説明

半導体装置の製造方法

【課題】製造工程中にダメージを受けても、良好な品質を示す低誘電率膜を備えた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体基板上に低誘電率膜14を形成する工程(a)と、低誘電率膜14に凹部20を形成する工程(b)と、工程(b)の後、低誘電率膜14に有機溶液4を塗布する工程(c1)と、シリル化溶液5を用いて低誘電率膜14をシリル化する工程(c2)とを順に行う工程(c)と、工程(c)の後、凹部20に金属を埋め込むことで、低誘電率膜14にビアプラグ及び金属配線のうち少なくとも1つを形成する工程(d)とを備えている。工程(c2)の前に、工程(c1)を行うことで、シリル化溶液5の低誘電率膜14に対する浸透性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線構造を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(大規模半導体集積回路)の微細化に伴い、半導体素子の更なる高速化、低消費電力化が求められている。その際、配線形成において、配線抵抗と配線容量の低減を確保するために、配線の材料として、アルミニウムに比べて抵抗の低い銅(Cu)を用い、配線間周りの絶縁膜の材料として、SiO膜よりも比誘電率kの小さな低誘電率絶縁膜、所謂低誘電率膜を用いることが検討されている。近年では、更なる低誘電率化のために多孔質材料からなる低誘電率膜の開発が加速されている。
【0003】
このCu配線を用いた配線形成においては、一般的にダマシン(Damascene)法が用いられている。具体的には、Cu拡散防止膜及び上に形成された低誘電率膜に凹部を形成した後、該凹部にバリアメタル薄膜をスパッタで形成し、その上にCuをめっきで埋め込む。その後、低誘電率膜上に形成された余分なCu及び低誘電率膜上部をCMP(化学機械研磨)により除去することで、Cuからなる金属配線を形成する。
【0004】
低誘電率膜の種類としては、有機膜、無機膜、有機無機混成のSiOC膜などがある。
これらの膜の製造方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法若しくはSOD(Spin ON Dielectric)法がある。有機膜としてはポリ・アリール等、無機膜としてはHSQ(Hydrogen Siloxane)等がある。SiOC膜とはSiO膜のSiの一部にメチル基等のアルキル基が修飾された状態の膜である。
【0005】
凹部加工においてはドライエッチングが用いられ、その後低誘電率膜に残存するエッチング残渣物を除去するためにアッシングを行い、さらに必要に応じて洗浄液により洗浄を行う。一般に、低誘電率膜に凹部を形成するためにドライエッチング、アッシング、及び洗浄処理を行うと、それぞれの工程において低誘電率膜の表面及び内部の構造がダメージを受ける。
【0006】
特に、低誘電率膜がSiOC膜の場合にはSi−O−Siの主骨格が切断若しくは部分的に除去されるダメージと、Si−CHの結合が切断されるダメージが発生する。このように、低誘電率膜を構成する微細な空孔内の表面及び内部における分子構造が破壊されると、化学結合の終端では、ダングリングボンド(dangling bond)が残留し、プロトン基、OH基に置換されるか、あるいは、水及び水クラスターの吸着が起こってしまう。これらの現象は、低誘電率膜の耐圧特性の劣化や、誘電率の上昇を招き、半導体素子の性能に悪影響を及ぼす。
【0007】
SiOC膜の場合を例に取ると、上記ダメージ発生は、k値がおよそ3程度のSiOC高密度膜(Dense Film)の場合でも生じるが、k値が3未満のSiOCポーラス膜(Porous Film;空孔を有する膜)では更に顕著になる。また、SiOC高密度膜ではダメージは表層近傍でとどまる場合もあるが、SiOCポーラス膜の場合では表層だけでなく内部にまでダメージが発生する。
【0008】
このような不具合に対して、近年、図10に示す半導体装置の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。図10は、従来の半導体装置の製造方法を示すプロセスシーケンスである。同図に示すように、前記方法を使用した従来の半導体装置の製造方法では、デュアルダマシン法を用いて加工した後、シリル化処理を行うことにより、低誘電率膜表面及び膜中のOHとシリル化剤が反応しアルキル基で終端される。その結果、低誘電率膜のダメージを回復させることができる。
【0009】
また、半導体製造プロセスにおいて、低誘電率膜の機械強度を向上させる技術として、成膜後のUV(Ultra-Violet (light))キュア又はEB(Electron Beam)キュアの技術がある。UVキュアとは、基板を加熱しながら膜にUV光を照射することにより、SiOC膜中の側鎖及び主鎖の一部を切断しながら、基板加熱による切断結合部の再結合を促進する技術である。一方、EBキュアとは、基板を加熱しながら膜にEB照射することにより、SiOC膜中の側鎖及び主鎖の一部を切断しながら、基板加熱による切断結合部の再結合を促進する技術である。いずれの場合も、その再結合過程により3次元架橋が促進されるため、結果として、機械強度が増大する。
【0010】
図11は、従来の半導体装置の製造方法を示すプロセスシーケンスである。図11に示すように、従来の装置の製造方法では、半導体基板51上に低誘電率膜52を成膜した後、UVキュア又はEBキュアなどの改質処理を行うことで、低誘電率膜の機械的強度を向上させる。
【特許文献1】特表2004−511896号公報
【特許文献2】特表2007−508691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、凹部加工時のダメージに対して従来の方法では、約数nm以上の空孔を膜中に有するポーラス膜の場合、空孔中の水分と増殖的に反応し、水分子クラスターの存在するところでシリル化剤の塊ができてしまい空孔を塞ぐことにより、それより先の空孔内部にシリル化剤が供給されないという問題が生じる。また、空孔中に水分子クラスターが入りにくい約数nm未満の空孔を有するポーラス膜の場合には、空孔径自体が小さいため空孔の奥深くまでシリル化剤が供給され難くなるか、あるいは、シリル化剤そのものがOH基と反応した時点でそれ以上奥にシリル化剤を供給できなくなるという問題が生じる。
【0012】
このように、従来のシリル化処理を施しても、ポーラス膜の場合には膜中の空孔内ダメージを完全に修復することができないという問題があった。
【0013】
また、低誘電率膜の機械強度を向上させるキュア処理により機械強度は向上するが、そのキュアにより低誘電率膜中の主鎖及び側鎖が切断され、これらがすべて再結合するわけではないため、低誘電率膜中にダメージが発生する。前記の凹部加工のダメージと同様に、シリル化処理により大まかにこのダメージを修復することができる。しかしながら、約数nm以上の空孔を膜中に有するポーラス膜の場合、前記と同様の問題が発生するという課題があった。
【0014】
本発明は、上記に鑑み、製造工程中にダメージを受けても、良好な性能を有する低誘電率膜を備えた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置の第1の製造方法は、基板上に低誘電率膜を形成する工程(a)と、前記低誘電率膜に凹部を形成する工程(b)と、前記工程(b)の後、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布する工程(c1)と、シリル化溶液を用いて前記低誘電率膜をシリル化する工程(c2)とを順に行う工程(c)と、 前記工程(c)の後、前記凹部に金属を埋め込むことで、前記低誘電率膜にビアプラグ及び金属配線のうち少なくとも1つを形成する工程(d)とを備えている。
【0016】
この方法によれば、工程(c)で低誘電率膜に有機溶液を塗布してからシリル化溶液を供給することで、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液が浸透できるため、有機溶液を塗布しない場合に比べて、より効率良く低誘電率膜のシリル化を進行させることができる。その結果、工程(b)等で凹部の形成時に低誘電率膜が損傷を受けても、工程(c)で効率的に低誘電率膜の膜ダメージを効率良く修復させることができるため、良好な品質を備えた低誘電率膜を得ることができる。したがって、本発明の半導体装置の第1の製造方法を用いれば、良好な性能を有する低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0017】
本発明の半導体装置の第2の製造方法では、第1の製造方法の前記工程(c2)が、前記低誘電率膜にシリル化溶液を塗布した後に加熱する工程をさらに含んでいる。このようにすると、シリル化剤が低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液を浸透させた後に、加熱処理によりシリル化剤の溶媒及びシリル化反応しなかった余剰の成分を蒸発させることができるため、本方法で製造された半導体装置の信頼性が向上する。
【0018】
本発明の半導体装置の第3の製造方法では、第1の製造方法の前記工程(c1)が、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布した後に加熱する工程をさらに含んでいる。このようにすると、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔まで浸透した有機溶液が加熱処理により蒸発する際に、成膜時に空孔内に残存していた不要な有機残留成分及び水分も一緒に蒸発するために、次のシリル化工程で低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液が浸透できる。
【0019】
本発明の半導体装置の第4の製造方法では、第1の製造方法の前記工程(c)において、前記第1の工程(c1)で有機溶液を塗布した後、前記有機溶液が乾く前に前記第2の工程(c2)を行う。このようにすると、更に効率良く低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液が浸透できるだけでなく、シリル化溶液の塗布均一性が向上する。
【0020】
本発明の半導体装置の第5の製造方法では、前記低誘電率膜に凹部を形成する工程(b)が、エッチング、アッシング、洗浄の何れかの工程である。このようにすると、前記低誘電率膜加工途中に発生するダメージを効果的に修復することができ、絶縁膜の性能が改善若しくは向上する。
【0021】
本発明の半導体装置の第6の製造方法では、前記有機溶液として、前記シリル化溶液に含まれる溶液、又は、前記シリル化溶液に含まれる溶液に対して可溶性を有し、且つ、シリル化剤に対して化学的に安定な溶液を用いる。このようにすると、有機溶剤を塗布した後にシリル化溶液を塗布する際に不要な反応が生じることなく、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液を安定に浸透でき、シリル化反応を進行させることができる。
【0022】
本発明の半導体装置の第7の製造方法では、前記有機溶液が、少なくとも1つ以上のアルコール類を含んでいる。このようにすると、前記アルコールが低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔へ浸透し蒸発する際に、空孔中の有機残留物や水分を一緒に排出することができる。その結果、その後のシリル化工程(c2)で、低誘電率膜を均一にシリル化することができる。
【0023】
本発明の半導体装置の第8の製造方法では、前記有機溶液として、イソプロピルアルコール又は少なくともイソプロピルアルコールを含有する溶液を用いる。このようにすると、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔への浸透性がよく、また塗布後に加熱を行う場合には、成膜時に空孔内に残存していた不要な有機残留成分及び水分を一緒に効率良く蒸発させることができる。
【0024】
本発明の半導体装置の第9の製造方法では、前記有機溶液が、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類のうち少なくとも1つから構成される。このようにすると、有機溶液とシリル化溶液との親和性の良い組み合わせを実現できるため、溶媒を介して低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔へのシリル化剤を浸透性させることができる。それ故、均一に低誘電率膜をシリル化することができる。
【0025】
本発明の半導体装置の第10の製造方法は、前記工程(a)は、前記基板上に第1の低誘電率膜を形成する工程(a−1)と、第2の低誘電率膜を形成する工程(a−2)とを有し、前記工程(b)は、前記第1の低誘電率膜に凹部を形成する工程(b−1)と、前記第2の低誘電率膜に凹部を形成する工程(b−2)とを有し、前記工程(d)は、前記工程(a−2)の前に行い、前記工程(b−1)で形成した前記凹部に金属を埋め込むことで、前記第1の低誘電率膜に前記ビアプラグを形成する工程(d−1)と、前記工程(b−2)で形成した前記凹部に金属を埋め込むことで、前記第2の低誘電率膜に前記金属配線を形成する工程(d−2)とを有し、一層の配線を形成する半導体装置の製造方法において、前記工程(b−1)、及び、前記工程(b−2)の少なくとも何れか一方の工程の後に、前記工程(c)を備えている。
【0026】
このようにすると、前記第1の低誘電率膜と前記第2の低誘電率膜のいずれか一方に、及び、両方にポーラス膜を用いた場合でも、加工時のダメージを効果的に修復することができ、良好な性能を有する低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0027】
本発明の半導体装置の第11の製造方法では、前記低誘電率膜形成される凹部は、ビアホールと前記ビアホールに連結された配線溝とから構成され、前記凹部に金属を埋め込むことで、前記ビアプラグと前記金属配線とを同時に形成する半導体装置の製造方法において、前記凹部を形成する過程のエッチング、アッシング、洗浄工程の何れかのうち少なくとも一つ以上の工程の後に前記工程(c)を行う。
【0028】
このようにすると、前記低誘電率膜に前記凹部を加工する途中に発生するダメージを効果的に修復することができ、絶縁膜の性能が改善若しくは向上する。その結果、良好な性能を有する低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制された高速動作可能な信頼性の高いデュアルダマシン配線を有する半導体装置を製造することができる。
【0029】
本発明の半導体装置の第12の製造方法は、基板上に低誘電率膜を形成する工程(a)と、前記低誘電率膜に光又は電子線を照射する工程(b)と、前記工程(b)の後、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布する工程(c1)と、シリル化溶液を用いて前記低誘電率膜をシリル化する工程(c2)とを順に行う工程(c)とを備えている。
【0030】
この方法によれば、前記低誘電率膜に光又は電子線を照射することにより、前記低誘電率膜の機械強度を増大できるため、高強度な低誘電率膜を備えた高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を製造することができる。また、工程(c)で低誘電率膜に有機溶液を塗布してからシリル化溶液を供給することで、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液が浸透できるため、有機溶液を塗布しない場合に比べて、より効率良く低誘電率膜のシリル化を進行させることができる。その結果、工程(b)の前記低誘電率膜に光又は電子線を照射する時に低誘電率膜が損傷を受けても、工程(c)で効率的に低誘電率膜の膜ダメージを効率良く修復させることができるため、良好な品質を備えた低誘電率膜を得ることができる。したがって、本発明の半導体装置の第12の製造方法を用いれば、良好な性能を有する高強度低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0031】
本発明の半導体装置の第13の製造方法では、前記工程(b)で前記低誘電率膜に照射する光は、紫外線以下の短波長の成分を含んでいる。このようにすると、前記低誘電率膜の機械強度をさらに増大させることができる。ところがこれに相反して、前記低誘電率膜への損傷が増大するが、本発明の半導体装置の製造方法はシリル化工程(c)を備えているため、前記低誘電率膜への損傷を容易に修復できる。その結果、高強度且つ高絶縁耐性を有する低誘電率膜を備えた高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0032】
本発明の半導体装置の第14の製造方法では、第1の製造方法の前記工程(c)において、前記第1の工程(c1)で有機溶液を塗布した後、前記有機溶液が乾く前に前記第2の工程(c2)を行う。このようにすると、更に効率良く低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液が浸透できるだけでなく、シリル化溶液の塗布均一性が向上する。
【0033】
本発明の半導体装置の第15の製造方法では、第1の製造方法の前記工程(c2)が、前記低誘電率膜にシリル化溶液を塗布した後に加熱する工程をさらに含んでいる。このようにすると、シリル化剤が低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液を浸透させた後に、加熱処理によりシリル化剤の溶媒及びシリル化反応しなかった余剰の成分を蒸発させることができるため、本方法で製造された半導体装置の信頼性が向上する。
【0034】
本発明の半導体装置の第16の製造方法では、第1の製造方法の前記工程(c1)が、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布した後に加熱する工程をさらに含んでいる。このようにすると、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔まで浸透した有機溶液が加熱処理に蒸発する際に、成膜時に空孔内に残存していた不要な有機残留成分及び水分も一緒に蒸発するために、次のシリル化工程で低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液が浸透できる。
【0035】
本発明の半導体装置の第17の製造方法では、前記低誘電率膜に凹部を形成する工程(b)が、エッチング、アッシング、洗浄の何れかの工程である。このようにすると、前記低誘電率膜加工途中に発生するダメージを効果的に修復することができ、絶縁膜の性能が改善若しくは向上する。
【0036】
本発明の半導体装置の第18の製造方法では、前記有機溶液が、前記シリル化溶液に含まれる溶液、又は、前記シリル化溶液に含まれる溶液に対して可溶性を有し、且つ、シリル化剤に対して化学的に安定な溶液を用いる。このようにすると、有機溶剤を塗布した後にシリル化溶液を塗布する際に不要な反応が生じることなく、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液を安定に浸透さ、シリル化反応を進行させることができる。
【0037】
本発明の半導体装置の第19の製造方法では、前記有機溶液が、少なくとも1つ以上のアルコール類を含んでいる。このようにすると、前記アルコールが低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔へ浸透し蒸発する際に空孔中の有機残留物や水分を一緒に排出することができる。その結果、その後のシリル化工程(c2)で、低誘電率膜を均一にシリル化することができる。
【0038】
本発明の半導体装置の第20の製造方法では、前記有機溶液として、イソプロピルアルコール又は少なくともイソプロピルアルコールを含有する溶液を用いる。このようにすると低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔への浸透性がよく、また塗布後加熱を行う場合には、成膜時に空孔内に残存していた不要な有機残留成分及び水分を一緒に効率良く蒸発させることができる。
【0039】
本発明の半導体装置の第21の製造方法では、前記有機溶液がケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類のうち少なくとも1つから構成される。このようにすると、有機溶液とシリル化溶液との親和性の良い組み合わせを実現できるため、溶媒を介して低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔へのシリル化剤を浸透性させることができる。それ故、均一に低誘電率膜をシリル化することができる。
【0040】
本発明の半導体装置の第22の製造方法は、前記工程(c)の後、前記低誘電率膜に凹部を形成し、前記凹部に金属を埋めることでビアプラグ及び金属配線のうち少なくとも1つを形成する工程(d)をさらに備えている。このようにすると、加工前に低誘電率膜がシリル化されているため、従来低誘電率膜に凹部を形成する際に発生するダメージを抑制することができる。
【0041】
本発明の半導体装置の第23の製造方法は、前記工程(c)の後、前記低誘電率膜に、ビアホールと前記ビアホールに連結された配線溝とからなる凹部を形成した後に、前記凹部に金属を埋め込むことで前記ビアプラグと前記金属配線とを同時に形成する工程(d)をさらに備えている。このようにすると、加工前に低誘電率膜がシリル化されているため、従来低誘電率膜に凹部を形成する際に発生するダメージを抑制することができる。その結果、良好な性能を有する高強度低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制された高速動作可能な信頼性の高いデュアルダマシン配線を有する半導体装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の半導体装置の製造方法を用いれば、製造工程中にダメージを受けても、良好な品質を有する低誘電率膜を得ることができる。そのため、配線を取り囲む絶縁膜の容量が低減され、微細化されても高速に動作可能な半導体装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すプロセスシーケンスである。図2(a)〜(f)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法説明図である。本実施形態の半導体装置の製造方法では、デュアルダマシン法の一例を用いて、例えばCuからなる多層配線構造の形成する場合について説明する。
【0044】
まず、図1及び図2(a)に示すように、所要の半導体素子を形成した半導体基板(図示せず)上に、例えば熱酸化膜であるNSG(Non Silicate Glass)膜からなり、配線溝を有する層間絶縁膜11を形成し、該配線溝に例えばCuを埋め込むことで、Cuからなる下層配線12を形成する。
【0045】
続いて、層間絶縁膜11上に、例えばSiCからなるエッチングストッパー膜13を形成する。現実的には、エッチングストッパー膜13として、SiCの代わりに、SiCO/SiCN積層膜を用いると密着性及びCu拡散防止性が向上しさらによいが、同様の性能を有する膜構成であれば他の膜又は積層膜でも良い。
【0046】
続いて、エッチングストッパー膜13上に、低誘電率絶縁膜(低誘電率膜)14を成膜する。低誘電率膜14として、本実施形態ではポーラスSiOC膜の場合について説明する。低誘電率膜14のk値としては例えば2.7以下であれば、空孔を有する多孔質な膜となるため好ましい。さらに、k値が2.5以下であれば配線遅延をさらに改善できるためより好ましい。したがって、k値がおよそ2.7以下の低誘電率膜を用いるとよい。その製造方法としては、一般的にCVD法及びSOD法の2種類が簡便であるが、その他の形成方法により形成された低誘電率膜14を用いても、本実施形態の半導体装置の製造方法と同様な効果が得られる。なお、低誘電率膜14はポーラス膜であれば良く他の有機膜、無機膜であっても、加工時のダメージは発生し易く、本発明の製造方法が適用可能且つ有効である。
【0047】
次に、半導体基板に対してUV(紫外線)ビーム又はEB(電子線)ビームを照射して、低誘電率膜14の改質処理を行う。これにより、低誘電率膜14の機械的強度を大きくすることができる。
【0048】
次に、図2(b)に示すように、低誘電率膜14上に、キャップ膜15を形成する。キャップ膜の機能は、加工上における低誘電率の保護やハードマスクとして使用する目的と、後述するCMPでその一部を残しCMPの薬剤から低誘電率膜14を守る役割等がある。したがって、これらの要求を満たす膜であればなんでも良い。例えば、TEOS、NSG等のSiO膜、SiC、SiN、SiOC、SiOCN、SiCO、SiCON又はこれらの積層膜を用いればよい。
【0049】
続いて、キャップ膜15上にリソグラフィーにより、ビアホール形成用のレジストパターンを形成し(図示せず)、該レジストパターンをマスクとしてエッチングすることで、キャップ膜15及び低誘電率膜14を貫通するビアホール17を形成する。次に、ビアホール17にレジスト(図示せず)を埋め込みエッチングバックすることで、ビアホール17の下部にレジスト(図示せず)を残存させる。
【0050】
続いて、トレンチ溝18用のレジストパターンを形成し(図示せず)、該レジストパターンをマスクとしてエッチングすることで、低誘電率膜14の上部に設けられ、ビアホール17に連結されたトレンチ溝18を形成する。その後、レジストパターン、ビアホール17に内部に設けられたレジスト及びエッチングストッパー膜13を除去する。その後、アッシングや洗浄などの所定の工程を行うことで、図2(c)に示すように、下層配線12の上面を露出させ、ビアホール17とトレンチ18とからなる凹部20を低誘電率膜14中に形成することができる。
【0051】
ここで、図2(b)及び(c)に示す凹部20を形成する過程で、エッチング及びアッシングを行うことで、低誘電率膜14の表面及び内部の空孔表面にある側鎖のSi−CH(メチル基)あるいは、主鎖のSi−O結合が切断される。このため、低誘電率膜14には、化学結合が終端されずにダングリングボンドになる部分や、水素基に置換された部分、さらに水分と反応することにより水素基から水酸基に置換された部分が存在するようになり、低誘電率膜14の実効的なk値が著しく増大してしまう。さらに、洗浄処理では、エッチング及びアッシング処理時にダメージを受けた低誘電率膜14の表面及び内部の空孔表面に、洗浄液が作用することで、低誘電率膜14中のメチル基が除去され、水酸基で終端された部分や、水クラスター及び水分子が吸着した部分が生じる。さらには、主鎖のSi−O結合が切断され、機械強度が低下する。これらのエッチング、アッシング、洗浄後に半導体基板を保管している時に、自然吸湿によっても、低誘電率膜14の内部の空孔には、ダングリングボンドに結合した水酸基、水クラスター及び水分子が増大する場合もある。このように低誘電率膜14がダメージを受けてしまうと、実際の半導体装置の動作時にダメージを受けたところが電荷の捕獲サイトになったり、さらには配線間の電流のリークパスとなるので、半導体装置の性能を著しく劣化させる。
【0052】
そこで、本実施形態の半導体装置の製造方法では、以下の図2(d)〜(f)に示す「ダメージ回復処理」工程を行う。まず、図2(d)に示すように、低誘電率膜14に凹部20を形成した後、低誘電率膜14に有機溶液4を塗布する。具体的には、スピンドル1に図2(c)に示す工程で得られた半導体基板2を設置し、半導体基板2を回転させながらノズル3より有機溶液4を供給する。例えば、300mmウエハであれば、スピンドル1はおよそ1000rpm〜2500回転で回転させればよい。
【0053】
次に、図2(e)に示すように、半導体基板2を回転させながら、低誘電率膜14にシリル化溶液5を供給する。この時も、300mmウエハであれば、スピンドル1はおよそ1000rpm〜2500回転で回転させればよい。このようにすると、低誘電率膜14表面及び内部のSi−OHにシリル化溶液5を作用させることで、低誘電率膜14の水酸基がシリル化剤のアタックを受けてシロキサンが反応する。例えば、シロキサンの一例として、Si−O−(Si(CH−O)に置き換えられる。シロキサンは直鎖であっても側鎖があってもよい。また、全体として若しくは内部に環状構造を持っていてもよい。これにより、上述の工程で生じた低誘電率膜14のダメージである水酸基を除去できるため、ダメージを回復させることができる。本工程により、低誘電率膜14表面及び内部は十分シリル化される。
【0054】
次に、図2(f)に示すように、半導体基板2をホットプレート10に設置して、例えばシリル化溶液の沸点前後の温度から半導体基板の通常の熱処理温度の上限値である450℃以下の温度範囲で、半導体基板2に下方から熱6を加えて加熱処理することで、反応性が低いシリル化剤であっても、より確実に低誘電率膜14のシリル化を行うことができる。また同時に余分なシリル化剤及びシリル化溶液の溶媒を完全に蒸発させることができる。
【0055】
なお、シリル化溶液の溶媒の蒸気圧に応じて、本工程の熱処理によりシリル化反応を実施する第一段階とシリル化溶液の溶媒を蒸発させるための第二段階に分けて、2ステップで処理しても良い。さらに、それ以上のステップで熱処理温度を変えて多ステップ処理を行っても良い。
【0056】
なお、本工程で最終的に行う加熱処理の温度は、およそ150℃以上であればよい。一般に、反応促進のためには180℃以上あればより好ましい。一方、加熱温度の上限値としては、製造工程上のサーマルバジェットを超えないように、およそ450℃以下であればよい。さらに厳密には、シリル化剤の反応性及び沸点を考慮して反応速度を制御するように、上記温度範囲内で、最適温度及び処理時間を定めればよい。ただし、半導体装置の生産コストの観点からは、熱処理時間は数分以下が好ましい。この場合でも、シリル化は十分促進される。
【0057】
続いて、図示は省略するが、凹部20に例えばTaとTaNの積層膜からなるバリアメタル膜)をスパッタ法により成膜し、その後バリアメタル膜上に、例えばCuシード膜をスパッタ法により成膜した後に、Cuをめっき法により形成する。なお、バリアメタル膜及びCuシード膜の形成のスパッタ法の代わりにCVD法、ALD(Atomic Layer Deposition)法を用いても良い。
【0058】
その後、CMPプロセスにより平坦化を行うことで、凹部20以外に形成されたCu膜を除去する。以上の工程により、Cu膜とバリア膜とからなり、下層配線12に電気的に接続されるビアプラグ及び上層配線を同時に形成することができる。
【0059】
なお、本実施形態の半導体装置の製造方法では、金属配線の材料としてCuの例を挙げたが、これに限定されるものではなく、Cuと抵抗が同等若しくはこれより低い金属を用いればよく、Au、Ag、及びPtなどを用いてもよい。以降、所定の工程を経て、本実施形態の半導体装置を製造することができる。
【0060】
本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、ダメージ回復処理工程において、低誘電率膜14をシリル化する前に、低誘電率膜14に有機溶液4を供給することにある。上述したように、シリル化により低誘電率膜14の末端部分をシリル化剤の一部に置き換えることで、膜ダメージを回復させる。ここで、低誘電率膜14は、多孔質な膜にすることでk値を低減させている。空孔径が2〜3nm程度あるいはそれ以下に微細化されると、シリル化溶液5が低誘電率膜14内の空孔に到達するのが難しくなり、効率良くシリル化できない。したがって、本実施形態の半導体装置の製造方法では、低誘電率膜14をシリル化する前に有機溶液4を供給することで、低誘電率膜内の微細な空孔までシリル化溶液5が浸透できるため、有機溶液4を供給しない場合に比べて、より効率良くシリル化を行うことができる。その結果、膜ダメージが抑制された良好な品質を有する低誘電率膜14を備え、配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、微細化されても高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0061】
図3(a)〜(c)は、本実施形態の半導体装置の製造方法の効果を示す断面図である。具体的に、図3(a)は、凹部20形成(図2(c)参照)後の低誘電率膜14を示す断面図である。図3(b)は、図2(c)に示す工程の後、シリル化溶液を供給して加熱するシリル化処理を行った後の低誘電率膜を示す断面図である。最後に、図3(c)は、図2(c)に示す工程の後、本実施形態のダメージ回復処理を行った後の低誘電率膜を示す断面図である。図3(a)に示すように、凹部20の形成後は、エッチングやアッシング処理などにより、凹部20の表面及び低誘電率膜14の内部には、膜ダメージ16が生じている。この低誘電率膜14に対して、単にシリル化処理を行った場合、図3(b)に示すように、凹部20の表面の膜ダメージはかなり修復されるが、低誘電率膜14の内部における膜ダメージ16は残留してしまう。一方、本発明の半導体装置の製造方法に係るダメージ回復処理を用いれば、図3(c)に示すように、予め有機溶液4を供給することで膜内部にもシリル化剤を浸透させることができるので、低誘電率膜14の膜ダメージをより確実に回復させることができる。
【0062】
なお、本実施形態の半導体装置の製造方法では、シリル化溶液5は、少なくともシリル化剤と溶媒からなるものを用いればよい。シリル化剤としては、Si−OHと反応性のあるものを用いればよい。具体的には、アルキルシラン、アルキルアルコキシシラン等のシラン、シラン誘導体、シラザン結合を有する物質の中から、前記反応性を有する材料選択して用いればよい。
【0063】
より具体的に、シリル化剤の事例の一部を以下に列挙する。シリル化剤としては、例えばHMDS、TMSDMA、アセトキシトリメチルシラン、アセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロルシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、2-トリメチルシロキシペント−2−エン−4−オン、n−(トリメチルシリル)アセトアミド、2−(トリメチルシリル)酢酸、nー(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリル(トリメチルシロキサン)−アセテート、ノナメチルトリトリシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフェニルシラノール、t−ブチルジメチルシラノール、ジフェニルシランジオール、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリクロロシランなどが挙げられる。
【0064】
なお、上記シリル化剤を組み合わせて用いても良い。また、上記シリル化剤に限定されるものではなく、シリル化が進行すれば、他のシリル化溶液を用いてもよい。
【0065】
図2(d)の有機溶液塗布工程と図2(e)のシリル化溶液塗布工程の間に有機溶液を低誘電率膜中から蒸発させる場合には、有機溶液として、例えばアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類の中から一つ以上の材料を選択して用いればよい。
【0066】
また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、図2(d)の有機溶液塗布工程と図2(e)のシリル化溶液塗布工程の間に、回転乾燥工程を入れてもよい。これにより、低誘電率膜中から有機溶液が蒸発してからシリル化溶液を塗布することが容易に実現できる。さらに確実に有機溶液を蒸発させるためには、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布した後に加熱する工程を付加すればよい。そのプロセスシーケンスを、図4に示す。図4は、本実施形態の半導体装置の製造方法の変形例を示すプロセスシーケンスである。また、図5(a)〜(d)は、本実施形態の半導体装置の製造方法の変形例における製造方法説明図である。図5(a)〜(d)に示すように、図5(a)の有機溶液塗布工程と図5(c)のシリル化溶液塗布工程の間に、図5(b)に示す加熱工程が入っている点が特徴である。
【0067】
本実施形態の半導体装置の製造方法の変形例では、回転乾燥工程、加熱工程いずれの場合も、有機溶液が低誘電率膜内の空孔から蒸発して乾燥する過程において、空孔中の成膜時の残留有機物や水分も一緒に蒸発させられるため、次の工程のシリル化溶液を塗布するときに、空孔途中に存在する水分や残留物に阻害されること無く、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液を浸透させることができる。例えば、アルコール類のイソプロピルアルコール又は少なくともイソプロピルアルコールを含有する溶液を用いれば、取り扱いも簡便であり、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔への浸透性がよく、また塗布後加熱を行う場合には、成膜時に空孔内に残存していた不要な有機残留成分及び水分を一緒に効率良く蒸発させることができる。その結果、本発明の半導体装置の製造方法の変形例により製造された半導体装置は、良好な性能を有する低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置となる。
【0068】
また、本実施形態の半導体装置の製造方法において、図2(d)の有機溶液塗布工程で有機溶液を塗布した後、前記有機溶液が乾く前に図2(e)のシリル化溶液塗布工程を行う場合について説明する。この場合、有機溶液が基板表面に存在する状態のところにシリル化溶液が塗布されるため、有機溶液とシリル化溶液が混ざった状態で、シリル化溶液中のシリル化剤が低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔まで浸透することができる。その結果、本発明の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置は、良好な性能を有する低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置となる。
【0069】
ここで、上記の場合、有機溶液4は、シリル化溶液5が低誘電率膜14の微細な空孔内部に効率良く到達できるように、シリル化溶液5の空孔内部へ浸透を補助する機能を有する。したがって、有機溶液4としては、シリル化溶液5に含まれる溶媒、又は、該溶媒に対して可溶性を有し、且つ、シリル化剤に対して反応性がない化学的に安定である溶液を用いることが望ましい。この場合には、シリル化溶液の溶媒として、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類のうちから選ばれる少なくとも1つであれば望ましい。
【0070】
なお、前記シリル化溶液の溶媒としてのアルコール類は、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n―ブタノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、フェノールを用いればよい。ケトン類としては、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、エチレンオキシド、シクロヘキサノン、ブチロラクトンを用いればよい。エーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、テトラヒドロフランを用いればよい。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチルを用いればよい。炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、ブテンー1、キシレン、スチレン、イソプレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、コールタールナフサ、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−ノナン、n−オクタン、n−ドデカン、2−メチルブタン、ヘキサデカン、トリデカン、ペンタデカン、シクロペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、1,2−ジメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、イソブチルベンゼン、メチルナフタレン、エチルトルエン、リグロインを用いればよい。なお、これらに限定されるわけではなく、その他の有機溶液も使用することができる。また、これらの材料を組み合わせた溶媒であっても良い。
【0071】
なお、本実施形態の半導体装置の製造方法では、低誘電率膜14に凹部20を形成した後の段階で、有機溶液4を供給してシリル化を行う処理(ダメージ回復処理)を行ったが、この段階に限定されるものではない。例えば、凹部20の形成工程の途中であって、図2(b)に示すビアホール17を形成した後にダメージ回復処理を行ってもよい。この場合、ビアホール17の形成工程時のエッチング、アッシング、及び洗浄処理などで生じた低誘電率膜14の膜ダメージを効率良く修復することができる。さらに、ビアホール17形成後のダメージ回復処理を行った後、上述の図2(d)〜(f)に示すように、トレンチ18(凹部20)の形成後に再度ダメージ回復処理を行うと、トレンチ18の形成工程で生じた膜ダメージを修復することができ、より一層ダメージが抑制された低誘電率膜14を得ることができる。また、例えば、ビアホール17及びトレンチ18の形成工程の途中であって、エッチング、アッシング、及び洗浄処理後の各工程の後にも、それぞれダメージ回復処理を行ってもよい。このように、ダメージ回復処理を複数回行うことで、各工程で生じた膜ダメージを確実に回復させることができ、品質の高い低誘電率膜14を備えた半導体装置を製造することができる。
【0072】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図6(a)、(b)は、本実施形態の半導体装置の製造方法説明図である。本実施形態の半導体装置の製造方法では、シングルダマシン法を用いてCuなどからなる多層配線構造を形成する場合について説明する。したがって、第1の実施形態と異なる部分のみ簡略化して説明する。
【0073】
図6(a)に示すように、まず、所要の半導体素子を形成した半導体基板(図示せず)上に、例えばNSG膜からなる層間絶縁膜11を形成し、該層間絶縁膜11にCuなどからなる下層配線12を形成する。その後、下層配線12及び層間絶縁膜11の上に、エッチングストッパー膜13、第1の低誘電率膜14aを順次形成する。次に、第1の低誘電率膜14a上にキャップ膜15を形成する。その後、キャップ膜15上にリソグラフィーにより、ビアプラグ用のレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとしてエッチングすることで、キャップ膜15、第1の低誘電率膜14a、エッチングストッパー膜13を貫通するビアホール17を形成する。図6(a)はこの段階での状態を示している。
【0074】
ここで、ビアホール17を形成した後は、エッチングやアッシングなどの処理により、第1の低誘電率膜14aには膜ダメージ16aが生じている。第1の低誘電率膜14aの膜ダメージは、本発明の第1の実施形態の方法でシリル化処理することにより、回復させることができる。
【0075】
続いて、図6(b)に示すように、ビアホール17にCuなどからなる金属膜を形成することで、ビアプラグ17aを形成する。続いて、ビアプラグ17a及び第1の低誘電率膜14aの上に、キャップ膜15a、第2の低誘電率膜21、キャップ膜15bを順次形成する。その後、キャップ膜15b上に、リソグラフィーによりトレンチ用のレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとしてエッチングすることで、キャップ膜15a、15b、及び第2の低誘電率膜21を貫通し、ビアプラグ17aの上面に連結するトレンチ溝18を形成する。
【0076】
ここで、トレンチ溝18を形成した後は、ビアホール17の形成後と同様に、エッチングやアッシングなどの処理により、第2の低誘電率膜21には膜ダメージ16bが生じている。そこで、上述の図2(c)〜(e)に示す本発明の第1の実施形態のダメージ回復処理工程を同様にして行うことにより、第2の低誘電率膜21の膜ダメージを回復させることができる。
【0077】
続いて、図示は省略するが、トレンチ18にCuなどからなる金属膜を埋め込むことで、下層配線12にビアプラグ17aを介して接続される上層配線を形成することができる。
【0078】
本実施形態の半導体装置の特徴は、ビアプラグと配線をシングルダマシン法により順次繰り返し形成するところであり、さらにビアホール17及びトレンチ18の形成後に、それぞれ第1の低誘電率膜14aに対して有機溶液及びシリル化溶液を順次供給してシリル化を行うことにある。この方法によれば、第1の低誘電率膜14aをシリル化する際に、有機溶液を塗布した後にシリル化溶液を供給することで、シリル化溶液の第1の低誘電率膜14aに対する浸透性を向上させることができる。その結果、低誘電率膜内の微細な空孔にまでシリル化溶液が行き渡り、第1の低誘電率膜14a全体にわたって膜ダメージを効率良く修復させることができる。したがって、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ビアホール17及びトレンチ18の形成時にエッチングやアッシングなどの処理を行うことで第1の低誘電率膜14a及び第2の低誘電率膜21に膜ダメージが生じても、膜ダメージが生じる工程毎に、膜ダメージ回復処理工程を行うことで、膜ダメージがより確実に抑制された低誘電率膜を得ることができる。その結果、本実施形態の半導体装置の製造方法を用いれば、良好な品質を示す低誘電率膜を備え、配線の配線抵抗及び絶縁膜容量が低減され、微細化されても高速に動作可能で信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0079】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図7は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示すプロセスシーケンスである。以下、ポーラスSiOC膜を用いた場合を代表として説明する。
【0080】
図7に示すように、まず、所要の半導体素子を形成した半導体基板上に低誘電率絶縁膜(低誘電率膜)を形成する。その後、半導体基板に対して加熱しながらUV(紫外線)ビーム又はEB(電子線)ビームを照射して、低誘電率膜の改質処理(UVキュア又はEBキュア)を行う。これにより、低誘電率膜の機械的強度が大きくなる一方、低誘電率膜には改質処理による膜ダメージが生じる。この膜ダメージは、UVキュア又はEBキュア時に低誘電率膜の末端に形成されたダングリングボンド、Si−H、及びSi−OHの部分であり、膜ダメージによって低誘電率膜の誘電率が上昇してしまう。そこで、第1の実施形態に示すダメージ回復処理工程を行うことにより、低誘電率膜の膜ダメージを回復させることができる。
【0081】
続いて、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様にして、低誘電率膜の形成後に金属配線(下層配線)などを形成してもよい。詳細な説明は省略するが、例えば低誘電率膜にビアホール及びトレンチを形成して、該ビアホール及びトレンチに金属膜を埋め込むことで、金属配線を形成する。以降、所定の工程を経て、本実施形態の半導体装置を製造することができる。
【0082】
本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、UVキュア又はEBキュアをした後に、低誘電率膜に対して有機溶液及びシリル化溶液を順次供給してシリル化を行うことにある。この方法によれば、低誘電率膜をシリル化する際に、有機溶液を塗布した後にシリル化溶液を供給することで、シリル化溶液の低誘電率膜に対する浸透性を向上させることができ、低誘電率膜の膜ダメージを効率良く修復することができる。その結果、本実施形態の半導体装置の製造方法を用いると、従来よりも機械的強度が大きく、且つ、膜ダメージが抑制された低誘電率膜を備え、良好な特性を示す信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0083】
図8は、本実施形態の半導体装置の製造方法の効果を示す断面図である。図8(a)は、UVキュア又はEBキュア後の低誘電率膜を示す断面図である。また、図8(b)は、UVキュア又はEBキュア後、シリル化溶液を供給して加熱するシリル化処理を行った後の低誘電率膜を示す断面図である。最後に、図8(c)は、UVキュア又はEBキュア後、本実施形態の半導体装置の製造方法に係るダメージ回復処理を行った後の低誘電率膜を示す断面図である。図8(a)に示すように、UVキュア又はEBキュアを行った後は、低誘電率膜32にダメージ33が生じている。この低誘電率膜32に対して、単にシリル化処理を行った場合、図8(b)に示すように、低誘電率膜32の表面部分では、膜ダメージ33が比較的修復されるが、低誘電率膜32内部には、ダメージ33が残留してしまう。これに対して、本実施形態の半導体装置の製造方法を用いれば、図8(c)に示すように、予め有機溶液を供給することで膜内部にも十分にシリル化溶液を浸透させることができるので、低誘電率膜32のダメージをより確実に回復させることができる。
【0084】
本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、UVキュア又はEBキュアにより生じたダメージを回復する処理工程において、低誘電率膜32をシリル化する前に、低誘電率膜32に有機溶液を供給することにある。本発明の第1の実施形態のダメージ発生原因が凹部の加工プロセスによるものであったのに対し、本発明のダメージ発生原因は低誘電率膜の機械強度を向上させるためのUVキュア又はEBキュアである点が異なるが、本発明のダメージ回復処理に関しては本質的に同様である。
【0085】
上述したように、シリル化により低誘電率膜32の末端部分をシリル化剤の一部に置き換えることで、膜ダメージを回復させる。ここで、低誘電率膜32は、多孔質な膜にすることでk値を低減させている。空孔径が2〜3nm程度あるいはそれ以下に微細化されると、シリル化溶液が低誘電率膜32内の空孔に到達するのが難しくなり、効率良くシリル化できない。したがって、本実施形態の半導体装置の製造方法では、低誘電率膜32をシリル化する前に有機溶液を供給することで、低誘電率膜内の微細な空孔までシリル化溶液5が浸透できるため、有機溶液4を供給しない場合に比べて、より効率良くシリル化を行うことができる。その結果、膜ダメージが抑制された良好な品質を有する低誘電率膜32を備え、配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、微細化されても高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0086】
なお、有機溶液塗布工程とシリル化溶液塗布工程の間に有機溶液を低誘電率膜中から蒸発させる場合には、例えばアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類の中から一つ以上の材料を選択して用いればよい。
【0087】
また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、有機溶液塗布工程とのシリル化溶液塗布工程の間に、回転乾燥工程を入れてもよい。これにより低誘電率膜中から有機溶液が蒸発してからシリル化溶液を塗布することが容易に実現できる。さらに確実に有機溶液を蒸発させるためには、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布した後に加熱する工程を付加すればよい。そのプロセスシーケンスを、図9に示す。図9は、本実施形態の半導体装置の変形例を示すプロセスシーケンスである。図9に示すように、有機溶液塗布工程とシリル化溶液塗布工程の間に、基板加熱工程が入っている点が特徴である。
【0088】
本実施形態の半導体装置の変形例では、回転乾燥工程、加熱工程いずれの場合も、有機溶液が低誘電率膜内の空孔から蒸発して乾燥する過程において、空孔中の成膜時の残留有機物や水分も一緒に蒸発させられるため、次の工程のシリル化溶液を塗布するときに、空孔途中に存在する水分や残留物に阻害されること無く、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔までシリル化溶液を浸透させることができる。例えば、アルコール類のイソプロピルアルコール又は少なくともイソプロピルアルコールを含有する溶液を用いれば、取り扱いも簡便であり、低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔への浸透性がよく、また塗布後加熱を行う場合には、成膜時に空孔内に残存していた不要な有機残留成分及び水分を一緒に効率良く蒸発させることができる。その結果、本発明の半導体装置の製造方法の変形例により製造された半導体装置は良好な性能を有する低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0089】
また、本実施形態の半導体装置の製造方法において、有機溶液塗布工程で有機溶液を塗布した後、前記有機溶液が乾く前にシリル化溶液塗布工程を行う場合について説明する。この場合、有機溶液が基板表面に存在する状態のところにシリル化溶液が塗布されるため、有機溶液とシリル化溶液が混ざった状態で、シリル化溶液中のシリル化剤が低誘電率膜の内部の奥深くに設けられた微細な空孔まで浸透することができる。その結果、本発明の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置は良好な性能を有する低誘電率膜を備え、微細化されても配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0090】
ここで、上記の場合、有機溶液は、シリル化溶液が低誘電率膜の微細な空孔内部に効率良く到達できるように、シリル化溶液の空孔内部へ浸透を補助する機能を有する。したがって、有機溶液としては、シリル化溶液に含まれる溶媒、又は、該溶媒に対して可溶性を有し、且つ、シリル化剤に対して反応性がない化学的に安定である溶液を用いることが望ましい。この場合には、シリル化溶液の溶媒として、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類のうちから選ばれる少なくとも1つであれば望ましい。
【0091】
なお、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ポーラスSiOC膜の場合を例にとって説明したが、ポーラスSiOC膜の代わりに有機膜、無機膜を用いても良く、これらを用いても同様の効果が得られる。
【0092】
以上のように、本実施形態の半導体装置の製造方法を用いると、機械強度の大きな低誘電率膜を備え、配線抵抗及び絶縁膜容量が抑制され、高速で動作可能な信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体装置の高速化及び高信頼性化に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示すプロセスシーケンスである。
【図2】本発明の第1の実施形態の半導体装置の製造方法説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の半導体装置の製造方法の効果を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例を示すプロセスシーケンスである。
【図5】本発明の第1の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例を示す製造方法説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の半導体装置の製造方法説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の半導体装置の製造方法を示すプロセスシーケンスである。
【図8】本発明の第3の実施形態の半導体装置の製造方法の効果を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例を示すプロセスシーケンスである。
【図10】従来の半導体装置の製造方法を示すプロセスシーケンスである。
【図11】従来の半導体装置の製造方法を示すプロセスシーケンスである。
【符号の説明】
【0095】
1 スピンドル
2 半導体基板
3 ノズル
4 有機溶液
5 シリル化溶液
6 熱
10 ホットプレート
11 層間絶縁膜
12 下層配線
13 エッチングストッパー膜
14 低誘電率膜
14a 第1の低誘電率膜
15、15a、15b キャップ膜
16、16a、16b 膜ダメージ
17 ビアホール
17a ビアプラグ
18 トレンチ
20 凹部
21 第2の低誘電率膜
32 低誘電率膜
33 膜ダメージ
40 ホットプレート
41 スピンドル
42 半導体基板
43 ノズル
44 有機溶液
45、47 熱
46 シリル化溶液
47 熱
51 半導体基板
52 低誘電率膜
53 ダメージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に低誘電率膜を形成する工程(a)と、
前記低誘電率膜に凹部を形成する工程(b)と、
前記工程(b)の後、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布する工程(c1)と、シリル化溶液を用いて前記低誘電率膜をシリル化する工程(c2)とを順に行う工程(c)と、
前記工程(c)の後、前記凹部に金属を埋め込むことで、前記低誘電率膜にビアプラグ及び金属配線のうち少なくとも1つを形成する工程(d)とを備えた半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(c2)は、前記低誘電率膜にシリル化溶液を塗布した後に加熱する工程をさらに含んでいる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(c1)は、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布した後に加熱する工程をさらに含んでいる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(c)において、前記工程(c1)で有機溶液を塗布した後、前記有機溶液が乾く前に前記工程(c2)を行う請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記低誘電率膜に凹部を形成する工程(b)は、エッチング、アッシング、洗浄の何れかの工程である請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機溶液は、前記シリル化溶液に含まれる溶液、又は、前記シリル化溶液に含まれる溶液に対して可溶性を有し、且つ、シリル化剤に対して化学的に安定な溶液である請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記有機溶液は、少なくとも1つ以上のアルコール類を含んでいる請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記有機溶液は、イソプロピルアルコール又は少なくともイソプロピルアルコールを含有する溶液である請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記有機溶液は、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類のうち少なくとも1つから構成される請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記工程(a)は、前記基板上に第1の低誘電率膜を形成する工程(a−1)と、第2の低誘電率膜を形成する工程(a−2)とを有し、
前記工程(b)は、前記第1の低誘電率膜に凹部を形成する工程(b−1)と、前記第2の低誘電率膜に凹部を形成する工程(b−2)とを有し、
前記工程(d)は、前記工程(a−2)の前に行い、前記工程(b−1)で形成した前記凹部に金属を埋め込むことで、前記第1の低誘電率膜に前記ビアプラグを形成する工程(d−1)と、前記工程(b−2)で形成した前記凹部に金属を埋め込むことで、前記第2の低誘電率膜に前記金属配線を形成する工程(d−2)とを有し、一層の配線を形成する半導体装置の製造方法において、
前記工程(b−1)、及び、前記工程(b−2)の少なくとも何れか一方の工程の後に、前記工程(c)を備えている請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記低誘電率膜に形成される凹部は、ビアホールと前記ビアホールに連結された配線溝とから構成され、前記凹部に金属を埋め込むことで、前記ビアプラグと前記金属配線とを同時に形成する半導体装置の製造方法において、
前記凹部を形成する過程のエッチング、アッシング、洗浄工程の何れかのうち少なくとも一つ以上の工程の後に前記工程(c)を行う請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板上に低誘電率膜を形成する工程(a)と、
前記低誘電率膜に光又は電子線を照射する工程(b)と、
前記工程(b)の後、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布する工程(c1)と、シリル化溶液を用いて前記低誘電率膜をシリル化する工程(c2)とを順に行う工程(c)とを備えた半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記工程(b)で前記低誘電率膜に照射する光は、紫外線以下の短波長の成分を含む請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記工程(c2)は、前記低誘電率膜にシリル化溶液を塗布した後に加熱する工程をさらに含んでいる請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記工程(c1)は、前記低誘電率膜に有機溶液を塗布した後に加熱する工程をさらに含んでいる請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記工程(c)において、前記工程(c1)で有機溶液を塗布した後、前記有機溶液が乾く前に前記工程(c2)を行う請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記低誘電率膜に凹部を形成する工程(b)は、エッチング、アッシング、洗浄の何れかの工程である請求項12〜16のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記有機溶液は、前記シリル化溶液に含まれる溶液、又は、前記シリル化溶液に含まれる溶液に対して可溶性を有し、且つ、シリル化剤に対して化学的に安定な溶液である請求項12〜16のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記有機溶液は、少なくとも1つ以上のアルコール類を含んでいる請求項12〜15のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記有機溶液は、イソプロピルアルコール又は少なくともイソプロピルアルコールを含有する溶液である請求項12〜15のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記有機溶液は、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類のうち少なくとも1つから構成される請求項12〜16のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記工程(c)の後、前記低誘電率膜に凹部を形成し、前記凹部に金属を埋めることでビアプラグ及び金属配線のうち少なくとも1つを形成する工程(d)をさらに備えた請求項12〜16のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記工程(c)の後、前記低誘電率膜に、ビアホールと前記ビアホールに連結された配線溝とからなる凹部を形成した後に、前記凹部に金属を埋め込むことで、前記ビアプラグと前記金属配線とを同時に形成する工程をさらに備えた請求項12〜16のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−164198(P2009−164198A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339766(P2007−339766)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】