説明

プロトンポンプ阻害剤、緩衝剤および非ステロイド系抗炎症薬の組み合わせ

プロトンポンプ阻害剤、一つまたは複数の緩衝剤、および非ステロイド系抗炎症薬を含む薬学的組成物について記載する。プロトンポンプ阻害剤、緩衝剤および非ステロイド系抗炎症薬を含む薬学的組成物を用いて、胃酸関連障害および炎症障害を治療するための方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、プロトンポンプ阻害剤、緩衝剤および非ステロイド系抗炎症薬を含む薬学的組成物に関する。この薬学的組成物の製造および疾患の治療におけるこの薬学的組成物の使用のための方法を開示する。なお、本出願は、2004年02月10日に出願されて全体が本明細書に参照として組み入れられる米国特許仮出願第60/543,636号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロトンポンプ阻害剤
プロトンポンプ阻害物質(PPI)は、胃酸分泌経路を遮断する酸に不安定な一群の薬学的化合物である。例示的プロトンポンプ阻害剤には、オメプラゾール(プリロセック(登録商標))、ランソプラゾール(プレバシド(登録商標))、エソメプラゾール(ネキシウム(登録商標))、ラベプラゾール(アシフェックス(登録商標))、パントプラゾール(プロトニクス(登録商標))、パリプラゾール、テンタプラゾール、およびレミノプラゾールが含まれる。このクラスの薬剤は、消化管旁細胞の分泌表面においてH+/K+-ATPアーゼ酵素系(プロトンポンプ)の特異的阻害によって消化管の酸分泌を抑制する。大半のプロトンポンプ阻害剤は酸分解を受け易く、従って、胃の酸性pH環境では速やかに破壊される。従って、プロトンポンプ阻害剤は、しばしば、胃を通過した後に十二指腸において薬剤を放出させるために、腸溶性投与剤形として投与される。これらの製剤化された製品の腸溶コーティングが破壊されると(例えば、液体投与剤形を調合するための滴定中、または腸溶コーティングされた顆粒状のカプセルまたはタブレットの咀嚼によって)、または同時に投与される緩衝剤が消化管pHを十分に中和することができない場合、脱コーティングした薬剤が胃酸に曝されて、分解する可能性がある。
【0003】
置換型二環式アリル-イミダゾールである5-メチル-2-[(4-メトキシ-3,5-ジメチル-2-ピリジニル)メチル]スルフィニル]-1H-ベンズイミダゾールのオメプラゾールは、消化管の酸分泌を阻害するプロトンポンプ阻害剤である。Lovgrenらに対する米国特許第4,786,505号によると、オメプラゾールの薬学的経口固形投与剤形はその薬学的活性を維持するために腸溶コーティングによって酸性の消化管液との接触から保護されなければならず、コア物質と腸溶コーティングの間に一つまたは複数のサブコーティングを含む腸溶性オメプラゾール調製物について説明している。非腸溶性の薬学的組成物についても記載されており、それらは胃内での薬学的に活性な成分の速やかな放出を促進して、薬学的物質の胃取り込みを可能とする。腸溶コーティングされていない組成物の使用は、一つまたは複数の緩衝剤および酸に不安定なプロトンポンプ阻害剤の投与を伴う。緩衝剤は、胃pHを上昇させるによって酸に不安定な薬学的物質の胃の酸性環境中での実質的な分解を防止すると考えられる。例えば、米国特許第5,840,737号、第6,489,346号および第6,645,998号を参照されたい。
【0004】
プロトンポンプ阻害剤は、典型的には、活動性十二指腸潰瘍、胃腸潰瘍、胃食道逆流疾患(GERD)、重度びらん性食道炎、低応答性症候性GERD、およびゾリンジャー・エリソン症候群のような病理学的分泌亢進状態の短期治療のために処方される。これらの上記の状態はすべての年齢の健康または危険な状態の疾病患者において広く発現して、顕著な上部消化管出血を伴い得る。
【0005】
オメプラゾール、ランソプラゾールおよびその他のプロトンポンプ阻害物質は、消化管酸分泌の最後の一般的経路である旁細胞のH+/K+-ATPアーゼを阻害することによって消化管の酸産生を抑制すると考えられる。例えば、Fellenius et al., Substituted Benzimidazoles Inhibit Gastrointestinal Acid Secretion by BlockingH+/K+- ATPase, Nature, 290: 159-161 (1981);Wallmark et al., The Relationship Between Gastrointestinal Acid Secretion and Gastrointestinal H+/K+-ATPase Activity, J. Biol. Chem., 260: 13681-13684 (1985);およびFryklund et al., Function and Structure of Parietal Cells After H+/K+-ATPase Blockade, Am. J. Physiol., 254 (1988)を参照されたい。
【0006】
プロトンポンプ阻害剤は、血液から旁細胞に到達して分泌小管に拡散して弱塩基として作用する能力を持つ。そこで、この薬剤はプロトン付加されて、それによって捕捉される。続いて、プロトン化された化合物は再配置して、膜貫通H+/K+-ATPアーゼの細胞外(管腔)ドメインの重要な位置でスルフヒドリル基と共有結合によって相互作用できるスルフェンアミドを形成することができる。例えば、Hardman et al., Goodman & Gilman's the Pharmacological Basis of Therapeutics, 907 (9th ed. 1996)を参照されたい。このように、プロトンポンプ阻害剤は、有効となるために旁細胞内で活性化されなければならないプロドラッグである。プロトンポンプ阻害物質の効果の特異性はさらに以下に依存する:(a)H+/K+-ATPアーゼの選択的分布;(b)反応性阻害剤の産生を触媒するために酸性条件を必要とすること;および(c)酸性小管内および標的酵素に隣接する位置でのプロトン化された薬剤および陽イオン性スルフェンアミドの捕捉。
【0007】
非ステロイド系抗炎症薬
非ステロイド系抗炎症薬(「NSAID」)は、世界中で最も広く処方および使用されている薬剤の一つである。NSAIDの炎症性疾患治療能は、プロスタグランジンならびにリポキシゲナーゼおよびシクロオキシゲナーゼ(シクロオキシゲナーゼ-Iおよびシクロオキシゲナーゼ-IIなど)の阻害剤を含む一部のオータコイド阻害剤の生合成を司る酵素であるシクロオキシゲナーゼを阻害する能力に帰因する。
【0008】
しかし、NSAIDの治療上の恩典に関わらず、それらの使用は消化管の副作用、特に消化性潰瘍および消化不良症状などの上部消化管の副作用のリスクの増大によってしばしば制限される。例えば、試験からは、NSAIDの投与中に胃潰瘍発症の相対的リスクは40〜50倍に増加し、十二指腸潰瘍発症の相対的リスクは8〜10倍増加し、胃の出血または穿孔のような潰瘍合併症発症の相対的リスクは1.5〜5倍に増加することが示されている。例えば、McCarty Ds M., Gastroenterology 1989, 96:662;およびHawkey C., BMJ 1990; 300:278を参照されたい。さらに、NSAID投与時に患者の30〜60%において消化不良症状が発現する。Larkai E. N., Am. J. Gas. 1987; 82:1153を参照されたい。加えて、NSAIDは一般的には慢性関節リウマチおよび骨関節炎のような慢性疾患に対して処方される治療であり、これらは高齢者集団において極めて多く見られる。高齢で虚弱な患者の場合、例えば出血または穿孔のようなNSAID投与の致命的合併症を発症するリスクが最も高く、コンプライアンスが殊更重要である。消化性潰瘍の全死亡例の50%はNSAID使用者において発生しており、さらにこれらの死亡の68%は75歳を超える患者であることが報告されている。Catford Health Trends 1986, 18:38;およびGuess, J. Clin. Epidemiol., 1988, 41:35を参照されたい。
【0009】
望ましくない副作用を防ぐためにNSAIDの構造を変更するための試みが行われている。シクロオキシゲナーゼ-IIのみを選択的に阻害するNSAID(「COX-II阻害剤」)の新しいファミリーは一つのこのような進歩である。COX-II阻害剤が惹起する胃刺激性は従来の非選択的NSAIDよりも低いと考えられているが、それらは依然として胃の壁構造の刺激性、潰瘍形成、出血および穿孔を惹起する可能性がある。
【0010】
さらに、アスピリン/NSAIDと食道癌、肺癌、結腸直腸癌、乳癌および前立腺癌のような各種癌の間の保護的関連性を示す証拠が明らかになりつつある。例えば、Randall E. Harris et al., Inverse Association of Breast Cancer and NSAIDs: Results from the Women's Health Initiative (WH), AACR, Volume 44 (March 2003); Gonzalez-Perez A; Effects of Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs on Cancer Sites Other than the Colon and Rectum: a Meta-Analysis, BMC Cancer 3(1):28 (2003); DA Corley et al., Protective Association of Aspirin/NSAIDs and Esophageal Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis; Gastroenterology 2003 124:47-56; Khuder et al., Breast Cancer and NSAID Use: A Meta Analysis, British Journal of Cancer (2001) 84, 1188-1192を参照されたい。COX-IIは一部の癌の病因論において重要である可能性があり、動物試験ではNSAIDの長期使用がこれらの腫瘍の発現を防ぎ得ることを示唆している。
【0011】
継続的なNSAID投与を必要とする患者において潰瘍および消化不良症状のようなNSAIDに伴う上部消化管の問題の治癒および予防に関する問題の一つの有望な解決策は、NSAID投与をプロスタグランジン類似体、H2レセプターアンタゴニストおよびプロトンポンプ阻害剤(「PPI」)などのNSAID関連消化管副作用の治癒および/または予防に関して承認された抗潰瘍剤と組み合わせることである。さらに、炎症性疾患に苦しむ患者の多くが胃酸関連障害も苦しむことから、胃酸関連障害の治療のためのプロトンポンプ阻害剤および炎症性障害の治療に有用な非ステロイド系抗炎症薬の同時投与に有用な薬学的製剤が必要である。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本明細書では(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む薬学的組成物が提供される。本発明の薬学的組成物を用いて、胃酸関連障害を治療し、対象における炎症障害を治療するための方法を提供する。本発明の薬学的組成物を対象に投与することにより、心臓発作やある種の癌のリスクを減少させる目的でNSAIDを対象へ長期間投与する際の胃酸関連障害を防止する方法も提供する。
【0013】
プロトンポンプ阻害剤には、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、テンタプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペリプラゾール、ランゾプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール;またはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、もしくはプロドラッグが含まれるが、これらに限定されるものではない。一つの態様において、プロトンポンプ阻害剤はオメプラゾール、またはその遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、もしくはプロドラッグである。組成物は、プロトンポンプ阻害剤の約5mg〜約200mg、具体的にはプロトンポンプ阻害剤の約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約60mg、または約80mgを含むことができる。代わりの態様として、組成物は250-3000mgのプロトン阻害剤を含むことができる。
【0014】
非ステロイド系抗炎症薬には、エンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルマート、テロフェナマートおよびトルフェナム酸などのアミノアリルカルボン酸誘導体;アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、アムトルメチングアシル、ブロンフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、プロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン、およびゾメピラクなどのアリル酢酸誘導体;ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシンなどのアリル酪酸誘導体;クリダナク、ケトロラク、チノリジンなどのアリルカルボン酸誘導体;アミノプロフェン、ベノキサプロフィン、ベルモプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イソプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフィン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェンおよびザルトプロフェンなどのアリルプロピオン酸誘導体;ジフェナミゾールおよびエピロゾールなどのピラゾール;アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、ラミフェナゾン、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾンなどのピラゾロン;アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート、ブロモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチシン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サルサラート、スルファサラジンなどのサリチル酸誘導体;アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロモキシカム、ピロキシカムおよびテノキシカムなどのチアジンカルボキサミド、セレコキシブ、ビオックス、レラフェン、ロジンおよびボルタレンなどのシクロオキシゲナーゼ-II阻害剤(「COX-II」);ならびにイプシロン-アセトアミドカプロン酸、s-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、α-ビサボロール、ブコロロム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロクアゾン、テニダプおよびジレントンなどのその他が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
組成物は、プロトンポンプ阻害剤の初期血清中濃度が製剤の投与後約30分以内の任意の時点で約0.1μg/mlよりも高くなるように提供される。プロトンポンプ阻害剤の初期血清中濃度は、投与後約15分以内の任意の時点で約0.1μg/mlよりも高くてもよい。プロトンポンプ阻害剤の初期血清中濃度は、投与後約1時間以内の任意の時点で約0.2μg/mlよりも高く、投与後約45分以内の任意の時点で約0.3μg/mlよりも高くてもよい。
【0016】
組成物は、約0.1μg/mlよりも高い血清中濃度が組成物の投与後少なくとも約30分から約1時間まで維持できるように提供される。組成物は、約0.1μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害剤血清中濃度が少なくとも約15分から約30分まで維持できるように提供される。組成物は、約0.1μg/mlよりも高い血清中濃度が少なくとも約30分から約45分まで維持することができるように提供される。約0.25μg/mlよりも高い血清中濃度が少なくとも約30分から約1時間まで維持することができるように提供される。組成物は、約0.25μg/mlよりも高い血清中濃度が少なくとも約30分から約45分まで維持することができるように提供される。組成物は、約0.25μg/mlよりも高い血清中濃度が少なくとも約15分から約30分まで維持することができるように提供される。
【0017】
本発明の組成物は、約0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害剤の血清中濃度を投与後約15分から約1時間まで維持する量で投与することができる。本発明の組成物は、約0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害剤の血清中濃度を投与後約15分から約1.5時間まで維持する量で投与することができる。本発明の組成物は、約0.1μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害剤の血清中濃度を投与後約15分から約1.5時間まで維持する量で投与することができる。本発明の組成物は、約0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害剤の血清中濃度を投与後約15分から約30分まで維持する量で投与することができる。
【0018】
本発明の組成物は、投与後約15分から約30分までの任意の時期に約0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害剤の初期血清中濃度を達成する量で投与することができる。本発明の組成物は、投与後約30分以内の任意の時期に約0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害剤の初期血清中濃度を達成する量で投与することができる。
【0019】
対象に経口投与した際に、プロトンポンプ阻害剤の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)全体の少なくとも約50%が対象への組成物の単回投与後約2時間以内に生じるような薬物動力的プロフィールを示す組成物を提供する。対象に経口投与した際に、最初の2時間におけるプロトンポンプ阻害剤の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)が総面積の少なくとも約60%である組成物を提供する。最初の2時間におけるプロトンポンプ阻害剤の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)が総面積の少なくとも約70%である組成物を提供する。
【0020】
プロトンポンプ阻害剤の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)全体の少なくとも約50%が組成物の対象への単回投与後約1.75時間以内に生じる組成物を提供する。プロトンポンプ阻害剤の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)全体の少なくとも約50%が組成物の対象への単回投与後約1.5時間以内に生じる組成物を提供する。プロトンポンプ阻害剤の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)全体の少なくとも約50%が組成物の対象への単回投与後約1時間以内に生じる組成物を提供する。
【0021】
対象に経口投与した際に、プロトンポンプ阻害剤が組成物の単回投与後約1時間以内に最大血清中濃度に達するような薬物動力的プロフィールを示す組成物を提供する。組成物の投与後約45分以内に最大血清中濃度に達する組成物を提供する。組成物の投与後約30分以内に最大血清中濃度に達する組成物を提供する。
【0022】
少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤が薬学的組成物の有効期限を向上させる物質と共にマイクロカプセル化される組成物を提供する。組成物は、少なくともいくつかの非ステロイド系抗炎症薬が薬学的組成物の有効期限を向上させる物質と共にマイクロカプセル化されて提供される。組成物は、いくつかのプロトンポンプ阻害剤およびいくつかの非ステロイド系抗炎症薬が薬学的組成物の有効期限を向上させる物質と共にマイクロカプセル化されて提供される。薬学的組成物の有効期限を向上する物質には、セルロースヒドロキシプロピルエーテル、低置換度ヒドロキシプロピルエーテル、セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル、メチルセルロースポリマー、エチルセルロースおよびそれらの混合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールコポリマー、モノグリセリド、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、加工デンプン、アクリルポリマー、アクリルポリマーとセルロースエーテルの混合物、酢酸フタル酸セルロース、セピフィルム、シクロデキストリン;ならびにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。セルロースヒドロキシプロピルエーテルは、Klucel(登録商標)またはNisso HPCとすることができるが、これらに限定されるものではない。セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテルは、Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Opadry YS、PrimaFlo、MP3295A、MP3295A、BenecelMP824、またはBenecelMP843とすることができるが、これらに限定されるものではない。メチルセルロースならびにヒドロキシプロピルおよびメチルセルロースポリマーの混合物は、Methocel(登録商標)、Benecel-MC、またはMetolose(登録商標)とすることができるが、これらに限定されるものではない。エチルセルロースまたはその混合物は、Ethocel(登録商標)、BenecelMO43、Celacal、Cumibak NCおよびE461とすることができるが、これらに限定されるものではない。ポリビニルアルコールはOpadry AMBとすることができるが、これらに限定されるものではない。アクリルポリマーまたはそれらの混合物は、Eudragits(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)RD100およびEudragits(登録商標)E100を含むことができるが、これらに限定されるものではない。薬学的組成物の有効期限を向上する他の物質は、Natrosol(登録商標)、Aqualon(登録商標)-CMC、およびKollicoat IR(登録商標)を含むが、これらに限定されるものではない。薬学的組成物の有効期限を向上する物質は、抗酸化剤、可塑剤、緩衝剤およびそれらの混合物のような他の適合性の物質をさらに含むことができる。
【0023】
(a)プロトンポンプ阻害剤の少なくともいくつかがコーティングされている、酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)炎症性疾患の治療に有用な少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物が提供される。炎症性疾患には、虚血性臓器への再灌流性損傷(例えば、虚血性心筋への再灌流性損傷)、心筋梗塞、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、骨関節炎、乾癬、臓器移植拒絶反応、耳、眼、喉、鼻もしくは皮膚の炎症、臓器保存、女性もしくは男性の性機能不全、放射線誘発性損傷、喘息、呼吸障害、転移、インフルエンザ、失禁、卒中発作、熱傷、外傷、急性膵炎、腎盂腎炎、肝炎、自己免疫疾患および免疫学的異常、老年痴呆、インスリン依存性糖尿病、播種性血管内凝固、脂肪塞栓症、アルツハイマー病、成人性もしくは小児性呼吸疾患、新生児における発癌、新生児における出血、再狭窄、アテローム発生、アンギナ、(特に慢性、安定狭心症)、虚血性疾患、うっ血性心不全もしくは急性心筋梗塞に伴う肺水腫、血栓症、高血圧(特に心血管の外科的手技に伴う高血圧)、血小板凝集、血小板粘着、平滑筋細胞増殖、医療用具の使用に関連する血管の合併症、医療用具の使用に関連する創傷、脳血管虚血性事象などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
(a)プロトンポンプ阻害剤の少なくともいくつか、酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量、および(d)少なくとも一つの増粘剤を含み、投与剤形が懸濁用の粉末である組成物が提供される。いくつかの態様において、懸濁用の粉末は実質的に均一であるか、または混合した際に実質的に均一な懸濁剤を生成する。
【0025】
(a)プロトンポンプ阻害剤の少なくともいくつかがマイクロカプセル化されている、酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量、および(d)少なくとも一つの増粘剤を含み、投与剤形が懸濁用の粉末である組成物が提供される。いくつかの態様において、懸濁用の粉末は実質的に均一であるか、または混合した際に実質的に均一な懸濁剤を生成する。
【0026】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、(c)非ステロイド系抗炎症薬の少なくとも一部がコーティングされている、少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量、および(d)少なくとも一つの増粘剤を含み、投与剤形が懸濁用の粉末である組成物が提供される。いくつかの態様において、懸濁用の粉末は実質的に均一である。
【0027】
本明細書において、(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトン阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含み、スクラルフェートを含まない組成物が提供される。
【0028】
(a)プロトンポンプ阻害剤の少なくともいくつかがコーティングされている、酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)炎症性障害または非ステロイド系抗炎症薬によって治療可能なその他の疾患の治療に有用な少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物が提供される。
【0029】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトン阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)心臓発作のリスクの低減に有用な、少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物が提供される。
【0030】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトン阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物であって、その薬学的組成物が癌の予防に有用である組成物が提供される。
【0031】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトン阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)COX-II阻害剤である少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物が提供される。
【0032】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む薬学的組成物が提供され、緩衝剤はアルカリ土類金属の塩、またはIA群金属の重炭酸塩、IA群金属の炭酸塩から選択されるIA群の金属である。緩衝剤は、アミノ酸、アミノ酸のアルカリ金属塩、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム/炭酸カルシウム共沈殿物、水酸化アルミニウムマグネシウム、水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム共沈殿物、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈殿物、グリシン酸アルミニウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、L-アルギニン、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、フタル酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ハイドロタルサイト、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、トロメタモル、およびそれらの混合物であることができるが、これらに限定されるものではない。特に、緩衝剤は、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの混合物とすることができる。
【0033】
本明細書で記載されるように、プロトンポンプ阻害剤に対する緩衝剤の割合が少なくとも10:1、少なくとも12:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも22:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1および少なくとも40:1である組成物が提供される。
【0034】
本明細書に記載するように、緩衝材が重炭酸ナトリウムであって、約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する組成物を提供する。本明細書に記載するように、緩衝剤が重炭酸ナトリウムおよび水酸化マグネシウムの混合物であり、各緩衝剤が約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する組成物が提供される。本明細書に記載されるように、緩衝剤が重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウムの混合物であり、各緩衝剤が約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する組成物が提供される。
【0035】
本明細書に記載されるように、緩衝剤が約0.1mEq/mg〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.5mEq/mg〜約3mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、もしくは約0.8mEq/mg〜約2.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、もしくは約0.9mEq/mg〜約2.0mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、もしくは約0.9mEq/mg〜約1.8mEq/mgプロトンポンプ阻害剤の量で存在する組成物が提供される。本明細書に記載されるように、緩衝剤が少なくとも1.0mEq/mg〜約1.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または少なくとも0.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤の量で存在する組成物が提供される。本明細書で記載されるように、緩衝剤の約200〜3000mg、または緩衝剤の約500〜約2500mg、もしくは緩衝剤の約1000〜約2000mg、もしくは緩衝剤の約1500〜約2000mgを含む組成物が提供される。
【0036】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトン阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)非ステロイド系抗炎症薬の少なくとも一部がコーティングされている、少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物が提供される。適切なコーティングには、腸溶コーティングのような胃耐性コーティング、制御放出コーティング、酵素的制御コーティング、フィルムコーティング、持続放出コーティング、速放性コーティングおよび遅延放出コーティングが含まれるが、これらに限定されるものではない。NSAIDが弱酸性の脂溶性化合物である組成物も提供される。
【0037】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、および水酸化マグネシウムより選択される少なくとも一つの緩衝剤であって、胃液を増加させるために十分な量で存在する緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物が提供される。
【0038】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトン阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物であって、粉末、タブレット、噛み砕くタブレット、咀嚼タブレット、カプセル、発泡性粉末、短時間崩壊性タブレット、または粉末から作成される水性懸濁剤から選択される投与剤形である組成物。
【0039】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトン阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物であって、その組成物がタブレットの形であり、そのタブレットは第一および第二相からなり、第一層は非ステロイド系抗炎症薬の少なくとも一部を含み、第二層はプロトンポンプ阻害剤の少なくともいくつかおよび緩衝剤を含む組成物。
【0040】
本明細書に記載されるように、壁細胞活性化剤、侵食促進剤、香料剤、甘味料剤、拡散促進剤、抗酸化剤、ならびに結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤、抗粘着剤、および消泡剤から選択される担体材料を含むがこれらに限定されない一つまたは複数の賦形剤をさらに含む組成物が提供される。
【0041】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む薬学的組成物を含み、プロトンポンプ阻害剤が対象における胃酸関連障害を治療し、非ステロイド系抗炎症薬が炎症障害を治療する、対象における胃酸関連障害を治療して炎症障害を治療するための方法を提供する。本明細書に記載される組成物が少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃送達のために製剤化される方法を提供する。本明細書に記載される組成物がいくつかのプロトンポンプ阻害剤の十二指腸送達のために製剤化される方法を提供する。
【0042】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む薬学的組成物であって、プロトンポンプ阻害剤が胃酸関連障害を治療し、非ステロイド系抗炎症薬が炎症性疾患を治療する薬学的組成物をウマに投与することによって、胃酸関連障害を治療して炎症性疾患を治療するための方法を提供する。
【0043】
十二指腸潰瘍疾患、胃潰瘍疾患、胃食道逆流疾患、びらん性食道炎、低応答性症候性胃食道逆流疾患、病理学的分泌亢進性の疾患、ゾリンジャー・エリソン症候群、胸焼け、食道障害および胃酸過多性消化不良を含むがこれらに限定されない胃酸関連障害を治療するための方法を提供する。プロトンポンプ阻害剤が胃酸関連障害のエピソードを治療する方法を提供する。プロトンポンプ阻害剤がNSAIDに誘発される胃酸関連障害を防止または治療する方法を提供する。プロトンポンプ阻害剤がNSAIDに誘発される胃酸関連障害を防止または治療し、さらにNSAIDの少なくとも一部がコーティングされ、任意で腸溶コーティングされる方法を提供する。プロトンポンプ阻害剤がNSAIDに誘発される胃酸関連障害を防止または治療し、さらにNSAIDの少なくとも一部がコーティングされ、任意で腸溶コーティングされる方法を提供する。
【0044】
炎症性障害には、虚血性心筋層への再灌流性損傷などの虚血性臓器への再灌流性損傷、心筋梗塞、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、骨関節炎、乾癬、臓器移植拒絶反応、耳、眼、喉、鼻もしくは皮膚の炎症、臓器保存、女性もしくは男性の性機能不全、放射線誘発性損傷、喘息、呼吸障害、転移、インフルエンザ、失禁、卒中発作、熱傷、外傷、急性膵炎、腎盂腎炎、肝炎、自己免疫疾患および免疫学的異常、老年痴呆、インスリン依存性糖尿病、播種性血管内凝固、脂肪塞栓症、アルツハイマー病、成人性もしくは小児性呼吸疾患、新生児における発癌、新生児における出血、再狭窄、アテローム発生、アンギナ(慢性、安定狭心症を含む)、虚血性疾患、うっ血性心不全もしくは急性心筋梗塞に伴う肺水腫、血栓症、高血圧(心血管の外科的手技に伴う高血圧を含む)、血小板凝集、血小板粘着、平滑筋細胞増殖、医療用具の使用に関連する血管の合併症、医療用具の使用に関連する創傷、脳血管虚血性事象などが含まれるが、これらに限定されない炎症性障害を治療するための方法を提供する。
【0045】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む薬学的組成物であって、プロトンポンプ阻害剤が胃酸関連障害を治療し、非ステロイド系抗炎症薬が心臓発作のリスクを低下させる薬学的組成物を対象に投与することによって、胃酸関連障害を治療して心臓発作のリスクを低下させるための方法を提供する。
【0046】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む薬学的組成物であって、プロトンポンプ阻害剤が胃酸関連障害を治療し、非ステロイド系抗炎症薬が食道癌、肺癌、結腸直腸癌、乳癌および前立腺癌を含むがこれらに限定されない一定の種類の癌のリスクを低下させる薬学的組成物を対象に投与することによって、胃酸関連障害を治療して癌のリスクを低下させるための方法を提供する。
【0047】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む組成物を対象に投与することによって、食道障害または食道の損傷から保護するための方法を提供する。
【0048】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤、および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む薬学的組成物であって、プロトンポンプ阻害剤が対象の胃酸関連障害を治療し、非ステロイド系抗炎症薬が炎症、疼痛または発熱を治療する薬学的組成物を対象に投与することによって、胃酸関連障害を治療して、炎症、疼痛または発熱を治療するための方法を提供する。非ステロイド系抗炎症薬が必要とする患者における関節炎の症状を治療するために用いられる方法を提供する。
【0049】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量、(b)胃液のpHを少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含み、粉末、懸濁のための粉末、タブレット、カプレット、噛み砕くタブレット、咀嚼タブレット、カプセル、発泡性粉末、短時間崩壊性タブレット、または粉末から作成される水性懸濁剤を含むがこれらに限定されない投与剤形である薬学的組成物を対象に投与することによって、対象における胃酸関連障害を治療し、炎症障害を治療するための方法を提供する。
【0050】
組成物が壁細胞活性化剤、侵食促進剤、香料剤、甘味料剤、拡散促進剤、抗酸化剤、ならびに結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤、抗粘着剤、および消泡剤から選択される担体材料を含むがこれらに限定されない一つまたは複数の賦形剤をさらに含む方法を提供する。
【0051】
発明の詳細な説明
本発明は、プロトンポンプ阻害剤、緩衝剤および非ステロイド系抗炎症薬を含み、疾患、状態または障害の治療に有用である薬学的組成物を目的とし、治療は疾患、状態または疾患の症状を治療することを含む。本発明の薬学的組成物を用いた治療の方法も記載する。
【0052】
(1)酸に不安定なプロトンポンプ阻害剤を(2)一つまたは複数の緩衝剤、および(3)非ステロイド系抗炎症薬と共に含む薬学的組成物が対象における胃酸関連障害の緩和を提供し、炎症性障害の緩和を提供することが発見されている。(1)酸に不安定なプロトンポンプ阻害剤を(2)一つまたは複数の緩衝剤、および(3)非ステロイド系抗炎症薬と共に含む薬学的組成物が対象における胃酸関連障害の緩和を提供し、心臓血管疾患のリスクを低減させることが発見されている。(1)酸に不安定なプロトンポンプ阻害剤を(2)一つまたは複数の緩衝剤、および(3)非ステロイド系抗炎症薬と共に含む薬学的組成物が対象における胃酸関連障害の緩和を提供し、癌のリスクを低減させることが発見されている。
【0053】
(1)薬学的組成物の有効期限を向上させる物質と共にマイクロカプセル化された酸に不安定なプロトンポンプ阻害剤を(2)一つまたは複数の緩衝剤および(3)非ステロイド系抗炎症薬と共に含む薬学的組成物は、その薬学的組成物の製造および保存中の有効期限の安定性を向上させることによって優れたパフォーマンスを提供することが見出されている。(1)酸に不安定なプロトンポンプ阻害剤を(2)一つまたは複数の緩衝剤、および(3)コーティングされた非ステロイド系抗炎症薬と共に含む薬学的組成物が、その薬学的組成物の製造および保存中の有効期限安定性を向上させることによって優れたパフォーマンスを提供することが発見されている。
【0054】
用語解説
本発明およびその好ましい態様に関する理解をより容易に促進するために、本明細書で用いられる用語の意味は、様々な用語の一般的使用および以下の用語集またはその後の記載において示されるその他の用語の明確な定義を考慮して、本明細書の文脈から明らかとなるであろう。
【0055】
本明細書で用いられるように、「含む(comprising)」、「含む(including)」および「・・・のような」という用語は、排他的でない非限定的な意味合いで用いられる。
【0056】
「約(about)」という用語は「約(approximately)」という用語と同義に用いられる。例として、「約」という用語の使用は、値が記載される値を若干、即ち、プラスまたはマイナス0.1%〜10%逸脱するが、なお有効かつ安全であることを示す。従って、このような投与量は「約(about)」および「約(approximately)」という用語が用いられる特許請求の範囲に含まれる。
【0057】
「酸に不安定な薬学的物質」という語句は、酸に触媒される分解を受ける任意の薬学的に活性な薬剤を指す。
【0058】
「抗粘着剤」、「潤滑剤」または「抗付着」物質は、製剤のコンポーネントが凝集または固着することを防ぎ、物質の流動特性を高める。このような化合物には、例えば、Cab-o-sil(登録商標)のようなコロイド二酸化シリコン;三塩基性リン酸カルシウム、タルク、コーンスターチ、DL-ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、カオリン、および微粉化無定形二酸化シリコン(Syloid(登録商標))などが含まれる。
【0059】
「消泡剤」は、水性分散物の凝集、完成した薄膜における気泡、または一般的な加工処理の劣化を生じる可能性がある加工処理中の発泡を抑制する。例えば、消泡剤にはシリコンエマルジョンまたはセスキオレイン酸ソルビタンが含まれる。
【0060】
「抗酸化剤」には、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウムおよびトコフェロールが含まれる。
【0061】
「結合剤」は粘着性を付与し、例えば、アルギン酸およびその塩;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、メトセル(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、クルセル(登録商標))、エチルセルロース(例えば、エトセル(登録商標))、および微結晶性セルロース(例えば、アビセル(登録商標))のようなセルロース誘導体;微結晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖類の酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル酢酸コポリマー;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガカント、デキストリン、ショ糖(例えば、ディパック(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、キシリタブ(登録商標))およびラクトースのような糖;アカシア、トラガカント、ガッチゴム、イサポール外皮の粘液、ポリビニルピロリドンのような天然または合成のゴム(例えば、ポリビドン(登録商標)CL、コリドン(登録商標)CL、ポリプラスドン(登録商標)XL-10)、カラマツアラボガラクタン、ビーガム(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなどが含まれる。
【0062】
「生物学的利用能」は、例えば、薬剤、プロドラッグ、または代謝物のような活性分子が全身循環に吸収されて、体内の薬剤作用部位に到達する程度を示す。
【0063】
「担体材料」とは医薬品において一般的に使用される任意の賦形剤を含み、プロトンポンプ阻害剤との適合性および所望の投与剤形の放出プロフィール特性に基づいて選択されるべきである。例示的な担体材料には、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが含まれる。「薬学的に適合可能な担体材料」は、例えば、アカシア、ゼラチン、コロイド二酸化シリコン、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、大豆レクチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプンなどを含み得る。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York N.Y., 1980;および Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins l999)を参照されたい。
【0064】
「キャラクターノート」は、例えば、芳香、基本的な味および感触の要因を含む。キャラクターノートの強度は、0−なし、1−軽微、2−中等度、または3−強度から判定されることができる。
【0065】
「誘導体」は、もう一つの適切な原子、分子または基によって原子、分子または基の置換の置き換えによって類似の構造のもう一つの化合物から生成される化合物である。例えば、化合物の一つまたは複数の水素原子が、その化合物の誘導体を産生するために一つまたは複数のアルキル、アシル、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、アリル、ヘテロアリル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアルキル基によって置換され得る。
【0066】
「拡散促進剤」および「分散剤」は、コーティングにおける水性液体の拡散を制御する物質を含む。例示的な拡散促進剤/分散剤には、例えば、親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60または80、PEGなどが含まれる。一つまたは複数の侵食促進剤と一つまたは複数の拡散促進剤の組み合わせも本発明において使用することができる。
【0067】
「希釈剤」は、圧縮を促進するために組成物の体積を増やす。このような化合物には、ラクトース;デンプン;マンニトール;ソルビトール;デキストロース;アビセル(登録商標)のような微結晶性セルロース;二塩基性リン酸カルシウム;リン酸二カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム;リン酸カルシウム;無水ラクトース;噴霧乾燥ラクトース;アルファ化デンプン;Di-Pac(登録商標)(Amstar)のような圧縮性の糖(compressible sugar);マンニトール;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ショ糖を基剤とする希釈剤;精製糖;一塩基性硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物;デキストレート;イノシトール;加水分解したシリアルソリッド;アミロース;粉末化セルロース;炭酸カルシウム;グリシン;カオリン;マンニトール;塩化ナトリウム;イノシトール;ベントナイトなどが含まれる。
【0068】
「崩壊」とは、消化管液と接触した際の投与剤形の溶解および分散の双方を含む。
【0069】
「崩壊剤」は物質の分解または崩壊を促進する。崩壊剤の例には、例えば、コーンスターチまたは馬鈴薯デンプンのような天然のデンプン、National 1551またはAmijel(登録商標)のようなアルファ化デンプン、Promogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)のようなグリコール酸デンプンナトリウム;木製品、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)のようなメチル結晶性セルロース、メチルセルロース、クロスカルメロース、または架橋結合したカルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋結合したカルボキシメチルセルロース、または架橋結合したクロスカルメロースのような架橋結合したセルロース;グリコール酸デンプンナトリウムのような架橋結合したデンプン;クロスポビドンのような架橋結合したポリマー;架橋結合したポリビニルピロリドン;アルギン酸のようなアルギン酸塩またはアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸の塩;ビーガム(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)のような粘土;寒天、グアル、イナゴマメ、カラヤ、ペクチンまたはトラガカントのようなガム;グリコール酸デンプンナトリウム;ベントナイト;天然の海綿;界面活性剤;陽イオン交換樹脂のような樹脂;柑橘類の果肉;ラウリル硫酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウムとデンプンの併用などが含まれる。
【0070】
「薬剤吸収」または「吸収」は、薬剤の投与部位から、例えば、対象の血流中への全身循環に移動するプロセスを指す。
【0071】
「腸溶コーティング」とは、胃では実質的に完全な状態を維持するが小腸に達すると直ちに溶解して薬剤を放出する物質である。一般に、腸溶性コーティングは、胃の低いpH環境内では放出を防ぐが、やや高いpH、典型的には4または5のpHではイオン化し、従って、小腸では十分に溶解してそこで活性物質を徐々に放出する重合体材料を含む。
【0072】
「侵食促進剤」は、消化管液中での特定の物質の侵食を制御する物質を含む。侵食促進剤は、当業者に一般的に公知である。例示的な侵食促進剤には、例えば、親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチドおよびアミノ酸が含まれる。
【0073】
「充填剤」には、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース;デキストレート;デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、ショ糖、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが含まれる。
【0074】
本発明の薬学的組成物において有用な「香料剤」または「甘味料」には、例えば、アカシアシロップ、アセスルファームK、アリテーム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、イチゴ類、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンファー、カラメル、サクランボ、チェリークリーム、チョコレート、桂皮、風船ガム、柑橘類、柑橘類のポンチ、柑橘類のクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、冷蔵チェリー、冷蔵柑橘類、シクラミン酸塩、シラミン酸塩、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ショウガ、グリチルレチン酸塩、甘草シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルリチン酸一アンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、カエデ、ウスベニタチアオイ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、セイヨウナシ、モモ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)粉末、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、ショ糖、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン、シリトール、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、ワイルドチェリー、ウィンターグリーン、キシリトール、または、例えば、アニス-メントール、サクランボ-アニス、桂皮-オレンジ、サクランボ-桂皮、チョコレート-ミント、ハチミツ-レモン、レモン-ライム、レモン-ミント、メントール-ユーカリ、オレンジ-クリーム、バニラ-ミント、およびその混合物のこれらの香料成分の任意の組み合わせが含まれる。
【0075】
「消化管液」は、本発明の組成物の経口投与後の対象の胃分泌の液体もしくは対象の唾液、またはその同等物である。「胃分泌の同等物」には、例えば、1%ドデシル硫酸ナトリウム液または0.1N Hcl水溶液のような胃分泌と同様の内容および/またはpHを持つを含むインビトロの液体が含まれる。
【0076】
「半減期」は、血漿中薬剤濃度または体内の量が最大濃度から50%減少するのに必要な時間を示す。
【0077】
「潤滑剤」は、物質の固着または摩擦を防止、抑制または阻害する化合物である。例示的な潤滑剤には、例えば、ステアリン酸;水酸化カルシウム;タルク;フメル酸ステアリルナトリウム;鉱油のような炭化水素または硬化大豆油(Sterotex(登録商標))のような硬化植物油;高級脂肪酸、ならびにそれらのアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛のようなアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはCarbowax(商標)のようなメトキシポリエチエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、グリセリルベヘン酸、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムまたはナトリウム、Syloid(商標)、Carb-O-Sil(登録商標)のようなコロイドケイ酸、コーンスターチのようなデンプン、シリコン油、界面活性剤などが含まれる。
【0078】
「測定可能な血清中濃度」または「測定可能な血漿中濃度」は、典型的には血液血清のml、dlまたはl当たりの治療物質のmg、μgまたはngの単位で測定される、投与後に血流中に吸収される治療物質の血液血清中または血液血漿中濃度を説明する。当業者は、プロトンポンプ阻害剤または非ステロイド系抗炎症薬の血清中濃度または血漿中濃度を測定することができるであろう。例えば、Gonzalez H., et al., J. Chromatogr. B. Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., vol. 780, pp 459-65, (Nov. 25, 2002)を参照されたい。
【0079】
「壁細胞活性化剤」または「活性化剤」は旁細胞を刺激して、プロトンポンプ阻害剤の薬学的活性を高める。壁細胞活性化剤には、例えば、チョコレート;重炭酸ナトリウムのようなアルカリ性物質;炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウムおよびグリセロリン酸カルシウムのようなカルシウム;ペパーミントオイル;スペアミントオイル;コーヒー;茶およびコーラ(カフェイン除去された場合であっても);カフェイン;テオフィリン;テオブロミン;アミノ酸(特に、フェニルアラニンおよびトリプトファンのような芳香族アミノ酸);ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0080】
「薬動力」は、作用部位において薬剤の濃度に関連して認められる生物学的反応を決定する要因を示す。
【0081】
「薬物動力」は、作用部位における薬剤の適切な濃度の到達および維持を決定する要因を示す。
【0082】
「血漿中濃度」は、対象の血液血漿または血液血清中の物質の濃度を示す。治療用物質の血漿中濃度は、治療用物質の代謝に関する変動のために、対象間で何倍も異なる可能性があることが理解される。本発明の一つの局面に従って、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症薬の血漿中濃度は対象によって変動し得る。同様に、最大血漿中濃度(Cmax)もしくは最大血清中濃度到達時間(Tmax)の値、または血清濃度時間曲線下面積(AUC)も対象によって変動し得る。この変動のため、プロトンポンプ阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬またはその他の治療用物質の「治療上有効量」を構成するために必要な量は対象によって異なり得る。対象集団について平均血漿中濃度が開示される場合、これらの平均値は大幅な変動を含み得ることが理解される。
【0083】
「可塑剤」は、脆性を抑えるために、マイクロカプセル化材料またはフィルムコーティングを軟化するために用いられる化合物である。適切な可塑剤には、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800のようなポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、ならびにトリアセチンが含まれる。
【0084】
胃酸関連障害の状況で用いられる「防止する(prevent)」または「防止(prevention)」は、胃腸障害もしくは疾患を発現したことがない場合はそれが発症しないことを意味し、または既に胃腸障害もしくは疾患を発症したことがある場合はさらなる胃腸障害もしくは疾患が発症しないことを意味する。胃消化管の障害または疾患に関連する症状の一部またはすべてを防止することも一つの能力と考えられる。炎症性障害の状況で用いられる「防止する(prevent)」または「防止(prevention)」は、炎症性障害もしくは疾患をまだ発現したことがない場合はそれが発症しないことを意味し、または既に炎症性障害を発症したことがある場合はさらなる炎症性障害もしくは疾患が発症しないことを意味する。炎症性障害に関連する症状の一部またはすべてを防止することも一つの能力と考えられる。
【0085】
「プロドラッグ」は、薬学的作用が体内での代謝プロセスによる転換によって生じる薬剤または化合物を指す。プロドラッグは、一般に、対象への投与およびその後の吸収の後、代謝経路による転換のようにいくつかのプロセスを介して活性またはより活性な化学種に転換される薬剤前駆体である。いくつかのプロドラッグは、活性を低めて、かつ/または薬剤に溶解性またはいくつかのその他の特性を付与する、プロドラッグに存在する化学基を持つ。化学基がプロドラッグから開裂および/または修飾されると、活性プロドラッグが生成する。プロドラッグは、部位特異的組織に対する薬剤輸送を亢進するための修飾因子として用いられるために、可逆性の薬物誘導体として設計され得る。今日までのプロドラッグの設計は、水を主たる溶媒とする領域へのターゲティングに備えて治療用化合物の効果的な水溶性を高めるように行われている。例えば、Fedorak, et al., Am. J. Physiol., 269: G210-218 (1995); McLoed, et al., Gastroenterol. 106: 405-413 (1994); Hochhaus, et al., Biomed. Chrom. , 6: 283-286 (1992); J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37,87 (1987); J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47,103 (1988); Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64:181- 210 (1975); T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series;およびEdward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987を参照されたい
【0086】
「血清中濃度」は、対象の血液血漿または血液血清中の治療用物質のような物質の濃度を指す。治療用物質の血清中濃度は、治療用物質の代謝に関する変動のために、対象間で何倍も異なる可能性があることが理解される。本発明の一つの局面に従って、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症薬の血清中濃度は対象によって変動し得る。同様に、最大血清中濃度(Cmax)もしくは最大血清中濃度到達時間(Tmax)の値、または血清濃度時間曲線下面積(AUC)全体も対象によって変動し得る。この変動のため、プロトンポンプ阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬またはその他の治療用物質の「治療上有効量」を構成するために必要な量は対象によって異なり得る。対象集団について平均血清中濃度が開示される場合、これらの平均値は大幅な変動を含み得ることが理解される。
【0087】
「可溶化剤」には、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、グルタール酸、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが含まれる。
【0088】
「安定剤」には、任意の抗酸化物質、緩衝剤などのような化合物が含まれる。
【0089】
「懸濁剤」または「増粘剤」には、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30のようなポリビニルピロリドン;例えば、約300〜約6000、または約3350〜約4000、もしくは約7000〜約5400の分子量を持つことができるポリエチレングリコール;ナトリウムカルボキシメチルセルロース;メチルセルロース;ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース;ポリソルベート-80;ヒドロキシエチルセルロース;アルギン酸ナトリウム;例えば、トラガカントゴムおよびアカシアゴムのようなゴム;グアルゴム;キサンタンゴムを含むキサンタン;糖;例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース;ポリソルベート-80;アルギン酸ナトリウム;モノラウリル酸ポリエトキシルソルビタン;モノラウリル酸ポリエトキシルソルビタン;ポビドンなどのような化合物が含まれる。
【0090】
「界面活性剤」には、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポロキソマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、例えば、プルロニック(登録商標)(BASF)の酸化エチレンおよび酸化プロピレンのコポリマーなどが含まれる。
【0091】
「治療上有効量」または「有効量」は、薬学的効果を達成するための薬学的物質の量である。「治療上有効量」という用語は、例えば予防的に有効な量を含む。プロトンポンプ阻害剤の「有効量」は、過度の有害な副作用を伴うことなく所望の薬学的効果または治療上の改善を達成するために有効な量である。例えば、プロトンポンプ阻害剤の有効量は、酸分泌を抑制し、または消化管液のpHを上昇させ、もしくは消化管の出血を抑制し、もしくは輸血の必要性を抑制し、もしくは生存率を改善し、もしくは胃酸関連障害からのより速やかな回復を提供するプロトンポンプ阻害剤の量を指す。非ステロイド系抗炎症薬の「有効量」は、過度の有害な副作用を伴うことなく、対象の状態に対して所望の薬学的効果を達成するために有効な量である。薬学的物質の有効量は、当業者によって、特定の患者および疾患の程度に応じて選択されるであろう。「有効量」または「治療上有効量」は、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症剤、年齢、体重、対象の一般的な状態、治療された状態、治療された状態の発病度、および処方した医師の判断のような治療用物質の代謝における変動のため、対象によって異なることがある。
【0092】
「芳香の総強度」は芳香の強さに関する全体的な直接の印象であり、芳香および鼻が感じる感覚の双方を含む。
【0093】
「香料の総強度」は、芳香、基本的な味、および口が感じる感覚を含む香料の強度に関する全体的な直接の印象である。
【0094】
胃酸関連障害の状況において用いられるように「治療する(treat)」または「治療(treatment)」は、障害もしくは疾患に対する素因を持っている可能性があるがその疾患であると診断されたことはまだない対象においてその障害もしくは疾患が発症することを防ぐこと;例えば、障害もしくは疾患の発症を停止させる、障害もしくは疾患を緩和する、障害もしくは疾患の退行を引き起こす、障害もしくは疾患によって引き起こされる状態を緩和する、または疾患もしくは障害の症状を停止させといった障害もしくは疾患を阻害するような、胃腸障害に関連する障害または疾患の任意の治療を指す。炎症性障害の状況において用いられるように「治療する(treat)」または「治療(treatment)」は、障害もしくは疾患に対する素因を持っている可能性があるがその疾患であると診断されたことはまだない対象においてその障害もしくは疾患が発症することを防ぐこと;障害もしくは疾患の発症を停止させる、障害もしくは疾患を緩和する、障害もしくは疾患の退行を引き起こす、障害もしくは疾患によって引き起こされる状態を緩和する、または疾患もしくは障害の症状を停止させるといった障害もしくは疾患を阻害するような、炎症性障害に関連する障害または疾患の任意の治療を指す。従って、本明細書で用いられるように「治療する」という用語は「防止する(prevent)」という用語と同義に用いられる。
【0095】
「湿潤剤」には、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリル酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリル酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのような化合物が含まれる。
【0096】
併用療法
併用療法のための組成物および方法を本明細書で提供する。一つの局面に従って、本明細書で開示される薬学的組成物は、プロトンポンプ阻害剤を用いた治療が指示される胃酸関連障害を治療するため、および非ステロイド系抗炎症薬を用いた治療が指示される炎症性障害を治療するために用いられる。一つの態様において、本明細書で開示される薬学的組成物は、胃酸関連障害および炎症、疼痛または発熱に苦しむ対象を治療するために用いられる。もう一つの態様において、本明細書に開示される薬学的組成物は食道障害または食道損傷から保護するために用いられる。もう一つの態様において、本明細書に開示される薬学的組成物は、プロトンポンプ阻害剤を用いた治療が指示される胃酸関連障害を治療するため、および適切な非ステロイド系抗炎症薬の投与によって心臓発作または卒中発作などの心血管系疾患のリスクを下げるために用いられる。さらにもう一つの態様において、本明細書に開示される薬学的組成物は、プロトンポンプ阻害剤を用いた治療が指示される胃酸関連障害を治療するため、および適切な非ステロイド系抗炎症薬の投与によってある種の癌のリスクを抑制するために用いられる。
【0097】
本発明によって意図される併用療法は、プロトンポンプ阻害剤および非ステロイド系抗炎症薬の同時作用から有益な効果を提供することを意図する具体的治療計画の一環として用いることができる。本発明の一つの態様において、プロトンポンプ阻害剤は薬物に誘発される炎症性障害を治療するために用いられる。もう一つの態様において、プロトンポンプ阻害剤および非ステロイド系抗炎症薬は食道または上部消化管の癌を防止するために用いられる。
【0098】
緩解が求められる状態を治療、防止または改善するための投与計画は様々な要因に従って変更できることが理解される。これらの要因には、対象が患う胃酸障害のタイプおよび炎症のタイプ、投与されたプロトンポンプ阻害剤のタイプ、投与された非ステロイド系抗炎症薬のタイプ、ならびに対象の年齢、体重、性別、食事、および医学的状態が含まれる。従って、実際に用いられる投与計画は大きく変動することができて、よって、本明細書に示される投与計画から逸脱することができる。
【0099】
一つの局面に従って、本発明の組成物および方法は、送達部位へのプロトンポンプ阻害剤の放出を誘導すると共に、プロトンポンプ阻害剤の酸分解を実質的に防止または阻害するように設計される。本発明は、対象に本発明の組成物を投与することによって、胃酸関連障害が臨床的に発現した際の進行を治療、防止、逆行、停止もしくは遅らせる、または胃酸関連障害に付随または関連する症状を治療するための組成物および方法を含む。投与時に対象が既に胃酸関連障害を呈していてもよく、または胃酸関連障害発症のリスクがあってもよい。対象における胃酸関連障害の症状または状態について、当業者は測定することができ、標準的な指導書に記載されている。方法は、必要とする対象に対する本発明の一つまたは複数の組成物の有効量の経口投与を含む。本発明の組成物および方法を用いた治療に適した胃酸関連障害には、十二指腸潰瘍疾患、胃腸潰瘍疾患、胃食道逆流疾患(GERD)、びらん性食道炎、低応答性症候性胃食道逆流疾患、病理学的分泌亢進性の疾患、ゾリンジャー・エリソン症候群、胸焼け、食道障害および胃酸過多性消化不良が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
もう一つの局面に従って、本発明の組成物および方法は、患者における炎症、疼痛または発熱を抑制するための非ステロイド系抗炎症薬を送達するために設計される。本発明は、本発明の組成物を対象に投与することによって、炎症または疼痛を治療するための組成物および方法を含む。一つの局面に従って、本発明の組成物を対象に投与することによって、炎症性障害が臨床的に発現した際の進行を治療、防止、逆行、停止もしくは遅らせる、または炎症性障害に付随もしくは関連する症状を治療するための組成物および方法。投与時に対象は既に炎症性障害を呈していてもよく、または炎症性障害発症のリスクがあってもよい。対象における炎症性障害の症状または状態について、当業者によって測定され得て、標準的な指導書に記載されている。方法は、必要とする対象に対する本発明の一つまたは複数の組成物の有効量の経口投与を含む。非ステロイド系抗炎症薬の有効量は、治療上の有効量または予防上の有効量であってよい。本発明の組成物および方法を用いた治療に適した炎症性障害には、虚血性臓器への再灌流性損傷(例えば、虚血性心筋への再灌流性損傷)、心筋梗塞、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、骨関節炎、乾癬、臓器移植拒絶反応、耳、眼、喉、鼻もしくは皮膚の炎症、臓器保存、女性もしくは男性の性機能不全、放射線誘発性損傷、喘息、呼吸障害、転移、インフルエンザ、失禁、卒中発作、熱傷、外傷、急性膵炎、腎盂腎炎、肝炎、自己免疫疾患および免疫学的異常、老年痴呆、インスリン依存性糖尿病、播種性血管内凝固、脂肪塞栓症、アルツハイマー病、成人性もしくは小児性呼吸疾患、新生児における発癌、新生児における出血、再狭窄、アテローム発生、アンギナ、(例えば、慢性、安定狭心症)、虚血性疾患、うっ血性心不全もしくは急性心筋梗塞に伴う肺水腫、血栓症、高血圧(例えば、心血管の外科的手技に伴う高血圧)、血小板凝集、血小板粘着、平滑筋細胞増殖、医療用具の使用に関連する血管の合併症、医療用具の使用に関連する創傷、脳血管虚血性事象などが含まれるが、これらに限定されるものではない。一つの局面に従って、本発明の組成物および方法は、慢性関節リウマチ、骨関節炎、高熱、家族性大腸腺腫症、急性もしくは軽度の疼痛、または高熱に苦しむ対象の治療に有用である。もう一つの局面において、本発明の組成物および方法は心臓発作のリスクのある対象における心臓発作の防止に有用である。もう一つの局面に従って、本発明の組成物および方法は食道障害または食道損傷のリスクを軽減するために有用である。
【0101】
一つの局面に従って、本発明の組成物および方法は胃酸関連障害および炎症性障害に苦しむ対象の治療に有用である。一つの態様において、本発明の組成物および方法は、対象における炎症性障害を治療するため、および薬物に誘発される胃酸関連障害を治療または防止するために用いられる。一つの態様において、本明細書の組成物および方法は、胃酸関連障害および炎症、疼痛または発熱に苦しむ対象を治療するために用いられる。特定の対象について、本発明の組成物の最も適切な製剤または使用方法は、胃酸障害のタイプ、およびプロトンポンプ阻害剤が胃酸関連障害を治療するために作用する期間、ならびに炎症性障害のタイプおよび非ステロイド系抗炎症薬が炎症性障害を治療する期間に依存し得る。
【0102】
対象が非ステロイド系抗炎症薬によって誘発される胃酸関連障害に苦しむ可能性もある。または、対象が非ステロイド系抗炎症薬には惹起されないまたは関連しない胃酸関連障害に苦しむ可能性もある。以下に開示する通り、炎症性障害の治療または防止に有用な非ステロイド系抗炎症薬は当技術分野において公知であり、本発明の組成物は対象の状態に応じて適切な緩解を提供するために製剤化されることができる。本発明の一つの局面に従って、本発明の組成物および方法は炎症性障害、および炎症性障害またはその炎症性障害の治療に関連しない胃酸関連障害に苦しむ対象の治療に有用である。従って、本発明の組成物および方法は、胃酸関連障害に苦しみ炎症性障害にさらに苦しむ患者の治療に有用である。
【0103】
本発明の組成物は、緩解が求められる状態の一つまたは双方に従って、胃酸関連障害および炎症性障害を治療するために製剤化することができる。以下に開示するように、プロトンポンプ阻害剤は胃酸関連障害の速やかな緩解および持続的緩解を達成するように製剤化することができる。以下に開示するように、非ステロイド系抗炎症薬は長時間作用型であるように、または炎症性障害の症状からの速やかな緩解を提供するように製剤化することができる。本発明の方法に従って、プロトンポンプ阻害剤の製剤は対象が患う胃酸関連障害のタイプに基づいて選択される。本発明の方法に従って、非ステロイド系抗炎症薬の製剤は対象における炎症性疾患の症状に基づいて選択される。
【0104】
一つの態様において、対象には、胃酸関連障害のエピソードに関して速やかな緩解を与えるために製剤化されたプロトンポンプ阻害剤および長時間作用性の非ステロイド抗炎症剤を含む組成物が投与される。もう一つの態様において、対象は、速やかな緩解を提供するために製剤化されたコーディングされていないプロトンポンプ阻害剤、および胃酸関連障害の再発性のエピソードを防止または治療するためのコーティングされたプロトンポンプ阻害剤を含む組成物を投与されて、この組成物は炎症または疼痛を治療するために長時間作用型の非ステロイド系抗炎症薬をさらに含む。本発明のもう一つの局面において、対象はプロトンポンプ阻害剤および長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬を含む組成物を投与されて、この長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬の少なくともいくつかはコーティングされている。本発明のさらにもう一つの局面において、対象はプロトンポンプ阻害剤および長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬を含む組成物を投与されて、この長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬の少なくともいくつかは薬学的組成物の有効期限を向上させるために速放性コーティング剤でコーティングされる。本発明のもう一つの局面に従って、対象はプロトンポンプ阻害剤および長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬を含む組成物を投与されて、この長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬の少なくともいくつかは非ステロイド系抗炎症薬の遅延放出のために設計された腸溶性コーティングでコーティングされる。
【0105】
本明細書に開示される併用療法を構成する薬学的物質は、配合剤、または実質的に同時投与のために意図された別々の投与剤形であってよい。併用療法を構成する薬学的物質は連続的に投与してもよく、いずれの治療用化合物も二段階投与を必要とする投与計画によって投与される。二段階投与計画は、活性物質の連続投与、別々の活性物質の間欠投与を必要とする場合がある。多くの投与段階の間隔は、薬学的物質の効力、溶解度、生物学的利用能、血漿中半減期およびキネティクス特性のような各薬学的物質の特性に応じて、数分から数時間の範囲であり得る。至適投与間隔は標的分子濃度の概日変動によっても決定され得る。
【0106】
本明細書に記載される組成物および方法は、治療しようとする状態に対する特定の有用性に関して選択されるその他の周知の治療試薬と併用して使用してもよい。一般に、本明細書に記載される組成物、および併用療法が用いられる態様においてその他の試薬は同一の薬学的組成物として投与されなくてもよく、また、物理的および化学的特性が異なるために、異なる経路で投与されてもよい。投与モード、および可能ならば同一の薬学的組成物としての投与の可否の決定は、十分、経験豊富な臨床医の知識の範囲内である。最初の投与は当技術分野において公知の確立されたプロトコールに従って実施してよく、その後、観察される効果に基づいて、経験豊富な臨床医によって投与量、投与モード、および投与時期を修正することができる。使用する化合物の特定の選択は、担当する医師の診断、および患者の状態についてのその医師の判断、ならびに適切な治療プロトコールに依存する。化合物は、増殖性疾患の特徴、患者の状態および使用する化合物の実際の選択に応じて、一緒に(例えば、同時に、本質的に同時に、または同一治療プロトコールにおいて)または連続的に投与され得る。治療プロトコール期間中の各治療用物質の投与の順序および反復投与回数の決定は、治療しようとする疾患および患者の状態を評価した上で、十分に、経験豊富な医師の知識の範囲内である。
【0107】
プロトンポンプ阻害剤
「プロトンポンプ阻害剤」、「PPI」および「プロトンポンプ阻害物質」という用語は、H+/K+-ATPアーゼの阻害剤としての薬学的活性を持つ酸に不安定な任意の薬学的物質を記載するために互換的に用いることができる。遊離塩基、塩、エステル、水和物、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、プロドラッグ、または任意のその他の薬学的に適切な誘導体が治療上活性であるならば、プロトンポンプ阻害剤は、所望ならば、遊離塩基、遊離酸、塩、エステル、水和物、無水物、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、プロドラッグ、多型、誘導体などの型であってもよい。
【0108】
様々な態様において、プロトンポンプ阻害剤は置換型二環式アリルイミダゾールであることができて、アリル基は、例えば、ピリジン、フェニル、またはピリミジン基であることができて、イミダゾール環の4位および5位に連結する。置換型二環式アリルイミダゾールを含むプロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペリプラゾール、テンタプラゾール、ランゾプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール、またはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、プロドラッグもしくは誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、The Merck Index, Mersk & Co. Rahway, N.J. (2001)を参照されたい。
【0109】
その他のプロトンポンプ阻害剤には以下が含まれるが、これらに限定されるものではない:
ソラプラザン(Altana);イラプラゾール(米国特許第5,703,097号)(I1-Yang);AZD-0865(AstraZeneca);YH-1885(PCT Publication WO 96/05177)(SB-641257)(2-ピリミジンアミン,4-(3,4-ジヒドロ-1-メチル-2(1H)-イソキノリニル)-N-(4-フルオロフェニル)-5,6-ジメチル-,一塩酸塩)(YuHan);BY-112(Altana);SPI-447(Imidazo(1,2-a)チエノ(3,2-c)ピリジン-3-アミン,5-メチル-2-(2-メチル-3-チエニル)(Shinnippon);3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロ-ピラノ(2,3-c)-イミダゾ(1,2-a)ピリジン(PCT Publication WO 95/27714)(AstraZeneca);Pharmaprojects No.4950(3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロ-ピラノ(2,3-c)-イミダゾ(1,2-a)ピリジン)(AstraZeneca、終了)WO 95/27714;Pharmaprojects No. 4891(EP 700899)(Aventis);Pharmaprojects No. 4697(PCT Publication WO 95/32959)(AstraZeneca);H- 335/25(AstraZeneca);T-330(Saitama 335)(Pharmacological Research Lab);Pharmaprojects No. 3177(Roche);BY-574(Altana);Pharmaprojects No.2870(Pfizer);AU-1421(EP 264883)(Merck);AU-2064(Merck);AY-28200(Wyeth);Pharmaprojects No.2126(Aventis);WY-26769(Wyeth);プマプラゾール(PCT Publication WO 96/05199)(Altana);YH-1238 (YuHan);Pharmaprojects No.5648 (PCT Publication WO 97/32854)(Dainippon);BY-686 (Altana);YM-020(Yamanouchi);GYKI-34655(Ivax);FPL-65372(Aventis);Pharmaprojects No.3264(EP 509974)(AstraZeneca);ネパプラゾール(ToaEiyo);HN-11203(Nycomed Pharma);OPC-22575;プミラシジンA(BMS);サビプラゾール(EP 234485)(Aventis);SKandF-95601(GSK、中止);Pharmaprojects No.2522(EP 204215)(Pfizer);S-3337(Aventis);RS-13232A(Roche);AU-1363(Merck);SKandF-96067(EP 259174)(Altana);SUN 8176(Daiichi Phama);Ro-18-5362(Roche);ウフィプラゾール(EP 74341)(AstraZeneca);およびBay-p-1455(Bayer);またはこれらの化合物の遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、プロドラッグ、もしくは誘導体。
【0110】
本発明によって意図されるさらにその他のプロトンポンプ阻害剤は、以下の米国特許に記載されるものを含む:米国特許第4,628,098号;第4,689,333号;第4,786,505号;第4,853,230号;第4,965,269号;第5,021,433号;第5,026,560号;第5,045,321号;第5,093,132号;第5,430,042号;第5,433,959号;第5,576,025号;第5,639,478号;第5,703,110号;第5,705,517号;第5,708,017号;第5,731,006号;第5,824,339号;第5,855,914号;第5,879,708号;第5,948,773号;第6,017,560号;第6,123,962号;第6,187,340号;第6,296,875号;第6,319,904号;第6,328,994号;第4,255,431号;第4,508,905号;第4,636,499号;第4,738,974号;第5,690,960号;第5,714,504号;第5,753,265号;第5,817,338号;第6,093,734号;第6,013,281号;第6,136,344号;第6,183,776号;第6,328,994号;第6,479,075号;第6,559,167号。
【0111】
その他の置換型二環式アリルイミダゾール化合物ならびにそれらの塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、プロドラッグおよび誘導体は、合成有機化学に関する技術分野の業者に公知の標準的方法で調製することができる。例えば、March, Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure, 4th Ed. (New York: Wiley-Interscience, 1992);Leonard et al., Advanced Practical Organic Chemistry, (1992);Howarth et al, Core Organic Chemistry (1998);およびWeisermel et al., Industrial Organic Chemistry (2002)を参照されたい。
【0112】
「薬学的に許容される塩」または「塩」は、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロへキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸(algenic acid)、β-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸から調製されたプロトンポンプ阻害剤の塩を含む。
【0113】
一つの態様において、酸付加塩は遊離塩基と適切な酸の反応を伴う慣例的方法を用いて遊離塩基から調製される。酸付加塩の調製に適切な酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸、および塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸が含まれる。
【0114】
その他の態様において、酸付加塩は適切な塩基での処理によって遊離塩基に戻される。さらなる態様において、プロトンポンプ阻害剤の酸付加塩は、塩酸または臭化水素酸を用いて調製されるハロゲン塩である。さらにその他の態様において、塩基性塩は、例えば、ナトリウム塩および銅塩のアルカリ金属の塩である。
【0115】
プロトンポンプ阻害物質の塩の型は以下を含むが、これらに限定されるものではない:エソメプラゾールナトリウム、オメプラゾールナトリウム、ラベプラゾールナトリウム、パントプラゾールナトリウムのようなナトリウム塩;または米国特許第5,900,424号に記載されるエソメプラゾールマグネシウムもしくはオメプラゾールマグネシウムのようなマグネシウム塩;米国特許出願第02/0198239号および米国特許第6,511,996号に記載されるエソメプラゾールのカリウム塩のようなカリウム塩型。エソメプラゾールのその他の塩は米国第4,738,974号および米国第6,369,085号に記載されている。パントプラゾールおよびランソプラゾールの塩の型は、それぞれ、米国特許第4,758,579号および第4,628,098号に記載されている。
【0116】
一つの態様において、エステルの調製は、薬剤の分子構造内に含まれ得るヒドロキシル基および/またはカルボキシル基の機能化を伴う。一つの態様において、エステルは例えばRCOOR1の式のカルボン酸から派生する分子など、フリーアルコール基のアシル置換型誘導体であり、この場合、R1は低級アルキル基である。エステルは、所望ならば、水素化分解または加水分解のような慣例的な操作を用いることによって遊離酸に戻すことができる。
【0117】
「アミド」は、当業者に公知の技術または関連する文献に記載された技術を用いて調製してよい。例えば、アミドは適切なアミン反応体を用いてエステルから調製することができ、またはアンモニアまたは低級アルキルアミンのようなアミン基との反応によって無水物または酸塩化物から調製することもできる。
【0118】
置換型二環式アリルイミダゾールの「互変異性体」には、例えば、以下の米国特許に記載されるようなオメプラゾールの互変異性体が含まれる:米国特許第6,262,085号;第6,262,086号;第6,268,385号;第6,312,723号;第6,316,020号;第6,326,384号;第6,369,087号;および第6,444,689号;ならびに米国特許公開第02/0156103号。
【0119】
置換型二環式アリルイミダゾールの例示的な「アイソマー」は、以下に記載されるアイソマーを含むがこれらに限定されないオメプラゾールのアイソマーである:Oishi et al., Acta Cryst. (1989), C45,1921-1923;米国特許第6,150,380号;米国特許公開第02/0156284号;およびPCT Publication No.WO 02/085889。
【0120】
例示的な「多型」には、PCT公開第WO 92/08716号、ならびに米国特許第4,045,563号;第4,182,766号;第4,508,905号;第4,628,098号;第4,636,499号;第4,689,333号;第4,758,579号;第4,783,974号;第4,786,505号;第4,808,596号;第4,853,230号;第5,026,560号;第5,013,743号;第5,035,899号;第5,045,321号;第5,045,552号;第5,093,132号;第5,093,342号;第5,433,959号;第5,464,632号;第5,536,735号;第5,576,025号;第5,599,794号;第5,629,305号;第5,639,478号;第5,690,960号;第5,703,110号;第5,705,517号;第5,714,504号;第5,731,006号;第5,879,708号;第5,900,424号;第5,948,773号;第5,997,903号;第6,017,560号;第6,123,962号;第6,147,103号;第6,150,380号;第6,166,213号;第6,191,148号;第5,187,340号;第6,268,385号;第6,262,086号;第6,262,085号;第6,296,875号;第6,316,020号;第6,328,994号;第6,326,384号;第6,369,085号;第6,369,087号;第6,380,234号;第6,428,810号;第6,444,689号;および第6,462,0577号に記載される多型が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
微粉化プロトンポンプ阻害剤
プロトンポンプ阻害剤の粒子サイズは、多くの方法で固形投与剤形に影響を及ぼすことができる。粒子径が小さくなると表面積(S)が大きくなるので、以下のNoyes-Whitneyの式に表されるように、粒子径の減少は溶解速度(dM/dt)の増大をもたらす:
dM/dt = dS/h(Cs-C)
M=溶解する薬剤の質量;t=時間;D=薬剤の拡散係数;S=薬剤粒子の有効表面積;H=定常状態での層厚;Cs=飽和時の溶液の濃度;およびC=時刻tにおける溶液の濃度。
【0122】
オメプラゾールは、その他のプロトンポンプ阻害剤同様、水溶性が低いので、薬剤製品の早期吸収を助けるため、本発明の異なる態様では薬剤製品の製剤化において微粉化されたプロトンポンプ阻害剤が用いられる。
【0123】
いくつかの態様において、微粉化プロトンポンプ阻害剤の少なくとも約90%の平均粒子径は約40μmよりも小さく、または約35μmよりも小さく、もしくは約30μmよりも小さく、もしくは約25μmよりも小さく、もしくは約20μmよりも小さく、もしくは約15μmよりも小さく、もしくは約10μmよりも小さい。その他の態様において、微粉化プロトンポンプ阻害剤の少なくとも80%の平均粒子径は約40μmよりも小さく、または約35μmよりも小さく、もしくは約30μmよりも小さく、もしくは約25μmよりも小さく、もしくは約20μmよりも小さく、もしくは約15μmよりも小さく、もしくは約10μmよりも小さい。さらにその他の態様において、微粉化プロトンポンプ阻害剤の少なくとも70%の平均粒子径は約40μmよりも小さく、または約35μmよりも小さく、もしくは約30μmよりも小さく、もしくは約25μmよりも小さく、もしくは約20μmよりも小さく、もしくは約15μmよりも小さく、もしくは約10μmよりも小さい。
【0124】
微粉化プロトンポンプ阻害剤がプロトンポンプ阻害剤の75%よりも多くを溶解試験の約1時間以内、または約50分以内、もしくは約40分以内、もしくは約30分以内、もしくは約20分以内、もしくは約10分以内もしくは約5分以内に放出させるサイズである組成物を提供する。本発明のもう一つの態様において、微粉化プロトンポンプ阻害剤はプロトンポンプ阻害剤の90%よりも多くを溶解試験の約1時間以内、または約50分以内、もしくは約40分以内、もしくは約30分以内、もしくは約20分以内、もしくは約10分以内もしくは約5分以内に放出させるサイズである。2003年7月18日に出願された米国仮出願第60/488,324号は参照として本明細書に全体が組み入れられる。
【0125】
緩衝剤
本発明の薬学的組成物は、一つまたは複数の緩衝剤を含む。本発明において有用な緩衝剤の分類には、弱塩基または強塩基として薬学的活性を持つ緩衝剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。一つの態様において、緩衝剤はプロトンポンプ阻害剤と共に製剤化または送達されると、ある期間、例えば投与されたプロトンポンプ阻害剤の生物学的利用能を保持するために十分な期間、消化管液によるプロトンポンプ阻害剤の酸分解を実質的に防止または阻害するように機能する。緩衝剤は、プロトンポンプ阻害剤の送達前、送達中および/または送達後に送達されることができる。本発明の一つの局面において、緩衝剤には、例えば、IA群の金属の重炭酸塩、IA群の金属の炭酸塩、を含むIA群の金属(アルカリ金属)の塩、アルカリ土類金属の緩衝剤(IIA群金属)、アルミニウム緩衝剤、カルシウム緩衝剤、またはマグネシウム緩衝剤が含まれる。
【0126】
本発明に適したその他の緩衝剤には、例えば、リン酸、クエン酸、ホウ酸、酢酸、重炭酸および炭酸のナトリウム塩またはカリウム塩など、炭酸、リン酸、重炭酸、クエン酸、ホウ酸、酢酸、フタル酸、酒石酸、コハク酸などのアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムを含むがこれらに限定されないIA群の金属)の塩またはアルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムを含むがこれらに限定されないIIA群の金属)の塩が含まれる。
【0127】
様々な態様において、緩衝剤は、アミノ酸、アミノ酸のアルカリ金属塩、アミノ酸のアルカリ塩、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム/炭酸カルシウム共沈殿物、物、水酸化アルミニウムマグネシウム、水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム共沈殿物、物、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈殿物、物、グリシン酸アルミニウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、カホウ酸ルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、L-アルギニン、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、メタケイ酸マアルミン酸グネシウム、酸化マグネシウム、フタル酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸カリウム、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、フタル酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、およびトロメタモールを含む。(例えば、The Merek Index, Merck & Co. Rahway, N.J. (2001)に示される一覧を参照されたい)。一部のタンパク質、または酸を速やかに中和するタンパク質加水分解物は、本発明の緩衝剤として用いることができる。上記の緩衝剤の組み合わせは、本明細書に記載される薬学的組成物において使用することができる。
【0128】
本発明において有用な緩衝剤は、さらに、プロトンポンプ阻害剤がHCl(または関心対象の環境中のその他の酸)と相互作用するよりも速く同一の酸と相互作用する緩衝剤または緩衝剤の組み合わせを含む。水のような液相に投入した場合、これらの緩衝剤はプロトンポンプ阻害剤のpKaよりも高いpHを生じて維持する。
【0129】
様々な態様において、緩衝剤は、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、およびその混合物から選択される。もう一つの態様において、緩衝剤は重炭酸ナトリウムであり、約0.1 mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する。さらにもう一つの態様において、緩衝剤は重炭酸ナトリウムおよび水酸化マグネシウムの混合物であり、重炭酸ナトリウムおよび水酸化マグネシウムはそれぞれ、約0.1 mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する。さらにもう一つの態様において、緩衝剤は重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、および水酸化マグネシウムの内少なくとも2つの緩衝剤から選択される混合物であり、各緩衝剤が、プロトンポンプ阻害剤の約0.1 mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgで存在する。
【0130】
本明細書中に記載されるように提供される組成物において、緩衝剤は、約0.1mEq/mg〜約5mEq/mgのプロトンポンプ阻害剤、または約0.25mEq/mg〜約3mEq/mgのプロトンポンプ阻害剤、もしくは約0.3mEq/mg〜約2.5mEq/mgのプロトンポンプ阻害剤、もしくは約0.4mEq/mg〜約2.0mEq/mgのプロトンポンプ阻害剤、もしくは約0.5mEq/mg〜約1.5mEq/mgのプロトンポンプ阻害剤の量で存在する。本明細書中に記載されるように提供される組成物において、緩衝剤は少なくとも約0.25mEq/mg〜約2.5mEq/mgのプロトンポンプ阻害剤、もしくは少なくとも約0.4mEq/mgのプロトンポンプ阻害剤の量で存在する。
【0131】
本発明の一つの局面として提供される組成物において、緩衝剤は、用量当たり約1mEq〜約160mEq、または用量当たり約5mEq、もしくは約10mEq、もしくは約11mEq、もしくは約15mEq、もしくは約19mEq、もしくは約20mEq、もしくは約22mEq、もしくは約23mEq、もしくは約24mEq、もしくは約25mEq、もしくは約30mEq、もしくは約31mEq、もしくは約35mEq、もしくは約40mEq、もしくは約45mEq、もしくは約50mEq、もしくは約60mEq、もしくは約70mEq、もしくは約80mEq、もしくは約90mEq、もしくは約100mEq、もしくは約110mEq、もしくは約120mEq、もしくは約130mEq、もしくは約140mEq、もしくは約150mEq、もしくは約160mEqの量で本発明の薬学的組成物に存在する。
【0132】
本発明のもう一つの局面として提供される組成物において、緩衝剤は、重量対重量(w/w)に基づいて、プロトンポンプ阻害物質の量の約5倍よりも多く、または約10倍よりも多く、もしくは約20倍よりも多く、もしくは約30倍よりも多く、もしくは約40倍よりも多く、もしくは約50倍よりも多く、もしくは約60倍、もしくは約70倍よりも多く、もしくは約80倍よりも多く、もしくは約90倍よりも多く、もしくは約100倍よりも多い量で組成物に存在する。
【0133】
本発明のもう一つの局面として提供される組成物において、薬学的組成物に存在する緩衝剤の量は、200〜3500mgである。いくつかの態様において、薬学的組成物に存在する緩衝剤の量は、約200mg、または約300mg、もしくは約400mg、もしくは約500mg、もしくは約600mg、もしくは約700mg、もしくは約800mg、もしくは約900mg、もしくは約1000mg、もしくは約1100mg、もしくは約1200mg、もしくは約1300mg、もしくは約1400mg、もしくは約1500mg、もしくは約1600mg、もしくは約1700mg、もしくは約1800mg、もしくは約1900mg、もしくは約2000mg、もしくは約2100mg、もしくは約2200mg、もしくは約2300mg、もしくは約2400mg、もしくは約2500mg、もしくは約2600mg、もしくは約2700mg、もしくは約2800mg、もしくは約2900mg、もしくは約3000mg、もしくは約3200mg、もしくは約3500mgである。
【0134】
NSAID
非ステロイド系抗炎症薬は炎症性障害の治療に有用である。本明細書で用いられるように、「炎症性障害」には、例えば、虚血性臓器への再灌流性損傷(例えば、虚血性心筋への再灌流性損傷)、心筋梗塞、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、骨関節炎、乾癬、臓器移植拒絶反応、耳、眼、喉、鼻もしくは皮膚の炎症、臓器保存、女性もしくは男性の性機能不全、放射線誘発性損傷、喘息、呼吸障害、転移、インフルエンザ、失禁、卒中発作、熱傷、外傷、急性膵炎、腎盂腎炎、肝炎、自己免疫疾患および免疫学的異常、老年痴呆、インスリン依存性糖尿病、播種性血管内凝固、脂肪塞栓症、アルツハイマー病、成人性もしくは小児性呼吸疾患、新生児における発癌、新生児における出血、再狭窄、アテローム発生、アンギナ、(例えば、慢性、安定狭心症)、虚血性疾患、うっ血性心不全もしくは急性心筋梗塞に伴う肺水腫、血栓症、高血圧(例えば、心血管の外科的手技に伴う高血圧)、血小板凝集、血小板粘着、平滑筋細胞増殖、医療用具の使用に関連する血管の合併症、医療用具の使用に関連する創傷、脳血管虚血性事象などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
本発明の一つの局面に従って、炎症性障害の症状を緩和するための組成物および方法が提供される。本発明のもう一つの局面に従って、炎症性障害の症状を含む、炎症性障害を治療または予防するための組成物および方法が提供される。
【0136】
本発明の一つの局面に従って、炎症性障害を治療または予防するため、および薬物に誘発される胃酸関連障害を治療または予防するための組成物および方法が提供される。「薬物に誘発される胃酸関連障害」には、選択的COX-II阻害剤および一酸化窒素ドナー/非ステロイド系抗炎症薬(NO-NSAID)を含むNSAIDなどの薬物の使用に誘発されるまたは関連する胃潰瘍が含まれる。本発明のもう一つの局面に従って、炎症性障害を治療するため、および一つまたは複数の非ステロイド系抗炎症薬の長期使用の結果である薬物誘発性胃酸関連障害を治療するための組成物および方法が提供される。
【0137】
適切な非ステロイド系抗炎症薬の例には、エンフェナム酸、エトフェナマート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルマート、テロフェナマート、およびトルフェナム酸などのアミノアリルカルボン酸誘導体;アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、アムトルメチングアシル、ブロムフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラクイソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン、およびゾメピラクなどのアリル酢酸誘導体;ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシンなどのアリル酪酸誘導体;クリダナク、ケトロラク、チノリジンなどのアリルカルボン酸;アルミノプロフェン、ベノキサプロフィン、ベルモプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフィン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン、およびザルトプロフェンなどのアリルプロピオン酸誘導体;ジフェナミゾール、およびエピロゾールなどのピラゾール;アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、およびチアゾリノブタゾンなどのピラゾロン;アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート、ブルモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチジン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、フェニルアセチルサリチル酸、フェニルサリチル酸、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サルサラート、スルファサラジンなどのサリチル酸誘導体;アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロモキシカム、ピロキシカム、およびテノキシカムなどのチアジンカルボキサミド;セレブレックス(セレコキシブ)、ビオックス、レラフェン、ロジンおよびボルタレンなどのシクロオキシゲナーゼ-II阻害剤(「COX-II」)、ならびにイプシロン-アセトアミドカプロン酸、s-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、α-ビサボロール、ブコロローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロカゾン、テニダプおよびジレントンなどのその他が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、非ステロイド系抗炎症薬は非ステロイド系抗炎症薬の特異的エナンチオマーであり得る。
【0138】
本発明の一つの局面に従って、ナプロキセンナトリウム、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、インドメタシン、ケトララク、ナブメトン、メファナミック、ピロキシカム、およびCOX-II阻害剤などの長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬を含む組成物および方法が有用である。NSAIDに関する「長時間作用型」とは、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、および少なくとも約8〜14時間の薬物動力的半減期を意味し、作用期間は約6〜8時間に等しいか、またはこれよりも長い。例示的な長時間作用型NSAIDには以下が含まれる:半減期が約6時間のフルルビプロフェン;半減期が約2〜4時間のケトプロフェン;半減期がそれぞれ約12〜15時間および12〜13時間のナプロキセンおよびナプロキセンナトリウム;半減期が約42〜50時間のオキサプロジン;半減期が約7時間のエトドラク;半減期が約4〜6時間のインドメタシン;半減期が最長約8〜9時間のケトロラク;半減期が約22〜30時間のナブメトン;半減期が最長約4時間のメフェナム酸;および半減期が約4〜6時間のピロキシカム。さらに、天然の状態では長時間作用性であるために十分な半減期を持たない様々なNSAIDが長時間作用性非ステロイド系抗炎症薬へと製剤化されることができる。適切な長時間作用型製剤を作成するための方法は当技術分野において周知である。例えば、 Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、A. Oslo編、Easton, Pa. (1980);およびControlled Drug Delivery, Edith Mathiowitz, John Wiley & Sons (1999), ISBN: 0471148288を参照されたい。
【0139】
本発明の一つの局面に従って、非ステロイド系抗炎症薬をコーティングすることも有用であり得る。適切なコーティングには、腸溶コーティングのような胃耐性コーティング(例えば、W091/16895 および W091/16886を参照されたい)、制御放出コーティング、酵素的制御コーティング、フィルムコーティング、持続放出コーティング、速放性コーティングおよび遅延放出コーティングが含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明のもう一つの局面に従って、NSAIDを遅延放出コーティングされたビーズ、ペレットまたは顆粒へと製剤化することが有用であり得る。本発明の様々な局面に従って、コーティングは本発明の薬学的組成物の安定性を高めるため、または炎症性障害の有効な治療に有用な非ステロイド系抗炎症薬の薬学的放出プロフィールを可能とするために有用であり得る。
【0140】
一般的に用いられるNSAID
以下の表は、本発明に適したNSAIDの一部のリストである。当業者は、対象における使用に関して承認されている任意のNSAIDが本発明の組成物および方法において使用できることを理解するであろう。勿論、対象への実際のNSAID投与量は、対象の年齢、体重および一般状態、治療しようとする状態、治療しようとする状態の程度、および処方する医師の判断に依存する。
【0141】
(表1)代表的なNSAIDおよびその有効投与量*




* その他の投与量については、最新のPhysician's Desk Referenceを参照されたい;特記する場合を除いて、投与量は経口である。
【0142】
安定促進剤
安定促進剤は、参照により全体が本明細書に組み入れられる2004年7月16日出願の米国出願第10/893,203号に記載されている。
【0143】
本発明の一つの局面に従って、組成物は以下の一つまたは複数のマイクロカプセル剤を含み得る:プロトンポンプ阻害剤;非ステロイド系抗炎症薬;または組成物の有効期限を向上するための緩衝剤。2003年07月18日に出願されて全体が本明細書に参照として組み入れられる米国特許仮出願第60/488,321号を参照されたい。本発明の薬学的組成物の有効期限の延長に有用な材料は、その他の非適合性の賦形剤からプロトンポンプ阻害剤を十分に単離する薬学的組成物のプロトンポンプ阻害剤と適合可能な材料を含む。本発明のプロトンポンプ阻害剤と適合可能な材料は、プロトンポンプ阻害剤の分解を遅延または停止することによってプロトンポンプ阻害剤の有効期限を向上する材料である。
【0144】
プロトンポンプ阻害剤を含む薬学的組成物の有効期限を向上するために有用な例示的マイクロカプセル化材料には以下が含まれるが、これらに限定されるものではない:Klucel(登録商標)、 Nisso HPC;セルロースヒドロキシエーテル(HPC);低置換度ヒドロキシエーテル(L-HPC);Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843のようなセルロースヒドロキシメチルエーテル(HPMC);Methocel(登録商標)およびMetolose(登録商標)のようなメチルセルロースポリマー;エチルセルロース(EC)、およびE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)のようなその混合物;Opadry AMBのようなポリビニルアルコール(PVA);Natrosol(登録商標)のようなヒドロキシエチルセルロース;カルボキシメチルセルロース、およびAqualon(登録商標)-CMCのようなカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩;Kollicoat IR(登録商標)のようなポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールコポリマー;モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、加工デンプン、アクリルポリマー、ならびにEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)RD100、およびEudragit(登録商標)E100のようなアクリルポリマーとセルロースエーテルとの混合物;酢酸フタル酸セルロース;HPMCおよびステアリン酸、シクロデキストリンの混合物のようなセピフィルム(sepifilm);ならびにこれらの材料の混合物。
【0145】
様々な態様において、重炭酸ナトリウムのような緩衝剤がマイクロカプセル化材料に組み入れられる。その他の態様において、BHTのような抗酸化剤がマイクロカプセル化材料に組み入れられる。さらにその他の態様において、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800のポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、ならびにトリアセチンのような可塑剤がマイクロカプセル化材料に組み入れられる。その他の態様において、薬学的組成物の有効期限の延長に有用なマイクロカプセル化材料はUSPまたは国民医薬品集(National Formulary (NF))から得られる。
【0146】
さらなる態様において、一つまたは複数のその他の適合性材料がマイクロカプセル化材料に加えられる。例示的な材料には、pH調整物質、壁細胞活性化剤、侵食促進剤、拡散促進剤、抗粘着剤、消泡剤、抗酸化剤、香料剤、ならびに結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤のような担体材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
本発明の一つの局面に従って、非ステロイド系抗炎症薬はコーティングされる。コーティングは、例えば、腸溶コーティングのような胃耐性コーティング(例えば、W091/16895およびW091/16886を参照されたい)、制御放出コーティング、酵素的制御コーティング、フィルムコーティング、持続放出コーティング、速放性コーティング、または遅延放出コーティングであり得る。本発明のもう一つの局面に従って、コーティングは本発明の薬学的組成物の安定性を亢進するために有用であり得る。
【0148】
本発明の薬学的組成物は、例えば、プロトンポンプ阻害剤が室温で1カ月間保存後に約0.5%分解よりも少ない、または室温で1カ月後に約1%分解よりも少ない、もしくは室温で1カ月間保存後に約1.5%分解よりも少ない、もしくは室温で1カ月保存後に約2%分解よりも少ない、もしくは室温で1カ月間保存後に約2.5%分解よりも少ない、もしくは室温で1カ月間保存後に約3%分解よりも少ない場合、有効期限安定性が亢進している可能性がある。
【0149】
その他の態様において、本発明の薬学的組成物は、薬学的組成物が含む総不純物が約3年間保存後、または約2.5年間保存後、もしくは約2年間保存、もしくは約1.5年間保存、もしくは約1年間保存、または約11カ月間保存後、もしくは約10カ月間保存後、もしくは約9カ月間保存後、もしくは約8カ月間保存後、もしくは約7カ月間保存後、もしくは約6カ月間保存後、もしくは約5カ月間保存後、もしくは約4カ月間保存後、もしくは約3カ月間保存後、もしくは約2カ月間保存後、もしくは約1カ月間保存後に約5%よりも少ない場合、有効期限安定性が亢進している可能性がある。
【0150】
さらなる態様において、同一製剤におけるプロトンポンプ阻害剤の、時に「裸」と表現されるマイクロカプセル化されていないプロトンポンプ阻害剤もしくは非ステロイド系抗炎症剤、またはコーティングされていない非ステロイド系抗炎症薬よりも、本発明の薬学的組成物のプロトンポンプ阻害剤の分解が少ない場合、有効期限安定性が亢進している可能性がある。例えば、薬学的組成物中のプロトンポンプ阻害剤が1カ月保存後に約2%よりも多く室温で分解し、かつ、マイクロカプセル化されたまたはコーティングされた材料が1カ月保存後に約2%よりも少なく室温で分解したとすると、プロトンポンプ阻害剤は、薬学的組成物の有効期限を向上させる適合可能な材料と共にマイクロカプセル化されており、または非ステロイド系抗炎症薬は薬学的組成物の有効期限を向上させる適合可能な材料によってコーティングされる。
【0151】
いくつかの態様において、薬学的組成物の有効期限は、室温で少なくとも約5日間、または室温で少なくとも約10日間、もしくは室温で少なくとも約15日間、もしくは室温で少なくとも約20日間、もしくは室温で少なくとも約25日間、もしくは室温で少なくとも約30日間、または室温で少なくとも約2カ月間、もしくは室温で少なくとも約3カ月間、もしくは室温で少なくとも約4カ月間、もしくは室温で少なくとも約5カ月間、もしくは室温で少なくとも約6カ月間、もしくは室温で少なくとも約7カ月間、もしくは室温で少なくとも約8カ月間、もしくは室温で少なくとも約9カ月間、もしくは室温で少なくとも約10カ月間、もしくは室温で少なくとも約11カ月間、または室温で少なくとも約1年間、もしくは室温で少なくとも約1.5年間、もしくは室温で少なくとも約2年間、もしくは室温で少なくとも約2.5年間、もしくは室温で約3年間である、増加した有効期限安定性を有する。
【0152】
本発明のいくつかの態様において、薬学的組成物の最終製剤はタブレットまたはカプレットの形であり、ミクロスフェアの少なくとも約50%、または少なくとも約55%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約65%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約75%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約85%、もしくは少なくとも約90%、もしくは少なくとも約92%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%がタブレット化のプロセスに残存し、製造プロセスを残存したミクロスフェアが本明細書に記載される所望の特性を提供するミクロスフェアである。
【0153】
その他の態様において、経口懸濁剤のための粉末状の薬学的組成物の製剤化およびプロトンポンプ阻害剤もしくは非ステロイド系抗炎症剤または非ステロイド系抗炎症剤を包むコーティングを包むマイクロカプセル化材料は、撹拌して、または撹拌せずに、1時間よりも短い時間、または50分よりも短い時間、もしくは40分よりも短い時間、もしくは30分よりも短い時間、もしくは25分よりも短い時間、もしくは20分よりも短い時間、もしくは15分よりも短い時間、もしくは10分よりも短い時間、もしくは5分よりも短い時間、もしくは1分よりも短い時間で水に十分に溶解する。十分な溶解とは、カプセル化またはコーティング材料の少なくとも約50%が溶解したことを意味する。
【0154】
様々な態様において、薬学的組成物の有効期限を向上するための有用な材料は、プロトンポンプ阻害剤を胃の消化管液内に放出するために、消化管液への暴露後、約1.5時間よりも短い時間内、または約10分以内、もしくは約20分以内、もしくは約30分以内、もしくは約40分以内、もしくは約50分以内、または約1時間以内、もしくは約1.25時間以内、もしくは約1.5時間以内に十分に崩壊する。十分な崩壊とは、マイクロカプセル化材料の少なくとも約50%が溶解したことを意味する。
【0155】
味覚マスキング材料
味覚マスキング材料は、参照により全体が本明細書に組み入れられる2004年7月16日出願の米国出願第10/893,203号に記載されている。
【0156】
もう一つの局面に従って、本発明の組成物および方法は組成物の味を高めるために味覚マスキング材料を含んでよい。プロトンポンプ阻害剤およびいくつかの非ステロイド系抗炎症薬は、元々、苦味を持ち、これらの苦味のある薬学的組成物は、本発明の一つの態様において味覚マスキング材料と共にマイクロカプセル化される。薬学的組成物の味覚のマスキングに有用な材料には、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症薬をマイクロカプセル化することができる材料を含み、これによって知覚がその苦味から保護される。本発明の味覚マスキング材料は、例えば、味覚マスキングされていない薬学的組成物に比してより嗜好性の高い薬学的組成物を作成することによって、および/または従来よりも少ない香料剤を必要とする投与剤形を作成することによって、優れた薬学的組成物を提供する。
【0157】
嗜好性の高い製品を開発するために用いられる「フレーバーリーダーシップ(flavor leadership)」基準は、(1)香料の識別に対する直接的影響、(2)バランスのとれた完全な香料の速やかな発生、(3)適合可能な食感の要因、(4)「異」臭がないこと、および(5)後味が短いことが含まれる。例えば、Worthington, A Matter of Taste, Pharmaceutical Executive (April 2001)を参照されたい。本発明の薬学的組成物はこれらの基準の一つまたは複数を改善する。
【0158】
試料間の違いを調べるためおよび具体的な性状の順に一連の試料をランク付けするための識別試験;香料および外観のような具体的な製品の特性をスコア化するために用いられるスケーリング試験;具体的な試料を量的および質的に評価するために用いられるエキスパートテースター;二つの製品間の反応を測定、製品または具体的な特性に関する好き嫌いの度合いを測定、または具体的な特性の適切さを調べるための感情試験(affective test);および製品の客観的説明を提供するための香料プロファイリングに用いられる記述説明的方法のように味覚マスキング材料の効果を調べるためには、多くの公知の方法があり、すべての方法が当技術分野で用いられている。
【0159】
芳香、香料、キャラクターノート、および後味のような薬学的組成物の異なる知覚的特質は、当技術分野において公知の検査を用いて測定することができる。例えば、Roy et al., Modifying Bitterness : Mechanism, Ingredients, and Applicatiois (1997)を参照されたい。例えば、製品の後味は時間対強度の知覚的測定を用いることによって測定することができる。製剤の加工業者に一部の物質の苦味に対する注意を喚起するためのアッセイが開発されている。当業者に公知の情報を用いて、本発明の薬学的組成物の一つまたは複数の知覚的な質が味覚マスキング材料の使用によって改善されているかどうかを容易に調べることができる。
【0160】
薬学的組成物の味は、患者の遵守を高めるためにも、また同様の疾患、状態および障害に用いられるその他の市販製品と競合するためにも重要である。子供は口の中の苦味のような当面の否定的な経験によって、前向きに(良くなることを)考えられなくなり、苦い薬剤を拒否する可能性が非常に高いので、小児用の薬学的組成物では、味、特に苦味は特に重要である。従って、小児用の薬学的組成物については、苦味をマスキングすることがさらに重要となる。
【0161】
プロトンポンプ阻害剤のマイクロカプセル化は、(1)嗜好性の高い製品を作成するために必要な香料剤の量を減少させて、および/または(2)薬剤を味覚レセプターから隔てることによってプロトンポンプ阻害剤の苦味をマスキングすることができる。
【0162】
味覚マスキング材料には以下が含まれるが、これらに限定されるものではない:Klucel(登録商標)、またはNisswo HPC;低置換度ヒドロキシエーテル(L-HPC);Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、 Metolose SR、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843のようなセルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル(HPMC);Methocel(登録商標)およびMetolose(登録商標)のようなメチルセルロースポリマー;エチルセルロース(EC)、およびE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)のようなその混合物;Opadry AMBのようなポリビニルアルコール(PVA);Natrosol(登録商標)のようなヒドロキシエチルセルロース;カルボキシメチルセルロース、およびAqualon(登録商標)-CMCのようなカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩; Kollicoat IR(登録商標)のようなポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールコポリマー;モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、加工デンプン、アクリルポリマー、ならびにEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)RD100、およびEudragit(登録商標)E100のようなアクリルポリマーとセルロースエーテルとの混合物;酢酸フタル酸セルロース;HPMCおよびステアリン酸、シクロデキストリンの混合物のようなセピフィルム、ならびにこれらの材料の混合物。
【0163】
本発明のその他の態様において、意図されるさらなる味覚マスキング材料は米国特許第4,851,226号、第5,075,114号および第5,876,759号に記載されるものである。味覚マスキング材料のさらなる例については、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed. (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975); Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms (Marcel Decker, New York, N.Y., 1980);およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 1999)を参照されたい。
【0164】
様々な態様において、重炭酸ナトリウムのような緩衝剤がマイクロカプセル化材料に組み入れられる。その他の態様において、BHTのような抗酸化剤がマイクロカプセル化材料に組み入れられる。さらにもう一つの態様において、塩化ナトリウムが味覚マスキング材料に組み入れられる。さらにその他の態様において、ポリエチレングリコールおよび/またはステアリン酸のような可塑剤がマイクロカプセル化材料に組み入れられる。
【0165】
さらなる態様において、一つまたは複数のその他の適合性材料がマイクロカプセル化材料に加えられる。例示的な材料には、例えば、pH調整物質、壁細胞活性化剤、侵食促進剤、拡散促進剤、抗粘着剤、消泡剤、抗酸化剤、香料剤、ならびに結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤のような担体材料が含まれる。
【0166】
本明細書で記載されるように、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症薬を味覚マスキング材料と共にマイクロカプセル化することに加えて、本発明の薬学的組成物は一つまたは複数の香料剤を含んでもよい。
【0167】
本明細書の薬学的組成物において有用な「香料剤」または「甘味料」には、例えば、アカシアシロップ、アセスルファームK、アリテーム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、イチゴ類、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンファー、カラメル、サクランボ、チェリークリーム、チョコレート、桂皮、風船ガム、柑橘類、柑橘類のポンチ、柑橘類のクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、冷蔵チェリー、冷蔵柑橘類、シラミン酸塩、シクラミン酸塩、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ショウガ、グリチルレチン酸、甘草シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルリチン酸一アンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、カエデ、ウスベニタチアオイ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、セイヨウナシ、モモ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)粉末、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、ショ糖、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファームカリウム、マンニトール、タリン、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、ワイルドチェリー、ウィンターグリーン、キシリトール、または、例えば、アニス-メントール、サクランボ-アニス、桂皮-オレンジ、サクランボ-桂皮、チョコレート-ミント、ハチミツ-レモン、レモン-ライム、レモン-ミント、メントール-ユーカリ、オレンジ-クリーム、バニラ-ミント、およびそれらの混合物のこれらの香料成分の任意の組み合わせが含まれる。その他の態様において、塩化ナトリウムが薬学的組成物に組み入れられる。プロトンポンプ阻害剤、緩衝剤、および賦形剤、ならびにそれぞれの量に基づいて、当業者は、消費者の需要および遵守にとって最適な風味の製品を提供するために最も適切な香料の組み合わせを決定することができるであろう。例えば、Roy et al.. Modifying Bitterness: Mechanism, Ingredients, and Applications (1997)を参照されたい。
【0168】
一つの態様において、一つまたは複数の香料剤がプロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症薬のマイクロカプセル化に先立って味覚マスキング材料と混合され、従って、それ自体が味覚マスキング材料の一部である。その他の態様において、香料剤は製剤化のプロセスにおいて非適合性の賦形剤と混合されて、従って、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症薬とは接触せず、しかもマイクロカプセル化材料の一部でもない。
【0169】
もう一つの態様において、重炭酸ナトリウムのような緩衝剤も一つまたは複数の味覚マスキング材料と共にマイクロカプセル化される。
【0170】
もう一つの態様において、味覚マスキング材料の重量画分は、例えば、約98%またはそれよりも少ない、約95%またはそれよりも少ない、約90%またはそれよりも少ない、約85%またはそれよりも少ない、約80%またはそれよりも少ない、約75%またはそれよりも少ない、約70%またはそれよりも少ない、約65%またはそれよりも少ない、約60%またはそれよりも少ない、約55%またはそれよりも少ない、約50%またはそれよりも少ない、約45%またはそれよりも少ない、約40%またはそれよりも少ない、約35%またはそれよりも少ない、約30%またはそれよりも少ない、約25%またはそれよりも少ない、約20%またはそれよりも少ない、約15%またはそれよりも少ない、約10%またはそれよりも少ない、約5%またはそれよりも少ない、約2%、または約1%もしくはそれよりも少ない。
【0171】
本発明のその他の態様において、マイクロカプセル化されていないプロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症薬を含む薬学的組成物に比べて嗜好性の高い製品を作成するために必要な香料剤の量は、5%もしくはそれよりも少ない量、または5%〜10%、もしくは10%〜20%、もしくは20%〜30%、もしくは30%〜40%、もしくは40%〜50%、もしくは50%〜60%、もしくは60%〜70%、もしくは70%〜80%、もしくは80%〜90%、もしくは90%〜95%、または98%よりも多く減量される。さらにその他の態様において、マイクロカプセル化されていないプロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症薬を含む同様の薬学的組成物に比べてより嗜好性の高い薬学的組成物を作成するために香料剤は不要である。
【0172】
本発明の様々な態様において、薬学的組成物に加えられる香料剤の総量は、20gよりも少ない、または15gよりも少ない、もしくは10gよりも少ない、もしくは8gよりも少ない、もしくは5gよりも少ない、もしくは4gよりも少ない、もしくは3.5gよりも少ない、もしくは3gよりも少ない、もしくは2.5gよりも少ない、もしくは2gよりも少ない、もしくは1.5gよりも少ない、もしくは1gよりも少ない、または500mgよりも少ない、もしくは250mgよりも少ない、もしくは150mgよりも少ない、もしくは100mgよりも少ない、もしくは50mgよりも少ない。
【0173】
マイクロカプセル化の方法
プロトンポンプ阻害剤、緩衝剤および/または非ステロイド系抗炎症薬は、当業者に公知の方法によってマイクロカプセル化してよい。このような公知の方法には、例えば、噴霧乾燥プロセス、回転盤-溶媒プロセス、熱溶融プロセス、噴霧冷却法、流動床、静電沈着、遠心押し出し、回転懸濁分離、液体-気体または固体-気体界面での重合、加圧押し出し、または噴霧溶媒抽出槽が含まれる。これらに加えて、例えば、複合コアセルベーション、溶媒蒸留、ポリマー-ポリマー不適合、液体媒質中での界面重合、インサイチューにおける重合、液中乾燥、および液体媒質中での脱溶媒和の複数の化学的技術も用いることができる。
【0174】
回転盤法は、以下を可能とする:1)高い削り速度および原材料液中の高い固形物収容率の使用に起因する高い産生率、2)より球形の粒子の産生、3)より均質なコーティングの産生、および4)加工中の噴霧ノズルの目詰まりの抑制。
【0175】
噴霧乾燥は、しばしば、極めて容易にスケールアップのために使用することができる。様々な態様において、噴霧乾燥カプセル化プロセスで用いられる材料は、例えば、10〜60%固形物の濃縮型としてコア物質に乳化または分散される。一つの態様において、マイクロカプセル化材料は、約1〜3μmの小滴が得られるまで乳化される。プロトンポンプ阻害剤およびカプセル化材料が分散したら、乳濁液を噴霧乾燥装置の加熱チャンバーに小滴として投入する。いくつかの態様において、小滴はチャンバー内に噴霧されて、または回転盤にはね飛ばされる。続いて、ミクロスフェアは加熱チャンバー内で乾燥されて、噴霧乾燥チャンバーの底部に降下し、そこで回収される。
【0176】
本発明のいくつかの態様において、ミクロスフェアは不規則な形状を持つ。その他の態様において、ミクロスフェアは小さめの粒子の凝集物である。
【0177】
様々な態様において、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症剤は、薬学的組成物または味覚マスキング材料の安定性を高めるために用いられるマイクロカプセル化材料に対して、1%よりも多い、2.5%よりも多い、5%よりも多い、10%よりも多い、15%よりも多い、20%よりも多い、25%よりも多い、30%よりも多い、35%よりも多い、40%よりも多い、45%よりも多い、50%よりも多い、55%よりも多い、60%よりも多い、65%よりも多い、70%よりも多い、75%よりも多い、80%よりも多い、85%よりも多い、90%よりも多い、95%よりも多い、または98%よりも多いプロトンポンプ阻害剤の重量パーセントの量でミクロスフェアに存在する。
【0178】
コーティング
本発明のもう一つの局面に従って、非ステロイド系抗炎症薬のすべてまたは一部をコーティングしてもよい。本発明によって意図される様々な態様において、例えば、非ステロイド系抗炎症薬は、腸溶コーティングのような胃耐性コーティング、制御放出コーティング、酵素的制御コーティング、フィルムコーティング、持続放出コーティング、速放性コーティング、遅延放出コーティングまたは湿潤防止コーティングでコーティングされる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)を参照されたい。
【0179】
本発明のもう一つの局面に従って、非ステロイド系抗炎症剤は、腸溶コーティングされる。適切な腸溶コーティング材料には、重合ゼラチン、シェラック、メタクリル酸コポリマーC NF型、酪酸セルロース、フタル酸塩、フタル酸水素セルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシメチルセルロース、酢酸ヒドロキシメチルセルロース、コハク酸ジオキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エチルからアクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマーを用いて形成されるようなアクリル酸のポリマーおよびコポリマー(例えば、Eudragit NE、Eudragit RL、Eudragit RS)が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の一つの局面に従って、プロトンポンプ阻害剤のすべてまたは一部をコーティングしてよい。本発明によって意図される様々な態様において、プロトンポンプ阻害剤は、例えば、コーティングは腸溶コーティングのような胃耐性コーティング、制御放出コーティング、酵素的制御コーティング、フィルムコーティング、持続放出コーティング、速放性コーティング、遅延放出コーティングまたは湿潤防止コーティングでコーティングされる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)を参照されたい。
【0180】
本発明のもう一つの局面に従って、プロトンポンプ阻害剤または非ステロイド系抗炎症薬のいずれかがコーティングされる。本発明のその他の局面において、プロトンポンプ阻害剤のいくつかまたはすべて、および非ステロイド系抗炎症剤のいくつかまたはすべてがコーティングされる。本発明のもう一つの局面に従って、(タブレット、カプレットまたはカプセルのような)投与剤形は嚥下を促進するようにコーティングされる。プロトンポンプ阻害剤は、非ステロイド系抗炎症剤のコーティングに用いられた同一の材料または異なる材料でコーティングすることができる。さらに、(フィルムコーティングのように)投与剤形全体のコーティングに使用したコーティングは、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド系抗炎症剤のコーティングに用いられたコーティングと同一であってよく、または異なってもよい。
【0181】
本明細書において、非ステロイド系抗炎症薬の多部位吸収特性を持つ薬学的組成物を提供する。本発明の一つの局面に従って、非ステロイド系抗炎症薬のいくつかは速放性のために製剤化されて、非ステロイド系抗炎症薬の部分のいくつかは遅延放出のために製剤化される。本発明の一つの局面に従って、遅延放出コーティングは腸溶コーティングである。
【0182】
プロトンポンプ阻害剤の多部位吸収特性を持つ薬学的組成物も、本明細書において提供される。本発明の一つの局面に従って、プロトンポンプ阻害剤のいくつかは速放性のために製剤化されて、プロトンポンプ阻害剤の部分のいくつかは遅延放出のために製剤化される。本発明の一つの局面に従って、遅延放出コーティングは腸溶コーティングである。
【0183】
投与量
プロトンポンプ阻害剤および非ステロイド系抗炎症剤を含む本発明の薬学的組成物は、個々の患者の臨床状態、投与の部位および方法、投与スケジュール、ならびに医療担当者に公知のその他の要因を考慮して、優良医療規範(Good medical practice)に従って投与される。ヒト治療の場合、インビボにおいて各治療用物質の必要な治療用量を送達し、治療物質を速やかに生物学的に利用可能とする投与剤形を提供することが重要である。
【0184】
プロトンポンプ阻害物質
プロトンポンプ阻害物質は、個々の患者の臨床状態、投与の部位および方法、投与スケジュール、ならびに医療担当者に公知のその他の要因を考慮して、優良医療規範に従って投与される。ヒト治療の場合、インビボにおいて各治療剤の必要な治療用量を送達して、治療剤を速やかに生物学的に利用可能とする投与剤形を提供することが重要である。本明細書に記載される投与剤形に加えて、Philipsらによって米国特許第6,489,346号、第6,780,882号、および6,645,988号に記載される投与剤形が参照により本明細書に組み入れられる。
【0185】
対象への薬学的組成物の投与後に治療上有効量、例えば、消化管障害に有効量のプロトンポンプ阻害物質が吸収される限り、血流中に吸収される完全薬剤のパーセントは厳密には重要でない。タブレット中の消化管障害有効量は米国特許第5,622,719号で見出すことができる。対象に投与されるプロトンポンプ阻害物質および/または緩衝剤の量は、数ある因子、例えば、対象の性別、全般的な健康状態、食事、および/または体重に依存することが理解される。
【0186】
例示的には、置換型二環式アリルイミダゾールを幼児、またはイヌのような小動物に投与すると、比較的少量のプロトンポンプ阻害剤、例えば、約1mg〜約30mgによって、しばしば、治療的有効性に一致する血清中濃度が得られる。対象が成人またはウマのような大動物である場合、治療上有効な血液血清中濃度の達成には、例えば、成人では約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約80mg、もしくは約120mg、または加齢ウマでは約150mg、もしくは約200mg、もしくは約400mg、もしくは約800mg、もしくは約1000mg用量、もしくは約1500mg用量、もしくは約2000mg用量、もしくは約2500mg用量、もしくは約3000mg用量、もしくは約3200mg用量、もしくは約3500mg用量の多量の投与単位が必要であろう。
【0187】
本発明の様々なその他の態様において、対象に投与されるプロトンポンプ阻害剤の量は、例えば、約0.5〜2mg/kg体重、または約0.5mg/kg体重、もしくは約1mg/kg体重、もしくは約1.5mg/kg体重、もしくは約2mg/kg体重である。
【0188】
投与量は、一般に、安全性および効果を至適とするために滴定され得る。典型的には、インビトロおよび/またはインビボ試験から得られる投与量−効果相関性より、対象投与のための適切な用量に関する有用な案内が得られる。動物モデルにおける試験は、一般に、本発明に従って消化管の障害または疾患の治療のための有効投与量に関する案内として用いられ得る。治療プロトコールに関して、投与されるべき投与量は投与される特定の物質、投与のために選択される経路、特定の対象の状態を含む複数の要因に依存することが認識されるべきである。
【0189】
様々な態様において、ヒトの単位投与剤形は、約1mg〜約120mg、または約1mg、もしくは約5mg、もしくは約10mg、もしくは約15mg、もしくは約20mg、もしくは約30mg、もしくは約40mg、もしくは約50mg、もしくは約60mg、もしくは約70mg、もしくは約80mg、もしくは約90mg、もしくは約100mg、もしくは約110mg、もしくは約120mgのプロトンポンプ阻害剤を含む。
【0190】
本発明のさらなる態様において、薬学的組成物は、薬学的組成物の投与後約30分以内に約0.1μg/mlよりも高い酸分解しないプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成するための量で投与される。本発明のもう一つ態様において、薬学的組成物は、薬学的組成物の投与後約15分以内に約0.1μg/mlよりも高い酸分解しないまたは酸と反応しないプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成するための量で対象に投与される。さらにもう一つ態様において、薬学的組成物は、薬学的組成物の投与後約10分以内に約0.1μg/mlよりも高い酸分解しないまたは酸と反応しないプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成するための量で対象に投与される。
【0191】
本発明のもう一つの態様において、組成物は、組成物の投与後約15分以内に約0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成し、約15分から約1時間まで0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を維持する量で対象に投与される。本発明のさらにもう一つの態様において、組成物は、組成物の投与後約15分以内に約0.25μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成し、約15分から約1時間まで0.25μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を維持する量で対象に投与される。本発明のもう一つの態様において、組成物は、組成物の投与後約15分以内に約0.35μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成し、約15分から約1時間まで0.35μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を維持する量で対象に投与される。本発明のもう一つの態様において、組成物は、組成物の投与後約15分以内に約0.45μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成し、約15分から約1時間まで0.45μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を維持する量で対象に投与される。
【0192】
本発明のもう一つの態様において、組成物は、組成物の投与後約30分以内に約0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成し、約30分から約1時間まで0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を維持する量で対象に投与される。本発明のさらにもう一つの態様において、組成物は、組成物の投与後約30分以内に約0.25μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成し、約30分から約1時間まで0.25μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を維持する量で対象に投与される。本発明のもう一つの態様において、組成物は、組成物の投与後約30分以内に約0.35μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成し、約30分から約1時間まで0.35μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を維持する量で対象に投与される。本発明のもう一つの態様において、組成物は、組成物の投与後約30分以内に約0.45μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成し、約30分から約1時間まで0.45μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を維持する量で対象に投与される。
【0193】
本発明のさらにもう一つ態様において、組成物は、組成物の投与後約1時間以内に約0.5μmg/mlよりも高い酸分解しないまたは酸と反応しないプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成するための量で対象に投与される。本発明のさらにもう一つ態様において、組成物は、組成物の投与後約45分以内に約0.3μg/mlよりも高い酸分解しないまたは酸と反応しないプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度を達成するための量で対象に投与される。
【0194】
本発明の意図される組成物は、投与後約5分から約24時間の期間を通してプロトンポンプ阻害物質医用薬としての治療効果を提供して、所望ならば、例えば、1日1回、1日2回、1日3回などの投与を可能とする。
【0195】
一般に、治療効果を示すために有効な期間にわたって、インビボにおいて有効であることが明らかである濃度に見合う血清中濃度を達成するために有効な化合物の量を投与することが望まれる。これらのパラメータの決定は、十分に当技術分野の範囲内である。これらの検討は十分に当技術分野の範囲内であり、標準的指導書に記載されている。
【0196】
本発明の一つの態様において、組成物は消化管障害に有効な量で対象に投与されて、つまり、組成物は所望の治療効果を発揮するための期間にわたって、対象の血液血清においてプロトンポンプ阻害物質の治療上有効量を達成する量で投与される。例示的には、空腹状態の成人(一般的には少なくとも10時間絶食)の場合、組成物は組成物の投与後約45分以内に対象の血液血清中においてプロトンポンプ阻害物質の治療上有効量を達成するように投与される。本発明のもう一つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療上有効量は対象への組成物の投与時から約30分以内に対象の血液血清中において達成される。本発明のさらにもう一つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療上有効量は対象への投与時から約20分以内に対象の血液血清中において達成される。本発明のさらにもう一つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療上有効量は対象への組成物の投与時から約15分で対象の血液血清中において達成される。
【0197】
さらなる態様において、血流に吸収される薬剤の約98%よりも多い量、または約95%よりも多い量、もしくは約90%よりも多い量、もしくは約75%よりも多い量、もしくは約50%よりも多い量が酸分解しないまたは酸と反応しない型である。
【0198】
その他の態様において、薬学的組成物はUSP溶解法を用いてプロトンポンプ阻害剤の放出特性を示し、それによって、プロトンポンプ阻害剤の約50%よりも多くが消化管液への暴露後約2時間以内に組成物から放出されて、またはプロトンポンプ阻害剤の約50%よりも多くが約1.5時間以内に組成物から放出されて、もしくはプロトンポンプ阻害剤の50%よりも多くが1時間以内に組成物から放出される。もう一つの態様において、プロトンポンプ阻害剤の約60%よりも多くが消化管液への暴露後約2時間以内に組成物から放出されて、またはプロトンポンプ阻害剤の約60%よりも多くが約1.5時間以内に放出されて、もしくはプロトンポンプ阻害剤の約60%よりも多くが約1時間以内に放出される。さらにもう一つの態様において、プロトンポンプ阻害剤の約70%よりも多くが消化管液への暴露後約2時間以内に組成物から放出されて、またはプロトンポンプ阻害剤の約70%よりも多くが約1.5時間以内に放出されて、もしくはプロトンポンプ阻害剤の約70%よりも多くが約1時間以内に放出される。
【0199】
非ステロイド系抗炎症薬
非ステロイド系抗炎症薬は、個々の患者の臨床状態、投与の部位および方法、投与スケジュール、ならびに医療担当者に公知のその他の要因を考慮して、適切な医学的手法に従って投与される。本発明の一つの局面に従って、薬学的組成物は2つの異なる非ステロイド系抗炎症薬を含む。本発明のもう一つの局面に従って、薬学的組成物は、少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬がCOX-II阻害剤である2つの異なる非ステロイド系抗炎症薬を含む。
【0200】
ヒト治療の場合、インビボにおいて必要な治療的薬剤量を送達して、薬剤を適切な時期に生物学的に利用可能とする投与剤形を提供することが重要である。本発明の一つの局面に従って、非ステロイド系抗炎症薬の一部は速放性剤であり、非ステロイド系抗炎症薬の一部は遅延放出剤である。本発明のもう一つの局面に従って、薬学的組成物には2つの治療上有効量が加えられて、一つは速放性剤であり、もう一つは遅延放出剤である。非ステロイド系抗炎症薬の投与は様々であるが、当業者は容易に決定することができる。
【0201】
投与剤形
本発明の薬学的組成物はプロトンポンプ阻害剤、緩衝剤および非ステロイド系抗炎症薬の所望の量を含み、タブレット(懸濁タブレット、咀嚼タブレット、ファストメルト(fast-melt)タブレット、噛み砕くタブレット、短時間崩壊性タブレット、または発泡性タブレット、またはカプレットを含む)、丸剤、粉末(無菌包装された粉末、小分け可能な粉末、または発泡性粉末を含む)、カプセル(ソフトまたはハードカプセルの双方を含む、例えば、動物由来のゼラチンまたは植物由来のHPMCから作成されるカプセル)、口内錠、サッシュ、トローチ、ペレット剤、顆粒またはエアロゾルの剤形であることができる。本発明のこれらの薬学的組成物は、慣例的な薬学的技術によって製造することができる。
【0202】
慣例的な薬学的技術には、例えば、以下の方法の一つまたは組み合わせが含まれる:(1)乾燥混合、(2)直接圧搾、(3)粉砕、(4)乾燥または非水性顆粒化、(5)湿潤顆粒化、または(6)融合。例えば、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照されたい。その他の方法には、例えば、小球状化、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融顆粒化、顆粒化、ウェルスターコーティング、タンジェンシャルコーティング、トップスプレー法、錠剤化、押し出し法、コアセルベーション法などが含まれる。
【0203】
一つの態様において、プロトンポンプ阻害剤および非ステロイド系抗炎症薬は、上記の一つの剤形に製剤化される前にマイクロカプセル化される。もう一つの態様において、一部またはすべてのプロトンポンプ阻害剤が、上記の一つの剤形に製剤化される前にマイクロカプセル化される。もう一つの態様において、緩衝剤の一部またはすべてが、上記の一つの剤形に製剤化される前にマイクロカプセル化される。その他の態様において非ステロイド系抗炎症薬の一部またはすべてが、上記の一つの剤形にさらに製剤化される前にマイクロカプセル化される。もう一つの態様において、非ステロイド系抗炎症薬の一部またはすべても、上記の一つの剤形にさらに製剤化される前にRemington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されるような標準的コーティング操作を用いて、コーティングされる。本発明によって意図されるさらなるその他の態様において、薬学的組成物の周りがフィルムコーティングされる。
【0204】
その他の態様において、薬学的組成物は、薬学的に適合性の担体、結合剤、充填剤、懸濁剤、香料剤、甘味料剤、崩壊剤、界面活性剤、保存料、潤滑剤、着色料、希釈剤、可溶化剤、保湿剤、安定剤、湿潤剤、抗粘着剤、壁細胞活性化剤、消泡剤、抗酸化剤、キレート剤、抗真菌物質、抗細菌物質、またはそれらの一つもしくは複数の組み合わせのような一つまたは複数の追加材料を含む。
【0205】
壁細胞活性化剤は所望の刺激効果を示して有害な副作用を引き起こさない十分な量で患者に投与される。一つの態様において、壁細胞活性化剤はプロトンポンプ阻害剤20mg用量当たり約5mg〜約2.5gの量で投与される。
【0206】
その他の態様において、薬学的製剤の一つまたは複数の層が可塑化される。例示的には、可塑剤は一般に沸点の高い固体または液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の重量に基づいて(w/w)、約0.01%から約50%まで加えることができる。可塑剤には、例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアリン酸塩、およびヒマシ油が含まれる。
【0207】
例示的固形経口投与組成物
例えば、タブレット、咀嚼タブレット、発泡性タブレット、カプレットおよびカプセルの固形経口投与組成物は、プロトンポンプ阻害剤、一つまたは複数の緩衝剤、少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬、および薬学的賦形剤を混合してバルク混合組成物を作成して調製される。これらのバルク混合組成物を均質と記載する場合、組成物がタブレット、丸剤およびカプセルのような均等な有効単位投与剤形に容易に分割できるようにプロトンポンプ阻害剤、緩衝剤および非ステロイド系抗炎症薬が組成物全体に均等に分散することを意味する。個々の単位投与量は、服用時または希釈剤と接触時に分解するフィルムコーティングをさらに含んでよい。
【0208】
圧縮タブレットは、上記のバルク混合組成物を圧縮することによって調製される固形投与剤形である。様々な態様において、本発明の圧縮タブレットは、結合剤および/または崩壊剤のような、一つまたは複数の機能的な賦形剤を含む。その他の態様において、圧縮タブレットは最終的な圧縮タブレットの周囲にフィルムを含む。その他の態様において、圧縮タブレットは一つまたは複数の賦形剤および/または香料剤を含む。
【0209】
咀嚼タブレットは、上記のバルク混合組成物を圧縮することによって調製され得る。一つの態様において、咀嚼タブレットは薬学的組成物の有効期限を向上するための有用な物質を含む。もう一つの態様において、マイクロカプセル化された材料は味覚マスキング特性を持つ。様々なその他の態様において、咀嚼タブレットは一つまたは複数の香料剤および一つまたは複数の味覚マスキング材料を含む。さらにその他の態様において、咀嚼タブレットは、薬学的組成物の有効期限の延長に有用な材料および一つまたは複数の香料を含んだ。
【0210】
様々な態様において、マイクロカプセル化されたプロトンポンプ阻害剤、緩衝剤、非ステロイド系抗炎症薬、および任意で一つまたは複数の賦形剤は、乾燥混合されて、経口投与後約30分よりも短い時間、約35分よりも短い時間、約40分よりも短い時間、約45分よりも短い時間、約50分よりも短い時間、約55分よりも短い時間、約60分よりも短い時間以内に実質的に崩壊し、それによって消化管液中に緩衝剤およびプロトンポンプ阻害剤を放出する薬学的組成物を提供する十分な硬度を持つタブレットのような塊りに圧縮される。薬学的組成物の少なくとも50%が崩壊する場合、圧縮された塊りは実質的に崩壊している。
【0211】
カプセルは、上記のバルク混合組成物をカプセル内に充填することによって調製され得る。
【0212】
例示的粉末組成物
懸濁用の粉末は、プロトンポンプ阻害剤、一つまたは複数の緩衝剤、および非ステロイド系抗炎症薬を混合することによって調製することができる。様々な態様において、粉末は一つまたは複数の薬学的賦形剤および香料を含み得る。懸濁用の粉末は、バルク混合組成物を産生するために、プロトンポンプ阻害剤、一つまたは複数の緩衝剤、非ステロイド系抗炎症薬、および任意で薬学的賦形剤を混合することによって調製される。このバルク混合物は、単位投与包装またはマルチ投与包装単位に均等に分割される。「均等に」という用語は、バルク混合物の均一性が包装プロセス中に実質的に維持されることを意味する。
【0213】
いくつかの態様において、一部またはすべてのプロトンポンプ阻害剤は微粉化される。その他の態様では、一部または全ての非ステロイド系抗炎症薬は微粉化される。本発明のさらなる態様は、懸濁剤および/または湿潤剤をさらに含む。
【0214】
発泡性粉末も本発明に従って調製される。発泡性の塩は、経口投与のために医用薬を水に溶解するために用いられている。発泡性の塩は、乾燥混合物中に医学的物質を含む顆粒または粗い粉末であり、通常は、重炭酸ナトリウム、クエン酸および/または酒石酸を含む。本発明の塩を水に加えると、酸および塩基が反応して二酸化炭素ガスを発生し、それによって「発泡」を引き起こす。発泡性の塩の例には、以下の成分が含まれる:重炭酸ナトリウム、または炭酸重炭酸ナトリウムならびに炭酸ナトリウム、クエン酸および/または酒石酸の混合物。成分が薬学的な使用に適切であり、かつ、約6.0またはそれよりも高いpHが得られるならば、重炭酸ナトリウムならびにクエン酸および酒石酸の組み合わせの代わりに二酸化炭素を放出する任意の酸-塩基の組み合わせが使用できる。
【0215】
本発明の発泡性顆粒の調製の方法は、三つの基本的プロセスを用いる:湿潤顆粒化、乾燥顆粒化、および融合。融合法は、市販の大半の発泡性粉末の調製に用いられる。これらの方法は粒剤の調製を意図するものであるが、本発明の発泡性塩の製剤は、タブレット調製のための公知の技術に従ってタブレットとして調製することもできることが認識されるべきである。
【0216】
湿潤顆粒化は、粒剤調製の最も古い方法である。タブレット調製の湿潤顆粒化のプロセスにおける個々の段階は、成分の粉砕および篩処理、乾燥粉末混合、湿潤性の塊り形成、顆粒化、および最終的な粉砕を含む。様々な態様において、マイクロカプセル化されたPPIは、薬学的組成物のその他の賦形剤が湿潤顆粒化された後に加えられる。
【0217】
乾燥顆粒化は、強力回転タブレットプレスでの粉末混合物の粗いタブレットまたは「スラグ」への圧縮を伴う。続いて、粉砕操作により、通常は振動造粒機に通過させることによって、スラグを顆粒状の粒子に粉砕する。個々の段階が、粉末を混合する段階、圧縮する段階(スラグ化)および粉砕(スラグの縮小または顆粒化)する段階を含む。いずれの段階にも、湿潤結合剤または水分は関与しない。いくつかの態様において、マイクロカプセル化されたPPIは、薬学的組成物中のその他の賦形剤と共に乾燥顆粒化される。その他の態様において、マイクロカプセル化されたオメプラゾールは、薬学的組成物のその他の賦形剤が乾燥顆粒化された後に加えられる。
【0218】
懸濁用粉末
少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤、少なくとも一つの緩衝剤、少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症剤、および対象に経口投与するための少なくとも一つの懸濁剤を含む薬学的組成物を含む組成物が提供される。組成物は懸濁用の粉末であり得て、水との混合時に実質的に均質な懸濁液が得られる。
【0219】
懸濁液は大部分が均質である場合、つまり、懸濁液が懸濁液全体の任意の部分でほぼ同一濃度のプロトンポンプ阻害剤を含む場合、「実質的に均等」である。懸濁液の様々な部分から採取された試料について濃度の変動が約20%よりも低い、約15%よりも低い、約13%よりも低い、約11%よりも低い、約10%よりも低い、約8%よりも低い、約5%よりも低い、または約3%よりも低い場合、懸濁液は懸濁液を通してほぼ同一濃度のプロトンポンプ阻害剤を含むと判断される。
【0220】
懸濁液全体の様々な部分の濃度は、当技術分野において公知である任意の適切な方法によって測定することができる。例えば、様々な部分の濃度を測定する一つの適切な方法は、懸濁液を実質的に等しい3つの区分への分割を伴う:上部、中央部および底部。先ず懸濁液の上部を層に分割して、最後に懸濁液の底部を分割する。例えば、2区分、3区分、4区分、5区分、または6もしくはそれよりも多い区分のように、懸濁液の均質性を測定するために適切な任意の数の区分を用いることができる。区分には、それらの位置(例えば、上部、中央部、底部)、番号(例えば、1、2、3、4、5、6など)、または文字(例えば、A、B、C、D、E、F、Gなど)に関連するような任意の適切な方法で名前を付けることができる。区分は任意の適切な配置で分割することができる。一つの態様において、区分は上部から底部に分割され、これによってプロトンポンプ阻害剤が底部の区分に沈降するかどうかを判定して、その速度を求めるために、上部の区分および底部の区分を比較することが可能となる。例えば、すべての区分、区分の90%、区分の75%、区分の50%、または区分のその他の任意の適切な数のように、懸濁液の均一性を測定するための適切な選定された任意の数の区分について評価することができる。
【0221】
濃度は、例えば、本明細書に記載される方法のような当技術分野において公知の方法によって容易に決定される。一つの態様において、濃度は表示量パーセントを用いて決定される。「表示量パーセント」(表示量%)は、試料当たりのプロトンポンプ阻害剤または非ステロイド系抗炎症薬の予定量と比較した試料当たりのプロトンポンプ阻害剤または非ステロイド系抗炎症薬の実際の量を用いて算出される。試料当たりのプロトンポンプ阻害剤または非ステロイド系抗炎症薬の予定量は、製剤化プロトコール、または例えば「表示量」、つまり米国食品医薬品庁公布の規定に従ってラベルに表示されるプロトンポンプ阻害剤または非ステロイド系抗炎症薬の予定量を基準とするなど、その他の任意の適切な方法に基づいて決定することができる。
【0222】
本発明の一つの局面において、懸濁液は区分に分割されて、表示量パーセントは各区分について決定される。懸濁液は、懸濁液が(a)評価される区分を通じて少なくともほぼ所定の閾値の表示量パーセントの少なくとも一つを含むか、または(b)評価される区分を通じて表示量パーセントにおける所定の変動パーセントよりも低い場合、実質的に均質であると判断される。懸濁液は、(a)もしくは(b)のいずれかを含むことができて、または(a)および(b)双方を含むことができる。懸濁液の評価される区分は、懸濁液が実質的に均質であることを決定するために適切な任意の所定の閾値表示量パーセントを持つことができる。例えば、区分は、例えば少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約87、少なくとも約88、少なくとも約89、少なくとも約90、少なくとも約93、少なくとも約95、少なくとも約98、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約115表示量%のプロトンポンプ阻害剤、または例えば、約80〜約115、約85〜約110、約87〜約108、約89〜約106、約90〜約105などのプロトンポンプ阻害剤の表示量パーセントなどのように、その中に含まれる任意の範囲を含むことができる。懸濁液の評価される区分は、例えば、約25%、約20%、約17%、約15%、約13%、約11%、約10%、約7%、約5%、約3%または約0%変動などのように、懸濁液が実質的に均質であることを判断するために適切な表示量パーセントにおける任意の所定の変動パーセントよりも少ない変動パーセントを持つことができる。
【0223】
本発明のもう一つの局面において、懸濁液が(a)水との混合後少なくとも約5分間に懸濁液を上部から底部までの実質的に等しい3つの区分に分割することによって測定される上部、中央部および底部区分におけるプロトンポンプ阻害剤の少なくとも約87%表示量、または(b)水との混合後、少なくとも約5分間に上部、中央部および底部の各区分において%表示量の約11%よりも少ない変動の少なくとも一つを含む場合、懸濁液は実質的に均一である。
【0224】
本発明の一つの代替となる局面において、懸濁液が(a)水との混合後少なくとも約60分間に上部から底部までの実質的に等しい3つの区分に懸濁液を分割することによって測定される上部、中央部および底部の区分において少なくとも約80%表示量のプロトンポンプ阻害剤、または(b)水との混合後、少なくとも約60分間に上部、中央部および底部の各区分において%表示量の約15%よりも低い変動の少なくとも一方を含む場合、懸濁液は実質的に均一である。
【0225】
いくつかの態様において、組成物は、例えば、水との混合後、少なくとも約5分、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約60分(1時間)、約75分、約90分、約105分、約120分(2時間)、約150分、約180分(3時間)、約210分、約4時間、約5時間またはそれよりも長い時間のように、組成物の意図する使用に対応する適切な量の時間にわたって実質的に均一状態を維持する。もう一つの態様において、懸濁液は水との混合後約5分から約4時間まで実質的に均一な状態を維持する。もう一つの態様において、懸濁液は水との混合後約15分から約3時間まで実質的に均一な状態を維持する。さらにもう一つの態様において、懸濁液は水との混合後少なくとも約1時間から少なくとも約3時間まで実質的に均一な状態を維持する。
【0226】
本発明の一つの態様において、組成物は、少なくとも懸濁液が患者への投与のために調製されるまで、実質的に均一な状態を維持する。懸濁液が実質的に均一な状態を維持する限り、懸濁液は混合後の任意の時期に患者への投与のために調製することができる。もう一つの態様において、懸濁液は混合後の任意の時期から懸濁液が均一でなくなるまでに、患者への投与のために調製される。例えば、懸濁液は、水との混合後、約5分、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約60分(1時間)、約75分、約90分、約105分、約120分(2時間)、約150分、約180分(3時間)、約210分、約4時間、約5時間またはそれよりも長い時間以降、患者への投与のために調製することができる。一つの態様において、懸濁液は、混合後約5分から約4時間までに患者への投与のために調製される。もう一つの態様において、懸濁液は、混合後約15分から約3時間までに患者への投与のために調製される。さらにもう一つの態様において、懸濁液は、混合後少なくとも約1時間から少なくとも約3時間までに患者への投与のために調製される。
【0227】
代替となる態様において、組成物は、組成物が実際に患者に投与されるまで、実質的に均一な状態を維持する。懸濁液が実質的に均一な状態を維持する限り、懸濁液は混合後の任意の時期に患者に投与することができる。一つの態様において、懸濁液は混合後の任意の時期から懸濁液が均一でなくなるまでに、患者に投与される。例えば、懸濁液は、水との混合後、約5分、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約60分(1時間)、約75分、約90分、約105分、約120分(2時間)、約150分、約180分(3時間)、約210分、約4時間、約5時間またはそれよりも長い時間以降、患者に投与することができる。一つの態様において、懸濁液は、混合後約5分から約4時間までに患者に投与される。もう一つの態様において、懸濁液は、混合後約15分から約3時間までに患者に投与される。さらにもう一つの態様において、懸濁液は、混合後少なくとも約1時間から少なくとも約3時間までに患者に投与される。
【0228】
一つの態様において、組成物は少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤、少なくとも一つの緩衝剤、少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症剤、およびキサンタンゴムを含む。組成物は懸濁用の粉末であり、水との混合時に、プロトンポンプ阻害剤、緩衝剤、非ステロイド系抗炎症剤、およびキサンタンゴムでない懸濁剤を含む第二の懸濁液と比較して、実質的により均一である第一の懸濁液が得られる。一つの態様において、第一の懸濁液は、(a)水との混合後少なくとも約5分間に上部から底部までの実質的に等しい3つの区分に懸濁液を分割することによって測定される上部、中央部および底部の区分において少なくとも約87%表示量のプロトンポンプ阻害剤、または(b)水との混合後、少なくとも約5分間に上部、中央部および底部の各区分において%表示量の約11%よりも低い変動の少なくとも一方を含む場合、実質的に均一である。
【0229】
もう一つの態様において、第一の懸濁液は、(a)水との混合後少なくとも約60分間に懸濁液を上部から底部までの実質的に等しい3つの区分に分割することによって測定される上部、中央部および底部区分におけるプロトンポンプ阻害剤の少なくとも約80%表示量、または(b)水との混合後、少なくとも約60分間に上部、中央部および底部の各区分において%表示量の約15%よりも少ない変動の少なくとも一つを含む。
【0230】
一つの態様において、組成物はオメプラゾール、重炭酸ナトリウムおよびキサンタンガムを含む。組成物は懸濁用の粉末であり、水との混合によって実質的に均質な懸濁液が得られる。一つの態様において、懸濁液は、(a)水との混合後少なくとも約5分間に懸濁液を上部から底部までの実質的に等しい3つの区分に分割することによって測定される上部、中央部および底部区分におけるプロトンポンプ阻害剤の少なくとも約87%表示量、または(b)水との混合後、少なくとも約5分間に上部、中央部および底部の各区分において%表示量の約11%よりも少ない変動の少なくとも一つを含む。もう一つの態様において、懸濁液は、(a)水との混合後少なくとも約60分間に懸濁液を上部から底部までの実質的に等しい3つの区分に分割することによって測定される上部、中央部および底部区分におけるプロトンポンプ阻害剤の少なくとも約80%表示量、または(b)水との混合後、少なくとも約60分間に上部、中央部および底部の各区分において%表示量の約15%よりも少ない変動の少なくとも一つを含む。
【0231】
さらにもう一つの態様において、組成物はオメプラゾール、重炭酸ナトリウム、少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬、キサンタンガム、および少なくとも一つの甘味料剤または香料剤を含む。組成物は懸濁用の粉末である。水との混合後直ちに実質的に均質な懸濁液が得られる。一つの態様において、懸濁液は、(a)水との混合後少なくとも約5分間に懸濁液を上部から底部までの実質的に等しい3つの区分に分割することによって測定される上部、中央部および底部区分におけるプロトンポンプ阻害剤の少なくとも約87%表示量、または(b)水との混合後、少なくとも約5分間に上部、中央部および底部の各区分において%表示量の約11%よりも少ない変動の少なくとも一つを含む。もう一つの態様において、懸濁液は、(a)水との混合後少なくとも約60分間に懸濁液を上部から底部までの実質的に等しい3つの区分に分割することによって測定される上部、中央部および底部区分におけるプロトンポンプ阻害剤の少なくとも約80%表示量、または(b)水との混合後、少なくとも約60分間に上部、中央部および底部の各区分において%表示量の約15%よりも少ない変動の少なくとも一つを含む。
【0232】
その他の例示的組成物
口腔内または舌下投与に適した薬学的組成物には、例えば、口内錠の口内バッチまたは固形投与剤形が含まれる。その他のタイプの放出送達系が有効であり、当業者に公知である。このような送達系の例には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ無水物およびポリカプロラクトンのようなポリマーを基剤とする系;コレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸のようなステロール、またはモノ、ジおよびトリグリセリドのような中性脂肪を含む脂質である非ポリマーを基剤とする系;ヒドロゲル放出系;シラスティックの系;ペプチドを基剤とする系;ワックスコーティング;慣例的な結合剤および賦形剤を部分的に融合した埋込錠を用いた圧縮タブレットなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、Liberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms, 2 Ed. , Vol. 1, 209(1990)を参照されたい。
【0233】
簡潔さのために、本明細書に引用されたすべての特許およびその他の参照は、参照により全体が組み入れられる。
【0234】
実施例
本発明は以下の実施例によってさらに例証され、あらゆる点において限定的と理解されるべきではない。記載するデータを作成するための実験手順については、下記においてより詳細に考察する。本明細書におけるすべての製剤に関して、マルチドーズは、当技術分野において公知であるように比例的に混合してよい。コーティング、層およびカプセル化は、これらの目的に一般的な装置を用いて慣例的な方法で適用される。
【0235】
本発明は例証的方法で説明されるものであり、用いられる用語は、本来、限定的ではなく説明的であることが意図されるものであることが理解されるべきである。
【0236】
実施例1 回転盤マイクロカプセル化プロセス
用いられる回転盤-溶媒プロセスの基本的操作は以下の通りである:カプセル化溶液は、カプセル化材料を適切な溶媒に溶解することによって調製される。プロトンポンプ阻害剤(PPI)を緩衝剤および非ステロイド系抗炎症剤と組み合わせて、またはマイクロカプセル化した後に緩衝剤および非ステロイド系抗炎症剤と組み合わせることを意図する場合はプロトンポンプ阻害剤単独で、コーティング溶液に分散させて、回転盤の中心に適用する。ディスクの表面に薄膜が形成され、コーティング材料がディスクの周辺部を離れるに伴って微粒化が起こる。ミクロスフェアは、微粒化チャンバー内において加熱気流を用いて溶媒を除去することによって作成され、サイクロン式分離器を用いて易流動性の粉末として回収される。
【0237】
実施例2: 噴霧乾燥マイクロカプセル化プロセス
噴霧乾燥装置は回転盤と同一コンポーネントからなり、但し、微粒化は回転盤の代わりにエアーノズルを介して達成される。
【0238】
実施例3:経口投与のための懸濁用粉末の調製
本発明に基づく懸濁用の粉末(液体の経口用薬学的組成物)は、PPI(マイクロカプセル化されたオメプラゾール、粉末オメプラゾール、またはオメプラゾール塩基の剤形の40mgオメプラゾール)を少なくとも一つの緩衝剤および非ステロイド系抗炎症剤と混合することによって調製される。一つの態様において、粉末、カプセルおよびタブレット、または非経口投与用の溶液から得ることができるオメプラゾールまたはその他のプロトンポンプ阻害剤を、重炭酸ナトリウム(1680mg)、非ステロイド系抗炎症薬、ならびに甘味料および香料と混合する。
【0239】
実施例4:マイクロカプセル化されたプロトンポンプ阻害剤
40mgの理論上の用量を達成するために各タブレットのバッチで使用されるマイクロカプセル化されたオメプラゾールの量は、マイクロカプセルの各セットの実際のペイロードによって異なる。オメプラゾールは、実施例1および実施例2に記載される通り、同様の方法でマイクロカプセル化される。均質な混合物を得るためにすべての成分が十分に混合される。
【0240】
オメプラゾールミクロスフェアはハイスピードロータリータブレットプレス(TBCB Pharmaceutical Equipment Group, Model ZPY15)を用いて作成された。直径 約10mmおよび平均重量 約600mgの丸い凸状のタブレットが作成された。
【0241】
(表4.A)

【0242】
マイクロカプセル化されたオメプラゾールについて、安定性試験が実施された。安定性試験で用いられた様々なタブレットは以下の材料を用いて製造された:カプセル化されたオメプラゾール、重炭酸ナトリウム(1260mg)、炭酸カルシウム(790mg)、クロスカルメロースナトリウム(64mg)、クルセル(160mg)、キシリタブ100(380mg)、微結晶性セルロース(128mg)、スクラロース(162mg)、ペパーミントデュラロマー(34mg)、ピーチデュラロマー(100mg)、マスキングパウダー(60mg)、FD&C Lake No.40 Red(3mg)、およびステアリン酸マグネシウム(32mg)。各タブレットを作成するために用いられた例示的な製剤、および用いられた混合方法を以下の表4.B.に示す。
【0243】
(表4.B)

* 空気用開口部0.055インチおよび液体用開口部0.028インチの同軸ノズルを使用。
** 約4,500rpmで回転する3インチのステンレススチール盤を使用。
【0244】
実施例5:マイクロカプセル化されたオメプラゾールの安定性
安定性試験で用いられたタブレットは、1g錠2個が60ml容のHDPE 33/400ボトルに入れられて、2本のボトルが1個の乾燥キャニスターに収められていた。HDPEボトルは手で締めて密栓し、ポリプロピレンで裏打ちされた33/400 CRC SFGD 75Mキャップで密封した。サンプルは、25±2℃/60±5%RHおよび40±2℃/75±5%RHに維持された制御された環境チャンバー内に収容した。
【0245】
2時間後に80%を超えるオメプラゾール遊離の溶解結果を示したミクロスフェアを安定性に供した。ミクロスフェアは開放性のバイアルに入れて25℃にて保管した。すべてのサンプルは、評価温度において4週間後に分解を示した。25℃に保管した開放性バイアルについて、6〜8週間後に力価を分析し、オメプラゾールEP法を用いて不純物を分析した。安定性の結果を表5.A.にまとめる。
【0246】
(表5.A)

* AUC純度=開放容器に入れて25℃で6〜8週間後の曲線下面積。
【0247】
実施例6:カプセル製剤
以下の具体的な製剤は参照の目的のみに提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。各製剤は、治療上有効量のPPIおよび非ステロイド系抗炎症薬、ならびに胃液のpHの上昇によるPPIの少なくともいくつかの酸分解を防ぐために十分な緩衝剤を含む。緩衝剤の量は、重量およびモル当量(mEq)で表される。非ステロイド系抗炎症薬の量は、典型的には単位投与当たりの量で表される。カプセルは、以下の表6.A.〜6.H.に示すように、PPIおよび非ステロイド系抗炎症薬を緩衝剤と混合して、賦形剤と均質に混合することによって調製される。バルク混合組成物の適切な重量を、自動カプセル化装置(H & K 1500またはMG2 G60)を用いてハードゼラチンカプセル(例えば、サイズ00)に充填する。
【0248】
(表6.A)オメプラゾール(20mg)−イブプロフェン(250mg)カプセル

【0249】
(表6.B)オメプラゾール(40mg)−メロキシカム(15mg)カプセル

【0250】
(表6.C)ランソプラゾール(15mg)−ケトプロフェン(75mg)カプセル

【0251】
(表6.D)ランソプラゾール(30mg)−ピロキシカム(20mg)カプセル

【0252】
(表6.E)オメプラゾール(60mg)−ロフェコキシブ(25mg)カプセル

【0253】
(表6.F)オメプラゾール(60mg)−バルデコキシブ(20mg)カプセル

【0254】
(表6.G)オメプラゾール(10mg)−ピロキシカム(10mg)カプセル

【0255】
(表6.H)オメプラゾール(40mg)−腸溶コーティングアスピリン(100mg)カプセル

【0256】
実施例7:タブレット製剤
以下の具体的な製剤は参照の目的のみに提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。各製剤は、治療上有効量のPPIおよび非ステロイド系抗炎症薬、ならびに胃液のpHの上昇によるPPIの少なくともいくつかの酸分解を防ぐために十分な緩衝剤を含む。緩衝剤の量は、重量およびモル当量(mEq)で表される。非ステロイド系抗炎症薬の量は、典型的には単位投与当たりの量で表される。タブレットは、以下の表7.A.〜7.H.に示すように、PPIおよび非ステロイド系抗炎症薬を緩衝剤と混合して、賦形剤と均質に混合することによって調製される。硬度 20〜24kPaとするために輪転機(Manesty Epxress)において1/2インチ FFBE金型を用いて、バルク混合組成物の適切な重量を圧縮した。
【0257】
(表7.A)オメプラゾール(20mg)−パラセタモール(300mg)タブレット

【0258】
(表7.B)オメプラゾール(40mg)−アスピリン(81mg)タブレット

【0259】
(表7.C)ランソプラゾール(15mg)−インドメタシン(75mg)タブレット

【0260】
(表7.D)ランソプラゾール(30mg)−セレコキシブ(100mg)タブレット

【0261】
(表7.E)オメプラゾール(60mg)−スリンダク(200mg)タブレット

【0262】
(表7.F)オメプラゾール(60mg)−ナプロキセン(200mg)タブレット

【0263】
(表7.G)オメプラゾール(10mg)−イブプロフェン(200)タブレット

【0264】
(表7.H)オメプラゾール(40mg)−アスピリン(100mg)タブレット

【0265】
実施例8:咀嚼タブレット製剤
以下の具体的な製剤は参照の目的のみに提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。各製剤は、治療上有効量のPPIおよび非ステロイド系抗炎症薬、ならびに胃液のpHの上昇によるPPIの少なくともいくつかの酸分解を防ぐために十分な緩衝剤を含む。緩衝剤の量は、重量およびモル当量(mEq)で表される。非ステロイド系抗炎症薬の量は、典型的には単位投与当たりの量で表される。タブレットは、以下の表8.A.〜8.H.に示すように、PPIおよび非ステロイド系抗炎症薬を緩衝剤と混合して、賦形剤と均質に混合することによって調製される。硬度 17〜20kPaとするために輪転機(Manesty Epxress)において5/8インチ FFBE金型を用いて、バルク混合組成物の適切な重量を圧縮した。
【0266】
(表8.A)オメプラゾール(20mg)−ロフェコキシブ(25mg)咀嚼タブレット

【0267】
(表8.B)オメプラゾール(40mg)−ジクロフェナク(100mg)咀嚼タブレット

【0268】
(表8.C)ランソプラゾール(15mg)−イブプロフェン(600mg)咀嚼タブレット

【0269】
(表8.D)ランソプラゾール(30mg)−アスピリン(800mg)咀嚼タブレット

【0270】
(表8.E)オメプラゾール(60mg)−オキサプロジン(600mg)咀嚼タブレット

【0271】
(表8.F)オメプラゾール(60mg)−ピロキシカム(10mg)咀嚼タブレット

【0272】
(表8.G)オメプラゾール(10mg)−イブプロフェン(600mg)咀嚼タブレット

【0273】
(表8.H)オメプラゾール(40mg)−アスピリン(100mg)咀嚼タブレット

【0274】
実施例9:噛み砕く咀嚼タブレット製剤
以下の具体的な製剤は参照の目的のみに提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。各製剤は、治療上有効量のPPIおよび非ステロイド系抗炎症薬、ならびに胃液のpHの上昇によってPPIの少なくとも一部の酸分解を防ぐために十分な緩衝剤を含む。緩衝剤の量は、重量およびモル当量(mEq)で表される。非ステロイド系抗炎症薬の量は、典型的には単位投与当たりの量で表される。タブレットは、以下の表9.A.〜9.H.に示すように、PPIおよび非ステロイド系抗炎症薬を緩衝剤と混合して、賦形剤と均質に混合することによって調製される。硬度 8〜12kPaとするために輪転機(Manesty Epxress)において5/8インチのFFBF金型を用いて、バルク混合組成物の適切な重量を圧縮した。
【0275】
(表9.A)オメプラゾール(20mg)−セレコキシブ(100mg)噛み砕くタブレット

【0276】
(表9.B)オメプラゾール(40mg)−ジクロフェナク(100mg)噛み砕くタブレット

【0277】
(表9.C)ランソプラゾール(15mg)−イブプロフェン(600mg)噛み砕くタブレット

【0278】
(表9.D)ランソプラゾール(30mg)−アスピリン(200mg)噛み砕くタブレット

【0279】
(表9.E)オメプラゾール(60mg)−ケトプロフェン(100mg)噛み砕くタブレット

【0280】
(表9.F)オメプラゾール(60mg)−テノキシカム(20mg)噛み砕くタブレット

【0281】
(表9.G)オメプラゾール(10mg)−イブプロフェン(500mg)噛み砕くタブレット

【0282】
(表9.H)オメプラゾール(40mg)−アスピリン(100mg)噛み砕くタブレット

【0283】
実施例10:懸濁用粉末製剤
以下の具体的な製剤は参照の目的のみに提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。各製剤は、治療上有効量のPPIおよびNSAID、ならびに胃液のpHの上昇によるPPIの少なくともいくつかの酸分解を防ぐために十分な緩衝剤を含む。
【0284】
(表10.)オメプラゾール(20mg)−イブプロフェン

【0285】
(表10.B)オメプラゾール(40mg)−インドメタシン

【0286】
(表10.C)オメプラゾール(60mg)−アスピリン

【0287】
実施例11:GERDならびに/またはNSAIDに誘発される潰瘍および炎症/疼痛を含む潰瘍の治療のための併用療法
患者がGERDおよび炎症性疾患の状態または障害の双方を発現する場合の併用療法において、本発明の製剤は胃酸障害および炎症性疾患の状態または障害の双方の緩解のために投与される。非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量と併用して胃送達を介しての早期取り込みのために製剤化された緩衝された非腸溶性PPIの治療用量の投与は、胃酸による疼痛および炎症性疾患からの速やかな回復を与える。投与は、咀嚼タブレット、懸濁タブレット、発泡タブレット、急速溶解タブレット、または様々な液体製剤および水性懸濁剤を介して送達され得る。典型的な用量は次の通りである:PPI(オメプラゾール)10〜60mg;イブプロフェン200〜800mg;および緩衝剤750〜1500mg。その他の非ステロイド系抗炎症薬の有効量を表1に示す。
【0288】
胃酸障害を防ぐために、本発明の製剤が投与され得る。腸溶コーティングされた緩衝PPIの治療用量を非ステロイド系抗炎症薬の治療上の有効量と併用投与すると、非ステロイド系抗炎症薬が患者において胃酸関連障害を惹起することを防止する。投与は、カプセルまたは腸溶性タブレットを介して送達される。典型的な投与は以下の通りであり、コーティングPPI例えば、オメプラゾール)20〜40mg;非ステロイド系抗炎症薬、例えば、イブプロフェン 200〜800mgまたはロフェコキシブ12〜25mg;および緩衝剤 750〜1500mg。その他の非ステロイド系抗炎症薬の有効量を表1に示す。
【0289】
上記の開示に照らして本発明の修正、同等物および変化が可能であり、従って、本発明は、本発明の精神または本質的な特性から逸脱することなく、その他の型において具体化され得る。従って、本態様は例示的であって制限的ではないと考えられるべきであり、本発明の範囲は前記の記載ではなく添付される特許請求の範囲によって示される。従って、特許請求の等価物の意味および範囲内にあるすべての変化は、それに含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量;
(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および
(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量、
を含む薬学的組成物。
【請求項2】
プロトンポンプ阻害剤の初期血清中濃度が組成物の投与後約30分以内の任意の時期に約0.1μg/mlよりも高い、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
プロトンポンプ阻害剤がオメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペルプラゾール、ランゾプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール;またはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
プロトンポンプ阻害剤がオメプラゾール、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
約10mg、15mg、20mg、30mg、40mgまたは80mgのプロトンポンプ阻害剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
プロトンポンプ阻害剤の初期血清中濃度が組成物の投与後約1時間以内の任意の時期に約0.5μg/mlよりも高い、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
組成物の投与後約15分から約1時間まで約0.15μg/mlよりも高いプロトンポンプ阻害剤の血清中濃度を維持する量で投与される、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
対象に経口投与した際に、プロトンポンプ阻害剤の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)全体の少なくとも約50%が対象への組成物の単回投与後約2時間以内に起こるような薬物動力的プロフィールを供する、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
対象に経口投与した際に、プロトンポンプ阻害剤が組成物の単回投与後約1時間以内に最大血清中濃度に達するような薬物動力的プロフィールを供する、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
プロトンポンプ阻害剤が薬学的組成物の有効期限を向上させる材料と共にマイクロカプセル化される、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
薬学的組成物の有効期限を向上させる材料が、セルロースヒドロキシプロピルエーテル、低置換度ヒドロキシプロピルエーテル、セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル、エチルセルロースポリマー、エチルセルロースおよびそれらの混合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースの塩、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールコポリマー、モノグリセリド、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、加工デンプン、アクリルポリマー、アクリルポリマーとセルロースエーテルの混合物、酢酸フタル酸セルロース、セピフィルム、シクロデキストリン、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
非ステロイド系抗炎症薬の少なくともいくつかがコーティングされる、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
コーティングが胃耐性コーティング、制御放出コーティング、酵素的制御コーティング、フィルムコーティング、持続放出コーティング、速放性コーティング、および遅延放出コーティングから選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
プロトンポンプ阻害剤のいくつかがコーティングされる、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
緩衝剤がアルカリ土類金属の塩、または、IA群金属の重炭酸塩、IA群金属の炭酸塩から選択されるIA群の金属である、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
緩衝剤が、アミノ酸、アミノ酸のアルカリ金属の塩、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム/炭酸カルシウム共沈殿物、水酸化アルミニウムマグネシウム、水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム共沈殿物、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈殿物、グリシン酸アルミニウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、L-アルギニン、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、フタル酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸カリウム、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、フタル酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ハイドロタルサイト、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、トロメタモル、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
緩衝剤が、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、およびそれらの混合物から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
緩衝剤が重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、およびそれらの混合物から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
緩衝剤がプロトンポンプ阻害剤に対して約0.1mEq/mg〜約5mEq/mgの量で存在する重炭酸ナトリウムである、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
緩衝剤が少なくとも約5mEq/mgの量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
緩衝剤が少なくとも約10mEq/mgの量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
緩衝剤が約5〜40mEq/mgの量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
約200〜約3000mgの緩衝剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
約1000〜約2000mgの緩衝剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
非ステロイド系抗炎症薬が、アミノアリルカルボン酸誘導体、アリル酢酸誘導体、アリル酪酸誘導体、アリルカルボン酸、アリルプロピオン酸誘導体、ピラゾール、サリチル酸誘導体、チアジンカルボキサミド、イプシロン-アセトアミドカプロン酸、s-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、α-ビサボロール、ブコロローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロカゾン、テニダプ、ジレントン、およびシクロオキシゲナーゼII阻害剤;または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
非ステロイド系抗炎症薬が長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬である、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
長時間作用型非ステロイド系抗炎症薬がナプロキセンナトリウム、フルロビプロフェン、ケトプロフェン、オキサプリオジン(oxapriozin)、インドメタシン、ケトララック、ナブメトン、メフェナミック、ピロキシカム、およびシクロオキシゲナーゼII阻害剤;または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグより選択される、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
非ステロイド系抗炎症薬が、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、経口フルオルビプロフェン、イブプロフェンアスピリン、アスピリンサッシェ、パラセタモール、モルニフルエート、トラマドール、ケトララック、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメート、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、塩化マグネシウムトリサリチル酸塩、オキサプロジン、ピロキシカム、トルメチン、ジフルニサル、ナブメントン、エトダラック、フロカフェニン、スリンダク、テノキシカム、チアプロフェン酸、メフェナム酸、ジクロフェナク、アセクロフェナク、モルニフルマート、ジフルニサル、サルサラート、バルデコキシブ、セレコキシブおよびロフェコキシブ;または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグより選択される、請求項25記載の組成物。
【請求項29】
シクロオキシゲナーゼII阻害剤がセレコキシブ、ビオックス、レラフェン、ロジン、ボルタレン、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項25記載の組成物。
【請求項30】
アミノアリルカルボン酸誘導体が、エンフェナム酸、エトフェナマート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルマート、テロフェナマート、トルフェナム酸、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項25記載の組成物。
【請求項31】
アリル酢酸誘導体が、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、アムトルメチングアシル、ブロムフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラクイソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン、ゾメピラク、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項25記載の組成物。
【請求項32】
アリル酪酸誘導体がブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシン、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項25記載の組成物。
【請求項33】
アリルカルボン酸がクリダナク、ケトロラク、チノリジン、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項25記載の組成物。
【請求項34】
アリルプロピオン酸誘導体が、アルミノプロフェン、ベノキサプロフィン、ベルモプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフィン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項25記載の組成物。
【請求項35】
ピラゾールがジフェナミゾールエピロゾール、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグであり、ピラゾロンがアパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、チアゾリノブタゾン、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグであり、チアジンカルボキサミドがアンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロモキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項25記載の組成物。
【請求項36】
サリチル酸誘導体がアセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート、ブルモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチジン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、フェニルアセチルサリチル酸、フェニルサリチル酸、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サラサラート、スルファサラジン、または遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、エナンチオマー、アイソマー、互変異性体、多型、またはそれらのプロドラッグである、請求項25記載の組成物。
【請求項37】
粉末、タブレット、噛み砕くタブレット、咀嚼タブレット、カプレット、カプセル、発泡性粉末、短時間崩壊性タブレット、または粉末から作成される水性懸濁液剤から選択される投与剤形である、請求項1記載の組成物。
【請求項38】
壁細胞活性化剤、侵食促進剤、香料剤、甘味料剤、拡散促進剤、抗酸化剤、ならびに結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤、抗粘着剤、および消泡剤から選択される担体物質からなる群より選択される一つまたは複数の賦形剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項39】
以下を投与することによって対象の胃酸関連障害を治療し炎症性障害を治療するための方法:
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量;
(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および
(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量。
【請求項40】
薬学的組成物がプロトンポンプ阻害剤の少なくともいくつかの胃送達のために製剤化される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
胃酸関連障害が十二指腸潰瘍疾患、胃潰瘍疾患、胃食道逆流疾患、びらん性食道炎、低応答性症候性胃食道逆流疾患、病理学的消化管過分泌性疾患、ゾリンジャー・エリソン症候群、胸焼け、食道障害または胃酸過多性消化不良である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
炎症性障害が虚血性臓器、心筋梗塞、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、骨関節炎、乾癬、臓器移植拒絶反応、耳、眼、喉、鼻もしくは皮膚の炎症、臓器保存、女性もしくは男性の性機能不全、放射線誘発性損傷、喘息、呼吸障害、転移、インフルエンザ、失禁、卒中発作、熱傷、外傷、急性膵炎、腎盂腎炎(pyelonephristis)、肝炎、自己免疫疾患および免疫学的異常、老年痴呆、インスリン依存性糖尿病、播種性血管内凝固、脂肪塞栓症、アルツハイマー病、成人性もしくは小児性呼吸疾患、新生児における発癌、新生児における出血、再狭窄、アテローム発生、アンギナ、虚血性疾患、うっ血性心不全もしくは急性心筋梗塞に伴う肺水腫、血栓症、高血圧、血小板凝集、血小板粘着、平滑筋細胞増殖、医療用具の使用に関連する血管の合併症、医療用具の使用に関連する創傷、および脳血管虚血性事象から選択される、請求項40記載の方法。
【請求項43】
プロトンポンプ阻害剤が胃酸関連疾患の発症(episode)を治療する、請求項40記載の方法。
【請求項44】
プロトンポンプ阻害剤が薬物に誘発される胃酸関連障害を治療する、請求項40記載の方法。
【請求項45】
薬物に誘発される胃酸関連障害の治療が薬物に誘発される胃酸関連障害の防止を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
以下を含む組成物を投与することによって、対象の胃酸関連障害を治療し、心血管系疾患のリスクを低下させるための方法:
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量;
(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および
(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量。
【請求項47】
心血管系疾患が心臓発作または卒中発作である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
以下を含む組成物を投与することによって対象の胃酸関連障害を治療し、癌のリスクを低下させるための方法:
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量;
(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および
(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量。
【請求項49】
癌が食道癌、肺癌、結腸直腸癌、乳癌、および前立腺癌から選択される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
以下を含む組成物を投与することによって、対象を食道障害または食道損傷から保護するための方法:
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量;
(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および
(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量。
【請求項51】
以下を投与することによって、対象における胃酸関連障害を治療し、慢性炎症性障害を治療する方法:
(a)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量;
(b)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;および
(c)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量。
【請求項52】
以下を投与することによって、対象における胃酸関連障害を治療し、炎症性障害を治療する方法:
(a)以下を含む第一の薬学的組成物:
(i)酸に不安定な少なくとも一つのプロトンポンプ阻害剤の治療上有効量;および
(ii)胃液のpHを、少なくともいくつかのプロトンポンプ阻害剤の胃液内での酸分解を防ぐpHまで上昇させるために十分な量の少なくとも一つの緩衝剤;ならびに
(b)少なくとも一つの非ステロイド系抗炎症薬の治療上有効量を含む第二の薬学的組成物。

【公表番号】特表2007−522217(P2007−522217A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553174(P2006−553174)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/003791
【国際公開番号】WO2005/076987
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(504284249)サンタラス インコーポレイティッド (9)
【Fターム(参考)】