説明

基板洗浄処理装置

【課題】 処理液に溶解する二酸化炭素の量を、所望の濃度以上に維持し、かつ、二酸化炭素を無駄に消費しないようにした基板洗浄処理装置を提供する。
【解決手段】 比抵抗計81が、所望の比抵抗値より高い値を検出するとコントローラ82は開閉制御弁V5を開け二酸化炭素が供給される。すなわち、ポンプ24が、吸込み管25によって処理液タンク31から吸い込んだ処理液は、処理液送出管23、分岐管27、開閉制御弁V4、戻し管28、ミキシングユニット50、撹拌ノズル61を経て処理液タンクに戻る処理液循環路を循環する動作を行い、循環動作の途中のミキシングユニット50にて二酸化炭素を混入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、プラズマ表示装置や有機EL表示装置等の画像表示装置用ガラス基板、フォトマスク用基板、光ディスク用基板、半導体ウエハ、太陽電池用基板等の各種基板(以下、単に基板という)に対して、処理液を供給することによって、基板表面を洗浄処理する基板洗浄処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置のうち、純水で基板を洗浄する基板洗浄処理装置においては、純水と基板との摩擦で発生する静電気を抑制するために、二酸化炭素を溶解させた純水が使用される。
【0003】
また、基板表面に残存する使用済みレジスト膜を、例えばアミン基を含む有機剥離液で剥離した後に、純水で水洗するまでの間に、基板に付着している有機剥離液の滴を除去するリンス処理工程に使用する基板洗浄処理装置においても、リンス液用の処理液として二酸化炭素を溶解させた純水が使用される。これは、有機剥離液の滴が多量に付着したままで基板を水洗すると、有機剥離液中のアミン基が水と反応して生成されるアルカリ成分によって、基板表面が損傷(いわゆるアルカリ焼け)するのを防止するためであり、二酸化炭素を溶解させた純水からなるリンス液を用いることにより、リンス液が炭酸イオンで弱酸性になり、アルカリ成分を中和するためである。
【0004】
特許文献1には、基板にリンス液を供給する配管の途中に、ガス溶解モジュールを介挿し、このモジュールの内部に貯留する純水中で二酸化炭素をバブリングすることによって、配管を流れる液に二酸化炭素を溶解させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−273984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、処理液を貯留したタンクに、二酸化炭素をバブリングする量は、処理液を消費する量が最大の状況でも、所望の比抵抗値を越えないように、または、所望のpH値を越えないように、この処理液を最大に消費する状況を基準として、不足しないように供給していた。このため、処理液を大量に消費しない状況では、二酸化炭素が必要を上回る濃度に溶解し、二酸化炭素を無駄に消費することがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解消しようとしてなされたものであり、処理液に溶解する二酸化炭素の量を、所望の濃度以上に維持し、かつ、二酸化炭素を無駄に消費しないようにした基板洗浄処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基板に、二酸化炭素を溶解した処理液を供給して、基板の表面を処理する基板洗浄処理装置において、基板に供給する処理液を貯留する処理液タンクと、前記処理液タンクから吸い込んだ処理液を、前記処理液タンク内に吹き出す処理液循環路と、二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給源と、前記二酸化炭素供給源から供給される二酸化炭素の量を操作する二酸化炭素調節手段と、前記処理液循環路に設けられ、前記二酸化炭素供給源から供給される二酸化炭素を混入するミキシングユニットと、前記処理液タンク内の処理液の比抵抗を測定する比抵抗測定手段と、前記比抵抗測定手段からの測定信号に基づいて、前記二酸化炭素調節手段を制御するコントローラを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の基板洗浄処理装置において、前記処理液循環路の終端に、前記処理液タンク内に貯留されている処理液中で、処理液を広げて吹き出す攪拌ノズルを付設することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2のどちらかに記載の基板洗浄処理装置において、前記ミキシングユニットの内部に、通過する処理液の流路を狭くした狭隘部を設け、前記二酸化炭素供給源から供給される二酸化炭素が処理液に混入する位置を、該狭隘部または、該狭隘部より上流にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1から請求項3に記載の発明は、比抵抗測定手段が処理液タンク内の処理液の比抵抗値を測定し、その測定結果に基づいて、コントローラが処理液に溶解させる二酸化炭素の量を、所望の比抵抗値以下となるように必要な濃度に維持し、かつ、二酸化炭素を無駄に消費しないように過剰に供給することが無いように制御する。本発明による二酸化炭素の供給制御は、処理液の比抵抗値に基づくので、二酸化炭素の濃度変化に俊敏に相関するので、二酸化炭素が必要濃度に達したら迅速に二酸化炭素の供給を停止したり、減少したら迅速に供給させたりできる。二酸化炭素の供給制御が高速であり、二酸化炭素を無駄に消費することない。例えばpH値の測定に基づいて二酸化炭素の供給を制御するような技術では、二酸化炭素が水に溶解しても、緩衝作用のためにpH値が直ぐには変化せず、少々時間を要し俊敏には制御できない。一方、本発明はpH測定値ではなく、比抵抗値の測定結果に基づいて二酸化炭素の供給を制御するので、本発明では、高速に制御でき、二酸化炭素を無駄にしない。
【0012】
また、本発明における二酸化炭素の溶解は、処理液タンクから吸い込んだ処理液を処理液タンク内へ戻す処理液循環路に設けたミキシングユニットで、循環中の処理液に二酸化炭素を混入することにより行われる。二酸化炭素は、処理液とともに処理液タンク内に吹き出されるので、処理液タンク内の処理液と能動的に混ざり、処理液に早く溶解する。二酸化炭素が処理液に早く溶解するため、二酸化炭素を供給したら直ぐに、処理液の比抵抗値が下がり、この作用も相乗して、二酸化炭素の供給を高速に制御でき、二酸化炭素を無駄にしない。
【0013】
特に、請求項2に記載の発明によれば、処理液流路の下流端部を、処理液を広げて噴出する攪拌ノズルにしたので、処理液供給路から出る処理液は、処理液タンク内の広い範囲に対して、出てきた勢いを及ぼして、処理液タンク内の処理液を効率よく攪拌し、二酸化炭素を更に効率的に溶解し、処理液に溶解できずに大気中に逃してしまう無駄を解消できる。
【0014】
特に、請求項3に記載の発明によれば、ミキシングユニット内に流路を狭くした狭隘部を設けたので、処理液の流れは、狭隘部を通過する際に速度が上がり、狭隘部を通過した直後に、流路面積が急に広がることで速度が下がり、その際に乱流となる。また、処理液の圧力は、狭隘部で一度下がったのち、狭隘部を通過した直後に高くなる。狭隘部通過時と、狭隘部通過直後での前記した各種変化によって、処理液と一緒に流れる二酸化炭素の気泡は細かく分かれて微細な泡に分散し、乱流となった処理液とよく混ざり、効率的に溶解する。処理液に溶解できずに大気中に逃してしまう二酸化炭素の無駄を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板洗浄処理装置の概略構成を示す模式的正面断面図である。
【図2】第1実施形態のミキシングユニットの概略斜視図である。
【図3】第1実施形態の基板洗浄処理装置おいて、比抵抗値の測定結果と、それに基づいて制御される二酸化炭素の供給量の変動を測定した結果を示すグラフである。
【図4】第1実施形態の基板洗浄処理装置において、攪拌ノズルによって二酸化炭素の溶解が効率的に進むことを確認した測定結果を示すグラフである。
【図5】第2実施形態でのミキシングユニットおよび攪拌ノズルの向きを示す処理液タンクの概略構成を示す模式的正断面図である。
【図6】第3実施形態でのミキシングユニットの向き、および攪拌ノズルを示す処理液タンクの概略構成を示す模式的平面図である。
【図7】第4実施形態でのミキシングユニットの向き、および攪拌ノズルを示す処理液タンクの概略構成を示す模式的平面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る基板洗浄処理装置の概略構成を示す模式的正面断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る基板洗浄処理装置の概略構成を示す模式的正面断面図である。
【図10】第7実施形態におけるミキシングユニットの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
<1.第1実施形態>
図1に示す基板洗浄処理装置1は、純水に二酸化炭素を溶解した洗浄液を処理液として、基板を洗浄処理する装置である。この基板洗浄処理装置1は、入口側開口11および出口側開口12を有する処理チャンバー10を備え、処理チャンバー10の内部には、基板Wを水平姿勢もしくは僅かに傾斜した姿勢に支持して水平方向へ搬送するローラコンベア13が配設されている。この処理チャンバー10の内部には、基板搬送路を挟んでその上方および下方に、それぞれ基板搬送路に沿って上部スプレイノズル14および下部スプレイノズル15が連設されている。
【0018】
上部スプレイノズル14および下部スプレイノズル15には、処理液給管21、22がそれぞれ連通接続されている。処理液供給管21、22には、開閉制御弁V1、V2がそれぞれ介挿され、それぞれ処理液送出管23に連通接続される。処理液送出管23はポンプ24の吐出口側に流路接続されている。ポンプ24の吸込口側は、吸込み管25を介して、処理液が貯留された処理液タンク31の底部近傍に流路接続されている。
【0019】
また、ポンプ24の吐出口側に流路接続されている処理液送出管23は、開閉制御弁V1と開閉制御弁V2に連通接続するように分岐する他に、分岐管27を派生するように分岐している。この分岐管27の下流側は、開閉制御弁V4に連通接続している。開閉制御弁V4には、ポンプ24から吐出された処理液を処理液タンク31へ戻す戻し管28が連通接続している。この戻し管28の下流側は、処理液タンク31内に貯留される処理液の液面下、処理液タンク31の底部にまで延び、処理液中にて、ミキシングユニット50に連通接続している。
【0020】
ミキシングユニット50は、二酸化炭素を純水や処理液に注ぐ二酸化炭素注入手段であり、図2に示すように、処理液流入口51、処理液流出口52、二酸化炭素流入口53を有し、それらの口を内部で一つに出合わせる三叉路を構成する三方管である。より詳細に説明すると次のような構造である。
【0021】
すなわち、処理液流入口51は、戻し管28の下流端側に連通接続する。処理液流入口51と処理液流出口52は、ミキシングユニット50の内部を直線状に貫通する内部流路54で連通している。
【0022】
二酸化炭素流入口53からミキシングユニット50の内部へは、二酸化炭素導入路55が延び、この二酸化炭素導入路55は、内部流路54と直交するように「T」字型に連通接続する。なお、内部流路54と二酸化炭素導入路55は、いわゆるチーズとなるように「T」字型に連通接続するように、直角に出合うことに限定されることはなく、斜めに出合う三叉路であってもよい。
【0023】
二酸化炭素導入路55は、内部流路54の内壁から、中央へ突出する二酸化炭素導出管56に連通接続している。二酸化炭素導出管56は、突出した先端部にて、処理液流出口52の方向へ、二酸化炭素を出す横穴57を開口している。
【0024】
ミキシングユニット50は、上記したように、内部流路54の内壁から、中央へ突出する二酸化炭素導出管56から二酸化炭素を出すようにしたことにより、内部流路54を流れる処理液の流れの中央に二酸化炭素を供給し、処理液と二酸化炭素とが混じり易い。
【0025】
ミキシングユニット50の処理液流出口52には、処理液タンク31内の処理液中にて、処理液を広げて噴出する撹拌ノズル61を連通接続している。この攪拌ノズル61は、処理液タンク31に貯留されている処理液に浸かるように配置し、処理液タンク31内に貯留されている処理液を効率的に攪拌する。なお、この攪拌ノズル61は、大気中で液を噴き出させたら、扇状に液を飛散させるいわゆるスプレイノズルを使用している。
【0026】
二酸化炭素供給源71には、二酸化炭素供給管72が連通接続している。二酸化炭素供給管72は、途中に開閉制御弁V5を介挿して、ミキシングユニット50の二酸化炭素流入口53に連通接続している。この開閉制御弁V5を操作することによって、二酸化炭素供給源71から供給される二酸化炭素の量を加減できる。この開閉制御弁V5は二酸化炭素の流量を調節する二酸化炭素調節手段である。なお流量の調節は、開閉制御弁V5を開けるか、閉じるか二者択一的に操作するだけに限らず、開ける度合いを加減するようにしてもよい。
【0027】
純水供給源41は、前段純水供給管42が連通接続し、前段純水供給管42の下流側は開閉制御弁V3に連通接続する。開閉制御弁V3は後段純水供給管43が連通接続し、後段純水供給管43の下流端側は、処理液タンク31の上方から、処理液タンク31の底を臨むように配置され、前記下流端から処理液タンク31へ純水を注入するようにしている。
【0028】
処理チャンバー10の底部には、流出管91が連通接続されており、流出管91は、回収用配管92と排液用配管93とに分岐している。回収用配管92の下流端出口は、処理液タンク31へ導入されている。また、排液用配管93を通って使用済みの処理液が、廃棄ないし基板処理装置1とは別の装置にて再活用されるようになっている。回収用配管92および排液用配管93には、開閉制御弁V6、V7が介挿されている。
【0029】
処理液タンク31には、比抵抗計81が、処理液タンク31が貯留する処理液の比抵抗を計測するように、設置されている。この比抵抗計81からの計測信号は、コントローラ82に入力されるようになっている。コントローラ82から開閉制御弁V5へ制御信号が送られ、その制御信号によって開閉制御弁V5の開閉動作が制御される。
【0030】
次に図1に示した構成の基板洗浄処理装置1における処理動作の1例について説明する。
【0031】
基板洗浄処理に先立ち、処理液タンク31に純水を貯留する。そのために、先ず、開閉制御弁V3だけを開け、その他の開閉制御弁は閉じる。この状態で、純水供給源41から所定量の純水を、純水供給管42を経て、処理液タンク31に貯める。
【0032】
処理液タンク31内で、ポンプ24を起動できる高さまで純水が貯まると、ポンプ24を駆動し、開閉制御弁V4を開ける。処理液タンク31内に貯留された純水は、吸込み管25、ポンプ24、処理液送出管23の一部(ポンプ24と分岐管27までの間の部分)、分岐管27、開閉制御弁V4、戻し管28、ミキシングユニット50、撹拌ノズル61を経て、処理液タンク31に戻る処理液循環路に沿って循環し、二酸化炭素混入用の循環動作が開始される。
【0033】
引き続き、処理液タンク31内で、比抵抗計81が測定可能となるまで純水が貯まると、比抵抗計81は測定を開始する。この時点では、まだ純水への二酸化炭素の供給を行っていないので、比抵抗計81は、所望の比抵抗値より高い値の検出信号をコントローラ82へ送信する。そして、コントローラ82は、開閉制御弁V5を開けるように指令する。
【0034】
開閉制御弁V5が開くと、二酸化炭素供給源71から、二酸化炭素供給管72、開閉制御弁V5を経て、二酸化炭素がミキシングユニット50へ供給される。ミキシングユニット50への二酸化炭素の供給は、二酸化炭素流入口53が入り口であり、二酸化炭素流入口53からミキシングユニット50内に注入された二酸化炭素は、二酸化炭素導出管56を通って横穴57から出る。横穴57から出た二酸化炭素は、ミキシングユニット50の内部流路54を通過する処理液に混ざる。
【0035】
このように、比抵抗計81が測定を開始すると、処理液タンク31に注がれた純水は、前記した処理液循環路に設けられたミキシングユニット50にて二酸化炭素が混入され、二酸化炭素の気泡混じりの純水が、撹拌ノズル61から噴出される。攪拌ノズル61を通過する際に、二酸化炭素の気泡は細かな泡に分かれて処理液タンク31内を広がるようにして吹き出され、二酸化炭素の溶解が促進される。撹拌ノズル61から噴出される純水は、処理液タンク31内に広く行き渡るように吹き出されるので、処理液タンク31内の純水(処理液)を攪拌し、二酸化炭素がむら無く溶解する。
【0036】
上記したように処理液タンク31内の純水を循環動作しながら二酸化炭素を混入することを続けると、比抵抗計81は所望の比抵抗値にまで下がったことを検出する。その検出信号を受けてコントローラ82は、開閉制御弁V5に対し閉じるよう指令し、二酸化炭素の供給が停止される。これで、処理液タンク31に、所望の比抵抗値以下となるように二酸化炭素を溶解した純水を、処理液タンク31に貯留する作業は完了する。
【0037】
ここまでが、基板Wを洗浄する準備であり、次に、洗浄処理を開始する。まず、開閉制御弁V4を開けることを継続した状態で、開閉制御弁V1、V2およびV6を開ける。ポンプ24は、吸込み管25によって処理液タンク31から吸い込んだ処理液を、処理液送出管23、開閉制御弁V1、開閉制御弁V2、処理液給管21、処理液供給管22、上部スプレイノズル14および下部スプレイノズル15へと送液する。
【0038】
上部スプレイノズル14および下部スプレイノズル15から処理液のスプレイを開始すると、処理チャンバー10の入口側開口11から、基板Wをローラコンベア13に乗せて、処理チャンバー10内へ運ぶ。基板Wは、出口側開口12まで移動する間に、上部スプレイノズル14および下部スプレイノズル15からスプレイされる処理液によって洗浄処理が施される。
【0039】
基板Wへ向けてスプレイされた処理液は、基板Wと接触後、処理チャンバー10の底部に集まり、流出管91、回収用配管92、開閉制御弁V6を経て、処理液タンク31に戻る。
【0040】
処理液を基板Wにスプレイする洗浄処理動作の最中に、比抵抗計81が、所望の比抵抗値より高い値を検出すると、その検出信号に基づいてコントローラ82は、開閉制御弁V5を開けるように指令し、二酸化炭素の供給が再開される。すなわち、ポンプ24が、吸込み管25によって処理液タンク31から吸い込んだ処理液は、処理液送出管23を通って、上部スプレイノズル14および下部スプレイノズル15からスプレイされるのと並行して、分岐管27、開閉制御弁V4、戻し管28、ミキシングユニット50、撹拌ノズル61を経て処理液タンク31に戻る処理液循環路を循環する動作を行い、循環動作の途中のミキシングユニット50にて二酸化炭素を混入する。
【0041】
上記した二酸化炭素混入用の循環動作を続けるうちに、比抵抗計81は所望の比抵抗値にまで下がったことを検出すると、その検出信号を受けてコントローラ82は、開閉制御弁V5に対し閉じるよう指令し、二酸化炭素の供給は停止する。以後、比抵抗計81の検出データに基づいて、コントローラ82は開閉制御弁V5に指令して、二酸化炭素の供給を制御する。
【0042】
なお、上記した一連の動作において、開閉制御弁V5を閉じるのと同時に、開閉制御弁V4も閉じても良いが、開閉制御弁V4を開けたままの状態を継続する方が望ましい。処理液タンク31内の処理液を攪拌することが継続できるからである。
【0043】
図3は、上記した一連の動作における比抵抗計81による比抵抗値の測定結果と、それに基づいて開閉制御弁V5が開閉制御されている様子を測定したグラフである。このグラフにおいて、三角波のような波線は、比抵抗計81による比抵抗値の測定結果である。略台形型の実線は、開閉制御弁V5の開閉状態を示し、この波形において縦軸の零の位置で推移する部分は、開閉制御弁V5が閉栓状態であって二酸化炭素の供給停止状態を示し、台形の上辺に沿って推移する波形部分は開閉制御弁V5が開栓状態であって二酸化炭素の供給状態を示す。
【0044】
なお、横軸の零は、上記した一連の動作において、基板Wの洗浄準備段階で、処理液タンク31内で、比抵抗計81が測定可能となるまで純水が貯まって来て、比抵抗計81からの検出信号に基づいて、コントローラ82が開閉制御弁V5を開けた時点である。また、基板Wの洗浄処理の開始は、比抵抗計81が検出した比抵抗値が、1.0MΩ・cm(=10kΩ・m:図3の縦軸H)を最初に下回った時点(図3の横軸t1)である。
【0045】
図3から明らかなように、所望の比抵抗値(図3の場合は、1.0MΩ・cm=10kΩ・m)以下を維持するように、二酸化炭素が供給され、しかも、二酸化炭素を過剰(不必要に多く)に供給しないように、この場合は0.2MΩ・cm(=2kΩ・m)に設定した比抵抗下限値(図3の縦軸L)まで下がってくると、二酸化炭素の供給が停止され、無駄に二酸化炭素を消費しないことが確認できる。
【0046】
以上のようにして基板Wを洗浄処理するうちに、処理液の汚染が進み、処理液を新しくする場合には、開閉制御弁V6を閉じて、開閉制御弁V7を開き、排液用配管93を通して基板処理装置1の外部へ処理液を廃棄する。
【0047】
なお、処理液の全部を新しくする場合には、以上の動作を最初から、繰り返せばよい。一部を新しくする場合には、廃棄した分量だけ、純水供給源41から純水を供給すればよい。
【0048】
ただし、新しく純水を供給すると、新しく供給する純水の量にもよるが、処理液タンク31に貯留されている処理液は、二酸化炭素濃度が薄まるので、比抵抗計81は、所望の比抵抗値より高い値を検出し、その検出信号に基づいてコントローラ82は、開閉制御弁V5を開けるように指令し、二酸化炭素が供給される。
【0049】
上記した純水を追加供給する際には、比抵抗計81からの検出信号が、基板に対する洗浄処理を継続するには無理がある程に、高い比抵抗値を検出した場合には、基板の処理を中断するように、コントローラ82は警告表示手段に指令する、或いは、ローラコンベア13を止めるように制御させてもよい。
【0050】
以上説明したように、第1実施形態に係る基板洗浄処理装置は、比抵抗計81の検出信号に基づいて、処理液タンク31内に貯留されている処理液(純水)に対して、所望の比抵抗値以下となるように、コントローラ82が開閉制御弁V5を制御して二酸化炭素を、混入するようにしたので、基板Wに供給される処理液は、所望の比抵抗値以下となる。また、比抵抗計81からの検出信号に基づいて、コントローラ82は二酸化炭素の供給を停止するので、無駄に二酸化炭素を供給するこがなく、二酸化炭素を無駄にしない。
【0051】
また、いったん処理液タンク31に貯留した処理液を、所望の比抵抗値以下となるように二酸化炭素を溶解させてから、処理液タンク31から基板へ処理液を供給しているので、基板へ処理液を供給する配管の途中で二酸化炭素を混入させる装置構造と比較して、所望の比抵抗値以下となるように確実に二酸化炭素を溶解させた処理液を基板へ供給することができる。
【0052】
また、戻し管28の下流側は、処理液タンク31内の処理液中に延び、処理液を広げて噴出する撹拌ノズル61を連通接続しているので、二酸化炭素混入用の循環動作を行う際に、二酸化炭素が混入された処理液が、攪拌ノズル61を通過することによって、処理液タンク31内の処理液を広い範囲で攪拌し、溶解しきれなくて気泡となって出てきた二酸化炭素も、細かな泡に分かれて処理液タンク31内に広がり、溶解を促進することができる。
【0053】
図4は、攪拌ノズル61によって二酸化炭素の溶解が効率的に進むことを示す測定データである。横軸は、第1実施形態にかかる基板洗浄処理装置にて、前記した二酸化炭素混入用の循環動作で、二酸化炭素の供給を開始した時点を、横軸の零として、二酸化炭素の供給を開始してからの時間を示す。縦軸は、比抵抗計81で測定される比抵抗値を示す。
【0054】
丸印でプロットした波形は、攪拌ノズル61を取り外した状態で、二酸化炭素を毎分1.0リットル供給した場合に比抵抗値が低下する様子を測定した波形である。三角印でプロットした波形は、攪拌ノズル61を取り付けた状態で、二酸化炭素を毎分1.0リットル供給した場合に比抵抗値が低下する様子を測定した波形である。四角印でプロットした波形は、攪拌ノズル61を取り付けた状態で、二酸化炭素を前記の半分すなわち、毎分0.5リットル供給した場合に比抵抗値が低下する様子を測定した波形である。
【0055】
丸印の波形と三角印の波形との比較から明らかなように、同じ流量の二酸化炭素を供給しても、攪拌ノズル61を使用した場合には、比抵抗が半分以下に低下することができる。
【0056】
また、丸印の波形と四角印の波形との比較から明らかなように、四角印の波形は、二酸化炭素の流量が丸印の半分であるが、攪拌ノズル61を使用したことにより、比抵抗値は、丸印と同等程度まで低下することが解る。すなわち、攪拌ノズル61を使用して、処理液タンク31内の処理液を積極的に攪拌することにより、攪拌ノズル61を使用しない場合の半分の二酸化炭素供給量で、同じように比抵抗値を下げることができ、二酸化炭素を節約できることが確認できる。
【0057】
<2.第2実施形態>
第2実施形態にかかる基板洗浄処理装置は、第1実施形態に係る基板洗浄処置装置1とは、図5に示すように、ミキシングユニット250および、攪拌ノズル261の向きが違う。その他は第1実施形態と同じである。
【0058】
第2実施形態では、ミキシングユニット250は、処理液流出口52が鉛直上方へ向けて、すなわち、処理液タンク31の底近くから液面へ向けている。攪拌ノズル261から吹き出された処理液は、液面に向かって上昇したのち、四方に分散して、処理液タンク31内をむら無く攪拌し、二酸化炭素は高い効率で溶解される。
【0059】
<3.第3実施形態>
第3実施形態にかかる基板洗浄処理装置は、第1実施形態に係る基板洗浄処置装置1とは、図6に示すように、ミキシングユニット350の向き、および、攪拌ノズル361が違い、攪拌ノズル361によって吹き出される処理液の向きが違う。その他は第1実施形態と同じである。
【0060】
第3実施形態では、ミキシングユニット350は、処理液流出口52が鉛直上方、すなわち処理液中から液面へ向けている。攪拌ノズル361は、水平な一方向に長く、その方向に長いスリット状の開口から処理液をカーテン状に吹き出す。吹き出された処理液は、液面に向かって上昇したのち、2方に分散して、処理液タンク31内をむら無く攪拌し、二酸化炭素は高い効率で溶解される。
【0061】
<4.第4実施形態>
第4実施形態にかかる基板洗浄処理装置は、第1実施形態に係る基板洗浄処置装置1とは、図7に示すように、ミキシングユニット450の向き、および、攪拌ノズル461が違い、攪拌ノズル461によって吹き出される処理液の向きが違う。その他は第1実施形態と同じである。
【0062】
第4実施形態では、ミキシングユニット450は、処理液流出口52が鉛直上方、すなわち処理液中から液面に向けている。攪拌ノズル461は、ミキシングユニット450の処理液流出口52から、液面近くにまで延びる中空円筒体で、その円筒形外周面に、多数開口した小孔から処理液を四方へ吹き出す。上下方向に関しては、ミキシングユニット450から液面までの高さに渡って、処理液を吹き出す。したがって、上下および、水平方向の四方に渡って、処理液は広く分散するように処理液タンク31内の隅々へ吹き出され、攪拌し、二酸化炭素が高位率的に溶解される。
【0063】
<5.第5実施形態>
図8に示す基板洗浄処理装置501は、第5実施形態にかかる装置である。この基板処理装置501の処理チャンバー510およびその内部は、第1実施形態と同じである。
【0064】
上部スプレイノズル514および下部スプレイノズル515には、処理液給管521、522がそれぞれ連通接続されており、処理液供給管521、522には、開閉制御弁V51、V52がそれぞれ介挿されている。各処理液供給管521、522は、それぞれ処理液送出管523に連通接続され、処理液送出管523はポンプ524の吐出口側に流路接続されている。ポンプ524の吸込口側は、吸込み管525を介して、処理液が貯留された処理液タンク531の底部近傍に流路接続されている。
【0065】
ポンプ524の吐出口側に流路接続されている処理液送出管523は、開閉制御弁V51と開閉制御弁V52に連通接続するように分岐する他に、分岐管527を派生するように分岐している。この分岐管527の下流側は、開閉制御弁V54に連通接続している。開閉制御弁V54には、ポンプ524から吐出された処理液を処理液タンク531へ戻す戻し管528が連通接続している。この戻し管528の下流端側は、処理液タンク531内に貯留される処理液の液面下、処理液タンク531の底近くまで延び、処理液中にて、ミキシングユニット550に連通接続している。
【0066】
ミキシングユニット550は、第1実施形態のミキシングユニット50と構造は同じである。ミキシングユニット550の処理液流出口52には、処理液タンク531内の処理液中にて、処理液を広げて噴出する撹拌ノズル561が連通接続されている。
【0067】
純水供給源541は、前段純水供給管542が連通接続し、前段純水供給管542の下流側は開閉制御弁V53に連通接続する。開閉制御弁V53は後段純水供給管543が連通接続し、後段純水供給管543の下流端側は、戻し管528の途中に、つまり、開閉制御弁V54からミキシングユニット550へ至る戻し管528の途中に連通接続している。
【0068】
二酸化炭素供給源571には、二酸化炭素供給管572が連通接続している。二酸化炭素供給管572は、途中に開閉制御弁V55を介挿して、ミキシングユニット550の二酸化炭素流入口53に連通接続している。
【0069】
処理液タンク531には、比抵抗計581が、処理液タンクが貯留する処理液の比抵抗を計測するように、設置されている。この比抵抗計581からの計測信号は、コントローラ582に入力されるようになっている。コントローラ582からの開閉制御弁V55へ制御信号が送られ、その制御信号によって開閉制御弁V55の開閉動作が制御されるようになっている。
【0070】
次に図8に示した第5実施形態にかかる基板洗浄処理装置501における処理動作の1例について説明する。
【0071】
基板洗浄処理に先立ち、処理液タンク531に、処理液として二酸化炭素を所望の比抵抗値以下になるまで溶解させた純水を貯留する。そのために、先ず、開閉制御弁V53だけを開け、その他の開閉制御弁は閉じる。この状態で、純水供給源541から純水を、前段純水供給管542,開閉制御弁V53、後段純水供給管543,ミキシングユニット550、撹拌ノズル561を経て、処理液タンク531に貯める。
【0072】
処理液タンク531内で、比抵抗計581が測定可能となるまで純水が貯まって来ると、比抵抗計581は測定を開始する。この時点では、まだ純水への二酸化炭素の供給を開始していないので、比抵抗計581は、所望の比抵抗値より高い値の検出信号をコントローラ582へ送信する。コントローラ582は、開閉制御弁V55を開けるように指令する。
【0073】
開閉制御弁V55が開くと、二酸化炭素供給源571から、二酸化炭素供給管572、開閉制御弁V55、を経て、二酸化炭素がミキシングユニット550へ供給される。ミキシングユニット550へ供給された二酸化炭素は、ミキシングユニット550内を通過する純水に混ざる。
【0074】
上記したようにして二酸化炭素混じりの純水を処理液タンク531に貯める途中で、比抵抗計581が所望の比抵抗値以下を検出すると、その検出信号を受けてコントローラ582は、二酸化炭素調節手段である開閉制御弁V55に対し閉じるよう指令する。これにより、二酸化炭素の供給は停止し、二酸化炭素が混じらない純水だけが、処理液タンク531に供給される。
【0075】
なお、比抵抗計581が、所望の比抵抗値より高い値の検出信号をコントローラ582へ送信すると、コントローラ582は、開閉制御弁V55を開けるように指令し、二酸化炭素の供給が再開される。
【0076】
上記したように二酸化炭素の供給を、比抵抗計581の検出信号に基づいて、コントローラ582が開閉制御弁V55を開閉操作することによって、所望の比抵抗値以下となるように二酸化炭素を溶解した純水が、処理液タンク531に貯留される。
【0077】
なお、純水が処理液タンク531に必要量貯留された段階で、比抵抗計581が所望の比抵抗値を越えた値を検出する場合には、次の二酸化炭素混入用の循環動作を行う。すなわち、開閉制御弁V54、V55を開け、その他の開閉制御弁は閉じた状態にする。
【0078】
この状態で、ポンプ524を駆動すると、ポンプ524が、吸込み管525によって処理液タンク531から吸い込んだ処理液は、処理液送出管523、処理液送出管523から分岐した分岐管527、開閉制御弁V54、戻し管528、ミキシングユニット550、撹拌ノズル561を経て処理液タンク531に戻る。この処理液循環路の途中のミキシングユニット550にて二酸化炭素が処理液に混入する。
【0079】
このようにして二酸化炭素を処理液タンク531に貯留された処理液(純水中)に混入することを継続すると、二酸化炭素が所望の比抵抗値になるまで必要十分に溶解し、比抵抗計581は所望の比抵抗値にまで下がったことを検出する。その検出信号を受けてコントローラ582は、開閉制御弁V55に対し閉じるよう指令し、二酸化炭素の供給は停止する。これで、処理液タンク531は、所望の比抵抗値以下となるように二酸化炭素を溶解した純水を、貯留することができる。
【0080】
ここまでで、基板Wを洗浄する準備が完了し、洗浄処理を開始する。まず、開閉制御弁V51、V52、V54およびV56を開け、その他の開閉制御弁は閉じる。ポンプ524は、吸込み管525によって処理液タンク531から吸い込んだ処理液を、処理液送出管523、開閉制御弁V51、開閉制御弁V52、処理液給管521、処理液供給管522を経由して、上部スプレイノズル514および下部スプレイノズル515へと送液する。
【0081】
上部スプレイノズル14および下部スプレイノズル15から処理液のスプレイが開始すると、基板Wが入口側開港511から処理チャンバー510へ運び入れられ、基板Wは、出口側開口512まで移動する間に、上部スプレイノズル514、および下部スプレイノズル515からスプレイされる処理液によって洗浄処理が施される。
【0082】
基板Wへ向けてスプレイされた処理液は、基板Wから落ちると、処理チャンバー510の底部に集まり、流出管591、回収用配管592、開閉制御弁V56を経て、処理液タンク531に戻る。
【0083】
上記したように処理液を基板Wにスプレイする動作の最中に、処理液中に溶解している二酸化炭素が再びガスになって処理液から大気中に出る等により、処理液の比抵抗値が上がると、比抵抗計581が、所望の比抵抗値より高い値を検出し、その検出信号に基づいてコントローラ582は、開閉制御弁V55を開けるように指令し、処理液を基板Wにスプレイするのと並行して、前記した循環動作において二酸化炭素の供給が行われる。
【0084】
すなわち、ポンプ524が吸込み管525によって処理液タンク531から吸い込んだ処理液を、処理液送出管523、分岐管527、開閉制御弁V54、戻し管528、ミキシングユニット550、撹拌ノズル561を経て処理液タンク531に戻す処理液循環路に循環させる動作では、ミキシングユニット550にて二酸化炭素を処理液に混入する。
【0085】
前記した二酸化炭素混入用の循環動作の途中で、比抵抗計581が所望の比抵抗値にまで下がったことを検出すると、その検出信号を受けてコントローラ582は、開閉制御弁V55に対し閉じるよう指令し、二酸化炭素の供給は停止する。以後、比抵抗計581の検出データに基づいて、コントローラ582は開閉制御弁V55に指令して、二酸化炭素の供給を制御する。
【0086】
以上のようにして基板Wを洗浄処理するうちに、処理液の汚染が蓄積し、処理液を新しくする場合には、開閉制御弁V56を閉じて、開閉制御弁V57を開き、排液用配管593を通して基板処理装置501の外部へ処理液を廃棄する。
【0087】
なお、処理液の全部を新しくする場合には、以上の動作を最初から、繰り返せばよい。一部を新しくする場合には、廃棄した分量だけ、純水供給源541から供給すればよい。
【0088】
ただし、新しく純水を供給すると、新しく供給する純水の量にもよるが、処理液タンク531に貯留されている処理液の二酸化炭素濃度は薄まるので、比抵抗計581は、所望の比抵抗値より高い値を検出し、その検出信号に基づいてコントローラ582は、開閉制御弁V55を開けるように指令し、二酸化炭素が供給される。
【0089】
以上説明したように、第5実施形態に係る基板洗浄処理装置501は、比抵抗計581の検出信号に基づいて、処理液タンク531内に貯留されている処理液(純水)に対して、所望の比抵抗値以下となるように、コントローラ582が開閉制御弁V55を制御して二酸化炭素を、混入するようにしたので、基板Wに供給される処理液は、比抵抗計値以下となる。また、比抵抗計581からの検出信号に基づいて、コントローラ582は二酸化炭素の供給を停止するので、過剰に二酸化炭素を供給することがなく、二酸化炭素を無駄にしない。
【0090】
また、処理液循環路における戻し管528の下流側は、処理液タンク531内の処理液中に延び、処理液を広げて噴出する撹拌ノズル561を連通接続している。このため、新しく純水を供給する際や、二酸化炭素混入用の循環動作を行う際に、二酸化炭素が混入された純水や処理液が、攪拌ノズル561を通過することによって、処理液タンク531内の処理液を広い範囲で攪拌し、溶解しきれなくて気泡となって出てきた二酸化炭素も、細かな泡に分かれて処理液タンク531内に広がり、溶解が促進される。
【0091】
また、いったん処理液タンク531に貯留した処理液を、所望の比抵抗値以下となるように二酸化炭素を溶解させてから、処理液タンク531から基板へ処理液を供給しているので、基板へ処理液を供給する配管の途中で二酸化炭素を混入させるのと比較して、所望の比抵抗値以下となるように確実に二酸化炭素を溶解させた処理液を基板へ供給することができる。
【0092】
<6.第6実施形態>
図9に示す基板洗浄処理装置601は、第6実施形態にかかる装置である。この基板処理装置601は、戻し管628、後段純水供給管643、純水供給延長管645、二酸化炭素供給管672、ミキシングユニット650,攪拌ノズル661が、第2実施形態とは違う。その他は第2実施形態と同じである。
【0093】
なお、ポンプ624の吐出口側に流路接続されている処理液送出管623から派生した分岐管627の下流側には開閉制御弁V64が連通接続する。この開閉制御弁V64の下流側には、ポンプ624から吐出された処理液を処理液タンク631へ戻す戻し管628が連通接続している。この戻し管628の下流側は、次のようにして、ミキシングユニット650に連通接続している。
【0094】
すなわち、第6実施形態にかかる基板洗浄処理装置601では、ミキシングユニット650を処理液タンク631の外に配置している。戻し管628の下流側は、処理液タンク631の外で、処理液タンク631の外に配置したミキシングユニット650の処理液流入口51と連通接続している。
【0095】
上記したように処理液タンク631の外に配置したミキシングユニット650は、その二酸化炭素流入口53には、二酸化炭素供給管672の下流側が連通接続し、処理液流出口52には、延長管651の上流側が連通接続している。
【0096】
ミキシングユニット650の処理液流出口52には、延長管651が連通接続している。この延長管651は、ミキシングユニット650から出た処理液を処理液タンク631へ導く配管であり、その下流側は、処理液タンク631内へ延び、処理液タンク631内に貯留されている処理液の液面下、処理液タンク631の底部近くへ延び、処理液中にて、攪拌ノズル661に連通接続している。この攪拌ノズル661の出口は、処理液タンク661に貯留されている処理液を臨むように配置し、処理液を効率的に攪拌する。
【0097】
このようにミキシングユニット650を処理液タンク631の外に設置したことにより、ミキシングユニット650を流れる純水や処理液は処理液タンク631に至るまでの間に、延長管651を通過する。ミキシングユニット650にて処理液や純水に注入された二酸化炭素は、延長管651内を通過する間に、純水や処理液へ効率的に溶解する。
【0098】
なお、第6実施形態では、処理液タンク631内から、吸込み管625、ポンプ624、処理液送出管623の一部(ポンプ623と分岐管627までの間の部分)、分岐管627、開閉制御弁V64、戻し管628、ミキシングユニット650、延長管651、撹拌ノズル661を経て、処理液タンク631に戻る処理液循環路が設けられている。
【0099】
<7.第7実施形態>
第7実施形態の基板洗浄処理装置は、ミキシングユニット750の内部構造が第1実施形態と違う。他は第1実施形態と同じである。図5は、第2実施形態におけるミキシングユニット750の概略斜視図である。
【0100】
第4実施形態のミキシングユニット750は、処理液流入口751と、処理液流出口752を、連通する内部流路754の途中に、流路断面積を狭く絞った狭隘部758を有する。狭隘部758には、二酸化炭素流入口753から延びる二酸化炭素導入路755の終端が開口し、狭隘部758にて、二酸化炭素が流れる液に注入される。内部流路754と二酸化炭素導入路755は、直交するように連通接続し、ミキシングユニット750の外形は、概略すると全体が「T」字型である。
【0101】
なお、ミキシングユニット750において、二酸化炭素導入路755は、内部流路754と出合うのは、図10に示すように狭隘部758の位置の他には、狭隘部758よりも上流でもよい。
【0102】
ミキシングユニット750は、上記したように、内部流路754に狭隘部758を設け、狭隘部758よりも上流にて二酸化炭素を、内部流路754を通過する処理液に混入するようにしたことによって、次の効果がある。すなわち、内部流路753を流れる純水や処理液は、狭隘部748を通過する際に、流速が上がり、狭隘部を通過した直後に、急に流路が広くなり流速が下がる。このため、狭隘部の下流では、純水や処理液の流れは乱流を生じ、混在する二酸化炭素の気泡は、揉まれて細かく分かれ、激しく気液混合する状態となり、二酸化炭素の溶解が効率的に進む。
【符号の説明】
【0103】
1,501,601 基板洗浄処理装置
10,510,610 処理チャンバー
11,511,611 入口側開口
12,512,612 出口側開口
13,513,612 ローラコンベア
14,514,614 上部スプレイノズル
15,515,615 下部スプレイノズル
21,521,522,321、322 処理液供給管
V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7 開閉制御弁
V51,V52,V53,V54,V55,V56,V57 開閉制御弁
V61,V62,V63,V64,V65,V66,V67 開閉制御弁
23,523,623 処理液送出管
24,524,624 ポンプ
25,525,625 吸込み管
27,527,627 分岐管
28,528,628 戻し管
31,531,631 処理液タンク
41,541,641 純水供給源
42,542,642 前段純水供給管
43,543,643 後段純水供給管
651 延長管
50,250,350,450,550,650,750 ミキシングユニット
51,751 処理液流入口
52,752 処理液流出口
53,753 二酸化炭素流入口
54,754 内部流路
55,755 二酸化炭素導入路
56 二酸化炭素導出管
57 横穴
758 狭隘部
61,261,361,461,561,661 攪拌ノズル
71、571,671 二酸化炭素供給源
72,572,672 二酸化炭素供給管
81,581,681 比抵抗計
82,582,682 コントローラ
91,591,691 流出管
92,592,692 回収用配管
93,593,693 排液用配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に、二酸化炭素を溶解した処理液を供給して、基板の表面を処理する基板洗浄処理装置において、
基板に供給する処理液を貯留する処理液タンクと、
前記処理液タンクから吸い込んだ処理液を、前記処理液タンク内に吹き出す処理液循環路と、
二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給源と、
前記二酸化炭素供給源から供給される二酸化炭素の量を操作する二酸化炭素調節手段と、
前記処理液循環路に設けられ、前記二酸化炭素供給源から供給される二酸化炭素を混入するミキシングユニットと、
前記処理液タンク内の処理液の比抵抗を測定する比抵抗測定手段と、
前記比抵抗測定手段からの測定信号に基づいて、前記二酸化炭素調節手段を制御するコントローラを備えることを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄処理装置において、
前記処理液循環路の終端に、前記処理液タンク内に貯留されている処理液中で、処理液を広げて吹き出す攪拌ノズルを付設することを特徴とする基板洗浄処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のどちらかに記載の基板洗浄処理装置において、
前記ミキシングユニットの内部に、通過する処理液の流路を狭くした狭隘部を設け、前記二酸化炭素供給源から供給される二酸化炭素が処理液に混入する位置を、該狭隘部または、該狭隘部より上流にしたことを特徴とする基板洗浄処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−210764(P2011−210764A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74293(P2010−74293)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】