説明

モノアミンオキシダーゼA及びBの可逆的阻害剤

本発明はモノアミンオキシダーゼB及び/又はモノアミンオキシダーゼAの可逆的阻害剤として有用であり、従って、哺乳動物、好ましくはヒトにおける神経疾患又は障害を治療又は予防するために有用な下式I:


(式中、R、E、D及びYは明細書に定義する通りである)の化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
カテコールアミン酸化酵素であるモノアミンオキシダーゼB(MAO−B)はパーキンソン病等の神経障害における重要な決定因子であると予想されている。MAO−Bはドーパミン等の脳神経伝達物質の濃度を調節する。また、モノアミンオキシダーゼは神経伝達物質との触媒反応により酸化ストレスの主原因である過酸化水素を生成し、細胞損傷を引き起こす。MAO−Bの阻害はレボドパによるドーパミン補充と共に現在使用されている主要なパーキンソン病治療法の1つである。現在のMAO−B阻害剤(プロパルギルアミン)は不可逆性であり、GAPDHと結合することも示されている。
【0002】
モノアミンオキシダーゼA(MAO−A)は主に鬱病と不安症に重要であるとみなされている神経伝達物質を代謝させるので、MAO−A阻害剤はこれらの障害の治療に有用である。MAO−A阻害剤はパニック障害、強迫性障害及び外傷後ストレス障害の治療にも有用であると思われる。モクロベミド等の可逆的モノアミンオキシダーゼA阻害剤は鬱病と不安症の治療に有用であり、不可逆的MAO−A阻害剤よりも高血圧を生じにくい。
【発明の開示】
【0003】
(発明の概要)
本発明はMAO−B及び/又はMAO−Aの可逆的阻害剤として有用な化合物に関する。本発明の1態様は式I:
【0004】
【化2】

の化合物と、その医薬的に許容可能な塩、エステル、立体異性体及びN−オキシド誘導体である。
【0005】
(発明の詳細な説明)
本発明は下式:
【0006】
【化3】

[式中、Yは水素、C(R)(R)X、C(O)R、C(O)R、C(O)OR、CH(OH)R、(C1−6アルキル)C(O)CROH、(C1−6アルキル)CROH、(C1−6アルキル)OH、SO、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロ、シアノ又はヒドロキシルから独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
Xは水素、NH又はOHであり;
は水素又は場合により1から6個のハロ、ヒドロキシル、O(C1−6アルキル)もしくはカルボニルで置換されたC1−6アルキルであり;
は水素、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヒドロキシルであり、前記アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキル基は場合により1から6個のハロで置換されており;
あるいはRとRはそれらが結合している炭素原子と一緒になり、場合により1から6個のハロで置換されたC3−8シクロアルキル環を形成してもよく;
Dはアリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ又はシアノから構成される群から独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
Eはアリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ又はシアノから構成される群から独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルキルオキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(O)OR、−C(O)OSi[CH(CH、−OR、−OR、−C(O)R、−RC(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(R)(R)OH、−SR、−SR、−RSR、−R、−C(R、−C(R)(R)N(R、−NRC(O)NRS(O)、−SO、−SO(R)、−SO、−SON(R)(R)、−SOCH(R)(R)、−SON(R)C(O)(R)、−SO(R)C(O)N(R、−OSO、−N(R)(R)、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)OR、−N(R)SO(R)、−C(R)(R)NRC(R)(R)R、−C(R)(R)N(R)R、−C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)SC(R)(R)(R)、RS−、−C(R)(R)NRC(R)(R)(R)、−C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)C(R)(R)N(R)(R)、−C(O)C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)N(R)C(O)R、−C(O)C(R)(R)S(R)、C(R)(R)C(O)N(R)(R)、C(R)(R)C(O)OH、−B(OH)、−OCHO−又は4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルであり;前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は場合によりC1−6アルキル、ハロ、ケト、シアノ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、−OR、−NO、−NH、−NHS(O)、−RSO、−SO、−SO(R)、−SR、−SR、−SON(R)(R)、−SON(R)C(O)(R)、−C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)OH、−COOH、−C(R)(R)C(O)N(R)(R)、−C(O)(R)(R)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−N(R)C(R)(R)(R)、N(R)CO(R)、−NH(CHOH、−NHC(O)OR、−Si(CH、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールから独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
は水素、アリール、アリール(C1−4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−4)アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル(C1−4)アルキル又はヘテロシクリル(C1−4)アルキルであり、前記基は場合によりハロ、アルコキシ又は−SOから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素又はハロ、アルコキシ、シアノ、−NRもしくは−SRから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;
は水素、C1−6アルキル、(C1−6アルキル)アリール、(C1−6アルキル)ヒドロキシル、−O(C1−6アルキル)、ヒドロキシル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は場合によりC1−6アルキル又はハロから独立して選択される1、2又は3個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
は水素、C1−6アルキル、(C1−6アルキル)アリール、(C1−6アルキル)ヒドロキシル、−O(C1−6アルキル)、ヒドロキシル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は場合によりC1−6アルキル又はハロから独立して選択される1、2又は3個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
あるいはRとRはそれらが結合しているか又はそれらの間に存在している炭素原子と一緒になり、C3−8シクロアルキル環又はC3−8ヘテロシクリル環を形成してもよく、前記3から8員環系は場合によりC1−6アルキル及びハロから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよく;
各mは0から2の整数から独立して選択される]の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体に関する。
【0007】
本発明の1分類では、XはOH又は水素である。
【0008】
本発明の1分類では、Dはアリールである。
【0009】
本発明の1分類では、Eはアリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又はヘテロアリール基は場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル又はハロから独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されている。
【0010】
本発明の1分類では、Rは水素又は場合により1から3個のフルオロで置換されたC1−6アルキルである。本発明の1亜分類では、Rは水素又はC1−3アルキルである。
【0011】
本発明の1分類では、Rは水素又はC1−3アルキルである。
【0012】
本発明の1分類では、Rは水素、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、−C(O)R、−C(R)(R)OH、−SO、C(R)(R)C(O)N(R)(R)又はC(R)(R)C(O)OHであり、前記アルキル又はシクロアルキル基は場合によりC1−6アルキル、シアノ、ハロ、C(O)NH又は−ORから独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されている。本発明の1亜分類では、Rは場合によりシアノで置換されたC3−8シクロアルキルである。本発明の別の1亜分類では、Rはシクロプロパンカルボニトリルである。
【0013】
上記好適態様は特に指定しない限り、特定基及び好適基の全組合わせを含むものとする。
【0014】
本発明の特定態様としては限定されないが、
1−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−N−シクロプロピルシクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]−2−フルオロビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{2−フルオロ−4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル{プロパン酸;
(2S)−2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパン酸;
(2S)−2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパンアミド;
1−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボン酸;
2−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]アセトアミド;
2,2−ジフルオロ−1−[4−(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]エタノール;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{6−[4−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル]ピリジン−3−イル}シクロプロパノール;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパノール;
(1R)−1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエタノール;
2−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]−2−メチルプロパンアミド;
2−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]−2−メチルプロパンアミド;
2−{2−フルオロ−4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}−2−メチルプロパンアミド;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4−[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−イル]フェニル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{3−フルオロ−4−[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−イル]フェニル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−ビフェニル−4−イル−2,2,2−トリフルオロエタノール;
(1−ビフェニル−4−イル−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン;
2,2−ジフルオロ−1−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}エタノン;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエタノン;
1,1−ジフルオロ−2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパン−2−オール;
2−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−1,1−ジフルオロプロパン−2−オール;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
2,2−ジフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エタノール;
2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エタン−1,1−ジオール;
1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノン;
N−シクロプロピル−1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]−N−シクロプロピルシクロプロパンカルボキサミド;
1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノール;
1−{4’−[(1R)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−[4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(2,4−ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[アミノ(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−3’−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
(1R)−1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノール;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエタノール;
{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}アミン;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボン酸;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
2−[4’−(1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル)ビフェニル−4−イル]プロパンアミド;
2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパンアミド;
(2S)−2−{2−フルオロ−4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパンアミド;
(2S)−2−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]−2−フルオロビフェニル−4−イル}プロパンアミド;
(1R)−1−(4’−ブロモビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエタノール;
1−{4’−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−ビフェニル−4−イル−2,2,2−トリフルオロエタノール;
(1−ビフェン−4−イル−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン;
(1R)−1−(4’−ブロモビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエタノール;
1−{4’−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(トリフルオロアセチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−{2−フルオロ−4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−3−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−4’−イソプロピルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(2−ヒドロキシピペリジン−2−イル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシシクロブチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
2,2,2−トリフルオロ−1−(4’−イソプロピルビフェニル−4−イル)エタノール;
1−[2−フルオロ−4’−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−3’−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4−(1−ベンゾチエン−3−イル)−3−フルオロフェニル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−3’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−{2−フルオロ−2’−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−{2−フルオロ−4’−[ヒドロキシ(1,3−チアゾール−2−イル)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−3’−(3−ヒドロキシ−3−メチル−2−オキソブチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−{3−フルオロ−4−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−2−イル]フェニル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4−(5−アセチル−2−チエニル)−3−フルオロフェニル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−{3−フルオロ−4−[5−(メチルスルホニル)ピリジン−2−イル]フェニル}シクロプロパンカルボニトリル;
4’−(1−シアノシクロプロピル)−2’−フルオロビフェニル−4−カルボン酸メチル;
1−(4’−ベンゾイル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(3’−アセチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(3’−エチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(2−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−3’−(2−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−1,1’:3’,1”−テルフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−1,1’:2’,1”−テルフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−1,1’:4’,1”−テルフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−3’−メチルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−2’−メチルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(4’−エチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−2’−イソプロピルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−4’−メチルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[3−フルオロ−4−(2−ナフチル)フェニル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−(4’−アセチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[3−フルオロ−4−(1H−インドール−5−イル)フェニル]シクロプロパンカルボニトリル;
1,1’−(2,2’−ジフルオロビフェニル−4,4’−ジイル)ジシクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−4’−ピリジン−3−イルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−4’−イソプロピルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(1−アミノ−1−メチルエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]アセトニトリル;
4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−カルボキサミド;
4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−スルホンアミド;
4’−(I−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−3−カルボキサミド;
2−[4−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]プロパン−2−オール;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−3−イル]エタノン;
2−[4−(2−ナフチル)フェニル]プロパン−2−オール;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]エタノン;
2−(1,1’:4’,1”−テルフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
2−(1,1’:2’,1”−テルフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
2−(1,1’:3’,1”−テルフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
2−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]プロパン−2−オール;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−3−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
2,2’−ビフェニル−4,4’−ジイルジプロパン−2−オール;
2−[3’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]プロパン−2−オール;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボン酸;
2−{4’−[(メチルスルホニル)メチル]ビフェニル−4−イル}プロパン−2−オール;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]メタンスルホンアミド;
1−{6−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]ピリジン−3−イル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−3−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4’−ピリジン−3−イルビフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]キノリン−2−カルボニトリル;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]−N−メチルシクロプロパンカルボキサミド;
[({1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロピル}カルボニル)(メチレン)−λ−アザニル]アセトニトリル−2−(4’−イソプロポキシビフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体が挙げられる。
【0015】
上記式Iの化合物と医薬的に許容可能な担体から構成される医薬組成物も本発明の範囲に含まれる。本発明は医薬的に許容可能な担体と、単独で使用するか又は本明細書に開示する他の任意化合物と併用する本明細書に開示する任意化合物から構成される医薬組成物も含む。本発明の上記及び他の側面は本明細書の教示から自明である。
【0016】
用途
本発明の化合物はMAO−A及び/又はMAO−Bの阻害剤であるため、哺乳動物、好ましくはヒトにおける神経疾患又は障害を治療又は予防するために有用である。
【0017】
「神経疾患又は障害」とは神経伝達物質合成、保存、放出もしくは分解の異常又は神経伝達に作用して臨床障害を誘発する受容体数及び親和性の変化を意味する。神経疾患又は障害としては限定されないが、気分障害、鬱病、双極性障害、物質誘発性気分障害、不安障害、認知障害、譫妄、健忘症、アルツハイマー病、統合失調症、統合失調症型障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、常習行為、運動障害、無動症、無動・硬直症候群、パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソン病、ジルドラツーレット症候群、癲癇、ジスキネジア、舞踏病、ミオクローヌス、チック症、ジストニア、肥満症、神経性大食症、強迫性摂食障害、過食関連摂食障害、変形性骨関節炎、反復性運動痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛、周術期疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、三叉神経痛、偏頭痛、注意欠陥多動性障害、行為障害、筋痙攣、尿失禁、筋萎縮性側索硬化症、ニューロン損傷、視覚損傷、網膜症、黄斑変性症、難聴、耳鳴り、嘔吐、脳浮腫又は睡眠障害が挙げられる。
【0018】
本発明の1態様はその必要のある哺乳動物におけるMAO−A活性の阻害方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0019】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物におけるMAO−B活性の阻害方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0020】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物におけるMAO−A及び/又はB活性の阻害方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0021】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における気分障害、鬱病、双極性障害、物質誘発性気分障害、不安障害、認知障害、譫妄、健忘症、アルツハイマー病、統合失調症、統合失調症型障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、常習行為、運動障害、無動症、無動・硬直症候群、パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソン病、ジルドラツーレット症候群、癲癇、ジスキネジア、舞踏病、ミオクローヌス、チック症、ジストニア、肥満症、神経性大食症、強迫性摂食障害、過食関連摂食障害、変形性骨関節炎、反復性運動痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛、周術期疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、三叉神経痛、偏頭痛、注意欠陥多動性障害、行為障害、筋痙攣、尿失禁、筋萎縮性側索硬化症、ニューロン損傷、視覚損傷、網膜症、黄斑変性症、難聴、耳鳴り、嘔吐、脳浮腫又は睡眠障害の治療又は予防方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0022】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における鬱病の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。鬱病の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Liebowitz MRら,“Reversible and irreversible monoamine oxidase inhibitors in other psychiatric disorders.” Acta Psychiatr Scand Suppl.1990;360:29−34を参照されたい。
【0023】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における不安症の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。不安症の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Galynker Iら,“Low−Dose Risperidone and Queriapine as Monotherapy for Comorbid Anxiety and Depression.” J Clin Psychiatry.2005 Apr;66(4):544を参照されたい。
【0024】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における物質誘発性気分障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。物質誘発性気分障害の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Takahashi Sら,“Monoamine oxidase activity in blood platelets in alcoholism.” Folia Psychiatr Neurol Jpn.1976;30(4):455−62を参照されたい。
【0025】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における譫妄及び妄想性障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。譫妄及び妄想性障害の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、CL.DeVane and J.Mintzer,“Risperidone in the management of psychiatric and neurodegenerative disease in the elderly:an update.” Psychopharmacol Bull.2003;37(4):116−32を参照されたい。
【0026】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における健忘症の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。健忘症の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Purdon,S.E.ら,“Neuropsychological change in early phase schizophrenia during 12 months of treatment with olanzapine,risperidone,or haloperidol,” Arch.Gen.Psychiatry 57(2000),pp.249−258を参照されたい。
【0027】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物におけるアルツハイマー病の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。アルツハイマー病の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Ono,K.ら,“Antiparkinsonian agenst have anti−amyloidogenic activity for Alzheimer’ s beta−amyloid fibrils in vitro,” Neurochem Int.2006 Mar;48(4):275−85を参照されたい。
【0028】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における癲癇の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。発作の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Jobe Aら,“Three children with a syndrome of obesity and overgrowth,atypical psychosis,and seizures:a problem in neuropsychopharmacology.” J Child Neurol.2000 Aug;15(8):518−28を参照されたい。
【0029】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物におけるパーキンソン病の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。パーキンソン病の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Weinstockら,“A novel cholinesterdas and brain−selective monoamine oxidase inhibitor for the treatment of dementia comorbid with depression and Parkinson’s disease.Prog.Neuropsychopharmacol.Biol.Psychiatry 27(2003),pp.555−561を参照されたい。
【0030】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における疼痛の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。疼痛としては、反復性運動痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛、周術期疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、三叉神経痛及び偏頭痛が挙げられる。疼痛の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Pirildar Sら,“A preliminary open−label study of moclobemide treatment of pain disorder.” Psychopharmacol Bull.2003 Summer;37(3):127−34;Silberstein,SDら,“Preventive treatment of migraine:an overview.” Cephalalgia.1997 Apr;17(2):67−72を参照されたい。
【0031】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における注意欠陥多動性障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。注意欠陥多動性障害の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Spencer TJ.,“ADHD treatment across the life cycle.” J Clin Psychiatry.2004;65 Suppl 3:22−6を参照されたい。
【0032】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における摂食障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。摂食障害、神経性大食症の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、AS.Kaplan,“Academy for Eating Disorders International Conference on Eating Disorders.Denver,CO,USA,May 29−31,2003.” Expert Opin Investig Drugs.2003 Aug;12(8):1441−3を参照されたい。
【0033】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における睡眠障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。睡眠障害の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Hublin,C.ら,“Selegiline in the treatment of narcolepsy.” Neurology 44:2095−2101;Louden,MBら,“Activation of selegiline(1−deprenyl)of REM sleep behaviour disorder in parkinsonism.” West Virg Med J 91:101を参照されたい。
【0034】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における気分障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。双極性障害を含む気分障害の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Gutierrez Bら,“Association analysis between a functional polymorphism in the monoamine oxidase A gene promoter and severe mood disorders.” Psychiatr Genet.2004 Dec;14(4):203−8を参照されたい。
【0035】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における認知障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。認知障害の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Schneider LS.,“New therapeutic approaches to cognitive impairment.” J Clin Psychiatry.1998;59 Suppl 11:8−13を参照されたい。
【0036】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における統合失調症の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。統合失調症型障害及び統合失調感情障害を含む統合失調症の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Toren,P.ら,“Benefit−risk assessment of atypical antipsychotics in the treatment of schizophrenia and comorbid disorders in children and adolescents.” Drug Saf.2004;27(14):1135−56を参照されたい。
【0037】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における運動障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。ジスキネジア、ジストニア及び無動症を含む運動障害の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Waters C,“Other pharmacological treatments for motor complications and dyskinesias.” Mov Disord.2005 May;20 Suppl 11:S38−44;Pearce,JKら,“The monoamine reuptake blocker brasofensine reverses akinesia without dyskinesia in MPTP−treated and levodopa−primed common marmosets.” Mov Disord.2002 Sep;17(5):877−86を参照されたい。
【0038】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における難聴の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。耳鳴りを含む難聴の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Sharpe MH,“Auditory attention in early Parkinson’s disease:an impairment in focused attention.” Neuropsychologia.1992 Jan;30(l):101−6を参照されたい。
【0039】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における脳浮腫の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。脳浮腫の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Huang W,“Neuroprotective effect of rasagiline,a selective monoamine oxidase−B inhibitor,against closed head injury in the mouse” Eur J Pharmacol.1999 Feb 5;366(2−3):127−35を参照されたい。
【0040】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物におけるニューロン損傷の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。ニューロン損傷の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Mandel Sら,“Mechanism of neuroprotective action of the anti−Parkinson drug rasagiline and its derivatives.” Brain Res Brain Res Rev.2005 Apr;48(2):379−87を参照されたい。
【0041】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における筋萎縮性側索硬化症の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。筋萎縮性側索硬化症の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Orru,S.,“Association of monoamine oxidase B alleles with age at onset in amyotrophic lateral sclerosis.” Neuromuscul Disord.1999 Dec;9(8):593−7を参照されたい。
【0042】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における行為障害の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。行為障害の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Haberstick,BC,“Monoamine oxidase A(MAOA)and antisocial behaviors in the presence of childhood and adolescent maltreatment.” Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet.2005 May 5;135(l):59−64を参照されたい。
【0043】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における視覚損傷の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。網膜症及び黄斑変性症を含む視覚損傷の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Xu Lら,“1−Deprenyl,blocking apoptosis and regulating gene expression in cultured retinal neurons.” Biochem Pharmacol.1999 Oct 1;58(7):1183−90を参照されたい。
【0044】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物におけるミオクローヌス、ジルドラツーレット症候群、ジストニア及びチック症の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。ミオクローヌス、ジルドラツーレット症候群、ジストニア及びチック症の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、J.Jankovic and J.Beach J.,“Long−term effects of tetrabenazine in hyperkinetic movement disorders.” Neurology.1997 Feb;48(2):358−62を参照されたい。
【0045】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における肥満症の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。肥満症の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Visentin Vら,“Alteration of amine oxidase activity in the adipose tissue of obese subjects.” Obes Res.2004 Mar;12(3):547−55を参照されたい。
【0046】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における変形性骨関節炎の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。変形性骨関節炎の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、Chambers MGら,“Chondrocytic monoamine oxidase activity in the development of natural murine osteoarthritis.” Int J Exp Pathol.1992 Apr;73(2):115−23を参照されたい。
【0047】
本発明の別の態様はその必要のある哺乳動物における舞踏病の治療方法として、治療有効量の上記化合物のいずれか又は上記医薬組成物のいずれかを哺乳動物に投与することを含む方法である。舞踏病の治療にMAO阻害剤が有用であることは文献公知であり、J.Mann and E.Chiu,“Platelet monoamine oxidase activity in Huntington’s chorea.” J Neurol Neurosurg Psychiatry.1978 Sep;41(9):809−12を参照されたい。
【0048】
本発明の具体例は治療を必要とする哺乳動物における気分障害、鬱病、双極性障害、物質誘発性気分障害、不安障害、認知障害、譫妄、健忘症、アルツハイマー病、統合失調症、統合失調症型障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、常習行為、運動障害、無動症、無動・硬直症候群、パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソン病、ジルドラツーレット症候群、癲癇、ジスキネジア、舞踏病、ミオクローヌス、チック症、ジストニア、肥満症、神経性大食症、強迫性摂食障害、過食関連摂食障害、変形性骨関節炎、反復性運動痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛、周術期疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、三叉神経痛、偏頭痛、注意欠陥多動性障害、行為障害、筋痙攣、尿失禁、筋萎縮性側索硬化症、ニューロン損傷、視覚損傷、網膜症、黄斑変性症、難聴、耳鳴り、嘔吐、脳浮腫又は睡眠障害の治療用医薬の製造における本明細書に記載する化合物を含有する医薬組成物の使用である。
【0049】
本発明の化合物は標準医薬プラクティスに従って哺乳動物、好ましくはヒトに単独で投与してもよいが、医薬的に許容可能な担体又は希釈剤と、場合によりミョウバン等の公知アジュバントと共に医薬組成物として投与することが好ましい。化合物は経口投与してもよいし、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸内及び局所投与経路等で非経口投与してもよい。
【0050】
経口用錠剤の場合には、一般に使用される担体としてはラクトースとコーンスターチが挙げられ、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を一般に添加する。カプセル形態の経口投与には、有用な希釈剤としてはラクトースとドライコーンスターチが挙げられる。本発明の治療用化合物の経口使用には、選択された化合物を例えば錠剤もしくはカプセル剤又は水溶液もしくは水性懸濁液の形態で投与することができる。錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与する場合には、活性薬剤成分をラクトース、澱粉、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸2カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等の医薬的に許容可能な非毒性不活性経口担体と配合することができ、液体形態で経口投与する場合には、経口薬剤成分をエタノール、グリセロール、水等の任意の医薬的に許容可能な非毒性不活性経口担体と配合することができる。更に、所望又は必要に応じて適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤を混合物に添加してもよい。適切な結合剤としては澱粉、ゼラチン、天然糖類(例えばグルコース又はβ−ラクトース、コーン甘味料)、天然及び合成ガム(例えばアラビアガム、トラガカントガム又はアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウ等が挙げられる。これらの剤形で使用される滑沢剤としてはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては限定されないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられる。水性懸濁液が経口用に必要な場合には、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と配合する。所望により、所定甘味剤又は香味剤を添加してもよい。筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内用には、一般に活性成分の滅菌溶液を調製し、溶液のpHを適切に調整及び緩衝する必要がある。静脈内用では、製剤を等張にするように溶質の総濃度を調節する必要がある。
【0051】
本発明の化合物は小さな一枚膜リポソーム、大きな一枚膜リポソーム及び多重膜リポソーム等のリポソーム送達システムの形態で投与することもできる。リポソームはコレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリン等の各種リン脂質から形成することができる。
【0052】
本発明の化合物は化合物分子を結合する個々の担体としてモノクローナル抗体を使用することにより送達することもできる。本発明の化合物は標的化可能な薬剤担体としての可溶性ポリマーと結合することもできる。このようなポリマーとしてはポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルトアミド−フェノール、又はパルミトイル残基で置換したポリエチレンオキシド−ポリリジンが挙げられる。更に、本発明の化合物は薬剤の制御放出を達成するのに有用な類の生分解性ポリマー(例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマー)と結合することもできる。
【0053】
本発明の化合物は気分障害、鬱病、双極性障害、物質誘発性気分障害、不安障害、認知障害、譫妄、健忘症、アルツハイマー病、統合失調症、統合失調症型障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、常習行為、運動障害、無動症、無動・硬直症候群、パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソン病、ジルドラツーレット症候群、癲癇、ジスキネジア、舞踏病、ミオクローヌス、チック症、ジストニア、肥満症、神経性大食症、強迫性摂食障害、過食関連摂食障害、変形性骨関節炎、反復性運動痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛、周術期疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、三叉神経痛、偏頭痛、注意欠陥多動性障害、行為障害、筋痙攣、尿失禁、筋萎縮性側索硬化症、ニューロン損傷、視覚損傷、網膜症、黄斑変性症、難聴、耳鳴り、嘔吐、脳浮腫又は睡眠障害の治療又は予防に有用な公知物質と併用しても有用である。本明細書に開示する化合物と神経障害の治療又は予防に有用な他の物質の併用も本発明の範囲に含まれる。当業者は薬剤の特徴と該当疾患に基づいてどの薬剤組み合わせが有用であるかを識別することができる。このような物質としては、抗鬱剤、抗不安剤、アルツハイマー病治療剤、鎮静剤、催眠剤、不安緩解剤、総合失調症治療薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニスト、メラトニンアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニスト、レボドパ、抗コリン薬、塩酸トリヘキシルフェニジル、COMT阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動薬、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ドーパミン受容体アゴニスト、神経抑制薬、食欲抑制剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ハロゲン化アンフェタミン誘導体、オピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、インターロイキン阻害剤、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、サイトカイン抑制性抗炎症薬、鎮痛剤、効力増強剤、H2アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、充血除去剤、鎮咳薬及び抗ヒスタミン薬が挙げられる。
【0054】
本発明の具体例は本明細書に記載する化合物と、抗鬱剤、抗不安剤、アルツハイマー病治療剤、鎮静剤、催眠剤、不安緩解剤、総合失調症治療薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニスト、メラトニンアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニスト、レボドパ、抗コリン薬、塩酸トリヘキシルフェニジル、COMT阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動薬、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ドーパミン受容体アゴニスト、神経抑制薬、食欲抑制剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ハロゲン化アンフェタミン誘導体、オピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、インターロイキン阻害剤、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、サイトカイン抑制性抗炎症薬、鎮痛剤、効力増強剤、H2アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、充血除去剤、鎮咳薬及び抗ヒスタミン薬から選択される別の物質を含有する医薬組成物である。
【0055】
従って、本発明の化合物は単独投与してもよいし、本発明の適応症に有益であることが分かっている他の物質と併用投与してもよいし、あるいは本発明の化合物の効力、安全性、利便性を増すか又は望ましくない副作用もしくは毒性を低減する受容体又は酵素に作用する他の薬剤と併用投与してもよい。本発明の化合物と他の物質は併用療法又は固定併用剤として併用投与することかてきる。併用例を以下に挙げるが、これらは例示に過ぎず、限定的ではない。
【0056】
1態様では、本発明の化合物は抗鬱剤又は抗不安症剤と併用することができ、例えば、ノルエピネフリン再取込み阻害剤(例えば第三級アミン三環系及び第二級アミン三環系)、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再取込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、非定型抗鬱剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニスト又はアンタゴニスト、特に5−HT1A部分アゴニスト、並びにコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストが挙げられる。特定薬剤としてはアミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン及びトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン及びプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン及びセレギリン;モクロベミド;ベンラファキシン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン及びビロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム及びプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロン及びイプサピロン、並びにその医薬的に許容可能な塩が挙げられる。
【0057】
別の態様では、本発明の化合物はアルツハイマー病治療剤;βセクレターゼ阻害剤;γセクレターゼ阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;NSAID(例えばイブプロフェン);ビタミンE;抗アミロイド抗体;CB−1受容体アンタゴニスト又はCB−1受容体逆アゴニスト;抗生物質(例えばドキシサイクリン及びリファムピン);N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト(例えばメマンチン);コリンエステラーゼ阻害剤(例えばガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル及びタクリン);成長ホルモン分泌促進剤(例えばイブタモレン、メシル酸イブタモレン及びカプロモレリン);ヒスタミンHアンタゴニスト;AMPAアゴニスト;PDE IV阻害剤;GABA逆アゴニスト;又はニューロンニコチンアゴニストと併用することができる。
【0058】
別の態様では、本発明の化合物は鎮静剤、催眠剤、不安緩解剤、総合失調症治療薬、抗不安剤、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニスト及びアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニスト等と併用することができ、例えば、アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスピロン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロルジアゼポキシド、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼペート、クロレテート、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デクスクラモール、ジアゼパム、ジクロルアルフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オキサゼパム、パルアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォル、プロトリプチリン、クアゼパム、レクラゼパム、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゼパム、チオリダジン、トラカゾラート、トラニルシプロミン、トラザドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ゾラゼパム、ゾルピデム及びその塩並びにその組合わせ等が挙げられ、あるいは本発明の化合物は光療法や電気刺激等の物理的方法と併用投与することもできる。
【0059】
別の態様では、本発明の化合物は(カルビドパやベンセラジド等の選択的脳外脱炭酸酵素阻害剤との併用下又は非併用下の)レボドパ、抗コリン薬(例えば(場合によりその塩酸塩又は乳酸塩としての)ビペリデン及び塩酸トリヘキシルフェニジル(ベンズヘキソール))、COMT阻害剤(例えばエンタカポン)、MOA−B阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動薬、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト及びドーパミン受容体アゴニスト(例えばアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミペキソール)と併用することができる。当然のことながら、ドーパミンアゴニストは医薬的に許容可能な塩(例えば臭化水素酸アレンテモール、メシル酸ブロモクリプチン、メシル酸フェノルドパム、塩酸ナキサゴリド及びメシル酸ペルゴリド)の形態とすることができる。リスリドとプラミペキソールは一般に非塩形態で使用される。
【0060】
別の態様では、本発明の化合物はアセトフェナジン、アレンテモール、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、レボドパ+ベンセラジド、レボドパ+カルビドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシルフェニジル、チオリダジン、チオチキセン又はトリフルオペラジンと併用することができる。
【0061】
別の態様では、本発明の化合物はフェノチアジン、チオキサンテン、複素環式ジベンズアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロン類の神経抑制薬から選択される化合物と併用することができる。フェノチアジンの適切な例としてはクロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンが挙げられる。チオキサンテンの適切な例としてはクロルプロチキセンとチオチキセンが挙げられる。ジベンズアゼピンの1例はクロザピンである。ブチロフェノンの1例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの1例はピモジドである。インドロンの1例はモリンドンである。他の神経抑制薬としてはロキサピン、スルピリド及びリスペリドンが挙げられる。当然のことながら、神経抑制薬を本発明の化合物と併用する場合には、医薬的に許容可能な塩(例えば塩酸クロルプロマジン、ベシル酸メソリダジン、塩酸チオリダジン、マレイン酸アセトフェナジン、塩酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、塩酸トリフルオペラジン、塩酸チオチキセン、デカン酸ハロペリドール、琥珀酸ロキサピン及び塩酸モリンドン)の形態とすることができる。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは一般に非塩形態で使用される。
【0062】
別の態様では、本発明の化合物は食欲抑制剤(例えばアミノレクス、アンフェクロラール、アンフェタミン、ベンズフェタミン、クロルフェンテルミン、クロベンゾレクス、クロホレクス、クロミノレクス、クロルテルミン、シクレキセドリン、デクスフェンフルラミン、デクストロアンフェタミン、ジエチルプロピオン、ジフェメトキシジン、N−エチルアンフェタミン、フェンブトラゼート、フェンフルラミン、フェニソレクス、フェンプロポレクス、フルドレクス、フルミノレクス、フルフリルメチルアンフェタミン、レボアンフェタミン、レボファセトペラン、マジンドール、メフェノレクス、メタンフェプラモン、メタンフェタミン、ノルプソイドエフェドリン、ペントレクス、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ピシロレクス及びシブトラミン);選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI);ハロゲン化アンフェタミン誘導体(例えばクロルフェンテルミン、クロホレクス、クロルテルミン、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、ピシロレクス及びシブトラミン);及びその医薬的に許容可能な塩と併用することができる。
【0063】
別の態様では、本発明の化合物はオピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば5−リポキシゲナーゼ)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えばシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤)、インターロイキン阻害剤(例えばインターロイキン−1阻害剤)、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素阻害剤もしくは一酸化窒素合成阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬又はサイトカイン抑制性抗炎症薬と併用することができ、例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラック、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド性鎮痛薬、スフェンタニル、スリンダック、テニダップ等の化合物と併用することができる。同様に、本発明の化合物は鎮痛剤;効力増強剤(例えばカフェイン、H2アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム);充血除去剤(例えばフェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン又はレボデオキシエフェドリン);鎮咳薬(例えばコデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン又はデクストラメトルファン);利尿薬;及び鎮静性又は非鎮静性抗ヒスタミン薬と併用投与することもできる。
【0064】
固定用量として製剤化する場合には、このような併用製剤は下記用量範囲の本発明の化合物と、その許容用量範囲内の他の医薬活性剤を併用する。併用製剤が不適切な場合には、本発明の化合物と医薬的に許容可能な公知薬剤を順次使用することができる。
【0065】
本発明の化合物に関して「投与」なる用語とその変形(例えば化合物を「投与する」)は治療を必要とする動物の系に化合物又は化合物のプロドラッグを導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグを1種以上の他の活性剤(例えば細胞傷害剤等)と併用する場合には、「投与」とその変形は各々化合物又はそのプロドラッグと他の物質の同時及び順次導入を含むものとする。本発明は本発明の化合物のプロドラッグをその範囲に含む。一般に、このようなプロドラッグは必要な化合物に容易にin vivo変換可能な本発明の化合物の機能的誘導体である。従って、本発明の治療方法において、「投与する」なる用語は具体的に開示する化合物又は具体的に開示しないとしても、患者に投与後に特定化合物にin vivo変換する化合物で各種記載症状を治療することを意味する。従来の適切なプロドラッグ誘導体の選択及び製造法は例えば参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む“Design of Prodrugs,”ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。これらの化合物の代謝産物としては、本発明の化合物を生体環境に導入後に生成される活性種が挙げられる。
【0066】
本明細書で使用する「組成物」なる用語は特定量の特定成分を含有する製剤と、特定量の特定成分の組み合わせにより直接又は間接的に得られる任意製剤を意味する。
【0067】
本明細書で使用する「治療有効量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められる生物又は医学的応答を組織、系、動物又はヒトに誘発する活性化合物又は薬剤の量を意味する。
【0068】
本明細書で使用する疾患「を治療する」又は「の治療」なる用語は疾患の予防、即ち疾患になる危険又は素因があるが、まだ疾患の症状を発現していない哺乳動物に疾患の臨床症状が生じないようにすること;疾患の抑制、即ち疾患又はその臨床症状の発生を阻止又は低減すること;あるいは疾患の緩和、即ち疾患又はその臨床症状を退縮させることを含む。
【0069】
本発明は医薬的に許容可能な担体又は希釈剤の存在下又は不在下で治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、神経障害の治療に有用な医薬組成物にも関する。本発明の適切な組成物としては、本発明の化合物と薬理的に許容可能な担体(例えばpHレベルが例えば7.4の食塩水)を含有する水溶液が挙げられる。溶液は局所ボーラス注射により患者の血流に導入することができる。
【0070】
本発明の化合物をヒト対象に投与する場合には、1日用量は一般に処方医により決定され、一般に個々の患者の年齢、体重及び応答と、患者の症状の重篤度により異なる。
【0071】
1適用例では、カテプシン依存性症状の治療中の哺乳動物に適量の化合物を投与する。指定効果のために使用する場合、本発明の経口用量は約0.01mg/kg体重/日(mg/kg/日)から約100mg/kg/日、好ましくは0.01から10mg/kg/日、最も好ましくは0.1から5.0mg/kg/日である。経口投与の場合、組成物は治療する患者の症状に合わせて活性成分0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100及び500mgを含有する錠剤として投与することが好ましい。薬剤は一般に活性成分約0.01mgから約500mg、好ましくは活性成分約1mgから約100mgを含有する。静脈内投与に最適な用量は定速輸液中に約0.1から約10mg/kg/分である。本発明の化合物は1日1回投与してもよいし、合計1日用量を1日2回、3回又は4回に分けて投与してもよいという利点がある。更に、本発明の好ましい化合物は適切な鼻腔内ビークルの局所使用により鼻腔内形態で投与してもよいし、当業者に周知の経皮パッチ形態を使用して経皮経路で投与してもよい。経皮送達システムの形態で投与するには、当然のことながら投薬期間を通して断続的でなく連続的に投与する。
【0072】
本発明の化合物は神経障害の治療に有用な他の物質と併用することができる。このような併用剤の個々の成分は治療期間中の異なる時点で別々に投与することもできるし、分割又は単一併用剤形態で同時投与することもできる。従って、本発明はこのような全同時又は交互投与レジメンを含むものであり、「投与」なる用語は相応に解釈すべきである。当然のことながら、本発明の化合物と神経障害の治療に有用な他の物質の併用の範囲は原則として神経機能に関連する疾患の治療に有用な任意医薬組成物との任意併用を含む。
【0073】
従って、本発明の範囲は本発明の化合物と、抗鬱剤、抗不安剤、アルツハイマー病治療剤、鎮静剤、催眠剤、不安緩解剤、総合失調症治療薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニスト、メラトニンアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニスト、レボドパ、抗コリン薬、塩酸トリヘキシルフェニジル、COMT阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動薬、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ドーパミン受容体アゴニスト、神経抑制薬、食欲抑制剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ハロゲン化アンフェタミン誘導体、オピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、インターロイキン阻害剤、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、サイトカイン抑制性抗炎症薬、鎮痛剤、効力増強剤、H2アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、充血除去剤、鎮咳薬及び抗ヒスタミン薬、並びにその医薬的に許容可能な塩及び混合物から選択される第2の物質の併用を含む。
【0074】
本発明の上記及び他の態様は本明細書の教示から自明である。
【0075】
(定義)
本発明の化合物は(E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994,1119−1190頁に記載されているように)不斉中心、キラル軸及びキラル面をもつことができ、ラセミ化合物、ラセミ混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができ、光学異性体を含むその可能な全異性体及び混合物が本発明に含まれる。更に、本明細書に開示する化合物は互変異性体として存在することができ、一方の互変異性体構造しか示さない場合にも両方の互変異性形態を本発明の範囲に含むものとする。例えば、下記化合物Aに関する任意記載は互変異性体構造Bとその混合物も含み、その逆も同様である。
【0076】
【化4】

【0077】
任意変項(例えばR,R,R等)が任意成分中に2回以上出現する場合には、出現毎のその定義は各々独立している。また、置換基と変項の組み合わせはこのような組み合わせにより安定な化合物が得られる場合のみに許容可能である。置換基から環系の内側に引いた線は指定する結合が置換可能な任意環炭素原子に結合できることを意味する。環系が多環式である場合には、結合は近接環上のみの適切な任意炭素原子と結合するものとする。
【0078】
当然のことながら、本発明の化合物上の置換基及び置換パターンは容易に入手可能な出発材料から当分野で公知の技術及び下記方法により容易に合成可能な化学的に安定な化合物が得られるように当業者が選択することができる。置換基自体が2個以上の基で置換されている場合には、当然のことながら、安定な構造が得られる限り、これらの複数の基は同一炭素上にあってもよいし、異なる炭素上にあってもよい。「場合により1個以上の置換基で置換された」なる表現は「場合により少なくとも1個の置換基で置換された」なる表現と同義であり、このような場合には、好ましい態様は0から3個の置換基をもつ。
【0079】
本明細書で使用する「アルキル」とは特に指定しない限り、炭素原子数1から10の分岐鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C−C10アルキル」におけるC−C10は炭素原子数1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の直鎖、分岐鎖又は環状配置の基を含むと定義される。例えば、「C−C10アルキル」としては具体的にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。
【0080】
「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」とは特に指定しない限り、酸素橋を介して結合した上記定義によるアルキル基を意味する。アルコキシの例としてはメトキシ、エトキシ等が挙げられる。
【0081】
「シクロアルキル」なる用語は特に指定しない限り、合計炭素原子数3から8又はこの範囲の任意数の環状アルカン環を意味する(即ち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル)。
【0082】
炭素原子数を指定しない場合には、「アルケニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む炭素原子数2から10の直鎖又は分岐鎖非芳香族炭化水素基を意味する。好ましくは、1個の炭素−炭素二重結合が存在し、4個までの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在することができる。従って、「C−Cアルケニル」とは炭素原子数2から6のアルケニル基を意味する。アルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。アルキルについて上述したように、アルケニル基の直鎖、分岐鎖又は環状部分は二重結合を含んでいてもよく、置換アルケニル基と記載している場合には、置換されていてもよい。
【0083】
「アルキニル」なる用語は少なくとも1個の三重結合を含む直鎖又は分岐鎖非環式不飽和炭化水素から水素原子1個を形式的に除去することにより誘導される一価置換基を意味する(即ち−C≡CH、−CHC≡CH、−C≡CCH、−CHC≡CCH(CH等)。
【0084】
場合により、(C−C)アルキレン−アリールのようにゼロを含む炭素範囲で置換基を定義する場合がある。アリールがフェニルであるとするならば、この定義はフェニル自体と−CHPh、−CHCHPh、−CH(CH)CHCH(CH)Ph等を含む。
【0085】
本明細書で使用する「アリール」とは少なくとも1個の環が芳香族である12員環までの安定な任意単環又は二環式炭素環を意味する。このようなアリールエレメントの例としてはフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル又はアセナフチルが挙げられる。アリール置換基が二環式であり、一方の環が非芳香族である場合には、当然のことながら、結合は芳香環を介する。
【0086】
本明細書で使用する「ヘテロアリール」なる用語は少なくとも1個の環が芳香族であり、O、N及びSから構成される群から選択される1から4個のヘテロ原子を含む10員環までの安定な単環、二環又は三環系を意味する。この定義の範囲内のヘテロアリール基としては限定されないが、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリニル、メチレンジオキシベンゼン、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル及びテトラヒドロキノリンが挙げられる。ヘテロアリール置換基が二環式であり、一方の環が非芳香族であるか又はヘテロ原子を含まない場合には、当然のことながら結合は夫々芳香環又はヘテロ原子含有環を介する。ヘテロアリールが窒素を含む場合には、当然のことながら対応するそのN−オキシドもこの定義に含まれる。
【0087】
当業者に自明の通り、本明細書で使用する「ハロ」又は「ハロゲン」とはクロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを意味する。「ケト」なる用語はカルボニル(C=O)を意味する。
【0088】
「ハロアルキル」なる用語は特に指定しない限り、1から5個、好ましくは1から3個のハロゲンで置換された上記定義によるアルキル基を意味する。代表例としては限定されないが、トリフルオロメチル、ジクロロエチル等が挙げられる。
【0089】
「アリールアルキル」なる用語は上記定義によるアルキル部分と上記定義によるアリール部分を含む系を意味する。アリールアルキルの例としては限定されないが、ベンジル、フルオロベンジル、クロロベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フルオロフェニルエチル及びクロロフェニルエチルが挙げられる。アルキルアリールの例としては限定されないが、トルイル、エチルフェニル及びプロピルフェニルが挙げられる。
【0090】
本明細書で使用する「ヘテロアリールアルキル」なる用語は上記定義によるヘテロアリール部分とアルキル部分を含む系を意味する。ヘテロアリールアルキルの例としては限定されないが、チエニルメチル、チエニルエチル、チエニルプロピル、ピリジルメチル、ピリジルエチル及びイミダゾイルメチルが挙げられる。
【0091】
「シクロアルキルアルキル」なる用語は上記定義によるアルキル部分と上記定義によるシクロアルキル部分を含む系を意味する。シクロアルキルアルキルの例としては限定されないが、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルエチル等が挙げられる。
【0092】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」又は「ヘテロシクリルアルキル」なる用語は上記定義によるアルキル部分と上記定義によるヘテロシクロアルキル部分を含む系を意味する。ヘテロシクロアルキルアルキルの例としては限定されないが、モルホリニルメチル、ピペラジニルメチル、ピロリジニルメチル等が挙げられる。
【0093】
「ヒドロキシアルキル」又は「アルキルヒドロキシル」なる用語は1又は2個のヒドロキシ基で置換された炭素原子数1から6の直鎖1価炭化水素基又は炭素原子数3から6の分岐鎖1価炭化水素基を意味し、但し、ヒドロキシ基が2個存在する場合には同一炭素原子上に位置しない。代表例としては限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0094】
本明細書で使用する「複素環」又は「ヘテロシクリル」なる用語は特に指定しない限り、O、N、S、SO、又はSOから構成される群から選択される1から4個のヘテロ原子を含む5から10員非芳香環を意味し、二環基を含む。従って、「ヘテロシクリル」としては限定されないが、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピペリジニル、テトラヒドロチオフェニル等が挙げられる。複素環が窒素を含む場合には、当然のことながら対応するそのN−オキシドもこの定義に含まれる。
【0095】
本発明は式Iの化合物のN−オキシド誘導体及び保護誘導体も含む。例えば、式Iの化合物が酸化可能な窒素原子を含む場合には、当分野で周知の方法により窒素原子をN−オキシドに変換することができる。同様に式Iの化合物がヒドロキシ、カルボキシ、チオール又は任意窒素原子含有基等の基を含む場合には、これらの基を適切な保護基で保護することができる。適切な保護基の包括的リストは参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むT.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,Inc.1981に記載されている。式Iの化合物の保護誘導体は当分野で周知の方法により製造することができる。
【0096】
置換基の名称に「アルキル」又は「アリール」なる用語又はその接頭語根が含まれている場合(例えばアリールC0−8アルキル)には、常に「アルキル」及び「アリール」に関する上記限定を含むものと解釈すべきである。指定炭素原子数(例えばC1−10)はアルキルもしくは環状アルキル部分内の炭素原子数又はアルキルがその接頭語根として含まれる大きい置換基のアルキル部分を独立して意味する。
【0097】
本発明の化合物の医薬的に許容可能な塩としては、形成された無機酸又は有機酸としての本発明の化合物の慣用非毒性塩が挙げられる。例えば、慣用非毒性塩としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸から誘導される塩と、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、蓚酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸から製造される塩が挙げられる。上記医薬的に許容可能な塩及び他の典型的な医薬的に許容可能な塩の製造は参照により本明細書に組込むBergら,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19に詳細に記載されている。本発明の化合物の医薬的に許容可能な塩は塩基性又は酸性部分を含む本発明の化合物から従来の化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩はイオン交換クロマトグラフィーにより製造されるか、あるいは適切な溶媒又は種々に組み合わせた溶媒中で遊離塩基を化学量論的量又は過剰量の所望塩形成無機酸又は有機酸と反応させることにより製造される。同様に、酸性化合物の塩は適切な無機塩基又は有機塩基との反応により形成される。
【0098】
本明細書の趣旨では、以下の略語は以下に指定する意味をもつ。
AcOH=酢酸
BH・MeS=ボラン−硫化メチル錯体
Boc=t−ブチルオキシカルボニル
BocO=二炭酸ジ−tert−ブチル
BuLi=ブチルリチウム
CCl=四塩化炭素
CHCl=塩化メチレン
CHCN=アセトニトリル
CHCl=クロロホルム
CsCO=炭酸セシウム
CuI=ヨウ化銅
DIAD=アゾジカルボン酸ジプロピル
DIP−Cl=B−クロロジイソピノカンフェイルボラン
DMA=N,N−ジメチルアセトアミド
DMAP=4−(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
DPPA=ジフェニルホスホリルアジド
EDCI=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EtO=ジエチルエーテル
EtN=トリエチルアミン
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
HATU=o−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム=ヘキサフルオロリン酸塩
HOAc=酢酸
CO=炭酸カリウム
KOBu=カリウムtert−ブトキシド
LiOH=水酸化リチウム
mCPBA=メタクロロ過安息香酸
MeOH=メタノール
MeSOH=メタンスルホン酸
MgSO=硫酸マグネシウム
Ms=メタンスルホニル=メシル
MsCl=塩化メタンスルホニル
MTBE=メチルtert−ブチルエーテル
NaBH=水素化ホウ素ナトリウム
NaH=水素化ナトリウム
NaCO=炭酸ナトリウム
NaHCO=炭酸水素ナトリウム
NaOH=水酸化ナトリウム
NaSO=硫酸ナトリウム
NBS=N−ブロモスクシンイミド
NH=アンモニア
NHCl=塩化アンモニウム
Pd/C=炭素担持パラジウム
PdCl(dppf)=[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Pd(dba)=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
PG=保護基
PPh=トリフェニルホスフィン
PPTS=p−トルエンスルホン酸ピリジニウム
iPrNLi=リチウムジイソプロピルアミド
PyBOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム=ヘキサフルオロリン酸塩
rt=室温
sat.aq.=飽和水溶液
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
tlc=薄層クロマトグラフィー
Me=メチル
Et=エチル
n−Pr=ノルマルプロピル
i−Pr=イソプロピル
n−Bu=ノルマルブチル
i−Bu=イソブチル
s−Bu=第2ブチル
t−Bu=第3ブチル。
【0099】
本発明の新規化合物は適切な材料を使用して以下の一般手順に従って製造することができ、以下の特定実施例により更に例示する。しかし、実施例に例示する化合物が本発明とみなされる唯一の類を形成すると解釈すべきではない。以下の実施例は更に本発明の化合物の製造の詳細を例証する。当業者に自明の通り、以下の製造手順の条件及び工程の公知変形を使用してこれらの化合物を使用することができる。全温度は特に指定しない限り、摂氏である。
【0100】
(スキーム)
本発明の化合物は下記スキーム1に従って製造することができる。即ち、ジハロ芳香族化合物をモノリチオ化し、ジフルオロ酢酸エチル又はトリフルオロ酢酸エチルと反応させると、夫々ジフルオロケトン又はトリフルオロケトンが得られる。ケトンを水素化ホウ素ナトリウムで還元すると、アルコールが得られる。この反応はAlpine−Borane又はB−クロロジイソピノカンフェイルボラン等のキラル試薬を使用してエナンチオ選択的に実施することもできる。D系の置換基がハロゲンである場合には、パラジウム触媒下に適切なボロン酸と鈴木カップリングすると、本発明の化合物が得られる。あるいは、まずN−トリメチルシリル−ケトイミンを形成した後にBH・MeSでin situ還元することにより、ジフルオロケトン又はトリフルオロケトンを対応する第1級アミンに変換してもよい。アミンの還元はB−ブチル−ジフェニルピロリジノ−オキサザボロリジンでエナンチオ選択的に実施することもできる。第1級アミンを更にパラジウム触媒下に適切なボロン酸と鈴木カップリングすると、本発明の化合物が得られる。
【0101】
【化5】

【0102】
本発明の化合物は下記スキーム2に従って製造することもできる。即ち、ジハロ芳香族化合物をモノリチオ化し、アリール又はヘテロアリールアルデヒドと反応させると、対応するアルコールが得られる。得られたアルコールのD系の置換基がハロゲンである場合には、パラジウム触媒下に適切なボロン酸と鈴木カップリングすると、本発明の化合物が得られる。あるいは、アジドと光延反応させ、1,3−プロパンジチオールやトリエチルアミン等の条件を使用してアジドをアミンに還元することにより、アルコールを対応する第1級アミンに変換してもよい。その後、D環を鈴木カップリングにより反応させることによりアミンを本発明の化合物に変換することができる。
【0103】
【化6】

【0104】
本発明の化合物は下記スキーム3に従って製造することもできる。ジハロ芳香族化合物をモノリチオ化し、アセトン又はヘキサフルオロアセトンと反応させると、対応する第3級アルコールが得られる。このアルコールをスキーム3に記載する方法により本発明の化合物に変換することができる。
【0105】
【化7】

【0106】
本発明の化合物は下記スキーム4に従って製造することもできる。スキーム1で得られたジフルオロケトン又はトリフルオロケトンをアルキルリチウムと反応させることにより対応する第3級アルコールに変換することができる。その後、このアルコールを鈴木カップリング反応により本発明の化合物に変換することができる。
【0107】
【化8】

【実施例】
【0108】
以下、実施例により本発明の選択化合物の合成について記載するが、以下の実施例は例示の目的に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0109】
(実施例1)
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリルの合成
【0110】
【化9】

【0111】
ステップ1:1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノールの合成
1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノン(1.07g,4.55mmol)の冷(0℃)MeOH(30mL)溶液にNaBH(260mg,6.83mmol)を少量ずつ加えた。反応混合物を室温まで昇温し、16時間撹拌した。アセトン(5mL)を加えた後、水(10mL)を加えた。混合物を減圧濃縮した後、EtO(50mL)と0.1N HCl(25mL)を加えた。層分離し、有機抽出相をブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮すると、標記化合物が得られた。
【0112】
ステップ2:2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エタノールの合成
1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノール(1.07g,4.55mmol)、酢酸カリウム(1.33g,13.5mmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(1.37g,5.4mmol)のDMF(20mL)溶液を5分間窒素バブリングした後、PdCldppf(184mg,0.225mmol)を加え、反応混合物を80℃で一晩撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルプラグで濾過し、不溶分を除去した。濾液を濃縮すると、標記化合物が得られ、ステップ7でそのまま使用した。
【0113】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.75(2H,m),7.48(2H,d),5.90(1H,dt),5.30(1H,d),4.87(1H,m),1.31(12H,s)。
【0114】
ステップ3:1−ブロモ−4−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゼンの製造
4−ブロモ−3−フルオロトルエン(10.6g)の室温四塩化炭素(150mL)溶液に過酸化ベンゾイル(100mg)とN−ブロモスクシンイミド(10g)を加えた。混合物を(光照射により)80℃に4時間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却し、セライトで濾過し、ヘキサンで洗浄し、溶媒を減圧除去した。ヘキサンを使用して粗材料をSiOでクロマトグラフィーにより精製すると、不純物として1−ブロモ−4−(ジブロモメチル)−2−フルオロベンゼンから30%を含有する標記化合物が得られた。
【0115】
H NMR(CDCOCD)δ7.66−7.10(1H,m),7.42(1H,d),7.29(1H,d),4.66(2H,s)。
【0116】
ステップ4:(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)メタノールの製造
ステップ3からの1−ブロモ−4−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゼン(11.8g)の室温DMF(150mL)溶液に酢酸ナトリウム(10.8g)を加えた。混合物を80℃に16時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、氷冷下飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)に注ぎ、ジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。抽出相を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧除去した。酢酸エチルとヘキサン(1:25→1:10)を使用して粗材料をSiOでクロマトグラフィーにより精製すると、酢酸4−ブロモ−3−フルオロベンジル(4−ブロモ−3−フルオロベンズアルデヒド約15%含有)が得られた。残渣をメタノール(100mL)に溶かし、0℃まで冷却し、ナトリウムメトキシド(250mg)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(1.5g)を加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、氷冷下飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)に注いだ。混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。抽出相を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧除去した。酢酸エチルとヘキサン(1:5→1:3)を使用して残渣をSiOでクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物が得られた。
【0117】
H NMR(CDCOCD)δ7.55−7.65(1H,m),7.28(1H,d),7.15(1H,d),4.63(2H,d),4.50(1H,t)。
【0118】
ステップ5:(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)アセトニトリルの製造
ステップ4からの(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)メタノール(7.2g)とトリエチルアミン(5.9mL)の−78℃ジクロロメタン(300mL)溶液に塩化メタンスルホニル(3.0mL)をゆっくりと加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、氷冷下飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、層分離した。水層をジクロロメタン(1×150mL)で抽出した。抽出相を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧除去した。残渣をDMF(150mL)に溶かし、シアン化ナトリウム(5.1g)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、氷水(100mL)に注いだ。水相を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機抽出相を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧除去した。酢酸エチルとヘキサン(1:10→1:5)を使用して残渣をSiOでクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物が得られた。
【0119】
H NMR(CDCOCD)δ7.70−7.78(1H,m),7.39(1H,d),7.28(1H,d),4.09(2H,s)。
【0120】
ステップ6:1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボニトリルの製造
水酸化ナトリウム(水中50%W/W)溶液7.5mLにステップ5からの(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)アセトニトリル(6.4g)を溶かした室温溶液に1−ブロモ−2−クロロエタン(4.0mL)と塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(204mg)を加えた。混合物を60℃に5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水(100mL)に注いだ。水相を酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機抽出相を合わせて水(100mL)、塩化水素(100mL,水中10% HCl)及びブラインで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧除去した。メチルt−ブチルエーテルとヘキサンを使用してスウィッシュにより残渣を精製すると、標記化合物が得られた。
【0121】
H NMR(CDCOCD)δ7.69−7.73(1H,m),7.28(1H,d),7.25(1H,d),1.80−1.87(2H,m),1.59−1.65(2H,m)。
【0122】
ステップ7:1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリルの合成
ステップ6からの1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(72mg,0.30mmol)とステップ2からの2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エタノール(85mg,0.30mmol)のDMF(3mL)溶液に2.0M炭酸ナトリウム溶液(440μL,0.89mmol)を加えた。混合物を10分間窒素バブリングした後、PdClddpf(12mg,0.015mmol)を加えた。溶液をマイクロ波で120℃に500秒間加熱した。EtO(50mL)と水(50mL)を加え、層分離した。水相をEtO(3×50mL)で抽出し、有機抽出相を合わせてブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(50:50 EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0123】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.59(5H,m),7.35(1H,d),7.19(1H,d),5.97(1H,dt),4.92(1H,dt),1.82(2H,m),1.62(2H,m)。
【0124】
(実施例2)
2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパンアミドの合成
【0125】
【化10】

【0126】
ステップ1:(1R)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
Tetrahedron Asymmetry 1994,1075に報告されているように1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノンを(−)DBP−Clでエナンチオ選択的に還元すると、標記化合物が得られた。
【0127】
ステップ2:2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸の製造
4−ブロモフェニル酢酸(60g)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(60.5mL)及びヨードメタン(18mL)の−20℃THF(900mL)溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M,586mL)を30分間滴下した。反応混合物を−20℃で2時間撹拌し、室温まで2時間昇温し、最後に室温で2時間撹拌した。アリコートのH NMRは50%変換を示した。反応混合物を−20℃まで冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M,140mL)を加えた。混合物を室温まで2時間昇温し、室温で一晩エージングさせた。アリコートのH NMRは75%変換を示した。反応混合物を氷冷下6N HCl(190mL)に注ぎ、層分離し、エーテル(2×400mL)で抽出した。有機抽出相を合わせて飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮すると、標記化合物が得られた。H NMRは約20%の4−ブロモフェニル酢酸を示した。これをステップ3でそのまま使用した。
【0128】
標記化合物のH NMR(CDCOCD)δ7.52(2H,d),7.32(2H,d),3.79(1H,q),1.46(3H,d)。出発材料のピークは示さない。
【0129】
ステップ3:2−(4−ブロモフェニル)プロパンアミド
2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸(4.0g,17.5mmol)の0℃クロロホルム(175mL)溶液にトリエチルアミン(3.9mL,27.7mmol)を加えた後、クロロギ酸イソブチル(3.4mL,25.9mmol)を加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。その後、アンモニアガスを反応混合物に15分間バブリングし、室温まで1時間昇温した。反応混合物を氷水に注ぎ、CHCl(2×150mL)で抽出した。有機層を合わせて飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した後、MTBE/ヘキサンでスウィッシュすると、標記化合物が無色粉末として得られた。
【0130】
H NMR(CDCOCD)δ7.50(2H,d),7.35(2H,d),6.83(1H,s),6.22(1H,s),3.69(1H,q),1.40(3H,d)。
【0131】
ステップ4:2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロパンアミドの製造
2−(4−ブロモフェニル)プロパンアミド(500mg,2.192mmol)、酢酸カリウム(753mg,7.67mmol)及び98%ビス(ピナコラート)ジボロン(724mg,2.85mmol)のDMF(20mL)溶液を15分間窒素バブリングした後、PdCldppf(90mg,0.11mmol)を加え、再び10分間窒素バブリングした。反応混合物を65℃で一晩撹拌し、氷水に注ぎ、50%EtOAc/ヘキサン(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせて飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,1:1→2:1)により精製すると、標記化合物が得られた。
【0132】
H NMR(CDCOCD)7.70(2H,d),7.40(2H,d),6.75(1H,s),6.21(1H,s),3.70(1H,q),1.41(3H,d),1.34(12H,s)。
【0133】
ステップ5:2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパンアミドの合成
ステップ4からの2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロパンアミド(140mg,0.51mmol)とステップ1からの(1R)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(156mg,0.61mmol)のDMF(6mL)溶液に2.0M炭酸ナトリウム溶液(650μL,1.3mmol)を加えた。混合物を10分間窒素バブリングした後、PdClddpf(25mg,0.031mmol)を加えた。混合物を10分間再び窒素バブリングした。次に反応混合物を80℃て2時間撹拌し、氷/飽和NaHCO溶液に注ぎ、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせて飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。自動勾配ポンプシステムCombiFlashを使用してシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,30分間50:50→80:20)により精製すると、標記化合物が淡黄色粉末として得られた。
【0134】
H NMR(500MHz,Acetone):δ7.72(d,J=8.4Hz,2H);7.65(dd,J=3.2,8.2Hz,4H);7.49(d,J=8.2Hz,2H);6.80(s,1H);6.20(s,1H);5.90(d,J=5.5Hz,1H);5.32−5.26(m,1H);3.75(q,J=7.0Hz,1H);1.46(d,J=7.1Hz,3H)。MS(+APCI);324.2。
【0135】
(実施例3)
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミドの合成
【0136】
【化11】

【0137】
ステップ1:[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]アミンの合成
標記化合物は(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタナミンの合成(実施例8)で記載するように1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノンから出発して合成した。
【0138】
ステップ2:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリルの製造
水酸化ナトリウム(水中50%W/W)溶液22mLに4−ブロモフェニルアセトニトリル(18.0g)を溶かした室温溶液に1−ブロモ−2−クロロエタン(12.0mL)と塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(627mg)を加えた。混合物を60℃に一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、ジエチルエーテル(300mL)を加え、層分離した。エーテル層を水(100mL)、塩化水素(100mL,水中10% HCl)及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧除去し、ジエチルエーテルとヘキサンを使用してスウィッシュにより残渣を精製すると、標記化合物が得られた。
【0139】
H NMR(CDCOCD)δ7.60(2H,d),7.35(2H,d),1.74−1.80(2H,m),1.52−1.57(2H,m)。
【0140】
ステップ3:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸の製造
ステップ2からの1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(13g)の室温エチルアルコール(110mL)溶液に水酸化ナトリウム(水中25%W/W NaOH)溶液56mLを加えた。混合物を100℃に一晩加熱した。室温まで冷却し、氷冷下塩化水素(1N)に注ぎ、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。抽出相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧除去すると、標記化合物が得られた。
【0141】
H NMR(CDCOCD)δ7.50(2H,d),7.35(2H,d),1.53−1.60(2H,m),1.18−1.22(2H,m)。
【0142】
ステップ4:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボキサミドの製造
ステップ3からの1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸(1.5g)の−15℃クロロホルム(60mL)溶液にクロロギ酸イソブチル(900μL)とトリエチルアミン(1.1mL)を加えた。反応混合物を−15℃で2時間撹拌した。次にアンモニアガスで飽和させ、−15℃で10分間撹拌した。反応混合物を室温で1時間放置した後、水(60mL)に注ぎ、層分離した。水層をジクロロメタン(2×60mL)で抽出した。抽出相を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧除去した。ジエチルエーテルとヘキサンを使用してスウィッシュにより残渣を精製すると、標記化合物が得られた。
【0143】
H NMR(CDCOCD)δ7.54(2H,d),7.40(2H,d),6.45(1H,bs),5.96(1H,bs),1.42−1.48(2H,m),0.98−1.02(2H,m)。
【0144】
ステップ5:1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミドの合成
1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボキサミド(9.4g,39.2mmol)、酢酸カリウム(13.45g,137mmol)及び98%ビス(ピナコラート)ジボロン(12.95g,51mmol,1.3当量)のDMF(150mL)溶液を15分間窒素バブリングした後、PdCldppf(1.6g,1.959mmol)を加え、再び10分間窒素バブリングした。反応混合物を65℃で一晩撹拌し、氷水に注ぎ、50%EtOAc/ヘキサン(3×300mL)で抽出した。有機層を合わせて飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,1:1→2:1)により精製した後にMTBE/ヘキサンを使用してトリチュレーションすると、標記化合物が薄ベージュ色固体粉末として得られた。
【0145】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.74(2H,d,J=8.0Hz),7.46(2H,d,J=8.0Hz),6.34(1H,s),5.80(1H,s),1.48−1.46(2H,m),1.36(12H,s),1.00(2H,q,J=3.4Hz)。
【0146】
ステップ6:1−「4’−[(1S)−1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミドの合成
ステップ1からの[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]アミン(2.1g,8.9mmol)とステップ5からの1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(3.0g,10.45mmol)のDMF(40mL)溶液に2.0M炭酸ナトリウム溶液(11mL,22mmol)を加えた。混合物を10分間窒素バブリングした後、PdCldppf(400mg,0.49mmol)を加えた。混合物を再び10分間窒素バブリングした。次に、反応混合物を80℃で2時間撹拌し、氷冷下飽和NaHCO溶液に注ぎ、EtOAc(3×150mL)で抽出した。有機層を合わせて飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,60:40→75:25→10%EtOH/EtOAc)により精製した後にMTBE/ヘキサンを使用してトリチュレーションすると、標記化合物が淡黄色粉末として得られた。
【0147】
H NMRδ(ppm)(CDOD):7.68(4H,dd,J=2.3,8.3Hz),7.53(4H,dd,J=3.6,8.2Hz),6.05−5.81(1H,m),4.23−4.17(1H,m),1.56(2H,q,J=3.5Hz),1.15(2H,q,J=3.5Hz)。MS(+APCI)=317.0。E.E.=100%(Chiralcel OD 4.6X250mm,80%ヘキサン/20%EtOH/0.1%ジエチルアミン,Rt=19.447分で測定)。旋光度=+11.3(c=1,MeOH)。
【0148】
(実施例4)
1−{4’−[(2,4−ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミドの合成
【0149】
【化12】

【0150】
ステップ1:(4−ブロモフェニル)(2,4−ジフルオロフェニル)メタノールの合成
1,4−ジブロモフェニル(12.3g,52mmol)の冷(−78℃)EtO(200mL)溶液に撹拌下にn−BuLi(ヘキサン中2.5M,19.2mL,48mmol)を加え、反応混合物を1時間撹拌した。この混合物を次に2,4−ジフルオロベンズアルデヒドの冷(−78℃)溶液(4.4mL,40mmol)に加え、−78℃で2時間撹拌した。水(200mL)を加え、層分離した。水層をEtO(2×250mL)で抽出し、有機抽出相を合わせて乾燥し(NaSO)、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(15:85 EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0151】
ステップ2:1−{4’−[(2,4−ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミドの合成
ステップ1からの(4−ブロモフェニル)(2,4−ジフルオロフェニル)メタノール(90mg,0.3mmol)、実施例3,ステップ5からの1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(170mg,0.36mmol)及びPdCl(dppf)(12mg,0.015mmol)の無水DMF(4mL)溶液にNaCO水溶液(2M,450μL,0.9mmol)を加えた。溶液を80℃に16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、1M NaOH(5mL)とEtO(50mL)を加えた。層分離し、有機相を1N NaOH(25mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(70:30 EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0152】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.65(4H,m),7.50(4H,m),7.05(1H,t),6.95(1H,t),6.70(1H,bs),6.15(1H,s),5.95(1H,bs),1.49(2H,m),1.05(2H,m)。
【0153】
(実施例5)
1−{4’−[アミノ(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミドの合成
【0154】
【化13】

【0155】
ステップ1:(4−ブロモフェニル)(2,4−ジフルオロフェニル)メチルアジドの合成
実施例4,ステップ1からの(4−ブロモフェニル)(2,4−ジフルオロフェニル)メタノール(1.65g,5.5mmol)とPPh(1.73g,6.6mmol)の無水THF(30mL)溶液にDIAD(1.3mL,6.6mmol)を加えた後にDPPA(1.45mL,6.6mmol)を加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌し、この時点で水(50mL)を加えた。層分離し、水相をEtO(2×100mL)で抽出した。有機抽出相を合わせて乾燥し(NaSO)濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(5:95 EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0156】
ステップ2:[(4−ブロモフェニル)(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]アミンの製造
(4−ブロモフェニル)(2,4−ジフルオロフェニル)メチルアジド(1.16g,3.58mmol)のMeOH(15mL)溶液に1,3−プロパンジチオール(1.1mL,10.7mmol)を加えた後にEtN(1.5mL,10.7mmol)を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した後、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(50:50 EtOAc/ヘキサン→70:30 EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0157】
ステップ3:1−{4’−[アミノ(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミドの合成
ステップ2からの[(4−ブロモフェニル)(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]アミン(90mg,0.3mmol)、実施例3,ステップ5からの1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(170mg,0.36mmol)及びPdCl(dppf)(12mg,0.015mmol)の無水DMF(4mL)溶液にNaCO水溶液(2M,450μL,0.9mmol)を加えた。溶液を80℃に16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、1M NaOH(5mL)とEtO(50mL)を加えた。層分離し、有機相を1N NaOH(25mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(95:5 EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0158】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.60(4H,m),7.51(4H,m),6.98(2H,m),6.60(1H,bs),6.02(1H,s),5.92(1H,bs),1.49(2H,m),1.03(2H,m)。
【0159】
(実施例6)
1−[4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミドの合成
【0160】
【化14】

【0161】
ステップ1:1−[4’−(トリフルオロアセチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミドの合成
1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(133mg,0.53mmol)、実施例3,ステップ5からの1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(151mg,0.53mmol)及びPdCl(dppf)(43mg,0.053mmol)の無水DMF(4mL)溶液にNaCO水溶液(2M,0.8mL,1.58mmol)を加えた。溶液をマイクロ波で120℃に500秒間加熱した。EtO(50mL)と水(50mL)を加え、層分離した。水相をEtO(3×50mL)で抽出し、有機抽出相を合わせてブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(50:50 EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0162】
H NMRδ(ppm)(Acetone):8.25(2H,d),8.03(2H,d),7.83(2H,d),7.62(2H,d),6.47(1H,s),5.96(1H,s),1.5(2H,m),1.07(2H,m)。
【0163】
ステップ2:1−[4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミドの合成
ステップ1からの1−[4’−(トリフルオロアセチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド(89mg,0.27mmol)の冷(−78℃)THF(3mL)溶液にMeLi(EtO中1.6M,340μL,0.54mmol)を加え、2時間撹拌した。飽和NHCl水溶液(10mL)を加え、層分離した。水相をEtOAc(3×50mL)で抽出し、有機抽出相を合わせてブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。残渣のH NMRは50:50の出発材料対生成物比を示した。従って。残渣をTHF(3mL)に再溶解し、−78℃まで冷却し、更にMeLiアリコート(1.3mL,2mmol)を加えた。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、0℃まで10分間昇温した後、室温まで10分間昇温した。飽和NHCl水溶液(10mL)を加え、層分離した。水相をEtOAc(3×50mL)で抽出し、有機抽出相を合わせてブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(60:40 EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0164】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.80−7.65(6H,m),7.50(2H,d),6.40(1H,s),5.85(1H,s),1.80(3H,s),1.45(2H,m),1.02(2H,m)。
【0165】
(実施例7)
1−{4−[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−イル]フェニル}シクロプロパンカルボキサミドの合成
【0166】
【化15】

【0167】
ステップ1:1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノンの合成
2,5−ジブロモピリジン(8.0g,33.9mmol)の冷(−78℃)トルエン(230mL)溶液にn−BuLi(ヘキサン中2.5M,13.5mL,33.8mol)を加え、混合物を30分間撹拌した。トリフルオロ酢酸2,2,2−トリフルオロエチル(5.0mL,37.3mmol)を15分間滴下した後に混合物を−78℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで昇温した後に飽和NHCl水溶液(50mL)でクエンチした。層分離し、水相をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機抽出相を合わせて乾燥し(MgSO)、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:15:85 EtOAc:ヘキサン→40:60 EtOAc:ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。
【0168】
ステップ2:1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
ステップ1からの1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(1.7g,6.7mmol)の冷(0℃)MeOH(80mL)溶液に固体NaBH(0.5g,13.2mmol)を加え、混合物を30分間撹拌した後、AcOH(1mL)でクエンチした。溶媒を除去し、残渣を水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機抽出相を合わせて飽和NaHCO水溶液(1×50mL)、ブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥した(NaSO)。乾燥した抽出相を濃縮すると、標記化合物が薄茶色油状物として得られた。
【0169】
H NMRδ(ppm)(Acetone):8.70(1H,d,J=2.0Hz),8.13(1H,dd,J=2.3,8.4Hz),7.66(1H,d,J=8.4Hz),6.02(1H,d,J=6.5Hz),5.26−5.20(1H,m)。
【0170】
ステップ3:1−{4−[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−イル]フェニル}シクロプロパンカルボキサミドの合成
ステップ2からの1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(128mg,0.5mmol)、実施例3,ステップ5からの1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(220mg,0.77mmol)及びPdCl(dppf)(41mg,0.05mmol)の無水DMF(5mL)溶液にNaCO水溶液(2M,900μL,1.8mmol)を加えた。溶液を85℃に3時間加熱した。EtO(50mL)と水(50mL)を加え、層分離した。水相をEtO(3×50mL)で抽出し、有機抽出相を合わせてブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(5:95 EtOH/CHCl)に付すと、標記化合物が白色粉末として得られた。
【0171】
H NMRδ(ppm)(Acetone):8.90(1H,d,J=1.9Hz),8.19(1H,dd,J=2.3,8.2Hz),7.76−7.74(3H,m),7.59(2H,d,J=8.3Hz),6.37(1H,s),5.92(1H,d,J=6.6Hz),5.88(1H,s),5.31−5.25(1H,m),1.47(2H,q,J=3.4Hz),1.04(2H,q,J=3.4Hz)。MS(+ESI):337(M+1)
【0172】
(実施例8)
(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタナミンの合成
【0173】
【化16】

【0174】
ステップ1:1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタンイミンの合成
1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(491mg,2.82mmol)を室温のトルエン(10mL)に溶かした。リチウムビス(トリメチルシリルアミド)溶液(THF中1M,3.15mL,3.15mmol)を10分間加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌した後、濃縮すると、N−[1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチリデン]−1,1,1−トリメチルシランアミンが得られた。MeOH中、室温で16時間撹拌することによりN−TMS−ケトイミンのソルボリシスを実施した。MeOHを除去すると、標記化合物が得られた。
【0175】
ステップ2:(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタナミンの合成
(R)−B−ブチル−ジフェニルピロリジノ−オキサザボロリジン(トルエン中0.3M,3.14mL,0.94mmol)をトルエン(10mL)に溶かした溶液を−15℃まで冷却し、カテコールボラン(6.01mL,56.5mmol)を溶液に加えた。ステップ1からの1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタンイミン(10g,37.6mmol)のトルエン(40mL)溶液をシリンジポンプで2.5時間滴下した。添加の完了後、反応混合物を−15℃で18時間撹拌した。1N HCl水溶液(50mL)を加えて反応をクエンチし、室温まで昇温させ、層分離した。水層を10N NaOHでpH12まで塩基性化した。水層をMTBE(1×50mL)で抽出した。層分離し、有機層を2N NaOH水溶液(2×50mL)と水(50mL)で洗浄した。有機層をAmberlite IRC−50Sイオン交換樹脂(5g)で40分間処理し、(R)−ジフェニルプロリノールを除去し、濾過した。有機層を乾燥し、濾過した。アミン粗溶液に塩化水素溶液(EtO中2M,40mL)を加えた。白色沈殿が形成された。室温で1時間エージング後にスラリーを濾過し、固形分をMTBE(10mL)で洗浄すると、(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタナミン塩酸塩が白色粉末として得られた。
【0176】
H NMRδ(ppm)(CDOD):7.73(2H,d,J=8.5),7.51(2H,d,J=8.5),5.42(1H,q,J=7.4)。
【0177】
(実施例9)
(1R)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタナミンの合成
【0178】
【化17】

【0179】
標記化合物は(S)−B−ブチル−ジフェニルピロリジノ−オキサザボロリジンを触媒として使用して(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタナミン(実施例8)と同様に合成した。
【0180】
(実施例10)
[1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]アミンの合成
【0181】
【化18】

【0182】
1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(491mg,2.82mmol)を室温のトルエン(10mL)に溶かした。リチウムビス(トリメチルシリルアミド)溶液(THF中1M,3.15mL,3.15mmol)を10分間加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌し、BH・MeS(トルエン中2M,2.82mL,5.73mmol)を加えた。反応混合物を室温で20分間撹拌した。0℃まで冷却後、2N NaOH水溶液(4mL)を5分間注意深く滴下した。混合物を室温で90分間撹拌した。層分離し、有機層を2N NaOH水溶液(5mL)と水(5mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過した。濾液を濃縮すると、標記化合物が得られた。別法として、粗遊離アミンのトルエン溶液にHCl溶液(1,4−ジオキサン中4M,1mL)を加えた。白色沈殿が形成され、固形分をMTBE(10mL)で洗浄すると、[1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]アミン塩酸塩が白色粉末として得られた。
【0183】
(実施例11)
[1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]アミンの合成
【0184】
【化19】

【0185】
[1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]アミンの合成(実施例10)に使用したと同一手順を使用して標記化合物を生成した。唯一の相違は1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノンを出発材料として使用した点である。
【0186】
(実施例12)
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリルの合成
【0187】
【化20】

【0188】
ステップ1:2−(4−ブロモフェニル)プロパン−2−オールの合成
1−(4−ブロモフェニル)エタノン(10g,50.2mmol)の冷(0℃)ベンゼン(50mL)溶液にMeMgBr(EtO中3M,22.3mL,66.8mmol)を加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、NHCl水溶液でクエンチした。混合物を40% EtOAc/ヘキサンで抽出し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/トルエン,0:1→1:9)により精製すると、標記化合物が薄ベージュ色固体粉末として得られた。
【0189】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.5(2H,d),7.4(2H,d),1.6(6H,s)。
【0190】
ステップ2:2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロパン−2−オールの合成
2−(4−ブロモフェニル)プロパン−2−オール(6g,28mmol)、酢酸カリウム(8.2g,84mmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(10.6g,42mmol)のDMF(80mL)溶液を脱気した後、PdCldppf(1.14g,1.4mmol)を加えた。反応混合物を90℃で一晩撹拌した後、水で希釈し、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出相を合わせてブライン(1×)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/トルエン,0:1→1:9)により精製し、ヘキサンで一晩スウィッシュすると、濾過後に標記化合物が薄ベージュ色固体粉末として得られた。
【0191】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.71(2H,d),7.55(2H,d),4.10(IH,s),1.58(6H,s),1.38(12H,s)。
【0192】
ステップ3:1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリルの合成
上記ステップ2からの2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロパン−2−オール(1.35g,5.2mmol)と実施例1,ステップ6からの1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(1.03g,4.3mmol)のDMF(21mL)溶液を脱気した後、PdCldppf(350mg,0.4mmol)と2M NaCO水溶液(6.4mL,12.9mmol)を加えた。反応混合物を90℃で4時間撹拌した後、水で希釈し、EtOAc(4×)で抽出した。有機抽出相を合わせてブライン(2×)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,0:1→2:8→3:7)により精製すると、標記化合物が白色固体粉末として得られた。
【0193】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.67(2H,d,J=8.4Hz),7.60(1H,d,J=8.1Hz),7.57−7.53(2H,m),7.35(1H,dd,J=2.0,8.0Hz),7.22(1H,dd,J=2.0,12.1Hz),4.13(1H,s),1.85(2H,q,J=4.2Hz),1.67−1.63(2H,m),1.58(6H,s)。
【0194】
(実施例13)
1−(2−フルオロ−1,1’:4’,1”−テルフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリルの合成
【0195】
【化21】

【0196】
ステップ1:1−[3−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボニトリルの合成
実施例1,ステップ6からの1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(2g,8.3mmol)、酢酸カリウム(2.4g,24.4mmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(3.2g,12.5mmol)のDMF(25mL)溶液を脱気後、PdCldppf(0.34g,0.4mmol)を加えた。反応混合物を85℃で一晩撹拌した後、水で希釈し、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出相を合わせてブライン(1×)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。残渣にヘキサンを加えて一晩スウィッシュすると、濾過後に標記化合物が薄ベージュ色固体粉末として得られた。
【0197】
H NMRδ(ppm)(Acetone):7.74(1H,t,J=7.0Hz),7.26(1H,d,J=6.6Hz),7.06(1H,d,J=10.3Hz),1.85(2H,q,J=4.4Hz),1.66−1.62(2H,m),1.37(12H,s)。
【0198】
ステップ2:1−(2−フルオロ−1,1’:4’,1”−テルフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリルの合成
上記ステップ1からの1−[3−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボニトリル(296mg,1.0mmol)と4−ブロモビフェニル(200mg,0.86mmol)のDMF(5mL)溶液を脱気後、PdCldppf(35mg,0.04mmol)と2M NaCO水溶液(1.3mL,2.6mmol)を加えた。反応混合物を90℃で一晩撹拌した後、水で希釈し、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出相を合わせてブライン(1×)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/トルエン,0:1→1:9)により精製した後、ヘキサンを加えて一晩スウィッシュすると、濾過後に標記化合物が白色固体粉末として得られた。
【0199】
H NMRδ(ppm)(Acetone):8.31(2H,d,J=8.3Hz),8.26−8.20(4H,m),8.15(1H,t,J=8.1Hz),8.02(2H,t,J=7.7Hz),7.93(1H,d,J=7.5Hz),7.88(1H,dd,J=2.0,8.2Hz),7.75(1H,dd,J=2.0,12.1Hz),2.36(2H,q,J=4.3Hz),2.19−2.15(2H,m)。
【0200】
上記と同様の実験手順を使用して下記化合物を合成した。
【0201】
【表1】

















【0202】
MAOアッセイ
溶液
・5倍緩衝液
250mMリン酸ナトリウム,pH7.4:1M NaHPO 38.7ml,1M NaHPO 11.3ml,HO 150ml。
水(プレート1枚当たり11ml)で1倍まで希釈する。
・MAO−A
組換えヒトMAO−A
Sigma # M7316
Lot# 024K1057
5mg/mL,120U/mg
1倍緩衝液(プレート1枚当たり2.7ml)で20ug/mlまで希釈する。
・MAO−B
組換えヒトMAO−B
Sigma # M7441
Lot# 053K0345
5mg/mL,40U/mg
1倍緩衝液(プレート1枚当たり2.7ml)で80ug/mlまで希釈する。
・キヌラミン
Sigma #K3250
MW:326
水中20mMに調製したストック溶液(6.5mg/ml)
−20℃で保存する。
1倍緩衝液(プレート1枚当たり5.5mL)で40uMまで希釈する。
・NaOH
1N水溶液(プレート1枚当たり5.5ml)。
【0203】
手順
・黒色96ウェルプレート(Microfluorl Black #7005)に、
緩衝液25ul、
化合物又はDMSO(終濃度100、33、11、3.7、1.2、0.4、0.14、0.05、0.015、0.005uM)1ul、
20ug/ml MAO−A又は80ug/ml MAO−B(夫々終濃度5又は20ug/ml)又はバッククラウンド対照用緩衝液25ulを加える。
振盪する。
室温で10分間インキュベートする。
・40uMキヌラミン(終濃度20uM)50uLを添加する。振盪する。37℃でMAO−Aは30分間、MAO−Bは40分間インキュベートする。
・1N NaOH 50uLを添加することにより反応を停止する。振盪する。
・SpectraMax(登録商標)Gemini(エンドポイントモード,トップリード,Exc=312nm,Em=425nm,カットオフ420nm,1ウェル当たり30回読み取り,PMT=高)で読取る;DMSO対照の読み取り値は1000から2000FUとする。
・Softmax(登録商標)Proを使用してIC50を計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物
[式中、Yは水素、C(R)(R)X、C(O)R、C(O)R、C(O)OR、CH(OH)R、(C1−6アルキル)C(O)CROH、(C1−6アルキル)CROH、(C1−6アルキル)OH、SO、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロ、シアノ又はヒドロキシルから独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
Xは水素、NH又はOHであり;
は水素又は場合により1から6個のハロ、ヒドロキシル、O(C1−6アルキル)もしくはカルボニルで置換されたC1−6アルキルであり;
は水素、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヒドロキシルであり、前記アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキル基は場合により1から6個のハロで置換されており;
あるいはRとRはそれらが結合している炭素原子と一緒になり、場合により1から6個のハロで置換されたC3−8シクロアルキル環を形成してもよく;
Dはアリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ又はシアノから構成される群から独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
Eはアリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記各アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ又はシアノから構成される群から独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルキルオキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(O)OR、−C(O)OSi[CH(CH、−OR、−OR、−C(O)R、−RC(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(R)(R)OH、−SR、−SR、−RSR、−R、−C(R、−C(R)(R)N(R、−NRC(O)NRS(O)、−SO、−SO(R)、−SO、−SON(R)(R)、−SOCH(R)(R)、−SON(R)C(O)(R)、−SO(R)C(O)N(R、−OSO、−N(R)(R)、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)OR、−N(R)SO(R)、−C(R)(R)NRC(R)(R)R、−C(R)(R)N(R)R、−C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)SC(R)(R)(R)、RS−、−C(R)(R)NRC(R)(R)(R)、−C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)C(R)(R)N(R)(R)、−C(O)C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)N(R)C(O)R、−C(O)C(R)(R)S(R)、C(R)(R)C(O)N(R)(R)、C(R)(R)C(O)OH、−B(OH)、−OCHO−又は4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルであり;前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は場合によりC1−6アルキル、ハロ、ケト、シアノ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、−OR、−NO、−NH、−NHS(O)、−RSO、−SO、−SO(R)、−SR、−SR、−SON(R)(R)、−SON(R)C(O)(R)、−C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)OH、−COOH、−C(R)(R)C(O)N(R)(R)、−C(O)(R)(R)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−N(R)C(R)(R)(R)、N(R)CO(R)、−NH(CHOH、−NHC(O)OR、−Si(CH、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールから独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
は水素、アリール、アリール(C1−4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−4)アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル(C1−4)アルキル又はヘテロシクリル(C1−4)アルキルであり、前記基は場合によりハロ、アルコキシ又は−SOから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素又はハロ、アルコキシ、シアノ、−NRもしくは−SRから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;
は水素、C1−6アルキル、(C1−6アルキル)アリール、(C1−6アルキル)ヒドロキシル、−O(C1−6アルキル)、ヒドロキシル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は場合によりC1−6アルキル又はハロから独立して選択される1、2又は3個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
は水素、C1−6アルキル、(C1−6アルキル)アリール、(C1−6アルキル)ヒドロキシル、−O(C1−6アルキル)、ヒドロキシル、ハロ、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル又はヘテロシクリルであり、前記アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリル基は場合によりC1−6アルキル又はハロから独立して選択される1、2又は3個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されており;
あるいはRとRはそれらが結合しているか又はそれらの間に存在している炭素原子と一緒になり、C3−8シクロアルキル環又はC3−8ヘテロシクリル環を形成してもよく、前記3から8員環系は場合によりC1−6アルキル及びハロから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよく;
各mは0から2の整数から独立して選択される]
又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体。
【請求項2】
Dがアリールであり;Eがアリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又はヘテロアリール基は場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル又はハロから独立して選択される1から5個の置換基で炭素又はへテロ原子を置換されている請求項1の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体。
【請求項3】
が水素、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、−C(O)OR、−C(R)(R)OH、−SO、C(R)(R)C(O)N(R)(R)又はC(R)(R)C(O)OHであり、前記アルキル及びシクロアルキル基は場合によりC1−6アルキル、シアノ、ハロ、C(O)NH、C(O)NHR、COOH又は−ORから独立して選択される1から5個の置換基で置換されている請求項2の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体。
【請求項4】
が場合によりシアノで置換されたC3−8シクロアルキルである請求項3の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体。
【請求項5】
が水素又はC1−3アルキルであり;Rが水素又はC1−3アルキルであり;XがOH又は水素である請求項4の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体。
【請求項6】
1−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−N−シクロプロピルシクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]−2−フルオロビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{2−フルオロ−4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパン酸;
(2S)−2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパン酸;
(2S)−2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパンアミド;
1−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボン酸;
2−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]アセトアミド;
2,2−ジフルオロ−1−[4−(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]エタノール;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]−2−メチルプロパン−2−オール;
1−{6−[4−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル]ピリジン−3−イル}シクロプロパノール;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパノール;
(1R)−1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエタノール;
2−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]−2−メチルプロパンアミド;
2−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]−2−メチルプロパンアミド;
2−{2−フルオロ−4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}−2−メチルプロパンアミド;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4−[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−イル]フェニル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{3−フルオロ−4−[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−イル]フェニル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−ビフェニル−4−イル−2,2,2−トリフルオロエタノール;
(1−ビフェニル−4−イル−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン;
2,2−ジフルオロ−1−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}エタノン;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエタノン;
1,1−ジフルオロ−2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパン−2−オール;
2−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−1,1−ジフルオロプロパン−2−オール;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
2,2−ジフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エタノール;
2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エタン−1,1−ジオール;
N−シクロプロピル−1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−[4’−(1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]−N−シクロプロピルシクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(1R)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−[4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[(2,4−ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−{4’−[アミノ(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−3’−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
(1R)−1−[4’−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノール;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエタノール;
{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}アミン;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボン酸;
1−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2−ジフルオロエチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド;
2−[4’−(1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル)ビフェニル−4−イル]プロパンアミド;
2−{4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパンアミド;
(2S)−2−{2−フルオロ−4’−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]ビフェニル−4−イル}プロパンアミド;
(2S)−2−{4’−[(1S)−1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル]−2−フルオロビフェニル−4−イル}プロパンアミド;
1−ビフェニル−4−イル−2,2,2−トリフルオロエタノール;
(1−ビフェン−4−イル−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン;
(1R)−1−(4’−ブロモビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエタノール;
1−{4’−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシルエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(トリフルオロアセチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−{2−フルオロ−4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−3−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−4’−イソプロピルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(2−ヒドロキシピペリジン−2−イル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシシクロブチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
2,2,2−トリフルオロ−1−(4’−イソプロピルビフェニル−4−イル)エタノール;
1−[2−フルオロ−4’−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−3’−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4−(1−ベンゾチエン−3−イル)−3−フルオロフェニル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−3’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−{2−フルオロ−2’−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−{2−フルオロ−4’−[ヒドロキシ(1,3−チアゾール−2−イル)メチル]ビフェニル−4−イル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−3’−(3−ヒドロキシ−3−メチル−2−オキソブチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−{3−フルオロ−4−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−2−イル]フェニル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4−(5−アセチル−2−チエニル)−3−フルオロフェニル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−{3−フルオロ−4−[5−(メチルスルホニル)ピリジン−2−イル]フェニル}シクロプロパンカルボニトリル;
4’−(1−シアノシクロプロピル)−2’−フルオロビフェニル−4−カルボン酸メチル;
1−(4’−ベンゾイル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(3’−アセチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(3’−エチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(2−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−[2−フルオロ−3’−(2−ヒドロキシエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−1,1’:3’,1”−テルフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−1,1’:2’,1”−テルフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−1,1’:4’,1”−テルフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−3’−メチルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−2’−メチルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(4’−エチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−2’−イソプロピルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−4’−メチルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[3−フルオロ−4−(2−ナフチル)フェニル]シクロプロパンカルボニトリル;
1−(4’−アセチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[3−フルオロ−4−(1H−インドール−5−イル)フェニル]シクロプロパンカルボニトリル;
1,1’−(2,2’−ジフルオロビフェニル−4,4’−ジイル)ジシクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−4’−ピリジン−3−イルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−(2−フルオロ−4’−イソプロピルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(1−アミノ−1−メチルエチル)−2−フルオロビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]アセトニトリル;
4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−カルボキサミド;
4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−スルホンアミド;
4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−3−カルボキサミド;
2−[4−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]プロパン−2−オール;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−3−イル]エタノン;
2−[4−(2−ナフチル)フェニル]プロパン−2−オール;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]エタノン;
2−(1,1’:4’,1”−テルフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
2−(1,1’:2’,1”−テルフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
2−(1,1’:3’,1”−テルフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
2−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]プロパン−2−オール;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−3−イル]シクロプロパンカルボニトリル;
2,2’−ビフェニル−4,4’−ジイルジプロパン−2−オール;
2−[3’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]プロパン−2−オール;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボン酸;
2−{4’−[(メチルスルホニル)メチル]ビフェニル−4−イル}プロパン−2−オール;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]メタンスルホンアミド;
1−{6−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]ピリジン−3−イル}シクロプロパンカルボニトリル;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−3−イル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4’−ピリジン−3−イルビフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]キノリン−2−カルボニトリル;
1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]−N−メチルシクロプロパンカルボキサミド;
[({1−[4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロピル}カルボニル)(メチレン)−λ−アザニル]アセトニトリル;
2−(4’−イソプロポキシビフェニル−4−イル)プロパン−2−オール;
1−[2−フルオロ−4’−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ビフェニル−4−イル]シクロプロパンカルボキサミドである請求項1の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体。
【請求項7】
請求項1の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項8】
気分障害、鬱病、双極性障害、物質誘発性気分障害、不安障害、認知障害、譫妄、健忘症、アルツハイマー病、統合失調症、統合失調症型障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、常習行為、運動障害、無動症、無動・硬直症候群、パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソン病、ジルドラツーレット症候群、癲癇、ジスキネジア、舞踏病、ミオクローヌス、チック症、ジストニア、肥満症、神経性大食症、強迫性摂食障害、過食関連摂食障害、変形性骨関節炎、反復性運動痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛、周術期疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、三叉神経痛、偏頭痛、注意欠陥多動性障害、行為障害、筋痙攣、尿失禁、筋萎縮性側索硬化症、ニューロン損傷、視覚損傷、網膜症、黄斑変性症、難聴、耳鳴り、嘔吐、脳浮腫又は睡眠障害の治療用医薬の製造における請求項1の化合物を含有する医薬組成物の使用。
【請求項9】
請求項1の化合物と、抗鬱剤、抗不安剤、アルツハイマー病治療剤、鎮静剤、催眠剤、不安緩解剤、総合失調症治療薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニスト、メラトニンアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニスト、レボドパ、抗コリン薬、塩酸トリヘキシルフェニジル、COMT阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動薬、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ドーパミン受容体アゴニスト、神経抑制薬、食欲抑制剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ハロゲン化アンフェタミン誘導体、オピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、インターロイキン阻害剤、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、サイトカイン抑制性抗炎症薬、鎮痛剤、効力増強剤、H2アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、充血除去剤、鎮咳薬及び抗ヒスタミン薬から構成される群から選択される別の物質を含有する医薬組成物。
【請求項10】
気分障害、鬱病、双極性障害、物質誘発性気分障害、不安障害、認知障害、譫妄、健忘症、アルツハイマー病、統合失調症、統合失調症型障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、常習行為、運動障害、無動症、無動・硬直症候群、パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソン病、ジルドラツーレット症候群、癲癇、ジスキネジア、舞踏病、ミオクローヌス、チック症、ジストニア、肥満症、神経性大食症、強迫性摂食障害、過食関連摂食障害、変形性骨関節炎、反復性運動痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛、周術期疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、三叉神経痛、偏頭痛、注意欠陥多動性障害、行為障害、筋痙攣、尿失禁、筋萎縮性側索硬化症、ニューロン損傷、視覚損傷、網膜症、黄斑変性症、難聴、耳鳴り、嘔吐、脳浮腫又は睡眠障害の治療用医薬の製造における請求項9の医薬組成物の使用。

【公表番号】特表2008−546651(P2008−546651A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516089(P2008−516089)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000981
【国際公開番号】WO2006/133559
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】