説明

基板処理装置および半導体装置の製造方法

【課題】一度に処理できる基板の枚数を増加させたコールドウォール型の基板処理装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】処理炉202内に複数のウエハ200を積載したボート217を配置し、該ボート217の外周側に、リング状に形成されたリング状プレート311をリングボート312により支持して、前記ウエハ200の積載方向に複数並べて配置する。前記リング状プレート311を誘導加熱装置206で誘導加熱し、その輻射熱により前記ウエハ200を外周縁全体から加熱する。前記リング状プレート311の外周側にガス供給ノズル232を配置し、該ガス供給ノズル232のガス供給口232aから吐出されたガスを、隣り合う複数の前記リング状プレート311の間の隙間部分を通して前記ウエハ200に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および半導体装置の製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する製造工程においては、CVD(Chemical Vapor Deposition)等による基板(ウエハ)の成膜処理が行われる。このような成膜処理には、従来から、バッチ式の基板処理装置が用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
バッチ式の基板処理装置としてはコールドウォール型の処理装置がある。コールドウォール型の処理装置では、複数の基板はそれぞれサセプタに搭載され、サセプタとともにボートに多段に積載される。基板が多段に装填されたボートは反応容器内に搬送され、反応容器の外側に配置されたRF(Radio Frequency)コイルによりサセプタが誘導加熱されて基板が所望の処理温度にまで加熱される。基板が処理温度にまで加熱されると反応容器内に反応ガスが供給され、基板が成膜処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−141205号公報
【特許文献2】特開2007−048771号公報
【特許文献3】特開2005−228991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サセプタを用いたコールドウォール型の基板処理装置では、基板をサセプタに搭載した状態で基板保持体であるボートに多段に積載するようにしているので、サセプタを用いずに反応容器自体を抵抗加熱ヒータで加熱するようにしたホットウォール型の基板処理装置に比べて、サセプタの厚みの分だけボートに積載される基板のピッチ、つまりボートピッチが大きくなる。そのため、コールドウォール型の基板処理装置では、一度に処理できる基板の枚数が、同等の大きさの反応容器を備えるホットウォール型の基板処理装置に比べて少なくなる。
【0006】
本発明の目的は、一度に処理できる基板の枚数を増加させたコールドウォール型の基板処理装置および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
すなわち、本発明に係る基板処理装置は、内部で基板を処理する反応容器と、複数枚の前記基板を前記反応容器の延在方向に積載する基板保持体と、前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に前記基板の積載方向に並べて複数設けられ、前記基板を加熱するリング状の被誘導体と、前記複数の被誘導体の外周側から前記反応容器内にガスを供給するガス供給体と、前記複数の被誘導体を誘導加熱する誘導加熱装置と、を備える基板処理装置である。
【0010】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、複数枚の基板を積載した基板保持体を反応容器に搬送する工程と、前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に前記基板の積載方向に並べて複数設けられて前記基板を加熱するリング状の被誘導体を誘導加熱装置により誘導加熱するとともに前記複数の被誘導体の外周側から前記反応容器内にガスを供給して前記基板を処理する工程と、を有する半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0012】
すなわち、本発明では、コールドウォール型の構成でありながら基板保持体に積載される複数の基板のボートピッチをホットウォール型の場合と同等に小さくして、一度に処理できる基板の枚数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態である基板処理装置の概要を示す斜視図である。
【図2】ウエハをボートに装填した状態を示す平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図1に示す基板処理装置の処理炉内と処理炉周辺の概略を示す断面図である。
【図5】図4の処理炉の内部構造を示す横断面図である。
【図6】図5に示すリング状プレートの詳細を示す斜視図である。
【図7】(a)はリング状プレートを支持したリングボートの正面図であり、(b)は同斜視図である。
【図8】リングボートの支柱を分割構造とした変形例を示す断面図である。
【図9】図8における支柱の分割部分を拡大して示す図である。
【図10】ウエハとガス供給体に対するリング状プレートの配置を示す断面図である。
【図11】ウエハとリング状プレートとの位置関係を示す断面図である。
【図12】(a)はサセプタ方式で加熱されたウエハの温度分布を比較例として示す図であり、(b)は本発明の基板処理装置により加熱されたウエハの温度分布を示す図である。
【図13】リングボートの支持構造を示す断面図であってシールキャップがオン前の状態を示す断面図である。
【図14】リングボートを反応容器内に固定するようにした変形例を示す断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態であってウエハの上下に温度分布調整用板材を配置した場合を示す断面図である。
【図16】図15に示す第2の実施の形態においてウエハのピッチをリング状プレートのピッチに一致させた変形例を示す断面図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態であってボートに積載された最上段のウエハの上側と最下段のウエハの下側とにサイドダミーサセプタを配置した場合を示す断面図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態であってリング状プレートを積み上げ式とした場合を示す分解斜視図である。
【図19】図18に示す第4の実施の形態におけるウエハとガス供給体に対するリング状プレートの配置を示す断面図である。
【図20】図18に示す第4の実施の形態において供給側案内溝と排気側案内溝とをリング状プレートの下面に設けた変形例を示す分解斜視図である。
【図21】図18に示す第4の実施の形態において複数段のリング状プレートを一体に形成した変形例を示す分解斜視図である。
【図22】図18に示す第4の実施の形態において複数段のウエハに対応した厚みに形成されたリング状プレートに複数段のウエハに対応したガス供給孔、ガス排気孔をスリット形態で設けた変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態においては、便宜上、複数の実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0015】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0017】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0018】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面を解り易くするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0019】
[第1の実施の形態]
本発明を実施するための形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC、太陽電池等)の製造方法に含まれる様々な処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下の説明では、基板にCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長、化学気相蒸着)法による成膜処理を行う縦型の基板処理装置であって、複数の基板を一度に処理するバッチ方式の基板処理装置を対象にして説明する。
【0020】
なお、CVD法による成膜処理を行う基板処理装置に限らず、エピタキシャル成長法による成膜処理や酸化処理、拡散処理等を行なう基板処理装置に本発明の技術的思想を適用してもよい。
【0021】
<基板処理装置の構成>
まず、第1の実施の形態における基板処理装置101について、図面を参照しながら説明する。以下、基板処理装置101を構成する各部材について説明するが、筐体111の側面のうち、カセット110が搬入搬出される側を正面として説明する。また、筐体111内における各部材の位置について、正面に向かう方向を前方、正面から遠ざかる方向を後方として説明する。
【0022】
図1に示すように、基板処理装置101は、ウエハキャリアとしてのカセット110を備え、カセット110にはシリコン等からなる基板としてのウエハ200が複数枚収納されている。基板処理装置101の筐体111は略直方体形状に形成され、その正面壁111aの下方には、基板処理装置101をメンテナンスするための開口部として正面メンテナンス口103が開設されている。正面メンテナンス口103は筐体111の正面壁111aに設けられた正面メンテナンス扉104により開閉可能となっている。正面メンテナンス扉104にはカセット搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するよう開設されており、カセット搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113により開閉可能となっている。
【0023】
カセット搬入搬出口112の筐体111内側にはカセットステージ(基板収容器受渡し台)114が設置されている。カセット110は工程内搬送装置(図示せず)により筐体111内のカセットステージ114上に搬入され、かつ、カセットステージ114上から搬出されるようになっている。カセットステージ114では、カセット110は、工程内搬送装置により、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢となり、かつ、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。
【0024】
筐体111内の前後方向の略中央下部にはカセット棚(基板収容器載置棚)105が設置されている。カセット棚105は複数段および複数列で複数個のカセット110を保管できるようになっており、カセット110内のウエハ200が出し入れ可能に配置されている。カセット棚105はスライドステージ(水平移動機構)106上に横方向に移動可能に設置されている。また、カセット棚105の上方にはバッファ棚(基板収容器保管棚)107が設置され、カセット110はバッファ棚107にも保管されるようになっている。
【0025】
カセットステージ114とカセット棚105との間にはカセット搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。カセット搬送装置118はカセット110を保持した状態で昇降可能なカセットエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、カセット搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとを備えており、カセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bの連続動作により、カセットステージ114、カセット棚105およびバッファ棚107の間でカセット110を搬送できるようになっている。
【0026】
カセット棚105の後方にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されている。ウエハ移載機構125はウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとを備えている。図1に模式的に示すように、ウエハ移載装置エレベータ125bは筐体111の前方に向かう右側部分に設置されている。これらウエハ移載装置エレベータ125bとウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aに設けたツイーザ(基板保持具)125cがウエハ200を基板保持体としてのボート217に装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)するようになっている。
【0027】
図2、図3に示すように、ボート217は、3本の支柱217aを備えている。各支柱217aの軸方向一端側と他端側には、各支柱217aを所定間隔で保持する天板217bと底板217c(図4参照)が設けられている。また、各支柱217aにはウエハ200側つまりボート217の中心軸側に向けて突出する保持部217dが設けられ、各保持部217dに保持されてウエハ200がボート217に搭載されるようになっている。保持部217dは各支柱217aに軸方向に沿って等間隔で複数設けられており、例えば50枚〜100枚程度のウエハ200が軸方向に所定の間隔を空けて整列した状態でボート217に積載される。つまり、多数のウエハ200が互いに所定の間隔を空けてボート217に多段に積載される。
【0028】
ボート217を形成する各支柱217a、天板217b、底板217cおよび各保持部217dは、それぞれ耐熱材料としての石英(SiO)材により形成されている。なお、図示する場合では、ボート217には3本の支柱217aが設けられるが、ウエハ200をボート217の横方向からセット可能であれば、4本以上の支柱217aを設けるようにしてもよい。
【0029】
図1に示すように、バッファ棚107の後方には供給ファンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット134が設けられ、このクリーンユニット134により筐体111の内部にクリーンエアが流通されるようなっている。また、ウエハ移載装置エレベータ125b側とは反対側、つまり筐体111の前方に向かう左側部分にはツイーザ125cによりピックアップされたウエハ200にクリーンエアを供給するように、供給ファンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット(図示せず)が設置されている。このクリーンユニットから吹き出されたクリーンエアは、ウエハ移載装置125a(ウェハ200)を流通した後に、図示しない排気装置に吸い込まれて、筐体111の外部へ排気される。
【0030】
ウエハ移載装置(基板移載装置)125aの後方には大気圧未満の圧力(以下、負圧という)を維持可能な気密性能を有する耐圧筐体140が設置されている。この耐圧筐体140の内部には、ボート217を収容可能な容積を有するロードロック方式の待機室であるロードロック室(移載室)141が形成されている。
【0031】
耐圧筐体140の正面壁140aにはウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)142が開設されており、ウエハ搬入搬出口142はゲートバルブ(基板搬入搬出口開閉機構)143によって開閉されるようになっている。耐圧筐体140の一対の側壁にはロードロック室141へ窒素ガス等の不活性ガスを給気するためのガス供給管144と、ロードロック室141を負圧に排気するためのガス排気管(図示せず)とがそれぞれ接続されている。
【0032】
ロードロック室141の上方には、内部でウエハ200を処理する反応容器としての処理炉(反応炉)202が設けられている。処理炉202の下端部は炉口シャッタ(炉口ゲートバルブ、炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
【0033】
図1に模式的に示すように、ロードロック室141にはボート217を昇降させるためのボートエレベータ(支持体保持体昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115に連結されたアーム(図示せず)にはシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0034】
<基板処理装置の動作>
基板処理装置101は、概ね上述のように構成され、以下、基板処理装置101の動作、特にウエハ200の処理炉202への搬入搬出動作について説明する。なお、以下の説明においては、基板処理装置101を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0035】
図1に示すように、カセット110がカセットステージ114に供給されるのに先立って、カセット搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放される。その後、カセット110はカセット搬入搬出口112から筐体111内に搬入され、カセットステージ114上に載置される。このとき、ウエハ200は垂直姿勢とされ、カセット110のウエハ出し入れ口は上方に向けられている。
【0036】
次に、カセット110は、カセット搬送装置118によって、カセットステージ114から取り上げられ、次いで、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、かつ、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように、筐体111の後方に向けて90°回転させられる。続いて、カセット110は、カセット搬送装置118によりカセット棚105あるいはバッファ棚107の指定された位置へ自動的に搬送され、受け渡される。つまり、カセット110は、バッファ棚107に一時的に保管された後、カセット搬送装置118によってカセット棚105に移載されるか、あるいは、直接、カセット棚105に搬送される。
【0037】
スライドステージ106はカセット棚105を水平移動させ、移載の対象となるカセット110をウエハ移載装置125aに対峙するように位置決めする。ウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによりカセット110からウエハ出し入れ口を通じてピックアップされる。
【0038】
予め内部が大気圧状態とされていたロードロック室141のウエハ搬入搬出口142がゲートバルブ143の動作により開放されると、ツイーザ125cによりピックアップされたウエハ200がウエハ移載装置125aの動作によってウエハ搬入搬出口142を通じてロードロック室141内に搬入され、ボート217に装填される。ウエハ200をボート217に装填したウエハ移載装置125aはカセット110へ戻り、ツイーザ125cにより次のウエハ200をピックアップする。そして、ウエハ移載装置125aは、当該動作を繰り返すことで次々とウエハ200をボート217に装填していく。これにより、各ウエハ200がボート217に多段に積載される。
【0039】
次に、予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、ウエハ搬入搬出口142がゲートバルブ143によって閉じられるとともに処理炉202の下端部が炉口シャッタ147によって開放される。続いて、ウエハ200が装填されたボート217とシールキャップ219がボートエレベータ115の動作により上昇し、ボート217が処理炉202内へ搬入(ローディング)されるとともに、シールキャップ219により処理炉202の下端部が閉塞される。なお、ボート217が処理炉202に収容された状態では、各ウエハ200の積載方向は処理炉202の延在方向と一致する。
【0040】
ボート217が処理炉202にローディングされると、処理炉202内において各ウエハ200に任意の処理が実施される。各ウエハ200の処理が終了すると、ボートエレベータ115が下方に向けて作動し、シールキャップ219により閉じられていた処理炉202の下端部が開放されるとともに、ボート217が処理炉202から引き出される。その後は、概ね上述した動作と逆の動作を辿って、処理済みのウエハ200とカセット110が筐体111の外部に取り出される。
【0041】
<処理炉の構成>
次に、基板処理装置101を形成する処理炉202について、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図4に示すように、処理炉202は、その外周側を誘導加熱装置206により覆われている。誘導加熱装置206はRF(Radio Frequency)コイル206a、壁体(コイルボート)206bおよび冷却壁206cを備えている。RFコイル206aは高周波電源(図示せず)に接続され、この高周波電源からの高周波電流が印加可能に構成されている。
【0043】
壁体206bはステンレス材等の金属から略円筒形状に形成され、その内壁側(内周面)にRFコイル206aが設置されている。RFコイル206aは壁体206bの内壁に支持されたコイル支持部(図示せず)により壁体206bに支持されている。コイル支持部により、RFコイル206aと壁体206bとの間には、壁体206bの半径方向に所定の隙間(図示せず)が設けられている。
【0044】
冷却壁206cは、壁体206bの外壁側に該壁体206bと同心円状に設けられている。冷却壁206cには、内部に冷却媒体として、例えば冷却水が流通可能なように、冷却壁206cの略全域に冷却媒体流路(図示せず)が形成されている。冷却壁206cには、冷却媒体を供給する冷却媒体供給部と、冷却媒体を排出する冷却媒体排出部(何れも図示せず)とが接続されている。冷却媒体供給部から冷却媒体流路に冷却媒体を供給し、冷却媒体排出部から冷却媒体を排出することにより、冷却壁206cが冷却され、熱伝導により壁体206bおよび壁体206bの内部が冷却される。
【0045】
壁体206bの上端には、その中央に開口部206dが形成されている。開口部206dの下流側には、ダクト(図示せず)が接続されており、ダクトの下流側には冷却装置としてのラジエータ207と、排気装置としてのブロア208とが接続されている。
【0046】
RFコイル206aの内側には、誘導加熱装置206と同心円状に処理炉202を形成するアウターチューブ(反応管)205が設けられている。アウターチューブ205は、耐熱材料としての石英(SiO)材で形成されており、上端が閉塞し下端が開口した有底円筒形状を成している。
【0047】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状にマニホールド209が設けられている。マニホールド209は、例えば、石英(SiO)材若しくはステンレス材等からなり、上端および下端が開口した円筒形状をなしている。このマニホールド209は、アウターチューブ205を支持するように設けられている。なお、アウターチューブ205とマニホールド209の間にはシール部材としてのOリング309が設けられ、アウターチューブ205とマニホールド209との間は気密に保持されている。マニホールド209が保持体(図示せず)に支持されることにより、アウターチューブ205は垂直に据え付けられた状態となっている。このように、アウターチューブ205とマニホールド209とにより処理炉202が形成されている。
【0048】
なお、マニホールド209は、特にアウターチューブ205と別体で設ける場合に限定されず、アウターチューブ205と一体とし、個別にマニホールド209を設けないようにすることもできる。
【0049】
アウターチューブ205内の処理室201には、複数のウエハ200を積載したボート217が収納される。このとき、アウターチューブ205の中心軸およびボート217の中心軸は一致した状態となっている。
【0050】
アウターチューブ205の内部には、処理室201内に各ウエハ200の側方からガス(反応ガス)を供給するために、ガス供給体としての2つのガス供給ノズル232が設けられている。ガス供給ノズル232は耐熱材料である石英(SiO)材によりパイプ状に形成され、それぞれアウターチューブ205の軸方向、つまり処理炉202内におけるウエハ200の積載方向に沿って延在するとともにアウターチューブ205の内壁に沿ってボート217の外周側に配置されている。また、各ガス供給ノズル232は互いに平行であるとともに、図5に示すように、互いに周方向に30度程度ずれて配置されている。それぞれのガス供給ノズル232の先端は処理室201に収容されたボート217の上端部に臨んでおり、一方、基端はマニホールド209の内壁にそれぞれ溶接等により接続されている。マニホールド209の外壁側にはガス供給管233が接続され、ガス供給ノズル232の基端はこのガス供給管233に連通している。
【0051】
ガス供給ノズル232の先端は閉塞されており、ガス供給ノズル232の側壁には、その軸方向にボート217に積載される各ウエハ200と同一のピッチで等間隔に並べて複数のガス供給口232aが設けられている。各ガス供給口232aは、図5に破線矢印で示すように、処理室201の中心部つまり径方向内側に向けて開口しており、処理室201に配置された各ウエハ200の間に向けて該ウエハ200の外周側から処理炉202内にガスを供給するようになっている。
【0052】
図10に示すように、各ガス供給口232aは、ボート217に積載された各ウエハ200の間つまり隣り合うウエハ200の間の隙間部分に対向しており、これにより各ウエハ200の表面にガスが効率良く流通するようになっている。つまり、ガス供給ノズル232には、隣り合うウエハ200の間の隙間部分に対応した数の複数のガス供給口232aが当該隙間部分と同一のピッチで設けられている。
【0053】
なお、ガス供給口232aとしては、ウエハ200の隙間部分に対向する複数を設けるに限らず、ウエハ200にその外周側から効率よくガスを供給することができれば、ガス供給ノズル232の任意の位置に任意の数のガス供給口232aを設けるようにしてもよい。また、ガス供給ノズル232も2つ設けるに限らず、任意の数のガス供給ノズル232を設けることができる。
【0054】
図4に示すように、マニホールド209には、処理室201内のガスを処理炉202の外部に排気するためのガス排気口231が形成されている。このガス排気口231は、マニホールド209のウエハ200の中心を挟んでガス供給ノズル232とは反対側の部分であってボート217の外周側に設けられている。マニホールド209の外壁には溶接等により耐熱材料である石英(SiO)材で形成されたガス排気管234が接続され、ガス排気口231はこのガス排気管234に連通している。
【0055】
なお、ガス排気管234はマニホールド209の外壁側に接続しなくとも、アウターチューブ205の外壁側に接続するようにしてもよい。また、ガス供給ノズル232およびガス供給管233においても、マニホールド209の内壁側および外壁側にそれぞれ接続しなくとも、アウターチューブ205の内壁側および外壁側にそれぞれ接続するようにしてもよい。
【0056】
ガス供給管233は、上流側で3つに分岐しており、各バルブ177,178,179およびガス流量制御装置としての各MFC(Mass Flow Controller)183,184,185を介して第1のガス供給源180、第2のガス供給源181および第3のガス供給源182にそれぞれ接続されている。各MFC183,184,185および各バルブ177,178,179にはコントローラ240のガス流量制御部235が電気的に接続されており、当該ガス流量制御部235によって処理室201に供給されるガスの流量が所望の流量となるよう所望のタイミングにて制御されるようになっている。また、ガス供給管233は上流側でさらに分岐され、バルブと不活性ガス流量制御装置としてのMFCを介して不活性ガス供給源(何れも図示せず)に接続されている。
【0057】
ガス排気管234の下流側には圧力検出器としての圧力センサ(図示せず)および圧力調整器としてのAPC(Automatic Pressure Control)バルブ242を介して真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されている。圧力センサおよびAPCバルブ242にはコントローラ240の圧力制御部236が電気的に接続されている。圧力制御部236は圧力センサにより検出された圧力に基づいてAPCバルブ242の開度を調節することにより、処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう制御する。
【0058】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞するための炉口蓋体としてシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えば、ステンレス等の金属材料により略円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面とマニホールド209の下端との間には、シール部材としてのOリング301が設けられている。シールキャップ219には、回転機構254の回転軸255が貫通しており、回転軸255の先端(図中上側端)はボート217の底板217cに固定されている。これにより、回転機構254によりボート217を回転駆動して、各ウエハ200を処理室201内で回転させることができる。
【0059】
シールキャップ219は、処理炉202の外部に設けられた昇降機構としての昇降モータ248によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0060】
回転機構254および昇降モータ248には、コントローラ240の駆動制御部237が電気的に接続されており、駆動制御部237は、回転機構254および昇降モータ248が所望の動作をするように所望のタイミングにて制御するようになっている。
【0061】
ボート217の下部には、例えば、耐熱性材料としての石英(SiO)材により略円筒形状に形成された断熱筒216が配置され、この断熱筒216により、誘導加熱装置206による誘導加熱で生じた熱が回転機構254側に伝わり難くなるように構成されている。なお、断熱筒216は、ボート217と別体として設けずに、ボート217の下部に一体に設けてもよい。また、断熱筒216に代えて、あるいは、断熱筒216に加えて、ボート217の下部、あるいは断熱筒216の下部に複数枚の断熱板を設けるように構成してもよい。
【0062】
アウターチューブ205(処理室201)の内部には、複数のウエハ200を加熱するために、被誘導体としてのリング状プレート311が複数設けられている。
【0063】
図6に示すように、リング状プレート311は、軸心に開口を備えた円板状、つまり円形のリング状に形成されている。リング状プレート311のリング内側開口内径つまりその内周面における内径はウエハ200の外径よりも大きくなっており、また、その厚みはウエハ200よりも若干厚くなっている。リング状プレート311の材質としては、炭化ケイ素(SiC)で表面が被覆されたカーボンやグラファイト等の導電性材料が用いられる。これにより、リング状プレート311は、誘導加熱装置206により誘導加熱され、その輻射熱でウエハ200を加熱することができる。
【0064】
リング状プレート311はボート217に装填されるウエハ200と同数設けられ、図7(a)、(b)に示すように、専用のリングボート312にウエハ200と同等のピッチでウエハ200の積載方向に並べて積層支持されている。また、リング状プレート311はリングボート312とともにアウターチューブ205(処理室201)の内部であってウエハ200を積載したボート217の外周側にウエハ200と同心状に配置されている。
【0065】
このように、処理炉202内のボート217の外周側に配置した複数のリング状プレート311を誘導加熱装置206で誘導加熱して各ウエハ200を加熱する構成としたので、基板処理装置101をコールドウォール方式としつつ、ボート217に積載されるウエハ200のピッチ(ボートピッチ)をホットウォール型と同等に小さくすることができる。これにより、ボート217に積載して処理炉202内に収納できるウエハ200の枚数、つまり一度に処理できるウエハ200の枚数を増加させて、この基板処理装置101の生産性(スループット)を向上させることができる。
【0066】
図7に示すように、リングボート312は3本の支柱312aをリング状の天板312bと底板312cとにねじ固定した構造となっている。各支柱312aには径方向内側に向けて開口するとともに軸方向に等間隔に並ぶ複数の保持溝312dが設けられ、各リング状プレート311は外周部において保持溝312dに係合・保持されることにより、処理炉202の延在方向に向けて等間隔に並んでリングボート312に支持されている。リングボート312へのリング状プレート311の取り付け作業は、いずれか一本の支柱312aを取り外した状態で行われる。
【0067】
なお、リングボート312としては、例示した組み立て式のものに限らず、各支柱312a、天板312bおよび底板312cが一体に形成された構成のものでもよい。また、リングボート312は、組み立て式とした場合であっても、全ての支柱312aを取り外せる構造に限らず、いずれか1本の支柱312aのみを取り外し可能とし、他の支柱312aを天板312b、底板312cと一体に形成する構成としてもよい。
【0068】
リングボート312は、炭化ケイ素(SiC)材や石英(SiO)材で形成されるのが好ましいが、支柱312aのRFコイル206aの領域外にある部分についてはRFコイル206aに誘導加熱されにくいので、炭化ケイ素(SiC)で表面が被覆されたカーボンやグラファイト等を用いて形成するようにしてもよい。
【0069】
また、熱を考慮した構成として、図8に変形例として示すように、リングボート312の支柱312aを軸方向に2つに分割できる分割構造に構成し、分割されたそれぞれの支柱片312a1,312a2を別々の材質で形成するようにしてもよい。この場合、分割された支柱片312a1,312a2のうち、リング状プレート311に近い側の支柱片312a1は、リング状プレート311が1100℃〜1200℃程度の高温となるので、その熱に対する耐性を考慮して、炭化ケイ素(SiC)材や炭化ケイ素(SiC)で表面が被覆されたカーボンにより形成されるのが好ましい。一方、分割された支柱片312a1,312a2のうち、下部に位置する支柱片312a2は、高温領域とはならないため、石英(SiO)材や炭化ケイ素(SiC)で表面が被覆された石英材やカーボンにより形成するようにしてもよい。分割された各支柱片312a1,312a2を連結する構造としては、例えば図9に示すように、下側の支柱片312a2の先端部に形成された凸部を上側の支柱片312a1の下端部に形成された凹部に係合させる凹凸構造が用いられるが、他の構造により分割・連結する構造であってもよい。
【0070】
図10に示すように、リングボート312に支持された複数のリング状プレート311のピッチはボート217に積載されたウエハ200のピッチと同一に設定されている。また、図11に示すように、それぞれのリング状プレート311は、その厚み方向の中心位置をこれの内周側に対向するウエハ200の厚み方向の中心位置に一致させて配置されている。つまり、それぞれのリング状プレート311は、そのリング内側開口内径がウエハ200の外径よりも大きく設定されることにより、その内周面において対応するウエハ200の外周縁に対向するようにウエハ200つまりボート217の径方向外側に配置されている。
【0071】
なお、リング状プレート311の内周面とウエハ200の外周縁との間には所定の間隔が設けられ、リング状プレート311はこれに対向するウエハ200の外周縁から離間している。
【0072】
このように、リング状プレート311を、その内側開口内径がウエハ200の外径よりも大きくなるように形成し、ボート217に積載されたウエハ200の径方向外側に対向して配置するようにしたので、リング状プレート311により各ウエハ200をその外周側全体から非接触の状態で加熱することができる。これにより、ウエハ200の表面全体を均一に加熱することができる。
【0073】
また、リング状プレート311の内周面をこれに対向するウエハ200の外周縁から離間させるようにしたので、リング状プレート311とウエハ200との摩擦によるパーティクルの発生を抑制することができる。さらに、リング状プレート311のボート217の外周側への配置を容易にすることもできる。さらに、ウエハ200の外周縁の部分におけるガスの流れを促進して、ウエハ200の表面に形成される膜の膜厚面内均一性を高めることができる。
【0074】
図10に示すように、ガス供給ノズル232に設けられたガス供給口232aは、それぞれ隣り合うウエハ200の間の隙間部分に対向して開口している。これにより、ガス供給口232aから吐出されたガスは、隣り合うリング状プレート311の間の隙間部分を通って対応するウエハ200の間の隙間部分に供給される。
【0075】
このように、ガス供給口232aから吐出されたガスは、隣り合うリング状プレート311の間の隙間部分を通してウエハ200に供給されるので、ガス供給口232aから処理室201内に供給された冷えたガスを誘導加熱されたリング状プレート311により速やかに加熱することができる。つまり、ガス供給口232aから処理室201内に供給された冷えたガスを、誘導加熱されたリング状プレート311により、ウエハ200に到達する前に速やかに加熱することができる。これにより、成膜処理時にウエハ200内におけるスリップの発生を抑制することができる。
【0076】
前述のように、リング状プレート311はその厚みがウエハ200よりも厚く形成されている。そのため、図11に示すように、リング状プレート311の上面は対応するウエハ200の上面よりも高い位置に配置され、リング状プレート311の下面はウエハ200の下面よりも低い位置に配置される。つまり、リング状プレート311の上面の高さ位置と対応するウエハ200の上面の高さ位置との差D1は、リング状プレートの下面の高さ位置と対応するウエハ200の下面の高さ位置との差D2と同等となっている。
【0077】
このように、リング状プレート311の上面の少なくとも一部をこれに対向するウエハ200の上面よりも高い位置に配置するようにしたので、リング状プレート311の上面におけるガスの流通路をウエハ200の上面に対して上方にずらしてウエハ200の外周縁にガスがぶつかりにくくすることができる。また、リング状プレート311の下面の少なくとも一部をこれに対向するウエハ200の下面よりも低い位置に配置するようにしたので、リング状プレート311の下面におけるガスの流通路をウエハ200の下面に対して下方にずらしてウエハ200の外周縁にガスがぶつかりにくくすることができる。これにより、ウエハ200の外周縁部分にガスの乱流が発生することを抑制するとともにウエハ200の中心部へガスを流通し易くすることができる。また、ガスをリング状プレート311により加熱し易くするとともに均一に加熱することができる。
【0078】
図12に、ボート217に積載されるウエハ200とリング状プレート311のピッチをそれぞれ6mmとし、解析条件を、6%TSCガス5slm、94%Hガス(単純に比較するためセンターノズルからのみ導入)、ガス供給口232aの穴径φ1.5mm、壁温1100℃固定、流入ガス温度850℃、圧力80000Paとした場合の成膜処理時におけるウエハ200の温度分布の解析結果を示す。
【0079】
図12(a)は比較例としてサセプタ方式で上記解析条件の下でウエハ200を加熱した場合の解析結果である。この場合、サセプタの熱伝導によりウエハ200の中心部にまで低温領域が拡大し、その結果、ウエハ領域に108.2℃という大きな温度差が発生している。
【0080】
これに対して、リング状プレート311を用いた本発明の構成では、図12(b)に示すように、ウエハ200の表面の温度分布における温度差は1.7℃である。このように、本発明では、サセプタ方式に比べて格段にウエハ200の加熱均一性が高くなっていることが解る。
【0081】
リング状プレート311の間の隙間部分におけるガスの流れを促進ないし容易にするために、リング状プレート311の上面と下面には、それぞれガス流れ促進部としての2本の供給側案内溝311aと1本の排気側案内溝311bとが設けられている。
【0082】
図5に示すように、2つの供給側案内溝311aは、それぞれリング状プレート311の上面と下面のガス供給口232aの側に設けられている。供給側案内溝311aは、対応するガス供給口232aからウエハ200の中心部に向けて延びる溝状に形成され、ガス供給口232aとウエハ200との間における隣り合うリング状プレート311の間の隙間部分の流通面積を拡大して、ガス供給口232aから吐出されたガスをウエハ200に向けて流れ易くする(促進させる)ようになっている。
【0083】
一方、排気側案内溝311bは、それぞれリング状プレート311の上面と下面のガス排気口231の側に設けられている。排気側案内溝311bは、ウエハ200の中心側からガス排気口231側に向けて延びる溝状に形成され、ウエハ200とガス排気口231との間における隣り合うリング状プレート311の間の隙間部分の流通面積を拡大して、ガス供給口232aからウエハ200に供給されたガスをガス排気口231に向けて流れ易くする(促進させる)ようになっている。
【0084】
これらの案内溝311a,311bを設けることにより、ウエハ200とガス供給口232a、ガス排気口231との間に複数のリング状プレート311を設ける構造としても、ガス供給口232aからウエハ200へ、また、ウエハ200からガス排気口231へとガスを効率よく流すことが可能となる。なお、リング状プレート311の下面に設けられる各溝311a,311bは、その上面に設けられる各溝311a,311bに対して表裏対称の位置に設けられている。
【0085】
このように、リング状プレート311の上下両面に2本の供給側案内溝311aと1本の排気側案内溝311bとを設けるようにしたので、ガス供給口232aから吐出されたガスのウエハ200の表面への流れを誘導、促進することができるとともに、ウエハ200に供給されたガスの排気を誘導、促進することができる。
【0086】
ウエハ200の処理時に、リングボート312をボート217に連結してウエハ200とともにリング状プレート311を回転させるために、ボート217の底板217cには連結台313が設けられている。図13に示すように、連結台313は、上端にリング状の支持片を備えた円筒状に形成され、その下端部分においてボート217の底板217cに固定されたベース板314を介してボート217に支持されている。
【0087】
これに対して、マニホールド209には支持台315が設けられている。この支持台315は連結台313の外径よりも大きな内径を有するリング板状に形成され、その外周部においてマニホールド209の内壁に固定されている。
【0088】
図13に示すように、シールキャップ219がオン前の状態つまりボート217が処理室201に搬入される前の状態では、リングボート312はその底板312cが支持台315上に配置されて、支持台315に支持された状態で処理室201内に配置されている。このとき、ボート217に設けられた連結台313はリングボート312の底板312cに対して下方に離れており、リングボート312に連結されていない。
【0089】
一方、ウエハ200を処理室201に搬送するためにボート217を上昇させると、連結台313が支持台315の内側を通って処理室201内を上昇する。リングボート312の底板312cは、その内径側の一部が支持台315の内径側にはみ出ており、処理室201内を上場した連結台313は、リングボート312の底板312cの支持台315からはみ出た部分に当接する。そして、シールキャップ219がオンされて炉口161が閉塞された状態となる位置までボート217が上昇すると、リングボート312の底板312cは連結台313により支持されて支持台315から上方に持ち上げられ、ボート217に連結された状態で処理室201内に配置される。これにより、ウエハ200の処理時には、リングボート312は連結台313によりボート217に連結され、ボート217とともに回転する。つまり、ウエハ200の処理時には、ウエハ200とともにリング状プレート311も回転機構254に駆動されて処理室201内で回転する。ウエハ200の処理時にリング状プレート311を処理室201内で回転させることにより、リング状プレート311の誘導加熱による加熱を均一化して、より一層ウエハ200を均一に加熱することができる。
【0090】
本実施の形態では、リングボート312をボート217とともに処理室201内で回転させる構造としているが、これに限らず、リングボート312を処理室201内で回転させない構成としてもよい。この場合、例えば図14に示すように、ボート217の底板217cには連結台313は設けられず、マニホールド209の内壁には受け台316が固定され、この受け台316に金属製のリングボート受け317が金属製の固定金具318により固定される。これにより、リングボート312はその底板312cにおいてリングボート受け317に搭載・支持されて処理室201内に固定された状態で配置される。
【0091】
アウターチューブ205の内部にはインナーチューブ320が配置されている。インナーチューブ320は、石英(SiO)材によりアウターチューブ205よりも一回り小さな有底円筒形状に形成され、その下端部分においてマニホールド209に固定された支持台315に支持されている。インナーチューブ320はアウターチューブ205内に該アウターチューブ205と同心状に配置され、ボート217に積載された複数のウエハ200とリングボート312に支持された複数のリング状プレート311とを覆っている。これに対して、ガス供給ノズル232はインナーチューブ320の外側に配置されている。つまり、インナーチューブ320はリング状プレート311とガス供給ノズル232との間に配置されている。
【0092】
図5に示すように、インナーチューブ320の各ガス供給ノズル232のガス供給口232aに対向する位置にはそれぞれガス流通孔320aが設けられ、ガス供給口232aから吐出されたガスは、このガス流通孔320aを介してウエハ200に供給されるようになっている。ガス流通孔320aは、それぞれガス供給ノズル232に沿って延びる長孔形状(スリット状)に形成され、少なくともボート217に積載された各ウエハ200と対向し、かつガス供給ノズル232に設けた全てのガス供給口232aと対向し得る長さに設定されている。
【0093】
このように、アウターチューブ205の内部にインナーチューブ320を設けるようにしたので、処理炉202内におけるガスの流れをインナーチューブ320により規制することができるとともに、リング状プレート311の熱のアウターチューブ205への伝達つまりアウターチューブ205の加熱を抑制することができる。これにより、処理炉202内に供給されたガスによるアウターチューブ205の内壁への反応生成物の堆積を抑制することができる。
【0094】
なお、インナーチューブ320を設けない構造としてもよい。
【0095】
ここで、本実施の形態においては、複数設けられるリング状プレート311を全て同一の材質、形状で形成するようにしているが、これに限らず、ボート217の上端側部分と下端側部分の熱逃げの問題等により生じる各ウエハ200の温度特性の相違に対応させて、任意のリング状プレート311を熱伝導率や電気抵抗が相違する別の材質で形成するようにしてもよい。これにより、ボート217の上端側部分と下端側部分の熱逃げ等に応じて各リング状プレート311の発熱量を調整して、全てのウエハ200を均一に加熱することができる。
【0096】
誘導加熱装置206に螺旋状に形成されたRFコイル206aは、上下複数の領域(ゾーン)に分割されて設けられている。例えば、図4に示すように、下方側のゾーンから、RFコイルL,RFコイルCL,RFコイルC,RFコイルCU,RFコイルUというように5つのゾーンに区分けして設けられている。これらの5つのゾーンに区分けされたRFコイルL,RFコイルCL,RFコイルC,RFコイルCU,RFコイルUは、それぞれ独立して制御される。
【0097】
誘導加熱装置206を形成するRFコイル206aの近傍には、処理室201内の温度を検出する温度検出体としての放射温度計263が、例えば、4箇所に設置されている。放射温度計263は、少なくとも一つ設置すれば良いが、複数個の放射温度計263を設置することにより温度制御性を向上させることができる。
【0098】
誘導加熱装置206および各放射温度計263には、コントローラ240の温度制御部238が電気的に接続されており、温度制御部238は、各放射温度計263により検出された温度情報に基づいて、誘導加熱装置206への通電状態を調節することができるようになっている。つまり、温度制御部238によって、処理室201内の温度が所望の温度分布となるよう誘導加熱装置206への通電状態が制御される。
【0099】
ブロア208には、コントローラ240の温度制御部238が電気的に接続されている。温度制御部238は、予め設定された制御ロジックに従って、ブロア208の動作を制御する。具体的には、ブロア208を動作させることで、壁体206bとアウターチューブ205との間隙にある雰囲気を開口部206dから排出する。開口部206dから雰囲気を排出した後、ラジエータ207を通して冷却し、ブロア208の下流側で設備に排出する。すなわち、温度制御部238による制御に基づいて、ブロア208が動作することにより、誘導加熱装置206およびアウターチューブ205を冷却することができる。
【0100】
冷却壁206cに接続されている冷却媒体供給部と冷却媒体排気部は、冷却壁206cへの冷却媒体の流量を所望の冷却具合となるように所定のタイミングにてコントローラ240にて制御されるように構成されている。なお、処理炉202の外部への放熱性を向上させてアウターチューブ205をより一層冷却し易くするために、冷却壁206cを設けるのが好ましいが、ブロア208の動作によって所望の冷却具合が得られるのであれば、冷却壁206cは設けなくてもよい。
【0101】
壁体206bの上端には、開口部206dとは別に、非常時用の圧力開放口(図示せず)と、当該圧力開放口を開閉する圧力開放口開閉装置206eが設けられている。何らかの原因、例えば、壁体206b内において水素ガスと酸素ガスとが混合し、これにより壁体206b内が異常に高圧となった場合(非常時)には、その高圧が壁体206bに作用することになる。そして、比較的強度の弱い箇所、例えば、壁体206bを形成するボルトやネジ、パネル等が変形したり破損したりする。このように、壁体206bに高圧が作用して基板処理装置101が損傷するのを最小限に抑えるために、圧力開放口開閉装置206eは、壁体206b内が所定圧力以上となった際に圧力開放口を開き、壁体206bの内部圧力を外部に開放するようになっている。
【0102】
<処理炉周辺の構成>
続いて、処理炉202の周辺の構成について、図4を参照しながら説明する。予備室としてのロードロック室141の外面には、下基板245が設けられている。下基板245には、昇降台249に摺接して昇降台249を移動自在に支持するガイドシャフト264と、昇降台249と螺合するボール螺子244とが設けられている。下基板245に立設したガイドシャフト264およびボール螺子244の上端には、上基板247が設けられている。ボール螺子244は上基板247に設けられた昇降モータ248により回転駆動され、ボール螺子244が回転することにより昇降台249は昇降するようになっている。
【0103】
昇降台249には、中空の昇降シャフト250が垂直方向に設置され、昇降台249と昇降シャフト250の連結部は気密となっている。昇降シャフト250は昇降台249とともに昇降するようになっている。昇降シャフト250はロードロック室141を形成する天板251を貫通している。昇降シャフト250が貫通する天板251の貫通穴の大きさは、天板251と昇降シャフト250とが接触しないよう充分な大きさに設定されている。ロードロック室141を形成する天板251と昇降台249との間には、昇降シャフト250の周囲を覆うようにしてベローズ265が設けられている。ベローズ265は、伸縮性を有する中空伸縮体(例えば、耐熱ゴム等の弾性体)により形成され、ロードロック室141を気密に保持するようになっている。ベローズ265は、昇降台249の昇降量に対応し得る充分な伸縮量を有し、かつベローズ265の内径は昇降シャフト250の外径に比べて充分に大きくなっている。これにより、ベローズ265の伸縮により、当該ベローズ265が昇降シャフト250に接触することは無い。
【0104】
昇降シャフト250の下端には昇降基板252が水平に固着されている。昇降基板252の下面には、Oリング等のシール部材を介して駆動部カバー253が気密状態で取付けられている。昇降基板252と駆動部カバー253とで駆動部収納ケース256を形成し、これにより駆動部収納ケース256の内部とロードロック室141内の雰囲気とは隔離されている。
【0105】
ボート217を処理炉202内で回転させるための回転機構254は駆動部収納ケース256の内部に設けられ、回転機構254の周辺部は、冷却機構257により冷却されるようになっている。また、電力供給ケーブル258が昇降シャフト250の上端から昇降シャフト250の中空部を通って回転機構254に導かれて接続されている。そして、冷却機構257およびシールキャップ219には、それぞれ冷却流路259が形成され、各冷却流路259には、冷却水(図示せず)を供給する冷却水配管260がそれぞれ接続されている。各冷却水配管260は、昇降シャフト250の上端から昇降シャフト250の中空部を通っている。
【0106】
コントローラ240により昇降モータ248を回転駆動することでボール螺子244が回転し、これにより昇降台249および昇降シャフト250を介して駆動部収納ケース256は昇降する。駆動部収納ケース256を上昇させることにより、昇降基板252に気密に設けたシールキャップ219が処理炉202の開口部である炉口161を閉塞し、各ウエハ200の成膜処理が可能な状態となる。一方、駆動部収納ケース256を下降させることにより、シールキャップ219とともにボート217が降下されて、各ウエハ200を外部に搬出できる状態となる。
【0107】
ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237および温度制御部238は操作部や入出力部を構成し、基板処理装置101全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238および主制御部239は、コントローラ240として構成されている。以上のようにして、基板処理装置101の処理炉202と、処理炉202周辺の構造体が構成されている。
【0108】
<基板の処理工程>
次に、基板処理装置101を使用した半導体装置の製造方法における、基板の処理工程について説明する。本実施の形態では、基板の処理工程の一工程として、ウエハ等の基板上にCVD(Chemical Vapor Deposition)反応によりシリコン(Si)等の半導体膜を形成する方法(半導体装置の製造方法)について説明する。なお、この方法により製造される半導体装置としては例えば太陽電池があるが、これに限らず、他の半導体装置を製造に本方法を適用してもよい。
【0109】
以下の説明においては、基板処理装置101を構成する各部の動作は、コントローラ240により制御される。
【0110】
まず、複数のウエハ200が積載されたボート217が昇降モータ248による昇降台249および昇降シャフト250の昇降動作により処理室201内に搬入(ボートローディング)される。ボート217が処理室201内に搬入されるとシールキャップ219によりマニホールド209の炉口161が閉塞される。
【0111】
次に、処理室201内が所望の圧力となるように真空排気装置246によって排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサで測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ242がフィードバック制御される。例えば、13.3MPa〜0.1Mpa付近までの圧力のうちの所定の圧力が選択される。
【0112】
次に、ブロア208が動作され、誘導加熱装置206とアウターチューブ205との間でガス若しくはエアが流通し、アウターチューブ205の側壁、ガス供給ノズル232、ガス供給口232aおよびガス排気口231が冷却される。ラジエータ207と冷却壁206cには冷却媒体として冷却水が流通し、壁体206bを介して誘導加熱装置206内が冷却される。
【0113】
一方、各ウエハ200を所望の温度にまで加熱するために、誘導加熱装置206の各RFコイル206aに高周波電流が印加され、各リング状プレート311に誘導電流(渦電流)を生じさせる。つまり、誘導加熱装置206の各RFコイル206aに高周波電流を印加することにより、処理炉202内のボート217の外周側にウエハ200の積載方向に並べて配置された複数のリング状プレート311を誘導加熱し、その輻射熱でボート217に積載された複数のウエハ200を加熱する。このように、本発明の基板処理装置101は、誘導加熱により加熱されるリング状プレート311の輻射熱によりウエハ200を加熱するコールドウォール方式となっている。
【0114】
各リング状プレート311を誘導加熱する際には、各放射温度計263により検出された温度情報に基づき、温度制御部238により、処理室201内が所望の温度分布となるように誘導加熱装置206への通電がフィードバック制御される。なお、この際、ブロア208は、アウターチューブ205の側壁、ガス供給ノズル232、ガス供給口232a、ガス排気口231の温度がウエハ200上で膜成長させる温度よりも遥かに低い、例えば600℃以下に冷却されるよう予め設定された制御量で制御される。なお、各ウエハ200は700℃〜1200℃の範囲から選択される処理温度のうち、一定の温度で加熱される。例えば、本実施の形態においては、各ウエハ200は1100℃に加熱される。また、各ウエハ200は、700℃〜1200℃の範囲から選択される処理温度のうち、一定の温度で加熱されるが、いずれの処理温度を選択した場合であっても、ブロア208は、アウターチューブ205の外壁の温度が各ウエハ200上で膜成長させる温度よりも遥かに低い、例えば600℃以下に冷却されるよう予め設定された制御量で制御される。
【0115】
続いて、回転機構254によりボート217とリングボート312を回転させ、各ウエハ200とリング状プレート311とを処理炉202内で回転させる。
【0116】
各ガス供給源181、182、183には、処理ガスとして、シリコン含有ガスであって例えばトリクロロシラン(SiHCl)ガスもしくは四塩化ケイ素(SiCl)と、ドーピングガスとしてボロン含有ガスであって例えばジボラン(B)ガスと、キャリアガスとして水素(H)がそれぞれ封入されている。各ウエハ200の温度が安定したところでガス供給源181、182、183からそれぞれのガスが供給される。ガスが所望の流量となるよう各MFC183、184、185の開度が調節された後、各バルブ177、178、179が開かれ、それぞれの処理ガスがガス供給管233を通ってガス供給ノズル232に流入する。ガス供給ノズル232の流路断面積は複数あるガス供給口232aの開口面積に比べて十分に大きいのでガス供給ノズル232内は処理室201よりも高い圧力となりそれぞれのガス供給口232aから均一な流量、流速で処理室201内にガスが供給される。このとき、ガスは複数のリング状プレート311の外周側から処理室201内に供給される。処理室201内に供給されたガスは、各リング状プレート311と各ウエハ200間を通過し、ガス排気口231からガス排気管234に排気される。ガスは、各リング状プレート311の間を通過する際に上下に隣接するリング状プレート311により加熱されるとともに、リング状プレート311により加熱されたウエハ200に接触し、ウエハ200の表面上にCVD反応によりシリコン(Si)の半導体膜を形成する。
【0117】
処理室201内へのガス供給後、予め設定された時間が経過すると、図示しない不活性ガス供給源から処理室201内に窒素等の不活性ガスが供給される。これにより、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0118】
その後、昇降モータ248によりシールキャップ219を下降させ、マニホールド209の下端を開口させるとともに、処理済の各ウエハ200がボート217に積載された状態でマニホールド209の下端から処理炉202の外部、つまりロードロック室141に搬出(ボートアンローディング)される。そして、処理済の各ウエハ200がボート217から取り出される(ウェハディスチャージ)。
【0119】
<第1の実施の形態の代表的効果>
以上、第1の実施の形態で説明した技術的思想によれば、少なくとも、以下に記載する複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0120】
(1)ウエハ200を加熱するための複数のリング状プレート311をリング状に形成してボート217の外周側に配置することにより、処理炉202の延在方向に積載可能なウエハ200の枚数を多くすることができる。これにより、一度に処理できるウエハ200の枚数を増加させて、この基板処理装置101の生産性(スループット)を高めることができる。
【0121】
(2)ガス供給口232aから処理室201内に供給された冷えたガスを各リング状プレート311の間を通すことで速やかに加熱することができ、しかも、アウターチューブ205を加熱し過ぎることがなく、また、リング状プレート311により各ウエハ200をその外周側全体から加熱することができるので、ウエハ200の表面全体を均一に加熱することができる。
【0122】
(3)ウエハ200に到達する前にガスを速やかに加熱することができるので、ウエハ200内でのスリップの発生を抑制することができる。
【0123】
(4)リング状プレート311の内側開口内径をウエハ200の外径よりも大きく形成することにより、処理炉202の延在方向に積載可能なウエハ200の枚数をさらに多くすることができる。これにより、一度に処理できるウエハ200の枚数を増加させて、この基板処理装置101の生産性(スループット)をさらに高めることができる。
【0124】
(5)ウエハ200の積載方向に複数設けられたリング状プレート311により複数枚のウエハ200をその外周縁の全体から非接触の状態で加熱することができるので、ウエハ200の加熱温度均一性を高めることができる。
【0125】
(6)リング状プレート311をボート217に積載されたウエハ200の径方向外側に当該ウエハ200の外周縁に対向させて配置することにより、それぞれのウエハ200を対応するリング状プレート311により効率よく加熱することができ、また、その加熱制御性を高めることができる。
【0126】
(7)リング状プレート311をボート217に積載されたウエハ200の径方向外側に当該ウエハ200の外周縁に対向させて配置することにより、ガス供給口232aから処理室201内に供給された冷えたガスをウエハ200に到達する前に各リング状プレート311により確実に加熱することができる。
【0127】
(8)リング状プレート311の上面の少なくとも一部をこれに対向するウエハ200の上面よりも高い位置に配置することにより、ガスの流通路をウエハ200の上面から所定距離離して、ウエハ200の外周縁にガスがぶつかりにくくすることができる。これにより、ガスの乱流の発生を抑制できるとともに、ウエハ200の中心部へのガスの流通を容易にすることができ、さらに、ガスをリング状プレート311により加熱し易くすることができる。
【0128】
(9)リング状プレート311の上面の少なくとも一部をこれに対向するウエハ200の上面よりも高い位置に配置することにより、ガスがウエハ200に到達する前に、リング状プレート311により当該ガスを加熱しつつガスの流れを規制することができる。これにより、ウエハ200の外周縁にガスがぶつかりにくくしてウエハ200の外周縁部分おけるガスの乱流の発生を抑制し、また、ガスをリング状プレート311で加熱し易くすることができる。つまり、ガスを均一に加熱することができる。
【0129】
(10)上記(8)、(9)の効果により、成膜処理によりウエハ200の上面に形成される膜厚の均一性を高めることができる。
【0130】
(11)リング状プレート311の下面の少なくとも一部をこれに対向するウエハ200の下面よりも低い位置に配置することにより、ガスの流通路をウエハ200の下面から所定の距離離して、ウエハ200の外周縁にガスがぶつかりにくくすることができる。これにより、ガスの乱流の発生を抑制できるとともに、ウエハ200の中心部へのガスの流通を容易にすることができ、さらに、ガスをリング状プレート311により加熱し易くすることができる。
【0131】
(12)リング状プレート311の下面の少なくとも一部をこれに対向するウエハ200の下面よりも低い位置に配置することにより、ガスがウエハ200に到達する前に、リング状プレート311により当該ガスを加熱しつつガスの流れを規制することができる。これにより、ウエハ200の外周縁にガスがぶつかりにくくしてウエハ200の外周縁部分おけるガスの乱流の発生を抑制し、また、ガスをリング状プレート311で加熱し易くすることができる。つまり、ガスを均一に加熱することができる。
【0132】
(13)上記(11)、(12)の効果により、成膜処理によりウエハ200の下面に形成される膜厚の均一性を高めることができる。
【0133】
(14)リング状プレート311の上面の少なくとも一部に設けた供給側案内溝311aにより、ウエハ200の上面へのガスの流れを誘導、促進することができる。
【0134】
(15)リング状プレート311の下面の少なくとも一部に設けた供給側案内溝311aにより、ウエハ200の下面へのガスの流れを誘導、促進することができる。
【0135】
(16)リング状プレート311の厚み方向中心位置がウエハ200の厚み方向の中心位置に一致するので、それぞれのリング状プレート311により各ウエハ200を同条件下で効率よく加熱することができる。
【0136】
(17)リング状プレート311の上面の高さ位置とこれに対向するウエハ200の上面の高さ位置との差D1と、リング状プレート311の下面の高さ位置とこれに対向するウエハ200の下面の高さ位置との差D2とが同等であるので、ウエハ200の上下両面に同等の条件でガスを供給するとともにウエハ200の上下両面を同等の条件で加熱することができる。これにより、ウエハ200の上下両面に同等の膜厚の膜を成膜させることができるとともに、その膜厚均一性を同等とすることができる。
【0137】
(18)リング状プレート311の内周面はウエハ200の外周縁と離間しているので、摩擦等によるパーティクルの発生を抑制することができる。また、リング状プレート311のボート217の外周側への配置を容易にすることができる。さらに、ウエハ200の外周縁におけるガスの流れを促進させて、より一層ウエハ200に形成される膜厚の均一性を高めることができる。
【0138】
(19)ボート217の外周側にウエハ200の積載方向に延在してガス供給口232aを備えたガス供給ノズル232が設けられ、リング状プレート311の上面または下面のガス供給口232a側にはガス供給口232a側からウエハ200に向けてガスを流れ易くする供給側案内溝311aが設けられるので、ガスをウエハ200の外周側から供給することができるとともに、ウエハ200の表面へのガスの流れを誘導、促進することができる。
【0139】
(20)ボート217の外周側にガスを排気するガス排気口231が設けられ、リング状プレート311の上面または下面のガス排気口231側にはウエハ200側からガス供給口232a側に向けてガスを流れ易くする排気側案内溝311bが設けられるので、ガスの排気を誘導、促進することができる。
【0140】
(21)処理炉202内に設けたインナーチューブ320により、処理炉202内におけるガスの流れを規制することができるとともに、リング状プレート311の熱のアウターチューブ205への伝達つまりアウターチューブ205の加熱を抑制することができる。これにより、処理炉202内に供給されたガスによるアウターチューブ205の内壁への反応生成物の堆積を抑制することができる。
【0141】
(22)ウエハ200を加熱するための複数のリング状プレート311をリング状に形成してボート217の外周側に配置することにより、処理炉202の延在方向に積載可能なウエハ200の枚数を多くすることができる。これにより、一度に処理できるウエハ200の枚数を増加させて、この基板処理装置101の生産性(スループット)を高めて、効率よく半導体装置を製造することができる。
【0142】
(23)ガス供給口232aから処理室201内に供給された冷えたガスを各リング状プレート311の間を通すことで速やかに加熱することができ、しかも、アウターチューブ205を加熱し過ぎることがなく、また、リング状プレート311により各ウエハ200をその外周側全体から加熱することができるので、ウエハ200の表面全体を均一に加熱させて、良質な半導体装置を製造することができる。
【0143】
(24)ウエハ200に到達する前にガスを速やかに加熱することができるので、ウエハ200内でのスリップの発生を抑制して、良質な半導体装置を製造することができる。
【0144】
なお、上述した実施形態では、リング状プレート311の上面と下面にそれぞれガス流れ促進部としての2本の供給側案内溝311aと1本の排気側案内溝311bとを設けるように説明したが、これに限らず、例えばリング状プレート311の上面のみに設けてもよいし、下面のみに設けてもよい。また、供給側案内溝311aを0本もしくは1本または3本以上としてもよく、さらに、排気側案内溝311bを0本または2本以上としてもよい。
【0145】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置について、図15、図16を用いて詳細に説明する。第2の実施の形態に係る基板処理装置401は、第1の実施の形態に対して、隣り合うウエハ200の間に温度分布調整用板材を配置した点が相違している。なお、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態で説明した部材に対応する部材には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0146】
ボート217の外周側に配置したリング状プレート311の誘導加熱のみではウエハ200の中央部の加熱が不足し、ウエハ200内にスリップが発生し、また、ウエハ200の加熱均一性が低下する場合がある。
【0147】
そこで、第2の実施の形態として示す基板処理装置401では、ウエハ200を均一に加熱するために、隣り合うウエハ200の間に温度分布調整用板材としての補助プレート402を配置するようにしている。
【0148】
補助プレート402は、リング状プレート311と同様の材料、つまり炭化ケイ素(SiC)で表面が被覆されたカーボンやグラファイト等の導電性材料により形成され、加熱体となっている。補助プレート402はウエハ200よりも小径の円板状に形成されるが、その外径はウエハ200と同径であってもよい。
【0149】
図15に示す場合では、ウエハ200をボート217に1つおき、つまりリング状プレート311の2倍のピッチでボート217に積載し、その空いたスペースに補助プレート402が装填するようにしている。したがって、隣り合うウエハ200の間に、それぞれ補助プレート402が、上下のウエハ200に対して等しい間隔を空けて配置される。
【0150】
ウエハ200の成膜処理時には、リング状プレート311とともに補助プレート402もRFコイル206aにより誘導加熱され、ウエハ200はリング状プレート311によりその外周側から加熱されるとともに補助プレート402によりその中心側からも加熱される。このように、リング状プレート311と補助プレート402とによりウエハ200の表面全体が均一に加熱される。
【0151】
図15に示す場合では、ボート217に積載できるウエハ200の枚数が減るので、図16にように、ウエハ200をリング状プレート311と同一のピッチでボート217に積載しつつ、これらのウエハ200の間に補助プレート402を上下のウエハ200に対して等しい間隔を空けて配置する構成としてもよい。この場合、ウエハ200の処理枚数は補助プレート402を設けない場合と同等である。
【0152】
なお、本実施の形態においては、補助プレート402はリング状プレート311と同様の材質で形成されるが、これに限らず、その材質、厚み、抵抗値等はリング状プレート311と同一でなくてもよい。また、補助プレート402を、例えば、炭化ケイ素(SiC)板や、炭化ケイ素(SiC)で表面が被覆された板材で断熱用板として構成するようにしてもよい。さらに、補助プレート402の材質、外径、厚み、抵抗値等を変更することにより、補助プレート402の発熱量を所望の値に調整するようにしてもよい。
【0153】
<第2の実施の形態の代表的効果>
隣り合うウエハ200の間に温度分布調整用板材としての補助プレート402を配置したので、リング状プレート311と補助プレート402とによりウエハ200の表面全体を均一に加熱することができる。これにより、ウエハ200の加熱均一性を高めるとともに、ウエハ200内でのスリップの発生を抑制することができる。
【0154】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置について、図17を用いて詳細に説明する。第3の実施の形態に係る基板処理装置501は、第1の実施の形態に対して、ボート217の上端側と下端側とにサイドダミーサセプタ502を設けた点が相違している。なお、第3の実施の形態においては、第1の実施の形態で説明した部材に対応する部材には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0155】
ボート217の上端側部分と下端側部分には熱逃げの問題があり、上端側と下端側との間の部分である中央側部分に対して温度特性が相違する場合がある。そこで、第3の実施の形態として示す基板処理装置501では、ボート217の上端側部分と下端側部分における熱特性を中央部側部分と同じ熱特性とするために、ボート217の上端側と下端側とにそれぞれサイドダミーサセプタ502を設けるようにしている。これらのサイドダミーサセプタ502は、リング状プレート311と同様の材料、つまり炭化ケイ素(SiC)で表面が被覆されたカーボンやグラファイト等の導電性材料により形成された加熱体となっている。サイドダミーサセプタ502はウエハ200よりも僅かに大径の円板状に形成されているが、その外径や厚みは任意に設定することができる。
【0156】
ウエハ200の成膜処理時には、リング状プレート311とともにサイドダミーサセプタ502もRFコイル206aにより誘導加熱される。したがって、ボート217の上端側部分と下端側部分からの熱逃げが抑制され、ボート217の上端側部分と下端側部分における熱特性を中央部側部分と同じ熱特性とし、ボート217に積載された全てのウエハ200を均一に加熱し、均一に成膜処理することができる。
【0157】
本実施の形態においては、サイドダミーサセプタ502をボート217の上端側と下端側の両方に設けるようにしているが、各側における温度特性によっては、いずれか一方側に設けるようにしてもよい。また、サイドダミーサセプタ502をボート217の上端側または下端側に複数枚設けるようにしてもよい。
【0158】
さらに、サイドダミーサセプタ502はリング状プレート311と同様の材質で形成されるが、これに限らず、その材質、厚み、抵抗値等はリング状プレート311と同一でなくてもよい。例えば、電気抵抗値の高い材質で形成してもよい。材質、外径、厚み、抵抗値等を変更することにより、サイドダミーサセプタ502の発熱量を所望の値に調整するようにしてもよい。
【0159】
<第3の実施の形態の代表的効果>
ボート217の上端側と下端側の少なくともいずれか一方にサイドダミーサセプタ502を設けるようにしたので、ボート217の上端側部分と下端側部分からの熱逃げを抑制して、ボート217に積載された全てのウエハ200を均一に加熱して、均一に成膜処理することができる。
【0160】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る基板処理装置について、図18、19を用いて詳細に説明する。第4の実施の形態に係る基板処理装置601は、第1の実施の形態に対して、複数のリング状プレート311を、間隔を空けずに積み上げるようにした点が相違している。なお、第4の実施の形態においては、第1の実施の形態で説明した部材に対応する部材には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0161】
第1の実施の形態では、各リング状プレート311はリングボート312により互いに所定の間隔を空けてウエハ200の積載方向に並べて支持される。これに対して、第4の実施の形態として示す基板処理装置601では、リングボート312を用いずに、複数のリング状プレート311を互いに間隔を空けずにその厚み方向に積み上げて処理炉202内に配置するようにしている。この場合、複数のリング状プレート311は処理炉202内に搬入される前に予めボート217の底板217cまたはシールキャップ219等に積み上げられる。
【0162】
リング状プレート311には、その上面にのみガス流れ促進部としての供給側案内溝311aと排気側案内溝311bとが設けられ、各リング状プレート311が積み上げられると、供給側案内溝311aによりガス供給孔602が構成され、排気側案内溝311bによりガス排気孔603が構成されるようになっている。つまり、図19に示すように、ガス供給口232aから吐出されたガスは、供給側案内溝311aにより形成されたガス供給孔602を通ってウエハ200に供給されるとともに、排気側案内溝311bにより形成されたガス排気孔603を通ってガス排気口231に導かれるようになっている。
【0163】
本実施の形態で示す積み上げ式の場合においても、リングボート312に搭載した場合と同様に、積み上げられたリング状プレート311を連結台313によりボート217に連結可能な構成としてボート217とともに回転させる構成とすることができ、または処理炉202内の受け台316に支持させた固定構造とすることもできる。
【0164】
なお、図18に示す場合では、リング状プレート311の上面にガス流れ促進部としての供給側案内溝311aと排気側案内溝311bとを設けるようにしているが、これに限らず、図20に示すように、リング状プレート311の下面にガス流れ促進部としての供給側案内溝311aと排気側案内溝311bとを設けるようにしてもよい。また、リング状プレート311の上下両面にガス流れ促進部としての供給側案内溝311aと排気側案内溝311bとを設けるようにしてもよい。
【0165】
リング状プレート311は、図18に示すように、1スロットごとに積み上げる構成に限らず、複数枚のリング状プレート311を重ねて固定したものを積み上げる構成としてもよい。この場合、図21に示すように、複数枚のリング状プレート311を複数段のウエハ200に対応した厚みに一体に形成し、これを積み上げるようにしてもよい。リング状プレート311を複数段のウエハ200に対応した厚みに形成した場合には、図22に示すように、ガス流れ促進部としてのガス供給孔602、ガス排気孔603を複数段のウエハ200に対応した長さのスリット形態で設けるようにしてもよい。
【0166】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、前記各実施の形態では、基板にCVD法による成膜処理を行う縦型の基板処理装置を例示して説明したが、エピタキシャル装置、ALD装置、酸化装置、拡散装置あるいはアニール装置その他の基板処理装置においても本発明における技術的思想を適用することができる。
【0167】
また、上述した実施形態では、耐圧筐体140が設けられているように説明したが、これに限らず、耐圧筐体140を設けないようにしてもよい。
【0168】
本発明は少なくとも以下の実施の形態を含む。
【0169】
〔付記1〕
内部で基板を処理する反応容器と、
複数枚の前記基板を前記反応容器の延在方向に積載する基板保持体と、
前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に前記基板の積載方向に並べて複数設けられ、前記基板を加熱するリング状の被誘導体と、
前記複数の被誘導体の外周側から前記反応容器内にガスを供給するガス供給体と、
前記複数の被誘導体を誘導加熱する誘導加熱装置と、
を備える基板処理装置。
【0170】
〔付記2〕
前記複数の被誘導体のリング内側開口内径が前記基板の外径よりも大きく形成されている付記1記載の基板処理装置。
【0171】
〔付記3〕
前記複数の被誘導体は、それぞれ前記基板保持体に積載された複数の前記基板の径方向外側に該基板の外周縁に対向して配置されている付記1記載の基板処理装置。
【0172】
〔付記4〕
前記複数の被誘導体は、それぞれの上面の少なくとも一部がそれぞれに対向する前記基板の上面よりも高い位置となるように配置されている付記3記載の基板処理装置。
【0173】
〔付記5〕
前記複数の被誘導体は、それぞれの下面の少なくとも一部がそれぞれに対向する前記基板の下面よりも低い位置となるように配置されている付記3記載の基板処理装置。
【0174】
〔付記6〕
前記複数の被誘導体は、それぞれの上面の少なくとも一部に前記ガス供給体側から前記基板側に向けてガスを流れ易くするガス流れ促進部を備えている付記4記載の基板処理装置。
【0175】
〔付記7〕
前記複数の被誘導体は、それぞれの下面の少なくとも一部に前記ガス供給体側から前記基板側に向けてガスを流れ易くするガス流れ促進部を備えている付記5記載の基板処理装置。
【0176】
〔付記8〕
前記被誘導体の厚み方向の中心位置と、該被誘導体に対向する前記基板保持体に積載された前記基板の厚み方向の中心位置とが一致している付記1記載の基板処理装置。
【0177】
〔付記9〕
前記被誘導体の上面の高さ位置と該被誘導体に対向する前記基板保持体に積載された前記基板の上面の高さ位置との差と、前記被誘導体の下面の高さ位置と該被誘導体に対向する前記基板保持体に積載された前記基板の下面の高さ位置との差とが同等である付記1記載の基板処理装置。
【0178】
〔付記10〕
前記被誘導体の内周面が、該被誘導体に対向する前記基板保持体に積載された前記基板の外周縁から離間している付記1記載の基板処理装置。
【0179】
〔付記11〕
前記ガス供給体は、前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に前記基板の積載方向に延在するとともに前記基板保持体に積載された複数の前記基板に対してガスを供給するガス供給口を備えており、前記複数の被誘導体には、その上面と下面の少なくともいずれか一方の前記ガス供給口側に、該ガス供給口側から前記基板側に向けてガスを流れ易くするガス流れ促進部が設けられている付記1記載の基板処理装置。
【0180】
〔付記12〕
前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に配置されて前記反応容器内のガスを排気するガス排気口をさらに有し、前記複数の被誘導体には、その上面と下面の少なくともいずれか一方の前記ガス排気口側に、前記基板側から前記ガス排気口側に向けてガスを流れ易くするガス流れ促進部が設けられている付記1記載の基板処理装置。
【0181】
〔付記13〕
前記ガス供給体は、前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に前記基板の積載方向に延在するとともに前記基板保持体に積載された複数の前記基板に対してガスを供給するガス供給口を備えており、該ガス供給体と前記複数の被誘導体との間にはインナーチューブが設けられ、該インナーチューブの前記ガス供給口に対向する部分にはガス流通孔が設けられている付記1記載の基板処理装置。
【0182】
〔付記14〕
隣り合う前記基板の間に該基板と同径または該基板よりも小径の温度分布調整用板材が配置される付記1記載の基板処理装置。
【0183】
〔付記15〕
複数枚の基板を積載した基板保持体を反応容器に搬送する工程と、
前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に前記基板の積載方向に並べて複数設けられて前記基板を加熱するリング状の被誘導体を誘導加熱装置により誘導加熱するとともに前記複数の被誘導体の外周側から前記反応容器内にガスを供給して前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0185】
101,410,501,601 基板処理装置
103 正面メンテナンス口
104 正面メンテナンス扉
105 カセット棚
106 スライドステージ
107 バッファ棚
110 カセット
111 筐体
111a 正面壁
112 カセット搬入搬出口
113 フロントシャッタ
114 カセットステージ
115 ボートエレベータ
118 カセット搬送装置
118a カセットエレベータ
118b カセット搬送機構
125 ウエハ移載機構
125a ウエハ移載装置
125b ウエハ移載装置エレベータ
125c ツイーザ
134 クリーンユニット
140 耐圧筐体
140a 正面壁
141 ロードロック室
142 ウエハ搬入搬出口
143 ゲートバルブ
144 ガス供給管
147 炉口シャッタ
161 炉口
177,178,179 バルブ
180 第1のガス供給源
181 第2のガス供給源
182 第3のガス供給源
183,184,185 MFC
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理炉(反応容器)
205 アウターチューブ
206 誘導加熱装置
206a RFコイル
206b 壁体
206c 冷却壁
206d 開口部
206e 圧力開放口開閉装置
207 ラジエータ
208 ブロア
209 マニホールド
216 断熱筒
217 ボート(基板保持体)
217a 支柱
217b 天板
217c 底板
217d 保持部
219 シールキャップ
231 ガス排気口
232 ガス供給ノズル(ガス供給体)
232a ガス供給口
233 ガス供給管
234 ガス排気管
235 ガス流量制御部
236 圧力制御部
237 駆動制御部
238 温度制御部
239 主制御部
240 コントローラ
242 APCバルブ
244 ボール螺子
245 下基板
246 真空排気装置
247 上基板
248 昇降モータ
249 昇降台
250 昇降シャフト
251 天板
252 昇降基板
253 駆動部カバー
254 回転機構
255 回転軸
256 駆動部収納ケース
257 冷却機構
258 電力供給ケーブル
259 冷却流路
260 冷却水配管
263 放射温度計
264 ガイドシャフト
265 ベローズ
301,309 Oリング
311 リング状プレート(被誘導体)
311a 供給側案内溝(ガス流れ促進部)
311b 排気側案内溝(ガス流れ促進部)
312 リングボート
312a 支柱
312a1,312a2 支柱片
312b 天板
312c 底板
312d 保持溝
313 連結台
314 ベース板
315 支持台
316 受け台
317 リングボート受け
318 固定金具
320 インナーチューブ
320a ガス流通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で基板を処理する反応容器と、
複数枚の前記基板を前記反応容器の延在方向に積載する基板保持体と、
前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に前記基板の積載方向に並べて複数設けられ、前記基板を加熱するリング状の被誘導体と、
前記複数の被誘導体の外周側から前記反応容器内にガスを供給するガス供給体と、
前記複数の被誘導体を誘導加熱する誘導加熱装置と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の被誘導体のリング内側開口内径が前記基板の外径よりも大きく形成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数の被誘導体は、それぞれ前記基板保持体に積載された複数の前記基板の径方向外側に該基板の外周縁に対向して配置されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記複数の被誘導体は、それぞれの上面の少なくとも一部がそれぞれに対向する前記基板の上面よりも高い位置となるように配置されている請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
複数枚の基板を積載した基板保持体を反応容器に搬送する工程と、
前記反応容器内の前記基板保持体の外周側に前記基板の積載方向に並べて複数設けられて前記基板を加熱するリング状の被誘導体を誘導加熱装置により誘導加熱するとともに前記複数の被誘導体の外周側から前記反応容器内にガスを供給して前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−69831(P2012−69831A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214730(P2010−214730)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】