説明

ブラジキニン拮抗物質又は逆作用物質としてのアルファ−ヒドロキシアミド

一般式(I)のα−ヒドロキシアミド誘導体は、ブラジキニンB1経路に関連するとう痛、炎症などの症候の治療又は予防に有用であるブラジキニンB1拮抗物質又は逆作用物質である。R2aは、(1)Rから選択される基、(2)(CHNRC(O)R、(3)(CHNRSO、(4)(CHNRCO、(5)ハロゲン、ニトロ、シアノ、OR、SR、C1−4アルキル及びC1−3ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−複素環(該複素環は、(a)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環(該環は場合によってはベンゾ縮合していてもよい。)又は(b)1から3個の環窒素原子を含む6員環芳香族複素環及びそのN−酸化物から選択される。前記環は場合によってはベンゾ縮合していてもよい。)、(6)(CHCO及び(7)(CH)C(O)NRから選択される。R2bはOHであり、若しくはR2aから選択される基であり、又はR2aとR2bはこれらが結合している炭素原子と一緒に、ハロゲン、OR、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から4個の基で場合によっては置換されていてもよい3から7員環炭素環を形成する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα−ヒドロキシアミド化合物を対象とする。特に、本発明は、ブラジキニン拮抗物質又は逆作用物質であるα−ヒドロキシアミド化合物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ブラジキニン(「BK」)は、急性痛及び慢性痛並びに急性炎症及び慢性炎症を伴う病態生理プロセスにおいて重要な役割を果たすキニンである。ブラジキニン(BK)は、他のキニン同様、キニノーゲンと呼ばれる血しょう及び組織前駆体に対するカリクレイン酵素の触媒作用によって産生されるオータコイドペプチドである。BKの生物学的作用は、B1及びB2と称する少なくとも2個の主要なGタンパク質共役BK受容体によって媒介される。B2受容体は正常組織中で発現され(B1受容体は発現されない。)、炎症、組織損傷又は細菌感染によってB1受容体発現を素早く誘導することができると一般に考えられている。このため、B1受容体は特に注目される薬物標的である。とう痛及び炎症の処理におけるキニン、特にBKの推定される役割によって、強力で選択的なBK拮抗物質の開発が促進されてきた。近年、この努力は、鎮痛性及び抗炎症性を有する有用な治療薬が、BK受容体経路によって媒介される慢性病を軽減するという期待とともに増大している(例えば、M.G. Bock and J. Longmore, Current Opinion in Chem. Biol., 4:401−406(2000)を参照されたい。)。したがって、ブラジキニン受容体の活性化を遮断又は逆転させるのに有効である新規化合物が求められている。かかる化合物は、とう痛及び炎症の管理並びにブラジキニンによって媒介される疾患及び障害の治療又は予防に有用である。また、かかる化合物は(インビボ及びインビトロでの)研究ツールとしても有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ブラジキニン拮抗物質又は逆作用物質であるα−ヒドロキシアミド誘導体、かかる化合物を含む薬剤組成物及びそれらを治療薬として使用する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I)の化合物及び薬剤として許容されるその塩を提供する。
【0005】
【化8】

式中、
YはCH又はNであり、
は、
【0006】
【化9】

であり、
2aは、(1)Rから選択される基、(2)(CHNRC(O)R、(3)(CHNRSO、(4)(CHNRCO、(5)ハロゲン、ニトロ、シアノ、OR、SR、C1−4アルキル及びC1−3ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−複素環(該複素環は、(a)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環(該環は場合によってはベンゾ縮合していてもよい。)又は(b)1から3個の環窒素原子を含む6員環芳香族複素環及びそのN−酸化物であり(該環は場合によってはベンゾ縮合していてもよい。)である。)、(6)(CHCO並びに(7)(CHC(O)NRから選択され、
2bはOHであり、若しくはR2aから選択される基であり、又は
2aとR2bはこれらが結合している炭素原子と一緒に、ハロゲン、OR、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から4個の基で場合によっては置換されていてもよい3から7員環炭素環を形成し、
3a及びR3bは、水素、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択され、
4a及びR4bは水素及びハロゲンから独立に選択され、
は、(1)ハロゲン、ニトロ、シアノ、COR、CO、C(O)NR、OR、OC(O)R、SR、SO、S(O)R、NR、NRC(O)R、NRSO及びNRCOから独立に選択される1から5個の基で場合によっては置換されていてもよいC1−8アルキル、(2)C3−8シクロアルキル、(3)COで場合によっては置換されていてもよいC2−8アルケニル、(4)ハロゲン、(5)シアノ、(6)ニトロ、(7)NR、(8)NRC(O)R、(9)NRCO、(10)NRC(O)NR、(11)NRC(O)NRCO、(12)NRSO、(13)CO、(14)COR、(15)C(O)NR、(16)C(O)NHOR、(17)C(=NOR)R、(18)C(=NOR)NR、(19)OR、(20)OC(O)R、(21)S(O)、(22)SONR、(23)場合によっては置換されていてもよい複素環(該複素環は、(a)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環、(b)1から3個の環N原子を有する6員環芳香族複素環、(c)4,5−ジヒドロ−オキサゾリル又は(d)4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリルであり、該置換基は、1から5個のハロゲン原子で場合によっては置換されていてもよいC1−4アルキル、OR若しくはOC(O)Rから独立に選択される1から3個の基である。)、(24)ハロゲン、ニトロ、シアノ、OR、SR、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよいフェニル並びに(25)OSOから選択され、
は水素及びハロゲンから選択され、
及びRは、R、R及びRの1個以下が複素環であるという条件で、水素及びRから選択される基から独立に選択され、
は、(1)水素、(2)1から5個のハロゲン原子、OH、SH、O−C1−4アルキル又はS−C1−4アルキルで場合によっては置換されていてもよいC1−7アルキル、(3)ハロゲン、シアノ、ニトロ、OH、C1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−フェニル並びに(4)C3−6シクロアルキルから選択され、
及びRは、(1)水素、(2)ハロゲン、アミノ、CO、OR、モノC1−4アルキルアミノ及びジC1−4アルキルアミノから独立に選択される1から5個の基で場合によっては置換されていてもよいC1−4アルキル、(3)ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR、CO、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−フェニル並びに(4)C3−6シクロアルキルから独立に選択され、又はRとRはこれらが結合している窒素原子と一緒に、NR、O、S、S(O)及びS(O)から選択される追加のヘテロ原子を場合によっては含んでいてもよい4、5若しくは6員環を形成し、
は、(1)C1−4アルキル、(2)C1−4ハロアルキル、(3)C1−4アルキルオキシ、(4)ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR、CO、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−フェニル、(5)ピリジル及び(6)ピリジルN−酸化物から選択され、
は、水素、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C(O)H及びC(O)C1−4アルキルから選択され、
nは1、2又は3であり、
kは0、1、2、3又は4であり、
vは0、1又は2である。
【0007】
2a及びR2bの例としては、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ベンジル、o−、m−又はp−トリル、キシリル、(トリフルオロメチル)フェニル、シアノフェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、ヒドロキシフェニル、ジヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、(ヒドロキシ)(メトキシ)フェニル、3−インドリルメチル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、2−ベンゾチエニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリニル、2−(アセチルアミノ)エチル、(メチルスルホニルアミノ)メチル、カルボキシ、カルバモイルメチル及び2−(メトキシカルボニルアミノ)エチルが挙げられるが、これらだけに限定されない。R2a、R2b及びこれらが結合している炭素は一緒に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを形成することができる。その各々は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、塩素、フッ素、臭素、クロロメチル、トリフルオロメチル、1−クロロエチル、ヒドロキシ、メトキシ及びエトキシから選択される1から4個の基で場合によっては置換されていてもよい。
【0008】
3a及びR3bの例としては、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチルなどが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0009】
の例としては、メチル、エチル、1−メチルエチル、1−ヒドロキシエチル、カルボキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−フルオロエトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、フェノキシカルボニル、シクロペントキシカルボニル、シクロブトキシカルボニル、シクロプロポキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル、4−トリフルオロメチルフェノキシカルボニル、メトキシアミノカルボニル、メトキシカルボニルメチル、ホルミル、ヒドロキシ、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、3−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、1−メチル−5−テトラゾリル、2−メチル−5−テトラゾリル、シアノ、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、1,3−ジフルオロプロポキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロ、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、2−フルオロエトキシカルボニルアミノ、メチルアミノカルボニルアミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、シクロプロピルアミノカルボニル、シクロブチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル及びアミノカルボニルが挙げられる。Rの例としては水素、クロロ、フルオロ及びメトキシカルボニルが挙げられる。Rの例としては水素、クロロ、フルオロ及びメチルが挙げられる。
【0010】
式Iの一サブセットにおいては、R2a、R2b及びこれらが結合している炭素原子が3から7員環炭素環を形成し、該環がハロゲン、OR、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から4個の基で場合によっては置換されていてもよい化合物である。一実施態様においては、炭素環はメチル又はハロゲンで置換されている。
【0011】
式Iの第2のサブセットにおいては、R3aとR3bの一方が水素であり他方が水素又はメチルである化合物である。
【0012】
式Iの第3のサブセットにおいては、Rが、
【0013】
【化10】

である化合物である。
【0014】
このサブセットの一実施態様においては、Rが、(1)−CO−C1−4アルキル、(2)C1−4アルコキシ並びに(3)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環から選択され、該環がC1−4アルキル基で場合によっては置換されていてもよい化合物である。一実施態様においては、Rは、メトキシカルボニル、エトキシ、(メチル基で場合によっては置換されていてもよい。)1,2,4−オキサジアゾリル及び(メチル基で場合によっては置換されていてもよい。)テトラゾリルから選択される。このサブセットの別の実施態様においては、Rが水素又は3−ハロゲンである化合物である。このサブセットのさらに別の実施態様においては、Rが水素又は3−ハロゲンであり、Rが水素又は5−ハロゲンである化合物である。
【0015】
式Iの第4のサブセットは、式(Ia)の化合物及び薬剤として許容されるその塩である。
【0016】
【化11】

式中、mは1から5であり、YはN又はCHであり、R3aとR3bの一方は水素であり他方は水素又はメチルであり、Rは水素又はフッ素であり、Rは(1)−CO−C1−4アルキル、(2)1から5個のハロゲン原子で場合によっては置換されていてもよいC1−4アルコキシ並びに(3)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環から選択され、該環はC1−4アルキル基で場合によっては置換されていてもよく、R及びRは独立に水素又はハロゲンである。
【0017】
式Iの化合物の第5のサブセットにおいては、Rが、
【0018】
【化12】

である化合物である。
【0019】
このサブセットの一実施態様においては、RはHである。別の実施態様においては、R4a及びR4bは各々フッ素で例示されるハロゲンである。
【0020】
式Iの化合物の第6のサブセットにおいては、式Ibの化合物及び薬剤として許容されるその塩である。
【0021】
【化13】

式中、R3a、R3b、R、R、R及びRは式Iで定義されたとおりである。R2a’及びR2b’は、(1)水素、(2)1から5個のハロゲン原子、SH、OH、S−C1−4アルキル又はOC1−4アルキルで場合によっては置換されていてもよいC1−7アルキル、(3)ハロゲン、シアノ、ニトロ、OH、C1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−フェニル、(4)C3−6シクロアルキル、(5)(CH−ピリジル並びに(6)(CH−インドリルから独立に選択される。このサブセットの一実施態様においては、R2a’及びR2b’が独立に、1から5個のハロゲン原子で場合によっては置換されていてもよいC1−7アルキルである化合物である。別の実施態様においては、R3aとR3bの一方が水素であり他方が水素又はメチルであり、Rが水素、塩素又はフッ素であり、Rが(1)−CO−C1−4アルキル、(2)1から5個のハロゲン原子で場合によっては置換されていてもよいC1−4アルコキシ並びに(3)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環から選択され、該環がC1−4アルキル基で場合によっては置換されていてもよく、R及びRが独立に水素又はハロゲンである化合物である。
【0022】
式Iの化合物の第7のサブセットにおいては、式Icの化合物及び薬剤として許容されるその塩である。
【0023】
【化14】

式中、YはN又はCHであり、RはH、塩素又はフッ素であり、R3aはH又はメチルであり、Rは(1)−CO−C1−4アルキル、(2)C1−4アルコキシ、(3)C1−4ハロアルキルオキシ並びに(4)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環から選択され、該環はC1−4アルキル基で場合によっては置換されていてもよく、R及びRは独立に水素又はハロゲンである。一実施態様においては、Rはフッ素又は塩素である。別の実施態様においては、R及びRは各々独立にフッ素又は塩素である。さらに別の実施態様においては、Rは、場合によってはメチル置換されていてもよいテトラゾリル又は場合によってはメチル置換されていてもよい1,2,4−オキサジアゾリルである。別の実施態様においては、Rは塩素又はフッ素であり、Rは場合によってはメチル置換されていてもよいテトラゾリル又は場合によってはメチル置換されていてもよい1,2,4−オキサジアゾリルであり、Rはフッ素又は塩素であり、RはH、塩素又はフッ素である。
【0024】
本発明の第2の側面は、式(I)の化合物又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物を提供する。
【0025】
本発明の第3の側面は、ブラジキニンB1受容体によって媒介される症状の治療用医薬品を製造するための式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩の使用を提供する。一サブセットにおいては、前記症状は、急性、炎症性及び神経因性とう痛を含めたとう痛である。
【0026】
本発明の第4の側面は、式(I)の化合物又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物におけるブラジキニンB1受容体によって媒介される症状の治療方法を提供する。
【0027】
別段の記載がないかぎり、以下の用語は下記意味を有する。
【0028】
「アルケニル」とは、線状でも分枝でもそれらの組み合わせでもよく、少なくとも1個のC=C結合を含む炭素鎖を意味する。アルケニルの例としては、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−2−プロペニルなどが挙げられる。
【0029】
「アルキル」及び例えばアルコキシ、アルカノイルなど接頭語「アルク(alk)」を有する他の基は、線状でも分枝でもそれらの組み合わせでもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルなどである。
【0030】
「シクロアルキル」とはヘテロ原子を含まない炭素環を意味し、単環、二環及び三環飽和炭素環、縮合環構造などが挙げられる。かかる縮合環構造は、ベンゾ縮合炭素環などの縮合環構造を形成するためにベンゼン環などの部分又は完全不飽和である1個の環を含むことができる。シクロアルキルは、スピロ縮合環構造のような縮合環構造を含む。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル、インデニル、フルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。
【0031】
「ハロアルキル」とは、水素原子の少なくとも1個から全部がハロゲンで置換されている上記アルキル基を意味する。かかるハロアルキル基の例としては、クロロメチル、1−ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルなどが挙げられる。
【0032】
「ハロゲン」とはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0033】
「5員環芳香族複素環」及び「ベンゾ縮合5員環芳香族複素環」としては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズイソオキサゾールなどが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0034】
「6員環芳香族複素環」及び「ベンゾ縮合6員環芳香族複素環」としては、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリンなどが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0035】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
本明細書に記載された化合物は不斉中心を含むことができ、したがって鏡像異性体として存在することができる。本発明による化合物が2個以上の不斉中心を有する場合には、それらはさらにジアステレオマーとして存在することができる。本発明は、分割された実質的に純粋な鏡像異性体、そのラセミ混合物並びにジアステレオマー混合物のような可能なすべての立体異性体を含む。上記式Iは、特定の位置における明確な立体化学なしに示されている。本発明は式Iの全立体異性体及び薬剤として許容されるその塩を含む。鏡像異性体のジアステレオ異性体対は、例えば、適切な溶媒からの分別結晶によって分離することができ、かくして得られた鏡像異性体対は、従来の手段、例えば、分割剤として光学活性な酸若しくは塩基を使用して、又はキラルHPLCカラムによって、個々の立体異性体に分離することができる。或いは、一般式Iの化合物の任意の鏡像異性体又はジアステレオマーは、立体配置が既知の光学的に純粋な出発材料又は試薬を用いた立体特異的合成によって得ることができる。
【0036】
本明細書に記載される化合物の一部はオレフィン二重結合を含み、別段の指定がないかぎり、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0037】
本明細書に記載された化合物の一部は、異なる水素結合点を含むことができ、互変異性体と称される。かかる例は、ケト−エノール互変異性体として知られるケトンとそのエノール形などである。個々の互変異性体及びその混合物は、式Iの化合物に包含される。
【0038】

「薬剤として許容される塩」という用語は、薬剤として許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。本発明の化合物が酸性であるときには、その対応する塩は、無機塩基及び有機塩基を含めて薬剤として許容される無毒の塩基から好都合には調製することができる。かかる無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、第二銅、第一銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が挙げられる。好ましい塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬剤として許容される有機無毒塩基から調製される塩としては、天然源と合成源の両方から誘導される第一級、第二級及び第三級アミンの塩などが挙げられる。塩を形成することができ、薬剤として許容される有機無毒塩基としては、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチル−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
【0039】
本発明の化合物が塩基であるときには、その対応する塩は、薬剤として許容される無毒の無機及び有機酸から好都合には調製することができる。かかる酸としては、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。好ましい酸は、クエン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0040】
プロドラッグ
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグをその範囲に含む。一般に、かかるプロドラッグは、本発明の化合物の機能的誘導体であり、必要とされる化合物にインビボで容易に変換することができる。したがって、本発明の治療方法において「投与すること」という用語は、具体的に開示された化合物又は具体的に開示されなくてもよいが患者に投与された後に指定の化合物にインビボで変換される化合物を用いて、記載されるさまざまな症状を治療することを包含するものとする。適切なプロドラッグ誘導体を選択し、調製する従来手順は、例えば、”Design of Prodrugs”, ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985に記載されている。これらの化合物の代謝産物としては、本発明の化合物を生物学的環境に導入することによって生成される活性種などが挙げられる。
【0041】
薬剤組成物
本発明の別の側面は、式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物を提供する。薬剤組成物などの「組成物」という用語は、活性成分と担体を構成する不活性成分(薬剤として許容される賦形剤)とを含む生成物、並びに該成分の任意の2種類以上の組み合わせ、複合若しくは集合から、又は該成分の1種類以上の解離から、又は該成分の1種類以上の他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接的若しくは間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。したがって、本発明の薬剤組成物は、式Iの化合物と、追加の活性成分と、薬剤として許容される賦形剤とを混合することによって調製される任意の組成物を包含する。
【0042】
本発明の薬剤組成物は、活性成分として式Iの化合物(又は薬剤として許容されるその塩)と薬剤として許容される担体とを含み、他の治療成分又はアジュバントを場合によっては含んでいてもよい。本組成物は、経口、直腸、局所及び(皮下、筋肉内及び静脈内を含めた)非経口投与に適切な組成物を含むが、任意の所与の症例において最も適切な経路は、個々の宿主並びに活性成分が投与される症状の性質及び重症度に応じて決まる。薬剤組成物は、好都合には単位剤形とすることができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0043】
実際には、本発明の式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩は、従来の薬剤配合技術によって均質混合物中の活性成分として薬剤担体と混合することができる。担体は、投与、例えば、経口又は(静脈内を含めた)非経口投与に望ましい剤形に応じた多種多様な形をとることができる。したがって、本発明の薬剤組成物は、活性成分の所定量を各々が含むカプセル剤、カシェ剤、錠剤などの経口投与に適切な分離単位として提供することができる。また、本組成物は、散剤、顆粒剤、溶液剤、水性液体中の懸濁液剤、非水系液剤、水中油型乳剤又は油中水型液体乳剤として提供することができる。上記一般的剤形に加えて、式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩は、制御放出手段及び/又は送達装置によって投与することもできる。本組成物は、調剤方法のいずれかによって調製することもできる。一般に、かかる方法は、活性成分を1種類以上の必要な成分を構成する担体と会合させる段階を含む。一般に、本組成物は、活性成分を液体担体若しくは微粉固体担体又はその両方と均一によく混合することによって調製される。次いで、その生成物を所望の形(presentation)に都合よく成形することができる。
【0044】
したがって、本発明の薬剤組成物は、薬剤として許容される担体と式Iの化合物又は薬剤として許容される塩とを含むことができる。式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩は、1種類以上の他の治療上有効な化合物と組み合わせて薬剤組成物中に含めることもできる。
【0045】
使用される薬剤担体は、例えば、固体、液体又は気体とすることができる。固体担体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が挙げられる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油及び水である。気体担体の例は二酸化炭素及び窒素である。
【0046】
経口剤形用組成物を調製する際には、任意の好都合な薬剤媒体を使用することができる。例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味料、防腐剤、着色剤などを使用して懸濁液剤、エリキシル剤、溶液剤などの経口液体製剤を形成することができる。また、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用して、散剤、カプセル剤、錠剤などの経口固体製剤を形成することができる。錠剤及びカプセル剤は、投与が容易なので好ましい経口投与単位であり、そのため固体薬剤担体が使用される。錠剤は、標準の水系又は非水系技術によって場合によっては被覆されていてもよい。
【0047】
本発明の組成物を含む錠剤は、1種類以上の副成分又はアジュバントと場合によっては一緒に圧縮又はモールディングによって調製することができる。圧縮錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と場合によっては混合されていてもよい、散剤、顆粒剤などの易流動性の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製することができる。モールディングされた錠剤は、不活性希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械でモールディングすることによって製造することができる。各錠剤は活性成分約0.1mgから約500mgを好ましくは含有し、各カシェ剤又はカプセル剤は活性成分約0.1mgから約500mgを好ましくは含有する。
【0048】
非経口投与に適切な本発明の薬剤組成物は、活性化合物の水溶液又は水懸濁液として調製することができる。例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの適切な界面活性剤を含むことができる。分散剤は、グリセリン、液状ポリエチレングリコール、及びオイル中のそれらの混合物中で調製することもできる。また、防腐剤は、微生物の有害な増殖を防止するために含めることができる。
【0049】
注射用に適切な本発明の薬剤組成物としては、無菌水溶液又は分散液が挙げられる。また、本組成物は、かかる無菌注射用溶液又は分散液を即座に調製するための無菌散剤の形とすることができる。すべての場合において、最終注射用剤形は無菌でなければならず、注射を容易にするために効果的に流動性でなければならない。本薬剤組成物は、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、したがって、細菌、真菌などの微生物の汚染作用に対して好ましくは保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコール)、植物油及びこれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒とすることができる。
【0050】
本発明の薬剤組成物は、例えば、エアゾール剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、散布粉剤など局所用に適切な剤形とすることができる。また、本組成物は、経皮装置における使用に適切な剤形とすることができる。これらの製剤は、本発明の式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩を利用して、従来の加工方法によって調製することができる。例として、クリーム剤又は軟膏剤は、親水性材料と水を本化合物の約5重量%から約10重量%と一緒に混合して、所望の粘ちゅう性を有するクリーム剤又は軟膏剤を製造することによって調製される。
【0051】
本発明の薬剤組成物は、担体が固体である直腸投与に適切な形とすることができる。混合物は単位用量坐剤を形成することが好ましい。適切な担体としては、カカオ脂、当分野で通常使用される他の材料などが挙げられる。坐剤は、本組成物を軟化又は溶融担体とまず混合し、続いて型の中で冷却及び成形することによって都合よく形成することができる。
【0052】
上記薬剤は、上述の担体成分に加えて、希釈剤、緩衝剤、香味料、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、(抗酸化剤を含めた)防腐剤などの1種類以上の追加の担体成分を適宜含むことができる。また、製剤を対象レシピエントの血液と等張性にするために他のアジュバントを含むことができる。式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩を含む組成物は、粉体又は濃縮液体の形で調製することもできる。
【0053】
以下は、式Iの化合物の代表的薬剤剤形の例である。
【0054】
【表1】

【0055】
効用
本発明の化合物は、ブラジキニン受容体、特にブラジキニンB1受容体の拮抗物質又は逆作用物質であり、したがって、とう痛、炎症などのブラジキニン受容体経路によって媒介される疾患及び症状の治療及び予防に有用である。本化合物は、例えば、(すい炎、間質性ぼうこう炎、腎仙痛、前立腺炎、慢性骨盤痛などの)内臓痛、(帯状ほう疹後神経痛、急性帯状ほう疹痛、神経損傷、「ジニア類(dynias)」、例えば、会陰部痛、幻肢痛、神経根引き抜き損傷、神経根障害、有痛性外傷性単神経障害、有痛性絞やく性神経障害、手根管症候群、尺骨神経障害、足根管症候群、有痛性糖尿病性神経障害、有痛性多発性神経炎、三叉神経痛などの)神経因性とう痛、(発作、多発性硬化症、脊髄損傷を含めて、ただしこれらだけに限定されないあらゆるレベルの実質的にあらゆる神経系の病変に起因し得る。)中枢痛症候群、並びに術後とう痛症候群(例えば、乳房切除後症候群、開胸術後症候群、断端痛))、骨及び関節痛(骨関節炎)、脊椎痛(例えば、急性及び慢性腰痛、頚痛、脊髄狭窄)、肩痛、反復運動痛(repetitive motion pain)、歯痛、咽頭炎、癌とう痛、火傷痛、筋筋膜とう痛(筋肉傷害、線維筋痛)、(一般外科、整形及び婦人科を含めて、ただしこれらだけに限定されない。)術後、術中とう痛及び先制鎮痛、慢性痛、(原発性及び続発性)月経困難症、並びにアンギーナに伴うとう痛及びさまざまな起源の炎症性とう痛(例えば、骨関節炎、リウマチ様関節炎、リウマチ性疾患、腱鞘炎及び痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎)を含めたとう痛の治療又は予防に有効である。
【0056】
また、本発明の化合物は、過敏性気道の治療に使用することもでき、気道疾患、例えば、(アトピー性又は非アトピー性)喘息を含めたアレルギー性喘息並びに運動誘発性気管支収縮、職業性喘息、ウイルス又は細菌的な喘息の増悪、他の非アレルギー性喘息及び「ぜいぜいいう乳児期の症候群(wheezy−infant syndrome)」に付随する炎症性事象の治療に使用することもできる。本発明の化合物は、肺気腫を含めた慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、肺炎、(季節的及び1年を通した)アレルギー性鼻炎及び血管運動神経性鼻炎の治療にも使用することができる。本発明の化合物は、アルミニウム症、炭粉症、石綿沈着症、石粉症、ダチョウ肺塵症、鉄沈着症、ケイ肺症、タバコ中毒症及び綿繊維沈着症を含めて、塵肺に対しても有効なことがある。
【0057】
本発明の化合物は、クローン病及び潰よう性大腸炎、過敏性大腸症候群、すい炎、腎炎、ぼうこう炎(間質性ぼうこう炎)、ブドウ膜炎、乾せん、湿疹などの炎症性皮膚障害、リウマチ様関節炎及び火傷に付随する外傷に起因する浮腫、捻挫又は骨折、脳浮腫及び(遺伝性血管性浮腫及びアンジオテンシン変換酵素(ACE)又はACE/中性エンドペプチダーゼ阻害剤、例えば、オメパトリラット(omepatrilat)に起因するものなどの薬物性血管性浮腫を含めた)血管性浮腫を含めて、炎症性腸疾患の治療にも使用することができる。本発明の化合物は、糖尿病性脈管障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、後毛細管抵抗性症候又はすい島炎に付随する糖尿病性症候(例えば、高血糖、多尿、タンパク尿並びに亜硝酸及びカリクレイン尿中排泄の増加)の治療に使用することができる。本発明の化合物は、消化管又は子宮のけいれんの治療用平滑筋弛緩薬として使用することができる。また、本発明の化合物は、肝疾患、多発性硬化症、循環器病、例えば、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、心筋梗塞;神経変性疾患、例えば、パーキンソン病及びアルツハイマー病、てんかん、敗血症ショック、例えば、抗血液量減少薬及び/又は抗血圧降下薬として、群発性頭痛を含めた頭痛、予防的及び急性使用を含めた片頭痛、発作、閉鎖性頭部外傷、癌、敗血症、歯肉炎、骨粗しょう症、前立腺肥大症及び過活動ぼうこうに対して有効なことがある。これらの疾患及び症状の動物モデルは、一般に当分野で周知であり、本発明の化合物の潜在的有用性を評価するのに適切となり得る。最後に、本発明の化合物は(インビボ及びインビトロでの)研究ツールとしても有用である。
【0058】
本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによるとう痛及び炎症の治療に有用である。
【0059】
本化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによる、例えば、骨及び関節痛(骨関節炎)、反復運動痛、歯痛、癌とう痛、筋筋膜とう痛(筋肉の傷害、線維筋痛)、術中とう痛(一般外科、口腔外科、婦人科)、神経因性とう痛(帯状ほう疹後神経痛)及び慢性痛を含めたとう痛の治療又は予防に有効である。
【0060】
特に、例えば炎症性気道疾患(慢性閉塞性肺疾患)などの炎症性とう痛は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、本発明の化合物によって効果的に治療される。
【0061】
また、本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、喘息、炎症性腸疾患、鼻炎、すい炎、ぼうこう炎(間質性ぼうこう炎)、ブドウ膜炎、炎症性皮膚障害、リウマチ様関節炎及び火傷に付随する外傷に起因する浮腫、捻挫又は骨折の治療にさらに使用することができる。
【0062】
本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、外科的介入に続いて(例えば、術後鎮痛薬として)使用することができ、さまざまな起源の炎症性とう痛(例えば、骨関節炎、リウマチ様関節炎、リウマチ性疾患、腱鞘炎及び痛風)の治療及びアンギーナ、月経又は癌に伴うとう痛の治療に使用することができる。
【0063】
本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、糖尿病性脈管障害、後毛細管抵抗性症候又はすい島炎に付随する糖尿病性症候(例えば、高血糖、多尿、タンパク尿並びに亜硝酸及びカリクレイン尿中排泄の増加)の治療に使用することができる。
【0064】
本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、乾せん、湿疹などの炎症性皮膚障害の治療に使用することができる。
【0065】
本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、消化管若しくは子宮のけいれんの治療用平滑筋弛緩薬として又はクローン病、潰よう性大腸炎若しくはすい炎の治療に使用することができる。
【0066】
かかる化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、過敏性気道の治療に使用することができ、気道疾患、例えば、喘息に付随する炎症性事象の治療に使用することができ、喘息における気道の過敏性を管理し、制限し、又は逆転させるために使用することができる。
【0067】
本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、(アトピー性又は非アトピー性)喘息を含めた内因性及び外因性喘息並びに運動誘発性気管支収縮、職業性喘息、ウイルス又は細菌によって悪化した喘息、他の非アレルギー性喘息及び「ぜいぜいいう乳児期の症候群」の治療に使用することができる。
【0068】
本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、アルミニウム症、炭粉症、石綿沈着症、石粉症、ダチョウ肺塵症、鉄沈着症、ケイ肺症、タバコ中毒症及び綿繊維沈着症を含めた塵肺並びに成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺又は気道疾患、気管支炎、アレルギー性鼻炎及び血管運動神経性鼻炎に対しても有効となり得る。
【0069】
また、本発明の化合物は、本発明の化合物の例えば0.1mg、0.5mg、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、125mg、250mg若しくは500mgを各々が含む錠剤、カシェ剤若しくはカプセル剤を3から4時間に1回、1日に1回、2回若しくは3回、又は(持続放出性剤形において)1週間に1回、2回若しくは3回投与することによって、肝疾患、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、敗血症ショック、例えば、抗血液量減少薬及び/又は抗血圧降下薬として、脳浮腫、群発性頭痛を含めた頭痛、予防的及び急性使用を含めた片頭痛、閉鎖性頭部外傷、過敏性大腸症候群及び腎炎に対しても有効となり得る。
【0070】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患又は症状の治療/予防/抑制又は寛解に使用される他の薬物と併用することができる。かかる他の薬物は、そのために通常使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時に又は連続して投与することができる。式Iの化合物を1種類以上の他の薬物と同時に使用するときには、式Iの化合物に加えてかかる他の薬物を含有する薬剤組成物が好ましい。したがって、本発明の薬剤組成物は、式Iの化合物に加えて1種類以上の他の活性成分も含む薬剤組成物を含む。式Iの化合物と併用することができ、別個に又は同じ薬剤組成物として投与される他の活性成分の例としては、(1)モルフィン並びにコデイン、オキシコドン、プロポキシフェン(Darvon)及びトラマドールを含めた他のオピエート受容体作用物質、(2)プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナック、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナック、イソキセパク、オクスピナク(oxpinac)、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン及びゾメピラック)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサル及びフルフェニサール)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカム)、サリチル酸塩(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)及びピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン(bezpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)、コキシブ(coxib)類(セレコキシブ、バレコキシブ(valecoxib)、ロフェコキシブ及びエトリコキシブ)などのCOX−2阻害剤を含めた非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、(3)ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンなどのコルチコステロイド、(4)ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン ピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセチリジンなどのヒスタミンH1受容体拮抗物質、(5)シメチジン、ファモチジン、ラニチジンなどのヒスタミンH2受容体拮抗物質、(6)オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤、(7)ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、ジロートンなどのロイコトリエン拮抗物質及び5−リポキシゲナーゼ阻害剤、(8)ニトログリセリン、硝酸イソソルビドなどの硝酸エステル、アテノロール、メトプロロール、プロプラノロール、アセブトロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、ラベタロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、ソタロール、チモロールなどのベータ遮断薬及びジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、ベプリジル、フェロジピン、フルナリジン、イスラジピン、ニカルジピン、ニモジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬を含めてアンギーナ、心筋虚血に使用される薬物、(9)抗ムスカリン、例えば、トルテロジン及びオキシブチニン)などの抗失禁薬、(10)(アトロピン、スコポラミン、ジサイクロミン、抗ムスカリン、ジフェノキシラートなどの)胃腸鎮けい薬;骨格筋弛緩薬(シクロベンザプリン、カリソプロドール、クロルフェネシン、クロルゾキサゾン、メタキサロン、メトカルバモール、バクロフェン、ダントロレン、ジアゼパム又はオルフェナドリン);(11)アロプリノール、プロベネシド、コルヒチンなどの抗痛風薬、(12)メトトレキセート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウムなどのリウマチ様関節炎用薬物、(13)アレンドロネート、ラロキシフェンなどの骨粗しょう症用薬物、(14)プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミンなどのうっ血除去薬、(15)局所麻酔薬;(16)アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ヘルペス薬物、(17)オンダンセトロン、グラニセトロンなどの制吐薬、(18)トリプタン(例えば、リザトリプタン、スマトリプタン)、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、CGRP拮抗物質などの片頭痛薬、(19)抗うつ薬(例えば、(ドキセピン、クロミプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン、マプロチリン、ノルトリプチリンなどの)三環系抗うつ薬、(パロキセチン、フルオキセチン、デュロキセチン、バンラフェキシン(vanlafexine)などの)セロトニン選択的/セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ベータ−アドレナリン作動性遮断薬、(20)VR1拮抗物質、(21)抗けいれん薬(例えば、ガバペンチン、プレガバリン、ラモトリジン、トピラメート、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、フェニトイン)、(22)グルタミン酸拮抗物質(例えば、ケタミン及び他のNMDA拮抗物質、NR2B拮抗物質)、(23)アセトアミノフェン、(24)CCR2拮抗物質、(25)ロフルミラストなどのPDE4拮抗物質、(26)テガセロド、(27)アロセトロン、(28)トピラメート、(29)カテプシンK阻害剤並びに(30)オメパトリラット(omepatrilat)などのACE/NEP阻害剤などが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0071】
生物学的評価
(a)ブラジキニンB1又はB2受容体に結合する選択化合物の親和性の評価
放射性リガンド結合アッセイは、ヒト、ウサギ、ラット若しくはイヌB1受容体を安定に発現するCHO細胞又はヒトB2受容体を発現するCHO細胞から得られた膜を用いて実施される。全受容体タイプに対して、細胞は、培養フラスコのPBS/1mM EDTA中から収集され、1000×gで10分間遠心分離される。細胞ペレットは、氷冷20mM HEPES、1mM EDTA、pH7.4(溶解緩衝剤)中でポリトロンを用いてホモジナイズされ、20,000×gで20分間遠心分離される。膜ペレットは、溶解緩衝剤中で再度ホモジナイズされ、20,000×gで再度遠心分離され、最終ペレットは、1%BSAが補充されたアッセイ緩衝剤(120mM NaCl、5mM KCl、20mM HEPES、pH7.4)中に5mgタンパク質/mlで再懸濁され、−80℃で凍結される。
【0072】
アッセイ当日に膜は14,000×gで5分間遠心分離され、100nMエナリプリラット(enaliprilat)、140μg/mLバシトラシン及び0.1%BSAを含むアッセイ緩衝剤中に所望のタンパク質濃度に再懸濁される。3H−des−arg10,leu9カリジンはヒト及びウサギB1受容体に使用される放射性リガンドであり、3H−des−arg10カリジンはラット及びイヌB1受容体に使用され、3H−ブラジキニンはヒトB2受容体を標識するのに使用される。
【0073】
全アッセイに対して、化合物はDMSO原液から希釈され、4μLが2%の最終DMSO濃度でアッセイ管に添加される。続いて、放射性リガンド100μL及び膜懸濁液100μLが添加される。B1受容体結合アッセイに対する非特異的結合は1μM des−arg10カリジンを用いて求められ、B2受容体に対する非特異的結合は1μMブラジキニンを用いて求められる。管は室温(22℃)で60分間インキュベートされ、続いてTomtec 96ウェル収集システムを用いてろ過される。フィルターに保持される放射能は、Wallac Beta−プレートシンチレーションカウンターを用いて計数される。
【0074】
本発明の化合物は、上記アッセイにおける5μM未満の結果によって示されるとおりB1受容体に対して親和性を有する。アッセイ結果が1μM未満であることが有利であり、アッセイ結果が0.5μM未満であることがさらに有利である。本発明の化合物は、ブラジキニンB2受容体よりもブラジキニンB1受容体に対して親和性を有することがさらに有利であり、より有利には、B1受容体に対する親和性は、B2受容体に対するそれの少なくとも10倍、好ましくは100倍を超える。
【0075】
(b)ブラジキニンB1拮抗物質のアッセイ
B1作用物質によって誘導されるカルシウム動員は、Fluorescence Imaging Plate Reader(FLIPR)を用いてモニターされた。B1受容体を発現するCHO細胞を96又は384ウェルプレートに蒔き、Iscove’s改変DMEM中で終夜インキュベートした。ウェルを生理緩衝塩溶液で2回洗浄し、次いで4uM Fluo−3と一緒に37℃で1時間インキュベートした。次いで、プレートを緩衝塩溶液で2回洗浄し、緩衝剤100uLを各ウェルに添加した。プレートをFLIPRユニット内に配置し、2分間平衡にした。次いで、体積50ulの試験化合物を添加し、5分後に作用物質(des−arg10カリジン)50ulを添加した。拮抗物質の非存在下及び存在下での相対蛍光ピーク高さを使用して、試験化合物によるB1受容体作用物質応答の阻害度を計算した。阻害曲線を作成し、4パラメータ非線形回帰曲線フィッティングルーチンによってIC50値を求めるために、8から10個の試験化合物濃度が一般に評価された。
【0076】
(c)ブラジキニン逆作用物質のアッセイ
ヒトB1受容体における逆作用物質活性は、過渡的に形質移入されたHEK293細胞を用いて評価された。形質移入から1日後に細胞フラスコを6uCi/ml [H]ミオイノシトールで終夜標識した。アッセイ当日に培地を取り出し、付着した細胞をリン酸緩衝食塩水2×20mlで静かに洗い流した。アッセイ緩衝剤(HEPES緩衝生理的塩、pH7.4)を添加し、フラスコを軽くたたいて細胞を引き離した。細胞を800×gで5分間遠心分離し、10mM塩化リチウムが補充されたアッセイ緩衝剤中に1×10細胞/mlで再懸濁した。室温で10分後、試験化合物又はビヒクルを含む管に0.5ml一定分量を分注した。さらに10分後、管を37℃水浴に30分間移した。12%過塩素酸溶液を添加してインキュベーションを終了し、管を氷上に30分間置いた。次いで、酸をKOHで中和し、管を遠心分離して沈澱材料をペレット化した。形成された[H]イノシトール一リン酸を標準イオン交換クロマトグラフィー技術によって回収し、液体シンチレーション計数によって定量した。逆作用物質活性は、[H]イノシトール一リン酸蓄積の基本(ビヒクルと一緒にインキュベートされた細胞)レベルを試験化合物が減少させる程度によって決定された。
【0077】
使用略語
以下の略語は、特に示さない限り、明細書において以下の意味を有する:Ac=アセチル;Boc=t−ブトキシカルボニル;Cat.=触媒;DCM=ジクロロメタン;DMF=ジメチルホルムアミド;DMADMA=ジメチルアセトアミドジメチルアセタール;DMSO=ジメチルスルホキシド;EDCI=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド;Et=エチル;EtOAc=酢酸エチル;HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;LAH=水素化アルミニウムリチウム;LDA=リチウムジイソプロピルアミド;LiHMDS=リチウムヘキサメチルジシラジド;Me=メチル;NBS=N−ブロモスクシンイミド;Ph=フェニル;Rt=室温;Tf=トリフリル(トリフルオロメタンスルホニル);THF=テトラヒドロフラン。
【0078】
合成方法
式Iの化合物は、スキーム1に示された一般的手順によって調製することができる。α−ヒドロキシカルボン酸(1)は、EDCI/HOBtなどのアミド結合形成用標準試薬及び反応条件を用いてアリールメチルアミン(2)と結合される。
【0079】
スキーム1
【0080】
【化15】

カルボン酸(1)は市販されており、又は当分野で周知の従来の化学反応によって市販試薬から調製することができる。アミン(2)は、スキーム2から6に概説されたように調製することができる。スキーム2において、ビアリール誘導体(5)は、トリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィン及び酢酸パラジウムのような金属触媒の存在下で、芳香族ボロン酸誘導体(3)又は適切なボロン酸エステル誘導体と芳香族ハロゲン化合物(4)との鈴木反応によって構築される。次いで、得られるシアノビフェニル中間体(5)は、適切な溶媒中で水素及びラネーNiのような金属を用いて触媒によってビアリールアミン誘導体(2a)に還元される。
【0081】
スキーム2
【0082】
【化16】

【0083】
或いは、スキーム3に示されるように、アミン誘導体(6)は、Bocのような適切な保護基で第一級アミンが保護された後に、ジメチルスルホキシドのような適切な溶媒中でパラジウム触媒を用いてピナコールホウ素エステル(8)にされる。このホウ素エステル(8)は、鈴木反応条件によってハロゲン化アリール誘導体(4)に結合され、脱保護後(2a)を生成する。
【0084】
スキーム3
【0085】
【化17】

【0086】
ビアリールメタナミン誘導体を調製する第3の方法をスキーム4に示す。まず、ビアリール部分(11)は、示されたように、(9)とアリール亜鉛化合物(10)のパラジウム触媒カップリングによって構築される。次いで、ビアリール(11)のメチル基は、ハロゲン化、アジドによるハロゲンの求核性置換及び還元の3段階に従って、対応するアミン中間体(2a)を生成する。或いは、第4の方法では、ビアリールメタナミン(2a)は、先に考察されたようにアリールカルボニトリル(13)及びアリール亜鉛化合物(10)から出発して調製することもできる。次いで、生成したビアリールカルボニトリル(5)は水素還元されて(2a)を生成する。
【0087】
スキーム4
【0088】
【化18】

【0089】
ビアリールメタナミン誘導体を調製する第5の方法をスキーム5に示す。公知のピリジン(14)(J. Chem. Soc, (1952), 2042−2046.)のニトロ基の還元及びニトリル加水分解に続いて、得られるアミンがフッ化物に転化されて(15)を生成する。このアミドはアルデヒド(16)に3段階で転化される。t−ブチルスルフィンアミドとのイミン形成に続いて、メチルグリニヤールが添加されて(17)を生成する。これからさらに上記ビアリールメタナミンを生成することができる。
【0090】
スキーム5
【0091】
【化19】

【0092】
スキーム6の反応段階では、Rがベンズイソチアゾリン部分である式(I)の化合物が調製される。スキーム6は特定の化合物の調製を示すものであるが、その手順は、式(I)の他の類似の化合物を調製するために使用することができる。
【0093】
スキーム6
【0094】
【化20】


【0095】
参考例
以下の例は、ビアリールメチルアミン出発材料の調製を説明するものである。他のビアリールメチルアミンも同様に調製することができる。
【0096】
I. メチル2−[6−(アミノメチル)−5−フルオロピリジン−3−イル]−6−フルオロベンゾアート
LDA(40.9mmol、ジイソプロピルアミン11.4mL及び2.5M n−ブチルリチウムのへキサン溶液16.4mLから調製された)の−78℃ 200mL THF溶液を2−シアノ−3−フルオロピリジン(5.0g、40.9mmol)の50mL THF溶液で滴下処理した。10分後、ヨウ素(10.4g、40.9mmol)の10mL THF溶液を添加した。30分後、反応物を水40mLでクエンチし、続いてチオ硫酸ナトリウム水溶液で処理した。混合物をエーテルで希釈し、塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、0から20%酢酸エチルのへキサン溶液で溶出させて、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与える3−フルオロ−4−ヨードピリジン−2−カルボニトリルを得た。
【0097】
LDA(16.9mmol)の−78℃ 200mL THF溶液を上記カルボニトリル(4.2g、16.9mmol)の50mL THF溶液で滴下処理した。2時間後に反応物を水でクエンチし、室温に加温した。混合物をエーテルで希釈し、塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、0から20%酢酸エチルのへキサン溶液で溶出させて、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与える3−フルオロ−5−ヨードピリジン−2−カルボニトリルを得た。
【0098】
上記カルボニトリル(1.08g、3.87mmol)の10mL THF溶液及びパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(0.18g、0.16mmol)を(メチル2−フルオロ−6−ヨードベンゾアート及びReike Zincから調製された)[3−フルオロ−2−(メトキシ−カルボニル)フェニル](ヨード)亜鉛の20mL THF溶液にカニューレを用いて添加した。混合物を1時間加熱還流し、冷却し、酢酸エチルと水に分配した。有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、0から20%酢酸エチルのへキサン溶液で溶出させて、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与えるメチル2−(6−シアノ−5−フルオロピリジン−3−イル)−6−フルオロベンゾアートを得た。
【0099】
上記エステル(0.75g、2.7mmol)のNH/MeOH(5mL、2.0M)撹拌溶液にラネー2800ニッケル(水スラリー)を添加した。混合物をH雰囲気(風船)下で室温で6時間撹拌した。次いで、混合物をガラスろ紙によってろ過し、追加のMeOHで洗浄した。得られた溶液を減圧濃縮し、トルエンと3回共沸させて粗製の標記化合物(0.65g、2.34mmol)を得た。
【0100】
II. (1R)−1−{5−[3,5−ジクロロ−2−(メトキシカルボニル)フェニル]−3−フルオロピリジン−2−イル}エタナミニウムクロライド
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシベンズアルデヒド(5.00g、26.18mmol)の125mLメタノール溶液を0℃に冷却した。過塩素酸(70%、1.47mL、16.23mmol)を添加し、溶液を10分間撹拌した。分離フラスコに、酸化バナジウム(V)(0.190g、1.05mmol)を過酸化水素溶液(30%水溶液、11.90mL、104.7mmol)に0℃で添加した。この溶液を触媒が溶解するまで撹拌すると透明オレンジ溶液が生成した。これをメタノール溶液に滴下した。反応物を室温に徐々に加温し、終夜撹拌した。溶液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解した。有機抽出物を、炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。残渣を10%酢酸エチルのへキサン溶液と一緒にシリカゲルの詰め物に通してろ過して、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与えるメチル2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシベンゾアートを得た。
【0101】
上記エステル(4.64g、20.99mmol)とピリジン(1.87mL、23.09mmol)の100mL CHCl溶液を0℃に冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸(4.94mL、29.39mmol)を添加し、溶液を2時間撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液、硫酸銅水溶液及び塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与えるメチル2,4−ジクロロ−6−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}ベンゾアートを得た。
【0102】
下の5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−カルボニトリル(4.71g、20.7mmol)のMeOH(319mL)溶液に塩化スズ(II)二水和物(27.97g、123.9mmol)を添加した。反応物を40℃に40分間加熱し、減圧濃縮し、トルエンと共沸させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、溶液が塩基性になるまで10%炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。水層をCHClで3回抽出し、混合有機層をNaSOを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して、M+H+(81Br)の質量イオン(ES+)が218.2である3−アミノ−5−ブロモピリジン−2−カルボキサミドを得た。
【0103】
上記カルボキサミド(40.0g、185.2mmol)のCHCl溶液にニトロソニウムテトラフルオロボラート(22.71g、191.4mmol)を添加した。反応物を室温で4.5時間撹拌し、次いで減圧濃縮し、トルエンと共沸させた。残渣をトルエン(1100mL)に懸濁させ、100℃に2時間加熱した。反応物を減圧濃縮し、残渣をCHClに懸濁させた。固体を収集して、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与え、M+H+(79Br)の質量イオン(ES+)が219.1である5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−カルボキサミドを得た。
【0104】
上記粗製カルボキサミド(40.50g、184.9mmol)のHCl(12N、539.4mL、6.472mol)溶液を120℃に1時間加熱した。反応物を室温に冷却し、NaOH(20%)を徐々に添加してpH約6とした。溶液を減圧濃縮し、トルエンと3回共沸させた。残渣を40%MeOH/CHClで十分に抽出し、ろ過した。これを3回繰り返した。混合ろ液を濃縮し、トルエンと3回共沸させて、M+H+(79Br)の質量イオン(ES+)が218.1である5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−カルボン酸を得た。
【0105】
上記粗製カルボン酸(40.65g、184.8mmol)、O,N−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(21.63g、221.7mmol)、1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(70.85g、369.6mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(2.497g、18.48mmol)及びトリエチルアミン(16.48mL、118.3mmol)の200mL DMF溶液を室温で終夜撹拌した。溶液をある程度減圧濃縮し、酢酸エチルと10%炭酸水素ナトリウム水溶液に分配した。水層を酢酸エチルで4回抽出し、混合有機層を水及び塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与え、M+H+(79Br)の質量イオン(ES+)が263.01である5−ブロモ−3−フルオロ−N−メトキシ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドを得た。
【0106】
上記粗製カルボキサミド(27.94g、106.2mmol)の−78℃ THF(350mL)溶液にLAH(1M THF溶液、45.67mL、45.67mmol)を滴下した。反応物を−78℃で2時間撹拌し、次いでHO(100mL)及び塩水(100mL)を添加した。混合物を室温に加温し、ある程度減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈し、セライトに通してろ過した。水層を酢酸エチルで4回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣を10%酢酸エチルのへキサン溶液と一緒にシリカゲルの詰め物に通してろ過して、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与える5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−カルバルデヒドを得た。
【0107】
(R)−(+)−2−メチル−2−プロパンスルフィンアミド(9.898g、81.67mmol)のCHCl(160mL)溶液に5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−カルバルデヒド(16.66g、81.67mmol)、ピリジニウムp−トルエンスルホナート(1.026g、4.08mmol)及び硫酸マグネシウム(49.15g、408.3mmol)を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、次いでセライトに通してろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、0から10%酢酸エチルのへキサン溶液で溶出させて、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与え、M+H+(81Br)の質量イオン(ES+)が307.0であるN−[(1E)−(5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−イル)メチリデン]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドを得た。
【0108】
上記スルフィンアミド(18.63g、60.65mmol)のCHCl(375mL)溶液をN下で−50℃に冷却した。塩化メチルマグネシウム(3M THF溶液、30.32mL、90.97mmol)を滴下し、反応物を1時間撹拌した。追加の塩化メチルマグネシウム(5.0mL、15.0mmol)を30分後に添加して反応を完結させた。水(200mL)及び塩水(200mL)を添加し、反応物を室温に加温した。水層をCHClで4回抽出し、混合有機層をNaSOを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、10から40%酢酸エチルのへキサン溶液で溶出させて、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与え、M+H+(81Br)の質量イオン(ES+)が325.0であるN−[(1R)−1−(5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−イル)エチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドを得た。
【0109】
上記スルフィンアミド(0.500g、1.55mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.412g、1.62mmol)、酢酸カリウム(0.456g、4.64mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−パラジウム(II)ジクロライド(0.030g、0.041mmol)の混合物の5mL DMF溶液をN下で90℃に4時間加熱した。追加のビス(ピナコラート)ジボロン(0.295g、1.16mmol)及び3−クロロペルオキシ安息香酸(861mg、4.99mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(0.030g、0.041mmol)を添加して反応を完結させた。反応混合物を室温に冷却し、メチル2,4−ジクロロ−6−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}ベンゾアート(0.546g、1.55mmol)、炭酸ナトリウム(2M、2.32mL、4.64mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(0.003g、0.041mmol)を添加した。反応混合物を90℃に1.5時間加熱し、次いで室温に冷却し、酢酸エチルと水に分配した。有機抽出物を水と塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、0から30%酢酸エチルのへキサン溶液で溶出させて、理論値と一致するプロトンNMRスペクトルを与えるメチル2−(6−{(1R)−1−[(tert−ブチルスルフィニル)アミノ]エチル}−5−フルオロピリジン−3−イル)−4,6−ジクロロベンゾアートを得た。
【0110】
上記生成物のメタノール(1.2mL)溶液にHCl/ジオキサン溶液(4M、1.2mL、4.6mmol)を添加した。溶液を室温で30分間撹拌し、次いで減圧濃縮してM+Hの(ES+)が343.01である標記化合物を得た。
【0111】
III. メチル4’−[(1R)−1−アミノエチル]−3−フルオロ−1,1’−ビフェニル−2−カルボキシラートHCl
市販(1R)−1−(4−ブロモフェニル)エタナミンを当業者に公知の標準手順によってBocで保護して、tert−ブチル(1R)−1−(4−ブロモフェニル)エチルカルバメートを得た。
【0112】
上記カルバメート(7.6g、25.3mmol)のDMSO(20mL)溶液にビス(ピナコラート)ジボロン(7.07g、27.9mmol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加体(2.06g、2.53mmol)及び酢酸カリウム(7.45g、76.0mmol)をN下で室温で添加した。得られた混合物を80℃で1時間加熱した。EtOAcを添加して反応物をクエンチし、セライトに通してろ過した。有機抽出物を水で3回、飽和NaClで洗浄し、MgSOを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し、0から20%酢酸エチルのへキサン溶液で溶出させて、質量イオン(ES+)が333である透明淡黄色オイルのtert−ブチル(1R)−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチルカルバメートを得た。
【0113】
上記カルバメート(1.0g、2.9mmol)とメチル2−フルオロ−6−ヨードベンゾアート(1.2g、4.32mmol)の5:1 THF:水混合物25mLの撹拌溶液に炭酸カリウム(1.2g、8.64mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(350mg、1.15mmol)を添加し、最後に酢酸パラジウム(65mg、0.29mmol)を添加した。次いで、反応器を密閉し、90℃油浴に入れ、終夜加熱撹拌した。約18時間後に反応混合物を周囲温度に冷却し、次いでEtOAcで希釈した。有機物を塩水(×4)で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮してオイルを得た。このオイルをシリカゲルクロマトグラフィーに供し、10から60%EtOAcのへキサン溶液で溶出させてメチル4’−{(1R)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−エチル}−3−フルオロ−1,1’−ビフェニル−2−カルボキシラート(205mg)を得た。これはLC/MS及びプロトンNMRによって純粋であることが判明した。
【0114】
MeOH(15mL)に溶解された上記カルボキシラート(205mg、0.60mmol)を0℃に冷却した。この均一溶液を無水HClで飽和させ、20分間静置した。次いで、乾燥窒素を溶液に約30分間バブリングさせた。次いで、溶媒を減圧除去して油状残渣を得た。次いで、このオイルをDCMに溶解し、溶媒を除去した。固体アミン塩酸塩が得られるまでこのプロセスを繰り返した。
【0115】
IV. N−[(1R)−1−(5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−イル)エチル]アセトアミド
段階1. 2,5−ジブロモ−3−ニトロピリジン
2−ヒドロキシ−3−ニトロ−5−ブロモピリジン(1当量)をトルエン(3体積)に懸濁させ、N,N−ジメチルホルムアミド(0.1当量)を添加した。混合物を光から保護した。オキシ臭化リン(1.2当量)のトルエン(2体積)溶液をピリジン混合物に約90℃で1.5時間添加し、反応物を90℃で約14時間養生させた。反応混合物を室温に冷却し、水(10体積)及びトルエン(5体積)を添加した。各層を分割(cut)し、有機層を1N NaOH(2×10体積)及びHO(5体積)で洗浄した。そのバッチを減圧濃縮して所望の生成物を得た。
【0116】
段階2. 5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−カルボニトリル
段階1の化合物(1当量)をプロピオニトリル(3体積)に懸濁させた。シアン化銅(1.1当量)を添加し、混合物を90℃に加熱し約17時間養生した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸イソプロピル(12体積)及び飽和塩水(8体積)を添加した。混合物を15分間撹拌し、各層を分割した。最上部の有機層を塩水(4×6体積)で洗浄した。そのバッチを減圧濃縮して所望の生成物を得た。
【0117】
段階3. 5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−カルボニトリル
硫酸(0.02当量)をフッ化テトラブチルアンモニウム(3当量)のDMF(5体積)溶液に添加し、その混合物を−40℃に冷却した。段階2の化合物(1当量)のDMF(2体積)溶液を添加し、温度を<−35℃に維持した。約20分後に2N HCl(3体積)を添加し、続いて1N HCl(15体積)を添加した。沈殿生成物をろ過によって収集して所望の生成物を得た。
【0118】
段階4. N−[1−(5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−イル)ビニル]アセトアミド
段階3の化合物(1当量)をトルエン(10体積)に溶解した。そのバッチを−10℃に冷却し、MeMgCl(1.5当量)を添加し、温度を<0℃に維持した。混合物を1時間養生し、無水酢酸を約30分間添加し、温度を<0℃に維持した。反応物を−10℃で18時間養生した。混合物を半飽和NaHCO(6体積)でクエンチし、20から25℃で30分間養生した。層分離させ、有機層を水(5体積)、10%NaSO水溶液(2×5体積)及び水(2×5体積)で洗浄した。そのバッチを減圧濃縮して標記化合物を得た。
【0119】
段階5. N−[(1R)−1−(5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−イル)エチル]アセトアミド
窒素を充填したグローブボックス(<10ppm O)中で、(S,S,R,R)−Tangphos(Rhに対して1.05当量)を(COD)RhBFと結合させ、メタノールに溶解してRhが0.107Mである溶液を調製した。触媒溶液を1時間養生した。
【0120】
窒素を充填したグローブボックス中で、触媒溶液(((S,S,R,R)−(Tangphos)Rh(COD)BF、0.00284当量、S/C=352)をメタノールリンス(1体積)と一緒にステンレススチールシリンダーに移した。別個のステンレススチールシリンダーに追加のメタノール(1体積)を添加した。これら2個のシリンダーをボール弁を介して接続した。段階4のエナミド(54wt%MeOH溶液)を撹拌オートクレーブ中に減圧して抜き取り、続いてメタノール(10mL/gエナミド)でリンスした。次いで、溶液を窒素(3×)で脱気した。触媒溶液を含むステンレススチール容器を柔軟な管を用いてオートクレーブに接続した。オートクレーブをある程度の減圧下に置き、触媒溶液をオートクレーブに抜き取り、続いてMeOHでリンスした。溶液をH(100psig(700kPa))で3回脱気し、最終圧力を20psig(100kPa)に調節した。反応温度を25℃に設定し、撹拌を開始した。反応圧力を20分後に98psig(680kPa)に上昇させた。混合物をさらに4時間水素化した。鏡像体過剰率は99.5%であった。
【0121】
そのバッチをオートクレーブから取り出し、減圧濃縮し、溶媒を酢酸イソプロピル(IPAc)に交換して最終濃度10mL/gとした。IPAc溶液をシリカゲル(300wt%)に通してろ過し、IPAc 1体積で洗浄した。Darko KB−B(50wt%)を添加し、混合物を20から25℃で16時間養生した。バッチをSolka Flocに通してろ過し、ケーキをIPAc(1.1体積)で洗浄した。バッチを減圧濃縮して標記化合物を得た。
【0122】
V. 3−(2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロフェニル)−5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール
2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロアニリン(25.0g、111mmol)の200mL無水DCM溶液を、バブラーを備えた2リットル丸底フラスコ中でニトロソニウムテトラフルオロボラート(14.3g、123mmol)を用いて周囲温度で処理した。1時間後、アニリンが完全に消費されたことが確認された。反応混合物を0℃に冷却した後、シアン化カリウム(14.5g、223mmol)を添加した。急速撹拌しながら、硫酸第二銅六水和物の水溶液(水125mL中55.6g、223mmol)を徐々に添加すると多量のガスが発生した。40分間撹拌後、氷浴を取り外し、反応物を周囲温度に加温した。周囲温度で1時間後、反応混合物を追加のDCMで希釈し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加してさらなるガス発生がもはや観測されなくなるまで徐々にクエンチした。次いで、生成した不均一混合物を大きなセライトパッドに通してろ過し、必要に応じてDCMで洗浄した。次いで、有機ろ液を飽和塩水で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水した。ろ過し、溶媒を除去すると材料が得られた。これをシリカゲルクロマトグラフィーに供し、0から25%DCMのヘプタン溶液で溶出させた。画分を含む生成物を収集し、溶媒を除去すると、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロベンゾニトリル9.76グラムが生成した。これは理論値と一致するLC/MS及びプロトンNMRスペクトルを与えた。
【0123】
エタノール21mLに上記ニトリル(5.00g、21.3mmol)を添加し、続いて過剰のヒドロキシルアミン(50%ヒドロキシルアミン水溶液21mL)を添加した。次いで、この混合物を大気開放しながら60℃に加熱した。1.5時間後に反応終了をLC/MS分析によって確認した。混合物を周囲温度に冷却後、ジエチルエーテルと水で希釈した。エーテル層を追加の水で洗浄し、次いで飽和塩水で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、次いで濃縮して未精製ヒドロキシルアミン付加体5.5gを得た。この材料を、並行して調製された未精製ヒドロキシルアミン付加体の等量と混合して全質量約11.1グラムとした。この材料11.1グラムをDMADMA(38.7g、290.mmol)に溶解し、周囲温度で30分間撹拌した。次いで、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、水、半飽和塩水、次いで塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水した。ろ過し、溶媒を除去すると材料が得られた。これをシリカゲルクロマトグラフィーに供し、40から85%DCMのヘキサン溶液で溶出させた。画分を含む生成物を収集し、溶媒を除去すると標記化合物5.08グラムが生成した。これは理論値と一致するLC/MS及びプロトンNMRスペクトルを与えた。
【0124】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるものであって、特許請求の範囲を限定するものと決して解釈すべきではない。
【実施例】
【0125】
(実施例1)
メチル4’−({[(1−ヒドロキシシクロプロピル)カルボニル]アミノ}メチル)ビフェニル−2−カルボキシラート
【0126】
【化21】

【0127】
メチル4’−(アミノメチル)ビフェニル−2−カルボキシラート(0.325g、1.35mmol)、1−ヒドロキシシクロプロパンカルボン酸(0.151g、1.48mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.248g、1.62mmol)をTHF/DCM(THF 13mL/DCM 6.5mL)の混合物に懸濁させ、続いて1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.336g、1.75mmol)を添加した。溶液は素早く均一になったが、5分後不均一混合物に戻った。3時間後に溶媒混合物を純粋なDCMと交換した後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、1から5%メタノールのDCM溶液で溶出させて標記化合物を得た。
LRMS(ES,M+H):326. H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.84(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.53(td,J=7.6,1.6Hz,1H),7.41(td,J=7.6,1.2Hz,1H),7.34(m,3H),7.29(bd,J=8.4Hz,2H),7.19(bs,1H),4.55(d,J=6.0Hz,2H),3.69(s,3H),2.55(bs,1H),1.43(m,2H),1.07(m,2H).
【0128】
(実施例2)
(2R)−N−((1R)−1−{5−[5−クロロ−3−フルオロ−2−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−3−イル)フェニル]−3−フルオロピリジン−2−イル}エチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド
【0129】
【化22】

【0130】
参考例IVの化合物(20.6g、79.1mmol)の210mL無水MeOH溶液を0℃に冷却後、無水塩化水素で飽和させた。次いで、凝縮器及びオイルバブラーを取り付け、溶液を85℃に5時間加熱した。周囲温度に冷却後、溶媒を減圧除去して黄色固体を得た。この固体をDCM 200mLと水酸化ナトリウム水溶液210mL(1M、210mmol)に溶解した。次いで、Boc無水物(23g、105mmol)を添加し、反応物を16時間撹拌した。次いで、層分離させ、有機層をDCMで1回抽出した。混合有機層を飽和塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで脱水した。ろ過し、溶媒を除去すると材料が得られた。これをシリカゲルクロマトグラフィーに供し、5から30%EtOAcのヘキサン溶液で溶出させた。画分を含む生成物を収集し、溶媒を除去すると、tert−ブチル[(1R)−1−(5−ブロモ−3−フルオロピリジン−2−イル)エチル]カルバメート25.1グラムが生成した。これは理論値と一致するLC/MS及びプロトンNMRスペクトルを与えた。
【0131】
ゴム製セプタムで蓋がされた封管反応器中の酢酸カリウム(3.43g、35.0mmol)、上記カルバメート(3.72g、11.7mmol)及び4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(3.85g、15.2mmol)の混合物をDMSO 24mLに溶解した。次いで、この不均一混合物を排気し、窒素で3回パージした後、[1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)を導入し、DCMと複合化した(1:1)(0.426g、0.583mmol)。次いで、不均一混合物を排気し、窒素で2回パージした後、セプタムをテフロンねじ蓋に交換した。次いで、この密閉容器を90℃に1.5時間加熱した。周囲温度に冷却後、炭酸カリウム(3.22g、23.3mmol)、水(3mL)、参考例Vの化合物(3.74g、12.8mmol)及び追加のパラジウム触媒(0.426g、0.583mmol)を添加し、反応物を再度密封した。80℃に3時間加熱後、反応物を冷却し、次いで水とEtOAcでクエンチした。この水層をEtOAcで1回抽出した。混合有機層を追加の水、次いで塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水した。ろ過し、溶媒を除去すると材料が得られた。これをシリカゲルクロマトグラフィーに供し、10から35%EtOAcのヘキサン溶液で溶出させた。画分を含む生成物を収集し、溶媒を除去すると、tert−ブチル((1R)−1−{5−[5−クロロ−3−フルオロ−2−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−3−イル)フェニル]−3−フルオロピリジン−2−イル}エチル)カルバメート3.62グラムが生成した。
【0132】
Bocで保護された上記材料をMeOH 100mLに溶解し、次いで0℃に冷却した。次いで、無水HClガスを溶液を通して3分間バブリングさせた。この反応混合物を0℃で30分間静置した後、溶媒を除去した。追加のMeOHを添加し、次いで減圧除去し、続いてDCMを添加し除去して(2回)、泡状固体のアミン塩酸塩3.10gを得た。
【0133】
200mL丸底フラスコ中の上記アミン塩酸塩(4.54g、11.7mmol)に無水DCM(31mL)、(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(2.78g、17.6mmol)、HOBt・HO(0.898g、5.86mmol)、トリエチルアミン(2.97g、29.3mmol)を添加し、最後にEDCI(3.60g、18.8mmol)を添加した。この反応混合物を周囲温度で16時間撹拌させた。反応の終了をLC/MS分析によって確認した後、(処理も溶媒除去もされない。)反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、20から60%EtOAcのへキサン溶液で溶出させた。画分を含む生成物を収集し、溶媒を除去すると、泡状固体の標記化合物3.61グラムが生成した。純度は、LCMS(ES MS、M+H実測値:491)及びプロトンNMR(400MHz、CDOD:δ 8.208、8.204、7.569、7.564、7.558、7.546、7.541、7.537、7.533、7.518、7.515、7.513、7.510、5.381、5.366、5.363、5.349、5.346、5.331、2.546、1.576、1.468、1.451)によって測定された。
【0134】
以下の化合物は、実施例1及び2に記載の一般的手順に従って調製された。α−ヒドロキシカルボン酸出発材料は市販されており、又は当分野で周知の従来反応によって市販試薬から調製することができる。ビアリールメチルアミン出発材料は、参考例の項に記載の手順によって、一般的反応スキームに従い、市販試薬又は当分野で周知の従来反応によって市販試薬から調製することができる試薬を用いて調製することができる。
【0135】
【表2】


【0136】
【表3】


【0137】
【表4】




【0138】
【表5】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物及び薬剤として許容されるその塩。
【化1】

(式中、
YはCH又はNであり、
は、
【化2】

であり、
2aは、(1)Rから選択される基、(2)(CHNRC(O)R、(3)(CHNRSO、(4)(CHNRCO、(5)ハロゲン、ニトロ、シアノ、OR、SR、C1−4アルキル及びC1−3ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−複素環(該複素環は、(a)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環(該環は場合によってはベンゾ縮合していてもよい。)又は(b)1から3個の環窒素原子を含有する6員環芳香族複素環及びそのN−酸化物であり(該環は場合によってはベンゾ縮合していてもよい。)である。)、(6)(CHCO並びに(7)(CHC(O)NRから選択され、
2bはOHであり、若しくはR2aから選択される基であり、又は
2aとR2bはこれらが結合している炭素原子と一緒に、ハロゲン、OR、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から4個の基で場合によっては置換されていてもよい3から7員環炭素環を形成し、
3a及びR3bは、水素、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択され、
4a及びR4bは水素及びハロゲンから独立に選択され、
は、(1)ハロゲン、ニトロ、シアノ、COR、CO、C(O)NR、OR、OC(O)R、SR、SO、S(O)R、NR、NRC(O)R、NRSO及びNRCOから独立に選択される1から5個の基で場合によっては置換されていてもよいC1−8アルキル、(2)C3−8シクロアルキル、(3)COで場合によっては置換されていてもよいC2−8アルケニル、(4)ハロゲン、(5)シアノ、(6)ニトロ、(7)NR、(8)NRC(O)R、(9)NRCO、(10)NRC(O)NR、(11)NRC(O)NRCO、(12)NRSO、(13)CO、(14)COR、(15)C(O)NR、(16)C(O)NHOR、(17)C(=NOR)R、(18)C(=NOR)NR、(19)OR、(20)OC(O)R、(21)S(O)、(22)SONR、(23)場合によっては置換されていてもよい複素環(該複素環は、(a)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環、(b)1から3個の環N原子を有する6員環芳香族複素環、(c)4,5−ジヒドロ−オキサゾリル又は(d)4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリルであり、該置換基は、1から5個のハロゲン原子で場合によっては置換されていてもよいC1−4アルキル、OR若しくはOC(O)Rから独立に選択される1から3個の基である。)、(24)ハロゲン、ニトロ、シアノ、OR、SR、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよいフェニル並びに(25)OSOから選択され、
は水素及びハロゲンから選択され、
及びRは、R、R及びRの1個以下が複素環であるという条件で、水素、及びRから選択される基から独立に選択され、
は、(1)水素、(2)1から5個のハロゲン原子、OH、SH、O−C1−4アルキル又はS−C1−4アルキルで場合によっては置換されていてもよいC1−7アルキル、(3)ハロゲン、シアノ、ニトロ、OH、C1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−フェニル並びに(4)C3−6シクロアルキルから選択され、
及びRは、(1)水素、(2)ハロゲン、アミノ、CO、OR、モノC1−4アルキルアミノ及びジC1−4アルキルアミノから独立に選択される1から5個の基で場合によっては置換されていてもよいC1−4アルキル、(3)ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR、CO、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−フェニル並びに(4)C3−6シクロアルキルから独立に選択され、又はRとRはこれらが結合している窒素原子と一緒に、NR、O、S、S(O)及びS(O)から選択される追加のヘテロ原子を場合によっては含有してもよい4、5若しくは6員環を形成し、
は、(1)C1−4アルキル、(2)C1−4ハロアルキル、(3)C1−4アルキルオキシ、(4)ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR、CO、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−フェニル、(5)ピリジル及び(6)ピリジルN−酸化物から選択され、
は、水素、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C(O)H及びC(O)C1−4アルキルから選択され、
nは1、2又は3であり、
kは0、1、2、3又は4であり、
vは0、1又は2である。)
【請求項2】
2a、R2b及びこれらが結合している炭素原子が、ハロゲン、OR、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から4個の基で場合によっては置換されていてもよい3から7員環炭素環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、
【化3】

(式中、R、R及びRは請求項1に定義されたとおりである。)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、(1)−CO−C1−4アルキル、(2)C1−4アルコキシ並びに(3)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によって有していてもよい5員環芳香族複素環から選択され、該環はC1−4アルキル基で場合によっては置換されていてもよい、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が水素又は3−ハロであり、Rが水素又は5−ハロである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、
【化4】

(式中、R4a、R4b及びRは請求項1に定義されたとおりである。)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
4a及びR4bが各々フルオロである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式(Ia)を有する請求項1に記載の化合物及び薬剤として許容されるその塩。
【化5】

(式中、mは1から5であり、YはN又はCHであり、R3aとR3bの一方は水素であり他方は水素又はメチルであり、Rは水素又はフッ素であり、Rは(1)−CO−C1−4アルキル、(2)1から5個のハロゲン原子で場合によっては置換されていてもよいC1−4アルコキシ並びに(3)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環から選択され、該環はC1−4アルキル基で場合によっては置換されていてもよく、R及びRは独立に水素又はハロゲンである。)
【請求項9】
式Ibを有する請求項1に記載の化合物及び薬剤として許容されるその塩。
【化6】

(式中、R3a、R3b、R、R、R及びRは請求項1に定義されたとおりであり、R2a’及びR2b’は、(1)水素、(2)1から5個のハロゲン原子、SH、OH、S−C1−4アルキル又はOC1−4アルキルで場合によっては置換されていてもよいC1−7アルキル、(3)ハロゲン、シアノ、ニトロ、OH、C1−4アルキルオキシ、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル及びC1−4ハロアルキルから独立に選択される1から3個の基で場合によっては置換されていてもよい(CH−フェニル、(4)C3−6シクロアルキル、(5)(CH−ピリジル並びに(6)(CH−インドリルから独立に選択される。)
【請求項10】
2a’及びR2b’が独立に1から5個のハロゲン原子で場合によっては置換されていてもよいC1−7アルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
3aとR3bの一方が水素であり他方が水素又はメチルであり、Rが水素、塩素又はフッ素であり、Rが(1)−CO−C1−4アルキル、(2)1から5個のハロゲン原子で場合によっては置換されていてもよいC1−4アルコキシ並びに(3)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環から選択され、該環はC1−4アルキル基で場合によっては置換されていてもよく、R及びRが独立に水素又はハロゲンである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
式Icを有する請求項1に記載の化合物及び薬剤として許容されるその塩。
【化7】

(式中、YはN又はCHであり、RはH、塩素又はフッ素であり、R3aはH又はメチルであり、Rは(1)−CO−C1−4アルキル、(2)C1−4アルコキシ、(3)C1−4ハロアルキルオキシ並びに(4)N、O及びSから選択される環ヘテロ原子を有し、最高3個の追加の環窒素原子を場合によっては有していてもよい5員環芳香族複素環から選択され、該環はC1−4アルキル基で場合によっては置換されていてもよく、R及びRは独立に水素又はハロゲンである。)
【請求項13】
請求項1に記載の化合物の治療有効量と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物におけるブラジキニンB1受容体によって媒介される症状の治療又は予防方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物におけるとう痛の治療又は予防方法。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物における急性痛、炎症性とう痛及び神経因性とう痛から選択されるとう痛の治療又は予防方法。
【請求項17】
ブラジキニンB1受容体によって媒介される疾患又は症状の治療又は予防用医薬品を製造するための請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩の使用。
【請求項18】
前記疾患又は症状が急性痛、炎症性とう痛及び神経因性とう痛である、請求項17に記載の使用。

【公表番号】特表2007−520472(P2007−520472A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547200(P2006−547200)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042691
【国際公開番号】WO2005/063690
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】