説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】不揮発性メモリのメモリセルは、p型ウエルPWの上部に絶縁膜3を介して形成された制御ゲート電極CGと、p型ウエルPWの上部に形成されて制御ゲート電極CGと隣合うメモリゲート電極MGと、メモリゲート電極MGとp型ウエルPWとの間および制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間に形成されかつ内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜5とを有している。メモリゲート電極MGは、ノンドープのシリコン膜6aと不純物を導入したシリコン膜6bとの積層膜により形成されている。シリコン膜6bの不純物濃度を高くすることでメモリゲート電極MGの抵抗を低くして不揮発性メモリの動作速度を向上させ、シリコン膜6aの不純物濃度を低くすることで、不揮発性メモリのデータ保持特性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、不揮発性メモリを有する半導体装置およびその製造方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に書込・消去が可能な不揮発性半導体記憶装置として、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)が広く使用されている。現在広く用いられているフラッシュメモリに代表されるこれらの記憶装置(メモリ)は、MISFETのゲート電極下に、酸化膜で囲まれた導電性の浮遊ゲート電極やトラップ性絶縁膜を有しており、浮遊ゲートやトラップ性絶縁膜での電荷蓄積状態を記憶情報とし、それをトランジスタの閾値として読み出すものである。このトラップ性絶縁膜とは、電荷の蓄積可能な絶縁膜をいい、一例として、窒化シリコン膜などがあげられる。このような電荷蓄積領域への電荷の注入・放出によってMISFETのしきい値をシフトさせ記憶素子として動作させる。このフラッシュメモリとしては、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)膜を用いたスプリットゲート型セルがある。かかるメモリにおいては、電荷蓄積領域として窒化シリコン膜を用いることで、導電性の浮遊ゲート膜と比べ、離散的に電荷を蓄積するためにデータ保持の信頼性に優れ、また、データ保持の信頼性に優れているために窒化シリコン膜上下の酸化膜を薄膜化でき、書込み・消去動作の低電圧化が可能である、等の利点を有する。
【0003】
特開2008−294088号公報(特許文献1)には、選択ゲート電極とメモリゲート電極との間のギャップ部側に多結晶シリコン膜からなる第1メモリゲート電極を設け、ソース領域側に第1メモリゲート電極を構成する多結晶シリコン膜よりも不純物濃度の高い多結晶シリコン膜からなる第2メモリゲート電極を設ける技術が記載されている。
【0004】
特開平9−97850号公報(特許文献2)には、フローティングゲートを形成するポリシリコン層が、ノンドープポリシリコン層/リンドープポリシリコン層/ノンドープポリシリコン層から形成される技術が記載されている。
【0005】
特開2006−19373号公報(特許文献3)には、MONOS型不揮発性メモリにおいて、メモリゲートはドープド多結晶シリコン膜からなり、アンドープドシリコン膜に不純物をイオン注入して形成した多結晶シリコン膜からなるコントロールゲートよりもシート抵抗を低くする技術が記載されている。
【0006】
特開2004−186452号公報(特許文献4)には、MONOS型不揮発性メモリにおいて、選択ゲート電極を形成した後、n型の不純物をドーピングした多結晶シリコン膜を堆積し、その状態で半導体基板中にp型不純物をイオン注入し、その後に、さらにn型の不純物をドーピングした多結晶シリコン膜を堆積し、堆積したn型不純物2層を異方性エッチングすることで、メモリゲートを形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−294088号公報
【特許文献2】特開平9−97850号公報
【特許文献3】特開2006−19373号公報
【特許文献4】特開2004−186452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のスプリットゲート型の不揮発性メモリのメモリゲート電極は、例えば、不純物を導入して低抵抗率とされたドープトポリシリコン膜で形成されていた。近年、上記不揮発性メモリの動作速度を維持又は向上させ、不揮発性メモリのデータ保持特性を更に向上させることが望まれている。また、上記半導体装置の性能を向上させた上で、半導体装置の信頼性を向上させることが望まれている。
【0009】
本発明の目的は、半導体装置の性能を向上できる技術を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、半導体装置の性能を向上させ、かつ、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
代表的な実施の形態による半導体装置は、不揮発性メモリのメモリゲート電極を、第1シリコン膜とそれよりも不純物濃度が高い第2シリコン膜との積層膜により形成したものである。
【0015】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、不揮発性メモリのメモリゲート電極を、第1シリコン膜とそれよりも不純物濃度が高い第2シリコン膜との積層膜により形成するものである。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0017】
代表的な実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の他の効果として、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の他の効果として、半導体装置の性能を向上させ、かつ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図3】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図4】図1の一部を拡大した部分拡大断面図である。
【図5】メモリセルの等価回路図である。
【図6】「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。
【図7】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
【図8】本発明の一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図9】図8と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図10】図9と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図11】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図12】図11と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図13】図11と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図14】図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図15】図14と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図16】図14と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図17】図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図18】図17と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図19】図17と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図20】図17の部分拡大断面図である。
【図21】図19の部分拡大断面図である。
【図22】図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図23】図22と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図24】図22と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図25】図22に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図26】図25と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図27】図25と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図28】図25に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図29】図28と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図30】図28と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図31】図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図32】図31と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図33】図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図34】図33と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図35】図33と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図36】図33に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図37】図36と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図38】図36と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図39】図36に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図40】図39と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図41】図39と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図42】図39に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図43】図42と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図44】図42と同じ半導体装置の製造工程中の要部断面図(キャパシタ形成領域)である。
【図45】第1の比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図46】第1の比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図47】第2の比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図48】第2の比較例の半導体装置の要部断面図である。
【図49】シリコン膜の導電型を示す表である。
【図50】本発明の他の実施の形態である半導体装置の要部断面図(メモリセル領域)である。
【図51】本発明の他の実施の形態である半導体装置の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【図52】本発明の他の実施の形態である半導体装置の要部断面図(メモリゲートシャント領域)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0023】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0024】
(実施の形態1)
本発明は、不揮発性メモリ(不揮発性記憶素子、フラッシュメモリ、不揮発性半導体記憶装置)を備えた半導体装置であり、不揮発性メモリは、主として電荷蓄積部にトラップ性絶縁膜(電荷を蓄積可能な絶縁膜)を用いたものである。以下の実施の形態では、不揮発性メモリは、nチャネル型MISFET(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を基本としトラップ性絶縁膜を用いたメモリセルをもとに説明を行う。また、以下の実施の形態での極性(書込・消去・読出時の印加電圧の極性やキャリアの極性)は、nチャネル型MISFETを基本としたメモリセルの場合の動作を説明するためのものであり、pチャネル型MISFETを基本とする場合は、印加電位やキャリアの導電型等の全ての極性を反転させることで、原理的には同じ動作を得ることができる。
【0025】
本実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。
【0026】
図1〜図3は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、図1には、不揮発性メモリのメモリセル領域1Aの要部断面図が示され、図2には、メモリゲートシャント領域1Bの要部断面図が示され、図3には、キャパシタ形成領域1Cの要部断面図が示されている。図4は、本実施の形態の半導体装置におけるメモリセルMCの部分拡大断面図(要部断面図)であり、図1の一部(メモリセル領域1Aの一部)が拡大して示してある。なお、図4は、理解を簡単にするために、図1の構造のうち、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよび絶縁膜3,5と、それらの直下の基板領域(p型ウエルPWを構成する半導体基板1の一部)のみが図示されている。
【0027】
本実施の形態の半導体装置は、不揮発性メモリを備えた半導体装置であり、図1〜図3には、不揮発性メモリのメモリセル領域1A、メモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cの要部断面図がそれぞれ示されている。メモリセル領域1Aは不揮発性メモリのメモリセルMCが形成された領域である。メモリゲートシャント領域1Bは、メモリゲート電極MGを配線M1に引き上げるために用いる領域、すなわち、プラグPGを介してメモリゲート電極MG(のコンタクト部MGa)を配線M1と接続した領域である。キャパシタ形成領域1Cは、PIP型の容量素子CPが形成された領域である。メモリセル領域1Aとメモリゲートシャント領域1Bとキャパシタ形成領域1Cとは、同一の半導体基板1の主面における互いに異なる領域に対応する。また、図1および図2は、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの延在方向(図1および図2の紙面に垂直な方向)に垂直な断面が示されており、図1に示された制御ゲート電極CGと図2に示された制御ゲート電極CGとは一体的に形成されており、また、図1に示されたメモリゲート電極MGと図2に示されたコンタクト部電極MGa(メモリゲート電極MGのコンタクト部MGa)とは一体的に形成されている。また、図1〜図3では、メモリセル領域1Aとメモリゲートシャント領域1Bとキャパシタ形成領域1Cとを互いに異なる断面図で示しているが、これらは同一の半導体基板1に形成されている。キャパシタ形成領域1Cに形成された容量素子CPは、周辺回路などで用いられる。ここで、周辺回路とは、例えばCPUなどのプロセッサ、制御回路、センスアンプ、カラムデコーダ、ロウデコーダ、入出力回路などである。
【0028】
図1〜図3に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1には、素子を分離するための素子分離領域2が形成されており、この素子分離領域2で分離(規定)された活性領域に、p型ウエルPWが形成されている。p型ウエルPWは、主としてメモリセル領域1Aに形成されており、メモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cには、素子分離領域2が形成されているため、p型ウエルPWは形成されていない。
【0029】
メモリセル領域1Aのp型ウエルPWには、図1に示されるようなメモリトランジスタおよび制御トランジスタ(選択トランジスタ)からなる不揮発性メモリのメモリセルMCが形成されている。メモリセル領域1Aには、実際には複数のメモリセルMCがアレイ状に形成されているが、図1のメモリセル領域1Aには、そのうちの1つのメモリセルMCの断面が示されている。メモリセル領域1Aは、素子分離領域2によって他の領域から電気的に分離されている。
【0030】
図1および図4に示されるように、本実施の形態の半導体装置における不揮発性メモリのメモリセルMCは、スプリットゲート型のメモリセルであり、制御ゲート電極(選択ゲート電極)CGを有する制御トランジスタ(選択トランジスタ)とメモリゲート電極(メモリ用ゲート電極)MGを有するメモリトランジスタとの2つのMISFETを接続したものである。
【0031】
ここで、電荷蓄積部(電荷蓄積層)を含むゲート絶縁膜およびメモリゲート電極MGを備えるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をメモリトランジスタ(記憶用トランジスタ)といい、また、ゲート絶縁膜および制御ゲート電極CGを備えるMISFETを制御トランジスタ(選択トランジスタ、メモリセル選択用トランジスタ)という。従って、メモリゲート電極MGは、メモリトランジスタのゲート電極であり、制御ゲート電極CGは、制御トランジスタのゲート電極であり、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、不揮発性メモリ(のメモリセル)を構成するゲート電極である。
【0032】
以下に、メモリセルMCの構成を具体的に説明する。
【0033】
図1および図4に示されるように、不揮発性メモリのメモリセルMCは、半導体基板1のp型ウエルPW中に形成されたソースおよびドレイン用のn型の半導体領域MS,MDと、半導体基板1(p型ウエルPW)の上部に形成された制御ゲート電極(第1ゲート電極)CGと、半導体基板1(p型ウエルPW)の上部に形成されて制御ゲート電極CGと隣合うメモリゲート電極(第2ゲート電極)MGとを有している。そして、不揮発性メモリのメモリセルMCは、更に、制御ゲート電極CGおよび半導体基板1(p型ウエルPW)間に形成された絶縁膜3と、メモリゲート電極MGおよび半導体基板1(p型ウエルPW)間とメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間とに形成された絶縁膜5とを有している。
【0034】
制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、それらの対向側面(側壁)の間に絶縁膜5を介した状態で、半導体基板1の主面に沿って延在し、並んで配置されている。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの延在方向は、図1および図4の紙面に垂直な方向である。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、半導体領域MDおよび半導体領域MS間の半導体基板1(p型ウエルPW)の上部に絶縁膜3,5を介して(但し、制御ゲート電極CGは絶縁膜3を介し、メモリゲート電極MGは絶縁膜5を介して)形成されており、半導体領域MS側にメモリゲート電極MGが位置し、半導体領域MD側に制御ゲート電極CGが位置している。
【0035】
制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、間に絶縁膜5を介在して互いに隣合っており、メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されている。また、絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって延在している。
【0036】
制御ゲート電極CGと半導体基板1(p型ウエルPW)の間に形成された絶縁膜3(すなわち制御ゲート電極CGの下の絶縁膜3)が、制御トランジスタのゲート絶縁膜として機能し、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW)の間の絶縁膜5(すなわちメモリゲート電極MGの下の絶縁膜5)が、メモリトランジスタのゲート絶縁膜(内部に電荷蓄積部を有するゲート絶縁膜)として機能する。
【0037】
絶縁膜3は、例えば酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などにより形成することができる。また、絶縁膜3は、上述の酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜など以外にも、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜(アルミナ)または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する金属酸化膜を使用してもよい。
【0038】
絶縁膜5は、酸化シリコン膜(酸化膜)5aと、酸化シリコン膜5a上の窒化シリコン膜(窒化膜、電荷蓄積層)5bと、窒化シリコン膜5b上の酸化シリコン膜(酸化膜)5cとを有する積層膜からなる。
【0039】
なお、図1〜図3では、図面を見やすくするために、酸化シリコン膜5a、窒化シリコン膜5bおよび酸化シリコン膜5cの積層膜を、単に絶縁膜5として図示しているが、実際には、図4に示されるように、絶縁膜5は、酸化シリコン膜5aと、酸化シリコン膜5a上の窒化シリコン膜5bと、窒化シリコン膜5b上の酸化シリコン膜5cとの積層膜からなる。
【0040】
絶縁膜5は、酸化シリコン膜5aと窒化シリコン膜5bと酸化シリコン膜5cとの積層構造を有しているため、メモリゲート電極MGおよび半導体基板1(p型ウエルPW)間の領域とメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間の領域とに延在している絶縁膜5を、積層ゲート絶縁膜(積層構造のゲート絶縁膜)とみなすこともできる。但し、メモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW)との間の絶縁膜5は、メモリトランジスタのゲート絶縁膜として機能するが、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の絶縁膜5は、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間を絶縁(電気的に分離)するための絶縁膜として機能する。
【0041】
絶縁膜5のうち、窒化シリコン膜5bは、電荷を蓄積するための絶縁膜であり、電荷蓄積層(電荷蓄積部)として機能する。すなわち、窒化シリコン膜5bは、絶縁膜5中に形成されたトラップ性絶縁膜である。このため、絶縁膜5は、その内部に電荷蓄積部(電荷蓄積層、ここでは窒化シリコン膜5b)を有する絶縁膜とみなすことができる。
【0042】
窒化シリコン膜5bの上下に位置する酸化シリコン膜5cおよび酸化シリコン膜5aは、電荷ブロック層(電荷ブロック膜、電荷閉じ込め層)として機能することができる。窒化シリコン膜5bを酸化シリコン膜5cおよび酸化シリコン膜5aで挟んだ構造とすることで、窒化シリコン膜5bへの電荷の蓄積が可能となる。酸化シリコン膜5a、窒化シリコン膜5bおよび酸化シリコン膜5cは、ONO(oxide-nitride-oxide)膜とみなすこともできる。
【0043】
半導体領域MSは、ソース領域またはドレイン領域の一方として機能する半導体領域であり、半導体領域MDは、ソース領域またはドレイン領域の他方として機能する半導体領域である。ここでは、半導体領域MSはソース領域として機能する半導体領域、半導体領域MDはドレイン領域として機能する半導体領域である。半導体領域MS,MDは、n型の不純物が導入された半導体領域(n型不純物拡散層)よりなり、それぞれLDD(lightly doped drain)構造を備えている。すなわち、ソース用の半導体領域MSは、n型半導体領域7aと、n型半導体領域7aよりも高い不純物濃度を有するn型半導体領域8aとを有し、ドレイン用の半導体領域MDは、n型半導体領域7bと、n型半導体領域7bよりも高い不純物濃度を有するn型半導体領域8bとを有している。n型半導体領域8aは、n型半導体領域7aよりも接合深さが深くかつ不純物濃度が高く、また、n型半導体領域8bは、n型半導体領域7bよりも接合深さが深くかつ不純物濃度が高い。
【0044】
メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの側壁(互いに隣接していない側の側壁)上には、酸化シリコンなどの絶縁体(酸化シリコン膜、絶縁膜)からなる側壁絶縁膜(サイドウォール、サイドウォールスペーサ)SWが形成されている。すなわち、絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGに隣接する側とは逆側のメモリゲート電極MGの側壁(側面)上と、絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGに隣接する側とは逆側の制御ゲート電極CGの側壁(側面)上とに、側壁絶縁膜SWが形成されている。
【0045】
ソース部のn型半導体領域7aはメモリゲート電極MGの側壁に対して自己整合的に形成され、n型半導体領域8aはメモリゲート電極MGの側壁上の側壁絶縁膜SWの側面(メモリゲート電極MGに接する側とは逆側の側面)に対して自己整合的に形成されている。このため、低濃度のn型半導体領域7aはメモリゲート電極MGの側壁上の側壁絶縁膜SWの下に形成され、高濃度のn型半導体領域8aは低濃度のn型半導体領域7aの外側に形成されている。従って、低濃度のn型半導体領域7aはメモリトランジスタのチャネル領域に隣接するように形成され、高濃度のn型半導体領域8aは低濃度のn型半導体領域7aに接し、メモリトランジスタのチャネル領域からn型半導体領域7aの分だけ離間するように形成されている。
【0046】
ドレイン部のn型半導体領域7bは制御ゲート電極CGの側壁に対して自己整合的に形成され、n型半導体領域8bは制御ゲート電極CGの側壁上の側壁絶縁膜SWの側面(制御ゲート電極CGと接する側とは逆側の側面)に対して自己整合的に形成されている。このため、低濃度のn型半導体領域7bは制御ゲート電極CGの側壁上の側壁絶縁膜SWの下に形成され、高濃度のn型半導体領域8bは低濃度のn型半導体領域7bの外側に形成されている。従って、低濃度のn型半導体領域7bは制御トランジスタのチャネル領域に隣接するように形成され、高濃度のn型半導体領域8bは低濃度のn型半導体領域7bに接し、制御トランジスタのチャネル領域からn型半導体領域7bの分だけ離間するように形成されている。
【0047】
メモリゲート電極MG下の絶縁膜5の下にメモリトランジスタのチャネル領域が形成され、制御ゲート電極CG下の絶縁膜3の下に制御トランジスタのチャネル領域が形成される。制御ゲート電極CG下の絶縁膜3の下の制御トランジスタのチャネル形成領域には、制御トランジスタのしきい値調整用の半導体領域(p型半導体領域またはn型半導体領域)が必要に応じて形成され、メモリゲート電極MG下の絶縁膜5の下のメモリトランジスタのチャネル形成領域には、メモリトランジスタのしきい値調整用の半導体領域(p型半導体領域またはn型半導体領域)が必要に応じて形成されている。
【0048】
制御ゲート電極CGは導電体(導電体膜)からなるが、好ましくはn型ポリシリコン膜(n型不純物を導入した多結晶シリコン膜、ドープトポリシリコン膜)のようなシリコン膜4からなる。シリコン膜4は、n型のシリコン膜であり、n型不純物が導入されて低抵抗率とされている。具体的には、制御ゲート電極CGは、パターニングされたシリコン膜4からなる。
【0049】
メモリゲート電極MGは、シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜からなる。このうち、シリコン膜6aは、ノンドープ(アンドープ)のシリコン膜からなり、シリコン膜6bは、不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜からなる。
【0050】
ここで、ノンドープ(アンドープ)のシリコン膜とは、不純物を意図的には導入(添加、ドープ)していないシリコン膜を意味する。このため、ノンドープ(アンドープ)のシリコン膜と言うときには、意図しない極微量の不純物が含まれる場合を除外するものではない。一方、不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜とは、不純物を意図的に導入(添加、ドープ)したシリコン膜を意味する。
【0051】
従って、シリコン膜6aは、不純物を意図的には導入(添加、ドープ)していないシリコン膜からなり、シリコン膜6bは、不純物を意図的に導入(添加、ドープ)したシリコン膜からなる。シリコン膜6aは、好ましくはノンドープ(アンドープ)のポリシリコン(多結晶シリコン)膜からなり、シリコン膜6bは、好ましくは、不純物が導入(ドープ)されたポリシリコン(多結晶シリコン)膜、すなわちドープトポリシリコン膜からなる。シリコン膜6bに導入する不純物は、n型の不純物(例えばヒ素(As)またはリン(P)など)が好ましいため、シリコン膜6bは、より好ましくは、n型ポリシリコン膜(n型のドープトポリシリコン膜)である。
【0052】
シリコン膜6aは、ノンドープのシリコン膜からなり、シリコン膜6bは、不純物が導入されたシリコン膜からなるため、シリコン膜6bの不純物濃度はシリコン膜6aの不純物濃度よりも高く、シリコン膜6bの抵抗率(比抵抗)はシリコン膜6aの抵抗率(比抵抗)よりも低くなっている。
【0053】
メモリゲート電極MGの上部(上面)と制御ゲート電極CGの上部(上面)とn型半導体領域8a,8bの上面(表面)には、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術などにより、金属シリサイド層(金属シリサイド膜)11が形成されている。金属シリサイド層11は、例えばコバルトシリサイド層またはニッケルシリサイド層などからなる。金属シリサイド層11により、拡散抵抗やコンタクト抵抗を低抵抗化することができる。また、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間のショートをできるだけ防止するという観点から、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの一方または両方の上部に金属シリサイド層11を形成しない場合もあり得る。
【0054】
また、図2に示されるように、コンタクトホールCNTおよびそれを埋めるプラグPGのうち、メモリゲート電極MGに接続するためのコンタクトホールCNT1およびそれを埋めるプラグPG1は、メモリゲートシャント領域1Bにおいて、メモリゲート電極MGのコンタクト部MGaの上部に形成されている。コンタクト部MGaは、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されたメモリゲート電極MGと一体的に形成されている。すなわち、メモリゲート電極MGのうち、コンタクト部MGa以外の部分は、制御ゲート電極CGの一方の側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されており、このサイドウォールスペーサ状に形成されている部分とコンタクト部MGaとは一体的に形成されている。このため、コンタクト部MGaは、メモリゲート電極MGの一部とみなすことができるが、コンタクト部MGaは、不揮発性メモリのメモリセルMCのメモリトランジスタのゲート電極としては機能しない部分である。このため、コンタクト部MGaは、複数のメモリセルMCがアレイ状に配列したメモリセル領域1A以外の領域(例えばメモリセル領域1Aの近傍に配置されたメモリゲートシャント領域1B)に設けることが好ましく、素子分離領域2上に配置することが好ましい。
【0055】
コンタクト部MGaは、絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGの一方の側壁(メモリゲート電極MGが形成されている側の側壁)に隣接する位置から、その隣接する制御ゲート電極CGから離れる方向に延在している。コンタクト部MGaの一部は制御ゲート電極CG上に乗り上げているため、コンタクト部MGaは、制御ゲート電極CG上に位置する部分を有している。すなわち、コンタクト部MGaは、制御ゲート電極CG上から素子分離領域2上にかけて延在している。但し、メモリゲート電極MGのコンタクト部MGaと制御ゲート電極CGの側壁との間には絶縁膜5が介在している。側壁絶縁膜SWは、コンタクト部MGaの側面(側壁)上にも形成されている。また、金属シリサイド層11は、側壁絶縁膜SWで覆われていない領域のコンタクト部MGaの上部(上面)にも形成されている。
【0056】
サイドウォールスペーサ状のメモリゲート電極MGと同様、コンタクト部MGaも、シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜で形成されている。
【0057】
メモリゲート電極MGは、後述するように、半導体基板1上に制御ゲート電極CGを覆うように形成したシリコン膜6a,6bの積層膜をエッチバック(異方性エッチング)し、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してこの積層膜(シリコン膜6a,6bの積層膜)をサイドウォールスペーサ状に残存させることにより、形成されている。このため、コンタクト部MGa以外の部分のメモリゲート電極MGは、サイドウォールスペーサ状に残った積層膜(すなわちシリコン膜6a,6bの積層膜)により形成されている。詳細は後述するが、この積層膜(シリコン膜6a,6bの積層膜)のエッチバック工程において、シリコン膜6b上にレジストパターン(後述のフォトレジストパターンRP1aに対応)を形成しておき、このレジストパターンの下にこの積層膜(シリコン膜6a,6bの積層膜)を残存させることで、メモリゲート電極MGのコンタクト部MGaが形成されている。
【0058】
また、図3に示されるように、不揮発性メモリのメモリセルMCが形成されている半導体基板1と同一の半導体基板1上に、容量素子CPが形成されている。キャパシタ形成領域1Cの容量素子CPについて具体的に説明する。
【0059】
図3に示されるように、キャパシタ形成領域1C全体で、半導体基板1に素子分離領域2が形成されている。図3に示されるように、キャパシタ形成領域1Cの半導体基板1の上部、すなわち素子分離領域2上には、容量素子CPの下部電極(第1電極)LEが形成されている。キャパシタ形成領域1Cの下部電極LEは、メモリセル領域1Aおよびメモリゲートシャント領域1Bの制御ゲート電極CGと同層の導電体膜によって形成されている。すなわち、制御ゲート電極CGと下部電極LEとは、いずれもシリコン膜4(パターニングされたシリコン膜4)によって形成されている。制御ゲート電極CGおよび下部電極LEを構成するシリコン膜4は、n型の不純物が導入されて低抵抗率とされている。
【0060】
メモリセル領域1A、メモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cを含む半導体基板1の主面上にシリコン膜4を形成してから、このシリコン膜4をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法などを用いてパターニングすることで、メモリセル領域1Aおよびメモリゲートシャント領域1Bに制御ゲート電極CGが形成され、キャパシタ形成領域1Cに下部電極LEが形成されている。
【0061】
下部電極LE上には、容量絶縁膜DEを介して上部電極(第2電極)UEが形成されている。この容量絶縁膜DEは、メモリセル領域1Aおよびメモリゲートシャント領域1Bの絶縁膜5と同層の絶縁膜によって形成されている。すなわち、容量素子CPの容量絶縁膜DEは、メモリセルMCのメモリトランジスタのゲート絶縁膜(メモリゲート絶縁膜、ここでは絶縁膜5)と同層の絶縁膜5によって形成されている。換言すれば、容量素子CPの容量絶縁膜DEと、メモリセルMCのメモリトランジスタのゲート絶縁膜(メモリゲート絶縁膜)とは、いずれも絶縁膜5によって形成されている。このため、容量素子CPの容量絶縁膜DEは、酸化シリコン膜5aと、酸化シリコン膜5a上の窒化シリコン膜5bと、窒化シリコン膜5b上の酸化シリコン膜5cとを有する積層膜(すなわち絶縁膜5)からなるが、図3では、図面を見やすくするために、酸化シリコン膜5a、窒化シリコン膜5bおよび酸化シリコン膜5cの積層膜を、単に容量絶縁膜DEとして図示している。
【0062】
容量絶縁膜DEおよび上部電極UEは積層パターンとしてパターン化されており、下部電極LEの少なくとも一部を覆うように形成されている。
【0063】
また、キャパシタ形成領域1Cの上部電極UEは、メモリセル領域1Aおよびメモリゲートシャント領域1Bのメモリゲート電極MGと同層の導電体膜によって形成されている。すなわち、キャパシタ形成領域1Cの上部電極UEは、メモリゲート電極MGを構成するシリコン膜6aと同層のシリコン膜(6a)と、その上に形成され、メモリゲート電極MGを構成するシリコン膜6bと同層のシリコン膜(6b)との積層膜により形成されている。つまり、メモリゲート電極MGと上部電極UEとは、いずれもシリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜によって形成されている。上述したように、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEを構成するシリコン膜6aは、不純物を意図的には導入していないノンドープ(アンドープ)のシリコン膜からなり、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEを構成するシリコン膜6bは、不純物が意図的に導入されたシリコン膜からなる。
【0064】
メモリゲート電極MGおよび上部電極UEは、メモリセル領域1A、メモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cを含む半導体基板1の主面上に制御ゲート電極CGおよび下部電極LEを覆うようにシリコン膜6a,6bの積層膜を形成してから、この積層膜を異方性エッチングすることによって、形成されている。この際、上部電極UEは、この異方性エッチングの前に、積層膜(すなわちシリコン膜6a,6bの積層膜)上にレジストパターン(後述のフォトレジストパターンRP1に対応)を形成しておき、このレジストパターンの下に積層膜(すなわちシリコン膜6a,6bの積層膜)を残すことで、形成されている。このため、上部電極UEは、パターニングされた積層膜(すなわちシリコン膜6a,6bの積層膜)によって形成されている。
【0065】
下部電極LE、容量絶縁膜DEおよび上部電極UEにより、容量素子(PIP型容量素子)CPが形成される。下部電極LEが容量素子CPの一方の電極(第1電極)として機能し、上部電極UEが容量素子CPの他方の電極(第2電極)として機能し、容量絶縁膜DEが容量素子CPの誘電体膜として機能する。側壁絶縁膜SWは、上部電極UEの側面上や、容量絶縁膜DEおよび上部電極UEの積層パターンで覆われていない領域における下部電極LEの側面上にも、形成されている。また、金属シリサイド層11は、側壁絶縁膜SWで覆われていない領域の上部電極UEの上部(上面)と、容量絶縁膜DEおよび上部電極UEの積層パターンで覆われていない領域の下部電極LEの上部(上面)とにも形成されている。
【0066】
なお、容量絶縁膜DEおよび上部電極UEの積層パターンは、下部電極LEの全面を覆っているのではなく、図3とは異なる断面において、下部電極LEの一部は、容量絶縁膜DEおよび上部電極UEの積層パターンで覆われていない状態となっている。これは、容量絶縁膜DEおよび上部電極UEの積層パターンで覆われていない領域の下部電極LEに後述のプラグPGを接続できるようにするためである。
【0067】
容量素子CPは、いわゆるPIP(Polysilicon Insulator Polysilicon)型容量素子である。ここでPIP型容量素子とは、2層のポリシリコン層(ここでは下部電極LEおよび上部電極UE)と、それらの間に挟まれた絶縁膜(ここでは容量絶縁膜DE)とからなる容量素子(ポリシリコン容量素子)である。
【0068】
半導体基板1上には、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、下部電極LE、上部電極UEおよび側壁絶縁膜SWを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜12が形成されている。絶縁膜12は、酸化シリコン膜の単体膜、あるいは、窒化シリコン膜と該窒化シリコン膜上に該窒化シリコン膜よりも厚く形成された酸化シリコン膜との積層膜などからなる。絶縁膜12の上面は平坦化されている。
【0069】
絶縁膜12にはコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNTが形成されており、コンタクトホールCNT内に、導電体部(接続用導体部)として導電性のプラグPGが埋め込まれている。
【0070】
プラグPGは、コンタクトホールCNTの底部および側壁上に形成された薄いバリア導体膜13aと、このバリア導体膜13a上にコンタクトホールCNT埋め込むように形成された主導体膜13bとで形成されている。バリア導体膜13aは、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜とすることができ、主導体膜13bは、タングステン膜とすることができる。
【0071】
コンタクトホールCNTおよびそれに埋め込まれたプラグPGは、n型半導体領域8a,8b、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、下部電極LEおよび上部電極UEの上部などに形成される。コンタクトホールCNTの底部では、半導体基板1の主面の一部、例えばn型半導体領域8a,8b(の表面上の金属シリサイド層11)の一部、制御ゲート電極CG(の表面上の金属シリサイド層11)の一部、メモリゲート電極MGのコンタクト部MGa(の表面上の金属シリサイド層11)の一部、下部電極LE(の表面上の金属シリサイド層11)の一部、上部電極UE(の表面上の金属シリサイド層11)の一部などが露出される。そして、その露出部(コンタクトホールCNTの底部の露出部)にプラグPGが接続される。
【0072】
なお、図1においては、n型半導体領域8b(の表面上の金属シリサイド層11)の一部が、コンタクトホールCNTの底部で露出して、そのコンタクトホールCNTを埋めるプラグPGと電気的に接続された断面が示されている。また、図2においては、メモリゲート電極MGのコンタクト部MGa(の表面上の金属シリサイド層11)が、コンタクトホールCNT(このコンタクトホールCNTをコンタクトホールCNT1と称する)の底部で露出して、そのコンタクトホールCNT1を埋めるプラグPG(このプラグPGをプラグPG1と称する)と電気的に接続された断面が示されている。また、図3においては、上部電極UE(の表面上の金属シリサイド層11)の一部が、コンタクトホールCNTの底部で露出して、そのコンタクトホールCNTを埋めるプラグPGと電気的に接続された断面が示されている。
【0073】
図2に示されるように、コンタクト部MGaにおいて素子分離領域2上に位置して平坦となっている部分の上部にコンタクトホールCNTのうちのコンタクトホールCNT1が形成され、このコンタクトホールCNT1に埋め込まれたプラグPG1が、コンタクト部MGaと電気的に接続されている。プラグPG1は、コンタクトホールCNT1の底部でメモリゲート電極MGのコンタクト部MGaに接して電気的に接続される。メモリゲート電極MGの上部に金属シリサイド層11を形成した場合には、図2に示されるように、コンタクトホールCNT1に埋め込まれたプラグPG1は、コンタクトホールCNT1の底部で、コンタクト部MGa上の金属シリサイド層11に接して電気的に接続され、それによってメモリゲート電極MG(のコンタクト部MGa)に電気的に接続されることになる。
【0074】
プラグPGが埋め込まれた絶縁膜12上には配線(配線層)M1が形成されている。配線M1は、例えばダマシン配線(埋込配線)であり、絶縁膜12上に形成された絶縁膜14に設けられた配線溝に埋め込まれている。配線M1は、プラグPGを介して、メモリトランジスタのソース領域(半導体領域MS)、制御トランジスタのドレイン領域(半導体領域MD)、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、上部電極UEあるいは下部電極LEなどと電気的に接続される。なお、図1においては、配線M1の例として、制御トランジスタのドレイン領域(半導体領域MD)にプラグPGを介して電気的に接続された配線M1aが示され、図2においては、メモリゲート電極MG(のコンタクト部MGa)にプラグPG1を介して電気的に接続された配線M1bが示され、図3においては、上部電極UEにプラグPGを介して電気的に接続された配線M1cが示されている。更に上層の配線および絶縁膜も形成されているが、ここではその図示および説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線(埋込配線)に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0075】
図5は、メモリセルMCの等価回路図である。図6は、本実施の形態の「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。図6の表には、「書込」、「消去」および「読出」時のそれぞれにおいて、図1および図4に示されるようなメモリセル(選択メモリセル)のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmg、ソース領域(半導体領域MS)に印加する電圧Vs、制御ゲート電極CGに印加する電圧Vcg、ドレイン領域(半導体領域MD)に印加する電圧Vd、およびp型ウエルPWに印加される電圧Vbが記載されている。なお、図6の表に示したものは電圧の印加条件の好適な一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。また、本実施の形態では、メモリトランジスタの絶縁膜5中の電荷蓄積層(電荷蓄積部)である窒化シリコン膜5bへの電子の注入を「書込」、ホール(hole:正孔)の注入を「消去」と定義する。
【0076】
書込み方式は、いわゆるSSI(Source Side Injection:ソースサイド注入)方式と呼ばれるホットエレクトロン書込みを用いることができる。例えば図6の「書込」の欄に示されるような電圧を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルの絶縁膜5中の窒化シリコン膜5b中に電子(エレクトロン)を注入する。ホットエレクトロンは、2つのゲート電極(メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG)間の下のチャネル領域(ソース、ドレイン間)で発生し、メモリゲート電極MGの下の絶縁膜5中の電荷蓄積層(電荷蓄積部)である窒化シリコン膜5bにホットエレクトロンが注入される。注入されたホットエレクトロン(電子)は、絶縁膜5中の窒化シリコン膜5b中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する。
【0077】
消去方法は、BTBT(Band-To-Band Tunneling:バンド間トンネル現象)ホットホール注入消去方式を用いることができる。すなわち、BTBT(バンド間トンネル現象)により発生したホール(正孔)を電荷蓄積部(絶縁膜5中の窒化シリコン膜5b)に注入することにより消去を行う。例えば図6の「消去」の欄に示されるような電圧を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加し、BTBT(Band-To-Band Tunneling)現象によりホール(正孔)を発生させ電界加速することで選択メモリセルの絶縁膜5中の窒化シリコン膜5b中にホールを注入し、それによってメモリトランジスタのしきい値電圧を低下させる。
【0078】
読出し時には、例えば図6の「読出」の欄に示されるような電圧を、読出しを行う選択メモリセルの各部位に印加する。読出し時のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを、書込み状態におけるメモリトランジスタのしきい値電圧と消去状態におけるメモリトランジスタのしきい値電圧との間の値にすることで、書込み状態と消去状態とを判別することができる。
【0079】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
【0080】
図7は、本実施の形態の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。図8〜図44は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。このうち、図8〜図10は互いに同じ工程段階に対応し、図11〜図13は互いに同じ工程段階に対応し、図14〜図16は互いに同じ工程段階に対応し、図17〜図21は互いに同じ工程段階に対応し、図22〜図24は互いに同じ工程段階に対応し、図25〜図27は互いに同じ工程段階に対応する。また、図28〜図30は互いに同じ工程段階に対応し、図31および図32は互いに同じ工程段階に対応し、図33〜図35は互いに同じ工程段階に対応し、図36〜図38は互いに同じ工程段階に対応し、図39〜図41は互いに同じ工程段階に対応し、図42〜図44は互いに同じ工程段階に対応する。なお、図8〜図44のうち、図8、図11、図14、図17、図22、図25、図28、図31、図33、図36、図39および図42には、上記図1に対応する断面領域(メモリセル領域1Aの要部断面図)が示されている。また、図8〜図44のうち、図9、図12、図15、図18、図23、図26、図29、図32、図34、図37、図40および図43には、上記図2に対応する断面領域(メモリゲートシャント領域1Bの要部断面図)が示されている。また、図8〜図44のうち、図10、図13、図16、図19、図24、図27、図30、図35、図38、図41および図44には、上記図3に対応する断面領域(キャパシタ形成領域1Cの要部断面図)が示されている。また、図20は、図17の部分拡大断面図であり、図21は、図19の部分拡大断面図である。
【0081】
図8〜図10に示されるように、まず、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を用意(準備)する(図7のステップS1)。それから、半導体基板1の主面に、活性領域を規定(画定)する素子分離領域(素子間分離絶縁領域)2を形成する(図7のステップS2)。素子分離領域2は、酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより形成することができる。例えば、半導体基板1の主面に素子分離用の溝を形成した後、この素子分離用の溝内に、例えば酸化シリコンなどからなる絶縁膜を埋め込むことで、素子分離領域2を形成することができる。メモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cでは、半導体基板1の主面全体に素子分離領域2が形成される。
【0082】
次に、半導体基板1のメモリセル領域1Aにp型ウエルPWを形成する(図7のステップS3)。p型ウエルPWは、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を半導体基板1にイオン注入することなどによって形成することができる。p型ウエルPWは、半導体基板1の主面から所定の深さにわたって形成される。
【0083】
次に、メモリセル領域1Aに後で形成される制御トランジスタのしきい電圧を調整するために、必要に応じて、メモリセル領域1Aのp型ウエルPWの表面部(表層部)に対してチャネルドープイオン注入を行う。
【0084】
次に、希釈フッ酸洗浄などによって半導体基板1(p型ウエルPW)の表面を清浄化した後、図11〜図13に示されるように、半導体基板1の主面(p型ウエルPWの表面)に、ゲート絶縁膜用(制御トランジスタのゲート絶縁膜用)の絶縁膜3を形成する(図7のステップS4)。絶縁膜3は、例えば薄い酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などにより形成することができる。絶縁膜3の膜厚(形成膜厚)は、例えば2〜3nm程度とすることができる。絶縁膜3を熱酸化法により形成した場合には、素子分離領域2上には絶縁膜3は形成されない。
【0085】
次に、半導体基板1の主面全面上に、すなわちメモリセル領域1Aの絶縁膜3上とメモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cの素子分離領域2上とに、制御ゲート電極CG形成用と下部電極LE形成用とを兼ねる導電体膜としてシリコン膜4を形成(堆積)する(図7のステップS5)。
【0086】
シリコン膜4は、多結晶シリコン膜からなり、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。シリコン膜4の膜厚(堆積膜厚)は、例えば100〜200nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜4をアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0087】
シリコン膜4は、n型不純物(例えばヒ素(As)またはリン(P)など)が導入されて低抵抗率とされている。シリコン膜4にn型不純物が導入されるのは、シリコン膜4の成膜時であっても、成膜後であってもよい。シリコン膜の成膜時にn型不純物を導入する場合には、シリコン膜4の成膜用のガスにドーピングガス(n型不純物添加用のガス)を含ませることで、n型不純物が導入されたシリコン膜4を成膜することができる。一方、シリコン膜の成膜後にn型不純物を導入する場合には、意図的には不純物を導入せずにシリコン膜を成膜した後に、このシリコン膜にn型不純物をイオン注入法などで導入することで、n型不純物が導入されたシリコン膜4を形成することができる。いずれにしても、メモリセル領域1A、メモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cに、n型不純物が導入されたシリコン膜4が形成される。
【0088】
次に、図14〜図16に示されるように、メモリセル領域1A、メモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cのシリコン膜4をフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすることにより、制御ゲート電極CGおよび下部電極LEを形成する(図7のステップS6)。このステップS6のパターニング工程は、例えば次のようにして行うことができる。
【0089】
すなわち、シリコン膜4上にフォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターン(ここでは図示しないけれども、制御ゲート電極CG形成予定領域と下部電極LE形成予定領域にこのフォトレジストパターンが形成される)を形成し、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、シリコン膜4をエッチング(ドライエッチング)してパターニングする。その後、このフォトレジストパターンを除去する。
【0090】
このようにして、ステップS6でシリコン膜4がパターニングされ、図14および図15に示されるように、メモリセル領域1Aおよびメモリゲートシャント領域1Bに、パターニングされたシリコン膜4からなる制御ゲート電極CGが形成され、図16に示されるように、キャパシタ形成領域1Cに、パターニングされたシリコン膜4からなる下部電極LEが形成される。制御ゲート電極CGと下部電極LEとは、同層のシリコン膜4からなるが、互いに分離されている。また、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの下に残存する絶縁膜3が、制御トランジスタのゲート絶縁膜となる。従って、シリコン膜4からなる制御ゲート電極CGは、半導体基板1(p型ウエルPW)上にゲート絶縁膜としての絶縁膜3を介して形成された状態となっている。なお、メモリゲートシャント領域1Bにおいては、制御ゲート電極CGは素子分領域2上に形成される。
【0091】
制御ゲート電極CGで覆われた部分以外の絶縁膜3(すなわちゲート絶縁膜となる部分以外の絶縁膜3)は、ステップS6のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0092】
次に、メモリセル領域1Aに後で形成されるメモリトランジスタのしきい電圧を調整するために、必要に応じて、メモリセル領域1Aのp型ウエルPWの表面部(表層部)に対してチャネルドープイオン注入を行う。
【0093】
次に、洗浄処理を行って、半導体基板1の主面を清浄化処理した後、図17〜図21に示されるように、半導体基板1の主面と制御ゲート電極CGの表面(上面および側面)と下部電極LEの表面(上面および側面)上に、メモリトランジスタのゲート絶縁膜用と容量素子の容量絶縁膜用とを兼ねる絶縁膜5を形成する(図7のステップS7)。なお、図20および図21は、それぞれ図17および図19の一部を拡大した部分拡大断面図であり、図20には、メモリセル領域1Aの一部が拡大して示してあり、図21には、キャパシタ形成領域1Cの一部が拡大して示してある。
【0094】
絶縁膜5は、上記のように、内部に電荷蓄積部(電荷蓄積層)を有する絶縁膜であり、絶縁膜として、下から順に形成された酸化シリコン膜5a、窒化シリコン膜5bおよび酸化シリコン膜5cの積層膜からなるが、図面を見やすくするために、図17〜図19では、酸化シリコン膜5a、窒化シリコン膜5bおよび酸化シリコン膜5cの積層膜を、単に絶縁膜5として図示している。従って、実際には、図20および図21に示されるように、絶縁膜5は、酸化シリコン膜(酸化膜)5aと、酸化シリコン膜5a上の窒化シリコン膜(窒化膜)5bと、窒化シリコン膜5b上の酸化シリコン膜(酸化膜)5cとの積層膜からなる。ステップS7において、図17〜図21に示されるように、絶縁膜5は、半導体基板1(p型ウエルPWおよび素子分離領域2を含む)の主面(表面)と制御ゲート電極CGの表面(側面および上面)と下部電極LEの表面(側面および上面)とに形成される(但し制御ゲート電極CGの下部と下部電極LEの下部とには絶縁膜5は形成されない)。また、成膜工程上、素子分離領域2上にも絶縁膜5が形成されることが一般的であるが、素子分離領域2上には絶縁膜5が形成されなくともよい。
【0095】
絶縁膜5のうち、酸化シリコン膜5a,5cは、例えば酸化処理(熱酸化処理)またはCVD法あるいはその組み合わせにより形成することができる。この際の酸化処理(熱酸化処理)には、ISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いることも可能である。絶縁膜5のうち、窒化シリコン膜5bは、例えばCVD法により形成することができる。
【0096】
また、本実施の形態においては、トラップ準位を有する絶縁膜(電荷蓄積層)として、窒化シリコン膜5bを形成しているが、信頼性の面などで窒化シリコン膜が好適であるが、窒化シリコン膜に限定されものではなく、例えば酸化アルミニウム膜(アルミナ)、酸化ハフニウム膜または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する高誘電率膜を電荷蓄積層(電荷蓄積部)として使用することもできる。また、シリコンナノドットで電荷蓄積層(電荷蓄積部)を形成することもできる。
【0097】
絶縁膜5を形成するには、例えば、まず、半導体基板1(p型ウエルPW)の表面上と制御ゲート電極CGの表面(側面および上面)上と下部電極LEの表面(側面および上面)上とに酸化シリコン膜5aを熱酸化法(好ましくはISSG酸化)により形成してから、酸化シリコン膜5a上に窒化シリコン膜5bをCVD法で堆積し、更に窒化シリコン膜5b上に酸化シリコン膜5cをCVD法または熱酸化あるいはその両方で形成する。これにより、酸化シリコン膜5a、窒化シリコン膜5bおよび酸化シリコン膜5cの積層膜からなる絶縁膜5を形成することができる。
【0098】
酸化シリコン膜5aの厚みは、例えば3〜6nm程度とすることができ、窒化シリコン膜5bの厚みは、例えば5〜10nm程度とすることができ、酸化シリコン膜5cの厚みは、例えば4〜7nm程度とすることができる。最後の酸化膜(絶縁膜5のうちの最上層の酸化シリコン膜5c)は、例えば窒化膜(絶縁膜5のうちの中間層の窒化シリコン膜5b)の上層部分を酸化して形成することで、高耐圧膜を形成することもできる。
【0099】
メモリセル領域1Aに形成された絶縁膜5は、後で形成されるメモリゲート電極MGのゲート絶縁膜として機能し、電荷保持(電荷蓄積)機能を有し、また、キャパシタ形成領域1Cに形成された絶縁膜5は、容量素子CPの容量絶縁膜(誘電体膜)として機能する。
【0100】
従って、絶縁膜5は、メモリトランジスタの電荷保持(電荷蓄積)機能を有するゲート絶縁膜として機能できるように、少なくとも3層の積層構造を有し、外側の層(酸化シリコン膜5a,5c)のポテンシャル障壁高さに比べ、内側の層(窒化シリコン膜5b)のポテンシャル障壁高さが低くなる。これは、本実施の形態のように、絶縁膜5を、酸化シリコン膜5aと、酸化シリコン膜5a上の窒化シリコン膜5bと、窒化シリコン膜5b上の酸化シリコン膜5cとを有する積層膜とすることで達成できる。
【0101】
次に、図22〜図24に示されるように、半導体基板1の主面全面上に、すなわち絶縁膜5上に、メモリセル領域1Aおよびメモリゲートシャント領域1Bにおいては制御ゲート電極CGを覆うように、キャパシタ形成領域1Cにおいては下部電極LEを覆うように、シリコン膜6aを形成(堆積)する(図7のステップS8)。それから、図25〜図27に示されるように、半導体基板1の主面全面上に、すなわちシリコン膜6a上に、シリコン膜6bを形成(堆積)する(図7のステップS9)。なお、図22〜図27および以降の図28〜図44でも、上記図17〜図19と同様に、図面を見易くするために、酸化シリコン膜5a、窒化シリコン膜5bおよび酸化シリコン膜5cの積層膜を、単に絶縁膜5として図示している。
【0102】
シリコン膜6aは、多結晶シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。シリコン膜6aの厚さ(堆積膜厚)t1は、好ましくは10〜30nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜6aをアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0103】
シリコン膜6bは、多結晶シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。シリコン膜6bの厚さ(堆積膜厚)t2は、好ましくは20〜40nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜6bをアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。理由は後述するが、シリコン膜6aの厚さ(堆積膜厚)t1よりも、シリコン膜6bの厚さ(堆積膜厚)t2を厚くすること(すなわちt1<t2)が好ましい。
【0104】
シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜は、メモリゲート電極MG形成用と上部電極UE形成用とを兼ねた導電体膜である。ここで、シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜を積層膜6と称することとする。
【0105】
ステップS8で形成されたシリコン膜6aは、ノンドープ(アンドープ)のシリコン膜であり、シリコン膜6aの成膜時に、シリコン膜6aには、不純物は意図的には導入(添加、ドープ)しない。このため、ステップS8のシリコン膜6aの形成(堆積)工程では、シリコン膜6aの成膜用のガスがドーピングガス(不純物添加用のガス)を含まないようにする。また、ステップS8のシリコン膜6aの形成(堆積)工程の後で行う種々のイオン注入工程(例えば後述のステップS13,S15のイオン注入工程)では、シリコン膜6aにできるだけ不純物イオンが導入(注入)されないようにすることが好ましい。
【0106】
一方、ステップS9で形成されたシリコン膜6bは、不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜であり、シリコン膜6bには、不純物が意図的に導入(添加、ドープ)されて低抵抗率とされている。シリコン膜6bに不純物を導入する手法としては、シリコン膜6bの成膜時にシリコン膜6bに不純物を導入する(すなわち不純物が導入されているシリコン膜6bをステップS9で堆積させる)ことが好ましく、この場合、シリコン膜6bの成膜用のガスにドーピングガス(不純物添加用のガス)を含ませればよい。これにより、ノンドープのシリコン膜6aと、不純物が導入されたシリコン膜6bとの積層膜を得ることができる。シリコン膜6bに導入した不純物は、n型の不純物(例えばヒ素(As)またはリン(P)など)が好ましいため、シリコン膜6bは、好ましくは、n型ポリシリコン膜(n型のドープトポリシリコン膜)である。
【0107】
このようにして、メモリセル領域1A、メモリゲートシャント領域1Bおよびキャパシタ形成領域1Cを含む半導体基板1の主面に、シリコン膜6a,6bの積層膜6が形成される。シリコン膜6a,6bを成膜した段階で、シリコン膜6aは、ノンドープのシリコン膜として形成されているのに対して、シリコン膜6bは、n型不純物が導入されたシリコン膜として形成されているので、シリコン膜6bの不純物濃度はシリコン膜6aの不純物濃度よりも高く、かつ、シリコン膜6bの抵抗率(比抵抗)はシリコン膜6aの抵抗率(比抵抗)よりも低くなっている。
【0108】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて、メモリゲートシャント領域1Bにおけるメモリゲート電極MGのコンタクト部MGa形成予定領域のシリコン膜6b上と、キャパシタ形成領域1Cにおける上部電極UE形成予定領域のシリコン膜6b上とに、レジストパターンとしてフォトレジストパターンRP1を形成する。ここで、図26に示されるように、メモリゲートシャント領域1Bにおいてメモリゲート電極MGのコンタクト部MGa形成予定領域に形成されたフォトレジストパターンRP1を、符号RP1aを付してフォトレジストパターンRP1aと称することとする。また、図27に示されるように、キャパシタ形成領域1Cにおいて上部電極UE形成予定領域に形成されたフォトレジストパターンRP1を、符号RP1bを付してフォトレジストパターンRP1bと称することとする。従って、フォトレジストパターンRP1aとフォトレジストパターンRP1bとは、同工程(すなわち同じフォトリソグラフィ工程)で形成された同層のフォトレジストパターンRP1で構成されているが、互いに分離されている。
【0109】
次に、図28〜図30に示されるように、異方性エッチング技術によりシリコン膜6bおよびシリコン膜6aをエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)する(図7のステップS10)。このステップS10のエッチバック工程の後、フォトレジストパターンRP1(すなわちフォトレジストパターンRP1a,RP1b)は除去される。図28〜図30は、フォトレジストパターンRP1を除去する前の段階が示されている。
【0110】
ステップS10のエッチバック工程では、積層膜6の堆積膜厚の分だけ積層膜6(すなわちシリコン膜6bおよびシリコン膜6a)を異方性エッチング(エッチバック)することにより、制御ゲート電極CGの両方の側壁上に絶縁膜5を介して積層膜6をサイドウォールスペーサ状に残し、フォトレジストパターンRP1の下に積層膜6を残し、他の領域の積層膜を除去する。これにより、図28に示されるように、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの両方の側壁のうち、一方の側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサに残存した積層膜6により、メモリゲート電極MGが形成され、また、他方の側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に残存した積層膜6により、シリコンスペーサSP1が形成される。このシリコンスペーサSP1は、シリコンからなるサイドウォールスペーサとみなすこともできる。メモリゲート電極MGとシリコンスペーサSP1とは、制御ゲート電極CGの互いに反対側となる側壁上に形成されており、制御ゲート電極CGを挟んでほぼ対称な構造を有している。
【0111】
また、ステップS10のエッチバック工程では、フォトレジストパターンRP1(すなわちフォトレジストパターンRP1a,RP1b)がエッチングマスクとして機能するため、図30に示されるように、キャパシタ形成領域1Cにおいて、フォトレジストパターン(第1レジストパターン)RP1bの下に、エッチングされずに残存した積層膜6により、上部電極UEが形成される。従って、上部電極UEは、シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜6により形成される。また、図29に示されるように、メモリゲートシャント領域1Bにおいて、フォトレジストパターンRP1aの下に、エッチングされずに残存した積層膜6により、コンタクト部MGaが形成される。ステップS10のエッチバック工程は異方性エッチングであるため、形成されたコンタクト部MGaは、フォトレジストパターンRP1aと同様のパターン形状(平面形状)を有し、また、形成された上部電極UEは、フォトレジストパターンRP1bと同様のパターン形状(平面形状)を有している。
【0112】
ステップS10で形成されたメモリゲート電極MGと半導体基板1(p型ウエルPW)との間およびメモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間には絶縁膜5が介在しており、このメモリゲート電極MGは、絶縁膜5に接するシリコン膜6aと、シリコン膜6aを介して絶縁膜5から離間するシリコン膜6bとで形成されている。
【0113】
ステップS10のエッチバック工程を行った段階で、メモリゲート電極MG(コンタクト部MGaを含む)とシリコンスペーサSP1と上部電極UEとで覆われていない領域の絶縁膜5が露出される。メモリセル領域1Aにおけるメモリゲート電極MGの下の絶縁膜5が、メモリトランジスタのゲート絶縁膜となる。積層膜6の堆積膜厚(すなわちシリコン膜6aの堆積膜厚とシリコン膜6bの堆積膜厚との合計)によってメモリゲート長(メモリゲート電極MGのゲート長)が決まるので、上記ステップS8,S9で堆積するシリコン膜6a,6bの合計の堆積膜厚(すなわちt1+t2)を調整することで、メモリゲート長を調整することができる。
【0114】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、メモリゲート電極MG(コンタクト部MGaを含む)および上部電極UEが覆われかつシリコンスペーサSP1が露出されるようなフォトレジストパターン(図示せず)を半導体基板1上に形成してから、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとしたドライエッチングにより、シリコンスペーサSP1を除去する(図7のステップS11)。その後、このフォトレジストパターンを除去する。図31および図32には、この段階が示されている。
【0115】
ステップS11のエッチング工程により、図31および図32に示されるように、シリコンスペーサSP1が除去されるが、メモリゲート電極MG(コンタクト部MGaを含む)および上部電極UEは、フォトレジストパターンで覆われていたので、エッチングされずに残存する。
【0116】
次に、図33〜図35に示されるように、絶縁膜5のうち、メモリゲート電極MG(コンタクト部MGaを含む)および上部電極UEで覆われずに露出する部分をエッチング(例えばウェットエッチング)によって除去する(図7のステップS12)。この際、メモリセル領域1Aおよびメモリゲートシャント領域1Bにおいて、メモリゲート電極MGの下とメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CG間とに位置する絶縁膜5は、除去されずに残存し、キャパシタ形成領域1Cにおいて、上部電極UEの下に位置する絶縁膜5は、除去されずに残存し、他の領域の絶縁膜5は除去される。キャパシタ形成領域1Cにおいて、上部電極UEの下に残存した絶縁膜5が、容量素子CPの容量絶縁膜DEとなる。
【0117】
次に、イオン注入法などを用いて例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGをイオン注入阻止マスクとして用いて半導体基板1(p型ウエルPW)に導入(ドーピング)することで、n型半導体領域(不純物拡散層)7a,7bを形成する(図7のステップS13)。
【0118】
この際、n型半導体領域7aは、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの側壁(絶縁膜5を介して制御ゲート電極CGと隣合う側とは反対側の側壁)に自己整合して形成され、n型半導体領域7bは、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの側壁(絶縁膜5を介してメモリゲート電極MGと隣合う側とは反対側の側壁)に自己整合して形成される。n型半導体領域7aおよびn型半導体領域7bは、メモリセル領域1Aに形成されるメモリセルのソース・ドレイン領域の一部として機能することができる。n型半導体領域7aとn型半導体領域7bとは、同じイオン注入工程で形成することができるが、異なるイオン注入工程で形成することも可能である。
【0119】
次に、図36〜図38に示されるように、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの側壁(絶縁膜5を介して互いに隣合う側とは反対側の側壁)上に、例えば酸化シリコンなどの絶縁体からなる側壁絶縁膜(サイドウォール、サイドウォールスペーサ)SWを形成する(図7のステップS14)。例えば、半導体基板1の主面全面上に酸化シリコン膜などの絶縁膜を堆積し、この絶縁膜を異方性エッチング(エッチバック)することによって、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの側壁上に選択的にこの絶縁膜を残して、側壁絶縁膜SWを形成することができる。図38に示されるように、側壁絶縁膜SWは、上部電極UEの側壁(側面)上にも形成され得る。
【0120】
次に、イオン注入法などを用いて例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGとそれらの側壁上の側壁絶縁膜SWとをイオン注入阻止マスクとして用いて半導体基板1(p型ウエルPW)に導入(ドーピング)することで、高不純物濃度のn型半導体領域(不純物拡散層)8a,8bを形成する(図7のステップS15)。
【0121】
この際、n型半導体領域8aは、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの側壁上の側壁絶縁膜SWに自己整合して形成され、n型半導体領域8bは、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの側壁上の側壁絶縁膜SWに自己整合して形成される。これにより、LDD構造が形成される。n型半導体領域8aとn型半導体領域8bは、同じイオン注入工程で形成することができるが、異なるイオン注入工程で形成することも可能である。
【0122】
型半導体領域7aとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域8aとにより、メモリトランジスタのソース領域として機能するn型の半導体領域MSが形成され、n型半導体領域7bとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域8bとにより、制御トランジスタ(選択トランジスタ)のドレイン領域として機能するn型の半導体領域MDが形成される。
【0123】
次に、ソースおよびドレイン用のn型の半導体領域MS,MD(n型半導体領域7a,7bおよびn型半導体領域8a,8b)に導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う(図7のステップS16)。
【0124】
このようにして、メモリセル領域1Aに不揮発性メモリのメモリセルMCが形成される。
【0125】
次に、必要に応じてエッチング(例えば希フッ酸などを用いたウェットエッチング)を行って、n型半導体領域8a,8bの上面(表面)と制御ゲート電極CGの上面とメモリゲート電極MGの上面(側壁絶縁膜SWで覆われていない部分)と上部電極UEの上面(側壁絶縁膜SWで覆われていない部分)と下部電極LEの上面(容量絶縁膜DEおよび上部電極UEで覆われていない部分)とを清浄化(露出)させる。このときのエッチングは、自然酸化膜を除去する程度の軽いエッチングとすることができる。
【0126】
次に、図39〜図41に示されるように、サリサイド技術を用いて、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、n型半導体領域8a,8bおよび上部電極UEの上部(上面、表面、上層部)に、それぞれ金属シリサイド層(金属シリサイド膜)11を形成する(図7のステップS17)。金属シリサイド層11を形成したことにより、拡散抵抗やコンタクト抵抗などを低抵抗化することができる。この金属シリサイド層11は、次のようにして形成することができる。
【0127】
まず、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、上部電極UEおよびn型半導体領域8a,8bの上面(表面)上を含む半導体基板1の主面全面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、上部電極UEおよび側壁絶縁膜SWを覆うように、金属膜(図示せず)を形成(堆積)する。この金属膜は、例えばコバルト(Co)膜またはニッケル(Ni)膜などからなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。それから、半導体基板1に対して熱処理を施すことによって、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、上部電極UEおよびn型半導体領域8a,8bの上層部分(表層部分)を上記金属膜と反応させる。これにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、上部電極UEおよびn型半導体領域8a,8bの上部(上面、表面、上層部)に、それぞれ金属シリサイド層11が形成される。金属シリサイド層11は、例えばコバルトシリサイド層(上記金属膜がコバルト膜の場合)またはニッケルシリサイド層(上記金属膜がニッケル膜の場合)とすることができる。その後、未反応の上記金属膜を除去する。図39〜図41にはこの段階の断面図が示されている。また、図41の断面図では示されないが、下部電極LEの上面のうち、上部電極UEおよび容量絶縁膜DEの積層パターンで覆われていない領域には、金属シリサイド層11が形成され得る。
【0128】
次に、図42〜44に示されるように、半導体基板1の主面全面上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、下部電極LE、上部電極UEおよび側壁絶縁膜SWを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)12を形成(堆積)する。絶縁膜12は、酸化シリコン膜の単体膜、あるいは、窒化シリコン膜と該窒化シリコン膜上に該窒化シリコン膜よりも厚く形成された酸化シリコン膜との積層膜などからなり、例えばCVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜12の形成後、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて絶縁膜12の上面を平坦化する。
【0129】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜12上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、絶縁膜12をドライエッチングすることにより、絶縁膜12にコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNTを形成する。
【0130】
次に、コンタクトホールCNT内に、導電体部(接続用導体部)として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。
【0131】
プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜12上に、バリア導体膜13aを形成する。このバリア導体膜13aは、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜とすることができる。それから、このバリア導体膜13a上にタングステン膜などからなる主導体膜13bをコンタクトホールCNTを埋めるように形成し、絶縁膜12上の不要な主導体膜13bおよびバリア導体膜13aをCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。
【0132】
コンタクトホールCNTおよびそれに埋め込まれたプラグPGは、n型半導体領域8a,8b、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、下部電極LEおよび上部電極UEの上部などに形成される。コンタクトホールCNTの底部では、半導体基板1の主面の一部、例えばn型半導体領域8a,8b(の表面上の金属シリサイド層11)の一部、制御ゲート電極CG(の表面上の金属シリサイド層11)の一部、メモリゲート電極MG(の表面上の金属シリサイド層11)の一部、下部電極LE(の表面上の金属シリサイド層11)の一部、上部電極UE(の表面上の金属シリサイド層11)の一部などが露出される。
【0133】
なお、図42においては、n型半導体領域8b(の表面上の金属シリサイド層11)の一部が、コンタクトホールCNTの底部で露出して、そのコンタクトホールCNTを埋めるプラグPGと電気的に接続された断面が示されている。また、図43においては、メモリゲート電極MGのコンタクト部MGa(の表面上の金属シリサイド層11)が、コンタクトホールCNT(このコンタクトホールCNTをコンタクトホールCNT1と称する)の底部で露出して、そのコンタクトホールCNT1を埋めるプラグPG(このプラグPGをプラグPG1と称する)と電気的に接続された断面が示されている。また、図44においては、上部電極UE(の表面上の金属シリサイド層11)の一部が、コンタクトホールCNTの底部で露出して、そのコンタクトホールCNTを埋めるプラグPGと電気的に接続された断面が示されている。
【0134】
次に、上記図1〜図3に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜12上に配線(配線層)M1を形成する。この配線M1を、ダマシン技術(ここではシングルダマシン技術)を用いて形成する場合について説明する。
【0135】
まず、上記図1〜図3に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜12上に絶縁膜(層間絶縁膜)14を形成してから、この絶縁膜14に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて配線溝(絶縁膜14において配線M1が埋め込まれる溝)を形成する。それから、半導体基板1の主面上(すなわち配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜14上)にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成し、続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成し、銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。その後、配線溝内以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去して、銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。配線M1は、絶縁膜14の配線溝に埋め込まれた状態となっている。なお、図面の簡略化のために、上記図1〜図3では、配線M1を構成する銅めっき膜、シード層およびバリア導体膜を一体化して示してある。
【0136】
配線M1は、プラグPGを介して、メモリトランジスタのソース領域(半導体領域MS)、制御トランジスタのドレイン領域(半導体領域MD)、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG(のコンタクト部MGa)、上部電極UEあるいは下部電極LEなどと電気的に接続される。
【0137】
その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線(埋込配線)に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0138】
次に、本実施の形態の特徴と効果について、より詳細に説明する。
【0139】
まず、第1の比較例の半導体装置について説明する。図45および図46は、第1の比較例の半導体装置の要部断面図であり、本実施の形態の上記図1および図2にそれぞれ相当するものである。
【0140】
図45および図46に示される第1の比較例の半導体装置は、不揮発性メモリのメモリセルを有する半導体装置であり、半導体基板101のp型ウエルPW101の上部に、不揮発性メモリセルを構成する制御ゲート電極CG101とメモリゲート電極MG101とが互いに隣合うように形成されている。制御ゲート電極CG101とp型ウエルPW101との間には、ゲート絶縁膜としての絶縁膜103が形成されている。また、メモリゲート電極MG101とp型ウエルPW101との間および制御ゲート電極CG101とメモリゲート電極MG101との間には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸化シリコン膜の積層膜からなる絶縁膜105が形成されている。制御ゲート電極CG101は、n型不純物が導入されて低抵抗率とされたn型ポリシリコン膜104の単体膜により形成されている。メモリゲート電極MG101は、ポリシリコン膜106の単体膜により形成されている。p型ウエルPW101には、ソース領域として機能する半導体領域が、n型半導体領域107aとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域108aとにより形成され、ドレイン領域として機能する半導体領域が、n型半導体領域107bとそれよりも高不純物濃度のn型半導体領域108bとにより形成されている。制御ゲート電極CG101およびメモリゲート電極MG101の互いに隣接する側とは反対側の側壁上には側壁絶縁膜SW101が形成されている。また、n型半導体領域108a,108b、制御ゲート電極CG101およびメモリゲート電極MG101の上部には金属シリサイド層111が形成されている。
【0141】
このような構造の第1の比較例の半導体装置は、次のような課題を有している。
【0142】
メモリゲート電極MG101はポリシリコン膜106の単体膜により形成されているが、メモリゲート電極MG101は、メモリセルアレイ(アレイ状に配列した複数のメモリセル)を形成する際に、長い配線(メモリゲート電極同士を接続する配線)を兼ねるため、低抵抗率であることが望まれる。この観点では、メモリゲート電極MG101を構成するポリシリコン膜106を、n型不純物を導入して低抵抗率とされたn型のドープトポリシリコン膜とすることが好ましい。
【0143】
しかしながら、メモリ素子としての観点からは、メモリゲート電極MG101を構成するポリシリコン膜106の不純物濃度を低くすることが望ましい。これは、メモリゲート電極MG101の不純物濃度が少ない方が、絶縁膜105に隣接するメモリゲート電極MG101の空乏化により、電荷保持時の絶縁膜105近傍のメモリゲート電極MG101における電界が緩和される。これにより、電荷蓄積層(第1の比較例の半導体装置の場合は絶縁膜105中の窒化シリコン膜に対応し、本実施の形態の半導体装置の場合は窒化シリコン膜5bに対応する)からメモリゲート電極MG101に電荷が移動しにくくなり、データが反転する現象を抑制できるため、データ保持(データリテンション)特性の面で有利だからである。
【0144】
このため、メモリゲート電極MG101を構成するポリシリコン膜106にノンドープのポリシリコン膜を用いれば、不揮発性メモリのデータ保持特性を向上することができる。しかしながら、その反面、ノンドープのポリシリコン膜106の単体膜でメモリゲート電極MG101を形成すると、メモリゲート電極MG101全体が高抵抗率となってしまうため、不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を低下させる可能性がある。
【0145】
また、メモリゲート電極MG101の上部にサリサイド技術を用いて金属シリサイド層111を形成することで、メモリゲート電極MG101の抵抗を低下させることが考えられる。しかしながら、図46に示されるように、メモリゲート電極MG101のコンタクト部MG101a(本実施の形態のコンタクト部MGaに相当する部分)には段差があるため、コンタクト部MG101aの段差の側壁(側面)上に側壁絶縁膜SW101(この側壁絶縁膜SW101を側壁絶縁膜SW101aと称する)が形成される。このため、メモリゲート電極MG101の上部に金属シリサイド層111をサリサイド技術で形成したとしても、コンタクト部MG101a上に形成された金属シリサイド層111は、側壁絶縁膜SW101aで分断され、コンタクト部MG101aの段差の側壁上と側壁絶縁膜SW101aの下部とには金属層111は形成されない。このため、メモリゲート電極MG101を構成するポリシリコン膜106をノンドープのポリシリコン膜で形成した場合には、サリサイド技術で金属シリサイド層111を形成したとしても、金属シリサイド層111が形成されずに低抵抗化の効果を得にくい高抵抗領域RG101がコンタクト部MG101aに発生する。
【0146】
この高抵抗領域RG101は、絶縁膜105を介して制御ゲート電極CG101に隣接する領域に発生する。コンタクト部MG101a以外の領域のメモリゲート電極MG101は、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜5を介してサイドウォールスペーサ状に形成されているが、このサイドウォールスペーサ状のメモリゲート電極MG101は、コンタクト部MG101aのこの高抵抗領域RG101に一体的に連結されるため、コンタクト部MG101aに高抵抗領域RG101が存在すると、メモリゲート電極MGの抵抗を高めてしまう。これは、不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を低下させる可能性がある。
【0147】
それに対して、本実施の形態では、上記図1、図2および図4にも示されるように、メモリゲート電極MGを、シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜により形成している。このため、メモリゲート電極MGにおいて、シリコン膜6aおよびシリコン膜6bを、それぞれシリコン領域(第1シリコン領域および第2シリコン領域)とみなすことができる。そして、メモリゲート電極MGは、絶縁膜5に隣接する領域(第1シリコン領域)がシリコン膜6aで構成され、その領域(シリコン膜6aで構成された領域、第1シリコン領域)を介して絶縁膜5から離間する領域(第2シリコン領域)が、シリコン膜6bで構成された状態となっている。従って、メモリゲート電極MGにおいて、シリコン膜6aを、絶縁膜5に隣接する領域(第1シリコン領域)とみなすことができ、シリコン膜6bを、シリコン膜6aで構成された前記領域(第1シリコン領域)を介して絶縁膜5から離間する領域(第2シリコン領域)とみなすことができる。
【0148】
シリコン膜6a,6bの位置を具体的に説明すると、メモリゲート電極MGのシリコン膜6b(第2シリコン領域)と半導体基板1(のp型ウエルPW)との間に、絶縁膜5とメモリゲート電極MGのシリコン膜6a(第1シリコン領域)とが介在し、メモリゲート電極MGのシリコン膜6b(第2シリコン領域)と制御ゲート電極CGとの間には、絶縁膜5とメモリゲート電極MGのシリコン膜6a(第1シリコン領域)とが介在している。メモリゲート電極MGのシリコン膜6b(第2シリコン領域)は、絶縁膜5に接していない。
【0149】
そして、本実施の形態では、シリコン膜6aをノンドープのシリコン膜で形成し、シリコン膜6bを、不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜で形成している。メモリゲート電極MGにおける絶縁膜5に隣接する領域(第1シリコン領域)をノンドープのシリコン膜6aで形成しているため、メモリゲート絶縁膜(ここでは絶縁膜5)に隣接する領域(すなわちシリコン膜6a)は、不純物濃度が低くなっている。このため、メモリゲート絶縁膜(ここでは絶縁膜5)に隣接する領域(すなわちシリコン膜6a)の不純物濃度が低いことで、電荷保持時のメモリゲート絶縁膜(ここでは絶縁膜5)近傍のメモリゲート電極MGにおける電界が緩和され、電荷蓄積層(ここでは窒化シリコン膜5b)からメモリゲート電極MGに電荷が移動しにくくなり、不揮発性メモリのデータ保持特性を向上させることができる。
【0150】
更に、本実施の形態では、メモリゲート電極MGにおいて、シリコン膜6aで構成された領域(第1シリコン領域)を介して絶縁膜5から離間する領域(第2シリコン領域)は、不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜6bで形成しているため、不純物濃度が高く、低抵抗率の状態となっている。このため、メモリゲート電極MGを低抵抗化することができ、不揮発性メモリの動作速度を向上させることができる。また、メモリゲート電極MGは、メモリセルアレイ(アレイ状に配列した複数のメモリセル)を形成する際に、長い配線(メモリゲート電極MGの延在方向に並んだ複数のメモリセルのメモリゲート電極MG同士を接続する配線)を兼ねるが、この配線も低抵抗化することができるため、不揮発性メモリの動作速度を向上させることができる。従って、不揮発性メモリの性能を向上させることができる。
【0151】
また、メモリゲート電極MGの上部にサリサイド技術を用いて金属シリサイド層11を形成することで、メモリゲート電極MGの抵抗を低下させることができるが、この場合、図2に示されるように、メモリゲート電極MGのコンタクト部MGaには段差があるため、コンタクト部MGaの段差の側壁(側面)上に側壁絶縁膜SW(この側壁絶縁膜SWを側壁絶縁膜SWaと称する)が形成される。このため、メモリゲート電極MGの上部に金属シリサイド層11をサリサイド技術で形成したとしても、コンタクト部MGa上に形成された金属シリサイド層11は、側壁絶縁膜SWaで分断され、コンタクト部MGaの段差の側壁上と側壁絶縁膜SWaの下部とには金属シリサイド層11は形成されない。しかしながら、本実施の形態では、シリコン膜6bを不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜としているため、シリコン膜6bは低抵抗率とすることができる。このため、本実施の形態では、たとえコンタクト部MGaの段差の側壁上と側壁絶縁膜SWaの下部とに金属シリサイド層11が形成されなくとも、シリコン膜6bが低抵抗率となっているため、上記図46の第1の比較例の半導体装置のように上記高抵抗領域RG101が発生するのを抑制または防止することができる。従って、メモリゲート電極MGに高抵抗部分が生じるのを抑制または防止でき、不揮発性メモリの動作速度を向上して不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を向上させることができる。
【0152】
このように、本実施の形態では、メモリゲート電極MGをシリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜により形成し、シリコン膜6aをノンドープのシリコン膜とすることで、不揮発性メモリのデータ保持特性を向上させ、シリコン膜6bを不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜とすることで、メモリゲート電極MGの抵抗を低下させている。これにより、不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を向上させることができる。
【0153】
また、電荷蓄積層(ここでは窒化シリコン膜5b)に蓄えた電荷(電子またはホール)がメモリゲート電極MGに移動してデータが反転する現象を抑制してデータ保持特性を向上させる観点からは、図22〜24に示されているシリコン膜6aの厚さ(堆積膜厚)t1は10nm以上であることが好ましい。シリコン膜6aの厚さt1を10nm以上(すなわちt1≧10nm)とすることで、上記現象を的確に抑制してデータ保持特性を的確に向上させることができる。厚さt1は、製造後の本実施の形態の不揮発性メモリセルを示す図1においては、制御ゲート電極CGとシリコン膜6bとの間に形成されたシリコン膜6aのメモリゲート電極MGのゲート長方向の厚さ(膜厚)に相当する。また、メモリゲート電極MGの低抵抗化を図る観点からは、図25〜27に示されているシリコン膜6bの厚さ(堆積膜厚)t2は20nm以上(すなわちt2≧20nm)とすることが好ましい。厚さt2は、製造後の本実施の形態の不揮発性メモリセルを示す図1においては、シリコン膜6bの下面でシリコン膜6aに接する領域のメモリゲート電極MGのゲート長方向の厚さ(膜厚)に相当する。
【0154】
また、シリコン膜6aの厚さt1とシリコン膜6bの厚さt2との合計によってメモリゲート長(メモリゲート電極MGのゲート長)が決まるため、シリコン膜6aとシリコン膜6bとの合計の厚さ(すなわちt1+t2)は、最適なメモリゲート長を得られる寸法に設計される。そして、最適なメモリゲート長に相当する上記合計の厚さ(すなわちt1+t2)をシリコン膜6aの厚さt1とシリコン膜6bの厚さt2とに配分する際に、半分より多くをシリコン膜6bの厚さt2に配分し、残りをシリコン膜6aの厚さt1に配分することが好ましい。すなわち、シリコン膜6aの厚さ(堆積膜厚)t1よりも、シリコン膜6bの厚さ(堆積膜厚)t2を厚くすること(すなわちt1<t2)が好ましい。シリコン膜6aとシリコン膜6bとの合計の厚さ(すなわちt1+t2)に占めるシリコン膜6bの厚みt2の割合が大きいほど、ゲート電極MGの低抵抗化を図る上で有利となるため、シリコン膜6aの厚さ(堆積膜厚)t1よりも、シリコン膜6bの厚さ(堆積膜厚)t2を厚く(すなわちt1<t2)することで、ゲート電極MGを効率的に低抵抗化することができる。また、シリコン膜6aの厚さt1をシリコン膜6bの厚さt2よりも薄く(すなわちt1<t2)しても、上述のようにシリコン膜6aの厚さt1を10nm以上(すなわちt1≧10nm)としておけば、データ保持特性の向上効果を的確に得ることができる。このため、製造後の本実施の形態の不揮発性メモリセルを示す図1において、t1<t2の関係が成り立つことが好ましい。
【0155】
また、本実施の形態では、同じ半導体基板1に不揮発性メモリ(のメモリセルMC)と容量素子CPとが形成(混載)されている。容量素子CPの下部電極LEは、制御ゲート電極CGと同層のシリコン膜4により形成されている。容量素子CPの容量絶縁膜DEは、メモリトランジスタのメモリゲート絶縁膜(メモリセル領域1Aの絶縁膜5)と同層の絶縁膜5により形成されている。容量素子CPの上部電極UEは、メモリゲート電極MGと同層のシリコン膜6a,6bにより形成されている。すなわち、メモリゲート電極MGと上部電極UEとは、いずれも、シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜により形成されている。換言すれば、上記積層膜6(シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜)を、メモリトランジスタのメモリゲートMGと容量素子CPの上部電極UEとに使用している。但し、メモリゲートMGを構成する積層膜6と、上部電極UEを構成する積層膜6とは、上記ステップS8,S9でシリコン膜6a,6bを形成した段階では一体化されていたが、上記ステップS10で分離されるため、製造された半導体装置においては分離されている。
【0156】
本実施の形態とは異なり、上記図45および図46の第1の比較例の半導体装置のように、メモリゲート電極MG101をポリシリコン膜106の単体膜により形成した場合には、容量素子の上部電極(上部電極UEに相当するもの)もポリシリコン膜106の単体膜により形成されることになる。容量素子の電極は低抵抗であることが好ましいため、容量素子の上部電極を構成するポリシリコン膜106を高不純物濃度のドープトポリシリコン膜にしようとすると、メモリゲート電極MG101を構成するポリシリコン膜106も高不純物濃度のポリシリコン膜となるため、データ保持特性の面で不利となる。
【0157】
それに対して、本実施の形態では、容量素子CPの上部電極UEは、上記図3にも示されるように、シリコン膜6aとシリコン膜6a上のシリコン膜6bとの積層膜により形成している。このうち、シリコン膜6aは、ノンドープのシリコン膜からなり、シリコン膜6bは、不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜からなる。上部電極UEの下層部分(下層領域)はノンドープのシリコン膜6aで構成されているが、上部電極UEの上層部分(上層領域)を、不純物が導入(ドープ)されて低抵抗率とされたシリコン膜6bで構成することで、上部電極UEの抵抗を低減することができる。これにより、不揮発性メモリとともに容量素子CPを有する半導体装置の性能を向上させることができる。
【0158】
また、上部電極UEの上部にサリサイド技術を用いて金属シリサイド層11を形成することで、上部電極UEの抵抗を低下させることができるが、この場合、図3に示されるように、下地の下部電極LEを反映して上部電極UEには段差があるため、上部電極UEの段差の側壁(側面)上に側壁絶縁膜SW(この側壁絶縁膜SWを側壁絶縁膜SWbと称する)が形成される。このため、上部電極UEの上部に金属シリサイド層11をサリサイド技術で形成したとしても、上部電極UE上に形成された金属シリサイド層11は、側壁絶縁膜SWbで分断され、上部電極UEの段差の側壁上と側壁絶縁膜SWbの下部とには金属シリサイド層11は形成されない。しかしながら、本実施の形態では、シリコン膜6bを不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜としているため、シリコン膜6bは低抵抗率とすることができる。このため、本実施の形態では、たとえ上部電極UEの段差の側壁上と側壁絶縁膜SWbの下部とに金属シリサイド層11が形成されなくとも、シリコン膜6bが低抵抗率となっているため、シリコン膜6b自身の低抵抗率化により、上部電極UEに高抵抗領域が発生するのを防止することができる。このため、不揮発性メモリとともに容量素子CPを有する半導体装置の性能を向上させることができる。
【0159】
図47は、第2の比較例の半導体装置の要部断面図であり、本実施の形態の上記図1に相当するものである。
【0160】
図47に示される第2の比較例の半導体装置は、メモリゲート電極MG201の構成が、上記図45の第1の比較例の半導体装置と異なっている。それ以外は、図47に示される第2の比較例の半導体装置は、上記図45の第1の比較例の半導体装置とほぼ同様の構造を有しているので、ここではメモリゲート電極MG201以外の説明は省略する。
【0161】
図47に示される第2の比較例の半導体装置は、メモリゲート電極MG201が、ノンドープのポリシリコン膜106aと、不純物が導入(ドープ)されて低抵抗率とされたドープトポリシリコン膜106bとで形成されている。このメモリゲート電極MG201は、次のようにして形成される。
【0162】
p型ウエルPW101上に絶縁膜103を介して制御ゲート電極CG101を形成してから、半導体基板101の主面と制御ゲート電極CG101の表面上に、メモリトランジスタのゲート絶縁膜用の絶縁膜105を形成する。それから、絶縁膜105上に制御ゲート電極CG101を覆うようにノンドープのポリシリコン膜106aを形成してから、このポリシリコン膜106aを異方性エッチング技術によりエッチバックすることで、制御ゲート電極CG101の側壁上に絶縁膜105を介してポリシリコン膜106aをサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域のポリシリコン膜106aを除去する。それから、絶縁膜105上にポリシリコン膜106aを覆うように、不純物が導入(ドープ)されたドープトポリシリコン膜106bを形成してから、このドープトポリシリコン膜106bを異方性エッチング技術によりエッチバックする。このエッチバックにより、制御ゲート電極CG101の側壁上に絶縁膜105およびポリシリコン膜106aを介してドープトポリシリコン膜106bをサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域のドープトポリシリコン膜106bを除去する。これにより、ノンドープのポリシリコン膜106aとドープトポリシリコン膜106bとからなるメモリゲート電極MG201が、制御ゲート電極CG101の側壁上に絶縁膜105を介して形成される。
【0163】
このように、図47に示される第2の比較例の半導体装置では、ノンドープのポリシリコン膜106aを堆積してこのポリシリコン膜106aをエッチバックしてから、ドープトポリシリコン膜106bを堆積してこのドープトポリシリコン膜106bをエッチバックすることで、メモリゲート電極MG201を形成している。このため、メモリゲート電極MG201の下面(絶縁膜105に接する下面)は、制御ゲート電極CGに近い側がノンドープのポリシリコン膜106aで構成され、ソース領域(n型半導体領域107aおよびn型半導体領域108a)に近い側はドープトポリシリコン膜106bで構成された状態となっている。
【0164】
このような第2の比較例の半導体装置は、次のような課題を有している。
【0165】
ポリシリコン膜106aをエッチバックする際に、メモリゲート絶縁膜として使用される部分の絶縁膜105(すなわちメモリゲート電極MG201のうちのドープトポリシリコン膜106bで構成される部分の下部に位置する予定の絶縁膜105)が露出されるため、オーバーエッチングによりダメージを受ける可能性がある。絶縁膜105にこのエッチングダメージが残ったままでドープトポリシリコン膜106bを堆積してこのシリコン膜106bをエッチバックすることでメモリゲート電極MG201を形成した場合には、エッチングダメージが残った絶縁膜105がメモリゲート電極MG201の下部に位置してメモリゲート絶縁膜として使用されるため、不揮発性メモリの信頼性を低下させる可能性がある。
【0166】
そこで、ノンドープのポリシリコン膜106aを堆積してこのポリシリコン膜106aをエッチバックした後で、ドープトポリシリコン膜106bを堆積する前に、エッチングダメージを受けた絶縁膜105のダメージを回復するための再酸化処理を行うことが考えられる。図48は、上記第2の比較例の半導体装置を製造する際に、この再酸化処理を行った場合の要部断面図であり、上記図47と同じ領域が示されている。
【0167】
この再酸化処理を行うことにより、露出する絶縁膜105の表面が再酸化されることにより、メモリゲート絶縁膜(メモリゲート電極MG301の下部の絶縁膜105)におけるエッチングダメージの改善を図ることができるが、この再酸化処理によってポリシリコン膜106aの表面が酸化されて薄い酸化膜(酸化シリコン膜)106cが形成される。この酸化膜106cを除去してからドープトポリシリコン膜106bを形成しようとすると、酸化膜106cを除去する際に絶縁膜105の一部もエッチングされてしまうので、これを防止するためには、酸化膜106cは除去せずに、ドープトポリシリコン膜106bを形成することになる。このため、ポリシリコン膜106aとドープトポリシリコン膜106bとの間に酸化膜106c介在し、この状態でメモリゲート電極MG301が形成されることになり、それが図48に示されている。
【0168】
この場合(図48の場合)には、メモリゲート電極MG301において、ポリシリコン膜106aとドープトポリシリコン膜106bとの間に酸化膜106cが介在するため、ポリシリコン膜106aとドープトポリシリコン膜106bとは、直接接しないため、直接導通が取れない。このため、サリサイド技術でメモリゲート電極MG301の上部に形成した金属シリサイド層111を介して、ポリシリコン膜106aとドープトポリシリコン膜106bとが電気的に接続する必要がある。しかしながら、この場合、メモリゲート電極MG301におけるポリシリコン膜106aで構成される部分とドープトポリシリコン膜106bで構成される部分とが金属シリサイド層111を介して電気的に接続される構成のため、電気的接続の信頼性が低くなり、また、メモリゲート電極MG301の抵抗が高くなりやすい。また、メモリゲート電極MG301を形成するのに、ノンドープのポリシリコン膜106aの堆積工程、ポリシリコン膜106aのエッチバック工程、絶縁膜105の再酸化工程(この際に酸化膜106cが形成される)、ドープトポリシリコン膜106bの堆積工程およびドープトポリシリコン膜106bのエッチバック工程が必要なため、半導体装置の製造工程数が増大し、半導体装置のスループットが低下してしまう。また、ノンドープのポリシリコン膜106aを堆積してこのポリシリコン膜106aをエッチバックした後で、ドープトポリシリコン膜106bを堆積する前に、エッチングダメージを受けた絶縁膜105のダメージを回復するための再酸化処理を行ったとしても、ダメージ回復が十分でない場合には、不揮発性メモリの信頼性の低下が懸念される。
【0169】
それに対して、本実施の形態では、上記ステップS8でシリコン膜6aを形成(堆積)した後、シリコン膜6aをエッチバックすることなく、上記ステップS9でシリコン膜6a上にシリコン膜6bを形成(堆積)し、その後、シリコン膜6a,6bの積層膜6を上記ステップS10で異方性エッチング技術によりエッチバックしている。すなわち、シリコン膜6aとシリコン膜6bとを連続的に成膜してから、このシリコン膜6a,6bの積層膜6を上記ステップS10で異方性エッチングして、メモリゲート電極MGおよび上部電極UEを形成している。上記ステップS8,S9でシリコン膜6a,6bの積層膜6を形成してから、この積層膜6を上記ステップS10でエッチバックしているため、メモリゲート絶縁膜として使用される部分の絶縁膜5(すなわちメモリゲート電極MGの下部に位置する予定の絶縁膜5)は露出されず、エッチングダメージを受けることがない。このため、エッチングダメージを受けていない絶縁膜5がメモリゲート電極MGの下部に位置してメモリゲート絶縁膜として機能するため、不揮発性メモリの信頼性を向上させることができる。
【0170】
また、本実施の形態では、上記ステップS8のシリコン膜6aの堆積工程、上記ステップS9のシリコン膜6bの堆積工程および上記ステップS10の積層膜6(シリコン膜6a,6bの積層膜6)のエッチバック工程により、メモリゲート電極MGを形成することができるため、半導体装置の製造工程数を低減でき、半導体装置のスループットを向上することができる。
【0171】
また、本実施の形態では、メモリゲート電極MGにおけるシリコン膜6aで構成される部分とシリコン膜6bで構成される部分とが直接的に接しているため、シリコン膜6bの不純物濃度を高めたことによるメモリゲート電極MGの抵抗低減効果を、より的確に得ることができる。
【0172】
また、本実施の形態では、メモリゲート電極MGの下面(絶縁膜5に接する下面)は、シリコン膜6aで構成されており、シリコン膜6aよりも不純物濃度が高いシリコン膜6bは、絶縁膜5との間にシリコン膜6aが介在するため、メモリゲート絶縁膜(メモリゲート電極MGの下に位置する絶縁膜5)に接していない構造となっている。すなわち、本実施の形態では、絶縁膜5は、不純物濃度が低いシリコン膜6aと接触するが、不純物濃度が高いシリコン膜6bとは接触していない。従って、不純物濃度が高いシリコン膜6bがメモリゲート絶縁膜(絶縁膜5)に接していない本実施の形態の方が、図47または図48のように不純物濃度が高いドープトポリシリコン膜106bがメモリゲート絶縁膜(絶縁膜105)に接している第2の比較例に比べて、電荷蓄積層(ここでは窒化シリコン膜5b)に蓄えた電荷(電子またはホール)がメモリゲート電極MGに移動してデータが反転する現象を、より確実に抑制できる。このため、本実施の形態では、不揮発性メモリのデータ保持特性を、より確実に向上させることができる。
【0173】
また、書き込み時にSSIを用いた場合、メモリゲート電極MGの下面に形成された電荷蓄積層(ここでは窒化シリコン膜5b)の制御ゲート電極CG近傍に、注入される電子の分布のピークが形成されるため、第2の比較例の半導体装置のように、メモリゲート電極MGの制御ゲート電極CG側の下端部に、不純物濃度が低いシリコン膜6aが形成されることが好ましいが、注入される電子の分布の裾は、絶縁膜5の下面、即ち、メモリゲート電極MGの下面全体にも広がっているため、メモリゲート電極MGの下面全体が不純物濃度が低いシリコン膜6aで形成されている本実施の形態の構造の方が、上記の不揮発性メモリのデータの保持特性をより確実に向上させることができるため、より好ましいと言える。
【0174】
また、本実施の形態においては、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGの不純物濃度が高いシリコン膜6bとの間に、不純物濃度が低いシリコン膜6aが形成されていることで、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間の耐圧が確保され、不揮発性メモリの信頼性を確保することが可能となっている。即ち、メモリゲート電極MGの下面全体が不純物濃度が低いシリコン膜6aで形成されていることに加えて、制御ゲート電極CGと不純物濃度が高いシリコン膜6bとの間に不純物濃度が低いシリコン膜6aが形成されていることで、本実施の形態における半導体装置の性能を向上させ、かつ、信頼性を向上させることが可能となっている。言い換えれば、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間および半導体基板1とメモリゲート電極MGとの間に電荷蓄積層を含む絶縁膜5が形成され、絶縁膜5と不純物濃度が高いシリコン膜6bとの間に不純物濃度が低いシリコン膜6aが形成されていることにより、本実施の形態における半導体装置の性能を向上させ、かつ、信頼性を向上させることが可能となっている。
【0175】
また、上記ステップS8,S9でシリコン膜6a,6bを形成するには、成膜装置のチャンバ(成膜室)内に半導体基板1を配置し、半導体基板1を大気中にさらすことなく、ステップS8のシリコン膜6aの形成(堆積)工程とステップS9のシリコン膜6bの形成(堆積)工程とをin−situ(インサイチュウ)で連続的に行うことができる。例えば、成膜装置のチャンバ内に配置した半導体基板1の主面にシリコン膜6aを形成(堆積)してから、半導体基板1をチャンバから出さずに、チャンバ内の半導体基板1の主面のシリコン膜6a上にシリコン膜6bを形成(堆積)する。この際、シリコン膜6aの形成(堆積)工程からシリコン膜6bの形成(堆積)工程へは、成膜ガス(成膜用のガス)を切換えることによって移行することができる。この場合、ステップS8のシリコン膜6aの形成工程では、ドーピングガス(不純物添加用のガス)を含有しない成膜ガスを用い、ステップS9のシリコン膜6bの形成工程では、ドーピングガス(n型不純物添加用のガス)を含有する成膜ガスを用いればよい。
【0176】
ステップS8のシリコン膜6aの形成(堆積)工程とステップS9のシリコン膜6bの形成(堆積)工程とをin−situで連続的に行った場合には、シリコン膜6a,6bの成膜工程を簡略化することができる。また、シリコン膜6a,6bの成膜時間を短縮することができ、スループットを向上することができる。
【0177】
一方、ステップS8のシリコン膜6aの形成(堆積)工程とステップS9のシリコン膜6bの形成(堆積)工程とを別工程で行うこともできる。例えば、成膜装置のチャンバ内に配置した半導体基板1の主面にシリコン膜6aを形成(堆積)してから、半導体基板1への成膜を一旦停止し、所定の時間が経過してから、半導体基板1の主面のシリコン膜6a上にシリコン膜6bを形成(堆積)する。この際、シリコン膜6aを成膜した後でかつシリコン膜6bを成膜する前に、半導体基板1を成膜装置の外部に取り出すなどして半導体基板1を大気中にさらした場合には、シリコン膜6aの表面に自然酸化膜などの不要な膜が形成され得るため、シリコン膜6bの成膜前にフッ酸などを用いた洗浄処理を行ってシリコン膜6aの表面の不要な膜(自然酸化膜など)を除去することが好ましい。その後、再度成膜装置のチャンバ内に半導体基板1を配置して、半導体基板1の主面のシリコン膜6a上にシリコン膜6bを形成(堆積)すればよい。
【0178】
ステップS8のシリコン膜6aの形成(堆積)工程とステップS9のシリコン膜6bの形成(堆積)工程とを別工程で行った場合には、シリコン膜6aとシリコン膜6bとの間に界面が形成され、この界面が存在すると、シリコン膜6bからシリコン膜6aへの不純物の拡散が抑制されやすい。このため、シリコン膜6bからシリコン膜6aへ不純物が拡散することによるシリコン膜6aの不純物濃度の上昇を、より的確に抑制または防止することができる。
【0179】
図49は、シリコン膜6a,6bの導電型を示す表(説明図)であり、本実施の形態1および後述の実施の形態2,3において、シリコン膜6a,6bの成膜時におけるシリコン膜6a,6bの導電型と、半導体装置の製造後におけるシリコン膜6a,6bの導電型とを表としてまとめてある。図49の表において、「n型」と「n型」とはいずれもn型であるが、「n型」は「n型」よりも不純物濃度が高いことを示す。また、「p型」はp型であるが、「p型」の不純物濃度(p型不純物濃度)は「n型」の不純物濃度(n型不純物濃度)よりも低いことを示す。また、また、メモリトランジスタをpチャネル型MISFETとした場合には、図49において、n型とp型とを反転させればよい。
【0180】
本実施の形態では、ステップS8で形成するシリコン膜6a(成膜時のシリコン膜6a)をノンドープのシリコン膜とするが、その後の種々の加熱工程(特に上記ステップS16の活性化アニール工程)によって、シリコン膜6b中の不純物がシリコン膜6aに拡散することで、シリコン膜6a中に不純物が導入される場合もあり得る。シリコン膜6bからシリコン膜6aへ不純物が拡散した場合には、製造後の半導体装置においては、シリコン膜6aはn型のシリコン膜となる。しかしながら、シリコン膜6b中の不純物がシリコン膜6aに拡散した場合であっても、製造された半導体装置において、シリコン膜6bの不純物濃度がシリコン膜6aの不純物濃度よりも高くなっていれば、すなわち、シリコン膜6bの抵抗率がシリコン膜6aの抵抗率よりも低くなっていれば、上述したデータ保持特性の向上効果と、メモリゲート電極MGの低抵抗化による性能向上効果(例えば動作速度向上効果)とを得ることができる。但し、製造された半導体装置において、シリコン膜6a,6bに不純物が導入された状態でかつシリコン膜6bの不純物濃度がシリコン膜6aの不純物濃度よりも高い状態の場合、シリコン膜6bの導電型とシリコン膜6aの導電型とは同じである(例えばシリコン膜6bがn型の場合にはシリコン膜6aもn型)ことが必要であり、これにより、シリコン膜6aとシリコン膜6bとの間にPN接合が形成されるのを防止できる。
【0181】
なお、データ保持特性の向上効果を高めるためには、シリコン膜6b中の不純物がシリコン膜6aに拡散するのをできるだけ抑制することが好ましく、製造された半導体装置において、シリコン膜6aがノンドープのシリコン膜となっている場合に、データ保持特性の向上効果は最も大きくなる。
【0182】
従って、本実施の形態では、成膜時にシリコン膜6aをノンドープとすることにより、製造された半導体装置において、シリコン膜6aの不純物濃度がシリコン膜6bの不純物濃度よりも低くなっており、より好ましくは、製造された半導体装置において、シリコン膜6aがノンドープのシリコン膜となっている。
【0183】
(実施の形態2)
図49にも示されるように、上記実施の形態1では、ステップS8で形成するシリコン膜6aをノンドープのシリコン膜としていたが、本実施の形態2では、ステップS8で形成するシリコン膜6aを、不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜とする。このため、本実施の形態では、シリコン膜6aには、不純物が意図的に導入(添加、ドープ)されている。シリコン膜6bについては、本実施の形態も上記実施の形態1と同様である。
【0184】
但し、本実施の形態では、ステップS8で形成(堆積)するシリコン膜6aに導入する不純物の導電型は、ステップS9で形成(堆積)するシリコン膜6bに導入する不純物の導電型と同じ(好ましくはn型)にし、かつ、ステップS8で形成(堆積)するシリコン膜6aの不純物濃度は、ステップS9で形成(堆積)するシリコン膜6bの不純物濃度よりも低くする。従って、ステップS8で形成されるシリコン膜6aは、ステップS9で形成されるシリコン膜6bと同じ導電型でかつシリコン膜6bよりも低不純物濃度のシリコン膜である。このため、ステップS9で形成(堆積)するシリコン膜6bの抵抗率は、ステップS8で形成(堆積)するシリコン膜6aの抵抗率よりも低くなっている。
【0185】
シリコン膜6aに不純物を導入する手法としては、シリコン膜6aの成膜時にシリコン膜6aに不純物を導入する(すなわち不純物が導入されているシリコン膜6aをステップS8で堆積させる)ことが好ましく、この場合、シリコン膜6aの成膜用のガスにドーピングガス(不純物添加用のガス)を含ませればよい。シリコン膜6a,6bは、いずれも好ましくはn型のドープトポリシリコン膜(但しシリコン膜6aよりも6bが高不純物濃度)であるが、成膜時にアモルファスシリコン膜(不純物が導入されたアモルファスシリコン膜)であったものを、その後の熱処理で多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)とすることもできる。
【0186】
本実施の形態2の他の構成については、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0187】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができるが、本実施の形態の固有の効果については、後で説明する。
【0188】
(実施の形態3)
図49にも示されるように、本実施の形態3では、ステップS8で形成するシリコン膜6aを、不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜とする。このため、本実施の形態では、シリコン膜6aには、不純物が意図的に導入(添加、ドープ)されている。シリコン膜6bについては、本実施の形態も上記実施の形態1と同様である。
【0189】
但し、本実施の形態では、ステップS8で形成(堆積)するシリコン膜6aに導入する不純物の導電型は、ステップS9で形成(堆積)するシリコン膜6bに導入する不純物の導電型と逆型(好ましくはシリコン膜6aに導入する不純物をp型不純物とし、シリコン膜6bに導入する不純物をn型不純物とする)にする。そして、ステップS8で形成(堆積)するシリコン膜6aの不純物濃度は、ステップS9で形成(堆積)するシリコン膜6bの不純物濃度よりも低くする。従って、ステップS8で形成されたシリコン膜6aは、ステップS9で形成されたシリコン膜6bと逆の導電型でかつシリコン膜6bよりも低不純物濃度のシリコン膜である。
【0190】
シリコン膜6aに不純物を導入する手法としては、シリコン膜6aの成膜時にシリコン膜6aに不純物を導入する(すなわち不純物が導入されているシリコン膜6aをステップS8で堆積させる)ことが好ましく、この場合、シリコン膜6aの成膜用のガスにドーピングガス(不純物添加用のガス)を含ませればよい。シリコン膜6a,6bは、いずれも好ましくはドープトポリシリコン膜(不純物が導入された多結晶シリコン膜)であるが、成膜時にアモルファスシリコン膜(不純物が導入されたアモルファスシリコン膜)であったものを、その後の熱処理で多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)とすることもできる。
【0191】
そして、シリコン膜6a,6bの成膜後、種々の加熱工程(特に上記ステップS16の活性化アニール工程)によってシリコン膜6b中の不純物がシリコン膜6aに拡散することにより、シリコン膜6aはその成膜時にはシリコン膜6bと逆の導電型であったものが、シリコン膜6bと同じ導電型に移行する。例えば、シリコン膜6a,6bを成膜した段階では、シリコン膜6aがp型のドープトポリシリコン膜でかつシリコン膜6bがn型のドープトポリシリコン膜であった(但しシリコン膜6aはシリコン膜6bよりも低不純物濃度)ものが、上記ステップS16の活性化アニールなどでシリコン膜6b中の不純物がシリコン膜6aに拡散することによって、シリコン膜6aがn型のポリシリコン膜となる。このため、成膜時のシリコン膜6aの不純物濃度は、上記ステップS16の活性化アニールなどでシリコン膜6bからシリコン膜6aに拡散する不純物濃度よりも少なくしておくことが必要である。また、本実施の形態では、成膜時にはシリコン膜6aとシリコン膜6bとは逆の導電型であるが、製造された半導体装置においては、シリコン膜6aとシリコン膜6bとが同じ導電型であることが必要であり、これにより、シリコン膜6aとシリコン膜6bとの間にPN接合が形成されるのを防止できる。但し、製造された半導体装置において、シリコン膜6aよりもシリコン膜6bの方が高不純物濃度で低抵抗率であることが必要である。
【0192】
本実施の形態3の他の構成については、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0193】
上記実施の形態1〜3で共通するのは、製造された半導体装置において、シリコン膜6aよりもシリコン膜6bの方が高不純物濃度なことである。すなわち、製造された半導体装置において、メモリゲート電極MGは、絶縁膜5に隣接する第1シリコン領域(シリコン膜6aで形成された領域)と、第1シリコン領域を介して絶縁膜5から離間する第2シリコン領域(シリコン膜6bで形成された領域)とを有し、第1シリコン領域(シリコン膜6aで形成された領域)の不純物濃度は、第2シリコン領域(シリコン膜6bで形成された領域)の不純物濃度よりも低くなっているのである。製造された半導体装置において、第1シリコン領域(シリコン膜6aで形成された領域)の不純物濃度が第2シリコン領域(シリコン膜6bで形成された領域)の不純物濃度よりも低いため、第2シリコン領域(シリコン膜6bで形成された領域)の抵抗率は、第1シリコン領域(シリコン膜6aで形成された領域)の抵抗率よりも低くなっている。製造された半導体装置において、シリコン膜6a(第1シリコン領域)よりもシリコン膜6b(第2シリコン領域)を高不純物濃度で低抵抗率としたことで、上記実施の形態1で説明したように、電荷蓄積層(窒化シリコン膜5b)に蓄えた電荷(電子またはホール)がメモリゲート電極MGに移動してデータが反転する現象を抑制または防止できるため、不揮発性メモリのデータ保持特性を向上させることができる。また、製造された半導体装置において、シリコン膜6a(第1シリコン領域)よりもシリコン膜6b(第2シリコン領域)を高不純物濃度で低抵抗率としたことで、上記実施の形態1で説明したように、メモリゲート電極MGの抵抗を低下させることができ、不揮発性メモリの動作速度を向上させることができる。これにより、不揮発性メモリを有する半導体装置の性能を向上させることができる。
【0194】
その上で、上記実施の形態1のようにシリコン膜6aをノンドープのシリコン膜とした場合には、メモリゲート電極MGにおける絶縁膜5に隣接する領域(すなわちシリコン膜6aで構成される領域)の不純物濃度をより的確に少なくすることができるため、電荷蓄積層(窒化シリコン膜5b)に蓄えた電荷(電子またはホール)がメモリゲート電極MGに移動してデータが反転する現象を防止できる効果を最も大きくすることができる。このため、データ保持特性の向上効果は最も大きい。
【0195】
また、上記実施の形態2のように、シリコン膜6a,6bを不純物が導入(ドープ)されているシリコン膜とし、かつシリコン膜6bよりもシリコン膜6aを低不純物濃度にした場合には、メモリゲート電極MGにおける絶縁膜5に隣接する領域(すなわちシリコン膜6aで構成される領域)の不純物濃度がシリコン膜6bよりも少ないことで、データ保持特性の向上効果を得ることができるが、その効果は上記実施の形態1の方が大きい。しかしながら、シリコン膜6aは不純物が導入(ドープ)されたシリコン膜であるため、容量素子CPの上部電極UEにおける容量絶縁膜DEに隣接する領域(すなわち上部電極UEにおいてシリコン膜6aで構成される領域)はノンドープの領域ではなく不純物が導入(ドープ)された領域(すなわちシリコン膜6a)となっているため、上部電極UEの容量絶縁膜DEに隣接する領域が空乏化してしまうのを抑制できる。このため、この空乏化により容量素子CPの容量が低下して容量値が不安定になるのを抑制しつつ、不揮発性メモリのデータ保持特性を向上させることができる。
【0196】
また、上記実施の形態3のようにシリコン膜6a,6bの成膜時にはシリコン膜6aの導電型をシリコン膜6bの導電型とは逆の導電型とし、かつシリコン膜6bよりもシリコン膜6aを低不純物濃度としておき、上記ステップS16の活性化アニールなどでシリコン膜6bからシリコン膜6aに不純物を拡散させることで、シリコン膜6aの導電型をシリコン膜6bの導電型と同じとした場合には、次のような特有の効果が得られる。
【0197】
すなわち、上記実施の形態1では、成膜時にシリコン膜6aをノンドープのシリコン膜としているが、その後の種々の加熱工程(特に上記ステップS16の活性化アニール)でシリコン膜6bからシリコン膜6aに不純物が拡散してシリコン膜6a中に不純物が導入される可能性がある。ノンドープのシリコン膜6aにシリコン膜6bから不純物が拡散すると、シリコン膜6a中の不純物濃度が増加するため、不純物が増加した分だけ、不揮発性メモリのデータ保持特性の向上効果が低下してしまう可能性がある。それに対して、本実施の形態では、シリコン膜6bに導入される不純物とは逆の導電型の不純物を、シリコン膜6aの成膜時にシリコン膜6aに予め導入(ドープ)しておくことで、シリコン膜6aをノンドープシリコン膜として成膜した場合に比べて、ステップS16の活性化アニールなどでシリコン膜6bからシリコン膜6aに不純物が拡散した後でのシリコン膜6aのシリコン膜6bと同型の不純物濃度を少なくすることが可能である。これにより、シリコン膜6bからシリコン膜6aに不純物が拡散したことによるシリコン膜6a中の実効的なシリコン膜6bと同型の不純物濃度の増加を抑制することができ、不揮発性メモリのデータ保持特性の向上効果を高めることができる。このため、上記実施の形態3は、シリコン膜6a,6bの成膜後、種々の加熱工程(特に上記ステップS16の活性化アニール)によるシリコン膜6bからシリコン膜6aへの不純物の拡散が多い場合に適用すれば、より効果が大きい。
【0198】
なお、上記実施の形態1〜3の半導体装置の製造工程において、上記ステップS16の活性化アニールを行った後には、上記ステップS16の活性化アニールの温度(熱処理温度、アニール温度)よりも高温の熱処理(加熱処理)は行われない。このため、製造された半導体装置におけるシリコン膜6a,6bの各不純物濃度は、上記ステップS16の活性化アニールを行った段階で規定(決定)され、上記ステップS16の活性化アニールを行った後(直後)のシリコン膜6a,6bの各不純物濃度が、製造された半導体装置においても維持されている。このため、上記実施の形態1〜3において、製造された半導体装置におけるシリコン膜6a,6bの各不純物濃度の上述した関係は、上記ステップS16の活性化アニールを行った後のシリコン膜6a,6bの不純物濃度の関係にも適用できる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、上記実施の形態1〜3の不揮発性メモリの制御ゲート電極CGを絶縁膜とシリコン膜4との積層膜で形成する場合について説明する。
【0199】
図50〜図52は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、図50には、不揮発性メモリセル領域1Aの要部断面図が示され、図51、図52には、メモリゲートシャント領域1Bの要部断面図が示されている。
【0200】
本実施の形態における不揮発性メモリのメモリセルは、上述のように、制御ゲート電極CGがシリコン膜4と絶縁膜との積層膜で構成されている。詳しくは、制御ゲート電極CGが、シリコン膜4と絶縁膜15と絶縁膜16との積層膜で構成されている。絶縁膜15は、絶縁膜16より薄く形成され、本実施の形態においては、絶縁膜として酸化シリコン膜で形成されている。一方、絶縁膜16は、本実施の形態においては、窒化シリコン膜で形成されている。絶縁膜15はシリコン膜4上に形成され、絶縁膜16は絶縁膜15上に形成されている。
【0201】
本実施の形態においては、メモリセルの制御ゲート電極CGの上部に絶縁膜15および絶縁膜16が形成されているため、メモリセルの制御ゲート電極CG上には、金属シリサイド層11は形成されない。
【0202】
本実施の形態のメモリセルの他の構成は、上記実施の形態1〜3と同様であるので、その説明は省略する。
【0203】
図51に示されるように、本実施の形態におけるメモリゲートシャント領域1Bにおいては、制御ゲート電極CGがシリコン膜4と絶縁膜15と絶縁膜16との積層膜で構成されている構成が考えられる。
【0204】
一方、図52に示されるように、メモリゲートシャント領域1Bにおいては、本実施の形態で形成される絶縁膜15および絶縁膜16を除去することにより、上記実施の形態1〜3と同じ構成(制御ゲート電極CGを構成するシリコン膜4上に絶縁膜15,16が無い構成)となる場合も考えられる。ただし、図52のようにメモリゲートシャント領域1Bを形成した場合は、シリコン膜4(制御ゲート電極CG)上の絶縁膜15および絶縁膜16が除去された分、メモリセル領域1Aに形成された制御ゲート電極CG(絶縁膜15,16を含む)よりも、メモリゲートシャント領域1Bに形成された制御ゲート電極CG(絶縁膜15,16を含まず)の高さが低くなる。このため、制御ゲート電極CGに乗り上げる状態でコンタクト部MGaを形成しても、図52の場合(メモリゲートシャント領域1Bで絶縁膜15,16が除去されている場合)には、絶縁膜15,16が除去された分メモリゲートシャント領域1Bに形成される素子の高さが低くなるので、図51の場合(メモリセル領域1Aだけでなくメモリゲートシャント領域1Bでも制御ゲート電極CGの上部に絶縁膜15,16が存在する場合)に比べて、絶縁膜12の形成膜厚を薄くすることができる。このため、コンタクトホールCNTを形成する際に、形状異常を発生させることなく、所望のコンタクトホールCNTを形成することができ、半導体装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0205】
図51、図52どちらの場合においても、図面では、制御ゲート電極CGが延在する方向に垂直な方向にコンタクト部MGaが延在しているが、レイアウトによっては、制御ゲート電極CGが延在する方向と同じ方向にコンタクト部MGaが延在するように形成してもよい。メモリゲートシャント領域におけるその他の構成は、上記実施の形態1〜3と同様であるので、その説明を省略する。
【0206】
キャパシタ形成領域1Cに形成される容量素子CPの構成は、前実施の形態1〜3と同じ構成となる。これは、図52の場合と同様に、キャパシタ形成領域1Cでは下部電極LE上部に形成された絶縁膜15および絶縁膜16を除去するからである。そうすることにより、下部電極LEと上部電極UEとの間に形成される絶縁膜の膜厚が薄くなり、前実施の形態1〜3と同様に、絶縁膜5と同層の容量絶縁膜DEのみとなるため、絶縁膜15および絶縁膜16を形成することによる容量素子CPの容量の減少を回避することが可能となり、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0207】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、図7のプロセスフローにおけるステップS5とステップS6との間に絶縁膜15および絶縁膜16を形成する工程が追加され、ステップS6において、シリコン膜4と同時に、絶縁膜15および絶縁膜16もパターニングし、ステップS6とステップS7の間に、絶縁膜15および絶縁膜16を除去すべき領域において、適宜除去(絶縁膜16および絶縁膜15の除去)を行う。本実施の形態の半導体装置の他の製造工程は、図7のプロセスフローと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0208】
本実施の形態においても、上記実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができる。
【0209】
また、それに加えて、本実施の形態では、制御ゲート電極CGをシリコン膜4と絶縁膜15と絶縁膜16との積層膜で形成するため、シリコン膜4を実施の形態1〜3よりも薄く形成した場合においても、制御ゲート電極CGの側壁にサイドウォールスペーサ状に形成されるメモリゲート電極MGの高さを確保することができるため、メモリゲート電極MGをシリコン膜6aおよびシリコン膜6bの2層のポリシリコン層により形成することが容易となるという効果も有する。
【0210】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0211】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に適用して有効である。
【符号の説明】
【0212】
1 半導体基板
1A メモリセル領域
1B メモリゲートシャント領域
1C キャパシタ形成領域
2 素子分離領域
3 絶縁膜
4 シリコン膜
5 絶縁膜
5a,5c 酸化シリコン膜
5b 窒化シリコン膜
6 積層膜
6a,6b シリコン膜
7a,7b n型半導体領域
8a,8b n型半導体領域
11 金属シリサイド層
12 絶縁膜
13a バリア導体膜
13b 主導体膜
14 絶縁膜
CP 容量素子
CG 制御ゲート電極
CNT コンタクトホール
DE 容量絶縁膜
LE 下部電極
M1 配線
MC メモリセル
MD,MS 半導体領域
MG メモリゲート電極
PG プラグ
PW p型ウエル
RG101 高抵抗領域
SP1 シリコンスペーサ
SW 側壁絶縁膜
UE 上部電極
15 絶縁膜
16 絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上部に形成された第1ゲート電極と、
前記半導体基板の上部に形成され、前記第1ゲート電極と隣合う第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極と前記半導体基板との間に形成された第1絶縁膜と、
前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間および前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間に形成された第2絶縁膜であって、その内部に電荷蓄積部を有する前記第2絶縁膜と、
を有し、
前記第2ゲート電極は、前記第2絶縁膜に隣接する第1シリコン領域と、前記第1シリコン領域を介して前記第2絶縁膜から離間する第2シリコン領域とを有し、
前記第1シリコン領域の不純物濃度は、前記第2シリコン領域の不純物濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2シリコン領域の抵抗率は、前記第1シリコン領域の抵抗率よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第2ゲート電極の前記第2シリコン領域と前記半導体基板との間には、前記第2絶縁膜および前記第2ゲート電極の前記第1シリコン領域が介在し、
前記第2ゲート電極の前記第2シリコン領域と前記第1ゲート電極との間には、前記第2絶縁膜および前記第2ゲート電極の前記第1シリコン領域が介在していることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記第2シリコン領域は、前記第2絶縁膜に接していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記第1シリコン領域は第1シリコン膜により形成され、
前記第2シリコン領域は前記第1シリコン膜よりも高不純物濃度の第2シリコン膜により形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
前記第1シリコン膜と前記第2シリコン膜とは、同じ導電型であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置において、
前記第1シリコン膜は、ノンドープのシリコン膜からなり、
前記第2シリコン膜は、不純物が導入されたシリコン膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2ゲート電極の上部に金属シリサイド層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体装置は、不揮発性メモリを有し、
前記第1および第2ゲート電極は、前記不揮発性メモリを構成するゲート電極であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項5記載の半導体装置において、
前記半導体基板の上部に形成された第1電極と、前記第1電極上に容量絶縁膜を介して形成された第2電極とを有する容量素子を更に有し、
前記容量絶縁膜は、前記第2絶縁膜と同層の絶縁膜により形成され、
前記第1電極は、前記第1ゲート電極と同層の導電体膜により形成され、
前記第2電極は、前記第1シリコン膜と同層のシリコン膜と、その上に形成された、前記第2シリコン膜と同層のシリコン膜との積層膜により形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1ゲート電極と前記第2シリコン領域との間に形成された前記第1シリコン領域の前記第2ゲート電極のゲート長方向の厚さをt1とし、
前記第2シリコン領域の下面で、前記第1シリコン領域と接する領域の前記第2ゲート電極のゲート長方向の厚さをt2としたとき、
前記t1と前記t2の間には、t1<t2の関係が成り立つことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
半導体基板と、
前記半導体基板の上部に形成され、互いに隣合う第1ゲート電極および第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極と前記半導体基板との間に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間に形成され、内部に電荷蓄積部を有する第2ゲート絶縁膜と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板の主面に前記第1ゲート絶縁膜用の第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記第1絶縁膜上に前記第1ゲート電極用の第1導電体膜を形成する工程、
(d)前記第1導電体膜をパターニングして前記第1ゲート電極を形成する工程、
(e)前記半導体基板の主面と前記第1ゲート電極の表面に、前記第2ゲート絶縁膜用でかつ内部に電荷蓄積部を有する第2絶縁膜を形成する工程、
(f)前記第2絶縁膜上に第1シリコン膜を形成する工程、
(g)前記第1シリコン膜上に第2シリコン膜を形成する工程、
(h)前記第2シリコン膜および前記第1シリコン膜の積層膜をエッチバックすることで、前記第1ゲート電極の側壁上に前記第2絶縁膜を介して前記積層膜を残して前記第2ゲート電極を形成する工程、
を有し、
前記(f)工程で形成された前記第1シリコン膜の不純物濃度よりも、前記(g)工程で形成された前記第2シリコン膜の不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程で形成された前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間および前記第2ゲート電極と前記第1ゲート電極との間には、前記第2絶縁膜が介在し、
前記(h)工程で形成された前記第2ゲート電極は、前記第2絶縁膜に接する前記第1シリコン膜と、前記第1シリコン膜を介して前記第2絶縁膜から離間する前記第2シリコン膜とで形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記第1シリコン膜は、ノンドープのシリコン膜からなり、
前記(g)工程で形成された前記第2シリコン膜は、不純物が導入されたシリコン膜からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記第1シリコン膜は、不純物が導入された前記第1シリコン膜からなり、
前記(g)工程で形成された前記第2シリコン膜は、不純物が導入された前記第2シリコン膜からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記第1シリコン膜に導入された不純物の導電型と、前記(g)工程で形成された前記第2シリコン膜に導入された不純物の導電型とが、同じであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成された前記第1シリコン膜に導入された不純物の導電型と、前記(g)工程で形成された前記第2シリコン膜に導入された不純物の導電型とが、逆であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程後に、
(i)イオン注入により前記半導体基板にソースまたはドレイン用の半導体領域を形成する工程、
(j)前記(i)工程後、前記ソースまたはドレイン用の半導体領域に導入された不純物を活性化させる熱処理を行う工程、
を更に有し、
前記(j)工程後、前記第2シリコン膜と前記第1シリコン膜の導電型とが同じであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)では、前記第1導電体膜をパターニングして前記第1ゲート電極と容量素子の下部電極とを形成し、
前記(e)工程では、前記半導体基板の主面と前記第1ゲート電極および前記下部電極の表面に前記第2絶縁膜を形成し、
前記(g)工程後で前記(h)工程前に、
(g1)前記第2シリコン膜上に第1レジストパターンを形成する工程、
を更に有し、
前記(h)工程では、前記第1レジストパターンをエッチングマスクとして前記第2シリコン膜および前記第1シリコン膜をエッチバックすることで、前記第1レジストパターンの下に前記積層膜を残して前記容量素子の上部電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で形成する前記第1シリコン膜の膜厚をt1とし、
前記(g)工程で形成する前記第2シリコン膜の膜厚をt2としたとき、
前記t1と前記t2の間には、t1<t2の関係が成り立つことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程と前記(g)工程は連続的に行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2011−210777(P2011−210777A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74544(P2010−74544)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】