交通情報処理装置、交通情報サーバ装置
【課題】ユーザが推奨経路の適否を判断するのに役立つ情報を表示する。
【解決手段】交通情報処理装置は、出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、1日前、1週間前に、推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績と、走行実績が収集された日時の推奨経路上の天気や交通規制を表示する。走行実績は、より長く推奨経路を重複して走行した車両のものを用いる。
【解決手段】交通情報処理装置は、出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、1日前、1週間前に、推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績と、走行実績が収集された日時の推奨経路上の天気や交通規制を表示する。走行実績は、より長く推奨経路を重複して走行した車両のものを用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路に関する交通情報を提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図上に出発地から目的までの推奨経路を表示する車載機がある(特許文献1参照)。このような車載機は、推奨経路における予想到着時刻や所要時間などを提示することができる。ユーザは、これらの情報を用いて、推奨経路の適否を判断する。
【特許文献1】特開2005−70015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の車載機では、ユーザの判断に役立つ情報が十分に提示されているとはいえない。例えば、ユーザによっては、1日前や1週間前の他の車両の過去の走行実績が示されれば、車載機が表示する推奨経路の所要時間や予想到着時刻がどれくらい信頼できるか検討でき、推奨経路の適否を的確に判断できる場合がある。従来の車載機では、このようなニーズに答えられない。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決すべくなされたものであり、ユーザが推奨経路の適否を判断するのに役立つ情報を表示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく、本発明では、推奨経路の提示の際に、過去の所定の日時における走行実績を提示する。
【0006】
例えば、本発明の第1の態様は、交通情報処理装置であって、出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、前記推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績(例えば、1日前、1週間目)と、前記走行実績が収集された日時の前記推奨経路上の天気とを表示する表示手段を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、交通情報処理装置であって、出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、前記推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績と、前記走行実績が収集された日時の前記推奨経路上の規制とを表示する表示手段を備える。
【0008】
前記交通情報処理装置は、前記推奨経路の出発地の出発時刻と目的地への到着時刻までの時間帯に相当する時間帯に当該推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両であって、最も長く当該推奨経路に沿って走行した車両の走行実績を用いて、当該推奨経路の所要時間を算出する手段を備えていてもよい。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、出発地と目的地と希望到着日時を設定する手段と、前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、前記希望到着日時に目的地に到着するための推奨出発時刻を求める手段と、前記走行実績データの中から、過去の所定の日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、前記過去の所定の日時の前記推奨経路上の規制情報を取得する手段と、前記過去の所定の日時の前記推奨経路に関する天気情報を取得する手段と、前記推奨経路の所要時間と前記規制情報と前記天気情報を前記交通情報表示装置に送信する手段とを備える。
【0010】
また、本発明の第4の態様は、交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、出発地と目的地とを設定する手段と、前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、前記推奨経路が関係する地域の天気予報を取得する手段と、少なくとも前記推奨経路が関係する地域において、前記天気予報に相当する天気であった過去の日時を特定する日時特定手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、前記推奨経路の所要時間を前記交通情報表示装置に送信する手段とを備える。
【0011】
また、本発明の第5の態様は、交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、出発地と目的地とを設定する手段と、前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、前記推奨経路において交通規制があった過去の日時を特定する日時特定手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、前記特定した日時に前記交通規制があった道路を回避した、前記出発地から前記目的地までの代替経路を探索する手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記代替経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記代替経路の所要時間を求める手段と、前記推奨経路の所要時間と前記代替経路の所要時間とを前記交通情報表示装置に送信する手段とを備える。
【0012】
また、本発明の第6の態様は、交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、出発地と目的地とを設定する手段と、前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、少なくとも推奨経路に関係する工事予定を取得する手段と、前記推奨経路に前記工事予定に相当する工事があった過去の日時を特定する日時特定手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、前記特定した日時において工事があった道路を回避した、前記出発地から前記目的地までの代替経路を探索する手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記代替経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記代替経路の所要時間を求める手段とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明が適用された実施例について、図面を参照して説明する。
【0014】
<実施例1>
図1は、本実施例の交通情報表示システムの概略構成図である。図示するように、本実施例の交通情報表示システムは、交通情報サーバ100と、車両に搭載される交通情報表示装置200とからなる。交通情報サーバ100と、交通情報表示装置200とはインターネットなどのネットワーク80を介して接続される。
【0015】
ネットワーク80には、天気予報を配信する天気予報サーバ81及び工事予告を配信する工事予告サーバ82が接続されている。交通情報サーバ100は、これらのサーバ81、82から、地域ごとの天気予報と、道路の工事予告を取得することができる。
【0016】
交通情報サーバ100、交通情報表示装置200、天気予報サーバ81、及び工事予告サーバ82は、CPUなどの演算装置と、RAM、ROMなどの記憶装置と、データを送受信するためのバスと、通信用のインターフェースを備えた、汎用的のコンピュータにより構成される。また、以下に説明するそれぞれの構成要素および機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより達成される。
【0017】
交通情報サーバ100は、様々な処理を行う中心的ユニットである主制御部110と、設定された出発地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索部120と、推奨経路の所要時間を求める所要時間算出部130と、ネットワーク80を介して外部の装置と通信を行う通信部140と、様々な情報を記憶するための記憶部150と、を備えている。
【0018】
記憶部150には、地図データ151と、走行実績データ300と、規制実績データ310と、天気実績データ320とが格納されている。
【0019】
地図データ151には、地図上の区画された領域であるメッシュ領域ごとに、道路を構成するリンクのリンクデータが格納されている。リンクデータには、各リンクを識別するリンクIDごとに、そのリンクの始点・終点のノード座標、そのリンクの長さ、そのリンクの属する道路の種類、そのリンクを走行した場合のおよその所要時間などが含まれている。また、地図データ151には、道路以外の構成物、例えば、建築物、施設なでのデータも含まれている。
【0020】
図2は、走行実績データ300の構成を示す図である。走行実績データ300には、各車両に搭載された交通情報表示装置200から受信した情報(例えば、車両の現在位置)を基に生成された走行実績情報が格納されている。具体的には、走行実績データ300には、車両を識別する車両ID301ごとに、走行実績情報を格納するレコード305が格納されている。各レコード305には、リンクID302と、そのリンクID302のリンクへの進入時間303と、そのリンクの旅行時間304とが格納されている。
【0021】
上述のように、走行実績データ300は、各車両に搭載された交通情報表示装置200から採取された情報(例えば、現在位置)を基に生成された走行実績情報が蓄積されたものである。ここで、走行実績情報の生成のされ方について説明する。各車両の交通情報表示装置200は、車両の走行中に、定期的に現在位置を検出する。そして、検出した現在位置を、車両を特定する情報(車両ID)とともに、交通情報サーバ100に送る。交通情報サーバ100の主制御部110は、通信部140を介して、これらの情報を受信する。そして、車両ごとの、走行実績情報を生成する。具体的には、地図データ151を参照して、車両が進入したリンクのリンクIDを特定する。さらに、その車両の現在位置の移動を追跡して、進入したリンクから脱出したときの日時を求める。そして、走行実績データ300に、その車両の車両ID301が付与されたレコード305を追加し、追加したレコード305のリンクID302に、今回進入し脱出したリンクのリンクIDを格納する。旅行時間304には、進入から脱出までの所要時間を格納する。こうして、走行実績データ300には、車両ごとの走行実績情報が蓄積されていく。
【0022】
図3は、規制実績データ310の構成を示す図である。規制実績データ310には、各リンクの過去の交通規制に関する情報が格納されている。具体的には、規制実績データ310には、日時311が付与されたレコード314が格納されており、そのレコード314には、交通規制があったリンクのリンクID312と規制情報313とが格納されている。規制情報313には、速度規制、通行止め、車線規制などの規制の内容と、その規制の原因(例えば、工事)などが含まれている。
【0023】
図4は、天気実績データ320の構成を示す図である。天気実績データ320は、各リンクの過去の天気に関する情報が格納されている。具体的には、天気実績データ320には、日時321が付与されたレコード324が格納されており、このレコード324には、リンクID322と、天気情報323とが格納されている。なお、リンクごとではなく、メッシュ領域ごと、あるいは特定の地域ごとに、天気情報が格納されていてもよい。
【0024】
図1に戻って説明する。
【0025】
交通情報表示装置200は、車両ごとに搭載される車載機である。交通情報表示装置200は、主制御部210と、現在位置検出部220と、表示部240と、操作部250と、記憶部260と、通信部270と、を備えている。
【0026】
主制御部210は、様々な処理を行う中心的なユニットであり、各機能部を制御する。また、現在位置検出部220により定期的に検出される現在位置を、車両を識別する情報とともに、通信部270を介して、交通情報サーバ100に送信する。また、操作部250を介してユーザから経路探索の要求を受け付けた場合、出発地、目的地、出発日時(希望到着日時)の設定を行い、推奨経路を探索するように交通情報サーバ100に要求する処理を行う。また、交通情報サーバ100から、推奨経路、推奨出発時刻、予想到着日時などを受信し、表示部240に表示させる処理を行う。
【0027】
現在位置検出部220は、GPS(Global Positioning System)受信装置、車速センサ、ジャイロなどからなり、車両の現在の座標位置を検出することができる。なお、交通情報表示装置200が地図データを備えている場合、現在位置検出部220は、マップマッチングにより、地図上の座標位置を求めることができる。
【0028】
表示部240は、ユーザに交通情報を提示するための装置であり、液晶ディスプレイなどで構成される。表示部240は、例えば、地図データをグラフィックス展開し、そこへ現在位置を示すマークを重ねて表示する。また、推奨経路とともに、推奨出発時刻や予想到着時刻を表示する。
【0029】
操作部250は、ユーザからの入力を受け付けるためのインターフェースである。操作部250は、ハードスイッチを備えたリモコンや、液晶ディスプレイの前面に張られたタッチパネルなどで構成される。
【0030】
記憶部260は、交通情報表示装置200が処理する様々な情報を保持する。例えば、交通情報サーバ100から受信した交通情報を記憶する。
【0031】
通信部270は、ネットワーク80を介して、交通情報サーバ200と接続する処理を行う。
【0032】
本実施形態では、交通情報表示装置200は、交通情報サーバ100が提供する経路探索サービスのブラウザのような機能を果たす。すなわち、交通情報表示装置200は、表示に必要な情報(地図描画のためのデータを含む)を交通情報サーバ100から受信する。しかし、これに限らず、交通情報表示装置200は、一般的な車載用ナビゲーション装置が備える機能を備えていてもよい。すなわち、地図データを保持して、自ら経路探索する機能や、経路誘導を行う機能を備えていてもよい。また、ビーコンやFM多重放送局から交通情報を取得し表示する機能を備えていてもよい。
【0033】
<動作の説明>
図5は、交通情報表示システムの特徴的な動作の流れを示すフロー図である。
【0034】
交通情報表示装置200の主制御部210は、操作部250を介してユーザから、出発地と、目的地と、希望到着日時と、探索条件の入力を受け付ける(S101)。そして、主制御部210は、出発地と、目的地と、希望到着日時と、探索条件とを、交通情報サーバ100に送信し、経路探索を要求する(S102)。なお、探索条件には、距離優先、所要時間優先、一般道優先などがある。
【0035】
これを受けて、交通情報サーバ100は、推奨経路と推奨出発時刻を求める(S103)。
【0036】
具体的には、交通情報サーバ100の主制御部110は、交通情報表示装置200から経路探索の要求を受け付けると、経路探索部120に対して、ユーザの要求に合致する経路を探索するように命令する。
【0037】
経路探索部120は、出発地から目的地までの経路であって、希望到着日時付近に目的地に到着可能であり、かつ探索条件に最も合致する経路(推奨経路)を探索する。例えば、探索条件が距離優先の場合、経路探索部120は、地図データ151のリンクデータを用いて、リンクの長さをリンクコストとして、ダイクストラ法等により、出発地から目的地までの総コストが最小になる経路を求め、推奨経路とする。そして、求めた推奨経路の距離を、所定の車速で除することにより、推奨経路の所要時間を求める。そして、希望到着時刻から、求めた所要時間を差し引くことにより、推奨出発時刻を求める。
【0038】
ここで求められた所要時間は、走行実績から直接求められたものではなく、予め定められた所定の算出式により概算されたものであるので、「概算所要時間」ということにする。
【0039】
なお、VICS情報などを取得して、交通状況を考慮して探索する場合は、渋滞度に応じてリンクコストを重み付けするなどして、総コストが最小の経路を求め、推奨経路とする。
【0040】
次に、所要時間算出部130は、走行実績データ300を用いて、推奨経路の所要時間を求める(S104)。ここで、求められる所要時間は、過去の走行実績に基づいて求められるので、上記「概算所要時間」と区別するため、「実績所要時間」ということにする。
【0041】
本実施例では、所定の過去の日時の走行実績情報を用いて、実績所要時間を求める。具体的には、1日前及び1週間前の、対応する時間帯の、走行実績を用いて、実績所要時間を求める。このとき、かかる所定の過去の日時に推奨経路と全く同一の経路を走行した車両が存在し、その車両の走行実績情報があれば、その車両の所要時間をそのまま実績所要時間にすればよい。しかし、そのような車両が存在する確率は低いので、本実施例では、複数の車両の走行実績から、推奨経路の実績所要時間を求めることにする。
【0042】
かかる実績所要時間の算出方法として、例えば、図6(B)に示すように、推奨経路をリンクごとに細かく分割して、リンクごとに走行実績から所要時間を求めて、最終的に合計する方法が考えられる。具体的には、推奨経路をリンク単位に分割し、リンクごとに、そのリンクを走行した車両を適当に抽出する。そして、抽出した車両の走行実績情報から、リンク単位の所要時間を求める。推奨経路を構成する全リンクについて所要時間を求めて、最後に合計する(図6(B)参照)。
【0043】
しかし、この方法では、車両の連続性を考慮していない。この方法では、リンクごとに異なる車両の走行実績を用いる場合もあり、推奨経路の実績所要時間を求めるのに、極めて多くの車両の走行実績を用いることになる。ある意味では、平均化された所要時間を求めることができるかもしれないが、反面、実際と異なるものとなる可能性がある。
【0044】
走行実績データ310には、車両ごとに、同一運転手が所定の経路を走行した場合のリンクごとの旅行時間304が格納されている。これは、ある経路のリンクを連続的に走行した場合の結果であり、運転手のくせや道路状況の実情が反映されたものである。この実情を無視して、推奨経路をリンクごとに細かく分断し、リンク間で車両が同一か否か(連続性)を無視して、リンクごとの所要時間を求め合計すると、生のデータと乖離してしまう可能性がある。
【0045】
本実施例では、推奨経路の適否を判断するのに役立つ情報を表示することを目的とする。そのためには、なるべく加工していない生のデータを提示する方がいい。そのほうが、ユーザは、自由に判断ができる。
【0046】
そこで、なるべく少ない数の車両の走行実績を用いて、推奨経路の実績所要時間を求める。すなわち、本実施例では、図6(B)に示したように、推奨経路を細かく分割して、所要時間を求めるようなことは行わない。図6(A)に示すように、なるべく大きく分割し、推奨経路の実績所要時間を算出する。
【0047】
そのためには、推奨経路との重複部分がより長い車両を抽出していき、抽出した車両の走行実績から、推奨経路の実績所要時間を求めればよい。具体的には、まず、推奨経路に沿って走行した部分(重複部分)が最も長い車両を特定する。さらに推奨経路上のその重複部分を除いた前後の経路について、それぞれ、その経路を走行した部分が最も長い車両を特定する。さらに、残りの部分についても同様に、最も長く走行した車両を特定するという処理を繰り返す。そして、こうして特定した車両の、推奨経路との重複部分の所要時間を求めて、最終的に合計する。以下に、具体的に説明する。
【0048】
図7は、ある経路Xに沿って最も長く走行した車両を抽出し、その車両の走行経路と経路Xとの重複部分を求める処理のフロー図である。
【0049】
まず、所要時間算出部130は、「日」を設定する。本実施例では、「今日」を基準として、1日前の日、または1週間前の日を設定する(S201)。
【0050】
さらに、経路Xの始点通過時刻t1及び終点通過時刻t2を設定する。経路Xが推奨経路そのものの場合、始点は出発地であるので、始点通過時刻t1=出発時刻である。また、終点は目的地であるので、終点通過時刻t2=予想到着時刻である。
【0051】
次に、始点から順番に、経路X上のリンクを一つ選択し、リンクaとする(S203)。
【0052】
次に、S201で設定した日における始点通過時刻t1から終点通過時刻t2の間に、リンクaを走行した車両を抽出する(S204)。具体的には、走行実績データ300の中から、リンクID302がリンクaであり、進入日時303が時刻t1から時刻t2の間であるレコード305を抽出し、抽出してレコード305の車両ID301を抽出する。
【0053】
次に、抽出した車両ID301の中から、経路Xに沿って最も長く走行した車両の車両IDを抽出する(S205)。なお、経路Xに沿って走行した部分の長さは、抽出した車両ID301の走行実績情報が格納されたレコード305の中から、経路Xを構成するリンクと同一のリンクID302を抽出していき、地図データ151を参照して、抽出したリンクID302のリンク長を合計することにより求めることができる。
【0054】
ここで、経路Xに沿って最も長く走行した車両の経路Xとの重複部分(経路Xに沿って走行した部分)を、経路nとする(S206)。
【0055】
次に、所要時間算出部130は、経路nの長さが経路Nより長いか否か判定する(S207)。なお、経路Nは、初期状態で0とする。
【0056】
経路nが経路Nより長い場合のみ(S207でY)、所要時間算出部130は、経路Nを、経路nで置き換える(S208)。
【0057】
次に、所要時間算出部130は、リンクaが、経路Xの最後のリンクか否か判定し(S209)、最後のリンクでない場合(S209でN)、S203に戻って、次のリンクを選択し、以降の処理を続ける。
【0058】
一方、最後のリンクである場合(S209でY)、所要時間算出部130は、経路Nを、分割経路情報に格納する(S210)。
【0059】
図8は、分割経路情報を示す図である。理解の容易のため、分割された経路を樹形図で表している。
【0060】
ここで、所要時間算出部130は、経路Xの始点から経路Nの始点までの経路を、経路X1とする。また、経路Nの終点から経路Xの終点までの経路を、経路X2とする。そして、それぞれ、分割経路情報に格納する。
【0061】
図示するように、経路Nにより分割された残りの経路X1及び経路X2についても同様の処理を行うことにより、経路X1、経路X2についても、それぞれ最も長く走行した車両を抽出し、それらの車両が走行した経路X1又はX2上の経路N11、N12を特定する。
【0062】
このような処理を繰り返すことにより、図8に示すような樹形図ができる。推奨経路Xに沿って最も長く走行した車両の走行経路と、推奨経路Xとの重複部分は、経路Nである。親経路(経路X)は、経路Nと、二つの子経路(経路X1と経路X2)に分断される。経路X1に沿って最も長く走行した車両の経路X1との重複走行部分は、経路N11である。同様に、経路X2に沿って最も長く走行した車両の経路X2との重複走行部分は、経路N21である。こうして、分断された残りの経路についても、順次、最も長く走行した車両を求めていく。
【0063】
一方で、子経路の始点が親経路の始点と重複する場合や、子経路の終点が親経路の終点と重複する場合は、経路の分割を終了する。
【0064】
こうして、推奨経路を、なるべく少ない数の車両の走行実績により分割することができる。
【0065】
所要時間算出部130は、分割した経路ごとの実績所要時間を、分割した経路を連続的に走行した車両の走行実績情報から求める。そして、分割した経路ごとの所要時間を、合計して、推奨経路全体の実績所要時間を求める。なお、経路ごとの所要時間は、その経路を構成するリンクのリンク旅行時間304を合計することで求められる。
【0066】
ここで、所要時間算出部130は、推奨経路全体の実績所要時間のほかに、推奨経路上の特定の区間ごとのの実績所要時間を求めてもよい。例えば、高速道路の特定の区間ごとの実績所要時間を求める。
【0067】
また、特定の区間ごとの渋滞度を求めてもよい。例えば、特定の区間について求めた実績所要時間を、その特定の区間の距離によって割り、車速を求める。そして、車速に応じて予め定めた渋滞度により、特定の区間の渋滞度を求める。
【0068】
図5に戻って説明を続ける。
【0069】
推奨経路の実績所要時間を求めると(S104)、次に、主制御部110は、実績所要時間を求めた際のS201にて設定した日(1日前、1週間前の日)で、かつ推奨経路の走行時間帯に相当する時間帯における、規制情報を取得する。具体的には、規制実績データ310の中から、日時311が走行時間帯(出発時刻と到着時刻との間)に属し、かつ、リンクID312が推奨経路を構成するリンクであるレコード314を抽出し、抽出したレコード314の規制情報313を抽出する(S105)。
【0070】
次に、主制御部110は、実績所要時間を求めた際のS201にて設定した日(1日前、1週間前の日)で、かつ推奨経路の走行時間帯に相当する時間帯における、天気情報を取得する。具体的には、規制実績データ310の中から、日時321が走行時間帯(出発時刻と到着時刻との間)に属し、かつリンクID322が推奨経路を構成するリンクであるレコード324を抽出し、抽出したレコード324の天気情報323を抽出する(S106)。
【0071】
そして、主制御部110は、通信部140を介して、S103〜S106で求めた、推奨経路、推奨出発時刻、実績所要時間、規制情報、天気情報を、交通情報表示装置200に送信する(S107)。
【0072】
交通情報表示装置200の主制御部210は、通信部270を介して、これらの情報を取得する。そして、表示部240に、推奨経路、推奨出発時刻、実績情報(実績所要時間、規制情報、天気情報)を表示する(S108)。
【0073】
図9は、交通情報表示装置200の画面表示例である。表示画面2410には、地図2411上に、出発地から目的地までの推奨経路2412が表示される。また、予測情報2415として、推奨出発時刻、予想到着時刻(ユーザが設定した希望到着時刻でもある)が表示される。また、実績情報2416として、1日前及び1週間前の実績所要時間が表示される。また、1日前及び1週間前の天気情報も表示される。また、規制情報がある場合は、規制の内容や原因(事故など)も表示される。また、推奨経路上の該当する位置に、規制情報2413が表示される。
【0074】
また、ユーザから実績情報の詳細を表示するように要求を受け付けると、主制御部210は、推奨経路上の特定の区間ごとの実績所要時間2417を表示する。このとき、特定の区間ごとの渋滞度を表示するようにしてもよい。
【0075】
上記実施例1によれば、推奨経路とともに、その推奨経路の対応する日時における他の車両の過去の走行実績を提示することができる。また、走行実績に基づいて算出された所要時間が表示されるとともに、そのような走行実績となった環境(天気や交通規制)が表示される。すなわち、ユーザに、推奨経路の適否を判断するのに役立つ情報を提示することができる。
【0076】
<実施例2>
実施例2は、実施例1と似た構成を備える。したがって、共通する構成については、説明を省略する。
【0077】
実施例2では、ユーザの現在位置を出発地として目的地までの推奨経路を探索し、探索した推奨経路を提示するとともに、「本日」の天気と同じ天気における過去の走行実績を提示する。
【0078】
図10は、実施例2にかかる動作の流れを示すフロー図である。
【0079】
まず、交通情報表示装置100の主制御部210は、操作部250を介してユーザから、目的地と探索条件の入力を受け付ける(S111)。そして、主制御部210は、現在位置と、目的地と、探索条件とを、交通情報サーバ100に送信し、経路探索を要求する(S112)。
【0080】
これを受けて、交通情報サーバ100は、推奨経路と予想到着時刻を求める(S113)。
【0081】
具体的には、交通情報サーバ100の主制御部110は、交通情報表示装置200から経路探索の要求を受け付けると、経路探索部120に対して、ユーザの要求に合致する経路を探索するように命令する。
【0082】
経路探索部120は、現在時刻を出発時刻として、出発地から目的地までの経路であって、かつ探索条件に最も合致する経路(推奨経路)を探索する。また、求めた推奨経路の距離を、所定の車速で除することにより、推奨経路の所要時間(概算所要時間)を求める。そして、現在の時刻に、求めた概算所要時間を足すことにより、予想到着時刻を求める。
【0083】
なお、実施例1と同様に、VICS情報などを取得して、交通状況を考慮して探索する場合は、渋滞度に応じてリンクコストを重み付けするなどして、総コストが最小の経路を求め推奨経路を求める。
【0084】
次に、主制御部110は、推奨経路に関する天気予報をネットワーク80を介して天気予報サーバ81から取得する(S114)。ここで、取得する推奨経路に関する天気予報は、出発時刻から予想到着時刻までの時間帯における、推奨経路が経由する地域の天気予報である。
【0085】
次に、主制御部110は、天気予報と同じ天気種別の過去の日時を取得する(S115)。具体的には、主制御部210は、天気実績データ320から、天気情報323が、天気予報に一致し、かつリンクID322が推奨経路を構成するリンクのリンクIDであるレコード324を抽出し、そのレコード324の日時321を特定する。なお、複数ある場合は、「本日」に最も近い日を選択する。
【0086】
次に、主制御部110は、S115で取得した日時の走行実績情報を用いて、推奨経路の実績所要時間を算出する(S116)。実績所要時間の算出は、実施例1の図7で示したフローと同様にして行う。ただし、S201の「日」の設定において、S115で取得した日を設定する。
【0087】
次に、主制御部110は、S113〜S116で求めた、推奨経路、予想到着時刻、実績所要時間を、交通情報提示装置200に送信する(S117)。
【0088】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、推奨経路とともに、予想到着時刻を表示する。さらに、実績所要時間を表示する。なお、交通情報サーバ110から推奨経路における天気予報を取得し、表示してもよい。
【0089】
本実施例2によれば、本日の天気と同一の天気の過去の日における走行実績を提示することができる。すなわち、同じ天気ならば似たような交通状況になるとの実情に即し、ユーザが推奨経路を判断するのに役立つ情報を表示することができる。
なお、実施例2において、出発日時を、現在時刻でなく、未来の日時に設定できるようにしてもよい。そして、未来の日時における、天気予報と同じ種別の天気における走行実績を用いて、実績所要時間を求めるようにしてもよい。また、出発地を、現在位置ではなく、ユーザが設定した地点とすることもできる。
【0090】
<実施例3>
実施例3は、実施例1と似た構成を備える。したがって、共通する構成については、説明を省略する。
【0091】
実施例3では、探索した推奨経路において過去に交通規制があった場合、かかる交通規制のあったリンクを回避する代替経路を求めるとともに、規制があった日における実績所要時間を求めて提示する。
【0092】
図11は、実施例3にかかる動作の流れを示すフロー図である。
【0093】
まず、交通情報表示装置100の主制御部210は、操作部250を介してユーザから、目的地と探索条件の入力を受け付ける(S121)。そして、主制御部210は、現在位置と、目的地と、探索条件とを、交通情報サーバ100に送信し、経路探索を要求する(S122)。
【0094】
交通情報サーバ100は、現在時刻を出発時刻とする目的地までの推奨経路と、予想到着時刻を求める(S123)。
【0095】
具体的には、交通情報サーバ100の主制御部110は、交通情報表示装置200から経路探索の要求を受け付けると、経路探索部120に対して、ユーザの要求に合致する経路を探索するように命令する。
【0096】
経路探索部120は、現在時刻を出発時刻として、出発地から目的地までの経路であって、かつ探索条件に最も合致する経路(推奨経路)を探索する。また、求めた推奨経路の距離を、所定の車速で除することにより、推奨経路の所要時間(概算所要時間)を求める。そして、現在の時刻に、求めた概算所要時間を足すことにより、予想到着時刻を求める。
【0097】
なお、実施例1と同様に、VICS情報などを取得して、交通状況を考慮して探索する場合は、渋滞度に応じてリンクコストを重み付けするなどして、総コストが最小の経路を求めることにより推奨経路を求めるようにする。
【0098】
次に、主制御部110は、推奨経路において過去に規制があった日時を取得する(S124)。具体的には、規制実績データ310から、規制情報313が「速度規制」などの規制を示す情報であり、かつリンクID312が推奨経路を構成するリンクのリンクIDであるレコード314を抽出し、そのレコード314の日時311を特定する。なお、複数ある場合は、「本日」に最も近い日を選択する。
【0099】
次に、主制御部110は、S124で取得した日時における、推奨経路の実績所要時間を算出する(S125)。実績所要時間の算出は、実施例1の図7で示したフローと同様にして行う。ただし、S201の「日」の設定において、S124で取得した日を設定する。
【0100】
次に、主制御部110は、推奨経路、予想到着時刻、実績所要時間を、規制情報を、交通情報提示装置200に送信する(S126)。
【0101】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、推奨経路とともに、予想到着時刻を表示する。さらに、実績所要時間とともに、規制情報を表示する(S127)。
【0102】
また、交通情報サーバ100の主制御部110は、規制のあるリンクを回避して目的地まで到達する経路(代替経路)を探索する(S128)。
【0103】
そして、主制御部110は、探索した代替経路の実績所要時間を求める(S129)。実績所要時間の求め方は、図7のフローの通りであるが、S201の「日」の設定において、S124で取得した日を設定する。
【0104】
次に、主制御部110は、代替経路と、その実績所要時間を、交通情報提示装置200に送信する(S130)。
【0105】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、代替経路とともに、その実績所要時間を表示する(S131)。
【0106】
本実施例3によれば、探索した推奨経路において過去に交通規制があった場合、その交通規制を避ける代替経路を探索し、さらに、その交通規制があった日時における代替経路の実績所要時間を求め、表示する。過去に交通規制があったということは、「本日」も規制が発生する可能性があるが、本実施例では、そのことに配慮した交通情報の表示が行われる、すなわち、ユーザが推奨経路を判断するのに役立つ情報を表示することができる。
【0107】
なお、実施例3において、出発日時を、現在時刻でなく、未来の日時に設定できるようにしてもよい。
【0108】
<実施例4>
実施例4は、実施例3と似た構成を備える。したがって、共通する構成については、説明を省略する。
【0109】
実施例4は、探索した推奨経路において工事予告されているリンクがある場合、同様の工事があった過去の日時における実績所要時間を求めて表示する。また、そのような工事により交通規制があったリンクを回避する代替経路を求めるとともに、その規制があった日における実績所要時間を求めて表示する。
【0110】
図12は、実施例4にかかる動作の流れを示すフロー図である。
【0111】
まず、交通情報表示装置100の主制御部210は、操作部250を介してユーザから、出発日時と目的地と探索条件の入力を受け付ける(S141)。そして、主制御部210は、現在位置と、目的地と、出発時刻と、探索条件とを、交通情報サーバ100に送信し、経路探索を要求する(S142)。
【0112】
交通情報サーバ100は、設定された出発時刻における現在位置から目的地までの推奨経路と、予想到着時刻を求める(S143)。
【0113】
具体的には、交通情報サーバ100の主制御部110は、交通情報表示装置200から経路探索の要求を受け付けると、経路探索部120に対して、ユーザの要求に合致する経路を探索するように命令する。
【0114】
経路探索部120は、出発地から目的地までの経路であって、かつ探索条件に最も合致する経路(推奨経路)を探索する。また、求めた推奨経路の距離を、所定の車速で除することにより、推奨経路の所要時間(概算所要時間)を求める。そして、出発時刻に、求めた概算所要時間を足すことにより、予想到着時刻を求める。
【0115】
なお、実施例1と同様に、VICS情報などを取得して、交通状況を考慮して探索する場合は、渋滞度に応じてリンクコストを重み付けするなどして、総コストが最小の経路を求めることにより推奨経路を求めるようにする。
【0116】
次に、主制御部110は、ネットワーク80を介して、事故予告サーバ82から、出発時刻と予想到着時刻との間の時間帯における、推奨経路を構成するリンクの工事予告を取得する(S144)。
【0117】
次に、主制御部110は、推奨経路において過去に同様の工事があった日時を取得する(S145)。具体的には、規制実績データ310から、規制情報313に含まれている規制の原因が予告された工事と同様の工事を示すものであり、かつリンクID312が推奨経路を構成するリンクのリンクIDであるレコード314を抽出し、そのレコード314の日時311を特定する。なお、複数ある場合は、「本日」に最も近い日を選択する。
【0118】
次に、主制御部110は、S145で取得した日時における、推奨経路の実績所要時間を算出する(S146)。実績所要時間の算出は、実施例1の図7で示したフローと同様にして行う。ただし、S201の「日」の設定において、S145で取得した日を設定する。
【0119】
次に、主制御部110は、推奨経路、予想到着時刻、実績所要時間、工事予告、工事により発生する可能性のある規制を、交通情報提示装置200に送信する(S147)。なお、工事により発生する可能性のある規制は、S145で抽出したレコード314の規制情報313の規制内容である。
【0120】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、推奨経路とともに、予想到着時刻を表示する。さらに、工事予告と、工事により発生する可能性のある規制の内容と、実績所要時間を表示する(S148)。
【0121】
また、交通情報サーバ100の主制御部110は、工事により規制があったリンクを回避して目的地まで到達する経路(代替経路)を探索する(S149)。
【0122】
そして、主制御部110は、探索した代替経路の実績所要時間を求める(S150)。実績所要時間の求め方は、図7のフローの通りであるが、S201の「日」の設定において、S145で取得した日を設定する。
【0123】
次に、主制御部110は、代替経路と、その実績所要時間を、交通情報提示装置200に送信する(S151)。
【0124】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、代替経路とともに、その実績所要時間を表示する(S152)。
【0125】
本実施例4によれば、探索した推奨経路において工事予告されているリンクがある場合、同様の工事により規制が生じた過去の日時における実績所要時間を求めて表示する。また、その交通規制を避ける代替経路を探索し、さらに、その交通規制があった日時における代替経路の実績所要時間を求め、表示する。過去に同様の工事があったということは、同様の交通規制が発生する可能性があるが、本実施例では、それに配慮した交通情報の表示が行われる。すなわち、ユーザが推奨経路を判断するのに役立つ情報を表示することができる。
【0126】
以上いくつかの実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に制限されない。上記実施例は、様々な変形が可能である。
【0127】
例えば、交通情報提示装置200が交通情報サーバ100の処理を行うようにしてもよい。例えば、交通情報提示装置200の主制御部210は、推奨経路の探索や、実績所要時間の算出を行う。この場合、交通情報提示装置200は、自身の記憶装置に、走行実績データ300、規制実績データ310、天気実績データ320を保持しているとする。そして、定期的に、これらのデータを更新する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された交通情報表示システムの概略構成図である。
【図2】図2は、走行実績データの構成を示す図である。
【図3】図3は、規制実績データの構成を示す図である。
【図4】図4は、天気実績データの構成を示す図である。
【図5】図5は、動作のフロー図である。
【図6】図6は、推奨経路の分割の様子を説明する図である。
【図7】図7は、図5の実績所要時間の算出処理(S104)のフロー図である。
【図8】図8は、分割した経路の樹形図である。
【図9】図9は、表示画面の例を示す図である。
【図10】図10は、動作のフロー図である。
【図11】図11は、動作のフロー図である。
【図12】図12は、動作のフロー図である。
【符号の説明】
【0129】
100…交通情報サーバ、
110…主制御部、120…経路探索部、130…所要時間算出部、140…通信部、150…記憶部、151…地図データ、300…走行実績データ、310…規制実績データ、320…天気実績データ
200…交通情報表示装置、210…主制御部、220…現在位置検出部、240…表示部、250…操作部、260…記憶部、270…通信部、
80…ネットワーク、81…天気予報サーバ、82…工事予告サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路に関する交通情報を提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図上に出発地から目的までの推奨経路を表示する車載機がある(特許文献1参照)。このような車載機は、推奨経路における予想到着時刻や所要時間などを提示することができる。ユーザは、これらの情報を用いて、推奨経路の適否を判断する。
【特許文献1】特開2005−70015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の車載機では、ユーザの判断に役立つ情報が十分に提示されているとはいえない。例えば、ユーザによっては、1日前や1週間前の他の車両の過去の走行実績が示されれば、車載機が表示する推奨経路の所要時間や予想到着時刻がどれくらい信頼できるか検討でき、推奨経路の適否を的確に判断できる場合がある。従来の車載機では、このようなニーズに答えられない。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決すべくなされたものであり、ユーザが推奨経路の適否を判断するのに役立つ情報を表示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく、本発明では、推奨経路の提示の際に、過去の所定の日時における走行実績を提示する。
【0006】
例えば、本発明の第1の態様は、交通情報処理装置であって、出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、前記推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績(例えば、1日前、1週間目)と、前記走行実績が収集された日時の前記推奨経路上の天気とを表示する表示手段を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、交通情報処理装置であって、出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、前記推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績と、前記走行実績が収集された日時の前記推奨経路上の規制とを表示する表示手段を備える。
【0008】
前記交通情報処理装置は、前記推奨経路の出発地の出発時刻と目的地への到着時刻までの時間帯に相当する時間帯に当該推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両であって、最も長く当該推奨経路に沿って走行した車両の走行実績を用いて、当該推奨経路の所要時間を算出する手段を備えていてもよい。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、出発地と目的地と希望到着日時を設定する手段と、前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、前記希望到着日時に目的地に到着するための推奨出発時刻を求める手段と、前記走行実績データの中から、過去の所定の日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、前記過去の所定の日時の前記推奨経路上の規制情報を取得する手段と、前記過去の所定の日時の前記推奨経路に関する天気情報を取得する手段と、前記推奨経路の所要時間と前記規制情報と前記天気情報を前記交通情報表示装置に送信する手段とを備える。
【0010】
また、本発明の第4の態様は、交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、出発地と目的地とを設定する手段と、前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、前記推奨経路が関係する地域の天気予報を取得する手段と、少なくとも前記推奨経路が関係する地域において、前記天気予報に相当する天気であった過去の日時を特定する日時特定手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、前記推奨経路の所要時間を前記交通情報表示装置に送信する手段とを備える。
【0011】
また、本発明の第5の態様は、交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、出発地と目的地とを設定する手段と、前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、前記推奨経路において交通規制があった過去の日時を特定する日時特定手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、前記特定した日時に前記交通規制があった道路を回避した、前記出発地から前記目的地までの代替経路を探索する手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記代替経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記代替経路の所要時間を求める手段と、前記推奨経路の所要時間と前記代替経路の所要時間とを前記交通情報表示装置に送信する手段とを備える。
【0012】
また、本発明の第6の態様は、交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、出発地と目的地とを設定する手段と、前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、少なくとも推奨経路に関係する工事予定を取得する手段と、前記推奨経路に前記工事予定に相当する工事があった過去の日時を特定する日時特定手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、前記特定した日時において工事があった道路を回避した、前記出発地から前記目的地までの代替経路を探索する手段と、前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記代替経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記代替経路の所要時間を求める手段とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明が適用された実施例について、図面を参照して説明する。
【0014】
<実施例1>
図1は、本実施例の交通情報表示システムの概略構成図である。図示するように、本実施例の交通情報表示システムは、交通情報サーバ100と、車両に搭載される交通情報表示装置200とからなる。交通情報サーバ100と、交通情報表示装置200とはインターネットなどのネットワーク80を介して接続される。
【0015】
ネットワーク80には、天気予報を配信する天気予報サーバ81及び工事予告を配信する工事予告サーバ82が接続されている。交通情報サーバ100は、これらのサーバ81、82から、地域ごとの天気予報と、道路の工事予告を取得することができる。
【0016】
交通情報サーバ100、交通情報表示装置200、天気予報サーバ81、及び工事予告サーバ82は、CPUなどの演算装置と、RAM、ROMなどの記憶装置と、データを送受信するためのバスと、通信用のインターフェースを備えた、汎用的のコンピュータにより構成される。また、以下に説明するそれぞれの構成要素および機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより達成される。
【0017】
交通情報サーバ100は、様々な処理を行う中心的ユニットである主制御部110と、設定された出発地から目的地までの推奨経路を探索する経路探索部120と、推奨経路の所要時間を求める所要時間算出部130と、ネットワーク80を介して外部の装置と通信を行う通信部140と、様々な情報を記憶するための記憶部150と、を備えている。
【0018】
記憶部150には、地図データ151と、走行実績データ300と、規制実績データ310と、天気実績データ320とが格納されている。
【0019】
地図データ151には、地図上の区画された領域であるメッシュ領域ごとに、道路を構成するリンクのリンクデータが格納されている。リンクデータには、各リンクを識別するリンクIDごとに、そのリンクの始点・終点のノード座標、そのリンクの長さ、そのリンクの属する道路の種類、そのリンクを走行した場合のおよその所要時間などが含まれている。また、地図データ151には、道路以外の構成物、例えば、建築物、施設なでのデータも含まれている。
【0020】
図2は、走行実績データ300の構成を示す図である。走行実績データ300には、各車両に搭載された交通情報表示装置200から受信した情報(例えば、車両の現在位置)を基に生成された走行実績情報が格納されている。具体的には、走行実績データ300には、車両を識別する車両ID301ごとに、走行実績情報を格納するレコード305が格納されている。各レコード305には、リンクID302と、そのリンクID302のリンクへの進入時間303と、そのリンクの旅行時間304とが格納されている。
【0021】
上述のように、走行実績データ300は、各車両に搭載された交通情報表示装置200から採取された情報(例えば、現在位置)を基に生成された走行実績情報が蓄積されたものである。ここで、走行実績情報の生成のされ方について説明する。各車両の交通情報表示装置200は、車両の走行中に、定期的に現在位置を検出する。そして、検出した現在位置を、車両を特定する情報(車両ID)とともに、交通情報サーバ100に送る。交通情報サーバ100の主制御部110は、通信部140を介して、これらの情報を受信する。そして、車両ごとの、走行実績情報を生成する。具体的には、地図データ151を参照して、車両が進入したリンクのリンクIDを特定する。さらに、その車両の現在位置の移動を追跡して、進入したリンクから脱出したときの日時を求める。そして、走行実績データ300に、その車両の車両ID301が付与されたレコード305を追加し、追加したレコード305のリンクID302に、今回進入し脱出したリンクのリンクIDを格納する。旅行時間304には、進入から脱出までの所要時間を格納する。こうして、走行実績データ300には、車両ごとの走行実績情報が蓄積されていく。
【0022】
図3は、規制実績データ310の構成を示す図である。規制実績データ310には、各リンクの過去の交通規制に関する情報が格納されている。具体的には、規制実績データ310には、日時311が付与されたレコード314が格納されており、そのレコード314には、交通規制があったリンクのリンクID312と規制情報313とが格納されている。規制情報313には、速度規制、通行止め、車線規制などの規制の内容と、その規制の原因(例えば、工事)などが含まれている。
【0023】
図4は、天気実績データ320の構成を示す図である。天気実績データ320は、各リンクの過去の天気に関する情報が格納されている。具体的には、天気実績データ320には、日時321が付与されたレコード324が格納されており、このレコード324には、リンクID322と、天気情報323とが格納されている。なお、リンクごとではなく、メッシュ領域ごと、あるいは特定の地域ごとに、天気情報が格納されていてもよい。
【0024】
図1に戻って説明する。
【0025】
交通情報表示装置200は、車両ごとに搭載される車載機である。交通情報表示装置200は、主制御部210と、現在位置検出部220と、表示部240と、操作部250と、記憶部260と、通信部270と、を備えている。
【0026】
主制御部210は、様々な処理を行う中心的なユニットであり、各機能部を制御する。また、現在位置検出部220により定期的に検出される現在位置を、車両を識別する情報とともに、通信部270を介して、交通情報サーバ100に送信する。また、操作部250を介してユーザから経路探索の要求を受け付けた場合、出発地、目的地、出発日時(希望到着日時)の設定を行い、推奨経路を探索するように交通情報サーバ100に要求する処理を行う。また、交通情報サーバ100から、推奨経路、推奨出発時刻、予想到着日時などを受信し、表示部240に表示させる処理を行う。
【0027】
現在位置検出部220は、GPS(Global Positioning System)受信装置、車速センサ、ジャイロなどからなり、車両の現在の座標位置を検出することができる。なお、交通情報表示装置200が地図データを備えている場合、現在位置検出部220は、マップマッチングにより、地図上の座標位置を求めることができる。
【0028】
表示部240は、ユーザに交通情報を提示するための装置であり、液晶ディスプレイなどで構成される。表示部240は、例えば、地図データをグラフィックス展開し、そこへ現在位置を示すマークを重ねて表示する。また、推奨経路とともに、推奨出発時刻や予想到着時刻を表示する。
【0029】
操作部250は、ユーザからの入力を受け付けるためのインターフェースである。操作部250は、ハードスイッチを備えたリモコンや、液晶ディスプレイの前面に張られたタッチパネルなどで構成される。
【0030】
記憶部260は、交通情報表示装置200が処理する様々な情報を保持する。例えば、交通情報サーバ100から受信した交通情報を記憶する。
【0031】
通信部270は、ネットワーク80を介して、交通情報サーバ200と接続する処理を行う。
【0032】
本実施形態では、交通情報表示装置200は、交通情報サーバ100が提供する経路探索サービスのブラウザのような機能を果たす。すなわち、交通情報表示装置200は、表示に必要な情報(地図描画のためのデータを含む)を交通情報サーバ100から受信する。しかし、これに限らず、交通情報表示装置200は、一般的な車載用ナビゲーション装置が備える機能を備えていてもよい。すなわち、地図データを保持して、自ら経路探索する機能や、経路誘導を行う機能を備えていてもよい。また、ビーコンやFM多重放送局から交通情報を取得し表示する機能を備えていてもよい。
【0033】
<動作の説明>
図5は、交通情報表示システムの特徴的な動作の流れを示すフロー図である。
【0034】
交通情報表示装置200の主制御部210は、操作部250を介してユーザから、出発地と、目的地と、希望到着日時と、探索条件の入力を受け付ける(S101)。そして、主制御部210は、出発地と、目的地と、希望到着日時と、探索条件とを、交通情報サーバ100に送信し、経路探索を要求する(S102)。なお、探索条件には、距離優先、所要時間優先、一般道優先などがある。
【0035】
これを受けて、交通情報サーバ100は、推奨経路と推奨出発時刻を求める(S103)。
【0036】
具体的には、交通情報サーバ100の主制御部110は、交通情報表示装置200から経路探索の要求を受け付けると、経路探索部120に対して、ユーザの要求に合致する経路を探索するように命令する。
【0037】
経路探索部120は、出発地から目的地までの経路であって、希望到着日時付近に目的地に到着可能であり、かつ探索条件に最も合致する経路(推奨経路)を探索する。例えば、探索条件が距離優先の場合、経路探索部120は、地図データ151のリンクデータを用いて、リンクの長さをリンクコストとして、ダイクストラ法等により、出発地から目的地までの総コストが最小になる経路を求め、推奨経路とする。そして、求めた推奨経路の距離を、所定の車速で除することにより、推奨経路の所要時間を求める。そして、希望到着時刻から、求めた所要時間を差し引くことにより、推奨出発時刻を求める。
【0038】
ここで求められた所要時間は、走行実績から直接求められたものではなく、予め定められた所定の算出式により概算されたものであるので、「概算所要時間」ということにする。
【0039】
なお、VICS情報などを取得して、交通状況を考慮して探索する場合は、渋滞度に応じてリンクコストを重み付けするなどして、総コストが最小の経路を求め、推奨経路とする。
【0040】
次に、所要時間算出部130は、走行実績データ300を用いて、推奨経路の所要時間を求める(S104)。ここで、求められる所要時間は、過去の走行実績に基づいて求められるので、上記「概算所要時間」と区別するため、「実績所要時間」ということにする。
【0041】
本実施例では、所定の過去の日時の走行実績情報を用いて、実績所要時間を求める。具体的には、1日前及び1週間前の、対応する時間帯の、走行実績を用いて、実績所要時間を求める。このとき、かかる所定の過去の日時に推奨経路と全く同一の経路を走行した車両が存在し、その車両の走行実績情報があれば、その車両の所要時間をそのまま実績所要時間にすればよい。しかし、そのような車両が存在する確率は低いので、本実施例では、複数の車両の走行実績から、推奨経路の実績所要時間を求めることにする。
【0042】
かかる実績所要時間の算出方法として、例えば、図6(B)に示すように、推奨経路をリンクごとに細かく分割して、リンクごとに走行実績から所要時間を求めて、最終的に合計する方法が考えられる。具体的には、推奨経路をリンク単位に分割し、リンクごとに、そのリンクを走行した車両を適当に抽出する。そして、抽出した車両の走行実績情報から、リンク単位の所要時間を求める。推奨経路を構成する全リンクについて所要時間を求めて、最後に合計する(図6(B)参照)。
【0043】
しかし、この方法では、車両の連続性を考慮していない。この方法では、リンクごとに異なる車両の走行実績を用いる場合もあり、推奨経路の実績所要時間を求めるのに、極めて多くの車両の走行実績を用いることになる。ある意味では、平均化された所要時間を求めることができるかもしれないが、反面、実際と異なるものとなる可能性がある。
【0044】
走行実績データ310には、車両ごとに、同一運転手が所定の経路を走行した場合のリンクごとの旅行時間304が格納されている。これは、ある経路のリンクを連続的に走行した場合の結果であり、運転手のくせや道路状況の実情が反映されたものである。この実情を無視して、推奨経路をリンクごとに細かく分断し、リンク間で車両が同一か否か(連続性)を無視して、リンクごとの所要時間を求め合計すると、生のデータと乖離してしまう可能性がある。
【0045】
本実施例では、推奨経路の適否を判断するのに役立つ情報を表示することを目的とする。そのためには、なるべく加工していない生のデータを提示する方がいい。そのほうが、ユーザは、自由に判断ができる。
【0046】
そこで、なるべく少ない数の車両の走行実績を用いて、推奨経路の実績所要時間を求める。すなわち、本実施例では、図6(B)に示したように、推奨経路を細かく分割して、所要時間を求めるようなことは行わない。図6(A)に示すように、なるべく大きく分割し、推奨経路の実績所要時間を算出する。
【0047】
そのためには、推奨経路との重複部分がより長い車両を抽出していき、抽出した車両の走行実績から、推奨経路の実績所要時間を求めればよい。具体的には、まず、推奨経路に沿って走行した部分(重複部分)が最も長い車両を特定する。さらに推奨経路上のその重複部分を除いた前後の経路について、それぞれ、その経路を走行した部分が最も長い車両を特定する。さらに、残りの部分についても同様に、最も長く走行した車両を特定するという処理を繰り返す。そして、こうして特定した車両の、推奨経路との重複部分の所要時間を求めて、最終的に合計する。以下に、具体的に説明する。
【0048】
図7は、ある経路Xに沿って最も長く走行した車両を抽出し、その車両の走行経路と経路Xとの重複部分を求める処理のフロー図である。
【0049】
まず、所要時間算出部130は、「日」を設定する。本実施例では、「今日」を基準として、1日前の日、または1週間前の日を設定する(S201)。
【0050】
さらに、経路Xの始点通過時刻t1及び終点通過時刻t2を設定する。経路Xが推奨経路そのものの場合、始点は出発地であるので、始点通過時刻t1=出発時刻である。また、終点は目的地であるので、終点通過時刻t2=予想到着時刻である。
【0051】
次に、始点から順番に、経路X上のリンクを一つ選択し、リンクaとする(S203)。
【0052】
次に、S201で設定した日における始点通過時刻t1から終点通過時刻t2の間に、リンクaを走行した車両を抽出する(S204)。具体的には、走行実績データ300の中から、リンクID302がリンクaであり、進入日時303が時刻t1から時刻t2の間であるレコード305を抽出し、抽出してレコード305の車両ID301を抽出する。
【0053】
次に、抽出した車両ID301の中から、経路Xに沿って最も長く走行した車両の車両IDを抽出する(S205)。なお、経路Xに沿って走行した部分の長さは、抽出した車両ID301の走行実績情報が格納されたレコード305の中から、経路Xを構成するリンクと同一のリンクID302を抽出していき、地図データ151を参照して、抽出したリンクID302のリンク長を合計することにより求めることができる。
【0054】
ここで、経路Xに沿って最も長く走行した車両の経路Xとの重複部分(経路Xに沿って走行した部分)を、経路nとする(S206)。
【0055】
次に、所要時間算出部130は、経路nの長さが経路Nより長いか否か判定する(S207)。なお、経路Nは、初期状態で0とする。
【0056】
経路nが経路Nより長い場合のみ(S207でY)、所要時間算出部130は、経路Nを、経路nで置き換える(S208)。
【0057】
次に、所要時間算出部130は、リンクaが、経路Xの最後のリンクか否か判定し(S209)、最後のリンクでない場合(S209でN)、S203に戻って、次のリンクを選択し、以降の処理を続ける。
【0058】
一方、最後のリンクである場合(S209でY)、所要時間算出部130は、経路Nを、分割経路情報に格納する(S210)。
【0059】
図8は、分割経路情報を示す図である。理解の容易のため、分割された経路を樹形図で表している。
【0060】
ここで、所要時間算出部130は、経路Xの始点から経路Nの始点までの経路を、経路X1とする。また、経路Nの終点から経路Xの終点までの経路を、経路X2とする。そして、それぞれ、分割経路情報に格納する。
【0061】
図示するように、経路Nにより分割された残りの経路X1及び経路X2についても同様の処理を行うことにより、経路X1、経路X2についても、それぞれ最も長く走行した車両を抽出し、それらの車両が走行した経路X1又はX2上の経路N11、N12を特定する。
【0062】
このような処理を繰り返すことにより、図8に示すような樹形図ができる。推奨経路Xに沿って最も長く走行した車両の走行経路と、推奨経路Xとの重複部分は、経路Nである。親経路(経路X)は、経路Nと、二つの子経路(経路X1と経路X2)に分断される。経路X1に沿って最も長く走行した車両の経路X1との重複走行部分は、経路N11である。同様に、経路X2に沿って最も長く走行した車両の経路X2との重複走行部分は、経路N21である。こうして、分断された残りの経路についても、順次、最も長く走行した車両を求めていく。
【0063】
一方で、子経路の始点が親経路の始点と重複する場合や、子経路の終点が親経路の終点と重複する場合は、経路の分割を終了する。
【0064】
こうして、推奨経路を、なるべく少ない数の車両の走行実績により分割することができる。
【0065】
所要時間算出部130は、分割した経路ごとの実績所要時間を、分割した経路を連続的に走行した車両の走行実績情報から求める。そして、分割した経路ごとの所要時間を、合計して、推奨経路全体の実績所要時間を求める。なお、経路ごとの所要時間は、その経路を構成するリンクのリンク旅行時間304を合計することで求められる。
【0066】
ここで、所要時間算出部130は、推奨経路全体の実績所要時間のほかに、推奨経路上の特定の区間ごとのの実績所要時間を求めてもよい。例えば、高速道路の特定の区間ごとの実績所要時間を求める。
【0067】
また、特定の区間ごとの渋滞度を求めてもよい。例えば、特定の区間について求めた実績所要時間を、その特定の区間の距離によって割り、車速を求める。そして、車速に応じて予め定めた渋滞度により、特定の区間の渋滞度を求める。
【0068】
図5に戻って説明を続ける。
【0069】
推奨経路の実績所要時間を求めると(S104)、次に、主制御部110は、実績所要時間を求めた際のS201にて設定した日(1日前、1週間前の日)で、かつ推奨経路の走行時間帯に相当する時間帯における、規制情報を取得する。具体的には、規制実績データ310の中から、日時311が走行時間帯(出発時刻と到着時刻との間)に属し、かつ、リンクID312が推奨経路を構成するリンクであるレコード314を抽出し、抽出したレコード314の規制情報313を抽出する(S105)。
【0070】
次に、主制御部110は、実績所要時間を求めた際のS201にて設定した日(1日前、1週間前の日)で、かつ推奨経路の走行時間帯に相当する時間帯における、天気情報を取得する。具体的には、規制実績データ310の中から、日時321が走行時間帯(出発時刻と到着時刻との間)に属し、かつリンクID322が推奨経路を構成するリンクであるレコード324を抽出し、抽出したレコード324の天気情報323を抽出する(S106)。
【0071】
そして、主制御部110は、通信部140を介して、S103〜S106で求めた、推奨経路、推奨出発時刻、実績所要時間、規制情報、天気情報を、交通情報表示装置200に送信する(S107)。
【0072】
交通情報表示装置200の主制御部210は、通信部270を介して、これらの情報を取得する。そして、表示部240に、推奨経路、推奨出発時刻、実績情報(実績所要時間、規制情報、天気情報)を表示する(S108)。
【0073】
図9は、交通情報表示装置200の画面表示例である。表示画面2410には、地図2411上に、出発地から目的地までの推奨経路2412が表示される。また、予測情報2415として、推奨出発時刻、予想到着時刻(ユーザが設定した希望到着時刻でもある)が表示される。また、実績情報2416として、1日前及び1週間前の実績所要時間が表示される。また、1日前及び1週間前の天気情報も表示される。また、規制情報がある場合は、規制の内容や原因(事故など)も表示される。また、推奨経路上の該当する位置に、規制情報2413が表示される。
【0074】
また、ユーザから実績情報の詳細を表示するように要求を受け付けると、主制御部210は、推奨経路上の特定の区間ごとの実績所要時間2417を表示する。このとき、特定の区間ごとの渋滞度を表示するようにしてもよい。
【0075】
上記実施例1によれば、推奨経路とともに、その推奨経路の対応する日時における他の車両の過去の走行実績を提示することができる。また、走行実績に基づいて算出された所要時間が表示されるとともに、そのような走行実績となった環境(天気や交通規制)が表示される。すなわち、ユーザに、推奨経路の適否を判断するのに役立つ情報を提示することができる。
【0076】
<実施例2>
実施例2は、実施例1と似た構成を備える。したがって、共通する構成については、説明を省略する。
【0077】
実施例2では、ユーザの現在位置を出発地として目的地までの推奨経路を探索し、探索した推奨経路を提示するとともに、「本日」の天気と同じ天気における過去の走行実績を提示する。
【0078】
図10は、実施例2にかかる動作の流れを示すフロー図である。
【0079】
まず、交通情報表示装置100の主制御部210は、操作部250を介してユーザから、目的地と探索条件の入力を受け付ける(S111)。そして、主制御部210は、現在位置と、目的地と、探索条件とを、交通情報サーバ100に送信し、経路探索を要求する(S112)。
【0080】
これを受けて、交通情報サーバ100は、推奨経路と予想到着時刻を求める(S113)。
【0081】
具体的には、交通情報サーバ100の主制御部110は、交通情報表示装置200から経路探索の要求を受け付けると、経路探索部120に対して、ユーザの要求に合致する経路を探索するように命令する。
【0082】
経路探索部120は、現在時刻を出発時刻として、出発地から目的地までの経路であって、かつ探索条件に最も合致する経路(推奨経路)を探索する。また、求めた推奨経路の距離を、所定の車速で除することにより、推奨経路の所要時間(概算所要時間)を求める。そして、現在の時刻に、求めた概算所要時間を足すことにより、予想到着時刻を求める。
【0083】
なお、実施例1と同様に、VICS情報などを取得して、交通状況を考慮して探索する場合は、渋滞度に応じてリンクコストを重み付けするなどして、総コストが最小の経路を求め推奨経路を求める。
【0084】
次に、主制御部110は、推奨経路に関する天気予報をネットワーク80を介して天気予報サーバ81から取得する(S114)。ここで、取得する推奨経路に関する天気予報は、出発時刻から予想到着時刻までの時間帯における、推奨経路が経由する地域の天気予報である。
【0085】
次に、主制御部110は、天気予報と同じ天気種別の過去の日時を取得する(S115)。具体的には、主制御部210は、天気実績データ320から、天気情報323が、天気予報に一致し、かつリンクID322が推奨経路を構成するリンクのリンクIDであるレコード324を抽出し、そのレコード324の日時321を特定する。なお、複数ある場合は、「本日」に最も近い日を選択する。
【0086】
次に、主制御部110は、S115で取得した日時の走行実績情報を用いて、推奨経路の実績所要時間を算出する(S116)。実績所要時間の算出は、実施例1の図7で示したフローと同様にして行う。ただし、S201の「日」の設定において、S115で取得した日を設定する。
【0087】
次に、主制御部110は、S113〜S116で求めた、推奨経路、予想到着時刻、実績所要時間を、交通情報提示装置200に送信する(S117)。
【0088】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、推奨経路とともに、予想到着時刻を表示する。さらに、実績所要時間を表示する。なお、交通情報サーバ110から推奨経路における天気予報を取得し、表示してもよい。
【0089】
本実施例2によれば、本日の天気と同一の天気の過去の日における走行実績を提示することができる。すなわち、同じ天気ならば似たような交通状況になるとの実情に即し、ユーザが推奨経路を判断するのに役立つ情報を表示することができる。
なお、実施例2において、出発日時を、現在時刻でなく、未来の日時に設定できるようにしてもよい。そして、未来の日時における、天気予報と同じ種別の天気における走行実績を用いて、実績所要時間を求めるようにしてもよい。また、出発地を、現在位置ではなく、ユーザが設定した地点とすることもできる。
【0090】
<実施例3>
実施例3は、実施例1と似た構成を備える。したがって、共通する構成については、説明を省略する。
【0091】
実施例3では、探索した推奨経路において過去に交通規制があった場合、かかる交通規制のあったリンクを回避する代替経路を求めるとともに、規制があった日における実績所要時間を求めて提示する。
【0092】
図11は、実施例3にかかる動作の流れを示すフロー図である。
【0093】
まず、交通情報表示装置100の主制御部210は、操作部250を介してユーザから、目的地と探索条件の入力を受け付ける(S121)。そして、主制御部210は、現在位置と、目的地と、探索条件とを、交通情報サーバ100に送信し、経路探索を要求する(S122)。
【0094】
交通情報サーバ100は、現在時刻を出発時刻とする目的地までの推奨経路と、予想到着時刻を求める(S123)。
【0095】
具体的には、交通情報サーバ100の主制御部110は、交通情報表示装置200から経路探索の要求を受け付けると、経路探索部120に対して、ユーザの要求に合致する経路を探索するように命令する。
【0096】
経路探索部120は、現在時刻を出発時刻として、出発地から目的地までの経路であって、かつ探索条件に最も合致する経路(推奨経路)を探索する。また、求めた推奨経路の距離を、所定の車速で除することにより、推奨経路の所要時間(概算所要時間)を求める。そして、現在の時刻に、求めた概算所要時間を足すことにより、予想到着時刻を求める。
【0097】
なお、実施例1と同様に、VICS情報などを取得して、交通状況を考慮して探索する場合は、渋滞度に応じてリンクコストを重み付けするなどして、総コストが最小の経路を求めることにより推奨経路を求めるようにする。
【0098】
次に、主制御部110は、推奨経路において過去に規制があった日時を取得する(S124)。具体的には、規制実績データ310から、規制情報313が「速度規制」などの規制を示す情報であり、かつリンクID312が推奨経路を構成するリンクのリンクIDであるレコード314を抽出し、そのレコード314の日時311を特定する。なお、複数ある場合は、「本日」に最も近い日を選択する。
【0099】
次に、主制御部110は、S124で取得した日時における、推奨経路の実績所要時間を算出する(S125)。実績所要時間の算出は、実施例1の図7で示したフローと同様にして行う。ただし、S201の「日」の設定において、S124で取得した日を設定する。
【0100】
次に、主制御部110は、推奨経路、予想到着時刻、実績所要時間を、規制情報を、交通情報提示装置200に送信する(S126)。
【0101】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、推奨経路とともに、予想到着時刻を表示する。さらに、実績所要時間とともに、規制情報を表示する(S127)。
【0102】
また、交通情報サーバ100の主制御部110は、規制のあるリンクを回避して目的地まで到達する経路(代替経路)を探索する(S128)。
【0103】
そして、主制御部110は、探索した代替経路の実績所要時間を求める(S129)。実績所要時間の求め方は、図7のフローの通りであるが、S201の「日」の設定において、S124で取得した日を設定する。
【0104】
次に、主制御部110は、代替経路と、その実績所要時間を、交通情報提示装置200に送信する(S130)。
【0105】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、代替経路とともに、その実績所要時間を表示する(S131)。
【0106】
本実施例3によれば、探索した推奨経路において過去に交通規制があった場合、その交通規制を避ける代替経路を探索し、さらに、その交通規制があった日時における代替経路の実績所要時間を求め、表示する。過去に交通規制があったということは、「本日」も規制が発生する可能性があるが、本実施例では、そのことに配慮した交通情報の表示が行われる、すなわち、ユーザが推奨経路を判断するのに役立つ情報を表示することができる。
【0107】
なお、実施例3において、出発日時を、現在時刻でなく、未来の日時に設定できるようにしてもよい。
【0108】
<実施例4>
実施例4は、実施例3と似た構成を備える。したがって、共通する構成については、説明を省略する。
【0109】
実施例4は、探索した推奨経路において工事予告されているリンクがある場合、同様の工事があった過去の日時における実績所要時間を求めて表示する。また、そのような工事により交通規制があったリンクを回避する代替経路を求めるとともに、その規制があった日における実績所要時間を求めて表示する。
【0110】
図12は、実施例4にかかる動作の流れを示すフロー図である。
【0111】
まず、交通情報表示装置100の主制御部210は、操作部250を介してユーザから、出発日時と目的地と探索条件の入力を受け付ける(S141)。そして、主制御部210は、現在位置と、目的地と、出発時刻と、探索条件とを、交通情報サーバ100に送信し、経路探索を要求する(S142)。
【0112】
交通情報サーバ100は、設定された出発時刻における現在位置から目的地までの推奨経路と、予想到着時刻を求める(S143)。
【0113】
具体的には、交通情報サーバ100の主制御部110は、交通情報表示装置200から経路探索の要求を受け付けると、経路探索部120に対して、ユーザの要求に合致する経路を探索するように命令する。
【0114】
経路探索部120は、出発地から目的地までの経路であって、かつ探索条件に最も合致する経路(推奨経路)を探索する。また、求めた推奨経路の距離を、所定の車速で除することにより、推奨経路の所要時間(概算所要時間)を求める。そして、出発時刻に、求めた概算所要時間を足すことにより、予想到着時刻を求める。
【0115】
なお、実施例1と同様に、VICS情報などを取得して、交通状況を考慮して探索する場合は、渋滞度に応じてリンクコストを重み付けするなどして、総コストが最小の経路を求めることにより推奨経路を求めるようにする。
【0116】
次に、主制御部110は、ネットワーク80を介して、事故予告サーバ82から、出発時刻と予想到着時刻との間の時間帯における、推奨経路を構成するリンクの工事予告を取得する(S144)。
【0117】
次に、主制御部110は、推奨経路において過去に同様の工事があった日時を取得する(S145)。具体的には、規制実績データ310から、規制情報313に含まれている規制の原因が予告された工事と同様の工事を示すものであり、かつリンクID312が推奨経路を構成するリンクのリンクIDであるレコード314を抽出し、そのレコード314の日時311を特定する。なお、複数ある場合は、「本日」に最も近い日を選択する。
【0118】
次に、主制御部110は、S145で取得した日時における、推奨経路の実績所要時間を算出する(S146)。実績所要時間の算出は、実施例1の図7で示したフローと同様にして行う。ただし、S201の「日」の設定において、S145で取得した日を設定する。
【0119】
次に、主制御部110は、推奨経路、予想到着時刻、実績所要時間、工事予告、工事により発生する可能性のある規制を、交通情報提示装置200に送信する(S147)。なお、工事により発生する可能性のある規制は、S145で抽出したレコード314の規制情報313の規制内容である。
【0120】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、推奨経路とともに、予想到着時刻を表示する。さらに、工事予告と、工事により発生する可能性のある規制の内容と、実績所要時間を表示する(S148)。
【0121】
また、交通情報サーバ100の主制御部110は、工事により規制があったリンクを回避して目的地まで到達する経路(代替経路)を探索する(S149)。
【0122】
そして、主制御部110は、探索した代替経路の実績所要時間を求める(S150)。実績所要時間の求め方は、図7のフローの通りであるが、S201の「日」の設定において、S145で取得した日を設定する。
【0123】
次に、主制御部110は、代替経路と、その実績所要時間を、交通情報提示装置200に送信する(S151)。
【0124】
交通情報提示装置200の主制御部210は、表示部240のディスプレイに、代替経路とともに、その実績所要時間を表示する(S152)。
【0125】
本実施例4によれば、探索した推奨経路において工事予告されているリンクがある場合、同様の工事により規制が生じた過去の日時における実績所要時間を求めて表示する。また、その交通規制を避ける代替経路を探索し、さらに、その交通規制があった日時における代替経路の実績所要時間を求め、表示する。過去に同様の工事があったということは、同様の交通規制が発生する可能性があるが、本実施例では、それに配慮した交通情報の表示が行われる。すなわち、ユーザが推奨経路を判断するのに役立つ情報を表示することができる。
【0126】
以上いくつかの実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に制限されない。上記実施例は、様々な変形が可能である。
【0127】
例えば、交通情報提示装置200が交通情報サーバ100の処理を行うようにしてもよい。例えば、交通情報提示装置200の主制御部210は、推奨経路の探索や、実績所要時間の算出を行う。この場合、交通情報提示装置200は、自身の記憶装置に、走行実績データ300、規制実績データ310、天気実績データ320を保持しているとする。そして、定期的に、これらのデータを更新する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された交通情報表示システムの概略構成図である。
【図2】図2は、走行実績データの構成を示す図である。
【図3】図3は、規制実績データの構成を示す図である。
【図4】図4は、天気実績データの構成を示す図である。
【図5】図5は、動作のフロー図である。
【図6】図6は、推奨経路の分割の様子を説明する図である。
【図7】図7は、図5の実績所要時間の算出処理(S104)のフロー図である。
【図8】図8は、分割した経路の樹形図である。
【図9】図9は、表示画面の例を示す図である。
【図10】図10は、動作のフロー図である。
【図11】図11は、動作のフロー図である。
【図12】図12は、動作のフロー図である。
【符号の説明】
【0129】
100…交通情報サーバ、
110…主制御部、120…経路探索部、130…所要時間算出部、140…通信部、150…記憶部、151…地図データ、300…走行実績データ、310…規制実績データ、320…天気実績データ
200…交通情報表示装置、210…主制御部、220…現在位置検出部、240…表示部、250…操作部、260…記憶部、270…通信部、
80…ネットワーク、81…天気予報サーバ、82…工事予告サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報処理装置であって、
出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、
前記推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績と、前記走行実績が収集された日時の前記推奨経路上の天気とを表示する表示手段
を備えることを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項2】
交通情報処理装置であって、
出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、
前記推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績と、前記走行実績が収集された日時の前記推奨経路上の規制とを表示する表示手段
を備えることを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の交通情報処理装置において、
前記推奨経路の出発地の出発時刻と目的地への到着時刻までの時間帯に相当する時間帯に当該推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両であって、最も長く当該推奨経路に沿って走行した車両の走行実績を用いて、当該推奨経路の所要時間を算出する手段を備える
ことを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項4】
交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、
道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、
出発地と目的地と希望到着日時を設定する手段と、
前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、
前記希望到着日時に目的地に到着するための推奨出発時刻を求める手段と、
前記走行実績データの中から、過去の所定の日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、
前記過去の所定の日時の前記推奨経路上の規制情報を取得する手段と、
前記過去の所定の日時の前記推奨経路に関する天気情報を取得する手段と、
前記推奨経路の所要時間と前記規制情報と前記天気情報を前記交通情報表示装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする交通情報サーバ装置。
【請求項5】
交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、
道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、
出発地と目的地とを設定する手段と、
前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、
前記推奨経路が関係する地域の天気予報を取得する手段と、
少なくとも前記推奨経路が関係する地域において、前記天気予報に相当する天気であった過去の日時を特定する日時特定手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、
前記推奨経路の所要時間を前記交通情報表示装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする交通情報サーバ装置。
【請求項6】
交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、
道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、
出発地と目的地とを設定する手段と、
前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、
前記推奨経路において交通規制があった過去の日時を特定する日時特定手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、
前記特定した日時に前記交通規制があった道路を回避した、前記出発地から前記目的地までの代替経路を探索する手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記代替経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記代替経路の所要時間を求める手段と、
前記推奨経路の所要時間と前記代替経路の所要時間とを前記交通情報表示装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする交通情報サーバ装置。
【請求項7】
交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、
道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、
出発地と目的地とを設定する手段と、
前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、
少なくとも推奨経路に関係する工事予定を取得する手段と、
前記推奨経路に前記工事予定に相当する工事があった過去の日時を特定する日時特定手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、
前記特定した日時において工事があった道路を回避した、前記出発地から前記目的地までの代替経路を探索する手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記代替経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記代替経路の所要時間を求める手段と
を備えることを特徴とする交通情報サーバ装置。
【請求項1】
交通情報処理装置であって、
出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、
前記推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績と、前記走行実績が収集された日時の前記推奨経路上の天気とを表示する表示手段
を備えることを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項2】
交通情報処理装置であって、
出発地から目的地までの推奨経路を表示するとともに、
前記推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両の走行実績と、前記走行実績が収集された日時の前記推奨経路上の規制とを表示する表示手段
を備えることを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の交通情報処理装置において、
前記推奨経路の出発地の出発時刻と目的地への到着時刻までの時間帯に相当する時間帯に当該推奨経路の少なくとも一部を実際に走行した車両であって、最も長く当該推奨経路に沿って走行した車両の走行実績を用いて、当該推奨経路の所要時間を算出する手段を備える
ことを特徴とする交通情報処理装置。
【請求項4】
交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、
道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、
出発地と目的地と希望到着日時を設定する手段と、
前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、
前記希望到着日時に目的地に到着するための推奨出発時刻を求める手段と、
前記走行実績データの中から、過去の所定の日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、
前記過去の所定の日時の前記推奨経路上の規制情報を取得する手段と、
前記過去の所定の日時の前記推奨経路に関する天気情報を取得する手段と、
前記推奨経路の所要時間と前記規制情報と前記天気情報を前記交通情報表示装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする交通情報サーバ装置。
【請求項5】
交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、
道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、
出発地と目的地とを設定する手段と、
前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、
前記推奨経路が関係する地域の天気予報を取得する手段と、
少なくとも前記推奨経路が関係する地域において、前記天気予報に相当する天気であった過去の日時を特定する日時特定手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、
前記推奨経路の所要時間を前記交通情報表示装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする交通情報サーバ装置。
【請求項6】
交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、
道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、
出発地と目的地とを設定する手段と、
前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、
前記推奨経路において交通規制があった過去の日時を特定する日時特定手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、
前記特定した日時に前記交通規制があった道路を回避した、前記出発地から前記目的地までの代替経路を探索する手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記代替経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記代替経路の所要時間を求める手段と、
前記推奨経路の所要時間と前記代替経路の所要時間とを前記交通情報表示装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする交通情報サーバ装置。
【請求項7】
交通情報を表示する交通情報表示装置に情報を送信する交通情報サーバ装置であって、
道路を実際に走行した車両から採取した走行実績が格納された走行実績データを記憶する手段と、
出発地と目的地とを設定する手段と、
前記出発地から目的地までの推奨経路を探索する手段と、
少なくとも推奨経路に関係する工事予定を取得する手段と、
前記推奨経路に前記工事予定に相当する工事があった過去の日時を特定する日時特定手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記推奨経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記推奨経路の所要時間を求める手段と、
前記特定した日時において工事があった道路を回避した、前記出発地から前記目的地までの代替経路を探索する手段と、
前記走行実績データの中から、前記日時特定手段により特定した日時に、前記代替経路に沿って走行した距離が最も長い車両の走行実績を抽出し、抽出した走行実績を用いて前記代替経路の所要時間を求める手段と
を備えることを特徴とする交通情報サーバ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−271481(P2007−271481A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98047(P2006−98047)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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