説明

半導体装置

【課題】リーク電流値が変動する場合に効果的に電流消費を削減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】第1の電源線と第2の電源線との間にトランジスタで構成されるスイッチが配置され、第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置は、第2の電源線と第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、遷移時間計測器により測定された時間間隔に応じた第1の値を記憶する記憶素子と、記憶素子に記憶された第1の値と半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、比較器の比較結果が示す第1の値と第2の値との大小関係に応じてスイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、一般に半導体装置に関し、詳しくは、回路への電源供給を部分的に遮断する機能を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器の待ち受け状態等では、ある程度長い期間(例えば1ミリ秒以上)、機器内部の半導体回路の一部を使用しない状況が発生する。そのような状況において、不使用回路部分への電源供給をスイッチにより遮断し、半導体回路のトランジスタのリーク電流を削減する機能を設けることができる。このリーク電流遮断機能により、携帯機器の電池の持続時間を長くすることができる。
【0003】
図1は、リーク電流遮断機能を備えた半導体回路の構成の一例を示す図である。図1に示す半導体回路は、電源制御ユニット10及び被制御回路11を含む。電源制御ユニット10により、被制御回路11に対する電源の供給又は遮断を制御する。電源制御ユニット10は、スイッチ制御回路12、スイッチ13、及びスイッチ14を含む。被制御回路11は、例えば直列接続されたNMOSトランジスタ15とPMOSトランジスタ16とを含む。NMOSトランジスタ15とPMOSトランジスタ16とから構成されるCMOS回路では、理想的には、信号状態が変化しない定常状態では電流が流れない。しかしNMOSトランジスタ15とPMOSトランジスタ16とが完全にはOFFしないために、微少なリーク電流が流れることが知られている。
【0004】
リーク電流を遮断すべき対象である被制御回路11の高電位側の電源VDDVと外部の高電位側の電源VDDとの間にスイッチ13が挿入されている。また被制御回路11の低電位側の電源VSSVと外部の低電位側の電源VSSとの間にスイッチ14が挿入されている。ある程度長い期間(例えば1ミリ秒以上)、被制御回路11を使用しない状況が発生すると、スイッチ制御回路12はスイッチ13及び14を遮断状態にして、被制御回路11に対する電源を遮断する。所定の時間が経過すると、スイッチ制御回路12はスイッチ13及び14を導通状態にして、被制御回路11に電源を供給する。
【0005】
スイッチ13及び14としては一般にスイッチトランジスタが使用される。そのようなスイッチトランジスタのゲートにはゲート容量である寄生容量Cgが存在する。この寄生容量Cgを以下においてCTL容量と呼ぶ。
【0006】
スイッチ13及び14が切断される前は、被制御回路11に所定のリーク電流が流れている。スイッチ13及び14を切断する瞬間、CTL容量を充電するために大きな電流が流れると共にスイッチ制御回路12の寄生容量を充電するために若干の電流が流れる。その後、被制御回路11のVDDVとVSSVとの間に存在する寄生容量(以降被制御回路11の寄生容量と呼ぶ)がリーク電流の経路を介して放電して、VDDVとVSSVの電位差はゼロに近づいていく。所定の時間後にスイッチ13及び14を導通するが、その瞬間、被制御回路11の寄生容量を充電するために大きな電流が流れると共にスイッチ制御回路12の寄生容量を充電するに若干の電流が流れる。
【0007】
このようにリーク電流による電流消費を削減する目的のために電源の供給又は遮断を制御すると、スイッチ遮断・導通動作のために電流を消費することになる。このスイッチ動作による電流消費量を考慮した場合、余り頻繁にスイッチ動作を繰り返すと、逆に全体的な電流消費量が増えてしまう結果となる。一旦電源を遮断すると、電源を遮断している期間が長いほど、電源遮断による電流削減効果は大きくなる。逆に遮断期間が短いと、スイッチ動作のための電流消費量に比較して電源遮断による電流消費削減効果が小さくなり、電源遮断により逆に全体的な電流消費量が増大してしまう場合がある。
【0008】
このように電源遮断期間が短いと電源遮断により逆にエネルギー損失が発生してしまうという問題を解決する方法として、プロセッサのタスクを単位としてスイッチを制御する技術が知られている。プロセッサのタスクは数ms以上の単位で構成されており、その時間以上の期間電源遮断するように構成することで、電源遮断によるエネルギー損失を避けることができる。
【0009】
一般に半導体回路においては、製造時のばらつきや動作時の温度に応じて、リーク電流値が大きく変動する。リーク電流値が大きいときには、電源遮断による電流消費削減効果が大きいため、遮断期間が短くても電源遮断により全体的な電流消費量は削減されると考えられる。逆にリーク電流値が小さいときには、遮断期間が短いと、スイッチ動作のための電流消費量に比較して電源遮断による電流消費削減効果が小さい。従って遮断期間が短い場合には、電源遮断により全体的な電流消費量が増大してしまうと考えられる。但しリーク電流が小さい場合でも、遮断期間がある程度長くなると、電源遮断により全体的な電流消費量が減少する状態が得られる筈である。
【0010】
このように、電源を遮断したほうがエネルギーを得する最小の時間(臨界時間)は、リーク電流が大きい場合とリーク電流が小さい場合とで異なると考えられる。リーク電流が大きい場合のほうが臨界時間は短い。上記の、プロセッサのタスクを単位としてスイッチを制御する方法では、リーク電流に依らず一律にタスクの時間単位で電源を遮断する。この際、リーク電流が小さい場合(臨界時間が長い場合)を想定して、エネルギーの損失を回避できる条件を満たすように電源遮断動作を設計することになる。しかしこの方法では、製造ばらつきや動作時の温度変動によりリーク電流が大きくなった場合、電源遮断すればエネルギーを削減できるにもかかわらず電源遮断しないという無駄な状況が発生する。
【特許文献1】特開2004−021574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上を鑑みると、リーク電流値が変動する場合に効果的に電流消費を削減できる半導体装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の電源線と第2の電源線との間にトランジスタで構成されるスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置は、該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた第1の値を記憶する記憶素子と、該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路を含む。
【0013】
また第1の電源線と第2の電源線との間にトランジスタで構成されるスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置は、該第1の電源線及び該第2の電源線の何れか一方と該第3の電源線との間に設けられたオフ状態のトランジスタを流れるリーク電流の量を計測するリーク電流検出器と、該リーク電流検出器が計測した該リーク電流の量に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す第1の値を出力する時間変換器と、該時間変換器が出力する該第1の値を記憶する記憶素子と、該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路を含む。
【0014】
また第1の電源線と第2の電源線との間にトランジスタで構成されるスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置は、該半導体装置が設けられる基板の温度を計測する基板温度検出器と、該基板温度検出器が計測した該温度に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す第1の値を出力する時間変換器と、該時間変換器が出力する該第1の値を記憶する記憶素子と、該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路を含む。
【0015】
また第1の電源線と第2の電源線との間にトランジスタで構成されるスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置は、該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた値を該半導体装置の外部に送出する信号経路と、不揮発性の記憶素子と、該記憶素子に記憶された第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路を含む。
【0016】
また第1の電源線と第2の電源線との間にトランジスタで構成されるスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置は、該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する電源制御ユニットを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施例によれば、電源遮断してから電源線の電位が所定の電位に降下するまでの経過時間、オフ状態のトランジスタを流れるリーク電流の量、或いは基板の温度を計測し、その計測値に基づいて臨界時間を求める。この臨界時間に基づいて、電源供給経路に設けられたスイッチを遮断する動作の実行/非実行を制御する。これにより、リーク電流値が変動する場合に効果的に電流消費を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、好適な実施例を添付の図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図2は、リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第1実施例を示す図である。図2の半導体装置20は、第1の電源線21、第2の電源線22、第3の電源線23、スイッチ24、被制御回路25、電位検出器26、遷移時間計測器27、臨界時間変換器28、臨界時間記憶素子29、比較器30、電源制御マイコン31、遮断時間記憶素子32、AND回路33、タイマ34、及びドライバ35を含む。第1の電源線21には電源電圧VDDが供給される。第1の電源線21と第2の電源線22との間には、PMOSトランジスタTR1乃至TRnよりなるスイッチ24が配置されている。第2の電源線22の電位はVDDVである。第2の電源線22と第3の電源線23との間には被制御回路25が配置されている。第3の電源線23はグランド電圧VSSに接続されている。第2の電源線22と第3の電源線23との間には寄生容量39が存在する。
【0020】
電位検出器26は、第2の電源線22と第3の電源線23との間の電位差を測定する。遷移時間計測器27は、電位検出器26により測定される電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する。具体的には、タイマ34の出力信号CTLPが1(HIGHレベル)になると、これに応じて遷移時間計測器27が時間計測動作を開始する。タイマ出力信号CTLPの1への変化に応じてドライバ35の出力である制御信号CTLが1に変化して、スイッチ24が導通状態から遮断状態となる。スイッチ24が遮断されると電源電圧VDDが第2の電源線22に供給されなくなり、寄生容量39に蓄積されていた電荷が徐々に放電されて、第2の電源線22の電圧VDDVが徐々に下がっていく。スイッチ24遮断前の第2の電源線22の電圧VDDVを初期値として、電圧VDDVがこの初期値から下がっていき所定値に到達すると、遷移時間計測器27は時間計測動作を停止する。遷移時間計測器27は、時間計測動作を停止したときの時間に応じた時間計測値TDを出力する。なおクロック信号CLKが遷移時間計測器27に供給されており、遷移時間計測器27による時間計測動作はクロック信号CLKに基づいて行なわれる。
【0021】
臨界時間変換器28は、遷移時間計測器27により測定された時間間隔(時間計測値TD)に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す値(臨界時間値TC)を出力する。この所定の関係式については後ほど詳細に説明する。臨界時間変換器28が出力する臨界時間値TCは臨界時間記憶素子29に格納される。この臨界時間値TCは、遷移時間計測器27により測定された時間間隔に応じた値であり、臨界時間変換器28による変換により被制御回路25の臨界時間を示す値となっている。ここで被制御回路25の臨界時間とは、被制御回路25への電源の供給を続けるよりも電源を遮断したほうがエネルギーを得するような最短の電源遮断期間である。即ち、臨界時間よりも電源遮断期間が短くなると、半導体装置20での全体での電流消費量が電源遮断しない場合よりも増大してしまう。逆に臨界時間よりも電源遮断期間が長ければ、半導体装置20での全体での電流消費量が電源遮断しない場合よりも削減される。
【0022】
遮断時間記憶素子32は、被制御回路25の電源遮断期間を指定する値を記憶する。この値は、電源制御マイコン31により指定される値であり、電源制御マイコン31が予定している被制御回路25の電源遮断期間を示す。比較器30は、臨界時間記憶素子29に記憶された値(臨界時間値)と遮断時間記憶素子32に記憶された値(被制御回路25の電源遮断予定期間を指定する値)とを比較する。比較器30は比較結果を示す信号CENをAND回路33の一方の入力に供給する。AND回路33の他方の入力には、電源制御マイコン31からのスタンバイ信号STDが供給される。スタンバイ信号STDは、電源制御マイコン31が被制御回路25の電源供給を遮断しようとする時に1(HIGH)になる信号である。
【0023】
比較結果信号CENが示す臨界時間値と電源遮断予定期間値との大小関係に応じて、AND回路33は、スイッチ24を遮断する動作の実行/非実行を選択する。臨界時間よりも電源遮断予定期間が長い場合には、比較結果信号CENが1となり、AND回路33の出力は1(HIGH)となる。AND回路33のHIGH出力に応答して、タイマ34が動作を開始する。即ちタイマ34は内部の計時動作を開始すると同時に、タイマ出力信号CTLPを0から1に変化させる。タイマ34にはクロック信号CLKが供給されており、タイマ34による計時動作はクロック信号CLKに基づいて行なわれる。タイマ出力信号CTLPが1になると制御信号CTLがHIGHとなり、スイッチ24が遮断される。タイマ34は、遮断時間記憶素子32に記憶された値(被制御回路25の電源遮断予定期間を指定する値)が示す時間が計時動作開始時から経過すると、タイマ出力信号CTLPを1から0に変化させる。タイマ出力信号CTLPが0になると制御信号CTLがLOWとなり、スイッチ24が導通される。従って、被制御回路25への電源供給は、電源遮断予定期間に等しい時間だけ遮断されることになる。
【0024】
臨界時間よりも電源遮断予定期間が短い場合には、比較結果信号CENが0となり、AND回路33の出力は0となる。AND回路33の出力が0の場合、タイマ34は動作を開始することなく、タイマ出力信号CTLPは0のままである。従って、被制御回路25への電源は遮断されない。
【0025】
図3は、半導体装置20による臨界時間測定動作を示すフローチャートである。ステップS1で、電源制御マイコン31上のソフトで臨界時間計測プログラムを実行する。この臨界時間計測プログラムは、被制御回路25の本来の目的に従った使用が開始される前に実行される。例えば、半導体装置20の電源投入時等、被制御回路25の通常動作が開始される前の段階に、予め臨界時間の計測を行なっておく。
【0026】
ステップS2で、電源制御マイコン31が所定の切断時間(電源遮断予定期間)を示すデータTSTDを出力して、臨界時間記憶素子29に記憶させる。臨界時間記憶素子29に記憶された電源遮断予定期間は、臨界時間記憶素子29からデータTOFFとして出力される。初期状態において臨界時間記憶素子29の出力データTCCは0となっている。従って、TCC<TOFFとなり、比較器30の出力である比較結果CENは1となる。
【0027】
ステップS3で、電源制御マイコン31が信号MENLを1に設定し、電位検出器26等を有効にする(活性化する)。ステップS4で、電源制御マイコン31がスタンバイ信号STDを1(HIGH)に設定する。比較結果CENが1であるので、AND回路33の出力STDPは1となる。これによりタイマ34の計時動作が開始し、タイマ出力信号CTLPが1になる。
【0028】
タイマ出力信号CTLPが1になったことに応じて、制御信号CTLが1となり、スイッチ24のPMOSトランジスタTR1乃至TRnは非導通状態となる。同時に、タイマ出力信号CTLPが1になったことに応じて、遷移時間計測器27のリセットが解除され、遷移時間計測器27による時間計測が開始される(ステップS5)。
【0029】
ステップS6で、電位検出器26が第2の電源線22の電圧VDDVを検出し、検出電圧を示す値DVを出力する。ステップS7で、検出電圧値DVが所定値以下になったら、遷移時間計測器27による時間計測動作を停止し、検出電圧値DVが所定値以下になるまでに経過した時間を示す時間計測値TDを出力する。臨界時間変換器28は、時間計測値TDを臨界時間値TCに変換して出力する。臨界時間記憶素子29は、臨界時間変換器28が出力する臨界時間値TCを新たな臨界時間値として格納する。臨界時間記憶素子29が格納した新たな臨界時間値は、データTCCとして出力される。臨界時間記憶素子29は、信号MENDを0から1に変化させることにより、測定終了を電源制御マイコン31に通知する。
【0030】
ステップS8で、電源制御マイコン31は信号MEMLを0に設定して、電位検出器26等の動作を停止する。また電源制御マイコン31は、スタンバイ信号STDを1から0に変化させると共に、臨界時間計測プログラムの実行を終了する。ステップS9で、データTSTDが示す電源遮断予定期間が経過すると、タイマ出力信号CTLPが0になり、スイッチ24のPMOSトランジスタTR1乃至TRnは導通状態となる。
【0031】
図4は、半導体装置20の通常動作時の電源制御動作を示すフローチャートである。図4の電源制御動作を実行する前に、既に図3に示す臨界時間測定動作が終了しているものとする。
【0032】
図4のステップS1で、電源制御マイコン31上のソフトで通常動作プログラムを実行中に、被制御回路25の電源を停止する処理が実行される。即ち、通常動作を実行中に、被制御回路25をある程度長い時間使用しない状況が発生したので、消費電流を削減するために被制御回路25への電源供給を停止する命令が実行される。電源停止処理が実行されると、ステップS2に進む。ステップS2で、電源制御マイコン31は電源を停止できる時間(電源遮断予定期間)を示すデータTSTDを出力して、遮断時間記憶素子32に記憶させる。遮断時間記憶素子32に記憶された電源遮断予定期間は、遮断時間記憶素子32からデータTOFFとして出力される。
【0033】
ステップS3で、比較器30によりTCC<TOFFであるか否かが判定される。ステップS3の判定結果がyesの場合、ステップS4で比較結果CENが1になる。ステップS5で、電源制御マイコン31がスタンバイ信号STDを1(HIGH)に設定する。比較結果CENが1であるので、AND回路33の出力STDPは1となる。これによりタイマ34の計時動作が開始し、タイマ出力信号CTLPが1になる。タイマ出力信号CTLPが1になったことに応じて、制御信号CTLが1となり、スイッチ24のPMOSトランジスタTR1乃至TRnは非導通状態となる(ステップS5)。遮断時間記憶素子32の出力データTOFFが示す電源遮断予定期間が経過すると、タイマ出力信号CTLPが0になり、スイッチ24のPMOSトランジスタTR1乃至TRnは導通状態となる(ステップS7)。ステップS8で、電源制御マイコン31はスタンバイ信号STDを0に戻す。その後、処理はステップS1に戻り、電源停止処理の実行を待つ。
【0034】
ステップS3の判定結果がnoの場合、ステップS9で比較結果CENが0になる。ステップS10で、電源制御マイコン31がスタンバイ信号STDを1(HIGH)に設定するが、比較結果CENが0であるので、AND回路33の出力STDPは0のままとなる。その結果、タイマ出力信号CTLP及び制御信号CTLが0のままとなり、スイッチ24のPMOSトランジスタTR1乃至TRnは導通状態を維持する(ステップS11)。その後ステップS8で、電源制御マイコン31はスタンバイ信号STDを0に戻す。その後、処理はステップS1に戻り、電源停止処理の実行を待つ。
【0035】
以下に、遷移時間計測器27による時間計測値に基づいて臨界時間値を求める方法について説明する。図5は、電源遮断時に消費される電流について説明するための図である。図5において(a)は電源遮断時に消費される電流を示す図であり、(b)は電源遮断することなく供給を続けた時に消費される電流を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は被制御回路25に関連して電源VDDから流れ込む電流を示す。図5(a)では、時間0で被制御回路25に対する電源が遮断され、時間Tcで被制御回路25に対する電源供給が再開される。図5(b)では、被制御回路25に対して常時電源が供給されており、リーク電流Ileakが常時流れている。図2に示すように、リーク電流Ileakは、被制御回路25を介して第2の電源線22と第3の電源線23との間に流れるリーク電流である。
【0036】
図5(a)に示す時間0において、図2に示すスイッチ24を遮断するために、スイッチ24を構成するPMOSトランジスタTR1乃至TRnのゲート電圧を上昇させる。ここで、トランジスタTR1乃至TRnのゲートには寄生容量Cg1乃至Cgnのようにゲート容量(以下においてCTL容量と呼ぶ)が存在する。PMOSトランジスタTR1乃至TRnのゲート電圧を上昇させるためには、CTL容量に充電するための大きな電流が流れる。また更に、スイッチ24を遮断するための信号制御のためにAND回路33、タイマ34、ドライバ35等の制御回路内の寄生容量を充電するための電流が流れる。次に図5(a)に示す時間Tcにおいては、スイッチ24を導通するための信号制御のためにAND回路33、タイマ34、ドライバ35等の制御回路内の寄生容量を充電するための電流が流れる。これらのCTL容量及び制御回路の充電電流が電流波形41として示されている。即ち、この電流波形41はスイッチ24の切り替え動作のために流れる電流の波形である。
【0037】
スイッチ24の切り替え動作のために流れる電流以外に、被制御回路25側で流れる電流がある。即ち、図5(a)に示す時間Tcにおいては、第2の電源線22の電圧を上昇させるために、寄生容量39に充電する必要がある。その充電電流が電流波形42として示されている。なお図5(a)に示す時間0から時間Tcの間に、寄生容量39に蓄えられている電荷が被制御回路25を介したリーク電流の経路を介して放電して、VDDVの電圧はゼロに近づいていく。
【0038】
以上を鑑みると、図5(a)に示されるように被制御回路25への電源供給を時間0から時間Tcまでの期間停止した場合に、この期間において電源VDDから半導体装置20に流れ込む電荷量は、上記の電流波形41及び42を時間0から時間Tcまで積分した値となる。
【0039】
Tcが臨界時間であるとすると、図5(a)に示される電流波形41及び42を時間0から時間Tcまで積分した値と、図5(b)に示されるリーク電流Ileakの波形44を時間0から時間Tcまで積分した値とが等しいことになる。即ち、電源遮断した場合に電源VDDから流れ込む電荷量と、電源供給を継続した場合に電源VDDから流れ込む電荷量とが等しくなる。
【0040】
従ってTcが臨界時間である場合、電流波形41の電流をIctl、電流波形42の電流をIvddv、電流波形44の電流をIleakとすると、
【0041】
【数1】

が成り立つ。ここで、CTL容量及び制御回路の充電電流は、スイッチ24の具体的構成とドライバ35等の制御回路の具体的構成とが決まれば、一定の値であると考えることができる。従って、
【0042】
【数2】

となる。
【0043】
また被制御回路25のリーク電流成分の抵抗値、即ち被制御回路25を介してリーク電流が流れるパスの抵抗値をRとすると、
Ileak×R=VDD
と表すことができる。ここで第2の電源線22の電位は図5(a)の時間0においてVDDである。時間0において電源が遮断され、その後、寄生容量39の電荷が上記のリーク電流経路の抵抗Rを介して放電すると考えると、時間0以後の第2の電源線22の電位V(t)は、
【0044】
【数3】

と表すことができる。ここでCは寄生容量39の容量値である。時間0で電源供給を停止した後、時間Tcにおける第2の電源線22の電位は、上の式(3)にt=Tcを代入した値である。時間Tcでスイッチ24が導通され第2の電源線22が電源に接続されると、第2の電源線22の電位V(t)がVDDに回復する。第2の電源線22の電位がVDDに回復した時点の寄生容量39の電荷量はC×VDDである。式(1)の左辺において、Ivddvを時間0から時間Tcまで積分した値は、第2の電源線22の電圧がVDDに回復した時点の寄生容量39の電荷量C×VDDから、スイッチ24が導通する直前(時間Tcとする)における寄生容量39の電荷量(t=Tcにおける式3の値のC倍)を引いた値に等しい。即ち、
【0045】
【数4】

である。なおここでは簡単のため、時間Tcにおいてスイッチ24を導通状態にすると直ちに寄生容量39の充電が完了して第2の電源線22の電位がVDDに回復するとしている。
【0046】
式(2)及び式(4)を式(1)に代入して、
【0047】
【数5】

が得られる。
【0048】
図6は、式(5)の左辺と右辺とを模式的に示した図である。横軸は遮断時間であり縦軸は電荷量を示す。図6において直線51は、リーク電流が大きい場合の式(5)の右辺の値を示し、曲線52は、リーク電流が大きい場合の式(5)の左辺の値を示す。具体的には、直線51は、電源遮断によりリーク電流が無くなることにより得する電荷量を表し、時間と共に直線的に増加する。また曲線52は、電源遮断したときにスイッチング動作及び被制御回路25の充電に必要な電荷量を表し、時間と共に所定値に近づいていく飽和曲線を描く。直線51と曲線52との交点53における遮断時間が、このリーク電流の場合の臨界時間Tcである。
【0049】
図6において直線54は、リーク電流が小さい場合の式(5)の右辺の値を示し、曲線55は、リーク電流が小さい場合の式(5)の左辺の値を示す。直線54と曲線55との交点56における遮断時間が、このリーク電流の場合の臨界時間TCである。図6から分かるように、リーク電流が小さい場合の臨界時間TCは、リーク電流が大きい場合の臨界時間TCよりも長くなる。
【0050】
このようにリーク電流の大きさに応じて変化する臨界時間TCに基づいて、図2に示す半導体装置20の被制御回路25への電源供給/遮断を制御する。即ち、臨界時間よりも電源遮断予定期間が長い場合には、被制御回路25への電源供給は、電源遮断予定期間に等しい時間だけ遮断されることになる。また臨界時間よりも電源遮断予定期間が短い場合には、被制御回路25への電源は遮断されない。このような構成とすることにより、リーク電流値が変動する場合に効果的に電流消費を削減することができる。
【0051】
前述のように図2に示す半導体装置20において、遷移時間計測器27は、電位検出器26により測定される第2の電源線22の電圧が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する。以下に、この遷移時間計測器27により測定された時間計測値TDに基づいて臨界時間値TCを求める方法について説明する。
【0052】
遷移時間計測器27が測定する時間間隔は、電源遮断により第2の電源線22の電圧が初期値VDDから所定値Vrefになるまでの間隔であるとする。このときVrefは、
【0053】
【数6】

として表すことができる。式6を変形してIleakを求めると、
【0054】
【数7】

が得られる。この式7のIleakを式(5)に代入して、
【0055】
【数8】

が得られる。この式(8)を用いて、時間計測値TDから臨界時間値TCを求めることができる。具体的には、与えられた時間計測値TDに基づいて式(8)の左辺及び右辺を数値解析することにより、式(8)を満たすような時間Tcを求めれば、その時間Tcの値が臨界時間TCとなる。
【0056】
図7は、時間計測値TDに基づいて臨界時間値TCを求める臨界時間変換器28の構成の一例を示す図である。図7に示すように、臨界時間変換器28は、不揮発性メモリ28Aを含む。不揮発性メモリ28Aには、複数の異なる時間計測値TDの各々に対して上式(8)を数値解析して得られた臨界時間値TCが格納されている。即ち、不揮発性メモリ28Aには、時間計測値TDと臨界時間値TCとを一対一に対応付けたテーブルが格納されていると考えてよい。入力の時間計測値TDに対して、テーブル中の対応する臨界時間値TCを出力することで、時間計測値TDから臨界時間値TCへの変換を行なうことができる。図7に示すように、時間計測値TDをアドレスとして、各アドレスにその時間計測値に対応する臨界時間値TCを格納することにより上記のテーブルを構成してよい。
【0057】
図8は、遷移時間計測器27の回路構成の一例を示す図である。この例では、電位検出器26からの電位検出信号DVが1ビットの場合を示している。即ちこの場合、検出電位と所定の電位(例えば上記式(6)のVref)との比較を、電位検出器26側で行ない、比較結果を1ビット信号DVとして遷移時間計測器27に供給している。このような構成の代わりに、電位検出器26から検出電位を示すデジタル値としてDVを出力し、このDVと所定の電位に対応するデジタル値との比較を遷移時間計測器27側で行なう構成としてもよい。
【0058】
図8の遷移時間計測器27は、AND回路61、OR回路62、及びカウンタ63を含む。カウンタ63は、複数のフリップフロップ64と複数のインバータ65とを含む。各インバータ65は、対応するフリップフロップ64の出力を入力にフィードバックする経路に挿入される。1つのフリップフロップ64と1つのインバータ65とで、トグルフリップフロップを構成する。AND回路61の出力は、各フリップフロップ64のリセット入力(負論理)に供給される。
【0059】
イネーブル信号EN(図2のMENLに相当)が1の状態でタイマ出力信号CTLPが1になると、AND回路61の出力が1になり、カウンタ63内部のフリップフロップのリセットが解除される。この状態で、OR回路62を介してクロック信号CLKがカウンタ63内部のフリップフロップに供給され、カウンタ63がカウント動作を実行する。電位検出器26の検出する電位が所定の電位になると、1ビット信号DVが0から1になり、OR回路62の出力は1固定となる。即ち、カウンタ63はカウンタ動作を停止し、その時点でのカウント値を保持する。このカウント値が時間計測値TDであり、第2の電源線22の電位が初期値から所定の電位に到達するまでの時間間隔に相当する。
【0060】
図9は、リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第2実施例を示す図である。図9において、図2と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。
【0061】
図9の半導体装置20Aは、複数の回路ブロック70−1乃至70−mを含む。回路ブロック70−1は、図2の電源制御マイコン31を除いた各要素を含む。回路ブロック70−2乃至回路ブロック70−mは全て、回路ブロック70−1と同様の構成である。但し、電源供給/遮断の制御対象である被制御回路25は、各回路ブロック毎に別個の回路である。図9のような構成とすることで、各回路ブロック毎に、リーク電流の大きさに応じて変化する臨界時間TCに基づいて、各回路ブロックの被制御回路25への電源供給/遮断を制御することができる。なお図9の構成例では、各回路ブロックが電位検出器26、遷移時間計測器27、臨界時間変換器28等の制御回路を含む構成としたが、電位検出器26、遷移時間計測器27、及び臨界時間変換器28については一セットだけ設け、各回路ブロックで共有するようにしてよい。この場合、電位検出器26の入力を複数の回路ブロック70−1乃至70−m間で切り替え可能な構成とすればよい。なお臨界時間TCは各回路ブロック毎に異なるので、臨界時間記憶素子29については各回路ブロック毎に独立に設ける必要がある。またスイッチ24及びスイッチ制御のための制御回路(タイマ34等)についても、各回路ブロック毎に別個に設ける。
【0062】
図10は、リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第3実施例を示す図である。図10において、図9と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。
【0063】
図10の半導体装置20Bは、複数の回路ブロック70−1B乃至70−mBを含む。回路ブロック70−2B乃至回路ブロック70−mBは全て、回路ブロック70−1Bと同様の構成である。図10の回路ブロック70−1Bは、図9の回路ブロック70−1と比較して、電位検出器26の代わりに電位検出器26Bが設けられ、臨界時間変換器28が削除されている点が異なる。それ以外の構成は同様である。
【0064】
電位検出器26Bにおいて、時間経過を測定するための所定の電位(式(6)のVref)を適切な電位に設定すれば、遷移時間計測器27の出力である時間計測値TDを臨界時間TCに略等しくすることができる。即ち、式(8)において、Tc=TDとし、式(8)の等号が満足するようなVrefを求めることにより、TDが臨界時間TCに略等しくなるVrefを見つけることができる。電位検出器26B及び遷移時間計測器27により、第2の電源線22の電位が初期値VDDからそのようなVrefに到達するまでの時間を計測すれば、遷移時間計測器27の出力TDが臨界時間TCに略等しくなる。この場合、遷移時間計測器27の出力である時間計測値TD(≒TC)をそのまま臨界時間記憶素子29に格納すればよい。即ちこの場合、臨界時間記憶素子29が記憶する値は、遷移時間計測器27により測定された時間間隔を示す値そのものである。
【0065】
図11は、リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第4実施例を示す図である。図11において、図9と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。
【0066】
図11の半導体装置20Cは、複数の回路ブロック70−1C乃至70−mCを含む。回路ブロック70−2C乃至回路ブロック70−mCは全て、回路ブロック70−1Cと同様の構成である。図11の回路ブロック70−1Cは、図9の回路ブロック70−1と比較して、電位検出器26及び遷移時間計測器27の代わりにリーク電流検出器81が設けられ、更に臨界時間変換器28の代わりに臨界時間変換器28Cが設けられている点が異なる。それ以外の構成は同様である。
【0067】
リーク電流検出器81は、第1の電源線21及び第2の電源線22の何れか一方と第3の電源線23との間に設けられたオフ状態のトランジスタを流れるリーク電流の量を計測する。図11の例では、第1の電源線21と第3の電源線23との間でリーク電流を計測する構成となっているが、第2の電源線22と第3の電源線23との間でリーク電流を計測する構成としてもよい。臨界時間変換器28Cは、リーク電流検出器81が計測したリーク電流の量に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す値を出力する。この出力値が臨界時間TCを示す値である。
【0068】
前述の式(5)を用いて、リーク電流値Ileakから臨界時間値TCを求めることができる。具体的には、与えられたリーク電流値に基づいて式(5)の左辺及び右辺を数値解析することにより、式(5)を満たすような時間Tcを求めれば、その時間Tcの値が臨界時間TCとなる。
【0069】
臨界時間変換器28Cは、図7に示す臨界時間変換器28と同様の構成であってよい。この臨界時間変換器28Cの不揮発性メモリには、複数の異なるリーク電流値Ileakの各々に対して式(5)を数値解析して得られた臨界時間値TCが格納されている。即ち、不揮発性メモリには、リーク電流値Ileakと臨界時間値TCとを一対一に対応付けたテーブルが格納されていると考えてよい。入力のリーク電流値Ileakに対して、テーブル中の対応する臨界時間値TCを出力することで、リーク電流値Ileakから臨界時間値TCへの変換を行なうことができる。図7の場合と同様に、リーク電流値Ileakをアドレスとして、各アドレスにそのリーク電流値に対応する臨界時間値TCを格納することにより上記のテーブルを構成してよい。
【0070】
図12は、リーク電流検出器81の構成の一例を示す図である。図12のリーク電流検出器81は、n個のリーク電流比較器82−1乃至82−nを含む。n個のリーク電流比較器82−1乃至82−nの各々の1ビット出力が纏まって、nビットのリーク電流検出値IL[1:n]を構成する。リーク電流比較器82−1乃至82−nは、第1の電源線21と第3の電源線23との間に設けられる。
【0071】
図13は、リーク電流比較器82−1の構成の一例を示す図である。リーク電流比較器82−1乃至82−nの各々は同様の構成である。図13に示すリーク電流比較器82−1は、PMOSトランジスタ83、NMOSトランジスタ84、PMOSトランジスタ85、NMOSトランジスタ86、及び抵抗87を含む。PMOSトランジスタ83とNMOSトランジスタ84とが直列接続され、またPMOSトランジスタ85とNMOSトランジスタ86とが直列接続される。PMOSトランジスタ83は、そのゲート端及びソース端が第1の電源線21のVDDに接続され、非導通となる電位設定になっている。NMOSトランジスタ84は、そのゲート端及びソース端が抵抗87を介して第3の電源線23のVSSに接続され、非導通となる電位設定になっている。しかしながらPMOSトランジスタ83とNMOSトランジスタ84とは、実際には完全に非導通状態とはならず、リーク電流が流れる。このリーク電流により、抵抗87とNMOSトランジスタ84との結合点の電位が上昇する。
【0072】
直列接続されたPMOSトランジスタ85とNMOSトランジスタ86とは比較器を構成し、上記結合点の電位が所定の値より大きくなると出力ILがLOWになる。結合点の電位が所定の値より小さい場合には出力ILがHIGHになる。出力ILがHIGH/LOWの何れの値となるかは、リーク電流の大きさと抵抗87の抵抗値RLに依存する。リーク電流比較器82−1乃至82−nの各々で、抵抗87の抵抗値RLを異ならせることにより、リーク電流の値をリーク電流検出値IL[1:n]に反映させることが可能となる。即ち、リーク電流検出値ILのnビットのうちの何れがHIGHで何れがLOWであるかを判断することにより、リーク電流の値を特定することができる。
【0073】
図14は、リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第5実施例を示す図である。図14において、図9と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。
【0074】
図14の半導体装置20Dは、複数の回路ブロック70−1D乃至70−mDを含む。回路ブロック70−2D乃至回路ブロック70−mDは全て、回路ブロック70−1Dと同様の構成である。図14の回路ブロック70−1Dは、図9の回路ブロック70−1と比較して、電位検出器26及び遷移時間計測器27の代わりに基板温度検出器91が設けられ、更に臨界時間変換器28の代わりに臨界時間変換器28Dが設けられている点が異なる。それ以外の構成は同様である。
【0075】
基板温度検出器91は、半導体装置20Dが設けられる基板の温度を計測する。臨界時間変換器28は、基板温度検出器91が計測した温度に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す値を出力する。この出力値が臨界時間TCを示す値である。
【0076】
基板温度TSとリーク電流Ileakとの関係は、以下のような指数関数となることが知られている。
【0077】
【数9】

この式(9)を前述の式(5)に代入すれば、
【0078】
【数10】

が得られる。この式(10)を用いて、基板温度TSから臨界時間値TCを求めることができる。具体的には、与えられた基板温度に基づいて式(10)の左辺及び右辺を数値解析することにより、式(10)を満たすような時間Tcを求めれば、その時間Tcの値が臨界時間TCとなる。なお定数αは、実験等により予め求めておけばよい。
【0079】
臨界時間変換器28Dは、図7に示す臨界時間変換器28と同様の構成であってよい。この臨界時間変換器28Dの不揮発性メモリには、複数の異なる基板温度TSの各々に対して式(10)を数値解析して得られた臨界時間値TCが格納されている。即ち、不揮発性メモリには、基板温度TSと臨界時間値TCとを一対一に対応付けたテーブルが格納されていると考えてよい。入力の基板温度TSに対して、テーブル中の対応する臨界時間値TCを出力することで、基板温度TSから臨界時間値TCへの変換を行なうことができる。図7の場合と同様に、基板温度TSをアドレスとして、各アドレスにその基板温度に対応する臨界時間値TCを格納することにより上記のテーブルを構成してよい。
【0080】
図15は、基板温度検出器91の構成の一例を示す図である。図15の基板温度検出器91は、k個の基板温度比較器92−1乃至92−kを含む。k個の基板温度比較器92−1乃至92−kの各々の1ビット出力が纏まって、kビットの基板温度検出値TS[1:k]を構成する。基板温度比較器92−1乃至92−kは、第1の電源線21と第3の電源線23との間に設けられる。
【0081】
図16は、基板温度比較器92−1の構成の一例を示す図である。基板温度比較器92−1乃至92−kの各々は同様の構成である。図16に示す基板温度比較器92−1は、
ディプレッション形のNMOSトランジスタDTr1、NMOSトランジスタTr2及びTr3、PMOSトランジスタTr4及びTr5、NMOSトランジスタTr6及びTr7、ダイオードD1及びD2、抵抗R1乃至R3、及びコンパレータCOM1を含む。ダイオードD1及びD2は基板に形成されており、基板温度に応じてアノードとカソードとの間の印加電圧が変化することにより、温度検出素子として機能する。
【0082】
基板温度が所定の温度より高くなると、電位Vaが電位Vbより低くなり、コンパレータCOM1の出力がLOWとなる。これにより基板温度検出値TSはLOWとなる。また基板温度が所定の温度より低くなると、電位Vaが電位Vbより高くなり、コンパレータCOM1の出力がHIGHとなる。このときこれにより基板温度検出値TSはHIGHとなる。出力TSがHIGH/LOWの何れの値となるかは、基板温度と抵抗R2の抵抗値に依存する。基板温度比較器92−1乃至92−kの各々で、抵抗R2の抵抗値を異ならせることにより、基板温度を基板温度検出値TS[1:k]に反映させることが可能となる。即ち、基板温度検出値TSのkビットのうちの何れがHIGHで何れがLOWであるかを判断することにより、基板温度を特定することができる。
【0083】
図17は、リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第6実施例を示す図である。図17において、図9と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。
【0084】
図17の半導体装置20Eは、複数の回路ブロック70−1E乃至70−mEを含む。回路ブロック70−2E乃至回路ブロック70−mEは全て、回路ブロック70−1Eと同様の構成である。図14の回路ブロック70−1Eは、図9の回路ブロック70−1と比較して、臨界時間変換器28が削除され、更に臨界時間記憶素子29が臨界時間ヒューズ記憶素子95に置き換えられている。また、遷移時間計測器27により測定された時間計測値TD1(測定された時間間隔に応じた値)を半導体装置20Eの外部に送出する信号経路96と、スイッチ24の遮断及び導通動作を制御する信号を半導体装置20Eの外部から受け取る信号経路97が設けられている。また更に、セレクタ98が設けられている。それ以外の構成は、図9の構成と同様である。図17の半導体装置20Eは、外部の試験装置に接続して、試験装置により制御することにより臨界時間測定が行なわれる。
【0085】
図18は、図17の半導体装置における臨界時間設定動作を示すフローチャートである。このフローチャートは回路ブロック70−1Eの動作を示すが、他の回路ブロック70−2E乃至70−mEの動作についても同様である。
【0086】
まずステップS1で、試験装置から、TSW1=1、TM1=1を入力する。即ち、外部試験装置から信号経路97を介してTSW1=1、TM1=1をセレクタ98に入力する。セレクタ98は、TM1が0のときにタイマ34からの出力を選択し、TM1が1のときに外部からの入力信号TSW1を選択する。
【0087】
ステップS2で、TSW1=1により、スイッチ24のトランジスタTR1乃至TRnを非導通状態にし、同時に遷移時間計測器27の計測を開始する。即ち、遷移時間計測器27のリセットが解除され、遷移時間計測器27による時間計測が開始される。ステップS3で、電位検出器26が第2の電源線22の電圧VDDVを検出し、検出電圧を示す値DVを出力する。ステップS4で、検出電圧値DVが所定値以下になったら、遷移時間計測器27による時間計測動作を停止し、検出電圧値DVが所定値以下になるまでに経過した時間を示す時間計測値TD1を出力する。
【0088】
ステップS5で、外部の試験装置が半導体装置20EからTD1を受け取り、このTD1に基づいて臨界時間を計算する。時間計測値TDから臨界時間値TCへの変換は前述の通りである。ステップS6で、臨界時間ヒューズ記憶素子95のヒューズを選択的に切断することにより、計算された臨界時間値TCを臨界時間ヒューズ記憶素子95に書き込む。臨界時間ヒューズ記憶素子95には、複数のヒューズが設けられており、幾つかのヒューズを選択的に切断することにより所望の値を記憶する記憶素子として機能する。
【0089】
半導体装置20Eの通常動作時には、臨界時間ヒューズ記憶素子95の出力と遮断時間記憶素子32の出力とが比較され、その比較結果に応じてタイマ34が制御される。通常動作時には、TM1は0に固定されており、セレクタ98は常にタイマ34の出力を選択する。
【0090】
図19は、リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第7実施例を示す図である。図19において、図9と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。
【0091】
図19の半導体装置20Fは、複数の回路ブロック70−1F乃至70−mFを含む。回路ブロック70−2F乃至回路ブロック70−mFは全て、回路ブロック70−1Fと同様の構成である。図14の回路ブロック70−1Fは、図9の回路ブロック70−1と比較して、臨界時間変換器28、臨界時間記憶素子29、比較器30、AND回路33が削除されている。遷移時間計測器27により測定された時間計測値TD(測定された時間間隔に応じた値)は、電源制御マイコン31に供給される。電源制御マイコン31は電源制御ユニットとして機能して、遷移時間計測器27により測定された時間計測値TDに応じた値と被制御回路25の電源遮断期間を指定する値との大小関係に応じてスイッチ24を遮断する動作の実行/非実行を選択する。即ち、電源制御マイコン31は、電源遮断予定期間が臨界時間よりも長ければタイマ34の計時動作を開始させて被制御回路25への電源を遮断し、電源遮断予定期間が臨界時間よりも短ければタイマ34の計時動作を開始することなく被制御回路25への電源供給を維持する。なお時間計測値TDから臨界時間値TCへの変換は電源制御マイコン31内部で計算される。
【0092】
図20は、リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第8実施例を示す図である。図20において、図2と同一の構成要素は同一の番号で参照し、その説明は省略する。
【0093】
図20の半導体装置20Gには、図2の半導体装置20と比較して、スイッチ101と、グランド電位VSSに接続される第4の電源線102と、インバータ103とが新たに設けられている。その他の構成については、図2の半導体装置20と同様である。スイッチ101は、第3の電源線23と第4の電源線102との間に配置される。スイッチ101はNMOSトランジスタTRs1乃至TRsnを含み、これらトランジスタのゲートにはタイマ34の出力信号CTLPの反転信号がインバータ103から印加される。これにより、タイマ34の出力信号に応じてスイッチ101の導通/遮断が制御される。即ち、比較器30の比較結果が示す臨界時間値と電源遮断予定期間値との大小関係に応じて、第3の電源線23と第4の電源線102との間に配置されるスイッチ101を遮断する動作の実行/非実行が選択される。
【0094】
図20のようにグランド電位VSS側にもスイッチを設ける構成を、これまで説明した各実施例に対して適用してよい。このように電源電位VDD側に加え更にグランド電位VSS側でも電源遮断することにより、リーク電流を更に削減することができる。
【0095】
図21は、臨界時間計測動作を半導体装置の通常動作時に実行する手順を示すフローチャートである。前述の図3に示すフローチャートによる臨界時間計測動作は、被制御回路25の本来の目的に従った使用が開始される前に実行される。即ち、被制御回路25の通常動作前に実行される。これに対して、図21に示すフローチャートは被制御回路25の本来の目的に従った使用が開始された後に実行され、被制御回路25の動作が中断されている間に臨界時間計測動作を実行する。なおこのフローチャートの動作は、例えば図2或いは図9に示す半導体装置20において実行してよい。
【0096】
図21のステップS1で、被制御回路25は使われるか否かを判断する。被制御回路25が使われない場合には、ステップS2に進む。被制御回路25が使われる場合には、ステップS1の判断を繰り返す。この判断は電源制御マイコン31により行い、被制御回路25が現在動作してなく、且つ当面の間動作させる予定がない場合に、以下に示す臨界時間計測動作を実行する。
【0097】
ステップS2で、電源制御マイコン31上のソフトで被制御回路25の電源遮断を実行する。即ち、被制御回路25を電源遮断して臨界時間を計測するプログラムを実行開始する。
【0098】
ステップS3で、電源制御マイコン31が所定の切断時間(電源遮断予定期間)を示すデータTSTDを出力して、遮断時間記憶素子32に記憶させる。遮断時間記憶素子32に記憶された電源遮断予定期間は、遮断時間記憶素子32からデータTOFFとして出力される。ここで電源制御マイコン31が出力するデータTSTDが示す期間の長さは、少なくともこの期間中は被制御回路25の動作を必要としないような期間である。
【0099】
ステップS4で、電源制御マイコン31が信号MENLを1に設定し、電位検出器26等を有効にする(活性化する)。ステップS5で、電源制御マイコン31がスタンバイ信号STDを1(HIGH)に設定する。臨界時間記憶素子29に現在記憶されている臨界時間値よりも遮断時間記憶素子32に記憶されている電源遮断予定期間の方が長ければ、タイマ出力CTLPが1になり、被制御回路25への電源は遮断され、遷移時間計測器27による時間計測が開始される。
【0100】
ステップS6で、TOFF時間経過後、電源制御マイコン31はスタンバイ信号STDを0にする。ステップS7で、電源制御マイコン31は、CTLPが1になり計測が開始され、且つ遷移時間計測器27が時間計測値TDを出力したか否かを判断する。これは、本実施例の場合、被制御回路25の本来の目的に従った使用が開始された後、被制御回路25の動作が中断されている合間に臨界時間値の計測を行なうからである。このような場合、被制御回路25に対して電源遮断していた期間が短く、第2の電源線22の電位が所定の電位まで降下する前に電源遮断期間が終わってしまう可能性がある。従って、電源制御マイコン31は、時間計測が実際に開始され且つ終了したことを確認する。
【0101】
ステップS7の判断結果がnoの場合、ステップS8で、電源制御マイコン31は信号MEMLを0に設定して、電位検出器26等の動作を停止する。また判断結果がyesの場合、ステップS9で、電源制御マイコン31は、臨界時間変換器28の出力する臨界時間値TCの臨界時間記憶素子29への書込みを許可する。これにより臨界時間記憶素子29の臨界時間値TCが新たな値に更新される。ステップS9の後はステップS8で、信号MEMLを0に設定して、電位検出器26等の動作を停止する。
【0102】
上記のようにして、被制御回路25の本来の目的に従った使用が開始された後に、被制御回路25の動作が中断している合間に臨界時間計測動作を実行することができる。なお上記の臨界時間計測動作については、電位検出に基づいて臨界時間を求める実施例を例にとって説明したが、他の実施例にも同様に適用可能である。即ち、被制御回路25の動作中断中に臨界時間計測を行なう動作は、リーク電流検出に基づいて臨界時間を求める実施例や、基板温度検出に基づいて臨界時間を求める実施例に対しても同様に適用することができる。また図19に示す半導体装置20Fのように、臨界時間記憶素子29の出力が電源制御マイコン31に供給される構成に対しても同様に適用することができる。
【0103】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で様々な変形が可能である。
【0104】
なお本発明は以下の内容を含むものである。
(付記1)
第1の電源線と第2の電源線との間にスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、
該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、
該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた第1の値を記憶する記憶素子と、
該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、
該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記2)
該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す値を出力する変換器を更に含み、該記憶素子が記憶する該第1の値は該変換器が出力する値であることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
該記憶素子が記憶する該第1の値は該遷移時間計測器により測定された該時間間隔を示す値そのものであることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記4)
第1の電源線と第2の電源線との間にスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該第1の電源線及び該第2の電源線の何れか一方と該第3の電源線との間に設けられ、前記半導体回路がオフ状態において流れるリーク電流の量を計測するリーク電流検出器と、
該リーク電流検出器が計測した該リーク電流の量に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す第1の値を出力する時間変換器と、
該時間変換器が出力する該第1の値を記憶する記憶素子と、
該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、
該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記5)
第1の電源線と第2の電源線との間にスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該半導体装置が設けられる基板の温度を計測する基板温度検出器と、
該基板温度検出器が計測した該温度に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す第1の値を出力する時間変換器と、
該時間変換器が出力する該第1の値を記憶する記憶素子と、
該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、
該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記6)
第1の電源線と第2の電源線との間にスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、
該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、
該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた値を出力する信号経路と、
不揮発性の記憶素子と、
該記憶素子に記憶された第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、
該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記7)
第1の電源線と第2の電源線との間に第1スイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、
該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、
該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値との大小関係に応じて該第1スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する電源制御ユニット
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記8)
該第3の電源線と第4の電源線との間に配置される第2スイッチを更に含み、該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて、該第3の電源線と第4の電源線との間に配置される該第2スイッチを遮断する動作の実行/非実行が選択されることを特徴とする付記1乃至7の何れか一項に記載の半導体装置。
(付記9)
該半導体回路の使用が開始される前に該第1の値を求める動作を実行することを特徴とする付記1、2、3、4、5、7の何れか一項に記載の半導体装置。
(付記10)
該半導体回路の使用が開始された後に該半導体回路の動作が中断されている間に該第1の値を求める動作を実行することを特徴とする付記1、2、3、4、5、7の何れか一項に記載の半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】リーク電流遮断機能を備えた半導体回路の構成の一例を示す図である。
【図2】リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第1実施例を示す図である。
【図3】半導体装置による臨界時間測定動作を示すフローチャートである。
【図4】半導体装置の通常動作時の電源制御動作を示すフローチャートである。
【図5】電源遮断時に消費される電流について説明するための図である。
【図6】臨界時間を求める式の左辺と右辺とを模式的に示した図である。
【図7】時間計測値に基づいて臨界時間値を求める臨界時間変換器の構成の一例を示す図である。
【図8】遷移時間計測器の回路構成の一例を示す図である。
【図9】リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第2実施例を示す図である。
【図10】リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第3実施例を示す図である。
【図11】リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第4実施例を示す図である。
【図12】リーク電流検出器の構成の一例を示す図である。
【図13】リーク電流比較器の構成の一例を示す図である。
【図14】リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第5実施例を示す図である。
【図15】基板温度検出器の構成の一例を示す図である。
【図16】基板温度比較器の構成の一例を示す図である。
【図17】リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第6実施例を示す図である。
【図18】図17の半導体装置における臨界時間設定動作を示すフローチャートである。
【図19】リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第7実施例を示す図である。
【図20】リーク電流値に応じた電流削減機能を有した半導体装置の第8実施例を示す図である。
【図21】臨界時間計測動作を半導体装置の通常動作時に実行する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
20 半導体装置
21 第1の電源線
22 第2の電源線
23 第3の電源線
24 スイッチ
25 被制御回路
26 電位検出器
27 遷移時間計測器
28 臨界時間変換器
29 臨界時間記憶素子
30 比較器
31 電源制御マイコン
32 遮断時間記憶素子
33 AND回路
34 タイマ
35 ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源線と第2の電源線との間にスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、
該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、
該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた第1の値を記憶する記憶素子と、
該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、
該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1の電源線と第2の電源線との間にスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該第1の電源線及び該第2の電源線の何れか一方と該第3の電源線との間に設けられ、前記半導体回路がオフ状態において流れるリーク電流の量を計測するリーク電流検出器と、
該リーク電流検出器が計測した該リーク電流の量に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す第1の値を出力する時間変換器と、
該時間変換器が出力する該第1の値を記憶する記憶素子と、
該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、
該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
第1の電源線と第2の電源線との間にスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該半導体装置が設けられる基板の温度を計測する基板温度検出器と、
該基板温度検出器が計測した該温度に基づいて所定の関係式に従い得られる時間間隔を示す第1の値を出力する時間変換器と、
該時間変換器が出力する該第1の値を記憶する記憶素子と、
該記憶素子に記憶された該第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、
該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
第1の電源線と第2の電源線との間にスイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、
該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、
該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた値を出力する信号経路と、
不揮発性の記憶素子と、
該記憶素子に記憶された第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値とを比較する比較器と、
該比較器の比較結果が示す該第1の値と該第2の値との大小関係に応じて該スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する制御回路
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
第1の電源線と第2の電源線との間に第1スイッチが配置され、該第2の電源線と第3の電源線との間に半導体回路が配置されている半導体装置であって、
該第2の電源線と該第3の電源線と間の電位差を測定する電位検出器と、
該電位差が初期値から所定値になるまでの時間間隔を測定する遷移時間計測器と、
該遷移時間計測器により測定された該時間間隔に応じた第1の値と該半導体回路の電源遮断期間を指定する第2の値との大小関係に応じて該第1スイッチを遮断する動作の実行/非実行を選択する電源制御ユニット
を含むことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−231360(P2009−231360A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71960(P2008−71960)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】