説明

地図表示装置

【課題】地図表示の視認性を向上する。
【解決手段】目的地に至る案内経路に従って地図画面をある描画周期でスクロール表示する地図スクロール手段を備えた地図表示装置であって、走行先に蛇行する案内経路が有るか否かを判定し(S100〜S106)、走行先に蛇行する案内経路が有ると判定した場合、通常の描画周期よりも少ない頻度で地図画面をスクロール表示する(S112)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地に至る案内経路に従って地図画面をスクロール表示する地図スクロール機能を備えた地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置には、目的地設定、経路探索を実施した後に、目的地案内のデモンストレーションを実施して案内経路をチェックするオンルートスクロール機能を備えたものがある。
【0003】
このようなナビゲーション装置では、オンルートスクロール機能を実施する際に、ユーザの視認性を考慮して、北が画面上方となるノースアップ(North Up)で自車位置が地図画面の中心になるように地図スクロールするようになっている。
【0004】
なお、地図スクロールに関連した技術としては、特開平7−296148号公報(特許文献1)や特開2004−317289号公報(特許文献2)等がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、山岳道路のような蛇行する道路が案内経路に設定された状態でオンルートスクロール機能を実施すると、道路の形状に合わせて頻繁に描画が繰り返されるために、地図上のテキストデータやランドマーク等が上下左右に揺れ、地図が見難くなってしまう。例えば、図7のA部に示すような蛇行する山岳道路が案内経路に設定された状態でオンルートスクロール機能を実施すると、地図画面の中心に自車位置を表示しようと道路の上下、左右の蛇行にあわせて地図を上下、左右に描画するため、地図全体に揺れが生じ、地図上のテキストデータやランドマークにも揺れが生じて、地図が見難くなるという問題がある。
【0006】
上記した特許文献1、2に示された技術は、いずれも上記したような道路形状に依存した揺れの問題を解決するものではない。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みたもので、地図表示の視認性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、目的地に至る案内経路に従って地図画面を第1の描画周期でスクロール表示する地図スクロール手段を備えた地図表示装置であって、走行先に蛇行する案内経路が有るか否かを判定する第1の判定手段を備え、地図スクロール手段は、第1の判定手段によって走行先に蛇行する案内経路が有ると判定された場合、第1の描画周期よりも少ない頻度で地図画面をスクロール表示することである。
【0009】
このような構成では、走行先に蛇行する案内経路が有ると判定された場合、第1の描画周期よりも少ない頻度で地図画面がスクロール表示されるので、地図表示の視認性を向上することができる。
【0010】
また、本発明の第2の特徴は、第1の判定手段が、進行方向に所定領域を設け、案内経路上の所定領域へ入る地点を入場ポイントとし、案内経路上の所定領域から出る地点を退場ポイントとして特定する入退場ポイント特定手段と、入場ポイントと退場ポイントとを経由する案内経路の近似線を特定する近似線特定手段と、近似線特定手段によって特定された近似線と案内経路の交点を特定する交点特定手段と、交点特定手段によって特定された近似線と案内経路の交点の数が予め定められた数以上か否かを判定する第2の判定手段と、を備え、第2の判定手段によって近似線と案内経路の交点の数が予め定められた数以上であると判定された場合に、走行先に蛇行する案内経路が有ると判定することである。
【0011】
このように、進行方向に所定領域を設け、案内経路上の所定領域へ入る地点を入場ポイントとし、案内経路上の所定領域から出る地点を退場ポイントとして特定し、入場ポイントと退場ポイントとを経由する案内経路の近似線を特定し、近似線と案内経路の交点の数が予め定められた数以上であると判定された場合に、走行先に蛇行する案内経路が有ると判定することができる。
【0012】
また、本発明の第3の特徴は、交点特定手段によって特定された近似線と案内経路の交点に到達したか否かを判定する第3の判定手段を備え、地図スクロール手段は、第3の判定手段によって近似線と案内経路の交点に到達したと判定された場合に、地図画面をスクロールさせることである。
【0013】
このような構成では、近似線と案内経路の交点に到達したと判定された場合に、地図画面をスクロールさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る地図表示装置の構成を図1に示す。本実施形態における地図表示装置は、ナビゲーション装置10として構成されている。ナビゲーション装置10は、位置検出器110、操作スイッチ120、リモコンセンサ130、インタフェース部140、車両情報データベース150、音声入出力装置160、表示装置170、地図データ入力器180、VICS装置190、ブルートゥース通信装置(図中ではBT通信装置と記す)200および制御回路210を備えている。
【0015】
位置検出器110は、いずれも周知のGPS受信機110a、ジャイロスコープ110b、距離センサ110c、地磁気センサ110d等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた現在位置を特定するための情報を制御回路210に出力する。
【0016】
操作スイッチ120は、表示装置170の表示画面の周囲に設けられた複数のメカニカルスイッチ、表示装置170の表示画面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置からなり、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに応じた信号を制御回路210に出力する。
【0017】
リモコンセンサ130は、ユーザの操作に応じて赤外線等による無線信号を送信するリモコン130aから受信した信号を制御回路210へ出力する。
【0018】
インタフェース部140は、車載カメラ(図示せず)によって撮影された車両周辺の画像を制御回路210へ入力するためのものである。
【0019】
車両情報データベース150は、車両ナンバー、車種、車両の幅、車両の高さ、車両の重量等の車両情報が格納されたものである。
【0020】
音声入出力装置160は、集音のためのマイクおよび音声出力のためのスピーカを有し、マイクによって集音された音声に応じた音声信号を制御回路210へ出力するとともに、制御回路210から入力される音声信号に応じた音声をスピーカから出力させる。
【0021】
表示装置170は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有し、制御回路210からの映像信号に応じた映像を表示画面に表示させる。
【0022】
地図データ入力器180は、位置検出精度を向上するためのいわゆるマップマッチングデータ、各種施設アイコン、地図等を含む各種地図データを入力するための装置である。なお、地図データ入力器180から入力される地図データを記憶する記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROM、DVDまたはハードディスクドライブなどを用いるのが一般的であるが、メモリカードなど他の媒体を用いてもよい。
【0023】
VICS装置190は、VICSシステムを介してVICSセンタから提供される情報(渋滞情報、規制情報等)を受信する装置である。
【0024】
ブルートゥース通信装置200は、ブルートゥース機能を備えた外部機器と無線通信によるデータの送受信を行うための装置である。
【0025】
制御回路210は、CPU、メモリ等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を行う。
【0026】
制御回路210の処理としては、位置検出器110から入力される現在位置を特定するための情報に基づいて現在位置を特定する現在位置特定処理、ユーザの操作によって入力された条件に従って、50音検索、電話番号検索、ジャンル検索などによる目的地検索を実施する目的地検索処理、目的地での最適な案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って走行案内を行う経路案内処理、車載カメラ(図示せず)によって撮影された車両周辺の画像を表示装置170の表示画面に表示させるカメラ画像表示処理、VICSシステムを介してVICSセンタから提供される情報(渋滞情報、規制情報等)を表示装置170の表示画面に表示させるVICS情報表示処理等がある。
【0027】
また、本実施形態における制御回路210は、経路探索処理の実施によって案内経路が設定された後、ユーザの操作によりオンルートスクロール機能の実施を指示する信号が入力されると、目的地案内のデモンストレーションを実施するオンルートスクロール機能を有している。
【0028】
次に、図2を参照して、このオンルートスクロール機能を実施する際の地図表示処理について説明する。ユーザの操作によりオンルートスクロール機能の実施を指示する信号が入力されると、まず、入場ポイントと退場ポイントを求める(S100)。具体的には、図3に示すように、自車位置の進行方向に予め定められた大きさの近似ウィンドウWを設け、案内経路上の近似ウィンドウWへ入る地点を入場ポイントPINとし、案内経路上の近似ウィンドウWから出る地点を退場ポイントPOUTとして特定する。なお、本実施形態における近似ウィンドウWは、画面全体の1/6の大きさとして定められている。
【0029】
次に、入場ポイントPINと退場ポイントPOUTの近似線を求める(S102)。具体的には、入場ポイントPINと退場ポイントPOUTとを経由する案内経路の近似線Aを求める。本実施形態では、近似直線によって案内経路の近似線Aを求める。
【0030】
次に、近似線Aと案内経路との交点を求める(S104)。図3の例では、近似線Aと案内経路の6つの交点D1、D2、D3、…、D5、D6が求められる。
【0031】
次に、近似線との交点は予め定められた数以上か否かを判定する(S106)。本実施形態では、近似線との交点が5個以上か否かを判定する。
【0032】
図3の例のように、近似線Aと案内経路の交点が5個以上の場合、S106の判定はYESとなり、次に、交点情報を保存する(S108)。具体的には、S104にて求めた交点D1〜D6の位置情報をメモリに記憶する。
【0033】
次に、交点に到達したか否かを判定する(S110)。具体的には、現在位置特定処理によって特定された現在位置とメモリに記憶された交点D1〜D6の位置情報から、自車が近似線Aと案内経路の交点に到達したか否かを判定する。
【0034】
自車が交点D1に到達するまで、S110の判定はNOとなり、次に、自車位置を経路上に表示する(S114)。具体的には、自車位置が表示中心となるように通常の描画周期(第1の描画周期)で地図画像をスクロール表示させる。
【0035】
次に、残交点があるか否かを判定する(S116)。具体的には、S108にてメモリに記憶した全ての交点に自車が到達してない場合には残交点があると判定し、メモリに記憶した全ての交点に自車が到達した場合には残交点がないと判定する。
【0036】
メモリに記憶した全ての交点に自車が到達してない場合、S116の判定はYESとなり、S110へ戻る。
【0037】
したがって、自車が交点D1に到達するまでは、自車位置が表示中心となるように第1の描画周期で地図画像がスクロール表示される。
【0038】
そして、自車が交点D1に到達すると、S110の判定はYESとなり、次に、近似経路に沿って交点を表示中心に移動させる(S112)。具体的には、図4に示すように、交点D1が地図画面の表示中心となるように近似経路に沿って地図スクロールし、地図スクロールは停止する。
【0039】
その後、自車がコーナーR1を通過して交点D2に到達するまで、S116の判定はYESとなり、S110の判定はNOとなり、S114の自車位置を経路上に表示する処理を繰り返す。すなわち、地図スクロールが停止した状態で、図5に示すように、案内経路上を自車位置マークが移動する。
【0040】
そして、自車が交点D2に到達すると、S110の判定はYESとなり、次に、近似経路に沿って交点を表示中心に移動させる(S112)。具体的には、図6に示すように、交点D2が地図画面の表示中心となるように近似経路に沿って地図スクロールし、地図スクロールは停止する。
【0041】
その後、自車がコーナーR2を通過して交点D3に到達するまで、S116の判定はYESとなり、S110の判定はNOとなり、S114の自車位置を経路上に表示する処理を繰り返す。すなわち、地図スクロールが停止した状態で、案内経路上を自車位置マークが移動する。
【0042】
このように、自車が交点に到達する度に、到達する交点が地図画面の表示中心となるように地図スクロールし、自車位置マークは案内経路上をリアルタイムで移動する処理が繰り返される。
【0043】
そして、自車が交点D7に到達すると、S116の判定はNOとなり、次に、目的地に到達したか否かを判定する(S118)。具体的には、現在位置特定処理によって特定された現在位置と目的地の位置情報から目的地に到達したか否かを判定する。
【0044】
目的地に到達してない場合、S118の判定はNOとなり、S100へ戻り、上記した処理を繰り返す。
【0045】
また、自車が目的地に到達すると、S118の判定はYESとなり、本処理を終了する。
【0046】
上記した構成によれば、走行先に蛇行する案内経路が有るか否かを判定し、走行先に蛇行する案内経路が有ると判定した場合、通常の描画周期(第1の描画周期)よりも少ない頻度で地図画面をスクロール表示するので、地図表示の視認性を向上することができる。
【0047】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S100〜S106が第1の判定手段に相当し、S112が地図スクロール手段に相当し、S100が入退場ポイント特定手段に相当し、S102が近似線生成手段に相当し、S104が交点特定手段に相当し、S106が第2の判定手段に相当し、S110が第3の判定手段に相当する。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0049】
例えば、上記実施形態では、近似ウィンドウWが、画面全体の1/6の大きさとして定められた例を示したが、画面全体の1/6以外の大きさとしてもよい。また、表示スケールに応じて近似ウィンドウWの大きさを変化させるようにしてもよい。また、近似ウィンドウWは、図2に示したような矩形領域でなくても、例えば、円形の領域や楕円の領域としてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、S102において、近似直線によって入場ポイントPINと退場ポイントPOUTとを経由する案内経路の近似線Aを求める例を示したが、近似曲線によって案内経路の近似線Aを求めてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、オンルートスクロール機能を実施する際に、通常の描画周期よりも少ない頻度で地図画面をスクロール表示する例を示したが、オンルートスクロール機能を実施する場合に限定されるものではなく、例えば、経路案内時に上記したようなスクロール表示を実施するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、地図表示の表示スケールと関係なく、走行先に蛇行する案内経路が有ると判定された場合に、通常の描画周期よりも少ない頻度で地図画面をスクロール表示する例を示したが、例えば、広域地図を表示する場合には地図上のテキストデータやランドマーク等が上下左右に揺れが気にならないことが考えられるため、広域地図を表示する場合には通常の描画周期で地図画面をスクロール表示し、詳細地図を表示する場合には通常の描画周期よりも少ない頻度で地図画面をスクロール表示するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、地図表示装置としてナビゲーション装置の例を示したが、ナビゲーション装置に限定されるものではなく、地図画面をスクロール表示する各種地図表示装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の構成を示す図である。
【図2】オンルートスクロール機能を実施する際の地図表示処理を示すフローチャートである。
【図3】地図表示処理による地図表示について説明するための図である。
【図4】地図表示処理による地図表示について説明するための図である。
【図5】地図表示処理による地図表示について説明するための図である。
【図6】地図表示処理による地図表示について説明するための図である。
【図7】課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
10…ナビゲーション装置、110…位置検出器、110a…GPS受信機110a、
110b…ジャイロスコープ、110c…距離センサ、110d…地磁気センサ、
120…操作スイッチ、130…リモコンセンサ、140…インタフェース部、
150…車両情報データベース、160…音声入出力装置、170…表示装置、
180…地図データ入力器、180…地図データ入力器、190…VICS装置、
200…ブルートゥース通信装置、210…制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地に至る案内経路に従って地図画面を第1の描画周期でスクロール表示する地図スクロール手段を備えた地図表示装置であって、
走行先に蛇行する案内経路が有るか否かを判定する第1の判定手段を備え、
前記地図スクロール手段は、前記第1の判定手段によって走行先に蛇行する案内経路が有ると判定された場合、前記第1の描画周期よりも少ない頻度で前記地図画面をスクロール表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記第1の判定手段は、進行方向に所定領域を設け、前記案内経路上の前記所定領域へ入る地点を入場ポイントとし、前記案内経路上の前記所定領域から出る地点を退場ポイントとして特定する入退場ポイント特定手段と、
前記入場ポイントと前記退場ポイントとを経由する前記案内経路の近似線を特定する近似線特定手段と、
前記近似線特定手段によって特定された前記近似線と前記案内経路の交点を特定する交点特定手段と、
前記交点特定手段によって特定された前記近似線と前記案内経路の交点の数が予め定められた数以上か否かを判定する第2の判定手段と、を備え、
前記第2の判定手段によって前記近似線と前記案内経路の交点の数が予め定められた数以上であると判定された場合に、走行先に蛇行する案内経路が有ると判定することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記交点特定手段によって特定された前記近似線と前記案内経路の交点に到達したか否かを判定する第3の判定手段と、を備え、
前記地図スクロール手段は、前記第3の判定手段によって前記近似線と前記案内経路の交点に到達したと判定された場合に、前記地図画面をスクロールさせることを特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−279208(P2007−279208A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103089(P2006−103089)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】