説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】ハイブリッド車両において、クラッチを用いた動力伝達モードの切替えを好適に行う。
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置(100)は、第1電動機(MG1)、第2電動機(MG2)及び内燃機関(200)を含む動力要素と、駆動軸(500)と、第1回転要素(S1)、第2回転要素(R1)、第3回転要素(C1)を有する動力伝達機構(300)と、クラッチ(710)と、第2ブレーキ(720)とを備えたハイブリッド車両(1)を制御する。ハイブリッド車両の制御装置は、第1モード及び第2モードの間で、動力伝達モードを切替える切替手段(150)と、クラッチの回転数を検出するクラッチ回転数検出手段(130)と、クラッチの回転数が第1所定値以下である場合に、第1モードから第2モードへの動力伝達モードの切替えを停止する切替停止手段(140)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回転要素の動作を制御することにより多様な動力伝達態様を実現可能に構成されたハイブリッド車両を制御するハイブリッド車両の制御装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のハイブリッド車両では、エンジンから出力された動力を全て電動機の駆動電力に変換して駆動軸に出力するシリーズモードと、エンジンから出力された動力を機械的な動力のまま駆動軸に出力すると共に残余を電力に変換して駆動軸へと出力するパラレルモードとが、運転状況等に応じて自動的に切替えられる。
【0003】
上述した動力伝達モードの切替動作は、駆動軸とプラネタリギヤとの間にクラッチを設けて切り離し及び係合を可能にすると共に、クラッチを切り離した際にリングギヤを固定するブレーキを設けることで実現される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
クラッチは、例えば回転可能なドグクラッチとして構成され、その係合時には、同期制御のため係合部の回転数が検出される。クラッチの回転数は、回転検出センサ等を用いて直接的に検出することも可能であるが、連動している電動機の回転数に基づいて間接的に検出することもできる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−209706号公報
【特許文献2】特開2010−023759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、クラッチの回転数の検出は、低回転領域において検出精度が大幅に低下してしまう傾向がある。即ち、クラッチの回転数が低い場合には、正確な回転数を検出することが困難である。また、上述した特許文献2に記載されているように、電動機の回転数に基づいてクラッチの回転数を検出しようとしても、電動機の回転数が低ければ、同様に検出精度は低下してしまう。
【0007】
回転数の検出精度が低いと、クラッチの係合を適切に行うことが困難となり、様々な問題が発生する。具体的には、変速時間の冗長、係合時におけるショックによるドライバビリティの低下、歯当たりに起因する係合部の寿命低下等が発生してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、クラッチを用いた動力伝達モードの切替えを好適に行うことが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は上記課題を解決するために、第1電動機、第2電動機及び内燃機関を含む動力要素と、前記動力要素からの動力を車軸に伝達する駆動軸と、前記第1電動機に連結された第1回転要素、前記第2電動機及び前記駆動軸に夫々連結された第2回転要素、並びに前記内燃機関に連結された第3回転要素を含む相互に差動回転可能な複数の回転要素を有する動力伝達機構と、前記第2回転要素の前記第2電動機及び前記駆動軸との連結を切り離し及び結合可能なクラッチと、前記第2回転要素の固定及び解放が可能なブレーキとを備えたハイブリッド車両を制御する装置であって、前記クラッチにより前記第2回転要素の前記第2電動機及び前記駆動軸との連結を切り離すと共に前記ブレーキにより前記第2回転要素を固定する第1モード、及び前記クラッチにより前記第2回転要素の前記第2電動機及び前記駆動軸との連結を結合すると共に前記ブレーキにより前記第2回転要素を解放する第2モードの間で、動力伝達モードを切替える切替手段と、前記クラッチの前記第2回転要素側の回転数を検出するクラッチ回転数検出手段と、前記クラッチの前記第2回転要素側の回転数が第1所定値以下である場合に、前記第1モードから前記第2モードへの動力伝達モードの切替えを停止する切替停止手段とを備える。
【0010】
本発明に係るハイブリッド車両は、駆動軸に対し動力を供給可能な動力要素として、例えば夫々モータジェネレータ等の電動発電機として構成され得る第1及び第2電動機、並びに燃料種別、燃料の供給態様、燃料の燃焼態様、吸排気系の構成及び気筒配列等を問わない各種の態様を採り得る内燃機関を少なくとも備えた車両である。本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、このようなハイブリッド車両を制御する制御装置であって、例えば、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、各種プロセッサ又は各種コントローラ、或いは更にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ又はフラッシュメモリ等の各種記憶手段等を適宜に含み得る、単体の或いは複数のECU(Electronic Controlled Unit)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る。
【0011】
本発明に係るハイブリッド車両には、上述した各動力要素及び駆動軸間で動力を伝達する動力伝達機構が備えられている。動力伝達機構は、第1電動機に連結される第1回転要素、第2電動機及び駆動軸に夫々連結された第2回転要素、並びに内燃機関に連結された第3回転要素を含む複数の回転要素を有しており、各回転要素の状態(端的には、回転態様を規定する物理状態であり、回転可能であるか否か及び他の回転要素と連結された状態にあるか否か等を含む)に応じて定まる各種の動力伝達モードに従って動力伝達を行う。動力伝達機構は、一又は複数の遊星歯車機構等のギヤ機構を好適な一形態として採り得、複数の遊星歯車機構を含む場合には、各遊星歯車機構を構成する回転要素の一部が複数の遊星歯車機構相互間で適宜共有され得る。
【0012】
本発明に係るハイブリッド車両には更に、動力伝達機構における第2回転要素の第2電動機及び駆動軸との連結を切り離し及び結合可能なクラッチと、第2回転要素の固定及び解放が可能なブレーキとが備えられている。クラッチは、回転可能とされた2つの係合部が互いに係合することによって第2電動機及び駆動軸への動力伝達を実現し、切り離されることによって第2電動機及び駆動軸への動力伝達を遮断できる。ブレーキは、第2回転要素を固定及び解放することで、その回転動作を制御できる。即ち、ここでの「固定」及び「解放」とは、第2回転要素の回転動作(言い換えれば、動力を伝達するための動作)を対象とするものである。クラッチ及びブレーキは、典型的には、互いに連動するように一体的に構成されている。
【0013】
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、上述したクラッチ及びブレーキを制御することで動力伝達機構の状態を変化させ、動力伝達モードを切替える切替手段を備えている。切替手段は、クラッチにより第2回転要素の第2電動機及び駆動軸との連結を切り離すと共にブレーキにより第2回転要素を固定する第1モードと、及びクラッチにより第2回転要素の第2電動機及び駆動軸との連結を結合すると共にブレーキにより第2回転要素を解放する第2モードとの間で、動力伝達モードを切替える。尚、切替手段による動力伝達モードの切替動作は、車両の運転状況に応じて出されるモード切替指示に基づいて自動的に行われる。
【0014】
第1モードによれば、ブレーキによって第2回転要素が固定され、その回転が制止された状態となる。但し、クラッチが切り離されているため駆動軸は回転可能であり、駆動軸には第2電動機から動力を出力させることができる。また、第2回転要素の回転が制止されても、第1電動機が連結された第1回転要素及び内燃機関が連結された第3回転要素は回転可能である。よって、内燃機関から出力された動力を、第3回転要素及び第1回転要素を介して第1電動機に伝達し、電力として回生することができる。第1電動機の回生によって得られる電力は、第2電動機の動力として利用される。以上のように、第1モードは、内燃機関から供給される動力を、電力に変換してから駆動軸に出力する動力伝達モード(所謂、シリーズモード)といえる。
【0015】
他方、第2モードによれば、ブレーキが第2回転要素を解放しているため、その回転は制止されない。このため、内燃機関から出力された動力は、第3回転要素から第1回転要素を介して第1電動機へと出力されると共に、第3回転要素から第2回転要素を介して駆動軸へと出力される。即ち、内燃機関から出力された動力は、第1電動機において回生されると共に、駆動軸へと出力される。ここで、第1電動機における回生によって得られる電力は、第2電動機の動力として利用することができる。よって、第1電動機において回生された内燃機関の動力は、第2電動機を介して駆動軸へと出力される。以上のように、第2モードは、内燃機関から供給される動力を駆動軸に直接出力すると共に、第2電動機の動力に換えて駆動軸へと出力する動力伝達モード(所謂、パラレルモード)といえる。
【0016】
ここで本発明のハイブリッド車両の制御装置は特に、クラッチ回転数検出手段を備えており、クラッチの第2回転要素側(即ち、2つの係合部のうち第2電動機及び駆動軸とは反対側の係合部)の回転数(以下、単に「クラッチの回転数」と略する場合がある。)が検出される。そして、検出されたクラッチの回転数が第1所定値以下である場合には、切替停止手段によって、第1モードから第2モードへの動力伝達モードの切替えが停止される。即ち、検出された回転数が第1所定値以下である場合は、仮に第1モードから第2モードへと動力伝達モードを切替えるように切替指示が出されていたとしても、切替手段による切替動作は行われない。尚、ここでの「第1所定値」は、クラッチの回転数が、その検出精度を十分維持できる程度に高い状態であるか否かを判定するための閾値であり、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等により求められ、設定されている。
【0017】
クラッチの回転数の検出は、クラッチ回転数検出手段がどのような態様を採るかによらず、回転数が低い場合には、その検出精度が低下してしまう傾向がある。即ち、クラッチの回転数が低い場合には、正確な回転数を検出することが困難である。クラッチの回転数の検出精度が低いと、クラッチの係合を適切に行うことが困難となり、様々な問題が発生する。具体的には、変速時間の冗長、係合時におけるショックによるドライバビリティの低下、歯当たりに起因する係合部の寿命低下等が発生してしまうおそれがある。
【0018】
しかるに本発明では、上述したように、クラッチの回転数が第1所定値以下である場合には、第1モードから第2モードへの動力伝達モードの切替えが停止される。即ち、クラッチの回転数が第1所定値以下である場合には、クラッチの係合は行われない。よって、上述したクラッチ係合時の不具合を好適に防止することができる。尚、クラッチの回転数が第1所定値以下であるうちは、第1モードが維持され続けるが、運転状況の変化によりクラッチの回転数が第1所定値を超えた場合には、切替え停止は解除され、第1モードから第2モードへの切替え動作が通常通り行われる。
【0019】
以上説明したように、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、クラッチを用いた動力伝達モードの切替えを好適に行うことが可能である。
【0020】
本発明のハイブリッド車両の制御装置の一態様では、前記クラッチ回転数検出手段は、前記第1電動機の回転数を検出する第1電動機回転数検出手段と、前記第1電動機の回転数に基づいて、前記クラッチの前記第2回転要素側の回転数を推定する推定手段とを有しており、前記切替停止手段は、前記クラッチの前記第2回転要素側の回転数が第1所定値を超えている場合であっても、前記第1電動機の回転数が第2所定値以下である場合には、前記第1モードから前記第2モードへの動力伝達モードの切替えを停止する。
【0021】
この態様によれば、クラッチ回転検出手段は、例えばレゾルバ等の第1電動機回転数検出手段を用いて第1電動機の回転数を検出し、検出された第1電動機の回転数に基づいてクラッチの回転数を推定する。即ち、クラッチの回転数を直接検出するのではなく、第1電動機の回転数から間接的に検出する。第1電動機及びクラッチ間は、動力伝達機構における第1回転要素及び第2回転要素を介して動力が伝達される。よって、第1電動機の回転数とクラッチの回転数は相関があり、上述したように第1電動機の回転数から、クラッチの回転数を推定することができる。
【0022】
本態様では特に、クラッチの回転数が第1所定値を超えている場合であっても、第1電動機の回転数が第2所定値以下である場合には、第1モードから第2モードへの動力伝達モードの切替えが停止される。即ち、第1電動機の回転数が第2所定値以下である場合には、それに基づいて推定されるクラッチの回転数によらず、クラッチの係合が行われない。尚、ここでの「第2所定値」は、第1電動機の回転数が、その検出精度を十分維持できる程度に高い状態であるか否かを判定するための閾値であり、第1所定値と同様に、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等により求められ、設定されている。
【0023】
本態様では、上述したように、第1電動機の回転数に基づいてクラッチの回転数が推定されるが、第1電動機の回転数も、回転数が低い場合には検出精度が低下してしまうという傾向がある。よって、第1電動機の回転数が低い場合には、第1電動機の回転数を正確に検出することができず、結果的に、そこから推定されるクラッチの回転数も正確な値とはならない可能性が高い。従って、仮にクラッチの回転数が第1所定値を超えている場合であっても、その値は正確ではないおそれがある。
【0024】
これに対し本態様では、第1電動機の回転数が低い場合には、切替え手段による動力伝達モードの切替えが停止される。即ち、クラッチの回転数が正確に検出されていない可能性を考慮して、クラッチの係合を行わないようにする。従って、クラッチ係合時の不具合を確実に防止することができる。
【0025】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ハイブリッド車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【図2】ハイブリッド駆動装置の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【図3】エンジン200の一断面構成を例示する模式図である。
【図4】ECUの構成を示すブロック図である。
【図5】ハイブリッド車両の制御装によって実現される2つの動力伝達モードを示すマトリクス図である。
【図6】ハイブリッド車両の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0028】
先ず、本実施形態に係るハイブリッド車両の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、ハイブリッド車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【0029】
図1において、本実施形態に係るハイブリッド車両1は、ハイブリッド駆動装置10、PCU(Power Control Unit)11、バッテリ12、アクセル開度センサ13、車速センサ14及びECU100を備えて構成されている。
【0030】
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、ハイブリッド車両1の各部の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一例である。ECU100は、例えばROM等に格納された制御プログラムに従って、ハイブリッド車両1における各種制を実行可能に構成されている。
【0031】
PCU11は、バッテリ12から取り出した直流電力を交流電力に変換して後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給する。また、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ12に供給することが可能な不図示のインバータを含んでいる。即ち、PCU11は、バッテリ12と各モータジェネレータとの間の電力の入出力、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ12を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御可能に構成された電力制御ユニットである。PCU11は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
【0032】
バッテリ12は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能する充電可能な蓄電手段である。
【0033】
アクセル開度センサ13は、ハイブリッド車両1の図示せぬアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ13は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Taは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
【0034】
車速センサ14は、ハイブリッド車両1の車速Vを検出可能に構成されたセンサである。車速センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
【0035】
ハイブリッド駆動装置10は、ハイブリッド車両1のパワートレインとして機能する動力ユニットである。ここで、図2を参照し、ハイブリッド駆動装置10の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動装置の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
【0036】
図2において、ハイブリッド駆動装置10は、主にエンジン200、動力分割機構300、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)、入力軸400、駆動軸500、減速機構600、クラッチ710及びブレーキ720を備えて構成されている。
【0037】
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンであり、ハイブリッド車両1の主たる動力源として機能するように構成されている。ここで、図3を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、エンジン200の一断面構成を例示する模式図である。尚、本発明における「内燃機関」とは、例えば2サイクル又は4サイクルレシプロエンジン等を含み、少なくとも一の気筒を有し、当該気筒内部の燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料を含む混合気が燃焼した際に発生する力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的又は機械的な伝達手段を適宜介して駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念である。係る概念を満たす限りにおいて、本発明に係る内燃機関の構成は、エンジン200のものに限定されず各種の態様を有してよい。また、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201が直列に配されてなる直列4気筒エンジンであるが、個々の気筒201の構成は相互に等しいため、図3においては一の気筒201についてのみ説明を行うこととする。
【0038】
図3において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介して、クランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。
【0039】
クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。このクランクポジションセンサ206は、ECU100(不図示)と電気的に接続されており、ECU100では、このクランクポジションセンサ206から出力されるクランク角信号に基づいて、エンジン200の機関回転数NEが算出される構成となっている。
【0040】
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート210を介して吸気バルブ211の開弁時に気筒201内部へ導かれる。一方、吸気ポート210には、インジェクタ212の燃料噴射弁が露出しており、吸気ポート210に対し燃料を噴射することが可能な構成となっている。インジェクタ212から噴射された燃料は、吸気バルブ211の開弁時期に前後して吸入空気と混合され、上述した混合気となる。
【0041】
燃料は、図示せぬ燃料タンクに貯留されており、図示せぬフィードポンプの作用により、図示せぬデリバリパイプを介してインジェクタ212に供給される構成となっている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり、吸気バルブ211の開閉に連動して開閉する排気バルブ213の開弁時に排気ポート214を介して排気管215に導かれる。
【0042】
一方、吸気管207における、吸気ポート210の上流側には、図示せぬクリーナを経て導かれた吸入空気に係る吸入空気量を調節可能なスロットルバルブ208が配設されている。このスロットルバルブ208は、ECU100と電気的に接続されたスロットルバルブモータ209によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、ECU100は、基本的には不図示のアクセルペダルの開度(即ち、上述したアクセル開度Ta)に応じたスロットル開度が得られるようにスロットルバルブモータ209を制御するが、スロットルバルブモータ209の動作制御を介してドライバの意思を介在させることなくスロットル開度を調整することも可能である。即ち、スロットルバルブ208は、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。
【0043】
排気管215には、三元触媒216が設置されている。三元触媒216は、エンジン200から排出される排気中のNOx(窒素酸化物)を還元すると同時に、排気中のCO(一酸化炭素)及びHC(炭化水素)を酸化可能に構成された触媒装置である。尚、触媒装置の採り得る形態は、このような三元触媒に限定されず、例えば三元触媒に代えて或いは加えて、NSR触媒(NOx吸蔵還元触媒)或いは酸化触媒の各種触媒が設置されていてもよい。
【0044】
排気管215には、エンジン200の排気空燃比を検出することが可能に構成された空燃比センサ217が設置されている。更に、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)に係る冷却水温を検出するための水温センサ218が配設されている。これら空燃比センサ217及び水温センサ218は、夫々ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比及び冷却水温は、夫々ECU100により一定又は不定の検出周期で把握される構成となっている。
【0045】
図2に戻り、モータジェネレータMG1は、本発明に係る「第1電動機」の一例たる電動発電機であり、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。モータジェネレータMG2は、本発明に係る「第2電動機」の一例たる電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。尚、モータジェネレータMG1及びMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える構成を有するが、他の構成を有していてもよい。
【0046】
動力分割機構300は、中心部に設けられた、本発明に係る「第1回転要素」の一例たるサンギヤS1と、サンギヤS1の外周に同心円状に設けられた、本発明に係る「第2回転要素」の一例たるリングギヤR1と、サンギヤS1とリングギヤR1との間に配置されてサンギヤS1の外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギヤP1と、これら各ピニオンギヤの回転軸を軸支する、本発明に係る「第3回転要素」の一例たるキャリアC1とを備えている。即ち、動力分割機構300は、本発明に係る「動力伝達機構」の一例たる動力伝達装置である。
【0047】
ここで、サンギヤS1は、サンギヤ軸310を介してMG1のロータRT1に連結されており、その回転数はMG1の回転数Nmg1(以下、適宜「MG1回転数Nmg1」と称する)と等価である。また、リングギヤR1は、駆動軸500、減速機構600を介してMG2のロータRT2に結合されており、その回転数はMG2の回転数Nmg2(以下、適宜「MG2回転数Nmg2」と称する)と一義的な関係にある。更に、キャリアC1は、エンジン200の先に述べたクランクシャフト205に連結された入力軸400と連結されており、その回転数は、エンジン200の機関回転数NEと等価である。尚、ハイブリッド駆動装置10において、MG1回転数Nmg1及びMG2回転数Nmg2は、夫々レゾルバ等の回転センサにより一定の周期で検出されており、ECU100に一定又は不定の周期で送出されている。
【0048】
一方、駆動軸500は、ハイブリッド車両1の駆動輪たる右前輪FR及び左前輪FLを夫々駆動するドライブシャフトSFR及びSFL(即ち、これらドライブシャフトは、本発明に係る「車軸」の一例である)と、各種減速ギヤ及び差動ギヤを含む減速装置としての減速機構600を介して連結されている。従って、モータジェネレータMG2から駆動軸500に供給されるモータトルクTmg2は、減速機構600を介して各ドライブシャフトへと伝達され、各ドライブシャフトを介して伝達される各駆動輪からの駆動力は、同様に減速機構600及び駆動軸500を介してモータジェネレータMG2に入力される。従って、MG2回転数Nmg2は、ハイブリッド車両1の車速Vと一義的な関係にある。
【0049】
動力分割機構300は、係る構成の下で、エンジン200からクランクシャフト205を介して入力軸400に供給されるエンジントルクTeを、キャリアC1とピニオンギヤP1とによってサンギヤS1及びリングギヤR1に所定の比率(各ギヤ相互間のギヤ比に応じた比率)で分配し、エンジン200の動力を2系統に分割することが可能となっている。
【0050】
動力分割機構300の動作を分かり易くするため、リングギヤR1の歯数に対するサンギヤS1の歯数としてのギヤ比ρを定義すると、エンジン200からキャリアC1に対しエンジントルクTeを作用させた場合に、サンギヤ軸310に現れるトルクTesは下記(1)式により、また駆動軸500に現れるトルクTer(即ち、エンジン200からの直達トルク)は下記(2)式により夫々表される。
【0051】
Tes=−Te×ρ/(1+ρ)・・・(1)
Ter=Te×1/(1+ρ)・・・(2)
本実施形態に係る動力分割機構300は特に、リングギヤR1及び駆動軸500間にクラッチ710を備えており、その係合状態によって、リングギヤR1と駆動軸500及びMG2との連結を切り離し及び結合可能である。具体的には、クラッチ710が切り離された状態においては、エンジン200やMG1からリングギヤR1を介して出力される動力は、駆動軸500及びMG2には伝達されない。一方、クラッチ710が係合された状態においては、リングギヤR1を介して出力される動力が、駆動軸500及びMG2に伝達される。
【0052】
動力分割機構300は更に、リングギヤR1の回転動作を固定及び解放可能なブレーキ720を備えている。ブレーキ720は、一の係合部がリングギヤR1側に設けられていると共に、他の係合部が固定要素に固定されている。よって、ブレーキ720の係合部が係合することにより、リングギヤR1の回転動作は固定され、切り離されることにより、リングギヤR1の回転動作が解放される。
【0053】
上述したクラッチ710及びブレーキ720は、例えば噛合い式のドグクラッチとして互いに一体的に構成される。このようにすれば、クラッチ710及びブレーキ720の係合状態を夫々連動するように制御することができる。具体的には、クラッチ710が係合した状態となる場合には、ブレーキ720は切り離された状態となる。一方、クラッチ710が切り離された状態となる場合には、ブレーキ720は係合された状態となる。
【0054】
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置であるECU100の具体的な構成について、図4を参照して説明する。ここに図4は、ECUの構成を示すブロック図である。
【0055】
図4において、ECU100は、モード変更指示部110、MG1回転数検出部120、クラッチ回転数演算部130、モード切替判定部140及びモード切替制御部150を備えて構成されている。
【0056】
モード変更指示部110は、入力される各種パラメータ(例えば、ハイブリッド車両1の運転状況を示すパラメータ)に基づいて、動力伝達モードを変更すべきか否かを判定する。ここでの判定条件は、例えばROM等の記憶装置に予め記憶されており、ハイブリッド車両1は、運転状況に応じて最適な動力伝達モードとなるように制御される。モード変更指示部110は、動力伝達モードを変更すべきと判定した場合は、動力伝達モードを変更するようにモード変更命令を出力する。
【0057】
MG1回転数検出部120は、本発明の「第1電動機回転数検出手段」の一例であり、例えばMG1に設けられたレゾルバ等を用いて回転数を検出する。MG1回転数検出部120は、検出したMG1の回転数を、クラッチ回転数演算部130及びモード切替判定部140に夫々出力可能である。
【0058】
クラッチ回転数演算部130は、本発明の「クラッチ回転数検出手段」の一例であり、例えば演算回路やメモリ等を含んで構成されている。クラッチ回転数演算部130は、MG1回転数検出部120において検出されたMG1の回転数に基づいて、クラッチ710の回転数を演算する。クラッチ回転数演算部130は、演算結果であるクラッチ710の回転数を、モード切替判定部140に出力可能に構成されている。
【0059】
モード切替判定部140は、MG1回転数検出部120において検出されたMG1の回転数、及びクラッチ回転数演算部130において演算されたクラッチ710の回転数が、それぞれ所定の閾値以下であるか否かを判定し、所定の閾値以下であると判定した場合に、後述するモード切替制御部150による動力伝達モードの切替動作を停止する。即ち、モード切替判定部140は、本発明の「切替停止手段」の一例として機能する。尚、判定条件である所定の閾値は、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等により求められ、モード切替判定部140が有するメモリ等に記憶されている。
【0060】
モード切替制御部150は、モード切替判定部140において動力伝達モードの切替動作が停止されない場合に、ハイブリッド車両1における動力伝達モードを切替える。モード切替制御部150は、動力分割機構300におけるクラッチ710及びブレーキ720(図2参照)をそれぞれ制御することで、動力伝達モードを切換える。
【0061】
尚、ECU100は、上述したモード変更指示部110、MG1回転数検出部120、クラッチ回転数演算部130、モード切替判定部140及びモード切替制御部150を含んで構成された一体の電子制御ユニットであり、上記各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係る上記手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
【0062】
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両における動力伝達モードについて、図5を参照して説明する。ここに図5は、ハイブリッド車両の制御装置によって実現される2つの動力伝達モードを示すマトリクス図である。
【0063】
図5において、第1モードでは、クラッチ710が切り離されている状態(即ち、OFF)であるため、駆動軸500には、リングギヤR1を介して動力は伝達されない。但し、駆動軸500は回転が固定される訳ではないので、MG2から動力を利用して回転することができる。即ち、ハイブリッド車両1は、MG2を動力として走行することが可能である。一方で、ブレーキ720がリングギヤR1を固定した状態(即ち、ON)となるため、リングギヤR1は回転が制止された状態となる。但し、リングギヤR1の回転が制止されても、MG1が連結されたサンギヤS1及びエンジン200が連結されたキャリアC1は回転可能である。よって、エンジン200から出力された動力を、キャリアC1及びサンギヤS1を介してMG1に伝達し、電力として回生することができる。MG1の回生によって得られる電力は、バッテリ12(図1参照)に充電され、MG2の動力として利用される。このように、第1モードでは、エンジン200から供給される動力が、全て電力に変換されてから出力されることになる。
【0064】
他方、第2モードでは、クラッチ710が係合されている状態(即ち、ON)であり、ブレーキがリングギヤR1を解放している状態(即ち、OFF)であるため、駆動軸500には、エンジン200から出力された動力が、リングギヤR1を介して伝達される。また、第1モードと同様に、エンジン200から出力された動力を、キャリアC1及びサンギヤS1を介してMG1に伝達し、電力として回生することもできる。MG1の回生によって得られる電力は、バッテリ12に充電され、MG2の動力として利用される。このように、第2モードでは、エンジン200から出力された動力が、駆動軸500に直接出力されると共に、MG2の動力に変換され間接的に駆動軸500へと出力されることになる。
【0065】
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置の動作及びその効果について、図6を参照して説明する。ここに図6は、ハイブリッド車両の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0066】
図6において、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置では、第1モードで走行しているハイブリッド車両1において、モード変更指示部110からのモード変更要求が出されると(ステップS01:YES)、MG1回転数検出部120によってMG1の回転数が検出される(ステップS02)。検出されたMG1の回転数は、モード切替判定部140において所定の閾値である100rpm以下であるか否かが判定される(ステップS03)。
【0067】
ここで、MG1の回転数が100rpm以下でないと判定された場合(ステップS03:NO)、クラッチ回転数演算部130によってクラッチ710の回転数が演算される(ステップS04)。演算結果であるクラッチ710の回転数は、モード切替判定部140において所定の閾値以下であるか否かが判定される(ステップS05)。
【0068】
クラッチ710の回転数が所定の閾値以下でないと判定された場合(ステップS05:NO)、モード切替制御部150が、クラッチ710及びブレーキ720を制御することによって、動力伝達モードが切替えられる。具体的には、クラッチ710が係合されると共にブレーキ720がリングギヤR1を解放することで、第1モードから第2モードへと切替えられる(ステップS06)。
【0069】
他方で、MG1の回転数が100rpm以下であると判定された場合(ステップS03:YES)、及びクラッチ710の回転数が所定の閾値以下であると判定された場合(ステップS05:YES)には、モード切替判定部140によって、モード切替制御部150による動力伝達モードの切替動作が停止される。即ち、モード変更指示部110からのモード変更要求が出されていない場合(ステップS01:NO)と同様に扱われ、現在の動力伝達モードでの走行が維持される(ステップS07)。
【0070】
クラッチ710の回転数の検出は、回転数が低い場合に検出精度が低下してしまう傾向がある。よって、クラッチ710の回転数が低い場合には、正確な回転数を検出することが困難である。クラッチ710の回転数の検出精度が低いと、クラッチ710の係合を適切に行うことが困難となり、様々な問題が発生する。具体的には、変速時間の冗長、係合時におけるショックによるドライバビリティの低下、歯当たりに起因する係合部の寿命低下等が発生してしまうおそれがある。
【0071】
これに対し本実施形態では、上述したように、クラッチ710の回転数が所定の閾値以下である場合には、第1モードから第2モードへの動力伝達モードの切替えが停止される。即ち、クラッチ710の回転数が所定の閾値以下である場合には、クラッチ710の係合は行われない。よって、上述したクラッチ710係合時の不具合を好適に防止することができる。
【0072】
また本実施形態では、MG1の回転数に基づいてクラッチ710の回転数が演算されるが、MG1の回転数の検出においても、回転数が低い場合には検出精度が低下してしまうという傾向がある。よって、MG1の回転数が低い場合には、MG1の回転数を正確に検出することができず、結果的に、そこから推定されるクラッチの回転数も正確な値とはならない可能性が高い。従って、仮にクラッチ710の回転数が所定の閾値を超えている場合であっても、その値は正確ではないおそれがある。
【0073】
これに対し本実施形態では、MG1の回転数が100rpm以下である場合には、第1モードから第2モードへの動力伝達モードの切替えが停止される。即ち、クラッチ710の回転数が正確に検出されていない可能性を考慮して、クラッチ710の係合を行わないようにする。従って、クラッチ710係合時の不具合を確実に防止することができる。
【0074】
尚、クラッチ710の回転数及びMG1の回転数が低いうちは、第1モードが維持され続けるが、運転状況の変化によりクラッチ710の回転数及びMG1の回転数が十分に高くなった場合には、切替え停止は解除され、第1モードから第2モードへの切替動作が通常通り行われる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、クラッチ710及びブレーキ720を用いた動力伝達モードの切替えを好適に行うことが可能である。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
1…ハイブリッド車両、10…ハイブリッド駆動装置、11…PCU、12…バッテリ、13…アクセル開度センサ、14…車速センサ、100…ECU、110…モード変更指示部、120…MG1回転数検出部、130…クラッチ回転数演算部、140…モード切替判定部、150…モード切替制御部、200…エンジン、205…クランクシャフト、300…動力分割機構、310…サンギヤ軸、S1…サンギヤ、C1…キャリア、R1…リングギヤ、MG1…モータジェネレータ、MG2…モータジェネレータ、400…入力軸、500…駆動軸、600…減速機構、710…クラッチ、720…ブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電動機、第2電動機及び内燃機関を含む動力要素と、
前記動力要素からの動力を車軸に伝達する駆動軸と、
前記第1電動機に連結された第1回転要素、前記第2電動機及び前記駆動軸に夫々連結された第2回転要素、並びに前記内燃機関に連結された第3回転要素を含む相互に差動回転可能な複数の回転要素を有する動力伝達機構と、
前記第2回転要素の前記第2電動機及び前記駆動軸との連結を切り離し及び結合可能なクラッチと、
前記第2回転要素の固定及び解放が可能なブレーキと
を備えたハイブリッド車両を制御する装置であって、
前記クラッチにより前記第2回転要素の前記第2電動機及び前記駆動軸との連結を切り離すと共に前記ブレーキにより前記第2回転要素を固定する第1モード、及び前記クラッチにより前記第2回転要素の前記第2電動機及び前記駆動軸との連結を結合すると共に前記ブレーキにより前記第2回転要素を解放する第2モードの間で、動力伝達モードを切替える切替手段と、
前記クラッチの前記第2回転要素側の回転数を検出するクラッチ回転数検出手段と、
前記クラッチの前記第2回転要素側の回転数が第1所定値以下である場合に、前記第1モードから前記第2モードへの動力伝達モードの切替えを停止する切替停止手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記クラッチ回転数検出手段は、
前記第1電動機の回転数を検出する第1電動機回転数検出手段と、
前記第1電動機の回転数に基づいて、前記クラッチの前記第2回転要素側の回転数を推定する推定手段と
を有しており、
前記切替停止手段は、前記クラッチの前記第2回転要素側の回転数が第1所定値を超えている場合であっても、前記第1電動機の回転数が第2所定値以下である場合には、前記第1モードから前記第2モードへの動力伝達モードの切替えを停止する
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−35653(P2012−35653A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174584(P2010−174584)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】