説明

固体撮像装置

【課題】光電変換素子で発生した光電子の転送の際に、光電変換素子に残留する光電子数を軽減させるとともに、光電子の転送の高速化を図る固体撮像装置を提供する。
【解決手段】光を検知して光電子を発生する光電変換素子を有する単位画素と、前記単位画素を駆動する画素駆動部と、を備え、前記光電変換素子は、フォトゲート構造により形成され、前記画素駆動部は、3値の電圧のうち、いずれかの電圧を前記光電変換素子のフォトゲートに印加させることで、前記光電子の発生、転送を行い、前記3値の電圧は、少なくとも、第1電圧と、前記第1電圧より高い第2電圧と、前記第1電圧より大きく且つ前記第2電圧より小さい第3電圧とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置において、光電変換素子で発生する光電子の受光・転送効率向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像装置の応用例として、タイム・オブ・フライト(TOF)法を用いて、測距対象までの距離を非接触に測定する技術が知られている。TOF法を用いる場合においては、1個の光電変換素子で発生した光電子を複数の光電子保持部に振り分け、累積し、読み出す技術が知られている。下記非特許文献1及び2には、発光素子から照射するパルス光の照射期間と照射停止期間を同じ時間(発光素子の駆動デューティが50%)で繰り返すと共に、パルス光の照射期間と照射停止期間とに同期して、光電変換素子のシャッタ制御を行い、発生した光電子を2方向に振り分けることが記載されている。この2方向に振り分けた光電子により測距対象までの距離を計測している。また、下記特許文献1には、光電変換素子で発生した光電子を4方向に振り分けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−32425号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】宮川良平、金出武雄「CCD−Based Range−Finding Sensor」、IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. 44, NO. 10、1997年10月、p.1648〜1652
【非特許文献2】宮川良平、金出武雄、ITE Technical Vol.19、No.65、PP37−41(Nov.1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原理的にTOFにおいては、発光素子が光を照射するタイミングと、照射した光が被写体で反射して固体撮像装置まで帰ってくるまでのタイミングの時間遅れを検知する必要がある。光は非常に高速に伝播する。そのため、光電変換素子で発生する光電子を光の速度に対応した非常に高速な制御で振り分け、有用な情報(光電子)のみを得る技術が、正確な測距結果を得るために重要となる。
【0006】
そこで本発明は、係る従来からの課題に鑑みてなされたものであり、光電変換素子で発生した光電子を転送するの際に、光電変換素子に残留する光電子数を軽減するとともに、正確な測距結果を得るために有用な光電子の受光効率向上を図る固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、光を検知して光電子を発生する光電変換素子を有する単位画素と、前記単位画素を駆動させる画素駆動部と、を備え、前記光電変換素子は、フォトゲート構造により形成され、前記画素駆動部は、3値の電圧のうち、いずれかの電圧を前記光電変換素子のフォトゲートに印加することで、前記光電子の蓄積、転送を行い、前記3値の電圧は、少なくとも、第1電圧と、前記第1電圧より高い第2電圧と、前記第1電圧より高く且つ前記第2電圧より低い第3電圧とを有することを特徴とする。
【0008】
前記光電変換素子で発生した前記光電子を排出する排出期間を有し、前記画素駆動部が、前記第3電圧を前記フォトゲートに印加することで、前記光電変換素子に発生した前記光電子を排出する。
【0009】
前記単位画素は、前記光電子を排出する光電子排出部に、前記光電変換素子で発生した該光電子を転送するための第3転送部をさらに有し、
前記画素駆動部は、前記排出期間においては、さらに前記第3転送部をオンして前記光電子を前記光電子排出部に転送する。
【0010】
前記排出期間終了後に前記光電変換素子で発生した前記光電子を蓄積する蓄積期間をもち、前記画素駆動部は、前記フォトゲートに前記第2電圧又は第3電圧を印加することで、前記光電変換素子で発生した前記光電子を蓄積する。
【0011】
前記蓄積期間終了後に、前記光電変換素子に蓄積した前記光電子を光電子保持部に転送する第1転送期間を有し、前記画素駆動部は、前記フォトゲートに前記第3電圧を印加させた後、前記第1電圧を印加する。
【0012】
前記単位画素は、前記光電子の集積と保持とを繰り返して光電子を累積する前記光電子保持部に、前記光電変換素子で発生した該光電子を転送するための第1転送部をさらに有し、前記画素駆動部は、前記第1転送期間のみもしくは蓄積期間と第1転送期間においては、さらに前記第1転送部をオンして前記光電変換素子で発生した前記光電子を前記光電子保持部に転送し、前記第1転送期間以外もしくは蓄積期間と第1転送期間以外においては、該第1転送部をオフして前記光電変換素子で発生した該光電子を前記光電子保持部に転送しない。
【0013】
前記排出期間終了後、前記蓄積期間前に、前記光電変換素子で発生した前記光電子を排出する直前排出期間を有し、前記画素駆動部は、前記第2電圧を前記フォトゲートに印加してから前記第3電圧を印加し、その後前記第1電圧を印加することで、前記光電変換素子に残存する前記光電子を排出する。
【0014】
前記画素駆動部は、前記第1電圧を前記フォトゲートに印加する第1スイッチと、前記第2電圧を前記フォトゲートに印加する第2スイッチと、前記第3電圧を前記フォトゲートに印加する第3スイッチと、をさらに有し、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのオンオフを切り換えることで、前記光電変換素子で発生した前記光電子の排出、蓄積、転送、保持のいずれかの動作を行う。
【0015】
前記第1スイッチは、並列に接続された複数のMOSトランジスタにより構成され、前記画素駆動部は、オンするMOSトランジスタの数を変更することで、前記第1スイッチの抵抗値を変えて、画素部のゲートに印加される電圧が前記第3電圧から、もしくは前記第2電圧から前記第1電圧に移行するまでの時間を調整する。
【0016】
オンオフ指示信号を第1信号入力とし、前記第1スイッチの抵抗値調整用の設定信号を第2信号入力とする論理回路を介して、前記複数のMOSトランジスタのうち、少なくとも1つ以上の前記MOSトランジスタの該オンオフを制御する。
【発明の効果】
【0017】
本願発明によれば、光電変換素子で発生した光電子の転送の際に、光電変換素子に残留する光電子の量を軽減することができるとともに、正確な測距結果を得るために有用な光電子の受光効率を向上することができる。
【0018】
前記光電変換素子で発生する前記光電子を排出する排出期間においては、前記画素駆動部は、前記フォトゲートに前記第3電圧を印加することで、前記光電変換素子に発生した前記光電子を排出するので、効率よく光電変換素子で発生した光電子を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】TOFの原理を説明するための図である。
【図2】実施の形態にかかる固体撮像装置を有する測距システムの概略構成を示す図である。
【図3】固体撮像装置の構成を示す図である。
【図4】図3に示す固体撮像装置28を構成する単位画素30の一部を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】図3に示すゲート駆動回路の構成図である。
【図8】単位画素の回路構成の一例を示す図である。
【図9】図4に対応して、図8に示す受光装置100を複数用いて単位画素を構成したときの回路図である。
【図10】図8と別の単位画素の回路構成例を示す図である。
【図11】図4とは別の単位画素の一部平面図である。
【図12】フォトゲート、第1転送ゲート、第3転送ゲートに印加されるゲート駆動信号を示すタイムチャートの例である。
【図13】図12に示すタイムチャートの各タイミングにおける光電変換素子及び光電子振分部の基板表面におけるポテンシャル図である。
【図14】変形例1のフォトゲート、第1転送ゲート、第3転送ゲートに印加されるゲート駆動信号を示すタイムチャートである。
【図15】図14に示すタイムチャートの各タイミングにおける受光装置の基板表面におけるポテンシャル図である。
【図16】変形例2の第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチの構成図である。
【図17】変形例2のフォトゲート、第1転送ゲート、第3転送ゲートに印加されるゲート駆動信号を示すタイムチャートである。
【図18】フォトゲートに印加される電圧信号が、第3電圧から瞬時に第1電圧に切り換えられた場合の、図17に示すタイムチャートの各タイミングにおける光電変換素子の基板表面から深さ方向におけるポテンシャル図の一例である。
【図19】第1スイッチの抵抗値を変える本変形例2の場合の、図17に示すタイムチャートの各タイミングにおける光電変換素子の基板表面から深さ方向におけるポテンシャル図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る単位画素及び該単位画素を有する固体撮像装置について、好適な実施の形態を掲げて添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
初めに、図1を用いてTOFの原理の一例を簡単に説明する。光(例えば、レーザー光)を被写体に照射する図示しない照射装置が光を照射しない状態で、且つ、環境光のみを一定時間(Tsense)蓄積する第1蓄積期間および、第2蓄積期間のときに、各単位画素が有する受光部は、入射光に応じた光電変換により光電子を生成し、各単位画素が有する複数の光電子保持部は、各蓄積期間に発生した光電子を取り込む。第1蓄積期間に前記受光部に入射し、光電子保持部に取り込まれた光電子の電荷量をQCBとし、第2蓄積期間に受光部に入射し、光電子保持部に取り込まれた光電子の電荷量をQCAとする。
【0022】
また、前記照射装置から照射された光の反射光が入射するタイミングと全体あるいは一部でオーバラップするように設けた第3蓄積期間、および第4蓄積期間をもち、各単位画素が有する複数の光電子保持部は、各蓄積期間に発生した光電子を取り込む。ここでは、前記単位画素は、照射装置が光を照射した光の反射光を常に受光するタイミングで、反射光及び環境光を一定時間(Tsense)蓄積する第3蓄積期間と、前記照射装置の光の照射後のタイミングから一定時間(Tsense)光を蓄積する第4蓄積期間で発生した光電子を各光電子保持部に取り込む。第3蓄積期間に受光部に入射し、光電子保持部に取り込まれた光電子の電荷量をQとし、第4蓄積期間に受光部に入射し、光電子保持部に取り込まれた光電子の電荷量をQとする。なお、Ilaserは、前記照射された光の反射光の強度を示し、Ibackは、環境光の強度を示す。
【0023】
したがって、Q−QCA∝Ilaser×Tdelay,Q−QCB∝Ilaser×Tsense,の関係式が成り立つ。Tdelayは、照射した光が被写体に反射して戻ってくるまでの時間である。
【0024】
上述した式から、Tdelay=Tsense×(Q−QCA)/(Q−QCB)の関係式が導き出せ、被写体までの距離Zは、Z=c×Tdelay/2=c×Tsense×(Q−QCA)/2(Q−QCB)、の関係式によって求めることができる。なお、cは光速を示す。
【0025】
図2は、実施の形態にかかる固体撮像装置を有する測距システム10の概略構成を示す図である。図2に示すように、測距システム10は、照射装置12、撮像部14、演算部16、制御部18、及び電源20を備える。
【0026】
電源20は、測距システム10の各部に所定の電源電圧を供給するものであり、図2においては、簡単のため、電源20から各装置への電源線の表示を省略する。
【0027】
照射装置12は、測距対象Wに対してパルス光Lpを照射するものであり、照射装置12は、制御部18の制御下で、パルス光Lpを出力する発光部24を有する。この測距システム10において、照射装置12の発光部24は、発光点(エミッタ)を直線状に持つ半導体レーザバーを積層(直列接続)して、面発光が可能とされたものでもよい。
【0028】
発光部24は、赤外光を発光する。例えば、波長が870ナノメートル(nm)の赤外光を100ワット(W)の出力で照射可能である。発光部24は、パルス光Lpを100(ナノ秒)の出力時間(パルス幅)で出力する。
【0029】
なお、発光部24は、リニアアレイ状の複数の発光点を有していてもよく、あるいは、マトリックス状に並べられた複数の発光点を有するものであってもよい。発光素子としてレーザダイオードや発光ダイオード(LED)等のその他の発光素子を用いてもよい。
【0030】
この測距システム10では、照射装置12から照射されたパルス光Lpが測距対象Wで反射し、撮像部14に入射する。なお、説明の便宜のため、照射装置12から測距対象Wまでのパルス光Lpを照射光Leと、測距対象Wから撮像部14までのパルス光Lpを反射光Lrと呼ぶ。
【0031】
撮像部14は、レンズ26と、固体撮像装置28とを有する。レンズ26を透過した反射光Lr及び環境光Lsは、固体撮像装置28に集光され、固体撮像装置28によって受光される。固体撮像装置28は、照射装置12が照射するパルス光Lp及び環境光Lsに対して感度を有する。演算部16は、固体撮像装置28が前記各蓄積期間で取り込んだ光電子の電荷量情報に基づいて測距対象Wまでの距離を、図1で説明した手法によって算出する。
【0032】
図3は、固体撮像装置28の構成を示す図である。固体撮像装置28は、マトリックス状に単位画素30が配置された画素アレイ32と、画素駆動回路(画素駆動部)34と、画素出力信号を読み出すためのサンプルホールド回路36と、水平選択回路38と、出力バッファ40と、A/D変換器42とを有する。
【0033】
電源20は、画素アレイ32に対して正の電源電圧Vddを印加するとともに、リセット電圧Vrefを印加する。画素駆動回路34は、ゲート駆動回路44と、垂直選択回路46を有し、ゲート駆動回路44は、各種ゲート駆動信号電圧(画素駆動信号電圧)を出力することにより画素アレイ32の各単位画素30の光電子の発生(蓄積)、保持、転送、及び排出等を行う。垂直選択回路46は、マルチプレクサ(図示略)を有し、読み出しを行う単位画素30が属する行に対して選択的に、該単位画素30が保持した光電子に対応する電圧信号(画素信号)を出力させる。水平選択回路38は、別のマルチプレクサ(図示略)を有し、読み出しを行う単位画素30が属する列を選択する。読み出された画素信号は、サンプルホールド回路36で一端保持された後、水平選択回路38を介して出力される。そして、出力バッファ40及びA/D変換器42を介して演算部16に出力される。なお、制御部18及び演算部16は、固体撮像装置28の中に実装してもよい。
【0034】
図4は、図3に示す固体撮像装置28を構成する単位画素30の一部を示す平面図である。単位画素30は、複数の受光装置100を有する。本実施の形態では、単位画素30は、4つの受光装置100を有し、行列状に配置されている。図5及び図6は、図4に示す受光装置100の断面図であり、詳しくは、図5は、図4のV−V線矢視断面図であり、図6は、図4のVI−VI線矢視断面図である。
【0035】
単位画素30は、行列状に配置された4つの受光装置100を有する。受光装置100は、p型(第1導電型)半導体基板102上に形成された光電変換素子104と、4つの光電子振分部106と、2つの光電子排出部108とを有する。光電変換素子104は、p型(第1導電型)半導体基板102上に絶縁体(図示略)を介して形成された電極(以下、フォトゲートと呼ぶ)110を有するフォトゲート構造を有している。光電変換素子104は、光を検知して、光電子(負電荷)を発生する(検知した光を光電子に変換する)フォトダイオードである。フォトゲート110には、光電変換素子104を駆動するゲート信号Saがゲート駆動回路44から印加される。
【0036】
光電子振分部106は、第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116、及び浮遊拡散層118を有する。第1転送部112は、光電変換素子104で発生した光電子を光電子保持部114に振り分け、転送するためのものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第1転送ゲート)120を有するMOSダイオード構造を有している(図5参照)。第1転送ゲート120には、ゲート駆動回路44から第1転送部112を駆動するゲート信号Sbが入力される。光電子保持部114は、光電変換素子104に対して第1転送部112を挟んで反対側に配置され、光電変換素子104で発生した光電子を一時的に保持するものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(保持ゲート)122を有するMOSダイオード構造を有している(図5参照)。保持ゲート122には、ゲート駆動回路44から光電子保持部114を駆動するゲート信号Scが入力される。
【0037】
第2転送部116は、第1転送部112に対して、光電子保持部114を挟んで反対側に配置され、光電子保持部114で集積された光電子を転送するものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第2転送ゲート)124を有するMOSダイオード構造を有している(図5参照)。第2転送ゲート124には、ゲート駆動回路44から第2転送部116を駆動するゲート信号Sdが印加される。浮遊拡散層(FD;フローティングディフュージョン)118は、光電子保持部114に対して第2転送部116を挟んで反対側に配置され、光電子保持部114から転送されてくる光電子を取り込み、電圧に変換させるためのものであり、p型半導体基板102上にn型(第2導電型)不純物が形成されたものである。
【0038】
図4に示すように、4つの光電子振分部106は、光電変換素子104を挟んで水平方向(左右方向)に対称に2つずつ設けられており、左右にそれぞれ上下に1つずつ設けられている。また、互いに水平方向に隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている2つの浮遊拡散層118を共有している。つまり、受光装置100は、受光装置100の浮遊拡散層118の一部を互いに共有している。
【0039】
図5に示すように、浮遊拡散層118には、浮遊拡散層118の電位を基準電位にリセットするリセット用トランジスタ126が接続されている。リセット用トランジスタ126のソースは浮遊拡散層118に接続され、ドレインには電源20からのリセット電圧Vrefが印加され、ゲートには、ゲート駆動回路44からリセット信号Rが供給される。ハイのリセット信号Rがリセット用トランジスタ126のゲートに供給されると、リセット用トランジスタがオンとなり、浮遊拡散層118の電位が基準電位にリセットされる。
【0040】
また、浮遊拡散層118には、浮遊拡散層118に蓄積された光電子に応じた電圧信号を読み出すための信号読出用トランジスタ130が接続される。信号読出用トランジスタ130には、該信号読出用トランジスタ130によって読み出された電圧信号を信号読出線132に出力するかを選択するための選択用トランジスタ134が接続されている。信号読出用トランジスタ130のドレインは、電源20からの電源電圧Vddが印加され、ゲートには、浮遊拡散層118に接続され、ソースは、選択用トランジスタ134のドレインに接続される。選択用トランジスタ134に垂直選択回路46からハイの選択信号Ssが供給されると、選択用トランジスタがオンになり、浮遊拡散層118に蓄積された光電子に対応する電圧が信号読出線132から読み出される。選択用トランジスタ134のソースは、信号読出線132が接続されている。
【0041】
光電子排出部108は、第3転送部140と、拡散層142とを有する。第3転送部140は、光電変換素子104が発生した光電子を拡散層142に転送するためのものであり、p型半導体基板102上に前記絶縁体を介して形成された電極(第3転送ゲート)144を有するMOSダイオード構造を有している(図6参照)。
【0042】
拡散層142は、光電変換素子104に対して第3転送部140を挟んで反対側に配置され、拡散層142には、電源20からの電源電圧Vddが印加されている。ゲート駆動回路44から第3転送ゲート144に排出信号Seが入力されると、光電変換素子104が発生した光電子は、第3転送部140を介して拡散層142から排出される。
【0043】
図4に示すように、2つの光電子排出部108は、光電変換素子104を挟んで垂直方向(上下方向)に対称的に1つずつ設けられている。また、互いに上下方向に隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている拡散層142を共有している。つまり、受光装置100は、受光装置100の拡散層142の一部を互いに共有している。
【0044】
図7は、ゲート駆動回路44の構成図である。第1電圧源150は、第1電圧を画素アレイ32の単位画素30の光電変換素子104のフォトゲート110に供給する電圧源であり、第2電圧源152は、第2電圧を画素アレイ32の単位画素30の光電変換素子104のフォトゲート110に供給する電圧源であり、第3電圧源154は、第3電圧を画素アレイ32の単位画素30の光電変換素子104のフォトゲート110に供給する電圧源である。第1電圧源150は、基準電圧(例えば、0V)をフォトゲート110に供給するものであり、本実施の形態では、グランドである。第2電圧源152は、第1電圧より高い第2電圧をフォトゲート110に供給するためのものであり、本実施の形態では、電源20に内蔵されている。第3電圧源154は、第1電圧より高く第2電圧より低い中間電圧である第3電圧をフォトゲート110に供給するためのものであり、本実施の形態では、電源20に内蔵されている。
【0045】
ゲート駆動回路44は、光電変換素子に与えられる電圧を切り換えるための第1スイッチ156、第2スイッチ158、及び第3スイッチ160を有し、第1スイッチ156、第2スイッチ158、及び第3スイッチ160のいずれかをオンにさせることで、第1電圧、第2電圧、及び第3電圧を選択的にフォトゲート110に印加させるかを切り換える。第1スイッチ156は、第1電圧をフォトゲート110に印加させるかを切り換えるスイッチであり、第2スイッチ158は、第2電圧をフォトゲート110に印加させるかを切り換えるスイッチであり、第3スイッチ160は、第3電圧をフォトゲート110に印加させるかを切り換えるスイッチである。
【0046】
フォトゲート110に第1電圧、第2電圧、及び第3電圧を選択的に印加(供給)することでゲート駆動信号Saをフォトゲート110に印加させて、光電変換素子104を駆動させる。
【0047】
なお、ゲート駆動回路44は、第1転送ゲート120、保持ゲート122、第2転送ゲート124、第3転送ゲート144、リセット用トランジスタ126のゲートにゲート駆動信号(電圧)Sb、Sc、Sd、Se、リセット信号(電圧)Rを印加させる。
【0048】
図8は、単位画素の回路構成の一例を示す図である。受光装置100の光電変換素子104に蓄積された光電子は、転送経路146a、146b、146c、146dを介して光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118に転送される。転送経路146a、146b、146c、146dは、図4及び図5で示した光電子振分部106a、106b、106c、106dの第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116により構成される。光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118には、1つのリセット用トランジスタ126のソースが接続されるとともに、1つの信号読出用ゲート131が接続される。
【0049】
各浮遊拡散層118に、光電子振分部106a、106b、106c、106dの各光電子保持部114が保持した光電子が転送される前に、リセット用トランジスタ126がオンになることによって各浮遊拡散層118が基準電位にリセットされ、そのときの各浮遊拡散層118の電圧(以下、黒レベル)が読み出される。その後、光電子振分部106a、106b、106c、106dの光電子保持部114に保持された光電子が順次浮遊拡散層118に転送される。各浮遊拡散層118に転送された光電子が順次信号読出用トランジスタ130によって電圧信号(信号レベル)に変換されて、選択用トランジスタ134を介して信号読出線132から読み出される。
【0050】
詳しくは、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106aの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。次に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。そして、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。最後に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106dの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。
【0051】
このように、受光装置100の光電子振分部106a、106b、106c、106dの光電子保持部114が保持した光電子に応じた電圧信号は、同一の信号読出線132から読み出されることになる。なお、図8では、光電子排出部108の図示を省略している。
【0052】
図9は、図8に示す受光装置100を用いて図4に示す単位画素30を構成したときの回路図である。単位画素30は、4つの受光装置100を有し、受光装置100は、図4で示したように、1つの光電変換素子104と、4つの光電子振分部106a、106b、106c、106dと、2つの光電子排出部108とを有する。全受光装置100の光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118は、リセット用トランジスタ126のソース、及び、信号読出用トランジスタ130のゲートに接続されている。
【0053】
リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106aの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106aの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106aの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算(加算)した光電子の電荷量(光電子数)に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。
【0054】
次に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106bの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106bの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106bの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算した光電子の電荷量に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。
【0055】
最後に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各光電子振分部106a、106b、106c、106dの各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、単位画素30の各光電子振分部106dの光電子保持部114が保持している光電子が各光電子振分部106dの浮遊拡散層118に転送され、該転送された光電子に応じた電圧信号(信号レベル)が信号読出線132から読み出される。つまり、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106dの浮遊拡散層118に転送された光電子を合算した光電子の電荷量に応じた電圧信号が信号読出線132から読み出される。このように、単位画素30の受光装置100の光電子保持部114が保持した光電子に応じた電圧信号は、全て同一の信号読出線132から読み出される。
【0056】
ここで、図9に示すように、単位画素30の各受光装置100の光電子振分部106a、106b、106c、106dの転送方向は異なる。例えば、右上の受光装置100の光電子振分部106aの転送方向は右上となり、右下の受光装置100の光電子振分部106aの転送方向は右下となり、左上の受光装置100の光電子振分部106aの転送方向は左上となり、左下の受光装置100の光電子振分部106aの転送方向は、左下となる。
【0057】
また、右上の受光装置100の光電子振分部106c、光電子振分部106dと、左上の受光装置100の光電子振分部106b、光電子振分部106dとは互いに浮遊拡散層118を共有しており、右下の受光装置100の光電子振分部106d、106bと、左下の受光装置100の光電子振分部106d、106cとは互いに浮遊拡散層118を共有している。
【0058】
なお、図10に示すように受光装置100は、2つの信号読出線132a、132bを有してもよい。この場合は、例えば、光電子振分部106a、106bの浮遊拡散層118に転送された光電子に応じた電圧信号が信号読出線132aから、光電子振分部106c、106dの浮遊拡散層118に転送された光電子に応じた電圧信号が信号読出線132bからそれぞれ読み出される。図10に示す受光装置100では、リセット用トランジスタ126a、126b、126c、126dのソースが光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118に接続され、ドレインには電源20からのリセット電圧Vrefが印加される。また、リセット用トランジスタ126a、126b、126c、126dのゲートには、リセット信号R1、R2、R3、R4が供給される。また、光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118には、信号読出用トランジスタ130a、130b、130c、130dのゲートが接続されており、選択用トランジスタ134a、134b、134c、134dのゲートには、選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4が供給される。要は、信号読出線132が受光装置100の複数の浮遊拡散層118に接続されていればよい。
【0059】
また、図10に示す受光装置100を用いて、光電子保持部114が保持している光電子を独立した信号読出用トランジスタ130を介して読み出してもよい。
【0060】
受光装置100は、このように光電子保持部114を有する4つの光電子振分部106a、106b、106c、106dを有するので、測距システム10は、測距対象Wまでの距離を求めることができる。詳しく説明すると、第1蓄積期間で光電変換素子104が発生した光電子を光電子振分部106aの光電子保持部114に転送し、第2蓄積期間で光電変換素子104が発生した光電子を光電子振分部106bの光電子保持部114に転送し、第3蓄積期間で光電変換素子104が発生した光電子を光電子振分部106cの光電子保持部114に転送し、第4蓄積期間で光電変換素子104が発生した光電子を光電子振分部106dの光電子保持部114に転送する。
【0061】
なお、図4の各受光装置100の光電変換素子104に図示した矢印は、図1に記載の4つの蓄積期間の内1つの期間における光電子の転送方向を示したものである。詳しくは、左上の光電変換素子104に発生した光電子は左上の光電子振分部106に転送され、左下の光電変換素子104は、左下の光電子振分部106に転送され、右上の光電変換素子104は、右上の光電子振分部106に転送され、右上の光電変換素子104は、右上の光電子振分部106に転送され、右下の光電変換素子104は、右下の光電子振分部106に転送される。
【0062】
本実施の形態では、単位画素30は、複数の受光装置100を有し、単位画素30の各受光装置100の転送方向の異なる光電子振分部106により振り分けられた光電子を加算して出力するので、振分方向に依存せず、振分方向毎に転送される光電子数のバラツキを抑えることができる。
【0063】
詳しくは、光電子振分部106に転送された光電子は、複数回の受光と転送とが繰り返された後、浮遊拡散層118に転送されるが、上下左右に転送蓄積された光電子が浮遊拡散層118で接続されているため、光電変換素子104及び第1転送部112に転送速度の左右上下のバラツキに関して平均化することができる。これにより、図1に記載の4つの蓄積期間のうち、何れの期間においても同様に、4つの光電変換素子104の転送方向を上下左右に設定することで、単位画素30の光電子の転送速度が振分方向に依存せず、後段の信号処理において、精度良く演算が可能となる。
【0064】
単位画素30が1つの受光装置100のみを有する場合は、該受光装置100の製造起因や結晶方向起因によって転送速度が遅くなる方向が生じ、振分方向によっては、正確な光電子情報(光電子に応じた電圧信号)を得ることができない。つまり、光電変換素子104に発生した光電子の振分時間(第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116にゲート信号Sb、Sc、Sdを供給するタイミング)は決まっているので、転送速度が遅い振り分け方向に光電子を転送すると、光電変換素子104が発生した光電子の全て転送することができない。
【0065】
このように、上記実施の形態においては、単位画素30の受光装置100は、光電変換素子104に発生した光電子を転送するための第1転送部112と、光電子を一時的に蓄積する光電子保持部114と、光電子保持部114が保持した光電子を転送するための第2転送部116と、転送された光電子を蓄積して該転送された光電子を電圧に変換させるための浮遊拡散層118とを含む光電子振分部106とを有するので、光電変換素子が発生した光電子を複数方向に振り分けて読み出すことができるとともに、リセットノイズを正確に除去することができる。
【0066】
つまり、光電子振分部106によって振り分けられた光電変換素子104に発生した光電子は、該光電子振分部106の光電子保持部114が保持するので、光電子保持部114が保持した光電子を読み出したい場合は、該光電子振分部106の浮遊拡散層118の電位をリセットした後、黒レベルが読み出される。その後、該光電子保持部114が保持した光電子を該浮遊拡散層118に転送して光電子に応じた電圧信号を読み出せばよいので、浮遊拡散層118の電位のリセットタイミングと、読み出しタイミングとのズレを最小限に抑えることができる。したがって、正確な黒レベルを得ることができ、リセットノイズを正確に除去することができる。
【0067】
単位画素30は、複数の受光装置100を有するので、受光装置の製造起因や結晶方向起因による振分方向の転送速度のバラツキによって生じる、振分方向毎に転送される光電子数のバラツキを抑えることができ、受光精度を向上させることができる。また、単位画素30の複数の前記受光装置100は、少なくとも、複数の受光装置100の浮遊拡散層118の一部を互いに共有しているので、単位画素30が小さくなり、チップ面積が小さくなるのでコストが下がるとともに、単位画素30を小型化して、解像度を増やすことができる。
【0068】
単位画素30は、行列状に配置された4つの受光装置100を有し、受光装置100は、光電子振分部106を4つ有し、4つの光電子振分部106は、光電変換素子104を挟んで水平方向に対称的に2つずつ設けられ、互いに水平方向に隣り合う受光装置100は、その間に設けられている浮遊拡散層118を共有しているので、単位画素30が小さくなり、チップ面積が小さくなるのでコストが下がるとともに、単位画素30を小型化して、解像度を増やすことができる。
【0069】
単位画素30が1次元又は2次元に配列された画素アレイ32を有する固体撮像装置28は、複数の浮遊拡散層118の電位を読み出すための信号読出用トランジスタ130と信号読出用トランジスタ130を介して信号を読み出す信号読出線132とを備え、単位画素30の浮遊拡散層118の各々の電位は1つの信号読出用トランジスタ130を介して読み出されるので、信号読み出し回路の共通化が可能となり、読み出し回路の製造バラツキに起因する出力バラツキを抑制することができるとともに、固体撮像装置28を小型化して、解像度を増やすことができる。
【0070】
なお、測距対象Wまでの距離を得るために、環境光Lsのみを受光する期間における第1蓄積期間及び第2蓄積期間と、環境光Lsと反射光Lrを受光する期間である第3蓄積期間及び第4蓄積期間との蓄積期間のタイミング幅が一定の場合は、第1蓄積期間と第2蓄積期間における受光量は同一であるから第2蓄積期間を第1蓄積期間に置き換えてもよい。このとき、前記QCAと前記QCBは、QCA=QCBとして取り扱うことで、被写体までの距離を求めることができる。したがって、単位画素30は、図12に示す構成であってもよい。
【0071】
図11は、図3に示す固体撮像装置28を構成する別形態の単位画素30の一部を示す平面図である。なお、図4に示す構成と同様の構成については同一の符号を付している。単位画素30は、4つの受光装置100を有し、行列状に配置されている。受光装置100は、光電変換素子104と、3つの光電子振分部106と、1つの光電子排出部108を有する。3つの光電子振分部106は、光電変換素子104を挟んで水平方向に対称的に1つずつ設けられ、光電変換素子104の上側、又は下側に1つ設けられている。また、光電子排出部108は、光電変換素子104の下側、又は上側に設けられ、光電子振分部106が設けられていない側に設けられる。単位画素30の上側2つの受光装置100は、光電変換素子104の上側に光電子振分部106が設けられ、下側に光電子排出部108が設けられる。単位画素30の下側2つの受光装置100は、光電変換素子104の下側に光電子振分部106が設けられ、上側に光電子排出部108が設けられる。このような構成を有することで、互いに上下方向で隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている拡散層142を共有する。また、互いに水平方向に隣り合う単位画素30の受光装置100は、その間に設けられている浮遊拡散層118を共有している。
【0072】
このように、単位画素30は、行列状に配置された4つの前記受光装置100を有し、受光装置100は、光電子振分部106を3つ有し、3つの光電子振分部106は、光電変換素子104に対して水平方向に対称的に1つずつ設けられるとともに、光電変換素子104の上側、又は下側に1つ設けられており、互いに水平方向に隣り合う受光装置100は、その間に設けられている浮遊拡散層118を共有しているので、単位画素30が小さくなり、チップ面積が小さくなるのでコストが下がるとともに、単位画素30を小型化して、解像度を増やすことができる。
【0073】
次に、単位画素30の撮像動作について説明する。単位画素の1枚の輝度画像を撮像する1フレーム期間は、露光期間と読出期間とを有し、露光期間は、光電変換素子104に受光を行わせ、読出期間は、露光期間によって得られた光電子を信号読出線132から読み出すための期間である。
【0074】
露光期間に照射装置12が照射光を測距対象Wに照射し、光電変換素子104が第1蓄積期間、第2蓄積期間、第3蓄積期間、及び第4蓄積期間で光を受光した光電子を蓄積する。1フレーム期間の露光期間中に、照射光が所定の周期で所定回数(例えば、100回)照射され、光電変換素子104は、第1蓄積期間、第2蓄積期間、第3蓄積期間、第4蓄積期間での受光を所定回数(例えば、100回)行う。
【0075】
第1蓄積期間の受光により光電変換素子104で発生した光電子は、光電子振分部106aの光電子保持部114に転送され、第2蓄積期間の受光により光電変換素子104で発生した光電子は、光電子振分部106bの光電子保持部114に転送され、第3蓄積期間の受光により光電変換素子104で発生した光電子は、光電子振分部106cの光電子保持部114で転送され、第4蓄積期間の受光により光電変換素子104で発生した光電子は、光電子振分部106dの光電子保持部114に転送される。1フレーム期間の露光期間中に、第1蓄積期間、第2蓄積期間、第3蓄積期間、及び第4蓄積期間での受光が所定回数行われるので、1フレーム期間の露光期間中に光電変換素子104で発生した光電子が、各光電子振分部106の光電子保持部114に所定回数振り分けられることになる。このように、各光電子振分部106の光電子保持部114は、光電変換素子104で発生した光電子を保持していく。
【0076】
そして、露光期間が終了し、読出期間に入ると、光電子振分部106a、106b、106c、106dの光電子保持部114に蓄積された光電子が、信号読出線132から順次読み出される。
【0077】
これにより、QCB、QCA、Q、Qに対応する光電子を得ることができ、光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118から得られた光電子に対応する電圧信号を読み出すことで、測距対象Wまでの距離を得ることができる。
【0078】
なお、蓄積期間以外の期間に、光電変換素子104に入射した光により発生した光電子は、ゲート駆動回路44から第3転送ゲート144に排出信号Seが入力され、第3転送部140を介して拡散層142から排出される。
【0079】
次に、光電変換素子104の駆動方法について説明する。図12は、光電変換素子104のフォトゲート110、第1転送ゲート120、第3転送ゲート144に印加されるゲート駆動信号Sa、Sb、Seを示すタイムチャートであり、図13は、図12に示すタイムチャートの各タイミングにおける光電変換素子104及び光電子振分部106の基板表面におけるポテンシャル図である。なお、図13は、図4のA−A線断面図におけるポテンシャル図を示す。
【0080】
図12に示すように、光電変換素子104の光電子eを排出する排出期間であるタイミングA時には、ゲート駆動回路44は、第3スイッチ160をオン、第1スイッチ156及び第2スイッチ158をオフすることで、フォトゲート110に第3電圧信号を印加させる。また、このとき、ゲート駆動回路44は、第1転送ゲート120がオフするように電圧を印加させるとともに、第3転送ゲート144がオンするように電圧を印加させる。
【0081】
これにより、図13に示すように、タイミングA時には、光電変換素子104のポテンシャルは、フォトゲート110に第3電圧を印加している分だけ低下するとともに、第3転送部140のポテンシャル障壁は144に第1電圧を印加した分、低くなる(第3転送部140の電位障壁がなくなる)。これにより、光電変換素子104で発生した光電子eにバイアスが掛かり拡散層142に排出することができる。
【0082】
なお、第1転送部112のポテンシャル障壁は、第1転送ゲート120に第2電圧を印加した分高くなる(第1転送部112の電位障壁が高くなる)。なお、タイミングA時に、フォトゲート110に第2電圧を印加させて、光電変換素子104のポテンシャルを低下させてしまうと、ポテンシャルの勾配が得られず、光電変換素子104の表面に光電子が残留しやすくなり、十分なリセット性能が得られなくなる可能性がある。また、タイミングA時に、フォトゲート110に第1電圧を印加させて、光電変換素子104のポテンシャルを高くしてしまうと、光電変換素子104の基板深くで発生した光電子を光電変換素子104の基板表面に集めることができず排出することができ難くなり、光電子保持部114へのリーク電流の原因になる可能性がある。
【0083】
図12に示すように、光電変換素子104の蓄積期間中のタイミングB時には、ゲート駆動回路44は、第2スイッチ158をオン、第1スイッチ156及び第3スイッチ160をオフにすることで、フォトゲート110に第2電圧を印加する。このとき、ゲート駆動回路44は、第1転送ゲート120及び第3転送ゲート144をオフするように電圧を印加させる。
【0084】
これにより、図13に示すように、タイミングB時には、光電変換素子104のポテンシャルは、第2電圧を印加までする分低下するとともに、第3転送部140のポテンシャル障壁は高くなる(第3転送部140はオンからオフの状態に変わる)。なお、第1転送部112のポテンシャル障壁は継続して高い位置にある(第1転送部112はオフの状態にある)。
【0085】
図12に示すように、光電変換素子104の蓄積期間が終了した後、光電変換素子104に溜まった光電子eを光電子保持部114に転送させる第1転送期間中のタイミングC時には、ゲート駆動回路44は、第3スイッチ160をオン、第1スイッチ156及び第2スイッチ158をオフにすることで、フォトゲート110に第3電圧を印加させる。このとき、ゲート駆動回路44は、第1転送ゲート120がオンになるように電圧を印加し、第3転送ゲート144にオフの電圧を印加させる。
【0086】
これにより、図13に示すように、タイミングC時には、光電変換素子104のポテンシャル位置は、第3電圧を印加した分高くなるとともに、第1転送部112のポテンシャル障壁は第2電圧を印加した分低くなり(第1転送部112はオフからオンの状態に変わる)、光電変換素子104で発生した光電子は光電子保持部114に転送される。なお、光電変換素子104のポテンシャルが、第3電圧を印加した分高い場合は、光電変換素子104は基板深くで生成した光電子を基板表面に集めるとともに光電変換素子104で発生した光電子を光電子保持部114に転送する。したがって、フォトゲート110に第3電圧が印加され、且つ、第1転送ゲート120にオンの電圧が印加されている状態時は、転送期間であるとともに蓄積期間であるともいえる。
【0087】
図12に示すように、第1転送期間であり、且つ、タイミングCの後であるタイミングD時には、ゲート駆動回路44は、第1スイッチ156をオン、第2スイッチ158及び第3スイッチ160をオフにすることで、フォトゲート110に第1電圧を印加させる。このとき、ゲート駆動回路44は、継続して、第1転送ゲート120にオンの電圧を印加させ、第3転送ゲート144にオフの電圧を印加させる。
【0088】
これにより、図13に示すように、タイミングD時には、光電変換素子104のポテンシャルは、第2電圧を印加する分高くなるとともに、第1転送部112のポテンシャル障壁は、低いままである。
【0089】
このように、第1転送期間においては、光電変換素子104のポテンシャルを第1電圧から第3電圧、第3電圧から第2電圧に印加して段階的に高くするので、、第1転送の際に、光電変換素子104に残留する光電子eの量を軽減させることができるとともに、効率よく光電子eを光電子保持部114に転送させることができる。なお、第1転送期間が終了すると次の蓄積期間が到来するまでの間、排出期間となり、光電変換素子104で発生した光電子eを排出し続ける。
【0090】
光電子保持部で光電子保持する期間中、図12、図13に示すような動作を所定回数(例えば、100回)繰り返す。その後読出期間に入ると、ゲート駆動回路44は、光電子振分部106の第2転送ゲート124にオンのゲート駆動信号Sdを印加させて、光電子保持部114に集められ、保持された光電子eを浮遊拡散層118に転送し、信号読出線132から、該光電子eに応じた電圧信号が読み出す。なお、図13に示すように、ゲート駆動回路44は、排出期間、蓄積期間、及び第1転送期間においては、オンの電圧を保持ゲート122に印加している。
【0091】
上記実施の形態は、以下のように変形してもよい。
【0092】
(変形例1)変形例1では、蓄積期間が開始される前に、光電変換素子104に存在する光電子eを確実に排出するため、排出期間と蓄積期間との間に、直前排出期間を設け、該直前排出期間にも、光電子eの排出動作を行うというものである。
【0093】
図14は、変形例1の光電変換素子104のフォトゲート110、第1転送ゲート120、第3転送ゲート144に印加されるゲート駆動信号Sa、Sb、Seを示すタイムチャートであり、図15は、図14に示すタイムチャートの各タイミングにおける受光装置100の表面におけるポテンシャル図である。図15は、図4のA−A線断面図における基板表面のポテンシャル図を示す。
【0094】
図14及び図15に示すタイミングA、B、C、Dにおける受光装置100の動作は、図12及び図13に示すタイミングA、B、C、Dにおける受光装置100の動作と同様であるので、説明を省略する。なお、直前排出期間においては、ゲート駆動回路44は、第1転送ゲート120に継続してオンの電圧を印加し、第3転送ゲート144に継続してオフの電圧を印加する。これにより、直前排出期間においては、第1転送部112のポテンシャル障壁が低くに保たれ、第3転送部140のポテンシャル障壁は、高く保たれる。
【0095】
図14に示すように、光電変換素子104の排出期間終了後、蓄積期間前に光電変換素子104にある光電子eを排出する直前排出期間であるタイミングa1時には、ゲート駆動回路44は、第2スイッチ158をオン、第1スイッチ156及び第2スイッチ158をオフにすることで、フォトゲート110に第2電圧を印加させる。これにより、図15に示すように、タイミングa1時には、光電変換素子104のポテンシャル障壁は低くなる。
【0096】
図14に示すように、直前排出期間であり、タイミングa1の後のタイミングa2時には、ゲート駆動回路44は、第3スイッチ160をオン、第1スイッチ156及び第2スイッチ158をオフにすることで、フォトゲート110に第3電圧を印加させる。これにより、図15に示すように、タイミングa2時には、光電変換素子104のポテンシャルは、第3電圧を印加した分高くなる。
【0097】
図14に示すように、直前排出期間であり、タイミングa2の後に到来するタイミングa3時には、ゲート駆動回路44は、第1スイッチ156をオン、第2スイッチ158及び第3スイッチ160をオフにすることで、フォトゲート110に第1電圧を印加させる。これにより、図15に示すように、タイミングa3時には、光電変換素子104のポテンシャルは、高くなる。
【0098】
このように、直前排出期間においては、光電変換素子104のポテンシャルを第3電圧から第1電圧を印加する分、低下させた後、第1電圧から第3電圧、第3電圧から第2電圧のように段階的に高くしていくので、光電変換素子104に存在する光電子eを基板表面に効率よく集積し、拡散層142に効率よく排出することができ、光電変換素子104に残留する光電子eの量を軽減させることができる。
【0099】
(変形例2)上記した第1スイッチ156、第2スイッチ158、及び第3スイッチ160は、以下のような構成を有していてもよい。図16は、変形例2の第1スイッチ156、第2スイッチ158、及び第3スイッチ160の構成図である。
【0100】
第2スイッチ158及び第3スイッチ160は、トランスファーゲートによって構成し、トランスファーゲートは、Nチャネル型のトランジスタNとP型チャネルのトランジスタPとからなるCMOSスイッチで構成する。第2スイッチ158に、第2スイッチ158のオンオフを指示するオンオフ指示信号r2が、第3スイッチ160に、第3スイッチ160のオンオフを指示するオンオフ指示信号r3が印加される。
【0101】
ゲート駆動回路44は、フォトゲート110に第2電圧を印加させる場合は、第2スイッチ158にオンのオンオフ指示信号r2を印加させる。ゲート駆動回路44は、フォトゲート110に第3電圧を印加させる場合は、第3スイッチ160オンのオンオフ指示信号r3を印加させる。
【0102】
第1スイッチ156は、並列に接続された複数のMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ162を有する。複数のMOSトランジスタ162のゲートには、第1スイッチ156のオンオフを指示するオンオフ指示信号r1が印加される。複数のMOSトランジスタ162のドレインはフォトゲート110に接続され、ソースは、第1電圧が印加されている。
【0103】
複数のMOSトランジスタ162のうち、少なくとも1つ以上のMOSトランジスタ162には、論理回路164を介して、オンオフ指示信号r1が入力される。論理回路164の第1入力端子に、オンオフ指示信号r1が第1信号として入力され、論理回路164の第2入力端子には、フォトゲート110に印加される電圧を第3電圧あるいは第2電圧から第1電圧に遷移させる場合の時間を第1スイッチのオン抵抗値を調整するための設定値が第2信号Kとして入力される。
【0104】
本実施の形態では、第1スイッチ156は、3つのMOSトランジスタ162(以下、MOSトランジスタ162a、162b、162cと呼ぶ)と2つの論理回路164(以下、論理回路164b、164c)を有し、MOSトランジスタ162bには論理回路164bを介して、MOSトランジスタ162cには論理回路164cを介してオンオフ指示信号r1が入力されるように構成している。本実施の形態では、論理回路164としてアンド回路を用いている。
【0105】
ゲート駆動回路44は、論理回路164bの第2入力端子に入力される第2信号K(以下、第2信号Kb)と、論理回路164cの第2入力端子に入力される第2信号K(以下、第2信号Kc)とを予め設定することで、第1スイッチ156のオン抵抗の値を変えることができる。
【0106】
例えば、論理回路164bに入力される第2信号Wbをハイ、論理回路164cに入力される第2信号Wcをローとしておくことで、ハイのオンオフ指示信号r1が第1スイッチ156に入力されると、MOSトランジスタ162a及びMOSトランジスタ162bがオンになり(MOSトランジスタ162cはオフのまま)、第1電圧は、並列に接続されたMOSトランジスタ162a及びMOSトランジスタ162bを介してフォトゲート110に印加されることになる。
【0107】
また、例えば、論理回路164bに入力される第2信号Wb、及び、論理回路164cに入力される第2信号Wcを共にハイにしておくことで、オンのオンオフ指示信号r1が第1スイッチ156に入力されると、MOSトランジスタ162a、MOSトランジスタ162b、及びMOSトランジスタ162cの全てがオンになり、第1電圧は、並列に接続されたMOSトランジスタ162a、MOSトランジスタ162b、及びMOSトランジスタ162cを介してフォトゲート110に印加されることになる。
【0108】
このように、論理回路164b、164cに入力される第2信号Wb、Wcの値を変えることで、並列に接続されたMOSトランジスタ162a、162b、162cがオンになる数を変えることができるので、第1スイッチ156のオン抵抗の値を変えることができる。
【0109】
この第1スイッチ156の抵抗値を所望の抵抗値(所定の抵抗値)に変えることで、図17に示すように、フォトゲート110に印加する電圧信号を第3電圧から第1電圧に切り換える場合、印加する電圧が第3電圧から徐々に第1電圧に近づくことになり、転送の際に光電変換素子104に残留する光電子eの量を可能な限り軽減させることができるとともに、光電子eの転送効率の向上を図ることができる。このフォトゲート110に印加される電圧が、第3電圧から第1電圧に近づく度合いは、第1スイッチ156の抵抗値によって変わる。なお、図17は、変形例2の光電変換素子104のフォトゲート110、第1転送ゲート120、第3転送ゲート144に印加されるゲート駆動信号Sa、Sb、Seを示すタイムチャートであり、図17に示す点線は、フォトゲート110に印加される電圧信号が、第3電圧から瞬時に第1電圧に切り換わった場合のゲート駆動信号Saを示す。
【0110】
次に、第1スイッチ156の抵抗値を所望の抵抗値に変えることで、転送の際に光電変換素子104に残留する光電子eの量が可能な限り低減される理由を説明する。図18は、フォトゲート110に印加する電圧信号が、第3電圧から瞬時に第1電圧に切り換えられた場合の、図17に示すタイムチャートの各タイミングにおける光電変換素子104の基板深さ方向のポテンシャル図の一例である。
【0111】
フォトゲート110に第3電圧が印加されているタイミングA時には、光電変換素子104で発生した光電子eは、バイアスによりp型半導体基板102の表面側に集まる。その後、フォトゲート110に印加される電圧が第3電圧から瞬時に第1電圧に切り換わった直後であるタイミングB時には、光電変換素子104の表面のポテンシャルが急激に高くなるため、光電変換素子104の表面に集まっていた光電子eの一部はp型半導体基板102の深さ方向も移動し、タイミングC時でも、p型半導体基板102の深さ方向に移動した光電子eが光電変換素子104に残留する。このとき、第1転送ゲート120には、オンのゲート駆動信号Sbが印加されているが、フォトゲート110の表面のポテンシャル障壁が急激に高くなるため、一旦光電変換素子104の基板深さ方向に移動した光電子eは転送期間中に再び表面に集めることができないため、光電子保持部114にあるいは光電子排出部に転送、排出する効率が低下してしまう。
【0112】
図19は、第1スイッチ156を所望の抵抗値で駆動した場合の本変形例2の場合の、図17に示すタイムチャートの各タイミングにおける光電変換素子104の深さ方向のポテンシャル図の一例である。
【0113】
フォトゲート110に第3電圧が印加されているタイミングA時には、光電変換素子104で発生した光電子eは、p型半導体基板102の表面に集まる。その後、フォトゲート110に印加される電圧が第3電圧から徐々に第1電圧に変化し遷移する途中であるタイミングB時には、光電変換素子104の表面のポテンシャルが徐々に高くなり、光電変換素子104の表面に集った光電子eは、p型半導体基板102の深さ方向に拡散せず、表面に留まるため、光電変換素子104と光電子保持部の間の表面ポテンシャル勾配により光電子保持部114に移動することができる。その後、フォトゲート110に第1電圧を完全に印加しているタイミングC時には、光電変換素子104の光電子eは既に光電子保持部114に転送されているので、光電子eは光電変換素子104に残留しない。
【0114】
このように、第1スイッチ156のオン抵抗を所望の抵抗値にすることで、フォトゲート110に印加される電圧が、第1電圧より高い電圧から第1電圧に徐々に近づくことになり、転送の際に光電変換素子104に残留してしまう光電子eの量を可能なかぎり軽減させることができるとともに、光電子eの転送の効率向上を図ることができる。
【0115】
(変形例3)上記実施の形態及び変形例1及び2では、単位画素30は、4つの受光装置100を有するようにしたが、単位画素30は、2つ、3つ、5つ等の複数の受光装置100を有してもよく、受光装置100を1つのみ有してもよい。また、受光装置100は、4つの光電子振分部106を有するようにしたが、2つ、3つ、5つ等の複数の光電子振分部106を有してもよく、光電子振分部106を1つのみ有してもよい。
【0116】
また、第1スイッチ156、第2スイッチ158、及び第3スイッチ160を、ゲート駆動回路44内に設けるようにしたが、ゲート駆動回路44の外部に設けるようにしてもよい。
【0117】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0118】
10…測距システム 12…照射装置
14…撮像部 16…演算部
18…制御部 20…電源
28…固体撮像装置 30…単位画素
32…画素アレイ 34…画素駆動回路
44…ゲート駆動回路 100…受光装置 光電子振分部
102…p型半導体基板 104…光電変換素子 受光部
106…光電子転送部 振分部 108…光電子排出部
110…フォトゲート 112…第1転送部
114…光電子保持部 116…第2転送部
118…浮遊拡散層118 120…第1転送ゲート
122…保持ゲート 124…第2転送ゲート
126…リセット用トランジスタ 130…信号読出用トランジスタ
132…信号読出線 134…選択用トランジスタ
140…第3転送部 142…拡散層
144…第3転送ゲート 150…第1電圧源
152…第2電圧源 154…第3電圧源
156…第1スイッチ 158…第2スイッチ
160…第3スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を検知して光電子を発生する光電変換素子を有する単位画素と、
前記単位画素を駆動させる画素駆動部と、
を備え、
前記光電変換素子は、フォトゲート構造により形成され、
前記画素駆動部は、3値の電圧のうち、いずれかの電圧を前記光電変換素子のフォトゲートに印加することで、前記光電子の蓄積、転送を行い、
前記3値の電圧は、少なくとも、第1電圧と、前記第1電圧より高い第2電圧と、前記第1電圧より高く且つ前記第2電圧より低い第3電圧とを有する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像装置であって、
前記光電変換素子で発生した前記光電子を排出する排出期間を有し、前記画素駆動部が、前記第3電圧を前記フォトゲートに印加することで、前記光電変換素子に発生した前記光電子を排出する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の固体撮像装置であって、
前記単位画素は、前記光電子を排出する光電子排出部に、前記光電変換素子で発生した該光電子を転送するための第3転送部をさらに有し、
前記画素駆動部は、前記排出期間においては、さらに前記第3転送部をオンして前記光電子を前記光電子排出部に転送する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の固体撮像装置であって、
前記排出期間終了後に前記光電変換素子で発生した前記光電子を蓄積する蓄積期間をもち、前記画素駆動部は、前記フォトゲートに前記第2電圧又は第3電圧を印加することで、前記光電変換素子で発生した前記光電子を蓄積する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の固体撮像装置であって、
前記蓄積期間終了後に、前記光電変換素子に蓄積した前記光電子を光電子保持部に転送する第1転送期間を有し、前記画素駆動部は、前記フォトゲートに前記第3電圧を印加させた後、前記第1電圧を印加する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の固体撮像装置であって、
前記単位画素は、前記光電子の集積と保持とを繰り返して光電子を累積する前記光電子保持部に、前記光電変換素子で発生した該光電子を転送するための第1転送部をさらに有し、
前記画素駆動部は、前記第1転送期間のみもしくは蓄積期間と第1転送期間においては、さらに前記第1転送部をオンして前記光電変換素子で発生した前記光電子を前記光電子保持部に転送し、前記第1転送期間以外もしくは蓄積期間と第1転送期間以外においては、該第1転送部をオフして前記光電変換素子で発生した該光電子を前記光電子保持部に転送しない
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の固体撮像装置であって、
前記排出期間終了後、前記蓄積期間前に、前記光電変換素子で発生した前記光電子を排出する直前排出期間を有し、前記画素駆動部は、前記第2電圧を前記フォトゲートに印加してから前記第3電圧を印加し、その後前記第1電圧を印加することで、前記光電変換素子に残存する前記光電子を排出する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体撮像装置であって、
前記画素駆動部は、前記第1電圧を前記フォトゲートに印加する第1スイッチと、前記第2電圧を前記フォトゲートに印加する第2スイッチと、前記第3電圧を前記フォトゲートに印加する第3スイッチと、をさらに有し、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのオンオフを切り換えることで、前記光電変換素子で発生した前記光電子の排出、蓄積、転送、保持のいずれかの動作を行う
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の固体撮像装置であって、
前記第1スイッチは、並列に接続された複数のMOSトランジスタにより構成され、
前記画素駆動部は、オンするMOSトランジスタの数を変更することで、前記第1スイッチの抵抗値を変えて、画素部のゲートに印加される電圧が前記第3電圧から、もしくは前記第2電圧から前記第1電圧に移行するまでの時間を調整する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の固体撮像装置であって、
オンオフ指示信号を第1信号入力とし、前記第1スイッチの抵抗値調整用の設定信号を第2信号入力とする論理回路を介して、前記複数のMOSトランジスタのうち、少なくとも1つ以上の前記MOSトランジスタの該オンオフを制御する
ことを特徴とする固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−217059(P2012−217059A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81325(P2011−81325)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】