説明

ポリシラザンおよびその合成方法、半導体素子製造用組成物およびその半導体素子製造用組成物を用いた半導体素子の製造方法

【課題】高分子量を有しながらも溝の充填力が優れたポリシラザンおよびその合成方法、ポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物およびその半導体素子製造用組成物を用いた半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリシラザンは、反応溶媒内に反応物として添加されたジクロロシラン、トリクロロシラン、およびアンモニアを触媒存在下で反応させることによって合成することができ、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、下記化学式(1)で示される。
【化1】



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシラザンおよびその合成方法、半導体素子製造用組成物およびその半導体素子製造用組成物を用いた半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体素子は、シリコンウエハに積層されたパターン、例えばトランジスタ素子、ビット線、キャパシタ、および金属配線などで形成される。パターンは導電性を有するため、パターン間に絶縁膜が形成される。絶縁膜を形成する工程は、トランジスタ素子およびビット線間、ビット線およびキャパシタ、キャパシタおよび金属配線間などを絶縁するPMD(Pre−metal Dielectric)工程、金属配線間を絶縁するILD(Inter−layer(level) Dielectric)工程、およびトレンチ(trench)を埋めるSTI(Shallow Trench Isolation)工程を含む。以下では、STI工程を例示して説明する。
【0003】
半導体素子が高集積化してパターン間隔が狭くなるに伴い、トレンチ幅も継続して狭くなっている。最近のデザインルールによれば、トレンチ幅が60nm以下であるものが求められている。この場合に、以前には発生しなかった半導体素子製造工程上の問題が発生している。一例として、デザインルールが60nm以上である半導体素子製造工程では、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてトレンチ内部にシリコン酸化膜を形成した。しかしながら、デザインルールが60nm以下である半導体素子の製造工程では、トレンチ内部にシリコン酸化膜を形成するためにCVD法を用いると、トレンチ内部に気孔が形成されるという問題点がある。
【0004】
これを防ぐために、最近では、スピンコーティングが可能な半導体素子製造用組成物を用いてシリコン酸化膜を形成する技術が開発されている。このような半導体素子製造用組成物として最も脚光を浴びているものは、ポリシラザンを含む組成物であり、これに関する研究が現在活発に進められている。半導体素子製造用組成物に含まれたポリシラザンの大部分は、反応溶媒内でアンモニアとジクロロシランとを反応させて得ることができる。しかしながら、このような反応によって得られたポリシラザンは、分子量が極めて小さい、取得率が低いなどという短所を有する。ポリシラザンの分子量が極めて小さい場合には、ポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物を用いたスピンコーティング工程において膜厚が極めて薄く形成されたり、加熱工程において膜損失が多かったりなどという問題点がある。
【0005】
したがって、分子量がより大きいポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物が必要である。しかしながら、ポリシラザンの分子量が極めて大きい場合には、ポリシラザンがトレンチに充填する充填力が低下し、トレンチ内部に気孔が生成されるという問題点が発生する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、高分子量を有しながらも溝の充填力が優れたポリシラザンおよびその合成方法、ポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物およびその半導体素子製造用組成物を用いた半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、塗布均一性が優れたポリシラザンおよびその合成方法、ポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物およびその半導体素子製造用組成物を用いた半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、加熱時の収縮率を最小化することができるポリシラザンおよびその合成方法、ポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物およびその半導体素子製造用組成物を用いた半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、エッチング耐性が優れたポリシラザンおよびその合成方法、ポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物およびその半導体素子製造用組成物を用いた半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明の実施の形態に係るポリシラザンは、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、下記化学式(1)で示される。
【0011】
【化1】


(化学式(1)において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。化学式(1)において、ポリシラザンは、鎖型、環型、および鎖型と環型との混合型のうちのいずれか1つを示す。)
【0012】
一方、本発明の実施の形態に係るポリシラザンは、反応溶媒内に反応物として添加されたジクロロシラン、トリクロロシラン、およびアンモニアを触媒存在下で反応させて合成し、このとき、合成されたポリシラザンは、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、化学式(1)で示される。
【0013】
一方、本発明の実施の形態に係る半導体素子製造用組成物は、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、化学式(1)で示されるポリシラザン5重量%〜30重量%、および有機溶媒70重量%〜95重量%を含む。
【0014】
一方、本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法は、少なくとも1つの溝が形成された基板を準備し、溝が埋められるように、基板上にポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、化学式(1)で示されるポリシラザン5重量%〜30重量%、および有機溶媒70重量%〜95重量%を含む半導体素子製造用組成物を塗布し、半導体素子製造用組成物が塗布された基板を加熱して前記有機溶媒の一部またはすべてが除去されたポリシラザン膜を形成し、ポリシラザン膜が形成された基板を水蒸気および酸素を含む雰囲気または水蒸気および不活性ガスを含む雰囲気で加熱してポリシラザン膜をシリコン酸化膜に転換させることを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るポリシラザンは、高分子量を有することができる。本発明に係る半導体素子製造用組成物を用いて半導体素子を製造する場合に、半導体素子製造用組成物の塗布均一性を向上させることができる。これと同時に、本発明に係る半導体素子製造用組成物を用いて半導体素子を製造する場合に、ポリシラザンおよびポリシラザンが転換されたシリコン酸化膜の溝の充填力が優れるだけでなく、収縮率を最小化することができ、湿式エッチング耐性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を概略的に説明するための工程断面図である。
【図2】合成例1によって得られたポリシラザンAのH−NMRスペクトラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るポリシラザンおよびその合成方法、半導体素子製造用組成物およびその半導体素子製造用組成物を用いた半導体素子の製造方法について詳しく説明する。
【0018】
本発明の実施の形態に係るポリシラザンは、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、化学式(1)で示される。
【0019】
【化2】


(化学式(1)において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。化学式(1)において、ポリシラザンは、鎖型、環型、および鎖型と環型との混合型のうちのいずれか1つを示す。)
【0020】
ポリシラザンのポリスチレン換算重量平均分子量が2000未満であれば、ポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物を用いたスピンコーティング工程において膜厚が極めて薄く形成される、加熱によってポリシラザンをシリコン酸化膜に転換する場合に膜損失が大きくなるなどという問題点がある。ポリシラザンのポリスチレン換算重量平均分子量が30000を超えれば、ポリシラザンおよびシリコン酸化膜が半導体素子の溝に充填される充填力が低下するだけでなく、半導体素子製造用組成物の粘度が極めて高くなり、スピンコーティングが難しいという問題点がある。
【0021】
ポリシラザンを化学式(1)のように略式で示したが、実質的にポリシラザンは極めて複雑な構造、すなわち極めて複雑な分子内または分子間結合を有することができる。また、化学式(1)で示されるポリシラザンは、その合成反応に応じて一部またはすべてが鎖型で形成されたり、一部またはすべてが環型で形成されたり、鎖型および環型が混合して形成されたりする。
【0022】
化学式(1)で示されるポリシラザンは、反応溶媒内に反応物として添加されたジクロロシラン、トリクロロシラン、およびアンモニアを触媒存在下で反応させて合成することができる。ここで、反応物としてヒドロキシルアミンをさらに添加することができる。以下では、ポリシラザン合成方法について具体的に説明する。
【0023】
ポリシラザンを合成するために、まず、反応溶媒内にジクロロシラン、トリクロロシラン、および触媒を添加すれば、ジクロロシランおよび触媒の錯体が形成されると同時に、トリクロロシランおよび触媒の錯体が形成される。
【0024】
ここで、反応溶媒としては特に限定されることはないが、例えば炭化水素類、エーテル類、アミド類、アミン類、エステル類、およびスルホキシドなどのうちから単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
炭化水素類の反応溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素などを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。脂肪族炭化水素としては特に限定されることはないが、例えばヘプタン、オクタン、ノネン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、エチルサイクロヘキサン、イソプロピルサイクロヘキサン、1,4−ジメチルサイクロヘキサン、1,2,4−トリメチルサイクロヘキサンなどを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。脂環式炭化水素としては特に限定されることはないが、例えばシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールなどを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。芳香族炭化水素としては特に限定されることはないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
エーテル類の反応溶媒としては特に限定されることはないが、例えばジオキサン、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
アミド類の反応溶媒としては特に限定されることはないが、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
アミン類の反応溶媒としては特に限定されることはないが、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジンなどを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。アミン類の反応溶媒は、ヘテロアミン類であっても良い。
【0029】
反応溶媒内に添加されるジクロロシランに対する卜リクロロシランのモル比は、0.02:1〜0.2:1であることが好ましい。卜リクロロシランの場合には、後続する縮合反応において架橋を活性化させるため、ポリシラザンの分子量を小幅上昇させることができるという長所がある。ジクロロシランに対する卜リクロロシランのモル比が0.02:1未満であれば、架橋活性化効果が未備であるという問題点がある。ジクロロシランに対する卜リクロロシランのモル比が0.2:1を超えれば、縮合反応時に架橋が極めて活性化する恐れがあり、これによってポリシラザン分子量が極めて増加し、ポリシラザンが有機溶媒に溶け難いという短所がある。
【0030】
反応溶媒内に添加される触媒は特に限定されることはないが、例えばピリジンのような3次アミン類またはヘテロアミン類であることが好ましい。このとき、反応溶媒および触媒が互いに同じであれば、別途の触媒を用いる必要がない。
【0031】
ジクロロシランおよび触媒の錯体、およびトリクロロシランおよび触媒の錯体を形成するときに、発熱反応が大きく起こる場合がある。このために、一般的には60℃以下で反応を進めるが、反応温度が−10℃以下であれば固形粉が多くなり撹拌に困難が生じる。したがって、反応温度は−10℃〜60℃であることが好ましい。
【0032】
反応溶媒内においてジクロロシランおよび触媒の錯体、およびトリクロロシランおよび触媒の錯体が形成されれば、反応溶媒内にアンモニアを入れてアンモニアおよび錯体の縮合反応を進める。錯体は極めて体積が大きい固体状であり、撹拌時に妨害因子として作用する場合があるが、反応溶媒にアンモニアを添加すれば縮合反応が進められて錯体から体積が小さい固体が生成されるため、縮合反応を漸進的に撹拌が良好な状態で進めることができる。縮合反応は、反応溶媒内にアンモニアを吹き入れる反応であるため、可能な限り低い温度、例えば−20℃〜10℃で進めることが好ましい。
【0033】
縮合反応が完了すれば、追加時に反応溶媒内にヒドロキシルアミンを添加することができる。これは、縮合反応が終わった後、ポリシラザン末端部分が互いに反応してポリシラザンの分子量が増加したり、ポリシラザンの一部またはすべてが環形で形成されたりして、ポリシラザンに1次アミン基が最小限で存在する必要があるためである。すなわち、ポリシラザンに1次アミン基が多い場合にはポリシラザンが不安定になるが、このときポリシラザンが空気と接触すれば容易にゲル化が進行する場合がある。これを防ぐために、1次アミン基よりもさらに安定した化合物でポリシラザン末端部分を保護する必要があり、このために導入した化合物がヒドロキシルアミンである。
【0034】
従来には、ポリシラザンの1次アミン基の除去のために、アルコールやカルボン酸を用いた。この場合に、半導体素子製造用組成物をスピンコーティングした後、加熱する工程においてシリコン酸化膜にカーボン原子が残る可能性があり、このカーボン原子は半導体製造工程において不純物として作用する恐れがある。しかしながら、本発明によれば、ヒドロキシルアミンはカーボン原子を全く含んでいないため、ヒドロキシルアミンを用いてポリシラザン末端部分を保護する場合には、このような問題点が発生しない。
【0035】
一般的に、ケイ素原子および酸素原子間の結合は強いが、ケイ素原子および窒素原子間の結合は極めて弱い方である。したがって、縮合反応が終わった後に反応溶媒内にヒドロキシルアミンを添加する場合に、ヒドロキシルアミンのヒドロキシル基が先にケイ素原子と反応して安定したポリシラザンが形成される。一方、以上では、ヒドロキシルアミンを導入してポリシラザンの末端部分を保護することを例示して説明したが、この他にもカーボン原子を含まない化合物の導入も可能であろう。
【0036】
ヒドロキシルアミンを添加して実行された反応が完了すれば、反応時に生成されたアンモニウム塩をフィルタを介して除去した後に反応溶媒を真空状態で除去すれば、目的とするポリシラザンを得ることができる。反応溶媒を除去するときの温度は50℃以下になるように、減圧下で工程を進めることが有利である。
【0037】
一方、以下では、ポリシラザンを含む半導体素子製造用組成物について詳しく説明する。
【0038】
本発明の実施の形態に係る半導体素子製造用組成物は、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、下記化学式(1)で示されるポリシラザン5重量%〜30重量%、および有機溶媒70重量%〜95重量%を含む。また、本発明の実施の形態に係る半導体素子製造用組成物は、その他の添加剤をさらに含むことができる。ここで、ポリシラザンは、上述したものと同じであるため、重複する説明は省略し、その特徴についてのみ説明する。
【0039】
【化3】


(化学式(1)において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。化学式(1)において、ポリシラザンは、鎖型、環型、および鎖型と環型との混合型のうちのいずれか1つを示す。)
【0040】
ポリシラザンが全体組成物重量のうち5重量%未満であれば組成物粘度が低下し、スピンコーティング後の膜厚が極めて薄くなるという問題点がある。ポリシラザンが全体組成物重量のうち30重量%を超えれば粘度が必要以上に増加し、スピンコーティング後の膜厚が極めて厚くなるという問題点がある。
【0041】
有機溶媒は、ポリシラザンを溶かして組成物の形態で提供するためのものであって、特に限定されることはないが、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ヘプタン、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルアセテートなどを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。有機溶媒にポリシラザンを溶かしても、場合によっては固体粒子が残存することがあるため、有機溶媒にポリシラザンを溶かした後に所定のフィルタ、例えば0.1μmのフィルタを用いて固体粒子を除去することができる。
【0042】
添加剤としては特に限定されることはないが、例えば、ポリシラザン組成物のコーティング物性を向上させるための界面活性剤、およびシリコン酸化物で生成する過程にポリシラザンが消失することを防ぐためのアミン添加剤を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。非金属性化合物である界面活性剤としては特に限定されることはないが、例えばポリエーテル類、4価アンモニウム塩、およびペルフルオロスルホン酸などを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。界面活性剤の使用量は、全体組成物に対して50ppm〜500ppm範囲内で用いることが好ましい。アミン添加剤としては、3価アミン類のうちのいずれを用いても構わないが、揮発性が低くて塩基度が大きいDBU、TEDA、TMG、および炭素数が最小6個以上である3次アミン化合物、ヘテロアミン化合物などを単独または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。アミン類の使用量は、全体組成物に対して0.5重量%〜5重量%が好ましい。この範囲から逸脱すれば、効果が現れなかったり、シリコン酸化膜に不純物として作用したりする。
【0043】
一方、以下では、半導体素子製造用組成物を用いて半導体素子を製造する方法について詳しく説明する。
【0044】
本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法は、少なくとも1つの溝が形成された基板を準備する工程と、溝が埋められるように、基板上にポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、化学式(1)で示されるポリシラザン5重量%〜30重量%、および有機溶媒70重量%〜95重量%を含む半導体素子製造用組成物を塗布する工程と、半導体素子製造用組成物が塗布された基板を加熱して有機溶媒の一部またはすべてが除去されたポリシラザン膜を形成する工程と、ポリシラザン膜が形成された基板を水蒸気および酸素を含む雰囲気または水蒸気および不活性ガスを含む雰囲気で加熱してポリシラザン膜をシリコン酸化膜に転換させる工程とを含む。また、本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法は、シリコン酸化膜の一部を化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)する工程をさらに含むことができる。また、本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法は、シリコン酸化膜の一部が化学機械研磨された基板を洗浄する工程と、洗浄された基板を乾燥する工程とをさらに含むことができる。ここで、半導体素子製造用組成物は、上述したものと同じであるため、重複する説明は省略し、その特徴についてのみ説明する。
【0045】
【化4】


(化学式(1)において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。化学式(1)において、ポリシラザンは、鎖型、環型、および鎖型と環型との混合型のうちのいずれか1つを示す。)
【0046】
以下では、半導体素子の製造方法について、図1を参照しながら各工程に具体的に説明する。
【0047】
図1(a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を概略的に説明するための工程断面図である。
【0048】
図1(a)を参照すれば、本発明の実施の形態に係る半導体素子を製造するために、まず少なくとも1つの溝102が形成された基板104を準備する。以下では、溝102がトレンチである場合を例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。一例として、本発明は、STI(Shallow Trench Isolation)工程の他にも半導体素子製造時に絶縁膜を形成するための工程、すなわちPMD(Pre−metal Dielectric)工程およびILD(Inter−layer(level) Dielectric)工程などでも適用が可能である。ここで、基板104はシリコンウエハを用いているが、これによって本発明が限定されることはない。基板104には、図1(a)に示す溝102の他にも様々なパターン(図示せず)および絶縁膜(図示せず)などが形成される場合がある。
【0049】
溝102の幅wは200nm以下であり、溝102の幅wに対する深さdの比(縦横比)は2以上が好ましい。溝102の幅wが200nmを超え、溝102の幅wに対する深さdの比(縦横比)が2未満だと、半導体素子製造用組成物が溝102に均一に塗布できなくなってしまい、溝102に充填されるシリコン酸化膜の充填力が低下してしまう。溝102は、フォトリソグラフィ工程によって形成することができる。溝102の形状は特に限定されてはいないが、例えば長方形状、順方向テーパ形状、逆方向テーパ形状、曲面形状などのうちのいずれの形状を有しても構わない。
【0050】
次に、図1(b)に示すように、溝102が埋められるように、基板104上に半導体素子製造用組成物106を塗布する。この塗布方法は、スピンコーティング法、浸漬法、スプレー法、および転写法などのうちから任意に選択することができる。
【0051】
次に、図1(c)に示すように、半導体素子製造用組成物が塗布された基板104を、例えば100℃〜250℃で加熱して溶媒の一部またはすべてを除去する。これにより、ポリシラザン膜108が溝102を埋めるように形成される。この工程は、一般的に60秒以上で実施することができるが、温度および時間は、塗布時の膜厚、溶媒の量および種類に応じて異なる場合があるため、本発明がこれによって限定されることはない。また、温度と時間によってポリシラザン膜108の硬化が若干進む場合もある。一方、溶媒の除去時にトレンチ(溝102)内部の気孔を最小化するために、温度を段階別に昇温させる場合もある。昇温させる段階によって気孔が生成されたり最小化されたりする。例えば、極めて急激な温度上昇は、表面にあるポリシラザン膜108の硬化を促進し、トレンチが完全に充填されない場合もある。このような場合には、温度を段階別に徐々に上昇し、トレンチにポリシラザンが入り込むようにする必要がある。
【0052】
次に、図1(d)に示すように、ポリシラザン膜108が形成された基板104を水蒸気および酸素を含む雰囲気、または水蒸気および不活性ガスを含む雰囲気において、例えば300℃〜1200℃で加熱する。これにより、ポリシラザン膜108がシリコン酸化膜110に転換されるようになる。この加熱時間は約30分以上実行することができる。ここで、水蒸気および酸素それぞれの濃度、または水蒸気および不活性ガスの濃度は、ポリシラザン膜108の厚さおよび半導体素子の仕様などに応じて異なる場合があるため、特に限定はしない。
【0053】
加熱工程によってポリシラザンが水蒸気による加水分解反応を経ることができる。すなわち、加熱工程によってポリシラザンのSi−N結合の一部またはすべてがSi−O結合をするようになり、これによってポリシラザン膜がシリコン酸化膜110に転換される。このような転換工程は縮合反応を伴わないため、転換工程前後の体積変化が極めて少ないという長所がある。このために、本発明の実施の形態に係る半導体素子製造用組成物を用いて半導体素子を製造する場合には、トレンチ内部に気孔が実質的に存在しない半導体素子を製造することができる。
【0054】
次に、図1(e)に示すように、必要によって基板104上部のシリコン酸化膜110の一部を化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)することができる。これにより、溝102にのみシリコン酸化膜112が充填されるようになり、シリコン酸化膜112はパターン化される。化学機械研磨では、その研磨対象物の種類に応じて、研磨粒子としてシリカ、アルミナ、セリアなどのうちから1種以上を含む化学機械研磨用スラリを用いることができる。
【0055】
次に、基板104を必要に応じて洗浄する。洗浄は、単純に基板104に付着または固着化された異物を除去する工程であるが、これに限定されることはない。一例として、洗浄は酸溶液、例えばフッ酸水溶液を用いて基板104を小幅エッチングしてその洗浄効果を高める工程を用いることができる。もし、ポリシラザン膜108から転換したシリコン酸化膜110の機械的強度が低下したり酸溶液に対するエッチング耐性が低下したりする場合に、化学機械研磨工程または洗浄工程において多くの問題点が起こる恐れがある。しかしながら、本発明の実施の形態に係る半導体素子製造用組成物を用いて半導体素子を製造する場合には、シリコン酸化膜110の機械的強度および酸溶液に対するエッチング耐性が高いという長所がある。
【0056】
次に、基板104を乾燥する。乾燥としては、エアナイフ方式、加熱方式など既存の公知された様々な技術を用いることができる。
【0057】
上述のとおり、本発明の実施の形態に係るポリシラザンは、高分子量を有することができる。本発明の実施の形態に係る半導体素子製造用組成物を用いて半導体素子を製造する場合に、半導体素子製造用組成物の塗布均一性を向上させることができる。これと同時に、本発明の実施の形態に係る半導体素子製造用組成物を用いて半導体素子を製造する場合に、ポリシラザンおよびポリシラザンが転換したシリコン酸化膜110の溝102の充填力が優れるだけでなく、収縮率を最小化することができ、湿式エッチング耐性を向上させることができる。
【0058】
以下、上述した本発明について、下記の合成例および実施例を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、下記の合成例および実施形態によって本発明の技術的思想が限定されることはない。
【0059】
(合成例1)ポリシラザンの合成
フラスコに乾燥ピリジン500gを入れて0℃以下に冷凍させた後、このフラスコにジクロロシラン35gとトリクロロシラン4.7gを徐々に添加した。続いて、このフラスコに10gのアンモニアを徐々に添加した後、1時間同じ温度で撹拌した。続いて、このフラスコにヒドロキシルアミン1.1gを添加して常温で2時間撹拌した後、過糧で存在するアンモニアを窒素ガスを用いて除去した。続いて、アンモニアが除去された反応混合物に存在するアンモニウム塩をフィルタを用いて除去した。続いて、ろ液中からピリジンを真空状態で完全に除去してポリシラザンA12.8gを得た(下記反応式1参照)。得られたポリシラザンAのポリスチレン換算重量平均分子量は3200であった。ポリシラザンAのH−NMRスペクトラムを図2に示す。ここで、ポリシラザンAを少量のジブチルエーテル(Dibutyl ether)で希釈させた後、希釈されたポリシラザンAをCDCl3溶媒に溶かした後、ポリシラザンAのH−NMRを測定した。
【0060】
(反応式1)
【化5】


(反応式1において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。反応式1において、ポリシラザンは、鎖型、環型、および鎖型と環型との混合型のうちのいずれか1つを示す。)
【0061】
(合成例2)
ろ液中でピリジンを常圧から100℃に加熱して除去したこと以外は、合成例1と同じ工程を経てポリシラザンB14.6gを得た。得られたポリシラザンBのポリスチレン換算重量平均分子量は25000であった。
【0062】
(合成例3)
トリクロロシラン4.7gの代りにトリクロロシラン2.4gを用いたこと以外は、合成例1と同じ工程を経てポリシラザンC13.6gを得た。得られたポリシラザンCのポリスチレン換算重量平均分子量は6000であった。
【0063】
(合成例4)
ヒドロキシルアミン1.1gの代りにヒドロキシルアミン0.6gを用いたこと以外は、合成例1と同じ工程を経てポリシラザンD14gを得た。得られたポリシラザンDのポリスチレン換算重量平均分子量は4800であった。
【0064】
(合成例5)
ヒドロキシルアミンを用いないこと以外は、合成例1と同じ工程を経てポリシラザンE12gを得た。得られたポリシラザンDのポリスチレンポリスチレン換算重量平均分子量は8000であった。
【0065】
(合成比較例1)
トリクロロシランおよびヒドロキシルアミンを用いずにアンモニア添加後に2時間常温で撹拌したこと以外は、合成例1と同じ工程を経てポリシラザンF4.5gを得た。得られたポリシラザンFのポリスチレン換算重量平均分子量は1000であった。
【0066】
(合成比較例2)
ろ液中でピリジンを常圧から100℃に加熱して除去したこと以外は、合成比較例1と同じ工程を経てポリシラザンG5gを得た。得られたポリシラザンGのポリスチレン換算重量平均分子量は2200であった。
【実施例1】
【0067】
(半導体素子製造用組成物の製造)
ジブチルエーテルに合成例1によって得られたポリシラザンAを全体組成物に対比して15重量%となるように溶かした後、0.1μmフィルタを用いて溶液中に存在し得る粒子を除去して半導体素子製造用組成物を製造した。
【実施例2】
【0068】
合成例1によって得られたポリシラザンAの代りに合成例2によって得られたポリシラザンBを用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を経て半導体素子製造用組成物を製造した。
【実施例3】
【0069】
合成例1によって得られたポリシラザンAの代りに合成例3によって得られたポリシラザンCを用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を経て半導体素子製造用組成物を製造した。
【実施例4】
【0070】
合成例1によって得られたポリシラザンAの代りに合成例4によって得られたポリシラザンDを用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を経て半導体素子製造用組成物を製造した。
【実施例5】
【0071】
合成例1によって得られたポリシラザンAの代りに合成例5によって得られたポリシラザンEを用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を経て半導体素子製造用組成物を製造した。
【0072】
(比較例1)
合成例1によって得られたポリシラザンAの代りに合成比較例1によって得られたポリシラザンFを用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を経て半導体素子製造用組成物を製造した。
【0073】
(比較例2)
合成例1によって得られたポリシラザンAの代りに合成比較例2によって得られたポリシラザンGを用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を経て半導体素子製造用組成物を製造した。
【実施例6】
【0074】
(半導体素子の製造)
実施例1によって製造された半導体素子製造用組成物106の5mlを、図1(a)に示すように、幅wが45nmで深さdが100nmであるトレンチ(溝)102が形成されたシリコンウエハ(基板)104に滴下し、スピンコーティング法によって導膜を形成した。
【0075】
次に、図1(b)に示すように、この導膜を150℃で2分間加熱して有機溶媒であるジブチルエーテルを除去し、同時にトレンチ(溝)102を埋めるポリシラザン膜108を形成した。
【0076】
次に、図1(c)に示すように、基板104を800℃まで順次に昇温し、30分間加熱してポリシラザン膜108をシリコン酸化膜110に転換した。
【0077】
次に、図1(d)に示すように、シリコン酸化膜110をセリアスラリを用いて化学機械研磨した。
【0078】
次に、図1(e)に示すように、基板104を1wt%フッ酸水溶液に1分間浸漬した後、基板104を乾燥して半導体素子製造を完了した。
【実施例7】
【0079】
実施例1によって製造された半導体素子製造用組成物106の代りに実施例2によって製造された半導体素子製造用組成物を用いたという点以外は、実施例6と同じ工程を経て半導体素子を製造した。
【実施例8】
【0080】
実施例1によって製造された半導体素子製造用組成物106の代りに実施例3によって製造された半導体素子製造用組成物106を用いたという点以外は、実施例6と同じ工程を経て半導体素子を製造した。
【実施例9】
【0081】
実施例1によって製造された半導体素子製造用組成物106の代りに実施例4によって製造された半導体素子製造用組成物106を用いたという点以外は、実施例6と同じ工程を経て半導体素子を製造した。
【実施例10】
【0082】
実施例1によって製造された半導体素子製造用組成物106の代りに実施例5によって製造された半導体素子製造用組成物106を用いたという点以外は、実施例6と同じ工程を経て半導体素子を製造した。
【0083】
(比較例3)
実施例1によって製造された半導体素子製造用組成物106の代りに比較例1によって製造された半導体素子製造用組成物106を用いたという点以外は、実施例6と同じ工程を経て半導体素子を製造した。
【0084】
(比較例4)
実施例1によって製造された半導体素子製造用組成物106の代りに比較例2によって製造された半導体素子製造用組成物106を用いたという点以外は、実施例6と同じ工程を経て半導体素子を製造した。
【0085】
(半導体素子製造用組成物の特性評価)
実施例6〜実施例10、比較例3および4それぞれの半導体素子を製造するとき、実施例1〜実施例5、比較例1および2それぞれの半導体素子製造用組成物106の塗布均一性、エッチング比、内部気孔生成の要否、およびゲル生成の要否を観察および測定して表1に示した。塗布均一性、エッチング比、および内部気孔生成の要否は、シリコンウエハ(基板)104を断面に切断して電子顕微鏡によって観察した。ゲル生成の要否は、温度が24±1℃であって状態湿度が40±3%であるクリーンルーム(clean room)においてシリコンウエハに半導体素子製造用組成物をスピンコーティングした後、これを6日間放置した後に観察した。
【0086】
【表1】

【0087】
表1に示すように、実施例1〜実施例5に係る半導体素子製造用組成物106は、比較例1および2に係る半導体素子製造用組成物106に比べて全般的に塗布均一性、エッチング耐性、トレンチ充填率、および固形粉未生成の側面において優れていることが分かった。
【0088】
上述したように、本発明の好ましい実施の形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【符号の説明】
【0089】
102:溝
104:基板
106:半導体素子製造用組成物
108:ポリシラザン膜
110、112:シリコン酸化膜
w:幅
d:深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、下記化学式(1)で示されることを特徴とするポリシラザン。
【化1】


(前記化学式(1)において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。)
【請求項2】
反応溶媒内に反応物として添加されたジクロロシラン、トリクロロシラン、およびアンモニアを触媒存在下で反応させ、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、下記化学式(1)で示されることを特徴とするポリシラザンの合成方法。
【化2】


(前記化学式(1)において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。)
【請求項3】
前記反応物は、ヒドロキシルアミンをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のポリシラザンの合成方法。
【請求項4】
前記反応溶媒は、炭化水素類、エーテル類、アミド類、アミン類、エステル類、およびスルホキシドからなる群からいずれか1種類以上選択されることを特徴とする請求項2に記載のポリシラザンの合成方法。
【請求項5】
前記ジクロロシランに対する前記卜リクロロシランのモル比は、0.02:1〜0.2:1であることを特徴とする請求項2に記載のポリシラザンの合成方法。
【請求項6】
前記触媒は、3次アミン類またはヘテロアミン類であることを特徴とする請求項2に記載のポリシラザンの合成方法。
【請求項7】
前記反応溶媒および前記触媒は、前記3次アミン類または前記ヘテロアミン類であるものの、互いに同じ前記3次アミン類または前記ヘテロアミン類を用いることを特徴とする請求項2に記載のポリシラザンの合成方法。
【請求項8】
ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、下記化学式(1)で示されるポリシラザン5重量%〜30重量%と、
有機溶媒70重量%〜95重量%と、
を含むことを特徴とする半導体素子製造用組成物。
【化3】


(前記化学式(1)において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。)
【請求項9】
前記有機溶媒は、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ヘプタン、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびブチルアセテートからなる群からいずれか1種類以上選択されることを特徴とする請求項8に記載の半導体素子製造用組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの溝が形成された基板を準備し、
前記溝が埋まるように、前記基板上にポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜30000であり、下記化学式(1)で示されるポリシラザン5重量%〜30重量%、および有機溶媒70重量%〜95重量%を含む半導体素子製造用組成物を塗布し、
前記半導体素子製造用組成物が塗布された前記基板を加熱し、前記有機溶媒の一部またはすべてが除去されたポリシラザン膜を形成し、
前記ポリシラザン膜が形成された前記基板を水蒸気および酸素を含む雰囲気または水蒸気および不活性ガスを含む雰囲気で加熱し、前記ポリシラザン膜をシリコン酸化膜に転換させる
ことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【化4】


(前記化学式(1)において、lは0.01〜0.2の実数であり、mは0.6〜0.99の実数であり、nは0〜0.20の実数である。)
【請求項11】
前記シリコン酸化膜の一部を化学機械研磨する
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項12】
前記シリコン酸化膜の一部が前記化学機械研磨された前記基板を洗浄し、
前記洗浄された前記基板を乾燥する
ことを特徴とする請求項11に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項13】
前記溝の幅が200nm以下であり、前記溝の幅に対する深さの比が2以上であることを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項14】
前記ポリシラザン膜を形成する際には、100℃〜250℃で実行されることを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項15】
前記ポリシラザン膜を前記シリコン酸化膜に転換させる際には、300℃〜1200℃で実行されることを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−111842(P2010−111842A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34674(P2009−34674)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(502323737)コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド (16)
【Fターム(参考)】