説明

変位検出装置、露光装置、およびデバイス製造方法

【課題】 温度変動や波長変動に起因する検出誤差の発生を抑えて、被検面の面位置の変位を高精度に検出することのできる変位検出装置。
【解決手段】 測定対物レンズ(4)を介して被検面(20a)に光源(LS)からの光を投光し、測定対物レンズを介した被検面からの反射光に基づいて、被検面の面位置の変位を検出する変位検出装置。光源からの光を複数の光に分割し、複数の光のうちの第1の光を測定光として測定光路に沿って導き且つ複数の光のうちの第2の光を参照光として参照光路に沿って導く光分割部材(2)と、被検面で反射された測定光が含む測定情報と参照光が含む参照情報とに基づいて被検面の面位置の変位を検出する検出系(13,14)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位検出装置、露光装置、およびデバイス製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、被検面の面位置の変位を光学的に検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平4−366711号公報には、対物レンズを介して被検面に光源からの光を投光し、対物レンズを介した被検面からの反射光に基づいて被検面の面位置(被検面の法線方向に沿った位置)の変位を検出する変位検出装置が記載されている。具体的に、この公報に開示された変位検出装置では、対物レンズを介して被検面にレーザ光を集光し、被検面で反射されて上記対物レンズを経た光を4分割センサで受光する。そして、非点収差法を用いて、4分割センサの出力信号に基づき、被検面の面位置の変位を検出する。
【0003】
【特許文献1】特開平4−366711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された変位検出装置では、環境温度の変化に応じて光学素子の内部温度が変動し、特に対物レンズの内部温度の変動により検出変位のドリフト(変動)が発生し易い。また、光源が供給する光の波長の変動により、検出変位のドリフトが発生し易い。換言すれば、温度変動や波長変動に起因する変位ドリフトの発生、ひいては検出誤差の発生を抑えるには、環境温度および波長を高精度に安定化させる必要がある。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、温度変動や波長変動に起因する検出誤差の発生を抑えて、被検面の面位置の変位を高精度に検出することのできる変位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、測定対物レンズを介して被検面に光源からの光を投光し、前記測定対物レンズを介した前記被検面からの反射光に基づいて、前記被検面の面位置の変位を検出する変位検出装置において、
光源からの光を複数の光に分割し、前記複数の光のうちの第1の光を測定光として測定光路に沿って導き且つ前記複数の光のうちの第2の光を参照光として参照光路に沿って導く光分割部材と、
前記被検面で反射された前記測定光が含む測定情報と前記参照光が含む参照情報とに基づいて前記被検面の面位置の変位を検出する検出系とを備えていることを特徴とする変位検出装置を提供する。
【0007】
本発明の第2形態では、第1形態の変位検出装置を備え、所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置を提供する。
【0008】
本発明の第3形態では、第2形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成する現像工程と、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工する加工工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の1つの形態にしたがう変位検出装置では、参照光が、測定光の通過する測定光路に対応した条件(環境温度、光学素子、光路長など)を有する参照光路を通過する。特に、参照光は、測定光の通過する測定対物レンズに対応した位置に配置され且つ測定対物レンズに対応した光学特性を有する参照対物レンズを通過する。また、測定光と参照光とは、共通の光源からの光を光分割部材により分割して得られる光であって、互いに同じ波長を有する。換言すれば、参照光の波長の変動は、測定光の波長の変動と一致する。
【0010】
したがって、参照光は、被検面で反射された測定光とは異なり、被検面の面位置の変位に関する情報を含まないが、測定光と同様に、温度変動の影響や波長変動の影響に関する情報を含んでいる。その結果、本発明の変位検出装置では、被検面で反射された測定光が含む測定情報と参照光が含む参照情報とに基づいて、温度変動や波長変動の影響を実質的に受けることなく、ひいては温度変動や波長変動に起因する検出誤差の発生を抑えて、被検面の面位置の変位を高精度に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる変位検出装置の構成を概略的に示す図である。第1実施形態では、非点収差法を用いてガラス基板の裏面の面位置の変位を検出する変位検出装置に対して本発明を適用している。図1において、ガラス基板20の裏面20aの法線方向にZ軸を、裏面20aにおいて図1の紙面に平行な方向にY軸を、裏面20aにおいて図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0012】
図1を参照すると、第1実施形態の変位検出装置は、例えばレーザーダイオードのような光源LSを備えている。光源LSから射出された光は、XY平面およびYZ平面に対して所定角度だけ傾いた偏光面を有し、コリメートレンズ1を介して、偏光ビームスプリッター2に入射する。偏光ビームスプリッター2に入射して偏光分離面2aにより反射された光すなわちs偏光状態の光は、測定光L1として、1/4波長板3に入射する。
【0013】
1/4波長板3を介して円偏光状態になった測定光L1は、測定対物レンズ4を介して、ガラス基板20に入射する。ガラス基板20の内部を伝播して裏面20aで反射された測定光L1は、ガラス基板20から射出された後、測定対物レンズ4に入射する。なお、ガラス基板20に入射した測定光L1は、被検面である裏面20aまたはその近傍に集光点を形成する。測定対物レンズ4を介した測定光L1は、1/4波長板3を介してp偏光状態に変換された後、偏光ビームスプリッター2に戻る。
【0014】
一方、偏光ビームスプリッター2に入射して偏光分離面2aを透過した光すなわちp偏光状態の光は、参照光L2として、1/4波長板5に入射する。1/4波長板5を介して円偏光状態になった参照光L2は、参照対物レンズ6を介して、参照基板7に入射する。参照対物レンズ6は、測定対物レンズ4に対応した位置に配置されて、測定対物レンズ4に対応した光学特性を有する。
【0015】
参照基板7は、ガラス基板20に対応した位置に配置されて、ガラス基板20に対応した光学特性を有する。ただし、ガラス基板20はZ方向に移動するが、参照基板7はY方向に固定されている。参照基板7の内部を伝播して裏面7aで反射された参照光L2は、参照基板7から射出された後、参照対物レンズ6に入射する。参照基板7に入射した参照光L2は、参照面である裏面7aまたはその近傍に集光点を形成する。
【0016】
参照対物レンズ6を介した参照光L2は、1/4波長板5を介してs偏光状態に変換された後、偏光ビームスプリッター2に戻る。このように、偏光ビームスプリッター2は、光源LSからの光を2つの光に分割し、反射光(第1の光)を測定光L1として測定光路に沿って導き且つ透過光(第2の光)を参照光L2として参照光路に沿って導く光分割部材を構成している。そして、偏光ビームスプリッター2の偏光分離面2aは、測定光L1と参照光L2とに対して互いに異なる偏光状態を付与する。
【0017】
偏光ビームスプリッター2に戻ったp偏光状態の測定光L1は、偏光分離面2aを透過して、ウォラストンプリズム8に入射する。偏光ビームスプリッター2に戻ったs偏光状態の参照光L2は、偏光分離面2aで反射されて、ウォラストンプリズム8に入射する。ウォラストンプリズム8は、入射光の偏光状態に応じた向きに偏向して射出する機能を有する。したがって、p偏光状態で入射した測定光L1とs偏光状態で入射した参照光L2とは、ウォラストンプリズム8により互いに異なる偏光状態に応じて偏向作用を受けた後、集光レンズ9に入射する。
【0018】
集光レンズ9を介した測定光L1は、シリンドリカルレンズ10および偏光板11を介して、光検出部13の測定用4分割センサ31(図1では不図示;図2を参照)に達する。集光レンズ9を介した参照光L2は、シリンドリカルレンズ10および偏光板12を介して、光検出部13の参照用4分割センサ32(図1では不図示;図2を参照)に達する。シリンドリカルレンズ10は、XZ平面において正の屈折力を有し且つYZ平面において無屈折力であり、偏光ビームスプリッター2を経た測定光L1および参照光L2に非点収差を発生させる機能を有する。
【0019】
偏光板11は、p偏光状態の光だけが透過するように配置され、測定光L1が含むノイズ光が測定用4分割センサ31に入射するのを遮る機能を有する。偏光板12は、s偏光状態の光だけが透過するように配置され、参照光L2が含むノイズ光が参照用4分割センサ32に入射するのを遮る機能を有する。なお、集光レンズ9の前側(偏光ビームスプリッター2側)にシリンドリカルレンズ10を配置することもできる。また、偏光板11および12の設置を省略することもできる。また、たとえば光源LS自体が必要十分な非点収差を有している場合には、シリンドリカルレンズ10を省略してもよい。このような光源LSとしてはレーザーダイオードを用いることができる。
【0020】
光検出部13は、図2に示すように、Y方向に沿って間隔を隔てて配置された測定用4分割センサ31と参照用4分割センサ32とを有する。測定用4分割センサ31は、測定光L1を受光するように位置決めされ、例えば+X方向および+Y方向と45度をなす方向に延びる線状の領域と+X方向および−Y方向と45度をなす方向に延びる線状の領域とにより等分割された4つの受光部31a,31b,31c,31dを有する。
【0021】
換言すれば、4つの受光部31a,31b,31c,31dは、4分割センサ31の中心点に関して点対称に配置されている。参照用4分割センサ32は、参照光L2を受光するように位置決めされ、測定用4分割センサ31と同様に点対称に配置された4つの受光部32a,32b,32c,32dを有する。光検出部13の出力、すなわち測定用4分割センサ31の出力信号Smおよび参照用4分割センサ32の出力信号Srは、信号処理部14に供給される。
【0022】
先ず、第1実施形態の変位検出装置における動作の理解を容易にするために、非点収差法を用いる通常の構成例(以下、「比較例」という)における動作を説明する。比較例では、図1および図2の構成から、参照光L2に関連する構成要素、すなわち1/4波長板5、参照対物レンズ6、参照基板7、偏光板12、および参照用4分割センサ32の設置が省略されている。また、比較例では、ウォラストンプリズム8の設置が不要である。以下、図1を参照して比較例の動作を理解することができるように、上述の測定光L1に対応する光がガラス基板20の裏面20aで反射され、測定用4分割センサ31に対応する単一の4分割センサ33(図3を参照)に達するものとする。
【0023】
比較例では、光学的な理想状態において、ガラス基板20の裏面20aが所定位置(例えば対物レンズ4の焦点位置)にあるとき、裏面20aからの反射光は、図3に示すように4分割センサ33において4つの受光部33a〜33dの中心点を中心とする円形状の光分布33eを形成する。そして、ガラス基板20の裏面20aが上記所定位置からZ方向に移動すると、収差発生部材としてのシリンドリカルレンズ10の作用により、4分割センサ33に形成される光分布は、裏面20aの移動方向(+Z方向または−Z方向)およびZ方向に沿った移動量に応じて、図3の左側および右側において参照符号33eaおよび33ebで模式的に示すように、4つの受光部33a〜33dの中心点付近を中心とする楕円形状に変化する。
【0024】
4分割センサ33の出力信号Sは、次の式(1)により表される。式(1)において、Saは受光部33aの受光光量に対応する値であり、Sbは受光部33aに隣接する受光部33bの受光光量に対応する値である。また、Scは受光部33aと対向する受光部33cの受光光量に対応する値であり、Sdは受光部33bと対向する受光部33dの受光光量に対応する値である。なお、第1実施形態における測定用4分割センサ31の出力信号Smおよび参照用4分割センサ32の出力信号Srについても同様である。
S=(Sa+Sc)−(Sb+Sd) (1)
【0025】
式(1)により表される4分割センサ33の出力信号Sと、ガラス基板20の裏面20aの面位置の変位Dとの間には、図4に示すような関係が成立する。図4において、横軸は変位Dを、縦軸は4分割センサ33の出力信号Sを表している。出力信号Sと変位Dとの関係を表すS字状の線(Sカーブ)は、その原点(S=D=0の点)を中心とする所定の範囲において高い線形性(リニアリティ)を有する。
【0026】
4分割センサ33の出力信号Sが供給される信号処理部14では、出力信号Sの変化量の符号に基づいてガラス基板20の裏面20aの移動方向(すなわち変位Dの符号)を求め、出力信号Sの変化量の絶対値に基づいてガラス基板20の裏面20aのZ方向に沿った移動量(すなわち変位Dの絶対値)を求める。具体的には、信号処理部14は、例えば4分割センサ33の出力信号Sがゼロである初期状態からの裏面20aの面位置の変位Dの符号および絶対値を、4分割センサ33の出力信号Sの符号および絶対値に基づいて算出する。
【0027】
比較例では、環境温度の変化に応じて光学素子の内部温度が変動し、特に対物レンズ4の内部温度の変動により検出変位のドリフト(変動)が発生し易い。また、光源LSが供給する光の波長の変動により、検出変位のドリフトが発生し易い。具体的に、通常の設計にしたがう比較例において、対物レンズ4の内部温度が1°Cだけ変化すると、760nm程度の変位ドリフトが発生する。また、対物レンズ4がPMMA(ポリメチルメタアクリレート:アクリル)により形成されていて、その焦点距離が4mmである場合、光の波長が1nmだけ変化すると、160nm程度の変位ドリフトが発生する。
【0028】
以上のように、第1実施形態では、参照光L2が、測定光L1の通過する測定光路に対応した条件(環境温度、通過する光学素子、光路長など)を有する参照光路を通過する。とりわけ、参照光L2は、測定光L1の通過する測定対物レンズ4に対応した位置に配置され且つ測定対物レンズ4に対応した光学特性を有する参照対物レンズ6を通過する。また、測定光L1と参照光L2とは、共通の光源LSからの光を偏光ビームスプリッター2により分割して得られる光であって、互いに同じ波長を有する。換言すれば、参照光L2の波長の変動は、測定光L1の波長の変動と一致する。
【0029】
したがって、固定された参照面(参照基板7の裏面7a)で反射された参照光L2は、Z方向に移動する被検面(ガラス基板20の裏面20a)で反射された測定光L1とは異なり、被検面の面位置の変位に関する情報を含まない。しかしながら、参照光L2は、測定光L1と同様に、温度変動の影響や波長変動の影響に関する情報を含んでいる。その結果、被検面で反射された測定光L1が含む測定情報と参照面で反射された参照光L2が含む参照情報とに基づいて、温度変動や波長変動の影響を実質的に受けることなく、被検面の面位置の変位を検出することができる。換言すれば、第1実施形態では、温度変動や波長変動に起因する検出誤差の発生を抑えて、被検面の面位置の変位を高精度に検出することができる。
【0030】
すなわち、信号処理部14では、測定用4分割センサ31の出力信号Smから参照用4分割センサ32の出力信号Srを差し引いて得られる差分(Sm−Sr)に基づいて、ガラス基板20の裏面20aの面位置の変位Dを算出する。具体的に、信号処理部14では、裏面20aの面位置の変位Dを、次の式(2)により求める。式(2)において、Kmは、測定用4分割センサ31のSカーブの原点を中心とする所定範囲におけるSカーブの傾き(リニアリティ)であって、面位置の変化に対する信号Smの変化率である。変化率Kmは、例えば計測により予め求められる。
D=(Sm−Sr)×Km (2)
【0031】
測定用4分割センサ31の出力信号Smおよび参照用4分割センサ32の出力信号Srは、次の式(3)および(4)によりそれぞれ表される。式(3)において、Smaは受光部31a、Smbは受光部31b、Smcは受光部31c、Smdは受光部31dの受光光量に対応する値である。式(4)において、Sraは受光部32a、Srbは受光部32b、Srcは受光部32c、Srdは受光部32dの受光光量に対応する値である。
Sm=(Sma+Smc)−(Smb+Smd) (3)
Sr=(Sra+Src)−(Srb+Srd) (4)
【0032】
なお、上述の第1実施形態において、参照対物レンズ6の位置および光学特性は、必ずしも測定対物レンズ4の位置および光学特性に対応している必要はない。また、参照基板7の位置および光学特性は、必ずしもガラス基板20の位置および光学特性に対応している必要はない。しかしながら、参照光路と測定光路との間の条件をできるだけ一致させて高精度な検出を図るには、参照対物レンズ6と測定対物レンズ4との間および参照基板7とガラス基板20との間で、その位置および光学特性がそれぞれ対応していることが望ましい。
【0033】
また、上述の第1実施形態では、偏光ビームスプリッター2を経た測定光L1および参照光L2に非点収差を発生させる収差発生部材としてのシリンドリカルレンズ10と、測定光L1を光電変換する測定光電変換部としての4分割センサ31と、参照光L2を光電変換する参照光電変換部としての4分割センサ32とを用いて、非点収差法により被検面である裏面20aの面位置の変位を検出している。しかしながら、非点収差法に限定されることなく、例えばナイフエッジ法や臨界角法などの手法を用いて被検面の面位置の変位を検出する変位検出装置に対して本発明を適用することができる。
【0034】
以下、図5および図6を参照して、ナイフエッジ法によりガラス基板の裏面の面位置の変位を検出する変位検出装置の構成例を説明する。図5の変形例は図1の第1実施形態と類似の構成を有するが、シリンドリカルレンズ10に代えて遮光部材15を用いるとともに、2つの4分割センサ31および32に代えて2つの2分割センサ41および42を用いている点が第1実施形態と相違している。図5では、図1に示す構成要素と同様の機能を有する要素に、図1と同じ参照符号を付している。以下、第1実施形態との相違点に着目して、図5の変形例の構成および作用を説明する。
【0035】
図5の変形例では、集光レンズ9を介した測定光L1および参照光L2が、遮光部材15に入射する。遮光部材15は、装置の光軸AXと直交してY方向に延びるエッジ15aを有し、測定光L1および参照光L2のうち光軸AXから+X方向にある部分を遮る機能を有する。換言すれば、遮光部材15のエッジ15aは、ウォラストンプリズム8が測定光L1および参照光L2を偏向させる面(YZ平面)と平行に延びている。光検出部13’は、図6に示すように、Y方向に沿って間隔を隔てて配置された2つの2分割センサ41および42を有する。
【0036】
図6中左側の測定用2分割センサ41は、測定光L1を受光するように位置決めされ、Y方向に延びる線状の領域により等分割された2つの受光部41aおよび41bを有する。換言すれば、2つの受光部41aと41bとは、2分割センサ41の中心点を通ってY方向に延びる線分に関して対称に配置されている。図6中右側の参照用2分割センサ42は、参照光L2を受光するように位置決めされ、測定用2分割センサ41と同様に対称に配置された2つの受光部42aおよび42bを有する。
【0037】
測定用2分割センサ41の出力信号Smおよび参照用2分割センサ42の出力信号Srは、次の式(5)および(6)により表される。式(5)において、Smaは受光部41aの受光光量、Smbは受光部41bの受光光量に対応する値である。式(6)において、Sraは受光部42aの受光光量、Srbは受光部42bの受光光量に対応する値である。
Sm=Sma−Smb (5)
Sr=Sra−Srb (6)
【0038】
図5の変形例では、ガラス基板20の裏面20aの面位置の変位Dの発生に応じて、測定光L1が2分割センサ41に形成する光分布41cと参照光L2が2分割センサ42に形成する光分布42cとが異なることになる。こうして、図5の変形例においても、第1実施形態の場合と同様に、上述の式(2)を用いて、温度変動や波長変動に起因する検出誤差の発生を抑えつつ、ガラス基板20の裏面20aの面位置の変位Dを高精度に検出することができる。
【0039】
また、上述の第1実施形態では、ウォラストンプリズム8を用いて測定光L1および参照光L2を偏光状態に応じた向きに偏向することにより、測定光L1を測定用4分割センサ31へ導き、参照光L2を測定用4分割センサ31とは別の参照用4分割センサ32へ導いている。しかしながら、これに限定されることなく、図7の変形例に示すように、参照基板7に代えてコーナーキューブ16を用いることにより、ウォラストンプリズム8の光路分離作用を果たすことができる。
【0040】
図7の変形例では、偏光ビームスプリッター2、1/4波長板5および参照対物レンズ6を経た参照光L2が、コーナーキューブ16に入射する。コーナーキューブ16の内部を伝播して複数の反射面で順次反射された参照光L2は、コーナーキューブ16への入射光路とは異なる光路に沿ってコーナーキューブ16から射出された後、参照対物レンズ6に入射する。こうして、コーナーキューブ16の作用により、ウォラストンプリズム8を用いなくても、偏光ビームスプリッター2から測定用4分割センサ31へ向かう測定光L1の光路と、偏光ビームスプリッター2から参照用4分割センサ32へ向かう参照光L2の光路とが分離される。
【0041】
なお、図7の変形例では、コーナーキューブ16に代えて、参照光L2を複数の反射面で順次反射して入射光路とは異なる光路に沿って射出する機能を有する他の光学部材、たとえば三角プリズムなどを用いることができる。また、図示を省略したが、図5の変形例において、参照基板7に代えてコーナーキューブ16を用いることもできる。換言すれば、図7の変形例の基本構成において、例えばナイフエッジ法や臨界角法などの手法を用いることもできる。
【0042】
図8は、本発明の第2実施形態にかかる変位検出装置の構成を概略的に示す図である。第2実施形態は第1実施形態と類似の構成を有するが、参照光路の構成が第1実施形態と相違している。また、第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、ウォラストンプリズム8を用いていない。図8では、図1に示す構成要素と同様の機能を有する要素に、図1と同じ参照符号を付している。以下、第1実施形態との相違点に着目して、第2実施形態の構成および作用を説明する。
【0043】
第2実施形態では、ガラス基板20の裏面20aで反射された測定光L1が、測定対物レンズ4、1/4波長板3、偏光ビームスプリッター2、集光レンズ9、シリンドリカルレンズ10a、および偏光板11を介して、光検出部13aの測定用4分割センサ31に達する。一方、偏光ビームスプリッター2を透過した参照光L2は、1/4波長板5、参照対物レンズ6、およびシリンドリカルレンズ10bを介して、光検出部13bの参照用4分割センサ32に達する。
【0044】
シリンドリカルレンズ10aおよび10bは、第1実施形態におけるシリンドリカルレンズ10と同様に、XZ平面において正の屈折力を有し、且つYZ平面において無屈折力である。ただし、シリンドリカルレンズ10aは測定光L1だけに非点収差を発生させ、シリンドリカルレンズ10bは参照光L2だけに非点収差を発生させる。また、光検出部13bの参照用4分割センサ32の受光面は、反射光が測定光路に入り込んでノイズ光になるのを回避するために、XZ平面に対して傾けて配置されている。
【0045】
第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、参照光L2の通過する参照光路と測定光L1の通過する測定光路との間に共通する光路部分がない。その結果、参照光L2と測定光L1とは、環境温度に関する条件がほぼ同じであるが、通過する光学素子、光路長などに関して条件が異なる。しかしながら、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、参照光L2は、測定光L1の通過する測定対物レンズ4に対応した位置に配置され且つ測定対物レンズ4に対応した光学特性を有する参照対物レンズ6を通過する。また、測定光L1と参照光L2とは、共通の光源LSからの光を偏光ビームスプリッター2により分割して得られる光であって互いに同じ波長を有し、参照光L2の波長の変動は測定光L1の波長の変動と一致する。
【0046】
したがって、参照光L2は、測定光L1とは異なり、被検面の面位置の変位に関する情報を含まないが、測定光L1と同様に、温度変動の影響や波長変動の影響に関する情報を含んでいる。その結果、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、測定光L1が含む測定情報と参照光L2が含む参照情報とに基づいて、温度変動や波長変動の影響を実質的に受けることなく、被検面としてのガラス基板20の裏面20aの面位置の変位を検出することができる。
【0047】
具体的に、第2実施形態では、信号処理部14において、ガラス基板20の裏面20aの面位置の変位Dを、次の式(7)により求める。式(7)において、変化率Krは、参照用4分割センサ32のSカーブの原点を中心とする所定範囲におけるSカーブの傾き(測定用4分割センサ31のSカーブの傾きとは異なる)であり、例えば計測により予め求められた変化率Kmと設計データとにより算出される。
D=Sm×Km−Sr×Kr (7)
【0048】
なお、上述の第2実施形態では、偏光ビームスプリッター2を経た測定光L1に非点収差を発生させる第1収差発生部材としてのシリンドリカルレンズ10aと、偏光ビームスプリッター2を経た参照光L2に非点収差を発生させる第2収差発生部材としてのシリンドリカルレンズ10bと、測定光L1を光電変換する測定光電変換部としての4分割センサ31と、参照光L2を光電変換する参照光電変換部としての4分割センサ32とを用いて、非点収差法により被検面である裏面20aの面位置の変位を検出している。しかしながら、非点収差法に限定されることなく、第2実施形態の基本構成に対して、例えばナイフエッジ法や臨界角法などの手法を適用することもできる。
【0049】
なお、上述の実施形態および変形例では、光源LSからの光を2つの光に分割し、反射光を測定光L1として測定光路に沿って導き且つ透過光を参照光L2として参照光路に沿って導く光分割部材として、偏光分離面2aを有する偏光ビームスプリッター2を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、この種の光分割部材については様々な形態が可能である。例えば、この種の光分割部材として、偏光分離面を有しない通常のビームスプリッターを用いることができる。
【0050】
一般的には、偏光型または通常型のビームスプリッターにより、反射光または透過光を測定光として測定光路に沿って導き且つ透過光または反射光を参照光として参照光路に沿って導くことができる。ただし、通常のビームスプリッターを用いる場合には、面位置の変位の検出に寄与しない光が発生し、ひいては光量損失が発生する。また、上述の実施形態および変形例では、必要に応じて、参照用4分割センサ32を用いて光源の光量変化をモニターし、その安定化を図ることができる。
【0051】
また、上述の実施形態および変形例では、装置を固定した状態において、被検面であるガラス基板20の裏面20aの面位置の変位を検出している。しかしながら、これに限定されることなく、例えば検出変位Dが常に一定値(例えばゼロ)になるように測定対物レンズ4または装置全体をZ方向に移動させ、測定対物レンズ4または装置全体のZ方向移動量に基づいて被検面の面位置の変位を検出することもできる。
【0052】
また、上述の実施形態および変形例では、ガラス基板20の裏面20aの面位置の変位を検出する変位検出装置を例にとって本発明を説明したが、これに限定されることなく、ガラス基板の裏面以外の被検面の変位の検出に対しても同様に本発明を適用することができる。換言すれば、上述の実施形態または変形例にかかる変位検出装置の適用例については、様々な形態が可能である。
【0053】
以下、図9を参照して、露光装置における基板ステージの面位置の変位の検出に、上述の実施形態または変形例にかかる変位検出装置を適用した構成例を説明する。図9の露光装置は、たとえば露光光源であるArFエキシマレーザ光源を含み、オプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)、視野絞り、コンデンサレンズ等から構成される照明系61を備えている。照明系61は、光源から射出された露光光により、転写すべきパターンが形成されたマスク(レチクル)Mを照明する。
【0054】
照明系61は、例えばマスクMの矩形状のパターン領域全体、あるいはパターン領域全体のうちX方向に沿って細長いスリット状の領域(例えば矩形状の領域)を照明する。マスクMのパターンからの光は、所定の縮小倍率を有する投影光学系PLを介して、フォトレジストが塗布されたウェハ(感光性基板)Wの単位露光領域にマスクMのパターン像を形成する。すなわち、マスクM上での照明領域に光学的に対応するように、ウェハWの単位露光領域において、マスクMのパターン領域全体と相似な矩形状の領域、あるいはX方向に細長い矩形状の領域(静止露光領域)にマスクパターン像が形成される。
【0055】
マスクMは、マスクステージMS上においてXY平面と平行に保持されている。マスクステージMSには、X方向、Y方向およびZ軸廻りの回転方向にマスクMを微動させる機構が組み込まれている。マスクステージMSには図示を省略した移動鏡が設けられ、この移動鏡を用いるマスクレーザ干渉計(不図示)が、マスクステージMS(ひいてはマスクM)のX方向、Y方向および回転方向の位置をリアルタイムに計測する。
【0056】
ウェハWは、Zステージ62上においてXY平面と平行に保持されている。Zステージ62は、投影光学系PLの像面と平行なXY平面に沿って移動するXYステージ63上に取り付けられ、ウェハWのフォーカス位置(Z方向の位置)および傾斜角(XY平面に対するウェハWの表面の傾き)を調整する。Zステージ62には移動鏡(不図示)が設けられ、この移動鏡を用いるウェハレーザ干渉計(不図示)が、Zステージ62のX方向、Y方向およびZ軸廻りの回転方向の位置をリアルタイムに計測する。XYステージ63は、ベース64上に載置され、ウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置を調整する。
【0057】
マスクレーザ干渉計の出力およびウェハレーザ干渉計の出力は、主制御系(不図示)に供給される。主制御系は、マスクレーザ干渉計の計測結果に基づいて、マスクMのX方向、Y方向および回転方向の位置の制御を行う。即ち、主制御系は、マスクステージMSに組み込まれている機構に制御信号を送信し、この機構が制御信号に基づいてマスクステージMSを微動させることにより、マスクMのX方向、Y方向および回転方向の位置の調整を行う。
【0058】
また、主制御系は、オートフォーカス方式及びオートレベリング方式により、ウェハWの表面を投影光学系PLの像面に合わせ込む(像面と一致させる)ために、ウェハWのフォーカス位置および傾斜角の制御を行う。即ち、主制御系は、ウェハステージ駆動系(不図示)に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系が制御信号に基づいてZステージ62を駆動することにより、ウェハWのフォーカス位置および傾斜角の調整を行う。
【0059】
また、主制御系は、ウェハレーザ干渉計の計測結果に基づいて、ウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置の制御を行う。即ち、主制御系は、ウェハステージ駆動系に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系が制御信号に基づいてXYステージ63を駆動することにより、ウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置の調整を行う。
【0060】
ステップ・アンド・リピート方式では、ウェハW上に縦横に設定された複数の単位露光領域のうちの1つの単位露光領域に、マスクMのパターン像を一括的に露光する。その後、主制御系は、ウェハステージ駆動系に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系によりXYステージ63をXY平面に沿ってステップ移動させることにより、ウェハWの別の単位露光領域を投影光学系PLに対して位置決めする。こうして、マスクMのパターン像をウェハWの単位露光領域に一括露光する動作を繰り返す。
【0061】
ステップ・アンド・スキャン方式では、主制御系は、マスクステージMSに組み込まれた機構に制御信号を送信すると共に、ウェハステージ駆動系に制御信号を送信し、投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比でマスクステージMSおよびXYステージ63を移動させつつ、マスクMのパターン像をウェハWの1つの単位露光領域に走査露光する。その後、主制御系は、ウェハステージ駆動系に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系によりXYステージ63をXY平面に沿ってステップ移動させることにより、ウェハWの別の単位露光領域を投影光学系PLに対して位置決めする。こうして、マスクMのパターン像をウェハWの単位露光領域に走査露光する動作を繰り返す。
【0062】
すなわち、ステップ・アンド・スキャン方式では、ウェハステージ駆動系およびウェハレーザ干渉計などを用いてマスクMおよびウェハWの位置制御を行いながら、矩形状(一般にはスリット状)の静止露光領域の短辺方向であるY方向に沿って、マスクステージMSとXYステージ63とを、ひいてはマスクMとウェハWとを同期的に移動(走査)させることにより、ウェハW上には静止露光領域の長辺に等しい幅を有し且つウェハWの走査量(移動量)に応じた長さを有する領域に対してマスクパターンが走査露光される。
【0063】
本実施形態の露光装置は、ウェハ(感光性基板)Wを支持するZステージ(基板ステージ)62の面位置の変位を検出するための1つまたは複数の変位検出装置60を備えている。変位検出装置60は、例えば図1または図8の実施形態あるいは図5または図7の変形例にかかる装置と同様の構成を有する。変位検出装置60は、例えば国際公開第2007/097466号パンフレットに記載されたZセンサ72a〜72dとして使用され、基板ステージ上に設けられた光学式エンコーダ用のガラス基板の裏面の面位置すなわち基板ステージの表面の面位置の変位を検出する。
【0064】
次に、図9の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図10は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図10に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。
【0065】
ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板つまりプレートPとしてパターンの転写を行う。
【0066】
図11は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図11に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。
【0067】
ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
【0068】
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。
【0069】
ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
【0070】
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる変位検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】第1実施形態における光検出部の構成を概略的に示す図である。
【図3】比較例における光検出部の構成を概略的に示す図である。
【図4】4分割センサの出力信号と被検面の面位置の変位との関係を示す図である。
【図5】第1実施形態に対してナイフエッジ法を適用した変形例にかかる変位検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】図5の変形例における光検出部の構成を概略的に示す図である。
【図7】第1実施形態において参照基板に代えてコーナーキューブを用いた変形例にかかる変位検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる変位検出装置の構成を概略的に示す図である。
【図9】露光装置における基板ステージの面位置の変位の検出に対して変位検出装置を適用した構成例を説明する図である。
【図10】半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
【図11】液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
LS 光源
2 偏光ビームスプリッター
3,5 1/4波長板
4 測定対物レンズ
6 参照対物レンズ
7 参照基板
8 ウォラストンプリズム
10 シリンドリカルレンズ
13 光検出部
14 信号処理部
20 ガラス基板
20a ガラス基板の裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対物レンズを介して被検面に光源からの光を投光し、前記測定対物レンズを介した前記被検面からの反射光に基づいて、前記被検面の面位置の変位を検出する変位検出装置において、
光源からの光を複数の光に分割し、前記複数の光のうちの第1の光を測定光として測定光路に沿って導き且つ前記複数の光のうちの第2の光を参照光として参照光路に沿って導く光分割部材と、
前記被検面で反射された前記測定光が含む測定情報と前記参照光が含む参照情報とに基づいて前記被検面の面位置の変位を検出する検出系とを備えていることを特徴とする変位検出装置。
【請求項2】
前記参照光路において前記測定対物レンズに対応した位置に配置されて前記測定対物レンズに対応した光学特性を有する参照対物レンズをさらに備え、
前記測定対物レンズは、前記光分割部材と前記被検面との間の光路中に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記被検面で反射されて前記測定対物レンズおよび前記光分割部材を経た前記測定光を光電変換する測定光電変換部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の変位検出装置。
【請求項4】
前記参照対物レンズを経て参照面に入射し且つ該参照面で反射されて前記参照対物レンズおよび前記光分割部材を経た前記参照光を光電変換する参照光電変換部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の変位検出装置。
【請求項5】
前記測定光電変換部および前記参照光電変換部はそれぞれ4分割センサを有することを特徴とする請求項4に記載の変位検出装置。
【請求項6】
前記光分割部材と前記測定光電変換部および前記参照光電変換部との間の光路中に配置されて前記光分割部材を経た前記測定光および前記参照光に非点収差を発生させる収差発生部材を備えることを特徴とする請求項5に記載の変位検出装置。
【請求項7】
前記光分割部材と前記測定光電変換部および前記参照光電変換部との間の光路中に配置されて前記光分割部材を経た前記測定光および前記参照光を部分的に遮る遮光部材を備え、
前記測定光電変換部および前記参照光電変換部はそれぞれ2分割センサを有することを特徴とする請求項5に記載の変位検出装置。
【請求項8】
前記光分割部材は、前記測定光と前記参照光とに対して互いに異なる偏光状態を付与する偏光分離面を有し、
前記光分割部材と前記測定光電変換部および前記参照光電変換部との間の光路中に配置されて、前記測定光および前記参照光のうちの少なくとも一方を光の偏光状態に応じた向きの偏向する偏向部材を備えていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の変位検出装置。
【請求項9】
前記参照面は、前記参照光を順次反射する複数の反射面を有することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の変位検出装置。
【請求項10】
前記参照対物レンズを経た前記参照光を光電変換する参照光電変換部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の変位検出装置。
【請求項11】
前記測定光電変換部および前記参照光電変換部はそれぞれ4分割センサを有することを特徴とする請求項10に記載の変位検出装置。
【請求項12】
前記光分割部材と前記測定光電変換部との間の光路中に配置されて前記光分割部材を経た前記測定光に非点収差を発生させる第1収差発生部材と、
前記光分割部材と前記参照光電変換部との間の光路中に配置されて前記光分割部材を経た前記参照光に非点収差を発生させる第2収差発生部材とを備えることを特徴とする請求項11に記載の変位検出装置。
【請求項13】
前記光分割部材と前記測定光電変換部との間の光路中に配置されて前記光分割部材を経た前記測定光を部分的に遮る第1遮光部材と、
前記光分割部材と前記参照光電変換部との間の光路中に配置されて前記光分割部材を経た前記参照光を部分的に遮る第2遮光部材とを備え、
前記測定光電変換部および前記参照光電変換部はそれぞれ2分割センサを有することを特徴とする請求項10に記載の変位検出装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の変位検出装置を備え、所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置。
【請求項15】
前記感光性基板を支持する基板ステージを備え、
前記変位検出装置は、前記基板ステージの面位置の変位を検出することを特徴とする請求項14に記載の露光装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成する現像工程と、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工する加工工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−236655(P2009−236655A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82498(P2008−82498)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】