説明

基板の処理方法、プログラム及び基板処理システム

【課題】ウェハ等の基板に塗布液を塗布する際の基板の回転数を制御するために、基板に対するフォトリソグラフィー処理を行うシステムを停止させることなく、基板の生産性を向上させる。
【解決手段】塗布現像処理システム1内に設置されたパターン測定装置20内において、スキャトロメトリー法を用いてウェハW上に形成されたパターンの高さHを測定する。測定されたパターンの高さHは制御部130に出力され、この測定結果に基づいて、制御部130内でレジスト塗布装置40内のウェハWの回転数を算出する。算出されたウェハWの回転数はレジスト塗布装置40チャック駆動機構142に伝達され、スピンチャック141を介してウェハWの回転数が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板の処理方法と基板の処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造におけるフォトリソグラフィー処理では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光後にレジスト膜内の化学反応を促進させる加熱処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウェハ上に所定のレジストのパターンが形成される。
【0003】
ウェハ上にレジスト液を塗布する方法としては、従来より例えばスピンコート法と呼ばれる方法が用いられてきた。スピンコート法とは、ウェハをスピンチャックと呼ばれる円盤状の保持部材上に吸着保持し、このウェハのほぼ中心に溶液状のレジスト液を吐出し、その後、このスピンチャックを回転する方法である。スピンチャックを回転することにより、中心に供給されたレジスト液は遠心力によって拡散し、ウェハ表面全体に塗布される。
【0004】
所定のフォトリソグラフィー処理を好適に実施するためには、ウェハ上に塗布されたレジスト膜が所定の膜厚であることが重要である。そこで従来より、例えばレジスト膜に所定のパターンを露光する前にウェハ上のレジスト膜の膜厚を測定し、所定の許容値を超えた場合には、その測定結果に基づいて、例えばレジスト液の塗布を行うレジスト塗布装置のスピンチャックの回転数を補正することが行われている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−196298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなレジスト膜の膜厚測定を実施するためには、ウェハ上に平坦な領域が必要であるが、フォトリソグラフィー処理が行われた後の製品用ウェハ上には、レジストのパターンが形成されているため、正しい膜厚を測定することができなかった。そこで従来は、製品用ウェハに対するフォトリソグラフィー処理を行うシステムを停止して、テスト用ウェハをフォトリソグラフィー処理が行われるシステムに流して、ウェハ上にレジスト膜が形成された後、パターンの露光前に、このテスト用ウェハの膜厚を測定していた。その後、このテスト用ウェハのレジスト膜の膜厚の測定結果に基づいて、例えば膜厚が所定の許容値を超えた場合には、前記システム内のレジスト塗布装置内のウェハの回転数(スピンチャックの回転数)を補正するようにしている。この場合、テスト用ウェハのレジスト膜の膜厚の測定中には、前記したように製品用ウェハに対するフォトリソグラフィー処理を行うシステムを停止しているので、ウェハの生産性が低下していた。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ウェハ等の基板に塗布液を塗布する際の基板の回転数を制御する場合でも、フォトリソグラフィー処理を行うシステムを停止させる必要をなくして、基板の生産性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明においては、基板を回転させて、基板上に塗布液を塗布する工程を有し、基板にフォトリソグラフィー処理を行う基板の処理方法であって、基板上に形成された所定のパターンの高さを測定する工程と、前記所定のパターンの高さに基づいて、少なくとも前記塗布液を塗布する工程における基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかを制御する工程と、を有することを特徴とする、基板の処理方法が提供される。
【0009】
発明者らの知見によれば、フォトリソグラフィー処理の終了後の基板上に形成された所定のパターンの高さは、レジスト膜の膜厚とほぼ一定の相関関係があることが分かった。したがって、本発明においては、フォトリソグラフィー処理後のパターンの高さを測定し、その測定結果に基づいて、少なくとも塗布液を塗布する工程における基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかを制御する。例えばパターンの高さの測定結果が所定の許容値を超えた場合には、制御部において、少なくとも前記の基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかを補正する。これにより、従来のように前記の基板の回転数を制御するために、テスト用の基板を別途フォトリソグラフィー処理システムに流してレジスト膜の膜厚を測定する必要がない。したがって、製品用の基板のフォトリソグラフィー処理を行うシステムを停止する必要をなくして、基板の生産性を向上させることができる。
【0010】
前記所定のパターンの高さの測定は、スキャトロメトリー法を用いてもよい。ここで、スキャトロメトリー(Scatterometry)法とは、次のような方法である。任意のパターン形状に対して、例えばレジストの光学定数やレジストのパターン形状、構造等の既知の情報に基づいて、例えばパターンの高さや、パターンの高さの異なる複数の計算上の光強度分布を算出して、そのライブラリをパターンの高さの情報も含めて予め作成する。そして、測定対象である実際のパターンに光を照射し、そのパターンから反射する反射光の強度分布を測定する。その測定結果と前記のライブラリの計算上の光強度分布とをマッチングし、光強度分布が適合したライブラリ内のパターンの高さを、実際のパターンの高さと推定する方法である。この方法を用いることにより、基板上に形成されるパターンが微細化した場合でも、前記ライブラリを利用したパターンマッチングによって、基板上の所定のパターンの高さの測定が可能となる。また、パターンの高さの測定の際に、パターンの粗度(LWR)、縮小度(Shrink)等の情報が含まれるCD−SEM法と比べて、スキャトロメトリー法においてはこれらの情報が含まれないために、測定されるパターンの高さの精度が良い。
【0011】
前記所定のパターンの高さの測定は、基板毎に行ってもよい。これにより、基板上に塗布液を塗布する工程において、少なくとも基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかの補正の精度が次第に向上し、フォトリソグラフィー処理が行われた後の基板上に形成される所定のパターンの精度が向上する。
【0012】
別の観点による本発明によれば、前記の基板の処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、基板を回転させて、基板上に塗布液を塗布する塗布装置と、基板上に所定のパターンを現像する現像装置と、を有する基板処理システムであって、前記所定のパターンの高さに基づいて、少なくとも前記塗布装置内の基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかを制御する制御部を有することを特徴とする基板処理システムが提供される。
【0014】
前記所定のパターンの高さはパターン測定装置によって測定され、当該パターン測定装置はスキャトロメトリー法によって測定するものであってもよい。
【0015】
前記パターン測定装置は、前記基板処理システム内に設置されていてもよい。これにより、フォトリソグラフィー処理が行われた後の基板上に形成される所定のパターン高さをインラインで測定することができ、円滑に基板の処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フォトリソグラフィー処理が行われた後、基板上に形成される所定のパターンの高さから、少なくとも塗布液を塗布する工程における基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかを制御するようにしたので、従来実施されていたテスト用ウェハを用いての基板上のレジスト膜の膜厚測定を行う必要がない。したがって、フォトリソグラフィー処理を行うシステムを停止する必要がなく、基板の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる基板処理システムとしての塗布現像処理システム1の構成の概略を示す平面図であり、図2は、塗布現像処理システム1の正面図であり、図3は、塗布現像処理システム1の背面図である。
【0018】
塗布現像処理システム1は、図1に示すように例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部から塗布現像処理システム1に対して搬入出したり、カセットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットステーション2と、ウェハWに対し所定の検査を行う検査ステーション3と、フォトリソグラフィー工程の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を多段に配置している処理ステーション4と、この処理ステーション4に隣接して設けられている露光装置(図示せず)との間でウェハWの受け渡しをするインターフェイス部5とを一体に接続した構成を有している。
【0019】
カセットステーション2では、カセット載置台6が設けられ、当該カセット載置台6は、複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。カセットステーション2には、搬送路7上をX方向に沿って移動可能なウェハ搬送体8が設けられている。ウェハ搬送体8は、カセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、カセットC内に上下方向に配列されたウェハWに対して選択的にアクセスできる。ウェハ搬送体8は、鉛直方向の軸周り(θ方向)に回転可能であり、後述する検査ステーション3側の受け渡し部10に対してもアクセスできる。
【0020】
カセットステーション2に隣接する検査ステーション3には、本発明にかかるパターン測定装置20が設けられている。パターン測定装置20は、例えば検査ステーション3のX方向負方向(図1の下方向)側に配置されている。検査ステーション3のカセットステーション2側には、カセットステーション2との間でウェハWを受け渡しするための受け渡し部10が配置されている。この受け渡し部10には、例えばウェハWを載置する載置部10aが設けられている。パターン測定装置20のX方向正方向(図1の上方向)には、例えば搬送路11上をX方向に沿って移動可能なウェハ搬送装置12が設けられている。ウェハ搬送装置12は、例えば上下方向に移動可能でかつθ方向にも回転自在であり、パターン測定装置20、受け渡し部10及び処理ステーション4側の後述する第3の処理装置群G3の各処理装置に対してアクセスできる。
【0021】
検査ステーション3に隣接する処理ステーション4は、複数の処理装置が多段に配置された、例えば5つの処理装置群G1〜G5を備えている。処理ステーション4のX方向負方向(図1中の下方向)側には、検査ステーション3側から第1の処理装置群G1、第2の処理装置群G2が順に配置されている。処理ステーション4のX方向正方向(図1中の上方向)側には、検査ステーション3側から第3の処理装置群G3、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5が順に配置されている。第3の処理装置群G3と第4の処理装置群G4の間には、第1の搬送装置30が設けられている。第1の搬送装置30は、第1の処理装置群G1、第3の処理装置群G3及び第4の処理装置群G4内の各装置に対しアクセスしてウェハWを搬送できる。第4の処理装置群G4と第5の処理装置群G5の間には、第2の搬送装置31が設けられている。第2の搬送装置31は、第2の処理装置群G2、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5に対して選択的にアクセスしてウェハWを搬送できる。
【0022】
図2に示すように第1の処理装置群G1には、ウェハWに所定の液体を供給して処理を行う液処理装置、例えばウェハWにレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置40、41、42、露光処理時の光の反射を防止する反射防止膜を形成するボトムコーティング装置43、44が下から順に5段に重ねられている。第2の処理装置群G2には、液処理装置、例えばウェハWに現像液を供給して現像処理する現像処理装置50〜54が下から順に5段に重ねられている。また、第1の処理装置群G1及び第2の処理装置群G2の最下段には、各処理装置群G1、G2内の前記液処理装置に各種処理液を供給するためのケミカル室60、61がそれぞれ設けられている。
【0023】
例えば図3に示すように第3の処理装置群G3には、温調装置70、ウェハWの受け渡しを行うためのトランジション装置71、精度の高い温度管理下でウェハW温度調節する高精度温調装置72〜74及びウェハWを高温で加熱処理する高温度熱処理装置75〜78が下から順に9段に重ねられている。
【0024】
第4の処理装置群G4では、例えば高精度温調装置80、レジスト塗布処理後のウェハWを加熱処理するプリベーキング装置81〜84及び現像処理後のウェハWを加熱処理するポストベーキング装置85〜89が下から順に10段に重ねられている。
【0025】
第5の処理装置群G5では、ウェハWを熱処理する複数の熱処理装置、例えば高精度温調装置90〜93、ポストエクスポージャーベーキング装置94〜99が下から順に10段に重ねられている。
【0026】
図1に示すように第1の搬送装置30のX方向正方向側には、複数の処理装置が配置されており、例えば図3に示すようにウェハWを疎水化処理するためのアドヒージョン装置100、101、ウェハWを加熱処理する加熱処理装置102、103が下から順に4段に重ねられている。図1に示すように第2の搬送装置31のX方向正方向側には、例えばウェハWのエッジ部のみを選択的に露光する周辺露光装置104が配置されている。
【0027】
インターフェイス部5には、例えば図1に示すようにX方向に向けて延伸する搬送路110上を移動するウェハ搬送体111と、バッファカセット112が設けられている。ウェハ搬送体111は、Z方向に移動可能でかつθ方向にも回転可能であり、インターフェイス部5に隣接した露光装置(図示せず)と、バッファカセット112及び第5の処理装置群G5に対してアクセスしてウェハWを搬送できる。
【0028】
次に上述のパターン測定装置20の構成について説明する。パターン測定装置20は、例えば図4に示すように内部を閉鎖可能なケーシング20aを有している。ケーシング20a内には、ウェハWを水平に載置する載置台121が設けられている。載置台121は、例えばX−Yステージを構成しており、水平面上でX方向とY方向に移動できる。載置台121の上方には、載置台121上に載置されたウェハWに対して斜方向から光を照射する光照射部122と、光照射部122から照射された光のウェハWで反射した光を検出する検出部123が設けられている。
【0029】
図5に基づいてより詳細に説明すると、光照射部122から照射された光は、ウェハW上のパターンに反射し、検出部123に到達する。検出部123で検出した光の情報は、測定部124に出力される。この光の情報には、例えば光の回折次数、波長、入射角θ等が含まれる。測定部124は、取得した光の情報に基づいて、ウェハW上に形成されている所定のパターンから反射した反射光の光強度分布を測定することができる。なお、光照射部122としては例えば白色光を発するキセノンランプが用いられ、検出部123としては例えばCCDカメラ等を用いられている。また、本実施の形態において、光は光照射部122から斜め方向に照射されてウェハW上のパターンで反射しているが、光を光照射部122から垂直方向に照射してウェハW上のパターンで反射させてもよい。
【0030】
パターン測定装置20は、例えばパターンの高さHを測定するための情報の処理を行う制御機構125を備えている。制御機構125は、例えば算出部126、記憶部127及び解析部128を有している。算出部126では、記憶部127のライブラリに記憶されるべき情報が算出される。算出部126では、例えばレジストの光学定数やレジストのパターン形状、構造等の既知の情報に基づいて、パターンの高さが計算され、さらにパターンの高さの異なる複数の仮想パターンから反射する反射光の計算上の各光強度分布が算出される。記憶部127では、算出部126で算出された前記仮想パターンに対する計算上の各光強度分布を記憶して、そのライブラリがパターンの高さの情報も含めて作成される。
【0031】
測定部124で測定されたウェハW上の実際のパターンに対する光強度分布は、解析部128に出力される。解析部128では、測定部124から出力された実際のパターンの光強度分布と前記記憶部127のライブラリ内に記憶されている仮想パターンの光強度分布とを照合し、光強度分布が適合する仮想パターンを選択し、その仮想パターンの高さを実際のパターンの高さHと推定してパターンの高さHが測定される。
【0032】
次に上述のレジスト塗布装置の構成40、41、42について説明する。レジスト塗布装置40は、例えば図4に示すように内部を閉鎖可能なケーシング40aを有している。ケーシング40a内の中央部には、ウェハWを保持して回転させるスピンチャック141が設けられている。スピンチャック141は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック141上に吸着保持できる。
【0033】
スピンチャック141は、例えばモータなどを備えたチャック駆動機構142により、所定の速度に回転できる。また、チャック駆動機構142には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック141は上下動可能である。
【0034】
スピンチャック141の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ143が設けられている。カップ143の下面には、回収した液体を排出する排出管144と、カップ143内の雰囲気を排気する排気管145が接続されている。排気管145は、ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されており、カップ143内の雰囲気を強制的に排気できる。
【0035】
ウェハWの上方には、レジスト液を吐出するノズル146が設けられている。ノズル146は、駆動機構(図示せず)によって水平方向および上下方向に移動可能である。
【0036】
なお、レジスト塗布装置41、42の構成は、上述のレジスト塗布装置41と同様であるので、説明を省略する。
【0037】
パターン測定装置20で測定されたウェハW上のパターンの高さHは、例えば図1に示す塗布現像処理システム1の制御部130に出力される。制御部130は、取得したパターンの高さHに基づいて、レジスト塗布装置40におけるウェハWの回転数(レジスト塗布装置40のスピンチャック141の回転数)を制御している。例えばパターンの高さHがウェハWの許容値を上回る場合にはレジスト塗布装置40内のウェハWの回転数を増加させるようにウェハWの回転数の補正値を算出している。また、例えばパターンの高さHがウェハWの許容値を下回る場合にはレジスト塗布装置40内のウェハWの回転数を減少させるようにウェハWの回転数の補正値を算出している。
【0038】
制御部130は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、レジスト塗布装置40内のウェハWの回転数を制御するプログラムが格納されている。これに加えて、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送体などの駆動系の動作を制御して、後述する塗布現像処理システム1の所定の作用、すなわちウェハWへのレジスト液の塗布、現像、加熱処理、ウェハWの受け渡し、各ユニットの制御などを実現させるためのプログラムも格納されている。なお、このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御部130にインストールされたものであってもよい。
【0039】
本実施の形態にかかる塗布現像処理システム1は以上のように構成されており、次にこの塗布現像処理システム1で行われるウェハ処理について説明する。
【0040】
先ず、図1に示すウェハ搬送体8によって、カセット載置台6上のカセットC内から未処理のウェハWが一枚取り出され、検査ステーション3の受け渡し部10に受け渡される。受け渡し部10に受け渡されたウェハWは、ウェハ搬送装置12によって処理ステーション4の第3の処理装置群G3に属する温調装置70に搬送される。温調装置70に搬送されたウェハWは、所定温度に温度調節され、第1の搬送装置30によってボトムコーティング装置43に搬送され、反射防止膜が形成される。反射防止膜が形成されたウェハWは、第1の搬送装置30によって加熱処理装置102、高温度熱処理装置75、高精度温調装置80に順次搬送され、各処理装置において所定の処理が施される。その後ウェハWは、第1の搬送装置30によってレジスト塗布装置40に搬送される。
【0041】
レジスト塗布装置40に搬送されたウェハWは、先ず図4に示すようにスピンチャック71に吸着保持される。次にノズル146がウェハWの中心部の上方まで移動する。その後、チャック駆動機構142によってスピンチャック141上のウェハWが回転し、ノズル146からウェハW上にレジスト液が吐出される。ウェハW上のレジスト液は、遠心力により広げられ、ウェハWの表面に所定のレジスト膜が形成される。
【0042】
レジスト膜が形成されたウェハWは、第1の搬送装置30によってプリベーキング装置81に搬送され、加熱処理が施された後、第2の搬送装置31によって周辺露光装置104、高精度温調装置93に順次搬送され、各装置において所定の処理が施される。その後、インターフェイス部5のウェハ搬送体111によって露光装置(図示せず)に搬送され、ウェハW上のレジスト膜に所定のパターンが露光される。露光処理の終了したウェハWは、ウェハ搬送体111によってポストエクスポージャーベーキング装置94に搬送され、所定の処理が施される。
【0043】
ポストエクスポージャーベーキング装置94における熱処理が終了すると、ウェハWは第2の搬送装置31によって高精度温調装置81に搬送されて温度調節される。その後、現像処理装置30に搬送され、ウェハW上に現像処理が施され、レジスト膜にパターンが形成される。その後ウェハWは、第2の搬送装置31によってポストベーキング装置85に搬送され、加熱処理が施された後、第1の搬送装置30によって高精度温調装置72に搬送され温度調節される。そしてウェハWは、第1の搬送装置30によってトランジション装置71に搬送され、ウェハ搬送装置12によって検査ステーション3のパターン測定装置20に搬送される。パターン測定装置20内では、後述する例えばウェハW上のパターンの高さHの測定が行われる。
【0044】
そして、パターン測定装置20内で例えばパターンの高さHの測定が終了したウェハWは、ウェハ搬送装置12によって受け渡し部10に受け渡され、受け渡し部10からウェハ搬送体8によってカセットCに戻され、塗布現像処理システム1における一連のパターン形成処理が終了する。
【0045】
次に、パターン測定装置20内で行われるウェハW上に形成されたパターンの高さHの測定方法について、説明する。図6は、パターンの高さHの測定方法についてのフローを示している。パターン測定装置20に搬送されたウェハWは、図4に示すように載置台121上に載置され、ウェハW上に形成されているパターンに光照射部122から光が照射される(ステップS1)。検出部123は、パターンからの反射光を検出する(ステップS2)。測定部124では、その反射光の光強度分布が測定される(ステップS3)。この実際のパターンに対する光強度分布は、制御機構125に出力される(ステップS4)。制御機構125では、算出部126において予め複数の仮想パターンに対する計算上の光強度分布を算出し、記憶部127において前記仮想パターンに対する光強度分布を記憶して、そのライブラリが作成されている。そして、解析部128において、実際のパターンに対する光強度分布とライブラリ内の仮想パターンに対する光強度分布が照合される(ステップS5)。そして、適合する仮想パターンの高さが実際のパターンの高さHと推定される。このようにして、ウェハW上のパターンの高さHが測定される(ステップS6)。この方法を用いると、ウェハW上のパターンが微細化した場合でも、前記ライブラリを利用したパターンの照合によって、パターンの高さHを測定することができる。
【0046】
パターン測定装置20で測定されたウェハWのパターン高さは、図4に示すように制御部130に出力される。制御部130では、例えば取得したパターンの高さHがウェハWの許容値を上回る場合にはレジスト塗布装置40内のウェハWの回転数を増加させるようにウェハWの回転数の補正値を算出している。また、例えばパターンの高さHがウェハWの許容値を下回る場合にはレジスト塗布装置40内のウェハWの回転数を減少させるようにウェハWの回転数の補正値を算出している。算出されたウェハWの回転数の補正値は、レジスト塗布装置40のチャック駆動機構142に伝達され、スピンチャック141を介してウェハWの回転数を制御することができる。
【0047】
発明者らの知見によれば、ウェハW上のパターンの高さHは、従来測定していたレジスト膜の膜厚とほぼ一定の相関関係がある。したがって、制御部130において、このパターンの高さHとレジスト液が塗布された後の膜厚との相関関係を利用して、パターンの高さHからレジスト塗布装置40内のウェハWの回転数の補正値を算出している。そのため、レジスト膜の膜厚を測定する必要がない。
【0048】
以上のように、本実施の形態の塗布現像処理システム1によると、パターン測定装置20からウェハW上に形成されるパターンの高さHを測定することができ、その測定結果に基づいて、制御部130によって、レジスト塗布装置40内のウェハWの回転数を制御することができる。
したがって、従来のようにレジスト塗布装置40内のウェハWの回転数を制御するために、塗布現像処理システム1内にテスト用ウェハを流してレジスト膜の膜厚を測定する必要がない。そのため、製品用ウェハのフォトリソグラフィー処理を行うシステムを停止させる必要をなくして、ウェハの所定の処理を円滑に行うことができ、ウェハの生産性を向上させることができる。
また、このようなウェハW上のパターンの高さHの測定は、ウェハW毎に行うことができる。これにより、レジスト塗布装置40内のウェハWの回転数の補正の精度が次第に向上し、フォトリソグラフィー処理が行われた後のウェハW上に形成されるパターンの精度が向上する。
【0049】
以上の実施の形態では、パターン測定装置20は塗布現像処理システム1の内側に設けられていたが、パターン測定装置20は塗布現像処理システム1の外側に設けられていてもよい。この場合、塗布現像処理システム1内の所定の処理が終了し、カセットステーション2から取り出されたウェハWは、塗布現像処理システム1の外側に設けられたパターン測定装置20によって、そのパターンの高さHが測定される。この場合においても、前記の実施の形態と同様に、ウェハWのパターンの高さHの測定結果を制御部130に出力することにより、制御部130内でレジスト塗布装置40内のウェハWの回転数の補正値を算出し、ウェハWの回転数を制御することができる。
【0050】
また、以上の実施の形態では、パターン測定装置20で測定されたウェハWのパターンの高さHに基づいて、レジスト塗布装置40内のウェハWの回転数が制御されるが、スキャトロメトリー法を用いたパターン測定装置20では、ウェハW上に形成される反射防止膜の膜厚も同時に測定することができる。ウェハW上の反射防止膜は、ボトムコーティング装置43内でウェハWを回転させて反射防止液を塗布することにより形成される。そこで前記の実施の形態と同様の方法で、パターン測定装置20で測定された反射防止膜の膜厚に基づいて、ウェハW上に反射防止膜を形成するボトムコーティング装置43内のウェハWの回転数を制御するようにしてもよい。例えば測定された反射防止膜の膜厚を制御部130に出力し、制御部130においてボトムコーティング装置43内のウェハWの回転数の補正値を算出して、ウェハWの回転数を制御してもよい。
また制御部130における制御についても、上記実施の形態においてはウェハWの回転数のみを制御するようにしていたが、これに限らずウェハWの回転時間、又は回転加速度のうち、いずれか1つを制御してもよい。またこれらの回転数、回転時間、回転加速度のうち、いずれか2つ又は3つを同時に制御するようにしてもよい。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に相到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板を処理するシステム内の基板上にレジスト膜を塗布する装置において、少なくとも塗布時における基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかを制御する際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施の形態にかかるパターン測定装置を搭載した、塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかる塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】本実施の形態にかかる塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】本実施の形態にかかるパターン測定装置、制御部及びレジスト塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】パターン上に照射された光の反射を示す説明図である。
【図6】パターンの高さの測定方法についてのフローである。
【符号の説明】
【0054】
1 塗布現像処理システム
20 パターン測定装置
40〜42 レジスト塗布装置
50〜54 現像処理装置
130 制御部
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させて、基板上に塗布液を塗布する工程を有し、基板にフォトリソグラフィー処理を行う基板の処理方法であって、
基板上に形成された所定のパターンの高さを測定する工程と、
前記所定のパターンの高さに基づいて、少なくとも前記塗布液を塗布する工程における基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかを制御する工程と、
を有することを特徴とする、基板の処理方法。
【請求項2】
前記所定のパターンの高さの測定は、スキャトロメトリー法を用いることを特徴とする、請求項1に記載の基板の処理方法。
【請求項3】
前記所定のパターンの高さの測定は、基板毎に行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の基板の処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の基板の処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項5】
基板を回転させて、基板上に塗布液を塗布する塗布装置と、基板上に所定のパターンを現像する現像装置と、を有する基板処理システムであって、
前記所定のパターンの高さに基づいて、少なくとも前記塗布装置内の基板の回転数、回転時間、又は回転加速度のいずれかを制御する制御部を有することを特徴とする、基板処理システム。
【請求項6】
前記所定のパターンの高さはパターン測定装置によって測定され、当該パターン測定装置はスキャトロメトリー法によって測定するものであることを特徴とする、請求項5に記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記パターン測定装置は、前記基板処理システム内に設置されていることを特徴とする、請求項6に記載の基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−311469(P2007−311469A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137578(P2006−137578)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】