説明

半導体記憶装置

【課題】微細化を図りつつ、書き込みおよび読み出し不良を抑制する。
【解決手段】メモリセルストリングで構成されるセルアレイとセルアレイの下部に配置される複数の電圧発生回路と電圧発生回路を制御する制御回路とを具備し、複数のメモリセルストリングは、一対の柱状部および一対の柱状部の下端を連結させるように形成された連結部を有する半導体層と柱状部と直交した複数のコントロールゲートと柱状部と複数のコントロールゲートとの各交差部に形成された複数のメモリセルトランジスタとを含み、制御回路は、書き込みおよび読み出し動作時に、複数の電圧発生回路のうち、複数のメモリセルストリングのうちの書き込みおよび読み出し対象のメモリストリングにノイズを与える電圧発生回路を駆動させず、複数のメモリセルストリングのうちの書き込みおよび読み出し対象のメモリストリングにノイズを与えない電圧発生回路を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLSIにおいて、素子はシリコン基板上の2次元平面内に集積されていた。このため、メモリの記憶容量を増加させるには、1つの素子の寸法を小さくする(微細化する)しかない。しかし、近年、その微細化もコスト的、技術的に困難なものになってきた。
【0003】
素子の微細化のためにはフォトリソグラフィの技術の向上が必要である。現在のArF液浸露光技術では40nm付近のルールが解像限界となっており、さらなる微細化のためにはEUV(Extreme Ultra Violet)露光器の導入が必要である。しかし、EUV露光器は、コストが非常に高く現実的ではない。また、仮に微細化が達成されたとしても、駆動電圧などがスケーリングされない限り、素子間の耐圧などが物理的な限界点に達することが予想される。このため、デバイスとしての動作が困難になる可能性が高い。
【0004】
上記問題を解決するため、メモリを3次元的に積層するアイデアが提案されている。しかし、一般的な3次元デバイスは、各層毎に少なくとも3回のリソグラフィ工程を必要とする。このリソグラフィ工程は、コストが高い。すなわち、3次元化することでメモリの記憶容量を増加させることはできるが、コストを低減することはできない。むしろ4層以上積層する場合、通常の2次元メモリよりもコストが増加してしまう。
【0005】
このようなメモリの3次元化に伴うコスト問題に対して、一括加工型の3次元積層メモリが提案されている。この製造方法によれば、積層数によらず、一括して3次元積層メモリを形成することができる。このため、コストの増加を抑制することが可能になる。一括加工型3次元積層メモリにおいて、各ゲート電極とシリコンピラーとの交差位置にメモリセルとしてMONOSトランジスタが配置されている。
【0006】
この一括加工型3次元積層メモリとして、積層方向にU字型にNANDストリングが形成されたパイプ型のNAND型フラッシュメモリが提案されている。このパイプ型のNAND型フラッシュメモリでは、隣接する2つのシリコンピラーにより1つのNANDストリングが形成されている。具体的には、それぞれのシリコンピラーの上端に選択ゲートが配置され、一方はビット線に接続され、他方はソース線に接続されている。また、これら隣接する2つのシリコンピラーは、下端においてパイプと呼ばれるトランジスタで接続されている。
【0007】
このようなパイプ型の一括加工型3次元積層メモリにおいて、さらなる面積の縮小(微細化)を図るために、セルアレイの下にチャージポンプ(Charge Pump)等の電源回路、周辺回路、および制御回路等を埋め込むことが考えられている。
【0008】
しかしながら、このような構造において、データの読み出しまたは書き込み時の信号がセルアレイの最下段に配置されるパイプ部分を通過する際、下部のチャージポンプが駆動することにより、信号にノイズを与える。これにより、誤書き込みまたは誤読み出しが生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−117018号公報
【特許文献2】特開2009−117669号公報
【特許文献3】特開平11−317501号公報
【特許文献4】特開2004−56140号公報
【特許文献5】特開2009−266946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
微細化を図りつつ、書き込みおよび読み出し不良を抑制する半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態による半導体記憶装置は、マトリクス状に配置された複数のメモリセルストリングで構成されるセルアレイと、前記セルアレイの下部に配置され、前記セルアレイに電圧を印加する複数の電圧発生回路と、前記電圧発生回路を制御する制御回路と、を具備する。前記複数のメモリセルストリングは、基板に対して垂直方向に延び、カラム方向に並ぶ一対の柱状部、および前記一対の柱状部の下端を連結させるように形成された連結部を有する半導体層と、前記柱状部と直交してロウ方向に延び、前記基板に対して垂直方向に積層された複数のコントロールゲートと、前記柱状部と複数の前記コントロールゲートとの各交差部に形成され、前記基板に対して垂直方向に直列に接続された複数のメモリセルトランジスタと、を含む。前記制御回路は、書き込みおよび読み出し動作時に、複数の前記電圧発生回路のうち、複数の前記メモリセルストリングのうちの書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与える前記電圧発生回路を駆動させず、複数の前記メモリセルストリングのうちの書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与えない前記電圧発生回路を駆動させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る半導体記憶装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のセルアレイを概略的に示す平面図。
【図4】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のチャージポンプの動作を概略的に示す平面図。
【図5】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のセルアレイを概略的に示す平面図。
【図6】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のセルアレイの各エリアのアドレスを示す平面図。
【図7】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のセルアレイの各ブロックのアドレスを示す平面図。
【図8】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のチャージポンプの動作を示す回路図。
【図9】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のチャージポンプを示す回路図。
【図10】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のチャージポンプの動作を示す回路図。
【図11】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のチャージポンプを示す回路図。
【図12】第4の実施形態に係る半導体記憶装置のチャージポンプの動作を示す回路図。
【図13】第5の実施形態に係る半導体記憶装置のチャージポンプの動作を示す回路図。
【図14】図14(a)は、第6の実施形態に係る半導体記憶装置のリングオシレータの動作を概略的に示す平面図、図14(b)は、第6の実施形態に係る半導体記憶装置の電圧発生回路の動作を示すブロック図。
【図15】第7の実施形態に係る半導体記憶装置のリングオシレータの動作を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態を以下に図面を参照して説明する。図面において、同一部分には同一の参照符号を付す。
【0014】
<全体構成例>
図1を用いて、本実施形態に係る半導体記憶装置(NAND型フラッシュメモリ)の全体構成について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る半導体記憶装置のブロック図を示している。
【0016】
図1に示すように、半導体記憶装置は、制御回路1、電圧発生回路(チャージポンプ等)2、ロウデコーダ3、カラムデコーダ4、センスアンプS/A5、およびメモリセルアレイ6を備えている。
【0017】
制御回路1は、電圧発生回路2に電気的に接続され、書き込み時、読み出し時および消去時におけるメモリセルのワード線やビット線に供給する電圧を制御するように構成されている。
【0018】
電圧発生回路2は、ロウデコーダ3、カラムゲート4、センスアンプS/A5に電気的に接続され、制御回路1の制御に従い、これらの回路に必要な電圧を生成および供給するように構成されている。
【0019】
ロウデコーダ3は、書き込み時、読み出し時および消去時にワード線を選択し、電圧発生回路2より供給される電圧を選択したワード線に印加するように構成されている。
【0020】
カラムデコーダ4は、書き込み時、読み出し時および消去時にビット線を選択し、電圧発生回路2より供給される電圧を選択したビット線に印加するように構成されている。
【0021】
センスアンプS/A5は、メモリセルからビット線に読み出されたデータを増幅するように構成されている。なお、センスアンプS/A5は、カラムデコーダ3と一体であってもよい。
【0022】
メモリセルアレイ6は、基板に垂直方向に形成される複数のNANDストリングで構成される複数のブロック1〜nを備えている。本実施形態において、メモリセルアレイ6は、3次元的に積層された構造を有する。
【0023】
なお、図1には示さないが、本実施形態において、電圧発生回路2は、メモリセルアレイ6の下部に配置されている。
【0024】
<構造>
図2を用いて、本実施形態に係る半導体記憶装置の構造について説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る一括加工型3次元メモリの斜視図を示している。ここで、ロウ方向は積層方向に直交する方向であり、カラム方向は積層方向およびロウ方向に直交する方向である。
【0026】
図2に示すように、一括加工型3次元メモリは、セルアレイ部A、および回路部Bを有している。
【0027】
セルアレイ部Aは、複数のNANDストリング(メモリセルストリング)20を含んでいる。各NANDストリング20は、複数のメモリセルトランジスタMTr、および2つの選択トランジスタSTrを有している。
【0028】
複数のメモリセルトランジスタMTrは、U字状シリコンピラーSPと複数のコントロールゲートCGとの各交差位置に形成されている。各メモリセルトランジスタMTrは、U字状シリコンピラーSPとコントロールゲートCGとの間に、図示せぬ電荷蓄積層を備え、MONOS構造を有している。
【0029】
2つの選択トランジスタSTrは、U字状シリコンピラーSPと2つの選択ゲートSGとの各交差位置に形成されている。2つの選択トランジスタSTrはともに、U字状シリコンピラーSPの上端に形成されている。一方の選択トランジスタSTrは上部側でソース線SCに接続され、他方の選択トランジスタSTrは上部側でビット線BLに接続されている。ビット線BLの上部には、配線層M2が設けられている。
【0030】
U字状シリコンピラーSPは、ロウ方向からみてU字状に形成されている。このU字状シリコンピラーSPは、積層方向に延びる一対の柱状部C、および一対の柱状部Cの下端を連結させるように形成されたパイプ部Dを有している。パイプ部Dは、バックゲートBG内に設けられ、バックゲートトランジスタBGTrを構成している。また、U字状シリコンピラーSPは、一対の柱状部Cの中心軸を結ぶ直線がカラム方向に平行になるように配置されている。また、U字状シリコンピラーSPは、ロウ方向およびカラム方向から構成される面内にマトリクス状となるように配置されている。
【0031】
複数のコントロールゲートCGは、バックゲートBGの上部に積層され、U字状シリコンピラーSPの柱状部Cに直交するように配置されている。各コントロールゲートCGは、ロウ方向に平行に延びている。また、各コントロールゲートCGは、カラム方向に隣接する2つのNANDストリング20におけるU字状シリコンピラーSPのうちの隣接する2つの柱状部Cに交差するように形成されている。さらに、各コントロールゲートCGは、カラム方向において、互いに絶縁分離してラインアンドスペースで形成されている。
【0032】
選択ゲートSGは、最上部のコントロールゲートCGの上部に設けられている。各選択ゲートSGは、ロウ方向に平行に延びている。各選択ゲートSGは、U字状シリコンピラーSPの各柱状部Cに交差するように形成され、カラム方向において互いに絶縁分離してラインアンドスペースで形成されている。
【0033】
バックゲートBGは、最下部のコントロールゲートCGの下部に設けられている。バックゲートBGは、U字状シリコンピラーSPのパイプ部Dの下部を覆うように、ロウ方向およびカラム方向に2次元的に広がって形成されている。
【0034】
ソース線SCは、選択ゲートSGの上部に設けられている。ソース線SCは、カラム方向に隣接する2つのNANDストリング20におけるU字状シリコンピラーSPのうちの隣接する2つの柱状部Cに交差するように形成されている。ソース線SCは、ロウ方向に平行に延びている。
【0035】
複数のビット線BLは、ソース線SCよりも上方に設けられている。各ビット線BLは、カラム方向に延び、ロウ方向において互いに絶縁分離してラインアンドスペースで形成されている。
【0036】
回路部Bは、例えば、基板10上に形成されたトランジスタTr、トランジスタTr上に形成された第1配線層M0、および第1配線層M0上に形成された第2配線層M1を有している。
【0037】
これらトランジスタTr、第1配線層M0、第2配線層M1(例えば、アルミニウム配線)、および図示せぬキャパシタ等で、図1に示すチャージポンプ42等が構成されている。
【0038】
本実施形態において、この回路部B(チャージポンプ42等)は、セルアレイ部Aの下部に設けられている。より具体的には、回路部Bは、パイプ部Dが設けられたバックゲートBGの下部に形成されている。このようなパイプ部Dの下部に回路部Bが設けられた構造において、以下の問題が生じる。
【0039】
ビット線BL中のデータがビット線BL側の選択ゲートSGを通じて、ソース線SC側の選択ゲートSGの下部のメモリセルトランジスタMTr(メモリセル)に書き込まれる場合を考える。このとき、データ信号は、ビット線BLに接続される柱状部Cを下降し、セルアレイ部A部の最下部に配置されるパイプ部Dを通過してソース線SC側の柱状部Cを再度上昇し、所望のメモリセルに書き込まれる。すなわち、データ信号がパイプ部Dを通過する際、パイプ部Dの下部(直下)に配置されるチャージポンプ42によってデータ信号にノイズが混入する。
【0040】
一方、書き込まれる所望のメモリセルがビット線BLからみてパイプ部Dより手前側(ビット線BLに接続される柱状部C側)にある場合であっても、チャージポンプ42によるノイズはパイプ部Dを介して柱状部Cに伝わり、データ信号に混入する。
【0041】
低抵抗化を図るため、チャージポンプ42のMOSキャパシタのゲートとして配線層M1が裏打ちされ、配線層M1とセルアレイ部Aの最下部のパイプ部Dとの距離は近い。このため、チャージポンプ42のノイズは、無視できない大きさとなっている。その結果、パイプ部Dの直下に配置されるチャージポンプ42のノイズは、信号の誤読み出し、誤書き込みの原因となる。
【0042】
これに対し、本実施形態は、最下部のパイプ部Dを介してNANDストリング20のデータ信号に混入されるチャージポンプ42からのノイズをできる限り最小化することを目的とする。
【0043】
<第1の実施形態>
図3および図4を用いて、第1の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。第1の実施形態は、書き込みおよび読み出し動作が行われるセルアレイの下部に配置されるチャージポンプは駆動されず、書き込みおよび読み出し動作が行われないセルアレイの下部に配置されるチャージポンプを駆動させて電圧を供給する例である。
【0044】
図3は、第1の実施形態に係る一括加工型3次元メモリの1つのチップにおけるセルアレイ部Aの概略的な平面図を示している。
【0045】
図3に示すように、1つのチップにおけるセルアレイ部Aは、複数のコントロールゲートブロック(CG Block)で構成されている。図3において、1つのチップは、4つのCG Blockで構成されている。
【0046】
各CG Blockは、複数のセルアレイ領域30−1、および複数のセルアレイ領域30−1の周辺に設けられるセルアレイ周辺領域30−2を含んでいる。各セルアレイ領域30−1には、図示せぬNANDストリングが配置されている。また、各セルアレイ周辺領域30−2には、ロウデコーダ3等が配置されている。
【0047】
1つのチップにおいて、コントロールゲートブロックセレクタ(CG Block Selector)30は、書き込みおよび読み出し動作時に、各CG Blockに接続された信号線31のうち1つの信号線31を選択する。これにより、選択された信号線31に接続されたCG Blockを選択CG Blockとし、それ以外の信号線31に接続されたCG Blockを非選択CG Blockとする。すなわち、選択CG Blockにおけるセルアレイ領域30−1に対して書き込みおよび読み出し動作が行われ、非選択CG Blockにおけるセルアレイ領域30−1に対して書き込みおよび読み出し動作が行われない。
【0048】
図4は、第1の実施形態に係る一括加工型3次元メモリの1つのチップにおける回路部Bの概略的な平面図を示している。
【0049】
図4に示すように、1つのチップにおける回路部Bは、複数の領域(図4において、4つの領域)で構成されている。上述したように、この回路部Bは、セルアレイ部Aの下部に設けられている。すなわち、図4に示す複数の領域は、図3に示す複数のCG Blockに対応している。この回路部Bにおける各領域には、電圧発生回路2として複数のチャージポンプ42が配置されている。
【0050】
1つのチップにおいて、チャージポンプドライバ(Charge Pump Driver)40は、書き込みおよび読み出し動作時に、制御線41を介して、セルアレイ部Aにおける非選択CG Blockに対応する領域のチャージポンプ42を駆動させる(活性にする)。すなわち、選択CG Blockの下部に配置されるチャージポンプ42を駆動させず(非活性にし)、非選択CG Blockの下部に配置されるチャージポンプ42を駆動させる。したがって、セルアレイ部Aにおける選択CG Blockに対して、非選択CG Blockの下部に配置される回路部Bにおけるチャージポンプ42によって電圧が供給される。
【0051】
なお、上述した動作の制御は、図1に示す制御回路1によって実行される。
【0052】
<効果>
上記第1の実施形態によれば、セルアレイ部Aの下部にチャージポンプ42等を含む回路部Bが配置されている。すなわち、セルアレイ部Aの投影面積の領域内に回路部Bが形成されるため、チップ全体としての面積の縮小を図ることができる。
【0053】
また、本実施形態では、書き込みおよび読み出し動作時、選択された(書き込みおよび読み出し対象の)CG Blockの下部に配置されるチャージポンプ42を駆動させない。すなわち、選択CG Blockに対して、非選択の(書き込みおよび読み出し非対象の)CG Blockの下部に配置されるチャージポンプ42によって電圧が供給される。これにより、選択されたCG Blockにおいて、書き込みおよび読み出し時のデータ信号に混入されるノイズを低減することができる。したがって、書き込みおよび読み出し不良を抑制することができる。
【0054】
<第2の実施形態>
図5乃至図9を用いて、第2の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。第1の実施形態では、チップ内をCG Block単位に分割してチャージポンプの駆動を制御した。これに対し、第2の実施形態は、CG Blockをさらに細分化してチャージポンプの駆動を制御する例である。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
【0055】
図5および図6は、第2の実施形態に係る一括加工型3次元メモリの1つのチップにおけるセルアレイ部Aの概略的な平面図を示している。
【0056】
図5に示すように、選択CG Blockは、例えば8個のエリア50に分割される。より具体的には、図6に示すように、1つのチップは例えば4ロウ(行)×8カラム(列)に細分化され、各エリア50は「R<0>〜R<3>,C<0>〜C<7>」でアドレスが割り付けられる。このエリア50毎に、ロウデコーダ3等によって、さらに書き込みおよび読み出し対象のNANDストリング20が選択される。図示はしないが、1つのエリア50は、数K本(例えば22K本)のNANDストリング20を含んでいる。
【0057】
このとき、図5に示すように、1つのエリア50において、数K本のNANDストリングのうち、数本(例えば8本)単位のNANDストリング(以下、NANDストリング束20’と称す)が選択される。すなわち、選択CG Blockの下部の全てのチャージポンプ42の駆動をとめると、実際に選択されていない(書き込みおよび読み出し動作が行われていない)NANDストリング20の下部のチャージポンプ42まで過剰にとめてしまうことになる。すなわち、非活性となるチャージポンプ42の領域が大きすぎ、結局トータルとしてのチャージポンプ42が占める面積を大きくせざるを得なくなる。
【0058】
これに対し、第2の実施形態では、1つのエリア50を複数のNANDストリング20を含む複数のブロックにさらに細分化し、各ブロックにチャージポンプ42を配置させ、これらを制御する。
【0059】
図7は、1つのエリア50における各ブロックのアドレスを示している。
【0060】
図7に示すように、1つのエリア50は、複数のNANDストリング20を含む例えば20個のブロック70にさらに細分化されている。各ブロック70は、「AB<0>〜AB<15>」または「SB<0>〜SB<3>」でアドレスが割り付けられる。なお、AB<0>〜AB<15>のブロック70にはアクティブ時に駆動するアクティブ用チャージポンプ(Active用 Charge Pump)、SB<0>〜SB<3>のブロック70にはスタンドバイ時に駆動するスタンドバイ用チャージポンプ(Standby用 Charge Pump)がそれぞれ、セルアレイ部Aの下部に配置されている。
【0061】
ここで、図示するように、例えば、選択されたNANDストリング束20’がAB<0>、AB<4>、AB<8>、AB<9>、AB<12>、AB<13>、SB<0>、およびSB<1>のブロック70に存在している場合を考える。なお、図5および図7において、NANDストリング束20’は、平面内に示されているが、実際は紙面奥行き方向に向かって形成されている。
【0062】
図8は、1つのエリア50におけるセルアレイ部Aの下部に配置されたチャージポンプ42の回路図を示している。ここで、チャージポンプ42上にNANDストリング束20’が存在していないブロック70は○で示され、NANDストリング束20’が存在しているブロック70は×で示される。
【0063】
図8に示すように、本実施形態では、各ブロック70の下部に1つのチャージポンプ42が配置されている。図7に示すように、選択されたNANDストリング束20’がAB<0>、AB<4>、AB<8>、AB<9>、AB<12>、AB<13>、SB<0>、およびSB<1>のブロック70に存在している場合、これらのブロック70の下部に配置されるチャージポンプ42を駆動させず、その他のブロック70の下部に配置されるチャージポンプ42を駆動させる。すなわち、あるチャージポンプ42が選択CG Blockの下部に配置される場合であっても、実際に選択されるNANDストリング束20’の存在していないブロック70の下部に配置されていれば、そのチャージポンプ42(ここでは、AB<1>〜AB<3>、AB<5>〜AB<7>、AB<10>、AB<11>、AB<14>〜AB<15>、SB<2>、SB<3>のブロック70の下部に配置されるチャージポンプ42)を駆動させる。これにより、できる限り、駆動させないチャージポンプ42を減らすようにする。
【0064】
図9は、本実施形態におけるチャージポンプ42の回路図の一例を示している。
【0065】
図9に示すように、本実施形態におけるチャージポンプ42は、例えば、NMOSディクソン型のチャージポンプである。具体的には、チャージポンプ42において、電源ノードと昇圧出力ノードの間に、ダイオード接続された複数個のNMOSトランジスタ(ここでは、7個のNMOSトランジスタTr1〜Tr7)が直列接続される。すなわち、各NMOSトランジスタのドレインとゲートを共通接続して、一方向の電荷転送を行うダイオードとして動作させている。
【0066】
また、NMOSトランジスタTr2〜Tr7のそれぞれの接続ノードに、容量カップリングによりその電位を制御するためのキャパシタC1〜C6の各一端が接続される。奇数番目のキャパシタC1,C3,C5と偶数番目のキャパシタC2,C4,C6の他端にはそれぞれ、逆相駆動となるように、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCKが与えられる。これにより、昇圧出力ノードには、電源電圧VDDより昇圧された電圧VPPを出力することができる。なお、図8に示すように、各チャージポンプ42の昇圧出力ノードは共通に接続されている。
【0067】
ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号は、ロジック回路を介して出力される。図9において、「R<2>,C<0>」のエリア50で、かつAB<0>のブロック70のチャージポンプ42が駆動する場合のロジック回路(ANDゲート90a,90bおよびインバータ91a,91b)を示している。
【0068】
具体的には、「R<2>,C<0>」のエリア50が選択され、NANDストリング束20’がAB<0>のブロック70に存在しない場合、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号は出力される。すなわち、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号=“H”、R<2>信号=“H”、C<0>信号=“H”で、かつAB<0>信号=“L”の場合、4入力ANDゲート90a,90b=“H”となり、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号は出力される。したがって、このとき、「R<2>,C<0>」のエリア50で、かつAB<0>のブロック70のチャージポンプ42は駆動する。
【0069】
しかしながら、本実施形態において(図7において)、NANDストリング束20’がAB<0>のブロック70に存在する。このため、AB<0>信号=“H”であり、4入力ANDゲート90a,90b=“L”となる。したがって、このとき、「R<2>,C<0>」のエリア50で、かつAB<0>のブロック70のチャージポンプ42は駆動しない。
【0070】
<効果>
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
さらに、本実施形態では、1つのCG Blockを複数のエリア50に分割し、さらに1つのエリア50を複数のブロック70に細分化し、各ブロック70にチャージポンプ42を配置させる。書き込みおよび読み出し動作時、選択CG Blockのうち、実際に選択されたNANDストリング束20’が存在するブロック70の下部に配置されたチャージポンプ42を駆動させない。すなわち、選択NANDストリング束20’に対して、非選択CG Blockの下部に配置されるチャージポンプ42だけでなく、選択CG BlockであってもNANDストリング束20’が存在しないブロック70の下部に配置されるチャージポンプ42によっても電圧が供給される。これにより、駆動しないチャージポンプ42の数を減らすことができる。このため、トータルとしてのチャージポンプ42の数が少なくても十分な大きさの供給電圧を発生することができ、その結果、トータルとしてのチャージポンプ42が占める面積を縮小することができる。
【0072】
<第3の実施形態>
図10および図11を用いて、第3の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、2つのブロックに1つのチャージポンプを配置させ、これらを制御する例である。なお、第3の実施形態において、上記各実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
【0073】
図10は、1つのエリア50におけるセルアレイ部Aの下部に配置されたチャージポンプ42の回路図を示している。
【0074】
図10に示すように、本実施形態では、隣接する2つのブロック70の下部に1つのチャージポンプ42が配置されている。具体的には、隣接するAB<0>およびAB<1>のブロック70〜AB<14>およびAB<15>のブロック70、隣接するSB<0>およびSB<1>のブロック70、SB<2>およびSB<3>のブロック70のそれぞれに、1つのチャージポンプ42が配置されている。
【0075】
図7に示すように、選択されたNANDストリング束20’がAB<0>、AB<4>、AB<8>、AB<9>、AB<12>、AB<13>、SB<0>、およびSB<1>のブロック70に存在している場合、これらのブロック70の下部に配置されるチャージポンプ42を駆動させず、その他のブロック70の下部に配置されるチャージポンプ42を駆動させる。このとき、1つのチャージポンプ42が配置されている2つのブロック70のうち、どちらか一方のブロック70に、NANDストリング束20’が存在していれば、そのチャージポンプ42を駆動させない。
【0076】
図11は、本実施形態におけるチャージポンプ42の回路図の一例を示している。
【0077】
図11に示すように、チャージポンプ42において、電源ノードと昇圧出力ノードの間には、ダイオード接続された複数個のNMOSトランジスタ(ここでは、7個のNMOSトランジスタTr1〜Tr7)が直列接続される。すなわち、各NMOSトランジスタのドレインとゲートを共通接続して、一方向の電荷転送を行うダイオードとして動作させている。
【0078】
また、NMOSトランジスタTr2〜Tr7のそれぞれの接続ノードには、容量カップリングによりその電位を制御するためのキャパシタC1〜C6の各一端が接続される。奇数番目のキャパシタC1,C3,C5と偶数番目のキャパシタC2,C4,C6の他端にはそれぞれ、逆相駆動となるように、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCKが与えられる。これにより、昇圧出力ノードには、電源電圧VDDより昇圧された電圧VPPを出力することができる。
【0079】
これらポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号は、ロジック回路を介して出力される。図11において、「R<2>,C<0>」のエリア50で、かつAB<0>およびAB<1>のブロック70のチャージポンプ42が駆動する場合のロジック回路(ANDゲート110a,110bおよびNORゲート111a,111b)を示している。
【0080】
具体的には、「R<2>,C<0>」のエリア50が選択され、NANDストリング束20’がAB<0>およびAB<1>のブロック70に存在しない場合、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号は出力される。すなわち、AB<0>信号=“L”およびAB<1>信号=“L”の場合、2入力NORゲート111a,111b=“H”となる。さらに、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号=“H”、R<2>信号=“H”、C<0>信号=“H”で、4入力ANDゲート110a,110b=“H”となり、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号は出力される。したがって、「R<2>,C<0>」のエリア50で、かつAB<0>およびAB<1>のブロック70のチャージポンプ42は駆動する。
【0081】
しかしながら、本実施形態において(図7において)、NANDストリング束20’がAB<0>のブロック70に存在する。このため、AB<0>信号=“H”であり、2入力NORゲート111a,111b=“L”となる。このため、4入力ANDゲート110a,110b=“L”となる。したがって、「R<2>,C<0>」のエリア50で、かつAB<0>およびAB<1>のブロック70のチャージポンプ42は駆動しない。
【0082】
<効果>
上記第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
さらに、本実施形態では、2つのブロック70に1つのチャージポンプ42を配置させる。これにより、第2の実施形態に比べ、トータルのチャージポンプ42の数を少なくすることができる。その結果、トータルのチャージポンプ42が占める面積をより縮小することができる。特に、本実施形態は、トータルのチャージポンプ42が占める面積がセルアレイ部Aの投影面積を超えてしまう場合などに有効である。
【0084】
なお、本実施形態において、2つのブロック70に1つのチャージポンプ42を配置させる例を示したが、これに限らない。すなわち、複数のブロック70に1つのチャージポンプ42を配置させてもよい。
【0085】
<第4の実施形態>
図12を用いて、第4の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。第4の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、選択されたNANDストリング束が存在するブロックの下部に配置されたスタンドバイ用チャージポンプを駆動させる例である。なお、第4の実施形態において、上記各実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
【0086】
図12は、1つのエリア50におけるセルアレイ部Aの下部に配置されたアクティブ用チャージポンプ42aおよびスタンドバイ用チャージポンプ42bの回路図を示している。
【0087】
図12に示すように、本実施形態では、1つのエリア50において、AB<0>〜AB<15>のブロック70のそれぞれにアクティブ用チャージポンプ42aが配置され、SB<0>〜SB<3>のブロック70のそれぞれにスタンドバイ用チャージポンプ42bが配置されている。アクティブ用チャージポンプ42aは、アクティブ時(チップイネーブル信号が入力された、書き込みおよび読み出し動作時)に駆動する。スタンドバイ用チャージポンプ42bは、アクティブ時およびスタンドバイ時(チップイネーブル信号が入力されず、書き込みおよび読み出し動作の待機時)に駆動する。
【0088】
図7に示すように、選択されたNANDストリング束20’がAB<0>、AB<4>、AB<8>、AB<9>、AB<12>、AB<13>、SB<0>、およびSB<1>のブロック70に存在している場合を考える。
【0089】
アクティブ時、AB<0>、AB<4>、AB<8>、AB<9>、AB<12>、およびAB<13>のブロック70の下部に配置されるアクティブ用チャージポンプ42aを駆動させず、その他のブロック70の下部に配置されるアクティブ用チャージポンプ42aを駆動させる。一方、SB<0>〜SB<3>のブロック70の下部に配置されるスタンドバイ用チャージポンプ42bを駆動させる。
【0090】
また、スタンドバイ時、AB<0>〜AB<15>のブロック70の下部に配置されるアクティブ用チャージポンプ42aを駆動させない。一方、SB<0>〜SB<3>のブロック70の下部に配置されるスタンドバイ用チャージポンプ42bを駆動させる。
【0091】
すなわち、SB<0>〜SB<3>のブロック70の下部に配置される全てのスタンドバイ用チャージポンプ42bを常に駆動させる。これは、スタンドバイ用チャージポンプ42bの周波数がアクティブ用チャージポンプ42aに比べて小さいからである。このため、SB<0>〜SB<3>のブロック70に選択されたNANDストリング束20’が存在している場合にその下部に配置されたスタンドバイ用チャージポンプ42bを駆動させても、セルアレイ部Aへのノイズは少ない。
【0092】
<効果>
上記第4の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
さらに、本実施形態では、選択されたNANDストリング束20’の存在の有無に関わらず、SB<0>〜SB<3>のブロック70の下部に配置される全てのスタンドバイ用チャージポンプ42bを常に駆動させる。すなわち、アクティブ時およびスタンドバイ時に、全てのスタンドバイ用チャージポンプ42bを駆動させる。これにより、アクティブ状態からスタンドバイ状態、またはスタンドバイ状態からアクティブ状態への移行の際、電位変動を小さくすることができる。したがって、アクティブ時の動作速度を速くすることができる。
【0094】
<第5の実施形態>
図13を用いて、第5の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。第5の実施形態は、第4の実施形態を第3の実施形態に適用させた例である。なお、第5の実施形態において、上記各実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
【0095】
図13は、1つのエリア50におけるセルアレイ部Aの下部に配置されたアクティブ用チャージポンプ42aおよびスタンドバイ用チャージポンプ42bの回路図を示している。
【0096】
図13に示すように、本実施形態では、隣接する2つのブロック70の下部に1つのチャージポンプ42が配置されている。具体的には、隣接するAB<0>およびAB<1>のブロック70〜AB<14>およびAB<15>のブロック70のそれぞれに1つのアクティブ用チャージポンプ42aが配置され、隣接するSB<0>およびSB<1>のブロック70、SB<2>およびSB<3>のブロック70のそれぞれに1つのスタンドバイ用チャージポンプ42bが配置されている。アクティブ用チャージポンプ42aは、アクティブ時に駆動する。スタンドバイ用チャージポンプ42bは、アクティブ時およびスタンドバイ時に駆動する。
【0097】
図7に示すように、選択されたNANDストリング束20’がAB<0>、AB<4>、AB<8>、AB<9>、AB<12>、AB<13>、SB<0>、およびSB<1>のブロック70に存在している場合を考える。
【0098】
アクティブ時、AB<0>、AB<4>、AB<8>、AB<9>、AB<12>、およびAB<13>のブロック70の下部に配置されるアクティブ用チャージポンプ42aを駆動させず、その他のブロック70の下部に配置されるアクティブ用チャージポンプ42aを駆動させる。このとき、1つのアクティブ用チャージポンプ42aが配置されている2つのブロックのうち、どちらか一方のブロック70に、NANDストリング束20’が存在していれば、そのアクティブ用チャージポンプ42aを駆動させない。一方、SB<0>〜SB<3>のブロック70の下部に配置されるスタンドバイ用チャージポンプ42bを駆動させる。
【0099】
また、スタンドバイ時、AB<0>〜AB<15>のブロック70の下部に配置されるアクティブ用チャージポンプ42aを駆動させない。一方、SB<0>〜SB<3>のブロック70の下部に配置されるスタンドバイ用チャージポンプ42bを駆動させる。
【0100】
すなわち、SB<0>〜SB<3>のブロック70の下部に配置される全てのスタンドバイ用チャージポンプ42bを常に駆動させる。
【0101】
<効果>
上記第5の実施形態によれば、第3の実施形態および第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
<第6の実施形態>
図14(a)および(b)を用いて、第6の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。第6の実施形態は、書き込みおよび読み出し動作が行われるセルアレイ部Aの下部に配置されるリングオシレータを駆動させず、書き込みおよび読み出し動作が行われないセルアレイ部Aの下部に配置されるリングオシレータを駆動させてチャージポンプを通じて電圧を供給する例である。なお、第6の実施形態において、上記各実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
【0103】
図14(a)は、第6の実施形態に係る一括加工型3次元メモリの1つのチップにおけるセルアレイ部Aの概略的な平面図を示している。
【0104】
図14(a)に示すように、本実施形態におけるリングオシレータ140は、各CG Blockに配置されている。具体的には、各CG Blockの下部に、アクティブ用リングオシレータ140aおよびスタンドバイ用リングオシレータ140bが配置されている。なお、図示はしないが、各CG Blockの下部に、複数のチャージポンプ42が配置されている。
【0105】
図14(b)は、第6の実施形態に係る電圧発生回路2の動作例を示している。
【0106】
図14(b)に示すように、電圧発生回路2は、アクティブ用チャージポンプ42a、アクティブ用リングオシレータ140a、スタンドバイ用チャージポンプ42b、およびスタンドバイ用リングオシレータ140bで構成されている。
【0107】
アクティブ用リングオシレータ140aは、アクティブ時にアクティブ用チャージポンプ42aにポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号を出力する。アクティブ用チャージポンプ42aは、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号に従い、電源電圧VDDより昇圧された電圧VPPを出力する。
【0108】
スタンドバイ用リングオシレータ140bは、アクティブ時およびスタンドバイ時にスタンドバイ用チャージポンプ42bにポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号を出力する。スタンドバイ用チャージポンプ42bは、ポンプクロックPMPCLCK,/PMPCLCK信号に従い、電源電圧VDDより昇圧された電圧VPPを出力する。
【0109】
本実施形態において、選択CG Blockの下部に配置されるアクティブ用リングオシレータ140aおよびスタンドバイ用リングオシレータ140bを駆動させ、非選択CG Blockの下部に配置されるアクティブ用リングオシレータ140aおよびスタンドバイ用リングオシレータ140bの少なくとも1つを駆動させる。これにより、選択CG Blockにチャージポンプ42を通じてVPP電位を供給する。
【0110】
<効果>
上記第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
さらに、本実施形態では、セルアレイ部Aの下部に、チャージポンプ42だけでなく、リングオシレータ140も配置されている。すなわち、セルアレイ部Aの投影面積の領域内にリングオシレータ140が形成されるため、チップ全体としての面積の縮小を図ることができる。
【0112】
また、選択CG Blockの下部に配置されるチャージポンプ42だけでなく、選択CG Blockの下部に配置されるリングオシレータ140を駆動させない。これは、チャージポンプ42程ではないにせよ、リングオシレータ140も発振の際にセルアレイ部Aにノイズを与える懸念があるためである。すなわち、選択CG Blockの下部に配置されるリングオシレータ140を駆動させないことで、さらなるノイズの低減を図ることができる。
【0113】
<第7の実施形態>
図15を用いて、第7の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。第7の実施形態は、リングオシレータがセルアレイ部Aの下部ではなく、周辺に配置されている例である。なお、第7の実施形態において、上記各実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
【0114】
図15は、第7の実施形態に係る一括加工型3次元メモリの1つのチップにおけるセルアレイ部Aの概略的な平面図を示している。
【0115】
図15に示すように、本実施形態におけるリングオシレータ140(アクティブ用リングオシレータ140aおよびスタンドバイ用リングオシレータ140b)は、セルアレイ部Aの周辺に配置されている。なお、図示はしないが、各CG Blockの下部に、複数のチャージポンプ42が配置されている。また、セルアレイ部Aの周辺に、1つのリングオシレータ140に限らず、複数のリングオシレータ140が配置されていてもよい。
【0116】
<効果>
上記第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
さらに、本実施形態では、選択CG Blockの周辺に、リングオシレータ140が配置される。これにより、選択CG Blockの下部に配置されることで生じるリングオシレータ140のノイズをより低減することができる。すなわち、リングオシレータ140を選択CG Blockの下部に配置することで、信号線(VPP線)とセルアレイとでカップリング容量が生じ、発振周波数が所望の値より小さくなり、所望の電位が出力されなくなる場合を懸念したものである。
【0118】
なお、上述した各実施形態において、NMOSディクソン型のチャージポンプを用いて説明したが、これに限らない。NMOSに限らず、PMOSを用いてもよい。また、ディクソン型のチャージポンプに限らず、ダブラー型等のチャージポンプ、また他の全てのタイプのチャージポンプを用いてもよい。
【0119】
その他、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0120】
1…制御回路、2…電圧発生回路、10…基板、20…NANDストリング、42…チャージポンプ、42a…アクティブ用チャージポンプ、42b…スタンドバイ用チャージポンプ、70…ブロック、140…リングオシレータ、A…セルアレイ部、C…柱状部、D…パイプ部、SP…U字状シリコンピラー、CG…コントロールゲート、MTr…メモリセルトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数のメモリセルストリングで構成されるセルアレイと、
前記セルアレイの下部に配置され、前記セルアレイに電圧を印加する複数の電圧発生回路と、
前記電圧発生回路を制御する制御回路と、
を具備し、
各前記メモリセルストリングは、
基板に対して垂直方向に延び、カラム方向に並ぶ一対の柱状部、および前記一対の柱状部の下端を連結させるように形成された連結部を有する半導体層と、
前記柱状部と直交してロウ方向に延び、前記基板に対して垂直方向に積層された複数のコントロールゲートと、
前記柱状部と複数の前記コントロールゲートとの各交差部に形成され、前記基板に対して垂直方向に直列に接続された複数のメモリセルトランジスタと、を含み、
前記制御回路は、
書き込みおよび読み出し動作時に、複数の前記電圧発生回路のうち、複数の前記メモリセルストリングのうちの書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与える前記電圧発生回路を駆動させず、複数の前記メモリセルストリングのうちの書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与えない前記電圧発生回路を駆動させることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与える前記電圧発生回路は、選択された前記コントロールゲートの下部に配置された前記電圧発生回路であり、
書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与えない前記電圧発生回路は、非選択の前記コントロールゲートの下部に配置された前記電圧発生回路であることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記セルアレイは、複数の前記メモリストリングのうち所定個の前記メモリストリングで構成される複数のブロックを有し、
前記電圧発生回路は、前記ブロック毎の下部に配置され、
書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与える前記電圧発生回路は、書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングが存在する前記ブロックの下部に配置された前記電圧発生回路であり、
書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与えない前記電圧発生回路は、書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングが存在しない前記ブロックの下部に配置された前記電圧発生回路であることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記セルアレイは、複数の前記メモリストリングのうち所定個の前記メモリストリングで構成される複数のブロックを有し、
前記電圧発生回路は、複数の前記ブロック毎の下部に配置され、
書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与える前記電圧発生回路は、書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングが存在する前記ブロックの下部に配置された前記電圧発生回路であり、
書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与えない前記電圧発生回路は、書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングが存在しない前記ブロックの下部に配置された前記電圧発生回路であることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記電圧発生回路は、前記セルアレイの下部に配置されたチャージポンプ回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記チャージポンプ回路は、アクティブ時に動作するアクティブ用チャージポンプ回路またはスタンドバイ時に動作するスタンドバイ用チャージポンプ回路であることを特徴とする請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記スタンドバイ用チャージポンプ回路は、書き込みおよび読み出し対象の前記メモリストリングにノイズを与えない前記電圧発生回路であることを特徴とする請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記スタンドバイ用チャージポンプ回路は、アクティブ時にも動作することを特徴とする請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記電圧発生回路は、
前記セルアレイの下部に配置されたチャージポンプ回路と、
前記セルアレイの下部に配置され、前記チャージポンプ回路を駆動させるリングオシレータと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記電圧発生回路は、
前記セルアレイの下部に配置されたチャージポンプ回路と、
前記セルアレイの周辺に配置され、前記チャージポンプ回路を駆動させるリングオシレータと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−59830(P2012−59830A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200040(P2010−200040)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】