ハイブリッド車両の駆動制御装置
【課題】ハイブリッド車両における燃費の向上を図る。
【解決手段】制御目標値を規定するための第1の情報(車速、道路勾配)と、制御目標値のスケジュールを規定して駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される計画有効区間を抽出するための第2の情報(区間長、道路勾配等)を一定距離毎に収集し(S200)、第2の情報に基づいて出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から計画有効区間を抽出し(S400)、第1の情報を用いて計画有効区間について低燃費となるような制御指標のスケジュールを規定し(S500)、駆動制御を行う。
【解決手段】制御目標値を規定するための第1の情報(車速、道路勾配)と、制御目標値のスケジュールを規定して駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される計画有効区間を抽出するための第2の情報(区間長、道路勾配等)を一定距離毎に収集し(S200)、第2の情報に基づいて出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から計画有効区間を抽出し(S400)、第1の情報を用いて計画有効区間について低燃費となるような制御指標のスケジュールを規定し(S500)、駆動制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定された制御指標に近づくようにエンジンとモータの駆動制御を行うハイブリッド車両の駆動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、車速等の走行履歴を予め定められた区間毎に収集して学習し、学習した走行履歴と目的地までの経路の道路状況とに基づいて目的地までの燃料消費量が最小となるように予め定められた区間毎に制御指標のスケジュールを設定し、この制御指標のスケジュールに従ってエンジンとモータを制御するようにしたハイブリッド車両の駆動制御装置がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−333305号公報
【特許文献2】特開2001−183150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された装置のように、出発地から目的地までの区間に対して燃料消費量が最小となるような制御指標のスケジュールを設定し、この制御指標のスケジュールに従ってエンジンとモータを制御する構成では、予め走行先の道路勾配等を考慮して制御指標のスケジュールを設定することにより、燃費の良好な走行を実現することが可能であるが、渋滞の影響等により目的地までの間に計画通りの走行ができない区間があると、かえって燃費が悪化してしまう場合があるといった問題が生じる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、ハイブリッド車両における燃費の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、エンジンとモータを走行用の動力源として走行するハイブリッド車両に搭載され、規定された制御指標に近づくようにエンジンとモータの駆動制御を行うハイブリッド車両の駆動制御装置であって、車両の走行に伴って、制御指標を規定するための第1の情報とともに、制御指標のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報を、予め定められた間隔毎に収集して記憶手段に記憶させる情報記憶手段と、記憶手段に記憶された第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出する区間抽出手段と、記憶手段に記憶された第1の情報を用いて、区間抽出手段により抽出された区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定して記憶手段に記憶させる制御指標記憶制御手段と、記憶手段に記憶された制御指標のスケジュールに従って駆動制御を行うアシスト制御処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、制御指標を規定するための第1の情報とともに、制御指標のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報を、予め定められた間隔毎に収集し、第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出し、第1の情報を用いて、抽出した区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定し、この制御指標のスケジュールに従って駆動制御が行われる。すなわち、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間については、エンジンの燃料消費量が少なくなるような制御指標のスケジュールが規定され、この制御指標のスケジュールに従って駆動制御が行われるが、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られないと推定される区間については、制御指標のスケジュールが規定されることなく、運転者が周辺車両の走行に合わせた低燃費走行を行うことができるので、ハイブリッド車両における燃費の向上を図ることができる。なお、第1の情報としては、道路勾配、車速、駆動動力等があり、第2の情報としては、区間長、道路勾配、区間内の走行時間、区間内の停車率、モータ3を駆動する電気負荷、車速等がある。
【0008】
また、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、請求項2に記載の発明のように、区間長が予め定められた閾値以上で、かつ、下り勾配で平均勾配が予め定められた閾値以下の区間とすることができ、請求項3に記載の発明のように、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、区間内の停車率が予め定められた閾値以上で、かつ、モータを駆動する電気負荷が予め定められた閾値以上の区間とすることができ、請求項4に記載の発明のように、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、平均車速が予め定められた閾値以下の区間とすることができる。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、区間抽出手段は、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するために用いる第2の情報について、当該第2の情報のばらつきの度合いが予め定められた閾値以下であることを判定した場合、当該第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出することを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するために用いる第2の情報のばらつきの度合いが予め定められた閾値以下であることを判定した場合に、当該第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間が抽出されるので、精度良く区間の抽出を行うことができる。
【0011】
また、請求項6に記載の発明のように、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、バッテリの充電量が予め定められた上限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前でバッテリの充電量が上昇した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間とすることができる。すなわち、第1区間でバッテリの充電量が予め定められた上限値に到達したままとならないように、バッテリの充電量が上昇した第2区間の直前の第3区間で計画的にバッテリの充電量を低下させることが可能であり、燃費を向上することが可能である。
【0012】
また、請求項7に記載の発明のように、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、バッテリの充電量が予め定められた下限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前でバッテリの充電量が下降した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間とすることができる。すなわち、第1区間でバッテリの充電量が予め定められた下限値に到達したままとならないように、バッテリの充電量が下降した第2区間の直前の第3区間で計画的にバッテリの充電量を上昇させることが可能であり、燃費を向上することが可能である。
【0013】
また、請求項8に記載の発明のように、制御指標記憶制御手段は、区間抽出手段により制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される新たな区間が抽出された場合、当該新たに抽出された区間を含めるようにして、エンジンの燃料消費量が少なくなるような制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定して記憶手段に記憶させるので、一定の燃費向上効果が得られると推定される区間の抽出確度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置に構成を示す図である。
【図2】ナビゲーションECUの構成を示す図である。
【図3】制御目標値記憶処理のフローチャートである。
【図4】データ収集処理のフローチャートである。
【図5】耐久記憶媒体に記憶された第1の情報の一例を表した図である。
【図6】計画効果判定処理のフローチャートである。
【図7】計画有効区間について説明するための図である。
【図8】充電計画作成処理のフローチャートである。
【図9】(a)は、計画有効区間において収集された車速および駆動動力の一例を示す図、(b)は、計画有効区間において道路識別子毎に決定された走行方法の一例を示す図である。
【図10】制御目標値学習処理のフローチャートである。
【図11】走行時処理のフローチャートのフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係る計画効果判定処理のフローチャートのフローチャートである。
【図13】第2実施形態に係る計画区間の抽出について説明するための図である。
【図14】第2実施形態に係る計画区間の抽出について説明するための図である。
【図15】第3実施形態に係る計画効果判定処理のフローチャートのフローチャートである。
【図16】第3実施形態に係る計画区間の抽出について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置を搭載した車両の概略構成を図1に概略的に示す。このハイブリッド車両には、内燃機関としてのエンジン1、発電機2、モータ3、差動装置4、タイヤ5a、5b、インバータ6、DCリンク7、インバータ8、バッテリ9、HV制御部10、GPS受信機11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、勾配センサ15およびナビゲーションECU20が搭載されている。
【0016】
このハイブリッド車両は、エンジン1およびモータ3を走行用の動力源として走行する。エンジン1を動力源とする場合は、エンジン1の回転力が、図示しないクラッチ機構および差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。また、モータ3を動力源とする場合は、バッテリ9の直流電力がDCリンク7およびインバータ8を介して交流電力に変換され、その交流電力によってモータ3が作動し、このモータ3の回転力が、差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。以下、エンジン1のみを動力源とする走行のモードをエンジン走行、モータ3のみを動力源とする走行のモードをモータ走行、エンジン1とモータ3の両方を動力源とする走行のモードをアシスト走行という。
【0017】
また、エンジン1の回転力は発電機2にも伝えられ、その回転力によって発電機2が交流電力を生成し、生成された交流電力はインバータ6、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。このようなバッテリ9への充電は、燃料を使用したエンジン1の作動による充電である。以下、この種の充電を、内燃充電という。
【0018】
また、図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ3に回転力として加わり、この回転力によってモータ3が交流電力を生成し、生成された交流電力がインバータ8、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。以下、この種の充電を、回生充電という。
【0019】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20からの指令等に応じて、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9の上述のような作動の実行・非実行等を制御する。HV制御部10は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現してもよいし、下記のような機能を実現するための専用の回路構成を有するハードウェアであってもよい。
【0020】
より具体的には、HV制御部10は、現在SOC、基準SOCという2つの値を記憶しており、また、以下の(A)、(B)の処理を行う。
(A)ナビゲーションECU20から入力される制御指標である制御目標値(目標SOC)に基づいて、基準SOCの値を変化させ、ハイブリッド車両のバッテリ9の充電量を目標SOCに近づけるように、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9等のアクチュエータを制御する。
(B)定期的に現在SOCをナビゲーションECU20に通知する。
【0021】
SOC(State of Charge)とは、バッテリの残量を表す指標であり、その値が高いほど残量が多い。現在SOCは、現在のバッテリ9のSOCを示す。HV制御部10は、この現在SOCの値を、逐次バッテリ9の状態を検出することで、繰り返し更新する。基準SOCは、HV制御部10にて発電/アシストを判断する制御目標値(例えば60パーセント)である。この値はナビゲーションECU20からの制御によって変更可能となっている。
【0022】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20から入力される制御目標値に基づいて、ハイブリッド車両の走行モードのエンジン走行、モータ走行、アシスト走行を切り替え、また、内燃充電の実行・非実行、回生充電の実行・非実行を切り替える制御を行う。本実施形態における制御目標値は目標SOCである。HV制御部10は、現在SOCがこの目標SOCおよびその近傍の値を維持するよう、走行方法の決定および決定した走行方法に基づくアクチュエータの制御を実行する。
【0023】
また、ナビゲーションECU20から制御目標値が入力されない場合、HV制御部10は、車速、アクセル開度等に応じた駆動制御を自律的に行う。
【0024】
GPS受信機11、方位センサ12、および車速センサ13は、それぞれ車両の位置、進行方向、走行速度を特定する周知のセンサである。
【0025】
勾配センサ15は、車両のピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の方位変化量を検出するジャイロセンサ(図示せず)を用いて構成されている。このジャイロセンサによって検出されるピッチ方向の方位変化量から道路勾配を算出することが可能となっている。
【0026】
地図DB記憶部14は、地図データを記憶する記憶媒体である。地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応するノードデータ、および、交差点と交差点を結ぶ道路区間すなわちリンクのそれぞれに対応するリンクデータを有している。1つのノードデータは、当該ノードの識別番号、所在位置情報、種別情報を含む。また、1つのリンクデータは、当該リンクの識別番号(以下、リンクIDという)、位置情報、種別情報等を含んでいる。
【0027】
ここで、リンクの位置情報には、当該リンクが含む形状補完点の所在位置データ、および、当該リンクの両端のノードおよび形状補完点のうち隣り合う2つを繋ぐセグメントのデータを含んでいる。各セグメントのデータは、当該セグメントのセグメントID、当該セグメントの勾配、向き、長さ等の情報を有している。
【0028】
図2に示す様に、ナビゲーションECU20は、RAM21、ROM22、データ書き込み可能な耐久記憶媒体23、および制御部24を有している。耐久記憶媒体とは、ナビゲーションECU20の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体23としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。
【0029】
制御部24は、ROM22または耐久記憶媒体23から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM21、ROM22、および耐久記憶媒体23から情報を読み出し、RAM21および耐久記憶媒体23に対して情報の書き込みを行い、HV制御部10、GPS受信機11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、勾配センサ15等と信号の授受を行う。
【0030】
具体的には、制御部24は、マップマッチング処理29、経路算出処理30、ナビゲーション処理40、制御目標値記憶処理100、走行時処理500等の処理を、所定のプログラムを実行することで実現する。
【0031】
マップマッチング処理29において、制御部24は、GPS受信機11、方位センサ12、車速センサ13から取得した位置情報等に基づいて、現在位置が地図DB記憶部14の地図中のどの道路上にいるかを判定する。
【0032】
経路算出処理30において、制御部24は、図示しない操作装置を用いたユーザによる目的地指定に基づいて、指定された目的地までの最適な経路を、地図データを用いて決定する。
【0033】
ナビゲーション処理40において、制御部24は、目的地点までの走行経路に沿ってハイブリッド車両を走行させるためのガイド表示を、図示しない画像表示装置、スピーカ等を用いて、ドライバに対して行う。
【0034】
制御目標値記憶処理100において、制御部24は、出発地から目的地に到達するまでの走行に伴って制御目標値(目標SOC)を規定するための情報(第1の情報)とともに、制御目標値のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための情報(第2の情報)を、一定距離毎に収集して耐久記憶媒体23に記憶させ、耐久記憶媒体23に記憶された第2の情報に基づいて、出発地から目的地に到達するための区間から、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される計画有効区間を抽出するとともに、耐久記憶媒体23に記憶された第1の情報を用いて、抽出した計画有効区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを予め定められた区間毎に規定し、この制御目標値のスケジュールを耐久記憶媒体23に記憶させる処理を行う。また、後述する図11に示す走行時処理において、次回、出発時に、出発地から目的地に到達するまでの区間が同一で、その区間に含まれる計画有効区間の制御目標値のスケジュールが耐久記憶媒体23に記憶されていることを判定すると、この耐久記憶媒体23に記憶した制御目標値のスケジュールに従ってエンジンとモータの駆動制御を行うことで、高い確度で規定された制御目標値のスケジュールに従った走行を行うことが可能となっている。
【0035】
図3に、制御目標値記憶処理100のフローチャートを示す。車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、本駆動制御装置は動作状態となり、制御部24は、各種処理を実施する。そして、制御部24は、乗員の操作に応じて図3に示す処理を実施する。
【0036】
まず、目的地を特定する(S102)。具体的には、目的地の入力を促す画面を表示させ、この画面に従って乗員の操作により指定された地点または施設を目的地として特定する。
【0037】
次に、走行情報を収集するデータ収集処理を実施する(S200)。このデータ収集処理S200のフローチャートを図4に示す。
【0038】
制御部24は、まず、走行情報を取得する(S202)。本実施形態では、道路リンク毎に、車速(km/h)、道路勾配(%)および駆動動力(W)を第1の情報として収集するとともに、道路勾配(%)、区間内の走行時間(秒)、区間内の停車率(%)、モータ3を駆動する電気負荷(W)、車速(km/h)を第2の情報として収集する。また、同時に、自車両が位置する道路の道路識別子を特定する。なお、区間内の停車率は、区間内での停車時間を、区間内での走行時間と停車時間の和で除算して求めることができる。
【0039】
次に、走行履歴を保存する(S204)。具体的には、自車両が位置する道路の道路識別子と関連付けて、S202にて収集した第1、第2の情報を耐久記憶媒体23に記憶させる。また、更に、現在SOCが予め定められた上限値に到達した場合には上限SOC到達フラグを、現在SOCが予め定められた下限値に到達した場合には下限SOC到達フラグを、自車両が位置する道路の道路識別子と関連付けて耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0040】
ここで、バッテリの充電量の上限値(例えば、75%)、下限値(例えば、40%)は、バッテリを保護するためにハイブリッド車両の駆動制御装置として規定されている値である。
【0041】
なお、HV制御部10は、バッテリの充電量が上限値を超えると、回生充電が可能な場合でもバッテリの充電を禁止し、バッテリの充電量が下限値未満となると、バッテリの強制充電を開始するようになっている。
【0042】
図5に、耐久記憶媒体23に記憶された第1の情報の一例を示す。なお、図中、駆動動力は省略してある。このように、耐久記憶媒体23には、区間毎に収集された車速、道路勾配、駆動動力、開始SOC、終了SOC、上限SOC到達フラグおよび下限SOC到達フラグが道路識別子と関連付けて記憶される。なお、道路識別子は、道路区間を識別するためのリンクIDあるいはセグメントIDである。
【0043】
図3の説明に戻り、次に、目的地に到着したか否かを判定する(S104)。具体的には、自車両の現在位置が目的地を基準とする一定範囲内に含まれるか否かに基づいて目的地に到着したか否かを判定する。
【0044】
自車両の現在位置が目的地を基準とする一定範囲内に含まれない場合、S104の判定はNOとなり、S200のデータ収集処理が繰り返される。すなわち、道路リンク毎に、車速、道路勾配および駆動動力が収集され、道路識別子と関連付けて耐久記憶媒体23に記憶する処理が繰り返される。
【0045】
そして、自車両の現在位置が目的地を基準とする一定範囲内に含まれると、S104の判定はYESとなり、次に、計画効果判定処理S300を実施する。この計画効果判定処理S300のフローチャートを図6に示す。この計画効果判定処理S300では、車両の走行に伴って収集した各情報に基づいて、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られるか否かを判定し、出発地から目的地に到達するまでの区間から、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出する。
【0046】
本実施形態では、以下の(1)〜(3)に示す区間を、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間とし、出発地から目的地に到達するまでの区間から、(1)〜(3)に該当する区間を抽出する。
【0047】
(1)区間長が予め定められた閾値以上で、かつ、下り勾配で平均勾配が予め定められた閾値以下の区間
(2)区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、区間内の停車率が予め定められた閾値以上で、かつ、モータ3を駆動する電気負荷が予め定められた閾値以上の区間
(3)区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、平均車速が予め定められた閾値以下の区間を、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間
つまり、S302にて、出発地から目的地に到達するまでの区間に(1)に該当する区間があるか否かを判定し、S304にて、出発地から目的地に到達するまでの区間に(2)に該当する区間があるか否かを判定し、S304にて、出発地から目的地に到達するまでの区間に(3)に該当する区間があるか否かを判定する。
【0048】
ここで、出発地から目的地に到達するまでの区間に、(1)〜(3)のいずれかに該当する区間がある場合、次に、(1)〜(3)の判定で用いた各情報(第2の情報に相当する)が確からしいか否かを判定する(S308)。本実施形態では、(1)〜(3)の判定で用いた各情報について、各情報のばらつきが予め定められた閾値未満か否かに基づいて確からしいか否かを判定する。例えば、S302にて、出発地から目的地に到達するまでの区間に(1)に該当する区間があると判定した場合、S302の判定で用いた情報、すなわち、区間長と平均勾配の各ばらつきが予め定められた閾値未満の場合に確からしいと判定する。
【0049】
そして、各情報のばらつきが予め定められた閾値未満となっている場合、(1)〜(3)に該当する区間を、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間(計画有効区間)として抽出し、耐久記憶媒体23に記憶させる(S310)。具体的には、出発地から目的地に到達するまでの区間と、その区間に含まれる計画有効区間を耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0050】
次に、車両の走行に伴って収集した各情報に基づいて、計画有効区間の開始SOCを決定し、計画有効区間の開始SOCを耐久記憶媒体23に記憶させ(S312)、本処理を終了する。
【0051】
図7に、上記した計画効果判定処理により抽出された計画有効区間の一例を示す。この図には、出発地から目的地に至る経路から、区間1〜区間3が計画有効区間として抽出された様子が示されている。
【0052】
図3の説明に戻り、次に、充電計画作成処理S400を実施する。この充電計画作成処理S400のフローチャートを図8に示す。この充電計画作成処理S400においては、計画区間内の充電計画として、当該区間内の車両の走行方法の予定を作成する。
【0053】
具体的には、まず、計画有効区間の開始SOCを耐久記憶媒体23から読み出し、計画有効区間を走行するのに必要なエネルギーを、車両の走行に伴って耐久記憶媒体23に記憶された走行情報に基づいて算出する(S402)。なお、必要なエネルギーの算出方法については周知(特開2001−183150号公報、「新エネルギー自動車の開発123〜124頁」CMC出版等参照)であるので、ここではその詳細についての説明は省略する。
【0054】
次に、耐久記憶媒体23に記憶された走行情報から道路区間毎に走行方法を決定する(S404)。具体的には、HV制御部10より基準SOCを取得し、この基準SOCと出発地から目的地に到着するまでの走行に伴って耐久記憶媒体23に記憶された走行情報とに基づき、計画有効区間について、発電効率およびアシスト効率を算出して回生充電、発電、アシストといった制御方法を道路区間毎に決定する。
【0055】
図9(a)に、図7に示した計画有効区間において収集された車速および駆動動力の一例を示す。また、図9(b)に、図7に示した計画有効区間について計画された制御スケジュールの一例を示す。
【0056】
次に、出発地から目的地に到着するまでの走行に伴って耐久記憶媒体23に記憶された走行情報に基づいて計画有効区間のSOC管理計画(制御指標のスケジュールに相当する)を作成する(S406)。すなわち、耐久記憶媒体23に記憶された制御目標値を規定するための情報(第1の情報)に基づいて計画有効区間のSOC管理計画を作成する。SOC管理計画は、目的地までの目標SOC(制御目標値)の推移を予想したものである。なお、この目標SOCの推移の予想については周知(特開2001−183150号公報、「新エネルギー自動車の開発123〜124頁」CMC出版等参照)であるので、ここではその詳細についての説明は省略する。図9(b)に、このような目標SOCの推移の予想の一例を示す。図に示すように、本実施形態では、計画区間における道路識別子に対応付けて目標SOCを規定したSOC管理計画が作成される。
【0057】
図3の説明に戻り、次に、制御目標値を学習して耐久記憶媒体23に記憶する制御目標値学習処理S500を実施する。この制御目標値学習処理のフローチャートを図10に示す。
【0058】
この制御目標値学習処理では、まず、道路区間毎に制御目標値を取得する(S502)。具体的には、SOC管理計画に道路識別子に対応付けて規定された各制御目標値(目標SOC)を耐久記憶媒体23から取得する。
【0059】
次に、道路区間毎に制御目標値学習情報の読み出しを行う(S504)。すなわち、同一計画区間における制御目標値が既に耐久記憶媒体23に記憶されている場合に、耐久記憶媒体23から同一計画区間における制御目標値の読み出しを行う。なお、同一計画区間における制御目標値が耐久記憶媒体23に記憶されていない場合には、制御目標値の読み出しを行うことなく、次のS506へ進む。
【0060】
S506では、道路区間毎に制御目標値の最適化を行う。同一計画区間における制御目標値が既に耐久記憶媒体23に記憶されている場合には、耐久記憶媒体23に記憶されている同一計画区間における制御目標値と、S502にて取得した制御目標値とを単純平均した値を新たな制御目標値とし、同一計画区間における制御目標値が耐久記憶媒体23に記憶されていない場合には、S502にて取得した制御目標値を新たな制御目標値とする。
【0061】
次に、この最適化した制御目標値を耐久記憶媒体23に記憶する(S508)。具体的には、出発地、目的地とともに道路識別子に対応付けて規定された各制御目標値(目標SOC)を耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0062】
図11に、走行時処理のフローチャートを示す。制御部24は、乗員の操作に応じて図11に示す処理を実施する。
【0063】
まず、計画区間を特定する(S602)。具体的には、乗員の操作に応じて目的地が特定されると、車両の現在位置から目的地までの経路を計画区間として特定する。
【0064】
次に、学習情報があるか否かを判定する(S604)。具体的には、出発地から目的地に到達するまでの区間が同一で、その区間に含まれる計画有効区間のSOC管理計画が耐久記憶媒体23に記憶されているか否かに基づいて学習情報があるか否かを判定する。
【0065】
ここで、出発地から目的地に到達するまでの区間が同一で、その区間に含まれる計画有効区間のSOC管理計画が耐久記憶媒体23に記憶されている場合、S604の判定はYESとなり、次に、制御目標値を読み出す(S606)。具体的には、耐久記憶媒体23から計画有効区間のSOC管理計画に規定されている各区間の制御目標値を耐久記憶媒体23から読み出す。
【0066】
次に、車両の現在位置における制御目標値をHV制御部へ通知する(S608)。車両が計画有効区間内に位置する場合には、車両の現在位置における制御目標値をHV制御部へ通知し、車両が計画有効区間内に位置しない場合には、制御目標値の通知を中断する。この場合、HV制御部10は、バッテリ9の充電量がこの制御目標値に近づくように駆動制御を行う。
【0067】
S610では、制御目標値に近づくように現在SOCが推移しているか否かに基づいてバッテリ9の充電量が計画通りに推移しているか否かを判定する。
【0068】
ここで、制御目標値に近づくように現在SOCが推移している場合、S610の判定はYESとなり、次に、車両が目的地を基準とする所定範囲内に到達したか否かに基づいて車両が目的地に到着したか否かを判定する(S614)。
【0069】
ここで、車両が目的地を基準とする所定範囲内に到達していない場合、S614の判定はNOとなり、S606へ戻る。
【0070】
また、制御目標値に近づくように現在SOCが推移していない場合、S610の判定はNOとなり、車両が目的地を基準とする所定範囲内に到達する前であっても、駆動制御を中止する(S612)。具体的には、制御目標値の通知を中止する。この場合、HV制御部10は、バッテリ9の充電量がこの制御目標値に近づくように駆動制御を行う。
【0071】
そして、車両が目的地を基準とする所定範囲内に到達すると、S614の判定はYESとなり、本処理を終了する。
【0072】
上記した構成によれば、制御目標値を規定するための第1の情報とともに、制御目標値のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報を、予め定められた間隔毎に収集し、第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出し、第1の情報を用いて、抽出した区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを予め定められた区間毎に規定し、この制御目標値のスケジュールに従って駆動制御が行われる。すなわち、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間については、エンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールが規定され、この制御目標値のスケジュールに従って駆動制御が行われるが、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られないと推定される区間については、制御目標値のスケジュールが規定されることなく、運転者が周辺車両の走行に合わせた低燃費走行を行うことができるので、ハイブリッド車両における燃費の向上を図ることができる。なお、第1の情報としては、道路勾配、車速、駆動動力等があり、第2の情報としては、区間長、道路勾配、区間内の走行時間、区間内の停車率、モータ3を駆動する電気負荷、車速等がある。また、予め定められた間隔は、地図データから得られる道路リンク、一定距離、一定時間等とすることができる。また、抽出した区間の集合は、例えば、道路リンクの集合とすることができる。
【0073】
また、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、区間長が予め定められた閾値以上で、かつ、下り勾配で平均勾配が予め定められた閾値以下の区間とすることができ、また、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、区間内の停車率が予め定められた閾値以上で、かつ、モータを駆動する電気負荷が予め定められた閾値以上の区間とすることができ、また、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、平均車速が予め定められた閾値以下の区間とすることができる。
【0074】
また、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するために用いる第2の情報のばらつきの度合いが予め定められた閾値以下であることを判定した場合に、当該第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間が抽出されるので、精度良く区間の抽出を行うことができる。
【0075】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、区間長、道路勾配等を第2の情報として、図6に示した計画効果判定処理を実施したが、本実施形態では、山岳道路等の勾配の大きな道路の走行を想定し、回生充電が可能な下り坂で回生電力を効率よく取り込むため、SOCを第2の情報として、下り坂の手前で計画的にSOCを低下させるように計画有効区間を抽出する計画効果判定処理を実施する。
【0076】
本実施形態に係る計画効果判定処理を図12に示す。この計画効果判定処理では、まず、出発地から目的地に到達するまでの区間に、車両の走行に伴って収集したSOCが予め定められた上限値に到達した区間があるか否かを判定する(S700)。具体的には、耐久記憶媒体23に記憶された上限SOC到達フラグを参照して出発地から目的地に到達するまでの区間に、上限SOC到達フラグが記憶された区間があるか否かを判定する。
【0077】
ここで、出発地から目的地に到達するまでの区間に、上限SOC到達フラグが記憶された区間がない場合、S700の判定はNOとなり、本処理を終了する。
【0078】
また、図13に示すように、出発地から目的地に到達するまでの区間に、SOCが上限SOCに到達した区間、すなわち、上限SOC到達フラグが記憶された区間がある場合、S700の判定はYESとなり、次に、第1区間を抽出する(S702)。具体的には、上限SOC到達フラグが記憶された区間を第1区間として抽出する。
【0079】
なお、この第1区間は、SOCが上限に到達し、回生電力を取りこぼしている区間である。具体的には、下り坂の走行区間である。したがって、この第1区間の区間長が長くなるほど回生電力の取りこぼしが大きくなり、燃費は低下することになる。
【0080】
次に、第1区間の手前のバッテリの充電量(SOC)が上昇している区間(第2区間)を抽出する(S704)。具体的には、第1区間の直前で、バッテリの充電量(SOC)が上昇している第2区間を抽出する。例えば、バッテリの充電量(SOC)が上昇する区間が連続する複数リンクに跨る場合、第2区間は、連続する複数リンクに跨る区間となる。
【0081】
なお、この第2区間は、回生電力により、SOCが上昇する区間である。具体的には、第1区間と同様の下り坂の走行区間である。
【0082】
次に、第2区間の手前の一定距離を含む区間(第3区間)を抽出する(S706)。具体的には、第2区間の直前で、第2区間の開始点より一定距離含む第3区間を抽出する。ここでも、第2区間の直前で、第2区間の開始点より一定距離含む区間が連続する複数リンクに跨る場合、第3区間は、連続する複数リンクに跨る区間となる。なお、第2区間の手前の一定距離は、車両がモータを動力源として走行したときに下限SOC未満とならない距離として特定される。
【0083】
なお、この第3区間は、第1、第2区間での回生充電によるSOCの上昇に備え、モータ走行を実施してSOCを低下させる区間である。この第3区間は、平坦であっても、上り坂であってもよい。なお、第3区間でモータ走行を実施して計画的にSOCを低下させることにより、第1区間で回生電力の取りこぼしを少なくすることができ、燃費を向上することが可能となる。
【0084】
次に、第1〜第3区間を、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間(計画有効区間)として抽出し、耐久記憶媒体23に記憶させる(S708)。具体的には、出発地から目的地に到達するまでの区間と、その区間に含まれる計画有効区間を耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0085】
次に、車両の走行に伴って収集した各情報に基づいて、計画有効区間の開始SOCを決定し、計画有効区間の開始SOCを耐久記憶媒体23に記憶させ(S710)、本処理を終了する。
【0086】
上記した計画効果判定処理を実施した後、この計画効果判定処理で抽出された計画有効区間に対し、図8に示した充電計画作成処理を実施する。
【0087】
ここで、図13において、第1区間でSOCが上限SOCに到達したままとなって回生電力の取りこぼしが発生することのないように、バッテリの充電量が上昇した第2区間の直前の第3区間でモータ走行を実施して計画的にSOCを低下させるように充電計画を作成する。
【0088】
上記したように、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、バッテリの充電量が予め定められた上限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前でバッテリの充電量が上昇した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間とすることができる。すなわち、第1区間でバッテリの充電量が予め定められた上限値に到達したままとならないように、バッテリの充電量が上昇した第2区間の直前の第3区間で計画的にバッテリの充電量を低下させることが可能であり、燃費を向上することが可能である。
【0089】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、SOCが低下する渋滞区間でバッテリの強制充電が開始されるのを避けるため、SOCを第2の情報として、渋滞区間の手前で計画的にSOCを低下させるように計画効果判定処理を実施する。
【0090】
本実施形態に係る計画効果判定処理を図14に示す。この計画効果判定処理では、まず、出発地から目的地に到達するまでの区間に、車両の走行に伴って収集したSOCが予め定められた下限値に到達した区間があるか否かを判定する(S800)。具体的には、耐久記憶媒体23に記憶された下限SOC到達フラグを参照して出発地から目的地に到達するまでの区間に、下限SOC到達フラグが記憶された区間があるか否かを判定する。
【0091】
ここで、出発地から目的地に到達するまでの区間に、下限SOC到達フラグが記憶された区間がない場合、S800の判定はNOとなり、本処理を終了する。
【0092】
また、図15に示すように、出発地から目的地に到達するまでの区間に、SOCが下限SOCに到達した区間、すなわち、下限SOC到達フラグが記憶された区間がある場合、S800の判定はYESとなり、次に、第4区間を抽出する(S802)。具体的には、下限SOC到達フラグが記憶された区間を第4区間として抽出する。
【0093】
なお、この第4区間は、渋滞等によりSOCが下限に到達し、強制発電が開始される区間である。渋滞等により停車または低速走行した状態で強制発電が開始されると燃費は悪化する。
【0094】
次に、第4区間の手前のバッテリの充電量(SOC)が低下している区間(第5区間)を抽出する(S804)。具体的には、第4区間の直前で、バッテリの充電量(SOC)が低下している第5区間を抽出する。
【0095】
次に、第5区間の手前の一定距離を含む区間(第6区間)を抽出する(S806)。具体的には、第5区間の直前で、第5区間の開始点より一定距離含む第6区間を抽出する。なお、第5区間の手前の一定距離は、車両がエンジンを動力源として走行したときに上限SOC以上とならない距離として特定される。
【0096】
なお、この第6区間は、第4、第5区間での回生充電によるSOCの上昇に備え、モータ走行を実施してSOCを低下させる区間である。なお、第6区間でエンジン走行を実施して計画的にバッテリを充電してSOCを上昇させることにより、第4区間で渋滞等によりバッテリの強制充電が開始されるのを回避することが可能となる。
【0097】
次に、第4〜第6区間を、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間(計画有効区間)として抽出し、耐久記憶媒体23に記憶させる(S808)。具体的には、出発地から目的地に到達するまでの区間と、その区間に含まれる計画有効区間を耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0098】
次に、車両の走行に伴って収集した各情報に基づいて、計画有効区間の開始SOCを決定し、計画有効区間の開始SOCを耐久記憶媒体23に記憶させ(S810)、本処理を終了する。
【0099】
上記した計画効果判定処理を実施した後、この計画効果判定処理で抽出された計画有効区間に対し、図8に示した充電計画作成処理を実施する。
【0100】
ここで、図13において、第1区間でSOCが上限SOCに到達したままとなり、回生電力の取りこぼしが発生しないように、第3区間でモータ走行を実施して計画的にSOCを低下させるように充電計画を作成する。
【0101】
上記したように、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、バッテリの充電量が予め定められた下限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前でバッテリの充電量が下降した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間とすることができる。すなわち、第1区間でバッテリの充電量が予め定められた下限値に到達したままとならないように、バッテリの充電量が下降した第2区間の直前の第3区間で計画的にバッテリの充電量を上昇させることが可能であり、燃費を向上することが可能である。
【0102】
(その他の実施形態)
上記第1〜第3実施形態では、第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、目標SOCのスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出し、第1の情報を用いて、抽出された区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような目標SOCのスケジュールを予め定められた区間毎に規定したが、第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、目標SOCのスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を新たに抽出した場合、この新たに抽出した区間を含むように、第1の情報を用いて、抽出された区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような目標SOCのスケジュールを予め定められた区間毎に規定するようにしてもよい。例えば、図16に示すように、走行データ1を収集した後、走行データ2〜走行データ5を収集し、これらの走行データ2〜走行データ5から新たな計画有効区間が抽出された場合、これらの新たに抽出された計画有効区間を、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間(全計画有効区間)に含ませるようにして、エンジンの燃料消費量が少なくなるような目標SOCのスケジュールを予め定められた区間毎に規定するようにしてもよい。これにより、一定の燃費向上効果が得られると推定される区間の抽出確度を高めることができる。
【0103】
また、上記第1実施形態では、車両の走行に伴って、制御目標値を規定するための第1の情報として、車速、道路勾配、駆動動力を収集し、この第1の情報を用いて、計画有効区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを予め定められた区間毎に規定したが、車速、道路勾配、駆動動力以外の情報を用いて、計画有効区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを予め定められた区間毎に規定しても良い。
【0104】
また、上記第1実施形態では、制御目標値のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報として、区間長、道路勾配、区間内の走行時間、区間内の停車率、モータ3を駆動する電気負荷、車速を収集し、この第2の情報に基づいて、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される計画有効区間を抽出したが、上記した第2の情報以外の情報に基づいて計画有効区間を抽出してもよい。
【0105】
また、上記第1、第2実施形態では、走行終了時に、車両の走行に伴って収集した第1、第2の情報に基づいて計画有効区間についての制御目標値のスケジュールを規定して耐久記憶媒体23に記憶させ、次回走行開始時に、耐久記憶媒体23に記憶された計画有効区間についての制御目標値のスケジュールに従って駆動制御を実施したが、例えば、車両の走行に伴って収集した第1、第2の情報を予め定められた距離毎に学習し、学習した第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、計画有効区間を抽出し、学習した第1の情報を用いて、計画有効区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを規定するようにしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、制御目標値を規定するための走行情報を一定距離毎に収集して耐久記憶媒体23に記憶させる例を示したが、例えば、制御目標値を規定するための走行情報を予め定められた時間毎に収集して耐久記憶媒体23に記憶させるようにしてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、モータに電力を供給するバッテリの充電量の制御目標値(目標SOC)を制御指標として、制御指標のスケジュールを規定する例を示したが、バッテリの充電量の目標SOC以外のデータを制御指標として制御指標のスケジュールを規定してもよい。つまり、ある区間に進入する時のSOCを「B」、退出する時のSOCを「C」とした場合に、区間中の制御でSOCをBからCに推移させることができる制御指標であればバッテリの充電量以外のデータであってもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、図7に示したように、出発地から目的地に至る経路から区間1〜区間3を計画有効区間として抽出したが、例えば、出発地から目的地に至る経路から、区間1と区間3といったように、連続していない区間を計画有効区間として別々に抽出するようにしてもよい。
【0109】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、耐久記憶媒体23が記憶手段に相当し、S200が情報記憶手段に相当し、S302〜S310が区間抽出手段に相当し、S400、S500が制御指標記憶制御手段に相当し、S600がアシスト制御処理手段に相当する。
【符号の説明】
【0110】
1 駆動制御装置
2 発電機
3 モータ
4 差動装置
5a タイヤ
5b タイヤ
6 インバータ
7 DCリンク
8 インバータ
9 バッテリ
10 HV制御部
11 GPSセンサ
12 方位センサ
13 車速センサ
14 地図DB記憶部
15 加速度センサ
20 ナビゲーションECU
21 RAM
22 ROM
23 耐久記憶媒体
24 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定された制御指標に近づくようにエンジンとモータの駆動制御を行うハイブリッド車両の駆動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、車速等の走行履歴を予め定められた区間毎に収集して学習し、学習した走行履歴と目的地までの経路の道路状況とに基づいて目的地までの燃料消費量が最小となるように予め定められた区間毎に制御指標のスケジュールを設定し、この制御指標のスケジュールに従ってエンジンとモータを制御するようにしたハイブリッド車両の駆動制御装置がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−333305号公報
【特許文献2】特開2001−183150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された装置のように、出発地から目的地までの区間に対して燃料消費量が最小となるような制御指標のスケジュールを設定し、この制御指標のスケジュールに従ってエンジンとモータを制御する構成では、予め走行先の道路勾配等を考慮して制御指標のスケジュールを設定することにより、燃費の良好な走行を実現することが可能であるが、渋滞の影響等により目的地までの間に計画通りの走行ができない区間があると、かえって燃費が悪化してしまう場合があるといった問題が生じる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、ハイブリッド車両における燃費の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、エンジンとモータを走行用の動力源として走行するハイブリッド車両に搭載され、規定された制御指標に近づくようにエンジンとモータの駆動制御を行うハイブリッド車両の駆動制御装置であって、車両の走行に伴って、制御指標を規定するための第1の情報とともに、制御指標のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報を、予め定められた間隔毎に収集して記憶手段に記憶させる情報記憶手段と、記憶手段に記憶された第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出する区間抽出手段と、記憶手段に記憶された第1の情報を用いて、区間抽出手段により抽出された区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定して記憶手段に記憶させる制御指標記憶制御手段と、記憶手段に記憶された制御指標のスケジュールに従って駆動制御を行うアシスト制御処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、制御指標を規定するための第1の情報とともに、制御指標のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報を、予め定められた間隔毎に収集し、第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出し、第1の情報を用いて、抽出した区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定し、この制御指標のスケジュールに従って駆動制御が行われる。すなわち、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間については、エンジンの燃料消費量が少なくなるような制御指標のスケジュールが規定され、この制御指標のスケジュールに従って駆動制御が行われるが、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られないと推定される区間については、制御指標のスケジュールが規定されることなく、運転者が周辺車両の走行に合わせた低燃費走行を行うことができるので、ハイブリッド車両における燃費の向上を図ることができる。なお、第1の情報としては、道路勾配、車速、駆動動力等があり、第2の情報としては、区間長、道路勾配、区間内の走行時間、区間内の停車率、モータ3を駆動する電気負荷、車速等がある。
【0008】
また、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、請求項2に記載の発明のように、区間長が予め定められた閾値以上で、かつ、下り勾配で平均勾配が予め定められた閾値以下の区間とすることができ、請求項3に記載の発明のように、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、区間内の停車率が予め定められた閾値以上で、かつ、モータを駆動する電気負荷が予め定められた閾値以上の区間とすることができ、請求項4に記載の発明のように、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、平均車速が予め定められた閾値以下の区間とすることができる。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、区間抽出手段は、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するために用いる第2の情報について、当該第2の情報のばらつきの度合いが予め定められた閾値以下であることを判定した場合、当該第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出することを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するために用いる第2の情報のばらつきの度合いが予め定められた閾値以下であることを判定した場合に、当該第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間が抽出されるので、精度良く区間の抽出を行うことができる。
【0011】
また、請求項6に記載の発明のように、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、バッテリの充電量が予め定められた上限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前でバッテリの充電量が上昇した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間とすることができる。すなわち、第1区間でバッテリの充電量が予め定められた上限値に到達したままとならないように、バッテリの充電量が上昇した第2区間の直前の第3区間で計画的にバッテリの充電量を低下させることが可能であり、燃費を向上することが可能である。
【0012】
また、請求項7に記載の発明のように、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、バッテリの充電量が予め定められた下限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前でバッテリの充電量が下降した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間とすることができる。すなわち、第1区間でバッテリの充電量が予め定められた下限値に到達したままとならないように、バッテリの充電量が下降した第2区間の直前の第3区間で計画的にバッテリの充電量を上昇させることが可能であり、燃費を向上することが可能である。
【0013】
また、請求項8に記載の発明のように、制御指標記憶制御手段は、区間抽出手段により制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される新たな区間が抽出された場合、当該新たに抽出された区間を含めるようにして、エンジンの燃料消費量が少なくなるような制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定して記憶手段に記憶させるので、一定の燃費向上効果が得られると推定される区間の抽出確度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置に構成を示す図である。
【図2】ナビゲーションECUの構成を示す図である。
【図3】制御目標値記憶処理のフローチャートである。
【図4】データ収集処理のフローチャートである。
【図5】耐久記憶媒体に記憶された第1の情報の一例を表した図である。
【図6】計画効果判定処理のフローチャートである。
【図7】計画有効区間について説明するための図である。
【図8】充電計画作成処理のフローチャートである。
【図9】(a)は、計画有効区間において収集された車速および駆動動力の一例を示す図、(b)は、計画有効区間において道路識別子毎に決定された走行方法の一例を示す図である。
【図10】制御目標値学習処理のフローチャートである。
【図11】走行時処理のフローチャートのフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係る計画効果判定処理のフローチャートのフローチャートである。
【図13】第2実施形態に係る計画区間の抽出について説明するための図である。
【図14】第2実施形態に係る計画区間の抽出について説明するための図である。
【図15】第3実施形態に係る計画効果判定処理のフローチャートのフローチャートである。
【図16】第3実施形態に係る計画区間の抽出について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置を搭載した車両の概略構成を図1に概略的に示す。このハイブリッド車両には、内燃機関としてのエンジン1、発電機2、モータ3、差動装置4、タイヤ5a、5b、インバータ6、DCリンク7、インバータ8、バッテリ9、HV制御部10、GPS受信機11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、勾配センサ15およびナビゲーションECU20が搭載されている。
【0016】
このハイブリッド車両は、エンジン1およびモータ3を走行用の動力源として走行する。エンジン1を動力源とする場合は、エンジン1の回転力が、図示しないクラッチ機構および差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。また、モータ3を動力源とする場合は、バッテリ9の直流電力がDCリンク7およびインバータ8を介して交流電力に変換され、その交流電力によってモータ3が作動し、このモータ3の回転力が、差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。以下、エンジン1のみを動力源とする走行のモードをエンジン走行、モータ3のみを動力源とする走行のモードをモータ走行、エンジン1とモータ3の両方を動力源とする走行のモードをアシスト走行という。
【0017】
また、エンジン1の回転力は発電機2にも伝えられ、その回転力によって発電機2が交流電力を生成し、生成された交流電力はインバータ6、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。このようなバッテリ9への充電は、燃料を使用したエンジン1の作動による充電である。以下、この種の充電を、内燃充電という。
【0018】
また、図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ3に回転力として加わり、この回転力によってモータ3が交流電力を生成し、生成された交流電力がインバータ8、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。以下、この種の充電を、回生充電という。
【0019】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20からの指令等に応じて、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9の上述のような作動の実行・非実行等を制御する。HV制御部10は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現してもよいし、下記のような機能を実現するための専用の回路構成を有するハードウェアであってもよい。
【0020】
より具体的には、HV制御部10は、現在SOC、基準SOCという2つの値を記憶しており、また、以下の(A)、(B)の処理を行う。
(A)ナビゲーションECU20から入力される制御指標である制御目標値(目標SOC)に基づいて、基準SOCの値を変化させ、ハイブリッド車両のバッテリ9の充電量を目標SOCに近づけるように、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9等のアクチュエータを制御する。
(B)定期的に現在SOCをナビゲーションECU20に通知する。
【0021】
SOC(State of Charge)とは、バッテリの残量を表す指標であり、その値が高いほど残量が多い。現在SOCは、現在のバッテリ9のSOCを示す。HV制御部10は、この現在SOCの値を、逐次バッテリ9の状態を検出することで、繰り返し更新する。基準SOCは、HV制御部10にて発電/アシストを判断する制御目標値(例えば60パーセント)である。この値はナビゲーションECU20からの制御によって変更可能となっている。
【0022】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20から入力される制御目標値に基づいて、ハイブリッド車両の走行モードのエンジン走行、モータ走行、アシスト走行を切り替え、また、内燃充電の実行・非実行、回生充電の実行・非実行を切り替える制御を行う。本実施形態における制御目標値は目標SOCである。HV制御部10は、現在SOCがこの目標SOCおよびその近傍の値を維持するよう、走行方法の決定および決定した走行方法に基づくアクチュエータの制御を実行する。
【0023】
また、ナビゲーションECU20から制御目標値が入力されない場合、HV制御部10は、車速、アクセル開度等に応じた駆動制御を自律的に行う。
【0024】
GPS受信機11、方位センサ12、および車速センサ13は、それぞれ車両の位置、進行方向、走行速度を特定する周知のセンサである。
【0025】
勾配センサ15は、車両のピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の方位変化量を検出するジャイロセンサ(図示せず)を用いて構成されている。このジャイロセンサによって検出されるピッチ方向の方位変化量から道路勾配を算出することが可能となっている。
【0026】
地図DB記憶部14は、地図データを記憶する記憶媒体である。地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応するノードデータ、および、交差点と交差点を結ぶ道路区間すなわちリンクのそれぞれに対応するリンクデータを有している。1つのノードデータは、当該ノードの識別番号、所在位置情報、種別情報を含む。また、1つのリンクデータは、当該リンクの識別番号(以下、リンクIDという)、位置情報、種別情報等を含んでいる。
【0027】
ここで、リンクの位置情報には、当該リンクが含む形状補完点の所在位置データ、および、当該リンクの両端のノードおよび形状補完点のうち隣り合う2つを繋ぐセグメントのデータを含んでいる。各セグメントのデータは、当該セグメントのセグメントID、当該セグメントの勾配、向き、長さ等の情報を有している。
【0028】
図2に示す様に、ナビゲーションECU20は、RAM21、ROM22、データ書き込み可能な耐久記憶媒体23、および制御部24を有している。耐久記憶媒体とは、ナビゲーションECU20の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体23としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。
【0029】
制御部24は、ROM22または耐久記憶媒体23から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM21、ROM22、および耐久記憶媒体23から情報を読み出し、RAM21および耐久記憶媒体23に対して情報の書き込みを行い、HV制御部10、GPS受信機11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、勾配センサ15等と信号の授受を行う。
【0030】
具体的には、制御部24は、マップマッチング処理29、経路算出処理30、ナビゲーション処理40、制御目標値記憶処理100、走行時処理500等の処理を、所定のプログラムを実行することで実現する。
【0031】
マップマッチング処理29において、制御部24は、GPS受信機11、方位センサ12、車速センサ13から取得した位置情報等に基づいて、現在位置が地図DB記憶部14の地図中のどの道路上にいるかを判定する。
【0032】
経路算出処理30において、制御部24は、図示しない操作装置を用いたユーザによる目的地指定に基づいて、指定された目的地までの最適な経路を、地図データを用いて決定する。
【0033】
ナビゲーション処理40において、制御部24は、目的地点までの走行経路に沿ってハイブリッド車両を走行させるためのガイド表示を、図示しない画像表示装置、スピーカ等を用いて、ドライバに対して行う。
【0034】
制御目標値記憶処理100において、制御部24は、出発地から目的地に到達するまでの走行に伴って制御目標値(目標SOC)を規定するための情報(第1の情報)とともに、制御目標値のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための情報(第2の情報)を、一定距離毎に収集して耐久記憶媒体23に記憶させ、耐久記憶媒体23に記憶された第2の情報に基づいて、出発地から目的地に到達するための区間から、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される計画有効区間を抽出するとともに、耐久記憶媒体23に記憶された第1の情報を用いて、抽出した計画有効区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを予め定められた区間毎に規定し、この制御目標値のスケジュールを耐久記憶媒体23に記憶させる処理を行う。また、後述する図11に示す走行時処理において、次回、出発時に、出発地から目的地に到達するまでの区間が同一で、その区間に含まれる計画有効区間の制御目標値のスケジュールが耐久記憶媒体23に記憶されていることを判定すると、この耐久記憶媒体23に記憶した制御目標値のスケジュールに従ってエンジンとモータの駆動制御を行うことで、高い確度で規定された制御目標値のスケジュールに従った走行を行うことが可能となっている。
【0035】
図3に、制御目標値記憶処理100のフローチャートを示す。車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、本駆動制御装置は動作状態となり、制御部24は、各種処理を実施する。そして、制御部24は、乗員の操作に応じて図3に示す処理を実施する。
【0036】
まず、目的地を特定する(S102)。具体的には、目的地の入力を促す画面を表示させ、この画面に従って乗員の操作により指定された地点または施設を目的地として特定する。
【0037】
次に、走行情報を収集するデータ収集処理を実施する(S200)。このデータ収集処理S200のフローチャートを図4に示す。
【0038】
制御部24は、まず、走行情報を取得する(S202)。本実施形態では、道路リンク毎に、車速(km/h)、道路勾配(%)および駆動動力(W)を第1の情報として収集するとともに、道路勾配(%)、区間内の走行時間(秒)、区間内の停車率(%)、モータ3を駆動する電気負荷(W)、車速(km/h)を第2の情報として収集する。また、同時に、自車両が位置する道路の道路識別子を特定する。なお、区間内の停車率は、区間内での停車時間を、区間内での走行時間と停車時間の和で除算して求めることができる。
【0039】
次に、走行履歴を保存する(S204)。具体的には、自車両が位置する道路の道路識別子と関連付けて、S202にて収集した第1、第2の情報を耐久記憶媒体23に記憶させる。また、更に、現在SOCが予め定められた上限値に到達した場合には上限SOC到達フラグを、現在SOCが予め定められた下限値に到達した場合には下限SOC到達フラグを、自車両が位置する道路の道路識別子と関連付けて耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0040】
ここで、バッテリの充電量の上限値(例えば、75%)、下限値(例えば、40%)は、バッテリを保護するためにハイブリッド車両の駆動制御装置として規定されている値である。
【0041】
なお、HV制御部10は、バッテリの充電量が上限値を超えると、回生充電が可能な場合でもバッテリの充電を禁止し、バッテリの充電量が下限値未満となると、バッテリの強制充電を開始するようになっている。
【0042】
図5に、耐久記憶媒体23に記憶された第1の情報の一例を示す。なお、図中、駆動動力は省略してある。このように、耐久記憶媒体23には、区間毎に収集された車速、道路勾配、駆動動力、開始SOC、終了SOC、上限SOC到達フラグおよび下限SOC到達フラグが道路識別子と関連付けて記憶される。なお、道路識別子は、道路区間を識別するためのリンクIDあるいはセグメントIDである。
【0043】
図3の説明に戻り、次に、目的地に到着したか否かを判定する(S104)。具体的には、自車両の現在位置が目的地を基準とする一定範囲内に含まれるか否かに基づいて目的地に到着したか否かを判定する。
【0044】
自車両の現在位置が目的地を基準とする一定範囲内に含まれない場合、S104の判定はNOとなり、S200のデータ収集処理が繰り返される。すなわち、道路リンク毎に、車速、道路勾配および駆動動力が収集され、道路識別子と関連付けて耐久記憶媒体23に記憶する処理が繰り返される。
【0045】
そして、自車両の現在位置が目的地を基準とする一定範囲内に含まれると、S104の判定はYESとなり、次に、計画効果判定処理S300を実施する。この計画効果判定処理S300のフローチャートを図6に示す。この計画効果判定処理S300では、車両の走行に伴って収集した各情報に基づいて、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られるか否かを判定し、出発地から目的地に到達するまでの区間から、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出する。
【0046】
本実施形態では、以下の(1)〜(3)に示す区間を、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間とし、出発地から目的地に到達するまでの区間から、(1)〜(3)に該当する区間を抽出する。
【0047】
(1)区間長が予め定められた閾値以上で、かつ、下り勾配で平均勾配が予め定められた閾値以下の区間
(2)区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、区間内の停車率が予め定められた閾値以上で、かつ、モータ3を駆動する電気負荷が予め定められた閾値以上の区間
(3)区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、平均車速が予め定められた閾値以下の区間を、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間
つまり、S302にて、出発地から目的地に到達するまでの区間に(1)に該当する区間があるか否かを判定し、S304にて、出発地から目的地に到達するまでの区間に(2)に該当する区間があるか否かを判定し、S304にて、出発地から目的地に到達するまでの区間に(3)に該当する区間があるか否かを判定する。
【0048】
ここで、出発地から目的地に到達するまでの区間に、(1)〜(3)のいずれかに該当する区間がある場合、次に、(1)〜(3)の判定で用いた各情報(第2の情報に相当する)が確からしいか否かを判定する(S308)。本実施形態では、(1)〜(3)の判定で用いた各情報について、各情報のばらつきが予め定められた閾値未満か否かに基づいて確からしいか否かを判定する。例えば、S302にて、出発地から目的地に到達するまでの区間に(1)に該当する区間があると判定した場合、S302の判定で用いた情報、すなわち、区間長と平均勾配の各ばらつきが予め定められた閾値未満の場合に確からしいと判定する。
【0049】
そして、各情報のばらつきが予め定められた閾値未満となっている場合、(1)〜(3)に該当する区間を、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間(計画有効区間)として抽出し、耐久記憶媒体23に記憶させる(S310)。具体的には、出発地から目的地に到達するまでの区間と、その区間に含まれる計画有効区間を耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0050】
次に、車両の走行に伴って収集した各情報に基づいて、計画有効区間の開始SOCを決定し、計画有効区間の開始SOCを耐久記憶媒体23に記憶させ(S312)、本処理を終了する。
【0051】
図7に、上記した計画効果判定処理により抽出された計画有効区間の一例を示す。この図には、出発地から目的地に至る経路から、区間1〜区間3が計画有効区間として抽出された様子が示されている。
【0052】
図3の説明に戻り、次に、充電計画作成処理S400を実施する。この充電計画作成処理S400のフローチャートを図8に示す。この充電計画作成処理S400においては、計画区間内の充電計画として、当該区間内の車両の走行方法の予定を作成する。
【0053】
具体的には、まず、計画有効区間の開始SOCを耐久記憶媒体23から読み出し、計画有効区間を走行するのに必要なエネルギーを、車両の走行に伴って耐久記憶媒体23に記憶された走行情報に基づいて算出する(S402)。なお、必要なエネルギーの算出方法については周知(特開2001−183150号公報、「新エネルギー自動車の開発123〜124頁」CMC出版等参照)であるので、ここではその詳細についての説明は省略する。
【0054】
次に、耐久記憶媒体23に記憶された走行情報から道路区間毎に走行方法を決定する(S404)。具体的には、HV制御部10より基準SOCを取得し、この基準SOCと出発地から目的地に到着するまでの走行に伴って耐久記憶媒体23に記憶された走行情報とに基づき、計画有効区間について、発電効率およびアシスト効率を算出して回生充電、発電、アシストといった制御方法を道路区間毎に決定する。
【0055】
図9(a)に、図7に示した計画有効区間において収集された車速および駆動動力の一例を示す。また、図9(b)に、図7に示した計画有効区間について計画された制御スケジュールの一例を示す。
【0056】
次に、出発地から目的地に到着するまでの走行に伴って耐久記憶媒体23に記憶された走行情報に基づいて計画有効区間のSOC管理計画(制御指標のスケジュールに相当する)を作成する(S406)。すなわち、耐久記憶媒体23に記憶された制御目標値を規定するための情報(第1の情報)に基づいて計画有効区間のSOC管理計画を作成する。SOC管理計画は、目的地までの目標SOC(制御目標値)の推移を予想したものである。なお、この目標SOCの推移の予想については周知(特開2001−183150号公報、「新エネルギー自動車の開発123〜124頁」CMC出版等参照)であるので、ここではその詳細についての説明は省略する。図9(b)に、このような目標SOCの推移の予想の一例を示す。図に示すように、本実施形態では、計画区間における道路識別子に対応付けて目標SOCを規定したSOC管理計画が作成される。
【0057】
図3の説明に戻り、次に、制御目標値を学習して耐久記憶媒体23に記憶する制御目標値学習処理S500を実施する。この制御目標値学習処理のフローチャートを図10に示す。
【0058】
この制御目標値学習処理では、まず、道路区間毎に制御目標値を取得する(S502)。具体的には、SOC管理計画に道路識別子に対応付けて規定された各制御目標値(目標SOC)を耐久記憶媒体23から取得する。
【0059】
次に、道路区間毎に制御目標値学習情報の読み出しを行う(S504)。すなわち、同一計画区間における制御目標値が既に耐久記憶媒体23に記憶されている場合に、耐久記憶媒体23から同一計画区間における制御目標値の読み出しを行う。なお、同一計画区間における制御目標値が耐久記憶媒体23に記憶されていない場合には、制御目標値の読み出しを行うことなく、次のS506へ進む。
【0060】
S506では、道路区間毎に制御目標値の最適化を行う。同一計画区間における制御目標値が既に耐久記憶媒体23に記憶されている場合には、耐久記憶媒体23に記憶されている同一計画区間における制御目標値と、S502にて取得した制御目標値とを単純平均した値を新たな制御目標値とし、同一計画区間における制御目標値が耐久記憶媒体23に記憶されていない場合には、S502にて取得した制御目標値を新たな制御目標値とする。
【0061】
次に、この最適化した制御目標値を耐久記憶媒体23に記憶する(S508)。具体的には、出発地、目的地とともに道路識別子に対応付けて規定された各制御目標値(目標SOC)を耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0062】
図11に、走行時処理のフローチャートを示す。制御部24は、乗員の操作に応じて図11に示す処理を実施する。
【0063】
まず、計画区間を特定する(S602)。具体的には、乗員の操作に応じて目的地が特定されると、車両の現在位置から目的地までの経路を計画区間として特定する。
【0064】
次に、学習情報があるか否かを判定する(S604)。具体的には、出発地から目的地に到達するまでの区間が同一で、その区間に含まれる計画有効区間のSOC管理計画が耐久記憶媒体23に記憶されているか否かに基づいて学習情報があるか否かを判定する。
【0065】
ここで、出発地から目的地に到達するまでの区間が同一で、その区間に含まれる計画有効区間のSOC管理計画が耐久記憶媒体23に記憶されている場合、S604の判定はYESとなり、次に、制御目標値を読み出す(S606)。具体的には、耐久記憶媒体23から計画有効区間のSOC管理計画に規定されている各区間の制御目標値を耐久記憶媒体23から読み出す。
【0066】
次に、車両の現在位置における制御目標値をHV制御部へ通知する(S608)。車両が計画有効区間内に位置する場合には、車両の現在位置における制御目標値をHV制御部へ通知し、車両が計画有効区間内に位置しない場合には、制御目標値の通知を中断する。この場合、HV制御部10は、バッテリ9の充電量がこの制御目標値に近づくように駆動制御を行う。
【0067】
S610では、制御目標値に近づくように現在SOCが推移しているか否かに基づいてバッテリ9の充電量が計画通りに推移しているか否かを判定する。
【0068】
ここで、制御目標値に近づくように現在SOCが推移している場合、S610の判定はYESとなり、次に、車両が目的地を基準とする所定範囲内に到達したか否かに基づいて車両が目的地に到着したか否かを判定する(S614)。
【0069】
ここで、車両が目的地を基準とする所定範囲内に到達していない場合、S614の判定はNOとなり、S606へ戻る。
【0070】
また、制御目標値に近づくように現在SOCが推移していない場合、S610の判定はNOとなり、車両が目的地を基準とする所定範囲内に到達する前であっても、駆動制御を中止する(S612)。具体的には、制御目標値の通知を中止する。この場合、HV制御部10は、バッテリ9の充電量がこの制御目標値に近づくように駆動制御を行う。
【0071】
そして、車両が目的地を基準とする所定範囲内に到達すると、S614の判定はYESとなり、本処理を終了する。
【0072】
上記した構成によれば、制御目標値を規定するための第1の情報とともに、制御目標値のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報を、予め定められた間隔毎に収集し、第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出し、第1の情報を用いて、抽出した区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを予め定められた区間毎に規定し、この制御目標値のスケジュールに従って駆動制御が行われる。すなわち、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間については、エンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールが規定され、この制御目標値のスケジュールに従って駆動制御が行われるが、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られないと推定される区間については、制御目標値のスケジュールが規定されることなく、運転者が周辺車両の走行に合わせた低燃費走行を行うことができるので、ハイブリッド車両における燃費の向上を図ることができる。なお、第1の情報としては、道路勾配、車速、駆動動力等があり、第2の情報としては、区間長、道路勾配、区間内の走行時間、区間内の停車率、モータ3を駆動する電気負荷、車速等がある。また、予め定められた間隔は、地図データから得られる道路リンク、一定距離、一定時間等とすることができる。また、抽出した区間の集合は、例えば、道路リンクの集合とすることができる。
【0073】
また、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、区間長が予め定められた閾値以上で、かつ、下り勾配で平均勾配が予め定められた閾値以下の区間とすることができ、また、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、区間内の停車率が予め定められた閾値以上で、かつ、モータを駆動する電気負荷が予め定められた閾値以上の区間とすることができ、また、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、平均車速が予め定められた閾値以下の区間とすることができる。
【0074】
また、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するために用いる第2の情報のばらつきの度合いが予め定められた閾値以下であることを判定した場合に、当該第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間が抽出されるので、精度良く区間の抽出を行うことができる。
【0075】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、区間長、道路勾配等を第2の情報として、図6に示した計画効果判定処理を実施したが、本実施形態では、山岳道路等の勾配の大きな道路の走行を想定し、回生充電が可能な下り坂で回生電力を効率よく取り込むため、SOCを第2の情報として、下り坂の手前で計画的にSOCを低下させるように計画有効区間を抽出する計画効果判定処理を実施する。
【0076】
本実施形態に係る計画効果判定処理を図12に示す。この計画効果判定処理では、まず、出発地から目的地に到達するまでの区間に、車両の走行に伴って収集したSOCが予め定められた上限値に到達した区間があるか否かを判定する(S700)。具体的には、耐久記憶媒体23に記憶された上限SOC到達フラグを参照して出発地から目的地に到達するまでの区間に、上限SOC到達フラグが記憶された区間があるか否かを判定する。
【0077】
ここで、出発地から目的地に到達するまでの区間に、上限SOC到達フラグが記憶された区間がない場合、S700の判定はNOとなり、本処理を終了する。
【0078】
また、図13に示すように、出発地から目的地に到達するまでの区間に、SOCが上限SOCに到達した区間、すなわち、上限SOC到達フラグが記憶された区間がある場合、S700の判定はYESとなり、次に、第1区間を抽出する(S702)。具体的には、上限SOC到達フラグが記憶された区間を第1区間として抽出する。
【0079】
なお、この第1区間は、SOCが上限に到達し、回生電力を取りこぼしている区間である。具体的には、下り坂の走行区間である。したがって、この第1区間の区間長が長くなるほど回生電力の取りこぼしが大きくなり、燃費は低下することになる。
【0080】
次に、第1区間の手前のバッテリの充電量(SOC)が上昇している区間(第2区間)を抽出する(S704)。具体的には、第1区間の直前で、バッテリの充電量(SOC)が上昇している第2区間を抽出する。例えば、バッテリの充電量(SOC)が上昇する区間が連続する複数リンクに跨る場合、第2区間は、連続する複数リンクに跨る区間となる。
【0081】
なお、この第2区間は、回生電力により、SOCが上昇する区間である。具体的には、第1区間と同様の下り坂の走行区間である。
【0082】
次に、第2区間の手前の一定距離を含む区間(第3区間)を抽出する(S706)。具体的には、第2区間の直前で、第2区間の開始点より一定距離含む第3区間を抽出する。ここでも、第2区間の直前で、第2区間の開始点より一定距離含む区間が連続する複数リンクに跨る場合、第3区間は、連続する複数リンクに跨る区間となる。なお、第2区間の手前の一定距離は、車両がモータを動力源として走行したときに下限SOC未満とならない距離として特定される。
【0083】
なお、この第3区間は、第1、第2区間での回生充電によるSOCの上昇に備え、モータ走行を実施してSOCを低下させる区間である。この第3区間は、平坦であっても、上り坂であってもよい。なお、第3区間でモータ走行を実施して計画的にSOCを低下させることにより、第1区間で回生電力の取りこぼしを少なくすることができ、燃費を向上することが可能となる。
【0084】
次に、第1〜第3区間を、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間(計画有効区間)として抽出し、耐久記憶媒体23に記憶させる(S708)。具体的には、出発地から目的地に到達するまでの区間と、その区間に含まれる計画有効区間を耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0085】
次に、車両の走行に伴って収集した各情報に基づいて、計画有効区間の開始SOCを決定し、計画有効区間の開始SOCを耐久記憶媒体23に記憶させ(S710)、本処理を終了する。
【0086】
上記した計画効果判定処理を実施した後、この計画効果判定処理で抽出された計画有効区間に対し、図8に示した充電計画作成処理を実施する。
【0087】
ここで、図13において、第1区間でSOCが上限SOCに到達したままとなって回生電力の取りこぼしが発生することのないように、バッテリの充電量が上昇した第2区間の直前の第3区間でモータ走行を実施して計画的にSOCを低下させるように充電計画を作成する。
【0088】
上記したように、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、バッテリの充電量が予め定められた上限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前でバッテリの充電量が上昇した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間とすることができる。すなわち、第1区間でバッテリの充電量が予め定められた上限値に到達したままとならないように、バッテリの充電量が上昇した第2区間の直前の第3区間で計画的にバッテリの充電量を低下させることが可能であり、燃費を向上することが可能である。
【0089】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、SOCが低下する渋滞区間でバッテリの強制充電が開始されるのを避けるため、SOCを第2の情報として、渋滞区間の手前で計画的にSOCを低下させるように計画効果判定処理を実施する。
【0090】
本実施形態に係る計画効果判定処理を図14に示す。この計画効果判定処理では、まず、出発地から目的地に到達するまでの区間に、車両の走行に伴って収集したSOCが予め定められた下限値に到達した区間があるか否かを判定する(S800)。具体的には、耐久記憶媒体23に記憶された下限SOC到達フラグを参照して出発地から目的地に到達するまでの区間に、下限SOC到達フラグが記憶された区間があるか否かを判定する。
【0091】
ここで、出発地から目的地に到達するまでの区間に、下限SOC到達フラグが記憶された区間がない場合、S800の判定はNOとなり、本処理を終了する。
【0092】
また、図15に示すように、出発地から目的地に到達するまでの区間に、SOCが下限SOCに到達した区間、すなわち、下限SOC到達フラグが記憶された区間がある場合、S800の判定はYESとなり、次に、第4区間を抽出する(S802)。具体的には、下限SOC到達フラグが記憶された区間を第4区間として抽出する。
【0093】
なお、この第4区間は、渋滞等によりSOCが下限に到達し、強制発電が開始される区間である。渋滞等により停車または低速走行した状態で強制発電が開始されると燃費は悪化する。
【0094】
次に、第4区間の手前のバッテリの充電量(SOC)が低下している区間(第5区間)を抽出する(S804)。具体的には、第4区間の直前で、バッテリの充電量(SOC)が低下している第5区間を抽出する。
【0095】
次に、第5区間の手前の一定距離を含む区間(第6区間)を抽出する(S806)。具体的には、第5区間の直前で、第5区間の開始点より一定距離含む第6区間を抽出する。なお、第5区間の手前の一定距離は、車両がエンジンを動力源として走行したときに上限SOC以上とならない距離として特定される。
【0096】
なお、この第6区間は、第4、第5区間での回生充電によるSOCの上昇に備え、モータ走行を実施してSOCを低下させる区間である。なお、第6区間でエンジン走行を実施して計画的にバッテリを充電してSOCを上昇させることにより、第4区間で渋滞等によりバッテリの強制充電が開始されるのを回避することが可能となる。
【0097】
次に、第4〜第6区間を、目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間(計画有効区間)として抽出し、耐久記憶媒体23に記憶させる(S808)。具体的には、出発地から目的地に到達するまでの区間と、その区間に含まれる計画有効区間を耐久記憶媒体23に記憶させる。
【0098】
次に、車両の走行に伴って収集した各情報に基づいて、計画有効区間の開始SOCを決定し、計画有効区間の開始SOCを耐久記憶媒体23に記憶させ(S810)、本処理を終了する。
【0099】
上記した計画効果判定処理を実施した後、この計画効果判定処理で抽出された計画有効区間に対し、図8に示した充電計画作成処理を実施する。
【0100】
ここで、図13において、第1区間でSOCが上限SOCに到達したままとなり、回生電力の取りこぼしが発生しないように、第3区間でモータ走行を実施して計画的にSOCを低下させるように充電計画を作成する。
【0101】
上記したように、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、バッテリの充電量が予め定められた下限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前でバッテリの充電量が下降した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間とすることができる。すなわち、第1区間でバッテリの充電量が予め定められた下限値に到達したままとならないように、バッテリの充電量が下降した第2区間の直前の第3区間で計画的にバッテリの充電量を上昇させることが可能であり、燃費を向上することが可能である。
【0102】
(その他の実施形態)
上記第1〜第3実施形態では、第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、目標SOCのスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出し、第1の情報を用いて、抽出された区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような目標SOCのスケジュールを予め定められた区間毎に規定したが、第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、目標SOCのスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を新たに抽出した場合、この新たに抽出した区間を含むように、第1の情報を用いて、抽出された区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような目標SOCのスケジュールを予め定められた区間毎に規定するようにしてもよい。例えば、図16に示すように、走行データ1を収集した後、走行データ2〜走行データ5を収集し、これらの走行データ2〜走行データ5から新たな計画有効区間が抽出された場合、これらの新たに抽出された計画有効区間を、制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間(全計画有効区間)に含ませるようにして、エンジンの燃料消費量が少なくなるような目標SOCのスケジュールを予め定められた区間毎に規定するようにしてもよい。これにより、一定の燃費向上効果が得られると推定される区間の抽出確度を高めることができる。
【0103】
また、上記第1実施形態では、車両の走行に伴って、制御目標値を規定するための第1の情報として、車速、道路勾配、駆動動力を収集し、この第1の情報を用いて、計画有効区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを予め定められた区間毎に規定したが、車速、道路勾配、駆動動力以外の情報を用いて、計画有効区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを予め定められた区間毎に規定しても良い。
【0104】
また、上記第1実施形態では、制御目標値のスケジュールを規定してエンジンとモータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報として、区間長、道路勾配、区間内の走行時間、区間内の停車率、モータ3を駆動する電気負荷、車速を収集し、この第2の情報に基づいて、制御目標値のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される計画有効区間を抽出したが、上記した第2の情報以外の情報に基づいて計画有効区間を抽出してもよい。
【0105】
また、上記第1、第2実施形態では、走行終了時に、車両の走行に伴って収集した第1、第2の情報に基づいて計画有効区間についての制御目標値のスケジュールを規定して耐久記憶媒体23に記憶させ、次回走行開始時に、耐久記憶媒体23に記憶された計画有効区間についての制御目標値のスケジュールに従って駆動制御を実施したが、例えば、車両の走行に伴って収集した第1、第2の情報を予め定められた距離毎に学習し、学習した第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、計画有効区間を抽出し、学習した第1の情報を用いて、計画有効区間についてエンジンの燃料消費量が少なくなるような制御目標値のスケジュールを規定するようにしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、制御目標値を規定するための走行情報を一定距離毎に収集して耐久記憶媒体23に記憶させる例を示したが、例えば、制御目標値を規定するための走行情報を予め定められた時間毎に収集して耐久記憶媒体23に記憶させるようにしてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、モータに電力を供給するバッテリの充電量の制御目標値(目標SOC)を制御指標として、制御指標のスケジュールを規定する例を示したが、バッテリの充電量の目標SOC以外のデータを制御指標として制御指標のスケジュールを規定してもよい。つまり、ある区間に進入する時のSOCを「B」、退出する時のSOCを「C」とした場合に、区間中の制御でSOCをBからCに推移させることができる制御指標であればバッテリの充電量以外のデータであってもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、図7に示したように、出発地から目的地に至る経路から区間1〜区間3を計画有効区間として抽出したが、例えば、出発地から目的地に至る経路から、区間1と区間3といったように、連続していない区間を計画有効区間として別々に抽出するようにしてもよい。
【0109】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、耐久記憶媒体23が記憶手段に相当し、S200が情報記憶手段に相当し、S302〜S310が区間抽出手段に相当し、S400、S500が制御指標記憶制御手段に相当し、S600がアシスト制御処理手段に相当する。
【符号の説明】
【0110】
1 駆動制御装置
2 発電機
3 モータ
4 差動装置
5a タイヤ
5b タイヤ
6 インバータ
7 DCリンク
8 インバータ
9 バッテリ
10 HV制御部
11 GPSセンサ
12 方位センサ
13 車速センサ
14 地図DB記憶部
15 加速度センサ
20 ナビゲーションECU
21 RAM
22 ROM
23 耐久記憶媒体
24 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータを走行用の動力源として走行するハイブリッド車両に搭載され、規定された制御指標に近づくように前記エンジンと前記モータの駆動制御を行うハイブリッド車両の駆動制御装置であって、
前記車両の走行に伴って、前記制御指標を規定するための第1の情報とともに、前記制御指標のスケジュールを規定して前記エンジンと前記モータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報を、予め定められた間隔毎に収集して記憶手段に記憶させる情報記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出する区間抽出手段と、
前記記憶手段に記憶された前記第1の情報を用いて、前記区間抽出手段により抽出された区間について前記エンジンの燃料消費量が少なくなるような前記制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定して前記記憶手段に記憶させる制御指標記憶制御手段と、
前記記憶手段に記憶された前記制御指標のスケジュールに従って前記駆動制御を行うアシスト制御処理手段と、を備えたことを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、区間長が予め定められた閾値以上で、かつ、下り勾配で平均勾配が予め定められた閾値以下の区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、区間内の停車率が予め定められた閾値以上で、かつ、前記モータを駆動する電気負荷が予め定められた閾値以上の区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項4】
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、平均車速が予め定められた閾値以下の区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項5】
前記区間抽出手段は、前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するために用いる第2の情報について、当該第2の情報のばらつきの度合いが予め定められた閾値以下であることを判定した場合、当該第2の情報に基づいて、出発地から前記目標とする地点に到達するまでの区間から、前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項6】
前記制御指標は、前記モータを駆動するバッテリの充電量であり、
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、前記バッテリの充電量が予め定められた上限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前で前記バッテリの充電量が上昇した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項7】
前記制御指標は、前記モータを駆動するバッテリの充電量であり、
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、前記バッテリの充電量が予め定められた下限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前で前記バッテリの充電量が下降した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項8】
前記制御指標記憶制御手段は、前記区間抽出手段により前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される新たな区間が抽出された場合、当該新たに抽出された区間を含めるようにして、前記エンジンの燃料消費量が少なくなるような前記制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定して前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項1】
エンジンとモータを走行用の動力源として走行するハイブリッド車両に搭載され、規定された制御指標に近づくように前記エンジンと前記モータの駆動制御を行うハイブリッド車両の駆動制御装置であって、
前記車両の走行に伴って、前記制御指標を規定するための第1の情報とともに、前記制御指標のスケジュールを規定して前記エンジンと前記モータの駆動制御を行うことにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するための第2の情報を、予め定められた間隔毎に収集して記憶手段に記憶させる情報記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記第2の情報に基づいて、出発地から目標とする地点に到達するまでの区間から、前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出する区間抽出手段と、
前記記憶手段に記憶された前記第1の情報を用いて、前記区間抽出手段により抽出された区間について前記エンジンの燃料消費量が少なくなるような前記制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定して前記記憶手段に記憶させる制御指標記憶制御手段と、
前記記憶手段に記憶された前記制御指標のスケジュールに従って前記駆動制御を行うアシスト制御処理手段と、を備えたことを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、区間長が予め定められた閾値以上で、かつ、下り勾配で平均勾配が予め定められた閾値以下の区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、区間内の停車率が予め定められた閾値以上で、かつ、前記モータを駆動する電気負荷が予め定められた閾値以上の区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項4】
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、区間内の走行時間が予め定められた閾値以上で、かつ、平均車速が予め定められた閾値以下の区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項5】
前記区間抽出手段は、前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出するために用いる第2の情報について、当該第2の情報のばらつきの度合いが予め定められた閾値以下であることを判定した場合、当該第2の情報に基づいて、出発地から前記目標とする地点に到達するまでの区間から、前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間を抽出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項6】
前記制御指標は、前記モータを駆動するバッテリの充電量であり、
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、前記バッテリの充電量が予め定められた上限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前で前記バッテリの充電量が上昇した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項7】
前記制御指標は、前記モータを駆動するバッテリの充電量であり、
前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される区間は、前記バッテリの充電量が予め定められた下限値に到達した第1区間と、当該第1区間の直前で前記バッテリの充電量が下降した第2区間と、当該第2区間の直前の一定距離を含む第3区間からなる区間であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項8】
前記制御指標記憶制御手段は、前記区間抽出手段により前記制御指標のスケジュールを規定することにより一定の燃費向上効果が得られると推定される新たな区間が抽出された場合、当該新たに抽出された区間を含めるようにして、前記エンジンの燃料消費量が少なくなるような前記制御指標のスケジュールを予め定められた区間毎に規定して前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−6047(P2011−6047A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267178(P2009−267178)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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