説明

半導体装置の製造方法及び露光装置

【課題】フォーカス値の測定時間を短縮し、かつ正確なフォーカス値を得ることができる半導体装置の製造方法及び露光装置を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、ウエハ3上に形成されたレジスト6より下層に形成された膜によって反射率が異なる領域について測定されたフォーカス値を取得し、反射率が低い第1の領域31について得られたフォーカス値に、前記第1の領域31よりも反射率が高い第2の領域32について得られたフォーカス値を近づけて露光処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、基板に形成されたレジスト上のフォーカス計測点と、そのフォーカス計測点を挟む2つのフォーカス計測点にスリット像を投影し、3つのフォーカス計測点から得られた反射光の強度から反射率分布、重心位置、フォーカス誤差を順に算出し、算出したフォーカス誤差とフォーカス計測点の座標を対応させて記憶装置に記憶させる位置計測方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この位置計測方法によると、予めフォーカス誤差が既知であるので、検知光を用いて計測した計測値からフォーカス誤差を排除することができ、基板を所定の位置に位置決めすることができるとしている。
【0004】
しかし、従来の位置計測方法によれば、3つのフォーカス測定点における反射光の強度からフォーカス誤差を算出するので、測定に時間が掛かるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/047156号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フォーカス値の測定時間を短縮し、かつ正確なフォーカス値を得ることができる半導体装置の製造方法及び露光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、半導体基板上に形成されたレジストより下層に形成された膜によって反射率が異なる領域について測定されたフォーカス値を取得し、反射率が低い第1の領域について得られたフォーカス値に、前記第1の領域よりも反射率が高い第2の領域について得られたフォーカス値を近づけて露光処理を行う半導体装置の製造方法を提供する。
【0008】
本発明の他の一態様は、半導体基板上に形成されたレジストに向けて検査光を射出する光源部と、前記光源部から射出された前記検査光の反射光を検出する光検出部と、前記光検出部の検出結果に基づいてフォーカス値を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記フォーカス値のうち、反射率が高い領域から得られたフォーカス値を、前記反射率が高い領域よりも反射率が低い領域から得られたフォーカス値に近づけて露光処理を行う露光処理部と、を備えた露光装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フォーカス値の測定時間を短縮し、かつ正確なフォーカス値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る露光装置の概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係るウエハの概略図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る第1及び第2の領域のフォーカス値に関する概略図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る検査光と反射光に関する模式図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態に係るフォーカス値に関する概略図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態に係るレジストに段差がある場合の検査光と反射光に関する模式図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法に関するフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
(露光装置の構成)
図1は、第1の実施の形態に係る露光装置の概略構成図である。図1に示すXYZ座標系は、露光する際に、後述するレチクルとウエハが相対移動する方向をY軸方向、Y軸方向と直交する方向をX軸方向とし、X軸及びY軸と直交する方向、すなわち後述する投影光学系の光軸方向をZ軸とする。また、この露光装置1は、一例として、ステップアンドリピート方法でレチクル上のマスクパターンをウエハ上に転写するスキャン露光装置である。
【0012】
この露光装置1は、主に、半導体基板としてのウエハ3上に形成されたレジストに向けて検査光70を射出する光源部としての検査光源部18と、検査光源部18から射出された検査光70の反射光700を検出する光検出部19と、光検出部19の検出結果に基づいてフォーカス値を算出する算出部としてのフォーカス値測定部210と、フォーカス値測定部210によって算出されたフォーカス値のうち、反射率が高い領域から得られたフォーカス値を、反射率が高い領域よりも反射率が低い領域から得られたフォーカス値に近づけて露光処理を行う露光処理部212と、を備えて概略構成されている。
【0013】
また露光装置1は、図1に示すように、露光光100を射出する照明光源10と、照明光源10の下方に配置される開口絞りホルダ11と、露光光100を偏光する偏光子12と、偏光した露光光100を集光する集光光学系13と、集光光学系13の下方に配置されるスリットホルダ14と、スリットホルダ14の下方に配置され、露光光100を照射されるレチクル15を保持するレチクルステージ16と、レチクルステージ16の下方に配置される投影光学系17と、投影光学系17の下方に配置され、ウエハ3を保持するウエハステージ20と、CPU(Central Processing Unit)21と、記憶部22と、入力部23と、出力部24と、を備えて概略構成されている。
【0014】
照明光源10は、例えば、露光光100としてKrF、ArF等のエキシマレーザを射出するように構成されている。
【0015】
レチクル15は、例えば、石英ガラス等の透明基板からなり、Cr等からなる遮光膜によってマスクパターンが形成されている。
【0016】
レチクルステージ16は、レチクル用XYステージ160と、レチクル用XYステージ160の上部に配置されたレチクル用可動軸162、163と、レチクル用可動軸162、163のそれぞれでレチクル用XYステージ160に接続されるレチクル用Z傾斜ステージ164とを備えて概略構成されている。
【0017】
レチクルステージ16には、レチクルステージ駆動部161が接続される。レチクルステージ駆動部161は、レチクル用XYステージ160を水平方向に走査する。またレチクル用可動軸162、163のそれぞれを垂直方向に駆動する。よって、レチクル用Z傾斜ステージ164は、レチクル用XYステージ160によって水平方向に位置決めされ、かつレチクル用可動軸162、163のそれぞれにより水平面に対して傾斜をつけて配置することができる。レチクル用Z傾斜ステージ164の端部には、レチクル用移動鏡166が配置される。レチクル用Z傾斜ステージ164の配置位置は、レチクル用移動鏡166に対向して配置されたレチクル用レーザ干渉計165で計測される。
【0018】
ウエハステージ20は、ウエハ用XYステージ200と、ウエハ用XYステージ200の上部に配置されたウエハ用可動軸202、203と、ウエハ用可動軸202、203のそれぞれでウエハ用XYステージ200に接続されるウエハ用Z傾斜ステージ204とを備えて概略構成されている。
【0019】
ウエハステージ20には、ウエハステージ駆動部201が接続される。ウエハステージ駆動部201は、ウエハ用XYステージ200を水平方向に走査する。またウエハ用可動軸202、203のそれぞれを垂直方向に駆動する。よって、ウエハ用Z傾斜ステージ204は、ウエハ用XYステージ200によって水平方向に位置決めされ、かつウエハ用可動軸202、203のそれぞれにより水平面に対して傾斜をつけて配置することができる。ウエハ用Z傾斜ステージ204の端部には、ウエハ用移動鏡206が配置される。ウエハ用Z傾斜ステージ204の配置位置は、ウエハ用移動鏡206に対向して配置されたウエハ用レーザ干渉計205で計測される。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るウエハの概略図である。ウエハ3は、例えば、図2に示すショット領域30ごとに、レチクル15に形成されたマスクパターンが縮小投影される。図2に示す第1の領域31は、例えば、レジストよりも下層に反射率の低い膜が形成された領域であり、図2に示す第2の領域32は、例えば、レジストより下層に、第1の領域31よりも反射率の高い膜が形成された領域である。第1及び第2の領域31、32の一例を挙げると、第1の領域31は、レジストより下層に形成された配線の密度が高い領域であり、第2の領域32は、第1の領域31よりも配線の密度が低い領域である。また、第1の領域31と第2の領域32において測定される反射率は、例えば、レジストよりも下層の膜の構成が異なる場合、レジストよりも下層の膜の膜厚が異なる場合等によっても異なる。なお、第1及び第2の領域31、32は、ショット領域30内に複数設定されても良い。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る第1及び第2の領域のフォーカス値に関する概略図である。図3におけるフォーカス値は、図中に番号「10」〜「14」が付されたショット領域30のフォーカス値を示している。また、図3に示す矢印は、フォーカス値が測定されるショット領域30の順番を示している。フォーカス値の測定は、ステップアンドリピート方法、若しくは露光前に事前に計測する方法によって、図3に示す「1」〜「23」のショット領域30に順次検査光70を測定点に向けて射出し、その反射光700を光検出部19によって検出することによって行われ、ウエハステージ20を介してウエハ3が検査光源部18及び光検出部19に対して移動する。
【0022】
検査光源部18は、例えば、7つの光源が一列に並べられて構成されている。検査光源部18は、ショット領域30に設定された複数の測定点に向けて検査光70を射出し、光検出部19は、レジスト6表面等で反射した反射光700を検出する。ここで検査光源部18から射出される検査光70は、レジスト6を感光させない波長の光である。
【0023】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る検査光と反射光に関する模式図である。図4は、第1の領域31に対するフォーカス値の測定と第2の領域32に対するフォーカス値の測定の様子を図示している。
【0024】
図4に示すウエハ3には、一例として、ウエハ3上に設けられた配線層4と、配線層4上に形成され、露光光100の反射を防止する反射防止膜5と、反射防止膜5上に形成されたレジスト6と、が形成されている。配線層4は、ウエハ3上に形成された配線40と、配線40を覆うように形成された絶縁膜41とを備えて概略構成されている。この配線40は、例えば、金属膜であり、反射率がウエハ3、絶縁膜41、反射防止膜5及びレジスト6に比べて高い膜である。また反射防止膜5は、露光光100の反射を防止することで、露光処理の精度を向上させるものであるが、検査光源部18から射出される検査光70の反射を防止するための膜ではないため、検査光70は、反射防止膜5を透過し、その下層の膜の境界面や膜中において反射する。
【0025】
第1の領域31では、例えば、レジスト6内部に進入した検査光70がレジスト6の下層の膜の境界や膜中で反射し、レジスト6の下層からの反射光72とレジスト6表面からの反射光71が反射光700として光検出部19で検出され、この反射光700と検査光70に基づいて反射率が算出され、算出された反射率に基づいてフォーカス値が算出される。フォーカス値の誤差は、主に、この反射光72によって生じる。また第2の領域32では、例えば、検査光70がレジスト6の下層の膜の境界や膜中、そして他の膜よりも反射率の高い配線40で反射し、レジスト6の下層からの反射光74とレジスト6表面からの反射光73が反射光700として光検出部19で検出され、この反射光700と検査光70に基づいて反射率が算出され、算出された反射率に基づいてフォーカス値が算出される。この反射光74は、レジスト6の下層の反射率が高い膜からの反射であるので、フォーカス値の誤差も第1の領域31に比べて大きい。
【0026】
測定されたフォーカス値は、例えば、1つのショット領域30が、レジスト6より下層に形成された膜の反射率が低い領域である第1の領域31と、第1の領域31よりも反射率が高い領域である第2の領域32に分けられるとき、図3に示すように、反射率が低い領域のフォーカス値として測定される第1のフォーカス値310と、反射率が高い領域のフォーカス値として測定される第2のフォーカス値320とに大別される。
【0027】
CPU21は、算出部としてのフォーカス値測定部210と、フォーカスマップ作成部211と、露光処理部212と、ステージ制御部213と、を備えて概略構成されている。
【0028】
フォーカス値測定部210は、検査光源部18及び光検出部19を制御し、光検出部19によって検出された反射光700から、ウエハ3の投影光学系17の光軸方向の基準点からの距離(フォーカス値)を算出し、算出した結果を測定点の座標と関連付けてフォーカスマップ作成部211に出力する。
【0029】
フォーカスマップ作成部211は、フォーカス値測定部210によって測定された各測定点におけるフォーカス値を後述する補正方法によって補正し、補正したフォーカス値と測定点の座標を関連付けてフォーカス値の分布を示すフォーカスマップ222を作成する。
【0030】
露光処理部212は、露光処理における工程や各種パラメータ等を制御する。
【0031】
ステージ制御部213は、露光処理部212及びフォーカス値測定部210による制御に基づいてレチクルステージ駆動部161、レチクル用レーザ干渉計165、ウエハステージ駆動部201及びウエハ用レーザ干渉計205等を制御する。
【0032】
記憶部22は、ソフトウエア220、レイアウトデータ221、フォーカスマップ222を記憶する。ソフトウエア220は、露光処理、フォーカス値測定や補正に必要なプログラムであり、CPU21によって実行される。レイアウトデータ221は、ウエハ3上に形成される回路のレイアウトに関するデータであり、一例として、入力部23を介して記憶部22に記憶される。なお、ソフトウエア220は、以下において、既にCPU21によって実行中であるものとする。
【0033】
入力部23は、例えば、キーボード、マウス等の入力装置やコンピュータ等の外部装置と接続されている。出力部24は、例えば、液晶表示装置、発光ダイオード等によるモニタ画面等に接続されている。
【0034】
以下に、本実施の形態の本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0035】
(半導体装置の製造)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るフォーカス値に関する概略図であり、図6は、本発明の第1の実施の形態に係るレジストに段差がある場合の検査光と反射光に関する模式図であり、図7は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法に関するフローチャートである。図5は、縦軸がフォーカス値であり、横軸がY軸となっている。
【0036】
まず、レジスト6の下層に配線層4等が形成されたウエハ3を準備し、ウエハ用Z傾斜ステージ204にセットする。続いて、露光装置1のCPU21は、入力部23を介してフォーカス値の測定を指示されると、記憶部22からこのウエハ3に関するレイアウトデータ221を取得する(S1)。
【0037】
次に、CPU21のフォーカス値測定部210は、取得したレイアウトデータ221に基づいてフォーカス値を測定する(S2)。
具体的には、フォーカス値測定部210は、レイアウトデータ221に基づいてショット領域30を第1及び第2の領域31、32に分け、ステップアンドリピート方法、若しくは露光前に事前に計測する方法によってそれぞれの測定点におけるフォーカス値を測定し、測定したフォーカス値と測定点の座標を関連付けてフォーカスマップ作成部211に出力する。
【0038】
次に、フォーカスマップ作成部211は、測定結果に基づいてフォーカスマップ222を作成する(S3)。
具体的には、フォーカスマップ作成部211は、フォーカス値測定部210から出力された第2の領域32の第2のフォーカス値320を第1の領域31の第1のフォーカス値310側に近づける補正方法によって補正を行い、第1のフォーカス値310と補正後の第2のフォーカス値320をそれぞれの測定点の座標に関連付けてフォーカスマップ222を作成する。図5は、この補正の一例として、ある一定の補正値Δtを第2のフォーカス値320に加算し、第1のフォーカス値310に近づける補正方法を示している。第2のフォーカス値320を第1のフォーカス値310側に補正する他の補正方法として、例えば、1つのショット領域30内で第1のフォーカス値310の平均のフォーカス値と第2のフォーカス値320の平均のフォーカス値を算出し、それらの差分を算出し、算出した差分を第2のフォーカス値320に加算して補正する補正方法、最小自乗近似法を用いて第1及び第2のフォーカス値310、320の近似フォーカス値を算出し、その差分を第2のフォーカス値310に加算して補正する補正方法等を用いることができる。ここで、ウエハ3全体のフォーカス値を平均化して露光処理する方が望ましい一例を下記に示す。
【0039】
図6に示すレジスト6は、例えば、配線40等の条件により表面の高さが、第1の領域31と第2の領域32の境界付近で異なっている。レジスト6に段差がある場合の補正方法は、例えば、段差によるフォーカス値の誤差なのか、レジスト6より下層に形成された配線40の密度の差による誤差なのかの区別が困難なため、事前に段差の高さを把握した上で、補正後の第2のフォーカス値に、段差の高さを加えた第3のフォーカス値を適用することが望ましい。
【0040】
また、補正方法は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって配線層4が平坦化されている場合、反射率の高低に基づいて領域を分けて補正することが望ましい。
【0041】
次に、露光処理部212は、作成されたフォーカスマップ222に基づいてウエハ3に露光処理を行う(S4)。
具体的には、露光装置1は、ステップアンドリピート法によってスキャン露光を開始する。露光処理部212は、フォーカスマップ222に基づいて各測定点のフォーカス値に応じてステージ制御部213を介してウエハステージ駆動部201等を制御し、ウエハ3のZ軸方向の位置、及び傾斜等を調整し、露光処理を行う。
【0042】
次に、露光処理がウエハ3全体で終了した後、現像処理を行ってレジストパターンを形成し、続いて形成したレジストパターンをマスクとしてエッチング処理を行ってレジストパターンより下層の膜をエッチングし、所望のパターンを形成する。続いて、周知の工程を経て所望の半導体装置を得る。なお、例えば、ロット内のウエハの仕上がりにばらつきが少ない場合は、ロットの先頭のウエハにおいてフォーカス値の測定を行ってフォーカスマップ222を作成し、このフォーカスマップ222に基づいて残りのロットのウエハの露光処理を行っても良い。
【0043】
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)レジスト6より下層に形成された膜の反射率が高い領域のフォーカス値を、反射率が低い領域のフォーカス値に近づけて露光処理を行うことで、フォーカス値を平均して露光処理を行う場合に比べてより精度の高い露光処理を行うことができる。
(2)レイアウトデータ221に基づいてウエハ3面内を反射率の高い領域、低い領域に分けて、フォーカス値を測定することができるので、レイアウトデータ221を持たない場合に比べて、ウエハ3全体で正確なフォーカス値を得ることができる。
(3)光学式フォーカス測定装置を有する露光装置において、露光装置の構成を追加することなく、ソフトウエアを変更することで正確なフォーカス値を得ることができる。
(4)フォーカス値算出のための煩雑な処理を必要としないので、フォーカス値の測定時間を短縮することができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、レイアウトデータを使用することなくフォーカス値を補正する点で第1の実施の形態と異なっている。なお、以下の各実施の形態について、第1の実施の形態と構成及び機能が同じ部分については、第1の実施の形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
以下に、本実施の形態の本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0046】
(半導体装置の製造)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法に関するフローチャートである。
【0047】
まず、レジスト6が形成されたウエハ3を準備し、ウエハ用Z傾斜ステージ204にセットする。続いて、露光装置1のCPU21のフォーカス値測定部210は、ウエハ3の測定点におけるフォーカス値を測定する(S10)。
具体的には、フォーカス値測定部210は、ステップアンドリピート方法、若しくは露光前に事前に計測する方法によってそれぞれの測定点におけるフォーカス値を測定し、測定したフォーカス値と測定点の座標を関連付けてフォーカスマップ作成部211に出力する。
【0048】
次に、フォーカスマップ作成部211は、測定結果に基づいてフォーカスマップ222を作成する(S11)。
具体的には、フォーカスマップ作成部211は、例えば、フォーカス値測定部210から出力されたフォーカス値のうち、反射率の高低によって2極化したフォーカス値をフォーカス値の大小に大別して大きい方のフォーカス値を平均化し、平均化した大きい方のフォーカス値に、小さい方のフォーカス値を近づける補正方法によって補正を行い、補正した小さい方のフォーカス値と補正しない大きい方のフォーカス値をそれぞれの測定点の座標に関連付けてフォーカスマップ222を作成する。なお、補正方法は、これに限定されず、大きい方のフォーカス値に、小さい方のフォーカス値を近づける補正方法であれば良い。
【0049】
次に、露光処理部212は、作成されたフォーカスマップ222に基づいてウエハ3に露光処理を行う(S12)。
【0050】
次に、露光処理がウエハ3全体で終了した後、現像処理を行ってレジストパターンを形成し、続いて形成したレジストパターンをマスクとしてエッチング処理を行ってレジストパターンより下層の膜をエッチングし、所望のパターンを形成する。続いて、周知の工程を経て所望の半導体装置を得る。
【0051】
(第2の実施の形態の効果)
本発明の第2の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
レイアウトデータを使用することなくフォーカス値の補正を行うことができるので、レイアウトデータを使用する場合と比べてフォーカス値の測定時間を短縮することができる。
【0052】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、反射率が高い領域を測定せずに、反射率が低い領域のフォーカス値で露光処理を行う点で上記の各実施の形態と異なっている。
【0053】
(半導体装置の製造方法)
まず、レジスト6が形成されたウエハ3を準備し、ウエハ用Z傾斜ステージ204にセットする。続いて、露光装置1のCPU21は、入力部23を介してフォーカス値の測定を指示されると、記憶部22からこのウエハ3に関するレイアウトデータ221を取得する。
【0054】
次に、CPU21のフォーカス値測定部210は、取得したレイアウトデータ221に基づいてフォーカス値を測定する。
具体的には、フォーカス値測定部210は、レイアウトデータ221に基づいてショット領域30を第1及び第2の領域31、32に分け、正常なフォーカス値を測定することができる第1の領域31の第1のフォーカス値310だけを測定し、測定したフォーカス値と測定点の座標を関連付けてフォーカスマップ作成部211に出力する。
【0055】
次に、フォーカスマップ作成部211は、測定結果に基づいてフォーカスマップ222を作成する。
具体的には、フォーカスマップ作成部211は、フォーカス値測定部210から出力された第1の領域31の第1のフォーカス値310を隣接する第2の領域32のフォーカス値に割り当てフォーカスマップ222を作成する。なお、ウエハ3全体における第1のフォーカス値310を平均化し、平均化した第1のフォーカス値310を使用してウエハ3全体の露光処理を行っても良い。
【0056】
次に、露光処理部212は、作成されたフォーカスマップ222に基づいてウエハ3に露光処理を行う。
【0057】
次に、露光処理がウエハ3全体で終了した後、現像処理を行ってレジストパターンを形成し、続いて形成したレジストパターンをマスクとしてエッチング処理を行ってレジストパターンより下層の膜をエッチングし、所望のパターンを形成する。続いて、周知の工程を経て所望の半導体装置を得る。
【0058】
(第3の実施の形態の効果)
本発明の第3の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
反射率が高い領域のフォーカス値を測定せず、反射率が低い領域のフォーカス値のみを用いて露光処理を行うので、全ての測定点を測定する場合と比べてフォーカス値の測定時間を短縮することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形および組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…露光装置、3…ウエハ、6…レジスト、18…検査光源部、19…光検出部、70…検査光、700…反射光、210…フォーカス値測定部、212…露光処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成されたレジストより下層に形成された膜によって反射率が異なる領域について測定されたフォーカス値を取得し、
反射率が低い第1の領域について得られたフォーカス値に、前記第1の領域よりも反射率が高い第2の領域について得られたフォーカス値を近づけて露光処理を行う半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の領域は、前記レジストより下層に形成された配線の密度が低い領域であり、
前記第2の領域は、前記レジストより下層に形成された配線の密度が、前記第1の領域よりも高い領域である請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の領域について得られたフォーカス値に補正値を付加し、
前記第1の領域について得られたフォーカス値、及び前記補正値を付加した前記第2の領域について得られたフォーカス値に基づいて前記露光処理を行う請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の領域について得られたフォーカス値、及び前記第2の領域について得られたフォーカス値に基づいて前記半導体基板上のフォーカス値の分布を示すフォーカスマップを作成し、
作成した前記フォーカスマップに基づいて前記露光処理を行う請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板上に形成されたレジストに向けて検査光を射出する光源部と、
前記光源部から射出された前記検査光の反射光を検出する光検出部と、
前記光検出部の検出結果に基づいてフォーカス値を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記フォーカス値のうち、反射率が高い領域から得られたフォーカス値を、前記反射率が高い領域よりも反射率が低い領域から得られたフォーカス値に近づけて露光処理を行う露光処理部と、
を備えた露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−40661(P2011−40661A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188816(P2009−188816)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】