説明

分圧測定方法および分圧測定装置

【課題】真空チャンバ内部の分圧分布を簡便に測定する分圧測定方法および分圧測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】真空チャンバ内に備える測定専用の局所プラズマ源9を測定箇所に移動させる移動ステップと、真空チャンバの壁部に設けられ、光が通過する窓を通して、局所プラズマ源が発生させたプラズマからの発光を受光し、受光した発光の発光強度を分光測定することにより、真空チャンバ内の分圧分布を測定する測定ステップとを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分圧測定方法および分圧測定装置に関し、特に、真空チャンバ内の分圧を測定する分圧測定方法および分圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空チャンバ内に微量のガスを導入し、基材表面において反応を生じさせる表面改質や、プラズマを発生させることにより表面を加工するドライエッチングや、膜を形成するスパッタリングや、CVD(Chemical Vapor Deposition)は、電子部品や光学薄膜などの多くの製品の量産に広く用いられている。
【0003】
基板面内における均質な処理を実現するためには、微量ガスの濃度が真空チャンバ内で均一であることが望ましい。そのため、真空チャンバ内部の微量ガスの濃度分布を把握し、かつ微量ガスの濃度を制御することが非常に重要である。
【0004】
例えば、真空中でプラズマを発生させて基板に成膜を行うスパッタリングがある。スパッタリングにより酸化物や窒化物などを高速に成膜する方法として反応性スパッタリング法がある。反応性スパッタリング法とは、真空チャンバ内に設置された金属ターゲットにDC電圧を印加してプラズマを発生させ、発生したプラズマにより金属ターゲットから飛び出した原子を、真空チャンバ内に導入した反応性ガスと反応させて化合物とすることにより、酸化物や窒化物を基板上に堆積させる方法である。
【0005】
真空チャンバ内で形成する化合物薄膜の組成を基板面内で均質にするためには、導入するガスの分布を制御して均質な反応を実現することが重要である。そのため、実際に化合物薄膜を形成する装置内におけるガス分圧分布をモニタリングして、制御することが重要である。ここで、分圧とは、混合気体の圧力(全圧)の中で、ある気体(ガス)が占める圧力をその気体の分圧という。また、分圧分布とは、真空チャンバ内での空間的な分圧の分布をいう。
【0006】
そこで、従来の分圧分布測定方法として例えば質量分析器を用いる分圧測定方法がある。
【0007】
質量分析器による分圧分布測定方法では、質量分析器の分析管までガスを導く必要がある。そのため、真空チャンバ内の局所的な分圧を測定する場合には、真空チャンバ内部の測定箇所まで配管を設置する必要がある。さらに、設置するその配管の径は細くする必要がある。しかしながら、配管の径が細くなると配管のコンダクタンスは低くなってしまうので、正しい分圧を測れない。また、配管表面に付着する吸着ガスが測定に影響を与えてしまう。
【0008】
そこで、真空チャンバ内に配管を設置する必要のない分圧測定方法として分光測定装置を用いた方法が提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0009】
特許文献1では、LIF(Laser Induced Fluorescence)による分光分析方法が開示されている。LIFによる分光測定を行えば、レーザ照射された部分の各場所における分圧を測定することが可能である。
【0010】
図1は従来の分光測定装置の概略構成図である。図1に示す分光測定装置は、真空チャンバ1、透明窓2、分光器3、光ファイバ4、レーザ発振用電源5、レーザユニット6およびレーザ制御用光学ユニット7を備える。
【0011】
図1に示す分光測定装置では、真空チャンバ1の外壁に透明窓2が設けられて、外部よりレーザユニット6によって供給されるレーザ光8をガスに照射する。ガスにレーザ光8が照射されると、ガス分子が励起して再び基底状態に落ちるときに発光を生じる。生じた発光の発光強度をレーザ光8の経路に沿って測定することにより、各部分における分圧分布を知ることができる。
【特許文献1】特公平02−25249号公報
【特許文献2】特開平11−236666号公報
【特許文献3】特開平05−62944号公報
【特許文献4】特開昭58−46640号公報
【特許文献5】特開2005−276618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、分光測定装置は、一般的に、非常に高額であると共に発光強度が弱いため、測定に長時間を要する。これを短時間で測定しようとすると、ノイズが多くなるため測定精度が低下する。
【0013】
また、真空チャンバ1内の各部位を測定する毎に、レーザユニット6や分光器3の光学系を移動し、調整する手間が必要となるため、量産工程に導入することは非常に困難である。
【0014】
そこで、光学系の調整の手間が軽減でき、かつ、分光測定装置と比べ安価な分圧測定方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4。)。
【0015】
上記特許文献2では、プラズマ光の発光スペクトルを検出することで真空チャンバ内のH2O分圧を測定する分圧測定方法が開示されている。
【0016】
上記特許文献3では、真空チャンバ内で発生するプラズマ発光を分光器に集束させ、プラズマ発光スペクトルを分光する方法が開示されている。
【0017】
上記特許文献4では、真空チャンバに設けられた窓から放射されるプラズマ発光を分光測定する方法が開示されている。
【0018】
しかしながら、上記特許文献2〜4では、真空チャンバ内に設けられたプロセス用のプラズマ源(以下、プロセスプラズマ源と記載。)で発生されるプラズマの発光の一部を用いて測定する。そのため、プロセスプラズマ源で発生されるプラズマの発光は相対的に強く、測定したいガスに関するプラズマの発光を精度良く測定できるとは限らない。すなわち、上記特許文献2〜4における分圧測定方法では、真空チャンバ内に設けられたプロセス用のプロセスプラズマ源のプラズマ発光を利用するため、測定したいガスに関するプラズマ発光だけでなく測定しないガスに関するプラズマ発光も含めて受光してしまい、所望のガスの正しい分圧測定を行うのが難しいという問題がある。
【0019】
また、真空チャンバ内に設けられたプロセス用のプロセスプラズマ源が、例えば特許文献5に開示されるような円筒電極で構成されたプロセスプラズマ源である場合には、プロセスプラズマ源で発生されるプラズマの発光を受光できる角度や位置が制限されてしまう。さらに、特許文献5に開示されたプロセスプラズマ源は移動可能であるため、プロセスプラズマ源で発光されるプラズマ発光を受光し測定するための調整は難しい。したがって、上記特許文献5に基づく分圧測定方法では、真空チャンバ内の所望のガスについて正しい分圧測定を行うのは難しい。
【0020】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、真空チャンバ内部の分圧分布を簡便に測定する分圧測定方法および分圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明に係る分圧測定方法は、真空チャンバ内に備える測定専用の局所プラズマ源を測定箇所に移動させる移動ステップと、前記真空チャンバの壁部に設けられた光が通過する窓を通して、前記局所プラズマ源が発生させたプラズマからの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内での分圧分布を測定する測定ステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
それにより、プロセスプラズマ源で発生されたプラズマからでなく測定専用の局所プラズマ源で発生されたプラズマからの光を用いることができるので、真空チャンバ内部の圧力分布を簡便に測定することが可能である。さらに、局所プラズマ源は移動可能であるため、真空チャンバ内の所望の位置でプラズマを発生させることができ、所望の位置での局所的な分圧測定が可能になる。
【0023】
また、真空チャンバの壁部に設置された光が通過する窓を通して、前記真空チャンバ内に備える測定専用の複数の局所プラズマ源毎からの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内の複数箇所での分圧分布を測定する測定ステップを含むことを特徴としてもよい。
【0024】
それにより、プロセスプラズマ源で発生されたプラズマからでなく測定専用の局所プラズマ源で発生されたプラズマからのプラズマ光を用いることができるので、真空チャンバ内部の複数箇所の圧力分布を簡便に測定することが可能である。
【0025】
ここで、前記局所プラズマ源は、直流平行平板電極、高周波平行平板電極、誘導結合コイル電極およびメッシュ状対向電極のいずれかから構成される電極を有するとしてもよい。
【0026】
それにより、局所プラズマ源は真空チャンバ内のガス流を阻害しないので、高精度な分圧測定を行うことが可能である。
【0027】
また、前記局所プラズマ源は、実質的に表面がフローティング状態である面と、前記面と対向する位置に配置された金属面とから構成されるとしてもよい。
【0028】
また、前記分圧測定方法は、真空チャンバ内にプロセス用のプロセスプラズマ源と、プロセス対象の基板とを備える製造装置の真空チャンバ内で行われ、さらに、前記測定ステップにおいて測定された分圧分布に基づいて、発光強度分布が均一になるように調整される調整ステップとを含み、前記調整ステップでは、前記プロセスプラズマ源に高電圧を印加して発生させたプラズマを用いて物理的に前記基板に薄膜を形成するとしてもよく、前記製造装置は、真空チャンバ内にプラズマ源となるターゲットが設置され、前記ターゲットに高電圧を印加することにより発生させたプラズマを用いて、前記基板に薄膜を形成するスパッタリング装置であり、前記調整ステップでは、前記測定ステップにおいて測定された分圧分布に基づいて、発光強度分布が均一になるようにガス流量、ガス混合比、ターゲット印加電力および調圧バルブ開度の少なくとも1つが調整されるとしてもよい。
【0029】
それにより、プロセス装置の真空チャンバ内部の圧力分布を簡便に測定することができ、これを基に成膜パラメータを調整することができることから、均質な膜を作成することが可能である。
【0030】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る分圧測定装置は、真空チャンバ内に設置された測定専用の局所プラズマ源と、前記局所プラズマ源を測定箇所に移動させる移動手段と、前記真空チャンバの壁部に設けられ、光が通過する窓と、前記窓を通して、前記局所プラズマ源が発生させたプラズマからの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内での分圧分布を測定する測定手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
この構成により、プロセスプラズマ源で発生されたプラズマからでなく測定専用の局所プラズマ源で発生されたプラズマからのプラズマ光を用いることができるので、真空チャンバ内部の圧力分布を簡便に測定することが可能である。
【0032】
また、真空チャンバ内に設置された測定専用の複数の局所プラズマ源と、前記真空チャンバの壁部に設けられ、光が通過する窓と、前記窓を通して、前記各局所プラズマ源が発生させたプラズマからの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内の複数箇所での分圧分布を測定する測定手段とを備えることを特徴としてもよい。
【0033】
この構成により、プロセスプラズマ源で発生されたプラズマからでなく測定専用の局所プラズマ源で発生されたプラズマからのプラズマ光を用いることができるので、真空チャンバ内部の複数箇所の圧力分布を簡便に測定することが可能である。
【0034】
ここで、前記局所プラズマ源は、直流平行平板電極、高周波平行平板電極、誘導結合コイル電極およびメッシュ状対向電極のいずれかから構成される電極を有するとしてもよい。
【0035】
この構成により、局所プラズマ源は真空チャンバ内のガス流を阻害しないので、高精度な分圧測定を行うことが可能である。
【0036】
また、前記局所プラズマ源は、実質的に表面がフローティング状態である面と、前記面と対向する位置に配置された金属面とから構成されるとしてもよい。
【0037】
また、前記分圧測定装置は、さらに、真空チャンバ内にプロセス用のプロセスプラズマ源と、プロセス対象の基板とを有する製造装置に備えられ、前記製造装置は、前記測定手段による分圧測定結果に基づいて、発光強度分布が均一になるように調整し、前記プロセスプラズマ源に高電圧を印加して発生させるプラズマを用いて物理的に前記基板に薄膜を形成するとしてもよく、前記製造装置は、真空チャンバ内にプラズマ源となるターゲットが設置され、前記ターゲットに高電圧を印加することにより発生させたプラズマを用いて、前記基板に薄膜を形成するスパッタリング装置であり、前記測定手段による分圧測定結果に基づいて、発光強度分布が均一になるように、ガス流量、ガス混合比、ターゲット印加電力および調圧バルブ開度の少なくとも1つを調整するとしてもよい。
【0038】
この構成により、プロセス装置の真空チャンバ内部の圧力分布を簡便に測定することができ、これを基に成膜パラメータを調整できることから、均質な膜を作成することが可能である。
【0039】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る分圧測定装置において、前記局所プラズマ源は、グロー放電を発生させる小径の穴を少なくとも1つ有するパンチングメタル電極で構成される電極を有することを特徴としてもよい。
【0040】
この構成により、低コストの局所プラズマ源を実現することができる。
【0041】
また、前記局所プラズマ源は、ホロカソード電極で構成される電極を有することを特徴としてもよい。
【0042】
この構成により、局所プラズマ源専用の電源を必要とせずに、プラズマを発生することができるので、低コストの局所プラズマ源を実現することができる。
【0043】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る分圧測定方法は、真空チャンバの壁部に設置された光が通過する窓を通して、前記真空チャンバ内に備える測定専用の局所プラズマ源からの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内の複数箇所での分圧分布を測定する測定ステップを含むこと特徴としてもよい。
【0044】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る分圧測定装置は、真空チャンバ内に設置された測定専用の局所プラズマ源と、前記真空チャンバの壁部に設けられ、光が通過する窓と、前記窓を通して、前記局所プラズマ源が発生させたプラズマからの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内での分圧分布を測定する測定手段とを備えることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、真空チャンバ内部の分圧分布を簡便に測定する分圧測定方法および分圧測定装置を実現することができる。
【0046】
したがって、本発明の分圧測定方法および分圧測定装置によれば、プロセスプラズマ源で発生されたプラズマからでなく測定専用の局所プラズマ源で発生されたプラズマからのプラズマ光を用いることができるので、真空チャンバ内部の圧力分布を簡便に測定することが可能になる。さらに、本発明に係る分圧測定装置を備えるプロセス装置では、真空チャンバ内部の圧力分布を基に、複雑な計測設備を用いずに均質な膜を作成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0048】
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1における分圧測定装置の概略構成図である。
【0049】
図2に示す分圧測定装置は、真空チャンバ1と、光が通過する透明窓2と、局所プラズマ源9と、局所プラズマ源9用の電極9aと、局所プラズマ源9用の電源10aと、分光器11と、光ファイバ12と、局所プラズマ源9を上下動させる昇降装置13と、局所プラズマ源9用の移動ステージ14と、マスフローコントローラ15aおよび15bと、ガス導入用バルブ16、ガス排気用バルブ17と真空ポンプ18とを備える。
【0050】
透明窓2では、局所プラズマ源9が発生させたプラズマの発光を通過させる。
【0051】
局所プラズマ源9は、測定専用のプラズマ源であり、分圧測定したい部分にプラズマPを発生させる。
【0052】
また、局所プラズマ源9は、移動ステージ14上の任意の位置に移動可能であり、昇降装置13により高さも調整可能である。
【0053】
図3は、局所プラズマ源9が、測定専用のプラズマ源であることを示すための図である。図3では、プラズマを発生させるターゲット19とターゲット19に電圧を印可するプロセスプラズマ用電源20とが示されている。ターゲット19の上部にはプロセス用のプラズマPtが発生される。
【0054】
局所プラズマ源9は、図3に示すように、真空チャンバ1の大きさに比べると局所と言える大きさであり、例えば1cmの大きさがあればよい。局所プラズマ源9は、その大きさのため、真空チャンバ1内に導入されるガス流への影響が少ない。
【0055】
電源10aは、電極9aに電力を供給するための電源であって、直流や高周波、パルス電源、周波数可変の交流電源のいずれでもよい。
【0056】
光ファイバ12は、分光器11まで光を導くための光学系であって、図2においては光ファイバを示しているが、測定すべき光を、透明窓2を介して分光器11まで導くことができれば光ファイバでなくてもよい。例えば、光ファイバの他にレンズやプリズムなどの光学素子を用いた構成などを採用することができる。分光器11まで光を導くための光学系としては、透明窓2の近傍で光を捕捉する構成が、検出感度が良く好ましい。光ファイバは、柔軟性に優れており、かつ外光の影響を受けないため好ましい。
【0057】
また、真空チャンバ1の内部は、ガス排気用バルブ17を介して接続された真空ポンプ18で排気される。真空チャンバ1内部には、微量のガスがマスフローコントローラ15aおよび15bを通して導入される。
【0058】
なお、マスフローコントローラ15(15aおよび15b)の数は、特に限定されるものではなく、必要なだけ設置すればよい。
【0059】
また、分圧測定の対象となるガスは、マスフローコントローラ15で真空チャンバ1内に導入されるガスであってもよいし、真空チャンバ1内部の壁面から放出されるような残留ガスであってもよい。この場合は、プラズマ放電を維持するためにArガスなどの希ガスを導入するとよい。
【0060】
実施の形態1における分圧測定の実施例として、マスフローコントローラ15aおよび15bによってArガスおよび酸素ガスのガスを真空チャンバ1内に導入した場合の分圧測定について、以下に説明する。
【0061】
まず、ガス導入用バルブ16を閉じた状態で真空ポンプ18によって真空チャンバ1内を高真空に排気する。
【0062】
次に、真空チャンバ1内が1.0e-4Pa程度の高真空に達したとき、ガス導入用バルブ16を開きガスを導入する。
【0063】
ここで、マスフローコントローラ15aはArガスを導入するために用いられ、マスフローコントローラ15bは酸素ガスを導入するために用いられる。例えば、Arガスの流量は60sccmに設定して酸素流量は40sccmに設定する。
【0064】
なお、真空ポンプ18の排気能力やガス排気用バルブ17の開度などの条件によって、真空チャンバ1内の圧力は変化するが、プラズマ放電を維持するためには0.1Paから数十Pa程度の範囲に調圧する必要がある。
【0065】
図4、図5および図6は、本実施の形態1における採用可能な局所プラズマ源を示す斜視図である。
【0066】
図4に示すように、局所プラズマ源9の電極9aとして、直径30mm程度の金属板を対向させた平行平板電極21を用いればプラズマを発生させることができる。図4に示す平行平板電極21に発生させたプラズマPの発光を用いて発光分光を行うことが可能である。電極の大きさには特に制限はないが、真空チャンバ1内を走査することが必要であり、かつ局所的な分圧測定を行うためには電極サイズは小さい方が好ましい。また、平行平板電極21は電極が平行に設置されているため、調整すれば真空チャンバ1内のガス流を阻害しない。
【0067】
なお、局所プラズマ源9の電極9aとしては、平行平板電極に限られるものではない。電源10aから印加する電圧も直流、高周波、パルス電圧、またはこれらを重畳させたものを採用することができる。例えば、高周波を用いた場合には原理的に放電を維持させやすいため、棒状のアンテナ、または図5に示すように、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)コイル電極22を局所プラズマ源9の電極9a(プラズマPの発生源)として使用することが可能である。
【0068】
また、図5において、22aは電力供給ケーブルである。図5に示すICPコイル電極22は断面積が小さいため、真空チャンバ1内のガス流を阻害しにくい。したがって、より高精度な測定が可能である。
【0069】
また同様の長所を有する局所プラズマ源9の電極9aとして、図6に示すようなメッシュ状電極23を用いてもよい。メッシュ状電極23では、電極にメッシュ状の間隙があるため、直流放電においても、ガス流れを乱すことなく測定が可能である。
【0070】
なお、図6において、23aは電力供給ケーブルである。
【0071】
また、局所プラズマ源9の電極9aとしては、ホロカソード電極やパンチングメタル電極などを使用してもよい。
【0072】
次に、図1において、局所プラズマ源9用の電源10aにより局所プラズマ源9の電極9aに高電圧を印加することにより、電極9a間にプラズマPを発生させる。
【0073】
真空チャンバ1内の個々のガス種がプラズマPのエネルギーによって励起されることによって、個々のガス種に特有の波長における発光が観測される。例えば、Arに由来する発光線としては697nmの発光があり、酸素に由来する発光線としては777nmに発光がある。
【0074】
次に、局所プラズマ源9の移動手段としての昇降装置13および移動ステージ14を用いて、測定したい位置に局所プラズマ源9を移動する。
【0075】
次に、移動させた位置で局所プラズマ源9が発生させるプラズマPからの発光を、透明窓2を介して、光ファイバ12で分光器11まで導く。分光器11は、光ファイバ12で導かれた発光について発光分光測定を行うことにより、真空チャンバ1内の発光強度分布を測定する。
【0076】
ここで、分圧測定専用の局所プラズマ源9以外に、プロセスに使用されるプロセスプラズマ源がある場合には、局所プラズマ源9の生成するプラズマPがプロセスプラズマ源から直接に見えないように、局所プラズマ源9の平行平板電極を配置する方向を設定することが望ましい。すなわち、光ファイバ12が、局所プラズマ源9の生成するプラズマPの発光のみを導くように、局所プラズマ源9の平行平板電極を配置する方向を設定する。
【0077】
また、局所プラズマ源9の電極9aとして、平行平板電極21だけではなくICPコイル電極22やメッシュ状電極23でも、さらにはホロカソード電極やパンチングメタル電極でも、同様にプロセスプラズマ源から、局所プラズマ源9の生成するプラズマPが直接に見えないように配置を工夫するとよい。
【0078】
また、局所プラズマ源9を移動させる場合においても、同様にプロセスプラズマ源から直接に見えないような位置を保つように移動することが好ましく、さらには、局所プラズマ源9の角度を調整する手段を設けておくとより効果的である。
【0079】
ところで、本実施の形態1における分圧測定において、酸素の分圧分布を知りたい場合には、酸素由来の777nmの発光強度比をプロットすればよい。さらに、酸素の分圧分布をより精度良く測定を行うためには、Ar由来の697nmの発光強度と酸素由来の777nmの発光強度の比をプロットするとよい。このようなトレーサガスには壁面などとの反応が起こり難いArガスなどの希ガスを用いるとよい。トレーサガスによる発光強度との比を取ることによって、真空チャンバ1内の各部分で放電させた場合における放電状態の変化による精度低下を抑制することが可能である。
【0080】
なお、本実施の形態1においては、Arガスと酸素ガスとの混合ガスの場合についての測定例を示したが、特にこれらのガスに限定されるものではない。例えば酸素ガスの代わりに、窒素ガスや水、水素などの測定したい元素のガスであればよい。例えば、水素の場合は656nmなどの発光線がみられ、各元素に由来する発光線の波長は公知となっている。
【0081】
以上のように、プロセスプラズマ源からでなく測定専用の局所プラズマ源9からのプラズマ発光を用いることで、真空チャンバ1内部の圧力分布を簡便に測定することが可能である。また、局所プラズマ源9の電極9aが、平行平板電極21、ICPコイル電極22またはメッシュ状電極23から構成されることで、真空チャンバ1内のガス流を阻害せず、高精度な分圧測定を行うことが可能である。さらに、局所プラズマ源9は移動可能なため、任意の位置での局所的な領域の分圧分布を測定することができる。
【0082】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における分圧測定装置の概略構成図である。図7において、図2に示す実施の形態1にて説明した構成要素と同じ構成要素については同じ符号を用い、その説明を省略する。
【0083】
実施の形態2においては、分圧を測定したい複数の箇所それぞれに局所プラズマ源9を設置しておくことで分圧測定を可能にしている。図7では、局所プラズマ源9の電極9bおよび電極9cとして一対の平行平板電極が構成された例を示している。
【0084】
局所プラズマ源9用の電源10bが電極9bに、局所プラズマ源9用の電源10cが電極9cに高電圧を印加することでそれぞれプラズマPを発生させる。プラズマPを発生させるこの放電は、すべての局所プラズマ源9を同時に動作させてもよいし、測定箇所のみを放電させるなど切り替えて使用するようにしてもよい。
【0085】
実施の形態1における図2と同様に、分光器11に発光を導くために、例えば光ファイバ12やレンズなどの光学系を用いて、透明窓2を通して測定点におけるプラズマPからの発光を観測する。
【0086】
なお、局所プラズマ源9の電極9bおよび電極9cとしては、平行平板電極によるもののみに限られるわけではなく、実施の形態1と同様に、ホロカソード電極や、パンチングメタル電極、ICPコイル電極、メッシュ状対向電極などを採用してもよい。また、局所プラズマ源9の電極9bおよび電極9cに印加する電圧も直流、高周波、パルス電圧、またはこれらを重畳させたものでもよい。
【0087】
以上のように、実施の形態2によれば、複数の局所プラズマ源9を真空チャンバ1内の適所に設けることにより、局所プラズマ源9を走査/移動させる機構を設ける必要がない。したがって、プロセスプラズマ源への悪影響や、真空チャンバ1内の清浄度低下などの不具合を実施の形態1よりも低減することができる点で有利である。
【0088】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における分圧測定装置の概略構成図である。
【0089】
図8に示す分圧測定装置は、例えば、真空チャンバ1にガスを導入または真空チャンバ1からガスを排気されるのに用いられる配管24における、ガスの分圧測定について説明するための図である。図8において、実施の形態1における図2にて説明した構成要素と同じ構成要素については同じ符号を用い、その説明を省略する。
【0090】
図8に配管24の分圧測定箇所では、分圧測定箇所となる配管24の外壁に透明窓2が設けられる。局所プラズマ源9が発生するプラズマからの発光は、透明窓2で通過され、光ファイバ12により分光器11まで導入される。分光器11は導入された発光から分圧測定を行う。
【0091】
ここでは、例えば局所プラズマ源9の電極として、ICPコイル電極22が用いられている。局所プラズマ源9は小さいため、配管24にも設置することができる。
【0092】
以上のように、実施の形態3によれば、局所プラズマ源9は小さいため、配管24にも設置することができる。局所プラズマ源9を配管24の適所に設けることにより、配管24中のガス流を阻害せず、高精度な分圧測定を行うことができる。
【0093】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4のスパッタリング装置における分圧測定装置の概略構成図である。図9において、図2および図7に示す実施の形態1および2にて説明した構成要素と同じ構成要素については同じ符号を用い、その説明を省略する。本実施の形態4では、Siターゲットを用いてSiO2を成膜する反応性スパッタリングの例について説明する。
【0094】
図9に示すスパッタリング装置は、真空チャンバ1と、透明窓2と、複数の局所プラズマ源9と、局所プラズマ源9用の電極9bおよび9cと、局所プラズマ源9用の電源10bおよび10cと、分光器11と、光ファイバ12と、マスフローコントローラ15と、ガス導入用バルブ16と、ガス排気用バルブ17と真空ポンプ18とを備える。スパッタリング装置は、また、ターゲット19と、プロセス対象の基板25と、高電圧のプロセスプラズマ用電源20と、制御装置26とを備える。
【0095】
図9に示すスパッタリング装置では、プロセスプラズマ用電源20がターゲット19に電圧を印加することによってターゲット19の前面にプロセス用のプラズマPtを発生させる。
【0096】
また、分光器11は、局所プラズマ源9が発生させたプラズマPの発光を、透明窓2を通して受光し、受光した発光を測定する。分光器11は、測定した発光についての発光信号を生成する。
【0097】
制御装置26は、分光器11が生成した発光信号を元に、発光強度分布が均一に近づくように、ガス流量、ガス混合比、ターゲット印加電力および調圧バルブ開度の少なくとも1つの調整を行う。
【0098】
次に、スパッタリング装置の実施例を説明する。ここでは、マスフローコントローラ15aおよび15bによってArガスおよび酸素ガスのガスを真空チャンバ1内に導入するとしている。
【0099】
まず、ガス導入用バルブ16を閉じた状態で、真空ポンプ18によって真空チャンバ1内を高真空に排気する。
【0100】
次に、真空チャンバ1内が1.0e-4Pa程度の高真空に達したとき、ガス導入用バルブ16を開きガスを導入する。
【0101】
ここで、マスフローコントローラ15aはArガスを導入するために用いられ、マスフローコントローラ15bは酸素ガスを導入するために用いられる。
【0102】
次に、Siを酸化するために十分な酸素流量を真空チャンバ1内に導入する。Arガスの流量によって真空チャンバ1内総圧力が、例えば0.2Pa程度になるようにマスフローコントローラ15aを調整する。
【0103】
次に、プロセスプラズマ用電源20によってターゲット19に電力を供給してプロセス用のプラズマ放電を生じさせる。そうすると、そのプラズマPt中のイオンがターゲット19に高速で衝突し、はじき出されたSi原子は、基板25に到達するまでに酸素と結合してSiO2となって基板25に堆積する。
【0104】
ここでは、特に基板25の周囲の酸素ガスが、Si原子の酸化に伴って消費されていく。そのため、Si原子におけるターゲット19から基板25への供給経路とSi原子の消費状況との兼ね合いで、Si原子(もしくはSiO2)の存在量が空間分布を持つ場合がある。基板25上に均質なSiO2膜を形成するためには、酸素存在量のばらつきは極力低減されるべきであり、そのためには真空チャンバ1内の酸素分圧分布を知ることが重要である。
【0105】
本実施の形態4では、測定専用の局所プラズマ源9をスパッタリング装置の真空チャンバ1内に設置することで、酸素分圧分布を測定する。そして、酸素分圧分布の情報を元に、例えばガス流量や調圧バルブ開度を調整する。
【0106】
以上のようにして、本実施の形態4のスパッタリング装置は基板25に均質に薄膜を堆積する。
【0107】
以上、本実施の形態4によれば、局所プラズマ源9を設置したことにより、上述したように酸素分圧分布を測定できる。そのため、この酸素分圧分布の情報を元に、例えばガス流量や調圧バルブ開度を調整し、均質な膜を形成することが可能である。
【0108】
なお、局所プラズマ源9は、平行平板電極に限るものではない。ICPコイル電極やメッシュ状対向電極、ホロカソード電極、パンチングメタル電極などでもよい。また、複数の局所プラズマ源9を設置する方法以外に、局所プラズマ源9を真空チャンバ内部で走査させることでも、分圧分布を知ることが可能であり、同様の効果を期待できる。
【0109】
また、測定専用の局所プラズマ源9をスパッタリング装置の真空チャンバ1内に設置することで、ガスの分圧分布を測定する例を説明したが、スパッタリング装置に限らない。例えば半導体等のプロセスで用いられ、ガスの分圧分布測定を必要とする製造装置(プロセス装置)でもよく、同様の効果が得られる。
【0110】
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5のスパッタリング装置における分圧測定装置の概略構成図である。図10において、図2、図7および図9に示す実施の形態1〜3にて説明した構成要素と同じ構成要素については同じ符号を用い、その説明を省略する。本実施の形態5では、Siターゲットを用いてSiO2を成膜する反応性スパッタリングの例について説明する。また、本実施の形態5では、局所プラズマ源として、特別に電源を必要としない構成の一形態について説明する。
【0111】
図10に示すスパッタリング装置は、真空チャンバ1と、透明窓2と、分光器11と、光ファイバ12と、マスフローコントローラ15と、ガス導入用バルブ16と、ガス排気用バルブ17と、真空ポンプ18とを備える。また、スパッタリング装置は、ターゲット19と、高電圧のプロセスプラズマ用電源20と、シールド27および28と、プロセス対象の基板29と、ホロカソード放電部30とを備える。
【0112】
ターゲット19に印加する電圧が、高周波やパルス電圧、または、直流と高周波やパルス波との重畳である場合、真空チャンバ1内部の壁面に蓄積される電荷が電圧の振動に伴って定期的に解放される。このような電荷が解放される真空チャンバ1内の領域において、例えば、壁面に数mm〜数十mmの穴を設けたり、概略平行な金属板を組み合わせた形状の部材を設けたりしておくと、その部分でグロー放電が発生する。
【0113】
図10では、一例として、ホロカソード放電部30とそのホロカソード放電部30と対面する一対のシールド27および28とが構成された例が示されている。ターゲット19の前面に生じるプラズマPtから流れる電子は真空チャンバ1の壁面へと向かう。成膜処理数が増すと、真空チャンバ1の壁面がSiO2で覆われるためアノードとして機能しなくなる領域が増してくる。このためプラズマPtから流れる電子は、次第にターゲット19より遠い部分のアノードにまで流れ始める。
【0114】
また、シールド27および28のうちターゲット19から外側にあるシールド27のターゲット19に面する側の表面はSiO2が付着してチャージアップを生じる。しかし、シールド27および28のうちターゲット19から内側にあるシールド28のターゲット19に面しない表面は比較的膜が付着しにくいため、アース電位が保たれる。このためシールド27とシールド28とは、成膜進行に伴って自然に誘電体面とアース面が対向する領域を形成する。
【0115】
通常、メンテナンスによるシールド27および28の交換後、初期エージングを行う間に、上述したこのような誘電体被膜は形成されてしまうため、特別に誘電体面を形成する処理を行う必要はない。
【0116】
ここで、シールド27および28の間の距離を、例えば10mm〜50mm程度に設定しておくと、パルス電圧の振動に伴ってグロー放電が維持される。このグロー放電におけるプラズマPの発光を、透明窓2を通して、分光器11に受光させて測定することにより分圧を知ることが可能である。それにより、局所プラズマ源9としてシールド27および28を用いることができる。また、上述したように、シールド27および28では、専用の電源を必要のせずにグロー放電が可能である。
【0117】
また、さらに簡便には、ホロカソード放電部30のように壁面にホロカソード放電を誘発させるための数mm〜数十mmの穴を設けておいてもよい。
【0118】
以上のように、本発明の実施の形態5によれば、局所プラズマ源専用に特別な電源を必要とせず、かつ非常に小型で安価な局所プラズマ源を実現することが可能であるため、メンテナンス性が向上し、高い生産性を実現できる点において有利である。
【0119】
また、本発明における分圧測定方法および分圧測定装置を用いたスパッタリング方法および装置によれば、安価で簡便に真空チャンバ内部の分圧分布測定を可能とし、これをもとにフィードバック制御を行うことにより、均質な膜を形成する場合に実施されるので有効である。
【0120】
なお、局所プラズマ源9がパンチングメタル電極を備える構成にする場合には、パンチングメタル電極を構成するパンチングメタルは、グロー放電を発生させる程度に小さな径の穴を少なくとも1つ有していればよい。
【0121】
以上のように、本発明の分圧測定方法および分圧測定装置によれば、プロセスプラズマ源が発生させるプラズマからでなく測定専用の局所プラズマ源が発生させるプラズマの発光を用いることで、真空チャンバ内部の圧力分布を簡便に測定することが可能である。それにより、真空チャンバ内部の分圧分布を簡便に測定する分圧測定方法および分圧測定装置を実現することができる。
【0122】
以上、本発明の分圧測定方法および分圧測定装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、分圧測定方法および分圧測定装置に利用でき、特に、真空装置、光学部品、製造装置およびスパッタリング装置に備えられる分圧測定方法および分圧測定装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】従来の分圧測定装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における分圧測定装置の概略構成図である。
【図3】局所プラズマ9が、測定専用のプラズマ源であることを示すための図である。
【図4】本実施の形態1における採用可能な局所プラズマ源を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態1における採用可能な局所プラズマ源を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態1における採用可能な局所プラズマ源を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2における分圧測定装置の概略構成図である。
【図8】本発明の実施の形態3における分圧測定装置の概略構成図である。
【図9】本発明の実施の形態4のスパッタリング装置における分圧測定装置の概略構成図である。
【図10】本発明の実施の形態5のスパッタリング装置における分圧測定装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0125】
1 真空チャンバ
2 透明窓
3、11 分光器
4、12 光ファイバ
5 レーザ発振用電源
6 レーザユニット
7 レーザ制御用光学ユニット
9 局所プラズマ源
9a、9b、9c 電極
10a、10b、10c 局所プラズマ源用の電源
13 昇降装置
14 移動ステージ
15a、15b マスフローコントローラ
16 ガス導入用バルブ
17 ガス排気用バルブ
18 真空ポンプ
19 ターゲット
20 プロセスプラズマ用電源
21 平行平板電極
22 ICPコイル電極
23 メッシュ状電極
24 配管
25、29 基板
26 制御装置
27、28 シールド
30 ホロカソード放電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内に備える測定専用の局所プラズマ源を測定箇所に移動させる移動ステップと、
前記真空チャンバの壁部に設けられた光が通過する窓を通して、前記局所プラズマ源が発生させたプラズマからの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内での分圧分布を測定する測定ステップとを含む
ことを特徴とする分圧測定方法。
【請求項2】
真空チャンバの壁部に設置された光が通過する窓を通して、前記真空チャンバ内に備える測定専用の複数の局所プラズマ源毎からの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内の複数箇所での分圧分布を測定する測定ステップを含む
こと特徴とする分圧測定方法。
【請求項3】
前記局所プラズマ源は、直流平行平板電極、高周波平行平板電極、誘導結合コイル電極およびメッシュ状対向電極のいずれかから構成される電極を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の分圧測定方法。
【請求項4】
前記局所プラズマ源は、実質的に表面がフローティング状態である面と、前記面と対向する位置に配置された金属面とから構成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の分圧測定方法。
【請求項5】
前記分圧測定方法は、真空チャンバ内にプロセス用のプロセスプラズマ源と、プロセス対象の基板とを備える製造装置の真空チャンバ内で行われ、
さらに、前記測定ステップにおいて測定された分圧分布に基づいて、発光強度分布が均一になるように調整される調整ステップとを含み、
前記調整ステップでは、前記プロセスプラズマ源に高電圧を印加して発生させたプラズマを用いて物理的に前記基板に薄膜を形成する
ことを特徴とする請求項3に記載の分圧測定方法。
【請求項6】
前記製造装置は、真空チャンバ内にプラズマ源となるターゲットが設置され、前記ターゲットに高電圧を印加することにより発生させたプラズマを用いて、前記基板に薄膜を形成するスパッタリング装置であり、
前記調整ステップでは、前記測定ステップにおいて測定された分圧分布に基づいて、発光強度分布が均一になるようにガス流量、ガス混合比、ターゲット印加電力および調圧バルブ開度の少なくとも1つが調整される
ことを特徴とする請求項5に記載の分圧測定方法。
【請求項7】
真空チャンバ内に設置された測定専用の局所プラズマ源と、
前記局所プラズマ源を測定箇所に移動させる移動手段と、
前記真空チャンバの壁部に設けられ、光が通過する窓と、
前記窓を通して、前記局所プラズマ源が発生させたプラズマからの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内での分圧分布を測定する測定手段とを備える
ことを特徴とする分圧測定装置。
【請求項8】
真空チャンバ内に設置された測定専用の複数の局所プラズマ源と、
前記真空チャンバの壁部に設けられ、光が通過する窓と、
前記窓を通して、前記各局所プラズマ源が発生させたプラズマからの発光を受光し、前記発光の発光強度を分光測定することにより、前記真空チャンバ内の複数箇所での分圧分布を測定する測定手段とを備える
ことを特徴とする分圧測定装置。
【請求項9】
前記局所プラズマ源は、直流平行平板電極、高周波平行平板電極、誘導結合コイル電極およびメッシュ状対向電極のいずれかから構成される電極を有する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の分圧測定装置。
【請求項10】
前記局所プラズマ源は、実質的に表面がフローティング状態である面と、前記面と対向する位置に配置された金属面とから構成される
ことを特徴とする請求項7または8に記載の分圧測定装置。
【請求項11】
前記分圧測定装置は、さらに、真空チャンバ内にプロセス用のプロセスプラズマ源と、プロセス対象の基板とを有する製造装置に備えられ、
前記製造装置は、前記測定手段による分圧測定結果に基づいて、発光強度分布が均一になるように調整し、
前記プロセスプラズマ源に高電圧を印加して発生させるプラズマを用いて物理的に前記基板に薄膜を形成する
ことを特徴とする請求項9に記載の分圧測定装置。
【請求項12】
前記製造装置は、
真空チャンバ内にプラズマ源となるターゲットが設置され、前記ターゲットに高電圧を印加することにより発生させたプラズマを用いて、前記基板に薄膜を形成するスパッタリング装置であり、
前記測定手段による分圧測定結果に基づいて、発光強度分布が均一になるように、ガス流量、ガス混合比、ターゲット印加電力および調圧バルブ開度の少なくとも1つを調整する
ことを特徴とする請求項11に記載の分圧測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−286784(P2008−286784A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78748(P2008−78748)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】