説明

三次元画像取得装置および三次元画像取得方法

【課題】マイクロレンズとピンホールとの間にビームスプリッタを設けずともマイクロレンズを介すことなく反射光を光検出器に導くことができる三次元画像取得装置を提供する。
【解決手段】共焦点光学系を用いた三次元画像取得装置10であって、マイクロレンズ板13は、照明光を集光する複数のマイクロレンズが二次元に配設される。照明側開口板14は、マイクロレンズの集光位置に設けられた照明側開口部を有し、照明側開口部によりマイクロレンズが集光した照明光を被計測体17に向けて通過させる。偏光ビームスプリッタ15は、照明側開口板14を通過した照明光を透過するとともに、被計測体17からの反射光を照明光の光路とは異なる光路に反射する。検出側開口板21は、照明側開口部と光学的に共役な位置に設けられた検出側開口部を有し、検出側開口部により偏光ビームスプリッタ15で反射された反射光を光検出器に向けて通過させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共焦点光学系を用いて物体の三次元画像を取得する三次元画像取得装置および三次元画像取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の共焦点光学系を用いて物体の三次元画像を取得する技術に、特開平9−26545号公報(特許文献1)に開示された技術がある。
【0003】
この特許文献1に開示された共焦点光スキャナは、複数のマイクロレンズがアレイ状に配置されたディスク、マイクロレンズと同一パターンで微小開口(ピンホール)が設けられたディスクおよびこれら2枚のディスクの間に挿入されたビームスプリッタを備える。
【0004】
光源が出射した光は、マイクロレンズ、ビームスプリッタ、ピンホールを介して被計測体に入射するようになっている。このため、マイクロレンズを用いない場合に比べ、光源が出射した光はマイクロレンズに集束されて効率よくピンホールに導かれる。
【0005】
一方、一般に、ピンホールを通った反射光がマイクロレンズを通ると、ピンホールで規定された光のスポットがレンズピッチに広がってしまうほか、個々のマイクロレンズの形状および焦点距離のばらつきの影響により、結像が劣化してしまう。その点、特許文献1に記載の共焦点スキャナによれば、被計測体からの反射光は、ピンホール、ビームスプリッタを介して光検出器に向かい、マイクロレンズを通らないようになっている。このため、ピンホールを通った反射光がマイクロレンズを通る場合に比べ、マイクロレンズによる結像の劣化を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−26545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、マイクロレンズは、ピンホールまでの距離が離れるほど、曲率が小さくなるよう形成される。一方、マイクロレンズの曲率が小さくなるにつれ、マイクロレンズの作製は困難になる。このため、数万〜数百万個のマイクロレンズを要する共焦点光学系においては、多数のマイクロレンズを安定して作製するべく、マイクロレンズの曲率を大きくする(曲率半径を小さくする)ことができるように、できるだけマイクロレンズとピンホールの距離を近づけることが望ましい。
【0008】
しかし、従来の技術では、2枚のディスクの間にビームスプリッタを挿入する必要がある。このため、2枚のディスクは、ビームスプリッタを挿入するための距離よりも近づけることができない。したがって、従来の技術では、マイクロレンズの曲率を大きくすることが難しく、安定して多数のマイクロレンズを作製することが極めて困難である。
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、マイクロレンズとピンホールとの間にビームスプリッタを設けずともマイクロレンズを介すことなく反射光を光検出器に導くことができる三次元画像取得装置および三次元画像取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る三次元画像取得装置は、上述した課題を解決するために、共焦点光学系を用いた三次元画像取得装置であって、マイクロレンズ板、照明側開口板、ビームスプリッタおよび検出側開口板を備える。マイクロレンズ板は、光源により出射された照明光を集光する複数のマイクロレンズが二次元に配設される。照明側開口板は、複数のマイクロレンズのそれぞれの集光位置に設けられた複数の照明側開口部を有し、複数の照明側開口部のそれぞれによりマイクロレンズが集光した照明光を被計測体に向けて通過させる。ビームスプリッタは、照明側開口板を通過した照明光を被計測体に向けて透過するとともに、被計測体からの反射光を照明光の光路とは異なる光路に反射する。検出側開口板は、複数の照明側開口部のそれぞれと光学的に共役な位置に設けられた複数の検出側開口部を有し、複数の検出側開口部のそれぞれによりビームスプリッタにより反射された反射光を光検出器に向けて通過させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る三次元画像取得装置および三次元画像取得方法によれば、マイクロレンズとピンホールとの間にビームスプリッタを設けずともマイクロレンズを介すことなく反射光を光検出器に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る三次元画像取得装置の一例を示す概略的な全体構成図。
【図2】マイクロレンズ板および照明側開口板の一構成例を示す側面図。
【図3】マイクロレンズ板、照明側開口板、偏光ビームスプリッタおよび検出側開口板の関係の一例を示す説明図。
【図4】光検出器と照明側開口部との位置合わせの一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る三次元画像取得装置および三次元画像取得方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
本発明の一実施形態に係る三次元画像取得装置は、2次元配列型の開口アレイを有する共焦点光学系を用いて被計測体の形状を計測して形状画像を生成しこの形状画像を表示装置に表示させるものである。計測対象物としては、たとえばプリント配線板上のバンプや多層プリント配線板のレーザビアなどの貫通孔のほか、光源としてシリコンの透過率が高い近赤外光を用いる場合には、シリコンウエハの積層接合部近辺やシリコンの内部をも含む。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る三次元画像取得装置10の一例を示す概略的な全体構成図である。なお、以下の説明では、対物レンズの光軸方向をZ軸、光軸方向に垂直な方向をX軸およびY軸とする場合の例について示す。また、以下の説明では対物レンズの光軸と照明光の入射光軸(照明光軸)とが平行である場合の例について示す。
【0016】
三次元画像取得装置10は、図1に示すように、光源11、コリメートレンズ12、マイクロレンズ板13、照明側開口板14、偏光ビームスプリッタ15、対物レンズ16、被計測体17を載置するための載置台18、検出側開口板21、結像光学系22、被計測体17からの反射光を入射される光検出器を複数有する光検出器群23、載置台18をXYZ各方向に移動させるための載置台駆動部30、載置台18および載置台駆動部30を支持する支持基台31、および情報処理装置32を有する。載置台駆動部30は、載置台18をZ軸方向に変位させるためのZ軸変位部33と、載置台18をXY方向に変位させるためのXY軸変位部34とを有する。
【0017】
光源11は、ハロゲンランプ、各種白色光源、レーザなどを用いて構成される。光源11から出射された照明光は、ライトガイド11aに導かれてコリメートレンズ12に入射し、コリメートレンズ12により面状の平行光となってマイクロレンズ板13を照明する。
【0018】
図2は、マイクロレンズ板13および照明側開口板14の一構成例を示す側面図である。
【0019】
図2に示すように、マイクロレンズ板13は、ガラス等の透明部材により構成された基板36と、基板36の照明側開口板14と対向する面に二次元に配設された複数のマイクロレンズ37とを有する。マイクロレンズ37は、たとえば25μm間隔の2次元格子点上に設置される。マイクロレンズ板13に入射した照明光は、複数のマイクロレンズ37のそれぞれにより照明側開口板14に向けて集光される
照明側開口板14は、複数のマイクロレンズ37のそれぞれの集光位置に設けられた複数の照明側開口部38を有する。複数の照明側開口部38のそれぞれは、マイクロレンズ37が集光した照明光を被計測体17に向けて通過させる。たとえばマイクロレンズ37が25μm間隔の2次元格子点上に設置される場合、照明側開口部38もまた、マイクロレンズ37のそれぞれに対応するよう25μm間隔の2次元格子点上に設置される。
【0020】
偏光ビームスプリッタ15は、照明側開口板14の照明側開口部38を通過した照明光を被計測体17に向けて透過する。また、偏光ビームスプリッタ15は、被計測体17からの反射光を照明光の光路(図1の照明光軸(対物レンズの光軸)と平行な光路)とは異なる光路(図1の分岐光軸と平行な光路)に反射することにより光検出器群23に導く。
【0021】
対物レンズ16は、複数のレンズ39、絞り40および1/4波長板41を有し、両側テレセントリック光学系を構成する。偏光ビームスプリッタ15を透過した照明光は、対物レンズ16により集光されて被計測体17に投影される。また、被計測体17の反射光は、照明光と同一の光路を通り対物レンズ16により集光されつつ偏光ビームスプリッタ15に導かれる。
【0022】
照明側開口板14の照明側開口部38は、それぞれ点光源として機能する。照明側開口部38のそれぞれを通過した光は、対物レンズ16により、被計測体17に投光されつつ点光源と共役な点(以下、被計測体側共役点という)に集光される。対物レンズ16は、各開口部38にそれぞれ対応する被計測体側共役点を、Z軸方向の所定の位置の照明光軸方向に垂直な面(以下、被計測体側共役面という)上に集光する。
【0023】
対物レンズ16は、1より大きい所定の光学倍率(たとえば5倍や7.5倍、15倍など)を有することが好ましい。これは、被計測体側共役点の間隔を固定したとき、対物レンズ16の光学倍率が大きいほど照明側開口板14の照明側開口部38の設置間隔を大きくすることができ、照明側開口板14の作製が容易となるためである。たとえば被計測体側共役点を5μm間隔の2次元格子点上とする場合、対物レンズ16の光学倍率が5倍であるとき、照明側開口部38は25μm間隔の2次元格子点上に設置すればよい。
【0024】
図3は、マイクロレンズ板13、照明側開口板14、偏光ビームスプリッタ15および検出側開口板21の関係の一例を示す説明図である。
【0025】
図3に示すように、検出側開口板21は、対物レンズ16により集光された反射光の集光位置に設けられた複数の検出側開口部42を有する。すなわち、検出側開口部42のそれぞれと照明側開口部38のそれぞれとは、偏光ビームスプリッタ15および対物レンズ16により互いに共役関係となる。複数の検出側開口部42のそれぞれは、対物レンズ16が集光した反射光を光検出器群23に向けて通過させる。
【0026】
結像光学系22は、たとえば複数のレンズ43および絞り44により構成されて両側テレセントリック光学系を構成することが好ましい。検出側開口部42を通過した反射光は、それぞれ結像光学系22を介して光検出器群23の光検出器に集光される。すなわち、検出側開口部42のそれぞれと検出側開口部42に対応する位置に配設された光検出器とは、結像光学系22により互いに共役関係となる。
【0027】
光検出器群23を構成する光検出器は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成され、照射された光の強度に応じた信号を情報処理装置32に出力する。また、光検出器群23は、情報処理装置32により光検出のタイミングを制御される。
【0028】
光検出器は、検出側開口部42に集光された光の強度変化を検出可能な位置に配設される。なお、1つの検出側開口部42に対応する光検出器は1個であってもよいし複数個であってもよい。
【0029】
載置台駆動部30のZ軸変位部33は、ピエゾモータやサーボモータなどの一般的な駆動装置により構成され、載置台18を照明光軸方向に変位させる。この変位の量、方向およびタイミングは、情報処理装置32によりZ軸ドライバ51を介して制御される。Z軸変位部33は、載置台18を照明光軸方向に変位させることにより、被計測体側共役点の位置と被計測体17の位置とのZ軸方向(照明光軸方向)の相対的な位置関係(以下、Z位置関係という)を変更する。
【0030】
載置台駆動部30のXY軸変位部34は、ピエゾモータやサーボモータなどの一般的な駆動装置により構成され、載置台18を照明光軸方向に垂直な方向に変位させる。XY軸変位部34は、載置台18のX軸方向およびY軸方向の位置決めをそれぞれ行うX軸変位機構52およびY軸変位機構53を有する。
【0031】
X軸変位機構52およびY軸変位機構53は、たとえばサーボモータにより構成され、変位の量、方向およびタイミングは、情報処理装置32によりXY軸ドライバ54を介して制御される。載置台18が照明光軸方向に垂直な方向に変位することにより、被計測体側共役点の位置と被計測体17の位置との照明光軸方向に垂直な方向の相対的な位置関係(以下、XY位置関係という)が変更されることになる。
【0032】
次に、光検出器群23の出力にもとづいて被計測体17の形状画像を取得する方法について簡単に説明する。
【0033】
情報処理装置32は、たとえばデスクトップ型やノートブック型のパーソナルコンピュータなどにより構成することができる。情報処理装置32は、入力部61、表示部62、記憶部63および主制御部を有する。
【0034】
入力部61は、たとえばキーボード、タッチパネル、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を主制御部に出力する。表示部62は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、主制御部の制御に従って各種情報を表示する。記憶部63は、CPUにより読み書き可能な記憶媒体であり、あらかじめXY位置関係と被計測体側共役点のXY座標とを関連付けて記憶しておく。
【0035】
主制御部は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成される。主制御部のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶されたプログラムに従って少なくとも高さ決定部64、形状情報取得部65および画像生成部66として機能し、光検出器群23の出力にもとづいて被計測体17の形状画像を取得する処理を実行する。この各部64〜66は、RAMの所要のワークエリアをデータの一時的な格納場所として利用する。なお、この各部64〜66は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0036】
ROMをはじめとする記憶媒体および記憶部63は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0037】
高さ決定部64は、Z軸変位部33および光検出器群23を制御することにより、Z位置関係(被計測体側共役点の位置と被計測体17の位置との照明光軸方向の相対的な位置関係)を変更しつつ光検出器の信号を離散的に複数取得する。そして、高さ決定部64は、被計測体側共役点ごとに、離散的に取得した複数の信号の強度にもとづいて信号の強度が最大となる被計測体17のZ軸座標(照明光軸方向の位置)を算出する。高さ決定部64は、この算出したZ軸座標を、複数の照明側開口部38に対応する複数の被計測体側共役点における被計測体17のZ軸座標と決定する。
【0038】
なお、高さ決定部64は、Z位置関係を連続的に変更させつつ光検出器の信号を取得しても良いし、Z位置関係を所定の位置関係で停止した後に光検出器の信号を取得することを繰り返しても良い。後者の場合、前者の場合に比べモアレ現象が生じる可能性を低減することができる。
【0039】
なお、共焦点光学系を用いた形状計測技術において光検出器の出力から離散的に取得した複数の信号の強度にもとづいて信号の強度が最大となる被計測体17のZ軸座標を算出する方法は、従来各種の方法が知られており、これらのうち任意のものを使用することが可能である(たとえば本願と同一の出願人による特許文献である特開平9−126739号公報の段落[0014]−[0017]など参照)。
【0040】
形状情報取得部65は、XY軸変位部34および高さ決定部64を制御することにより、載置台18の初期位置と載置台18を初期位置からXY方向に移動させた移動位置とのそれぞれにおいて、高さ決定部64に複数の照明側開口部38に対応する複数の被計測体側共役点のそれぞれにおける被計測体17のZ軸座標を決定させる。この結果、形状情報取得部65は、初期位置および移動位置の各位置での複数の被計測体側共役点における被計測体17のZ軸座標の情報からなる被計測体17の三次元形状情報を取得することができる。
【0041】
なお、XY軸変位部34による載置台18の移動距離は、たとえば入力部61を介したユーザによる指示に応じて設定された値を用いてもよいし、初期設定された値を用いてもよい。
【0042】
画像生成部66は、形状情報取得部65により取得された三次元形状情報を用いて被計測体17の形状画像を生成し、この形状画像を表示部62に表示させる。
【0043】
本実施形態に係る三次元画像取得装置10は、マイクロレンズ37により照明光を各照明側開口部38に集光する。このため、照明光の光量を無駄なく利用することができる。
【0044】
マイクロレンズ37を用いずに照明光を直接照明側開口部38に照射すると、照明光の一部が照明側開口板14の照明側開口部38を除く部分に遮られてしまう。一方、本実施形態に係る三次元画像取得装置10によれば、マイクロレンズ37により照明光を各照明側開口部38に集光することができる。このため、マイクロレンズ37を用いない場合に比べ非常に多くの光量を利用することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る三次元画像取得装置10は、照明光と反射光の光路を分岐させるための偏光ビームスプリッタ15が照明側開口板14の被計測体17側に配設されており、マイクロレンズ板13と照明側開口板14の間に偏光ビームスプリッタ15を設ける必要が無い。
【0046】
したがって、マイクロレンズ板13と照明側開口板14の間に偏光ビームスプリッタ15が設けられる場合に比べ、マイクロレンズ37と照明側開口部38との距離を近づけることができる。このため、マイクロレンズ37の曲率を大きくすることができ、マイクロレンズ37を安定して作製することができる。マイクロレンズ37を安定して作製することは、数万〜数百万個のマイクロレンズを要する共焦点光学系においては特に重要である。また、図2に示すように基板36の照明側開口板14と対向する面にマイクロレンズ37を配設することにより、マイクロレンズ37と照明側開口部38との距離をさらに近づけることができる。なお、図3には、マイクロレンズ37および照明側開口部38が0.025mm(25μm)間隔の二次元格子点上に設けられ、マイクロレンズ板13と照明側開口板14との距離が0.11mmであり、マイクロレンズ37の曲率半径が0.057mm、突出高さが0.0014mmである場合の例を示した。
【0047】
また、本実施形態に係る三次元画像取得装置10は、照明光と反射光の光路を分岐させるための偏光ビームスプリッタ15が照明側開口板14の被計測体17側に配設されているため、被計測体17の反射光は、マイクロレンズ37を介すことなく検出器側開口部42を通過して光検出器群23に導かれる。
【0048】
たとえば検出側開口部42を通過した反射光がマイクロレンズを透過する場合、検出側開口部42で規定された光のスポットがレンズピッチに広がってしまうばかりでなく、マイクロレンズごとの形状や焦点距離のばらつきの影響により結像が劣化してしまう。その点、本実施形態に係る三次元画像取得装置10によれば、この結像の劣化を未然に防止することができる。
【0049】
図4は、光検出器と照明側開口部38との位置合わせの一例を説明するための図である。なお、以下の説明では、図4に図示しないマイクロレンズ37および検出側開口部42は、それぞれ照明側開口部38に対応する位置に設けられる場合の例について示す。この場合、マイクロレンズ37および検出側開口部42は、それぞれ照明側開口部38と同数設けられることになる。また、図4には、照明側開口部38が15×15の二次元正方格子点上に設けられ、光検出器が10×10の二次元正方格子点上に設けられる場合の例について示した。
【0050】
図4に示すように照明側開口部38および検出側開口部42の数を光検出器の数よりも多くすることで、互いの位置合わせが非常に容易となる。
【0051】
たとえば、複数の照明側開口部38のうち、光検出器が設けられる格子点に対応する格子点(中央領域に属する格子点)に設けられたものを第1の照明側開口部群71とし、中央領域を囲む周辺領域に属する格子点に設けられたものを第2の照明側開口部群72とする場合を考える。このとき、検出側開口部42もまた、第1の照明側開口部群71および第2の照明側開口部群72に対応する第1群と第2群に分けられる。マイクロレンズ37も同様に、第1群と第2群に分けられる。
【0052】
この場合、第1の照明側開口部群71と光検出器とを位置合わせした後、経時変化や衝撃などにより図4に示すようにこの位置合わせがずれてしまったときには、第1の照明側開口部群71と光検出器とを再び完全一致させずとも、第2の照明側開口部群72を一部利用することで容易に光検出器に反射光を投影することができる。
【0053】
また、マイクロレンズ37と照明側開口部38との位置合わせや、照明側開口部38と検出側開口部42との位置合わせにおいても、第1の照明側開口部群71に対応する位置どうしが一致していればよく、複数の位置関係で位置決めすることが可能であるため、大変容易に位置合わせを行うことができる。
【0054】
さらに、照明側開口部38および検出側開口部42の数が光検出器の数よりも多い場合、最外周近傍に位置する光検出器と中央付近に位置する光検出器とでコントラスト条件をほぼ同じとすることができるため、ムラの発生を抑える効果がある。これは、第2の照明側開口部群72を通過した照明光に対応する反射光が最外周近傍に位置する光検出器の周囲に投影されるためである。なお、マイクロレンズ37が光検出器と同数であっても、第2の照明側開口部群72に対応する位置の基板36を透過した照明光由来の反射光が最外周近傍に位置する光検出器の周囲に投影されるため同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 三次元画像取得装置
11 光源
13 マイクロレンズ板
14 照明側開口板
15 偏光ビームスプリッタ
16 対物レンズ
17 被計測体
21 検出側開口板
23 光検出器群
32 情報処理装置
36 基板
37 マイクロレンズ
38 照明側開口部
41 1/4波長板
42 検出側開口部
71 第1の照明側開口部群
72 第2の照明側開口部群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共焦点光学系を用いた三次元画像取得装置であって、
光源により出射された照明光を集光する複数のマイクロレンズが二次元に配設されたマイクロレンズ板と、
前記複数のマイクロレンズのそれぞれの集光位置に設けられた複数の照明側開口部を有し、前記複数の照明側開口部のそれぞれにより前記マイクロレンズが集光した前記照明光を被計測体に向けて通過させる照明側開口板と、
前記照明側開口板を通過した前記照明光を前記被計測体に向けて透過するとともに、前記被計測体からの反射光を前記照明光の光路とは異なる光路に反射するビームスプリッタと、
前記複数の照明側開口部のそれぞれと光学的に共役な位置に設けられた複数の検出側開口部を有し、前記複数の検出側開口部のそれぞれにより前記ビームスプリッタにより反射された前記反射光を光検出器に向けて通過させる検出側開口板と、
を備えたことを特徴とする三次元画像取得装置。
【請求項2】
前記マイクロレンズ板は、透明部材により構成された基板を有し、
前記複数のマイクロレンズは、
前記基板の前記照明側開口板と対向する面に配設された、
請求項1記載の三次元画像取得装置。
【請求項3】
前記複数の検出側開口部の少なくとも一部を通過した前記反射光の強度変化を検出可能な位置に配設された複数の前記光検出器を有する光検出器群、
をさらに備え、
前記複数の照明側開口部は、
それぞれが二次元格子点上に設けられるとともに、前記二次元格子点のうち中央領域に属する格子点に設けられた第1の照明側開口部群と、前記中央領域を囲む周辺領域に属する格子点に設けられた第2の照明側開口部群と、を有し、
前記複数の検出側開口部は、
前記第1の照明側開口部群および前記第2の照明側開口部群を構成する前記照明側開口部のそれぞれに対応する位置に設けられ、
前記複数の光検出器は、
前記第1の照明側開口部群のそれぞれに対応する位置に設けられた、
請求項1または2に記載の三次元画像取得装置。
【請求項4】
前記ビームスプリッタを透過した前記照明光を集光して前記被計測体に投影するとともに、前記反射光を集光しつつ前記ビームスプリッタに導く対物レンズ、
をさらに備え、
前記対物レンズの光学倍率は1より大きく、前記複数の照明側開口部群の設置間隔は前記照明光の前記被計測体上の集光点間隔より大きい、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の三次元画像取得装置。
【請求項5】
共焦点光学系を用いて被測定試料の三次元画像を取得する三次元画像取得方法であって、
二次元に配設された複数のマイクロレンズが光源により出射された照明光を集光するステップと、
前記複数のマイクロレンズが集光した前記照明光が、照明側開口板に設けられるとともに前記複数のマイクロレンズのそれぞれの集光位置に設けられた複数の照明側開口部のそれぞれを、被計測体に向けて通過するステップと、
前記複数の照明側開口部を通過した前記照明光が、前記被計測体に向けてビームスプリッタを透過するステップと、
前記被計測体からの反射光が、前記ビームスプリッタに反射されて前記照明光の光路とは異なる光路に導かれるステップと、
前記ビームスプリッタにより反射された前記反射光が、検出側開口板に設けられるとともに前記複数の照明側開口部のそれぞれと光学的に共役な位置に設けられた複数の検出側開口部を、光検出器に向けて通過するステップと、
を有することを特徴とする三次元画像取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−167930(P2012−167930A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26497(P2011−26497)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002842)株式会社高岳製作所 (72)
【Fターム(参考)】