説明

作業機

【課題】特定のケース部分の貯留油が、別のケース内の機器へ供給されることを避け、摩耗による機器の早期の劣化、及びケース形状の複雑化やメンテナンス作業の煩雑化を避けながら、シール構造の適正化を図る。
【解決手段】入力ケース30に貯留された貯留油の供給対象となる各機器に対して貯留油を供給する給油ポンプ36と、入力ケース30内を循環する貯留油を濾過するためのフィルタ37とを、入力ケース30に設け、左又は右の車軸ケース40のそれぞれに設けてある油圧式無段変速装置41に対して、その油圧式無段変速装置41が存在する側の車軸ケース40内の貯留油を供給する給油ポンプ45と、各車軸ケース40内で循環する貯留油を濾過するフィルタ46とを、左又は右の車軸ケース40ごとに設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン動力伝達用の入力軸が導入された閉空間を構成する入力ケースの左右両側に、前記閉空間とは別に油圧式無段変速装置が内装された閉空間を構成するとともに、左又は右の走行車輪の車軸を支持する各車軸ケースを位置させて、前記油圧式無段変速装置を介して左又は右の車輪を駆動するように構成してある作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された入力ケース及び車軸ケースを備えた作業機としては、下記[1]及び[2]に示す技術が知られている。
[1]エンジン動力伝達用の入力軸が導入されたベースハウジングと、油圧式無段変速装置の油圧ポンプ本体が内装されたポンプケースとを備え、入力軸の駆動力が第1、第2ポンプ軸を介して油圧ポンプ本体に伝達され、この油圧ポンプ本体に流体接続された油圧モータ本体を介して駆動輪を駆動するように構成した作業機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[2]エンジン動力伝達用の入力軸が導入された入力ケースと、油圧式無段変速装置が内装された車軸ケースとを備え、入力軸の駆動力が走行用カウンタ軸を介して油圧式無段変速装置に伝達され、油圧式無段変速装置の駆動力で車軸ケースに支持される後輪を駆動するように構成した作業機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−64012号(段落「0021」、「0024」、図1、図2、図3、図7参照)
【特許文献2】特開2007−196861号(段落「0024」、「0034」、「0038」、「0042」、「0046」、図5、図6、図8参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の従来構造における作業機では、油圧式無段変速装置の油圧ポンプ本体が内装されたポンプケースと油圧モータ本体が内装されたモータユニットとが別々のケースで構成され、格別に車両フレームに支持されており、駆動輪も車両フレーム側に支持されているので、全体として大型化し易い傾向がある。
また、入力軸が導入されたベースハウジングと、油圧ポンプ本体が内装されたポンプケースや油圧モータ本体が内装されたモータユニットとが別々のケースで構成されているものの、それらの各ケース内の空間は、それらの空間同士をつなぐ外部配管などによって油圧回路的には連通している。
このため、各ケースごとに要求されるシール性能としては、最も高いシール精度が要求されるケースと共通するシール性能がすべてのケースに対して必要となる。また、油圧式無段変速装置を通過した作動油も、ベースハウジング内のギヤ機構を通った潤滑油も、ベースハウジング内の共通の貯留空間に貯められることになるので、貯留空間に存在する金属摩耗粉などが給油ポンプに吸い込まれ易くなる虞があった。
【0005】
上記[2]に記載の従来構造における作業機では、後輪を車軸ケースに支持させるようにしているので、油圧式無段変速装置を内装する車軸ケースによって後輪の支持を行うことにより構造の簡素化や小型化を図り得る点では有用である。
しかしながら、この従来構造のものにおいても、入力軸が導入された入力ケースと、油圧式無段変速装置が内装された車軸ケースとを備えているものの、入力軸が導入された入力ケース内の空間と油圧式無段変速装置が配設された空間とは、それらの空間同士をつなぐ外部配管などによって油圧回路的には連通している。このため、ケースごとに独立した油路を備えたものであれば各ケースごとに様々に設定されるべきシール性能が、すべてのケース部分の油路が共通のものとなったことで、最も高いシール精度が要求されるケースと共通するシール性能をすべてのケース部分においても施す必要が生じ、この点で改善の余地がある。
また、油圧式無段変速装置を通過した作動油も、入力ケース内のギヤ機構を通った潤滑油も、共通の入力ケース内の底部の貯留空間に貯められることになるので、貯留空間に存在する金属摩耗粉などの異物が給油ポンプに吸い込まれ易くなる虞があり、これを回避するために入力ケースの形状を工夫すればケース形状が複雑になって、メンテナンス作業等が煩雑になる等の問題がある。
【0006】
本発明は、油圧式無段変速装置が内装された車軸ケースに車軸を支持させて構造の簡素化や小型化を図るとともに、特定のケース部分で発生し易い金属摩耗粉などの異物を含む貯留油が、そのような異物を含む貯留油との接触を免れたい別のケース内の機器へ供給されることを避けられるようにして、摩耗による機器の早期の劣化、及びケース形状の複雑化やメンテナンス作業の煩雑化を避けながら、シール構造の適正化を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、エンジン動力伝達用の入力軸が導入された閉空間を構成する入力ケースの左右両側に、前記閉空間とは別に油圧式無段変速装置が内装された閉空間を構成するとともに、左又は右の走行車輪の車軸を支持する各車軸ケースを位置させて、前記油圧式無段変速装置を介して左又は右の車輪を駆動するように構成してある作業機であって、前記各車軸ケース内の油圧式無段変速装置に対して前記入力軸の駆動力を分岐伝動する分岐伝動軸を前記入力ケース内に配設し、前記入力ケースに貯留された貯留油の供給対象となる各機器に対して前記貯留油を供給する給油ポンプと、前記入力ケース内を循環する貯留油を濾過するためのフィルタとを、前記入力ケースに設け、前記左又は右の車軸ケースのそれぞれに設けてある油圧式無段変速装置に対して、その油圧式無段変速装置が存在する側の車軸ケース内の貯留油を供給する給油ポンプと、各車軸ケース内で循環する貯留油を濾過するフィルタとを、前記左又は右の車軸ケースごとに設けてあることを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1で示した本発明の構成によると、左又は右の走行車輪の車軸を支持する車軸ケースが、油圧式無段変速装置を内装するケースとして用いられ、入力ケースの左右両側で駆動力が伝達されるようにしてあるので、油圧式無段変速装置を内装するケースと車軸を支持する車軸ケースとを別々に構成して個別に車体フレームに支持させる構造のものに比べて、構造の簡素化やコンパクト化を図ることできる。
そして、入力ケースと、その左右両側の車軸ケースとを、それぞれ独立した閉空間を有した構造のもので構成し、各ケースごとに給油ポンプとフィルタとを備えさせたので、各ケース内の貯留油同士が混ざり合うことはない。そのため、ギヤ機構等を備えて金属摩耗粉が発生し易いケース内の貯留油が、これとは別のケース内で、油圧式無段変速装置等の摩耗による影響を受けやすい機器に対して供給する貯留油として用いられることを回避でき、摩耗による影響を受けやすい機器の損耗を避けて耐久性を向上させ易いという利点がある。
また、各ケースが独立した閉空間を有し、別々の給油ポンプやフィルタを備えた、別々の油路を構成するものであるため、夫々のケースごとに好適なシール精度等を設定して、適正なシール性能を発揮させる構造を選択できる利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記入力ケースと左右両側の車軸ケースとは、左右方向で相対向する対向面側で、かつ前記分岐伝動軸の外周側箇所に、その分岐伝動軸の軸線方向での相対移動に伴って嵌合及び離脱可能な嵌合部を形成してあり、その嵌合部での嵌合状態では、互いに上下及び前後方向での相対移動が規制された状態で連結されるように構成してある点に特徴がある。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
入力ケースと左右両側の車軸ケースとが、対向面側に嵌合部を備えて互いに嵌合しているので、その嵌合箇所で上下及び前後方向での位置が規制される。つまり、ケース同士の嵌合箇所で上下及び前後方向の大きい負荷を支持することになるので、そのケース同士の連結構造を簡素化しやすいという利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記入力ケースに、その入力ケースから外部に駆動力を取り出すためのPTO軸を支持させてあるとともに、そのPTO軸に対して前記入力軸から伝達される駆動力を断続するためのPTOクラッチを内装させてある点に特徴がある。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明の構成によると、入力ケースをPTO軸やPTOクラッチの収容ケースとしても利用し、コンパクトに構成することができる。
【0013】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、作業機本体に対して作業装置を昇降作動させるリフトアーム、及びそのリフトアームを起伏揺動させるための昇降用シリンダを備えるとともに、前記昇降用シリンダの作動を制御する昇降用バルブを前記入力ケースに装備させて、その入力ケース内の貯留油が供給されるように構成してある点に特徴がある。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段4で示した本発明の構成によると、入力ケースに昇降用シリンダの作動を制御する昇降用バルブを装備させて、その入力ケース内の貯留油を供給するようにしているので、昇降用バルブに対する貯留油の給排構造を簡素化し易い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】乗用型草刈機の全体側面図
【図2】乗用型草刈機の機体フレーム部分を示す全体平面図
【図3】後輪駆動部の背面図
【図4】後輪駆動部の平面図
【図5】後輪駆動部の水平方向断面図
【図6】後輪駆動部の上下方向断面図
【図7】油圧回路図
【図8】他の実施形態における後輪駆動部の平面図
【図9】他の実施形態における後輪駆動部の平面図
【図10】他の実施形態における油圧回路図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
【0017】
〔作業機の全体構成〕
図1に、本発明に係る作業機の一例である乗用型草刈機の全体側面が示され、図2にその機体フレーム部分の全体平面が示されている。
この乗用型草刈機は、機体フレーム1の前端部に左右一対の前輪2を備え、機体フレーム1の後端側寄り箇所に後輪3(走行車輪に相当する)を備えてあるとともに、前後輪間にバーブレード型のモーア4(作業装置に相当する)が昇降自在に吊り下げ支持された、いわゆるミッドマウント仕様に構成されている。
機体フレーム1の後部には水冷式のエンジン5を備えた原動部6が配備されるとともに、機体前後方向での中間部位には運転座席7が配備され、更に、運転座席7の背もたれ7aに沿って後方位置に門形のロプス9が、機体フレーム1に下端側が固定された状態で立設されている。
【0018】
左右一対の前輪2はキャスタ式の遊転輪で構成されるとともに、左右一対の後輪3は左右独立して無段変速および正逆転駆動される推進車輪に構成されており、運転座席7の前部に設けた左右一対の操縦操作杆10を用いて回転方向や回転速度を制御されるように構成してある。
つまり、左右一対の操縦操作杆10を、図1に図示された中立停止の位置から、左右同時に前方もしくは後方に揺動操作して、左右の後輪3を等速で共に正転駆動あるいは逆転駆動することで前進あるいは後進での直進走行を行い、左右各別に前後方向に揺動操作して、左右の後輪3に速度差を与えることで任意の方向に旋回することができるようになっている。
【0019】
前記機体フレーム1は、図3に示すように、左右方向での横幅が広い前側フレーム部1Fと、前側フレーム部1Fよりも左右方向での横幅が狭い中間フレーム1Mと、平面視で前方開放のU字状に形成されていて、その開放側の前端部を中間フレーム1Mの後方側に連設させた後側フレーム部1Rとを備えて構成されている。
【0020】
左右の前側フレーム部1Fは、前後2箇所が第1横架部材1aと第2横架部材1bとで連結されていて、その第1,第2横架部材1a,1bの上側に運転部ステップ(図示せず)を装着してある。
そして、左右の前側フレーム部1Fは、その後端側が左右方向で機体中心側へ屈曲形成されて、後方側の幅狭に形成される中間フレーム部1Mに連なるように構成されている。つまり、前側フレーム部1Fと中間フレーム部1Mとは、断面矩形筒状の一連のフレームで構成され、前後方向での中途部を屈曲させて、左右方向で幅広の前側フレーム部1Fとそれよりも幅狭の中間フレーム部1Mとを構成している。
【0021】
前記横幅の広い前側フレーム部1Fの後部側に連なって幅狭に形成される中間フレーム部1Mは、図3に示すように、その後端部近くで、左右方向に沿って架設された第3横架部材1cによって連結され、連結された第3横架部材1cは、左右の車軸ケース40,40の後部上側に平面視で重なるように配設されている。
この中間フレーム部1Mには、前記前側フレーム部1F及び中間フレーム部1Mの上側に装着された運転部ステップよりも高い位置に座面を有する運転座席7を装着してあり、運転座席7の左右にはフェンダ11が配備されている。
【0022】
また、前記中間フレーム部1Mは、その後端部が、図1及び図4に示すように、後輪3を支持する車軸ケース40の外周に沿って後方側が下向きに湾曲するように形成してある。
そして、この中間フレーム部1Mの下向きに湾曲させた部分の下端部同士を、第4横架部材1dで連結固定し、さらに、前記中間フレーム部1Mの下向きに湾曲させた部分の下端部には、その後面側に連ねて、後方側へ延出されるとともに、左右の中間フレーム部1M同士を接続するように平面視でU字状に形成された後側フレーム部1Rを設けてある。
この後側フレーム部1Rには、その前方側の2カ所及び後方側の2カ所に設けた防振ゴム8aを備えた保持部材8を介してエンジン5を搭載してある。このエンジン5は、水冷式ディーゼルエンジンであり、その出力軸5aの軸心が前方へ向かう姿勢に配備されており、エンジン5の横側部及び後部の外周ならびに上部がボンネット17で覆われている。
【0023】
前側フレーム部1Fの前後に前リンク13aと後リンク13bとがそれぞれ支点a,b周りに上下揺動可能に連結され、これら前リンク13aと後リンク13bの遊端に亘って前記モーア4が平行四連リンク状に吊り下げ支持されている。後リンク13bはリフトアーム14を介して単動型の油圧シリンダ15に連動連結されており、油圧シリンダ15が圧油供給によって伸長作動することで各リンク13a,13bが上方に駆動揺動されてモーア4が平行に上昇され、油圧シリンダ15が排油によって短縮作動することでモーア4が平行に自重下降するようになっている。
【0024】
〔後輪駆動部の構造〕
図1乃至図5に示すように、中間フレーム部1Mの後部箇所に後輪駆動部20が連結支持されている。この後輪駆動部20は、図1乃至図5に示すように、エンジン5からの出力が導入される中央の入力ケース30と、その左右両側に連結された一対の車軸ケース40,40とで構成されている。
【0025】
この後輪駆動部20は、機体フレーム1に対して、中間フレーム部1Mの後部箇所に設けた、側面視で上部開放のチャンネル状に形成された取付ブラケット21を介して支持されている。
すなわち、図1乃至図4に示すように、左右の車軸ケース40,40のうち、中間フレーム部1Mの横外側縁よりも外側で前記取付ブラケット21の底面の下方に対向する箇所に、前記取付ブラケット21との間で前後2箇所をボルト連結することが可能な取付座部22を設けてある。したがって、この取付座部22に対して連結ボルト23を脱着することで、取付座部22を取付ブラケット21に対して脱着し、左右の車軸ケース40,40を着脱することができる。これによって、後輪駆動部20の全体を機体フレーム1に対して取付固定した状態と、取付解除した状態とに切り換えることができる。
【0026】
また、前記後輪駆動部20の左右の車軸ケース40,40は、図3に示すように、車軸ケース40,40の下端側で左右方向に延設されたサブフレーム24によって連結されている。このサブフレーム24と夫々の車軸ケース40,40とは、図示しないがサブフレーム24に形成された左右方向に長い連結位置調節用の長孔と、その長孔を貫通して車軸ケース40,40に螺合される連結ボルト25とによって、着脱可能に連結されている。
尚、中央の入力ケース30は、前記サブフレーム24に対しては連結されていない状態で、図示しないが中間フレーム部1Mの適所に着脱可能の連結固定されている。
【0027】
〔入力ケース〕
前記入力ケース30は、図4乃至図6に示すように、軸芯p2が前後方に向くPTO軸27を前方側へ突出させた状態で支持する前部入力ケース31と、軸芯p1が前後方に向き、後方側のエンジン5の出力軸5aに連動連結された入力軸26がケース後面の上部から後方側へ突設される後部入力ケース32とを備えて構成されている。そして、前部入力ケース31の後端側と後部入力ケース32の前端側とのそれぞれに形成されたフランジ部31a,32a同士を接合させた状態で、図示しない連結ボルトにより連結及び連結解除可能に連結されている。
【0028】
この入力ケース30の前記後部入力ケース32には、左又は右側の車軸ケース40に対する嵌合部32bを左右それぞれに設けてあり、左又は右側の車軸ケース40の内端側に形成されている嵌合部40aに後部入力ケース32の左右の嵌合部32bを嵌合させた状態で、入力ケース30に対して左右の車軸ケース40を連結してある。
このように後部入力ケース32の左右の嵌合部32bと左右の車軸ケース40の嵌合部40aと嵌合させ連結状態では、入力ケース30側から出力される動力が、後述するように分岐伝動軸28を介して左右の車軸ケース40内へ分岐伝動されるように構成されていて、後述する分岐伝動軸28の軸芯p3と、油圧式無段変速装置41の入力軸42の軸芯p4と、車軸3Aの軸芯p5とが、前記入力軸26の軸芯p1やPTO軸27の軸芯p2に直交する方向の、同一の一直線p0上に位置するように配設されている。
【0029】
前記入力軸26は、その先端部が前部入力ケース31内の中間壁33部分に、ボールベアリングで構成された軸受け部34aにより軸受け支持されているとともに、その位置よりも後方側の中間部が後部入力ケース32に設けたボールベアリングからなる軸受け部34bによって支持され、かつ、その支持箇所よりも後方側が外部へ突出している。この入力軸26の外部への突出部分の端部に適宜自在継ぎ手(図示せず)等を介してエンジン5の出力軸5aから駆動力が伝えられるように構成されている。
入力軸26に伝えられた動力は、入力軸26の前端近くで、前部入力ケース31内に位置して、入力軸26と一体回動するように設けられた平ギヤからなる入力ギヤ26aと、その入力ギヤ26aに噛合する大径の平ギヤからなる伝動ギヤ27aとで構成される減速ギヤ機構29を介してPTO軸27に伝達されるように構成してある。
【0030】
前記PTO軸27は、図5及び図6に示されるように、前部入力ケース31の前部に位置する入力ケース30の前壁30A部分に設けたボールベアリングからなる軸受け部34cよりも前方側へ突出するPTO軸前部分27Aと、後方側で分岐伝動軸28に対して駆動力を伝達する分岐用ベベルギヤ27bを後端部に設けたPTO軸後部分27Bとを備えて構成されている。
そして、このPTO軸前部分27AとPTO軸後部分27Bとは、その間に介在させたPTOクラッチ35を介して、一体回転するクラッチ入り状態と、相対回転可能なクラッチ切り状態とに切り替え操作自在に構成されている。
【0031】
前記PTO軸後部分27Bは、入力軸26に設けられた入力ギヤ26aに噛合する大径の伝動ギヤ27aを外周側に備えているとともに、その伝動ギヤ27aよりも前方側にPTOクラッチ35の摩擦板35aに回転動力を付与するための筒状ボス部27cを備え、後端部に形成したスプライン部27dに前記分岐用ベベルギヤ27bをスプライン嵌合させて、前記伝動ギヤ27aで受けた動力を分岐伝動軸28に伝達するように構成してある。
このPTO軸後部分27Bは、前記分岐用ベベルギヤ27bのボス部外周を軸支するボールベアリングからなる軸受け部34eと、前記伝動ギヤ27aの筒状ボス部27cの外周側を軸支するボールベアリングからなる軸受け部34dとを介して後部入力ケース32に軸支されている。
【0032】
前記PTO軸前部分27Aは、前端側が前部入力ケース31の前壁30A部分に設けたボールベアリングからなる軸受け部34cを介して支持されているとともに、後端側が前記伝動ギヤ27aの筒状ボス部27cの内周側に設けたボールベアリング34fを介して支持されている。
これによって、PTO軸前部分27AとPTO軸後部分27Bとは、PTOクラッチ35のクラッチ入り状態では互いに一体回転し、クラッチ切り状態では同一の軸芯p2上で相対回動自在に構成されている。
【0033】
前記PTOクラッチ35は油圧操作式の多板クラッチで構成されており、前記PTO軸後部分27Bにおける伝動ギヤ27aを一体形成した筒状ボス部27c、PTO軸前部分27Aに外嵌固着されたクラッチドラム部35b、筒状ボス部27cとクラッチドラム部35bとのそれぞれに係合されて、交互に重合された複数の摩擦板35a、クラッチドラム部35bの内部に内嵌装着されたピストン部材35c、ピストン部材35cを前方側(クラッチ切り方向)へ押圧するように付勢する戻しバネ35d、等を備えて構成されている。
【0034】
クラッチドラム部35bとピストン部材35cとの間に形成された油室cは、PTO軸前部分27Aの内部に形成された油路eを介して後述する切換えバルブ54に連通接続されている。
これにより、油室cに圧油が供給されることで、ピストン部材35cが戻しバネ35dに抗して後方側へ押し出されて、摩擦板35a群がストッパー35eとの間で挟圧されることで、筒状ボス部27cからクラッチドラム部35bへの動力伝達を行う「クラッチ入り」状態がもたらされる。
油室cから圧が抜けることで、ピストン部材35cが戻しバネ35dによって後退移動し、摩擦板35a群の押圧が解除されることで、筒状ボス部27cからクラッチドラム部35bへの動力伝達を遮断する「クラッチ切り」状態がもたらされる。
【0035】
前記入力ケース30における後部入力ケース32には、入力ケース30に貯留された潤滑油を吸引加圧して高圧の作動油として吐出する油圧ポンプ36(給油ポンプに相当する)が装着されている。この油圧ポンプ36は、前記入力軸26の外周部に設けた周知の内接式ギヤを用いたトロコイド式の容積ポンプ(以下、トロコイドポンプと略称する)によって構成してあり、入力軸26の回転動力によってトロコイドポンプのインナーロータを駆動し、入力ケース30に貯留された潤滑油を給排できるように構成されている。
これによって、図7の油圧回路図に示すように、油圧ポンプ36から吐出される圧油が制御バルブユニット50を介してモーア昇降用の前記油圧シリンダ15や前記PTOクラッチ35に供給可能に構成されている。
【0036】
前記入力ケース30における後部入力ケース32の下部には、その後部入力ケース32の内部に大部分を挿入させた状態でオイルフィルタ37が装着されている。
このオイルフィルタ37は、図6に示すように、後部入力ケース32の後部に存在する入力ケース30の後壁30Bにねじ込み式の開閉蓋30Cを備えた開口を設けて、開閉蓋30Cを開放することによって濾材を内装するカートリッジを外部から交換可能に構成してある。
したがって、入力ケース30に貯留された油が、カートリッジ内の濾材を通過して浄化され、図7に示すように油圧ポンプ36に吸引され、制御バルブユニット50を経てモーア昇降用の前記油圧シリンダ15や前記PTOクラッチ35に供給された後、再び入力ケース30に戻されて貯留される。
【0037】
このように、入力ケース30内の貯留油は、隣接する車軸ケース40内の油路で構成される油圧系には供給されることなく、入力ケース30内の貯留油を用いる油圧系内で循環するように構成してある。
尚、図7における符号38は制御バルブユニット50から入力ケース30内に戻る油を冷却するためのオイルクーラーであり、同図の符号39は、他の油圧機器(図示せず)を前記制御バルブユニット50に接続した際に、制御バルブユニット50から他の油圧機器に対して圧油を供給可能にするためのサービスポートである。
【0038】
〔車軸ケース〕
図4及び図5に示すように、入力ケース30の左右に連結される車軸ケース40には、それぞれ油圧式無段変速装置41が内装されており、その左右の油圧式無段変速装置41の入力軸42同士にわたって筒軸に構成された分岐伝動軸28を連結してある。
この分岐伝動軸28は、その外周部に前記PTO軸後部分27Bの分岐用ベベルギヤ27bと噛合する入力ベベルギヤ28aがスプライン嵌合され、内周側の両端部に左右の油圧式無段変速装置41の入力軸42がスプライン連結されている。
【0039】
油圧式無段変速装置41は、周知の内接ギヤ式のジェロータ構造のポンプ・モータが採用されている。この油圧式無段変速装置41の入力軸42の軸芯p4、及び後輪3を支持する車軸3Aの軸芯p5は、車軸ケース40内で同一直線p0上に位置するように配設してあり、かつ、前記分岐伝動軸28の軸芯p3に対しても同一直線p0上に位置している。
そして、車軸ケース40に固定されたジェロータ構造のポンプ43のステータに対して、入力軸42がロータを回転駆動するように連係され、ジェロータ構造のモータ44の出力軸を兼ねる車軸3Aが駆動されるように構成してある。
【0040】
また、左右の車軸ケース40には、図5に示すように、それぞれの車軸ケース40内に貯留された貯留油を吸引加圧して高圧の作動油として吐出する油圧ポンプ45(給油ポンプに相当する)が、それぞれの油圧式無段変速装置41の入力軸42の外周部に装着されている。この油圧ポンプ45は、前記入力ケース30における入力軸26の周辺に設けた内接式ギヤを用いたトロコイド式の容積ポンプと同様なトロコイドポンプによって構成してあり、油圧式無段変速装置41への入力軸42の回転動力によってトロコイドポンプのインナーロータを駆動し、車軸ケース40に貯留された作動油を循環させるように構成されている。
これによって、図7の油圧回路図に示すように、油圧ポンプ45から吐出される圧油が、それぞれの車軸ケース40内の油圧式無段変速装置41に対する補給油となる。このように前記油圧ポンプ45はチャージポンプとして機能するものであり、余剰油がそれぞれの車軸ケース40内に戻されて貯留されるように構成してある。
【0041】
前記車軸ケース40においても、図4及び図5に示すように、その下部近く位置に、各車軸ケース40の内部に大部分を挿入させた状態でオイルフィルタ46が装着されている。
このオイルフィルタ46も、車軸ケース40の後側下部の外周壁40bにねじ込み式の開閉蓋40cを備えた開口を設けてあり、開閉蓋40c開放することによって濾材を内装するカートリッジを外部から交換可能に構成してある。
したがって、図7に示すように、それぞれの車軸ケース40に貯留された油が、カートリッジ内の濾材を通過して浄化され、油圧ポンプ45に吸引され、油圧式無段変速装置41の閉回路に対して補給した後、余剰油が再び元の車軸ケース40内に戻されて貯留される。
【0042】
〔油圧回路〕
図7に示されているように、入力ケース30内に貯留された油は、エンジン5からの駆動力が伝達される入力軸26によって駆動される油圧ポンプ36で吸引され、バルブユニット50に供給される。制御バルブユニット50に供給された圧油は、モーア昇降用のリフトアーム14を操作する油圧シリンダ15に圧油を供給する回路dと、PTOクラッチ35に圧油を供給する回路eとに分岐供給される。
前記リフトアーム14を操作する油圧シリンダ15に圧油を供給する回路dには、油圧シリンダ15の作動を司る制御バルブ51が設けられ、入力ケース30の図示されない壁内油路を介して制御バルブ51に圧油が供給されるようになっている。
PTOクラッチ35に圧油を供給する回路eには、前記PTOクラッチ35を入り切り作動させる切換えバルブ54が組み込まれており、このPTOクラッチ35に圧油を供給する回路eは、前記制御バルブ51からの戻り油路nに接続されている。
【0043】
制御バルブ51は、スプール51sを左右スライド可能に装着した直線スライド型のスプールバルブで構成されており、図示しない連係機構を介して運転座席7の近傍に配備された昇降操作レバー64などの人為操作具と連係されている。
昇降操作レバー64は前後揺動操作自在に構成されているとともに、中立位置へ復帰付勢して設けてあり、前方側に操作すると、制御バルブ51のスプール51sが下降位置Dに移動し、油圧シリンダ15の作動油が排出され、モーア4は自重で下降側へ操作される。
昇降操作レバー64の操作を解除すると、制御バルブ51のスプール51sは中立位置に復帰付勢されているので、操作前の状態に復帰し、制御バルブ51のスプール51sは停止位置Sに移動し、モーア4は下降位置Dのままで昇降を停止する。
【0044】
昇降操作レバー64を、後方側へ移動させると、制御バルブ51のスプール51sは上昇位置Uに移動し、油圧シリンダ15に作動油が供給されて、モーア4が上昇側へ操作される。昇降操作レバー64の操作を解除すると、制御バルブ51のスプール51sは中立位置に復帰付勢されているので、操作前の状態に復帰し、制御バルブ51のスプール51sは停止位置Sに移動し、モーア4はその位置で昇降を停止する。この高さ位置がモーア4の任意の高さ位置となる。
【0045】
前記PTOクラッチ35に圧油を供給する回路eには、PTOクラッチ35を入り切り作動させる切換えバルブ54が設けられている。この切換えバルブ54はスプール54sを回動操作するロータリバルブに構成されており、スプール54sと運転座席7の横側に配備されたPTOクラッチレバー65とを、図示しないリンク機構を用いて連係することにより、PTOクラッチレバー65による人為操作で入り切り操作可能に構成されている。
図7の油圧回路図に示すように、制御バルブ51からの戻り油路nにはレギュレータ67が接続されて、PTOクラッチ35へ印加される作動圧が確保されている。レギュレータ67から排出されたドレーン油は、ラジエータ冷却風路に配備された前記オイルクーラ38で冷却された後、入力ケース30内に戻されるようになっている。
【0046】
したがって、図5及び図7に示すように、切換えバルブ54がクラッチ切り位置に操作されていると、油室cから圧が抜けて、ピストン部材35cが戻しバネ35dによって後退移動し、摩擦板35a群の押圧が解除されることで、筒状ボス部27cからクラッチドラム部35bへの動力伝達を遮断する「クラッチ切り」状態となる。
図7に示す位置からPTOクラッチレバー65を図中左方に操作してスプール54sを左方に移動させると、切換えバルブ54がクラッチ入り位置に操作され、油室cに圧油が供給されることで、ピストン部材35cが戻しバネ35dに抗して後方側へ押し出されて、摩擦板35a群がストッパー35eとの間で挟圧されることで、筒状ボス部27cからクラッチドラム部35bへの動力伝達を行う「クラッチ入り」状態となる。
【0047】
〔他の実施形態の1〕
上述の実施形態では、後輪駆動部20の車軸ケース40,40に設けられる油圧式無段変速装置41を内接ギヤ式のジェロータ構造のポンプ・モータによって構成したものを示したが、これに限らず、例えば図8に示すように、油圧式無段変速装置41を、内接ギヤ式のジェロータ構造のものではなく、ポンプ軸とモータ軸とが同一の軸芯p4上に位置するように配設されたポンプ43及びモータ44を用いてもよい。この場合、そのポンプ43及びモータ44の軸芯p4が車軸ケース40内で、車軸3Aの軸芯p5及び分岐伝動軸28の軸芯p3に対しても同一直線p0上に位置するように配設されるのが望ましい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0048】
〔他の実施形態の2〕
上述の実施形態では、後輪駆動部20の車軸ケース40,40に設けられる油圧式無段変速装置41を内接ギヤ式のジェロータ構造のポンプ・モータによって構成したものを示したが、これに限らず、例えば図9に示すように、油圧式無段変速装置41を、分岐伝動軸28の軸芯p3に対して同一直線p0上に位置する軸芯p4を有した入力軸42を備えるポンプ43と、そのポンプ43の入力軸42と平行な出力軸44aを備えるモータ44とで構成し、モータ44の出力軸44aから第2減速ギヤ機構47を介して車軸3Aに駆動力を伝達するように構成したものであってもよい。
この場合、モータ44の出力軸44aはポンプ43の入力軸42よりも前方側に位置していて、ポンプ43の入力軸42の軸芯p4が前後方向でできるだけ車軸3Aの軸芯p5に近い位置に存在し、上下方向では、ポンプ43の入力軸42の軸芯p4、モータ44の出力軸44aの軸芯p6、車軸3Aの軸芯p5、及びPTO軸27の軸芯p2が同一水平面上、もしくはそれに近い高さ位置に存在するように構成するのが望ましい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0049】
〔他の実施形態の3〕
上述の実施形態では、制御バルブユニット50において、図7に示したように、モーア昇降用のリフトアーム14を操作する油圧シリンダ15に圧油を供給する回路dの制御バルブ51と、PTOクラッチ35に圧油を供給する回路eの切換えバルブ54とを、それぞれ昇降操作レバー64に対して機械的に連係させたもの、及びPTOクラッチレバー65に対して機械的に連係させたものを示したが、これに限るものではない。例えば図10に示すように、前記制御バルブ51を、電磁ソレノイドを用いた上昇用バルブ52と下降用バルブ53とによって構成し、かつ前記切換えバルブ54も電磁ソレノイドを用いた構造によって構成し、電気的に連係させたものであってもよい。
この場合、昇降操作レバー64の操作位置や、PTOクラッチレバー65の操作位置は、図示しないが、適宜リミットスイッチや位置検出センサによって検出し、適宜制御手段によって制御バルブ51や切換えバルブ54の電磁ソレノイドを励磁作動させるように構成すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【0050】
〔他の実施形態の4〕
上述の実施形態では、制御バルブユニット50において、図7に示すように、モーア昇降用のリフトアーム14を操作する油圧シリンダ15に圧油を供給する回路dの制御バルブ51と、PTOクラッチ35に圧油を供給する回路eの切換えバルブ54とを、それぞれ昇降操作レバー64に対して機械的に連係させたもの、及びPTOクラッチレバー65に対して機械的に連係させたもの、あるいは、図10に示すように、前記制御バルブ51を、電磁ソレノイドを用いた上昇用バルブ52と下降用バルブ53とによって構成し、前記切換えバルブ54を電磁ソレノイドを用いた構造によって構成したものを示したが、これに限るものではない。
例えば、制御バルブ51と切換えバルブ54とのうち、何れか一方を昇降操作レバー64あるいはPTOクラッチレバー65に対して機械的に連係させ、他方を電磁ソレノイドを用いた構造のバルブで電気的に連係させるようにしたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【0051】
〔他の実施形態の5〕
上述の実施形態では、入力ケース30に貯留された潤滑油を給排するための油圧ポンプ36、及び車軸ケース40内に貯留された貯留油を吸引加圧して高圧の作動油として吐出する油圧ポンプ45を、共に内接式ギヤを用いたトロコイド式の容積ポンプで構成したものを示したが、これに限らず、例えば、その一方の油圧ポンプ36(又は45)、もしくは両方の油圧ポンプ36,45を、二軸型のギヤポンプで構成するなど、適宜のポンプを採用してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の作業機としては、芝刈り機の他、管理機や小型トラクタ、及び運搬車など、PTO軸を備える各種の作業機に適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
3 走行車輪
3A 車軸
4 作業装置
14 リフトアーム
15 昇降用シリンダ
26 入力軸
27 PTO軸
28 分岐伝動軸
30 入力ケース
32b,40a 嵌合部
35 PTOクラッチ
36 給油ポンプ
37 フィルタ
40 車軸ケース
41 油圧式無段変速装置
51 昇降用バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン動力伝達用の入力軸が導入された閉空間を構成する入力ケースの左右両側に、前記閉空間とは別に油圧式無段変速装置が内装された閉空間を構成するとともに、左又は右の走行車輪の車軸を支持する各車軸ケースを位置させて、前記油圧式無段変速装置を介して左又は右の車輪を駆動するように構成してある作業機であって、
前記各車軸ケース内の油圧式無段変速装置に対して前記入力軸の駆動力を分岐伝動する分岐伝動軸を前記入力ケース内に配設し、
前記入力ケースに貯留された貯留油の供給対象となる各機器に対して前記貯留油を供給する給油ポンプと、前記入力ケース内を循環する貯留油を濾過するためのフィルタとを、前記入力ケースに設け、
前記左又は右の車軸ケースのそれぞれに設けてある油圧式無段変速装置に対して、その油圧式無段変速装置が存在する側の車軸ケース内の貯留油を供給する給油ポンプと、各車軸ケース内で循環する貯留油を濾過するフィルタとを、前記左又は右の車軸ケースごとに設けてあることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記入力ケースと左右両側の車軸ケースとは、左右方向で相対向する対向面側で、かつ前記分岐伝動軸の外周側箇所に、その分岐伝動軸の軸線方向での相対移動に伴って嵌合及び離脱可能な嵌合部を形成してあり、その嵌合部での嵌合状態では、互いに上下及び前後方向での相対移動が規制された状態で連結されるように構成してある請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記入力ケースに、その入力ケースから外部に駆動力を取り出すためのPTO軸を支持させてあるとともに、そのPTO軸に対して前記入力軸から伝達される駆動力を断続するためのPTOクラッチを内装させてある請求項1又は2記載の作業機。
【請求項4】
作業機本体に対して作業装置を昇降作動させるリフトアーム、及びそのリフトアームを起伏揺動させるための昇降用シリンダを備えるとともに、前記昇降用シリンダの作動を制御する昇降用バルブを前記入力ケースに装備させて、その入力ケース内の貯留油が供給されるように構成してある請求項1〜3のいずれか一項記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−108525(P2013−108525A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251878(P2011−251878)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】