説明

内燃機関の燃料噴射制御装置

【課題】触媒暖機を実施する際のエミッション性能を高める。
【解決手段】エンジン10は、燃料を直接気筒内に噴射する燃料噴射弁25を備える筒内噴射式である。このエンジン10では、燃料噴射弁25による燃料噴射を圧縮行程で行うことにより成層燃焼が実施される。ECU40は、所定の暖機実行条件が成立した場合に、排気通路に設けられた触媒31の触媒温度を上昇させ、これにより触媒暖機の早期化を図る。特に、ECU40は、燃料噴射弁25に供給される燃料の圧力である噴射弁燃圧を可変制御し、触媒早期暖機を実施する場合に、触媒温度の昇温開始タイミングを含む所定の開始期間において噴射弁燃圧を燃料の微粒化促進のための所定の高燃圧で制御する高燃圧制御を実施し、その後、噴射弁燃圧を所定の高燃圧よりも低い所定の低燃圧で制御する低燃圧制御に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものであり、詳しくは、燃料噴射弁から気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射式の内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射式の内燃機関が知られている。この筒内噴射式の内燃機関では、主に吸気行程で燃料噴射することにより燃料と空気との均一な混合気を形成して燃焼を行わせる均質燃焼と、圧縮行程で燃料噴射することにより燃料の濃い層と薄い層とを形成して燃焼を行わせる成層燃焼とが内燃機関の運転状態等に応じて適宜実施される。
【0003】
また、例えば内燃機関の冷間時において、排ガス温度を速やかに上昇させ、これにより内燃機関の排気管に設けられた排気浄化触媒の早期暖機を図ることが提案されている(例えば特許文献1など)。特許文献1には、排ガス温度の昇温が要求された場合に、圧縮上死点を跨ぐ期間に燃料噴射を実施することで圧縮上死点後まで点火時期を遅角可能とし、これにより排ガス温度を上昇させる上死点噴射運転モードを実行することが開示されている。また、この装置では、排ガス温度の昇温要求に伴い上死点噴射運転モードを実行するとき、燃料噴射弁へ供給される燃圧を、圧縮行程中に燃料を噴射する場合(成層希薄燃焼時)よりも低く補正するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−177181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように触媒暖機の開始当初から燃料噴射弁へ供給される燃圧を低圧側に補正した場合、触媒暖機の開始当初において噴射燃料の微粒化を好適に行うことができず、これによりエミッションが悪化することが懸念される。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、筒内噴射式の内燃機関において触媒暖機を実施する際のエミッション性能を高めることができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0008】
本発明は、燃料を直接気筒内に噴射する燃料噴射弁を備え、前記燃料噴射弁による燃料噴射を圧縮行程で行うことにより成層燃焼が実施される筒内噴射式の内燃機関に適用される内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。特に、請求項1に記載の発明は、所定の暖機実行条件が成立した場合に、排気通路に設けられた排気浄化触媒の触媒温度を上昇させる昇温手段と、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力である噴射弁燃圧を可変制御する燃圧可変手段と、前記昇温手段により前記触媒温度を上昇させる場合に、その昇温開始タイミングを含む所定の開始期間において前記噴射弁燃圧を前記燃料の微粒化促進のための所定の高燃圧で制御する高燃圧制御を実施し、その後、前記噴射弁燃圧を前記所定の高燃圧よりも低い所定の低燃圧で制御する低燃圧制御に切り替える燃圧切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
内燃機関において、例えば触媒暖機を図るべく、排ガス温度を上昇させるための燃焼制御を行うことがある。この場合、エミッションの悪化を極力抑制しつつ触媒暖機をできるだけ速やかに完了させるのが望ましい。ここで、本発明者は、直噴式の内燃機関において圧縮行程噴射を行う場合に、燃料噴射弁に供給される燃料の燃圧(噴射弁燃圧)の相違に対する影響が、触媒暖機の進行程度に応じて変化することに着目し、これを利用することにより、触媒暖機に際し更なるエミッション性能の向上を実現できることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明では、内燃機関の始動時などの冷間状態では、気筒内温度が低いため燃料の微粒化によるエミッション改善の効果が十分に得られること、及び排ガス温度が低いため排気管内での未燃燃料の後燃えがさほど行われないことを考慮し、触媒暖機開始後の初期の段階では噴射弁燃圧を高圧側で制御する。
【0011】
また一方で、燃圧大のまま燃料噴射を継続すると、噴射燃料が液滴のまま筒内に付着するウェットの発生が促進されエミッション性能の低下を招くおそれがあると考えられる。また、本発明者は、噴射弁燃圧と排ガス温度とには相関があり、噴射弁燃圧が低いほど排ガス昇温を促進できるという知見を得た。更には、排ガス温度が上昇すると、排気管内での未燃燃料の後燃えが次第に促進され、結果として燃料微粒化の良し悪しの相違によるエミッションの相違がさほど大きくなくなると考えられる。
【0012】
これに鑑み、本発明では、触媒暖機の初期の段階で噴射弁燃圧を高圧側で制御した後、今度は低圧側の制御に切り替える。これにより、触媒暖機に際し、燃料の微粒化促進によるエミッション向上とウェットによるエミッション低下とのバランスを好適に保つことができ、ひいては触媒暖機時におけるエミッション性能を高めることができる。
【0013】
噴射弁燃圧を高圧側から低圧側に切り替える際、触媒温度に基づいて実施したり(請求項2)、あるいは内燃機関の気筒内温度に基づいて実施したり(請求項3)するとよい。触媒温度や気筒内温度に応じて、噴射弁燃圧の高低の違いによるエミッションへの影響が相違するからである。これらの構成の場合、例えば、触媒温度や気筒内温度を例えば温度センサ等により直接検出し、その検出値に基づいて高燃圧制御と低燃圧制御との切り替えを実施する。あるいは、触媒温度や気筒内温度に相関するパラメータを用いて触媒温度等を推定し、その推定結果に基づいて上記切り替えを実施してもよい。相関パラメータとして具体的には、例えば、排ガスの昇温開始からの燃焼サイクル数やその開始からの経過時間、排ガス温度等を用いる。
【0014】
高燃圧制御から低燃圧制御へ切り替える場合、請求項4に記載の発明のように、前記噴射弁燃圧を前記所定の高燃圧から前記所定の低燃圧に低下させる場合の燃圧低下率を前記触媒温度及び前記内燃機関の気筒内温度の少なくともいずれかに基づいて可変にしてもよい。具体的には、触媒温度や気筒内温度が高いほど、又はその温度上昇が急速であるほど、速やかに低燃圧制御に移行させるべく燃圧低下率を大きくするとよい。
【0015】
本発明者の知見によれば、噴射弁燃圧と排ガス温度とには相関があり、噴射弁燃圧が低いほど排ガス温度が増加する。その反面、噴射弁燃圧を低下させると燃焼安定性の低下を招くことが考えられる。その点に鑑み、請求項5に記載の発明では、前記内燃機関の燃焼状態を検出する燃焼検出手段を備え、前記高燃圧制御から前記低燃圧制御へ切り替えるのに際し、前記噴射弁燃圧を燃圧低下方向に徐々に変化させ、その燃圧低下方向への変化途中において前記燃焼検出手段により検出された燃焼状態が所定の燃焼悪化状態になった場合に、該噴射弁燃圧を前記燃圧低下方向へ変化させるのを停止する。この場合、請求項6に記載の発明のように、前記高燃圧制御から前記低燃圧制御へ切り替えるのに際し、前記噴射弁燃圧の目標値を燃圧低下方向に徐々に変更し、その目標値の燃圧低下方向への変更途中において前記燃焼検出手段により検出された燃焼状態が所定の燃焼悪化状態になった場合に、該目標値を前記燃圧低下方向へ変更するのを停止してもよい。これらの構成によれば、低燃圧制御に際し、燃焼安定性を確保できる範囲内で噴射弁燃圧をできるだけ低下させることができ、ひいては排ガス温度をより速やかに上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】エンジン制御システムの全体概略を示す構成図。
【図2】燃圧と排ガス中のHC量との関係を示す図。
【図3】圧縮行程噴射における噴射パルス幅と排ガス温度との関係を示す図。
【図4】触媒早期暖機処理の処理手順を示すフローチャート。
【図5】燃焼サイクル数と目標燃圧との関係を示すマップの一例を示す図。
【図6】触媒早期暖機モードにおける噴射弁燃圧の推移を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、内燃機関である筒内噴射式の車載多気筒4サイクルガソリンエンジンを対象にエンジン制御システムを構築するものとしている。当該制御システムにおいては、電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として燃料噴射量の制御や点火時期の制御等を実施する。このエンジン制御システムの全体概略構成図を図1に示す。
【0018】
図1に示すエンジン10において、吸気管11の最上流部にはエアクリーナ12が設けられ、エアクリーナ12の下流側には吸入空気量を検出するためのエアフロメータ13が設けられている。エアフロメータ13の下流側には、DCモータ等のスロットルアクチュエータ15によって開度調節されるスロットルバルブ14が設けられている。スロットルバルブ14の開度(スロットル開度)は、スロットルアクチュエータ15に内蔵されたスロットル開度センサにより検出される。スロットルバルブ14の下流側にはサージタンク16が設けられ、このサージタンク16には、吸気管内圧力を検出するための吸気管内圧力センサ17が設けられている。また、サージタンク16には、エンジン10の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド18が接続されており、吸気マニホールド18において各気筒の吸気ポートに接続されている。
【0019】
エンジン10の吸気ポート及び排気ポートには、それぞれ吸気バルブ21及び排気バルブ22が設けられている。この吸気バルブ21の開動作によりサージタンク16内の空気が燃焼室23内に導入され、排気バルブ22の開動作により燃焼後の排ガスが排気管24に排出される。
【0020】
エンジン10のシリンダヘッドにおいて、燃焼室23の中央上方には、燃焼室23に燃料を直接供給するセンター噴射式の燃料噴射弁25が取り付けられている。燃料噴射弁25は、燃料配管26を介して燃料タンク(図示略)に接続されている。燃料タンク内の燃料は、図示しない電磁駆動式の低圧ポンプにより汲み上げられた後、機械駆動式の高圧ポンプ27により加圧される。この高圧燃料は、高圧ポンプ27からデリバリパイプ28に圧送され、デリバリパイプ28から各気筒の燃料噴射弁25に供給された後、燃料噴射弁25により燃焼室23の中央上方からピストン上面に向けて噴射される。
【0021】
また、エンジン10のシリンダヘッドには点火プラグ29が取り付けられている。点火プラグ29には、点火コイル等よりなる点火装置(図示略)を通じて、所望とする点火時期において高電圧が印加される。この高電圧の印加により、各点火プラグ29の対向電極間に火花放電が発生し、燃焼室23内の混合気が着火され燃焼に供される。
【0022】
排気管24には、排ガス中のCO,HC,NOx等を浄化するための三元触媒等の触媒31が設けられている。また、触媒31の上流側には、排ガスを検出対象として混合気の空燃比(酸素濃度)を検出するためのO2センサ32が設けられている。
【0023】
その他、エンジン10には、冷却水温を検出する冷却水温センサ33や、エンジンの所定クランク角毎に(例えば10°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するクランク角センサ34、デリバリパイプ28内の燃料圧力を検出する燃圧センサ35などが取り付けられている。
【0024】
ECU40は、周知の通りCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)41を主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン10の各種制御を実施する。すなわち、ECU40のマイコン41は、前述した各種センサなどから各々検出信号を入力し、それらの各種検出信号に基づいて燃料噴射量や点火時期等を演算して燃料噴射弁25や点火装置の駆動等を制御する。
【0025】
エンジン10の燃焼形態として本システムでは、吸気行程で燃料噴射を行う吸気行程噴射により燃焼室23内で燃料と空気とを均一に混合し空燃比が均一な(例えば理論空燃比の)混合気に対して点火を行う均質燃焼と、圧縮行程で燃料噴射を行う圧縮行程噴射により燃焼室23内の全体としては空燃比リーンでありながら点火プラグ29近傍を部分的に空燃比リッチにして点火を行う成層燃焼とをエンジン運転状態に応じて使い分けている。
【0026】
また、本システムでは、都度のエンジン運転状態に応じて、1燃焼サイクル(吸気行程→圧縮行程→膨張行程→排気行程)ごとに燃料噴射を1回行う1回噴射モードと、1燃焼サイクル内の異なるタイミングで燃料噴射を複数回(本実施形態では2回)行う分割噴射モードとを切り替えている。
【0027】
分割噴射について本システムでは、例えば触媒31の早期暖機を行う場合に実施しており、具体的には、所定の実行条件の成立時に触媒暖機性能を向上させるべく、1燃焼サイクルにおいて吸気行程と圧縮行程とにそれぞれ1回ずつ燃料を噴射する触媒早期暖機モードを実施する。より詳細には、吸気行程の所定時期(例えば圧縮上死点前320°CA)を噴射開始タイミングとして吸気行程で初回の燃料噴射を実施し、その後、圧縮行程の所定時期(例えば圧縮上死点後10〜20°CA)を噴射終了タイミングとして圧縮上死点を跨ぐ期間において2回目の燃料噴射を実施する。この分割噴射により点火時期を大幅に遅角させることが可能となり、その結果、排ガス温度が速やかに上昇され、触媒31の早期暖機が可能になる。点火時期について具体的には、2回目の噴射終了タイミングとほぼ同時か又はその噴射終了の直後のタイミングで点火を実施している。
【0028】
ここで、触媒暖機前では排気浄化性能が暖機後に比べて低く、HC等の触媒31への排出を極力抑制する必要がある。この点について本発明者は鋭意検討し、その結果、燃料噴射弁25に供給される燃料の燃圧の相違に対する影響が触媒暖機の進行程度によって異なることに着目し、この事象を利用することにより、触媒暖機に際し更なるエミッション性能の向上を図ることができることを見出した。
【0029】
以下、本システムの燃圧制御について図2及び図3を用いて詳述する。図2は、燃圧と排ガス中のHC量との関係を示し、図3は、圧縮行程噴射における噴射パルス幅(噴射時間)と排ガス温度との関係を示す。なお、図2及び図3は、触媒早期暖機モードによる燃焼制御、すなわち吸気行程及び圧縮行程での分割噴射でのデータを示している。
【0030】
燃料噴射弁25に供給される燃料の圧力(噴射弁燃圧)とエンジン10の排ガスに含まれるHC量とには相関があり、具体的には、噴射弁燃圧が高いほど噴射燃料の微粒化が促進される結果、図2に示すように、噴射弁燃圧が高いほど排ガス中のHC量が少なくなる傾向にある。特に、触媒暖機の開始直後(例えば、エンジン10の始動直後)では気筒内温度が低いため、燃圧を大きくすることによる燃料の微粒化による効果がより顕著に現れやすい。また、暖機開始直後では排ガス温度が低く、触媒31において排ガス中の未燃燃料(HC)の後燃えが行われにくい。そのため、未燃燃料の排出をできるだけ抑える必要があり、また、未燃燃料の後燃えによる排ガス昇温の効果も小さい。よって、触媒暖機の開始当初においてエミッション性能の向上を図るには、噴射燃料の微粒化を高めることでHCの排出を極力抑制する必要性が高いと考えられる。
【0031】
また、本発明者の検討結果によれば、図3に示すように、噴射弁燃圧と排ガス温度とには相関があり、噴射弁燃圧が低いほど排ガス温度が上昇することが分かった。この理由としては種々考えられるが、例えば、燃圧が低い方が、エンジン10からある大きさの出力を出そうとする際に必要となる空気量が多くなり、その結果、燃焼エネルギが大きくなることがその一因として推測される。
【0032】
また、触媒暖機が開始されてからある程度経過した後では、触媒暖機が進行するにつれて排ガス温度が高くなり、触媒31において未燃燃料の後燃えが促進される。その結果、触媒暖機の進行に伴い、燃料微粒化の良し悪しの相違によるエミッションの相違がさほど大きくなくなる、すなわち触媒暖機の後期では、燃料の微粒化促進による効果が、触媒暖機の開始当初に比べて小さいと考えられる。さらに、燃圧が高いほど燃料噴射弁25から噴射された燃料の到達距離、すなわちペネトレーションが大きくなることが考えられる。そのため、噴射弁燃圧を高圧にしたまま燃料噴射を継続した場合には、噴射燃料が液滴のまま気筒内に付着するウェットによりエミッションが悪化することが懸念される。よって、微粒化促進によるエミッション向上とウェットによるエミッション悪化とのバランスを考慮すると、必要以上に長い期間、燃圧を高く維持するのは好ましくないと考えられる。以上のことから、触媒暖機の実施期間の後期では、噴射弁燃圧を、燃焼安定性を維持可能な範囲内でできるだけ低くすることで、HC排出を極力抑制しつつ排ガス温度を上昇させるのが好ましいと考えられる。
【0033】
そこで、本実施形態では、触媒早期暖機モードの実行により触媒暖機を行う場合、触媒暖機の開始タイミングを含む所定の開始期間では、燃料噴射弁25に供給される燃料の圧力(噴射弁燃圧)を燃料の微粒化促進のための所定の高燃圧で制御する高燃圧制御を実施する。また、同開始期間の経過後では、噴射弁燃圧を上記所定の高燃圧よりも低い燃圧で制御する低燃圧制御に切り替え、噴射弁燃圧をできるだけ低圧側で制御する。これにより、触媒暖機を速やかに実施しつつ、触媒暖機中におけるエミッション性能の向上を図るようにしている。
【0034】
噴射弁燃圧における高燃圧制御から低燃圧制御への切り替えに際し、本システムでは、
(a)触媒暖機の実行開始からの燃焼サイクル数が判定値以上になったこと
(b)触媒暖機の実行開始からの経過時間が判定値以上になったこと
(c)エンジン10の気筒内温度が判定値以上になったこと
(d)排気温度が判定値以上になったこと
(e)触媒温度が判定値以上になったこと
の各要件のうち少なくともいずれかを満たす場合にその切り替えを実施することとしている。
【0035】
すなわち、触媒暖機の開始当初では気筒内温度が未だ低く、噴射弁燃圧を高くすることにより燃料の微粒化による効果がより顕著に現れる。また、この期間では排ガス温度についても低く、未燃燃料の後燃え効果をさほど得ることができない。したがって、触媒暖機の開始当初、すなわち上記(a)〜(e)の要件が成立する前では、噴射弁燃圧を高くして燃料の微粒化促進を図る。
【0036】
ところが、触媒暖機の実行開始からの燃焼サイクル数が判定値に達した場合(上記(a)の場合)や、その実行開始からの経過時間が判定値に達した場合(上記(b)の場合)等には、エンジン10の燃焼により気筒内温度や排ガス温度が高くなり、かかる場合には、燃圧の高低の違いによる燃料の微粒化効果の相違がさほど現れない。また、燃圧が低いほど排ガス温度を早期に上昇できること、及び燃圧大によりウェットが多くなることを考慮すると、気筒内温度や排ガス温度が高くなった状況、すなわち上記(a)〜(e)の要件が成立する状況では、燃圧を高くするよりも低くした方が、エミッション向上や排ガスの昇温を適切に図ることが可能と考えられる。よって、本システムでは、上記(a)〜(e)の少なくともいずれかの要件が成立する場合に噴射弁燃圧の高圧化を停止し、低燃圧制御に切り替えることとしている。
【0037】
なお、高燃圧制御から低燃圧制御への切り替えについては、上記(a)〜(e)の要件の全てを満たす場合や、(a)〜(e)のうちの一部の特定要件を満たす場合に行うものとしてもよい。
【0038】
図4は、本システムにおける触媒早期暖機処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、ECU40のマイコン41により所定周期毎に実行される。なお、以下では、噴射弁燃圧における高燃圧制御から低燃圧制御への切り替えを、触媒早期暖機モードの実行開始からの燃焼サイクル数が判定値以上となったとき(上記(a)が成立するとき)に実施する場合を一例に挙げて説明する。
【0039】
図4において、まずステップS101では、暖機実行中フラグFcatに値1がセットされているか否かを判定する。暖機実行中フラグFcatは、触媒早期暖機モードにより触媒31の暖機を実行中であることを示すフラグであり、触媒暖機実行中の場合に値1がセットされる(初期値=0)。
【0040】
暖機実行中フラグFcatに値1がセットされていない場合にはステップS102へ進み、エンジン始動後における所定の始動後期間であるか否かを判定する。ここでは、エンジン10の初回の燃焼(初爆)による吹き上がり後においてエンジン回転速度が判定値に達した時点を上記始動後期間の開始タイミングとし、その開始タイミングから所定時間が経過した時点を同期間の終了タイミングとしている。
【0041】
始動後期間内でない場合には、ステップS103へ進み、燃料噴射弁25に供給される燃料の圧力(噴射弁燃圧)について通常制御を実行する。具体的には、例えば、エンジン10の始動直後(始動後期間の経過前)では、燃料の微粒化促進を図るべく始動時燃圧Pst(例えば10MPa)を目標燃圧として設定し、その目標燃圧に実燃圧が一致するよう噴射弁燃圧としてデリバリパイプ28の燃圧を制御する。また、始動後期間の経過後であれば、例えばエンジン回転速度とエンジン負荷とをパラメータとする基本燃圧マップを用いて目標燃圧を所定範囲内(例えば2〜10MPaの範囲内)で設定し、その目標燃圧に実燃圧が一致するよう噴射弁燃圧(デリバリパイプ28の燃圧)を制御する。
【0042】
エンジン10の始動後期間内である場合には、ステップS104へ進み、触媒早期暖機モードにより触媒暖機を実行するための条件(暖機実行条件)が成立しているか否かを判定する。本実施形態では、触媒温度が判定値以下であることを暖機実行条件としており、同条件が成立している場合、すなわち触媒温度が判定値以下の場合にステップS105へ進み、触媒早期暖機モードとして、吸気行程及び圧縮行程での分割噴射による燃焼制御の実行を開始する。また併せて、暖機実行中フラグFcatに値1をセットする。
【0043】
なお、触媒温度については、例えば触媒31の上流側に温度センサを設けておき、その温度センサの出力値により検出する。あるいは、冷却水温センサ33により検出されるエンジン冷却水温等から触媒温度を推定してもよい。
【0044】
さて、ステップS106では、触媒早期暖機モードの実行開始からの燃焼サイクル数をカウントし、ステップS107において、そのサイクル数が判定値Xth未満か否かを判定する。そして、燃焼サイクル数が判定値Xth未満の場合にはステップS108へ進み、噴射弁燃圧を高圧側で制御する高燃圧制御を実施する。より具体的には、燃料の微粒化促進を図るための所定の高燃圧として初期燃圧Pmax(例えば10MPa)を目標燃圧として設定し、その目標燃圧に実燃圧が一致するよう噴射弁燃圧としてデリバリパイプ28の燃圧を制御する。
【0045】
このとき、本実施形態では、初期燃圧Pmaxを始動時燃圧Pstと同じ圧力値としているが、初期燃圧Pmaxと始動時燃圧Pstとは異なる圧力値であってもよく、例えば初期燃圧Pmaxを始動時燃圧Pstよりも大きくしてもよい。
【0046】
一方、触媒早期暖機モードの実行開始からの経過に伴い燃焼サイクル数が次第に大きくなり、判定値Xth以上となった場合には、ステップS107で否定判定されてステップS109へ進み、噴射弁燃圧を低圧側で制御する低燃圧制御に切り替える。低燃圧制御について本実施形態では、噴射弁燃圧の目標値が燃焼サイクル数に対応付けて予めマップとして記憶してある。このマップは、燃圧の通常制御で用いる基本燃圧マップとは別に定められており、これを用いることにより都度の燃焼サイクル数に応じて目標燃圧が設定されるようになっている。
【0047】
図5は、燃焼サイクル数と目標燃圧との関係を示すマップの一例を示す図である。図5によれば、燃焼サイクル数が大きくなるにつれて、目標燃圧が初期燃圧Pmaxから次第に小さくなり、やがて最終燃圧Pmin(例えば6MPa)で一定になっている。
【0048】
なお、本実施形態では、例えば、燃料噴射による燃圧低下と高圧ポンプ27からの燃料供給による燃圧上昇とを調整することにより、噴射弁燃圧(デリバリパイプ28内の燃圧)を初期燃圧Pmaxから最終燃圧Pminまで低下させる。
【0049】
図4の説明に戻り、ステップS110では、触媒早期暖機モードの実行中において触媒31が活性状態になったか否かを判定し、触媒31が活性状態になった場合にはステップS103へ進み、基本燃圧マップにより噴射弁燃圧を制御する通常制御を実施する。なお、触媒31の活性状態については、例えばセンサ等により検出される触媒温度が所定の活性温度に達したか否かにより判定する。また、このステップでは、暖機実行中フラグFcatを値0にリセットするとともに、燃焼サイクル数のカウントを値0にリセットする。
【0050】
図6は、触媒早期暖機モードの実行時における噴射弁燃圧の推移を示すタイムチャートである。図6中、(a)はエンジン回転速度の推移を示し、(b)は噴射弁燃圧の推移を示し、(c)は触媒温度の推移を示し、(d)は触媒早期暖機モード開始からの燃焼サイクル数の推移を示す。なお、(b)中の実線は燃圧センサ35により検出される実燃圧Pacを示し、一点鎖線は目標燃圧Ptgを示す。また、図6では、エンジン10の冷間始動時を想定している。
【0051】
図6において、タイミングt10でイグニッションオンされ、その後、スタータによるクランキング及び燃焼制御によりエンジン10の初爆が行われると、その初爆以降のタイミングt11では、エンジン吹き上がり後のエンジン回転速度が判定値Nethに達する。このタイミングt10〜11までの期間T1では、エンジン10の暖機が未だ完了しておらず、触媒温度が活性温度よりも低いため、燃料噴射弁25に供給される燃料の圧力(噴射弁燃圧)、すなわちデリバリパイプ28内の燃圧の目標値Ptgが始動時燃圧Pst(本実施形態ではPst=Pmax)に設定される。(始動モード)。これにより、実燃圧Pacが次第に上昇する。
【0052】
タイミングt11では、触媒温度が判定値Tcth以下である場合、触媒早期暖機モードによる燃焼制御が開始されるとともに、燃焼サイクル数のカウントが開始される。このモードでは、まず、燃料噴射弁25の目標燃圧Ptgが初期燃圧Pmaxに設定される(高燃圧制御)。これにより、実燃圧Pacが初期燃圧Pmaxまで上昇し、その値で保持される。
【0053】
そして、触媒早期暖機モードに移行してからの燃焼サイクル数が判定値Xthに達すると、そのタイミングt12で、噴射弁燃圧の制御態様が高燃圧制御から低燃圧制御に切り替えられる。これにより、燃焼サイクル数の増加に伴い目標燃圧Ptgが徐々に低下し、やがて最終燃圧Pminで一定に保持される。また、この目標燃圧Ptgの変更に合わせて実燃圧Pacが徐々に減少して最終燃圧Pminとなる。
【0054】
触媒早期暖機モードでの燃焼制御により排ガス温度が上昇し、その昇温に伴い触媒温度が速やかに上昇する。そして、触媒温度が活性温度Tacに達すると、そのタイミングt13で触媒早期暖機モードが終了され、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づき噴射弁燃圧が制御される通常時の制御に移行される。この移行時では、燃圧が徐変されるように目標燃圧Ptgを設定しており、これにより噴射弁燃圧の急変が抑制されるようにしている。
【0055】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0056】
触媒暖機を実施する場合、触媒暖機の初期の段階では噴射弁燃圧を高圧側で制御し、その後、低圧側の制御に切り替える構成としたため、触媒暖機に際し、燃料の微粒化促進によるエミッション向上とウェットによるエミッション低下とのバランスを好適に保つことができ、ひいてはエミッション性能を高めることができる。
【0057】
また、高燃圧制御から低燃圧制御への切り替えを、触媒温度や気筒内温度に基づいて実施する構成としたため、具体的には、上記(a)〜(e)の要件の少なくともいずれかが成立した場合に実施する構成としたため、噴射弁燃圧の高低の違いによるエミッションへの影響の相違を適切に反映させることができる。これにより、燃料の微粒化促進によるエミッション向上とウェットによるエミッション低下とのバランスを一層良好にすることができ、エミッション性能を高める上で好適である。
【0058】
高燃圧制御から低燃圧制御へ切り替える際、目標燃圧を徐々に低下させる構成としたため、その切り替え時において噴射弁燃圧が低圧側に急変するのを好適に抑制できる。
【0059】
触媒早期暖機モードから通常制御に移行する際に、目標燃圧を最終燃圧Pminから通常制御の目標値に徐変させる構成としたため、通常制御への移行時において噴射弁燃圧が急変するのを抑制できる。
【0060】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、高燃圧制御から低燃圧制御に切り替える場合に目標燃圧を徐々に低下させる構成としたが、これを変更し、目標燃圧をステップ的に変化させる構成とする。具体的には、例えば、同切り替えタイミングにおいて、目標燃圧を初期燃圧Pmaxから最終燃圧Pminに一気に変更するか、あるいは初期燃圧Pmaxから最終燃圧Pminに複数回に分けてステップ的に変更する。この場合にも、実燃圧は燃料噴射弁25の噴射量に応じて徐々に低下されるため、高燃圧制御から低燃圧制御への切り替え時において燃圧が急変するのを抑制することができる。
【0062】
・高燃圧制御から低燃圧制御への切り替え時において目標燃圧を徐々に低下させる場合に、その目標燃圧の低下率(燃圧低下率)を可変にする。このとき、触媒温度や気筒内温度に基づいて燃圧低下率を可変にするとよい。具体的には、触媒早期暖機モードの開始後において、触媒温度の上昇が緩慢であるほど又は気筒内温度の上昇が緩慢であるほど燃圧低下率を小さくし、燃圧が緩やかに減少するようにする。なお、このとき、触媒温度や気筒内温度を直接検出し、その検出値を用いて燃圧低下率を可変にしてもよいが、エンジン水温や排ガス温度等といった触媒温度や気筒内温度に相関するパラメータを用い、これらを用いて燃圧低下率を可変にしてもよい。
【0063】
・エンジン10の燃焼状態を検出する手段(燃焼検出手段)を設けておき、噴射弁燃圧を初期燃圧Pmaxから徐々に低下させる場合に、同燃焼検出手段により検出されたエンジン10の燃焼状態が所定の燃焼悪化状態になったことが検出された時点で、その噴射弁燃圧を更に低下させるのを停止する構成とする。すなわち、噴射弁燃圧と排ガス温度とには相関があり、噴射弁燃圧を低くすることにより排ガス温度をできるだけ速やかに上昇できる反面、噴射弁燃圧を低下させると燃焼安定性が悪化することが考えられる。そこで、本構成では、噴射弁燃圧を低下させる場合の燃圧下限値をエンジン10の燃焼状態に応じて定めることとしている。この構成によれば、燃焼安定性を確保しつつ、排ガス温度をできるだけ速やかに上昇させることができる。
【0064】
具体的には、噴射弁燃圧を徐々に低下させる場合に、その燃圧低下中のエンジン燃焼状態を検出する。そして、その燃焼状態が低下して所定の燃焼悪化状態になったことが検出された場合に、その時点で燃圧の更なる低下を停止する。このとき、エンジン燃焼状態に応じて目標燃圧を都度設定し、その設定した目標燃圧で実燃圧を制御する構成としてもよい。この場合、エンジン10の燃焼状態が低下して所定状態になったことが検出されるまで、目標燃圧を初期燃圧Pmaxから低圧方向へ変更し続け、燃焼状態が所定の燃焼悪化状態となった場合にその値で目標燃圧を維持する。なお、所定の燃焼悪化状態とは、燃圧を徐々に低下させる場合にエンジン燃焼状態として許容される状態の下限であり、例えば、ある一定の燃焼状態であってもよいし、燃圧低下の開始時(燃圧制御の切り替え時)でのエンジン燃焼状態を基準にして許容される燃焼悪化の度合いとしてもよい。
【0065】
ここで、エンジン10の燃焼状態は、例えば、気筒内圧力センサの出力値に基づき算出するか又はエンジン運転状態に基づき推定した筒内圧力(燃焼圧力)の所定時間あたりの変動量を算出し、その算出した変動量に基づいて検出する。このとき、圧力変動量が大きいほど燃焼状態が悪化しているものと判断する。あるいは、クランク角センサ34により検出したエンジン回転速度の所定周期あたりの変動量を算出し、その変動量に基づいてエンジン10の燃焼状態を検出したり、燃焼イオン電流を点火プラグ29等を介して検出し、その燃焼イオン電流の変動量に基づいてエンジン10の燃焼状態を検出したりしてもよい。また、気筒内温度に基づいて簡易に検出してもよい。燃焼安定性は気筒内温度やこれに相関するパラメータ(例えば都度のエンジン水温や始動時水温など)に応じて異なり、気筒内温度が低いほど燃焼安定性が低いと考えられるからである。
【0066】
・上記実施形態では、触媒暖機を実施する際の燃料の噴射態様を分割噴射としたが、1燃焼サイクルごとに圧縮行程での燃料噴射を1回行う1回噴射とする場合についても本発明を適用できる。1回噴射モードにおいても、圧縮上死点近傍で燃料噴射を行い、かつ点火時期をできるだけ遅角させることにより排ガス温度を速やかに上昇させ、これにより触媒暖機を行うことがある。この場合にも、触媒暖機の開始当初において高燃圧制御を実施し、その後低燃圧制御に切り替えることで、触媒暖機に際しエミッション性能の向上を図ることができるといった効果を得ることができる。
【0067】
・上記実施形態では、エンジン始動時に触媒暖機を行う場合について説明したが、エンジン10の始動時における触媒暖機だけでなく、エンジン運転中に触媒温度が低下した場合にも本発明を適用できる。例えばアイドル運転中に排気温度の低下により触媒温度が低下した場合、上記の触媒早期暖機モードにより排気温度を上昇させて触媒暖機を行うことがある。この場合においても、上記燃圧制御を実施することにより、触媒暖機に際しエミッション性能の向上を図ることができるといった効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0068】
10…エンジン、25…燃料噴射弁、31…触媒(排気浄化触媒)、40…ECU、41…マイコン(昇温手段、燃圧可変手段、燃圧切替手段、燃焼検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を直接気筒内に噴射する燃料噴射弁を備え、前記燃料噴射弁による燃料噴射を圧縮行程で行うことにより成層燃焼が実施される筒内噴射式の内燃機関に適用され、
所定の暖機実行条件が成立した場合に、排気通路に設けられた排気浄化触媒の触媒温度を上昇させる昇温手段と、
前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力である噴射弁燃圧を可変制御する燃圧可変手段と、
前記昇温手段により前記触媒温度を上昇させる場合に、その昇温開始タイミングを含む所定の開始期間において前記噴射弁燃圧を前記燃料の微粒化促進のための所定の高燃圧で制御する高燃圧制御を実施し、その後、前記噴射弁燃圧を前記所定の高燃圧よりも低い所定の低燃圧で制御する低燃圧制御に切り替える燃圧切替手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
【請求項2】
前記燃圧切替手段は、前記触媒温度に基づいて前記高燃圧制御から前記低燃圧制御へ切り替える請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
【請求項3】
前記燃圧切替手段は、前記内燃機関の気筒内温度に基づいて前記高燃圧制御から前記低燃圧制御へ切り替える請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
【請求項4】
前記燃圧切替手段は、前記噴射弁燃圧を前記所定の高燃圧から前記所定の低燃圧に低下させる場合の燃圧低下率を前記触媒温度及び前記内燃機関の気筒内温度の少なくともいずれかに基づいて可変にする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の噴射制御装置。
【請求項5】
前記内燃機関の燃焼状態を検出する燃焼検出手段を備え、
前記燃圧切替手段は、前記高燃圧制御から前記低燃圧制御へ切り替えるのに際し、前記噴射弁燃圧を燃圧低下方向に徐々に変化させ、その燃圧低下方向への変化途中において前記燃焼検出手段により検出された燃焼状態が所定の燃焼悪化状態になった場合に、該噴射弁燃圧を前記燃圧低下方向へ変化させるのを停止する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
【請求項6】
前記燃圧切替手段は、前記高燃圧制御から前記低燃圧制御へ切り替えるのに際し、前記噴射弁燃圧の目標値を燃圧低下方向に徐々に変更し、その目標値の燃圧低下方向への変更途中において前記燃焼検出手段により検出された燃焼状態が所定の燃焼悪化状態になった場合に、該目標値を前記燃圧低下方向へ変更するのを停止する請求項5に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−157822(P2011−157822A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17944(P2010−17944)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】