説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】 配線上のコンタクトプラグを導通不良なく形成することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供する。
【解決手段】 基板上に配線を形成する工程と、配線上に第1の膜を形成する工程と、第1の膜上に第2の膜を形成する工程と、第2の膜上に第2の膜よりもエッチング耐性が低い材料によって第3の膜を形成する工程と、配線上の第2の膜上に第3の膜の端部を有し端部の膜厚と配線上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域を形成する工程と、第2の膜又は第3の膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、形状を有する領域において配線に接続するコンタクトプラグを形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法及び半導体装置に関し、特に電界効果トランジスタのコンタクト電極に電気的に接続するコンタクトプラグを備える半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電界効果トランジスタのキャリア移動度を向上させる方法のひとつに、電界効果トランジスタのチャネル部に所定の応力を加えて、チャネル部の結晶に歪みを与える方法が提案されている。具体的には、n型電界効果トランジスタの表面には、引張応力膜が形成されている。p型電界効果トランジスタの表面には、圧縮応力膜が形成されている。引張応力膜と圧縮応力膜とは、n型電界効果トランジスタとp型電界効果トランジスタとの境界において相互に積層されている。
【0003】
一方、従来から、このような電界効果トランジスタを備える半導体装置において、n型電界効果トランジスタとp型電界効果トランジスタとの間に配線を形成するレイアウトが採用されている。そのようなレイアウトが採用される場合、引張応力膜と圧縮応力膜との重畳部が配線の上に形成される。さらに、引張応力膜及び圧縮応力膜を貼り分けて形成するために、どちらかの応力膜上にエッチングストッパが形成されている。
【0004】
そのような各応力膜を貼り分けて形成する工程の際に、応力膜のエッチングストッパが各応力膜の重畳部の端部に残存する問題が発生する。前述した重畳部に、配線部のコンタクトプラグを形成するためのコンタクトホールを形成する際に、残存しているエッチングストッパの下の応力膜はエッチングされない。そのため、エッチングストッパの下においてコンタクトホールの開口不良が発生してしまう。そのため、コンタクトホールを導電性部材で充填してコンタクトプラグを形成する際に、コンタクトプラグの導通不良が発生する。
【0005】
このようなコンタクトプラグの導通不良を防止するために、n型電界効果トランジスタとp型電界効果トランジスタとの間に、引張応力膜と圧縮応力膜との重畳部を避けて配線を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−88452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、引張応力膜と圧縮応力膜との重畳部を避けて配線を形成するための領域を設けることが必要となる。そのため、半導体装置における配線のレイアウトに制約が生じてしまう。
【0007】
本発明の目的は、配線上におけるコンタクトプラグの導通不良の発生を抑制することができる構造を有する半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するため、本発明の第1の側面によれば、基板上に配線を形成する工程と、前記配線上に第1の膜を形成する工程と、前記第1の膜上に第2の膜を形成する工程と、前記第2の膜上に前記第2の膜よりもエッチング耐性が低い材料によって第3の膜を形成する工程と、前記第2の膜上に前記第3の膜の端部を有し前記端部の膜厚と前記配線上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域を形成する工程と、前記第2の膜又は前記第3の膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記形状を有する領域において前記配線に接続するコンタクトプラグを形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の第2の側面によれば、基板上に形成された配線と、前記配線上に形成された第1の膜と、前記第1の膜上に形成された第2の膜と、端部の膜厚と前記配線上の他部分の膜厚が異なる領域を有する第3の膜と、前記配線に接続するコンタクトプラグと、を有し、前記第3の膜は、前記第2の膜よりもエッチング耐性が低い材料で形成されていることを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、コンタクトプラグを第3の膜の配線上の第2の膜上に端部を有し端部の膜厚と配線上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域において形成することができるため、コンタクトプラグの導通不良を防ぐことができる。
【0011】
また、第2の膜上に第3の膜の端部を有し端部の膜厚と配線上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域を形成する工程によって、コンタクトホール形成工程における開口不良の発生を抑えることができる。そのため、コンタクトプラグの導通不良の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例にかかる半導体装置の構造及び半導体装置の製造方法の実施例が説明される。ただし、本発明は各実施例に限定されるものではない。
【0013】
本発明の実施例における半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、コンタクトプラグを配線上の第2の膜上に端部を有し第3の膜の端部の膜厚と配線上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域において形成することができるため、コンタクトプラグの導通不良を防ぐことができる。
【0014】
また、第2の膜上に第3の膜の端部を有し端部の膜厚と配線上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域を形成する工程によって、コンタクトホール形成工程における開口不良の発生を抑えることができる。そのため、コンタクトプラグの導通不良の発生を抑制することができる。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る半導体装置100の構造を示す。図1Aは、半導体装置100の平面図である。図1Bは、図1AのX−X´線に沿った半導体装置100の断面図である。
【0016】
図1Aにおいて、第2の膜は4、第3の膜は6a、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域は6a´、n型MISトランジスタは10、ゲート電極は13、サイドウォールは14、p型MISトランジスタは20、ゲート電極は23、サイドウォールは24、配線は33、サイドウォールは34、コンタクトプラグは50a及び50b、活性領域は60、活性領域は70で示す。なお、MIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタは電界効果トランジスタのことをいう。
【0017】
図1Aに示すように、素子分離領域2はn型MISトランジスタ10の周囲及びp型MISトランジスタ20の周囲に設けられている。
【0018】
n型MISトランジスタ10の活性領域60は、素子分離領域2に画定されている矩形の領域である。n型MISトランジスタ10のゲート電極13は、その矩形状のパターン部分が活性領域60の中央部を横断するように設けられている。
【0019】
p型MISトランジスタ20の活性領域70は、素子分離領域2に画定されている矩形の領域である。p型MISトランジスタ20のゲート電極23は、その矩形状のパターン部分が活性領域70の中央部を横断するように設けられている。
【0020】
配線33は、n型MISトランジスタ10とp型MISトランジスタ20との間を横断するように設けられている。そして、本実施例では、配線33はn型MISトランジスタ10のゲート電極13及びp型MISトランジスタ20のゲート電極23と平行に設けられている。ただし、配線33はn型MISトランジスタ10のゲート電極13及びp型MISトランジスタ20のゲート電極23と平行に設けられてなくてもよく、垂直に設けられていてもよい。
【0021】
サイドウォール14は、n型MISトランジスタ10のゲート電極13の周囲に設けられている。サイドウォール24は、p型MISトランジスタ20のゲート電極23の周囲に設けられている。サイドウォール34は、配線33の周囲に設けられている。
【0022】
n型MISトランジスタ10のソース・ドレイン・エクステンション領域15は、活性領域60に、ゲート電極13に隣接して所定の幅に設けられている。n型MISトランジスタ10の不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16は、活性領域60のうち、ゲート電極13及びソース・ドレイン・エクステンション領域15を除いた領域に設けられている。
【0023】
p型MISトランジスタ20のソース・ドレイン・エクステンション領域25は、活性領域70に、ゲート電極23に隣接した所定の幅に設けられている。p型MISトランジスタ20の不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26は、活性領域70のうち、ゲート電極23及びソース・トレイン・エクステンション領域25を除いた領域に設けられている。なお、ゲート電極13、ソース・ドレイン領域16、ゲート電極23、ソース・ドレイン領域26及び配線33をコンタクト電極という。
【0024】
第2の膜4は、n型MISトランジスタ10の形成領域に矩形状に形成されている。第2の膜4は、酸化シリコンから形成されている。第2の膜4は、後述する第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´の下に重なって形成されている。
【0025】
第3の膜6aは、p型MISトランジスタ20上に、且つn型MISトランジスタ10を矩形状に除いた領域に形成されている。第3の膜6aは、n型MISトランジスタ10を矩形状に除いた領域を囲むように、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´を有する。第3の膜6aは、第2の膜4よりもエッチング耐性が低い窒化シリコンによって形成されている。第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は、後述する等方性エッチングによってテーパー形状を有するように形成されているため、領域6a´は第3の膜6aの膜厚と比較して薄く形成されている。第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´の一部は、配線33と平行に形成されている。
【0026】
コンタクトプラグ50aは、n型MISトランジスタ10の不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16、及びp型MISトランジスタ20の不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26の形成領域に設けられている。n型MISトランジスタ10の形成領域に設けられているコンタクトプラグ50aは、n型MISトランジスタ10の不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16と電気的に接続するものである。又、p型MISトランジスタ20の形成領域に設けられているコンタクトプラグ50aは、p型MISトランジスタ20の不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26と電気的に接続するものである。なお、コンタクトプラグ50aは、第2の膜4及び第3の膜6aの形成領域に設けられている。
【0027】
コンタクトプラグ50bは、配線33の形成領域に形成されている。コンタクトプラグ50bは、n型MISトランジスタ10とp型MISトランジスタ20との間に形成されている。コンタクトプラグ50bは、後述する第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´に設けられている。コンタクトプラグ50bは、配線33と電気的に接続するものである。
【0028】
図1Bにおいて、シリコン基板は1、素子分離領域は2、第1の膜は3、酸化シリコン膜は4、第3の膜は6a、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域は6a´、層間絶縁膜は8、n型MISトランジスタは10、p型ウェル領域は11、ゲート絶縁膜は12、ゲート電極は13、サイドウォールは14、ソース・ドレイン・エクステンション領域は15、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域は16、シリサイド層は17、p型MISトランジスタは20、n型ウェル領域は21、ゲート絶縁膜は22、サイドウォールは24、ソース・ドレイン・エクステンション領域は25、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域は26、シリサイド層は27、ゲート絶縁膜は32、配線は33、サイドウォールは34、シリサイド層は37、コンタクトプラグは50a、コンタクトプラグは50bで示す。なお、図1Bのうち、図1Aで説明した構成と同様の構成には同一の符号を付す。
【0029】
まず、n型MISトランジスタ10の構造は以下のように説明される。
【0030】
p型ウェル領域11は、シリコン基板1にp型の導電型を付与する不純物をイオン注入して形成された領域である。
【0031】
ゲート絶縁膜12は、p型ウェル領域11内においてシリコン基板1上に形成されている。
【0032】
ゲート電極13は、シリコン基板1上に、ゲート絶縁膜12を介して形成されている。ゲート電極13の高さは、例えば100nm程度である。ゲート電極13の幅は、例えば25nmから90nm程度である。ゲート電極13は、ポリシリコンによって形成されることが望ましい。
【0033】
サイドウォール14は、ゲート電極13の側壁上に形成されている。サイドウォール14は、絶縁材料である酸化シリコンによって形成されることが望ましい。
【0034】
ソース・ドレイン・エクステンション領域15は、n型の導電型を付与する不純物をイオン注入した領域である。ソース・ドレイン・エクステンション領域15は、ゲート電極13の矩形パターンの長辺から例えば5nmから10nmまでの範囲に、且つシリコン基板1の内部においてその表面から例えば最大深さ20nmから40nmまでの範囲に形成されている。
【0035】
不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16は、シリコン基板1上のサイドウォール14が位置する端部から所定の幅に設けられている。図1Aに示すように、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16は、ゲート電極13を除く活性領域60に形成されている。不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16の最大形成深さは、シリコン基板1の表面から例えば90nmまでの範囲で形成されるのが望ましい。
【0036】
シリサイド層17は、ゲート電極13及び不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16の表面上に形成されている。シリサイド層17は、例えば20nmから70nmの厚みで形成するのが望ましい。なお、本発明において、シリサイド層17を形成することは必須ではない。
【0037】
第1の膜3は、シリコン基板1上において、n型MISトランジスタ10及び配線33上に形成されている。即ち、第1の膜3は、ゲート電極13、サイドウォール14、シリサイド層17及び不純物濃度が濃いソース・ドレイン領域16上に形成されている。第1の膜3の膜厚は、例えば70nmから90nm程度である。第1の膜3は、n型MISトランジスタ10のチャネル部分に引張応力が加えられるように形成されている。第1の膜3は、窒化シリコンから形成されることが望ましい。
【0038】
第2の膜4は、第1の膜3上に形成されている。即ち、第2の膜4は、シリコン基板1上において、n型MISトランジスタ10及び配線33を覆うように形成されている。第2の膜4は、酸化シリコンから形成されていることが望ましい。第2の膜4の膜厚は、10nmから35nmである。
【0039】
次いで、p型MISトランジスタ20の構造について説明する。
【0040】
n型ウェル領域21は、シリコン基板1にp型の導電型を付与する不純物をイオン注入して形成された領域である。
【0041】
ゲート絶縁膜22は、n型ウェル領域21内においてシリコン基板1上に形成されている。
【0042】
ゲート電極23は、シリコン基板1上に、ゲート絶縁膜22を介して形成されている。ゲート電極23の高さは、例えば100nm程度である。ゲート電極23の幅は、例えば25nmから90nm程度である。ゲート電極23は、ポリシリコンによって形成されることが望ましい。
【0043】
サイドウォール24は、ゲート電極23の側壁上に形成されている。サイドウォール24は、絶縁材料である酸化シリコンによって形成されることが望ましい。
【0044】
ソース・ドレイン・エクステンション領域25は、n型の導電型を付与する不純物をイオン注入した領域である。ソース・ドレイン・エクステンション領域25は、ゲート電極23の矩形パターンの長辺から例えば5nmから10nmまでの範囲に、且つシリコン基板1の内部においてその表面から例えば最大深さ20nmから40nmまでの範囲に形成されている。
【0045】
不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26は、シリコン基板1上のサイドウォール24が位置する端部から所定の幅に設けられている。図1Aに示すように、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26は、ゲート電極23を除く活性領域70に形成されている。不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26の最大形成深さは、シリコン基板1の表面から例えば90nmまでの範囲で形成されるのが望ましい。
【0046】
シリサイド層27は、ゲート電極23及び不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26の表面上に形成されている。シリサイド層27は、例えば20nmから70nmの厚みで形成するのが望ましい。なお、本発明において、シリサイド層27を形成することは必須ではない。
【0047】
第3の膜6aは、p型MISトランジスタ20、配線33及び第2の膜4上に形成されている。即ち、第3の膜6aは、ゲート電極23、サイドウォール24、シリサイド層27、及び不純物濃度が濃いソース・ドレイン領域26上に形成されている。第3の膜6aの膜厚は、例えば70nmから90nm程度である。第3の膜6aは、p型MISトランジスタ20のチャネル部分に引張応力が加えられるように形成されている。第3の膜6aは、窒化シリコンから形成されることが望ましい。第3の膜6aは、第2の膜4よりもエッチング耐性が低い材料によって形成されている。
【0048】
第3の膜6aは、配線33上の第2の膜4上に端部を有し端部の膜厚と配線33上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域6a´を有する。第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は、後述する等方性エッチングによってテーパー形状を有するように形成されているため、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は第3の膜6aの膜厚と比較して薄く形成されている。なお、第3の膜6aの端部は、配線33上に形成されてなくともよい。
【0049】
ゲート絶縁膜32は、素子分離領域2上に形成されている。
【0050】
配線33は、素子分離領域2上に、ゲート絶縁膜22を介して形成されている。配線33の高さは、例えば100nm程度である。配線33の幅は、例えば100nmから150nm程度である。配線33は、ポリシリコンにより構成することができる。配線33は、n型MISトランジスタ10及びp型MISトランジスタ20との間に形成されている。配線33は、第1の膜3又は第3の膜6aの下に形成されている。
【0051】
サイドウォール34は、配線33の側壁上に形成されている。サイドウォール34は、絶縁材料である酸化シリコンを用いることができる。
【0052】
層間絶縁膜8は、TEOS(tetra−ethoxysilane、Si(OCOH))膜によって、シリコン基板1の全面上に250nmから700nmで形成されている。
【0053】
コンタクトプラグ50a及びコンタクトプラグ50bは、例えば密着層として例えばチタン、拡散防止層として例えば窒化チタン、プラグ材として例えばタングステンを順次積層することによって形成されている。密着層は、シリサイド層17、シリサイド層27及びシリサイド層37と、拡散防止膜との密着性を向上させるために形成されるものである。拡散防止層は、プラグ材が層間絶縁膜に拡散するのを防止するために形成されるものである。
【0054】
コンタクトプラグ50aは、シリサイド層17及びシリサイド層27を介して、n型MISトランジスタ10のコンタクト電極であるソース・ドレイン電極16及びp型MISトランジスタ20のコンタクト電極であるソース・ドレイン電極26と電気的に接続するために形成されている。
【0055】
コンタクトプラグ50bは、配線33上に、シリサイド層37を介して、コンタクト電極である配線33を電気的に接続するために形成されている。コンタクトプラグ50bは、n型MISトランジスタ10とp型MISトランジスタ20との間に形成されている。
【0056】
なお、ソース・ドレイン電極16上のコンタクトプラグ50aは、層間絶縁膜8、第1の膜3及び第2の膜4を貫通するように形成されている。ソース・ドレイン電極26上のコンタクトプラグ50aは層間絶縁膜8及び第3の膜6aを貫通するように形成されている。配線33上の範囲にあるコンタクトプラグ50bは、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´において、層間絶縁膜8、第1の膜3及び第2の膜4を貫通するように形成されている。
【0057】
半導体装置100の製造工程で後述するように、コンタクトプラグ50a及びコンタクトプラグ50bを形成する工程の前に、層間絶縁膜8を異方性エッチングしてコンタクトホール40を形成する工程を有する。層間絶縁膜8は酸化シリコンから形成されており、第3の膜6aは窒化シリコンから形成されているため、双方の形成物質が異なる。そのため、層間絶縁膜8のエッチング工程の際に、層間絶縁膜8のエッチングガスによって窒化シリコンである第3の膜6aをエッチングすることは困難である。しかしながら、本実施例における第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は、後述する等方性エッチングによってテーパー形状を有するように形成されているため、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は第3の膜6aの膜厚と比較して薄く形成されている。そのため、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は、層間絶縁膜8をエッチングする工程において除去することができる。したがって、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´のエッチングは、窒化シリコン用のエッチングガスを用いなくても容易にエッチングすることができる。そのため、コンタクトプラグ50a及びコンタクトプラグ50bは、コンタクトホール40の開口箇所に応じてエッチングガスを変更する必要が無く、同一工程で形成することができ、且つコンタクトプラグ50a及びコンタクトプラグ50bの導通不良を防ぐことができる。
【0058】
図2から図8は、本発明にかかるn型MISトランジスタ10及びp型MISトランジスタ20を備える半導体装置100の製造工程を示す。
【0059】
図2Aはn型MISトランジスタ10、p型MISトランジスタ20、及び配線33を形成する工程を示す。図2Aにおいて、シリコン基板は1、素子分離領域は2、n型MISトランジスタは10、p型ウェル領域は11、ゲート絶縁膜は12、ゲート電極は13、サイドウォールは14、ソース・ドレイン・エクステンション領域は15、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域は16、シリサイド層は17、p型MISトランジスタは20、n型ウェル領域は21、ゲート絶縁膜は22、サイドウォールは24、ソース・ドレイン・エクステンション領域は25、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域は26、シリサイド層は27、ゲート絶縁膜は32、配線は33、サイドウォールは34、及びシリサイド層は37で示す。なお、図2Aのうち、図1Bで説明した構成と同様の構成には同一の符号が付されている。
【0060】
図2Aに示すように、周知の工程によりn型MISトランジスタ10とp型MISトランジスタ20を有する相補形(Complementary)MIS構造が形成される。例えば、p型シリコン基板1上に、n型MISトランジスタ10とp型MISトランジスタ20を素子分離する素子分離領域2が形成される。
【0061】
n型MISトランジスタ10は、次に説明する工程によって形成される。n型MISトランジスタ10を形成する部分のシリコン基板1内に、p型不純物、例えばホウ素を注入してp型ウェル領域11が形成される。次いで、シリコン基板1上に、例えば酸化窒化シリコンからなるゲート絶縁膜12を介して、ポリシリコンのゲート電極13が形成される。また、ゲート電極13の両側のシリコン基板1内にはn型不純物、例えばリンやヒ素を注入してソース・ドレイン・エクステンション領域15が形成される。次いで、ゲート絶縁膜12およびゲート電極13の側壁には、例えば酸化シリコンからなるサイドウォール14が形成される。次いで、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16にn型不純物、例えばリンやヒ素を注入して不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16が形成される。なお、n型MISトランジスタ10のシリコン基板1内には、p型ウェル領域11が形成されない場合もある。
【0062】
p型MISトランジスタ20は、次に説明する工程によって形成される。例えば、p型MISトランジスタ20を形成する部分のシリコン基板1内に、n型不純物、例えばリンを注入してn型のウェル領域21が形成される。次いで、シリコン基板1上に、例えば酸化窒化シリコンからなるゲート絶縁膜22を介して、ポリシリコンのゲート電極23が形成される。また、ゲート電極23の両側のシリコン基板1内には、p型不純物、例えばホウ素を注入してソース・ドレイン・エクステンション領域25が形成される。ゲート絶縁膜22およびゲート電極23の側壁には、例えば酸化シリコンからなるサイドウォール24が形成される。次いで、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26にp型不純物、例えばホウ素を注入して不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26が形成される。
【0063】
配線33は、素子分離領域2の上に、例えば酸化窒化シリコンからなるゲート絶縁膜32を介して形成される。配線33は、ポリシリコンから形成されることが望ましい。サイドウォール34は、配線33の側壁上に形成されている。サイドウォール34は、絶縁材料である酸化シリコンを用いることができる。
【0064】
シリサイド層17は、ゲート電極13及び不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16の上に形成される。シリサイド層27は、ゲート電極23及び不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26の上に形成される。シリサイド層37は、配線33の上に形成される。シリサイド層17、シリサイド層27及びシリサイド層37は、例えばコバルトシリサイドから形成される。
【0065】
なお、シリサイド層17、シリサイド層27及びシリサイド層37の形成工程において、ゲート電極13、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16、ゲート電極23、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26及び配線33の表面上にコバルト膜を形成した後に、保護膜としてチタン膜あるいは窒化チタン膜が形成されてもよい。この場合、シリサイド層17、シリサイド層27及びシリサイド層37の膜厚は5nmから30nmであることが望ましい。なお、本発明において、シリサイド層17、シリサイド層27及びシリサイド層37を形成することは必須ではない。
【0066】
なお、このようなCMIS構造における各部の膜厚や不純物濃度等は、このCMIS構造の要求特性等に応じ、任意に設定される。
【0067】
図2Bは第1の膜3を形成する工程を示す。図4は、図3に加えて第1の膜3を示す。
【0068】
図2Bに示すように、シリコン基板1の全面に、膜厚50nmから90nmの窒化シリコンからなる第1の膜3を形成する。第1の膜3は引張応力膜であり、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、シラン系ガス(SiHCl,SiH,Si,Si等)、アンモニアガスを用いて形成される。形成の際、シラン系ガスの流量は、5sccmから50sccmの範囲とし、アンモニアガスの流量は、500sccmから10000sccmの範囲とする。さらに、キャリアガスとして窒素ガスまたはアルゴンガスが用いられる。キャリアガスの流量は、500sccmから10000sccmの範囲とする。各ガスを導入するチャンバは、その内圧が0.1Torrから400Torr、温度が400℃から450℃に制御される。なお、流量単位sccmは、0℃,101.3kPaでの流量mL/minの換算値である。また、1Torrは、約133.322Paである。このような条件で形成される第1の膜3は、その引張応力が400MPaから500MPa程度になる。なお、後述するUV照射より、第1の膜3を収縮させ、引張応力を増加させてもよい。
【0069】
図3Aは、第2の膜4を形成する工程を示す。図3Aは、図2Bに加えて第2の膜4を示す。
【0070】
図3Aに示すように、第1の膜3上に、酸化シリコンからなる第2の膜4が形成される。第2の膜4は、例えば、プラズマCVD法を用いて形成される。第2の膜4の膜厚は15nmから35nmである。その際は、例えば、シラン系ガスであるSiHと酸素の混合ガスが用いられる。プラズマCVDの際、基板温度は、350℃から450℃に設定される。なお、ここで形成する第2の膜4は、後述する第3の膜6aをエッチングする際(図5B及び図6A参照)に、第1の膜3がエッチングされるのを防ぐエッチングストッパとして機能するものである。
【0071】
図3Bは第2の膜4をエッチングする工程を示す。図3Bは、図3Aに加えてレジストマスク5を示す。
【0072】
図3Bに示すように、n型MISトランジスタ10側にレジストマスク5が形成され、p型MISトランジスタ20側に形成されている第2の膜4がエッチングにより除去される。この第2の膜4のエッチングは、例えば、フッ素系ガスであるCを含有するC/Ar/Oガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法により行われる。チャンバ温度は例えば−15℃から+10℃、ガス流量はC48が0.1sccmから10sccm、Arが100sccmから1000sccm、O2が0.1sccmから10sccmである。
【0073】
図4Aは第1の膜3をエッチングする工程を示す。
【0074】
図4Aに示すように、第2の膜4のエッチング後、同じレジストマスク5が用いられ、p型MISトランジスタ20側に形成されている第1の膜3がエッチングにより除去される。この第1の膜3のエッチングは、例えば、フッ素系ガスであるCHFを含有するCHF/Ar/Oガスを用いたRIE法により行われる。チャンバ温度は例えば0℃から35℃、ガス流量はCHFが1sccmから100sccm、Arが10sccmから500sccm、Oが1sccmから100sccmである。p型MISトランジスタ20側の第1の膜3のエッチング後、レジストマスク5は除去される。
【0075】
図3Bに示した第2の膜4のエッチングと、この図4Aに示した第1の膜3のエッチングにより、n型MISトランジスタ10上にのみ第1の膜3および第2の膜4が残った状態になる。n型MISトランジスタ10のチャネル部分には、この第1の膜3によって引張応力が加えられるようになる。
【0076】
なお、レジストマスク5の除去後は、n型MISトランジスタ10上に残る第1の膜3に対してUV(紫外線)照射が行われてもよい。UV照射には、チャンバ内を所定環境に制御してUV照射を行うことのできるUV照射装置が用いられる。UV照射は、例えば、照射温度約450℃、照射時間約20分の条件で行われる。
【0077】
照射されたUVは、第2の膜4を透過して、その下の第1の膜3に到達する。UVが照射された第1の膜3は、UV照射前に比べ、その引張応力が大きくなり、同時に硬化する。UVが照射されることにより、第1の膜3に残存していた水素が除去されるからである。
【0078】
このUV照射により、UV照射前におよそ400MPaから500MPaであった引張応力は1.8GPaから2GPa程度まで向上させることができる。なお、本発明において、このUV照射工程は必須ではない。
【0079】
図4Bは窒化シリコン膜6を形成する工程を示す。図4Bは、図4Aに加えて窒化シリコン膜6を示す。
【0080】
図4Bに示すように、その第1の膜3と第2の膜4が残るシリコン基板1全面に、p型MISトランジスタ20に圧縮応力を印加するための窒化シリコン膜6が形成される。窒化シリコン膜6の膜厚は例えば50nmから90nmである。
【0081】
窒化シリコン膜6は、例えば、プラズマCVD法によって、炭素系化合物を含有するSiHガスとNHガスが用いられて形成される。
【0082】
窒化シリコン膜6の形成工程の際、SiHガスの流量は、100sccmから1000sccmの範囲とし、NH3ガスの流量は、500sccmから10000sccmの範囲とする。さらに、キャリアガスとしてNガスまたはArガスが用いられ、その流量は、500sccmから10000sccmの範囲とする。各ガスを導入するチャンバは、その内圧が0.1Torrから400Torr、温度が400℃から450℃に制御される。RFパワーは100Wから1000W程度である。形成後の窒化シリコン膜6には、通常、炭素が残存する。このような条件にて堆積される窒化シリコン膜6は、その圧縮応力が2.5GPaから3GPa程度になる。
【0083】
図5Aは、レジストマスク7を形成する工程を示す。図5Aに示すように、全面に窒化シリコン膜6を堆積した後は、p型MISトランジスタ20側にレジストマスク7が形成される。
【0084】
図5Bは、配線33上の窒化シリコン膜6を除去する工程を示す。図5Bは、図5Aに次いで、第3の膜の残渣6b、第3の膜6a及び第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´を示す。図5Bに示すように、第2の膜4をエッチングストッパにして、n型MISトランジスタ10側に形成されている窒化シリコン膜6がエッチングにより除去される。第3の膜6aは、第2の膜4よりもエッチング耐性が低い窒化シリコンによって形成されている。窒化シリコン膜6の等方性エッチングは、例えば、フッ素系ガスであるCFを含有するCF/O2ガスを用いて行われる。チャンバ温度は例えば0℃から35℃、等方性エッチング時の圧力は、10Paから100Paである。ガス流量はCFが10sccmから100sccm、Oが100sccmから500sccmである。RFパワーは100から500Wである。等方性エッチングの処理時間は、5秒から25秒である。この等方性エッチング工程によって、レジストマスク7が形成されているn型MISトランジスタ10とp型MISトランジスタ20との間にある第3の膜6aを除去することができる。等方性エッチングの処理時間は、窒化シリコン膜6の膜厚及び窒化シリコン膜6のエッチングレートから算出することができる。また、窒化シリコン膜6の等方性エッチングの際に、終点(End Point)を検出することによって設定してもよい。この工程によって、配線33上の第2の膜4上に第3の膜の端部を有し端部の膜厚と配線33上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域6a´が形成される。第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は、後述する等方性エッチングによってテーパー形状を有するように形成されているため、領域6a´は第3の膜6aの膜厚と比較して薄く形成されている。
【0085】
また、等方性エッチングの代わりに、異方性エッチングによって第3の膜6のエッチングを実施することもできる。その際の異方性エッチングの条件は、RFパワーを400Wから600Wに設定し、且つ異方性エッチングの圧力を5mTorrから50mTorrに設定する。
【0086】
等方性エッチング終了後、配線33上を除いた第2の膜4の表面上には、第3の膜の残渣6bが残る。第3の膜の残渣6bは、第2の膜4の表面上にある窒化シリコン6のうち、等方性エッチングによって除去できなかったものをいう。
【0087】
図6Aは、第3の膜の残渣6bを除去する工程を示す。第3の膜の残渣6bは、異方性エッチングによって除去される。
【0088】
この第3の膜の残渣6bのエッチングは、例えば、フッ素系ガスであるCHF3を含有するCHF/Ar/Oガスを用いたRIE法により行われる。チャンバ温度は例えば0℃から60℃、ガス流量はCHFが5sccmから100sccm、Arが10sccmから500sccm、O2が1sccmから100sccmである。異方性エッチングの圧力は、10mTorrから100mTorrである。異方性エッチングのRFパワーは100Wから500Wである。異方性エッチングの処理時間は、20秒から60秒である。
【0089】
この工程によって、第3の膜の残渣6bが除去された領域にコンタクトホール40を形成する工程の際に、いずれのコンタクトホール40の形成位置におけるエッチング対象部材を同一にすることができる。そのため、コンタクトホール40の開口不良を未然に防止することができる。なお、第3の膜の残渣6bは、等方性エッチングによって除去されてもよい。
【0090】
図5Bに示した窒化シリコン6のエッチングと、この図6Aに示した第3の膜の残渣6bのエッチングにより、p型MISトランジスタ20上に第3の膜6aが残った状態になる。p型MISトランジスタ20のチャネル部分には、この第3の膜6aによって引張応力が加えられるようになる。
【0091】
図6Bは、レジストマスク7を除去する工程である。
【0092】
図6Bに示すように、p型MISトランジスタ20側の第1の膜3のエッチング後、レジストマスク7は除去される。
【0093】
ここまでの工程により、n型MISトランジスタ10上とp型MISトランジスタ20上にそれぞれ第1の膜3と第3の膜6aが貼り分けられたCMIS構造が完成する。
【0094】
図7Aは層間絶縁膜8を形成する工程を示す。図7Aは、図6Bに加えて層間絶縁膜8を示す。
【0095】
図7Aに示すように、レジストマスク7の除去後、全面、即ち第2の膜4又は第3の膜6a上に、層間絶縁膜8として例えばTEOS膜が形成される。層間絶縁膜8は、TEOS(tetra−ethoxysilane、Si(OCOH))を、プラズマCVD法を用いて形成される。層間絶縁膜8は、全面にまず膜厚450nmから700nmで形成された後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて平坦化され、最終的に約350nmの膜厚となる。
【0096】
図7Bは配線33上にコンタクトホール40を形成する工程を示す。図7Bは、図7Aに加えてコンタクトホール40を示す。
【0097】
図7Bに示すように、層間絶縁膜8の形成後、不図示のレジストマスクを形成して、層間絶縁膜8、第1の膜3及び第3の膜6aが異方性エッチングされる。次いで、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域16の表層に形成されたシリサイド層17、不純物濃度が高いソース・ドレイン領域26の表層に形成されたシリサイド層27、及び第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´の下における配線33の表層に形成されたシリサイド層37を露出するようにコンタクトホール40が形成される。層間絶縁膜8のエッチングはフッ素系ガスであるCを含有するC/Ar/Oガスを使用したRIE法により行われる。チャンバ温度は例えば−15℃から+10℃、ガス流量はCが0.1sccmから10sccm、Arが100sccmから1000sccm、Oが0.1sccmから10sccmである。
【0098】
なお、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は、後述する等方性エッチングによってテーパー形状を有するようにするように形成されているため、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は第3の膜6aの膜厚と比較して薄く形成されている。そのため、層間絶縁膜8のエッチング工程の際に、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´のためにエッチングガスを変更することなく、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´を容易にエッチングすることができる。
【0099】
第1の膜3と第3の膜6aとのエッチングはフッ素系ガスであるCHFを含有するCHF/Ar/Oガスを使用したRIE法により行われる。チャンバ温度は例えば0℃から35℃、ガス流量はCHF3が1sccmから100sccm、アルゴンガスが10sccmから500sccm、酸素ガスが1sccmから100sccmである。
【0100】
図8は、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´において配線33と接続するコンタクトプラグ50bを形成する工程を示す。図8は、図7Bに加えてコンタクトプラグ50a及びコンタクトプラグ50bを示す。コンタクトプラグ50aは、シリサイド層17及びシリサイド層27を介して、n型MISトランジスタ10のコンタクト電極であるソース・ドレイン電極16及びp型MISトランジスタ20のコンタクト電極であるソース・ドレイン電極26とを電気的に接続するために形成されるものである。コンタクトプラグ50bは、シリサイド層37を介して、コンタクト電極である配線33を電気的に接続するために形成されている。コンタクトプラグ50bは、n型MISトランジスタ10とp型MISトランジスタ20との間に形成されるものである。
【0101】
なお、ソース・ドレイン電極16上のコンタクトプラグ50aは、層間絶縁膜8、第1の膜3及び第2の膜4を貫通するように形成されている。ソース・ドレイン電極26上のコンタクトプラグ50aは層間絶縁膜8及び第3の膜6aを貫通するように形成されている。配線33上のコンタクトプラグ50bは、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´において、層間絶縁膜8、第1の膜3、及び第2の膜4を貫通するように形成されている。
【0102】
コンタクトプラグ50a及びコンタクトプラグ50bは、例えば密着層として例えばチタン、拡散防止層として例えば窒化チタン、プラグ材として例えばタングステンを順次積層形成したものからなる。密着層は、シリサイド層17、シリサイド層27及びシリサイド層37と拡散防止膜との密着性を向上させるために形成されるものである。拡散防止層は、プラグ材が層間絶縁膜に拡散するのを防止するために形成されるものである。なお、コンタクトプラグ50a及びコンタクトプラグ50bにおける密着層及び拡散防止層は図示を省略する。
【0103】
図8に示すように、コンタクトホール40の形成後、密着層である例えばチタンが、シリコン基板1の全面及びコンタクトホール40の開口面に膜厚5nmから30nmとなるように形成される。チタンの形成方法は、ターゲット電力が1kWから18kW、基板バイアス電力が0Wから500Wのスパッタ法によるものである。形成温度は50℃から250℃である。なお、密着層であるチタンは必須の構成要件ではない。
【0104】
次いで、拡散防止層である例えば窒化チタンは、シリコン基板1の全面及び密着層の形成面上に膜厚1nmから10nmで形成される。窒化チタンの形成方法は、TDMAT(テトラジメチルアミノチタン)を原料ガスとしてMO−CVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によるものである。拡散防止層の形成温度は300℃から450℃である。
【0105】
次いで、シリコン基板1の全面及び拡散防止層の形成面上にタングステンからなるプラグ材が形成される。タングステン形成はWFガスを使用したCVD法にて行われる。プラグ材の形成温度は300℃から500℃とする。その後、CMP法を用いて、層間絶縁膜8上のチタン、窒化チタン及びタングステンが除去され、コンタクトプラグ50a及びコンタクトプラグ50bが完成する。このように、シリコン基板1上に引張応力の印加により動作速度の向上したn型MISトランジスタ10と、圧縮応力の印加により動作速度の向上したp型MISトランジスタ20とが形成された半導体装置が得られる。
【0106】
<本実施例による半導体装置の製造方法の効果>
図9は、層間絶縁膜8のエッチング工程における層間絶縁膜8と、第3の膜6aの形成材料である窒化シリコンのエッチングレートを示す表である。
【0107】
層間絶縁膜8のエッチング工程における層間絶縁膜8のエッチングレートは1で示す。層間絶縁膜8のエッチング工程は、ここでは、フッ素系ガスであるCを含有するC/Ar/Oガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法により行われる。チャンバ温度は例えば−15℃から+10℃、ガス流量はC48が0.1sccmから10sccm、Arが100sccmから1000sccm、O2が0.1sccmから10sccmである。
【0108】
図9に示すように、層間絶縁膜8のエッチング工程における層間絶縁膜8と第3の膜6aの形成材料である窒化シリコンとのエッチングレートは、1:0.05〜0.09である。
【0109】
図9から、窒化シリコン膜6のエッチングレートは、層間絶縁膜8と比較して低いことがわかる。しかし、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は、等方性エッチングによってテーパー形状を有するように形成されているため、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は第3の膜6aの膜厚と比較して薄く形成されている。そのため、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´は、層間絶縁膜8をエッチングする工程において除去することができる。したがって、第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域6a´のエッチングは、窒化シリコン用のエッチングガスを用いなくても容易にエッチングすることができる。
【0110】
本発明の実施例における半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、コンタクトプラグ50bを配線33上の第2の膜4上に端部を有し第3の膜6aの端部の膜厚と配線33上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域6a´において形成することができるため、コンタクトプラグ50bの導通不良を防ぐことができる。
【0111】
また、第2の膜4上に第3の膜6aの端部を有し端部の膜厚と配線33上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域6a´を形成する工程によって、コンタクトホール形成工程における開口不良の発生を抑えることができる。そのため、コンタクトプラグ50bの導通不良の発生を抑制することができる。
(付記1)
基板上に配線を形成する工程と、
前記配線上に第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜上に第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜上に前記第2の膜よりもエッチング耐性が低い材料によって第3の膜を形成する工程と、
前記第2の膜上に前記第3の膜の端部を有し前記端部の膜厚と前記配線上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域を形成する工程と、
前記第2の膜又は前記第3の膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記形状を有する領域において前記配線に接続するコンタクトプラグを形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)
前記コンタクトプラグは、前記形状を有する領域において前記第1の膜、前記第2の膜及び前記層間絶縁膜を貫通するように形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記形状を有する領域を形成する工程は、等方性エッチングを行うことであることを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記形状を有する領域を形成する工程は、等方性エッチングを行った後に異方性エッチングを行うことを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記形状を有する領域を形成する工程は、異方性エッチングを行うことであることを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記形状を有する領域を形成する工程は、異方性エッチングを行った後に等方性エッチングを行うことを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
前記配線は、前記基板上の第1導電型を有する電界効果トランジスタと第2導電型を有する電界効果トランジスタとの間に形成されていることを特徴とする付記1乃至付記6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記第1の膜は、前記第1導電型を有する電界効果トランジスタ上に形成され、前記第3の膜は、前記第2導電型を有する電界効果トランジスタ上に形成されていることを特徴とする付記1乃至付記7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記第1の膜及び前記第3の膜は応力膜であることを特徴とする付記1乃至付記8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記第1の膜及び前記第3の膜は窒化シリコンによって形成されており、前記第2の膜は酸化シリコンによって形成されていることを特徴とする付記1乃至付記9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
基板上に形成された配線と、
前記配線上に形成された第1の膜と、
前記第1の膜上に形成された第2の膜と、
端部の膜厚と前記配線上の他部分の膜厚が異なる領域を有する第3の膜と、
前記配線に接続するコンタクトプラグと、を有し、
前記第3の膜は、前記第2の膜よりもエッチング耐性が低い材料で形成されていることを特徴とする半導体装置。
(付記12)
前記コンタクトプラグは、前記形状を有する領域において前記第1の膜、前記第2の膜、及び前記第2の膜及び前記第3の膜上に形成された層間絶縁膜を貫通するように形成されていることを特徴とする付記11に記載の半導体装置。
(付記13)
前記配線は、前記基板上の第1導電型の電界効果トランジスタと第2導電型の電界効果トランジスタとの間に形成されていることを特徴とする付記11又は付記12に記載の半導体装置。
(付記14)
前記第1の膜は、前記第1導電型の電界効果トランジスタ上に形成され、前記第2の膜は、前記第2導電型の電界効果トランジスタ上に形成されていることを特徴とする付記11乃至付記13のいずれかに記載の半導体装置。
(付記15)
前記第1の膜及び前記第3の膜は応力膜であることを特徴とする付記11乃至付記14のいずれかに記載の半導体装置。
(付記16)
前記第1の膜及び前記第3の膜は窒化シリコンによって形成されており、前記第2の膜は酸化シリコンによって形成されていることを特徴とする付記11乃至付記15のいずれかに記載の半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1Aは、本発明に係る半導体装置の平面図である。図1Bは、本発明に係る半導体装置の断面図である。
【図2】図2Aから図2Bは、本発明に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図3】図3Aから図3Bは、本発明に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図4】図4Aから図4Bは、本発明に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図5】図5Aから図5Bは、本発明に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図6】図6Aから図6Bは、本発明に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図7】図7Aから図7Bは、本発明に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図8】図8は、本発明に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図9】図9は、本発明の層間絶縁膜8のエッチング工程に係る層間絶縁膜と、第3の膜の形成材料である窒化シリコン膜のエッチングレートを示す表である。
【符号の説明】
【0113】
1 シリコン基板
2 素子分離領域
3 第1の膜
4 第2の膜
5 レジストマスク
6 窒化シリコン膜
6a 第3の膜
6a´ 第3の膜の膜厚が異なる形状を有する領域
6b 第3の膜の残渣
7 レジストマスク
8 層間絶縁膜
10 n型MISトランジスタ
11 p型ウェル領域
12 ゲート絶縁膜
13 ゲート電極
14 サイドウォール
15 ソース・ドレイン・エクステンション領域
16 不純物濃度が高いソース・ドレイン領域
17 シリサイド層
20 p型MISトランジスタ
21 n型ウェル領域
22 ゲート絶縁膜
23 ゲート電極
24 サイドウォール
25 ソース・ドレイン・エクステンション領域
26 不純物濃度が高いソース・ドレイン領域
27 シリサイド層
32 ゲート絶縁膜
33 配線
34 サイドウォール
37 シリサイド層
40 コンタクトホール
50a コンタクトプラグ
50b コンタクトプラグ
60 活性領域
70 活性領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配線を形成する工程と、
前記配線上に第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜上に第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜上に前記第2の膜よりもエッチング耐性が低い材料によって第3の膜を形成する工程と、
前記第2の膜上に前記第3の膜の端部を有し前記端部の膜厚と前記配線上の他部分の膜厚が異なる形状を有する領域を形成する工程と、
前記第2の膜又は前記第3の膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記形状を有する領域において前記配線に接続するコンタクトプラグを形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記コンタクトプラグは、前記形状を有する領域において前記第1の膜、前記第2の膜及び前記層間絶縁膜を貫通するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記形状を有する領域を形成する工程は、等方性エッチングを行うことであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記形状を有する領域を形成する工程は、等方性エッチングを行った後に異方性エッチングを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記形状を有する領域を形成する工程は、異方性エッチングを行うことであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記形状を有する領域を形成する工程は、異方性エッチングを行った後に等方性エッチングを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記配線は、前記基板上の第1導電型を有する電界効果トランジスタと第2導電型を有する電界効果トランジスタとの間に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の膜は、前記第1導電型を有する電界効果トランジスタ上に形成され、前記第3の膜は、前記第2導電型を有する電界効果トランジスタ上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板上に形成された配線と、
前記配線上に形成された第1の膜と、
前記第1の膜上に形成された第2の膜と、
端部の膜厚と前記配線上の他部分の膜厚が異なる領域を有する第3の膜と、
前記配線に接続するコンタクトプラグと、を有し、
前記第3の膜は、前記第2の膜よりもエッチング耐性が低い材料で形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記配線は、前記基板上の第1導電型の電界効果トランジスタと第2導電型の電界効果トランジスタとの間に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−105279(P2009−105279A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276629(P2007−276629)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】