説明

ナビゲーション装置

【課題】情報配信センタとの携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の大幅な節約が可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】CPU41は、イグニションスイッチがONの場合には(S11:YES)、自車位置が含まれるメッシュのメッシュID61Aと、現時点の月61B、曜日61C、時間帯の各要因を特定し(S12〜S13)、要求頻度データ61から要求頻度61Dを読み出す。そして、CPU41は、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求した前回の時点から、この要求頻度61Dに対応する時間が経過している場合には、通信タイミングであると判定して、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求し、受信した該現況交通情報16Aに基づいてナビ側交通情報DB36の現況交通情報36Aを更新する(S14〜S15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に、情報配信センタから渋滞情報を含む交通情報の配信を受けるナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。このナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図データを記録媒体等から読み出し、地図データに基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。
【0003】
ここで、プローブカーにより収集される情報から交通情報を生成して、車両に搭載されたナビゲーション装置に携帯電話等を介して配信する情報配信センタが種々提案されている。
例えば、該当区間のプローブカーの台数が多い場合または走行速度が遅い場合は、短い区間でもデータの信頼度を高く維持できるため、区間長を短くし、また、プローブカーの台数が少ない場合または走行速度が速い場合は、区間長をなるべく長くすることで区間におけるノイズ成分を除去して誤判定を抑制でき、データの信頼度を上げ、この可変区間の交通情報を、該当区間の道路形状を示す形状データなどの緯度経度情報を用いた位置参照情報とともにナビゲーション装置に携帯電話等を介して配信する情報配信センタがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−31422号公報(段落(0022)〜(0064)、図1〜図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1に記載された情報配信センタから携帯電話等を介して交通情報の配信を受けたナビゲーション装置では、信頼度の高い交通情報を正確かつ効率的に受信して活用することができる。
しかしながら、ナビゲーション装置は、携帯電話等を介して情報配信センタから交通情報の配信を受ける場合は、通信時間が発生するため、通信頻度が高くなると、ナビゲーション装置における通信料金が高くなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、交通情報の配信を効率的に受けることが可能となり、情報配信センタとの携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の大幅な節約が可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係るナビゲーション装置は、車両に搭載されたナビゲーション装置(2)において、情報配信センタ(3)に対して渋滞情報を含む交通情報の配信を要求する要求頻度を各時間帯毎に記憶する要求頻度記憶手段(36C)と、現在時刻を基準として前記要求頻度に基づいて前記交通情報の配信を要求する要求タイミングか否かを判定する要求タイミング判定手段(23)と、前記現在時刻を基準として前記要求タイミングであると判定した場合には、前記情報配信センタに前記交通情報の配信を要求する要求情報を送信すると共に、該情報配信センタから配信された交通情報を受信するように制御する通信制御手段(23、27)と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置(2)において、前記要求頻度記憶手段(36C)は、前記要求頻度をエリア毎に記憶しており、前記要求タイミング判定手段(23)は、自車位置が含まれるエリアを検出し、検出されたエリアに対応する該要求頻度に基づいて前記交通情報の配信を要求する要求タイミングか否かを判定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るナビゲーション装置は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置(2)において、各リンクに対し、過去の交通情報に基づいて生成された統計交通情報を記憶する統計交通情報記憶手段(36)を備え、前記現在時刻を基準として前記要求タイミングでないと判定した場合には、前記各リンクに対して設定された前記統計交通情報を用いて、経路探索を行い、前記現在時刻を基準として前記要求タイミングであると判定した場合には、前記情報配信センタから配信された前記交通情報を用いて、経路探索を行うことを特徴とする。
【0009】
更に、請求項4に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置(2)において、前記要求頻度は、月、曜日毎に生成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーション装置では、情報配信センタに対して渋滞情報を含む交通情報の配信を要求する要求頻度を各時間帯毎に予め記憶している。そして、現在時刻を基準として該要求頻度に基づいて交通情報の配信を要求する要求タイミングであると判定した場合には、情報配信センタに交通情報の配信を要求する要求情報を送信すると共に、該情報配信センタから配信された交通情報を受信する。
【0011】
これにより、要求頻度は各時間帯毎に予め記憶されているため、情報配信センタに交通情報の配信を要求する要求タイミングを、各時間帯の要求頻度に基づいて決定することが可能となる。従って、要求頻度の低い時間帯における交通情報の配信を要求する要求情報の送信回数が少なくなるため、交通情報の配信を効率的に受けることが可能となり、情報配信センタとの携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の大幅な節約が可能となる。
【0012】
また、請求項2に係るナビゲーション装置では、要求頻度はエリア毎に記憶されている。そして、自車位置が含まれるエリアを検出し、検出されたエリアに対応する該要求頻度に基づいて、交通情報の配信を要求する要求タイミングか否かが判定される。
これにより、要求頻度はエリア毎の各時間帯に対応して設定されるため、自車位置が含まれるエリアに対応する各時間帯に対して、交通情報の配信を要求する要求タイミングを決定することが可能となり、交通情報の配信を更に効率的に受けることが可能となり、情報配信センタとの携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の更なる節約が可能となる。
【0013】
また、請求項3に係るナビゲーション装置では、現在時刻を基準として要求タイミングでないと判定した場合には、各リンクに対し、過去の交通情報に基づいて生成された統計交通情報を用いて、経路探索を行う。このため、情報配信センタと通信することなく、各リンクに対する統計交通情報を用いて、高レスポンスで出発地から目的地までの各リンク毎の到達時間を正確に予測することが可能となる。
【0014】
更に、請求項4に係るナビゲーション装置では、要求頻度は、月、曜日毎に生成されている。このため、各エリア毎の地域的要因に加えて、時期的要因、時間的要因を要求頻度に加味することができるので、各時間帯毎に設定された要求頻度の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るナビゲーション装置をナビゲーションシステムについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
先ず、本実施例に係るナビゲーションシステム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーションシステム1を示したブロック図である。
【0017】
図1に示すように本実施例に係るナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報や後述の渋滞情報等の交通情報を配信する情報配信センタ3と、ネットワーク4から基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3は、ネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
【0018】
また、このネットワーク4には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5が接続され、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3とは、ネットワーク4を介して、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞を通過するのに要する所要時間、渋滞度(渋滞無し/混雑/渋滞の別等)、渋滞中の車速、旅行時間、渋滞車線の進行方向、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、後述のVICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図2を用いて詳細に説明する。
【0019】
情報配信センタ3は、図1に示すようにサーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報データベース(センタ側地図情報DB)14と、ナビ更新履歴情報データベース(ナビ更新履歴情報DB)15と、センタ側交通情報データベース(センタ側交通情報DB)16と、センタ側通信装置17とを備える。また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、ナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、所定エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出し、ナビゲーション装置2に対して配信する地図情報更新処理や、プローブカーにより収集されるプローブ情報(例えば、月、日時、リンク情報、交通状況、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)や道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から収集した交通情報に基づいて現況の交通情報を作成し、ナビゲーション装置2からの要求に基づいて、ネットワーク4を介して配信する交通情報配信処理等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置を備えている。尚、CPU11に代えてMPU等を使用することができる。
【0020】
また、センタ側地図情報DB14には、情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報14Aがバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部又は全部を更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報についても記憶されている。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0021】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報14Aには、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(道路リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0022】
ここで、特に地図表示データとしては、約10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0023】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0024】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各道路リンク(以下、「リンク」という。)に関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0025】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際の右左折や道路を構成するリンクの距離、道幅、道路種別等によって決定される各ノードの重み付け(以下、「コスト」という。)を算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ25の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0026】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記センタ側地図情報DB14には、所定の情報をナビゲーション装置2のスピーカ26によって出力するための音声出力データも記録される。
【0027】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報14Aの内、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aによってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。具体的には、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、ナビゲーション装置2から更新用地図情報14Aの配信要求があった場合には、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報をナビゲーション装置2に対して配信することにより更新が行われる。ここで、ナビゲーション装置2に対して送信される更新情報としては、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aの新設道路を特定するための新設道路情報を含む全情報を送信することとしても良いし、現在のナビゲーション装置に記憶される地図情報から最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aに更新する為の必要最小限の情報(新設道路を特定するための新設道路情報を含む更新部分の情報のみ)を送信することとしても良い。
【0028】
一方、ナビ更新履歴情報DB15には、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関する情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。更新履歴としては、具体的に地図情報を構成するリンクデータやノードデータ毎にどのバージョンの地図情報が用いられているかが記憶されており、ナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に新たな更新履歴に書き換えられる。
【0029】
また、センタ側交通情報DB16には、プローブカーにより収集されるプローブ情報(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、渋滞度、速度等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)や道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から受信した交通情報を収集して作成した現況の道路の渋滞等に関する情報である現況交通情報16Aが格納されている。また、このセンタ側交通情報DB16には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5からのVICS信号や、各プローブカーから収集したプローブ情報等の過去の交通情報に基づいて生成された統計交通情報16Bが格納されている。
尚、この統計交通情報16Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。
【0030】
ここで、統計交通情報16Bについて図3に基づいて説明する。図3はセンタ側交通情報DB16に格納される統計交通情報16Bのデータ構造を説明する説明図である。
図3に示すように、統計交通情報16Bは、例えば、エリアとしての各2次メッシュに付されたメッシュID毎に生成されるとともに、時間帯51B毎に、各リンクのリンクID51Aに対するリンクコスト51Cを有している。時間帯51Bは、15分毎に設定された時間帯(例えば「0:00」〜「0:14」等)になっている。また、このリンクコスト51Cは、その時間帯51Bにおいて、そのリンクを通過する際にかかる平均旅行時間を示すデータであって、例えば「3(min)」等になっている。この統計交通情報16Bのリンクコスト51Cは、情報配信センタ3により、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5からのVICS信号や、各プローブカーから収集したプローブ情報等の過去の交通情報に基づいて生成された統計交通情報である。
【0031】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2から要求があったタイミングで、センタ側交通情報DB16に格納された現況交通情報16Aに基づいて各交差点間の交通情報や、統計交通情報16B等を選択して配信する。
【0032】
また、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から受信した交通情報には、道路種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報とともに、VICSリンクIDが含まれる。該VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0033】
ここで、センタ側地図情報DB14に記憶される道路(リンク)とVICSリンクとは同一のものではない(一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。)。そこで、各道路(リンク)に識別番号として付与される道路リンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応する道路リンクIDを特定することができるようになっている。これにより、VICSリンクIDをナビゲーション装置2において使用されている道路リンクIDに変換して、交通情報を送信することができる。
【0034】
尚、情報配信センタ3は、個人、企業、団体、地方自治体、政府関係機関等のいずれが運営していてもよく、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5が運営していてもよい。
【0035】
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0036】
次に、本実施例に係るナビゲーションシステム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図2を用いて説明する。図2は本実施例に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0037】
図2に示すように本実施例に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5や情報配信センタ3等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置27と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車の走行速度を検出する車速センサ28が接続される。
【0038】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0039】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0040】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0041】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0042】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶されたナビ側交通情報データベース(ナビ側交通情報DB)36、ナビ側地図情報データベース(ナビ側地図情報DB)37及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0043】
ここで、ナビ側交通情報DB36には、情報配信センタ3や道路交通情報センタ(VICS)5から受信した渋滞の実際の長さ、所要時間、渋滞の原因、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路渋滞情報や、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の交通情報から作成した現況交通情報36Aが格納される。また、ナビ側交通情報DB36には、過去の作成された道路の交通状況を含む統計交通情報36Bが予め格納されている。この統計交通情報36Bは、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信される上述の統計交通情報16B(図3参照)によって更新される。
尚、ナビゲーション装置2は、CD−ROM等によって供給された上述の統計交通情報16Bによって更新されるようにしてもよいし、所定期間毎に(例えば、1週間乃至3ヶ月毎等である。)、自車の走行履歴に基づいて、各時間帯51Bに対する各リンクのリンクコスト51Cを更新するように構成してもよい。
また、この統計交通情報36Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。
【0044】
また、ナビ側交通情報DB36の通信時間帯情報36Cには、後述のように情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む交通情報の配信を要求する要求頻度を決定する際に使用される要求頻度データが記憶されている。
ここで、要求頻度データについて図4に基づいて説明する。図4は通信時間帯情報36Cに記憶される要求頻度データのデータ構造を説明する説明図である。
図4に示すように、要求頻度データ61は、エリアとしての上記各2次メッシュに割り当てられたIDであるメッシュID61A、月61B、曜日61C毎に情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む交通情報の配信を要求する要求頻度61Dが設定されている。そして、メッシュID61Aの下位のデータは、月61Bとなっている。月61Bは、要求頻度61Dを「1月〜3月」、「4月〜6月」、「7月〜9月」、「10月〜12月」とほぼ季節毎に分けている。更に下位にある曜日61Cは、要求頻度61Dを平日を表す「月曜日〜金曜日」と、休日を表す「土曜日、日曜日」とからなる。
【0045】
また、要求頻度61Dは、エリアとしてのメッシュ毎に記憶されており、そのメッシュにおいて、所定時間として1時間の間に情報配信センタ3に渋滞情報を含む交通情報の配信を要求する時間間隔、即ち、要求頻度を表したデータであって、1時間の時間帯毎に、24時間分のデータが記憶されている。即ち、各要求頻度61Dは、メッシュID61A(地域性)、月61B、曜日61C、時間帯の要因が加味されたデータである。
【0046】
例えば、メッシュID61Aが「1」、月61Bが「2月」、曜日61Cが「月曜日」で時間帯が「0:00〜0:59」の場合には、要求頻度61Dは「30分」で、情報配信センタ3への渋滞情報を含む交通情報の配信の要求は、「0:00〜0:59」の時間帯には、30分間隔で行うことを表している。また、メッシュID61Aが「1」、月61Bが「3月」、曜日61Cが「火曜日」で時間帯が「2:00〜2:59」の場合には、要求頻度61Dは「無し」で、情報配信センタ3への渋滞情報を含む交通情報の配信の要求は、「2:00〜2:59」の時間帯には、行わないことを表している。更に、メッシュID61Aが「1」、月61Bが「1月」、曜日61Cが「日曜日」で時間帯が「12:00〜12:59」の場合には、要求頻度61Dは「10分」で、情報配信センタ3への渋滞情報を含む交通情報の配信の要求は、「12:00〜12:59」の時間帯には、10分間隔で行うことを表している。
【0047】
また、ナビ側地図情報DB37には、ナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるとともに情報配信センタ3による更新対象となるナビ地図情報37Aが格納されている。ここで、ナビ地図情報37Aには、更新用地図情報14Aと同様に経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。尚、各データの詳細については既に説明したので、ここではその詳細は省略する。そして、ナビ側地図情報DB37の内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0048】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや情報配信センタ3から受信した交通情報等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のように、情報配信センタ3から交通情報を取得するか否かを決定する交通情報取得処理プログラム(図5参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0049】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部22に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0050】
更に、前記ナビゲーション制御部23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、通信装置27の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0051】
操作部24は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部24としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0052】
また、液晶ディスプレイ25には、ナビ地図情報37Aに基づく地図が表示されて各リンク上の交通情報が表示される経路案内画面の他、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ25の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0053】
また、スピーカ26は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ26より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0054】
そして、通信装置27は、情報配信センタ3と通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、情報配信センタ3との間で最もバージョンの新しい更新地図情報や現況交通情報等の送受信を行う。また、通信装置27は、情報配信センタ3に加えて、道路交通情報センタ(VICS)5等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0055】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、ナビゲーション装置2のCPU41が、情報配信センタ3から現況交通情報16Aを取得するか否かを決定する交通情報取得処理について図5に基づいて説明する。図5は本実施例に係るナビゲーション装置2が実行する情報配信センタ3から現況交通情報16Aを取得するか否かを決定する交通情報取得処理を示すフローチャートである。
尚、図5にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により所定時間毎(例えば、1秒〜1分毎である。)に実行される。
【0056】
図5に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、車両ECU(図示せず)から送信される検出信号に基づいてイグニションスイッチがONか否か、即ち自車のエンジンが始動しているか否かを判定する判定処理を実行する。そして、イグニションスイッチがOFFの場合には(S11:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0057】
一方、イグニションスイッチがONの場合には(S11:YES)、CPU41は、S12の処理に移行する。S12において、CPU41は、現在地検出処理部21により自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出する。そして、CPU41は、車両の現在位置を含む地図データをナビ地図情報37Aから読み出し、地図データに基づいて自車位置が含まれるメッシュを検出し、そのメッシュのメッシュID61Aを取得する。
【0058】
そして、S13において、CPU41は、タイマ45の時刻データ等を読み込み、現在日時、現在時刻を取得し、現時点の月61B、曜日61C、時間帯の要因を特定する。
続いて、S14において、CPU41は、上記S12で取得した自車位置が含まれるメッシュのメッシュID61Aと、上記S13で特定した現時点の月61B、曜日61C、時間帯の各要因に基づいて、通信時間帯情報36Cに格納される要求頻度データ61から要求頻度61Dを読み出して、RAM42に記憶する。そして、CPU41は、RAM42からこの要求頻度61Dを再度読み出し、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求した前回の時点から、この要求頻度61Dに対応する時間が経過しているか否か、即ち、現況交通情報16Aの配信を要求する通信タイミングになったか否かを判定する判定処理を実行する。尚、CPU41は、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求した場合には、この要求した月61B、曜日61C、時刻をデータ記録部22に順次記憶している。
【0059】
具体的には、例えば、上記S12で取得したメッシュID61Aが「1」、上記S13で特定した現時点の月61Bが「2月」、曜日61Cが「月曜日」で時間帯が「0:00〜0:59」の場合には、要求頻度データ61の要求頻度61Dは「30分」であることから、CPU41は、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求した前回の時点から、「30分」の時間が経過したか否かを判定する。
また、例えば、上記S12で取得したメッシュID61Aが「1」、上記S13で特定した現時点の月61Bが「3月」、曜日61Cが「火曜日」で時間帯が「2:00〜2:59」の場合には、要求頻度データ61の要求頻度61Dは「無し」であることから、CPU41は、情報配信センタ3への渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信の要求を行わない時間帯である、即ち現況交通情報16Aの配信を要求する通信タイミングではないと判定する。
また、例えば、上記S12で取得したメッシュID61Aが「1」、上記S13で特定した現時点の月61Bが「1月」、曜日61Cが「日曜日」で時間帯が「12:00〜12:59」の場合には、要求頻度データ61の要求頻度61Dは「10分」であることから、CPU41は、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求した前回の時点から、「10分」の時間が経過したか否かを判定する。
【0060】
そして、情報配信センタ3に対して現況交通情報16Aの配信を要求した前回の時点から、要求頻度61Dに対応する時間が経過している場合には(S14:YES)、CPU41は、S15の処理に移行する。S15において、CPU41は、携帯電話等により情報配信センタ3に対して現況交通情報16Aの配信を要求し、受信した該現況交通情報16Aに基づいてナビ側交通情報DB36の現況交通情報36Aを更新後、S16の処理に移行する。
【0061】
従って、自車位置のメッシュID61Aが「1」で、現時点の月61Bが「2月」、曜日61Cが「月曜日」で時間帯が「0:00〜0:59」の場合には、CPU41は、30分間隔で携帯電話等により情報配信センタ3から現況交通情報16Aを取得して現況交通情報36Aを更新する。また、自車位置のメッシュID61Aが「1」で、現時点の月61Bが「2月」、曜日61Cが「月曜日」で時間帯が「7:00〜7:59」の場合には、CPU41は、5分間隔で携帯電話等により情報配信センタ3から現況交通情報16Aを取得して現況交通情報36Aを更新する。また、自車位置のメッシュID61Aが「1」で、現時点の月61Bが「2月」、曜日61Cが「日曜日」で時間帯が「7:00〜7:59」の場合には、CPU41は、30分間隔で携帯電話等により情報配信センタ3から現況交通情報16Aを取得して現況交通情報36Aを更新する。
【0062】
一方、情報配信センタ3に対して現況交通情報16Aの配信を要求した前回の時点から、要求頻度61Dに対応する時間が経過していない場合、又は、各要因に対応する要求頻度61Dが「無し」の場合には(S14:NO)、CPU41は、現況交通情報16Aの配信を要求する通信タイミングではないと判定して、S16の処理に移行する。即ち、CPU41は、現況交通情報36Aを更新しないで、S16の処理に移行する。
【0063】
続いて、S16において、CPU41は、タッチパネル、操作スイッチ等の操作部24の入力操作等によって目的地が入力されたか否かを判定する判定処理を実行する。そして、目的地が入力されていない場合には(S16:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、目的地が入力されたと判断すると(S16:YES)、CPU41は、その目的地の座標等をRAM42に一時記憶後、S17の処理に移行する。
【0064】
S17において、CPU41は、現況交通情報36Aを更新したか否かを判定する判定処理を実行する。そして、現況交通情報36Aを更新した場合には(S17:YES)、CPU41は、S18の処理に移行する。S18において、CPU41は、現況交通情報36Aに基づいて、ダイクストラ法等によって、現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索して、RAM42に記憶後、当該処理を終了する。
一方、現況交通情報36Aを更新していない場合には(S17:NO)、CPU41は、S19の処理に移行する。S19において、CPU41は、ナビ側交通情報DB36に格納される統計交通情報36Bに基づいて、ダイクストラ法等によって、現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索して、RAM42に記憶後、当該処理を終了する。
【0065】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置2では、CPU41は、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求する要求頻度を決定する際に使用される要求頻度データ61が予め通信時間帯情報36Cに記憶されている。そして、イグニションスイッチがONの場合には(S11:YES)、CPU41は、自車位置が含まれるメッシュのメッシュID61Aと、現時点の月61B、曜日61C、時間帯の各要因を特定し(S12〜S13)、通信時間帯情報36Cに格納される要求頻度データ61から要求頻度61Dを読み出す。そして、CPU41は、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求した前回の時点から、この要求頻度61Dに対応する時間が経過している場合には、通信タイミングであると判定して、情報配信センタ3に対して渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信を要求し、受信した該現況交通情報16Aに基づいてナビ側交通情報DB36の現況交通情報36Aを更新する(S14〜S15)。
【0066】
これにより、要求頻度データ61の要求頻度61Dは、各時間帯毎に予め記憶されているため、情報配信センタ3に現況交通情報16Aの配信を要求する要求タイミングを、各時間帯の要求頻度61Dに基づいて決定することが可能となる。従って、要求頻度61Dの低い時間帯、例えば、「0:00〜1:59」の時間帯の場合には、要求頻度61Dが「30分」となって、現況交通情報16Aの配信を要求する要求情報の送信回数が「30分」間隔となって少なくなり、「2:00〜4:59」の時間帯の場合には、要求頻度61Dが「無し」となって、現況交通情報16Aの配信を要求しなくなる。このため、渋滞が無かったり、渋滞度合いが変化しない時間帯における現況交通情報16Aの配信の要求回数を少なくして、現況交通情報16Aの配信を効率的に受けることが可能となり、情報配信センタ3との携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の大幅な節約が可能となる。
【0067】
また、要求頻度61Dは、メッシュID61A毎の各時間帯に対応して設定されるため、自車位置が含まれる地図メッシュに対応する各時間帯に対して、現況交通情報16Aの配信を要求する通信タイミングを地域的要因を考慮して決定することが可能となる。
例えば、東京等の大都市圏では、昼間の時間帯に渋滞が多く発生し、大都市圏外では、朝夕のラッシュ時の時間帯に渋滞が多く発生するため、大都市圏では昼間の時間帯における要求頻度61Dの時間間隔を短くし、大都市圏外では、朝夕のラッシュ時の時間帯における要求頻度61Dの時間間隔を短くするように設定することが可能となる。
【0068】
また、現在時刻を基準として通信タイミングでないと判定した場合には、CPU41は、各リンクに対し、過去の交通情報に基づいて生成された統計交通情報36Bを用いて、経路探索を行う(S16:YES〜S17:NO〜S19)。このため、現況交通情報36Aを更新しなくても、各リンクに対する統計交通情報36Bを用いて、高レスポンスで出発地から目的地までの各リンク毎の到達時間を正確に予測することが可能となる。
一方、現在時刻を基準として通信タイミングであると判定した場合は、CPU41は、情報配信センタ3に対して現況交通情報16Aの配信を要求し、この受信した現況交通情報16Aに従って現況交通情報36Aを更新後、この更新した現況交通情報36Aに基づいて経路探索をする(S16:YES〜S17:YES〜S18)。これにより、CPU41は、現在の渋滞情報等を考慮して、より精度の高い経路探索を行うことが可能となる。
【0069】
更に、要求頻度データ61は、メッシュID61A、月61B、曜日61C毎に生成されている。このため、各2次メッシュ毎の地域的要因に加えて、時期的要因、時間的要因を要求頻度61Dに加味することができるので、各時間帯毎に設定された要求頻度61Dの精度を向上させることができる。
【0070】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0071】
(1)前記実施例では、ステップ11において、CPU41は、イグニションスイッチがONか否かを判定したが、操作部24を介して目的地が設定されたか否かを判定するようにしてもよい。そして、目的地が設定された場合には(S11:YES)、CPU41は、ステップ12以降の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、CPU41は、経路探索時には、要求頻度データ61を必ず確認して、通信タイミングか否かを判定するため、朝夕ラッシュ時のように、渋滞度合いの変化のある時間帯や、渋滞のある時間帯には、現況交通情報36Aを更新して、精度の高い経路探索を行うことが可能となる。また、渋滞が無かったり、渋滞度合いが変化しない時間帯における現況交通情報16Aの配信の要求回数を少なくして、現況交通情報16Aの配信を効率的に受けることが可能となり、情報配信センタ3との携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の大幅な節約、及び高レスポンスで交通情報の活用が可能となる。
【0072】
(2)前記実施例では、ステップ11において、イグニションスイッチがONか否かを判定したが、操作部24を介して渋滞情報を含む交通情報の液晶ディスプレ25への表示要求がされたか否かを判定するようにしてもよい。そして、表示要求がされた場合には(S11:YES)、CPU41は、ステップ12以降の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、朝夕ラッシュ時のように、渋滞度合いの変化のある時間帯や、渋滞のある時間帯には、現況交通情報36Aを更新して、精度の高い交通情報を表示することが可能となる。また、渋滞が無かったり、渋滞度合いが変化しない時間帯における現況交通情報16Aの配信の要求回数を少なくして、現況交通情報16Aの配信を効率的に受けることが可能となり、情報配信センタ3との携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の大幅な節約、及び高レスポンスで交通情報の活用が可能となる。
【0073】
(3)前記実施例では、要求頻度61Dは、メッシュID61A、月61B、曜日61C毎の各時間帯に対して「5分」、「10分」、「15分」、「30分」、「無し」のうちのいずれかを振り分けたが、メッシュID61A、月61B、曜日61C毎の各時間帯に対して、現況交通情報16Aの配信を要求することを表す「要求する」と、現況交通情報16Aの配信を要求しないことを表す「要求しない」とのうちのいずれか一方を振り分けるようにしてもよい。
これにより、朝夕ラッシュ時のように、渋滞度合いの変化のある時間帯や、渋滞のある時間帯には、CPU41は、現況交通情報36Aを必ず更新することが可能になる。また、渋滞が無かったり、渋滞度合いが変化しない時間帯には、CPU41は、情報配信センタ3への渋滞情報を含む現況交通情報16Aの配信の要求をせず、情報配信センタ3との携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の大幅な節約、及び高レスポンスで交通情報の活用が可能となる。
【0074】
(4)ステップ19で探索した経路に基づいて走行した場合に、CPU41は、各リンクの走行速度や旅行時間を順次計測し、探索時における予測走行速度や予測旅行時間との差が所定閾値を超えた場合には(例えば、リンクの走行速度が時速5km以上変化した場合、又はリンクの予測旅行時間が5分以上変化した場合等である。)、携帯電話等により情報配信センタ3に対して現況交通情報16Aの配信を要求し、受信した該現況交通情報16Aに基づいてナビ側交通情報DB36の現況交通情報36Aを更新後、再度、経路探索をするようにしてもよい。
これにより、交通事故や交通規制等の要因によって、統計交通情報36Bが適用できない場合においても、CPU41は、現況交通情報36Aを更新後、現在の渋滞情報等を考慮して、より精度の高い経路探索を行うことが可能となる。
【0075】
(5)CPU41は、ステップ15で携帯電話等により情報配信センタ3に対して現況交通情報16Aの配信を要求する際に、収集してデータ記録部22に記憶しているプローブ情報(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、渋滞度、速度等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)を情報配信センタ3に送信するようにしてもよい。
これにより、朝夕ラッシュ時のように、渋滞度合いの変化のある時間帯や、渋滞のある時間帯に、CPU41は、情報配信センタ3にプローブ情報を確実に送信することができる。また、渋滞が無かったり、渋滞度合いが変化しない時間帯には、CPU41は、情報配信センタ3へのプローブ情報の送信回数を少なくすることができ、情報配信センタ3との携帯電話等を介した通信時間の短縮化を図って通信料金の大幅な節約を図ることが可能となる。
【0076】
(6)また、要求頻度データ61は、祝日、連休、イベント情報等を加味した要因毎に設定されていてもよく、また、2次メッシュに付されたメッシュID61Aに替えて、都道府県、市区町村等の行政区画毎に設定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施例に係るナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図3】統計交通情報のデータ構造の説明図である。
【図4】要求頻度データのデータ構造を説明する説明図である。
【図5】ナビゲーション装置が実行する情報配信センタから現況交通情報を取得するか否かを決定する交通情報取得処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
16 センタ側交通情報DB
16A、36A 現況交通情報
16B、36B 統計交通情報
17 センタ側通信装置
21 現在地検出処理部
23 ナビゲーション制御部
27 通信装置
36 ナビ側交通情報DB
37 ナビ側地図情報DB
51A リンクID
51B 時間帯
51C リンクコスト
61 要求頻度データ
61A メッシュID
61B 月
61C 曜日
61D 要求頻度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーション装置において、
情報配信センタに対して渋滞情報を含む交通情報の配信を要求する要求頻度を各時間帯毎に記憶する要求頻度記憶手段と、
現在時刻を基準として前記要求頻度に基づいて前記交通情報の配信を要求する要求タイミングか否かを判定する要求タイミング判定手段と、
前記現在時刻を基準として前記要求タイミングであると判定した場合には、前記情報配信センタに前記交通情報の配信を要求する要求情報を送信すると共に、該情報配信センタから配信された交通情報を受信するように制御する通信制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記要求頻度記憶手段は、前記要求頻度をエリア毎に記憶しており、
前記要求タイミング判定手段は、自車位置が含まれるエリアを検出し、検出されたエリアに対応する該要求頻度に基づいて前記交通情報の配信を要求する要求タイミングか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
各リンクに対し、過去の交通情報に基づいて生成された統計交通情報を記憶する統計交通情報記憶手段を備え、
前記現在時刻を基準として前記要求タイミングでないと判定した場合には、前記各リンクに対して設定された前記統計交通情報を用いて、経路探索を行い、
前記現在時刻を基準として前記要求タイミングであると判定した場合には、前記情報配信センタから配信された前記交通情報を用いて、経路探索を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記要求頻度は、月、曜日毎に生成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−83918(P2008−83918A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262213(P2006−262213)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】