説明

半導体記憶装置

【課題】書き込み特性及び電荷保持特性に優れたメモリセル(セルトランジスタ)を具備する半導体記憶装置、或いは、メモリセルと共に製造するのに適した選択又は周辺トランジスタの提供。
【解決手段】セルトランジスタ201は、基板101上に、FNトンネル膜として機能するゲート絶縁膜111、最下層の浮遊ゲートに相当する第1の浮遊ゲート112を備える。更に、FNトンネル膜として機能する第1の浮遊ゲート間絶縁膜113を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最下層の浮遊ゲートと最上層の浮遊ゲートとの間に介在する第2の浮遊ゲート114を備える。更に、FNトンネル膜として機能する第2の浮遊ゲート間絶縁膜115を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最上層の浮遊ゲートに相当する第3の浮遊ゲート116を備える。更に、電荷ブロック膜として機能するゲート間絶縁膜117を介して形成された制御ゲート118を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浮遊ゲート型のフラッシュメモリでは、メモリセルの縮小に伴い、メモリセルの加工形状の制御が困難になっている。そのため、平面型の浮遊ゲート構造が提案されているが、平面型の浮遊ゲート構造では、浮遊ゲートと制御ゲートとの間の対向面積が小さくなるため、メモリセルの容量結合が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−141354号公報
【特許文献2】特開2007−250974号公報
【特許文献3】特開2008−311325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
書き込み特性及び電荷保持特性に優れたメモリセル(セルトランジスタ)を具備する半導体記憶装置、或いは、このようなメモリセルと共に製造するのに適した選択又は周辺トランジスタを具備する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様は、例えば、基板上にセルトランジスタが形成された半導体記憶装置であって、前記セルトランジスタは、前記基板上に、FN(Fowler-Nordheim)トンネル膜として機能するゲート絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最下層の浮遊ゲートに相当する第1の浮遊ゲートを備える。前記セルトランジスタは更に、前記第1の浮遊ゲート上に、FNトンネル膜として機能する第1の浮遊ゲート間絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最下層の浮遊ゲートと最上層の浮遊ゲートとの間に介在する第2の浮遊ゲートを備える。前記セルトランジスタは更に、前記第2の浮遊ゲート上に、FNトンネル膜として機能する第2の浮遊ゲート間絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最上層の浮遊ゲートに相当する第3の浮遊ゲートを備える。前記セルトランジスタは更に、前記第3の浮遊ゲート上に、電荷ブロック膜として機能するゲート間絶縁膜を介して形成された制御ゲートを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態の半導体記憶装置の構成を示す平面図である。
【図2】第1実施形態の半導体記憶装置を構成するセルトランジスタの断面を示す側方断面図である。
【図3】直接トンネル膜とFNトンネル膜について説明するための概念図である。
【図4】直接トンネル電流とFNトンネル電流の実測値を示したグラフである。
【図5】セルトランジスタの断面構造の第1の例を示す側方断面図である。
【図6】セルトランジスタの断面構造の第2の例を示す側方断面図である。
【図7】セルトランジスタの断面構造の第3の例を示す側方断面図である。
【図8】第2の浮遊ゲートが多層構造を有するセルトランジスタの例を示した側方断面図である。
【図9】第2実施形態の半導体記憶装置を構成するセルトランジスタ及び選択トランジスタの断面を示す側方断面図である。
【図10】図9の半導体記憶装置の変形例の断面を示す側方断面図である。
【図11】第2の浮遊ゲートが多層構造を有するセルトランジスタと、このようなセルトランジスタと共に製造された選択トランジスタの例を示した側方断面図である。
【図12】第3実施形態の半導体記憶装置を構成するセルトランジスタ、選択トランジスタ、LVトランジスタ、及びHVトランジスタの断面を示す側方断面図である。
【図13】図12の半導体記憶装置の第1変形例の断面を示す側方断面図である。
【図14】図12の半導体記憶装置の第2変形例の断面を示す側方断面図である。
【図15】図12の半導体記憶装置の第3変形例の断面を示す側方断面図である。
【図16】第2の浮遊ゲートが多層構造を有するセルトランジスタと、このようなセルトランジスタと共に製造された選択トランジスタ、LVトランジスタ、及びHVトランジスタの例を示した側方断面図である。
【図17】第4実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための側方断面図(1/2)である。
【図18】第4実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための側方断面図(2/2)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体記憶装置の構成を示す平面図である。図1の半導体記憶装置は、後述するように、浮遊ゲート型のフラッシュメモリとなっている。
【0009】
図1では、メモリセルアレイ領域がRCで示され、選択トランジスタ領域がRSで示されている。図1には更に、基板の主面に平行な第1の方向に延びる複数のビット線BLと、基板の主面に平行な第2の方向に延びる複数のワード線WL及び複数の選択線SGが示されている。図1では、第1及び第2の方向が、それぞれ矢印X及びYで示されており、互いに直交している。
【0010】
メモリセルアレイ領域RCでは、ビット線BLとワード線WLとの各交点PCに、セルトランジスタ(メモリセル)が設けられている。また、選択トランジスタ領域RSでは、ビット線BLと選択線SGとの各交点PSに、選択トランジスタ(選択ゲート)が設けられている。セルトランジスタは、ビット線BLとワード線WLに電気的に接続されており、選択トランジスタは、ビット線BLと選択線SGに電気的に接続されている。
【0011】
図1には更に、素子分離領域R1と、素子領域R2が示されている。素子分離領域R1と素子領域R2は、図1に示すように、ともにX方向に延びており、Y方向に沿って基板内に交互に設けられている。セルトランジスタと選択トランジスタは、いずれも素子領域R2上に形成されている。素子分離領域R1は、STI(Shallow Trench Isolation)領域とも呼ばれ、素子領域R2は、AA(Active Area)領域とも呼ばれる。
【0012】
図2は、第1実施形態の半導体記憶装置を構成するセルトランジスタ201の断面を示す側方断面図である。図2は、図1に示すI断面(GC(Gate Conductor)断面)における断面図となっている。
【0013】
各セルトランジスタ201は、基板101上に順に形成されたゲート絶縁膜111と、第1の浮遊ゲート112と、第1のIFD(Inter Floating Gates Dielectric:浮遊ゲート間絶縁体)膜113と、第2の浮遊ゲート114と、第2のIFD膜115と、第3の浮遊ゲート116と、ゲート間絶縁膜117と、制御ゲート118とを備える。
【0014】
ゲート絶縁膜111は、FN(Fowler-Nordheim)トンネル膜として機能するトンネル絶縁膜である。FNトンネル膜とは、FNトンネリングによる電荷の透過が支配的となる厚さを有する絶縁膜である。ゲート絶縁膜111の厚さは例えば、EOT(Equivalent Oxide Thickness)換算、即ち、シリコン酸化膜厚換算の実効膜厚で、3nm以上、好ましくは3〜5nmである。ゲート絶縁膜111は、シリコン酸化膜であることが多いことから、適宜、TOX(Tunnel Oxide)膜と表記する。
【0015】
第1の浮遊ゲート112は、基板101上に、ゲート絶縁膜111を介して形成されており、セルトランジスタ201内の最下層の浮遊ゲートに相当する。よって、第1の浮遊ゲート112の下面は、ゲート絶縁膜111の上面に接している。第1の浮遊ゲート112は適宜、FG1と表記する。
【0016】
第1のIFD膜113は、FNトンネル膜として機能するトンネル絶縁膜である。第1のIFD膜113は適宜、IFD1と表記する。
【0017】
第2の浮遊ゲート114は、第1の浮遊ゲート112上に、第1のIFD膜113を介して形成されており、セルトランジスタ201内の最下層の浮遊ゲートと最上層の浮遊ゲートとの間に介在している。本実施形態では、セルトランジスタ201は、1層の第2の浮遊ゲート114を備えているが、後述するように、2層以上の第2の浮遊ゲート114を備えていても構わない。第2の浮遊ゲート114は適宜、FG2と表記する。
【0018】
第2のIFD膜115は、FNトンネル膜として機能するトンネル絶縁膜である。第2のIFD膜115は適宜、IFD2と表記する。
【0019】
第3の浮遊ゲート116は、第2の浮遊ゲート114上に、第2のIFD膜115を介して形成されており、セルトランジスタ201内の最上層の浮遊ゲートに相当する。よって、第3の浮遊ゲート116の上面は、ゲート間絶縁膜117の下面に接している。第3の浮遊ゲート116は適宜、FG3と表記する。
【0020】
ゲート間絶縁膜117は、基板101から浮遊ゲート112,114,116内に注入された電荷が、制御ゲート118へと通り抜けるのをブロックする電荷ブロック膜として機能する。本実施形態のゲート間絶縁膜117の厚さは、EOT換算の実効膜厚で、ゲート絶縁膜111の厚さ、第1のIFD膜113の厚さ、及び第2のIFD膜115の厚さよりも厚くなっている。ゲート間絶縁膜117は、浮遊ゲートと制御ゲートがポリシリコン層であることが多いことから、適宜、IPD(Inter Poly-Si Dielectric)膜と表記する。
【0021】
制御ゲート118は、第3の浮遊ゲート116上に、ゲート間絶縁膜117を介して形成されている。制御ゲート118は、セルトランジスタ201の電位を制御するための制御電極として機能する。制御ゲート118は適宜、CGと表記する。
【0022】
図2には更に、基板101内に、セルトランジスタ201を挟むように形成された拡散層121と、基板101上に、セルトランジスタ201を覆うように形成された層間絶縁膜122が示されている。本実施形態では、基板101は、シリコン基板等の半導体基板である。
【0023】
以上のように、本実施形態のセルトランジスタ201は、第1、第2、及び第3の浮遊ゲート112,114,116を備えている。そして、本実施形態では、セルトランジスタ201内に信号電荷を蓄積する際、これらの浮遊ゲートのうち、主に第2の浮遊ゲート114内に信号電荷を蓄積する。このような電荷蓄積を可能とするための構造の具体例については、後述する。
【0024】
セルトランジスタ201に、第1、第2、及び第3の浮遊ゲート112,114,116を設け、これらの浮遊ゲートのうちの主に第2の浮遊ゲート114内に信号電荷を蓄積することには、次のような利点がある。
【0025】
第1に、ゲート絶縁膜111と第2の浮遊ゲート114との間に第1の浮遊ゲート112を設けることで、電荷保持時にゲート絶縁膜111に掛かる電界の強度が低減されるため、良好な電荷保持特性を実現することが可能となる。
【0026】
第2に、ゲート間絶縁膜117と第2の浮遊ゲート114との間に第3の浮遊ゲート116を設けることで、書き込み時に電荷がゲート間絶縁膜117を通じて制御ゲート118へと抜け出る効果が低減されるため、書き込み飽和を減らすことで、良好な書き込み特性を実現することが可能となる。
【0027】
このように、本実施形態によれば、電荷保持特性及び書き込み特性に優れたセルトランジスタ201を実現することが可能となる。
【0028】
1)FNトンネル膜
上述のように、本実施形態のゲート絶縁膜111、第1のIFD膜113、及び第2のIFD膜115は、FNトンネル膜となっている。以下、FNトンネル膜について、詳細に説明する。
【0029】
図3は、直接トンネル膜とFNトンネル膜について説明するための概念図である。図3における横方向は、絶縁膜の厚さ方向を表し、図3における縦方向は、絶縁膜の内部及び外部における電位の高さ方向を表す。
【0030】
図3(A)には、膜厚の薄い絶縁膜が示されている。図3(A)に示す絶縁膜は、直接トンネル膜に相当する。直接トンネル膜とは、直接トンネリングによる電荷の透過が支配的となる厚さを有する絶縁膜である。直接トンネル膜の近傍に位置する電荷は、矢印Aで示すように、ある確率で直接トンネリングを起こし、直接トンネル膜を透過する。
【0031】
一方、図3(B)には、膜厚の厚い絶縁膜が示されている。図3(B)に示す絶縁膜は、FNトンネル膜に相当する。FNトンネル膜とは、上述の通り、FNトンネリングによる電荷の透過が支配的となる厚さを有する絶縁膜である。FNトンネル膜の近傍に位置する電荷が、直接トンネリングによりFNトンネル膜を透過する確率は低い。しかしながら、FNトンネル膜に電界を印加すると、FNトンネル膜のポテンシャル障壁が傾き、障壁が薄くなる。これにより、FNトンネル膜の近傍に位置する電荷は、矢印Bで示すように、FNトンネリングを起こし、FNトンネル膜を透過するようになる。
【0032】
図4は、直接トンネル電流とFNトンネル電流の実測値を示したグラフである。図4における横軸は、n+polyによるnMOSFETに印加するゲート電圧[V]を表し、図4における縦軸は、当該nMOSFETにおけるゲート電流の電流密度[μA/cm]を表す。
【0033】
図4には、nMOSFETのゲート絶縁膜(TOX膜(トンネル絶縁膜))の実効膜厚が2.58nm、3.65nm、4.55nm、5.70nmの場合に関し、直接トンネル電流とFNトンネル電流とを含むゲート電流の実測値と、FNトンネル電流の理論値が示されている。
【0034】
図4によれば、TOX膜の実効膜厚が3.65nm、4.55nm、5.70nmの場合には、ゲート電流は、ゲート電流が流れ始めるゲート電圧以上のほぼ全ゲート電圧領域において、FNトンネル電流におおむね一致している。一方、TOX膜の実効膜厚が2.58nmの場合には、ゲート電流は、上記ゲート電圧領域における所定の電圧以上の領域内に限り、FNトンネル電流に一致している。
【0035】
このことから、実効膜厚がおおむね3nm以上の絶縁膜では、FNトンネリングによる電荷の透過が支配的となることが解る。よって、実効膜厚が3nm以上の絶縁膜は、FNトンネル膜とみなすことができる。よって、本実施形態では、ゲート絶縁膜111、第1のIFD膜113、及び第2のIFD膜115の実効膜厚をそれぞれ、3nm以上に設定する。これにより、これらの絶縁膜は、FNトンネル膜となる。
【0036】
なお、図4に示すグラフの詳細については、「A. Gupta et al., IEEE Trans. Electron Device Lett. 18 (1977) 580.」を参照されたい。
【0037】
2)FG領域の構造
図2に示す各セルトランジスタ201内において、第1の浮遊ゲート112、第1のIFD膜113、第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、及び第3の浮遊ゲート116が占める領域を、FG領域と呼ぶことにする。以下、図2を再び参照して、本実施形態のセルトランジスタ201におけるFG領域の構造について、詳細に説明する。
【0038】
上述のように、本実施形態では、第1、第2、及び第3の浮遊ゲート112,114,116のうち、主に第2の浮遊ゲート114内に信号電荷を蓄積する。このような電荷蓄積を実現するためには、第1及び第2のIFD膜113,115は、書き込み時や消去時にはキャリアのトンネリングが発生し、電荷保持時や読み出し時にはキャリアのトンネリングがほとんど発生しないよう構成される必要がある。
【0039】
言い換えれば、第1及び第2のIFD膜113,115は、キャリアの直接トンネリングがほとんど発生せず、キャリアのFNトンネリングが支配的となるような絶縁膜でなくてはならない。よって、本実施形態では、第1及び第2のIFD膜113,115の実効膜厚は、3nm以上に設定され、第1及び第2のIFD膜113,115は、FNトンネル膜となっている。
【0040】
一方、第1及び第2のIFD膜113,115の膜厚が厚いと、書き込み電位や消去電位を大きな値にする必要がでてくる。これを避けるためには、書き込み電位や消去電位の大きさを考慮して、これらの膜厚を適切な値に設定する必要がある。通常の書き込み電位や消去電位(15〜25V程度)においては、第1及び第2のIFD膜113,115の実効膜厚は、3〜6nm程度にすることが望ましい。
【0041】
また、第1から第3の浮遊ゲート112,114,116の材料としては、任意の導体又は半導体を採用可能である。浮遊ゲート112,114,116の材料の例としては、不純物がドープされたポリシリコンが挙げられる。
【0042】
ポリシリコン等の半導体のキャリアには、電子と正孔があり、電子又は正孔のFG領域への出入りによりFG領域のポテンシャルを変えることで、メモリ動作が行われる。書き込みのために制御ゲート118に高いバイアス電圧(通常は20V程度)を印加すると、FNトンネリングにより、電子又は正孔が基板101からFG領域内に入る。
【0043】
ところで、セルトランジスタ201の電荷保持特性を良好なものとするためには、上述のように、電荷は主に第2の浮遊ゲート114に蓄積することが望ましい。
【0044】
よって、キャリアを電子とし、且つ、浮遊ゲート112,114,116をポリシリコン層とする場合には、第1及び第3の浮遊ゲート112,116は、p型不純物(アクセプター)をドープしたポリシリコン層、即ち、p型ポリシリコン層とし、第2の浮遊ゲート114は、n型不純物(ドナー)をドープしたポリシリコン層、即ち、n型ポリシリコン層とすることが望ましい。これにより、電子が、第2の浮遊ゲート114内に蓄積されやすくなる。
【0045】
一方、キャリアを正孔とし、且つ、浮遊ゲート112,114,116をポリシリコン層とする場合には、第1及び第3の浮遊ゲート112,116は、n型ポリシリコン層、第2の浮遊ゲート114は、p型ポリシリコン層とすることが望ましい。これにより、正孔が、第2の浮遊ゲート114内に蓄積されやすくなる。
【0046】
このように、浮遊ゲート112,114,116を半導体層とする場合には、第1及び第3の浮遊ゲート112,116は、第1導電型の半導体層とし、第2の浮遊ゲート114は、第1導電型と異なる第2導電型の半導体層とすることが望ましい。
【0047】
また、浮遊ゲート112,114,116の材料の別の例としては、メタル材料が挙げられる。この場合には、第2の浮遊ゲート114の仕事関数は、第1の浮遊ゲート112の仕事関数、及び第3の浮遊ゲート116の仕事関数よりも高くすることが望ましい。これにより、キャリアが、第2の浮遊ゲート114内に蓄積されやすくなる。
【0048】
また、書き込み時や消去時には、電荷が第1の浮遊ゲート112を容易に通過できることが望ましいため、第1の浮遊ゲート112の膜厚は、第2の浮遊ゲート114の膜厚に比べて薄くすることが望ましい。具体的には、第1の浮遊ゲート112の膜厚は、3〜5nm程度とすることが好ましく、第2の浮遊ゲート114の膜厚は、5〜10nm程度とすることが好ましい。
【0049】
また、第3の浮遊ゲート116の膜厚は、ゲート間絶縁膜117からの電荷の抜けを防ぐために、ゲート間絶縁膜117の膜厚との関係で決められるが、あまり厚くすると加工が困難になる場合もある。また、第3の浮遊ゲート116の膜厚が厚くなると、後述する図6や図7に示す制御ゲート118と第2の浮遊ゲート114との容量結合が小さくなるため、この点も考慮に入れて、第3の浮遊ゲート116の膜厚を決めることが望ましい。第3の浮遊ゲート116の膜厚は、例えば、3〜10nmとすることが望ましい。
【0050】
3)セルトランジスタの断面構造
次に、図5から図7を参照して、セルトランジスタ201の断面構造の例について説明する。
【0051】
図5は、セルトランジスタ201の断面構造の第1の例を示す側方断面図である。図5(A)は、図2と同様、図1に示すI断面(GC断面)における断面図となっており、図5(B)は、図1に示すII断面(AA断面)における断面図となっている。
【0052】
図5(B)では、ゲート絶縁膜111、第1の浮遊ゲート112、第1のIFD膜113、第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、及び第3の浮遊ゲート116は、各セルトランジスタ201毎に分割されており、素子領域R2(図1参照)上に積層され、素子分離絶縁膜123同士の間に挟まれている。素子分離絶縁膜123は、図1に示す素子分離領域R1に相当する。
【0053】
これに対し、ゲート間絶縁膜117及び制御ゲート118は、図5(B)に示すように、Y方向に隣接するセルトランジスタ201間に連続して形成されている。図5(B)に示す制御ゲート118は、図1に示す1本分のワード線WLに相当する。
【0054】
また、図5(B)では、素子分離絶縁膜123の上面の高さが、第3の浮遊ゲート116の上面の高さと等しくなっている。その結果、素子分離絶縁膜123上におけるゲート間絶縁膜117の下面の高さは、第3の浮遊ゲート116上におけるゲート間絶縁膜117の下面の高さと等しくなっている。同様に、素子分離絶縁膜123上における制御ゲート118の下面の高さは、第3の浮遊ゲート116上における制御ゲート118の下面の高さと等しくなっている。
【0055】
よって、図5(B)では、ゲート間絶縁膜117の下面及び制御ゲート118の下面が、平坦になっている。このような構造のセルトランジスタ201には、後述する図6や図7に示すセルトランジスタ201に比べ、製造が容易であるという利点がある。
【0056】
図6は、セルトランジスタ201の断面構造の第2の例を示す側方断面図である。図6(A)及び(B)はそれぞれ、図5(A)及び(B)と同様、図1に示すI断面(GC断面)及びII断面(AA断面)における断面図となっている。
【0057】
図6(B)では、素子分離絶縁膜123の上面の高さが、第3の浮遊ゲート116の上面の高さよりも低くなっている。その結果、素子分離絶縁膜123上におけるゲート間絶縁膜117の下面の高さは、第3の浮遊ゲート116上におけるゲート間絶縁膜117の下面の高さよりも低くなっている。同様に、素子分離絶縁膜123上における制御ゲート118の下面の高さは、第3の浮遊ゲート116上における制御ゲート118の下面の高さよりも低くなっている。
【0058】
よって、図6(B)では、制御ゲート118が、素子分離絶縁膜123上において下向きの凸部を有しており、セルトランジスタ201間に落とし込まれている。このような構造には、浮遊ゲート112,114,116と制御ゲート118との対向面積が広くなり、浮遊ゲート112,114,116と制御ゲート118との間の容量結合が強化されるという利点がある。これにより、図6の例では、セルトランジスタ201の書き込み特性を改善することが可能となる。
【0059】
なお、素子分離絶縁膜123の上面の高さは、所望する容量結合比に応じて任意に設定することが可能である。図6(B)では、素子分離絶縁膜123の上面の高さが、第2の浮遊ゲート124の上面と下面の間の高さとなっており、より詳細には、第2の浮遊ゲート124の下面の高さとほぼ等しくなっている。
【0060】
このことには、第2及び第3の浮遊ゲート114,116と制御ゲート118との間の容量結合を強くしながら、第1の浮遊ゲート112と制御ゲート118との間の容量結合をあまり強くしないことができるという利点がある。これにより、制御ゲート118の落とし込みに起因して、ゲート絶縁膜111に掛かる電界の強度が高まってしまうという問題を回避することが可能となる。更には、基板101と制御ゲート118との間の電界の強度が強過ぎる場合に、基板101から制御ゲート118へのトンネル電流が増大してしまうという問題を回避することが可能となる。
【0061】
図7は、セルトランジスタ201の断面構造の第3の例を示す側方断面図である。図7(A)及び(B)はそれぞれ、図6(A)及び(B)と同様、図1に示すI断面(GC断面)及びII断面(AA断面)における断面図となっている。
【0062】
図7(B)では、図6(B)と同様、素子分離絶縁膜123の上面の高さが、第3の浮遊ゲート116の上面の高さよりも低くなっている。その結果、素子分離絶縁膜123上におけるゲート間絶縁膜117の下面の高さは、第3の浮遊ゲート116上におけるゲート間絶縁膜117の下面の高さよりも低くなっている。しかしながら、図7(B)では、制御ゲート118は、セルトランジスタ201間にほとんど落とし込まれておらず、そのわずかな部分のみがセルトランジスタ201間に落とし込まれるに留まっている。
【0063】
このような構造は例えば、半導体記憶装置の高集積化によりセルトランジスタ201間の間隔が狭くなり、制御ゲート118の落とし込みが困難な場合に採用される。
【0064】
ゲート間絶縁膜117の比誘電率は通常、素子分離絶縁膜123の比誘電率よりも高くなっている。そのため、図7のような構造には、浮遊ゲート112,114,116と制御ゲート118との間の絶縁膜の比誘電率の増大により、浮遊ゲート112,114,116と制御ゲート118との間の容量結合が強化されるという利点がある。
【0065】
なお、図5から図7の例では、素子分離領域R1は、素子分離絶縁膜123のみで構成されているが、代わりに、素子分離絶縁膜123と空洞とで構成しても構わない。即ち、素子分離領域R1の構造として、いわゆるエアギャップ構造を採用しても構わない。
【0066】
4)第2の浮遊ゲートの多層構造
図8は、第2の浮遊ゲートが多層構造を有するセルトランジスタ201の例を示した側方断面図である。
【0067】
図8では、図2に示す1層の第2の浮遊ゲート114が、N層(Nは2以上の整数)の第2の浮遊ゲート1141〜114Nと、N−1層のIFD膜1191〜119N-1とを含む積層構造211に置き換えられている。本実施形態のセルトランジスタ201は、図2に示すように、第2の浮遊ゲート114を1層のみ含んでいてもよいし、図8に示すように、N層の第2の浮遊ゲート1141〜114Nを含んでいてもよい。
【0068】
以下、図8に示す積層構造211について、詳細に説明する。
【0069】
図8では、信号電荷は主に、第2の浮遊ゲート1141〜114N内に蓄積することが望ましい。そのため、キャリアを電子とする場合には、第1及び第3の浮遊ゲート112,116をp型ポリシリコン層とし、第2の浮遊ゲート1141〜114Nをn型ポリシリコン層とすることが望ましい。一方、キャリアを正孔とする場合には、第1及び第3の浮遊ゲート112,116をn型ポリシリコン層とし、第2の浮遊ゲート1141〜114Nをp型ポリシリコン層とすることが望ましい。また、これらの浮遊ゲートをメタル層とする場合には、第2の浮遊ゲート1141〜114Nの仕事関数は、第1の浮遊ゲート112の仕事関数、及び第3の浮遊ゲート116の仕事関数よりも高くすることが望ましい。
【0070】
ただし、第2の浮遊ゲート1141〜114Nのそれぞれの不純物濃度は、互いに異なる値でも構わない。同様に、第2の浮遊ゲート1141〜114Nのそれぞれの仕事関数は、互いに異なる値でも構わない。
【0071】
また、図8では、信号電荷を、N層の第2の浮遊ゲート1141〜114Nのうち、どの第2の浮遊ゲート内に蓄積しても構わない。例えば、1つの第2の浮遊ゲート内のみに信号電荷を蓄積してもよいし、複数の第2の浮遊ゲート内に信号電荷を蓄積してもよい。よって、N−1層のIFD膜1191〜119N-1はそれぞれ、直接トンネル膜でもFNトンネル膜でも構わない。
【0072】
なお、信号電荷をどの第2の浮遊ゲート内に蓄積してもよいという観点から言うと、キャリアを電子とする場合、第2の浮遊ゲート1141〜114Nのうちの一部は、p型ポリシリコン層としても構わない。同様に、キャリアを正孔とする場合、第2の浮遊ゲート1141〜114Nのうちの一部は、n型ポリシリコン層としても構わない。同様に、浮遊ゲートをメタル層とする場合、一部の第2の浮遊ゲート1141〜114Nの仕事関数は、第1の浮遊ゲート112の仕事関数、又は第3の浮遊ゲート116の仕事関数よりも低くしても構わない。
【0073】
図8に示す構造によれば、図2に示す構造を採用する場合と同様に、電荷保持特性及び書き込み特性に優れたセルトランジスタ201を実現することが可能となる。
【0074】
以上のように、本実施形態のセルトランジスタは、第1の浮遊ゲート、1層以上の第2の浮遊ゲート、及び第3の浮遊ゲートを備えている。
【0075】
その結果、本実施形態では、ゲート絶縁膜と第2の浮遊ゲートとの間に、第1の浮遊ゲートが設けられている。これにより、本実施形態では、電荷が主に第2の浮遊ゲート内に蓄積される場合に、ゲート絶縁膜に掛かる電界の強度が低減されるため、良好な電荷保持特性を実現することが可能となる。
【0076】
更に、本実施形態では、ゲート間絶縁膜と第2の浮遊ゲートとの間に、第3の浮遊ゲートが設けられている。これにより、本実施形態では、書き込み時に電荷がゲート間絶縁膜を通じて制御ゲートへと抜け出る効果が低減されるため、書き込み飽和を減らすことで、良好な書き込み特性を実現することが可能となる。
【0077】
よって、本実施形態によれば、電荷保持特性及び書き込み特性に優れたセルトランジスタを実現することが可能となる。
【0078】
以下、本発明の第2から第4実施形態について説明する。これらの実施形態は、第1実施形態の変形例であり、これらの実施形態については、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0079】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態の半導体記憶装置を構成するセルトランジスタ201及び選択トランジスタ202の断面を示す側方断面図である。図9は、図2と同様、図1に示すI断面(GC断面)における断面図となっている。
【0080】
図9に示すセルトランジスタ201は、図2と同様、基板101上に順に形成されたゲート絶縁膜111と、第1の浮遊ゲート112と、第1のIFD膜113と、第2の浮遊ゲート114と、第2のIFD膜115と、第3の浮遊ゲート116と、ゲート間絶縁膜117と、制御ゲート118とを備えている。
【0081】
これに対し、図9に示す選択トランジスタ202は、ゲート絶縁膜131と、ゲート電極132とを備えている。
【0082】
以下、選択トランジスタ202の構造について、詳細に説明する。
【0083】
ゲート絶縁膜131は、基板101上に順に形成された第1絶縁膜141と、第1電極層142と、第2絶縁膜143により構成されている。
【0084】
第1絶縁膜141、第1電極層142、及び第2絶縁膜143はそれぞれ、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111、第1の浮遊ゲート112、及び第1のIFD膜113と同じ材料層から形成された層である。
【0085】
例えば、第1絶縁膜141は、ゲート絶縁膜111及び第1絶縁膜141を形成するための共通の絶縁材層を基板101上に形成し、当該絶縁材層をエッチングによってゲート絶縁膜111及び第1絶縁膜141に加工することで形成され、第1電極層142及び第2絶縁膜143も同様に形成される。
【0086】
よって、第1絶縁膜141、第1電極層142、及び第2絶縁膜143の膜厚はそれぞれ、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111、第1の浮遊ゲート112、及び第1のIFD膜113の膜厚と等しくなっている。
【0087】
また、ゲート電極132は、第2絶縁膜143上に順に形成された第2電極層144と、第3絶縁膜145と、第3電極層146と、第4絶縁膜147と、第4電極層148により構成されている。
【0088】
第2電極層144、第3絶縁膜145、第3電極層146、第4絶縁膜147、及び第4電極層148はそれぞれ、セルトランジスタ201の第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、第3の浮遊ゲート116、ゲート間絶縁膜117、及び制御ゲート118と同じ材料層から形成された層である。
【0089】
よって、第2電極層144、第3絶縁膜145、第3電極層146、第4絶縁膜147、及び第4電極層148の膜厚はそれぞれ、セルトランジスタ201の第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、第3の浮遊ゲート116、ゲート間絶縁膜117、及び制御ゲート118の膜厚と等しくなっている。
【0090】
また、選択トランジスタ202には、第3絶縁膜145、第3電極層146、及び第4絶縁膜147を貫通する開口部Hが設けられており、この開口部H内に、第4電極層148の一部が埋め込まれている。これにより、第2から第4電極層144,146,148が互いに導通されており、これらの電極層144,146,148によりゲート電極132が形成されている。
【0091】
以上のように、本実施形態の選択トランジスタ202は、それぞれゲート絶縁膜111から制御ゲート118と同じ材料層から形成された第1絶縁膜141から第4電極層148により構成されている。このような構成には、セルトランジスタ201を形成する工程を利用して選択トランジスタ202も形成できるという利点がある。これにより、セルトランジスタ201を製造するための工程と、選択トランジスタ202を製造するための工程の多くを共通化できるため、これらのトランジスタ201,202を比較的少ない工程数で製造することが可能となる。
【0092】
このように、本実施形態によれば、上記のようなセルトランジスタ201と共に製造するのに適した選択トランジスタ202を提供することが可能となる。
【0093】
1)第2実施形態の変形例
図10は、図9の半導体記憶装置の変形例の断面を示す側方断面図である。
【0094】
図9では、開口部Hが、第3絶縁膜145、第3電極層146、及び第4絶縁膜147を貫通している。これにより、第2から第4電極層144,146,148が互いに導通されており、これらの電極層144,146,148によりゲート電極132が形成されている。
【0095】
これに対し、図10では、開口部Hが、第2絶縁膜143、第2電極層144、第3絶縁膜145、第3電極層146、及び第4絶縁膜147を貫通している。これにより、第1から第4電極層142,144,146,148が互いに導通されており、これらの電極層142,144,146,148によりゲート電極132が形成されている。
【0096】
図10に示す構造によれば、図9の場合と同様、上記のようなセルトランジスタ201と共に製造するのに適した選択トランジスタ202を提供することが可能となる。
【0097】
ただし、図10に示す構造の選択トランジスタ202には、図9に示す構造の選択トランジスタ202に比べ、ゲート絶縁膜131が絶縁膜(第1絶縁膜141)のみで形成されているため、電気特性が良好になるという利点がある。
【0098】
一方、図9に示す構造の選択トランジスタ202には、図10に示す構造の選択トランジスタ202に比べ、開口部Hのエッチング加工の際に、開口部Hが第1絶縁膜141を貫通してしまうおそれが少なくなるため、開口部Hを形成するエッチング加工を比較的容易に行うことができるという利点がある。
【0099】
2)第2電極層の多層構造
図11は、第2の浮遊ゲートが多層構造を有するセルトランジスタ201と、このようなセルトランジスタ201と共に製造された選択トランジスタ202の例を示した側方断面図である。
【0100】
図11では、図9に示す1層の第2の浮遊ゲート114が、N層の第2の浮遊ゲート1141〜114Nと、N−1層のIFD膜1191〜119N-1とを含む積層構造211に置き換えられている。図8の場合と同様である。
【0101】
図11では更に、図9に示す1層の第2電極層144が、N層の第2電極層1441〜144Nと、N−1層の絶縁膜1491〜149N-1とを含む積層構造212に置き換えられている。本実施形態の選択トランジスタ202は、図9に示すように、第2電極層144を1層のみ含んでいてもよいし、図11に示すように、N層の第2電極層1441〜144Nを含んでいてもよい。
【0102】
図11において、第2電極層1441〜144Nはそれぞれ、第2の浮遊ゲート1141〜114Nと同じ材料層から形成される。また、絶縁膜1491〜149N-1はそれぞれ、IFD膜1191〜119N-1と同じ材料層から形成される。
【0103】
このような構成には、セルトランジスタ201の第2の浮遊ゲートについて多層構造を採用する場合に、セルトランジスタ201を形成する工程を利用して選択トランジスタ202も形成できるという利点がある。
【0104】
これにより、セルトランジスタ201を製造するための工程と、選択トランジスタ202を製造するための工程の多くを共通化できるため、これらのトランジスタ201,202を比較的少ない工程数で製造することが可能となる。
【0105】
なお、図11では、開口部Hが、第4絶縁膜147、第3電極層146、第3絶縁膜145、及び第2電極層1442〜144Nを貫通しており、第2電極層1441に到達している。しかしながら、この開口部Hは更に、第2電極層1441及び第2絶縁膜143を貫通し、第1電極層142に到達していても構わない。
【0106】
また、図9から図11の選択トランジスタ202には、複数の開口部Hを設けても構わない。また、各開口部Hの開口面積は、どのような値に設定しても構わない。
【0107】
以上のように、本実施形態の選択トランジスタは、第1の浮遊ゲートと同じ材料層から形成される第1電極層と、1層以上の第2の浮遊ゲートと同じ材料層から形成される1層以上の第2電極層と、第3の浮遊ゲートと同じ材料層から形成される第3電極層とを備えている。よって、本実施形態によれば、これらの浮遊ゲートを備えるセルトランジスタと共に製造するのに適した選択トランジスタを提供することが可能となる。
【0108】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態の半導体記憶装置を構成するセルトランジスタ201、選択トランジスタ202、LVトランジスタ203、及びHVトランジスタ204の断面を示す側方断面図である。
【0109】
図12(A)には、図9と同様、セルトランジスタ201及び選択トランジスタ202の断面が示されている。また、図12(B)及び(C)には、周辺トランジスタであるLV(低電圧駆動)トランジスタ203及びHV(高電圧駆動)トランジスタ204の断面が示されている。LVトランジスタ203は、第1の電圧で駆動される第1の周辺トランジスタの例である。また、HVトランジスタ204は、第1の電圧よりも高い第2の電圧で駆動される第2の周辺トランジスタの例である。
【0110】
図12(A)に示すセルトランジスタ201は、図9と同様、基板101上に順に形成されたゲート絶縁膜111と、第1の浮遊ゲート112と、第1のIFD膜113と、第2の浮遊ゲート114と、第2のIFD膜115と、第3の浮遊ゲート116と、ゲート間絶縁膜117と、制御ゲート118とを備えている。
【0111】
これに対し、図12(B)に示すLVトランジスタ203は、ゲート絶縁膜151と、ゲート電極152とを備えている。
【0112】
以下、LVトランジスタ203の構造について、詳細に説明する。
【0113】
ゲート絶縁膜151は、基板101上に順に形成された第1絶縁膜161と、第1電極層162と、第2絶縁膜163により構成されている。図12(A)に示す選択トランジスタ202のゲート絶縁膜131と同様である。
【0114】
そして、第1絶縁膜161、第1電極層162、及び第2絶縁膜163はそれぞれ、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111、第1の浮遊ゲート112、及び第1のIFD膜113と同じ材料層から形成されている。
【0115】
よって、第1絶縁膜161、第1電極層162、及び第2絶縁膜163の膜厚はそれぞれ、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111、第1の浮遊ゲート112、及び第1のIFD膜113の膜厚と等しくなっている。
【0116】
また、ゲート電極152は、第2絶縁膜163上に順に形成された第2電極層164と、第3絶縁膜165と、第3電極層166と、第4絶縁膜167と、第4電極層168により構成されている。図12(A)に示す選択トランジスタ202のゲート電極132と同様である。
【0117】
そして、第2電極層164、第3絶縁膜165、第3電極層166、第4絶縁膜167、及び第4電極層168はそれぞれ、セルトランジスタ201の第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、第3の浮遊ゲート116、ゲート間絶縁膜117、及び制御ゲート118と同じ材料層から形成されている。
【0118】
よって、第2電極層164、第3絶縁膜165、第3電極層166、第4絶縁膜167、及び第4電極層168の膜厚はそれぞれ、セルトランジスタ201の第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、第3の浮遊ゲート116、ゲート間絶縁膜117、及び制御ゲート118の膜厚と等しくなっている。
【0119】
また、LVトランジスタ203には、第3絶縁膜165、第3電極層166、及び第4絶縁膜167を貫通する開口部HLが設けられており、この開口部HL内に、第4電極層168の一部が埋め込まれている。これにより、第2から第4電極層164,166,168が互いに導通されており、これらの電極層164,166,168によりゲート電極152が形成されている。
【0120】
以上のように、本実施形態のLVトランジスタ203は、それぞれゲート絶縁膜111から制御ゲート118と同じ材料層から形成された第1絶縁膜161から第4電極層168により構成されている。このような構成には、セルトランジスタ201を形成する工程を利用してLVトランジスタ203も形成できるという利点がある。これにより、セルトランジスタ201を製造するための工程と、LVトランジスタ203を製造するための工程の多くを共通化できるため、これらのトランジスタ201,203を比較的少ない工程数で製造することが可能となる。
【0121】
また、図12(C)に示すHVトランジスタ204は、ゲート絶縁膜171と、ゲート電極172とを備えている。
【0122】
以下、HVトランジスタ204の構造について、詳細に説明する。
【0123】
ゲート絶縁膜171は、基板101上に順に形成された第1絶縁膜181、第1電極層182、及び第2絶縁膜183により構成されている。図12(A)に示す選択トランジスタ202のゲート絶縁膜131と同様である。
【0124】
そして、第1電極層162及び第2絶縁膜163はそれぞれ、セルトランジスタ201の第1の浮遊ゲート112及び第1のIFD膜113と同じ材料層から形成されている。
【0125】
よって、第1電極層162及び第2絶縁膜163の膜厚はそれぞれ、セルトランジスタ201の第1の浮遊ゲート112及び第1のIFD膜113の膜厚と等しくなっている。
【0126】
一方、第1絶縁膜181は、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111と同じ材料層から形成された部分と、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111と異なる材料層から形成された部分とを含んでおり、第1絶縁膜181の膜厚は、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111の膜厚よりも厚くなっている。
【0127】
また、ゲート電極172は、第2絶縁膜183上に順に形成された第2電極層184と、第3絶縁膜185と、第3電極層186と、第4絶縁膜187と、第4電極層188により構成されている。図12(A)に示す選択トランジスタ202のゲート電極132と同様である。
【0128】
そして、第2電極層184、第3絶縁膜185、第3電極層186、第4絶縁膜187、及び第4電極層188はそれぞれ、セルトランジスタ201の第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、第3の浮遊ゲート116、ゲート間絶縁膜117、及び制御ゲート118と同じ材料層から形成されている。
【0129】
よって、第2電極層184、第3絶縁膜185、第3電極層186、第4絶縁膜187、及び第4電極層188の膜厚はそれぞれ、セルトランジスタ201の第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、第3の浮遊ゲート116、ゲート間絶縁膜117、及び制御ゲート118の膜厚と等しくなっている。
【0130】
また、HVトランジスタ204には、第3絶縁膜185、第3電極層186、及び第4絶縁膜187を貫通する開口部HHが設けられており、この開口部HH内に、第4電極層188の一部が埋め込まれている。これにより、第2から第4電極層184,186,188が互いに導通されており、これらの電極層184,186,188によりゲート電極172が形成されている。
【0131】
以上のように、本実施形態のHVトランジスタ204は、それぞれ第1の浮遊ゲート112から制御ゲート118と同じ材料層から形成された第1電極層162から第4電極層168により構成されている。このような構成には、セルトランジスタ201を形成する工程を利用してHVトランジスタ204も形成できるという利点がある。これにより、セルトランジスタ201を製造するための工程と、HVトランジスタ204を製造するための工程の多くを共通化できるため、これらのトランジスタ201,204を比較的少ない工程数で製造することが可能となる。
【0132】
また、本実施形態では、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181の膜厚が、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111の膜厚、選択トランジスタ202の第1絶縁膜141の膜厚、及びLVトランジスタ203の第1絶縁膜161の膜厚よりも厚くなっている。
【0133】
一般に、HVトランジスタ204のゲート電圧は、LVトランジスタ203のゲート電圧よりも高いため、HVトランジスタ204のゲート絶縁膜171の実効膜厚は、LVトランジスタ203のゲート絶縁膜151の実効膜厚よりも厚くする必要がある。即ち、本実施形態で言えば、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181、第1絶縁膜182、及び第2絶縁膜183の実効膜厚の合計を、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161、第1電極層162、及び第2絶縁膜163の実効膜厚の合計よりも厚くする必要がある。
【0134】
そこで、本実施形態では、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181を、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161等と作り分けることで、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181の膜厚を、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161等の膜厚よりも厚くしている。これにより、本実施形態では、HVトランジスタ204のゲート絶縁膜171の実効膜厚が、LVトランジスタ203のゲート絶縁膜151の実効膜厚よりも厚くなっている。
【0135】
なお、このような第1絶縁膜181は例えば、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111、選択トランジスタ202の第1絶縁膜141、及びLVトランジスタ203の第1絶縁膜161の材料層を基板101上に堆積する前に、基板101上におけるHLトランジスタ204の形成予定領域に、第1絶縁膜181の材料層を堆積しておくことで形成可能である。この場合、第1絶縁膜181の膜厚は、これら2つの材料層の膜厚の和となる。
【0136】
なお、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181は、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161よりも、その物理膜厚が厚い必要はなく、その実効膜厚が厚くなっていれば十分である。
【0137】
1)第3実施形態の第1変形例
図13は、図12の半導体記憶装置の第1変形例の断面を示す側方断面図である。
【0138】
図12(B)では、LVトランジスタ203の開口部HLが、第3絶縁膜165、第3電極層166、及び第4絶縁膜167を貫通している。これにより、第2から第4電極層164,166,168が互いに導通されており、これらの電極層164,166,168によりゲート電極152が形成されている。
【0139】
同様に、図12(C)では、HVトランジスタ204の開口部HHが、第3絶縁膜185、第3電極層186、及び第4絶縁膜187を貫通している。これにより、第2から第4電極層184,186,188が互いに導通されており、これらの電極層184,186,188によりゲート電極172が形成されている。
【0140】
これに対し、図13(B)では、LVトランジスタ203の開口部HLが、第2絶縁膜163、第2電極層164、第3絶縁膜165、第3電極層166、及び第4絶縁膜167を貫通している。これにより、第1から第4電極層162,164,166,168が互いに導通されており、これらの電極層162,164,166,168によりゲート電極152が形成されている。
【0141】
同様に、図13(C)では、HVトランジスタ204の開口部HHが、第2絶縁膜183、第2電極層184、第3絶縁膜185、第3電極層186、及び第4絶縁膜187を貫通している。これにより、第1から第4電極層182,184,186,188が互いに導通されており、これらの電極層182,184,186,188によりゲート電極172が形成されている。
【0142】
また、図13(A)では、選択トランジスタ202の開口部Hが、第2絶縁膜143、第2電極層144、第3絶縁膜145、第3電極層146、及び第4絶縁膜147を貫通している。これにより、第1から第4電極層142,144,146,148が互いに導通されており、これらの電極層142,144,146,148によりゲート電極132が形成されている。
【0143】
図13に示す構造によれば、図12の場合と同様、上記のようなセルトランジスタ201と共に製造するのに適したLVトランジスタ203及びHVトランジスタ204を提供することが可能となる。
【0144】
ただし、図13に示す構造のLVトランジスタ203及びHVトランジスタ204には、図12に示す構造のLVトランジスタ203及びHVトランジスタ204に比べ、ゲート絶縁膜151,171がそれぞれ絶縁膜(第1絶縁膜161,181)のみで形成されているため、電気特性が良好になるという利点がある。
【0145】
一方、図12に示す構造のLVトランジスタ203及びHVトランジスタ204には、図13に示す構造のLVトランジスタ203及びHVトランジスタ204に比べ、開口部HL,HHのエッチング加工の際に、開口部HL,HHが第1絶縁膜161,181を貫通してしまうおそれが少なくなるため、開口部HL,HHを形成するエッチング加工を比較的容易に行うことができるという利点がある。
【0146】
2)第3実施形態の第2変形例
図14は、図12の半導体記憶装置の第2変形例の断面を示す側方断面図である。
【0147】
図14(B)では、図13(B)と同様、LVトランジスタ203の開口部HLが、第2絶縁膜163、第2電極層164、第3絶縁膜165、第3電極層166、及び第4絶縁膜167を貫通している。これにより、第1から第4電極層162,164,166,168が互いに導通されており、これらの電極層162,164,166,168によりゲート電極152が形成されている。
【0148】
しかしながら、図14(B)では、第1絶縁膜161が、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111と同じ材料層から形成された部分と、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111と異なる材料層から形成された部分とを含んでおり、第1絶縁膜161の膜厚が、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111の膜厚よりも厚くなっている。
【0149】
図14(B)に示す構造は、例えば、LVトランジスタ203のゲート電圧が、選択トランジスタ202のゲート電圧よりも高く、LVトランジスタ203のゲート絶縁膜151の実効膜厚を、選択トランジスタ202のゲート絶縁膜131の実効膜厚よりも厚くする必要がある場合に有効である。即ち、図14(B)の場合で言えば、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161の実効膜厚を、選択トランジスタ202の第1絶縁膜141の実効膜厚よりも厚くする必要がある場合に有効である。
【0150】
ただし、図14では、図12や図13と同様、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181の膜厚が、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161等の膜厚よりも厚く、HVトランジスタ204のゲート絶縁膜171の実効膜厚が、LVトランジスタ203のゲート絶縁膜161等の実効膜厚よりも厚くなっている点に留意されたい。
【0151】
なお、このような第1絶縁膜161,181は例えば、セルトランジスタ201のゲート絶縁膜111、及び選択トランジスタ202の第1絶縁膜141の材料層を基板101上に堆積する前に、基板101上におけるHLトランジスタ204の形成予定領域とLVトランジスタ203の形成予定領域にそれぞれ、第1絶縁膜181の材料層と第1絶縁膜161の材料層を堆積しておくことで形成可能である。
【0152】
なお、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161は、選択トランジスタ202の第1絶縁膜141よりも、その物理膜厚が厚い必要はなく、その実効膜厚が厚くなっていれば十分である。
【0153】
3)第3実施形態の第3変形例
図15は、図12の半導体記憶装置の第3変形例の断面を示す側方断面図である。
【0154】
図15(B)では、図13(B)と同様、LVトランジスタ203の開口部HLが、第2絶縁膜163、第2電極層164、第3絶縁膜165、第3電極層166、及び第4絶縁膜167を貫通している。これにより、第1から第4電極層162,164,166,168が互いに導通されており、これらの電極層162,164,166,168によりゲート電極152が形成されている。
【0155】
一方、図15(C)では、図12(B)と同様、HVトランジスタ204の開口部HHが、第3絶縁膜185、第3電極層186、及び第4絶縁膜187を貫通している。これにより、第2から第4電極層184,186,188が互いに導通されており、これらの電極層184,186,188によりゲート電極172が形成されている。
【0156】
このように、LVトランジスタ203の開口部HLの深さと、HVトランジスタ204の開口部HHの深さは、互いに異なっていても構わない。
【0157】
なお、図15では、図12〜図14と同様、HVトランジスタ204のゲート絶縁膜171の実効膜厚を、LVトランジスタ203のゲート絶縁膜151の実効膜厚よりも厚くする必要がある。よって、図15では、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181の実効膜厚を、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161、第1電極層162、及び第2絶縁膜163の実効膜厚の合計よりも厚くする必要がある。図15では例えば、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181の膜厚を、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161の膜厚よりも十分に厚くすることで、HVトランジスタ204のゲート絶縁膜171の実効膜厚を、LVトランジスタ203のゲート絶縁膜151の実効膜厚よりも厚くすることが可能である。
【0158】
4)第2電極層の多層構造
図16は、第2の浮遊ゲートが多層構造を有するセルトランジスタ201と、このようなセルトランジスタ201と共に製造された選択トランジスタ202、LVトランジスタ203、及びHVトランジスタ204の例を示した側方断面図である。
【0159】
図16(A)では、図12(A)に示す1層の第2の浮遊ゲート114が、N層の第2の浮遊ゲート1141〜114Nと、N−1層のIFD膜1191〜119N-1とを含む積層構造211に置き換えられている。図11の場合と同様である。
【0160】
図16(A)では更に、図12(A)に示す1層の第2電極層144が、N層の第2電極層1441〜144Nと、N−1層の絶縁膜1491〜149N-1とを含む積層構造212に置き換えられている。図11の場合と同様である。
【0161】
また、図16(B)では、図12(B)に示す1層の第2電極層164が、N層の第2電極層1641〜164Nと、N−1層の絶縁膜1691〜169N-1とを含む積層構造213に置き換えられている。本実施形態のLVトランジスタ203は、図12(B)に示すように、第2電極層164を1層のみ含んでいてもよいし、図16(B)に示すように、N層の第2電極層1641〜164Nを含んでいてもよい。
【0162】
また、図16(C)では、図12(C)に示す1層の第2電極層184が、N層の第2電極層1841〜184Nと、N−1層の絶縁膜1891〜189N-1とを含む積層構造214に置き換えられている。本実施形態のHVトランジスタ204は、図12(C)に示すように、第2電極層184を1層のみ含んでいてもよいし、図16(C)に示すように、N層の第2電極層1841〜184Nを含んでいてもよい。
【0163】
図16(B)において、第2電極層1641〜164Nはそれぞれ、第2の浮遊ゲート1141〜114Nと同じ材料層から形成される。また、絶縁膜1691〜169N-1はそれぞれ、IFD膜1191〜119N-1と同じ材料層から形成される。
【0164】
同様に、図16(C)において、第2電極層1841〜184Nはそれぞれ、第2の浮遊ゲート1141〜114Nと同じ材料層から形成される。また、絶縁膜1891〜189N-1はそれぞれ、IFD膜1191〜119N-1と同じ材料層から形成される。
【0165】
このような構成には、セルトランジスタ201の第2の浮遊ゲートについて多層構造を採用する場合に、セルトランジスタ201を形成する工程を利用してLVトランジスタ203及びHVトランジスタ204も形成できるという利点がある。
【0166】
これにより、セルトランジスタ201を製造するための工程と、LVトランジスタ203及びHVトランジスタ204を製造するための工程の多くを共通化できるため、これらのトランジスタ201,202,204を比較的少ない工程数で製造することが可能となる。
【0167】
なお、図16(B)では、開口部HLが、第4絶縁膜167、第3電極層166、第3絶縁膜165、及び第2電極層1642〜164Nを貫通しており、第2電極層1641に到達している。しかしながら、この開口部HLは更に、第2電極層1641及び第2絶縁膜163を貫通し、第1電極層162に到達していても構わない。
【0168】
同様に、図16(C)では、開口部HHが、第4絶縁膜187、第3電極層186、第3絶縁膜185、及び第2電極層1842〜184Nを貫通しており、第2電極層1841に到達している。しかしながら、この開口部HHは更に、第2電極層1841及び第2絶縁膜183を貫通し、第1電極層182に到達していても構わない。
【0169】
また、図12から図16のLVトランジスタ203には、複数の開口部HLを設けても構わない。また、各開口部HLの開口面積は、どのような値に設定しても構わない。
【0170】
同様に、図12から図16のHVトランジスタ204には、複数の開口部HHを設けても構わない。また、各開口部HHの開口面積は、どのような値に設定しても構わない。
【0171】
以上のように、本実施形態の周辺トランジスタは、第1の浮遊ゲートと同じ材料層から形成される第1電極層と、1層以上の第2の浮遊ゲートと同じ材料層から形成される1層以上の第2電極層と、第3の浮遊ゲートと同じ材料層から形成される第3電極層とを備えている。よって、本実施形態によれば、これらの浮遊ゲートを備えるセルトランジスタと共に製造するのに適した周辺トランジスタを提供することが可能となる。
【0172】
(第4実施形態)
図17及び図18は、第4実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための側方断面図である。本実施形態では、図9に示す半導体記憶装置を製造する方法の一例を説明する。
【0173】
まず、図17(A)に示すように、基板101上に、セルトランジスタ201及び選択トランジスタ202の材料となる第1絶縁膜301、第1電極層302、第1絶縁膜303、第2電極層304、第3絶縁膜305、第3電極層306、及び第4絶縁膜307を順に形成する。
【0174】
なお、本方法では、第3電極層306の形成工程と第4絶縁膜307の形成工程との間に、第1絶縁膜301、第1電極層302、第2絶縁膜303、第2電極層304、第3絶縁膜305、及び第3電極層306のRIE(Reactive Ion Etching)加工が行われる。この際に、基板101上に素子分離絶縁膜123(図5〜図7参照)が形成される。
【0175】
次に、図17(B)に示すように、第4絶縁膜307上にマスク層311を形成し、マスク層311のパターニングを行う。マスク層311はここでは、レジスト膜である。次に、図17(B)に示すように、マスク層311を利用したRIE加工により、基板101上における選択トランジスタ202の形成予定領域において、第4絶縁膜307、第3電極層306、及び第3絶縁膜305を貫通する開口部Hを形成する。次に、マスク層311を除去する。
【0176】
次に、図17(C)に示すように、第4絶縁膜307上に、セルトランジスタ201及び選択トランジスタ202の材料となる第4電極層308を形成する。これにより、開口部Hに第4電極層308の一部が埋め込まれ、第2から第4電極層304,306,308が、開口部Hにより電気的に接続される。
【0177】
次に、図18(A)に示すように、第4電極層308上にマスク層312を形成し、マスク層312のパターニングを行う。マスク層312はここでは、レジスト膜である。
【0178】
次に、図18(B)に示すように、マスク層312を利用して、第1絶縁膜301、第1電極層302、第1絶縁膜303、第2電極層304、第3絶縁膜305、第3電極層306、第4絶縁膜307、及び第4電極層308のRIE加工を行う。
【0179】
これにより、第1絶縁膜301、第1電極層302、第2絶縁膜303、第2電極層304、第3絶縁膜305、第3電極層306、第4絶縁膜307、及び第4電極層308からそれぞれ、ゲート絶縁膜111、第1の浮遊ゲート112、第1のIFD膜113、第2の浮遊ゲート114、第2のIFD膜115、第3の浮遊ゲート116、ゲート間絶縁膜117、及び制御ゲート118が形成され、基板101上にセルトランジスタ201が形成される(図18(B))。
【0180】
更には、第1絶縁膜301、第1電極層302、第1絶縁膜303、第2電極層304、第3絶縁膜305、第3電極層306、第4絶縁膜307、及び第4電極層308からそれぞれ、第1絶縁膜141、第1電極層142、第2絶縁膜143、第2電極層144、第3絶縁膜145、第3電極層146、第4絶縁膜147、及び第4電極層148が形成され、基板101上に選択トランジスタ202が形成される(図18(B))。
【0181】
その後、本方法では、拡散層121の形成、マスク層312の除去、層間絶縁膜122の形成等が行われる(図18(C))。更には、コンタクトプラグの形成や、配線層の形成が行われる。このようにして、半導体記憶装置が製造される。
【0182】
なお、LVトランジスタ203やHVトランジスタ204も、第1絶縁膜301、第1電極層302、第1絶縁膜303、第2電極層304、第3絶縁膜305、第3電極層306、第4絶縁膜307、及び第4電極層308から形成可能である。
【0183】
これらのトランジスタ203,204を形成する場合、図17(B)に示す工程では、開口部Hに加え、開口部HL及びHVが形成される。また、LVトランジスタ203の第1絶縁膜161や、HVトランジスタ204の第1絶縁膜181を厚膜化する場合には、第1絶縁膜301の形成前に、第1絶縁膜181用の絶縁材層を形成する工程や、第1絶縁膜161用の絶縁材層を形成する工程を予め行っておく。
【0184】
以上のように、本実施形態では、セルトランジスタ201及び選択トランジスタ202を、共通の材料層である第1絶縁膜301、第1電極層302、第1絶縁膜303、第2電極層304、第3絶縁膜305、第3電極層306、第4絶縁膜307、及び第4電極層308から形成する。これにより、書き込み特性及び電荷保持特性に優れたセルトランジスタ201と、このようなセルトランジスタ201と共に製造するのに適した選択トランジスタ202とを具備する半導体記憶装置を実現することが可能となる。
【0185】
また、本実施形態の半導体記憶装置の製造方法は、上述したように、周辺トランジスタであるLVトランジスタ203及びHVトランジスタ204にも適用可能である。これにより、書き込み特性及び電荷保持特性に優れたセルトランジスタ201と、このようなセルトランジスタ202と共に製造するのに適した周辺トランジスタとを具備する半導体記憶装置を実現することが可能となる。
【0186】
以上、本発明の具体的な態様の例を、第1から第4実施形態により説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0187】
101 基板
111 ゲート絶縁膜(TOX膜)
112 第1の浮遊ゲート
113 第1のIFD膜
114 第2の浮遊ゲート
115 第2のIFD膜
116 第3の浮遊ゲート
117 ゲート間絶縁膜(IPD膜)
118 制御ゲート
119 IFD膜
121 拡散層
122 層間絶縁膜
123 素子分離絶縁膜
131、151、171 ゲート絶縁膜
132、152、172 ゲート電極
141、161、181 第1絶縁膜
142、162、182 第1電極層
143、163、183 第2絶縁膜
144、164、184 第2電極層
145、165、185 第3絶縁膜
146、166、186 第3電極層
147、167、187 第4絶縁膜
148、168、188 第4電極層
149、169、189 絶縁膜
201 セルトランジスタ
202 選択トランジスタ
203 LVトランジスタ
204 HVトランジスタ
211、212、213、214 積層構造
301 第1絶縁膜
302 第1電極層
303 第2絶縁膜
304 第2電極層
305 第3絶縁膜
306 第3電極層
307 第4絶縁膜
308 第4電極層
311 マスク層
312 マスク層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にセルトランジスタが形成された半導体記憶装置であって、
前記セルトランジスタは、
前記基板上に、FN(Fowler-Nordheim)トンネル膜として機能するゲート絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最下層の浮遊ゲートに相当する第1の浮遊ゲートと、
前記第1の浮遊ゲート上に、FNトンネル膜として機能する第1の浮遊ゲート間絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最下層の浮遊ゲートと最上層の浮遊ゲートとの間に介在する第2の浮遊ゲートと、
前記第2の浮遊ゲート上に、FNトンネル膜として機能する第2の浮遊ゲート間絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最上層の浮遊ゲートに相当する第3の浮遊ゲートと、
前記第3の浮遊ゲート上に、電荷ブロック膜として機能するゲート間絶縁膜を介して形成された制御ゲートと、
を備えることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記セルトランジスタは、2層以上の前記第2の浮遊ゲートを備え、
前記2層以上の前記第2の浮遊ゲートにおける隣接する層同士の間にはそれぞれ、直接トンネル膜又はFNトンネル膜として機能する浮遊ゲート間絶縁膜が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1及び第3の浮遊ゲートは、第1導電型の半導体層であり、
前記第2の浮遊ゲートは、前記第1導電型と異なる第2導電型の半導体層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1から第3の浮遊ゲートは、メタル層であり、
前記第2の浮遊ゲートの仕事関数は、前記第1の浮遊ゲートの仕事関数、及び前記第3の浮遊ゲートの仕事関数よりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
基板上に、セルトランジスタと、選択又は周辺トランジスタとが形成された半導体記憶装置であって、
前記選択又は周辺トランジスタは、
前記基板上に、第1絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最下層の浮遊ゲートに相当する第1の浮遊ゲートと同じ材料層から形成された第1電極層と、
前記第1電極層上に、第2絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最下層の浮遊ゲートと最上層の浮遊ゲートとの間に介在する第2の浮遊ゲートと同じ材料層から形成された第2電極層と、
前記第2電極層上に、第3絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタ内の最上層の浮遊ゲートに相当する第3の浮遊ゲートと同じ材料層から形成された第3電極層と、
前記第3電極層上に、第4絶縁膜を介して形成され、前記セルトランジスタの制御ゲートと同じ材料層から形成された第4電極層とを備え、
前記第4電極層は、前記3及び第4絶縁膜を貫通するよう形成された開口部により前記第2及び第3電極層と導通されている、又は、前記第2から第4絶縁膜を貫通するよう形成された開口部により前記第1から第3電極層と導通されている、
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項6】
前記セルトランジスタは、2層以上の前記第2の浮遊ゲートを備え、
前記選択又は周辺トランジスタは、2層以上の前記第2電極層を備え、
前記2層以上の前記第2電極層における隣接する層同士の間にはそれぞれ、絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記周辺トランジスタは、
第1の電圧で駆動される第1の周辺トランジスタと、
前記第1の電圧よりも高い第2の電圧で駆動される第2の周辺トランジスタとを含み、
前記第2の周辺トランジスタの前記第1絶縁膜は、前記第1の周辺トランジスタの前記第1絶縁膜よりも、実効膜厚が厚いことを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記周辺トランジスタは、
第1の電圧で駆動される第1の周辺トランジスタと、
前記第1の電圧よりも高い第2の電圧で駆動される第2の周辺トランジスタとを含み、
前記第1の周辺トランジスタの前記第1絶縁膜は、前記選択トランジスタの前記第1絶縁膜よりも、実効膜厚が厚いことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−44059(P2012−44059A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185346(P2010−185346)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】