説明

侵入者監視装置及び侵入者監視システム

【課題】 侵入者を検知したときには良好に侵入者を撮影でき、かつ、ライトの交換を殆ど必要とせず、低コストな侵入者監視装置と、この侵入者監視装置を使用した侵入者監視システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 センサ部2と、侵入者の有無を判断する侵入者判断手段3と、侵入者が検知された場合、検知領域をほぼ一列状に配列した複数のLED照明部5によって照明する照明手段4と、照明された領域を撮影する撮影手段6と、撮影された画像データを送信する送信手段7とを1つの筐体に備え、センサ部2の検出方向、照明手段4の照射方向、撮影手段6の撮影方向がほぼ同一方向を向くように前記筐体に配置し、かつ、前記複数のLED照明部5のうちの少なくとも両側に位置するLED照明部5の光軸が正面視において真正面に対して外側へ変位するように該複数のLED照明部5を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、屋内に設置され、この屋内の侵入者を検知するための侵入者監視装置と、この侵入者監視装置から信号に基づいてユーザに通知する侵入者監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内への不正侵入者を検知するには、侵入者を検知するための赤外線センサ等のセンサを屋内の天井部分に設置し、このセンサからの信号に基づいて、侵入者の有無を判断し、侵入者がいると判断した場合には、天井部分に設置されたカメラ等で侵入者を撮影したり、警備者等に通報している。
【0003】
また、赤外線センサ等のセンサ、侵入者を撮影するカメラ、侵入者を照明するためのライト、カメラが撮影した映像信号に基づいて映像の照度を検出する照度検出手段とを1つの筐体に備えさせて、簡易に設置できる防犯警報装置もある。この防犯警報装置は、センサによって侵入者が検知されると、カメラが侵入者の映像を撮影し、撮影された映像の照度が低い場合にはライトを照明し、照度が低くない(高い)場合にはライトを照明することなく侵入者の映像を撮影していた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−223276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センサ、カメラ、照明手段、照度検出手段とを1つの筐体に備えた防犯警報装置では、カメラで撮影する映像の照度が低いときにはライトを照明し侵入者を良好に撮影することはできるが、昼間等の照度が高い場合には、ライトを照明しないため、カメラの正面方向から光が照射されている状態で侵入者を検知した場合には、該照射されている光によって侵入者の影ができ、いわゆる逆光の状態で侵入者を撮影することとなり、侵入者の映像を良好に撮影できないこともあった。
【0005】
そこで、映像の照度に関係なくライトを点灯させるようにすると、ライトの点灯回数が多くなり、かつ点灯時間も長くなるため、フィラメントを用いた電球や放電管等からなるライトでは、その寿命も短くなり定期的にライトを交換する必要性があった。一方、比較的寿命の長いLEDを使用して映像の照度に関係なくライトを点灯させる場合には、LEDを交換する必要性は少なくなるものの、1つのLEDによる照明では、十分な照射領域(照射角)や照射光量を得られないことや、多数のLEDによる照明ではコストが高くなってしまうことがあった。
【0006】
本願発明は、係る問題に鑑み、侵入者を検知したときには昼夜を問わず良好に侵入者を撮影でき、かつ、照明するためのライトの交換を殆ど必要とせず、低コストな侵入者監視装置と、この侵入者監視装置を使用した侵入者監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために、侵入者を検知するためのセンサ部と、前記センサ部からの出力信号に基づいて侵入者の有無を判断する侵入者判断手段と、前記侵入者判断手段によって侵入者を検知した場合、少なくとも前記センサ部によって検知される領域の一部をほぼ一列状に配列した複数のLED照明部によって照明する照明手段と、前記照明手段によって照明された領域を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された画像データを少なくとも送信する送信手段とを1つの筐体に備え、少なくとも前記センサ部の検出方向、前記照明手段の照射方向、前記撮影手段の撮影方向がほぼ同一方向を向くように該センサ部、照明手段、撮影手段を、前記筐体に配置し、かつ、前記複数のLED照明部のうちの少なくとも両側に位置するLED照明部の光軸が正面視において真正面に対して外側へ変位するように該複数のLED照明部を配置するものである。
【0008】
したがって、LEDによって侵入者を照明するので、その寿命も長くLED照明部を交換することが少なくなる。また、ほぼ一列に並んだLED照明部の両側に位置するLED照明部の光軸が正面視において真正面に対して外側に変位するように配置しているので、広い領域を照明することができる。さらに、侵入者を検知すると常に照明して画像を撮影するので、逆光等の理由による不鮮明な撮影を防止することができる。
【0009】
また、前記LED照明部の複数は左右方向に3つ以上ほぼ一列に配列されてなり、中央側に配置されたLED照明部の光軸と前記撮影手段の画角の中心軸とによってなす第1角度より、左端又は右端側に配置されたLED照明部の光軸と前記撮影手段の画角の中心軸とによってなす第2角度が大きくなるよう配置してもよい。
【0010】
また、前記照明手段が配置されるパネルは不透明かつほぼ平坦な板材よりなり、前記複数のLED照明部から照射される光を通過させるための照明窓の複数を前記板材に備え、前記中央側に配置されるLED照明部を除く残りのLED照明部の前記照明窓は左右方向が長径となる楕円形よりなるようにしてもよい。
【0011】
また、前記LED照明部が、ほぼ同一の照射角度、及びほぼ同一の照射光量のLEDからなるようにしてもよい。
【0012】
また、前記侵入者判断手段による判断信号により、前記照明手段を連続又断続的に作動する照明制御部を前記照明手段に備えてもよい。
【0013】
また、前記侵入者判断手段は、感度が異なる複数の検知レベルが設定され、選択された検知レベルに基づいて侵入者を検知してもよい。
【0014】
また、前記筐体には、補助電源部と、商用交流電源からの電力供給が遮断されたことを検知し前記補助電源からの電力供給を開始する補助電源供給手段とを備えてもよい。
【0015】
また、本願発明に係る侵入者監視システムは、前記侵入者監視装置と、サーバと、ユーザ端末とが通信回線を介して通信可能として、前記サーバには、前記侵入者監視装置から送信された画像データを少なくとも受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された画像データを記憶する画像データ記憶手段と、予め記憶されている前記ユーザ端末の電子メールアドレスに画像データを受信したことを通知する通知手段とを備えるものである。
【0016】
したがって、侵入者監視装置によって侵入者が検知されると、サーバは侵入者監視装置から送信された画像データを記憶し、ユーザに侵入者を検知したことを通知することができる。また、ユーザは侵入者の画像をユーザ端末を使用して確認することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本願発明に係る侵入者監視装置は、センサ部の検出方向と、照明手段の照射方向と、撮影手段の撮影方向とがほぼ同一方向を向くように配置しているので、センサ部で侵入者が検知される領域を常に照明し、さらに照明された領域の画像を撮影することができる。また、常に侵入者が検知されると照明するので、侵入者を逆光の状態で撮影することを防止することができる。
さらに、LED照明部によって照明するので、照明手段(ライト)の長寿命化することができ、照明手段(ライト)の交換を少なくすることができる。そして、ほぼ一列に並んだLED照明部の両側に位置するLED照明部の光軸が正面視において真正面に対して外側に変位するように配置しているので、少ないLEDで広い領域を照明できるようになり、かつ、低コストの侵入者監視装置を得ることができる。
【0018】
また、3つ以上のLED照明部を左右方向ほぼ一列に配置し、中央側に配置されたLED照明部の光軸よりも、左端又は右端に配置されたLED照明部の光軸の角度の方が大きくなるように配置しているので、撮影領域に対応させて左右方向の照明領域を大きくすることができる。
【0019】
また、不透明かつ平坦なパネルにLED照明部が配置されるときには、中央側に配置されるLED照明部以外のLED照明部のから照射される光を通過する照明窓の形状は、左右方向が長径となる楕円形となっているので、LED照明部から照射される光を不透明なパネルによって遮断されないように光を照射することができる。
【0020】
また、LED照明部は、ほぼ同一の照射角度及びほぼ同一の照射光量であるので、同一の部品から構成でき、LED照明部のコストをさらに低くすることができる。
【0021】
また、侵入者判断手段によって侵入者が検知された場合には、照明手段を連続的に照明したり、断続的に照明したりすることにより、侵入者に対して威嚇することができる。
【0022】
また、侵入者判断手段は、感度が異なる検知レベルが設定されているので、監視領域の状態によって検知レベルを変更することにより、誤報等を防止することができる。
【0023】
また、商用交流電源とは別の補助電源部を筐体に備えているので、電力供給が遮断されたとしても、補助電源部から供給される電力によって稼働させることができる。
【0024】
また、前記侵入者監視装置と、サーバと、ユーザ端末とを通信回線を介して通信可能となり、侵入者監視装置から送信された画像データをサーバが受信したことをユーザ端末に通知することによって、ユーザに侵入者を検知したことを通知でき、且つ、サーバから画像データを取得することによって、警備者(警察や警備会社等)に連絡をすることができる。また、画像を確認することで、誤報であるか否かの判断もできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本願発明に係る侵入者監視装置を、図1〜4を用いて説明する。
本願発明に係る侵入者監視装置(以下、監視装置と称す。)1は、図1に示すように、センサ部2、侵入者判断手段3、照明手段4、LED照明部5、撮影手段6、送信手段7、照明制御部8、主電源部9、補助電源部10、補助電源供給手段11、ブザー13、クロック部(図示しない)を1つの筐体に備え、商用交流電源12より電力供給され稼働する。そして、図2及び図3に示すように、監視装置1の前面パネル14には、センサ部2、照明手段4、撮影手段6が備えられており、センサ部2の検出方向、照明手段4の照明方向、撮影手段6の撮影方向がほぼ同一の方向を向くように配置されている。
【0026】
センサ部2は、侵入者を検知するためのセンサから構成されるものである。このセンサは、パッシブセンサ(人感センサ)等の赤外線センサであるが、人間の動きを検知するセンサであればよく、赤外線以外の光を感知するセンサであったり、画像データに基づいて侵入者を検知するセンサなどでもよい。
【0027】
前記侵入者判断手段3は、前記センサ部2からの出力信号が、予め設定された検知レベル以上であれば、侵入者がいる(存在する)と判断し、該検知レベル以下であれば侵入者がいない(存在しない)と判断する手段である。さらに、侵入者判断手段3が侵入者がいる(存在する)と判断した場合には、前記照明手段4と前記撮影手段に検知信号を送信して、照明手段4によって照明された状態の画像を撮影する。したがって、侵入者を検知した場合には、常に照明した状態を撮影するので、侵入者を逆光の状態で撮影することを防止できる。
なお、侵入者の有無を判断する検知レベルが、複数の異なる感度の検知レベルを備えている場合には、その検知レベルの中から1つを選択し選択された感度の検知レベルの基準に従って侵入者の有無を判断する。なお、前記検知レベルの感度を切り替えるときには、監視装置1の背面等に備えられているスイッチによって検知レベルの感度を切り替えてもよいし、後述するサーバS(図5参照)から送信された制御信号を受信して、検知レベルの感度を切り替えて設定をしてもよい。例えば、検知レベルの感度が高く設定されているときには、センサ部2を室内に向けて監視装置1を設置して、外出時の侵入者を検知することができ、検知レベルの感度が低く設定されているときには、センサ部2を窓等に向けて監視装置1を設置して、在宅時に外部からの侵入者を検知できる。
また、複数の感度の検知レベルが設定されていると、検知レベルの感度が高く設定されているときに、誤報が頻繁に発生する状態のときには、スイッチ等を操作して検知レベルの感度を変更することで誤報の発生を容易に防止することができる。
当然のことながら、前記検知レベルの感度は、前述のように複数の感度の検知レベルを備えることが好ましいが、1つの感度の検知レベルだけを備えさせてもよい。
なお、監視装置1の背面等に備えられているスイッチによる切り替えや、前記サーバS(図5参照)から送信された制御信号に基づいて、検知レベルの感度の設定、及び監視状態のONおよびOFFの切り替え等をしてもよい。
【0028】
前記照明手段4は、ほぼ一列状に配列した複数のLED照明部5a,…,5nから構成され、前記センサ部2によって検知される領域の一部を少なくとも照明する。この照明手段4の両側に位置するLED照明部5,5の光軸が正面視において真正面に対して外側へ変位するように、LED照明部5は配置されている。例えば、図2及び図4(a)に示すように、左右方向に5つのLED照明部5a,…,5eを配列している場合には、中央に位置するLED照明部5cは、正面視においてほぼ真正面に光軸が設定され、このLED照明部5cより外側に位置するLED照明部5b、5dは、正面視において真正面に対して外側に光軸が設定され、最も外側に位置するLED照明部5a,5eは、前記LED照明部5b、5dよりもさらに外側に光軸が設定されている。
【0029】
また、照明制御部8は、前記侵入者判断手段3によって侵入者が検知されたときに出力される判断信号に基づき、前記LED照明部5a,…,5nを連続的に作動させたり、フラッシュのように断続的に作動させる。この照明制御部8を照明手段4に備えることにより、侵入者を検知したときに、LED照明部5を点滅させたり連続的に照明させることで、侵入者に対しての威嚇効果を得ることができる。
【0030】
また、前記LED照明部5a、…,5nは高輝度の白色LEDであり、フィラメントを使用した電球や放電管等よりも寿命が長く、長期間使用することが可能であり、特に前記照明制御部8によって点滅等を繰り返したときには、前記電球や放電管等に比べて長時間使用することができる。なお、前記撮影手段6によって撮影される画像がカラー画像の場合には、白色LEDを使用する方が望ましいが、モノクロの画像を撮影する場合には、赤色、緑色、青色等のLEDであってもよい。また、撮影手段6が赤外線カメラであれば、赤外LED等を使用してもよい。
【0031】
前記撮影手段6は、前記侵入者判断手段3によって侵入者を検知したときに、少なくともセンサ部2の検知領域の一部を静止画又は動画等で撮影するカメラであり、撮影した画像データを前記送信手段7をから送信するものである。前記撮影手段6としては、デジタルカメラ(デジタルスチルカメラ)、デジタルビデオカメラ等であり、携帯電話に搭載されているカメラ部材、パーソナルコンピュータに接続可能なWebカメラ等の低コストのカメラ部材を使用してもよい。
【0032】
前記送信手段7は、前記撮影手段6によって撮影された画像データを、電気通信回線を使用して予め設定されているサーバ(コンピュータ)に送信するものである。電気通信回線としては、インターネットや、電話回線、携帯電話回線等の汎用的な通信回線の1つ若しくはそれらを組み合わせた回線である。前記送信手段7は、前記サーバに通信可能なアドレス(例えば、IPアドレス)を記憶するアドレス記憶部(図示しない)と送信部(図示しない)とを備えている。前記送信部は、例えば、RJ−45のインタフェイスであったり、Dopa(登録商標)等の無線データ回線が使用可能な機器である。また、この送信部は、図3で示す監視装置1の背面側に備えられている。なお、前記送信手段7が送信するデータとしては、前記撮影手段によって撮影された画像データだけでなく、画像を撮影した時刻データや、監視装置1を区別するためのID番号データ等のデータであってもよい。なお、前記時刻データを送信する場合には、時計機能を備える前記クロック部(図示しない)から時刻データを取得して画像を撮影する。
【0033】
前記主電源部9は、商用交流電源12から供給される電力を、監視装置1に備えられた電子部品等に電力を供給し、監視装置1を稼働させる。また、主電源部9は、AC/DC変換手段等も備えていてもよい。なお、主電源部9は、監視装置1の筐体に収納されてもよいが、筐体の外部に別体として備えさせてもよい。
【0034】
前記補助電源部10は、二次電池等の電源であり、前記商用交流電源12から電力供給が遮断されたときには、この補助電源部10から電力を供給する。なお、補助電源部10が供給する電力量は多い方が好ましいが、商用交流電源からの電力供給が遮断されたときに、遮断通知を前記送信手段7から送信するために必要な電力量だけを蓄電していてもよい。
【0035】
前記補助電源供給手段11は、前記商用交流電源12からの電力供給が遮断されたことを検知し、遮断されている場合には、補助電源部10から電力を監視装置1に備えられた電子部品等に供給して侵入者の監視を行うようにするものである。また、電力供給が遮断されたときに、前記照明手段4及び前記撮影手段6を稼働させて、電力供給が遮断されたときの画像を撮影し、この画像データを送信手段7から送信して、遮断時の状況を通知してもよい。
【0036】
つぎに、監視装置1の具体的例を図2及び図3を用いて説明する。図2は、監視装置1の正面図であり、図3は、監視装置1の右上方から見た斜視図である。
図2に示すように、監視装置1は正面視で、左右方向に長い小判状の形状をした本体部の下面に4つの脚部とを備えている。そして、小判状でほぼ平坦な前面パネル14のほぼ中央位置にカメラ(撮影手段)6のレンズ部が備えられている。そして、このカメラ6の左側(又は右側)にセンサ部2と、カメラ6の上方に5つの照明窓15a,…,15eと、監視装置1の状態表示のための状態表示窓17,…,17とが、前記前面パネル14に備えられている。また、監視装置1の上面には、非常用ボタン16が備えられており、この非常用ボタン16を押下すると、前記照明手段4、撮影手段6、ブザー13(図1参照)が稼働して、威嚇のための照明(点滅や連続照明等)、ブザーの鳴動、画像撮影がされる。
【0037】
前記前面パネル14の前記照明窓15と状態表示窓17とは透明になっており、LED照明部5や状態表示ランプ(図示しない)からの照明を外部から視認可能にとなっている。一方、前記照明窓15以外の前記前面パネル14の上側の領域には、左右方向にストライプ模様が施してあり、デザイン性を向上させている。また、前記状態表示窓17以外の前面パネル14の下側の領域には、単一色になっている。
なお、前面パネル14に施されているデザインに関しては、他の模様や文字等であってもよく、さらに、前記照明窓15と状態表示窓17以外の部分が透明又は半透明であってもよい。
【0038】
センサ部2は、周知の赤外線センサであり、後述するカメラの左右の撮影領域に対して広い領域の赤外線を集光している。また、前記カメラ6の画角の中心軸X(図4(b)参照)は、監視装置1の真正面方向(前面パネル14の垂直方向)とほぼ一致しており、左右方向の撮影領域(画角β(図4(b)参照))は、前記センサ部2の左右方向の監視領域より小さい領域になるように設定されている。なお、前記センサ部2の監視領域とカメラ6の撮影領域に関しては、ほぼ一致するようにしてもよいし、センサ部2の監視領域に対してカメラ6の撮影領域の方が大きくなるようにしてもよい。
【0039】
前記5つのLED照明部5a〜5eは、図2及び図4(a)に示すように、ほぼ同一の照射角度、及びほぼ同一の照射光量のLEDから構成され、それらが左右方向に並んで配置されている。
前記5つLED照明部5の中で中央に位置するLED照明部5cの光軸Cと、前記カメラ6の画角の中心軸X(図4(b)参照)とは、左右方向でほぼ一致しており(つまり、上方から見ると該光軸Cと該中心軸Xが一致する)、該光軸Cと該画角の中心軸Xとによってなす第1角度が、ほぼ0度になるように配置している。また、前記LED照明部5cの光軸Cと、前記カメラ6の画角の中心軸Xとは、上下方向でほぼ平行となるように配置されている。
さらに、中央に位置するLED照明部5cより正面視左側に位置するLED照明部5bの光軸Bと、前記カメラ6の画角の中心軸Xとは、中心より左右方向外側(図4(a)の右側)に所定の角度を有するように配置されている。同様に、中央に位置するLED照明部5cより正面視左側に位置するLED照明部5dの光軸Dと、前記カメラ6の画角の中心軸Xとは、中心より左右方向外側(図4(a)の左側)に所定の角度を有するように配置されている。つまり、光軸Cと光軸Bとによってなす角と、光軸Cと光軸Dとによってなす角とは、ほぼ同じ角度になっている。
また、左端に位置するLED照明部5aの光軸Aは、前記光軸Bよりもさらに左側(図4(a)の右側)に所定の角度を有するように設定されている。つまり、前記画角の中心軸Xと該光軸Aとによってなす第2角度が、前記第1角度に比べて大きくなるように設定されている。同様に、右端に位置するLED照明部5eの光軸Eは、前記光軸Dよりも更に右側(図4(a)の左側)に所定の角度を有するように設定され、前記画角の中心軸Xと該光軸Eとによってなす第2角度が、前記第1角度に比べて大きくなるように設定されている。つまり、光軸Cと光軸Aとによってなす角と、光軸Cと光軸Eとによってなす角とは、ほぼ同じ角度になっている。また、光軸A〜Eによってなす光軸角αの中心と、前記光軸Cとは、ほぼ一致している。
なお、LED照明部5a〜5eの各光軸A〜Eは、側面視で、ほぼ一致し、且つ、前記画角の中心軸Xとも、ほぼ平行になるように配置されている。
つまり、図4(a)に示すように、光軸A〜Eが交差せず(重ならず)、監視装置1から遠ざかるにつれて照明領域が広がるように配置されている。そして、5つのLED照明部5a〜5eによって照明される照明領域は、前記カメラ6の撮影領域に対して広い領域になっている。また、各LED照明部5(5a,…,5e)の照明領域と、隣接するLED照明部5の照明領域が部分的に重なり合って照度を高めている。したがって、複数のLED照明部5のそれぞれが、異なった領域を照明することで、少ないLEDで広い領域を照明することができる。また、LEDの数を少なくすることで、低コストの監視装置1を得ることができる。
【0040】
また、図4(a),(b)に示すように、LED照明部5a〜5eの光軸A〜Eによってなす光軸角αが、前記カメラ6の画角βに対して大きくなるようにLED照明部5a〜5eを配置することで、カメラ6の撮影領域より広い領域を照明することができ、侵入者の画像を明確に撮影することができる。
【0041】
また、中央に位置するLED照明部5cから照明される光を通過させる照明窓15cは、図2に示すように、前記LED照明部5cより僅かに大きな円形をしており、正面視で該照明窓15cを通してLED照明部5cの全体が視認できるように配置されている。
正面視において前記照明窓15cの左側に配置される照明窓15bは、図2に示すように、左右方向が長径となる楕円形をしており、該照明窓15bの右側に偏った位置に前記LED照明部5bが配置され、その右側の一部が前面パネル14によって隠れている。
同様に、正面視において前記照明窓15cの右側に配置される照明窓15dは、図2に示すように、左右方向が長径となる楕円形をしており、該照明窓15dの左側に偏った位置に前記LED照明部5dが配置され、その左側の一部が前面パネル14によって隠されている。
さらに、正面視において左端に配置される照明窓15aは、図2に示すように、前記照明窓15b及び15dの長径に比べて長い長径を左右方向に有する楕円形をしており、該照明窓15aのほぼ右側半分の領域に前記LED照明部5aが配置されている。
同様に、正面視において右端に配置される照明窓15eは、図2に示すように、前記照明窓15aとほぼ同じ長さの長径を左右方向に有する楕円形をしており、該照明窓15eのほぼ左半分の領域に前記LED照明部5eが配置されている。
なお、前記照明窓15a〜15eの上下方向の長さは、図2に示すように、ほぼ同一の長さである。
このように、前面パネル14が不透明且つ平坦な板材で、LED照明部5の光軸が正面視において真正面に対して左側又は右側に変位するときには、LED照明部5からの光を通す照明窓15を該光軸の変位方向と同じ左右方向が長径となる楕円形の窓を備えることにより、前面パネル14によってLED照明部5からの光が遮られることがなくなる。
【0042】
つぎに、前述した侵入者監視装置1を用いた侵入者監視システムに関して説明する。
本願発明に係る侵入者監視システムは、図5に示すように、複数の監視装置1,…,1と、前記監視装置1,…,1から送信された画像データを少なくとも受信するサーバSと、前記サーバSからの電子メールを受信するユーザ端末T,…Tとが、通信回線Nを介して通信可能になっている。なお、図示していないが、前記サーバSから送信された電子メールを配信するメールサーバも前記通信回線Nに接続されている。
【0043】
前記監視装置1は、前述した装置であり、侵入者を検知すると、撮影手段(カメラ)6によって撮影された画像データを、通信回線Nを介してサーバSに送信する。
前記サーバSは、少なくとも前記監視装置1から送信された画像データを受信する受信手段18と、受信手段18によって受信された画像データを記録媒体等に記憶する画像データ記憶手段19と、前記受信手段18が画像データを受信すると予め記憶されている電子メールアドレスに通知する通知手段20とを備えている。
前記ユーザ端末Tは、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)等のコンピュータであり、前記メールサーバに通信接続して電子メールを受信し、さらに、前記サーバSから画像データを取得し、ディスプレイ等の表示部に該画像データを表示するコンピュータである。
なお、前記メールサーバは、周知の技術を用いたサーバ(コンピュータ)であるので、ここではその説明を省略する。また、前記サーバSが該メールサーバの機能を備えてもよい。
【0044】
前記サーバSに備えられる前記通知手段20は、前記受信手段18が監視装置1から送信された画像データを受信すると、予め電子メールアドレスを記憶するアドレス記憶部(図示しない)から電子メールアドレスを読み出し、この電子メールアドレス宛に電子メールを送信する。送信する電子メールのデータとしては、前記画像データ、又は前記画像データのアドレス(例えば、Webアドレス)等のどちらか一方の情報を少なくとも含み、その情報以外にも、画像が撮影された時間等の情報も同時に送信するようにしてもよい。
また、前記通知手段20は、前記監視装置1から送信されたデータを受信する度に電子メールを送信(つまり、監視装置1からデータ1件に対して、電子メールを1件送信)してもよいが、監視装置1からデータを受信しても予め設定した間隔毎にしか電子メールを送信しない(例えば、一度電子メールを送信するとその後1分間は電子メールを送信しない)ようにして通信負荷を低減してもよい。
つまり、侵入者が室内で動き回っているときには、数秒に1回(例えば、3秒に1回)のペースで監視装置1からデータが送信するので、該データを受信する度に電子メールを送信すると短時間に多数の電子メールを送信する(例えば、1分間に20件、10分間に200件)ことになり、サーバS、電子メールサーバ、ユーザ端末T、通信回線N等に負荷を与えてしまうことになる。一方、監視装置1からデータを受信しても、予め設定した間隔毎でしか電子メールを送信しないことで、ユーザへの通知性能を低減させることなく、サーバS、メールサーバ、ユーザ端末T、通信回線N等の負荷を低減することが可能になる。
【0045】
なお、サーバSが複数の監視装置1,…,1からのデータを受信し、監視装置1毎に送信する電子メールアドレスが異なる場合には、監視装置1毎に設定されたID番号と電子メールアドレスとを対応させて前記アドレス記憶部に記憶させておき、前記監視装置1から送信されたID番号データから対応する電子メールアドレスを検索し、該電子メールアドレス宛にメールを送信する。
このように、監視装置1が侵入者を検知すると、撮影した画像をサーバSに送信し、サーバSは、ユーザに電子メールを送信するので、ユーザは電子メールを受信することで侵入者が入ったことがわかり、警察や警備会社等に連絡をして被害を小さくすることができる。また、撮影された画像をユーザ端末Tを使用して確認することで、誤報であるか否かの判断もすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】侵入者監視装置のブロック図である。
【図2】侵入者監視装置の正面図である。
【図3】侵入者監視装置の斜視図である。
【図4】(a)は、LED照明部の光軸と照明領域を説明した説明図であり、(b)はカメラの撮影領域を説明した説明図である。
【図5】侵入者監視システムの概略を説明した説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 侵入者監視装置
2 センサ部
3 侵入者判断手段
4 照明手段
5 LED照明部
6 撮影手段,カメラ
7 送信手段
8 照明制御部
9 主電源部
10 補助電源部
11 補助電源供給手段
12 商用交流電源
13 ブザー
14 前面パネル
15 照明窓
16 非常用ボタン
17 状態表示窓
18 受信手段
19 画像データ記憶手段
20 通知手段
A,B,C,D,E 光軸
N 通信回線
S サーバ
T ユーザ端末
X 画角の中心軸
α 光軸角
β 画角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵入者を検知するためのセンサ部と、前記センサ部からの出力信号に基づいて侵入者の有無を判断する侵入者判断手段と、前記侵入者判断手段によって侵入者を検知した場合、少なくとも前記センサ部によって検知される領域の一部をほぼ一列状に配列した複数のLED照明部によって照明する照明手段と、前記照明手段によって照明された領域を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された画像データを少なくとも送信する送信手段とを1つの筐体に備え、
少なくとも前記センサ部の検出方向、前記照明手段の照射方向、前記撮影手段の撮影方向がほぼ同一方向を向くように該センサ部、照明手段、撮影手段を、前記筐体に配置し、かつ、前記複数のLED照明部のうちの少なくとも両側に位置するLED照明部の光軸が正面視において真正面に対して外側へ変位するように該複数のLED照明部を配置することを特徴とする侵入者監視装置。
【請求項2】
前記LED照明部の複数は左右方向に3つ以上ほぼ一列に配列されてなり、中央側に配置されたLED照明部の光軸と前記撮影手段の画角の中心軸とによってなす第1角度より、左端又は右端側に配置されたLED照明部の光軸と前記撮影手段の画角の中心軸とによってなす第2角度が大きくなるよう配置してなる請求項1記載の侵入者監視装置。
【請求項3】
前記照明手段が配置されるパネルは不透明かつほぼ平坦な板材よりなり、前記複数のLED照明部から照射される光を通過させるための照明窓の複数を前記板材に備え、前記中央側に配置されるLED照明部を除く残りのLED照明部の前記照明窓は左右方向が長径となる楕円形よりなる請求項2記載の侵入者監視装置。
【請求項4】
前記LED照明部は、ほぼ同一の照射角度、及びほぼ同一の照射光量である請求項1〜3のいずれかに記載の侵入者監視装置。
【請求項5】
前記侵入者判断手段による判断信号により、前記照明手段を連続又断続的に作動する照明制御部を前記照明手段に備えてなる請求項1〜4のいずれかに記載の侵入者監視装置。
【請求項6】
前記侵入者判断手段は、感度が異なる複数の検知レベルが設定され、選択された検知レベルに基づいて侵入者を検知してなる請求項1〜5のいずれかに記載の侵入者監視装置。
【請求項7】
前記筐体には、補助電源部と、商用交流電源からの電力供給が遮断されたことを検知し前記補助電源からの電力供給を開始する補助電源供給手段とを備えてなる請求項1〜6のいずれかに記載の侵入者監視装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の侵入者監視装置と、サーバと、ユーザ端末とが通信回線を介して通信可能となった侵入者監視システムであって、
前記サーバには、前記侵入者監視装置から送信された画像データを少なくとも受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された画像データを記憶する画像データ記憶手段と、予め記憶されている前記ユーザ端末の電子メールアドレスに画像データを受信したことを通知する通知手段とを備えることを特徴とする侵入者監視システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−171951(P2006−171951A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360994(P2004−360994)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(504435139)総合管財株式会社 (2)
【出願人】(393024614)東洋テック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】