説明

基板洗浄処理装置

【課題】薬液処理後の基板を水洗処理する場合に、純水の使用量を節減するとともに排液量を少なくすることができ、また処理時間を短縮し、さらに装置全体の省スペース化と製造コストの低減化が達成できる基板洗浄処理装置を提供する。
【解決手段】薬液処理後の基板Wに対し水洗処理を行う水洗処理室10が、基板搬送方向において置換水洗領域201、水洗領域202および直水洗領域203にこの順に画定され、置換水領域201内に、入口ノズル16と、高圧ノズル18と、強制排出ノズル100と、エアーノズル22と、がそれぞれ配設される。置換水洗領域201内へ基板Wが搬入される前に入口ノズル16、高圧ノズル18および強制排出ノズル100からの洗浄水の吐出を開始し、置換水洗領域201内から基板Wが搬出された後に入口ノズル16、高圧ノズル18および強制排出ノズル100からの洗浄水の吐出を停止するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置(LCD)用、プラズマディスプレイ(PDP)用、有機発光ダイオード(OLED)用、電界放出ディスプレイ(FED)用、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、太陽電池パネル用等のガラス基板、磁気/光ディスク用のガラス/セラミック基板、半導体ウエハ、電子デバイス基板等の各種の基板に対して、レジスト剥離処理、エッチング処理等の薬液処理を行った後に洗浄処理を行う基板洗浄処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばLCD、PDP等のデバイスの製造プロセスにおいて、基板の主面へ各種薬液を供給してレジスト剥離処理、エッチング処理等の薬液処理を行った後に、基板を水洗処理する場合、まず、置換水洗室(循環水水洗処理部)において薬液処理直後の基板の主面へ洗浄水を供給して基板上の薬液を洗浄水で置換し、続いて、直水洗室(新水水洗処理部)において基板の主面へ純水を供給して基板を水洗し、その後に基板を乾燥処理するようにしている。このとき、直水洗室での基板の洗浄には純水(新水)を使用し、置換水洗室での基板の洗浄には、直水洗室で使用された水を循環水タンクに回収してそれを洗浄水(循環水)として使用することにより、純水の使用量を節減している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、薬液処理後の基板を水洗処理する水洗処理部を置換水洗室(第1水洗部)と第2水洗室(第2水洗部)と直水洗室(第3水洗部)とで構成し、まず、置換水洗室において、第2水洗室で使用された水を第1循環水タンクに回収してそれを洗浄水として使用し、薬液処理直後の基板の主面へ洗浄水を供給して基板上の薬液を洗浄水で置換した後、第2水洗室において、直水洗室で使用された水を第2循環水タンクに回収してそれを洗浄水として使用し、主面上の薬液が洗浄水で置換された基板を水洗処理し、最後に、直水洗室において基板の主面へ純水を供給して基板を仕上げ水洗する、といった装置も使用されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
図11に、従来の基板洗浄処理装置300の概略構成の1例を示す。図11は、基板洗浄処理装置300を模式的に示したものである。
【0005】
この基板洗浄処理装置300は、薬液処理部1(一部のみを図示)の後段側に順に連設された置換水洗部(第1水洗部)5と第2水洗部3と直水洗部4(一部のみを図示)とから構成されている。直水洗部4の後段側には、乾燥処理部(図示せず)が設けられている。
【0006】
置換水洗部5は、薬液処理部1の薬液処理室38に隣接して設置され基板搬入口42および基板搬出口44を有する置換水洗室(第1水洗室)40、この置換水洗室40内へ搬入されてきた薬液処理後の基板Wを、水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に傾斜させた姿勢で支持し置換水洗室40内において水平方向へ往復移動させる複数の搬送ローラ(図示せず)、置換水洗室40内の基板搬入口42付近に配設され、置換水洗室40内へ搬入されてきた基板Wの上面へ洗浄水を基板Wの幅方向全体にわたってカーテン状に吐出する入口スリットノズル46、ならびに、置換水洗室40内において水平方向へ往復移動する基板Wの上・下両面へそれぞれ洗浄水を吐出する上部スプレーノズル48および下部スプレーノズル50などを備えている。上部スプレーノズル48および下部スプレーノズル50は、基板搬送方向に沿ってかつ互いに平行にそれぞれ複数本設けられ、各スプレーノズル48、50には、基板搬送方向に複数個の吐出口が一列に形設されている。置換水洗室40の底部には、置換水洗室40の内底部に流下した使用済みの洗浄水を排出するための排液路52が設けられている。
【0007】
第2水洗部3は、置換水洗室40に隣接して設置され基板搬入口56および基板搬出口58を有する第2水洗室54、置換水洗室40から第2水洗室54内へ搬入されてきた基板Wを、水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に傾斜させた姿勢で支持し第2水洗室54内を水平方向へ搬送する複数の搬送ローラ(図示せず)、ならびに、第2水洗室54内を水平方向へ搬送される基板Wの上・下両面へそれぞれ洗浄水を吐出する上部スプレーノズル60および下部スプレーノズル62などを備えている。上部スプレーノズル60および下部スプレーノズル62は、基板搬送方向に沿ってかつ互いに平行にそれぞれ複数本設けられ、各スプレーノズル60、62には、基板搬送方向に複数個の吐出口が一列に形設されている。第2水洗室54の底部には、第2水洗室54の内底部に流下した使用済みの洗浄水を排出するための循環排水路64が設けられており、循環排水路64は、循環水タンク66に連通接続されている。また、循環水タンク66には、純水(新水)の供給源に流路接続された純水供給路68が連通接続されており、さらに、直水洗部4の直水洗室70の底部に設けられた洗浄水供給路72が連通接続されている。循環水タンク66の底部には、送液ポンプ74が介設され置換水洗室40内の入口スリットノズル46ならびに上部スプレーノズル48および下部スプレーノズル50にそれぞれ流路接続された洗浄水供給路76、ならびに、送液ポンプ78が介設され第2水洗室70内の上部スプレーノズル60および下部スプレーノズル62にそれぞれ流路接続された洗浄水供給路80がそれぞれ連通接続されている。さらに、第2水洗室54の底部には排水路82が設けられており、排水路82には、基板Wの洗浄に使用されて基板W上から第2水洗室54の内底部に流下した使用済みの洗浄水を排出し、第2水洗室54内に基板Wが搬入されていない状態で基板Wの洗浄に使用されずにそのまま第2水洗室54の内底部に流下した洗浄水を循環水タンク66へ戻すように、択一的に流路を切り換える三方切換弁84が介挿されている。
【0008】
直水洗部4の構成は、一部だけしか図示されていないが、第2水洗部3と同様である。但し、直水洗室70内の上部スプレーノズル86および下部スプレーノズル88には、純水(新水)が供給され、使用済みの純水は循環して使用されない。そして、直水洗部4で使用された洗浄水は、洗浄水供給路72を通って循環水タンク66へ送液されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−162918号公報(第4−6頁、図1)
【特許文献2】特開平10−284379号公報(第3−4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した従来の基板洗浄処理装置300では、薬液処理室38内で薬液処理された直後の基板Wを置換水洗室40内において水平方向へ往復移動させながら、上部スプレーノズル48および下部スプレーノズル50から基板Wの上・下両面へ洗浄水を間断なく吐出することにより、基板W上の薬液を洗浄水で置換するようにしている。このため、置換水洗室40において洗浄水を大量に必要とし、したがって水洗処理で使用される純水の量、すなわち第2水洗部3の循環水タンク66へ供給される純水ならびに直水洗部4の上部スプレーノズル86および下部スプレーノズル88へ供給される純水の量も多大となる。また、置換水洗室40で使用された洗浄水は、その全てが廃棄されるので、置換水洗室40において洗浄水が大量に使用される結果、排液処理量も多大となる。さらに、置換水洗室40では基板Wを水平方向へ往復移動させながら水洗処理が行われるため、処理時間が長くなる。また、置換水洗室40の、基板Wの搬送方向における寸法は、基板Wの基板搬送方向における寸法より長くされているため、置換水洗室40によって占有されるフットプリントが大きくなる。加えて、基板の水洗処理を完了するために、それぞれ個別・別体の置換水洗室(第1水洗室)40、第2水洗室54および直水洗室70の都合3室が必要とされているので、これら3室分によって占有されるフットプリントが大きくなるとともに、3室分の製造コストが発生するといった問題点がある。
【0011】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、薬液処理後の基板を水洗処理する場合において、純水の使用量を節減するとともに排液量を少なくすることができ、また処理時間を短縮し、さらに装置全体の省スペース化と製造コストの低減化が達成できる基板洗浄処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、基板搬送方向において置換水洗領域、水洗領域および直水洗領域にこの順に画定され、薬液処理後の基板に対し水洗処理を行う水洗処理室と、前記置換水洗領域内に配設され基板を一方向に連続して水平方向へ搬送する基板搬送手段と、前記基板搬送手段によって搬送される基板の主面へ洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、を備えた基板洗浄処理装置であって、前記洗浄水供給手段は、前記置換水洗領域内の入口付近に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板の主面へ洗浄水を基板の幅方向全体にわたって吐出する入口ノズルと、前記入口ノズルより基板搬送方向における前方側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板上の薬液と洗浄液との混合液が基板搬送向における前方側へ流動するのをせき止めて基板上の薬液が洗浄水で急速に置換されるように基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出する高圧ノズルと、前記置換水洗領域内において前記入口ノズルより基板搬送方向における前方側でかつ搬送される基板の一方側端縁付近において基板に近接して配設され、高圧の洗浄水を基板の他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出することにより基板上に基板の他方側端縁方向に流動する液流れを形成し、当該液流れにより基板上に残留する薬液と洗浄水との混合液を基板上から強制的に排出する高圧排出ノズルと、前記入口ノズル、前記高圧ノズルおよび前記高圧排出ノズルへ洗浄液を送液する送液手段と、前記置換水洗領域内へ基板が搬入される前に前記入口ノズル、前記高圧ノズルおよび前記高圧排出ノズルからの洗浄水の吐出を開始し、前記置換水洗領域内から基板が搬出された後に前記入口ノズル、前記高圧ノズルおよび前記高圧ノズルからの洗浄水の吐出を停止するように前記送液手段を制御する制御手段と、を備えて構成され、前記入口ノズルより基板搬送方向における前方側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板に薬液と洗浄液との混合液が付着して置換水洗領域外へ持ち出されるのを阻止するように基板の主面へ気体を直下方向ないし基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出する気体ノズルと、前記置換水洗領域の内底部に流下した洗浄水を排出する排水手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記入口ノズル、前記高圧ノズル、前記高圧排出ノズルおよび前記気体ノズルが、基板搬送方向においてこの順に配設されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の基板洗浄処理装置において、前記入口ノズルが、長手方向に沿ったスリット状吐出口を有し、そのスリット状吐出口から基板の主面へ洗浄水を、直下方向に対して基板搬送方向における前方側へ傾斜した方向にカーテン状に吐出するスリットノズルであることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、前記高圧ノズルが、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ扇状に洗浄水を高圧で吐出する直列高密度扇形スプレーノズルであることを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、前記高圧ノズルが、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ気体の圧力で洗浄水をミスト化して吐出する2流体スプレーノズルであることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、前記高圧ノズルに、その吐出口から吐出される洗浄水のミストが飛散するのを防止するためのフードが付設されたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の基板洗浄処理装置において、前記フードを通して洗浄水のミストを吸引し排出するミスト吸引装置が併設されたことを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし請求項7に記載の基板洗浄処理装置において、基板搬送方向に対して直交する方向に前記高圧排出ノズルから所定の間隔を置いて少なくとももう1つの高圧排出ノズルが連設されることを特徴とする。
【0020】
請求項9に係る発明は、請求項1に記載の基板洗浄処理装置において、前記水洗領域内に基板を一方向に連続して水平方向へ搬送する基板搬送手段が配設され、さらに前記水洗領域内に搬送される基板の一方側端縁付近において基板に近接して第1の高圧排出ノズルが配設されるとともに、当該第1の高圧排出ノズルから基板搬送方向において所定の間隔を置いて、搬送される基板の一方側端縁付近において基板に近接して少なくとももう1つの第2の高圧排出ノズルが配設され、当該第1および第2の高圧排出ノズルから高圧の洗浄水を基板の他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出することにより基板の他方側端縁方向に流動する液流れを基板上に形成し、当該液流れにより基板上の残留液を強制的に排出することを特徴とする。
【0021】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の基板洗浄処理装置において、前記水洗領域内に、基板搬送方向において前記第1および第2の高圧排出ノズルの間に、基板搬送方向に対して交差するように高圧ノズルが配設され、当該高圧ノズルから基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出することにより、基板上の残留液が基板搬送向における前方側へ流動するのをせき止めて基板上の残留液が洗浄水で急速に置換され、前記高圧ノズルより基板搬送方向における前方側に、基板搬送方向に対して交差するように気体ノズルが配設され、当該気体ノズルから基板の主面へ気体を直下方向ないし基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出することにより、基板上の付着液が前記水洗領域外へ持ち出されるのを阻止することを特徴とする。
【0022】
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の基板洗浄処理装置において、前記送液手段は、前記第1および第2の高圧排出ノズルならびに前記高圧ノズルへ洗浄液を送液し、前記制御手段は、前記水洗領域内へ基板が搬入される前に前記第1および第2の高圧排出ノズルならびに前記高圧ノズルからの洗浄水の吐出を開始し、前記水洗領域内から基板が搬出された後に前記第1および第2の高圧排出ノズルならびに前記高圧ノズルからの洗浄水の吐出を停止するように前記送液手段を制御することを特徴とする。
【0023】
請求項12に係る発明は、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、前記水洗領域および前記直水洗領域において使用され回収された洗浄水の一部が、前記置換水洗領域内に配設された前記入口ノズル、前記高圧ノズルおよび前記高圧排出ノズルへ供給されることを特徴とする。
【0024】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の基板洗浄処理装置において、前記送液手段は、第1および第2の貯留部に画定される循環水タンクを備え、当該第1の貯留部へ前記水洗領域によって画定される前記水洗処理室からの使用済みの洗浄水が回収され、当該第2の貯留部へ前記直水洗領域によって画定される前記水洗処理室からの使用済みの洗浄水が回収されることを特徴とする。
【0025】
請求項14に係る発明は、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、前記水洗処理室内において基板搬送方向と交差する方向に延在する第1および第2の仕切部材が設置され、当該第1仕切部材により前記置換水洗領域と前記水洗領域とが画定され、前記第2仕切部材により前記水洗領域と前記直水洗領域が画定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1および請求項2に係る発明の基板洗浄処理装置においては、水洗処理室内に画定された置換水洗領域内へ搬入されてきた薬液処理後の基板に対し、入口付近に設けられた入口ノズルから基板の幅方向全体にわたって洗浄水が吐出されることにより、基板上の薬液が洗浄水で希釈され洗い流される。入口ノズルの配設位置を通過した後に基板上に残留した薬液と洗浄水の混合液は、入口ノズルよりも基板搬送方向前方側に設けられた高圧ノズルから基板の主面へ高圧で吐出される洗浄水によって前方への流動がせき止められる。このように前方への希釈薬液の流動がせき止められた状態で基板が前方へ移動するので、高圧ノズルの配設位置を基板が通過する間に、基板上の薬液が洗浄水で急速に置換される。
【0027】
また、入口ノズルより前方側でかつ搬送される基板の一方側端縁付近において基板に近接して配設される高圧排出ノズルにより、高圧の洗浄水が基板の他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出されることにより基板上に基板の他方側端縁方向に流動する液流れが形成され、この液流れにより基板上に残留する薬液と洗浄水との混合液が基板上から強制的に排出されるとともに、基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止される。加えて、入口ノズルよりも基板搬送方向前方側に設けられた気体ノズルから基板の主面へ噴出される気体の圧力によって基板上の薬液と洗浄水との混合液が前方へ流動するのがせき止められる。これらの入り口ノズル、高圧ノズル、高圧排出ノズルおよび気体ノズルの作用により、基板に薬液が付着して置換水洗領域外へ持ち出されることが効果的に阻止される。
【0028】
これらの一連の水洗処理は、置換水洗領域内へ基板が搬入され置換水洗領域を一方向へ連続して搬送されて置換水洗領域内から搬出されるまでの短い時間内に行われる。また、高圧ノズルから基板の主面へ高圧で吐出される洗浄水によって基板上の薬液が洗浄水で急速に置換されるので、比較的小量の洗浄水の使用により効率良く水洗処理が行われる。そして、水洗室の内底部に流下した洗浄水は、排水手段によって排出されることになるが、制御手段によって送液手段が制御されることにより、置換水洗領域内へ基板が搬入される前に入口ノズル、高圧ノズルおよび高圧排出ノズルからの洗浄水の吐出が開始され、置換水洗領域内から基板が搬出された後に入口ノズル、高圧ノズルおよび高圧排出ノズルからの洗浄水の吐出が停止されるので、洗浄水の吐出量および排液量が抑えられる。
【0029】
したがって、請求項1に係る発明の基板処理装置を使用すると、薬液処理後の基板を水洗処理するときの純水の使用量を大幅に節減するとともに、排液量を少なくすることができ、また、水洗処理時間を大幅に短縮することができる。
【0030】
また、置換水洗領域、水洗領域および直水洗領域に画定された単体の水洗処理室によって薬液処理後の基板の水洗処理が完了されるので、従来のように、個別・別体の置換水洗室、水洗室および直水洗室の都合3室分の大きさのフットプリントを必要とせず装置全体の省スペース化を図ることができ、さらに3室分の全製造コストに比較して製造コストの低減化が達成できる。
【0031】
請求項3に係る発明の基板洗浄処理装置では、水洗処理室内へ搬入されてきた薬液処理後の基板に対し、スリットノズルのスリット状吐出口から基板の幅方向全体にわたってカーテン状に洗浄水を吐出することにより、基板上の薬液を洗浄水で効率良く希釈して洗い流すことができる。
【0032】
請求項4に係る発明の基板洗浄処理装置では、直列高密度扇形スプレーノズルの複数の吐出口から基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出することにより、基板上に残留した薬液と洗浄水の混合液が前方へ流動するのを確実にせき止めることができる。
【0033】
請求項5に係る発明の基板洗浄処理装置では、2流体スプレーノズルの複数の吐出口からエアー等の気体の圧力で洗浄水をミスト化して気体と共に基板の主面へ吐出することにより、基板上に残留した薬液と洗浄水の混合液が前方へ流動するのを確実にせき止めることができる。
【0034】
請求項6に係る発明の基板洗浄処理装置では、高圧ノズルの吐出口から洗浄水が高圧で吐出されることによって洗浄水のミストを生じるが、フードによってそのミストの飛散を防止することができる。
【0035】
請求項7に係る発明の基板洗浄処理装置では、ミスト吸引装置によって洗浄水のミストを吸引し排出することにより、薬液を含んだ洗浄水のミストが基板に再付着することを防止することができる。
【0036】
請求項8に係る発明の基板洗浄処理装置では、搬送される基板の一方側端縁付近において基板に近接して配設される高圧排出ノズルに加えて、基板搬送方向に対して直交する方向にこの高圧排出ノズルから所定の間隔を置いて少なくとももう1つの高圧排出ノズルが連設されるので、大サイズの基板であっても、基板の他方側端縁方向に流動する液流れを確実に形成し、この液流れにより基板上に残留する薬液と洗浄水との混合液を基板上から強制的に排出することができる。
【0037】
請求項9に係る発明の基板洗浄処理装置では、第1および第2の高圧排出ノズルから、置換水洗処理を終えて水洗領域内に搬入されてきた基板の他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて高圧の洗浄水が吐出されることにより、基板の他方側端縁方向に流動する液流れが基板上に形成され、この液流れにより基板上の残留液が強制的に排出され基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止される。
【0038】
請求項10に係る発明の基板洗浄処理装置では、第1の高圧排出ノズルから、基板の他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出される洗浄水によって、基板の他方側端縁方向に流動する液流れが形成され、この液流れにより、置換水洗処理を経た基板上の残留液が基板上から強制的に排出されるとともに基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止される。第1の高圧排出ノズルの配設位置を基板Wが通過すると、続いて、高圧ノズルから高圧の洗浄水が基板の上面に向けて吐出され、この高圧ノズルから吐出される洗浄水で形成される水の壁により、第1の高圧排出ノズルの配設位置を通過した後に基板上になお残留する液が前方へ流動するのがせき止められる。このように残留液の前方への流動がせき止められた状態で基板が前方へ移動するので、高圧ノズルの配設位置を基板が通過する間に、基板W上の残留液が洗浄水で急速に置換される。続いて、基板が高圧ノズルの配設位置を通過した後に、基板Wの一方側端縁付近に配設された第2の高圧排出ノズルの吐出口から、基板の他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出される洗浄水によって、基板の他方側端縁方向に流動する液流れが形成され、この液流れにより、残留液が基板上から強制的に排出されるとともに基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止される。
【0039】
そして、水洗領域内から基板が搬出される前に、気体ノズルから基板の主面に向けて気体が噴出され、この噴出される気体の圧力により、基板上の付着液が基板搬送方向前方へ流動するのがせき止められ、基板上の付着液が水洗領域外へ持ち出されることが効果的に阻止される。
【0040】
請求項11に係る発明の基板洗浄処理装置では、制御手段により、水洗領域内へ基板が搬入される前に第1および第2の高圧排出ノズルならびに高圧ノズルからの洗浄水の吐出を開始し、水洗領域内から基板が搬出された後に第1および第2の高圧排出ノズルならびに高圧ノズルからの洗浄水の吐出を停止するように送液手段が制御されて、水洗領域内に基板が搬入されていないときには洗浄水の吐出が停止されるので、洗浄水の使用量をより少なくすることができる。
【0041】
請求項12および請求項13に係る発明の基板洗浄処理装置では、純水の利用効率を高めることができる。
【0042】
請求項14に係る発明の基板洗浄処理装置では、第1および第2の仕切部材の基板搬送方向における設置位置を適宜選択することにより、水洗処理室内の基板搬送方向における置換水洗領域、水洗領域および直水洗領域の長さ寸法をそれぞれ簡易に設定することができるとともに、循環水タンクの第1および第2貯留部への水洗領域および直水洗領域からの使用済み洗浄水の回収量および濃度を所望の値に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施形態の1例を示し、基板洗浄処理装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】高圧ノズルの1例を示す図であって、直列高密度扇形スプレーノズルを基板搬送方向における前方側から見た模式的正面図である。
【図3】高圧ノズルの1例を示す図であって、2流体スプレーノズルを基板搬送方向における前方側から見た模式的正面図である。
【図4】強制排出ノズルの模式的上面図である。
【図5】強制排出ノズルの模式的斜視図である。
【図6】基板の幅方向に複数個連設される強制排出ノズルを示す模式的上面図である。
【図7】置換水洗領域における処理の様子を示す模式的側面図である。
【図8】置換水洗領域における処理の様子を示す模式的側面図である。
【図9】置換水洗領域における処理の様子を示す模式的側面図である。
【図10】置換水洗領域における処理の様子を示す模式的側面図である。
【図11】従来の基板洗浄処理装置の構成例を模式的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】
図1は、この発明の実施形態の1例を示し、基板洗浄処理装置200を模式的に示したものである。なお、図11において示した構成要素および部材と同一または対応する構成要素および部材については、図1においても同一の符号を使用する。
【0046】
この基板洗浄処理装置200は、薬液処理部1(一部のみを図示)の後段側に配置された水洗処理室10、循環水タンク116等から構成され、水洗処理室10の後段側には、乾燥処理部(図示せず)が設けられている。
【0047】
水洗処理室10は、基板搬送方向において、置換水洗領域201と水洗領域202と直水洗領域203とにこの順に画定される。
【0048】
置換水洗領域201と水洗領域202との境界部および水洗領域202と直水洗領域203との境界部にはそれぞれ、水洗処理室10の底部の幅方向(基板搬送方向と交差する方向)全幅に亙りかつ基板搬送路と干渉しない高さを有する仕切板118および120が延設されている。
【0049】
置換水洗領域201には、水洗処理室10の薬液処理部1の薬液処理室38側に設けられた基板搬入口12を通過して水洗処理室10の置換水洗領域201内へ搬入されてきた薬液処理後の基板Wを、水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に傾斜させた姿勢で(基板Wの手前側が低くなるように)支持し置換水洗領域201内において一方向に連続して水平方向へ搬送する複数の搬送ローラ(図示せず)と、置換水洗領域201内を水平方向へ搬送される基板Wの下面へ洗浄水を吐出するために基板搬送路の下方に配設された下部スプレーノズル20が設けられ、さらに、水洗処理室10の置換水洗領域201内の基板搬入口12付近に入口ノズル16が配設され、この入り口ノズル16よりも基板搬送方向前方側に高圧ノズル18が配設され、この高圧ノズル18よりも基板搬送方向前方側に強制排出ノズル100が配設されている。さらに、強制排出ノズル100よりも基板搬送方向前方側でかつ仕切板118よりも基板搬送方向後方側に基板搬送路を挟んで上下一対のエアーノズル22、22が配設されている。
【0050】
基板Wは、置換水洗領域201内において往復移動したり一時停止したりすることなく、搬送ローラによって例えば9m/min〜20m/minの高速で搬送される。また、基板Wは、基板搬送方向において例えば1枚分位の間隔を空けて次々と置換水洗領域201内へ搬入されてくる。置換水洗領域201によって画定される水洗処理室10の底部には、置換水洗領域201の内底部に流下した使用済みの洗浄水を排出するための排液路24が設けられている。置換水洗領域201で使用された後の洗浄水は、その全てが排液路24を通って排出される。また、置換水洗領域201によって画定される水洗処理室10の天井部には、置換水洗領域201内から洗浄水のミストを含む空気を排出するための排気管90が設けられている。
【0051】
入口ノズル16は、その長手方向に沿ったスリット状吐出口を有するスリットノズルで構成されている。この入口ノズル16は、基板Wの上面と平行にかつ基板搬送方向と直交するように配置され、鉛直方向から斜め前方に傾斜するように設置されている。そして、入口ノズル16のスリット状吐出口からは、置換水洗領域201内へ搬入されてきた基板Wの上面へ基板Wの幅方向全体にわたって洗浄水がカーテン状に、かつ、その直下方向に対して基板搬送方向における前方側へ傾斜した方向に吐出される。なお、スリットノズルに代えて、多数の微小吐出口が長手方向に沿って一列に形設されたノズルを用い、そのノズルの多数の微小吐出口から基板Wの幅方向全体にわたって洗浄水が吐出されるようにしてもよい。
【0052】
高圧ノズル18としては、例えば図2に基板搬送方向における前方側から見た模式的正面図を示すように、基板搬送方向に対して交差する方向に配置されるスプレーパイプ92aに、その長手方向に沿って一列に互いに近接して複数のノズル部94aが形設され、その各ノズル部94aの吐出口からそれぞれ扇状に洗浄水を高圧で吐出する直列高密度扇形スプレーノズル18aが用いられる。この直列高密度扇形スプレーノズル18aのスプレーパイプ92aには、後述するように、循環水タンク116に連通接続され送液ポンプ32が介設された洗浄水供給路30が連通接続される。直列高密度扇形スプレーノズル18aは、例えば、そのノズル部94aの吐出口から基板Wの上面までの距離が10mm〜300mmとなるような高さ位置に設置され、複数のノズル部94aは、例えば20mm〜200mmのピッチで設けられる。このような高圧ノズル18は、基板Wの上面と平行に、かつ、基板搬送方向に対して直交するように、あるいは、基板搬送方向と直交する方向に対し斜め方向に配置(入口ノズル16に対し手前側が開く方向に傾けて配置)される。この高圧ノズル18の吐出口からは、搬送される基板Wの上面へ高圧、例えば、0.3MPaの圧力の洗浄水が基板Wの幅方向全体にわたって吐出される。
【0053】
なお、直列高密度扇形スプレーノズル18aに代えて、同等の作用をなす高圧ノズルを用いるようにしてもよい。例えば、図3に基板搬送方向における前方側から見た模式的正面図を示すように、基板搬送方向に対して交差する方向に配置される2流体スプレーヘッダー管92bに、その長手方向に沿って一列に互いに近接して複数の2流体ノズル部94bが形設され、その各2流体ノズル部94bの吐出口からそれぞれエアー等の気体の圧力で洗浄水をミスト化して吐出する2流体スプレーノズル18bを用いることができる。この2流体スプレーノズル18bの2流体スプレーヘッダー管92bには、洗浄水供給路30が連通接続されるとともに、例えばエアー供給源に流路接続されたエアー供給路96が連通接続される。2流体スプレーノズル18bは、例えば、その2流体ノズル部94bの吐出口から基板Wの上面までの距離が10mm〜100mmとなるような高さ位置に設置され、複数の2流体ノズル部94bは、例えば20mm〜100mmのピッチで設けられる。
【0054】
また、高圧ノズル18に、その吐出口から吐出される洗浄水のミストが飛散するのを防止するためのフード26を付設するようにしてもよい。さらに、フード26に排気管28を連通接続し、その排気管28およびフード26を通して洗浄水のミストを真空吸引し排出するミスト吸引装置を併設するようにしてもよい。
【0055】
強制排出ノズル100としては、例えば図4および図5に模式的上面図および斜視図を示すように、搬送される基板Wの一方側端縁付近において基板から近接した距離H、例えば10mm〜50mmの距離Hだけ離間して設置され、その吐出口が基板搬送方向の直角方向に対して鋭角、例えば0〜60°、好ましくは45°、の角度をなすように設定される。そして、この強制排出ノズル100から高圧、例えば0.1〜0.5MPa、好ましくは0.3MPa、の圧力の洗浄水が基板Wの他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出される。
【0056】
なお、基板Wのサイズが大型の場合には、この強制排出ノズル100を、搬送される基板Wの一方側端縁付近に1個のみ設置する構成に代えて、図6に模式的上面図を示すように、基板搬送方向に対して直交する方向(基板Wの幅方向)に複数個(図6に示す例では3個)、所定の間隔を置いて連設してもよい。
【0057】
下部スプレーノズル20は、基板搬送方向に沿ってかつ互いに平行にそれぞれ複数本設けられ、下部スプレーノズル20には、基板搬送方向に複数個の吐出口が一列に形設されている。この下部スプレーノズル20からは、搬送される基板Wの下面へ洗浄水が吐出され、基板Wの下面側が水洗される。
【0058】
循環水タンク116の底部にはその幅方向(図1の紙面に関して直角方向)全幅に亙り所定の高さを有する仕切板122が延設され、この仕切板122によって循環水タンク116内が貯留部116aと貯留部116bとの2つの貯留部に画定される。
【0059】
水洗領域202によって画定される水洗処理室10の底部には、水洗領域202の内底部に流下した使用済みの洗浄水を排出するための循環排水路64が設けられており、循環排水路64は、循環水タンク116の貯留部116aに連通接続されている。また、循環水タンク116の貯留部116aには、純水(新水)の供給源に流路接続された純水供給路68が連通接続されている。
【0060】
下部スプレーノズル20ならびに入口ノズル16、高圧ノズル18および強制排出ノズル100には、循環水タンク116の貯留部116aに連通接続された洗浄水供給路30がそれぞれ流路接続され、洗浄水供給路30に送液ポンプ32が介設されている。そして、循環水タンク116の貯留部116a内から洗浄水供給路30を通って入口ノズル16、高圧ノズル18、強制排出ノズル100および下部スプレーノズル20へそれぞれ洗浄水が供給されるように流路構成されている。
【0061】
薬液処理室38内の入口付近には図示しない基板位置センサが配設され、この基板位置センサにより基板Wの前端位置が検知され、検知信号が制御回路108へ出力される。制御回路108は、検知信号を受信した時点から一定時間経過後(基板Wの前端が薬液処理室38の出口を通過する前)に、送液ポンプ32を駆動して各ノズル16、18、100、20へ洗浄水の吐出が開始されるようにプログラム制御されている。
【0062】
また、強制排出ノズル100よりも基板搬送方向前方側でかつエアーノズル20よりも基板搬送方向後方側に、基板Wの後端位置を検知する基板位置センサ104が配設されている。基板位置センサ104から出力される検知信号は制御回路108に入力され、その検知信号に基づいて制御回路108から送液ポンプ32に制御信号が出力されて、各ノズル16、18、100、20へ洗浄水の吐出が停止される。すなわち、制御回路108により、置換水洗領域201内に基板Wが搬入されていないときには入口ノズル16、高圧ノズル18、強制排出ノズル100および下部スプレーノズル20から洗浄水が吐出されず、置換水洗領域201内へ基板Wが搬入されてくる直前に各ノズル16、18、100、20からの洗浄水の吐出が開始され、その後、置換水洗領域201内から基板Wが搬出されるまでの間、各ノズル16、18、100、20から継続して洗浄水が吐出され、置換水洗領域201内から基板Wが搬出された後に各ノズル16、18、100、20からの洗浄水の吐出が停止されるように、送液ポンプ32の送液動作が制御される。
【0063】
上下一対のエアーノズル22、22は、傾斜姿勢の基板Wの上・下面とそれぞれ平行に、かつ、基板搬送方向と直交する方向に対し手前側が開くように斜めに配置される。このエアーノズル22には、エアー供給源に流路接続されたエアー供給管34が連通接続されており、エアーノズル22から基板Wの上・下両面へエアー(カウンターエアー)が基板搬送方向に対して斜め逆方向ないし直下方向に噴出される。なお、エアーに代えて他の気体、例えば窒素ガス等を基板Wの各面へ噴出するようにしてもよい。
【0064】
上記した構成を備えた置換水洗領域201においては、薬液処理室38で薬液処理された直後の基板Wが水洗処理室10の置換水洗領域201内へ搬入されてくると、最初に、入口ノズル16のスリット状吐出口から基板Wの上面へその幅方向全体にわたってカーテン状に洗浄水が吐出される。図7に模式的側面図を示すように、この入口ノズル16からカーテン状に吐出される洗浄水Aによって基板W上の薬液が希釈され、基板W上から薬液Bの一部が洗い流される。続いて、高圧ノズル18の吐出口から高圧の洗浄水が基板Wの上面に向けて吐出される。図7に示すように、この高圧ノズル18から吐出される洗浄水Aで形成される水の壁により、入口ノズル16の配設位置を通過した後に基板W上に残留した薬液と洗浄水の混合液Cが前方へ流動するのがせき止められる。このように薬液と洗浄水の混合液Cの前方への流動がせき止められた状態で基板Wが前方へ移動するので、高圧ノズル18の配設位置を基板Wが通過する間に、基板W上の薬液が洗浄水で急速に置換されることとなる。また、この間、基板Wの下面に対し下部スプレーノズル20の吐出口から連続して洗浄水が吐出され、基板Wの下面が水洗される。
【0065】
図8に模式的側面図、図9に模式的上面図を示すように、高圧ノズル18の配設位置を通過した後の基板W上には、混合液Cから漏れ出た混合液E(洗浄水Aで形成される水の壁で堰止めきれず、薬液成分が僅かに混入した液)が残留している。ここで、基板Wの一方側端縁付近に配設された強制排出ノズル100の吐出口から、基板Wの他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出される洗浄水A(図9中図示の細い矢符にて示す)によって、基板Wの他方側端縁方向に流動する液流れ(図9中図示の太い矢符にて示す)が形成される。この液流れにより、混合液Eが基板W上から強制的に排出されるとともに基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止される。
【0066】
そして、置換水洗領域201内から基板Wが搬出される前に、上・下一対のエアーノズル22、22から基板Wの上下両面に向けてそれぞれエアーが吹き付けられる。図10に模式的側面図を示すように、この一対のエアーノズル22、22から基板Wの上下両面へ噴出されるエアーDの圧力により、基板Wの上・下面に付着した液Fが基板搬送方向前方へ流動するのがせき止められ、基板Wに薬液が付着して置換水洗領域201外へ持ち出されることが効果的に阻止される。
【0067】
以上の一連の置換水洗処理は、基板Wが置換水洗領域201内へ搬入され置換水洗領域201内を一方向へ連続搬送されて置換水洗領域201内から搬出されるまでの短い時間、例えば15秒〜20秒間で行われる。また、高圧ノズル18から基板Wの上面へ高圧で吐出される洗浄水によって基板W上の薬液が洗浄水で急速に置換されるので、比較的小量の洗浄水の使用により効率良く水洗処理が行われる。また、強制排出ノズル100から吐出される洗浄水によって形成される液流れにより、基板W上の混合液Eが基板W上から強制的に排出されるとともに基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止されるので、置換水洗領域201外への薬液の持ち出し量が低減される。さらに、置換水洗領域201内に基板Wが搬入されていないときには洗浄水の吐出を停止することにより、洗浄水の使用量をより少なくすることができる。そして、薬液が基板W上に残留して置換水洗領域201外へ持ち出されることが効果的に阻止されるので、後述する水洗領域202内で基板Wの水洗に使用された後の洗浄水の汚染が低減される。この結果、水洗領域202で使用された洗浄水の循環使用率が高まり、ひいてはそれが純水使用量のさらなる節減につながることとなる。
【0068】
なお、基板搬送方向に関して、高圧ノズル18、強制排出ノズル100、エアーノズル22をこの順に固定して配設せず、これらのノズルの基板搬送方向における配設順序を相互に入れ替えても良い。
【0069】
水洗領域202には、置換水洗領域201から水洗領域202内へ搬入されてきた置換水洗処理後の基板Wを、水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に傾斜させた姿勢で(基板Wの手前側が低くなるように)支持し水洗領域202内において一方向に連続して水平方向へ搬送する複数の搬送ローラ(図示せず)と、水洗領域202内を水平方向へ搬送される基板Wの下面へ洗浄水を吐出するために基板搬送路の下方に配設された下部スプレーノズル62が設けられ、さらに、仕切板118側よりも基板搬送方向前方側の水洗処理室10の水洗領域202内に1つめの強制排出ノズル100が配設され、この強制排出ノズル100よりも基板搬送方向前方側に高圧ノズル18が配設され、この高圧ノズル18よりも基板搬送方向前方側に2つめの強制排出ノズル100が配設されている。また、2つめの強制排出ノズル100よりも基板搬送方向前方側でかつ仕切板120よりも基板搬送方向後方側に基板搬送路を挟んで、上下一対のエアーノズル22、22が配設され、このエアーノズル22、22には、エアー供給源に流路接続されたエアー供給管36が連通接続されている。
【0070】
2つの強制排出ノズル100、100は、置換水洗領域201と同様に、搬送される基板Wの一方側端縁付近において基板から近接した距離H、例えば10mm〜50mmの距離Hだけ離間して設置され、その吐出口が基板搬送方向の直角方向に対して鋭角、例えば0〜60°、好ましくは45°、の角度をなすように設定される。そして、この強制排出ノズル100から高圧、例えば0.1〜0.5MPa、好ましくは0.3MPa、の圧力の洗浄水が基板Wの他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出される。
【0071】
この水洗領域202内に配設される高圧ノズル18、エアーノズル22、22の各構成は、置換水洗領域201内に配設される高圧ノズル18、エアーノズル22、22の各構成と同様であり、また下部スプレーノズル62の構成も置換水洗領域201内に配設される下部スプレーノズル20の構成と同様である。なお、場合によりエアーノズル22を上下一対設ける代わりに、下ノズル22を省いて上ノズル22のみでも良い。
【0072】
基板Wは、水洗領域202内において往復移動したり一時停止したりすることなく、搬送ローラによって例えば9m/min〜20m/minの高速で搬送される。また、基板Wは、基板搬送方向において例えば1枚分位の間隔を空けて次々と水洗領域202内へ搬入されてくる。
【0073】
下部スプレーノズル62ならびに強制排出ノズル100、100および高圧ノズル18には、循環水タンク116の貯留部116bに連通接続された洗浄水供給路80がそれぞれ流路接続され、洗浄水供給路80に送液ポンプ78が介設されている。そして、循環水タンク116の貯留部116b内から洗浄水供給路80を通って高圧ノズル18、強制排出ノズル100、100および下部スプレーノズル62へそれぞれ洗浄水が供給されるように流路構成されている。
【0074】
また、直水洗領域203によって画定される水洗処理室10の底部には、直水洗領域203の内底部に流下した使用済みの洗浄水を排出するための洗浄水供給路72が設けられており、この洗浄水供給路72は、循環水タンク116の貯留部116bに連通接続され、貯留部116bには、純水(新水)の供給源に流路接続された純水供給路69が連通接続されている。貯留部116b内に貯留された洗浄水は、その液面が上昇して仕切板122の頂部122aから溢流することにより貯留部116a内へ供給され、置換水洗領域201内の置換水洗処理に使用されることができるようになっている。この仕切板122の高さ寸法および/又は循環水タンク116の長さ方向における仕切板122の配置位置を変更することにより、貯留部116b内から貯留部116a内へ溢流する洗浄液の量、ひいては貯留部116a内に貯留される洗浄液の濃度を変更することができる。
【0075】
薬液処理室38内の入口付近に配設された図示しない基板位置センサにより基板Wの前端位置が検知され、検知信号が制御回路108へ出力される。制御回路108は、検知信号を受信した時点から一定時間経過後(基板Wの前端が水洗領域202内の2つの強制排出ノズル100のうち基板搬送方向後方側のノズル100の配設位置に到達する前)に、送液ポンプ78を駆動して各ノズル18、100、100、62へ洗浄水の吐出が開始されるようにプログラム制御されている。
【0076】
また、水洗領域202内の2つの強制排出ノズル100のうち基板搬送方向前方側のノズル100よりも基板搬送方向前方側でかつエアーノズル22よりも基板搬送方向後方側に、基板Wの後端位置を検知する基板位置センサ106が配設されている。基板位置センサ106から出力される検知信号は制御回路108に入力され、その検知信号に基づいて制御回路108から送液ポンプ78に制御信号が出力されて、各ノズル18、100、100、62へ洗浄水の吐出が停止される。すなわち、制御回路108により、水洗領域202内に基板Wが搬入されていないときには高圧ノズル18、強制排出ノズル100、100および下部スプレーノズル62から洗浄水が吐出されず、水洗領域202内へ基板Wが搬入されてくる直前に各ノズルノズル18、100、100、62からの洗浄水の吐出が開始され、その後、水洗領域202内から基板Wが搬出されるまでの間、各ノズル18、100、100、62から継続して洗浄水が吐出され、水洗領域202内から基板Wが搬出された後に各ノズル18、100、100、62からの洗浄水の吐出が停止されるように、送液ポンプ78の送液動作が制御される。
【0077】
上記した構成を備えた水洗領域202においては、置換水洗領域201で置換水洗処理された直後の基板Wが水洗処理室10の水洗領域202内へ搬入されてくると、基板Wの一方側端縁付近に配設された1つめの(基板搬送方向後方側の)強制排出ノズル100の吐出口から、基板Wの他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出される洗浄水によって、基板Wの他方側端縁方向に流動する液流れが形成される。この液流れにより、置換水洗領域201において置換水洗処理を経た基板W上の残留液が基板上から強制的に排出されるとともに基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止される。
【0078】
1つめの強制排出ノズル100の配設位置を基板Wが通過すると、続いて、高圧ノズル18の吐出口から高圧の洗浄水が基板Wの上面に向けて吐出される。この高圧ノズル18から吐出される洗浄水で形成される水の壁により、1つめの強制排出ノズル100の配設位置を通過した後に基板W上になお残留する液が前方へ流動するのがせき止められる。このように残留液の前方への流動がせき止められた状態で基板Wが前方へ移動するので、高圧ノズル18の配設位置を基板Wが通過する間に、基板W上の残留液が洗浄水で急速に置換されることとなる。また、この間、基板Wの下面に対し下部スプレーノズル62の吐出口から連続して洗浄水が吐出され、基板Wの下面が水洗される。
【0079】
続いて、基板Wが高圧ノズル18の配設位置を通過した後に、基板Wの一方側端縁付近に配設された2つめの(基板搬送方向前方側の)強制排出ノズル100の吐出口から、基板Wの他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出される洗浄水によって、基板Wの他方側端縁方向に流動する液流れが形成される。この液流れにより、残留液が基板W上から強制的に排出されるとともに基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止される。
【0080】
そして、水洗領域202内から基板Wが搬出される前に、上・下一対のエアーノズル22、22から基板Wの上下両面に向けてそれぞれエアーが吹き付けられる。この一対のエアーノズル22、22から基板Wの上下両面へ噴出されるエアーDの圧力により、基板Wの上・下面に付着した液が基板搬送方向前方へ流動するのがせき止められ、基板Wに薬液が付着して水洗領域202外へ持ち出されることが効果的に阻止される。
【0081】
以上の一連の水洗処理は、基板Wが水洗領域202内へ搬入され水洗領域202内を一方向へ連続搬送されて水洗領域202内から搬出されるまでの短い時間、例えば15〜30秒間で行われる。また、高圧ノズル18から基板Wの上面へ高圧で吐出される洗浄水によって基板W上の残留液が洗浄水で急速に置換されるので、比較的小量の洗浄水の使用により効率良く水洗処理が行われる。また、強制排出ノズル100から吐出される洗浄水によって形成される液流れにより、基板W上の残留液が基板W上から強制的に排出されるとともに基板搬送方向前方へ流動することが効果的に阻止されるので、水洗領域202外への残留液の持ち出し量が低減される。さらに、水洗領域202内に基板Wが搬入されていないときには洗浄水の吐出を停止することにより、洗浄水の使用量をより少なくすることができる。そして、基板W上の残留液が水洗領域202外へ持ち出されることが効果的に阻止されるので、後述する直水洗領域203内で基板Wの直水洗に使用された後の洗浄水の汚染が低減される。この結果、直水洗領域203で使用された洗浄水の循環使用率が高まり、ひいてはそれが純水使用量のさらなる節減につながることとなる。
【0082】
なお、基板搬送方向において、高圧ノズル18を挟んで2つの強制排出ノズル100を配設する代わりに、高圧ノズル18を配設することなく基板搬送方向に3つ以上の強制排出ノズル100を所定間隔を置いて連接しても良い。
【0083】
直水洗領域203内には、水洗領域202から直水洗領域203内へ搬入されてきた水洗処理後の基板Wを、水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に傾斜させた姿勢で(基板Wの手前側が低くなるように)支持し直水洗領域203内において一方向に連続して水平方向へ搬送する複数の搬送ローラ(図示せず)と、直水洗領域203内を水平方向へ搬送される基板Wの上・下両面へそれぞれ洗浄水を吐出する上部スプレーノズル86および下部スプレーノズル88を備えている。上部スプレーノズル86および下部スプレーノズル88は、基板搬送方向に沿ってかつ互いに平行にそれぞれ複数本設けられ、各スプレーノズル86、88には、基板搬送方向に複数個の吐出口が一列に形設されている。上部スプレーノズル86および下部スプレーノズル88には、純水(新水)の供給源に流路接続された純水供給路89が連通接続されており、この直水洗領域203での水洗処理では、使用済みの純水を循環させた洗浄水を使用していない。
【0084】
基板Wは、直水洗領域203内において往復移動したり一時停止したりすることなく、搬送ローラによって例えば9m/min〜20m/minの高速で搬送される。また、基板Wは、基板搬送方向において例えば1枚分位の間隔を空けて次々と直水洗領域203内へ搬入されてくる。
【0085】
直水洗領域203内にて直水洗処理を終えた基板Wは、搬送ローラにより直水洗領域203の基板搬出口を通って直水洗領域203の後段側に設けられた乾燥処理部(図示せず)に搬送されて、乾燥処理される。
【0086】
上記した構成を備えた基板洗浄処理装置においては、仕切板118および120により置換水洗領域201、水洗領域202および直水洗領域203に画定された単体の水洗処理室10によって薬液処理後の基板の水洗処理が完了されるので、従来のように、個別・別体の置換水洗室、水洗室および直水洗室の都合3室分の大きさのフットプリントを必要とせず装置全体の省スペース化を図ることができ、さらに3室分の全製造コストに比較して製造コストの低減化が達成できる。
【0087】
なお、仕切板118および120の水洗処理室10内の基板搬送方向における設置位置を適宜選択することにより、水洗処理室10内の基板搬送方向における置換水洗領域201、水洗領域202および直水洗領域203の長さ寸法をそれぞれ所望の寸法に簡易に設定することができるとともに、循環水タンク116の貯留部116aおよび116bへの水洗領域202および直水洗領域203からの使用済み洗浄水の回収量および濃度を所望の値に設定することができる。
【0088】
また、上記した実施形態では、基板Wを傾斜姿勢に支持して置換水洗領域201、水洗領域202、直水洗領域203の各領域内を水平方向へ搬送するようにしているが、基板を水平姿勢に支持して搬送するようにしてもよい。
【0089】
なお、この発明は、レジスト剥離処理やエッチング処理のほか、各種の薬液処理を行った後の基板の水洗処理に広く適用し得るものである。
【符号の説明】
【0090】
1 薬液処理部
3 第2水洗部
4 直水洗部
5 置換水洗部(第1水洗部)
10 水洗処理室
12 基板搬入口
16 入口ノズル
18 高圧ノズル
18a 直列高密度扇形スプレーノズル
18b 2流体スプレーノズル
20、62 下部スプレーノズル
22 エアーノズル
24 排液路
26 フード
28 排気管
30、72、80 洗浄水供給路
32、78 送液ポンプ
34、36 エアー供給管
38 薬液処理室
54 第2水洗室
60、62、86、88 スプレーノズル
64 循環排水路
68、69 純水供給路
70 直水洗室
90 排気管
92a スプレーパイプ
92b 2流体スプレーヘッダー管
94a ノズル部
94b 2流体ノズル部
96 エアー供給路
100 強制排出ノズル
104、106 基板位置センサ
108 制御回路
116 循環水タンク
118、120、122 仕切板
200、300 基板洗浄処理装置
201 置換水洗領域
202 水洗領域
203 直水洗領域
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送方向において置換水洗領域、水洗領域および直水洗領域にこの順に画定され、薬液処理後の基板に対し水洗処理を行う水洗処理室と、
前記置換水洗領域内に配設され基板を一方向に連続して水平方向へ搬送する基板搬送手段と、
前記基板搬送手段によって搬送される基板の主面へ洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、
を備えた基板洗浄処理装置であって、
前記洗浄水供給手段は、
前記置換水洗領域内の入口付近に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板の主面へ洗浄水を基板の幅方向全体にわたって吐出する入口ノズルと、
前記入口ノズルより基板搬送方向における前方側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板上の薬液と洗浄液との混合液が基板搬送向における前方側へ流動するのをせき止めて基板上の薬液が洗浄水で急速に置換されるように基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出する高圧ノズルと、
前記置換水洗領域内において前記入口ノズルより基板搬送方向における前方側でかつ搬送される基板の一方側端縁付近において基板に近接して配設され、高圧の洗浄水を基板の他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出することにより基板上に基板の他方側端縁方向に流動する液流れを形成し、当該液流れにより基板上に残留する薬液と洗浄水との混合液を基板上から強制的に排出する高圧排出ノズルと、
前記入口ノズル、前記高圧ノズルおよび前記高圧排出ノズルへ洗浄液を送液する送液手段と、
前記置換水洗領域内へ基板が搬入される前に前記入口ノズル、前記高圧ノズルおよび前記高圧排出ノズルからの洗浄水の吐出を開始し、前記置換水洗領域内から基板が搬出された後に前記入口ノズル、前記高圧ノズルおよび前記高圧ノズルからの洗浄水の吐出を停止するように前記送液手段を制御する制御手段と、
を備えて構成され、
前記入口ノズルより基板搬送方向における前方側に、基板搬送方向に対して交差するように配設され、基板に薬液と洗浄液との混合液が付着して置換水洗領域外へ持ち出されるのを阻止するように基板の主面へ気体を直下方向ないし基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出する気体ノズルと、
前記置換水洗領域の内底部に流下した洗浄水を排出する排水手段と、
をさらに備えたことを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄処理装置において、
前記入口ノズル、前記高圧ノズル、前記高圧排出ノズルおよび前記気体ノズルが、基板搬送方向においてこの順に配設されることを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の基板洗浄処理装置において、
前記入口ノズルが、長手方向に沿ったスリット状吐出口を有し、そのスリット状吐出口から基板の主面へ洗浄水を、直下方向に対して基板搬送方向における前方側へ傾斜した方向にカーテン状に吐出するスリットノズルであることを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、
前記高圧ノズルが、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ扇状に洗浄水を高圧で吐出する直列高密度扇形スプレーノズルであることを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、
前記高圧ノズルが、基板搬送方向に対して交差する方向に互いに近接して並設された複数の吐出口を有し、各吐出口からそれぞれ気体の圧力で洗浄水をミスト化して吐出する2流体スプレーノズルであることを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、
前記高圧ノズルに、その吐出口から吐出される洗浄水のミストが飛散するのを防止するためのフードが付設されたことを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板洗浄処理装置において、
前記フードを通して洗浄水のミストを吸引し排出するミスト吸引装置が併設されたことを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7に記載の基板洗浄処理装置において、基板搬送方向に対して直交する方向に前記高圧排出ノズルから所定の間隔を置いて少なくとももう1つの高圧排出ノズルが連設されることを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の基板洗浄処理装置において、
前記水洗領域内に基板を一方向に連続して水平方向へ搬送する基板搬送手段が配設され、さらに前記水洗領域内に搬送される基板の一方側端縁付近において基板に近接して第1の高圧排出ノズルが配設されるとともに、当該第1の高圧排出ノズルから基板搬送方向において所定の間隔を置いて、搬送される基板の一方側端縁付近において基板に近接して少なくとももう1つの第2の高圧排出ノズルが配設され、当該第1および第2の高圧排出ノズルから高圧の洗浄水を基板の他方側端縁方向ないし基板搬送方向後方に向けて吐出することにより基板の他方側端縁方向に流動する液流れを基板上に形成し、当該液流れにより基板上の残留液を強制的に排出することを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の基板洗浄処理装置において、
前記水洗領域内に、基板搬送方向において前記第1および第2の高圧排出ノズルの間に、基板搬送方向に対して交差するように高圧ノズルが配設され、当該高圧ノズルから基板の主面へ洗浄水を高圧で吐出することにより、基板上の残留液が基板搬送向における前方側へ流動するのをせき止めて基板上の残留液が洗浄水で急速に置換され、
前記高圧ノズルより基板搬送方向における前方側に、基板搬送方向に対して交差するように気体ノズルが配設され、当該気体ノズルから基板の主面へ気体を直下方向ないし基板搬送方向に対して斜め逆方向に噴出することにより、基板上の付着液が前記水洗領域外へ持ち出されるのを阻止することを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の基板洗浄処理装置において、
前記送液手段は、前記第1および第2の高圧排出ノズルならびに前記高圧ノズルへ洗浄液を送液し、
前記制御手段は、前記水洗領域内へ基板が搬入される前に前記第1および第2の高圧排出ノズルならびに前記高圧ノズルからの洗浄水の吐出を開始し、前記水洗領域内から基板が搬出された後に前記第1および第2の高圧排出ノズルならびに前記高圧ノズルからの洗浄水の吐出を停止するように前記送液手段を制御することを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、
前記水洗領域および前記直水洗領域において使用され回収された洗浄水の一部が、前記置換水洗領域内に配設された前記入口ノズル、前記高圧ノズルおよび前記高圧排出ノズルへ供給されることを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の基板洗浄処理装置において、
前記送液手段は、第1および第2の貯留部に画定される循環水タンクを備え、
当該第1の貯留部へ前記水洗領域によって画定される前記水洗処理室からの使用済みの洗浄水が回収され、当該第2の貯留部へ前記直水洗領域によって画定される前記水洗処理室からの使用済みの洗浄水が回収されることを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の基板洗浄処理装置において、
前記水洗処理室内において基板搬送方向と交差する方向に延在する第1および第2の仕切部材が設置され、当該第1仕切部材により前記置換水洗領域と前記水洗領域とが画定され、前記第2仕切部材により前記水洗領域と前記直水洗領域が画定されることを特徴とする基板洗浄処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−198892(P2011−198892A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62152(P2010−62152)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】