説明

光センサーを備えたアクティブマトリックス型画素デバイス

基板に支持され、ポリシリコンTFT(10)及びアモルファスシリコン薄膜PINダイオード(12)を含む回路を有するアクティブマトリックス型画素デバイス、例えばEL表示装置、が提供される。ポリシリコンアイランドが形成された後に、アモルファスシリコン層がPINダイオード用に堆積されることにより、アモルファスシリコンは高温処理にさらされなくなる。TFTはドープされたソース/ドレイン領域(16a、17a)を有し、その一方(17a)はまた、ダイオードにN型又はP型のドープ領域を提供する。有利なことに、フォトダイオードに別個のドープ領域を設けることが不要になり、処理コストが削減される。反対導電型にドープされたソース/ドレイン領域(16b、17b)を有する第2のTFT(10b)が、ダイオードに他方のドープ領域(16b)を提供し、真性領域(25)が2つのTFT間にそれぞれのポリシリコンアイランドの各々に重なるように横方向に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリックス型エレクトロルミネッセントディスプレー等のアクティブマトリックス型画素デバイスであって、その画素回路に光センサーを組み込んだ画素デバイスに関する。また、本発明は、そのようなデバイス、特に、他を排除するものではないが、多結晶シリコンのチャネルを備えた薄膜トランジスタを有するアクティブマトリックス型画素デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光放出ディスプレー素子を用いるアクティブマトリックス型エレクトロルミネッセント(electroluminescent;EL)表示装置が広く知られている。ディスプレー素子は、例えばポリマー材料を用いた有機薄膜EL素子、又は、伝統的なIII-V族化合物半導体を用いた発光ダイオード(LED)を有する場合がある。最近の有機EL材料、特にポリマー材料の開発により、実際にこれらの材料が動画表示装置に使用可能であることが実証されている。これらの材料は、一般に、1対の電極間に挟まれた半導電性共役ポリマーの層を1層以上有する。なお、電極対の一方は透明であり、他方は正孔又は電子をポリマー層に注入するのに適した材料から成る。
【0003】
アクティブマトリックス型EL表示装置は、一般に、行及び列の行列状の画素を有する。各画素のディスプレー素子への電流供給は、一般に薄膜トランジスタ(TFT)を有するそれぞれの画素回路によって制御される。各画素回路内のTFTの少なくとも1つは、しばしば駆動トランジスタと参照されるが、ディスプレー素子を流れる電流を調整するために用いられる。ディスプレーの動作中に駆動トランジスタの電気特性が安定していることが重要である。非晶質(アモルファス)シリコンのチャネルを備えるTFTでは、連続電流を制御するように使用されるときに閾値ドリフト等の問題が生じることが知られている。このため、駆動トランジスタとして用いるためには、多結晶シリコン(ポリシリコン)のチャネルを備えるTFTが、アモルファスシリコンTFTより望ましい。しかしながら、あるTFTと別のTFTとの間のポリシリコンチャネルにおける構造ばらつきが、それらのTFT間の電気特性ばらつきを発生させる虞がある。
【0004】
ポリシリコンTFT特性の不均一性に関連する問題に加え、ELディスプレー素子には経時劣化の問題があることが知られている。例えば、配列内の特定画素の長期動作によって“焼き付き”が引き起こされ、同一信号で駆動されているにも拘わらず、結果的に出力強度が不均一になる。
【0005】
画素出力の不均一性を補正するために、個々の画素回路の各々に光センサーを組み込むことが知られている。各々の光センサーは、それぞれの画素からの光出力を測定する機能を果たし、上述の不均一性の問題を補償するように画素回路に接続される(例えば、特許文献1参照;その内容はここに取り込まれる)。図1は、上述のような光フィードバック機構を用いる画素回路の一例を示している。この画素回路が、同様の回路の配列内の何百という中の1つであることは認識されるところである。各画素は、組を成すデータ用導体2の1つと、組を成す選択用導体4の1つとの交点で規定される。組を成す導体2、4の各々は支持基板にわたって実質的に互いに直交する方向に走っている。電源ライン6がELディスプレー素子8に電流を供給するが、その電流は駆動トランジスタ10によって変調されている。画素回路はさらに光センサー12を有し、光センサー12は、ディスプレー素子8からの光出力を測定すなわち検出し、測定された光強度に従って駆動トランジスタ10を流れる電流を変調すなわち調整する機能を果たす。
【0006】
光センサー、例えばPINダイオード、はアモルファスシリコンで形成されたものの方がポリシリコンで形成されたものより好ましい。なぜなら、アモルファスシリコンの光吸収作用は可視光域の部分全体で数桁高いからである。アモルファスシリコンの光センサーは、故に、関連する補正回路において遙かに高い信号対ノイズ比をもたらす。
【0007】
上述の理由により、高品質アクティブマトリックス型EL表示装置の各画素回路は、ポリシリコンTFT及びアモルファスシリコン光センサーを有することが好ましい。図2は、図1に示される画素回路のTFT10及び光センサー12を通る部分でとった断面図である。図示されているTFT10は、隣接するドープされたポリシリコンのソース及びドレイン領域16及び17を備えるポリシリコンチャネル15を有するトップゲート型である。これらの領域はN型又はP型の何れでドープされてもよいが、しばしば、N型及びP型の双方のTFTが同一基板に形成される。ゲート絶縁膜18がチャネル15を金属製ゲート20から分離している。ゲート20のパターン形成を行う際、光センサーコンタクト22が同じ金属層を用いて同時に定められる。それから、n-i-p積層体が光センサーコンタクト上に形成され、縦型アモルファスシリコンPINダイオード12を与える。この積層体は、N型アモルファスシリコン層24、より厚い真性アモルファスシリコン層25、及びP型アモルファスシリコン層26を有する。これらの層は続けて堆積され、そしてアイランド状にパターン形成される。
【0008】
その後、アモルファスシリコンの積層体上に頂部ダイオードコンタクト28がインジウムスズ酸化物(ITO)等の透明導電体で形成される。これにより、上方にあるELディスプレー素子(図示せず)からの光100は、光センサーの真性層まで進むことができる。
【0009】
n-i-p積層体の形成に関連する1つの大きな問題は、P型層26を堆積プロセス中にドープすることが困難なことである。ドーピングは一般に気相ドーピングによって実行される。害となる堆積チャンバー汚染を避けるように気相ドーピングを行うため、専用の装置及びガスが必要である。また、例えばB等の必要なガスは取り扱いが特に危険なものとして分類されており、健康及び安全の観点からこのようなガスを作業場から排除しようとする圧力が高まっている。このことは、ポリシリコンTFTと共にアモルファスシリコン光センサーを有するアクティブマトリックス型EL表示装置の大量生産に対し、大きな障害となっている。
【0010】
基板に形成されたTFT及び薄膜ダイオード(TFD)を有する半導体デバイスが知られている(特許文献2参照)。半導体層が堆積及びパターン形成され、各々のTFT及びTFDのための別々の半導体アイランドを与える。TFTのアイランド、及びプレーナ構造で形成されるTFDのアイランドの双方にN型及びP型領域をドープするため、プラズマドーピングが用いられる。この手法でのTFD形成に関連する1つの問題は、ダイオードのアモルファスシリコン真性領域が、ポリシリコンTFTアイランドの処理に用いられる高温に耐えられなければならないことである。加熱されるべきトランジスタの積層体にアモルファスシリコンが近接しているとき、アモルファスシリコンを熱ダメージから保護することは困難である。特許文献2の装置におけるもう1つの問題は、一連の別々のアイランドがそれぞれのトランジスタ及びダイオードに対して形作られなければならないことである。
【特許文献1】国際公開第WO01/20591号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5589694号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、光センサーを備えたアクティブマトリックス型画素デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に従った製造方法は、ポリシリコンチャネル、及びドープされたソース及びドレイン領域を含む薄膜トランジスタ、並びにアモルファスシリコン真性領域で分離されたP型ドープ領域及びN型ドープ領域を有するPINダイオード、を有するアクティブマトリックス型画素デバイスの製造方法であって:
(a)複数のポリシリコンアイランドであり、各々が前記トランジスタの前記チャネル、並びに前記ソース及びドレイン領域をもたらすところの複数のポリシリコンアイランドを基板に形成する工程;及び
(b)前記PINダイオードの前記真性領域を設けるためのアモルファスシリコン層を、前記P型又はN型ドープ領域の1つをもたらす前記ポリシリコンアイランドの少なくとも1つの一部分に前記真性領域が重なり、且つ接触するように、堆積及びパターン形成する工程;を有する。ポリシリコンアイランドが処理された後にアモルファスシリコンを堆積することによって、アモルファスシリコンは有害な熱処理にさらされないため、より高品質のPINダイオードが製造される。
【0013】
好ましくは、前記ソース及びドレイン領域、並びに前記PINダイオードの前記P型又はN型ドープ領域の前記1つが、同一のポリシリコンアイランドによって設けられる。有利なことに、これにより、別個のドープされたコンタクトを形成する必要がなくなるため、処理工程数及び製造コストを削減することができる。
【0014】
本発明の他の態様に従った画素デバイスは、基板に支持された複数のポリシリコンアイランドを有するアクティブマトリックス型画素デバイスであって、前記アイランドの各々が薄膜トランジスタのチャネル、並びにドープされたソース及びドレイン領域をもたらしており、当該画素デバイスがさらに、アモルファスシリコン真性領域で分離されたP型ドープ領域及びN型ドープ領域を有するPINダイオードであり前記真性領域が前記P型又はN型ドープ領域の1つをもたらす前記ポリシリコンアイランドの少なくとも1つの一部分に重なり、且つ接触しているPINダイオードを有する。PINダイオードのアモルファスシリコン真性領域が、それとのコンタクトをもたらすドープされたP型及びN型領域の上に重なっている。これにより、アモルファスシリコンの堆積前にポリシリコンのドープ領域を処理することが可能になる。
【0015】
本発明の好適な一実施態様では、PINダイオードは、前記PINダイオードの前記P型及びN型ドープ領域の何れもが、それぞれ1つの前記ポリシリコンアイランドによって設けられている、ところの横型構造を有する。
【0016】
PINダイオードのドープ領域の1つ又は双方が、トランジスタのソース/ドレイン領域とポリシリコンアイランドを共有するようにして、これらのアイランドはトランジスタに共有される。有利なことに、P型及びN型の双方の薄膜トランジスタからのドープ領域が、PINダイオードの双方のドープ領域をもたらすように有効に使われ、それによって処理工程数がさらに削減される。なお、N型及びP型の双方の薄膜トランジスタを1枚の基板に設けることは一般的なことである。故に、薄膜PINフォトダイオードを実現するために必要となる特別な処理工程はほとんどない。加えて、透明導電ゲートが設けられてもよく、このゲートは、絶縁層によって当該ゲートから分離された前記PINダイオードの前記真性領域に上方で重ねられる。有利なことに、このゲートは、前記N型及びP型ドープ領域間の導電率を制御するために電圧を前記真性領域に印加する働きをし、実質的にゲート制御のPINダイオードをもたらす。
【0017】
本発明の他の好適な実施態様では、PINフォトダイオードは、N型アモルファスシリコン及びP型層が積層された縦型構造を有し、ドープされたコンタクトの1つが、基板に形成されたポリシリコンアイランドの1つによってもたらされる。例えば、トランジスタのソース及びドレイン領域がN型にドープされ、かつ、製造方法は:
(c)頂部PINダイオードコンタクトを形作るためのアルミニウム層を、前記PINダイオードの前記真性領域に堆積及びパターン形成する工程;及び
(d)アルミニウムイオンを下地の前記真性領域に拡散させて前記P型ドープ層を形成するために、前記頂部PINダイオードコンタクトをアニールする工程;
をさらに有する。ドーパント源としてアルミニウムを用いることにより、このような縦型構造においてP型ドープされたコンタクトを設けるために気相ドーピングを使用する必要性が除去される。有利なことには、これにより、気相ドーピングを使用することに付随する危険が排除され、それによって、このP型領域を形成するプロセスは従来の方法より安価かつ安全なものとなる。
【0018】
ディスプレー素子からの光が、例えば、ダイオードの真性領域に到達するようにするために、フォトダイオードの頂部コンタクトの部分は公知のエッチング技術を用いて除去され得る。本発明に係るアクティブマトリックス型画素デバイスの応用の一例に、光フィードバックを用いるアクティブマトリックス型EL表示装置がある。その光フィードバックにおいて、フォトダイオードは、該当するディスプレー素子からの光出力強度を測定し、被測定光強度に従って光出力を変調可能なように、当該フォトダイオードが接続されている駆動回路に信号を供給する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
全図面を通して、同一の又は同様の部分を示す構成要素には同一の参照符号を用いることとする。図面は概略図に過ぎず、一定の縮尺で描かれていないことは理解されるところである。特に、ある特定の寸法が誇張されている一方で、その他の寸法は縮小されている。
【0020】
PINダイオード積層体の真性領域に必要なアモルファスシリコンの堆積前に、薄膜トランジスタ(TFT)に必要な多結晶シリコン(ポリシリコン)アイランドを形成し得ることが、本発明者によって認識された。故に、アモルファスシリコンは、ポリシリコンアイランドの形成に必要な高温にさらされない。さらに、ポリシリコンTFTのドープされたソース及びドレインのコンタクト領域が、アモルファスシリコン光センサーの少なくとも1つのドープ領域の形成に利用可能であることも、本発明者によって認識された。このようにドープ領域を共有することにより、光センサーに別個のドープ領域を与えることが不要になる。ここでは、TFTと光センサーとの間で少なくとも1つのドープ領域が共有される構造例について述べる。
【0021】
図3は、基板14に配置された2つのTFT10a及び10bを示している。各々のTFTはポリシリコンチャネル領域15a及び15bを備えている。第1のTFT10aはN型ドープされたソース及びドレイン領域16a及び17aを有している。第2のトランジスタ10bはP型ドープされたソース及びドレイン領域16a及び17aを有している。それぞれの金属製のソース及びドレインコンタクトは、単純化のため、ここでは示されていない。
各TFTのチャネル、ソース及びドレイン領域を形作るポリシリコンアイランドは公知の手法で形成される。例えば、アモルファスシリコン層が基板に堆積され、ソース及びドレイン領域がイオン注入によって選択的にドープされる。これに続き、アモルファスシリコン層が、アイランド状にパターン形成され、例えばレーザアニールによって結晶化される。アイランドを形成するための手法が変化に富むことは当業者が認識するところである。例えば、パターン形成工程前にシリコンを結晶化させることが知られている。
【0022】
アクティブマトリックス配列は典型的に基板上に配置された何千ものTFTを有する。しかしながら、図3では単純化のために2つのみが示されている。本発明の第1実施形態に従って、1つのTFT10aのN型ドープのドレイン領域17a、及び隣のTFTのP型ドープのソース領域16bが、アモルファスシリコン光センサー12のためのドープされたコンタクトを定めるために用いられる。故に、図2の光センサーの別個のドープ領域が不要になる。この目的で用いられる隣接する2つのTFTは反対導電型、すなわち1つがN型で1つがP型である。
【0023】
光センサー12の真性領域を設けるため、真性アモルファスシリコン層が基板を覆うように堆積され、それぞれの対をなす隣接TFT間に位置する個々のアイランド状にパターン形成される。各アイランドは、一方のTFTのN型ドープ領域及び他方のTFTのP型ドープ領域の一部の上方にあり、かつ、それらと接触している。
【0024】
従って、光センサーとして機能することが可能なPINダイオードが、専用の気相ドーピング装置を必要とせずに基板に形作られる。有利なことに、この方法は簡易な、それ故に安価な、光センサーを組み込んだアクティブマトリックス型EL表示装置の製造方法を提供する。
【0025】
第1実施形態に従った方法により得られる配置は、図3に示されるように横型PINダイオードを有するが、これは、例えば図2の縦型配置に対して一定の効果をもたらす。第1に、確実に逆方向リーク電流を十分低い値にしてデバイスの効率的な動作を可能とするためには、縦型配置は比較的厚いアモルファスシリコン層、例えば0.25乃至1.50μmを必要とする。この厚さの層を設けることはかなり困難かつ時間を要するものである。対照的に、図3の光センサーのドープされたコンタクト領域間の間隔は隣接するTFT間の隔たりに等しい。この場合、より薄い真性層を用いても、逆方向リーク電流は許容される低いレベルに維持される。有利なことに、この真性層は堆積及びパターン形成によって簡易に形成されることができる。
【0026】
その後、例えばSiO2のゲート絶縁膜18が基板を覆うように堆積される。そして、例えばアルミニウムの金属層が、基板を覆うように堆積され、各TFTのゲート20a、20bを形作るようにパターン形成される。それから、透明な導電性のゲート30が同様の方法でn-i-pダイオードの真性領域の上方に形成される。ゲート30は、動作に際し、ドープされたコンタクト間の導電率をある程度制御できるように、ダイオードに電圧を印加することに役に立つ。例えば、隣の絶縁体からの電荷が、チャネルに蓄積してオフ電流に影響を及ぼす場合があるが、ゲート30に印加されたバイアス電圧はオフ電流を効果的に最小化することができる。ゲート30の透明性は、ディスプレー素子からの光100がそれを透過することを可能にするために必要である。
【0027】
光センサー上方のゲート30は随意的な特徴部であり、共有ドープ領域によってもたらされる効果を逸脱することなく、必要に応じて省略され得るものである
図4及び5を参照するに、縦型n-i-p積層体は、1つのポリシリコンTFTのドープ領域をN型領域に用いることによって設けられ得る。P型領域は、アルミニウムを真性アモルファスシリコンアイランド上に堆積し、さらに、アルミニウムがアモルファスシリコン内に拡散することによってそれをP型にドープするように、アニールすることによって形成される。それから、アルミニウムは下地のP型領域が露出されるようにパターン形成される。この第2実施形態に従った光センサーの製造について述べる。
【0028】
上述の実施形態と同様の手法にて、アモルファスシリコン層の堆積、パターン形成及びアニールによって、ポリシリコンアイランドが基板14に形成される。N型ソース及びドレイン領域16、17が、アモルファスシリコンのアニールに先立つイオン注入により定められる。そして、絶縁層が基板を覆うように堆積され、ゲート絶縁膜18が設けられる。そして、金属製のゲート電極20がチャネル15を覆うように形成される。保護層35が基板全体を覆うように堆積される。次に、保護層内にコンタクト窓が開けられ、N型ドレイン領域17を露出させる。そして、真性アモルファスシリコン層が、基板を覆うように堆積され、さらに、図4に示されるように、N型ドレイン領域17の部分に接するアイランド25’が形作られるようにパターン形成される。このアイランドは、縦型光センサーの本体を提供するものである。下方にあるTFTのソース及びドレイン領域16、17にコンタクトすることが可能なように、ビア群が保護層に形成される。
【0029】
そして、アルミニウム層が堆積及びパターン形成され、ソース及びドレインコンタクト36、37、並びに頂部の光センサーのコンタクト40が形作られる。このためには、代わりにアルミニウム合金が用いられ得る。次に、頂部光センサーコンタクト40が、例えば200℃で20分間の加熱によってアニールされる。このアニール処理により、アルミニウムイオンが下地の真性アイランド25’に拡散させられて領域をP型にドープする。さらに、アニールにより、ドープされたP型領域の少なくとも一部分が結晶化し、そのことによってドーピング効果が高められる。
【0030】
図5を参照して、その後、アルミニウムの頂部光センサーコンタクト40の一部がエッチングで除去されることによって、P型領域26の頂部表面の一部が露出される。これにより、上方のディスプレー素子から放出される光100に対してPIN積層体をさらすことが可能になる。
【0031】
この方法より、気相ドーパントを用いることなく、高度に効率的なP型コンタクト26を形成することができる。
【0032】
本発明の第3実施形態(図示せず)では、PINダイオードのアモルファスシリコン真性領域は、ゲート電極の上方に位置しており、絶縁層によってゲート電極から絶縁されている。これはダイオードに、基板側からの当該TFTとは関係が薄い周辺光が光電流を発生させることを防止する遮光を提供する。無用な周辺光は、該当するディスプレー素子からの光出力強度の測定を不正確なものにし得るので、このような配置は特に、ELディスプレーの光フィードバック回路に用いられるとき有益である。
【0033】
PINダイオードのN型にドープされたコンタクト、及び/又はP型にドープされたコンタクトは、本発明の本質を逸脱することなく、TFTの一部を形成しないポリシリコンアイランドによっても設けられ得る。
【0034】
要するに、基板に支持された回路であって、ポリシリコンTFT及びアモルファスシリコン薄膜PINダイオードを含む回路を有するアクティブマトリックス型画素デバイス、例えばEL表示措置、が提供される。PINダイオードのためのアモルファスシリコン層が堆積される前に、ポリシリコンアイランドが形成される。これにより、アモルファスシリコンが高温処理にさらされることが回避される。TFTはドープされたソース/ドレイン領域を有し、その内の1つがダイオードのN型又はP型のドープ領域をも提供する。有利なことに、別個のドープ領域をフォトダイオードに設けることが不要になり、それによって処理コストが削減される。反対導電型にドープされたソース/ドレイン領域を有する第2のTFTが、ダイオードの他方のドープ領域を提供する。真性領域が、それぞれのポリシリコンアイランドの各々に重なるように、2つのTFT間に横方向に配置される。
【0035】
この開示から、多数の他の変更及び変形が当業者に明らかになるであろう。そのような変更及び変形には、技術的に既に知られたその他の特徴、及び、ここで開示された特徴に代わって、あるいは加えて使用されるその他の特徴が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】回路部品の公知の配置を有する、アクティブマトリックス型EL表示装置の画素回路を示す回路図である。
【図2】図1に示される画素回路の部分断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に従った光センサーを有する画素回路の部分断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に従った光センサーを有する画素回路の、製造段階での部分断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に従った光センサーを有する画素回路の、図4と異なる製造段階での部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシリコンチャネル、及びドープされたソース及びドレイン領域を含む薄膜トランジスタ、並びにアモルファスシリコン真性領域で分離されたP型ドープ領域及びN型ドープ領域を有するPINダイオード、を有するアクティブマトリックス型画素デバイスの製造方法であって:
(a)複数のポリシリコンアイランドであり、各々が前記トランジスタの前記チャネル、並びに前記ソース及びドレイン領域をもたらすところの複数のポリシリコンアイランドを基板に形成する工程;及び
(b)前記PINダイオードの前記真性領域を設けるためのアモルファスシリコン層を、前記P型又はN型ドープ領域の1つをもたらす前記ポリシリコンアイランドの少なくとも1つの一部分に前記真性領域が重なり、且つ接触するように、堆積及びパターン形成する工程;
を有する製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、前記ソース及びドレイン領域、並びに前記PINダイオードの前記P型又はN型ドープ領域の前記1つが、同一のポリシリコンアイランドによって設けられる、ところの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法であって、前記ソース及びドレイン領域がN型にドープされ、かつ、当該方法が:
(c)頂部PINダイオードコンタクトを形作るためのアルミニウム層を、前記PINダイオードの前記真性領域に堆積及びパターン形成する工程;及び
(d)アルミニウムイオンを下地の前記真性領域に拡散させて前記P型ドープ層を形成するために、前記頂部PINダイオードコンタクトをアニールする工程;
をさらに有する、ところの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法であって:
(e)前記PINダイオードを入射光にさらすために、前記頂部PINダイオードコンタクトの一部をエッチングで除去する工程;
をさらに有する製造方法。
【請求項5】
基板に支持された複数のポリシリコンアイランドを有するアクティブマトリックス型画素デバイスであって、前記アイランドの各々が薄膜トランジスタのチャネル、並びにドープされたソース及びドレイン領域をもたらしており、当該画素デバイスがさらに、アモルファスシリコン真性領域で分離されたP型ドープ領域及びN型ドープ領域を有するPINダイオードであり前記真性領域が前記P型又はN型ドープ領域の1つをもたらす前記ポリシリコンアイランドの少なくとも1つの一部分に重なり、且つ接触しているPINダイオードを有する、ところの画素デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のアクティブマトリックス型画素デバイスであって、前記ソース及びドレイン領域、並びに前記PINダイオードの前記P型又はN型ドープ領域の前記1つが、同一のポリシリコンアイランドによって設けられている、ところの画素デバイス。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のアクティブマトリックス型画素デバイスであって、前記PINダイオードの前記P型及びN型ドープ領域の何れもが、それぞれ1つの前記ポリシリコンアイランドによって設けられている、ところの画素デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のアクティブマトリックス型画素デバイスであって、前記アイランドの1つによって設けられるドープされたソース及びドレイン領域であり前記トランジスタのそれらと反対導電型であるソース及びドレイン領域を備える第2薄膜トランジスタをさらに有し、前記PINダイオードの前記N型ドープ領域が一方のトランジスタのドープされたソース又はドレイン領域によってもたらされており、かつ前記PINダイオードの前記P型ドープ領域が他方のトランジスタのドープされたソース又はドレイン領域によってもたらされている、ところの画素デバイス。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のアクティブマトリックス型画素デバイスであって、透明導電性ゲートが、絶縁層によって当該ゲートから分離された前記PINダイオードの前記真性領域に上方で重なっており、かつ前記N型及びP型ドープ領域間の導電率を制御するために電圧を前記真性領域に印加する働きをする、ところの画素デバイス。
【請求項10】
請求項5乃至7の何れかに記載のアクティブマトリックス型画素デバイスであって、前記トランジスタが、チャネルを流れる電流を制御する働きをするゲート電極をさらに有し、かつ前記PINダイオードの前記アモルファスシリコン真性領域が、前記ゲート電極に上方で重なっている、ところの画素デバイス。
【請求項11】
請求項5乃至10の何れかに記載のアクティブマトリックス型EL表示装置であって、前記PINダイオードが、該当するディスプレー素子からの光出力の光強度を測定する働きをし、かつ測定された前記光強度に従って前記光出力を変調できるように該PINダイオードが接続された回路を駆動する信号を供給する、ところの表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−524197(P2007−524197A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544657(P2006−544657)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052778
【国際公開番号】WO2005/059971
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】