説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】積層される半導体基板同士が、貫通孔の内部に埋め込まれる導電体により、電気的に良好に接続される半導体装置を提供する。
【解決手段】第1半導体基板SCPは、主表面を有する基板SUBと、基板SUB内および基板SUB上に形成された半導体素子TRと、半導体素子TRに電気的に接続された配線MTLと、基板SUBの主表面であり、互いに対向する第1主面と第2主面とを貫通し、配線MTLに達する貫通孔の内部に形成された導電層TSVとを有する。第1半導体基板SCPと第2半導体基板SCPとが積層され、導電層TSVは第2半導体基板SCPの配線MTLと電気的に接続される。導電層TSVの第2主面では、貫通孔の端部の周囲には凹部DUMが形成され、凹部DUMの底壁面は基板SUBの内部に存在する。導電層TSVを構成する導電材料CUが凹部DUMの内部に充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、より特定的には、多層配線構造を有する半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの配線の最小幅が約100nm以下になるなど微細化が進むにしたがって、多層配線技術におけるRC(Resistance-Capacitance)遅延がデバイス特性に与える影響が深刻な問題になっている。半導体デバイスが多数組み込まれた半導体チップを複数積層する際の、たとえば外部素子との電気的な接続方法として、従来からワイヤボンディング技術が用いられる。しかし、ワイヤボンディングによる接続では、上記のRC遅延のような問題を解決することが困難になっている。
【0003】
そこで、半導体チップを構成する基板に貫通孔を形成して、当該貫通孔に導電体を埋め込み、基板の互いに対向する一方の主表面と他方の主表面とを電気的に接続することが可能な電極を形成する。このような基板を積層することで、半導体チップ同士を直接電気的に接続する。以上に示す、貫通孔に導電体が埋め込まれた構成のTSV(Through-Si-Via)が提案されている。
【0004】
たとえば特開2009−158764号公報(特許文献1)には、TSVが形成された半導体基板が積層された積層型半導体装置が開示されている。特開2009−158764号公報においては、薄くなった半導体基板が、製造工程において周辺部にチッピングを形成する不具合を抑制するために、回路領域よりも周辺部に高密度のダミーバンプ(ダミーのTSV)が形成される。このことにより、ダミーバンプと他のウェハとが高い接合力にて接合され、周辺部における強度が高くなり、チッピングの発生が少なくなる旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−158764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコンからなる基板に形成された貫通孔の内部を導電体で埋め込むことにより、良好な電気特性および信頼性を有するTSVを形成することが要求される。TSVの内部に銅などの導電体を埋め込む技術として、電解めっき技術が有力な手段として挙げられる。具体的には、平面視において1μm以上100μm以下のオーダーの径を有し、高アスペクト比(ARが3以上)を有するTSVの内部への銅の埋め込みが、電解めっきにて安定かつ確実になされることが望ましい。
【0007】
しかしながら、TSVの内部に導電体を埋め込む場合、TSVのパターンの周辺部におけるパターンのレイアウトが、電解めっき技術にてTSVの内部に埋め込まれる導電体の性能に大きな影響を与えると考えられる。特開2009−158764号公報には、この点についての開示がなされていない。このため、特開2009−158764号公報のTSVは、その内部の導電体の、TSVとの密着性が劣る可能性がある。その結果、当該基板を積層してなる半導体装置の導電性が劣化する可能性がある。
【0008】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものである。その目的は、積層される半導体基板同士が、貫通孔の内部に埋め込まれる導電体により、電気的に良好に接続される半導体装置、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例による、複数の半導体基板が積層された半導体装置は以下の構成を備えている。上記半導体基板のうち第1半導体基板は、主表面を有する基板と、基板内および基板上に形成された第1半導体素子と、半導体素子に電気的に接続された第1配線と、基板の主表面であり、互いに対向する第1主面と第2主面とを貫通し、第1配線に達する貫通孔の内部に形成された導電層とを有している。上記半導体基板のうち、第1半導体基板に直接積層される第2半導体基板は、第2半導体素子と、第2配線とを有する。上記導電層は第2半導体基板の第2配線と電気的に接続される。上記第1半導体基板の第2主面では、貫通孔の端部の周囲には凹部が形成される。上記凹部の底壁面は基板の内部に存在する。上記導電層を構成する導電材料が凹部の内部に充填される。
【0010】
本発明の一実施例による半導体装置の製造方法は以下の工程を備えている。まず主表面を有する基板と、基板内および基板上に形成された第1半導体素子と、第1半導体素子と電気的に接続された第1配線とを有する第1半導体基板が準備される。上記基板の主表面であり、互いに対向する第1主面と第2主面とを貫通し、第1配線に達する貫通孔および、第2主面に設けられる貫通孔の一方の端部の周囲に凹部が形成される。上記貫通孔および凹部の内部を充填する導電層が形成される。第2半導体素子と第2配線とを有する第2半導体基板が準備される。上記第1半導体基板と、第2半導体基板とが積層される。上記導電層と、第2半導体基板の第2配線とが、互いに電気的に接続される。上記凹部の底壁面は基板の内部に存在する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置は、半導体基板の第1主面と第2主面とを貫通する導電層の端部の周囲に形成される凹部により、導電層の内部への導電体の充填をより均一になすことができる。このため互いに積層される第1半導体基板と第2半導体基板とが高品質な導電層により導通された半導体装置を提供することができる。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法を用いれば、半導体基板の第1主面と第2主面とを貫通する貫通孔の端部の周囲に形成される凹部により、当該貫通孔を充填する導電層をより均一にすることができる。このため互いに積層される第1半導体基板と第2半導体基板とが高品質な導電層により導通された半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の半導体チップの構成を示す概略平面図である。
【図3】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の一例を示す概略平面図である。
【図4】図3中の点線で囲んだ領域「IV」の拡大概略平面図である。
【図5】図3のV−V線に沿う部分における概略断面図である。
【図6】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の第1変形例を示す概略平面図である。
【図7】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の第2変形例を示す概略平面図である。
【図8】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の第3変形例を示す概略平面図である。
【図9】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の第4変形例を示す概略平面図である。
【図10】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の第5変形例を示す概略平面図である。
【図11】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の第6変形例を示す概略平面図である。
【図12】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の第7変形例を示す概略平面図である。
【図13】1つの導通ビアと、その周囲のダミービアとの形状および位置関係の第8変形例を示す概略平面図である。
【図14】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図15】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図16】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図17】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図18】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図19】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
【図20】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
【図21】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第8工程を示す概略断面図である。
【図22】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第1工程を詳細に示す概略断面図である。
【図23】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第2工程を詳細に示す概略断面図である。
【図24】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第3工程を詳細に示す概略断面図である。
【図25】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第4工程を詳細に示す概略断面図である。
【図26】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第5工程を詳細に示す概略断面図である。
【図27】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第6工程を詳細に示す概略断面図である。
【図28】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第7工程を詳細に示す概略断面図である。
【図29】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第8工程を詳細に示す概略断面図である。
【図30】本発明の実施の形態1における導通ビアの製造方法の第9工程を詳細に示す概略断面図である。
【図31】図5の概略断面図との比較用の、ダミービアが形成されない導通ビアの構成を示す概略断面図である。
【図32】図1の概略断面図との比較用の半導体装置の多層配線構造の構成を示す概略断面図である。
【図33】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図34】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図35】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図36】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図37】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図38】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
【図39】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
【図40】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図41】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図42】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図43】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図44】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図45】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
【図46】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態に係る半導体装置は、パッケージ基板PSUBと、複数の半導体チップSCPと、樹脂材料RESとを備えるICパッケージである。複数の半導体チップSCPが積層された多層構造が、パッケージ基板PSUBの一方の主表面上に配置される。パッケージ基板PSUB上に配置された半導体チップSCPは、樹脂材料RESに覆われる。
【0015】
パッケージ基板PSUBは、ICパッケージの土台としての基板である。半導体チップSCPは、たとえば半導体メモリなどを構成する回路が組み込まれた基板である。樹脂材料RESは、半導体チップSCPやパッケージ基板PSUBを外部の異物などから保護する役割を有する。
【0016】
半導体チップSCPとパッケージ基板PSUBとは、たとえばシリコンの単結晶からなる。半導体チップSCPとパッケージ基板PSUBとは、ワイヤボンディングWBDや接続部CONにより電気的に接続されている。ワイヤボンディングWBDは、半導体チップSCPとパッケージ基板PSUBとの端子部EEを互いに電気的に接続する。またパッケージ基板PSUBの下部にははんだボールBALLが形成されている。はんだボールBALLは、当該ICパッケージをプリント基板などの主表面上に実装するために、電気的に接続する部分である。
【0017】
図2を参照して、半導体チップSCPは、本体回路部と、積層配線部とを有している。半導体チップSCPの主表面上において、本体回路部を取り囲むように積層配線部が配置されている。本体回路部には、多数の集積回路DEVが形成されている。集積回路DEVは、半導体チップSCPを駆動するための主要な回路部分である。
【0018】
積層配線部には、距離を隔てて複数の導通ビアTSV(導電層)が形成されている。導通ビアTSVは、半導体チップSCPを貫通する貫通孔の内部が、導電体により充填された構成を有する。当該導電体は具体的には、たとえば銅、タングステン、アルミニウム、ニッケル、金、銀、錫、鉛などの金属材料が用いられることが好ましい。複数の半導体チップSCPと導通ビアTSVとは、マイクロバンプMBPとにより、互いに機械的にかつ電気的に接続される。マイクロバンプMBPとは、導通ビアTSVと半導体チップSCPの主表面とが平面視において重なる位置に配置された、接続用の金属部材である。
【0019】
図3を参照して、各々の導通ビアTSVは、たとえば一辺の長さがLの正方形の平面形状を有する。そして平面視における各々の導通ビアTSVの端部(導通ビアTSVの延在する方向に関する端部で、半導体チップSCPの表面近傍)が露出する表面において、導通ビアTSVの周囲にはダミービアDUMが配置される。
【0020】
図4を参照して、ダミービアDUMは、たとえば一辺の長さがL1の正方形の平面形状を有する。そして隣り合うダミービアDUM同士の距離や、導通ビアTSVとダミービアDUMとの距離はG1である。
【0021】
なお、L1の長さはLの長さの1/10以下であることが好ましく、G1の長さはL1/2以上であることが好ましい。
【0022】
図5を参照して、1つの導通ビアTSVと、複数のダミービアDUMとの内部は同一の導電体CU(導電材料)により充填される。そして導通ビアTSVとダミービアDUMとの内部を充填する導電体CUは、導通ビアTSVの上部において導通ビアTSVとダミービアDUMとを連続するように配置されている。つまり導通ビアTSVの内部とダミービアDUMの内部とは導電体CUにより互いに電気的に接続されている。
【0023】
半導体チップSCPを構成する基板SUBの内部に形成される導通ビアTSVとダミービアDUMとの内壁面(側壁面および底壁面)には、絶縁膜IFとバリアメタルBRLが形成されている。ただし導通ビアTSVの底壁面にはバリアメタルBRLのみが形成されている。これは図5においては説明用に基板SUBの内部に導通ビアTSVの底壁面が配置されるが、実際には導通ビアTSVの底壁面は他の配線と電気的に接続されるためである。
【0024】
絶縁膜IFおよびバリアメタルBRLは、導通ビアTSVとダミービアDUMとを結ぶ表面上にも(導電体CUと同様に)導通ビアTSVとダミービアDUMとを互いに連続するように形成されている。このように導通ビアTSVやダミービアDUMの外部に形成される絶縁膜IFやバリアメタルBRLは、導電体CUの基板SUBなどの内部への拡散を防止する拡散防止膜ADFである。
【0025】
以上のように、導電体CUやバリアメタルBRLなどは、断面図において櫛形の形状となるように形成される。
【0026】
当該基板SUBは、他の半導体チップSCPと、マイクロバンプMBPにより互いに電気的に接続される。マイクロバンプMBPはアンダーバンプメタルUBMという金属層の上に形成されることが好ましい。またマイクロバンプMBPは、平面視において導通ビアTSVとダミービアDUMとの表面の全面を覆うように配置されることが好ましい。
【0027】
導通ビアTSVやダミービアDUMが正方形の平面形状を有する場合には、ダミービアDUMが導通ビアTSVの中央部(中心)に対して点対称の位置となるように配置されることが好ましい。つまりダミービアDUMは、平面視における導通ビアTSVの端部の中央部を中心とした点対称となるように配置される。
【0028】
ダミービアDUMを導通ビアTSVの中心に対して点対称の位置とするためには、たとえば図6に示すように、導通ビアTSVの各辺に沿うように、配置してもよいし、図7に示すように、導通ビアTSVの各辺の一部のみ(中央付近のみ)に配置してもよい。あるいは図8に示すように、導通ビアTSVの各辺の端部付近にのみ配置されてもよい。導通ビアTSVの各辺に沿うように配置されるダミービアDUMの数は1または2以上の任意の数とすることができる。
【0029】
なお図6〜図8のようにダミービアDUMが形成される場合においても、ダミービアDUMがなす正方形の一辺の長さL1(図4参照)は、導通ビアTSVがなす正方形の一辺の長さL(図3参照)の1/10以下であることが好ましい。また隣り合うダミービアDUM同士の距離G1(図4参照)などはL1/2以上であることが好ましい。
【0030】
しかし導通ビアTSVやダミービアDUMが取りうる平面形状は、正方形に限られない。たとえば円形、正偶数方形(正六角形や正八角形など)、平行四辺形などの、中心に対して点対称を有する平面形状を有していてもよい。図9を参照して、たとえば導通ビアTSVやダミービアDUMが円形の平面形状を有する場合には、導通ビアTSVの中心から一定距離の領域に、円周に沿った方向に関して互いに等間隔にダミービアDUMが配置されることが好ましい。この場合も、ダミービアDUMは導通ビアTSVの中心に対して点対称の位置となるように配置される。
【0031】
図9の場合、ダミービアDUMの直径R1は、導通ビアTSVの直径Rの1/10以下であることが好ましい。また隣り合うダミービアDUM同士の距離や、導通ビアTSVとダミービアDUMとの距離はR1/2以上であることが好ましい。
【0032】
図10〜図11を参照して、導通ビアTSVの周囲に、ダミートレンチDUMTが形成された構成であってもよい。ダミートレンチDUMTは、断面図においてダミービアDUMと同様の凹部をなす形状であるが、平面形状が長方形である点において、ダミービアDUMと異なる。
【0033】
ダミートレンチDUMTがなす長方形の短辺の長さL1は、導通ビアTSVの一辺の長さLの1/10以下であることが好ましい。またダミートレンチDUMTの長辺の長さL2は、たとえば図10に示すように導通ビアTSVの長さLより長くてもよいし、たとえば図11に示すように導通ビアTSVの長さLより短くてもよい。またダミートレンチDUMTの長辺は、導通ビアTSVの辺とほぼ平行になるように配置されることが好ましい。ただし、ダミービアDUMと異なり、ダミートレンチDUMTは、導通ビアTSVの中心に対して点対称となる位置に配置されなくてもよい。隣り合うダミートレンチDUMT同士の距離G1などは、L1/2以上とすることが好ましい。
【0034】
図12を参照して、ダミートレンチDUMTが導通ビアTSVの周囲にて矩形の環状となるように形成されていることがより好ましい。つまりダミートレンチDUMTは、導通ビアTSVの外周に沿った方向に関して連続するように配置されることがより好ましい。
【0035】
さらに図13を参照して、導通ビアTSVの周囲にダミービアDUMとダミートレンチDUMTとが混在するように形成されていてもよい。図12および図13においても、L1やG1などの条件は他の例と同様にすることが好ましい。
【0036】
以上に説明したダミービアDUMやダミートレンチDUMTは、深さが基板SUB(図5参照)の一方の主表面から他方の主表面に達することなく、基板SUBの内部に底壁面が配置される態様となることが好ましい。このようにすれば、導通ビアTSVの近傍に配置される導電パターン等が、ダミービアDUM等に妨げられることなく、スムースに形成される。
【0037】
次に、図14〜図21を参照しながら、本実施の形態に係る半導体装置の、特に複数の半導体チップSCPの積層構造の製造方法について説明する。
【0038】
図14を参照して、主表面を有する基板SUBaが準備される。基板SUBaはたとえばシリコンなどの半導体材料の単結晶からなる。基板SUBaの一方の主表面(第1主面:上側の主表面)に、基板SUBaと異なる導電型のウェル領域WELが形成され、ウェル領域WELの内部および、基板SUBaの第1主面上にトランジスタTR(第1半導体素子)が形成される。
【0039】
トランジスタTRは、基板SUBの内部(主表面上)の、特に分離絶縁膜STIにより囲まれた活性領域に複数形成される。トランジスタTRとしては、たとえばMISトランジスタ(Metal Insulator Semiconductor)が形成される。MISトランジスタは、ソース領域SO、ゲート電極GE、ゲート絶縁膜GI、ドレイン領域DR、側壁絶縁膜SWなどを有している。ソース領域SOやドレイン領域DRの上には金属膜MFが形成される。
【0040】
トランジスタTR上には、複数の層間絶縁膜IIが形成され、各層間絶縁膜IIの主表面上には金属配線MTL(第1配線)が形成される。さらに金属配線MTL同士を電気的に接続する金属導電膜TMTLが形成される。金属膜MFは、ソース領域SOやドレイン領域DRと、金属配線MTLとを電気的に接続する際のコンタクト抵抗を低減するために形成される。これらはすべて、一般公知の材料からなり、通常の形成方法により形成される。
【0041】
積層された金属配線MTLや金属導電膜TMTLは配線層ILを構成する。トランジスタTRから発せられた電気信号は、配線層ILにより送られる。このように図14においては半導体チップSCP1は多層配線構造をなしている。しかし半導体チップSCP1の態様は必ずしもこれに限定されない。
【0042】
以上のように基板SUBaと配線層ILとが積層される領域が半導体チップSCP1(第1半導体基板)となり、半導体チップSCP1の本体回路部にトランジスタTRが形成される。
【0043】
半導体チップSCP1の層間絶縁膜IIの上面に、支持基板SPWが貼り付けられる。支持基板SPWは、次工程において半導体チップSCP1の表面に損傷を与えることを抑制するために設けられる。支持基板SPWはたとえばガラス(酸化珪素)、シリコン、ガリウム砒素、炭化珪素などからなる基板であることが好ましい。この支持基板SPWは、たとえば両面テープやはんだなど、一般公知の任意の方法により貼り付けられる。
【0044】
図15を参照して、基板SUBaの厚みを薄くする加工がなされる。具体的には、たとえばCMP(Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれる化学機械的研磨法などの一般公知の方法により、基板SUBaを、トランジスタTRが形成された主表面と反対側の主表面から研磨する。ここで研磨された基板SUBの表面が平坦な面となることが好ましい。
【0045】
図16を参照して、通常の写真製版技術およびエッチング技術により、半導体チップSCP1の積層配線部(図2参照)に、導通ビアホールTSVH(貫通孔)およびダミービアホールDUMH(凹部)が形成される。導通ビアホールTSVHおよびダミービアホールDUMHは、それぞれ導通ビアTSVおよびダミービアDUM(ダミートレンチDUMT)を形成するための溝(孔)である。
【0046】
導通ビアホールTSVHは、基板SUBの互いに対向する第1主面と第2主面(下側の主表面)とを貫通し、さらに層間絶縁膜IIを貫通して、配線層ILの最上面に達するように形成されることが好ましい。導通ビアホールTSVHおよびダミービアホールDUMHは、平面視において図3や図6などに示す平面形状や配置を有するように形成されることが好ましい。ダミービアホールDUMHは、導通ビアホールTSVHの端部と並んで基板SUBの第2主面において露出するように、導通ビアホールTSVHの端部の周囲に形成される。
【0047】
なおここでダミービアホールDUMHは、その底壁面が基板SUBの内部に存在する深さとなるように形成されることが好ましい。
【0048】
図17を参照して、導通ビアホールTSVHおよびダミービアホールDUMHの内部に、たとえば銅からなる導電体CUが充填される。この処理により導通ビアホールTSVHは導通ビアTSV(導電層)になり、ダミービアホールDUMHはダミービアDUMまたはダミートレンチDUMTとなる。以後、ここではダミービアDUMが形成されるものとして記載する。
【0049】
導電体CUの充填や成膜は、たとえば電解めっきと、写真製版技術とエッチング技術とを組み合わせることにより、すべて同時になされることが好ましい。
【0050】
図18を参照して、導通ビアTSVおよびダミービアDUMの形成された主表面上に、アンダーバンプメタルUBMおよびマイクロバンプMBPがこの順に形成される。アンダーバンプメタルUBMおよびマイクロバンプMBPは、たとえばCVD法や真空蒸着法、スパッタリング法と、写真製版技術とエッチング技術とを組み合わせることにより形成される。
【0051】
アンダーバンプメタルUBMおよびマイクロバンプMBPは、いずれも一般公知の材料からなる。具体的には、たとえばアンダーバンプメタルUBMはニッケル、金、銅、アルミニウム、シリコンまたはこれらの合金からなり、マイクロバンプMBPはスズ、銀、銅、鉛またはこれらの合金からなることが好ましい。またアンダーバンプメタルUBMおよびマイクロバンプMBPは、基板SUBの主表面において、導通ビアTSVとダミービアDUMとの上、および導通ビアTSVやダミービアDUMの近傍の領域に成膜された導電体CUの上をすべて覆うように形成されることがより好ましい。
【0052】
図19を参照して、別に準備された、トランジスタTR(第2半導体素子)を半導体チップSCP2(第2半導体基板)と、半導体チップSCP1の導通ビアTSVとが、たとえばマイクロバンプMBPの熱処理などの一般公知の方法により、電気的に接続される。このとき2つの半導体チップSCP1と半導体チップSCP2とが積層される。より具体的には、たとえば半導体チップSCP2の金属配線MTL(第2配線)や金属導電膜TMTLの上に形成されたパッド電極PAD(配線)と、半導体チップSCP1の導通ビアTSVとが、マイクロバンプMBPにより電気的に接続される。
【0053】
なお図19においては半導体チップSCP2は半導体チップSCP1と同様の多層配線構造をなしている。しかし半導体チップSCP2の態様は必ずしもこれに限定されない。
【0054】
図20を参照して、支持基板SPWが半導体チップSCP1から剥離される処理がなされる。
【0055】
ところで半導体チップSCP1と半導体チップSCP2とが積層された後において、マイクロバンプMBPの周囲は空隙となっている。しかし当該空隙がたとえば層間絶縁膜IIと同様の絶縁膜により充填されてもよい。
【0056】
図21を参照して、半導体チップSCP1の導通ビアTSV上にパッド電極PADが形成される。パッド電極PADは、たとえばアルミニウムなどの一般公知の金属材料からなり、通常の写真製版技術およびエッチング技術により形成される。これにより、半導体チップSCP1のパッド電極PADから電気信号を入力し、これを導通ビアTSVやマイクロバンプMBPを通じて半導体チップSCP2に伝えることができる。
【0057】
以上により、半導体チップSCP1と半導体チップSCP2とが電気的に接続された積層構造が形成される。たとえば上記積層構造にさらに半導体チップSCP(図1参照)が積層されたものを用いて、図1のようなICパッケージが形成される。
【0058】
ここで、図16〜図18に示す、導通ビアTSVおよびダミービアDUMが形成される工程について、図22〜図30を参照しながらより詳細に説明する。なお図22〜図30においては、図14〜図21の積層配線部のみ図示されている。
【0059】
図22を参照して、基板SUBの一方の主表面(第2主面)上にフォトレジストPRaが塗布される。フォトレジストPRa上には所望のパターンPTNが形成されたフォトマスクPMKがセットされ、通常の露光技術がなされる。
【0060】
図23を参照して、露光技術がなされたフォトレジストPRaが現像される。するとフォトマスクPMKに形成されたパターンの形状に合わせて、フォトレジストPRaが部分的に除去され、フォトレジストPRbとなる。パターンPTNはフォトレジストPRbがは部分的に除去された開口部である。
【0061】
図24を参照して、フォトレジストPRbをハードマスクとして、通常の写真製版技術(露光技術、現像技術)およびエッチング技術がなされる。するとフォトレジストPRbのパターンPTNに合わせて、基板SUBや層間絶縁膜IIなどがエッチングされ、第2主面を起点として導通ビアホールTSVHとダミービアホールDUMHとが同時に形成される。
【0062】
このとき、導通ビアホールTSVHはダミービアホールDUMHより深く、具体的には第2主面から第1主面までを貫通し、第1主面よりさらに上側までエッチングするように形成される。逆に言えばダミービアホールDUMHは導通ビアホールTSVHよりも浅く、ダミービアホールDUMHの底壁面は基板SUBの内部に形成されることが好ましい。このように両者の深さに差が生じるのは、両者の平面視における面積が異なるためである。すなわち平面視における面積の大きい導通ビアホールTSVHの方が、ダミービアホールDUMHよりもエッチングに多くの時間を要するため、深く形成される。
【0063】
導通ビアホールTSVHは、基板SUBの第1主面と第2主面とを貫通し、配線層ILの金属配線MTLなどに達するように形成される。一方、ダミービアホールDUMHは、導通ビアホールTSVHの第2主面側の端部の周囲に形成される。導通ビアホールTSVHおよびダミービアホールDUMHは、いずれも基板SUBの第2主面において露出するように形成される。またフォトレジストPRbは、基板SUBなどのエッチング時に同時にエッチングされるため薄くなり、フォトレジストPRcとなる。
【0064】
図25を参照して、通常のアッシング処理およびウェットエッチング技術により、フォトレジストPRcが除去される。
【0065】
図26を参照して、基板SUBの第2主面上および、導通ビアホールTSVHとダミービアホールDUMHとの内壁面に、たとえばCVD法により、シリコン酸化膜などの絶縁膜IFaが形成される。
【0066】
図27を参照して、通常の写真製版技術およびエッチング技術により、導通ビアホールTSVHの底壁面に形成された絶縁膜IFaが除去され、絶縁膜IFが形成される。
【0067】
図28を参照して、CVD法や真空蒸着法などの通常の成膜技術により、絶縁膜IFの上および導通ビアホールTSVHの底壁面上にバリアメタルBRLが形成される。バリアメタルBRLは、たとえばタンタル、タングステン、チタニウム、ルテニウム、ニッケル、モリブデン、シリコンの窒化物もしくは酸化物、またはタンタル、タングステン、チタニウム、ルテニウム、ニッケル、モリブデンを含む合金からなる窒化物もしくは酸化物の薄膜からなることが好ましい。
【0068】
さらに基板SUBの第2主面上(バリアメタルBRL上)に、めっき電極膜としてのシードメタル(図示せず)が形成される。シードメタルは、たとえば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、チタニウムもしくはこれらの合金からなる薄膜からなることが好ましい。
【0069】
なお、上記の図17〜図21においては、図を見やすくするため、絶縁膜IFおよび拡散防止膜ADFの図示が省略されている。
【0070】
図29を参照して、導通ビアホールTSVHおよびダミービアホールDUMHの内部が、たとえば銅などの導電体CUにより充填される。
【0071】
このとき、平面視における導通ビアTSVやダミービアDUMの近傍の領域にも同時に導電体CUが成膜されることが好ましい。つまり、導電体CUは導通ビアホールTSVHおよびダミービアホールDUMHの内部を充填し、かつ導通ビアTSVおよびダミービアDUMの露出された端部やその周囲(近傍)の全面を覆うことが好ましい。したがって導通ビアホールTSVHの内部とダミービアホールDUMHの内部と、第2主面上の導通ビアTSVやダミービアDUMの近傍の領域において、連続した一体の導電体CUが同時に形成されることが好ましい。なお導電体CUは、たとえば電解めっき法により形成されることが好ましい。
【0072】
この後、平面視における面積が後述するアンダーバンプメタルUBMやマイクロバンプMBPとほぼ同じになるように、導電体CUの上にフォトマスクを設置し、導電体CUおよび拡散防止膜ADFをウェットエッチングする。つまりアンダーバンプメタルUBMやマイクロバンプMBPと平面視においてほぼ重なる領域において第2主面上の導電体CUが残るように、導電体CUおよび拡散防止膜ADFがパターニングされる。
【0073】
図30を参照して、通常の成膜技術や写真製版技術、エッチング技術により、アンダーバンプメタルUBMおよびマイクロバンプMBPが形成される。このとき、アンダーバンプメタルUBMおよびマイクロバンプMBPは、導通ビアTSVとダミービアDUMとの端部の全面を覆うように形成されることが好ましい。したがって、たとえば導通ビアTSVとダミービアDUMとの近傍の領域についてもアンダーバンプメタルUBMおよびマイクロバンプMBPによって覆われることが好ましい。したがって導通ビアTSVの端部上とダミービアDUMの端部上と、導通ビアTSVとダミービアDUMとの近傍の領域上において、連続した一体のアンダーバンプメタルUBMおよびマイクロバンプMBPが同時に形成されることが好ましい。
【0074】
以上の手順により、図18に示す態様の半導体チップSCP1が形成される。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0075】
本実施の形態のように、導通ビアホールTSVHの周囲にダミービアホールDUMHが形成されれば、導電体CUが導通ビアホールTSVHの内部により確実に充填される。つまり導通ビアホールTSVHの内部に、より高効率に、より高品質な導電体CUを充填することができる。
【0076】
導通ビアホールTSVHは幅に対して深さが大きいため、アスペクト比が大きい形状を有している。このためたとえば電解めっきを用いて導通ビアホールTSVHの内部に導電体CUを高品質に充填することは困難である。つまりたとえば導通ビアTSVの内部において導電体CUが不均一に充填されたり、深い領域にて導電体CUの充填率が低くなるなどの不具合が発生する可能性がある。このような不具合が発生すれば、導通ビアTSVの導電性や電気的特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0077】
そこで、ダミービアホールDUMHと呼ばれる凹部が形成されていれば、電解めっきの際に導通ビアホールTSVHの周囲において電界集中が起こる。このため、たとえば図31に示す、ダミービアホールDUMHが形成されていない導通ビアTSVを形成する場合に比べて、導通ビアホールTSVHの内部への電界集中が容易となり、導通ビアホールTSVHの内部への導電体CUの埋め込みが容易となる。つまり導通ビアホールTSVHへの導電体CUの埋め込みがより確実になされる。
【0078】
このとき、導電体CUが導通ビアホールTSVHとダミービアホールDUMHとの周囲の領域にも成膜されれば、導通ビアホールTSVHの内部への電界集中の効果をさらに高めることができる。つまり、導通ビアホールTSVHの内部に充填される導電体CUをさらに高品質にすることができ、積層構造を有するICパッケージの、互いに積層される半導体チップ間を電気的に良好に導通することができる。
【0079】
また導電体CUが、導通ビアホールTSVH、ダミービアホールDUMH、およびこれらの周囲の領域に同時に充填、成膜されれば、導電体CUが充填、成膜される面積がより大きくなる。このため導電体CUと基板SUBとの密着性がより向上される。
【0080】
互いに積層される半導体チップSCP同士がマイクロバンプMBPにて接続されれば、半導体チップSCPの基板SUBや配線(パッド電極PAD)などとマイクロバンプMBPとの密着性がより向上される。したがって半導体チップSCPの積層構造をより高品質なものとすることができる。
【0081】
また基板SUBの第2主面上において、導通ビアTSVおよびダミービアDUMの全面を覆うように、アンダーバンプメタルUBMやマイクロバンプMBPが形成される。このようにすれば、たとえばダミービアDUMが存在せず導通ビアTSVのみの上にマイクロバンプMBPなどが形成される場合に比べて、基板SUBとアンダーバンプメタルUBMとマイクロバンプMBPとの相互間の接触面積が大きくなる。このため、基板SUBとアンダーバンプメタルUBMとマイクロバンプMBPとの相互間の密着性を向上することができる。
【0082】
さらに導通ビアTSVやダミービアDUMなどが、導通ビアTSVの中央部を中心とした点対称の平面形状を有すれば、導電体CUを充填する際に、導通ビアTSVの内部の各領域に対して均一に電界を与え、電解めっきがより均一になされる。同様に、基板SUBの第2主面上において、ダミービアDUMが導通ビアTSVの中央部を中心とした点対称の平面形状となるように配置されれば、導通ビアTSVの内部の各領域に対して均一に電界を与え、電解めっきがより均一になされる。つまり導通ビアTSVによる電気的な導通を安定させることができる。
【0083】
さらに導通ビアTSVやダミービアDUMなどのサイズ、導通ビアTSVとダミービアDUMとの間隔などを上記の条件とすることにより、電解めっきをより均一になす効果がさらに高められる。
【0084】
また、たとえば図12のダミートレンチDUMTのように、導通ビアTSVの周囲の凹部が導通ビアTSVの外周に沿って連続するように形成されれば、導通ビアTSVの内部へより強い電界を確実に与えることができる。したがってより容易に、高い充填率の導電体CUを導通ビアTSVの内部に充填することができる。
【0085】
本実施の形態の導通ビアTSVにより、積層された半導体チップ同士が導通されるICパッケージは、たとえば図32に示すようにワイヤボンディングWBDにより電気的に接続された多層配線構造を有するICパッケージよりも、電気信号の遅延が抑制され、かつ半導体チップSCPの集積度が向上される。
【0086】
ところで、以上の工程のうち特に図29に示す工程の変形例として、導電体CU形成後、たとえばCMPにより、基板SUBの第2主面上の絶縁膜IFおよびバリアメタルBRLの一部が除去され、基板SUBの第2主面が平坦な面とされてもよい。この場合、基板SUBの第2主面上のバリアメタルBRLは薄くなる。
【0087】
この場合アンダーバンプメタルUBMやマイクロバンプMBPと平面視においてほぼ重なるような、拡散防止膜ADFをパターニングするための、導通ビアTSVやダミービアDUMの上のフォトマスクが不要となる。この場合、拡散防止膜ADF(バリアメタルBRL)がパターニングされず第2主面の全体に配置されるために当該バリアメタルBRLにおいてショートを起こし、電気信号の伝達に支障を来たす可能性が排除される。これは導通ビアTSVの体積が拡散防止膜ADFのバリアメタルBRLの体積に比べて非常に小さいため、バリアメタルBRLにおけるリーク電流の影響が実質的に無視できるためである。
【0088】
なお、上記CMPの後に形成されるアンダーバンプメタルUBMやマイクロバンプMBPは、導通ビアTSVのみを覆うように形成されてもよいし、導通ビアTSVとダミービアDUMとの両方を覆うように形成されてもよい。
【0089】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、半導体チップSCP同士を積層する方法において異なっている。以下、図33〜図39を参照しながら、本実施の形態における、複数の半導体チップSCPの積層構造の製造方法について説明する。
【0090】
図33〜図34は、実施の形態1の図14〜図15に示す工程と同様である。図35を参照して、積層配線部に導通ビアホールTSVHおよびダミービアホールDUMHが形成される。この工程は、実施の形態1の図16に示す工程に対応する。しかし本実施の形態では実施の形態1と異なり、導通ビアホールTSVHの形成される深さが浅い。具体的には、導通ビアホールTSVHの底壁面が配線層ILの低層部の金属配線MTLに達するように形成される。
【0091】
以上の点において、本実施の形態は実施の形態1と異なる。つまりこれ以降の工程すなわち図36〜図39に示す各工程は、実施の形態1の図17〜図20に示す工程と同様である。
【0092】
本実施の形態では、導通ビアTSVが、半導体チップSCP1の金属配線MTLと、半導体チップSCP2のたとえばパッド電極PADとを電気的に接続するように形成される。これに対して実施の形態1では、導通ビアTSVが、半導体チップSCP1のパッド電極PADと半導体チップSCP2のパッド電極PADとを電気的に接続するように形成される。
【0093】
本実施の形態においても、実施の形態1と基本的に同様の効果を奏する。つまり導通ビアホールTSVHの周囲のダミービアホールDUMHにより、導通ビアホールTSVHの内部への導電体CUの充填がより高効率に、かつより高品質になされる。
【0094】
本発明の実施の形態2は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0095】
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、半導体チップSCP同士を積層する方法において異なっている。以下、図40〜図46を参照しながら、本実施の形態における、複数の半導体チップSCPの積層構造の製造方法について説明する。
【0096】
図40〜図41は、実施の形態1の図14〜図15に示す工程と同様である。図42を参照して、半導体チップSCP1と半導体チップSCP2とが積層される。ここでの半導体チップSCP1と半導体チップSCP2との固定については、たとえば実施の形態1と同様のマイクロバンプMBPを用いてもよいし、たとえばエポキシ樹脂を接着材として用いることによる固定など、一般公知の方法を用いることができる。
【0097】
図43を参照して、実施の形態1の図20の工程と同様に支持基板SPWが除去される。図44を参照して、半導体チップSCP1上に半導体チップSCP3がさらに積層される。半導体チップSCP3はたとえば半導体チップSCP1、SCP2と同様の構成からなる半導体基板である。また半導体チップSCP3の半導体チップSCP1への固定についても、図42と同様の方法によりなされる。
【0098】
図45を参照して、半導体チップSCP3の最上面から下方向へ延び、半導体チップSCP1を貫通して半導体チップSCP2のパッド電極PADに達する導通ビアTSVおよびダミービアDUMが形成される。導通ビアTSVおよびダミービアDUMが形成される手順は、実施の形態1の図16〜図17および図22〜図30に順ずる。
【0099】
図46を参照して、半導体チップSCP3の最上面(導通ビアTSVおよびダミービアDUMの端部となる表面)上にパッド電極PADが形成され、パッド電極PADと導通ビアTSVとが電気的に接続される。以上の手順により、半導体チップSCP3と、その2層下の半導体チップSCP2とが導通ビアTSVにて電気的に接続される。
【0100】
このように導通ビアTSVは、複数の半導体チップSCPを貫通するように形成されてもよい。たとえば図46においては半導体チップSCPが3層積層されているが、4層以上の半導体チップSCPが積層された場合においても、その最上層の半導体チップSCPと最下層の半導体チップSCPとを導通ビアTSVにより電気的に接続することができる。
【0101】
本実施の形態においては、複数の半導体チップSCPが積層された後に導通ビアTSVが形成される点において、複数の半導体チップSCPが積層される前に導通ビアTSVが形成される実施の形態1および実施の形態2と異なる。このような場合においても、導通ビアTSVの周囲に形成されるダミービアDUMにより、導通ビアTSVの内部への導電体CUの充填が確実になされる。
【0102】
なお、実施の形態1〜実施の形態3の製造方法においてはいずれも、トランジスタTRが形成された後に導通ビアTSVが形成されている。たとえばトランジスタTRが形成される前に導通ビアTSVを形成する場合には、導通ビアTSVの内部に充填する導電体は銅以外の導電材料であることが好ましい。
【0103】
トランジスタTRが形成される前に導通ビアTSVが形成される場合、導通ビアTSVを含む基板SUBを薄くする工程などにて、導通ビアTSVの内部の銅が周囲に拡散する。するとその後に形成されるトランジスタTRに対して、拡散した銅が悪影響を与える可能性がある。さらに、銅で構成された導通ビアTSVはトランジスタTRの形成時の熱処理工程によりダメージを受け、導通ビアTSVとしての機能を損なう可能性がある。以上により、トランジスタTRが形成される前に導通ビアTSVを形成する場合には、導通ビアTSVの内部に充填する導電体は銅以外の導電材料であることが好ましい。
【0104】
本発明の実施の形態3は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態3について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0105】
なお、以上に説明した実施の形態を適宜組み合わせて本発明による半導体装置を構成してもよく、その場合、組み合わせた実施の形態に記載の効果を同様に奏することができる。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、多層配線構造を有する半導体装置に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0107】
ADF 拡散防止膜、BALL はんだボール、BRL バリアメタル、CON 接続部、CU 導電体、DEV 集積回路、DR ドレイン領域、DUM ダミービア、DUMH ダミービアホール、DUMT ダミートレンチ、EE 端子部、GE ゲート電極、GI ゲート絶縁膜、IF,IFa 絶縁膜、II 層間絶縁膜、IL 配線層、MBP マイクロバンプ、MF 金属膜、MTL 金属配線、PAD パッド電極、PMK フォトマスク、PRa,PRb,PRc フォトレジスト、PSUB パッケージ基板、PTN パターン、RES 樹脂材料、SCP,SCP1,SCP2,SCP3 半導体チップ、SO ソース領域、SPW 支持基板、STI 分離絶縁膜、SUB 基板、SW 側壁絶縁膜、TMTL 金属導電膜、TR トランジスタ、TSV 導通ビア、TSVH 導通ビアホール、UBM アンダーバンプメタル、WBD ワイヤボンディング、WEL ウェル領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体基板が積層された半導体装置であって、
前記半導体基板のうち第1半導体基板は、
主表面を有する基板と、
前記基板内および前記基板上に形成された第1半導体素子と、
前記第1半導体素子に電気的に接続された第1配線と、
前記基板の前記主表面であり、互いに対向する第1主面と第2主面とを貫通し、前記第1配線に達する貫通孔の内部に形成された導電層とを有しており、
前記半導体基板のうち、前記第1半導体基板に直接積層される第2半導体基板は、第2半導体素子と、第2配線とを有し、
前記導電層は前記第2半導体基板の前記第2配線と電気的に接続され、
前記第1半導体基板の前記第2主面では、前記貫通孔の端部の周囲には凹部が形成され、
前記凹部の底壁面は前記基板の内部に存在し、
前記導電層を構成する導電材料が前記凹部の内部に充填される、半導体装置。
【請求項2】
前記導電層と前記凹部の内部に充填された前記導電材料とは互いに電気的に接続される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導電層の端部および前記凹部は前記導電層の端部の中央部を中心とした点対称の平面形状を有する、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凹部は平面視において前記導電層に対して点対称となる位置に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記導電層と、前記第2半導体基板の前記第2配線とは、マイクロバンプにより接続される、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記マイクロバンプは前記凹部および前記導電層の前記端部の全面を覆う、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1半導体基板は多層配線を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
主表面を有する基板と、前記基板内および前記基板上に形成された第1半導体素子と、前記第1半導体素子と電気的に接続された第1配線とを有する第1半導体基板を準備する工程と、
前記基板の前記主表面であり、互いに対向する第1主面と第2主面とを貫通し、前記第1配線に達する貫通孔および、前記第2主面に設けられる前記貫通孔の一方の端部の周囲に凹部を形成する工程と、
前記貫通孔および前記凹部の内部を充填する導電層を形成する工程と、
第2半導体素子と第2配線とを有する第2半導体基板を準備する工程と、
前記第1半導体基板と、前記第2半導体基板とを積層する工程と、
前記導電層と、前記第2半導体基板の前記第2配線とを、互いに電気的に接続する工程とを備え、
前記凹部の底壁面は前記基板の内部に存在する、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記貫通孔および前記凹部を形成する工程は、前記積層する工程の前になされる、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記貫通孔および前記凹部を形成する工程は、前記積層する工程の後になされる、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2011−258687(P2011−258687A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130835(P2010−130835)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】