であり、例えば、タッチパネルにおけるソフトウェアボタンの長押し(例えば、2秒以上の間指を接触させる行為をいう。)又は二度押し(例えば、3秒以内に指を2回接触させる行為をいう。)がそのソフトウェアボタンの押下を確定する機能に対応し、或いは、タッチパネルにおけるソフトウェアボタンの短押し(例えば、2秒未満の間指を接触させる行為をいう。)がそのソフトウェアボタンのボタン名称を読み上げる機能に対応する。
【0033】
例えば、経路案内手段10は、「詳細モード」においてはソフトウェアボタンが長押しされた場合に限りそのソフトウェアボタンの押下が確定されたものと認識し、一方で、「標準モード」においてはソフトウェアボタンが短押しされただけでソフトウェアボタンの押下が確定されたものと認識するようにする。画面が見にくい場合、意図しないソフトウェアボタンを押下してしまう場合があるからである。
【0034】
このように、経路案内手段10は、音声案内メッセージの出力タイミング、音声案内メッセージの詳細レベル、表示部7に表示させる画像のレイアウト、表示方法、操作シーケンス等のユーザインタフェースの構成を案内モード毎に別々に設定しながら複数の案内モードを切り替えられるようにする。
【0035】
画面視認性低下判定手段11は、画面の視認性が低下したか否かを判定するための手段であり、例えば、表示部7の表面パネルに取り付けられた明るさセンサの出力に基づいて表示部7の表示画面に対して入射する光(例えば、太陽光、ルームライト又は後続車のヘッドライトである。)の強度を検出し、検出した強度が閾値以上となった場合に、表示部7の視認性が低下したと判定する。
【0036】
また、画面視認性低下判定手段11は、測位部4が測定した車両位置(緯度、経度、高度)に基づいて、車両の進行方向と現在時刻とから太陽光の入射の有無又は入射角度等を算出しながら表示部7に入射する太陽光の強度を推定し、推定した強度が閾値以上となる場合に、表示部7の視認性が低下したと判定するようにしてもよい。これにより、ナビゲーション装置100は、明るさセンサが表示部7の表面パネルに取り付けられていない場合であっても、表示部7の視認性が低下したか否かを判定することができる。
【0037】
なお、画面視認性低下判定手段11は、車両の進行方向から将来の車両位置を推定し、将来における太陽光の入射の有無又は入射角度等を算出しながら、表示部7に入射する太陽光の強度を事前に予測し、表示部7の視認性が将来的に低下するか否かを判定するようにしてもよい。これにより、ナビゲーション装置100は、表示部7の視認性が低下するか否かを事前に判定し、経路案内の方法を事前に変更することができる。
【0038】
視界低下判定手段12は、車両周辺の視界が低下したか否かを判定するための手段であり、例えば、雨滴センサの出力に基づいて車両周辺の雨量を検出し、雨量が閾値以上となった場合に車両周辺の視界が低下したと判定する。
【0039】
また、視界低下判定手段12は、フォグライトのスイッチがオンとなるよう操作された場合に、車両周辺に濃霧が発生したとして車両周辺の視界が低下したと判定するようにしてもよく、ヘッドライトのスイッチがオンとなるよう操作された場合や明るさセンサが閾値未満の明るさを検知した場合に、車両周辺が暗くなったとして車両周辺の視界が低下したと判定するようにしてもよい。
【0040】
また、視界低下判定手段12は、測位部4が測定した車両位置(緯度、経度、高度)と通信部6を介して取得した気象情報とに基づいて、車両の進行方向と現在時刻とから将来の気象条件の変化を推定し、将来的に視界が低下するか否かを事前に判定するようにしてもよい。これにより、ナビゲーション装置100は、車両周辺の視界が低下するか否かを事前に判定し、経路案内の方法等を事前に変更することができる。
【0041】
案内方法変更手段13は、案内モード毎に別々に設定されたユーザインタフェースの構成を切り替えるための手段であり、例えば、画面視認性低下判定手段11により太陽光の影響で表示部7の視認性が低下したと判定された場合に、案内モードを「標準モード」から「詳細モード」に切り替え、推奨経路上の交差点に関する音声案内メッセージの詳細レベルをより詳細なものにしたり(例えば、交差点の名称、交差点付近の建物の名称、又は、直進案内等、「標準モード」時には煩わしさを感じさせないよう出力させていない音声案内メッセージ等を出力させる。)、出力タイミングをより小刻みにしたりして案内方法を変更させ、表示部7の画像情報に頼らずとも運転者が右左折すべき交差点を確実に認識できるようにする。
【0042】
また、案内方法変更手段13は、視界低下判定手段12により大雨で車両周辺の視界が低下したと判定された場合にも、案内モードを「標準モード」から「詳細モード」に切り替え、走行する道路周辺のランドマーク、道路標識、道路標示、道路の傾斜度、湾曲度、舗装状態等に関する音声案内メッセージをより詳細に出力しながら、表示部7の画像情報に頼らずとも運転者が右左折すべき交差点を確実に認識できるようにする。
【0043】
さらに、案内方法変更手段13は、画面視認性低下判定手段11により将来的に表示部7の視認性が低下すると判定された場合、又は、視界低下判定手段12により将来的に車両周辺の視界が低下すると判定された場合、前もって案内モードを「標準モード」から「詳細モード」に切り替え、画面の視認性や視界の低下が予測される地点で出力されることとなっている画像情報等を前倒しで表示部7に表示させたりするようにしてもよい。
【0044】
次に、図2を参照しながら、ナビゲーション装置100が案内モードを切り替える処理(以下、「案内モード切り替え処理」とする。)について説明する。なお、図2は、案内モード切り替え処理の流れを示すフローチャートであり、ナビゲーション装置100は、右左折が予定される交差点や高速道路の入り口等の推奨経路上の所定地点と車両との間の距離が所定距離(例えば、1キロメートル)未満となった場合に、この案内モード切り替え処理を実行させるようにする。無駄な処理を省略するためであるが、走行中、所定周期で繰り返し実行させるようにしてもよい。
【0045】
最初に、ナビゲーション装置100の制御部1は、画面視認性低下判定手段11により、周辺環境検知部3の一つである、表示部7の表面パネルに取り付けられた明るさセンサの出力に基づいて表示部7の表示画面に入射する太陽光の強度を検出し、表示部7の視認性が低下しているか否かを判定する(ステップS1)。
【0046】
入射する太陽光の強度が大きく、表示部7の視認性が低下していると判定された場合(ステップS1のYES)、制御部1は、案内方法変更手段13により案内モードを「標準モード」から「詳細モード」に切り替え(ステップS2)、音声案内メッセージをより充実させながら、表示部7の画像情報に頼らずとも運転者が推奨経路を確実に認識できるようにする。
【0047】
一方、入射する太陽光の強度が小さく、表示部7の視認性が低下していないと判定された場合(ステップS1のNO)、制御部1は、案内方法変更手段13により案内モードを「詳細モード」から「標準モード」に切り替え(ステップS3)、過剰な音声案内メッセージを抑制しながら、表示部7の画像情報により運転者が推奨経路を確実に認識できるようにする。
【0048】
このように、ナビゲーション装置100は、表示部7の視認性が低下したか否かに応じて案内モードを適切に切り替えるので、車両周辺の環境が変化した場合にも運転者が推奨経路を確実に認識できるようにする。
【0049】
なお、ナビゲーション装置100は、表示部7に入射する太陽光の強度が閾値を上下する度に案内モードを切り替えるようにするが、日向と日陰が交互に繰り返す区間を車両が走行する場合に案内モードが頻繁に切り替えられてしまうのを防止するため、推奨経路上の所定地点と車両との間の距離が所定距離(例えば、1キロメートル)未満となった後に案内モードを「標準モード」から「詳細モード」に切り替えた場合には、その所定地点を車両が通過するまでは案内モードを「標準モード」に戻さないようにしてもよい。
【0050】
また、ナビゲーション装置100は、経路検索条件を変更する場合等、複数回のボタン操作が要求される一連の操作入力が行われている場合には、案内モードの再度の切り替えを禁止するようにしたり、一旦案内モードを変更してから所定期間(例えば、5分間)は案内モードの再度の切り替えを禁止するようにしたりしてもよい。一連の操作入力の途中で操作シーケンスを変更させてしまい操作者を混乱させてしまうことがないようにするためである。
【0051】
さらに、ナビゲーション装置100は、案内モードが切り替えられた場合に、その旨を音声案内するようにしてもよい。操作者を混乱させないようにするためである。
【0052】
次に、図3を参照しながら、ナビゲーション装置100が設定された案内モードと操作者による操作入力とに従って経路検索条件の変更を実現させる処理(以下、「経路検索条件変更処理」とする。)について説明する。なお、図3は、経路検索条件変更処理の流れを示すフローチャートであり、経路検索条件変更処理は、入力部2(タッチパネル)を介した操作者による操作入力(タッチ入力)が検出された場合に実行されるものとする。
【0053】
最初に、ナビゲーション装置100の制御部1は、案内モードの設定が「詳細モード」となっているか否かを判定する(ステップS11)。
【0054】
案内モードが「詳細モード」に設定されていると判定した場合(ステップS11のYES)、制御部1は、操作者の指が接触したタッチパネル上の座標に対応するソフトウェアボタンのボタン名称(例えば、「経路検索条件の設定」である。)を音声出力部8から音声案内させる(ステップS12)。なお、座標に対応するソフトウェアボタンが存在しない場合にはその旨通知させるようにする。
【0055】
案内モードが「詳細モード」に設定されていることから、表示部7の視認性又は車両周辺の視界が低下しており、操作者が表示部7の画像情報を認識し難い状態であると推定でき、画像情報の出力だけでは操作者に適切な操作入力を実行させることができないからである。
【0056】
一方、案内モードが「標準モード」に設定されていると判定した場合(ステップS11のNO)、制御部1は、操作者の指が接触したタッチパネル上の座標に対応するソフトウェアボタンの機能を即座に実行させ、この場合、経路検索条件設定画面を即座に表示させるようにする。
【0057】
案内モードが「標準モード」に設定されていることから、表示部7の視認性又は車両周辺の視界が低下しておらず、操作者が表示部7の画像情報を認識し易い状態であると推定でき、ソフトウェアボタンのボタン名称を音声案内すれば、操作者に煩わしさを感じさせてしまうからである。
【0058】
ボタン名称が読み上げられた後、制御部1は、ボタン名称を音声案内したソフトウェアボタンに対する長押しが行われたか否かを判定する(例えば、音声案内後さらに2秒以上、操作者の指がその座標位置に留まったか否かを判定する。)(ステップS13)。
【0059】
長押しが検出された場合(ステップS13のYES)、制御部1は、そのソフトウェアボタンに対応する機能を実行させ(ステップS14)、この場合、経路検索条件設定画面を表示させる。
【0060】
長押しが検出されなかった場合(ステップS13のNO)、制御部1は、そのソフトウェアボタンに対応する機能を実行させることなく、経路検索条件変更処理を終了させる。操作者が間違ったソフトウェアボタンを選択したことに気付き、その選択を中断したものと推定できるからである。
【0061】
以上の構成により、ナビゲーション装置100は、案内に対する運転者の認識度が車両周辺の環境の変化に応じて低下した場合にも必要な情報を確実に運転者に伝えるようにすることができる。
【0062】
また、ナビゲーション装置100は、表示画面に太陽光や後続車のヘッドライトが入射し表示画面に表示される情報が見え難くなった場合にも、より詳細な音声案内を出力させることで、必要な情報を確実に運転者に伝えることができる。
【0063】
また、ナビゲーション装置100は、降雨、降雪又は濃霧等により車両周辺の視界が低下し表示画面に表示された情報と車両周辺の実際の景色(例えば、信号機、道路標識、建物等がある。)との関係が分かり難くなった場合にも、より詳細な音声案内を出力させることで、必要な情報を確実に運転者に伝えることができる。
【0064】
なお、特許請求の範囲に記載の情報認識度低下判定手段は、実施例に記載の画面視認性低下判定手段及び視界低下判定手段を含む概念であるものとする。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0066】
例えば、上述の実施例において、ナビゲーション装置100は、案内モードを「標準モード」から「詳細モード」に切り替えるが、表示部7の視認性の低下や視界の低下に応じて3つ以上の案内モードを切り替えるようにしてもよい。
【0067】
また、上述の実施例において、ナビゲーション装置100は、表示部7の視認性や視界が低下したか否かに基づいて、経路検索条件を設定する際の操作シーケンスを切り替えるようにするが、エアコンやオーディオを操作する際の操作シーケンスを変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】案内モード切り替え処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】経路検索条件変更処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 制御部
2 入力部
3 周辺環境検知部
4 測位部
5 記憶部
6 通信部
7 表示部
8 音声出力部
10 経路案内手段
11 画面視認性低下判定手段
12 視界低下判定手段
13 案内方法変更手段
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報又は音声情報により情報を案内するナビゲーション装置であって、
車両周辺の環境を検知する周辺環境検知手段と、
前記周辺環境検知手段が検知した車両周辺の環境に基づいて案内に対する運転者の認識度が低下したか否かを判定する情報認識度低下判定手段と、
前記情報認識度低下判定手段により運転者の認識度が低下したと判定された場合に画像情報又は音声情報による案内方法を変更する案内方法変更手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記周辺環境検知手段は、表示画面に入射する光の強度を検知し、
前記情報認識度低下判定手段は、前記周辺環境検知手段が検知した光の強度に基づいて前記表示画面の視認性が低下したか否かを判定し、
前記案内方法変更手段は、前記情報認識度低下判定手段により前記表示画面の視認性が低下したと判定された場合に、画像情報又は音声情報による案内方法を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記周辺環境検知手段は、車両周辺の気象状態を検知し、
前記情報認識度低下判定手段は、前記周辺環境検知手段が検知した車両周辺の気象状態に基づいて車両周辺の視界が低下したか否かを判定し、
前記案内方法変更手段は、前記情報認識度低下判定手段により車両周辺の視界が低下したと判定された場合に、画像情報又は音声情報による案内方法を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−267878(P2008−267878A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108530(P2007−108530)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】