説明

地図表示装置、および、プログラム

【課題】登録されたメモリ地点の位置を変更する場合に、メモリ地点に対応付けられる名称情報を適切なものとし、ユーザが違和感を抱くことを抑制可能な地図表示装置を提供する。
【解決手段】名称情報としての「名称」が手動で変更されているときは(S121:YES、S122:YES)、メモリ地点の「名称」は承継される(S126〜S128)。メモリ登録時点で「名称」が施設名称として自動的に記憶されているときは(S121:YES、S122:NO)、カーソル位置に対応する住所および施設を検索し、施設が検索されなければ、名称および電話番号を削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置に関し、特に地図上で登録される地点であるメモリ地点の位置を変更可能な地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS等により位置を検出し、現在地から目的地までの適切な経路を演算して求め、さらに、その経路の案内を行うナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置では、カラーディスプレイ装置などの表示装置を備えるのが一般的であり、その表示画面には、車両位置を示す現在地マークと、地図データに基づき描画される地図と、さらに演算された経路を示す誘導経路などの情報が重ねて表示される。
【0003】
ところで、上述した経路を求めるためには、目的地を設定することが必要となる。目的地として設定対象となる地点は、種々の条件によって検索可能となっている。例えば、「遊園地」といったジャンルを選択することにより、遊園地が検索される。検索結果は上述の表示装置に現在地に近い順番でリスト表示されるようになっており、このリストから選択することにより、検索された遊園地の中から目的地を設定できるようになっている。
【0004】
そして、従来、このような目的地の設定等を容易にするため、地図上の地点を登録することにより、次回からその登録地点(以下「メモリ地点」という)を利用できるようにしたナビゲーション装置が知られている。例えば、検索された遊園地をメモリ地点として登録しておくことにより、次回から、このメモリ地点を参照して、その遊園地を容易に目的地に設定できる。
【0005】
また、登録したメモリ地点の位置を、その後、変更できるナビゲーション装置もある(例えば、特許文献1参照)。このナビゲーション装置では、さらに、メモリ地点に対応させて地図上にメモリ地点の名称を表示できるように、メモリ地点に関連する名称の情報(以下、「名称情報」という)を記憶できるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−94378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1にはメモリ地点の位置変更を行うときにメモリ地点の名称を変更する技術が開示されているが、これは、メモリ地点の地図上での移動距離が所定距離以上になった場合に名称を変更するというものである。
しかしながら、例えばメモリ地点の名称をそこに住んでいる知人の名前にしたときでその知人が引越しをした場合等、メモリ地点の移動距離が所定距離以上になった場合でも、メモリ地点の名称を変更したくない場合があり得る。反対に、メモリ地点の移動距離が所定距離より小さいときでも、メモリ地点の名称を変更したい場合があり得る。つまり、メモリ地点の名称を変更するか否かをメモリ地点の移動距離だけで判断すると、名称の承継/変更がユーザの意図にそぐわないものとなるおそれがある。
【0008】
また、従来技術では、例えばジャンル等の特定条件で検索された地点をメモリ地点として登録すると、名称情報としての名称が自動的に記憶されるのが一般的である。このように自動的に設定された名称は、施設名称などであり、当該地点に関連するものである。そのため、メモリ地点を移動させた場合、当該メモリ地点の名称を変更したい場合が多い。
【0009】
しかしながら、従来技術では、このように自動的に設定された名称をそのまま一律に承継するようになっており、この点においても、名称の承継がユーザの意図にそぐわないものとなるおそれがある。
なお、ここではナビゲーション装置を例に挙げて説明したが、上述した課題は、ナビゲーション装置だけに限られず、地点登録を行うことが可能な地図表示機能を備える装置に内在するものである。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、登録されたメモリ地点の位置を変更する場合に、メモリ地点に対応付けられる名称情報を適切なものとし、ユーザが違和感を抱くことを抑制可能な地図表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の地図表示装置は、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、ユーザからの情報入力を行うための操作手段と、地図データに基づき、操作手段を介して選択された地点の座標情報を記憶することにより、当該地点をメモリ地点として登録するメモリ地点登録手段と、メモリ地点が地図上に表示される際に当該メモリ地点の周辺に対応付けて表示される名称の情報である名称情報を、メモリ地点に関連付けて記憶可能な名称情報記憶手段と、操作手段を介してメモリ地点の位置変更が指示されると、地図データに基づき座標情報を変更することにより、メモリ地点の位置を変更するメモリ地点位置変更手段とを備えた地図表示装置であって、名称情報記憶手段は、特定条件にて検索された地点がメモリ地点登録手段にて登録される際、地図データに基づき、当該地点に対応する名称情報を自動的に記憶するようになっており、さらに、メモリ地点位置変更手段にてメモリ地点の位置が変更される際、名称情報が操作手段を介して入力されたものである場合は当該名称情報を承継し、一方、名称情報が地図データに基づいて自動的に記憶されたものである場合は当該名称情報を変更することを特徴とする。
【0012】
つまり、名称情報がユーザによって入力されたものである場合には、メモリ地点の変更に際し、その名称情報をそのまま用いるのである。この思想は、ユーザがメモリ地点に対して入力する情報は地図上の位置(座標情報)に依存しない情報である蓋然性が高い、ということに着目したものである。また、名称情報が地図データに基づいて自動的に記憶されたものである場合は、当該名称情報を変更する。地図データに基づく名称情報は、地図上の位置(座標情報)に依存する情報だからである。このようにすれば、登録されたメモリ地点の位置を変更する場合に、メモリ地点に対応付けられる名称情報が適切なものとなり、ユーザが違和感を抱くことを抑制できる。
【0013】
ところで、名称情報を変更する場合、名称情報を削除することとしてもよい。また、変更先の座標情報に基づき地図データを参照することで変更先の地点に対応する名称情報を自動的に記憶することとしてもよい。
【0014】
なお、以上は地図表示装置の発明として説明してきたが、本発明はメモリ地点位置変更の機能に特徴を有するものであるため、プログラムの発明として実現してもよい。
すなわち、本発明のプログラムは、地図データに基づき、操作手段を介して選択された地点の座標情報を記憶することにより、当該地点をメモリ地点として登録するメモリ地点登録処理と、メモリ地点が地図上に表示される際に当該メモリ地点の周辺に対応付けて表示される名称の情報である名称情報を、メモリ地点に関連付けて記憶可能な名称情報記憶処理と、操作手段を介してメモリ地点の位置変更が指示されると、地図データに基づき座標情報を変更することにより、メモリ地点の位置を変更するメモリ地点位置変更処理とを含むプログラムであって、名称情報記憶処理は、特定条件にて検索された地点がメモリ地点登録処理にて登録される際、地図データに基づき、当該地点に対応する名称情報を自動的に記憶する処理を含み、さらに、メモリ地点位置変更処理にてメモリ地点の位置が変更される際、名称情報が操作手段を介して入力されたものである場合は当該名称情報を承継し、一方、名称情報が地図データに基づいて自動的に記憶されたものである場合は当該名称情報を変更する処理を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明の地図表示装置を車載用ナビゲーション装置に適用したものである。
図1は、本実施形態の車載用ナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。車載用ナビゲーション装置1は、制御部10を中心に構成されており、この制御部10に接続される位置検出器20、地図データ記憶部30、操作スイッチ群40、描画部50、及び音声出力部60を備えている。なお、制御部10は通常のコンピュータとして構成されており、内部には、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。また、描画部50には、ディスプレイ50aが電気的に接続されており、音声出力部60には、スピーカ60aが電気的に接続されている。
【0016】
位置検出器20は、いずれも周知の地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)受信機24を有している。これらセンサ等21〜24は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。
【0017】
地図データ記憶部30は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ及び地図データを記憶している。また、地図データには、施設の名称、住所および電話番号といった施設情報が含まれる。地図データ記憶部30は、ハードディスク装置(HDD)で構成されている。なお、本実施形態では、HDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。
【0018】
操作スイッチ群40は、ディスプレイ50aと一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチやリモコン装置等で構成され、各種入力に使用される。
描画部50には、上述したようにディスプレイ50aが接続されている。ディスプレイ50aは、液晶やCRTを用いたカラーディスプレイである。このディスプレイ50aを介して情報表示が行われる。
【0019】
音声出力部60にはスピーカ60aが接続されており、このスピーカ60aを介して音声による案内が行われる。
次に、図2に示すフローチャートに基づき、ナビゲーション機能について説明する。
最初のステップS1(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)では、車両の現在位置を検出する。この処理は、位置検出器20から入力される情報に基づいて行われる。現在位置の検出は、経路案内における出発地の確定を意味する。検出された現在位置は、現在地マークとして地図上に表示される。
【0020】
次のS2では、目的地の検索および設定が行われる。この処理は、操作スイッチ群40を介して、目的地の検索および設定を行うものである。目的地の検索では、検索条件が入力されることにより、地図データ記憶部30の地図データが参照され施設情報が検索されることにより、当該検索条件に合った目的地のリストがディスプレイ50aに表示される。例えば「遊園地」という検索条件が入力されることにより、現在位置に近い順に、遊園地のリストが表示されるという具合である。そして、このようなリストからの選択操作を行うことにより、目的地が設定される。具体的には、リストの選択操作を行うと、選択した地点がカーソルの中心となるように地図が表示されるようになっており、所定操作をすることによって、当該地点が目的地として設定される。
【0021】
続くS3では、経路探索を行う。この処理は、現在地から目的地までの最適な経路を自動的に選択するものであり、いわゆる誘導経路を形成するものである。このような最適な経路の探索は、ダイクストラ法等の手法で実現される。
次のS4では、経路案内および表示を行う。この処理は、形成された誘導経路をディスプレイ50aに表示すると共に、車両の走行状況に応じて制御部10により、スピーカ60aを介して、ルート案内を主としたガイダンス音声を出力するものである。
【0022】
ところで、上記S2における目的地の設定を容易にする等の目的で、本実施形態では、地図上の地点をメモリ地点として登録可能となっている。そこで次に、メモリ地点登録処理について、図3に基づき説明する。
図3は、メモリ地点登録処理を示すフローチャートである。最初のS100では、検索条件が入力されたか否かを判断する。ここで検索条件が入力されたと判断された場合(S100:YES)、S101へ移行する。一方、検索条件が入力されないうちは(S100:NO)、S100の判断処理を繰り返す。
【0023】
S101では、検索結果を表示する。目的地検索と同様、地図データ記憶部30の地図データ中の施設情報が検索される。したがって、この処理は、検索条件に合致した地点を、ディスプレイ50aにリスト表示するものである。ここでリスト表示された地点が選択されると、S102へ移行する。
S102では、S101にて選択された地点を中心とする地図を表示する。このとき、地図上にはカーソル表示がなされており、カーソルが検索地点に重ねて表示されている。
【0024】
続くS103では、「セット」ボタンが押されたか否かを判断する。本実施形態では、ディスプレイ50aに「セット」ボタンが表示されるようになっており、この部分がタッチされたか否かを、ディスプレイ50aと一体となっているタッチパネルによって判断する。ここで「セット」ボタンが押されたと判断された場合(S103:YES)、S104へ移行する。一方、「セット」ボタンが押されないうちは(S103:NO)、S102からの処理を繰り返す。
【0025】
「セット」ボタンが押されたときに移行するS104では、カーソルの示す地点が特定の検索方法で検索された地点であるか否かを判断する。本実施形態において、特定の検索方法は、施設の名称に含まれる仮名文字を検索条件として入力する50音検索、施設のジャンルを検索条件として入力するジャンル検索、および、施設の電話番号を検索条件として入力する電話番号検索となっている。なお、ここでいう電話番号検索は、例えば局番までの番号に基づく電話番号エリア検索を除く。すなわち、特定の検索方法とは、検索条件から地図データ中の施設情報を検索することでピンポイントに施設が検索されるものをいう。ここで特定の検索方法であると判断された場合(S104:YES)、S105にてカーソル地点の座標、住所(マップコード)、「名称情報」としての名称(ここでは施設名称)、および、電話番号を地図データから取得して記憶し、その後、本メモリ地点登録処理を終了する。一方、特定の検索方法でないと判断された場合(S104:NO)、例えば住所、郵便番号、あるいは、マップコードなどで検索された場合には、S106にてカーソル地点の座標および住所(マップコード)を地図データから取得して記憶し、その後、本メモリ地点登録処理を終了する。
【0026】
なお、ここでは検索地点としてのカーソル地点をそのまま登録しているが、S102で表示されたカーソルを地図上に表示される「矢印」ボタンなどで移動させ、移動先のカーソル地点を登録できるようにしてもよい。また、地図の下部に「地点登録」ボタンが表示されるように構成し、この「地点登録」ボタンを押下することで、検索条件を入力することなく、車両の現在位置またはカーソル地点を登録できるようにしてもよい。これらの方法で地点登録された場合、S106と同様に、カーソル地点の座標および住所だけを登録するようにすることが例示される。
【0027】
ところで、本実施形態では、メモリ地点(座標)に対応させて、「記号」、「名称」、「住所(マップコードを含む)」、「電話番号」などが記憶可能となっている(図5等参照)。ここで、これらの情報について説明しておく。
「記号」は、メモリ地点を地図上に表示するためのものである。記号の種類としては、デフォルトである「旗」の記号、「ハート」などのトランプ記号、「家」の記号など、種々のものが用意されている。メモリ地点登録にあたっては、デフォルトである「旗」の記号が設定される。
【0028】
「名称」は、地図上に記号が表示される際、当該記号の周辺に表示されるものである。具体的には、地図上に名称を表示させる場合、図5に示す表示画面の中央位置にある「地図上の名称表示」(Aで示した)で「する」を選択操作する。この名称は、特定の検索方法にて検索された地点をメモリ地点として登録する場合(図3中のS104:YES)、地図データから自動的に記憶される(S105)。
【0029】
「住所」は、地図に予め設定されたエリアを示す情報であり、例えば「愛知県名古屋市中区付近」というような情報である。この住所は、座標情報により地図データを検索することによって自動的に取得される。メモリ地点が登録されると、住所が自動的に取得されて記憶される(図3中のS105、S106)。
「電話番号」は、メモリ地点に対応する電話番号であり、特定の検索方法にて検索された地点をメモリ地点として登録する場合には(図3中のS104:YES)、地図データから自動的に記憶される(S105)。
【0030】
次に、登録されたメモリ地点を修正するメモリ地点修正処理について、図4に基づき説明する。
最初のS110では、メモリ地点が選択されたか否かを判断する。ここでメモリ地点が選択された場合(S110:YES)、S111へ移行する。一方、メモリ地点が選択されないうちは、以降の処理を実行せず、本メモリ地点修正処理を終了する。
【0031】
S111では、メニュー表示を行う。この処理は、図5(a)に示すように、メモリ地点に関する情報を表示するものである。図5(a)では、Bで示すように記号は「ハート」になっており、Cで示すように住所は「愛知県名古屋市中区付近」となっている。
続くS112では、「変更」ボタンが押されたか否かを判断する。この処理は、図5(a)の右側の「変更」ボタンがタッチされたか否かを、ディスプレイ50aと一体となっているタッチパネルによって判断するものである。ここで「変更」ボタンが押されたと判断された場合(S112:YES)、S113にて変更処理を実行し、その後、本メモリ地点修正処理を終了する。一方、「変更」ボタンが押されないうちは(S112:NO)、S111の処理を繰り返す。
【0032】
ここで、上述したメモリ地点修正処理について、図5を用いて具体的に説明する。メモリ地点が選択されると(図4中のS110:YES)メニュー表示が行われ(S111)、「変更」ボタンが押されたか否かが判断される(S112)。ここでは、「名称」の欄の右側にある「変更」ボタンが押されたものとして説明を続ける。「変更」ボタンが押されると変更処理に移行するのであるが(S112:YES、S113)、このときは、仮名の入力画面が表示される。この入力画面を使用して名称を入力可能となっており、漢字変換機能を適宜使用することによって、例えば図5(b)中にDで示すように「Aさんの家」という名称を設定(あるいは変更)することができる。
【0033】
ところで、メモリ地点登録処理およびメモリ地点修正処理について説明してきたが、特に、本実施形態は、メモリ地点の位置を変更するメモリ地点修正処理のうちのメモリ地点位置変更処理に特徴を有するものである。そこで次に、メモリ地点位置変更処理について説明する。このメモリ地点位置変更処理は、上述したメモリ地点修正処理において「住所」の欄の右側にある「変更」ボタン(図5参照)が押されたときに実行される。
【0034】
最初のS120では、登録された地点を移動する。メモリ地点の移動は、地図上で行うことができるようになっている。具体的には、メモリ登録処理と同様、メモリ地点を中心とする地図がディスプレイ50aに表示される。このとき、地図上にはカーソル表示がなされており、最初はカーソルがメモリ地点に重ねて表示されている。そして、表示画面をタッチすることによってカーソルを移動させ、次に「セット」ボタンをタッチすることによってメモリ地点を地図上で移動させる。なお、ここではメニュー画面(図5参照)からの位置変更について説明したが、地図上でメモリ地点の記号をタッチして当該メモリ地点を選択状態とし、この記号をドラッグして移動させる構成としてもよい。このように直感的にメモリ地点を移動させられる構成とすれば、ユーザ操作が容易になるという点で有利である。
【0035】
続くS121では、メモリ地点の「名称」が設定されているか否かを判断する。ここで設定されていると判断された場合(S121:YES)、S122へ移行する。一方、設定されていないと判断された場合(S121:NO)、図7中のS129へ移行する。
S122では、メモリ地点の「名称」が手動で変更されているか否かを判断する。ここで変更されていると判断された場合(S122:YES)、S123にてカーソル位置に対応する住所を検索し、S124へ移行する。一方、変更されていないと判断された場合(S122:NO)、図8中のS131へ移行する。
【0036】
S124では、電話番号が設定されているか否かを判断する。ここで電話番号が設定されていると判断された場合(S124:YES)、S125へ移行する。一方、電話番号が設定されていないと判断された場合(S124:NO)、S126にて「名称」を承継し住所を変更して、その後、本メモリ地点位置変更処理を終了する。すなわち、手動で名称が設定されている場合には、メモリ地点の「名称」を承継する。
【0037】
電話番号が設定されている場合に移行するS125では、携帯電話の番号であるか否かを判断する。この処理は、電話番号の最初の3桁が「090」、「080」あるいは「070」であることを判断することで行われる。ここで携帯電話の番号であると判断された場合(S125:YES)、携帯電話の番号はメモリ地点に依存しないため、S127にて名称および電話番号を承継し住所を変更して、その後、本メモリ地点位置変更処理を終了する。一方、携帯電話の番号でないと判断された場合(S125:NO)、S128にて名称を承継し電話番号を削除し住所を変更して、その後、本メモリ地点位置変更処理を終了する。
【0038】
上述のS121にて否定判断された場合に移行する図7中のS129では、カーソル位置に対応する住所を検索する。続くS130では住所を変更して、その後、本メモリ地点位置変更処理を終了する。すなわち、名称が設定されていない場合には、住所のみを変更する。
上述のS122にて否定判断された場合に移行する図8中のS131では、カーソル位置に対応する住所および施設を検索する。S122にて否定判断されるのは、メモリ地点の登録時に名称(施設の名称)および電話番号が自動的に設定されているケースである。
【0039】
次のS132では、施設が検索されたか否かを判断する。ここで施設が検索されたと判断された場合(S132:YES)、S133にて名称(施設の名称)、電話番号、住所を変更して、本メモリ地点位置変更処理を終了する。一方、施設が検索されなかったと判断された場合(S132:NO)、S134にて名称および電話番号を削除し住所を変更して、本メモリ地点位置変更処理を終了する。
【0040】
ここで、メモリ地点位置変更処理について説明したが、メモリ地点位置変更処理についての理解を容易にするため、図5に示す例を用いて、具体的な説明を加える。ここでは最初に図9(a)中にEで示すように「名称」がユーザによって「Aさんの家」と変更されている場合を説明し、次に図9(b)中にF、Gで示すように、「名称」としての「施設S」およびその施設の電話番号が、メモリ登録時点で自動的に記憶されている場合を説明する。
【0041】
図9(a)中にEで示すように、名称が「Aさんの家」と変更されているときは(図6中のS121:YES、S122:YES)、カーソル位置に対応する住所が検索されて(S123)、「住所」が変更され「名称」は承継される(S126、S127、S128)。具体的には、図10(a)中にH、Iで示すように、名称についてはそのまま「Aさんの家」となり、「住所」だけが「愛知県名古屋市中村区付近」と変更される。図5(a)中にAで示した「地図上の名称表示」が「する」になっている場合、地図上では、図10(b)に示すように、メモリ地点は移動することになるが、名称は「Aさんの家」と表示される。なお、電話番号が設定されている場合(S124:YES)、携帯電話の番号であれば(S125:YES)電話番号も承継される。携帯電話の番号でなければ(S125:NO)電話番号は削除される。
【0042】
一方、図9(b)中にFで示すように名称「施設S」と施設名称になっているときは、メモリ登録時点で自動的に記憶されたものであるため(図6中のS122:NO)、施設が検索されなければ(図8中のS132:NO)、名称および電話番号が削除され、住所のみが変更される(S134)。具体的には、図11(a)中にJで示すように、名称および電話番号の欄が空欄となる。地図上では、図11(b)に示すように、メモリ地点の移動に伴って、名称が表示されなくなる。一方、移動先に施設があるような場合、施設が検索されて(S132:YES)、名称および電話番号が変更される。具体的には、図12(a)にKで示すように、名称が施設名称「施設T」となり、その施設の電話番号が記憶される。図5(a)中にAで示した「地図上の名称表示」が「する」になっている場合、地図上では、図12(b)に示すように、メモリ地点の移動に伴って、名称が「施設T」と表示される。
【0043】
なお、もともと名称が設定されていない場合(図6中のS121:NO)、住所のみが変更される(図7中のS130)。
なお、本実施形態における地図データ記憶部30が「地図データ記憶手段」を構成し、操作スイッチ群40が「操作手段」を構成する。また、本実施形態における制御部10が「メモリ地点登録手段」、「名称情報記憶手段」および「メモリ地点位置変更手段」を構成する。そして、図3に示したメモリ地点登録処理が「メモリ地点登録手段」の機能としての処理を構成し、図3中のS105で自動的に名称情報を記憶する処理、図4中のS113の変更処理、図6中のS121、S122、S126〜S128の処理、図7中のS130の処理、および、図8中のS131〜S134の処理が「名称情報記憶手段」の機能としての名称情報記憶処理を構成し、図6中のS120の処理が「メモリ地点位置変更手段」の機能としてのメモリ地点位置変更処理を構成する。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置1によれば、名称情報としての「名称」が手動で変更されているときは(図6中のS121:YES、S122:YES)、メモリ地点の名称は承継される(S126、S127、S128)。つまり、名称情報がユーザによって入力されたものである場合には、メモリ地点の変更に際し、その名称情報をそのまま用いるのである。これによって、登録されたメモリ地点の位置を変更する場合に、メモリ地点に対応付けられる名称情報(本実施形態ではメモリ地点の「名称」)が適切なものとなり、ユーザが違和感を抱くことを抑制できる。
また、メモリ地点の「電話番号」も携帯電話の番号である場合(図6中のS125:YES)、すなわち地図に依存しないものである場合には、承継される(S127)。これによって、メモリ地点の電話番号も適切なものとなる。
【0045】
また、本実施形態では、メモリ登録時点で「名称」が施設名称として自動的に記憶されているときは(図6中のS121:YES、S122:NO)、カーソル位置に対応する住所および施設を検索し(図8中のS131)、施設が検索されなければ(S132:NO)、名称および電話番号を削除する(S134)。一方、施設が検索されれば(S132:YES)、当該施設の名称および電話番号へ変更する(S133)。これによって、メモリ地点に対応付けられる名称情報がさらに適切なものとなる。
【0046】
さらにまた、本実施形態では、メモリ地点の「名称」が、地図上に表示可能となっている。このような構成を採用する場合、不適切な「名称」がメモリ地点に対応付けられていると、当該「名称」が地図上に表示されることで、ユーザの違和感を増長させるおそれがある。この点、本実施形態では、メモリ地点に対応付けられる名称情報を適切なものにできるため、このような構成を採用する本実施形態においては特に、効果が際立つ。
【0047】
上記実施形態では車載用ナビゲーション装置1として実施していたが、車載用のものに限定されず、例えばGPS付きの携帯電話などのナビゲーション装置として実施してもよい。あるいは、ナビゲーション機能を有していない地図表示装置として実施してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】車載用ナビゲーション装置におけるナビゲーション機能の概略を示すフローチャートである。
【図3】車載用ナビゲーション装置におけるメモリ地点登録処理を示すフローチャートである。
【図4】車載用ナビゲーション装置におけるメモリ地点修正処理を示すフローチャートである。
【図5】メモリ地点修正処理のメニュー画面を例示する説明図である。
【図6】車載用ナビゲーション装置におけるメモリ地点位置変更処理を示すフローチャートの主要部分である。
【図7】車載用ナビゲーション装置におけるメモリ地点位置変更処理を示すフローチャートの分岐部分である。
【図8】車載用ナビゲーション装置におけるメモリ地点位置変更処理を示すフローチャートの分岐部分である。
【図9】(a)は名称がユーザによって入力されていることを例示する説明図であり、(b)はメモリ登録時点で自動的に名称および電話番号が記憶されていることを例示する説明図である。
【図10】(a)はメモリ地点位置変更処理に伴う名称情報の承継を示す説明図であり、(b)は、対応する地図上の表示を示す説明図である。
【図11】(a)はメモリ地点位置変更処理に伴う名称情報の削除を示す説明図であり、(b)は、対応する地図上の表示を示す説明図である。
【図12】(a)はメモリ地点位置変更処理に伴う名称情報の変更を示す説明図であり、(b)は、対応する地図上の表示を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1:車載用ナビゲーション装置、10:制御部(メモリ地点登録手段、名称情報記憶手段、メモリ地点位置変更手段)、20:位置検出器、21:地磁気センサ、22:ジャイロスコープ、23:距離センサ、24:GPS受信機、30:地図データ記憶部(地図データ記憶手段)、40:操作スイッチ群(操作手段)、50:描画部、50a:ディスプレイ、60:音声出力部、60a:スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
ユーザからの情報入力を行うための操作手段と、
前記地図データに基づき、前記操作手段を介して選択された地点の座標情報を記憶することにより、当該地点をメモリ地点として登録するメモリ地点登録手段と、
前記メモリ地点が地図上に表示される際に当該メモリ地点の周辺に対応付けて表示される名称の情報である名称情報を、前記メモリ地点に関連付けて記憶可能な名称情報記憶手段と、
前記操作手段を介して前記メモリ地点の位置変更が指示されると、前記地図データに基づき前記座標情報を変更することにより、前記メモリ地点の位置を変更するメモリ地点位置変更手段とを備えた地図表示装置であって、
前記名称情報記憶手段は、
特定条件にて検索された地点が前記メモリ地点登録手段にて登録される際、前記地図データに基づき、当該地点に対応する名称情報を自動的に記憶するようになっており、
さらに、前記メモリ地点位置変更手段にて前記メモリ地点の位置が変更される際、前記名称情報が前記操作手段を介して入力されたものである場合は当該名称情報を承継し、一方、前記名称情報が前記地図データに基づいて自動的に記憶されたものである場合は当該名称情報を変更すること
を特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記名称情報記憶手段は、前記名称情報を削除することによって、前記名称情報を変更することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の地図表示装置において、
前記名称情報記憶手段は、変更先の座標情報に基づき前記地図データを参照することで変更先の地点に対応する名称情報があれば当該名称情報を自動的に記憶することによって、前記名称情報を変更することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
地図データに基づき、操作手段を介して選択された地点の座標情報を記憶することにより、当該地点をメモリ地点として登録するメモリ地点登録処理と、
前記メモリ地点が地図上に表示される際に当該メモリ地点の周辺に対応付けて表示される名称の情報である名称情報を、メモリ地点に関連付けて記憶可能な名称情報記憶処理と、
操作手段を介して前記メモリ地点の位置変更が指示されると、前記地図データに基づき前記座標情報を変更することにより、前記メモリ地点の位置を変更するメモリ地点位置変更処理とを含むプログラムであって、
前記名称情報記憶処理は、
特定条件にて検索された地点が前記メモリ地点登録処理にて登録される際、地図データに基づき、当該地点に対応する名称情報を自動的に記憶する処理を含み、
さらに、前記メモリ地点位置変更処理にて前記メモリ地点の位置が変更される際、前記名称情報が操作手段を介して入力されたものである場合は当該名称情報を承継し、一方、前記名称情報が地図データに基づいて自動的に記憶されたものである場合は当該名称情報を変更する処理を含むこと
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−276274(P2009−276274A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129334(P2008−129334)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】