説明

半導体装置

【課題】比較的簡単な製造工程により製造することができ、また、電荷移動度を向上させる方向の応力を低減しない、応力膜を用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基板と、前記半導体基板上に形成され、素子分離領域によって分離されたMISFETと、前記半導体基板上に形成され、前記MISFETのチャネル領域に応力を加えて、前記チャネル領域における電荷移動度を変化させる応力膜と、前記応力の前記電荷移動度を向上させる方向の成分を維持したまま、前記応力の前記電荷移動度を低下させる方向の成分を緩和する応力緩和構造と、を具備することを特徴とする半導体装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応力膜を用いたひずみシリコン技術を適用した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置として、nチャネル型MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor)のソース・ドレイン領域上に形成されたシリコン窒化膜からなる第1種内部応力膜と、pチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域上に形成されたTEOS(Tetraethoxysilane)膜からなる第2種内部応力膜とを備えた半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この半導体装置によれば、第1種内部応力膜により、nチャネル型MISFETのチャネル領域において電子の移動方向に引張応力が生じて電子の移動度が高められ、また、第2種内部応力膜により、pチャネル型MISFETのチャネル領域において正孔の移動方向に圧縮応力が生じて正孔の移動度が高められる。
【0004】
しかし、この半導体装置によると、nチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域と、pチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域において、応力膜を作り分けることが必須となるため、製造工程が複雑化するという問題がある。
【0005】
また、従来の半導体装置として、半導体基板に形成された素子分離領域の間に設けられる素子領域と、素子領域に形成されるゲート電極、ソース領域、およびドレイン領域と、ゲート電極を被覆するため素子領域および素子分離領域の上に形成される絶縁膜と、素子領域におけるソース領域およびドレイン領域と各々導通するため絶縁膜を貫通して設けられるコンタクトホール電極と、素子領域内で、ゲート電極に対してコンタクトホール電極の位置とほぼ対称な位置に絶縁膜を貫通して設けられるダミーコンタクトとを備えた半導体装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この半導体装置によれば、素子領域内で、ゲート電極に対してコンタクトホール電極の位置とほぼ対称な位置に、絶縁膜を貫通した状態でダミーコンタクトが設けられることから、ゲート電極を中心とした周辺に絶縁膜を貫通するコンタクトホールがほぼ均等に配置されるようになり、絶縁膜からチャネルへかかる応力の均一化によって素子の特性を安定させることができる。
【0007】
しかし、この半導体装置によると、ダミーコンタクトの形成が応力の均一化を目的としているため、ときには、チャネル領域における電荷移動度を向上させる方向の応力まで減らしてしまうおそれがある。
【特許文献1】特開2005−5633号公報
【特許文献2】特開2004−342724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、比較的簡単な製造工程により製造することができ、また、電荷移動度を向上させる方向の応力を低減しない、応力膜を用いた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成され、素子分離領域によって分離されたMISFETと、前記半導体基板上に形成され、前記MISFETのチャネル領域に応力を加えて、前記チャネル領域における電荷移動度を変化させる応力膜と、前記応力の前記電荷移動度を向上させる方向の成分を維持したまま、前記応力の前記電荷移動度を低下させる方向の成分を緩和する応力緩和構造と、を具備することを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、比較的簡単な製造工程により製造することができ、また、電荷移動度を向上させる方向の応力を低減しない、応力膜を用いた半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。また、図2は、図1の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図、図3は、図1の鎖線B−B'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0012】
この半導体装置1は、半導体基板10のp型MISFET領域2に形成されたn型ウェル11、ソース・ドレイン領域13、およびゲート構造12と、p型MISFET領域2を周辺の素子領域から電気的に分離する素子分離領域15と、ソース・ドレイン領域13、ゲート構造12、および素子分離領域15を覆う圧縮応力膜18と、ソース・ドレイン領域13上に形成されたソース・ドレインコンタクト16と、素子分離領域15上に形成されたダミーコンタクト17と、を有して概略構成される。
【0013】
半導体基板10は、{100}面を主面とするシリコン基板等を用いることができる。なお、{100}面は、(100)面、および(100)面と等価な面を表す。また、半導体基板10がn型半導体基板である場合は、n型ウェル11は無くてもよい。
【0014】
ゲート構造12は、図示しないが、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ゲート側壁等から構成される。
【0015】
ソース・ドレイン領域13は、例えば、半導体基板10内のn型ウェル11の表面からB、BF等のp型不純物イオンを注入することにより形成される。
【0016】
ソース・ドレイン領域13の間には、チャネル領域14がある。本実施の形態においては、チャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行である。なお、<110>軸方向は、[110]軸方向、および[110]軸方向と等価な軸方向を表す。
【0017】
素子分離領域15は、絶縁性を有し、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)からなる。
【0018】
ソース・ドレインコンタクト16は、層間絶縁膜19上にある配線(図示せず)等とソース・ドレイン領域13を導通するものであり、例えば、W等の金属を用いることができる。
【0019】
ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上に形成されており、部材間を導通するコンタクトとしての機能は有していない。ダミーコンタクト17は、ソース・ドレインコンタクト16と同じ材料を用いて、ソース・ドレインコンタクト16と同じ工程で同時に形成することができる。
【0020】
圧縮応力膜18は、例えば、プラズマCVD装置を用いて形成した窒化シリコン膜からなる。プラズマCVD装置の運転条件により、窒化シリコン膜をチャネル領域14に半導体基板10に平行な方向の圧縮応力を与えるような膜質に形成することができる。例えば、プラズマCVD装置のRF(Radio Frequency)電力等を適宜設定することで、窒化シリコン膜の組成Si(0<x<1、y=1−x)を設定し、チャネル領域14に圧縮応力を与えるような膜質に形成する。また、コンタクト形成時のエッチングストップ膜として用いることができる。
【0021】
本実施の形態のように、p型MISFET領域2におけるチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行である場合は、チャネル方向に平行な方向の応力がチャネル領域14を内側に圧縮する方向に加わると、電荷移動度が向上する。一方、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14を外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0022】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2におけるチャネル領域14に、圧縮応力膜18により応力を加えるため、チャネル領域14を内側に圧縮する応力が主に働き、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度は低下する。
【0023】
ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13、またはチャネル領域14とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に、応力の発生源である圧縮応力膜18を貫いて形成されるため、チャネル方向に垂直な方向の応力を緩和する。
【0024】
図1中の応力ベクトルF、およびF21は、それぞれ圧縮応力膜18により発生するチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF20は、ダミーコンタクト17が形成されない場合に発生するチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0025】
ダミーコンタクト17はチャネル方向に垂直な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF21の大きさは、応力ベクトルF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルFは、ダミーコンタクト17が形成されない場合に発生するチャネル方向に平行な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0026】
なお、ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13、またはチャネル領域14とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成されるものであれば、図1、および図2において示す位置や数に限られない。
【0027】
(第1の実施の形態の効果)
この第1の実施の形態によれば、圧縮応力膜18によりp型MISFET領域2におけるチャネル領域14に加わる、チャネル方向に垂直な方向の応力をダミーコンタクト17により緩和し、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0028】
また、第1の実施の形態においては、チャネル領域14のチャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2に、圧縮応力を加える応力膜を適用する場合について説明したが、実際はこれに限られず、応力膜による応力の方向がチャネル領域14における電荷移動度を低下させる方向である領域にダミーコンタクト17を形成する構成であればよい。
【0029】
具体的には、例えば、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2におけるチャネル領域14に、引張応力を加える応力膜を適用する場合は、主にチャネル領域14を外側に引っ張る応力が働き、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度は低下するため、ダミーコンタクト17を、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13およびチャネル領域14とチャネル方向と平行な方向に隣接する領域付近に形成し、チャネル方向に平行な方向の応力を緩和する。
【0030】
なお、本実施の形態においては、p型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向が半導体基板の<110>軸方向に平行である場合について説明したが、チャネル方向が半導体基板の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域におけるチャネル領域の場合は、チャネル方向に平行な方向の応力、および垂直な方向の応力がチャネル領域を内側に圧縮する方向に加わると、電荷移動度が向上する。
【0031】
また、チャネル方向が半導体基板の<110>軸方向に平行であるn型MISFET領域におけるチャネル領域、および<100>軸方向に平行であるn型MISFET領域におけるチャネル領域の場合は、チャネル方向に平行な方向の応力、および垂直な方向の応力がチャネル領域を外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、半導体装置がp型MISFET領域とn型MISFET領域を有する点において第1の実施の形態と異なる。p型MISFET領域およびn型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向は<100>軸方向に平行であり、チャネル領域は、引張応力膜により外側に引っ張られる応力を受けている。なお、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0033】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。また、図5は、図4の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0034】
この半導体装置1は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3を有する。p型MISFET領域2とn型MISFET領域3は、素子分離領域15により電気的に分離されている。また、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3において、引張応力膜21が半導体基板10の表面を覆っている。
【0035】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16a、ソース・ドレイン領域13a周辺の素子分離領域15上にはダミーコンタクト17が形成される。
【0036】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16bが形成される。
【0037】
半導体基板10は、例えば、シリコン基板を用いることができる。なお、半導体基板10がn型半導体基板である場合は、n型ウェル11は無くてもよく、p型半導体基板である場合は、p型ウェル20は無くてもよい。
【0038】
ゲート構造12は、図示しないが、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ゲート側壁等から構成される。図4、および図5においては、ゲート構造12は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3において共通に用いられるものとして示されているが、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3においてそれぞれ独立に形成される構成であってもよい。
【0039】
ソース・ドレイン領域13aは、例えば、半導体基板10内のn型ウェル11の表面からB、BF等のp型不純物イオンを注入することにより形成される。
【0040】
ソース・ドレイン領域13bは、例えば、半導体基板10内のp型ウェル20の表面からAs、P等のn型不純物イオンを注入することにより形成される。
【0041】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<100>軸方向に平行である。なお、<100>軸方向は、[100]軸方向、および[100]軸方向と等価な軸方向を表す。
【0042】
素子分離領域15は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)からなる。
【0043】
ソース・ドレインコンタクト16a、16bは、層間絶縁膜19上にある配線等とソース・ドレイン領域13a、13bを導通するものであり、例えば、W等の金属を用いることができる。
【0044】
ダミーコンタクト17は、絶縁材料からなる素子分離領域15上に形成されており、部材間を導通するコンタクトとしての機能は有していない。ダミーコンタクト17は、ソース・ドレインコンタクト16a、16bと同じ材料を用いて、ソース・ドレインコンタクト16a、16bと同じ工程で同時に形成することができる。
【0045】
引張応力膜21は、例えば、プラズマCVD装置を用いて形成した窒化シリコン膜からなる。プラズマCVD装置の運転条件により、窒化シリコン膜をチャネル領域14a、14bに半導体基板10に平行な方向の引張応力を与えるような膜質に形成することができる。例えば、プラズマCVD装置のRF電力等を適宜設定することで、窒化シリコン膜の組成Si(0<x<1、y=1−x)を設定し、チャネル領域14a、14bに引張応力を与えるような膜質に形成する。また、コンタクト形成時のエッチングストップ膜として用いることができる。
【0046】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<100>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14aを内側に圧縮する方向に加わると、チャネル領域14aにおける電荷の移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0047】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向は、半導体基板10の<100>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0048】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3におけるチャネル領域14a、14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14a、14bを外側に引っ張る応力が主に働く。そのため、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおける電荷移動度は低下する。
【0049】
ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13a、またはチャネル領域14aと隣接する領域付近に、引張応力膜21を貫いて形成されるため、チャネル領域14aに加わる応力を緩和する。
【0050】
図4中の応力ベクトルF11、およびF21は、それぞれp型MISFET領域2において引張応力膜21により発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF10、およびF20は、それぞれダミーコンタクト17が形成されない場合に発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0051】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0052】
ダミーコンタクト17は、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に平行、および垂直な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF11、およびF21の大きさは、それぞれ応力ベクトルF10、およびF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルF、およびFは、それぞれダミーコンタクト17が形成されない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0053】
なお、ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13aまたはチャネル領域14aと隣接する領域付近に形成されるものであれば、図4において示す位置や数に限られない。例えば、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13aおよびチャネル領域14aとチャネル方向と垂直な方向に隣接する領域付近にのみ形成されるものであってもよい。
【0054】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態によれば、引張応力膜21によりp型MISFET領域2におけるチャネル領域14aに加わる引張応力をダミーコンタクト17により緩和し、電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0055】
また、第2の実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域2のチャネル領域14a、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bに、引張応力を加える応力膜を適用する場合について説明したが、圧縮応力を加える応力膜を適用する構成であってもよい。この場合は、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおける電荷の移動度が向上し、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度が低下するため、n型MISFET領域3のチャネル領域14b周辺にダミーコンタクト17を形成し、電荷移動度の低下を緩和する。
【0056】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態は、p型MISFET領域およびn型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向が<110>軸方向に平行である点において、第2の実施の形態と異なる。なお、第2の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0057】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。
【0058】
この半導体装置1は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3を有する。p型MISFET領域2とn型MISFET領域3は、素子分離領域15により電気的に分離されている。また、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3において、引張応力膜21が半導体基板10の表面を覆っている。なお、半導体装置1の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図は、図5に示す第2の実施の形態に係る半導体装置1の断面図と同様である。
【0059】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16a、ソース・ドレイン領域13a周辺の素子分離領域15上にはダミーコンタクト17が形成される。
【0060】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16bが形成される。
【0061】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行である。
【0062】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力がチャネル領域14を内側に圧縮する方向に加わると、電荷の移動度が向上する。一方、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14を外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0063】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0064】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3におけるチャネル領域14a、14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14a、14bを外側に引っ張る応力が主に働く。そのため、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に垂直な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に平行な方向の電荷移動度は低下する。
【0065】
ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13aとチャネル方向に平行な方向に隣接する領域付近に、応力の発生源である引張応力膜21を貫いて形成されるため、チャネル方向に平行な方向の応力を緩和する。
【0066】
図6中の応力ベクトルF11、およびFは、それぞれp型MISFET領域2において引張応力膜21により発生するチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF10は、ダミーコンタクト17が形成されない場合に発生するチャネル方向に平行な応力を表す。
【0067】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0068】
ダミーコンタクト17は、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に平行な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF11の大きさは、応力ベクトルF10よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルFは、ダミーコンタクト17が形成されない場合にp型MISFET領域2において発生するチャネル領域14aのチャネル方向に垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。また、応力ベクトルF、およびFは、それぞれダミーコンタクト17が形成されない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0069】
なお、ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13aとチャネル方向に平行な方向に隣接する領域付近に形成されるものであれば、図6において示す位置や数に限られない。
【0070】
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態によれば、引張応力膜21によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わる、チャネル方向に平行な方向の応力をダミーコンタクト17により緩和し、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に垂直な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0071】
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態は、p型MISFET領域およびn型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向が<110>軸方向に平行であり、p型MISFET領域に圧縮応力膜、n型MISFET領域に引張応力膜が形成される点において、第2の実施の形態と異なる。なお、第2の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0072】
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。また、図8は、図7の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0073】
この半導体装置1は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3を有する。p型MISFET領域2とn型MISFET領域3は、素子分離領域15により電気的に分離されて、p型MISFET領域2における半導体基板10の表面は圧縮応力膜18、n型MISFET領域3における半導体基板10の表面は引張応力膜21に覆われている。
【0074】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16a、ソース・ドレイン領域13a周辺の素子分離領域15上にはダミーコンタクト17が形成される。
【0075】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16bが形成される。
【0076】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行である。
【0077】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力がチャネル領域14aを内側に圧縮する方向に加わると、電荷の移動度が向上する。一方、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14aを外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0078】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0079】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2のチャネル領域14aに、圧縮応力膜18により応力を加えるため、チャネル領域14aを内側に圧縮する応力が主に働く。また、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるn型MISFET領域3のチャネル領域14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14bを外側に引っ張る応力が主に働く。
【0080】
そのため、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に平行な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に垂直な方向の電荷移動度は低下する。
【0081】
ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13a、またはチャネル領域14aとチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に、応力の発生源である引張応力膜21を貫いて形成されるため、チャネル方向に垂直な方向の応力を緩和する。
【0082】
図7中の応力ベクトルF、およびF21は、それぞれp型MISFET領域2において圧縮応力膜18により発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF20は、ダミーコンタクト17が形成されない場合に発生するチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0083】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0084】
ダミーコンタクト17は、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に垂直な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF21の大きさは、応力ベクトルF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルFは、ダミーコンタクト17が形成されない場合にp型MISFET領域2において発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力と、ほとんど大きさが変わらない。また、応力ベクトルF、およびFは、それぞれダミーコンタクト17が形成されない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0085】
なお、ダミーコンタクト17は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13a、またはチャネル領域14aとチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成されるものであれば、図7において示す位置や数に限られない。
【0086】
(第4の実施の形態の効果)
この第4の実施の形態によれば、圧縮応力膜18によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わる、チャネル方向に垂直な方向の応力をダミーコンタクト17により緩和し、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に平行な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0087】
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施の形態は、ダミーコンタクトの代わりに応力膜除去部が形成される点において第1の実施の形態と異なる。なお、材料や他の部分の構成等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0088】
図9は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置1の基板表面を示す上面図である。また、図10は、図9の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図、図11は、図9の鎖線B−B'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0089】
この半導体装置1は、半導体基板10のp型MISFET領域2に形成されたn型ウェル11、ソース・ドレイン領域13、およびゲート構造12と、p型MISFET領域2を周辺の素子領域から電気的に分離する素子分離領域15と、ソース・ドレイン領域13、ゲート構造12、および素子分離領域15を覆う、応力膜除去部22を有する圧縮応力膜18と、ソース・ドレイン領域13上に形成されたソース・ドレインコンタクト16と、を有して概略構成される。
【0090】
ソース・ドレイン領域13の間には、チャネル領域14がある。本実施の形態においては、チャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行である。
【0091】
本実施の形態のように、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14のチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行である場合は、チャネル方向に平行な方向の応力がチャネル領域14を内側に圧縮する方向に加わると、電荷移動度が向上する。一方、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14を外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0092】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2のチャネル領域14に、圧縮応力膜18により応力を加えるため、チャネル領域14を内側に圧縮する応力が主に働き、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度は低下する。
【0093】
応力膜除去部22は、リソグラフィ法等を用いて圧縮応力膜18に形成された空孔であり、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13、またはチャネル領域14とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成される。応力膜除去部22においては、応力の発生源である圧縮応力膜18が除去されているため、チャネル方向に垂直な方向の応力が緩和される。
【0094】
図9中の応力ベクトルF、およびF21は、それぞれ圧縮応力膜18により発生するチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF20は、応力膜除去部22が形成されない場合に発生するチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0095】
応力膜除去部22はチャネル方向に垂直な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF21の大きさは、応力ベクトルF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルFは、応力膜除去部22が形成されない場合に発生するチャネル方向に平行な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0096】
なお、応力膜除去部22は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13またはチャネル領域14とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成されるものであれば、図9、図10、および図11において示す位置や数に限られない。
【0097】
(第5の実施の形態の効果)
この第5の実施の形態によれば、圧縮応力膜18によりp型MISFET領域2のチャネル領域14に加わる、チャネル方向に垂直な方向の応力を応力膜除去部22により緩和し、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0098】
また、第5の実施の形態においては、チャネル領域14のチャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2に、圧縮応力を加える応力膜を適用する場合について説明したが、実際はこれに限られず、応力膜による応力の方向がチャネル領域14における電荷移動度を低下させる方向である領域に応力膜除去部22を形成する構成であればよい。
【0099】
具体的には、例えば、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2におけるチャネル領域14に、引張応力を加える応力膜を適用する場合は、主にチャネル領域14を外側に引っ張る応力が働き、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度は低下するため、応力膜除去部22を、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13およびチャネル領域14とチャネル方向と平行な方向に隣接する領域付近に形成し、チャネル方向に平行な方向の応力を緩和する。
【0100】
〔第6の実施の形態〕
本発明の第6の実施の形態は、半導体装置がp型MISFET領域とn型MISFET領域を有する点において第5の実施の形態と異なる。p型MISFET領域およびn型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向は<100>軸方向に平行であり、チャネル領域は、引張応力膜により外側に引っ張られる応力を受けている。なお、第5の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0101】
図12は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。また、図13は、図12の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0102】
この半導体装置1は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3を有する。p型MISFET領域2とn型MISFET領域3は、素子分離領域15により電気的に分離されいる。また、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3において、引張応力膜21が半導体基板10の表面を覆っている。
【0103】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16a、ソース・ドレイン領域13a周辺の素子分離領域15上には応力膜除去部22が形成される。
【0104】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16bが形成される。
【0105】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<100>軸方向に平行である。
【0106】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<100>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14aを内側に圧縮する方向に加わると、チャネル領域14aにおける電荷の移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0107】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向は、半導体基板10の<100>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0108】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14a、14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14a、14bを外側に引っ張る応力が主に働く。そのため、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおける電荷移動度は低下する。
【0109】
応力膜除去部22は、リソグラフィ法等を用いて引張応力膜21に形成された空孔であり、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13a、またはチャネル領域14aと隣接する領域付近に形成される。応力膜除去部22においては、応力の発生源である引張応力膜21が除去されているため、チャネル領域14aに加えられる引張応力が緩和される。
【0110】
図12中の応力ベクトルF11、およびF21は、それぞれp型MISFET領域2において引張応力膜21により発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF10、およびF20は、それぞれ応力膜除去部22が形成されない場合に発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0111】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0112】
応力膜除去部22は、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に平行、および垂直な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF11、およびF21の大きさは、それぞれ応力ベクトルF10、およびF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルF、およびFは、それぞれ応力膜除去部22が形成されない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0113】
なお、応力膜除去部22は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13aまたはチャネル領域14aと隣接する領域付近に形成されるものであれば、図12、および図13において示す位置や数に限られない。例えば、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13aおよびチャネル領域14aとチャネル方向と垂直な方向に隣接する領域付近にのみ形成されるものであってもよい。
【0114】
(第6の実施の形態の効果)
この第6の実施の形態によれば、引張応力膜21によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わる引張応力を応力膜除去部22により緩和し、電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0115】
また、第6の実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3に、引張応力を加える応力膜を適用する場合について説明したが、圧縮応力を加える応力膜を適用する構成であってもよい。この場合は、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおける電荷の移動度が向上し、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度が低下するため、n型MISFET領域3のチャネル領域14b周辺に応力膜除去部22を形成し、電荷移動度の低下を緩和する。
【0116】
〔第7の実施の形態〕
本発明の第7の実施の形態は、p型MISFET領域およびn型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向が<110>軸方向に平行である点において、第6の実施の形態と異なる。なお、第6の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0117】
図14は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。
【0118】
この半導体装置1は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3を有する。p型MISFET領域2とn型MISFET領域3は、素子分離領域15により電気的に分離されている。また、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3において、引張応力膜21が半導体基板10の表面を覆っている。なお、半導体装置1の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図は、図5に示す第2の実施の形態に係る半導体装置1の断面図と同様である。
【0119】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16a、ソース・ドレイン領域13a周辺の素子分離領域15上には応力膜除去部22が形成される。
【0120】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16bが形成される。
【0121】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行である。
【0122】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力がチャネル領域14を内側に圧縮する方向に加わると、電荷の移動度が向上する。一方、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14を外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0123】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0124】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14a、14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14a、14bを外側に引っ張る応力が主に働く。そのため、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に垂直な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に平行な方向の電荷移動度は低下する。
【0125】
応力膜除去部22は、リソグラフィ法等を用いて引張応力膜21に形成された空孔であり、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13aとチャネル方向に平行な方向に隣接する領域付近に形成される。応力膜除去部22においては、応力の発生源である引張応力膜21が除去されているため、チャネル方向に平行な方向の応力が緩和される。
【0126】
図14中の応力ベクトルF11、およびFは、それぞれp型MISFET領域2において引張応力膜21により発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF10は、応力膜除去部22が形成されない場合に発生するチャネル方向に平行な応力を表す。
【0127】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0128】
応力膜除去部22は、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に平行な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF11の大きさは、応力ベクトルF10よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルFは、応力膜除去部22が形成されない場合にp型MISFET領域2において発生するチャネル領域14aのチャネル方向に垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。また、応力ベクトルF、およびFは、それぞれ応力膜除去部22が形成されない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0129】
なお、応力膜除去部22は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13とチャネル方向に平行な方向に隣接する領域付近に形成されるものであれば、図14において示す位置や数に限られない。
【0130】
(第7の実施の形態の効果)
この第7の実施の形態によれば、引張応力膜21によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わる、チャネル方向に平行な方向の応力を応力膜除去部22により緩和し、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に垂直な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0131】
〔第8の実施の形態〕
本発明の第8の実施の形態は、p型MISFET領域およびn型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向が<110>軸方向に平行であり、p型MISFET領域に圧縮応力膜、n型MISFET領域に引張応力膜が形成される点において、第6の実施の形態と異なる。なお、第6の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0132】
図15は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。また、図16は、図15の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0133】
この半導体装置1は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3を有する。p型MISFET領域2とn型MISFET領域3は、素子分離領域15により電気的に分離されて、p型MISFET領域2における半導体基板10の表面は圧縮応力膜18、n型MISFET領域3における半導体基板10の表面は引張応力膜21に覆われている。
【0134】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16a、ソース・ドレイン領域13a周辺の素子分離領域15上には応力膜除去部22が形成される。
【0135】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16bが形成される。
【0136】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行である。
【0137】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力がチャネル領域14aを内側に圧縮する方向に加わると、電荷の移動度が向上する。一方、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14aを外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0138】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0139】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2のチャネル領域14aに、圧縮応力膜18により応力を加えるため、チャネル領域14aを内側に圧縮する応力が主に働く。また、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるn型MISFET領域3のチャネル領域14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14bを外側に引っ張る応力が主に働く。
【0140】
そのため、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に平行な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に垂直な方向の電荷移動度は低下する。
【0141】
応力膜除去部22は、リソグラフィ法等を用いて圧縮応力膜18に形成された空孔であり、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13、またはチャネル領域14とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成される。応力膜除去部22においては、応力の発生源である圧縮応力膜18が除去されているため、チャネル方向に垂直な方向の応力が緩和される。
【0142】
図15中の応力ベクトルF、およびF21は、それぞれp型MISFET領域2において圧縮応力膜18により発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF20は、応力膜除去部22が形成されない場合に発生するチャネル領域14aのチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0143】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0144】
応力膜除去部22は、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に垂直な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF21の大きさは、応力ベクトルF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルFは、応力膜除去部22が形成されない場合にp型MISFET領域2において発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力と、ほとんど大きさが変わらない。また、応力ベクトルF、およびFは、それぞれ応力膜除去部22が形成されない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0145】
なお、応力膜除去部22は、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13a、またはチャネル領域14aとチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成されるものであれば、図15において示す位置や数に限られない。
【0146】
(第8の実施の形態の効果)
この第8の実施の形態によれば、圧縮応力膜18によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わる、チャネル方向に垂直な方向の応力を応力膜除去部22により緩和し、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に平行な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0147】
〔第9の実施の形態〕
本発明の第9の実施の形態は、ダミーコンタクトの代わりにウェルコンタクトが形成される点において第1の実施の形態と異なる。なお、材料や他の部分の構成等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0148】
図17は、本発明の第9の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。また、図18は、図17の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0149】
この半導体装置1は、半導体基板10のp型MISFET領域2に形成されたn型ウェル11、ソース・ドレイン領域13、およびゲート構造12と、p型MISFET領域2を周辺の素子領域から電気的に分離する素子分離領域15と、ソース・ドレイン領域13、ゲート構造12、および素子分離領域15を覆う圧縮応力膜18と、ソース・ドレイン領域13上に形成されたソース・ドレインコンタクト16と、n型ウェル11上に形成されたウェルコンタクト23と、を有して概略構成される。
【0150】
ソース・ドレイン領域13の間には、チャネル領域14がある。本実施の形態においては、チャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行である。
【0151】
ウェルコンタクト23は、層間絶縁膜19上にある配線等とソース・ドレイン領域13を導通するものであり、ソース・ドレインコンタクト16と同じ材料を用いて、ソース・ドレインコンタクト16と同じ工程で同時に形成することができる。
【0152】
本実施の形態のように、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行である場合は、チャネル方向に平行な方向の応力がチャネル領域14を内側に圧縮する方向に加わると、電荷移動度が向上する。一方、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14を外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0153】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2のチャネル領域14に、圧縮応力膜18により応力を加えるため、チャネル領域14を内側に圧縮する応力が主に働き、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度は低下する。
【0154】
ウェルコンタクト23は、n型ウェル11上の、ソース・ドレイン領域13およびチャネル領域14とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成される。ウェルコンタクト23は、応力の発生源である圧縮応力膜18を貫いて形成されているため、チャネル方向に垂直な方向の応力が緩和される。
【0155】
図17中の応力ベクトルF、およびF21は、それぞれ圧縮応力膜18により発生するチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF20は、ウェルコンタクト23が形成されない場合に発生するチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0156】
ウェルコンタクト23はチャネル方向に垂直な方向の応力を緩和するため、ウェルコンタクト23の周辺における応力ベクトルF21の大きさは、応力ベクトルF20よりも小さくなっている。また、応力ベクトルFは、応力膜除去部22が形成されない場合に発生するチャネル方向に平行な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0157】
なお、ウェルコンタクト23は、n型ウェル11上の、ソース・ドレイン領域13、またはチャネル領域14とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成されるものであれば、図17、および図18において示す位置や数に限られない。例えば、図17および図18においては、ソース・ドレイン領域13、またはチャネル領域14とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域の片側にウェルコンタクト23が形成されているが、両側に形成される構成であってもよい。また、ウェルコンタクト23の数が多いほど、効果的に応力を緩和することができる。例えば、隣接するウェルコンタクト23間のスペースを0.07μm以下とすることができる。
【0158】
(第9の実施の形態の効果)
この第9の実施の形態によれば、圧縮応力膜18によりp型MISFET領域2のチャネル領域14に加わる、チャネル方向に垂直な方向のウェルコンタクト23の周辺における応力をウェルコンタクト23により緩和し、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0159】
また、第9の実施の形態においては、チャネル領域14のチャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2に、圧縮応力を加える応力膜を適用する場合について説明したが、実際はこれに限られず、応力膜による応力の方向がチャネル領域14における電荷移動度を低下させる方向である領域にウェルコンタクト23を形成する構成であればよい。
【0160】
具体的には、例えば、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2に、引張応力を加える応力膜を適用する場合は、主にチャネル領域14を外側に引っ張る応力が働き、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度は低下するため、ウェルコンタクト23を、素子分離領域15上の、ソース・ドレイン領域13およびチャネル領域14とチャネル方向と平行な方向に隣接する領域付近に形成し、チャネル方向に平行な方向の応力を緩和する。
【0161】
〔第10の実施の形態〕
本発明の第10の実施の形態は、半導体装置がp型MISFET領域とn型MISFET領域を有する点において第9の実施の形態と異なる。p型MISFET領域およびn型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向は<100>軸方向に平行であり、チャネル領域は、引張応力膜により外側に引っ張られる応力を受けている。なお、第7の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0162】
図19は、本発明の第10の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。また、図20は、図19の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0163】
この半導体装置1は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3を有する。p型MISFET領域2とn型MISFET領域3は、素子分離領域15により電気的に分離されいる。また、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3において、引張応力膜21が半導体基板10の表面を覆っている。
【0164】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16a、n型ウェル11上にはウェルコンタクト23aが形成される。
【0165】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16b、p型ウェル20上にはウェルコンタクト23bが形成される。
【0166】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<100>軸方向に平行である。
【0167】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<100>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14aを内側に圧縮する方向に加わると、チャネル領域14aにおける電荷の移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0168】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向は、半導体基板10の<100>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0169】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14a、14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14a、14bを外側に引っ張る応力が主に働く。そのため、n型MISFET領域3のチャネル領域14bの電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域3のチャネル領域14aの電荷移動度は低下する。
【0170】
ウェルコンタクト23aは、n型ウェル11上の、例えば、ソース・ドレイン領域13a、またはチャネル領域14aとチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成される。また、ウェルコンタクト23bは、p型ウェル20上の、例えば、ソース・ドレイン領域13b、またはチャネル領域14bとチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成される。ウェルコンタクト23a、23bは、応力の発生源である圧縮応力膜18を貫いて形成される。
【0171】
ここで、n型ウェル11上のウェルコンタクト23aは多く、p型ウェル20上のウェルコンタクト23bは少なく形成されるため、チャネル領域14aへ加わる応力は大きく緩和され、チャネル領域14bへ加わる応力はあまり影響を受けない。また、チャネル領域14bへ加わる応力の緩和を少なくするために、ウェルコンタクト23bをなるべくチャネル領域14bから離れた位置に形成してもよい。
【0172】
図19中の応力ベクトルF、およびF21は、それぞれp型MISFET領域2において圧縮応力膜18により発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF20は、ウェルコンタクト23aのコンタクト数が少ない場合に発生するチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0173】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0174】
ウェルコンタクト23aは、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に垂直な方向の応力を緩和するため、ウェルコンタクト23a周辺における応力ベクトルF21の大きさは、応力ベクトルF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルFは、ウェルコンタクト23aのコンタクト数が少ない場合にp型MISFET領域2において発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力と、ほとんど大きさが変わらない。また、応力ベクトルF、およびFは、それぞれウェルコンタクト23aのコンタクト数が少ない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0175】
なお、ウェルコンタクト23a、23bは、n型ウェル11上のウェルコンタクト23aは多く、p型ウェル20上のウェルコンタクト23bは少なく形成されるものであれば、図19、および図20において示す位置や数に限られない。例えば、隣接するウェルコンタクト23a間のスペースを0.07μm以下、隣接するウェルコンタクト23b間のスペースを0.20μm以上とすることができる。
【0176】
(第10の実施の形態の効果)
この第10の実施の形態によれば、引張応力膜21によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わるウェルコンタクト23a周辺における引張応力をウェルコンタクト23aにより緩和し、電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0177】
また、第10の実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3に、引張応力を加える応力膜を適用する場合について説明したが、圧縮応力を加える応力膜を適用する構成であってもよい。この場合は、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおける電荷の移動度が向上し、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度が低下するため、n型ウェル11上のウェルコンタクト23aは少なく、p型ウェル20上のウェルコンタクト23bは多く形成し、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の低下を緩和する。
【0178】
また、第3の実施の形態のように、p型MISFET領域2およびn型MISFET領域3のチャネル方向が<110>軸方向に平行であり、引張応力膜21によりチャネル領域14a、14bに応力を加える場合は、n型ウェル11上の、ソース・ドレイン領域13aとチャネル方向に平行な方向に隣接する領域付近にウェルコンタクト23aを多く形成する。それにより、引張応力膜21によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わる、チャネル方向に平行な方向の応力を緩和し、チャネル方向に平行な方向の電荷移動度の低下を緩和する。
【0179】
〔第11の実施の形態〕
本発明の第11の実施の形態は、p型MISFET領域およびn型MISFET領域におけるチャネル領域のチャネル方向が<110>軸方向に平行であり、p型MISFET領域に圧縮応力膜、n型MISFET領域に引張応力膜が形成される点において、第10の実施の形態と異なる。なお、第10の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0180】
図21は、本発明の第11の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。また、図22は、図21の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0181】
この半導体装置1は、p型MISFET領域2とn型MISFET領域3を有する。p型MISFET領域2とn型MISFET領域3は、素子分離領域15により電気的に分離されて、p型MISFET領域2における半導体基板10の表面は圧縮応力膜18、n型MISFET領域3における半導体基板10の表面は引張応力膜21に覆われている。
【0182】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16a、n型ウェル11上にはウェルコンタクト23aが形成される。
【0183】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16b、p型ウェル20上にはウェルコンタクト23bが形成される。
【0184】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<110>軸方向に平行である。
【0185】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力がチャネル領域14aを内側に圧縮する方向に加わると、電荷の移動度が向上する。一方、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14aを外側に引っ張る方向に加わると、電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0186】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向が、半導体基板10の<110>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0187】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるp型MISFET領域2のチャネル領域14aに、圧縮応力膜18により応力を加えるため、チャネル領域14aを内側に圧縮する応力が主に働く。また、チャネル方向が半導体基板10の<110>軸方向に平行であるn型MISFET領域3のチャネル領域14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14bを外側に引っ張る応力が主に働く。
【0188】
そのため、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に平行な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に垂直な方向の電荷移動度は低下する。
【0189】
ウェルコンタクト23aは、n型ウェル11上の、ソース・ドレイン領域13a、またはチャネル領域14aとチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成される。また、ウェルコンタクト23bは、p型ウェル20上の、例えば、ソース・ドレイン領域13b、またはチャネル領域14bとチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成される。ウェルコンタクト23a、23bは、応力の発生源である圧縮応力膜18を貫いて形成される。
【0190】
ここで、n型ウェル11上のウェルコンタクト23aは多く、p型ウェル20上のウェルコンタクト23bは少なく形成されるため、チャネル領域14aへ加わる応力は大きく緩和され、チャネル領域14bへ加わる応力はあまり影響を受けない。また、チャネル領域14bへ加わる応力の緩和を少なくするために、ウェルコンタクト23bをなるべくチャネル領域14bから離れた位置に形成してもよい。
【0191】
図21中の応力ベクトルF、およびF21は、それぞれp型MISFET領域2において圧縮応力膜18により発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF20は、ウェルコンタクト23aのコンタクト数が少ない場合に発生するチャネル方向に垂直な応力を表す。
【0192】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0193】
ウェルコンタクト23aは、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に垂直な方向の応力を緩和するため、ウェルコンタクト23a周辺における応力ベクトルF21の大きさは、応力ベクトルF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルFは、ウェルコンタクト23aのコンタクト数が少ない場合にp型MISFET領域2において発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力と、ほとんど大きさが変わらない。また、応力ベクトルF、およびFは、それぞれウェルコンタクト23aのコンタクト数が少ない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0194】
なお、ウェルコンタクト23aは、ソース・ドレイン領域13a、またはチャネル領域14aとチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成され、かつ、ウェルコンタクト23bよりも多く形成されるものであれば、図21、および図22において示す位置や数に限られない。また、ウェルコンタクト23bは、p型ウェル20上の如何なる位置に形成されてもよい。
【0195】
(第11の実施の形態の効果)
この第11の実施の形態によれば、圧縮応力膜18によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わる、チャネル方向に垂直な方向の応力をウェルコンタクト23aにより緩和し、チャネル方向に垂直な方向の電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおけるチャネル方向に平行な方向の電荷移動度、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0196】
〔第12の実施の形態〕
本発明の第12の実施の形態は、ダミーコンタクトを形成する代わりにソース・ドレインコンタクトの数を増やすという点において第2の実施の形態と異なる。なお、材料や他の部分の構成等、第2の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0197】
図23は、本発明の第12の実施の形態に係る半導体装置の基板表面を示す上面図である。なお、半導体装置1の鎖線A−A'における切断面を図中の矢印の方向に見た断面図は、図5に示す第2の実施の形態に係る半導体装置1の断面図と同様である。
【0198】
p型MISFET領域2には、n型ウェル11、ソース・ドレイン領域13a、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13a上にはソース・ドレインコンタクト16aが形成される。
【0199】
n型MISFET領域3には、p型ウェル20、ソース・ドレイン領域13b、およびゲート構造12が形成される。また、ソース・ドレイン領域13b上にはソース・ドレインコンタクト16bが形成される。
【0200】
ソース・ドレイン領域13a、13bの間には、それぞれチャネル領域14a、14bがある。本実施の形態においては、チャネル領域14a、14bのチャネル方向は、半導体基板10の<100>軸方向に平行である。
【0201】
本実施の形態においては、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向が、半導体基板10の<100>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14aを内側に圧縮する方向に加わると、チャネル領域14aにおける電荷の移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0202】
一方、n型MISFET領域3におけるチャネル領域14bのチャネル方向が、半導体基板10の<100>軸方向に平行であるため、チャネル方向に平行な方向の応力、および、チャネル方向に垂直な方向の応力がチャネル領域14bを外側に引っ張る方向に加わると、チャネル領域14bにおける電荷移動度が向上する。しかし、これらの電荷移動度が向上する方向と反対の方向に応力が加えられた場合は、電荷移動度が低下する。
【0203】
本実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3のチャネル領域14a、14bに、引張応力膜21により応力を加えるため、チャネル領域14a、14bを外側に引っ張る応力が主に働く。そのため、n型MISFET領域3のチャネル領域14bの電荷移動度を向上させることができる。しかし、反対に、p型MISFET領域2のチャネル領域14aの電荷移動度は低下する。
【0204】
ソース・ドレインコンタクト16a、16bは、応力の発生源である引張応力膜21を貫いて形成される。ここで、ソース・ドレイン領域13a上のソース・ドレインコンタクト16aは多く、ソース・ドレイン領域13b上のソース・ドレインコンタクト16bは少なく形成されるため、チャネル領域14aへ加わる応力は大きく緩和され、チャネル領域14bへ加わる応力はあまり影響を受けない。
【0205】
図23中の応力ベクトルF11、およびF21は、それぞれp型MISFET領域2において引張応力膜21により発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、およびチャネル方向に垂直な応力を表す。また、応力ベクトルF10、およびF20は、それぞれ応力膜除去部22が形成されない場合に発生するチャネル領域14aのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0206】
応力ベクトルF、およびFは、それぞれn型MISFET領域3において引張応力膜21により発生するチャネル領域14bのチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力を表す。
【0207】
ソース・ドレイン領域13aは、p型MISFET領域2におけるチャネル領域14aのチャネル方向に平行、および垂直な方向の応力を緩和するため、応力ベクトルF11、およびF21の大きさは、それぞれ応力ベクトルF10、およびF20よりも小さくなっている。なお、応力ベクトルF、およびFは、それぞれソース・ドレイン領域13aが形成されない場合にn型MISFET領域3において発生するチャネル領域14bチャネル方向に平行な応力、および垂直な応力と、ほとんど大きさが変わらない。
【0208】
なお、ソース・ドレインコンタクト16a、16bは、ソース・ドレイン領域13a上のソース・ドレインコンタクト16aは多く、ソース・ドレイン領域13b上のソース・ドレインコンタクト16bは少なく形成されるものであれば、図23において示す位置や数に限られない。例えば、隣接するソース・ドレインコンタクト16a間のスペースを0.07μm以下、隣接するソース・ドレインコンタクト16b間のスペースを0.20μm以上とすることができる。
【0209】
(第12の実施の形態の効果)
この第12の実施の形態によれば、引張応力膜21によりp型MISFET領域2のチャネル領域14aに加わる引張応力をソース・ドレインコンタクト16aにより緩和し、電荷移動度の低下を緩和することができる。それにより、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の向上の効果を効率的に得ることができる。
【0210】
また、第12の実施の形態においては、チャネル方向が半導体基板10の<100>軸方向に平行であるp型MISFET領域2、およびn型MISFET領域3に、引張応力を加える応力膜を適用する場合について説明したが、圧縮応力を加える応力膜を適用する構成であってもよい。この場合は、p型MISFET領域2のチャネル領域14aにおける電荷の移動度が向上し、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度が低下するため、ソース・ドレイン領域13a上のソース・ドレインコンタクト16aは少なく、ソース・ドレイン領域13b上のソース・ドレインコンタクト16bは多く形成し、n型MISFET領域3のチャネル領域14bにおける電荷移動度の低下を緩和する。
【0211】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、各MISFETのチャネル方向と半導体基板の方向の関係は、上記各実施の形態において示したものに限られない。また、上記各実施の形態における半導体基板の面方位、および軸方向は、記載された数値と厳密に一致しなくてもよく、例えば、±10°以下のずれは、本発明の適用範囲に含めるものとする。
【0212】
また、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0213】
また、本発明は以下の構成を有する半導体装置の製造方法においても特徴を有する。
(1) 前記半導体基板は、{100}面を主面とし、
前記MISFETは、そのチャネル方向が前記半導体基板の<110>軸方向に平行であるp型MISFETであり、
前記応力膜は、前記チャネル領域に圧縮応力を加え、
前記応力緩和構造は、前記ソース・ドレイン領域とチャネル方向に垂直な方向に隣接する領域付近に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
(2) 前記半導体基板は、{100}面を主面とし、
前記MISFETは、複数形成され、複数の前記MISFETは、チャネル方向が前記半導体基板の<100>軸方向に平行であるp型MISFETおよびn型MISFETを含み、
前記応力膜は、前記p型MISFETおよび前記n型MISFETの前記チャネル領域に引張応力を加え、
前記応力緩和構造は、前記p型MISFETの前記ソース・ドレイン領域にチャネル方向に垂直に隣接する領域付近に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
(3) 前記半導体基板は、{100}面を主面とし、
前記MISFETは、複数形成され、複数の前記MISFETは、チャネル方向が前記半導体基板の<100>軸方向に平行であるp型MISFETおよびn型MISFETを含み、
前記応力膜は、前記p型MISFETおよび前記n型MISFETの前記チャネル領域に圧縮応力を加え、
前記応力緩和構造は、前記p型MISFETの前記ソース・ドレイン領域にに隣接する領域付近に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
(4) 前記半導体基板は、{100}面を主面とし、
前記MISFETは、複数形成され、複数の前記MISFETは、チャネル方向が前記半導体基板の<110>軸方向に平行であるp型MISFETおよびn型MISFETを含み、
前記応力膜は、前記p型MISFETの前記チャネル領域に圧縮応力、前記n型MISFETの前記チャネル領域に引張応力を加え、
前記応力緩和構造は、前記p型MISFETの前記ソース・ドレイン領域にチャネル方向に垂直に隣接する領域付近に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
(5) 前記半導体基板は、{100}面を主面とし、
前記MISFETは、複数形成され、複数の前記MISFETは、チャネル方向が前記半導体基板の<110>軸方向に平行であるp型MISFETおよびn型MISFETを含み、
前記応力膜は、前記p型MISFETおよび前記n型MISFETの前記チャネル領域に引張応力を加え、
前記応力緩和構造は、前記p型MISFETの前記ソース・ドレイン領域にチャネル方向に平行に隣接する領域付近に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図15】本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図16】本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図17】本発明の第9の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図18】本発明の第9の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図19】本発明の第10の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図20】本発明の第10の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図21】本発明の第11の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【図22】本発明の第11の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図23】本発明の第12の実施の形態に係る半導体装置の上面図である。
【符号の説明】
【0215】
1 半導体装置
2 p型MISFET領域
3 n型MISFET領域
10 半導体基板
11 n型ウェル
12 ゲート構造
13、13a、13b ソース・ドレイン領域
14、14a、14b チャネル領域
15 素子分離領域
16、16a、16b ソース・ドレインコンタクト
17 ダミーコンタクト
18 圧縮応力膜
19 層間絶縁膜
20 p型ウェル
21 引張応力膜
22 応力膜除去部
23、23a、23b ウェルコンタクト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、素子分離領域によって分離されたMISFETと、
前記半導体基板上に形成され、前記MISFETのチャネル領域に応力を加えて、前記チャネル領域における電荷移動度を変化させる応力膜と、
前記応力の前記電荷移動度を向上させる方向の成分を維持したまま、前記応力の前記電荷移動度を低下させる方向の成分を緩和する応力緩和構造と、
を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記応力緩和構造は、前記素子分離領域上に前記応力膜を貫いて形成されたダミーコンタクトであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記応力緩和構造は、前記応力膜に形成された空孔であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記MISFETは、前記半導体基板内に形成されたウェル上に形成され、
前記応力緩和手段は、前記ウェル上に前記応力膜を貫いて形成されたウェルコンタクトであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記応力緩和構造は、前記ソース・ドレイン領域上に前記応力膜を貫いて形成されたソース・ドレインコンタクトであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−160037(P2008−160037A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350247(P2006−350247)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】