説明

地図表示装置、方面看板表示システム

【課題】分岐路の各方向を案内するのに適切な名称を表示した方面看板を表示することができる地図表示装置を提供する。
【解決手段】車両31が分岐路22に接近すると、地図30に重ねて方面看板40Aを表示する。方面看板40Aの右折矢印に表示される名称41aには、分岐路22を右折した後、最も多くの車両が進行する方向の市町村区名「○○町」が表示される。方面看板40Eの直進矢印に表示される名称41bには、分岐路22を直進した後、最も多くの車両が進行する方向の市町村区名「△△町」が表示される。さらに、方面看板40Eの左折矢印に表示される名称41cには、分岐路22を左折した後、最も多くの車両が進行する方向の市町村区名「○×町」が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方面看板を表示する地図表示装置、および方面看板表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両が分岐路に近接すると方面看板を作成して表示するナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−311625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような従来のナビゲーション装置では、方面看板に表示されている分岐路の各方向の地名が適切でない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、方面看板に表示されている分岐路の各方面の地名を、交通実態にあうように表示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明のナビゲーション装置は、交通実態を把握する手段と、交通実態に合う地名を表示する手段と、を備える。
【0007】
例えば、表示モニタと、車両が進入する分岐路の方面看板を前記表示モニタに表示する方面看板表示制御手段と、所定の地理的範囲とその名称を記憶した記憶手段と、前記分岐路を過去に走行した車両の軌跡情報を記憶した記憶手段と、を備え、前記方面看板表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記軌跡情報から、前記分岐路の分岐方面ごとに最も多くの車両が走行した軌跡を特定し、前記記憶手段に記憶された前記地理的範囲のうち前記特定した軌跡上にある最寄りの地理的範囲の名称を選択し、前記選択した名称を前記分岐路の各方向の名称として前記方面看板に表示する、ことを特徴とする地図表示装置である。
【0008】
また例えば、表示モニタと、車両が進入する分岐路の方面看板を前記表示モニタに表示する方面看板表示制御手段と、所定の地理的範囲とその名称を記憶した記憶手段と、道路の交通量を監視しているサーバ装置から、前記分岐路を過去に走行した車両の軌跡情報を含む交通情報を受信する受信手段と、を備え、前記方面看板表示制御手段は、前記受信手段によって受信した交通情報から、前記分岐路の分岐方面ごとに最も多くの車両が走行した軌跡を特定し、前記記憶手段に記憶された前記地理的範囲のうち前記特定した軌跡上にある最寄りの地理的範囲の名称を選択し、前記選択した名称を前記分岐路の各方向の名称として前記方面看板に表示する、ことを特徴とする地図表示装置である。
【0009】
また例えば、表示モニタと、車両が進入する分岐路の方面看板を前記表示モニタに表示する方面看板表示制御手段と、車両の現在地を検出する検出手段と、前記車両の現在地を送信し、サーバ装置から前記方面看板に表示される前記分岐路の各方向の名称を受信する通信手段と、を備えた地図表示装置と、所定の地理的範囲とその名称を記憶した記憶手段と、交通量を収集して前記分岐路を過去に走行した車両の軌跡情報を含む交通情報を作成する交通情報作成手段と、前記車両の現在地を受信する現在地受信手段と、前記現在地受信手段により受信した前記車両の現在地より前記車両が進入する分岐路を特定する分岐路特定手段と、前記交通情報作成手段により作成された前記交通情報から、前記分岐路の分岐方面ごとに最も多くの車両が走行した軌跡を特定し、前記記憶手段に記憶された前記地理的範囲のうち前記特定した軌跡上にある最寄りの地理的範囲の名称を前記地図表示装置に送信する送信手段と、を備えたサーバ装置と、を有して構成される方面看板表示システムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。このナビゲーション装置1では、地図を表示するとともに、方面看板を作成して表示モニタ16に表示することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、VICS(道路交通情報システム)情報受信部19、通信装置110および外部記憶装置111を有する。外部記憶装置111には、地図データであるリンクデータ等が記憶されたDVD−ROM112が装填される。もちろん、外部記憶装置111は、書き込みと読み出しが可能なハードディスクドライブなどの記憶装置でもよい。その場合には、地図データであるリンクデータ等は、ハードディスクドライブ111等の記憶領域に記憶する。
【0011】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM112に記憶された地図データであるリンクデータに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0012】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0013】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM112または外部記憶装置111の記憶領域に記憶されたリンクデータに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示などを行うことができる。
【0014】
外部記憶装置111は、DVD−ROM112から、または記憶領域から、リンクデータとエリアデータを読み出す。リンクデータは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、リンクデータに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM112以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMなどよりリンクデータを読み出してもよい。
【0015】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドを設定するための入力スイッチを有し、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を操作することにより、目的地を設定する。
【0016】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1はGPSセンサ14cにより検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズム、例えばダイクストラ法に基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路に従って車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0017】
VICS情報受信部19は、図示しないVICS情報センタから供給される渋滞情報などのVICS情報を受信し、制御回路11に出力する。このVICS情報は主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって送信される。電波ビーコンや光ビーコンは設置地付近を通過する車両に対してVICS情報を送信し、FM多重放送はそれらよりも広域の通信エリアをカバーする。ナビゲーション装置1は、これらによって送信されたVICS情報をVICS情報受信部19により受信する。
【0018】
通信装置110は、携帯端末の無線手段を利用して、外部の情報センタなどのサーバ装置とデータ通信を行う。通信装置110はネットワークを介して不図示のサーバ装置と接続し、サーバ装置から交通情報を取得することができる。ここで、サーバ装置とは、各道路の交通量を常時監視しているサーバ装置を指す。したがって、サーバ装置は、分岐路に対して進入した車両の進入方向と進行方向、およびその分岐路を通過した後にどの方向に進行する車両が多いかといった実際の交通情報(プローブ情報)を有している。
【0019】
次に、図2および図3を参照して、本発明の一実施形態における方面看板の表示について説明する。図2は、自車位置を含む広域地図20である。符号21は自車位置を示す。符号22は、自車両がこれから進入する分岐路を示す。図2に示すように、車両が分岐路22を右折して道なりに進行すると、「××町」方面へ進む。しかし、道なりに進行する車両より、分岐路24を左折して「○○町」方面へ進行する経路23aへ向かう車両が多い。また、車両が分岐路22を左折して、道なりに進行すると、「□□町」方面へ進む。しかし、道なりに進行する車両より、分岐路25を左折して「○×町」方面へ進行する経路23cへ向かう車両が多い。
【0020】
またさらに、車両が分岐路22を直進して、道なりに進行すると、「△△町」方面へ進む経路23bへ向かう車両が多い。
【0021】
図3は、車両が分岐路22に接近したときに表示モニタ16に表示される表示画面を説明するための図である。表示画面には自車位置周辺の地図30が表示される。地図30の自車位置には自車位置マーク31が表示される。地図30に重ねて、方面看板40Aが表示される。
【0022】
方面看板40Aの右折矢印に表示される名称41aには、分岐路22を右折した後、最も多くの車両が進行する方向の市町村区名「○○町」が表示される。同様に、方面看板40Aの直進矢印に表示される名称41bには、分岐路22を直進した後、最も多くの車両が進行する方向の市町村区名「△△町」が表示される。さらに、方面看板40Aの左折矢
印に表示される名称41cには、分岐路22を左折した後、最も多くの車両が進行する方向の市町村区名「○×町」が表示される。
【0023】
以上のように、方面看板40Aには交通量の多い進行方向の市町村区名が表示される。そうすると、車両が進行する最も確率の高い市町村区名が表示されることになる。
【0024】
一方、分岐路22を通過した後、道なりに進行した場合の進行方向の行政区画名称をそのまま方面看板に表示すると、図4の方面看板40Bのようになる。つまり、方面看板40Bの右折矢印には「××町」が表示され、直進矢印には「△△町」が表示され、左折矢印には「□□町」が表示される。この場合、方面看板40Bを見ても、車両が「○○町」や「○×町」へ進行する確率が高いにもかかわらず、「○○町」や「○×町」の表示がなされない。つまり、道なりに進行した場合の進行方向の行政区画名称をそのまま方面看板に表示すると、運転者に対して、「○○町」や「○×町」へ向かうには分岐路22をどう進行したらよいかを伝えることができない。
【0025】
次に、本発明の一実施形態における方面看板の表示処理について図5のフローチャートを参照して説明する。図5の処理は、表示モニタ16に地図を表示するとスタートするプログラムを実行して制御回路11において行われる。
【0026】
ステップS501では、現在地検出装置14によって車両の現在地を検出する。次に、ステップS502では、車両の現在地とDVD−ROM112に記憶されている地図データとに基づいて車両進行方向に存在する分岐路を検出する。そして、ステップS503では、分岐路に相当するノードに接続するリンク数、車両が分岐路に進入するリンクと他のリンクとのなす角度より分岐路の形状を特定する。
【0027】
次に、ステップS504では、通信装置110を通じて、サーバ装置より分岐路に対して提供される交通情報を取得する。この交通情報には、分岐路を通過した後にどの方面に進む車両が多いかについての情報が含まれる。ステップS505では、サーバ装置より取得した交通情報から、分岐路を通過した後に最も交通量の多い方面の地理的名称を抽出する。地理的名称とは、地図に表示される行政区間や施設などの名称をいう。ここでは、市町村区名を抽出する。
【0028】
次に、ステップS506では、ステップS503で特定した分岐路の形状より、方面看板の矢印の図形を選択する。方面看板の矢印の図形は、十字路用、T字路用など予め用意されており、その中から選択する。次に、ステップS507では、ステップS505で抽出した名称を矢印の図形に合成して、方面看板を作成する。
【0029】
次に、ステップS508では、現在地を検出する。そして、ステップS509では、ステップS502で検出した分岐路までの距離が所定距離(たとえば、300m)以内になったかを判定する。所定距離以内になった場合はステップS509が肯定判定され、ステップS510へ進む。所定距離より大きい場合はステップS509が否定判定され、ステップS508へ戻る。ステップS510では、方面看板をポップアップ画面として、地図に重ねて表示する。
【0030】
次に、ステップS511では、現在地を検出する。そして、ステップS512では、ステップS502で検出した分岐路を通過したかを判定する。通過した場合はステップS512が肯定判定され、ステップS513へ進む。通過していない場合はステップS512が否定判定され、ステップS511へ戻る。ステップS513では、方面看板を消去する。そして、処理は終了する。
【0031】
以上の実施形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
【0032】
方面看板40Aに表示されている分岐路22の各方向の名称を、分岐路22を通過後、
車両が進行する確率の高い方向の市町村区名とした。したがって、ユーザに分岐路22の各方向を案内するのに適切な名称を方面看板40Aに表示することができる。
【0033】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)方面看板に表示されている分岐路の各方向の名称は、分岐路を通過後に車両が進行する確率の高い方向を示す地理的名称であれば、市町村区名に限定されない。たとえば、著名地点名や主要地点名としてもよい。
【0034】
著名地点名を表示した方面看板の例を図6に示す。図2の経路23aに沿って進むと著名地点である「○○港」へ至るので、方面看板40Cの右折矢印には「○○港」が表示される。図2の経路23bに沿って進むと著名地点である「△△空港」へ至るので、方面看板40Cの直進矢印には「△△空港」が表示される。そして、図2の経路23cに沿って進むと著名地点である「○×タワー」へ至るので、方面看板40Cの左折矢印には「○×タワー」が表示される。経路23a〜23cに沿って進むと複数の著名地点や主要地点に至るときは、近いものを優先する。
【0035】
分岐路を通過後、車両が進行する確率の高い方向の著名地点名や主要地点名を方面看板に表示することによって、方面看板でユーザを適切に案内することができる。ユーザは著名地点や主要地点を目的地としている可能性が高く、目的地としていなくても目印としている可能性が高いからである。
【0036】
また、DVD−ROM112の地図データに記憶されている施設のうちの有名な施設などを方面看板に表示するものとして予め登録しておき、それを方面看板に表示させるようにしてもよい。有名な施設であれば、著名地点や主要地点でなくても目的地としている可能性や目印としている可能性が高いからである。この場合も、複数の登録した施設が該当するときは、近いものを優先する。
【0037】
ユーザにとって便利な場合は、著名地点名や主要地点名、市町村区名、都道府県名を組み合わせて方面看板に表示するようにしてもよい。
(2)方面看板に表示されている分岐路の各方向の名称を、運転の目的や、運転している時期によって変えるようにしてもよい。たとえば、行楽シーズン(たとえば、ゴールデンウイーク)や、行楽を目的として運転している場合、図7に示すように、方面看板40Dに表示する名称を、「○○美術館」、「△△動物園」、「○×遊園地」と行楽地に関するものとしてもよい。ユーザの運転の状況に応じて、適切な名称を表示した方面看板を表示することができ、利便性が向上する。この場合、DVD−ROM112の地図データに記憶されている施設のうち、運転の時期別、運転の目的別に方面看板に表示するものを予め登録しておく。また、入力装置18を操作して、運転の目的を入力できるようにしておく。
(3)方面看板に表示されている分岐路の各方向の名称を、表示されている地図30の縮尺率によって変えるようにしてもよい。たとえば、図3の地図30から図8(a)の広域地図80に変更する。そして、方面看板40Eに表示されている市町村区名を、方面看板40Aに表示されているものより、さらに遠方にある市町村区名に変更するようにしてもよい。自車位置から遠く離れている地点の情報を知りたいときに広域地図80を表示するので、適切な名称を方面看板40Eに表示することができる。
【0038】
また、図3の地図30から図8(b)の広域地図80に変更するとき、方面看板40Fに表示する名称を市町村区名から、図8(b)のように、都道府県名に変えるようにしてもよい。広域地図80を表示するということは、現在地のおおよその位置を知りたい場合
であり、分岐路22の方向を示す名称もおおよその方向で表示する必要があるからである。よって、この場合も方面看板40Fでユーザを適切に案内することができる。また、詳細地図を表示しているときは、方面看板に駅名を表示するようにしてもよい。
(4)方面看板40Aに一つの分岐路22を表示したが、図9のように、方面看板40Gに複数の分岐路42a,42bを表示するようにしてもよい。2つ先の分岐路42bについても右左折すべきか否かなどの判断をすることができるので、確実に所望の分岐路で右左折などをすることができる。また、図9のように、方面看板に表示されている分岐路42a,42bの各方向の名称とともに、自車位置からその名称の表す地点までの距離43a〜43dを表示するようにしてもよい。名称が表す地点を目的地や目印としている場合、その目的地や目印までの距離43a〜43dがわかり、利便性が向上する。
(5)図10のように、方面看板40Hに分岐路のレーン情報44を表示するようにしてもよい。レーン情報44を表示することによって、分岐路42aにおいて誤ったレーンに進入するのを防止することができる。
(6)図10のように、方面看板40HにVICS情報受信部19が受信したVICS情報などの交通情報45を表示するようにしてもよい。方面看板40Hが表示されるたびに渋滞情報などの交通情報45が表示されることによって、渋滞が発生するとすぐに渋滞に気づくことができ、利便性が向上する。
(7)図11のように、表示モニタ16に表示されている地図の要約地図を作成し、それを方面看板40Iとして表示するようにしてもよい。所望の方面に進行するためにはどの分岐路で右左折すればよいか容易に把握することができる。また、この方面看板40Iの要約地図に重ねて渋滞などの交通情報46a〜46cを表示するようにしてもよい。VICS情報より提供される簡易図形表示(レベル2)とは別に、表示モニタ16に表示されている地図にあわせたVICS情報の簡易図形表示を行うことができる。したがって、ユーザにとって最適な表示範囲の交通情報の簡易図形表示を受けることができる。
【0039】
地図の縮尺率が所定値より小さい場合のみ、地図を要約地図化した方面看板40Iが表示されるようにしてもよい。また、表示モニタ16に地図を表示する代りに要約地図の方面看板40Iを表示するようにしてもよい。
(8)図12のように、分岐路の中でインターチェンジを方面看板40Jに表示するときは、道路に重ねてVICS情報などの交通情報47a,47bを表示するようにしてもよい。さらに、一般道路において方面看板40Jに表示されている名称の地点までの所要時間48aと、その名称の地点まで高速道路を使用して進行する場合の所要時間48bと料金48cとを表示するようにしてもよい。一般道路を使用してその名称の地点まで進行した場合と、高速道路を使用してその名称の地点まで進行した場合とを時間や料金で比較することができ、ユーザの利便性が向上する。
(9)方面看板に表示されている分岐路の各方向の名称は、常に一定の表示である必要はなく、順次切り替わるようにしてもよい。たとえば、図13(a)のように、一定時間、方面看板40Kに駅名が表示された後、図13(b)のように方面看板40Lに区名が表示され、区名が一定時間表示された後、再び駅名が方面看板40Kに表示されるようにしてもよい。ユーザにとって、方面看板に表示されている分岐路の各方向の名称を駅名で表示された方がわかりやすい場合もあれば、区名で表示された方がわかりやすい場合もある。したがって、上記のように順次切り替わるようにすることによって、ユーザの好みに適応できる。他にも、方面看板に表示されている分岐路の各方向の名称のうちの一部の方向の名称についてのみ順次切り替わるようにしてもよい。
(10)分岐路において同じ地理的名称が複数の方向に表示されるような場合に、その名称の地点までの所要時間を方面看板に表示してもよい。これにより、分岐路をどちらの方向に進めば、地理的名称の地点まで早く到達できるかがわかる。たとえば、主要道路を進行して、○○駅の方向に進もうとしているとき、図14の方面看板40Mが表示されたものとする。主要道路である直進方向の矢印に、「○○駅」が表示されているので、主要道路を進行すれば○○駅に到達できることがわかる。一方、右方向の矢印にも同じ地理的名称「○○駅」が表示されているので、分岐路を右折しても「○○駅」に到達することができることがわかる。分岐路を直進方向に進行した場合、「○○駅」までの所要時間が10分であるのに対し、右折した場合、5分であるので、分岐路を右折した道路が「○○駅」への近道であることがわかる。したがって、方面看板40Mによって近道をユーザに伝えることができる。
(11)本発明の方面看板を表示するか、または分岐路の各方向に道なりに進行したときの方向を表示する方面看板を表示するかをユーザが選択できるようにしてもよい。
(12)方面看板をポップアップ画面として表示したが、分割画面として表示するようにしてもよい。
(13)サーバ装置より方面看板の名称を受信して、その名称を方面看板に表示するようにしてもよい。この場合、ナビゲーション装置1は車両の現在地の情報を、通信装置110を使用してサーバ装置に送信する。サーバ装置では、車両の現在地の情報より、車両が進入する分岐路を特定する。監視している道路の交通量の情報から、その分岐路を通過した車両のうち、最も多くの車両が走行する経路の地理的名称を特定する。特定した地理的名称は、サーバ装置からナビゲーション装置1に装置に送信される。そして、ナビゲーション装置1は、サーバ装置より送信された地理的名称を方面看板に表示する。交通情報から方面看板に表示する名称を特定する処理をサーバ装置で行うので、ナビゲーション装置1の処理負担が軽減される。したがって、方面看板の表示処理によって、ナビゲーション装置1の方面看板表示処理以外の処理が遅くなるのを防止できる。
(14)方面看板に表示する分岐路の各方向の名称を、地図データが記憶されているDVD−ROM112に予め記憶させておいてもよい。この場合、サーバ装置が有する交通情報に基づいて、各分岐路の方面看板に表示する分岐路の各方向の名称を予め定めておく。そして、その名称をDVD−ROM112に記憶させておく。車両が分岐路に接近したら、そのDVD−ROM112に記憶されている名称に基づいて、方面看板を表示する。
(15)以下のようにして方面看板に表示する分岐路のそれぞれの方向の名称を定めるようにしてもよい。サーバ装置は、各車両のナビゲーション装置において設定された目的地の情報から、分岐路の各方向に進行する車両の目的地のデータを収集する。設定した目的地の中で最も多いものを分岐路のそれぞれの方向の名称とする。そして、その情報をナビゲーション装置1に送信するようにしてもよい。また、このように作成した分岐路の名称の情報をDVD−ROM112に予め記憶させておいてもよい。
(16)図2のように方面看板40Aに分岐路22の各方向の名称を表示したが、図15に示すように、方面看板40Aは表示せず、地図30に直接、分岐路22の各方面の名称32a〜32cを表示するようにしてもよい。このようにしても、ユーザに対して分岐路22の各方向を適切に案内することができる。
(17)分岐路の形状より、方面看板の矢印の図形を選択して方面看板を作成したが、分岐路の形状を要約化するなど地図データから直接矢印の図形を作成して方面看板を作成す
るようにしてもよい。
(18)分岐路までの距離が所定距離以内になったとき、方面看板を表示したが、自車速度や、道路の混雑状況などによって方面看板を表示するタイミングを変えてもよい。たとえば、分岐路までの予測到達時間が所定時間以内になったとき、方面看板を表示するようにしてもよい。また、道路が渋滞しているときは渋滞していないときに比べて、上記所定距離の値を小さくするようにしてもよい。
(19)確率の高い地理的名称と、道なりに進行したときの地理的名称とを組み合わせて方面看板に表示してもよい。
(20)本発明の実施形態では、ナビゲーション装置1について説明したが、地図表示装置であれば、地図表示装置であればナビゲーション装置1に限定されない。
【0040】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0041】
次に、別の実施形態である第二の実施形態について、以下に説明する。
【0042】
第二の実施形態の構成については、第一の実施形態と原則同じ構成を有するが、若干の相違する点があるため、その相違点を以下に説明する。
【0043】
第二の実施形態では、制御回路11と、外部記憶装置111の記憶領域またはDVD−ROM112に記憶されているエリアデータと、にその構成の特徴がある。
【0044】
図16に示すように、制御回路11は、主制御部101と、交通情報取得部102と、分岐路解析部103と、方向表示取得部104と、方面看板表示部105と、入力受付部106と、出力部107と、を含んでいる。
【0045】
主制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、主制御部101は、ナビゲーション装置1の本来の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、交通情報の表示、現在位置の表示、経路探索、経路誘導等)を実施する。さらに、各処理部からの要求に応じて、現在時刻を出力する。
【0046】
交通情報取得部102は、後述するサーバ装置から、通信装置110を用いて交通情報を受信し、必要な情報を取得する機能部である。交通情報取得部102が取得する交通情報は、分岐路を過去に走行した車両の軌跡に関する情報を含む。つまり走行した実績に基づくプローブ情報を含む。
【0047】
分岐路解析部103は、リンクデータに基づいて、交差点などの分岐路の分岐先を判定し、交通情報取得部102により取得された交通情報を照合して、交差点に自車と同方向から進入した車両のうち、特定の方向に向かって走行した車両が最も多く走行した道路を連結した軌跡を、その特定の方向ごとに特定する機能部である。
【0048】
方向表示取得部104は、分岐路解析部103により特定した軌跡上で、最寄りに進入するエリアを特定し、そのエリアの名称と、距離等の情報を取得する機能部である。
【0049】
方面看板表示部105は、方向表示取得部104により取得したエリアの名称と、距離等の情報と、を用いて、交差点の形状にあうように矢印表示を加工して方面看板を作図し、出力部107に対して指示して表示モニタ16に表示させる機能部である。
【0050】
ただし、主制御部11が道路に設置された案内標識と同様の表示を表示モニタ16上に表示する場合、方面看板表示部105は、その表示との重複を避けて上記情報を表示させる。例えば、図17に示すように、主制御部11が道路に設置された案内標識と同様の表示49を表示させている場合に、方面看板表示部105は、その上方に、簡易的な表示である方面看板40Nを作図して表示させる。
【0051】
入力受付部106は、入力装置18による使用者からの入力情報を受け付ける機能部である。
【0052】
出力部107は、表示モニタ16と、スピーカ17に対して、使用者に対して示す情報を示すよう指示する機能部である。
【0053】
また、外部記憶装置111の記憶領域またはDVD−ROM112に記憶されているエリアデータは、エリアテーブル700の形式で記憶されている。エリアテーブル700は、図18に示すように、エリアの種別701、エリアID702、エリア表示名703、中心座標704およびエリア範囲705を含んでいる。
【0054】
このうち、種別701は、そのエリアがどのような種類のエリア設定なのかを示す情報である。例えば、「交通機関」や「行政区」などである。エリアID702は、そのエリアを識別する識別子である。エリア表示名703は、そのエリアの名称や通称である。例えば、「○○駅」などの駅名や、「○×町」などの行政区名称などである。中心座標704は、そのエリアを代表する所定の地点についての緯度経度を座標としてあらわした情報である。エリア範囲705は、そのエリアに含まれる地点を識別するための情報である。例えば、「駅周囲1000m」などである。
【0055】
エリアテーブル700は、予め外部記憶装置111の記憶領域またはDVD−ROM112に記憶されており、例えばDVDディスクを新しいものにバージョンアップする等、データのアップグレードを行うことで、更新される。
【0056】
また他に、図示しないが、外部記憶装置111の記憶領域には、予め、「行政区」や「交通機関」など、方面看板に表示させる対象のエリアを設定する値が記憶される。なお、方面看板に表示させる対象のエリアを設定する値とは、方向表示取得部104が、方面看板に表示させるエリアの名称を取得する際にエリアテーブル700からエリアを限定するために用いる値のことである。この値の設定には、例えば、次のような処理を行う。
【0057】
方向表示取得部104は、出力部107を介して使用者にこの値の設定値の選択肢、例えば「行政区」や「交通機関」など、を表示し、入力受付部106を介して、使用者により選択された設定値を受け付ける。そして、方向表示取得部104は、受け付けた設定値を外部記憶装置111の予め定められた記憶領域に記憶させる。
【0058】
第二の実施形態は、上記のように、その構成において、第一の実施形態と異なるものであるが、さらに、その処理内容においても相違がある。以下、その相違点を中心に説明する。
【0059】
第二の実施形態における方面看板の表示処理について図19,20のフローチャートを参照して説明する。図19,20の処理は、表示モニタ16に地図を表示するとスタートするプログラムを実行して制御回路11において行われる。
【0060】
ステップS501では、主制御部101は、現在地検出装置14によって車両の現在地を検出する。
【0061】
次に、ステップS502では、分岐路解析部103は、車両の現在地と、DVD−ROM112または外部記憶装置111に記憶されている地図データと、に基づいて車両進行方向に存在する分岐路を検出する。
【0062】
次に、ステップS503では、分岐路解析部103は、分岐路に相当するノードに接続するリンク数、車両が分岐路に進入するリンクと他のリンクとのなす角度より分岐路の形状を特定する。
【0063】
次に、ステップS504では、交通情報取得部102は、通信装置110を通じて、サーバ装置より分岐路に関して提供される交通情報を取得する。この交通情報には、分岐路を過去に走行した車両の軌跡情報が含まれる。例えば、交通情報は、分岐路に進入した方向と、分岐を通過後に向かった方向、およびその後に通過した道路の情報についての情報であり、複数台の車両の情報を含むものである。より具体的には、交通情報は、分岐路を表すノードと、そのノードを通過した前後の道路のリンクIDを含む。そして次に、ステップS600を実施する。
【0064】
ステップS600では、方向表示取得部104は、サーバ装置より取得した交通情報を基に、分岐路に進入した方向が自車と同一である車両を対象に、すなわち分岐のノードを通過前の道路のリンクIDと、車両の現在地が存在するリンクIDとが同一である車両を対象として、分岐を通過後に向かった方向ごとに、その後に通過した軌跡のうち最も交通量の多い軌跡上で、車両の現在地から最寄りに進入するエリアの名称等を抽出する名称抽出処理を実施する。名称抽出処理は、図20に示す処理であるが、処理の詳細については後述する。
【0065】
ステップS600の実行後次に、ステップS506では、方面看板表示部105は、ステップS503で特定した分岐路の形状より、方面看板の矢印の図形を選択する。方面看板の矢印の図形は、十字路用、T字路用など予め用意されており、方面看板表示部105は、その中から最も類似するものを選択する。
【0066】
次に、ステップS507では、方面看板表示部105は、ステップS600で抽出した名称と距離とを矢印の図形と合成して、方面看板を作成する。この際、道路に設置された案内標識と同様の表示がなされる、すなわち方面看板が重なって表示されてしまう可能性があることを考慮して、図17に示した40Nのような、方面の名称とその距離、方向を示す簡易表示の方面看板もあわせて作成する。なお、図示しないが、ステップS600の実施の結果、車両の現在地が存在する方向以外の全ての分岐方面に表示する名称が、後述するステップS604を実行した結果得られた空文字である場合には、方面看板を作成せず、処理を終了することとしてもよい。これにより、どの方面についてもその名称が表示されないような、表示しても案内の効果を得られにくい方面看板を表示せずに済む。
【0067】
次に、ステップS508では、主制御部101は、現在地検出装置14によって車両の現在地を検出する。
【0068】
そして、ステップS509では、主制御部101は、ステップS502で検出した分岐路までの距離が所定距離(たとえば、300m)以内になったか否かを判定する。所定距離以内になった場合はステップS509は肯定判定され、ステップS510へ進む。所定距離より大きい場合はステップS509は否定判定され、ステップS508へ戻る。
【0069】
次に、ステップS510では、方面看板表示部105は、方面看板をポップアップ画面として、地図に重ねて表示する。このとき、主制御部101が、既に道路に設置された案内標識と同様の表示を表示モニタ16上に表示している場合、方面看板表示部105は、その表示との重複を避けて、ステップS507で作成した40Nのような簡易表示の方面看板を表示させる。
【0070】
次に、ステップS511では、主制御部101は、現在地検出装置14によって車両の現在地を検出する。
【0071】
次に、ステップS512では、主制御部101は、ステップS502で検出した分岐路を通過したか否かを判定する。通過した場合はステップS512は肯定判定され、ステップS513へ進む。通過していない場合はステップS512は否定判定され、ステップS511へ戻る。
【0072】
次に、ステップS513では、方面看板表示部105は、表示した方面看板を消去する。そして、処理は終了する。
【0073】
次に、以下に、ステップS600の名称抽出処理について、図20のフローチャートを参照して説明する。図20に示す名称抽出処理は、ステップS601、ステップS602、ステップS603、ステップS604、の順に処理を行う。
【0074】
ステップS601では、方向表示取得部104は、ステップS503で特定した分岐路の交通情報から、自車と同方向から分岐路に進入した車両に関する交通情報のみを取得する。すなわち、その分岐路を表すノードを通過した車両であって、そのノードを通過する直前の道路のリンクIDと、車両の現在位置が存在する道路のリンクIDと、が一致する車両に関する交通情報を取得する。
【0075】
ステップS602では、方向表示取得部104は、ステップS601で取得した自車と同方向から分岐路に進入した車両に関する交通情報を用いて、分岐先ごとに、最も交通量の多い軌跡を特定する。なお、ここでは、ステップS601で取得した自車と同方向から分岐路に進入した車両に関する交通情報を用いて最も交通量の多い軌跡を特定する、としたが、これに限らない。つまり、例えば、ステップS601で取得した自車と同方向から分岐路に進入した車両に関する交通情報のうちから、交通情報の作成日時が所定の条件を満たすものを抽出し、その抽出した交通情報の中で最も交通量の多い軌跡を特定する、としてもよい。
【0076】
ステップS603では、方向表示取得部104は、エリアテーブル700から、種別701が方面看板の表示名称の種類に該当するエリアを選ぶ。ここで、方面看板の表示名称の種類とは、前述した外部記憶装置111の記憶領域に記憶された、方面看板に表示させる対象のエリアを設定する値である。例えば外部記憶装置111に記憶されている「行政区」や「交通機関」などの表示対象の情報を指す。そして、方向表示取得部104は、軌跡上のいずれかの地点であって、かつ、選んだエリアのエリア範囲705に含まれる地点、のうち、車両の現在地から最寄りの地点を特定し、その地点を含むエリアを特定する。これを、ステップS602で特定した軌跡ごとに実施する。このとき、所定距離(例えば20km)内に、軌跡上のいずれの地点も、表示する方面看板の表示名称の種類に該当するエリアに含まれない場合には、該当するエリアがないものとしてもよい。ここで、所定距離の制限を設けるのは、あまりに遠すぎるエリアを表示させて、使用者を戸惑わせないようにするためである。
【0077】
ステップS604では、方向表示取得部104は、ステップS603で特定したエリアの名称であるエリア表示名703と、エリアの中心点である中心座標704から車両の現在地までの距離とを取得する。ステップS603にて、該当するエリアがないものとした場合には、本ステップS604ではエリアの名称と距離とを、空文字として取得する。
【0078】
以上の実施形態によるナビゲーション装置1は、実施形態1と比較して、特に、次のような優れた作用効果を奏することができる。
【0079】
方面看板40Aに表示されている分岐路22の各方向の名称を、分岐路22を通過後に、車両が進入する確率が非常に高いエリアの表示名称とすることができる。
【0080】
この表示名称には、自車が走行する確率の高い軌跡を予測し、その軌跡上にある車両の現在地から最寄りのエリアの名称を用いる。この軌跡を予測する際には、分岐路22に進入した方向が自車と同一である車両が走行した実績に基づくプローブ情報を利用するため、その軌跡の予測精度は第一の実施形態よりも高いものとなる。しかも、進入した実績のあるエリアの名称を表示名称として用いるため、ユーザに分岐路22の各方向を案内するのにより適切な名称を方面看板40Aに表示することができる。
【0081】
例えば、図21を用いて、本実施例の効果を説明する。
【0082】
図21(a)(b)は、ともに、自車位置31と、自車両がこれから進入する分岐路22と、○○駅51と、○○駅エリア52と、△△駅53と、△△駅エリア54と、の位置関係を示す地図30を示す図である。とくに、分岐路22を右折後、道路を道なりに進むと、○○駅方面に向かうことになる。
【0083】
図21(a)は、とくに、分岐路22に自車位置31側から進入して、右折により分岐路22を通過した車両の軌跡のうち、最も多くの車両が走行した軌跡が○○駅エリア52を通過する50aである場合に、案内標識55aを表示した画面の表示例である。
【0084】
図21(a)の場合、すなわち最も多くの車両が走行した軌跡が軌跡50aの場合、には、軌跡50aは分岐路22を右折後、道路を道なりに進むと、○○駅51方面に向かい、はじめに○○駅エリア52を通過する。この場合には、案内標識55aの地名は「○○駅」と表示するのが実態に合っているといえる。第二の実施形態では、軌跡50aの軌跡上の車両の現在地から最寄りのエリアは、○○駅エリア52である。そのため、「○○駅」を案内標識55aに表示する。このような場合には、第一の実施形態と第二の実施形態の案内標識の表示には、大きな相違はない。
【0085】
これに対し、図21(b)は、とくに、分岐路22に自車位置31側から進入して、右折により分岐路22を通過した車両の軌跡のうち、最も多くの車両が走行した軌跡が△△駅エリア54を通過する50bである場合に、案内標識55bを表示した画面の表示例である。
【0086】
図21(b)の場合、すなわち最も多くの車両が走行した軌跡が軌跡50bの場合、には、軌跡50bは右折後さらに左折、右折を繰り返し、他のエリアを通過することなく、ついには△△駅53付近に到達する。この場合には、案内標識の地名は「△△駅」と表示するのが実態に合っているといえる。第二の実施形態では、軌跡50bの軌跡上の車両の現在地から最寄りのエリアは、△△駅エリア54である。そのため、「△△駅」を案内標識55bに表示し、交通実態に合う表示を行うことができる。
【0087】
さらには、すでに道路に設置された案内標識と同様の表示を表示モニタ上に表示している場合、その表示との重複を避けて簡易の方面看板を表示させることが可能となり、案内を行うことができる。
【0088】
以上、第二の実施形態について説明したが、これに限らず、第一の実施形態の変形例1〜20と同様の変形を行ってもよい。
【0089】
また例えば、エリアテーブル700のエリア範囲705は、以下のように予め設定してもよい。
【0090】
図22(a)に示すように、例えば、A市70a,B市70b及びC市70cが互いに隣接する場合に、エリア範囲を各市の所轄範囲全域100a,100b及び100cとしてもよい。
【0091】
もしくは、図22(b)に示すように、例えば、A市70a,B市70b及びC市70cが互いに隣接する場合に、エリア範囲を各市の所轄範囲の外周から所定距離だけ縮小した部分101a,101b及び101cとしてもよい。こうすることで、A市70aとC市70cの境界付近を走行している際などに、案内標識にA市,B市及びC市の表示が入り乱れることが少なくなり、使用者を混乱させることが少なくなる効果を得られる。
【0092】
また、図22(c)に示すように、例えば、A市70a,B市70b及びC市70cが互いに隣接する場合に、エリア範囲を各市の中心から所定の距離内の部分102a,102b及び102cとしてもよい。こうすることで、A市70aとC市70cの境界付近を走行している際などに、案内標識にA市,B市及びC市の表示が入り乱れることが少なくなり、使用者を混乱させることが少なくなる効果を得られる。
【0093】
別の変形例として、エリアテーブル700は、サーバ装置に記憶されていてもよい。
【0094】
その場合には、サーバ装置は、現在地を受信して、第一の実施形態の変形例13に示すように、監視している道路の交通量の情報を用いて表示させる地理的名称を特定して送信する。つまり、現在地を受け取って分岐路を特定し、分岐路を通過した車両のうち、最も多くの車両が走行した軌跡の地理的名称を特定する際に、エリアテーブル700の情報を用いて軌跡上の車両の現在地から最寄りのエリアを特定し、そのエリア名称とそのエリアまでの距離を特定し、送信する。
【0095】
そのサーバ装置は、エリアテーブル700を記憶した記憶手段と、交通量を収集して、それをもとに交通情報を作成する交通情報作成手段と、車両から車両の現在地の座標を受信する現在地受信手段と、受信した車両の現在地より車両が進入する分岐路を特定する分岐路特定手段と、方面看板に表示させるエリア名称とその距離とを算出して送信する送信手段と、を有して構成される。
【0096】
その送信手段は、交通情報作成手段により作成された交通情報から、分岐路を通過した車両の軌跡のうち最も多くの車両が走行した軌跡を分岐路の分岐方面ごとに特定する。そして、記憶手段に記憶されたエリアテーブル700から、特定した軌跡上にエリア範囲705が含まれるエリアを特定し、そのエリアのうち最も車両の現在位置近くにあるエリアのエリア名称703とその中心座標704を取得する。そして、取得したエリア名称703と、車両の現在地から中心座標704までの距離と、を前記地図表示装置に送信する。
【0097】
なお、上記の実施形態では、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用以外のナビゲーション装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】分岐路を通過した後、最も交通量の多い経路を説明するための図である。
【図3】車両が進行する最も確率の高い市町村区名が表示された方面看板を説明するための図である。
【図4】分岐路を道なりに進行した方向にある市町村区の市町村区名を表示した看板を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態における方面看板の表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】著名地点名を表示した方面看板を説明するための図である。
【図7】行楽シーズンや、行楽を目的として運転している場合に表示する方面看板を説明するための図である。
【図8】広域地図を表示するときに表示する方面看板を説明するための図である。
【図9】複数の分岐路と名称の表す地点までの距離とを表示した方面看板を説明するための図である。
【図10】分岐路のレーン情報と交通情報とを表示した方面看板を説明するための図である。
【図11】表示モニタに表示されている地図に基づいて作成した要約地図を表示した方面看板を説明するための図である。
【図12】インターチェンジの方面看板を説明するための図である。
【図13】方面看板に表示されている分岐路の各方向の名称の切替を説明するための図である。
【図14】分岐路において同じ地理的名称が複数の方向に表示された場合、その名称の地点までの所要時間を表示した方面看板を説明するための図である。
【図15】分岐路の各方向の名称を表示した地図を説明するための図である。
【図16】制御回路の機能部の構成を示す図である。
【図17】第二の実施形態における簡易方面看板を説明するための図である。
【図18】エリアテーブルの構成を示す図である。
【図19】本発明の第二の実施形態における方面看板の表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明の第二の実施形態における方面看板の名称抽出処理を説明するためのフローチャートである。
【図21】本発明の第二の実施形態における案内標識を表示した画面を説明する図である。
【図22】本発明の第二の実施形態におけるエリア範囲の設定例を説明する図である。
【符号の説明】
【0099】
1・・・ナビゲーション装置、11・・・制御回路、14・・・現在地検出装置、16・・・表示モニタ、19・・・VICS情報受信部、20・・・地図、22,24,25・・・分岐路、23a〜23c・・・最も交通量の多い経路、21・・・自車位置、31・・・自車位置マーク、40A〜40N・・・方面看板、101・・・主制御部、102・・・交通情報取得部、103・・・分岐路解析部、104・・・方向表示取得部、105・・・方面看板表示部、106・・・入力受付部、107・・・出力部、110・・・通信装置、111・・・外部記憶装置、112・・・DVD−ROM、700・・・エリアテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示モニタと、
車両が進入する分岐路の方面看板を前記表示モニタに表示する方面看板表示制御手段と、
所定の地理的範囲とその名称を記憶した記憶手段と、
前記分岐路を過去に走行した車両の軌跡情報を記憶した記憶手段と、
を備え、
前記方面看板表示制御手段は、
前記記憶手段に記憶された前記軌跡情報から、前記分岐路の分岐方面ごとに最も多くの車両が走行した軌跡を特定し、
前記記憶手段に記憶された前記地理的範囲のうち前記特定した軌跡上にある最寄りの地理的範囲の名称を選択し、
前記選択した名称を前記分岐路の各方向の名称として前記方面看板に表示する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
表示モニタと、
車両が進入する分岐路の方面看板を前記表示モニタに表示する方面看板表示制御手段と、
所定の地理的範囲とその名称を記憶した記憶手段と、
道路の交通量を監視しているサーバ装置から、前記分岐路を過去に走行した車両の軌跡情報を含む交通情報を受信する受信手段と、
を備え、
前記方面看板表示制御手段は、
前記受信手段によって受信した交通情報から、前記分岐路の分岐方面ごとに最も多くの車両が走行した軌跡を特定し、
前記記憶手段に記憶された前記地理的範囲のうち前記特定した軌跡上にある最寄りの地理的範囲の名称を選択し、
前記選択した名称を前記分岐路の各方向の名称として前記方面看板に表示する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、前記地理的範囲の名称として、都道府県名、市町村区名、著名地点名、主要地点名、および主要施設名のいずれか、もしくは組み合わせたものを表示する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、前記地理的範囲を、都道府県、市町村区、著名地点周辺、主要地点周辺および主要施設周辺のいずれか、もしくは組み合わせとする、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、さらに、前記分岐路の各方面の名称に加え、表示させる前記地理的範囲の所定の代表地点までの距離を算出して表示させる、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至2のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、前記分岐路を過去に走行した車両の軌跡のうち、前記分岐路に前記車両と同一の方向から進入して前記分岐路を走行した車両の軌跡を用いて、最も多くの車両が走行した軌跡を前記分岐路の分岐方面ごとに特定する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至2のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
運転者の運転の目的の入力を受け付ける受付手段を備え、
前記方面看板表示制御手段は、前記受付手段により受け付けた運転者の運転の目的、または運転の時期によって前記方面看板の名称を変える、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、前記方面看板に表示される前記分岐路の各方向の名称の少なくともひとつを所定時間表示後に他の名称に変える、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、前記方面看板に複数の分岐路を表示し、前記複数の分岐路の各方向の名称を表示する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、前記方面看板に前記分岐路のレーンの情報を表示する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、前記方面看板に交通情報を表示する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、インターチェンジの方面看板を表示するとき、一般道路の方向に表示した名称が表す地点までの所要時間と、高速道路を使用して前記地点までの所要時間および必要な料金とを前記方面看板に表示する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記方面看板表示制御手段は、前記方面看板に表示される前記分岐路の各方向の名称として、同じ名称を表示する場合、方向ごとに、その地理的範囲までの所要時間を算出し表示する、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項14】
表示モニタと、
車両が進入する分岐路の方面看板を前記表示モニタに表示する方面看板表示制御手段と、
車両の現在地を検出する検出手段と、
前記車両の現在地を送信し、サーバ装置から前記方面看板に表示される前記分岐路の各方向の名称を受信する通信手段と、
を備えた地図表示装置と、
所定の地理的範囲とその名称を記憶した記憶手段と、
交通量を収集して前記分岐路を過去に走行した車両の軌跡情報を含む交通情報を作成する交通情報作成手段と、
前記車両の現在地を受信する現在地受信手段と、
前記現在地受信手段により受信した前記車両の現在地より前記車両が進入する分岐路を特定する分岐路特定手段と、
前記交通情報作成手段により作成された前記交通情報から、前記分岐路の分岐方面ごとに最も多くの車両が走行した軌跡を特定し、前記記憶手段に記憶された前記地理的範囲のうち前記特定した軌跡上にある最寄りの地理的範囲の名称を前記地図表示装置に送信する送信手段と、
を備えたサーバ装置と、
を有して構成される方面看板表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−25253(P2009−25253A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191391(P2007−191391)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】