説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】耐圧が高く破壊等が生じにくい、信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】基板上に形成された第1の半導体層12と、前記第1の半導体層上に形成された第2の半導体層14と、所定の領域の前記第2の半導体層の一部または全部を除去することにより形成されているゲートリセス22と、前記ゲートリセス及び第2の半導体層上に形成されている絶縁膜31と、前記ゲートリセス上に絶縁膜を介して形成されているゲート電極32と、前記第1の半導体層または前記第2の半導体層上に形成されているソース電極33及びドレイン電極34と、を有し、前記ゲートリセスの底面は、中央部分23aが周辺部分23bに対し高い形状であることを特徴とする半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体であるGaN、AlN、InNまたは、これらの混晶からなる材料等は、広いバンドギャップを有しており、高出力電子デバイスまたは短波長発光デバイス等として用いられている。このうち、高出力デバイスとしては、電界効果型トランジスタ(FET:Field effect transistor)、特に、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に関する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。このような窒化物半導体を用いたHEMTは、高出力・高効率増幅器、大電力スイッチングデバイス等に用いられる。
【0003】
ところで、このような用途に用いられるHEMTは、ノーマリーオフであること、絶縁耐圧が高いこと等が求められている。特に、ノーマリーオフは安全動作の観点から重要であることから、ノーマリーオフ化のための様々な方法が検討されている。ノーマリーオフ化の為の方法の一つとして、ゲート電極の直下の半導体層の一部を除去することによりゲートリセスを形成する方法がある。この方法により形成されるゲートリセス構造では、電極間の抵抗成分を増加させることなく、閾値電圧を正にすることが可能である等の利点を有している。また、電力用途に用いられるノーマリーオフの半導体デバイスでは、高いドレイン耐圧やゲート耐圧が求められるため、横型構造のFETやHEMTにおいては、ゲート絶縁膜となる絶縁膜を形成したMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造が用いられている。このように、GaN系の半導体材料を用いたHEMTにおいては、ゲートリセス構造及びMIS構造を組み合わせた構造とすることにより、電力用途に適した半導体デバイスとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したゲートリセス構造のHEMTは、図1に示されるように、ゲートリセスの底面が平坦な形状で形成される。
【0006】
即ち、このゲートリセス構造のHEMTからなる半導体装置410は、半絶縁性のSiC等からなる基板411上に、i−GaN電子走行層412、i−AlGaNスペーサ層413、n−AlGaN電子供給層414、n−GaNキャップ層415が形成されている。これにより、i−GaN電子走行層412とi−AlGaNスペーサ層413との界面の近傍におけるi−GaN電子走行層412には2DEG412aが形成される。n−GaNキャップ層415及びn−AlGaN電子供給層414には、ゲートリセス422が形成されており、ゲートリセス422の底面、側面及びn−GaNキャップ層415上には、ゲート絶縁膜となる絶縁膜431が形成されている。更に、ゲートリセス422が形成されている領域上には、絶縁膜431を介しゲート電極432が形成されており、n−AlGaN電子供給層414上には、ソース電極433及びドレイン電極434が形成されている。
【0007】
ゲートリセス422の底面は、通常のドライエッチング等により形成されており、略平坦となっている。しかしながら、ゲートリセスの底面423が略平坦に形成されると、2DEG(Dimensional Electron Gas)412aにおいて、破線で示される電子が殆ど存在していない領域412bが形成されてしまう。この場合、ドレイン、ソース間に高い電圧が印加されると、破線で示される領域Aにおいてゲート電極432のドレイン電極434側の端部の絶縁膜431及びi−AlGaNスペーサ層413等において電界が集中する。これにより、絶縁膜431及びi−AlGaNスペーサ層413等の半導体層において絶縁破壊等が発生し、半導体装置が破損してしまい、信頼性の低下を招いてしまう。
【0008】
このため、ゲート絶縁膜となる絶縁膜及び半導体層において絶縁破壊等が発生しにくく、信頼性の高い半導体装置及び半導体装置の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態の一観点によれば、基板上に形成された第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成された第2の半導体層と、所定の領域の前記第2の半導体層の一部または全部を除去することにより形成されているゲートリセスと、前記ゲートリセス及び第2の半導体層上に形成されている絶縁膜と、前記ゲートリセス上に絶縁膜を介して形成されているゲート電極と、前記第1の半導体層または前記第2の半導体層上に形成されているソース電極及びドレイン電極と、を有し、前記ゲートリセスの底面は、中央部分が周辺部分に対し高い形状であることを特徴とする。
【0010】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、基板上に形成された第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成された第2の半導体層と、前記第2の半導体層上に形成された第3の半導体層と、所定の領域の前記第3の半導体層の全部及び前記第2の半導体層の一部または全部を除去することにより形成されているゲートリセスと、前記ゲートリセス及び第3の半導体層上に形成されている絶縁膜と、前記ゲートリセス上に絶縁膜を介して形成されているゲート電極と、前記第1の半導体層または前記第2の半導体層上に形成されているソース電極及びドレイン電極と、を有し、前記ゲートリセスの底面は、中央部分が周辺部分に対し高い形状であることを特徴とする。
【0011】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、基板上に、第1の半導体層及び第2の半導体層が順次形成されている半導体層の表面に、レジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンの開口領域における前記第2の半導体層の一部または全部を除去し、中央部分が周辺部分に対して高い形状の底面を有するゲートリセスを形成する工程と、前記レジストパターンを除去し、前記ゲートリセス及び前記半導体層上に絶縁膜を形成する工程と、前記ゲートリセスが形成されている領域に前記絶縁膜を介しゲート電極を形成する工程と、前記半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、基板上に、第1の半導体層、第2の半導体層及び第3の半導体層が順次形成されている半導体層の表面に、レジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンの開口領域における前記第3の半導体層の全部前記第2の半導体層の一部または全部を除去し、中央部分が周辺部分に対して高い形状の底面を有するゲートリセスを形成する工程と、前記レジストパターンを除去し、前記ゲートリセス及び前記半導体層上に絶縁膜を形成する工程と、前記ゲートリセスが形成されている領域に前記絶縁膜を介しゲート電極を形成する工程と、前記半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
開示の半導体装置及び半導体装置の製造方法によれば、ゲート絶縁膜となる絶縁膜及び半導体層において絶縁破壊等されにくい難い構造の半導体装置を得ることができ、半導体装置における信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】GaN等により形成されるHEMTの説明図
【図2】第1の実施の形態における半導体装置の構造図
【図3】第1の実施の形態における半導体装置の説明図
【図4】第1の実施の形態における他の半導体装置の構造図(1)
【図5】第1の実施の形態における他の半導体装置の構造図(2)
【図6】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(1)
【図7】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(2)
【図8】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(3)
【図9】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(4)
【図10】半導体装置における耐圧の説明図
【図11】第2の実施の形態における半導体装置の構造図
【図12】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(1)
【図13】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(2)
【図14】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(3)
【図15】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(4)
【図16】第3の実施の形態における半導体装置の構造図
【図17】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(1)
【図18】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(2)
【図19】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(3)
【図20】第4の実施の形態におけるディスクリートパッケージされた半導体デバイスの説明図
【図21】第4の実施の形態におけるPFC回路の回路図
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0016】
〔第1の実施の形態〕
(半導体装置)
図2に基づき、本実施の形態における半導体装置について説明する。本実施の形態における半導体装置10は、半絶縁性のSiC等からなる基板11上に、エピタキシャル成長させることにより形成された電子走行層12、スペーサ層13、電子供給層14、キャップ層15からなる半導体層を有している。尚、第1の半導体層である電子走行層12はi−GaNにより形成されており、第4の半導体層であるスペーサ層13はi−AlGaNにより形成されている。また、第2の半導体層である電子供給層14はn−AlGaNにより形成されており、第3の半導体層であるキャップ層15はn−GaNにより形成されている。これにより、i−GaNからなる電子走行層12とi−AlGaNからなるスペーサ層13との界面の近傍におけるi−GaNからなる電子走行層12には2DEG12aが形成される。
【0017】
ゲートリセス22は、キャップ層15、電子供給層14及びスペーサ層13の一部をエッチングすることにより形成されており、ゲートリセス22の底面23は、凸状の形状となるように形成されている。即ち、ゲートリセス22の底面23は、第4の半導体層であるスペーサ層13において、中央部分23aが周辺部分23bよりも高くなるように形成されている。このように、ゲートリセス22の底面23を凸状に形成する方法については後述する。また、ゲートリセス22の底面23、側面及びキャップ層15上には、ゲート絶縁膜となる絶縁膜31が形成されており、ゲートリセス22が形成されている領域上には、絶縁膜31を介しゲート電極32が形成されている。更に、電子供給層14上には、ソース電極33及びドレイン電極34が形成されている。尚、ソース電極33及びドレイン電極34は、電子走行層12等の上に形成されているものであってもよい。
【0018】
本実施の形態では、図3に示すように、ゲートリセス22の底面23を中央部分23aが周辺部分23bよりも高くなるような形状で形成する。即ち、ゲートリセス22の底面23における中央部分23aに対し周辺部分23bが深くなるように形成する。これにより、ゲートリセス22の底面23の中心部分23aに対応する破線で示される領域12bは、ゲートリセス22の底面23の周辺部分23bに対応する破線で示される領域12cよりも2DEG12aの電子の密度よりも高くすることができる。
【0019】
このような構造とすることにより、ゲート電極32のドレイン電極33側の端部における電界集中が緩和され、絶縁破壊等を防ぐことができる。即ち、ゲート電極32の直下における中央部分となる領域12bに2次元電子ガスの電子を増やすことができ、ゲート電極32の直下における電界集中は緩和され、絶縁膜31及び半導体層における破壊を防ぐことができ、信頼性を向上させることができる。
【0020】
尚、本実施の形態では、上記構造の他、図4に示すように、ゲートリセス22の底面23は、中央部分23aにおいて、第4の半導体層であるスペーサ層13が露出し、周辺部分23bにおいて、第1の半導体層である電子走行層12が露出するように形成してもよい。このような構造でも、ゲートリセス22の底面23の中心部分23aに対応する領域12bは、ゲートリセス22の底面23の周辺部分23bに対応する領域12cよりも2DEG12aの電子の密度よりも高くすることができる。
【0021】
また、図5に示すように、ゲートリセス22の底面23が第2の半導体層である電子供給層14に位置するように形成し、ゲートリセス22の底面23の中央部分23aが、周辺部分23bよりも高くなるように形成してもよい。このような構造でも、ゲートリセス22の底面23の中心部分23aに対応する領域12bは、ゲートリセス22の底面23の周辺部分23bに対応する領域12cよりも2DEG12aの電子の密度よりも高くすることができる。
【0022】
尚、第2の半導体層である電子供給層14は、上述したn−AlGaNの他、i−InAlN、n―InAlN等により形成してもよい。
【0023】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について、図6〜図9に基づき説明する。
【0024】
最初に、図6(a)に示すように、半絶縁性のSiC等からなる基板11上に、MOVPEによるエピタキシャル成長により、電子走行層12、スペーサ層13、電子供給層14、キャップ層15を順次形成することにより半導体層を形成する。基板11は、SiC以外にもSi、サファイア、GaN等を用いることができる。第1の半導体層である電子走行層12は厚さが約3μmとなるi−GaNにより形成されている。第4の半導体層であるスペーサ層13は厚さが数nmとなるi−Al15Ga85Nにより形成されている。第2の半導体層である電子供給層14は厚さが約30nmとなるn−Al30Ga70Nにより形成されており、不純物元素としてSiが、5×1018cm−3ドープされている。第3の半導体層であるキャップ層15は厚さが約10nmとなるn−GaNにより形成されており、不純物元素としてSiが、5×1018cm−3ドープされている。これにより、電子走行層12とスペーサ層13との界面の近傍における電子走行層12には2DEG12aが形成される。尚、図4に示す構造の半導体装置等においては、第4の半導体層であるスペーサ層13におけるAlの組成比は、第2の半導体層である電子供給層14におけるAl組成比よりも低い値であることが好ましい。塩素成分を含むガスを用いたRIE等のドライエッチングでは、Alの組成比が低い方がエッチングレートは速いため、ゲートリセス22の底面23を凸状の形状となるように形成しやすいからである。この後、図示はしないが素子分離領域を形成する。具体的には、素子分離領域を形成するためのフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、素子分離領域が形成される領域に開口部を有するレジストパターンを形成する。更に、この後、塩素成分を含むガスを用いたドライエッチングを行い、ドライエッチングされた領域に絶縁膜を形成することにより、または、所定の元素のイオン注入を行なうことにより素子分離領域を形成する。
【0025】
次に、図6(b)に示すように、レジストパターン41を形成する。具体的には、キャップ層15の表面にフォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことによりソース電極33及びドレイン電極34が形成される領域に開口部を有するレジストパターン41を形成する。
【0026】
次に、図6(c)に示すように、レジストパターン41が形成されていない領域におけるキャップ層15及び電子供給層14の一部をRIE等のドライエッチングにより除去し開口領域42及び43を形成する。このRIE等のドライエッチングは、塩素成分を含むガスをエッチングガスとしてチャンバー内に導入することにより行なう。
【0027】
次に、図7(a)に示すように、真空蒸着により厚さが約20nmのTa膜、厚さが約200nmのAl膜を順次成膜することにより金属膜44を形成する。
【0028】
次に、図7(b)に示すように、有機溶剤等を用いてリフトオフを行なうことにより、レジストパターン41上に形成された金属膜44をレジストパターン41とともに除去する。これにより、レジストパターン41の形成されていない領域、即ち、開口領域42及び43に成膜されている金属膜44によりソース電極33及びドレイン電極34が形成される。この後、400℃〜1000℃の温度、例えば、550℃で熱処理を行なうことにより、ソース電極33及びドレイン電極34をオーミックコンタクトさせる。
【0029】
次に、図7(c)に示すように、ソース電極33、ドレイン電極34及びキャップ層15の表面に、レジストパターン45を形成する。レジストパターン45は、キャップ層15等の表面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより形成する。このようにして後述するゲートリセス22が形成される領域に開口部を有するレジストパターン45を形成する。
【0030】
次に、図8(a)に示すように、RIE等のドライエッチングを行なうことにより、レジストパターン45が形成されていない領域におけるキャップ層15、電子供給層14及びスペーサ層13の一部または全部を除去し、ゲートリセス22を形成する。このRIE等のドライエッチングに用いられるエッチングガスは、塩素系ガス(塩素成分を含むガス)を用いて行なう。本実施の形態では、エッチングチャンバー内に、エッチングガスとしてClを30sccm導入し、エッチングチャンバー内の圧力を2Paとし、RF(Radio frequency)パワーを20W印加し、RIEを行なうことによりゲートリセス22を形成する。これにより、図2に示すように、ゲートリセス22の底面23を凸状の形状となるように形成することができる。即ち、底面23における周辺部分23bよりも中央部分23aの高さが高くなる形状となるように形成することができる。尚、このように、ゲートリセス22の底面23の形状を凸状に形成するためには、相対的に基板温度が低い条件、具体的には、基板冷却等をすることにより、基板温度を常温以下となる条件であって、印加されるバイアスが相対的に高い条件が好ましい。印加されるバイアスが高い条件とは、例えば、印加されるRFパワーが高い条件である。RFパワーが高いと生じる自己バイアスも高くなるからである。
【0031】
次に、図8(b)に示すように、レジストパターン45を有機溶剤等により除去する。これにより、レジストパターン45は除去され、ゲートリセス22が形成される。
【0032】
次に、図8(c)に示すように、キャップ層15の表面及びゲートリセス22上に絶縁膜31を形成する。本実施の形態では、絶縁膜31は、酸化アルミニウム(Al)膜を厚さが2nm〜200nmとなるように成膜することにより形成する。具体的には、厚さが約10nmの酸化アルミニウム膜を成膜することにより絶縁膜31を形成している。絶縁膜31の成膜方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)、スパッタリング等が挙げられる。尚、絶縁膜31は、上述した酸化アルミニウム以外にも、Si、Al、Hf、Zr、Ti、Ta、W等の酸化物、窒化物、または、酸窒化物等により形成してもよい。
【0033】
次に、図9に示すように、ゲートリセス22が形成されている領域上に、絶縁膜31を介しゲート電極32を形成する。具体的には、絶縁膜31上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、ゲート電極32が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着により厚さが約30nmのNi膜、厚さが約400nmのAu膜を順次成膜することにより金属膜を形成する。更に、この後、有機溶剤等を用いたリフトオフを行なうことにより、レジストパターン上に形成された金属膜がレジストパターンとともに除去され、レジストパターンの形成されていない領域に成膜された金属膜によりゲート電極32が形成される。
【0034】
以上により、本実施の形態における半導体装置の製造方法において、半導体装置を製造することができる。
【0035】
本実施の形態における半導体装置の製造方法により作製される半導体装置は、ゲートリセス22の底面23が凸状に形成されているため、耐圧が高く絶縁破壊等を防ぐことができ、信頼性が高いものである。
【0036】
図10に、図1に示される半導体装置410と、図2に示される本実施の形態における半導体装置10とのゲート−ドレイン間における耐圧を示す。ゲートリセス423の底面が平坦な図1に示される半導体装置410は、耐圧が330Vであるのに対し、ゲートリセス23の底面が凸状に形成された図2に示される半導体装置10は、耐圧が420Vである。このように、本実施の形態における半導体装置においては、ゲートリセスの底面が凸状に形成することにより、耐圧を向上させることができる。
【0037】
また、ゲートリセスの底面を凸状に形成する別の方法として、ゲートリセスの底面を平ら状にドライエッチングした後、レジストを有機溶剤等により除去する。その後、リセス底面の両端部分が露出するようにレジストパターンを形成し、その後、ドライエッチングすることでリセスの底面を凸状に形成することも可能である。さらに別の方法として、ゲートリセス形成用のレジストパターンを、リセス内に凸状にパターン形成し、その後ドライエッチングした後、レジストを有機溶剤等により除去する。これにより、リセスの底面を凸状に形成することも可能である。
【0038】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0039】
(半導体装置)
図11に基づき、本実施の形態における半導体装置について説明する。本実施の形態における半導体装置110は、半絶縁性のSiC等からなる基板11上に、エピタキシャル成長させることにより形成された電子走行層12、電子供給層14、キャップ層15からなる半導体層を有している。尚、第1の半導体層である電子走行層12はi−GaNにより形成されており、第2の半導体層である電子供給層14はn−AlGaNにより形成されており、第3の半導体層であるキャップ層15はn−GaNにより形成されている。
【0040】
これにより、電子走行層12と電子供給層14との界面の近傍における電子走行層12には2DEG12aが形成される。ゲートリセス22は、キャップ層15及び電子供給層14の一部をエッチングすることにより形成されており、ゲートリセス22の底面23は、凸状の形状となるように形成されている。即ち、中央部分23aが周辺部分23bよりも高くなるように形成されている。このように、ゲートリセス22の底面23を凸状に形成する方法については後述する。また、ゲートリセス22の底面23、側面及びキャップ層15上には、ゲート絶縁膜となる絶縁膜31が形成されており、ゲートリセス22が形成されている領域上には、絶縁膜31を介しゲート電極32が形成されている。更に、電子供給層14上には、ソース電極33及びドレイン電極34が形成されている。尚、ソース電極33及びドレイン電極34は、電子走行層12上に形成されているものであってもよい。
【0041】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施の形態における半導体装置110の製造方法について、図12〜図15に基づき説明する。
【0042】
最初に、図12(a)に示すように、半絶縁性のSiC等からなる基板11上に、MOVPEによるエピタキシャル成長により、電子走行層12、電子供給層14、キャップ層15を順次形成することにより半導体層を形成する。基板11は、SiC以外にもSi、サファイア、GaN等を用いることができる。第1の半導体層である電子走行層12は厚さが約3μmとなるi−GaNにより形成されている。第2の半導体層である電子供給層14は厚さが約30nmとなるn−AlGaNにより形成されており、不純物元素としてSiが、5×1018cm−3ドープされている。第3の半導体層であるキャップ層15は厚さが約10nmとなるn−GaNにより形成されており、不純物元素としてSiが、5×1018cm−3ドープされている。これにより、電子走行層12と電子供給層14との界面の近傍における電子走行層12には2DEG12aが形成される。更に、この後、塩素成分を含むガスを用いたドライエッチングを行い、ドライエッチングされた領域に絶縁膜を形成することにより、または、所定の元素のイオン注入を行なうことにより素子分離領域を形成する。
【0043】
次に、図12(b)に示すように、レジストパターン41を形成する。具体的には、キャップ層15の表面にフォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことによりソース電極33及びドレイン電極34が形成される領域に開口部を有するレジストパターン41を形成する。
【0044】
次に、図12(c)に示すように、レジストパターン41が形成されていない領域におけるキャップ層15及び電子供給層14の一部をRIE等のドライエッチングにより除去し開口領域42及び43を形成する。このRIE等のドライエッチングは、塩素成分を含むガスをエッチングガスとしてチャンバー内に導入することにより行なう。
【0045】
次に、図13(a)に示すように、真空蒸着により厚さが約20nmのTa膜、厚さが約200nmのAl膜を順次成膜することにより金属膜44を形成する。
【0046】
次に、図13(b)に示すように、有機溶剤等を用いてリフトオフを行なうことにより、レジストパターン41上に形成された金属膜44をレジストパターン41とともに除去する。これにより、レジストパターン41の形成されていない領域、即ち、開口領域42及び43に成膜されている金属膜44によりソース電極33及びドレイン電極34が形成される。この後、400℃〜1000℃の温度、例えば、550℃で熱処理を行なうことにより、ソース電極33及びドレイン電極34をオーミックコンタクトさせる。
【0047】
次に、図13(c)に示すように、ソース電極33、ドレイン電極34及びキャップ層15の表面に、レジストパターン45を形成する。レジストパターン45は、キャップ層15等の表面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより形成する。このようにして後述するゲートリセス22が形成される領域に開口部を有するレジストパターン45を形成する。
【0048】
次に、図14(a)に示すように、RIE等のドライエッチングを行なうことにより、レジストパターン45が形成されていない領域におけるキャップ層15及び電子供給層14の一部または全部を除去し、ゲートリセス22を形成する。このRIE等のドライエッチングに用いられるエッチングガスは、塩素成分を含むガスを用いて行なう。本実施の形態では、エッチングチャンバー内に、エッチングガスとしてClを30sccm導入して、エッチングチャンバー内の圧力を2Paとし、RFパワーを20W印加し、RIEを行なうことによりゲートリセス22を形成している。これにより、ゲートリセス22の底面23を凸状の形状となるように形成することができる。即ち、底面23における周辺部分23bよりも中央部分23aの高さが高くなる形状となるように形成することができる。尚、このように、ゲートリセス22の底面23の形状を凸状に形成するためには、相対的に基板温度が低い条件、具体的には、基板冷却等をすることにより、基板温度を常温以下となる条件であって、印加されるバイアスが相対的に高い条件が好ましい。印加されるバイアスが高い条件とは、例えば、印加されるRFパワーが高い条件である。RFパワーが高いと生じる自己バイアスも高くなるからである。
【0049】
次に、図14(b)に示すように、レジストパターン45を有機溶剤等により除去する。これにより、レジストパターン45は除去され、ゲートリセス22が形成される。
【0050】
次に、図14(c)に示すように、キャップ層15の表面及びゲートリセス22上に絶縁膜31を形成する。本実施の形態では、絶縁膜31は、酸化アルミニウム膜を厚さが2nm〜200nmとなるように成膜することにより形成する。具体的には、厚さ約10nmの酸化アルミニウム膜を成膜することにより絶縁膜31を形成している。絶縁膜31の成膜方法としては、CVD、ALD、スパッタリング等が挙げられる。
【0051】
次に、図15に示すように、ゲートリセス22が形成されている領域上に、絶縁膜31を介しゲート電極32を形成する。具体的には、絶縁膜31上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、ゲート電極32が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着により厚さが約30nmのNi膜、厚さが約400nmのAu膜を順次成膜することにより金属膜を形成する。更に、この後、有機溶剤等を用いたリフトオフを行なうことにより、レジストパターン上に形成された金属膜がレジストパターンとともに除去され、レジストパターンの形成されていない領域に成膜された金属膜によりゲート電極32が形成される。
【0052】
以上により、本実施の形態における半導体装置の製造方法において、半導体装置を製造することができる。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0053】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0054】
(半導体装置)
図16に基づき、本実施の形態における半導体装置について説明する。本実施の形態における半導体装置210は、半絶縁性のSiC等からなる基板11上に、エピタキシャル成長させることにより形成された電子走行層12、電子供給層14からなる半導体層を有している。尚、第1の半導体層である電子走行層12はi−GaNにより形成されており、第2の半導体層である電子供給層14はn−AlGaNにより形成されている。
【0055】
これにより、電子走行層12と電子供給層14との界面の近傍における電子走行層12には2DEG12aが形成される。ゲートリセス22は、電子供給層14の一部をエッチングすることにより形成されており、ゲートリセス22の底面23は、凸状の形状となるように形成されている。即ち、中央部分23aが周辺部分23bよりも高くなるように形成されている。このように、ゲートリセス22の底面23を凸状に形成する方法については後述する。また、ゲートリセス22の底面23、側面及び電子供給層14上には、ゲート絶縁膜となる絶縁膜31が形成されており、ゲートリセス22が形成されている領域上には、絶縁膜31を介しゲート電極32が形成されている。更に、電子供給層14上には、ソース電極33及びドレイン電極34が形成されている。尚、ソース電極33及びドレイン電極34は、電子走行層12上に形成されているものであってもよい。
【0056】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施の形態における半導体装置210の製造方法について、図17〜図19に基づき説明する。
【0057】
最初に、図17(a)に示すように、半絶縁性のSiC等からなる基板11上に、MOVPEによるエピタキシャル成長により、電子走行層12、電子供給層14を順次形成することにより半導体層を形成する。基板11は、SiC以外にもSi、サファイア、GaN等を用いることができる。第1の半導体層である電子走行層12は厚さが約3μmとなるi−GaNにより形成されている。第2の半導体層である電子供給層14は厚さが約30nmとなるn−AlGaNにより形成されており、不純物元素としてSiが、5×1018cm−3ドープされている。これにより、電子走行層12と電子供給層14との界面の近傍における電子走行層12には2DEG12aが形成される。更に、この後、塩素成分を含むガスを用いたドライエッチングを行い、ドライエッチングされた領域に絶縁膜を形成することにより、または、所定の元素のイオン注入を行なうことにより素子分離領域を形成する。
【0058】
次に、図17(b)に示すように、レジストパターン41を形成する。具体的には、電子供給層14の表面にフォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことによりソース電極33及びドレイン電極34が形成される領域に開口部を有するレジストパターン41を形成する。
【0059】
次に、図17(c)に示すように、必要に応じて電子供給層14の一部をRIE等のドライエッチングにより除去した後、真空蒸着により厚さが約20nmのTa膜、厚さが約200nmのAl膜を順次成膜することにより金属膜44を形成する。
【0060】
次に、図18(a)に示すように、有機溶剤等を用いてリフトオフを行なうことにより、レジストパターン41上に形成された金属膜44をレジストパターン41とともに除去する。これにより、レジストパターン41の形成されていない領域に成膜されている金属膜44によりソース電極33及びドレイン電極34が形成される。この後、400℃〜1000℃の温度、例えば、550℃で熱処理を行なうことにより、ソース電極33及びドレイン電極34をオーミックコンタクトさせる。
【0061】
次に、図18(b)に示すように、ソース電極33、ドレイン電極34及び電子供給層14の表面に、レジストパターン45を形成する。レジストパターン45は、電子供給層14等の表面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより形成する。このようにして後述するゲートリセス22が形成される領域に開口部を有するレジストパターン45を形成する。
【0062】
次に、図18(c)に示すように、RIE等のドライエッチングを行なうことにより、レジストパターン45が形成されていない領域における電子供給層14の一部または全部を除去し、ゲートリセス22を形成する。このRIE等のドライエッチングに用いられるエッチングガスは、塩素成分を含むガスを用いて行なう。本実施の形態では、エッチングチャンバー内に、エッチングガスとしてClを30sccm導入して、エッチングチャンバー内の圧力を2Paとし、RFパワーを20W印加し、RIEを行なうことによりゲートリセス22を形成している。これにより、ゲートリセス22の底面23を凸状の形状となるように形成することができる。即ち、底面23における周辺部分23bよりも中央部分23aの高さが高くなる形状となるように形成することができる。尚、このように、ゲートリセス22の底面23の形状を凸状に形成するためには、相対的に基板温度が低い条件、具体的には、基板冷却等をすることにより、基板温度を常温以下となる条件であって、印加されるバイアスが相対的に高い条件が好ましい。印加されるバイアスが高い条件とは、例えば、印加されるRFパワーが高い条件である。RFパワーが高いと生じる自己バイアスも高くなるからである。
【0063】
次に、図19(a)に示すように、レジストパターン45を有機溶剤等により除去する。これにより、レジストパターン45は除去され、ゲートリセス22が形成される。
【0064】
次に、図19(b)に示すように、電子供給層14の表面及びゲートリセス22上に絶縁膜31を形成する。本実施の形態では、絶縁膜31は、酸化アルミニウム膜を厚さが2nm〜200nmとなるように成膜することにより形成する。具体的には、厚さ約10nmの酸化アルミニウム膜を成膜することにより絶縁膜31を形成している。絶縁膜31の成膜方法としては、CVD、ALD、スパッタリング等が挙げられる。
【0065】
次に、図19(c)に示すように、ゲートリセス22が形成されている領域上に、絶縁膜31を介しゲート電極32を形成する。具体的には、絶縁膜31上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、ゲート電極32が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着により厚さが約30nmのNi膜、厚さが約400nmのAu膜を順次成膜することにより金属膜を形成する。更に、この後、有機溶剤等を用いたリフトオフを行なうことにより、レジストパターン上に形成された金属膜がレジストパターンとともに除去され、レジストパターンの形成されていない領域に成膜されている金属膜によりゲート電極32が形成される。
【0066】
以上により、本実施の形態における半導体装置の製造方法において、半導体装置を製造することができる。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0067】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1から第3の実施の形態における半導体装置をディスクリートパッケージしたものであり、このようにディスクリートパッケージされた半導体デバイスについて、図20に基づき説明する。尚、図20は、ディスクリートパッケージされた半導体装置の内部を模式的に示すものであり、電極の配置等については、第1から第3の実施の形態に示されているものとは、異なっている。
【0068】
最初に、第1から第3の実施の形態において製造された半導体装置をダイシング等により切断することにより、GaN系の半導体材料のHEMTの半導体チップ310を形成する。この半導体チップ310をリードフレーム320上に、ハンダ等のダイアタッチ剤321により固定する。
【0069】
次に、ゲート電極32をゲートリード322にボンディングワイヤ332により接続し、ソース電極33をソースリード323にボンディングワイヤ333により接続し、ドレイン電極34をドレインリード324にボンディングワイヤ334により接続する。尚、ボンディングワイヤ332、333、334はAl等の金属材料により形成されている。
【0070】
次に、トランスファーモールド法によりモールド樹脂340による樹脂封止を行なう。このようにして、GaN系の半導体材料を用いたHEMTのディスクリートパッケージされている半導体デバイスを作製することができる。
【0071】
次に、図21に基づき第1から第3の実施の形態において製造された半導体装置であるGaN系の半導体材料のHEMT350を用いたPFC(Power Factor Correction)回路について説明する。このPFC回路は不図示の回路基板上に形成されるものであり、HEMT350の他、ダイオードブリッジ361、第1のコンデンサ362、チョークコイル363、ダイオード364、第2のコンデンサ365を有している。ダイオードブリッジ361の入力側は、入力端子371及び372を介し交流(AC)電源に接続されている。ダイオードブリッジ361の出力側の一方の端子は、第1のコンデンサ362の一方の端子、HEMT350のソース電極33(S)、第2のコンデンサ365の一方の端子及び出力端子373に接続されている。また、ダイオードブリッジ361の出力側の他方の端子は、第1のコンデンサ362の他方の端子及びチョークコイル363の一方の端子に接続されている。チョークコイル363の他方の端子は、HEMT350のドレイン電極34(D)、ダイオード364のアノード端子が接続されている。ダイオード364のカソード端子は、第2のコンデンサ365の他方の端子及び出力端子374に接続されている。尚、HEMT350のゲート電極32(G)は、不図示のゲートドライバが接続されている。これにより、このPFC回路では、出力端子373及び374を介し直流(DC)電力を得ることができる。このようなPFC回路は、サーバ電源等に組み込まれて用いられるものであり、高調波成分を除去することができ、力率を高めることができる。
【0072】
本実施の形態では、特性が均一で歩留まりの高い第1から第3の実施の形態における半導体装置が用いられているため、低コストで信頼性が高く安定した電力供給を行なうことができる。
【0073】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0074】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板上に形成された第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に形成された第2の半導体層と、
所定の領域の前記第2の半導体層の一部または全部を除去することにより形成されているゲートリセスと、
前記ゲートリセス及び第2の半導体層上に形成されている絶縁膜と、
前記ゲートリセス上に絶縁膜を介して形成されているゲート電極と、
前記第1の半導体層または前記第2の半導体層上に形成されているソース電極及びドレイン電極と、
を有し、前記ゲートリセスの底面は、中央部分が周辺部分に対し高い形状であることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
基板上に形成された第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に形成された第2の半導体層と、
前記第2の半導体層上に形成された第3の半導体層と、
所定の領域の前記第3の半導体層の全部及び前記第2の半導体層の一部または全部を除去することにより形成されているゲートリセスと、
前記ゲートリセス及び第3の半導体層上に形成されている絶縁膜と、
前記ゲートリセス上に絶縁膜を介して形成されているゲート電極と、
前記第1の半導体層または前記第2の半導体層上に形成されているソース電極及びドレイン電極と、
を有し、前記ゲートリセスの底面は、中央部分が周辺部分に対し高い形状であることを特徴とする半導体装置。
(付記3)
前記第3の半導体層はn−GaNを含むものであることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記4)
前記ゲートリセスの底面は、前記周辺部分では前記第1の半導体層が露出していることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の半導体装置。
(付記5)
前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層は、窒化物半導体により形成されているものであることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の半導体装置。
(付記6)
前記第1の半導体層はi−GaNを含むものであることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の半導体装置。
(付記7)
前記第2の半導体層は、AlGaNまたはInAlNのいずれかを含むものであることを特徴とする付記1から6のいずれかに記載の半導体装置。
(付記8)
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層の間には、第4の半導体層が形成されていることを特徴とする付記1から7のいずれかに記載の半導体装置。
(付記9)
前記ゲートリセスの底面は、前記中央部分、前記周辺部分または、前記中央部分及び前記周辺部分のいずれかにおいて、前記第4の半導体層が露出しているものであることを特徴とする付記8に記載の半導体装置。
(付記10)
前記第2の半導体層及び前記第4の半導体層は、ともにAlGaNを含むものであって、
前記第2の半導体層に対し前記第4の半導体層におけるAlの組成比は低いことを特徴とする付記8または9に記載の半導体装置。
(付記11)
前記絶縁膜は、Si、Al、Hf、Zr、Ti、Ta、Wの酸化物、窒化物、または、酸窒化物より選ばれる1または2以上の材料により形成されているものであることを特徴とする付記1から10のいずれかに記載の半導体装置。
(付記12)
前記半導体装置は、HEMTであることを特徴とする付記1から11のいずれかに記載の半導体装置。
(付記13)
基板上に、第1の半導体層及び第2の半導体層が順次形成されている半導体層の表面に、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンの開口領域における前記第2の半導体層の一部または全部を除去し、中央部分が周辺部分に対して高い形状の底面を有するゲートリセスを形成する工程と、
前記レジストパターンを除去し、前記ゲートリセス及び前記半導体層上に絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲートリセスが形成されている領域に前記絶縁膜を介しゲート電極を形成する工程と、
前記半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14)
基板上に、第1の半導体層、第2の半導体層及び第3の半導体層が順次形成されている半導体層の表面に、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンの開口領域における前記第3の半導体層の全部前記第2の半導体層の一部または全部を除去し、中央部分が周辺部分に対して高い形状の底面を有するゲートリセスを形成する工程と、
前記レジストパターンを除去し、前記ゲートリセス及び前記半導体層上に絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲートリセスが形成されている領域に前記絶縁膜を介しゲート電極を形成する工程と、
前記半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記半導体層は、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層の間に第4の半導体層を有するものであって、
前記ゲートリセスを形成する工程において、前記ゲートリセスの底面の一部または全部が、前記第4の半導体層となるように形成されていることを特徴とする付記13または14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記ゲートリセスを形成する工程は、ドライエッチングにより行なわれるものであることを特徴とする付記13から15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記ゲートリセスを形成する工程は、前記基板を冷却した状態で、塩素成分を含むガスを用いたドライエッチングにより行なわれるものであることを特徴とする付記16に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記基板は、室温以下の温度に冷却されていることを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記塩素成分を含むガスは、Cl、BCl、SiClのうちから選ばれる1また2以上のガスであることを特徴とする付記17または18に記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
前記半導体層は、エピタキシャル成長により形成されているものであることを特徴とする付記13から19のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0075】
11 基板
12 電子走行層(第1の半導体層)
12a 2DEG
12b ゲートリセスの底面の中央部分に対応する領域
12c ゲートリセスの底面の周辺部分に対応する領域
13 スペーサ層(第4の半導体層)
14 電子供給層(第2の半導体層)
15 キャップ層(第3の半導体層)
21 レジストパターン
22 ゲートリセス
23 ゲートリセスの底面
23a ゲートリセスの底面の中央部分
23b ゲートリセスの底面の周辺部分
31 絶縁膜
32 ゲート電極
33 ソース電極
34 ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に形成された第2の半導体層と、
所定の領域の前記第2の半導体層の一部または全部を除去することにより形成されているゲートリセスと、
前記ゲートリセス及び第2の半導体層上に形成されている絶縁膜と、
前記ゲートリセス上に絶縁膜を介して形成されているゲート電極と、
前記第1の半導体層または前記第2の半導体層上に形成されているソース電極及びドレイン電極と、
を有し、前記ゲートリセスの底面は、中央部分が周辺部分に対し高い形状であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
基板上に形成された第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に形成された第2の半導体層と、
前記第2の半導体層上に形成された第3の半導体層と、
所定の領域の前記第3の半導体層の全部及び前記第2の半導体層の一部または全部を除去することにより形成されているゲートリセスと、
前記ゲートリセス及び第3の半導体層上に形成されている絶縁膜と、
前記ゲートリセス上に絶縁膜を介して形成されているゲート電極と、
前記第1の半導体層または前記第2の半導体層上に形成されているソース電極及びドレイン電極と、
を有し、前記ゲートリセスの底面は、中央部分が周辺部分に対し高い形状であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記ゲートリセスの底面は、前記周辺部分では前記第1の半導体層が露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層の間には、第4の半導体層が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の半導体層及び前記第4の半導体層は、ともにAlGaNを含むものであって、
前記第2の半導体層に対し前記第4の半導体層におけるAlの組成比は低いことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
基板上に、第1の半導体層及び第2の半導体層が順次形成されている半導体層の表面に、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンの開口領域における前記第2の半導体層の一部または全部を除去し、中央部分が周辺部分に対して高い形状の底面を有するゲートリセスを形成する工程と、
前記レジストパターンを除去し、前記ゲートリセス及び前記半導体層上に絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲートリセスが形成されている領域に前記絶縁膜を介しゲート電極を形成する工程と、
前記半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板上に、第1の半導体層、第2の半導体層及び第3の半導体層が順次形成されている半導体層の表面に、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンの開口領域における前記第3の半導体層の全部前記第2の半導体層の一部または全部を除去し、中央部分が周辺部分に対して高い形状の底面を有するゲートリセスを形成する工程と、
前記レジストパターンを除去し、前記ゲートリセス及び前記半導体層上に絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲートリセスが形成されている領域に前記絶縁膜を介しゲート電極を形成する工程と、
前記半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ゲートリセスを形成する工程は、ドライエッチングにより行なわれるものであることを特徴とする請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ゲートリセスを形成する工程は、前記基板を冷却した状態で、塩素成分を含むガスを用いたドライエッチングにより行なわれるものであることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記基板は、室温以下の温度に冷却されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−124440(P2012−124440A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276379(P2010−276379)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】