説明

半導体記憶装置

【課題】参照信号と比較して記憶情報を読み出す際に、誤読み出しを低減する。
【解決手段】半導体記憶装置は、抵抗値の変化によって“0”データ及び“1”データを記憶する可変抵抗素子21と、可変抵抗素子21のデータを判定するための参照電流を生成し、かつ“0”データを記憶する可変抵抗素子のアドミッタンスと、“1”データを記憶する可変抵抗素子のアドミッタンスとの中間のアドミッタンスを有する電流生成回路30と、可変抵抗素子21に接続された第1の入力端子と、電流生成回路30に接続された第2の入力端子とを有し、かつ第1及び第2の入力端子の電流を比較するセンスアンプ17とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に係り、例えばメモリセルに可変抵抗素子を用い、この可変抵抗素子を流れる電流によって情報の書き込みを行う半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記憶素子として可変抵抗素子を利用した半導体メモリ、例えばMRAM(magnetic random access memory)が注目され開発が行われている。MRAMは、磁化方向により抵抗値が変化する磁気抵抗(magnetoresistive)効果を利用したMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子を記憶素子として用いている。特に、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistive)効果を利用したTMR素子は大きな抵抗変化を得られる。
【0003】
TMR素子は、2つの強磁性層で1つの非磁性層(絶縁層)を挟んだ構造を持つ。一方の強磁性層(ピンド層)の磁化方向は固定されているが、他方の強磁性層(フリー層)の磁化方向は固定されておらず、ピンド層の磁化方向に対してフリー層の磁化方向は平行もしくは反平行になっている。TMR効果とは、これら2つの磁化方向の相対的な関係(平行/反平行)により、TMR素子の抵抗が変化する現象である。具体的には、フリー層の磁化方向がピンド層に対して平行の場合に絶縁層を通して電流が流れやすくなり(抵抗が小さくなり)、反平行な場合に電流が流れにくくなる(抵抗が大きくなる)。2つの磁化方向の相対的な関係を“0”もしくは“1”に対応させれば、TMR素子に書き込まれたデータを抵抗に応じて読み取ることのできる記憶素子を作ることができる。
【0004】
TMR素子では、フリー層とピンド層との磁化方向が平行か反平行かによって、抵抗値Rmin、Rmax(Rmax>Rmin)を持つ。MRAMにおける読み出し動作は、読み出し対象のメモリセルに読み出し電流を流す、もしくは、読み出し電圧を印加することによりTMR素子の抵抗値に対応する電圧の変化もしくは電流の変化を参照信号と比較して読み出さねばならない。参照信号を生成するには、外部回路から作成する方式と、あらかじめ“0”/“1”データの書き込まれた参照セルから作成する方式とがあるが、外部回路から作成する方式では、余分なスペースと電力を消費し、またTMR素子の抵抗に存在する温度特性に追随するような特性を再現しなければならないという課題を有する。
【0005】
したがって、参照信号を利用してMRAMの読み出しを行うとしても、TMR素子を利用した形で参照信号を生成することが望ましい。この参照信号を生成するには、TMR素子の中間抵抗Rmid=(Rmax+Rmin)/2を利用する方式が開示されている(特許文献1)。しかしながら、この方式では、参照電流は、抵抗値Rminを流れる電流と抵抗値Rmaxを流れる電流との中間にはならず、結果としてセンスマージンを大きく失ってしまう。
【0006】
また、いわゆるスピン注入方式を用いたMRAMでは、読み出し動作も書き込み動作と同じようにTMR素子に電流を流すので、読み出し時に誤って書き込みが行われてしまう(リードディスターブ)可能性が高くなる。特に、読み出し時に参照セルから参照電流を作り出す方式では、この参照セルが読み出し対象であるセルに比較して頻繁にアクセスされるため、リードディスターブを受ける確率が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2005−501370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、参照信号と比較して記憶情報を読み出す際に、誤読み出しを低減することが可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る半導体記憶装置は、抵抗値の変化によって“0”データ及び“1”データを記憶する可変抵抗素子と、前記可変抵抗素子のデータを判定するための参照電流を生成し、かつ“0”データを記憶する可変抵抗素子のアドミッタンスと、“1”データを記憶する可変抵抗素子のアドミッタンスとの中間のアドミッタンスを有する電流生成回路と、前記可変抵抗素子に接続された第1の入力端子と、前記電流生成回路に接続された第2の入力端子とを有し、かつ前記第1及び第2の入力端子の電流を比較するセンスアンプとを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、参照信号と比較して記憶情報を読み出す際に、誤読み出しを低減することが可能な半導体記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るMRAMの構成を示すブロック図。
【図2】1個のメモリユニットBLUの構成を示す回路図。
【図3】MTJ素子21の構成を示す概略図。
【図4】MTJ素子21の低抵抗状態及び高抵抗状態を示す図。
【図5】中間アドミッタンスYmidを生成する回路図。
【図6】参照電流生成回路30に流れる電流パスを示す回路図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る1個のメモリユニットBLUの構成を示す回路図。
【図8】参照電流生成回路30に流れる電流パスを示す回路図。
【図9】ReRAMに用いられる可変抵抗素子21の構成を示す概略図。
【図10】PCRAMに用いられる可変抵抗素子21の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0013】
(第1の実施形態)
抵抗変化型メモリとしては、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)、抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM:Resistive Random Access Memory)、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM:Phase-Change Random Access Memory)など様々な種類のメモリを使用することが可能である。本実施形態では、抵抗変化型メモリとしてMRAMを一例に挙げて説明する。MRAMは、磁気抵抗(magnetoresistive)効果を利用するMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子を記憶素子として備え、このMTJ素子の磁化配列により情報を記憶する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るMRAMの構成を示すブロック図である。本実施形態のMRAMは、MTJ素子に直接に書き込み電流を供給し、この書き込み電流の向きによってMTJ素子に情報を記録する、いわゆるスピン注入型のMRAMである。
【0015】
MRAMは、2個のメモリセルアレイ11−1及び11−2を備えている。各メモリセルアレイ11は、ビット線を単位とする複数のメモリユニット(BLユニット)BLUを備えている。図1では、簡略化のために、メモリセルアレイ11−1が4個のメモリユニットBLU<0:3>を備え、メモリセルアレイ11−1が4個のメモリユニットBLU<4:7>を備えた構成を例示している。各メモリユニットBLUは、複数のメモリセルを備えている。
【0016】
各メモリセルアレイ11には、それぞれがカラム方向に延在するように、複数のビット線BLR、及び複数のビット線BLLが配設されている。ビット線BLR及びBLLはそれぞれ、メモリユニットBLUと同じ数分用意され、各メモリユニットBLUにビット線BLR及びBLLが1本ずつ配設される。
【0017】
各メモリセルアレイ11には、それぞれがロウ方向に延在するように、(N+1)本のワード線WL<0:N>、及び4本のダミーワード線DWL<0:4>が配設されている。Nは、0又は1以上の自然数である。
【0018】
ロウデコーダ12には、ワード線WL<0:N>、及びダミーワード線DWL<0:4>が接続されている。メモリセルアレイ11−1用のロウデコーダを「12−1」、メモリセルアレイ11−2用のロウデコーダを「12−2」として参照符号を付している。ロウデコーダ12は、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作時に、外部から供給されるアドレスに基づいて、ワード線WL<0:N>、及びダミーワード線DWL<0:4>の選択処理を行う。
【0019】
メモリユニットBLU<0:3>に配設されたビット線BLR0〜BLR3はそれぞれ、カラムゲート13−1を介して共通配線CL−1に接続されている。メモリユニットBLU<0:3>に配設されたビット線BLL0〜BLL3はそれぞれ、カラムゲート14−1を介して共通配線bCL−1に接続されている。
【0020】
メモリユニットBLU<4:7>に配設されたビット線BLR4〜BLR7はそれぞれ、カラムゲート13−2を介して共通配線CL−2に接続されている。メモリユニットBLU<4:7>に配設されたビット線BLL4〜BLL7はそれぞれ、カラムゲート14−2を介して共通配線bCL−2に接続されている。
【0021】
なお、カラムゲート13及び14はそれぞれ、各メモリユニットBLUに対応して設けられている。各カラムゲートは、例えばNチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からなり、そのゲートはカラムデコーダ(図示せず)に接続されている。選択されたメモリユニットBLUに接続されたカラムゲートがカラムデコーダによってオンされることで、この選択されたメモリユニットBLUに対して、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作が実行される。
【0022】
共通配線CL−1及びCL−2には、センスアンプ回路17が接続されている。センスアンプ回路17は、2個のクランプトランジスタ17−1及び17−2と、センスアンプSAを備えている。クランプトランジスタ17−1及び17−2はそれぞれ、例えばNチャネルMOSFETからなる。クランプトランジスタ17−1のソースは共通配線CL−1に接続され、そのドレインはセンスアンプSAの第1の入力端子に接続されている。クランプトランジスタ17−2のソースは共通配線CL−2に接続され、そのドレインはセンスアンプSAの第2の入力端子に接続されている。クランプトランジスタ17−1及び17−2のゲートにはそれぞれ、クランプ電圧Vcが供給される。このクランプ電圧Vcを制御することで、クランプトランジスタ17−1及び17−2はそれぞれ、読み出し時に、共通配線CL−1及びCL−2を所望の電圧に設定することができる。
【0023】
センスアンプSAは、読み出し時に、第1の入力端子と第2の入力端子との電流を比較する。具体的には、センスアンプSAの一方の入力端子には、読み出し対象のメモリセルのデータに応じた読み出し電流が供給され、他方の入力端子には、参照電流が供給される。センスアンプSAは、これら読み出し電流と参照電流とを比較することで、読み出し対象のメモリセルから読み出されたデータを検知する。
【0024】
共通配線CL−1には、ドライバ(書き込み回路)15−1の出力が接続されている。ドライバ15−1の入力は、端子D_Lに接続されている。共通配線bCL−1には、ドライバ(書き込み回路)16−1の出力が接続されている。ドライバ16−1の入力は、端子bD_Lに接続されている。書き込み時に、ドライバ15−1及び16−1は、ビット線BLRとビット線BLLとの間に、データに応じた双方向の書き込み電流を供給する。
【0025】
同様に、共通配線CL−2には、ドライバ(書き込み回路)15−2の出力が接続されている。ドライバ15−2の入力は、端子D_Rに接続されている。共通配線bCL−2には、ドライバ(書き込み回路)16−2の出力が接続されている。ドライバ16−2の入力は、端子bD_Rに接続されている。書き込み時に、ドライバ15−2及び16−2は、ビット線BLRとビット線BLLとの間に、データに応じた双方向の書き込み電流を供給する。
【0026】
図2は、1個のメモリユニットBLUの構成を示す回路図である。メモリユニットBLUは、(N+1)本のワード線WL<0:N>に対応した(N+1)個のメモリセルMCと、4本のダミーワード線DWL<0:3>に対応した4個のダミーセルDC0〜DC3とを備えている。また、メモリユニットBLUには、2本のビット線BLR及びBLLの他に、さらに3本目のビット線BLDが配設されている。ビット線BLDには、接地電圧VSSが供給される。
【0027】
各メモリセルMCは、可変抵抗素子としてのMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子21、及び選択トランジスタ22を備えている。選択トランジスタ22は、例えばNチャネルMOSFETから構成される。MTJ素子21の一端は、ビット線BLL(BLR)に接続され、その他端は、選択トランジスタ22の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ22の電流経路の他端は、ビット線BLR(BLL)に接続され、そのゲートは、ワード線WLに接続されている。
【0028】
本実施形態では、MTJ素子21の一端がビット線BLLに接続される2個のメモリセルと、MTJ素子21の一端がビット線BLRに接続される2個のメモリセルとをカラム方向に沿って交互に配置することで、8Fのサイズのメモリセルを実現している。「F」は、最小加工寸法(minimum feature size)である。なお、メモリセルMCの配列方法については、特に制限はない。
【0029】
図3は、MTJ素子21の構成を示す概略図である。MTJ素子21は、下部電極23、固定層24、中間層25、記録層(自由層ともいう)26、及び上部電極27が順に積層されて構成されている。なお、MTJ素子21を構成する層は、積層順序が逆転していても構わない。
【0030】
固定層24は、強磁性材料からなり、その磁化方向が固定されている。例えば、固定層24に隣接して反強磁性層(図示せず)を設けることで、固定層24の磁化方向を固定することができる。記録層26は、強磁性材料からなり、その磁化方向が可変である。中間層25は、非磁性材料からなり、具体的には、非磁性金属、非磁性半導体、絶縁体などを用いることが可能である。中間層25として絶縁体を用いた場合はトンネルバリア層と呼ばれ、中間層25として金属を用いた場合はスペーサ層と呼ばれる。
【0031】
固定層24及び記録層26の容易磁化方向は膜面に垂直であってもよいし(垂直磁化)、膜面に平行であってもよい(面内磁化)。垂直磁化型の場合、面内磁化型のように磁化方向を決定するのに素子形状を制御する必要がなく、微細化に適しているという利点がある。
【0032】
MTJ素子21へのデータの書き込みは、MTJ素子21に直接に書き込み電流を供給するスピン注入方式によって行われる。また、データに応じて書き込み電流の向き変えることで、MTJ素子21を低抵抗状態、或いは高抵抗状態に設定する。
【0033】
図4(a)及び(b)はそれぞれ、MTJ素子21の低抵抗状態及び高抵抗状態を示す図である。固定層24と記録層26との磁化配列が平行となる平行状態(低抵抗状態)の時は、MTJ素子21の抵抗値は最も小さくなり、この場合を“0”データと規定する。また、平行状態のMTJ素子21の抵抗値を「Rmin」と表記する。
【0034】
一方、固定層24と記録層26との磁化配列が反平行となる反平行状態(高抵抗状態)の時は、MTJ素子21の抵抗値は最も大きくなり、この場合を“1”データと規定する。また、反平行状態のMTJ素子21の抵抗値を「Rmax」と表記する。
【0035】
MTJ素子21に“0”データを書き込む場合は、図3の上から下に向かって、すなわち記録層26から固定層24に向かって書き込み電流を供給する。一方、MTJ素子21に“1”データを書き込む場合は、図3の下から上に向かって、すなわち固定層24から記録層26に向かって書き込み電流を供給する。なお、固定層24と記録層26との積層順序が逆の場合は、それにあわせて書き込み電流の方向も逆になる。
【0036】
データの読み出しは、MTJ素子21に単方向の読み出し電流を供給することで行われる。“(Rmax−Rmin)/Rmin”で定義される値を磁気抵抗比(MR比)と呼ぶ。磁気抵抗比はMTJ素子21を構成する材料やプロセス条件によって異なるが、数10%から数100%程度の値を取り得る。このMR比に起因する読み出し電流の大きさを検知することで、MTJ素子21に記憶された情報の読み出しを行なう。読み出し動作時にMTJ素子21に流す読み出し電流は、スピン注入により記録層26の磁化が反転する電流よりも十分小さい電流値に設定する。
【0037】
ところで、読み出し時のビット線電圧をVbとすると、抵抗値RminのMTJ素子に流れる読み出し電流I0と、抵抗値RmaxのMTJ素子に流れる読み出し電流I1とはそれぞれ、以下の式で表される。「*」は、乗算記号である。
【0038】
I0=(1/Rmin)*Vb
I1=(1/Rmax)*Vb
従って、参照電流Irefを読み出し電流I0及びI1の中間に設定することで、読み出し電流I0及びI1の判定においてセンスマージンを大きくすることができるため、誤読み出しを低減することが可能となる。読み出し電流I0及びI1の中間の参照電流Irefを生成するには、以下の式に示す中間アドミッタンスYmidを生成する必要がある。
【0039】
Ymid=(Rmax+Rmin)/2Rmax*Rmin
すなわち、“0”データを記憶するMTJ素子(抵抗値RminのMTJ素子)のアドミッタンスYmin=1/Rmin、“1”データを記憶するMTJ素子(抵抗値RmaxのMTJ素子)のアドミッタンスYmax=1/Rmaxであるため、Ymid=(Ymin+Ymax)/2を計算することで、上記中間アドミッタンスYmidが得られる。
【0040】
図5は、中間アドミッタンスYmidを生成する回路図である。端子T1及びT2間には、直列に接続された2個の抵抗Rmaxが接続されている。また、端子T1及びT2間には、2個の抵抗Rmaxと並列になるようにして、直列に接続された2個の抵抗Rminが接続されている。図5中のノードAは、必ずしも短絡する必要はない。
【0041】
ここで、メモリユニットBLUは、読み出し時にセンスアンプSAによって使用される参照電流を生成する参照電流生成回路30を備えている。参照電流生成回路30は、4個のダミーセルDC0〜DC3によって構成されている。そして、これらダミーセルDC0〜DC3は、図5に示す中間アドミッタンス生成回路を構成している。ダミーセルDC0〜DC3の構造はそれぞれ、メモリセルMCと同じである。
【0042】
図2に示すように、ダミーセルDC0に含まれるMTJ素子(抵抗素子)31の一端は、ビット線BLLに接続され、その他端は選択トランジスタ32の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ32の電流経路の他端は、ビット線BLDに接続され、そのゲートは、ダミーワード線DWL0に接続されている。MTJ素子31は、抵抗値Rminに設定される。
【0043】
ダミーセルDC1に含まれるMTJ素子(抵抗素子)33の一端は、ビット線BLDに接続され、その他端は選択トランジスタ34の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ34の電流経路の他端は、ビット線BLLに接続され、そのゲートは、ダミーワード線DWL1に接続されている。MTJ素子33は、抵抗値Rmaxに設定される。
【0044】
ダミーセルDC2に含まれるMTJ素子(抵抗素子)35の一端は、ビット線BLLに接続され、その他端は選択トランジスタ36の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ36の電流経路の他端は、ビット線BLRに接続され、そのゲートは、ダミーワード線DWL2に接続されている。MTJ素子35は、抵抗値Rmaxに設定される。
【0045】
ダミーセルDC3に含まれるMTJ素子(抵抗素子)37の一端は、ビット線BLRに接続され、その他端は選択トランジスタ38の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ38の電流経路の他端は、ビット線BLLに接続され、そのゲートは、ダミーワード線DWL3に接続されている。MTJ素子37は、抵抗値Rminに設定される。
【0046】
このような接続関係を有するダミーセルDC0〜DC3は、図5に示す中間アドミッタンス生成回路を構成している。よって、ダミーセルDC0〜DC3は、読み出し電流I0及びI1の中間の参照電流Irefを生成することができる。
【0047】
(動作)
次に、このように構成されたMRAMの動作について説明する。本実施形態のMRAMは、メモリセルアレイ11−1及び11−2のうち一方に対して読み出し処理が発生した場合、もう一方は参照電流Irefを生成するために使用される。動作の説明においては、メモリセルアレイ11−1に含まれるメモリユニットBLU<0>からデータを読み出す場合を例にあげて説明する。
【0048】
まず、ビット線BLR0に接続されたカラムゲート13−1がカラムデコーダ(図示せず)によってオンされ、これにより、メモリユニットBLU<0>が共通配線CL−1に接続される。ビット線BLL0に接続されたカラムゲート14−1は、オフされる。続いて、クランプトランジスタ17−1のゲートに所望のクランプ電圧Vcが印加され、これにより、クランプトランジスタ17−1は、ビット線BLR0を所望の読み出し電圧Vbに設定する。なお、この時、クランプトランジスタ17−1のドレインには、センスアンプSAによって電源電圧VDDが印加されている。
【0049】
また、ビット線BLL0に接続されたカラムゲート14−1がカラムデコーダによってオンされ、これにより、メモリユニットBLU<0>が共通配線bCL−1に接続される。そして、ビット線BLL0は、ドライバ16−1を介して接地される。
【0050】
最後に、読み出し対象のメモリセルMCに接続されたワード線WLがロウデコーダ12−1によって活性化される。これら一連の動作により、読み出し対象のメモリセルMCにデータに応じた読み出し電流が流れる。
【0051】
一方、メモリセルアレイ11−2に含まれるいずれかのメモリユニットBLU、例えばBLU<4>によって参照電流Irefが生成される。まず、ビット線BLR4に接続されたカラムゲート13−2がカラムデコーダ(図示せず)によってオンされ、これにより、メモリユニットBLU<4>が共通配線CL−2に接続される。ビット線BLL4に接続されたカラムゲート14−2は、オフされる。続いて、クランプトランジスタ17−2のゲートに所望のクランプ電圧Vcが印加され、これにより、クランプトランジスタ17−2は、ビット線BLR4を所望の読み出し電圧Vbに設定する。続いて、ロウデコーダ12−2によってダミーワード線DWL0〜DWL3が全て活性化され、ダミーセルDC0〜DC3に含まれる選択トランジスタ32、34、36及び38がオンする。
【0052】
図6は、参照電流生成回路30に流れる電流パスを示す回路図である。第1の電流パスP1は、ビット線BLR、ダミーセルDC2の抵抗素子Rmax、ビット線BLL、ダミーセルDC1の抵抗素子Rmax、ビット線BLDを経由する。第2の電流パスP2は、ビット線BLR、ダミーセルDC3の抵抗素子Rmin、ビット線BLL、ダミーセルDC0の抵抗素子Rmin、ビット線BLDを経由する。すなわち、参照電流生成回路30は、第1の電流パスP1と第2の電流パスP2とによって、図5の中間アドミッタンス回路を構成している。従って、読み出し時に、参照電流生成回路30は、“0”セルの読み出し電流I0と“1”セルの読み出し電流I1との中間の参照電流Irefを生成している。
【0053】
センスアンプSAは、ビット線BLR0に流れる読み出し電流と、ビット線BLR4に流れる参照電流Irefとを比較することで、読み出し対象のメモリセルMCのデータを検知する。
【0054】
前述したように、本実施形態のダミーセルDC0〜DC3は、メモリセルMCと同じ構造を有しており、すなわち、ダミーセルDC0〜DC3は、図3の構造を有している。図6の電流パスを実現した場合、抵抗値Rminを有するMTJ素子31及び37、すなわち、“0”データを記憶するMTJ素子31及び37には、“0”書き込み電流と同一方向の電流が流れている。また、抵抗値Rmaxを有するMTJ素子33及び35、すなわち、“1”データを記憶するMTJ素子33及び35には、“1”書き込み電流と同一方向の電流が流れている。
【0055】
従って、本実施形態の参照電流生成回路30では、読み出し時に、リードディスターブの影響によってダミーセルDC0〜DC3に含まれるMTJ素子31、33、35及び37の磁化配列が反転するのを防ぐことが可能となる。
【0056】
次に、MRAMの書き込み動作について説明する。メモリセルアレイ11−1へのデータの書き込みは、ドライバ15−1及び16−1によって行われる。メモリセルアレイ11−2へのデータの書き込みは、ドライバ15−2及び16−2によって行われる。例えば、メモリセルアレイ11−1に含まれるメモリユニットBLU<0>にデータを書き込む場合を例にあげて説明する。
【0057】
まず、ビット線BLR0に接続されたカラムゲート13−1がカラムデコーダ(図示せず)によってオンされ、これにより、メモリユニットBLU<0>が共通配線CL−1に接続される。また、ビット線BLL0に接続されたカラムゲート14−1がカラムデコーダ(図示せず)によってオンされ、これにより、メモリユニットBLU<0>が共通配線bCL−1に接続される。そして、書き込み対象のメモリセルMCに接続されたワード線WLがロウデコーダ12−1によって活性化される。
【0058】
この状態で、書き込むデータに応じて、端子D_L及び端子bD_Lの一方に正の書き込み電圧Vw、他方を接地電圧VSS(0V)に設定する。これにより、ドライバ15−1及び16−1を介して書き込み対象のメモリセルMCに書き込み電流が流れることで、書き込み動作が実行される。
【0059】
以上詳述したように第1の実施形態では、各メモリユニットBLU内に、センスアンプSAのセンス動作に使用する参照電流Irefを生成する参照電流生成回路30を設ける。そして、参照電流生成回路30は、“0”データを記憶するメモリセルの読み出し電流I0と“1”データを記憶するメモリセルの読み出し電流I1との中間の参照電流Irefを生成する。また、このような条件を満たす参照電流Irefを生成するために、参照電流生成回路30は、抵抗素子Rmax及び抵抗素子Rminを用いて、中間アドミッタンスYmid=(Rmax+Rmin)/2Rmax*Rminを有するように構成されている。
【0060】
従って第1の実施形態によれば、読み出し電流I0及び読み出し電流I1のいずれに対しても読み出しマージンを大きくすることができるため、誤読み出しを低減することが可能となる。
【0061】
また、参照電流生成回路30を構成する抵抗素子に、メモリセルMCと同じ構造のMTJ素子を用いている。そして、抵抗値Rminを有する抵抗素子、すなわち、“0”データを記憶する抵抗素子には、“0”書き込み電流が流れるようにし、また、抵抗値Rmaxを有する抵抗素子、すなわち、“1”データを記憶する抵抗素子には、“1”書き込み電流が流れるようにしている。
【0062】
従って、読み出し時に、リードディスターブの影響によって、参照電流生成回路30を構成する抵抗素子の磁化配列が反転するのを防ぐことが可能となる。この結果、参照電流Irefを精度よく、かつ安定して供給することができる。
【0063】
また、参照電流生成回路30を含むメモリユニットBLUが全て同じ構成を有している。このため、参照電流Iref用のビット線と、読み出し用のビット線とでは、読み出し時に、ビット線容量のアンバランスが存在しない。これにより、誤読み出しを低減することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、1個のMTJ素子に対して2個の選択トランジスタを接続した、いわゆるダブルゲート型のメモリセルを用いてMRAMを構成している。このようなダブルゲート型のメモリセルでは、1個のMTJ素子に書き込み電流を供給する際に、2個の選択トランジスタが使用されるため、大きな書き込み電流を流すことが可能となる。なお、読み出し電流I0及び読み出し電流I1の中間の参照電流Irefを生成するという思想については、第1の実施形態と同じである。
【0065】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る1個のメモリユニットBLUの構成を示す回路図である。なお、MRAMのうちメモリユニット以外の構成は、図1と同じである。メモリユニットBLUには、ビット線BLR、BLL及びBLDが配設されている。ビット線BLDは、接地されている。
【0066】
メモリユニットBLUは、(N+1)個のメモリセルMCを備えている。各メモリセルMCは、可変抵抗素子としてのMTJ素子21、及び2個の選択トランジスタ22−1及び22−2を備えている。MTJ素子21の構成は、図3と同じである。各選択トランジスタ22は、例えばNチャネルMOSFETから構成される。MTJ素子21の一端は、ビット線BLLに接続され、その他端は、選択トランジスタ22−1及び22−2の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ22−1及び22−2の電流経路の他端は、ビット線BLRに接続されている。選択トランジスタ22−1及び22−2のゲートは、ワード線対WLに接続されている。ワード線対WLは同じタイミングで活性化され、よって、選択トランジスタ22−1及び22−2は、同じタイミングでオンする。
【0067】
さらに、メモリユニットBLUは、読み出し時にセンスアンプSAによって使用される参照電流Irefを生成する参照電流生成回路30を備えている。参照電流生成回路30は、4個のダミーセルDC0〜DC3によって構成されている。そして、これらダミーセルDC0〜DC3は、図5に示す中間アドミッタンス生成回路を構成している。ダミーセルDC0〜DC3の構造はそれぞれ、メモリセルMCと同じである。
【0068】
ダミーセルDC0に含まれるMTJ素子(抵抗素子)31の一端は、ビット線BLDに接続され、その他端は選択トランジスタ32−1及び32−2の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ32−1及び32−2の電流経路の他端は、ビット線BLLに接続され、それらのゲートは、ダミーワード線対DWL0に接続されている。MTJ素子31は、抵抗値Rmaxに設定される。
【0069】
ダミーセルDC1に含まれるMTJ素子(抵抗素子)33の一端は、ビット線BLLに接続され、その他端は選択トランジスタ34−1及び34−2の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ34−1及び34−2の電流経路の他端は、ビット線BLDに接続され、それらのゲートは、ダミーワード線対DWL1に接続されている。MTJ素子33は、抵抗値Rminに設定される。
【0070】
ダミーセルDC2に含まれるMTJ素子(抵抗素子)35の一端は、ビット線BLRに接続され、その他端は選択トランジスタ36−1及び36−2の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ36−1及び36−2の電流経路の他端は、ビット線BLLに接続され、それらのゲートは、ダミーワード線対DWL2に接続されている。MTJ素子35は、抵抗値Rminに設定される。
【0071】
ダミーセルDC3に含まれるMTJ素子(抵抗素子)37の一端は、ビット線BLLに接続され、その他端は選択トランジスタ38−1及び38−2の電流経路の一端に接続されている。選択トランジスタ38−1及び38−2の電流経路の他端は、ビット線BLRに接続され、それらのゲートは、ダミーワード線対DWL3に接続されている。MTJ素子37は、抵抗値Rmaxに設定される。
【0072】
また、ダミーセルDC0〜DC3が図5に示す中間アドミッタンス生成回路を構成するために、ビット線対BLL及びBLDは特定の位置でツイストされ、また、ビット線対BLR及びBLLは特定の位置でツイストされている。具体的には、隣接するダミーセルDC間でいずれかのビット線対を交差させればよい。ビット線対BLL及びBLDは、ダミーセルDC0及びDC1間で1回交差され、さらにダミーセルDC1及びDC2間で1交差されている。ビット線対BLR及びBLLは、ダミーセルDC2及びDC3間で1回交差されている。
【0073】
図8は、参照電流生成回路30に流れる電流パスを示す回路図である。第1の電流パスP1は、ビット線BLR、ダミーセルDC3の抵抗素子Rmax、ビット線BLL、ダミーセルDC0の抵抗素子Rmax、ビット線BLDを経由する。第2の電流パスP2は、ビット線BLR、ダミーセルDC2の抵抗素子Rmin、ビット線BLL、ダミーセルDC1の抵抗素子Rmin、ビット線BLDを経由する。すなわち、参照電流生成回路30は、第1の電流パスP1と第2の電流パスP2とによって、図5の中間アドミッタンス回路を構成している。従って、読み出し時に、参照電流生成回路30は、“0”セルの読み出し電流I0と“1”セルの読み出し電流I1との中間の参照電流Irefを生成することができる。
【0074】
前述したように、本実施形態のダミーセルDC0〜DC3は、メモリセルMCと同じ構造を有しており、すなわち、ダミーセルDC0〜DC3は、図3の構造を有している。図8の電流パスを実現した場合、抵抗値Rminを有するMTJ素子33及び35、すなわち、“0”データを記憶するMTJ素子33及び35には、“0”書き込み電流と同一方向の電流が流れている。また、抵抗値Rmaxを有するMTJ素子31及び37、すなわち、“1”データを記憶するMTJ素子31及び37には、“1”書き込み電流と同一方向の電流が流れている。
【0075】
従って、本実施形態の参照電流生成回路30では、読み出し時に、リードディスターブの影響によってダミーセルDC0〜DC3に含まれるMTJ素子31、33、35及び37の磁化配列が反転するのを防ぐことが可能となる。
【0076】
以上詳述したように第2の実施形態によれば、読み出し電流I0及び読み出し電流I1のいずれに対しても読み出しマージンを大きくすることができるため、誤読み出しを低減することが可能となる。その他の効果は、第1の実施形態と同じである。
【0077】
(実施例)
前述したように、本発明の抵抗変化型メモリとしては、MRAM以外の様々なメモリを使用することが可能である。以下に、抵抗変化型メモリの他の例として、ReRAM及びPCRAMについて説明する。
【0078】
図9は、ReRAMに用いられる可変抵抗素子21の構成を示す概略図である。可変抵抗素子21は、下部電極23、上部電極27、及びこれらに挟まれた記録層40を備えている。
【0079】
記録層40は、プロブスカイト型金属酸化物、或いは二元系金属酸化物などの遷移金属酸化物から構成される。プロブスカイト型金属酸化物としては、PCMO(Pr0.7Ca0.3MnO)、Nb添加SrTi(Zr)O、Cr添加SrTi(Zr)Oなどが挙げられる。二元系金属酸化物としては、NiO、TiO、CuOなどが挙げられる。
【0080】
可変抵抗素子21は、それに印加する電圧の極性を変えることで抵抗値が変化し(バイポーラ型)、或いはそれに印加する電圧の絶対値を変えることで抵抗値が変化する(ユニポーラ型)。よって、可変抵抗素子21は、印加電圧を制御することで低抵抗状態と高抵抗状態とに設定される。なお、バイポーラ型であるかユニポーラ型であるかは、選択する記録層40の材料によって異なってくる。
【0081】
例えばバイポーラ型の可変抵抗素子21の場合、可変抵抗素子21を高抵抗状態(リセット状態)から低抵抗状態(セット状態)へ遷移させる電圧をセット電圧Vset、低抵抗状態(セット状態)から高抵抗状態(リセット状態)へ遷移させる電圧をリセット電圧Vresetとすると、セット電圧Vsetは下部電極23に対して上部電極27に正の電圧を印加する正バイアス、リセット電圧Vresetは下部電極23に対して上部電極27に負の電圧を印加する負バイアスに設定される。そして、低抵抗状態及び高抵抗状態を“0”データ及び“1”データに対応させることで、可変抵抗素子21が1ビットデータを記憶することができる。
【0082】
データの読み出しは、リセット電圧Vresetよりも1/1000〜1/4程度の十分小さな読み出し電圧を可変抵抗素子21に印加する。そして、この時に可変抵抗素子21に流れる電流を検出することでデータを読み出すことができる。
【0083】
図10は、PCRAMに用いられる可変抵抗素子21の構成を示す概略図である。可変抵抗素子21は、下部電極23、ヒーター層41、記録層42、及び上部電極27が順に積層されて構成されている。
【0084】
記録層42は、相変化材料から構成され、書き込み時に発生する熱により結晶状態と非晶質状態とに設定される。記録層42の材料としては、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−Sn−Teなどのカルコゲン化合物を挙げることができる。これらの材料は、高速スイッチング性、繰返し記録安定性、高信頼性を確保する上で望ましい。
【0085】
ヒーター層41は、記録層42の底面に接している。ヒーター層41の記録層42に接する面積は、記録層42の底面の面積より小さいことが望ましい。これは、ヒーター層41と記録層42との接触部分を小さくすることで加熱部分を小さくし、書き込み電流又は電圧を低減するためである。ヒーター層41は、導電性材料からなり、例えば、TiN、TiAlN、TiBN、TiSiN、TaN、TaAlN、TaBN、TaSiN、WN、WAlN、WBN、WSiN、ZrN、ZrAlN、ZrBN、ZrSiN、MoN、Al、Al−Cu、Al−Cu−Si、WSi、Ti、Ti−W、及びCuから選択される1つからなることが望ましい。また、ヒーター層41は、後述する下部電極23と同じ材料であってもよい。
【0086】
下部電極23の面積は、ヒーター層41の面積より大きい。上部電極27は、例えば、記録層42の平面形状と同じである。下部電極23及び上部電極27の材料としては、Ta、Mo、Wなどの高融点金属が挙げられる。
【0087】
記録層42は、それに印加する電流パルスの大きさ及び電流パルスの幅を制御することで加熱温度が変化し、結晶状態又は非晶質状態に変化する。具体的には、書き込み時、下部電極23と上部電極27との間に電圧又は電流を印加し、上部電極27から記録層42及びヒーター層41を介して下部電極23に電流を流す。記録層42を融点付近まで加熱すると、記録層42は非晶質相(高抵抗相)に変化し、電圧又は電流の印加を止めても非晶質状態を維持する。
【0088】
一方、下部電極23と上部電極27との間に電圧又は電流を印加し、記録層42を結晶化に適した温度付近まで加熱すると、記録層42は結晶相(低抵抗相)に変化し、電圧又は電流の印加を止めても結晶状態を維持する。記録層42を結晶状態に変化させる場合は、非晶質状態に変化させる場合と比べて、記録層42に印加する電流パルスの大きさは小さく、かつ電流パルスの幅は大きく設定される。このように、下部電極23と上部電極27との間に電圧又は電流を印加して記録層42を加熱することで、記録層42の抵抗値を変化させることができる。
【0089】
記録層42が結晶相であるか、非晶質相であるかは、下部電極23と上部電極27との間に記録層42が結晶化も非晶質化も生じない程度の低電圧又は低電流を印加し、下部電極23と上部電極27との間の電圧又は電流を読み取ることによって判別することができる。このため、低抵抗状態及び高抵抗状態を“0”データ及び“1”データに対応させることで、可変抵抗素子21から1ビットデータを読み出すことができる。
【0090】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0091】
BLU…メモリユニット、BLR,BLL,BLD…ビット線、WL…ワード線、DWL…ダミーワード線、CL,bCL…共通配線、SA…センスアンプ、MC…メモリセル、DC…ダミーセル、11…メモリセルアレイ、12…ロウデコーダ、13,14…カラムゲート、15,16…ドライバ、17…センスアンプ回路、17−1,17−2…クランプトランジスタ、21…MTJ素子、22…選択トランジスタ、23…下部電極、24…固定層、25…中間層、26…記録層、27…上部電極、30…参照電流生成回路、31,33,35,37…抵抗素子、32,34,36,38…選択トランジスタ、40…記録層、41…ヒーター層、42…記録層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗値の変化によって“0”データ及び“1”データを記憶する可変抵抗素子と、
前記可変抵抗素子のデータを判定するための参照電流を生成し、かつ“0”データを記憶する可変抵抗素子のアドミッタンスと、“1”データを記憶する可変抵抗素子のアドミッタンスとの中間のアドミッタンスを有する電流生成回路と、
前記可変抵抗素子に接続された第1の入力端子と、前記電流生成回路に接続された第2の入力端子とを有し、かつ前記第1及び第2の入力端子の電流を比較するセンスアンプと、
を具備することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記電流生成回路は、前記可変抵抗素子と同じ構造を有する複数の抵抗素子により構成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記電流生成回路は、
第1乃至第3のビット線と、
前記第1及び第2のビット線間に接続された第1の抵抗素子と、前記第2及び第3のビット線間に接続された第2の抵抗素子とを含む第1のパスと、
前記第1及び第2のビット線間に接続された第3の抵抗素子と、前記第2及び第3のビット線間に接続された第4の抵抗素子とを含む第2のパスと、
を含み、
前記第1及び第2の抵抗素子は、“0”データを記憶する可変抵抗素子と同じ抵抗値を有し、
前記第3及び第4の抵抗素子は、“1”データを記憶する可変抵抗素子と同じ抵抗値を有し、
前記第1のビット線は、前記センスアンプの第2の入力端子に接続され、
前記第3のビット線は、接地されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のビット線には、データを記憶する可変抵抗素子が接続されることを特徴とする請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の抵抗素子は、データ読み出し時に、“0”データを書き込む方向の電流が供給されるように配置され、
前記第3及び第4の抵抗素子は、データ読み出し時に、“1”データを書き込む方向の電流が供給されるように配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−3241(P2011−3241A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145469(P2009−145469)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】