説明

位置追跡装置、位置追跡システムおよび位置追跡方法

【課題】移動物に装着され、その現在位置を逐次取得可能にし、かつ省電力化する技術を提供する。
【解決手段】位置追跡装置10は、人工衛星30からのGPS信号を受信して位置を測位し、測位した位置に時刻を関連付けた情報を記憶する。位置追跡装置10は、その記憶した情報を通信機能を用いて、携帯通信網基地局31を介して、位置追跡サーバ11に送信する。なお、位置追跡装置10が、建物内または地下40にある場合、その建物内または地下40に設置されているエリアID送信機12からエリアIDを受信する。そして、位置追跡装置10は、受信したエリアIDが予め記憶しておいたエリアIDと一致したときに、携帯通信網基地局31との通信が不可能であると判定し、その通信機能の電源を所定の時間OFFする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動物の位置および時刻を遠隔地から逐次取得可能にし、かつ省電力化する位置追跡装置、位置追跡システムおよび位置追跡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人や移動体の動きを、位置および時刻を関連付けて収集する技術がある。位置および時刻に係る情報は、GPS(Global Positioning System)衛星等の人工衛星から送信されてくる無線信号(以下、衛星測位信号と称する。)を受信するGPS受信機能を用いて取得し、その取得した時刻を関連付けることによって取得される。しかし、ユーザから離れた遠隔地にある移動物(人や移動体)がどこをいつ通過したのかをリアルタイムで詳細に知るためには、その移動物にGPS受信機能と現在位置を伝達する通信機能とを備えた携帯通信装置が装着されている必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、位置情報を逐次取得する携帯通信装置(GPS機能付き携帯電話機)を所定の場所に設置された受信装置にかざして、画面に表示した認証コードと共にその位置情報を読み取らせることによって、携帯通信装置の通過時刻と通過位置とを特定する発明が記載されている。
また、特許文献2には、GPS受信機能と通信機能とを備えた携帯通信装置を用いて、緊急事態が発生したときに、現在位置と通信(通話や電子メール)内容とを伝達可能にする発明が開示されている。この携帯通信装置は、移動中にもその現在位置をリアルタイムで送信可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−265453号公報
【特許文献2】特開2005−173854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、所定の場所を通過しないと、位置情報を取得できないという問題がある。すなわち、移動物の位置をリアルタイムで閲覧することができない。
また、特許文献2に記載の携帯通信装置は、逐次現在位置を送信可能である。しかし、特許文献1に記載の携帯通信装置は電池で動作しており、動作時間は電池の消耗時間に依存することになる。携帯通信装置の通信機能として携帯電話機を適用した場合、携帯電話機は接続すべき携帯電話基地局を探索するために周期的に基地局探索用の信号を出力している。そして、接続すべき基地局が見つからない、いわゆる携帯電話基地局の圏外のときには、携帯電話機は、基地局探索用の信号の出力周期を短くして探索を行うようになる。そのため、携帯電話基地局圏内のときの待機時に比べると、携帯電話機の電池の消耗が早くなり、充電なしあるいは電池の交換なしで使用可能な動作時間が短くなるという問題がある。
【0006】
すなわち、GPS受信機能と携帯電話機能とを備えた位置追跡装置を、電源を備えない移動物(例えば、物、人、動物等)に装着して、その移動物の位置をリアルタイムで追跡する場合、移動物が屋内や地下に移動して携帯電話基地局の圏外になると、位置追跡装置の電池の消耗が早くなってしまう。そして、移動物が目的地に到着する前に電池切れによって、リアルタイムな追跡ができなくなってしまうリスクが発生する。
【0007】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、移動物に装着された位置追跡装置が現在位置を測位し、どこをいつ通過したのかをリアルタイムでユーザに伝達可能にし、位置追跡装置の電池の消耗を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、移動物に装着された位置追跡装置が、位置および時刻に係る情報を取得する手段、その位置および時刻に係る情報を通信する通信手段、通信手段が使えないことを通知する情報を受信する手段、通信手段が使えないことを通知する情報を受信した場合に、通信手段の電源をOFFして省電力化する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動物の位置および時刻を逐次取得可能にし、省電力化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】位置追跡システムの概要を示す図である。
【図2】位置追跡装置の構成と機能を示す図である
【図3】位置情報履歴テーブルの一例を示す図である。
【図4】エリアIDテーブルの一例を示す図である。
【図5】位置情報受信処理プログラムの処理の流れを示す図である。
【図6】携帯通信網無線接続制御プログラムの処理の流れを示す図である。
【図7】位置情報送信処理プログラムの処理の流れを示す図である。
【図8】変形例における処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(以降、「実施形態」という)について、適宜図面を用いながら詳細に説明する。
【0012】
まず、本実施形態における位置追跡システムの概要について、図1を用いて説明する。図1は、位置追跡システムの概要を示す図である。
位置追跡システム1は、移動物50の位置を送信する位置追跡装置10と、移動物50の位置および時刻を記録する位置追跡サーバ11と、建物内または地下に設置されるエリアID送信機12とによって構成される。
なお、移動物50は、位置を追跡する対象となる物、人、動物等である。
【0013】
位置追跡装置10は、移動物50に縛り付けられたり、内包されたりして装着される。
まず、位置追跡装置10は、人工衛星30から送信される衛星測位信号を受信し、位置および時刻を算出する。次に、位置追跡装置10は、位置追跡装置10を識別する装置識別情報と位置および時刻に係る情報とを、携帯通信網基地局31を介して位置追跡サーバ11に送信する。そして、送信された情報は、ネットワーク32に接続している位置追跡サーバ11に格納される。
【0014】
人工衛星30は、例えばGPS(Global Positioning System)、ガリレオ測位システム(Galileo positioning system)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、準天頂衛星(Quazi-Zenith Satellites)システム等の測位システム(GNSS)における人工衛星である。なお、以下の説明では、人工衛星30はGPS衛星であるものとし、人工衛星30から送信される衛星測位信号、すなわちGPS信号は、例えばL1信号(1575.42MHz)やL2信号(1227.6MHz)であるものとする。
【0015】
また、以下の説明では、位置および時刻に係る情報を送信する位置追跡装置10の通信機能は、現行の携帯電話で使用されている方式であるものとする。そこで、携帯通信網基地局31は、地上等に100m〜数Kmの距離で設置されていて、位置追跡装置10からの通信アクセスポイントとなる。ネットワーク32は、携帯通信網パケット通信網、電話網、およびインターネット等である。したがって、携帯通信網基地局31が受信した信号は、携帯通信網パケット通信網を介して、電話網やインターネットに接続されている位置追跡サーバ11に格納可能になっている。
【0016】
位置追跡サーバ11は、位置追跡端末10から送信される位置および時刻に係る情報と装置識別情報とを、記憶部に蓄積する。そして、位置追跡サーバ11に蓄積された位置および時刻に係る情報は、モニタ端末20からの閲覧要求に基づいて、出力される。なお、閲覧要求には、装置識別情報が含まれていて、モニタ端末20は、装置識別情報をキーとして、特定の位置追跡端末10の位置および時刻を関連付けて閲覧することができる。
【0017】
エリアID送信機12は、建物内または地下40等の、位置追跡装置10が携帯通信網基地局31と通信できないエリアに設置されている。なお、建物内または地下40は、住宅内、高層ビル内、地下街等の空間である。
そして、エリアID送信機12は、電波、光、赤外線等の無線信号によって、携帯通信網基地局31と接続できないエリアであることを示すエリアID情報を送信する。
エリアID送信機12が用いる信号は、IEEE802.15.4、IEEE802.15.1等の低電力無線や、GPS等で使用されるL1/CA信号や、GPS衛星と同等の信号であって電波の届きにくい建物内や地下においても正確に測位できるように考えられた擬似的な衛星であるIMES(Indoor Messaging System)で使用される信号である。
【0018】
次に、位置追跡装置の構成と機能について、図2を用いて説明する(適宜図1参照)。図2は、位置追跡装置の構成と機能を示す図である。
図2に示すように、位置追跡装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、クロック部102、メインメモリであるRAM(Random Access Memory)103、電源部104、GPS/GNSS受信処理部105、そのアンテナ106、携帯通信網無線処理部107、そのアンテナ108、省電力近距離無線処理部109、そのアンテナ110、および記憶部120を備えている。
【0019】
CPU101は、位置追跡装置10の各部(102,103,105,107,109,120)の制御、および各部(102,103,105,107,109,120)間の情報の伝達を司る。CPU101は、例えば、コンピュータのCPUである。そして、このCPU101がRAM103にアプリケーションプログラムを展開して、それを実行することにより種々の演算処理を具現化する。なお、アプリケーションプログラムは、記憶部120に格納されている。
【0020】
クロック部102は、CPU101の動作タイミングの指針となるクロックを出力する。クロック部102は、例えば、水晶振動子や水晶発振器である。
RAM103は、メインメモリである。
電源部104は、各部(101〜103,105〜110,120)を動作させる電力を供給する。例えば、電源部104は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の一次電池や二次電池である。
【0021】
GPS/GNSS受信処理部105は、アンテナ106を介して複数のGPS/GNSS人工衛星から衛星測位信号を受信し、衛星測位信号に格納されている航法メッセージを利用して位置および時刻を算出する。もしくは、衛星測位信号に格納されている時刻情報のみを受信できるときには、GPS/GNSS受信処理部105は、携帯通信網無線処理部107が取得したGPSアシスト情報を利用して位置を算出する。なお、GPS/GNSS受信処理部105は、GPS/GNSSの受信モジュールによって構成され、NMEA(National Marine Electronics Association)形式で、算出結果を1秒単位で出力する。
【0022】
アンテナ106は、例えば、前記したGPS信号のL1信号あるいはL2信号を受信可能になっていて、受信した無線信号をGPS/GNSS受信処理部105に入力するアナログ信号に変換する。
【0023】
携帯通信網無線処理部107は、携帯通信網基地局31を介して、パケットによって通信を行う。携帯通信網無線処理部107は、例えば、無線部、デジタル信号部、マイコン、クロック等を備える無線モジュールによって構成される。また、携帯通信網無線処理部107は、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等のシリアルポートを介してCPU101に接続され、いわゆるATコマンド等による通信を可能とする。そして、携帯通信網無線処理部107は、位置追跡装置10の電源がONにされると、携帯通信網基地局31を探索する信号を、自動的に出力する。また、携帯通信網無線処理部107への電源供給のON/OFFは、CPU101によって制御可能になっている。
【0024】
アンテナ108は、携帯通信網無線処理部107のアナログ信号出力を電波に変換して、空中に無線信号を放射し、携帯通信網基地局31(図1参照)から受信した無線信号を、携帯通信網無線処理部107に入力するアナログ信号に変換する。アンテナ108は、例えば800MHz帯や1.5GHz帯で使用可能に調整されている。
【0025】
省電力近距離無線処理部109は、例えば、IEEE802.15.4の規格やIEEE802.15.1の規格によって規定されている省電力近距離無線の通信を実現する。また、省電力近距離無線処理部109は、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)やUART等のシリアルポートを介してCPU101に接続される。また、省電力近距離無線処理部109への電源供給のON/OFFは、CPU101によって制御可能になっている。
【0026】
アンテナ110は、エリアID送信機12から出力される無線信号を受信し、受信した無線信号を、省電力近距離無線処理部109に入力するアナログ信号に変換する。
【0027】
記憶部120は、CPU101で動作するプログラムを記憶している。すなわち、記憶部120は、位置情報受信処理プログラム121、携帯通信網無線接続制御プログラム122、位置情報送信処理プログラム123、位置情報履歴テーブル124、エリアIDテーブル125を格納している。記憶部120は、例えば、不揮発メモリである。
【0028】
次に、記憶部120に格納される位置情報履歴テーブル124について、図3を用いて説明する。図3は、位置情報履歴テーブルの一例を示す図である。
図3に示すように、位置情報履歴テーブル124は、測位日時301、位置情報(緯度)302、位置情報(経度)303、位置情報(高さ)304、およびフラグ305を格納している。そして、1行のデータが、GPS/GNSS受信処理部105(図2参照)によって算出された測位1回分の位置および時刻に係る情報に該当する。なお、位置情報履歴テーブル124への格納は、1秒〜1分の所定の間隔で行われる。
【0029】
位置情報(緯度)302および位置情報(経度)303は、2次元の地理座標を表したものである。位置情報(高さ)304は、例えば高度をメートル単位に変換したものである。
例えば、「No.」が「1」のレコードでは、「位置情報(緯度)」には「北緯35.1234560」、「位置情報(経度)」には「東経139.1234560」、「位置情報(高さ)」には「高度10m」が格納されている。
また、フラグ305は、後記するように、各欄301〜304の情報を送信済みのものにフラグ「1」を付して、未送信のものと識別するためのものである。なお、フラグは「1」以外の記号であってもよい。
【0030】
次に、記憶部120に格納されるエリアIDテーブル125について、図4を用いて説明する(適宜図1,図2参照)。図4は、エリアIDテーブルの一例を示す図である。
図4に示すように、エリアIDテーブル125は、エリアID401および携帯通信網電波強度状況402を格納している。エリアID401は、エリアID送信機12(図1参照)によって送信される識別情報である。また、携帯通信網電波強度状況402は、位置追跡装置10が携帯通信網基地局31と通信できるか否かの判定に使用されるフラグである。
図4において、携帯通信網電波強度状況402にフラグ「1」が格納されている場合には、位置追跡装置10が携帯通信網基地局31と通信できないこと、言い換えると、携帯通信網基地局31を探索しないこと、を示している。なお、フラグは「1」以外の記号であっても構わない。ただし、図4では、フラグ「1」に続けて「(圏外)」と記載しているが、この「(圏外)」は説明用のためであり、処理に用いられるものではない。
なお、エリアIDテーブル125に、フラグ「1」となるエリアID401だけを格納する場合、携帯通信網電波強度状況402を省略することが可能である。なお、後記する処理の流れにおいては、エリアIDテーブル125に記載のエリアID401は、フラグ「1」の場合だけであるものとする。
【0031】
エリアID送信機12から送出される無線信号が、IEEE802.15.4規格の信号やIEEE802.15.1規格の信号であれば、その無線信号に含まれるエリアID401は、IEEE802アドレスまたはEUI(Extended Unique Identifier)−64アドレスとなる。また、エリアID送信機12から送出される無線信号が、IMESで使用される信号であれば、その無線信号に含まれるエリアID401は、IMES−IDとなる。
【0032】
また、エリアID送信機12から送出される無線信号に、L1/CA信号あるいはIMESの信号が用いられる場合、省電力近距離無線処理部109とそのアンテナ110が不要となり、位置追跡装置10の電池の消耗を防止することができると共に、装置のサイズを低減することができるという利点がある。
【0033】
次に、位置追跡装置10における処理の流れについて、図5、図6、図7を用いて説明する(適宜図2参照)。図5は、位置情報受信処理プログラムの処理の流れを示す図である。図6は、携帯通信網無線接続制御プログラムの処理の流れを示す図である。図7は、位置情報送信処理プログラムの処理の流れを示す図である。
なお、位置追跡装置10の電源がONにされたときに、CPU101、クロック部102、およびRAM103は動作を開始し、位置情報受信処理プログラム121および携帯通信網無線接続制御プログラム122の処理が開始される。また、GPS/GNSS受信処理部105の電源がONされる。ただし、携帯通信網無線処理部107および省電力近距離無線処理部109への電源供給は、ONされない。
【0034】
まず、図5に示す、位置情報受信処理プログラム121の処理の流れについて説明する。
ステップS501では、CPU101は、GPS/GNSS受信処理部105から、NMEAフォーマットに基づき、時刻情報(測位日時)、位置情報(緯度、経度、高さ)を取得する。
ステップS502では、CPU101が、取得した時刻情報(測位日時)、位置情報(緯度、経度、高さ)を位置情報履歴テーブル124に格納する。
【0035】
次に、図6に示す携帯通信網無線接続制御プログラム122の処理の流れについて説明する(適宜図1,図2,図4参照)。
ステップS601では、CPU101が、携帯通信網無線処理部107の電源をOFFにする。
ステップS602では、CPU101が、省電力近距離無線処理部109の電源をONにする。
ただし、ステップS601とステップS602は、位置追跡装置10の電源がONされた直後には、省略しても構わない。
【0036】
ステップS603では、CPU101は、エリアID送信機12から受信したエリアID401が、エリアIDテーブル125に存在するか否かを判定する。
受信したエリアID401がエリアIDテーブル125に存在する場合(ステップS603でYes)、携帯通信網基地局31を探索しないことになり、処理はステップS611に進む。
そして、ステップS611では、CPU101は、携帯通信網無線接続制御プログラム122を一定時間スリープ(所定の時間だけ休止)する。そして、CPU101は、所定の時間経過後に、処理をステップS603へ戻す。
【0037】
受信したエリアID401がエリアIDテーブル125に存在しない場合(ステップS603でNo)、携帯通信網基地局31を探索できる状態にあることになり、処理はステップS604に進む。
ステップS604では、CPU101は、省電力近距離無線処理部109の電源をOFFにする。
そして、ステップS605では、CPU101は、携帯通信網無線処理部107の電源をONにする。
【0038】
次に、ステップS606では、CPU101は、携帯通信網無線処理部107を介して、携帯通信網基地局31を探索する。
ステップS607では、CPU101は、携帯通信網基地局31の圏内か否かを判定する。具体的には、携帯通信網無線処理部107は、自身の送信した探索用の信号に対して、携帯通信網基地局31からの応答を受け取ったときに、圏内と判定する。
そして、所定時間を経過しても、携帯通信網基地局31の圏内であると判定されない場合(ステップS607でNo)、処理は、ステップS601へ戻る。
また、所定時間以内に、携帯通信網基地局31の圏内であると判定された場合(ステップS607でYes)、処理はステップS608へ進む。
【0039】
ステップS608では、CPU101の指示によって、携帯通信網無線処理部107は携帯通信網基地局31へ接続する。
ステップS609では、CPU101は、位置情報送信処理プログラム123の処理を実行する。なお、位置情報送信処理プログラム123の処理については、後記する。
ステップS610では、CPU101は、携帯通信網基地局31(図1参照)への接続を監視する。そして、ステップS609の処理が終了していれば、処理をステップS601に戻す。
【0040】
次に、図7に示す位置情報送信処理プログラム123の処理の流れについて説明する(適宜図2,図3参照)。
ステップS701では、CPU101は、位置情報履歴テーブル124から、時刻情報(測位日時)、位置情報(緯度、経度、高さ)を取得する。なお、位置情報履歴テーブル124のフラグ305に「1」が付されているものは、取得しない。
ステップS702では、CPU101は、取得した情報に位置追跡装置10を識別する装置識別情報を付加して、携帯通信網基地局31およびネットワーク32を経由して、位置追跡サーバ11に送信する。そして、送信後に、CPU101は、送信した情報に対応するフラグ305に、送信済みであることを表すフラグ305に「1」を付す。
【0041】
そして、位置追跡サーバ11は、受信した情報を図示しない自身の記憶部に格納する。また、モニタ端末20は、位置追跡サーバ11の記憶部に格納された情報を、装置識別情報をキーとして、検索することが可能となる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る位置追跡装置10(図1参照)は、位置および時刻に係る情報を取得する手段、その位置および時刻に係る情報を通信する通信手段、通信手段が使えないときを知らせる手段、通信手段を使えない場合に、通信手段の電源をOFFして省電力化する手段を備えているため、電池の消耗を低減することが可能となる。
【0043】
(変形例)
次に、変形例は、本実施形態において説明した図6に示す携帯通信網無線接続制御プログラム122の処理において、ステップS611で「一定時間スリープ」する前に、省電力近距離無線処理部109の電源をOFFする処理を加えたものである。
次に、変形例における処理の流れについて、図8を用いて説明する(適宜図4参照)。図8は、変形例における処理の流れを示す図である。
変形例に示す携帯通信網無線接続制御プログラム122aは、図6に示す携帯通信網無線接続制御プログラム122とは、ステップS801が加わっている点が異なる。なお、ステップS801以外は、図6に示す処理と同じであるので、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0044】
ステップS801では、ステップS603において受信したエリアID401がエリアIDテーブル125に存在する場合(ステップS603でYes)、すなわち、携帯通信網基地局31(図1参照)を探索しないことになり、省電力近距離無線処理部109の電源をOFFするものである。
これは、エリアID401が受信される近辺では、しばらくの間、携帯通信網基地局31に接続できる可能性が非常に低いため、エリアID401を受信する省電力近距離無線処理部109の電源をOFFして、さらに電池の消耗を低減するものである。
【0045】
したがって、変形例は、本実施形態よりも、さらに、電池の消耗を防ぐ効果がある。
【0046】
以上、本実施形態や変形例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。
例えば、本実施形態では、図3に示す位置情報履歴テーブル124において、送信済みの情報にはフラグを付すこととしたが、送信済みの情報を削除しても構わない。このように、送信済みの情報を削除することによって、記憶部120(図2参照)の記憶容量が膨大になることを防ぐことが可能である。
また、本実施形態では、エリアID送信機12(図1参照)が建物内または地下40に設置されるものとして説明したが、移動追跡装置10が携帯通信網基地局31と通信を行えないエリアであれば、地上やコンテナ内に設置されていても構わない。
【符号の説明】
【0047】
1 位置追跡システム
10 位置追跡装置
11 位置追跡サーバ
12 エリアID送信機
30 人工衛星
31 携帯通信網基地局
32 ネットワーク
50 移動物
101 CPU(制御手段)
105 GPS/GNSS受信処理部(位置取得手段、無線受信手段)
107 携帯通信網無線処理部(通信手段)
109 省電力近距離無線処理部(近距離無線受信手段、無線受信手段)
120 記憶部
121 位置情報受信処理プログラム
122 携帯通信網無線接続制御プログラム
123 位置情報送信処理プログラム
124 位置情報履歴テーブル
125 エリアIDテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の位置および時刻に係る情報を取得する位置取得手段と、
無線によって前記位置および時刻に係る情報を送信する通信手段と、
前記通信手段を使用できないことを通知する通知信号を受信する近距離無線受信手段と、
前記通信信号を受信したときに、前記通信手段の電源を所定時間だけOFFする制御手段と
を備えることを特徴とする位置追跡装置。
【請求項2】
前記近距離無線受信手段が受信する信号は、低電力で通信可能なIEEE802.15.4の規格の信号またはIEEE802.15.1の規格の信号であることを特徴とする請求項1に記載の位置追跡装置。
【請求項3】
人工衛星から送信される測位用の衛星測位信号を受信して、自身の位置および時刻に係る情報を取得する無線受信手段と、
無線によって前記位置および時刻に係る情報を送信する通信手段と、
制御部と、
を備え、
前記無線受信手段は、前記衛星測位信号と互換性を有する信号形式によって形成された前記通信手段を使用できないことを通知する通知信号を受信し、前記通知信号を受信したことを、前記制御部に伝達し、
前記制御部は、前記通信手段の電源を所定時間OFFすること
を特徴とする位置追跡装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の自身の位置および時刻に係る情報を取得する位置追跡装置と、
前記位置追跡装置の通信手段から送信される前記位置および時刻に係る情報および前記位置追跡装置を識別する装置識別情報を受信する位置追跡サーバと、
前記位置追跡装置の通信手段を使用できないことを通知する通知信号を無線により送信する通知装置と、
によって構成される位置追跡システムであって、
前記通知信号は、前記位置追跡装置の通信手段を使用できないことを表す識別情報を含み、
前記位置追跡装置は、前記通知信号を受信したときに、受信した前記通知信号に含まれる識別情報と予め記憶しておいた識別情報とを照合し、前記受信した前記通知信号に含まれる識別情報が前記記憶しておいた識別情報に一致したとき、前記位置追跡装置の通信手段の電源をOFFすること
を特徴とする位置追跡システム。
【請求項5】
前記通知信号は、低電力で通信可能なIEEE802.15.4の規格の信号またはIEEE802.15.1の規格の信号であることを特徴とする請求項4に記載の位置追跡システム。
【請求項6】
端末が前記位置追跡サーバと通信可能に接続され、
前記端末から、前記装置識別情報を含む閲覧要求を受け付けて、前記サーバによって受信された前記位置追跡装置の位置および時刻を出力すること
を特徴とする請求項4または請求項5に記載の位置追跡システム。
【請求項7】
位置追跡装置において用いられる位置追跡方法であって、
前記位置追跡装置が、
自身の位置および時刻に係る情報を取得する位置取得ステップと、
無線によって前記位置および時刻に係る情報を送信する通信ステップと、
前記通信ステップを実行できないことを通知する通知信号を受信する近距離無線受信ステップと、
前記通信信号を受信したときに、前記通信ステップを所定時間だけ休止する制御ステップと
を実行することを特徴とする位置追跡方法。
【請求項8】
前記近距離無線受信ステップにおいて受信される信号は、低電力で通信可能なIEEE802.15.4の規格の信号またはIEEE802.15.1の規格の信号であることを特徴とする請求項7に記載の位置追跡方法。
【請求項9】
位置追跡装置において用いられる位置追跡方法であって、
前記位置追跡装置が、
人工衛星から送信される測位用の衛星測位信号を受信して、自身の位置および時刻に係る情報を取得する無線受信手段と、
無線によって前記位置および時刻に係る情報を送信する通信手段と、
制御部と、
を備え、
前記無線受信手段は、前記衛星測位信号と互換性を有する信号形式によって形成された前記通信手段を使用できないことを通知する通知信号を受信し、前記通知信号を受信したことを、前記制御部に伝達し、
前記制御部は、前記通信手段の電源を所定時間OFFすること
を特徴とする位置追跡方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−191882(P2010−191882A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38106(P2009−38106)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】