説明

半導体装置及び電子機器

【課題】回路面積が小さい、またはトランジスタの劣化を防止するよう形成された、有機トランジスタと無機トランジスタとを備えた半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明の一形態の半導体装置としてのCMOS回路は、(a)基板100と、(b)有機半導体層106aを含むp型有機トランジスタPTと、(c)p型有機トランジスタPTの上層に設けられた無機半導体層126aを含むn型無機トランジスタNTと、を備える。さらに、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126は、p型有機トランジスタPTのチャネル領域106と、平面視において少なくとも部分的に重なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置を含んで構成された電子機器に関し、特に、有機トランジスタと無機トランジスタとを備えた半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低温プロセスにより製造可能な、プラスチック基板等を用いた有機トランジスタ、及び無機トランジスタの研究・開発が行われている。
【0003】
有機トランジスタは、その半導体領域を形成する有機半導体材料の多くがp型半導体としての特性を持つという特徴を有する。この特徴から、有機トランジスタにおいては、p型の有機トランジスタは良好に動作するものの、n型の有機トランジスタはスイッチング動作が遅かったり、動作が不安定になったりするという課題があった。
【0004】
一方で無機トランジスタは、その半導体領域を形成する無機半導体材料(無機酸化物)の多くがn型半導体としての特性を持つという特徴を有する。この特徴から、無機トランジスタにおいては、有機トランジスタとは逆に、n型の無機トランジスタは良好に動作するものの、p型の無機トランジスタはスイッチング動作が遅かったり、動作が不安定になったりするという課題があった。
【0005】
そこで、上記の有機トランジスタ及び無機トランジスタにおける問題点を補い合わせるため、p型の有機トランジスタとn型の無機トランジスタとを組み合わせる技術があった。具体的には、低温プロセスによって、プラスチック基板等の可撓性基板上に半導体装置の一つであるCMOS回路を形成するという技術である。当該技術は、例えば特許文献1乃至3(特開2006−278621号公報、特表2002−518844号公報、及び特開2004−228587号公報)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−278621号公報
【特許文献2】特表2002−518844号公報
【特許文献3】特開2004−228587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1乃至3に記載の半導体装置(CMOS回路)では、回路面積が大きくなり、製造コストが高くなるといった課題があった。さらに、上記特許文献1乃至3に記載の半導体装置では、周辺気体に含まれる酸素や水分による影響を受けやすい有機トランジスタが回路表面に露出されていたり、回路表面付近に形成されていたりするため、有機トランジスタが劣化しやすいといった課題もあった。
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決する半導体装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本発明の一態様である半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた有機半導体層を含むp型の有機トランジスタと、前記有機トランジスタの上に設けられた無機半導体層を含むn型の無機トランジスタと、を備え、前記無機トランジスタのチャネル領域は、前記有機トランジスタのチャネル領域と、平面視において少なくとも部分的に重なっていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成の半導体装置によれば、従来の、無機トランジスタのチャネル領域と有機トランジスタのチャネル領域が平面視において重ならないよう構成された半導体装置と比較して、小さな面積の半導体装置を提供することが可能となる。
【0011】
また、上記半導体装置によれば、p型の有機トランジスタの上に、少なくともn型の無機トランジスタを備えているので、従来の半導体装置と比較して、有機トランジスタの封止効果が高くなる。すなわち、周辺気体に含まれる酸素や水分による影響によって劣化しやすい有機半導体層の上に、無機トランジスタを構成する部材が設けられているため、有機トランジスタの劣化を抑制することが可能となる。ひいては、半導体装置が劣化することを抑制し、安定した動作の半導体装置を提供することができる。
【0012】
また、上記半導体装置は、前記有機トランジスタのゲート絶縁層の上層かつ前記無機トランジスタのゲート絶縁層の下層に、前記有機トランジスタのゲート電極として機能するとともに前記無機トランジスタのゲート電極として機能する電極が設けられていることが好ましい。
【0013】
かかる構成の半導体装置によれば、有機トランジスタのゲート電極と無機トランジスタのゲート電極とを共通にすることができ、それぞれ独立にゲート電極を形成する場合と比較して、半導体装置の層を少なくすることが可能となる。また、CMOS回路の形成を容易にすることができる。
【0014】
また、前記有機トランジスタはトップゲート構造を有し、前記無機トランジスタはボトムゲート構造を有し、前記有機トランジスタと前記無機トランジスタとによってCMOS回路が形成されていることが好ましい。
【0015】
かかる構成の半導体装置によれば、集積度が高く、かつ周辺気体に含まれる酸素や水分による影響を受けにくいCMOS回路を提供できる。
【0016】
また、上記半導体装置において、前記有機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方と、前記無機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とは、前記有機トランジスタのゲート絶縁層と前記無機トランジスタのゲート絶縁層とにわたって設けられた第1の導電体を介して電気的に接続されており、前記有機トランジスタのゲート絶縁層と前記無機トランジスタのゲート絶縁層との間には、前記第1の導電体と電気的に接続された第2の導電体が設けられていることが好ましい。
【0017】
かかる構成の半導体装置は、有機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方と、無機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とを接続する際に、第1の導電体のみならず、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120の間に形成された第2の導電体を介する構成としている。当該構成により、接続部分の電気抵抗を小さくし、電気損失の少ない半導体装置を提供することが可能となる。ひいては、消費電力が小さく、発熱の少ない半導体装置を提供することができる。また、接続部分の断線による接続不良の発生を減少させることもできる。
【0018】
また、上記半導体装置において、前記ゲート電極と、前記無機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とは、前記有機トランジスタのゲート絶縁層と前記無機トランジスタのゲート絶縁層とにわたって形成された第1の導電体を介して接続されており、前記有機トランジスタのゲート絶縁層の下層には、前記第1の導電体と電気的に接続された第2の導電体が形成されていることが好ましい。
【0019】
かかる構成の半導体装置は、ゲート電極と、無機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方を接続する際に、第1の導電体のみならず、ゲート絶縁層110の下に形成された第2の導電体を介する構成としている。当該構成により、接続部分の電気抵抗を小さくし、電気損失の少ない半導体装置を提供することが可能となる。ひいては、消費電力が小さく、発熱の少ない半導体装置を提供することができる。また、接続部分の断線による接続不良の発生を減少させることもできる。
【0020】
また、前記有機トランジスタのソース電極及びドレイン電極は、それぞれ櫛歯状の形状を有し、一方の電極における一部の櫛歯が、他方の電極における櫛歯の間に挟まれるように設けられていることが好ましい。
【0021】
トランジスタの電流駆動能力は、トランジスタのチャネル長、チャネル幅、及び移動度等の要素により決定される。ここで、一般的には、有機トランジスタの移動度は無機トランジスタの移動度と比較して低いため、双方の電流駆動能力を比較すると、有機トランジスタの電流駆動能力の方が低くなる。つまり、本発明の一態様である半導体装置における、p型の有機トランジスタとn型の無機トランジスタと比較すると、p型の有機トランジスタの電流駆動能力が低くなってしまう。半導体装置においては、p型トランジスタとn型トランジスタとの電流駆動能力が大きく異なると、回路動作が不安定になる場合があり好ましくない。ただし、この電流駆動能力は、上記のようにトランジスタのチャネル長等を変えることによって高くすることが可能である。
【0022】
本発明の一形態の半導体装置によれば、上記の構成にすることで有機トランジスタのチャネル幅を大きくすることができ、p型の有機トランジスタの電流駆動能力を高くすることができる。これによって、p型の有機トランジスタとn型の無機トランジスタとの電流駆動能力との差を小さくすることができ、回路動作を安定化することができる。
【0023】
また、平面視において前記無機トランジスタのチャネル領域と重なる領域に、前記有機トランジスタのソース電極とドレイン電極とのうち少なくとも一方が設けられており、前記無機トランジスタのチャネル領域の前記無機トランジスタのソース電極側端部から前記無機トランジスタのドレイン電極側端部にわたって、かつ前記無機トランジスタのチャネル長方向に沿って、前記有機トランジスタのソース電極とドレイン電極とのいずれもが設けられていない領域が設けられていることが好ましい。
【0024】
トランジスタのチャネル領域において、ソース電極からドレイン電極へ向かう方向(チャネル長方向)に凹凸が存在すると、チャネル領域が部分的に薄くなったり厚くなったりして、特性がばらついたり、電流の流れがスムーズでなくなったりする等の問題が生じる。その結果、トランジスタの動作が不安定になることがある。本発明のように、p型有機トランジスタのチャネル領域とn型無機トランジスタのチャネル領域の少なくとも一部とが互いに重なるように、p型有機トランジスタの上にn型無機トランジスタを設けた場合、n型無機トランジスタのチャネル領域に、そのチャネル領域の下に形成された電極の配線などに起因した凹凸が生じ、無機トランジスタの動作が不安定になることがある。
【0025】
本発明の一形態の半導体装置によれば、有機トランジスタのソース電極またはドレイン電極に起因する凹凸の影響を小さくすることができる。これにより、無機トランジスタの動作が安定し、安定した動作の半導体装置を提供することが可能となる。
【0026】
また、平面視において、前記無機トランジスタのチャネル領域の外側に、前記有機トランジスタのソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方が形成されていることが好ましい。
【0027】
かかる構成の半導体装置によれば、無機トランジスタのチャネル領域の下には、有機トランジスタのソース電極及びドレイン電極のうち、少なくとも一方が形成されない。そのため、無機トランジスタのチャネル領域に凹凸が生じることを防ぐことができる。これにより、より平坦なチャネル領域を形成可能となり、無機トランジスタの動作が安定し、安定した動作の半導体装置を提供することが可能となる。
【0028】
また、有機トランジスタのソース電極及びドレイン電極の双方が、平面視において、無機トランジスタのチャネル領域の外側に形成されることが、より好ましい。
【0029】
この構成によれば、さらに平坦なチャネル領域を形成可能であり、さらに安定した同他の半導体装置を提供することが可能となる。
【0030】
また、前記無機トランジスタのゲート絶縁層がポリマーで形成されていることが好ましい。
【0031】
かかる構成の半導体装置によれば、無機の絶縁膜に比べて引張り応力や圧縮応力等の外力により破壊されづらいポリマーによって無機トランジスタのゲート絶縁層が形成されているため、より破壊されづらい半導体装置を提供することが可能となる。
【0032】
また、本発明は上記いずれかの半導体装置を含んで構成された電子機器を含む。
【0033】
かかる構成の電子機器は、上記いずれかの半導体装置の特徴を有するので、例えば、小さな面積の半導体装置を用いることが可能となり、より小さな電子機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】CMOS回路で構成したインバーター回路の構成例を示す回路図。
【図2】CMOS回路で構成したインバーター回路の第1の平面図。
【図3】CMOS回路で構成したインバーター回路の第2の平面図。
【図4】CMOS回路で構成したインバーター回路の第3の平面図。
【図5】CMOS回路におけるa−a’の箇所の断面図。
【図6】CMOS回路におけるb−b’の箇所の断面図。
【図7】CMOS回路におけるc−c’の箇所の断面図。
【図8】層間コンタクトを用いた半導体装置の構成例を示す図。
【図9】CMOS回路で構成したインバーター回路の第4の平面図。
【図10】CMOS回路で構成したインバーター回路の第5の平面図。
【図11】CMOS回路で構成したインバーター回路の第6の平面図。
【図12】CMOS回路におけるd−d’の箇所の断面図。
【図13】本実施形態の半導体装置を備えた携帯電話の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下の実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付してその説明を省略する。
1.定義
2.実施形態1
3.本実施形態の半導体装置の製造方法
4.実施形態2
5.半導体装置を含む電子機器の構成例
【0036】
<1.定義>
まず、本明細書における用語を以下のとおり定義する。
【0037】
「チャネル長」:平面視において、チャネル領域の両端に形成されたソース電極からドレイン電極へ向かう方向における、チャネル領域の長さを指す。言い換えれば、電流が流れる方向におけるチャネル領域の長さを指す。
【0038】
「チャネル幅」:平面視において、チャネル領域の、チャネル長の方向と直角をなす方向の長さを指す。
【0039】
「上・下」:半導体装置において、基板が最も「下」に形成されているとし、基板に重なるように形成されているものを基板の「上」に形成されているという。半導体装置の断面図においては、図における上方向に記載されるものを「上」という。
【0040】
「CMOS回路」:n型トランジスタとp型トランジスタとを用いて構成された半導体回路であり、半導体装置の一つを指す。
【0041】
<2.実施形態1>
<CMOS回路で構成したインバーター回路>
本実施形態は、有機トランジスタと無機トランジスタとを備えた半導体装置であるが、CMOS回路で形成したインバーター回路を具体例として説明していく。
【0042】
図1は、本実施形態における、CMOS回路で構成したインバーター回路の構成例を示す回路図である。図1において、本実施形態のインバーター回路は、p型有機トランジスタPT及びn型無機トランジスタNTを備えて構成される。p型有機トランジスタPTは、ゲート電極が入力端子VINに、ソース電極が電源電位VDDに、ドレイン電極が出力端子VOUTに接続される。n型無機トランジスタNTは、ゲート電極が入力端子VINに、ドレイン電極が出力端子VOUTに、ソース電極が接地電位VSSに接続される。こうした構成のインバーター回路により、入力端子VINから入力された、電源電位VDD(Hiレベル)または接地電位VSS(Loレベル)の電位レベルを有する信号の電位レベルを反転させて、出力端子VOUTから出力するよう動作させることができる。
【0043】
<CMOS回路の平面図>
図2は、本実施形態における、CMOS回路で構成したインバーター回路の平面図である。図2においては、本実施形態のCMOS回路を上から見たときに他の構成に遮られて見えなくなる構成についても、実線で示している。これは、図3、図4、及び図9乃至図11についても同様である。
【0044】
図2に示すように、p型有機トランジスタPTは、ソース電極102、ドレイン電極104、ゲート絶縁層110(図示せず)、及び有機半導体層106a(図示せず)を含んでいる。n型無機トランジスタNTは、ソース電極124、ドレイン電極122、ゲート絶縁層120(図示せず)、及び無機半導体層126a(図示せず)を含んでいる。有機半導体層106aのうち、ソース電極102とドレイン電極104との間の領域がチャネル領域106であり、無機半導体層126aのうち、ソース電極124とドレイン電極122との間の領域がチャネル領域126である。そして、CMOS回路は、p型有機トランジスタPTのソース電極102、p型有機トランジスタPTのドレイン電極104、p型有機トランジスタPTのチャネル領域106、及びゲート電極112を含んで構成される。さらに当該CMOS回路は、n型無機トランジスタNTのドレイン電極122、n型無機トランジスタNTのソース電極124、及びn型無機トランジスタNTのチャネル領域126を含んで構成される。また、当該CMOS回路は、導電体114、及び層間コンタクト130を含む。なお、p型有機トランジスタPTとn型無機トランジスタNTとは、共通のゲート電極112を有している。p型有機トランジスタPTは、ゲート絶縁層110の上層にゲート電極112が設けられたトップゲート構造を有し、n型無機トランジスタNTはゲート絶縁層120の下層にゲート電極112が設けられたボトムゲート構造を有している。また、p型有機トランジスタPTのチャネル領域106は、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126と、平面視において重なっている。
【0045】
図2に示すように、ゲート電極112は入力端子VINに、p型有機トランジスタPTのソース電極102は電源電位端子VDDに、p型有機トランジスタPTのドレイン電極104は出力端子VOUTに接続されている。n型無機トランジスタNTのソース電極124は接地電位端子VSSに接続されている。n型無機トランジスタNTのドレイン電極122は、層間コンタクト130及び導電体114を介してp型有機トランジスタPTのドレイン電極104と接続されている。
【0046】
また、図2におけるa−a’、b−b’、及びc−c’については、それぞれの箇所に対応する断面図を後述する。
【0047】
図3は、本実施形態におけるCMOS回路のうち、基板上に形成されたp型有機トランジスタPTの有機半導体層106a、ソース電極102、ドレイン電極104、及びチャネル領域106と、p型有機トランジスタPTの上に形成されたゲート電極112との配置を示す平面図である。
【0048】
図4は、本実施形態におけるCMOS回路のうち、p型有機トランジスタPTのチャネル領域106の上、かつn型無機トランジスタNTのチャネル領域126の下に形成されたゲート電極112と、n型無機トランジスタNTの無機半導体層126a、ドレイン電極122、ソース電極124、及びチャネル領域126との配置を示す平面図である。
【0049】
<CMOS回路におけるa−a’の断面図>
図5は、本実施形態のCMOS回路におけるa−a’の箇所の断面図である。
【0050】
<基板100>
図5に示すように、CMOS回路は基板100上に形成されている。基板100には様々な材料を用いることが可能であるが、例えばガラス、シリコン(ケイ素)、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、ガリウムヒ素(GaAs)等の半導体基板、及びプラスチック基板等が用いられる。本実施形態におけるp型有機トランジスタPT及びn型無機トランジスタNTは、200℃以下程度の低温プロセスで製造可能なものであるため、軽量で柔軟性が高く、さらに安価であるという特徴を有するプラスチック基板を用いることが好ましい。本実施形態のプラスチック基板としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれを利用してもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、変形ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等がプラスチック基板の材料として挙げられる。また、上記材料のうちの2種以上を積層した積層体をプラスチック基板として用いることもできる。
【0051】
<p型有機トランジスタPTのソース電極102、ドレイン電極104>
基板100上には、導電体材料で構成された、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104が形成されている。この導電体材料としては、例えば、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、Ni、Nd、またはこれらの合金が用いられる。InO2、SnO2、ITO等の導電性の酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、またはポリアセチレン等の導電性高分子を用いてもよい。また、上記導電性高分子に塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウムやカリウム等の金属原子等のドーパントを添加したものを用いてもよい。さらに、カーボンブラックまたは金属粒子を分散した導電性の複合材料を用いてもよい。なお、ソース電極102及びドレイン電極104は、その上に形成されるものの平坦性に影響を与えないために、100nm以下で形成されることが好ましい。より好ましくは、50nm以下の厚さで形成される。
【0052】
<p型有機トランジスタPTのチャネル領域106>
また、基板100上には有機半導体層106aが設けられ、有機半導体層106aのうち、ソース電極102とドレイン電極104との間の領域がp型有機トランジスタPTのチャネル領域106である。この有機半導体層106aの材料としては、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)(PTV)、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PFO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFMO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(BT)、フルオレン−トリアリルアミン共重合体、トリアリルアミン系ポリマー、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジチオフェン)(F8T2)のようなフルオレン−ビチオフェン共重合体等のポリマー有機半導体材料が用いられる。また、C60、金属フタロシアニン、またはこれらの置換誘導体を用いてもよい。また、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、もしくはヘキサセン等のアセン分子材料、または、α−オリゴチオフェン類(具体的にはクォーターチオフェン(4T)、セキシチオフェン(6T)、オクタチオフェンのような低分子系有機半導体)を用いてもよい。さらに、上記材料のうちの2種以上を混合して用いてもよい。
【0053】
<ゲート絶縁層110>
基板100上には、さらに、上記のp型有機トランジスタPTのソース電極102、ドレイン電極104、及び有機半導体層106aを覆うように、絶縁体材料で構成されたゲート絶縁層110が形成されている。この絶縁体材料は、有機材料、または無機材料のどちらを用いてもよい。ゲート絶縁層110を構成する有機材料の例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニールアルコール、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ポリスチレン、もしくはこれらの共重合体、またはパリレン膜が挙げられる。一方、無機材料の例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミ、酸化タンタル等の金属酸化物、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウムチタン酸鉛等の金属複合酸化物やベンゾシクロブテン、ポリシラザン化合物、またはポリシラン化合物の塗布膜から得られるケイ素系絶縁膜が挙げられる。さらに、これらの有機材料及び無機材料のうちの2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
<ゲート電極112>
ゲート絶縁層110上には、導電体材料で構成されたゲート電極112が形成されている。当該ゲート電極112を構成する導電体材料は、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104と同様の導電体材料によって構成可能である。
【0055】
<ゲート絶縁層120>
ゲート絶縁層110上には、さらに、上記ゲート電極112を覆うように、絶縁体材料で構成されたゲート絶縁層120が形成されている。このゲート絶縁層120の材料は、ゲート絶縁層110の材料と同様の絶縁体材料を利用可能である。
【0056】
<n型無機トランジスタNTのチャネル領域126>
ゲート絶縁層120上には無機半導体層126aが設けられており、無機半導体層126aのうち、ソース電極124とドレイン電極122との間の領域がn型無機トランジスタNTのチャネル領域126である。当該無機半導体層126aは、化合物半導体または酸化物半導体により構成され、より好ましくは酸化物半導体により構成される。当該無機半導体層126aを構成する酸化物半導体の例としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、InGaO3(ZnO)5、酸化マグネシウム亜鉛(MgxZn1-xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdxZn1-xO)、酸化カドミウム(CdO)、In−Ga−Zn−O系のアモルファス酸化物半導体(a−IGZO)、Sn−In−Zn酸化物、In−Zn−Ga−Mg酸化物、In酸化物、In−Sn酸化物、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、Zn−Ga酸化物、またはSn−In−Zn酸化物等が挙げられる。
【0057】
<CMOS回路におけるb−b’の断面図>
図6は、本実施形態のCMOS回路におけるb−b’の箇所の断面図である。図6において、基板100、有機半導体層106a、ゲート絶縁層110、ゲート電極112、ゲート絶縁層120、及び無機半導体層126aの構成は、既に説明した図5と同様である。よって、ここではこれら同様の構成についての説明を省略する。
【0058】
<n型無機トランジスタNTのドレイン電極122、ソース電極124>
図6において、ゲート絶縁層120の上にはn型無機トランジスタNTのドレイン電極122及びソース電極124が形成されている。このn型無機トランジスタNTのドレイン電極122及びソース電極124は、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104で用いられる導電体材料で構成される。
【0059】
<CMOS回路におけるc−c’の断面図>
図7は、本実施形態のCMOS回路におけるc−c’の箇所の断面図である。図7において、基板100、p型有機トランジスタPTのドレイン電極104、ゲート絶縁層110、ゲート絶縁層120、及びn型無機トランジスタNTのドレイン電極122の構成は、既に説明した図5及び図6と同様である。よって、ここではこれら同様の構成についての説明を省略する。
【0060】
<層間コンタクト130>
図7において、p型有機トランジスタPTのドレイン電極104の上には、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120とを貫通する層間コンタクト130が設けられており、p型有機トランジスタPTのドレイン電極104とn型無機トランジスタNTのドレイン電極122とは、層間コンタクト130を介して電気的に接続される。この層間コンタクト130は、導電体材料で構成されており、上記のp型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104と同様の導電体材料を用いて構成される。
【0061】
<導電体114>
ゲート絶縁層110の上には、層間コンタクト130を取り巻くように、導電体材料によって構成された導電体114が形成されている。導電体114は、層間コンタクト130と電気的に接続されている。導電体114を構成する導電体材料は、p型有機トランジスタPTと同様の導電体材料を用いて構成される。
【0062】
本実施形態における半導体装置では、上記のように層間コンタクト130及び導電体114を形成することで、ゲート絶縁層110及び120によって電気的に分離された層の間を接続することが可能となる。上記の実施形態ではp型有機トランジスタPTのドレイン電極104と、n型無機トランジスタNTのドレイン電極122とを接続したが、この形態に限るものではない。つまり、p型有機トランジスタPTのソース電極102またはドレイン電極104と、n型無機トランジスタNTのソース電極124またはドレイン電極122と、ゲート電極112とのうちのいずれか2つを電気的に接続する際に、層間コンタクト130及び導電体114を用いて接続することが可能である。
【0063】
たとえば、n型無機トランジスタNTのソース電極124と、ゲート電極112とを電気的に接続する構成例を図8に示した。図8に示すように、基板100上には導電体108が形成されている。導電体108の上には、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120とを貫通する層間コンタクト130が設けられており、n型無機トランジスタNTのソース電極124とゲート電極112とは、層間コンタクト130を介して電気的に接続される。
【0064】
<まとめ>
以上のように、本実施形態における半導体装置としてのCMOS回路は、(a)基板100と、(b)有機半導体層106aを含むp型有機トランジスタPTと、(c)p型有機トランジスタPTの上層に設けられた無機半導体層126aを含むn型無機トランジスタNTと、を備える。さらに、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126は、p型有機トランジスタPTのチャネル領域106と、平面視において少なくとも部分的に重なっている。
【0065】
かかる構成の半導体装置によれば、従来の、無機トランジスタのチャネル領域と有機トランジスタのチャネル領域が平面視において重ならないよう構成された半導体装置と比較して、小さな面積の半導体装置を提供することが可能となる。
【0066】
また、上記半導体装置によれば、p型有機トランジスタPTの上に、少なくともn型無機トランジスタNTを備えているので、従来の半導体装置と比較して、p型有機トランジスタPTの封止効果が高くなる。すなわち、周辺気体に含まれる酸素や水分による影響によって劣化しやすい有機半導体層106aの上に、n型無機トランジスタNTを構成する部材が設けられているため、p型有機トランジスタPTの劣化を抑制することが可能となる。ひいては、半導体装置が劣化することを抑制し、安定した動作の半導体装置を提供することができる。
【0067】
また、有機半導体層106aを覆うようにゲート絶縁層120を設けることが好ましい。この構成によれば、有機半導体層106aの上部全体にゲート絶縁層120が設けられているため、より高い封止効果を得ることができる。
【0068】
また、有機半導体層106aの上にゲート絶縁層110等を形成しているため、有機半導体層106aの上部にゲート絶縁層110等とゲート絶縁層120とが設けられることとなり、より高い封止効果を得ることができる。
【0069】
有機半導体層106aを覆うようにゲート絶縁層110を設けることが好ましい。この構成によれば、有機半導体層106aの上部全体にゲート絶縁層110が設けられているため、より高い封止効果を得ることができる。
【0070】
また、本実施形態における半導体装置は、p型有機トランジスタPTのチャネル領域106とn型無機トランジスタNTのチャネル領域126との間に、p型有機トランジスタPTのゲート電極112及びn型無機トランジスタのゲート電極112として機能する電極が形成されていることが好ましい。
【0071】
かかる構成の半導体装置によれば、p型有機トランジスタPTとn型無機トランジスタNTとのゲート電極112を共通にすることができ、それぞれ独立にゲート電極を形成する場合と比較して、半導体装置の層を少なくすることが可能となる。これにより、半導体装置の製造工程を短縮させることができる。また、安価な半導体装置を提供することが可能となる。さらに、CMOS回路の形成を容易にすることができる。
【0072】
また、本実施形態で示したように、以下のような構成にすることが好ましい。すなわち、ゲート絶縁層110の下には、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104が形成されており、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120の間には、ゲート電極112が形成されており、ゲート絶縁層120の上には、n型無機トランジスタのソース電極124及びドレイン電極122が形成される。そして、p型有機トランジスタPTのソース電極102またはドレイン電極104のいずれか一方と、n型無機トランジスタNTのソース電極124またはドレイン電極122のいずれか一方とは、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120とにわたって形成された第1の導電体としての層間コンタクト130を介して接続される。さらに、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120の間には、層間コンタクト130と電気的に接続された第2の導電体としての導電体114が形成されている。
【0073】
かかる構成の半導体装置は、p型有機トランジスタPTのソース電極102またはドレイン電極104のいずれか一方と、n型無機トランジスタNTのソース電極124またはドレイン電極122のいずれか一方を接続する際に、層間コンタクト130のみならず、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120の間に形成された導電体114を介する構成としている。当該構成により、接続部分の電気抵抗を小さくし、電気損失の少ない半導体装置を提供することが可能となる。ひいては、消費電力が小さく、発熱の少ない半導体装置を提供することができる。また、層間コンタクト130等による接続部分の断線による接続不良の発生を減少させることもできる。
【0074】
また、本実施形態で示したように、以下のような構成にすることが好ましい。すなわち、ゲート絶縁層110の下には、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104が形成されており、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120の間には、ゲート電極112が形成されており、ゲート絶縁層120の上には、n型無機トランジスタNTのソース電極124及びドレイン電極122が形成される。そして、ゲート電極112と、n型無機トランジスタNTのソース電極124またはドレイン電極122のいずれか一方とは、ゲート絶縁層110とゲート絶縁層120とにわたって形成された層間コンタクト130を介して接続される。さらに、ゲート絶縁層110の下には、層間コンタクト130と電気的に接続された第2の導電体としての導電体114が形成されている。
【0075】
かかる構成の半導体装置は、ゲート電極112と、n型無機トランジスタNTのソース電極124またはドレイン電極122のいずれか一方を接続する際に、層間コンタクト130のみならず、ゲート絶縁層110の下に形成された導電体114を介する構成としている。当該構成により、接続部分の電気抵抗を小さくし、電気損失の少ない半導体装置を提供することが可能となる。ひいては、消費電力が小さく、発熱の少ない半導体装置を提供することができる。また、層間コンタクト130等による接続部分の断線による接続不良の発生を減少させることもできる。
【0076】
また、平面視において、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126の外側に、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104の少なくとも一方が形成されていることが好ましい。
【0077】
かかる構成の半導体装置によれば、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126の下には、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104のうち、少なくとも一方が形成されない。そのため、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126に凹凸が生じることを防ぐことができる。これにより、より平坦なチャネル領域126を形成可能となり、n型無機トランジスタNTの動作が安定し、安定した動作の半導体装置を提供することが可能となる。
【0078】
また、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104の双方が、平面視において、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126の外側に形成されることが、より好ましい。
【0079】
当該構成によれば、さらに平坦なチャネル領域126を形成可能であり、さらに安定した同他の半導体装置を提供することが可能となる。
【0080】
また、n型無機トランジスタNTのゲート絶縁層120がポリマーで形成されていることが好ましい。
【0081】
かかる構成の半導体装置によれば、外力により破壊されづらいポリマーによってn型無機トランジスタNTのゲート絶縁層120が形成されているため、破壊されづらい半導体装置を提供することが可能となる。
【0082】
<補足>
なお、本実施形態において導電体材料により構成される、p型有機トランジスタPTのソース電極102、ドレイン電極104、ゲート電極112、導電体114、n型無機トランジスタNTのドレイン電極122、ソース電極124、及び層間コンタクト130は、互いに異なる導電体材料によって構成されてもよい。ゲート絶縁層110及び120についても、互いに異なる絶縁体材料によって構成されてもよい。
【0083】
また、本実施形態ではインバーター回路を例に挙げて説明したが、本発明の趣旨の範囲において、例えば、複数入力NAND回路、複数入力NOR回路、シフトレジスタ回路、ラッチ回路、レベルシフタ回路、バッファ回路、またはカレントミラー回路等のあらゆる半導体回路に適用可能である。
【0084】
また、本実施形態のp型有機トランジスタPTにおいては、ソース電極102及びドレイン電極104が有機半導体層106aの下に設けられたボトムコンタクト構造を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。すなわち、ソース電極102及びドレイン電極104が有機半導体層106aの上に設けられたトップコンタクト構造のp型有機トランジスタPTを用いてもよい。
【0085】
同様に、本実施形態のn型無機トランジスタNTはトップコンタクト構造を例に挙げて説明したが、ボトムコンタクト構造のn型無機トランジスタNTを用いてもよい。
【0086】
<3.本実施形態の半導体装置の製造方法>
ここで、本実施形態の半導体装置の製造方法について、図5乃至図7を参照しながら簡単に説明する。
【0087】
<(1)基板>
まず、有機トランジスタを形成するための基板を準備する。
【0088】
<(2)p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104の形成工程>
次に、図5及び図6に示すように、基板100上にp型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104を形成する。
【0089】
このソース電極102及びドレイン電極104は、例えば基板上の一面に導電体層を形成後に、フォトエッチングなどにより不要部分を除去する方法等を用いることができる。また、所定の形状に穴をあけたメタルスルーマスクを通して基板上に導電体の蒸着を行うことにより、ソース電極102及びドレイン電極104を形成することも可能である。また、金属微粒子及びグラファイトのような導電性粒子を含むポリマー混合物をソース電極102及びドレイン電極104の導電体材料として用いる場合、液滴吐出法による溶液パターニングによって形成することができる。この液滴吐出法を用いた場合、より簡易に、かつ低コストで電極形成を行うことができる。
【0090】
<(3)p型有機トランジスタPTのチャネル領域106の形成工程>
次に、図5及び図6に示すように、基板100上に有機半導体層106aを形成する。有機半導体層106aのうち、ソース電極102とドレイン電極104との間の領域がチャネル領域106となる。有機半導体層106aの形成においては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電界重合法、化学重合法、イオンプレーティング法、スピンコート法、キャスト法、引き上げ法、ラングミュアブロジェット法、スプレー法、液滴吐出法、ロールコート法、バーコート法、ディスペンス法、またはシルクスクリーン法等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。特に液滴吐出法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、またはバーコート法により当該有機半導体層106aを形成することは、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できるため好ましい。
【0091】
<(4)ゲート絶縁層110の形成工程>
次に、図5乃至図7に示すように、ゲート絶縁層110を形成する。
【0092】
ゲート絶縁層110を有機材料で形成する場合、有機材料またはその前駆体を含む溶液を、ゲート絶縁層110を覆うように塗布した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、または超音波の付与等)を施すことにより形成することができる。有機材料またはその前駆体を含む溶液を、ゲート絶縁層110へ塗布する方法としては、スピンコート法やディップコート法のような塗布法、液滴吐出法やスクリーン法等の印刷法等を用いることができる。
【0093】
また、ゲート絶縁層110を無機材料で形成する場合、例えば、熱酸化法、CVD法、またはSOG法により形成することができる。
【0094】
<(5)コンタクトホールの形成工程>
必要に応じて、ゲート電極112と、p型有機トランジスタPTのソース電極102またはドレイン電極104とを電気的に接続するためのコンタクトホールを形成する。コンタクトホールを形成する方法としては、ウェットエッチング、またはドライエッチング等が挙げられる。ウェットエッチングは、酸、塩基、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、または有機溶媒を用いて行われる。ウェットエッチングに用いられる酸としては、例えばフッ酸、硝酸、塩酸、または硫酸等が挙げられる。ウェットエッチングに用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、またはアンモニア等が挙げられる。ドライエッチングは、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ、またはCF4プラズマを用いて行われる。
【0095】
また、半導体レーザー、エキシマレーザー、切削加工用のレーザー、ルビーレーザー、ガラスレーザー、YAGレーザー、または炭酸ガスレーザーによるレーザーアブレーション法を用いてもよい。半導体レーザーとしては、GaAlAsまたはInGaAsP等が用いられる。エキシマレーザーとしては、ArF、KrF、XeCl、またはXeF等が用いられる。切削加工用のレーザーとしては、Arイオンレーザー等が用いられる。
【0096】
さらに、プレス装置ダイシングソー、ダイアモンドブレード、またはダイアモンドニードルを用いた機械的な加工方法等を用いてもよい。
【0097】
なお、この工程はゲート絶縁層120を形成した後に形成する層間コンタクト130で代用することも可能である。
【0098】
<(6)ゲート電極112、及び導電体114の形成工程>
次に、図5乃至図7に示すように、ゲート電極112及び導電体114を形成する。当該工程は、同じく導電体材料により構成される、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104を形成する工程と同様の方法を用いることができる。
【0099】
なお、上記コンタクトホールを形成した場合には、当該工程において、p型有機トランジスタPTのソース電極102またはドレイン電極104と、ゲート電極112とを電気的に接続し、導通させることも可能である。また、コンタクトホールが形成された部分に、例えば金属微粒子のような導電性粒子を含むポリマー混合物を、液滴吐出法のような溶液パターニング方法で塗布することで導通部を形成することもできる。この方法によれば、導通の不具合による歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0100】
<(7)ゲート絶縁層120の形成工程>
次に、図5乃至図7に示すように、ゲート絶縁層120を形成する。当該工程は、ゲート絶縁層110の形成工程と同様の方法を用いることができる。
【0101】
<(8)n型無機トランジスタNTのチャネル領域126の形成工程>
次に、図5及び図6に示すように、ゲート絶縁層120上に無機半導体層126aを形成する。無機半導体層126aのうち、ソース電極124とドレイン電極122との間の領域がチャネル領域126となる。無機半導体層126aは、例えば、スパッタ法、レーザーアブレーション法等の従来の方法を用いることで形成することができる。
【0102】
<(9)n型無機トランジスタNTのソース電極124及びドレイン電極122の形成工程>
次に、図5及び図6に示すように、n型無機トランジスタNTのソース電極124及びドレイン電極122を形成する。当該工程は、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104の形成工程と同様の方法を用いることができる。
【0103】
<(10)層間コンタクト130の形成工程>
次に、図7に示すようにp型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104、ゲート電極112、並びにn型無機トランジスタNTのソース電極124及びドレイン電極122のうちのいずれか2つを電気的に接続するための層間コンタクト130を形成する。層間コンタクト130は、コンタクトホールの形成工程と同様の方法により形成可能である。本実施形態では、p型有機トランジスタPTのドレイン電極104をn型無機トランジスタNTのドレイン電極122と接続する例を示してある。
【0104】
<(11)封止層の形成工程>
さらに、必要に応じて、半導体装置を水分や酸素、光から保護するための封止層(図示せず)を形成してもよい。封止層は、酸化ケイ素、酸化アルミ、もしくは酸化タンタル等の無機酸化物、窒化ケイ素等の無機窒化物、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン、パリレン膜、UV硬化樹脂等の絶縁性有機ポリマー、またはこれらの積層膜を用いて形成することができる。
【0105】
<4.実施形態2>
本実施形態は、実施形態1と同様、有機トランジスタと無機トランジスタとを備えた半導体装置であり、CMOS回路で形成したインバーター回路を具体例として説明する。ただし、本実施形態2は、p型有機トランジスタPTのソース電極102、ドレイン電極104、及びチャネル領域106の形状だけが実施形態1と相違するので、この相違点を中心に説明する。
【0106】
<CMOS回路の平面図>
図9は、本実施形態における、CMOS回路で構成したインバーター回路の平面図である。図9において、本実施形態のインバーター回路は、p型有機トランジスタPT及びn型無機トランジスタNTを備えて構成される。p型有機トランジスタPTは、ソース電極102、ドレイン電極104、ゲート絶縁層110(図示せず)、及び有機半導体層106a(図示せず)を含んでおり、n型無機トランジスタNTは、ソース電極124、ドレイン電極122、ゲート絶縁層120(図示せず)、及び無機半導体層126a(図示せず)を含んでいる。
【0107】
図10は、本実施形態におけるCMOS回路のうち、基板上に形成されたp型有機トランジスタPTの有機半導体層106a、ソース電極102、ドレイン電極104、及びチャネル領域106と、p型有機トランジスタPTの上に形成されたゲート電極112との配置を示す平面図である。
【0108】
図11は、本実施形態におけるCMOS回路のうち、p型有機トランジスタPTの上、かつn型無機トランジスタNTの下に形成されたゲート電極112と、n型無機トランジスタNTの無機半導体層126a、ドレイン電極122、ソース電極124、及びチャネル領域126との配置を示す平面図である。
【0109】
<ソース電極102及びドレイン電極104>
図10に示すように、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104は、いずれも櫛歯状の形状を有している。平面視において、ソース電極102の3本の櫛歯102aのうち一の歯は、少なくともその一部が、ドレイン電極104の3本の櫛歯104aのうち互いに隣り合う2本の櫛歯の間に挟まれるように形成されている。また、平面視において、ドレイン電極104の3本の櫛歯104aのうち一の歯は、少なくともその一部が、ソース電極102の3本の櫛歯102aのうち互いに隣り合う2本の櫛歯の間に挟まれるように形成されている。言い換えれば、ソース電極102の櫛歯102aのうちの少なくとも1本における、少なくとも当該櫛歯の端部は、ドレイン電極104の互いに隣り合う2本の櫛歯に、所定の間隔を置いて挟まれているともいえる。また、ドレイン電極104の櫛歯104aのうちの少なくとも1本における、少なくとも当該櫛歯の端部は、ソース電極102の互いに隣り合う2本の櫛歯に、所定の間隔を置いて挟まれているともいえる。そして、有機半導体層106aのうち、互いに隣り合う櫛歯102aと櫛歯104aとの間の領域がチャネル領域106となる。
【0110】
さらに、p型有機トランジスタPTのソース電極102の櫛歯102a及びドレイン電極104の櫛歯104aは、n型無機トランジスタNTのソース電極124からドレイン電極122へ向かう方向と平行に延在している。言い換えると、ソース電極102の櫛歯102a及びドレイン電極104の櫛歯104aは、n型無機トランジスタNTのチャネル長方向に延在している。
【0111】
この構成によれば、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126のソース電極124側端部からドレイン電極122側端部にわたって、かつn型無機トランジスタNTのチャネル長方向に沿って、p型有機トランジスタPTのソース電極102の櫛歯102a及びドレイン電極104の櫛歯104aに起因する凹凸が生じない領域を設けることができる。櫛歯102a及び櫛歯104aとn型無機トランジスタNTのチャネル長方向とは必ずしも互いに平行でなくても、n型無機トランジスタNTのチャネル長方向に沿って櫛歯102a及び櫛歯104aに起因する凹凸が生じない領域を設けることができる。櫛歯102a及び櫛歯104aとn型無機トランジスタNTのチャネル長方向とを互いに平行にすれば、n型無機トランジスタNTのチャネル長方向に沿って櫛歯102a及び櫛歯104aに起因する凹凸が生じない領域の面積を最大にすることができるため、互いに平行にすることが好ましい。しかし、n型無機トランジスタNTのチャネル長方向に沿って当該凹凸が生じない領域を設けるためには、櫛歯102a及び櫛歯104aとn型無機トランジスタNTのチャネル長方向とがなす角を、互いに隣り合う櫛歯102aと櫛歯104aとの間隔と、n型無機トランジスタNTのチャネル長に応じて適宜決定すればよい。
【0112】
<CMOS回路におけるd−d’の断面図>
図12は、本実施形態のCMOS回路におけるd−d’の箇所の断面図である。
【0113】
<p型有機トランジスタPTのソース電極102、ドレイン電極104>
基板100上には、導電体材料で構成された、p型有機トランジスタPTのソース電極102の櫛歯102a及びドレイン電極104の櫛歯104aが形成されている。図12に示すように、これらのソース電極102の櫛歯102a及びドレイン電極104の櫛歯104aは、所定の間隔を置いて交互に設けられている。なお、当該p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104を構成する導電体材料は、実施形態1で説明したp型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104の材料と同様に選択可能である。
【0114】
<p型有機トランジスタPTのチャネル領域106>
また、基板100上には有機半導体層106aが設けられており、互いに隣り合う櫛歯102aと櫛歯104aとの間の領域がチャネル領域106である。有機半導体層106aを構成する有機半導体材料は、実施形態1で説明したp型有機トランジスタPTのチャネル領域106の材料と同様に選択可能である。
【0115】
<まとめ>
上記のとおり、本実施形態における半導体装置は、実施形態1における構成に加え、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104が、それぞれ櫛歯状に形成されていて、一方の電極における一の櫛歯が、他方の電極における互いに隣り合う2本の櫛歯の間に挟まれるように形成されていることを特徴とする。したがって、実施形態1における構成によって得られる効果に加えて、次のような効果も得られる。
【0116】
トランジスタの電流駆動能力は、トランジスタのチャネル長、チャネル幅、及び移動度等の要素により決定される。ここで、一般的には、有機トランジスタの移動度は無機トランジスタの移動度と比較して低いため、双方の電流駆動能力を比較すると、有機トランジスタの電流駆動能力の方が低くなる。つまり、本実施形態の半導体装置における、p型有機トランジスタPTとn型無機トランジスタNTと比較すると、p型有機トランジスタPTの電流駆動能力が低くなってしまう。半導体装置においては、p型有機トランジスタPTとn型無機トランジスタNTとの電流駆動能力が大きく異なると、回路動作が不安定になる場合があり好ましくない。ただし、この電流駆動能力は、上記のようにトランジスタのチャネル長等を変えることによって高くすることが可能である。
【0117】
そこで、上記のような構成の本実施形態の半導体装置によれば、p型有機トランジスタPTのチャネル領域106のチャネル幅を大きくすることができ、p型有機トランジスタPTの電流駆動能力を高くすることができる。これによって、p型有機トランジスタPTとn型無機トランジスタNTとの電流駆動能力との差を小さくすることができ、回路動作を安定化させることができる。
【0118】
また、上記のとおり、本実施形態の半導体装置において、p型有機トランジスタPTのソース電極102の櫛歯102a及びドレイン電極104の櫛歯104aは、それぞれn型無機トランジスタNTのソース電極124からドレイン電極122へ向かう方向に延在している。
【0119】
トランジスタのチャネル領域において、ソース電極からドレイン電極へ向かう方向(チャネル長方向)に凹凸が存在すると、チャネル領域が部分的に薄くなったり厚くなったりして電流の流れがスムーズでなくなる等の問題が生じる。その結果、トランジスタの動作が不安定になることがある。このチャネル領域の凹凸は、そのチャネル領域の下に形成された電極の配線などに起因する。
【0120】
上記構成の半導体装置によれば、n型無機トランジスタNTのチャネル領域126のソース電極124側端部からドレイン電極122側端部にわたって、かつn型無機トランジスタNTのチャネル長方向に沿って、p型有機トランジスタPTのソース電極102の櫛歯102a及びドレイン電極104の櫛歯104aに起因する凹凸が生じない領域を設けることができる。これにより、n型無機トランジスタNTの動作が安定し、安定した動作の半導体装置を提供することが可能となる。
【0121】
本実施形態では、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104が、いずれも櫛歯状の形状を有している例を示したが、実施形態1において、たとえばp型有機トランジスタPTのチャネル長を小さくするためにp型有機トランジスタPTのソース電極102とドレイン電極104との間隔を小さくした場合においても、同様な効果が得られる。すなわち、ソース電極102やドレイン電極104の形状に関わらず、チャネル領域126のソース電極124側端部からドレイン電極122側端部にわたって、かつn型無機トランジスタNTのチャネル長方向に沿って、p型有機トランジスタPTのソース電極102及びドレイン電極104に起因する凹凸が生じない領域を設けることができるように、ソース電極102及びドレイン電極104を配置することによって、安定した動作の半導体装置を提供することが可能となる。そして、当該凹凸が生じない領域の面積が最大になるようにソース電極102及びドレイン電極104を配置すれば、n型無機トランジスタNTの動作を安定化させる効果を最も大きくすることができる。
【0122】
<補足>
なお、本実施形態において導電体材料により構成される、p型有機トランジスタPTのソース電極102、ドレイン電極104、ゲート電極112、導電体114、n型無機トランジスタNTのドレイン電極122、ソース電極124、及び層間コンタクト130は、実施形態1と同様に、互いに異なる導電体材料によって構成されてもよい。ゲート絶縁層110及び120についても、互いに異なる絶縁体材料によって構成されてもよい。
【0123】
<5.半導体装置を含む電子機器の構成例>
次に、図13を参照しながら、本発明の半導体装置を備えた電子機器の具体例を説明する。図13は携帯電話への適用例を示す。携帯電話530は、アンテナ部531、音声出力部532、音声入力部533、操作部534、及び電気光学装置500を備えている。この電気光学装置500は、実施形態1及び2で説明した半導体装置を含んで構成される。
【0124】
また、実施形態1及び2で説明した半導体装置は、例えば、メモリー、無線タグ、ICタグ、圧力センサ、温度センサ、光センサ、加速度センサ、歪センサ、磁気センサ、湿度センサ、キャパシタ、電圧センサ、またはケミカルセンサ等の電子部品に利用可能である。また、これらを含むあらゆる電子機器に適用可能であり、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置、携帯電話、ノートPC等にも利用可能である。
【0125】
かかる構成の電子機器は、上記いずれかの半導体装置の特徴を有するので、例えば、小さな面積の半導体装置を用いることが可能となり、より小さな電子機器を提供することが可能となる。
【0126】
以上、本発明の実施形態についてそれぞれ説明したが、それぞれの実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。すなわち、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であり、それぞれの実施形態に基づいて適宜変形されたもの等を含む。また、それぞれの実施形態は互いに矛盾を生じない範囲で組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0127】
100…基板、102…p型有機トランジスタPTのソース電極、104…p型有機トランジスタPTのドレイン電極、106…p型有機トランジスタPTのチャネル領域、106a…有機半導体層、108…導電体、110…ゲート絶縁層、112…ゲート電極、114…導電体、120…ゲート絶縁層、122…n型無機トランジスタNTのドレイン電極、124…n型無機トランジスタNTのソース電極、126…n型無機トランジスタNTのチャネル領域、126a…無機半導体層、130…層間コンタクト、500…電気光学装置、530…携帯電話、531…アンテナ部、532…音声出力部、533…音声入力部、534…操作部、PT…p型有機トランジスタ、NT…n型無機トランジスタ、VDD…電源電位、VIN…入力端子、VOUT…出力端子、VSS…接地電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられた有機半導体層を含むp型の有機トランジスタと、
前記有機トランジスタの上に設けられた無機半導体層を含むn型の無機トランジスタと、を備え、
前記無機トランジスタのチャネル領域は、前記有機トランジスタのチャネル領域と、平面視において少なくとも部分的に重なっている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記有機トランジスタのゲート絶縁層の上層かつ前記無機トランジスタのゲート絶縁層の下層に、前記有機トランジスタのゲート電極として機能するとともに前記無機トランジスタのゲート電極として機能する電極が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記有機トランジスタはトップゲート構造を有し、前記無機トランジスタはボトムゲート構造を有し、
前記有機トランジスタと前記無機トランジスタとによってCMOS回路が形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記有機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方と、前記無機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とは、前記有機トランジスタのゲート絶縁層と前記無機トランジスタのゲート絶縁層とにわたって設けられた第1の導電体を介して電気的に接続されており、
前記有機トランジスタのゲート絶縁層と前記無機トランジスタのゲート絶縁層との間には、前記第1の導電体と電気的に接続された第2の導電体が設けられている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート電極と、前記無機トランジスタのソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とは、前記有機トランジスタのゲート絶縁層と前記無機トランジスタのゲート絶縁層とにわたって形成された第1の導電体を介して接続されており、
前記有機トランジスタのゲート絶縁層の下層には、前記第1の導電体と電気的に接続された第2の導電体が形成されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記有機トランジスタのソース電極及びドレイン電極は、それぞれ櫛歯状の形状を有し、一方の電極における一部の櫛歯が、他方の電極における櫛歯の間に挟まれるように設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
平面視において前記無機トランジスタのチャネル領域と重なる領域に、前記有機トランジスタのソース電極とドレイン電極とのうち少なくとも一方が設けられており、
前記無機トランジスタのチャネル領域の前記無機トランジスタのソース電極側端部から前記無機トランジスタのドレイン電極側端部にわたって、かつ前記無機トランジスタのチャネル長方向に沿って、前記有機トランジスタのソース電極とドレイン電極とのいずれもが設けられていない領域が設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
平面視において、前記無機トランジスタのチャネル領域の外側に、前記有機トランジスタのソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記無機トランジスタのゲート絶縁層がポリマーで形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置を含んで構成された電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−9413(P2011−9413A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150769(P2009−150769)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(597065329)学校法人 龍谷大学 (120)
【Fターム(参考)】